- 1 - 主文 1 原判決中、被控訴人らに関する部分を取り消す。 2 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用(参加によって生じた費用を含む。)中、控訴人及び参加人と被控訴人らとの間に生じたものは、第1、2審を通じて被控訴人らの負担 とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 主位的⑴ 主文第1項と同趣旨 ⑵ 被控訴人らの訴えをいずれも却下する。 2 予備的主文第1項及び第2項と同趣旨第2 事案の概要等(以下、略称は基本的に原判決のそれによる。) 1 事案の概要 ⑴ 本件は、被控訴人ら及び原判決別紙原告目録記載の番号(原告番号)3、48、64、78、88、98、99、102、112の一審原告らが、控訴人が平成26年12月17日付けでしたα都市計画事業β駅西口土地区画整理事業の事業計画変更決定(本件事業計画第2次変更決定)は違法であるとして、その取消しを求めた事案である。 ⑵ 原審は、原告番号3、64、88、99、102の一審原告らには原告適格が認められないとして、これらの一審原告の訴えをいずれも却下したが(原判決主文第1項)、その余の一審原告ら(被控訴人ら及び原告番号48、78、98、112の一審原告)との関係では、本件事業計画第2次変更決定は、資金計画及び事業施行期間の点において土地区画整理法54条、6条9 項、11項、土地区画整理法施行規則10条1号、2号に反し、地方自治法- 2 -2条14項、地方財政法4条1項の趣旨にも反する違法なものであるとして、これを取り消した(原判決主文第2項)。 ⑶ 控訴人は、原判決主文第2項(原判決中、本件事業計画第2次変更決定を取り消した部分)を不服として、本件控 4条1項の趣旨にも反する違法なものであるとして、これを取り消した(原判決主文第2項)。 ⑶ 控訴人は、原判決主文第2項(原判決中、本件事業計画第2次変更決定を取り消した部分)を不服として、本件控訴の提起をしたが、原告番号3、64、88、99、102の一審原告ら(訴えを却下された一審原告ら)は、 原判決主文第1項(原判決中、上記一審原告らの訴えを却下した部分)について不服の申立てをしなかった。したがって、原判決は、上記一審原告らとの関係では確定した。 また、原告番号48、78、98、112の一審原告らは、本件訴訟係属後に死亡したところ、その訴訟承継人らは、原判決後の令和元年7月29日、 本件訴えを取り下げた。控訴人は、その取下書(訴えの一部取下書)の送達を受けた日(同月31日)の翌日から起算して2週間以内に異議を述べなかったことから、上記一審原告らの訴えの取下げに同意したものとみなされた(行政事件訴訟法7条、民事訴訟法261条5項)。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張 次のとおり付加訂正するほか、原判決の「事実及び理由」中、「第2 事案の概要」1ないし3(原判決2頁9行目から17頁24行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決3頁7行目の「乙30」を「当該緑地の一部を整形化するための区域の変更。乙30」と、同行目の「都市計画法21条1項」を「都市計画法 21条2項、19条1項」とそれぞれ改める。 ⑵ 原判決3頁14行目の「3・4・12号線、」から同15行目の「7・5・1号線等」までを「3・4・5号線(新奥多摩街道線)、3・4・12号線(羽箱根線)、3・4・13号線(上水通り線)、3・4・15号線(羽松原街道線)、7・5・1号線(川崎羽東線)(なお、各道路の位置関係等は 」までを「3・4・5号線(新奥多摩街道線)、3・4・12号線(羽箱根線)、3・4・13号線(上水通り線)、3・4・15号線(羽松原街道線)、7・5・1号線(川崎羽東線)(なお、各道路の位置関係等は、 別紙「β駅西口土地区画整理事業設計図」に記載のとおりである。)」と改- 3 -める。 ⑶ 原判決4頁21行目から同22行目にかけての「一部区画道路の変更に係る事業計画変更決定をし」を「α都市計画道路3・4・15号線及びα都市計画道路7・5・1号線につき道路特別会計を新規に導入することに伴う資金計画の変更及び事業を円滑に行うため、一部区画道路の変更に係る事業計 画変更決定」と改める。 ⑷ 原判決5頁7行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「⑺ 本件事業計画第3次変更決定控訴人は、令和元年5月20日、本件第2次変更後事業計画について、「政令で定める軽微な変更」(土地区画整理法55条13項、土地区画整 理法施行令4条1項4号、9号)に該当するものとして、事業計画変更決定(以下「本件事業計画第3次変更決定」といい、同変更決定に係る事業計画を「本件第3次変更後事業計画」という。)をし、β 市長は、同日、土地区画整理法55条13項が準用する同条9項の規定により、これを公告した(乙47、48)。 本件第3次変更後事業計画は、①本件第2次変更後事業計画における事業施行期間の終期を令和4年(2022年)3月31日から令和19年(2037年)3月31日まで延伸するとともに、②新たな国庫補助金(社会資本整備総合交付金都市再生区画整理)が導入されること等を反映させるために、資金計画の内容を変更したものである(乙48、49)。 ⑻ 別件訴訟の提起JRβ駅西口周辺に土地や家屋を所有等する者ら(合計63名で、その 画整理)が導入されること等を反映させるために、資金計画の内容を変更したものである(乙48、49)。 ⑻ 別件訴訟の提起JRβ駅西口周辺に土地や家屋を所有等する者ら(合計63名で、その中には本件の被控訴人らの一部も含まれている。)は、令和元年11月13日、本件事業計画第3次変更決定が違法であるとして、東京地方裁判所にその取消しを求める訴訟を提起した(同裁判所同年(行ウ)第577号)。 同訴訟は、現在も同裁判所に係属している(乙53、乙56の1・2、弁- 4 -論の全趣旨)。」⑸ 原判決5頁8行目冒頭の「⑺」を「⑼」と、同9行目の「44~48、」を「44~47」と、同10行目の76~79、」を「76、77、79、」とそれぞれ改め、同行目の「98、」を削除し、同11行目の「112~116、」を「113~116、」と改める。 ⑹ 原判決5頁17行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「⑽ 本件事業の施行状況平成15年4月に本件事業計画決定がされた後、令和3年度末(令和4年3月31日)までの本件事業の施行状況(進捗状況)は、次のとおりである(乙48、81、弁論の全趣旨)。 ア仮換地指定済みの土地の筆数 200筆(なお、本件事業において、施行地区内の宅地の全てに対して仮換地の指定が予定されているわけではないが、仮換地指定の対象となり得る「宅地」の総数は、1692筆である。)イ仮換地指定済みの土地の面積約4万9900㎡ (なお、仮換地の指定が予定されている「宅地」の面積〈施行後〉は約27万7677㎡である。)ウ移転済みの建物の棟数 162棟(なお、移転予定棟数は970棟である。)エ仮換地先での建築棟数(建築行為の許可申請に基づく)及び曳家棟数 〉は約27万7677㎡である。)ウ移転済みの建物の棟数 162棟(なお、移転予定棟数は970棟である。)エ仮換地先での建築棟数(建築行為の許可申請に基づく)及び曳家棟数 60棟(うち曳家2棟) 」⑺ 原判決6頁3行目の「憲法29条、13条、22条」を「憲法13条、22条、29条」と改める。 ⑻ 原判決6頁9行目冒頭から同16行目末尾までを削除する。 ⑼ 原判決6頁17行目冒頭の「エ」を「イ」と、同24行目冒頭の「オ」を 「ウ」と、7頁4行目冒頭の「カ」を「エ」と、同9行目冒頭の「キ」を「オ」- 5 -といずれも改める。 ⑽ 原判決7頁11行目冒頭から同12行目の「居住している者である。」までを次のとおり改める。 「カ原告番号111の被控訴人は、本件施行地区内の地権者(原告番号109及び110の被控訴人ら)の子として、同被控訴人らが共同所有する同 地区内の宅地上の建物内において同地権者と共に居住している者(同建物の占有補助者)である。」⑾ 原判決7頁19行目の「3、」、同20行目の「64、」及び「88、」、同21行目の「99、」及び「102、」をいずれも削除する。 ⑿ 原判決7頁26行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「ウ本件事業の施行地区内の宅地上に在る建物に賃借権、使用借権等(以下「賃借権等」という。)を有する者(建物占有者)は、当該建物が移転、除却されたからといって当然に賃借権等がなくなるものではなく、当該賃借権等に係る契約において、そのような場合に賃借権等が消滅する旨の約定があり、その結果として賃借権等が消滅することになったとしても、借 主が自ら契約において選択した結果にすぎないのであるから、いずれにしても本件事業計画第2次変更決定の取消しを求 滅する旨の約定があり、その結果として賃借権等が消滅することになったとしても、借 主が自ら契約において選択した結果にすぎないのであるから、いずれにしても本件事業計画第2次変更決定の取消しを求める法律上の利益がなく、原告適格を有しない。 また、建物の占有補助者は、独立した権利(占有権原)を有する者ではなく、主たる権利者と法的状態を共にするにすぎないものであるから、原 告適格は認められない。」⒀ 原判決8頁20行目の「意思」を「意見」と改める。 ⒁ 原判決9頁1行目の「必要であると回答を誘導する」を「必要であるとする回答を誘導する」と改める。 ⒂ 原判決10頁26行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「 3・4・15号線は、東西方向の幹線として大部分が既に整備済みである- 6 -が、本件事業の施行地区内のみ未整備であるため、本件事業において、幅員18~25mで整備するものであり、同地区と接するJR青梅線との交差部を立体交差とすることにより(ただし、立体交差部は用地を確保し、今後の都市基盤整備の進捗に合わせて、本件事業とは別に工事を行う。)交通の円滑を図るものである。」 ⒃ 原判決13頁24行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「 なお、資金計画や事業施行期間の定めが上記各規定に違反すれば、本件事業の区域内における地権者等は、不完全な工事途中の状態で自らの土地を改変されたまま放置されたり、そうでなくとも、長期間あるいは終期の見通しのつかない不安定な状態で、土地の形質の変更、建築物の増改築等の行為の 制限に服することになる等、一定の不利益を被ることになるから、これらの違法が被控訴人らにとって「自己の法律上の利益に関係のない」(行政事件訴訟法10条1項)ものであるとはいえない。」⒄ 原判決 制限に服することになる等、一定の不利益を被ることになるから、これらの違法が被控訴人らにとって「自己の法律上の利益に関係のない」(行政事件訴訟法10条1項)ものであるとはいえない。」⒄ 原判決16頁21行目の「予定しているから」の次に「(現に、控訴人は、令和元年5月20日、本件事業計画第3次変更決定をし、資金計画を変更し た。)」を加える。 ⒅ 原判決17頁2行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「 なお、被控訴人らが地方自治法2条14項等違反として主張する違法事由は、いずれも被控訴人らの法律上の利益とは関係がないものであり(そもそも本件のように地方公共団体が施行者となる土地区画整理事業の事業計画に おいては、財政面での健全性が確保されること〈土地区画整理法施行規則10条1号、2号〉は要件として求められていないと解すべきであり、また、財政面での健全性や事業施行期間が適切に定められることにより生ずる利益は、広く一般公衆が享受する利益であって、施行地区内の地権者等の個別的な権利利益とはいえない。)、このような観点からも、被控訴人らは、本件 事業計画第2次変更決定の取消しを求めることはできない(行政事件訴訟法- 7 -10条1項)。」⒆ 原判決17頁8行目の「検討しているが」の次に「(現に、控訴人は、令和元年5月20日、本件事業計画第3次変更決定をし、事業施行期間を変更した。)」を加える。 3 当審における当事者の主張 ⑴ 本件訴えの利益(控訴審における審判の対象)について(控訴人の主張)原審は、本件事業計画第2次変更決定について、①資金計画の内容(収入予算、支出予算)が土地区画整理法施行規則10条1号、2号の規定に違反し、あるいは地方自治法2条14号、地方財政法4条1項の規定の趣旨に反 件事業計画第2次変更決定について、①資金計画の内容(収入予算、支出予算)が土地区画整理法施行規則10条1号、2号の規定に違反し、あるいは地方自治法2条14号、地方財政法4条1項の規定の趣旨に反 するものであり、②事業施行期間の設定が土地区画整理法54条、6条9項に違反することを理由として、これを取り消したもので、控訴人はこの判断部分を不服として本件控訴の提起をした(他面において、被控訴人らは、原判決に対して不服の申立てをしていない。)のであるから、控訴審における審判の対象(訴訟物)は、上記①(本件第2次変更後事業計画における資金 計画の適法性)及び②(同事業計画における事業施行期間の定めの適法性)の点に限られる。 しかるところ、本件第2次変更後事業計画の資金計画及び事業施行期間は、本件事業計画第3次変更決定により変更され、既に消滅しているのであるから、本件訴えの利益は失われたというべきである。 なお、本件事業計画第3次変更決定の適法性については、現在、東京地方裁判所に係属中の別件訴訟(同裁判所令和元年(行ウ)第577号)において審理が行われており、同変更決定によって変更された後の事業計画(本件第3次変更後事業計画)中の資金計画及び事業施行期間の適否については、上記別件訴訟において判断されるものであるから、本件の控訴審における審判 の対象外である。 - 8 -(被控訴人らの主張)本件事業計画第3次変更決定は、本件事業計画決定、本件事業計画第1次変更決定及び本件事業計画第2次変更決定を前提とするものであり、本件事業計画第2次変更決定や本件事業計画決定と全く別個の新たな事業計画が決定されたものではない。したがって、本件事業計画第3次変更決定が行われ たとしても、本件事業計画第2次変更決定が効 り、本件事業計画第2次変更決定や本件事業計画決定と全く別個の新たな事業計画が決定されたものではない。したがって、本件事業計画第3次変更決定が行われ たとしても、本件事業計画第2次変更決定が効力を失うものではなく、本件事業計画第2次変更決定の取消訴訟に係る訴えの利益は、本件事業計画第3次変更決定によっても消滅しない。 本件の控訴審における審判の対象は、本件事業計画第2次変更決定の適法性であり、その構成要素である資金計画及び事業施行期間の点についても、 原審同様、本件事業計画第3次変更決定による変更前のもの(本件第2次変更後事業計画における資金計画及び事業施行期間)の適否が判断の対象となるというべきである。 ⑵ 事情判決の法理の適用について(控訴人の主張) 土地区画整理事業は、対象地区内の地権者を始めとする多数の利害関係人が存在し、既に進行中の土地区画整理事業に係る事業計画決定を取り消すことにより生ずる混乱は、多大なものとなることが通常である。 本件においても、仮に本件事業計画第2次変更決定が取り消されるようなことがあれば、既に進行中の本件事業が停止することになるのみならず、控 訴人が本件事業計画第2次変更決定後に本件事業の一環として移転した建物を原状に回復する義務を負うことになるなど、「公の利益に著しい障害を生ずる」(行政事件訴訟法31条)ことになる。他面において、現に本件事業計画第3次変更決定がされたように、本件第2次変更後事業計画について、改めて控訴人が資金計画及び事業施行期間の変更手続を履践することによっ て適法性を確保し、被控訴人らに生ずる損害を防止することが可能である。 - 9 -したがって、仮に本件事業計画第2次変更決定が違法であるとしても、事情判決(行政事件訴訟法31条)をす っ て適法性を確保し、被控訴人らに生ずる損害を防止することが可能である。 - 9 -したがって、仮に本件事業計画第2次変更決定が違法であるとしても、事情判決(行政事件訴訟法31条)をするのが相当である。 (被控訴人らの主張)本件事業計画第2次変更決定が取り消され、従前の仮換地指定や築造工事の法的根拠が失われたとしても、控訴人は、従前、強制的に仮換地指定や道 路築造を行ったわけではなく、地権者と補償同意をした上で控訴人の先行取得地を利用して仮換地指定などを進めていたのであるから、必ずしも原状回復の義務を負うわけではない。また、いまだ換地処分がされているわけではないのであるから、地権者との間で買収や交換による事後処理を行えば足りる。 本件事業の全体の規模や現在までの具体的な工事の進捗状況からすれば、今後、違法に本件事業を進展させるよりも、ここで事業を取り消し、中止とする方が「公の利益」に資するものであることは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 本件の審判の対象について ⑴ 本件において、被控訴人らは、本件事業計画第2次変更決定が違法であるとして、その取消しを求めているところ、控訴人は、原判決後の令和元年5月20日、本件第2次変更後事業計画について、事業施行期間を延伸するとともに、新規に国庫補助金を導入すること等を反映させるため資金計画の内容を変更する決定(本件事業計画第3次変更決定)をした(前提事実〈当審 において補正した後のもの〉⑺)。 これにより、本件(控訴審)における審判の対象(訴訟物)や、被控訴人らによる本件訴えの利益の有無が問題となるので、以下、各争点に対する判断の前提として、まず、これらの点について検討する。 ⑵ 本件事業計画及びその後の変更の概要について、後掲各証拠及 )や、被控訴人らによる本件訴えの利益の有無が問題となるので、以下、各争点に対する判断の前提として、まず、これらの点について検討する。 ⑵ 本件事業計画及びその後の変更の概要について、後掲各証拠及び弁論の全 趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。 - 10 -ア本件事業計画について(前提事実⑶、甲1)本件事業(α都市計画事業β駅西口土地区画整理事業)の事業計画は、平成15年4月14日に決定(本件事業計画決定)されたものであり、その設計の概要、事業施行期間及び資金計画は、おおむね以下のとおりである。 設計の概要a 本件事業の目的本件事業は、「美しく快適で住みよい活力に満ちたまち」を基本目標として、JR青梅線β 駅を中心とした利便性の高い駅前市街地の再編を図るとともに、都市施設と自然が調和した市街地の再生を図る ことを目的として計画するもので、道路、交通広場、公園等の都市基盤整備を中心とした良好な居住環境の確保により、公共の福祉の増進に資することを目的とするものである。 b 施行地区内の土地の現況本地区は、JR青梅線β 駅前に位置しているが、計画的な基盤整備 がされていないため、市街地の進展や商業集積が立ち遅れた状態にある。また、狭隘な道路に沿って住宅が建ち並ぶなど、スプロール化現象が進行している。 本地区の主要道路は、地区の中央を南北方向に走るα都市計画道路3・4・5号線(新奥多摩街道線幅員16m)が整備済みであるほ かは、在来の都道163号線(β~θ 線幅員約8m)及び都道167号線(β 停車場線幅員約8m)の2路線があるのみで、その他は、大半が幅員4m未満の狭隘な道路である。 c 設計の方針(a) 土地利用計画 JR青梅線β 駅周辺と、α 都 都道167号線(β 停車場線幅員約8m)の2路線があるのみで、その他は、大半が幅員4m未満の狭隘な道路である。 c 設計の方針(a) 土地利用計画 JR青梅線β 駅周辺と、α 都市計画道路7・5・1号線及びα- 11 -都市計画道路3・4・13号線に隣接する区域については、商業機能の集積を図り、商業地として地域住民等の利便性を高め、活気のある地区とする。その他の地域は、住宅地としての土地利用を進め、幹線道路からの通過交通を排除し、安全で緑豊かな環境の良い「美しい街並み」が形成できるように、道路及び公園を配置・整備し、 それらの都市施設との連動性が図れる地区とする。 (b) 公共施設計画地区内の道路は、交通広場へのアクセスと居住環境の確保に重点を置き、適正な交通分担が図れるように、幹線道路、主要区画道路、区画道路及び特殊道路という段階構成を取る。 幹線道路のα都市計画道路3・4・12号線は、市域の幹線として幅員24~40mで都市計画決定され、一部区間を本件事業で整備するとともに、本地区に接するJR青梅線及び奥多摩街道との交差部分については、立体交差により交通の円滑化を図る(なお、立体交差部は用地を確保し、今後の都市基盤整備の進捗に合わせて、 本件事業とは別途に工事を行う。)。 幹線道路のα 都市計画道路3・4・13号線は、β 駅西口へのアクセス道路及びβ 堰までのシンボル道路として、交通広場(バス・タクシー等の公共交通の乗降スペース等を設け、3600㎡で整備される。)の集散交通処理、通勤、通学及び買い物ルートなど の要素を加味し、幅員3.5~5.5mの歩道を両側に設け、全幅員16~20mで整備する。 幹線道路のα都市計画道路3・4・15号線は、東西方向の幹線として、大部分 通学及び買い物ルートなど の要素を加味し、幅員3.5~5.5mの歩道を両側に設け、全幅員16~20mで整備する。 幹線道路のα都市計画道路3・4・15号線は、東西方向の幹線として、大部分が既に整備済みであるが、地区内のみ未整備であるため、本件事業において、全幅員18~25mで整備するとともに、 本地区と接するJR青梅線との交差部は、立体交差により交通の円- 12 -滑を図る(なお、立体交差部は用地を確保し、今後の都市基盤整備の進捗に合わせて、本件事業とは別に工事を行う。)。 主要区画道路のα都市計画道路7・5・1号線は、交通広場周辺の商業活動の円滑化を図ることと、地区北部と駅前を結び、地区内交通を集約するために、幹線道路を補完する道路として歩道を設け た幅員15mの道路を計画する。 区画道路は、地区内の生活道路及びアクセス道路として、利便性を考慮し、住区内幹線幅員8~12m、その他は幅員6mを基本として配置する。 特殊道路は、基本的に幅員4mの歩行者専用道路等とし、歩行者 の動線の利便性を図るものとして適宜配置する。 公園は、α都市計画公園第2・2・5号(E記念館公園)の整備を行うほか、街区公園を4か所、ポケットパークを4か所設置し、α都市計画緑地第3号(ζ 緑地)の一部(1号緑地~5号緑地)は樹林地として復元を図る。街区公園の位置は、歩行者の動線と誘致 距離を考慮して配置し、これらの公園、緑地及び歩道の植栽を結び付け、緑の散策路として回遊できるように、潤いのある空間を「緑のネットワーク」として整備する。 事業施行期間平成15年4月16日(本件事業計画決定公告の日)から令和4年(2 022年)3月31日まで資金計画a 収入355億円(a) 東京都交付金 108億 する。 事業施行期間平成15年4月16日(本件事業計画決定公告の日)から令和4年(2 022年)3月31日まで資金計画a 収入355億円(a) 東京都交付金 108億7500万円(b) β市負担金 243億9200万円 (c) 保留地処分金 2億3300万円- 13 -b 支出355億円(a) 工事費 348億7900万円(b) 補償費 3000万円(c) 利子 1億2000万円(d) 事務費 4億7100万円 c 年度別歳入歳出資金計画(各事業年度の歳入歳出額)第1年度 4428万円第2年度 6438万円第3年度 9151万5000円第4年度 1億3480万円 第5年度 3億7870万2000円第6年度 10億7556万7000円第7年度 17億7243万2000円第8年度 24億6929万7000円第9年度 24億6929万7000円 第10年度 28億1773万円第11年度 35億1459万5000円第12年度 35億1459万5000円第13年度 35億1312万6000円第14年度 31億6534万6000円 第15年度 31億6616万2000円第16年度 24億6458万7000円第17年度 21億1515万円第18年度 12億3464万9000円第19年度 9億5636万6000円 第20年度 5億3742万4000円- 14 -イ本件第1次変更後事業計画について(前提事実⑷、乙9の1)控訴人は、平成20年3月14日、本 度 9億5636万6000円 第20年度 5億3742万4000円- 14 -イ本件第1次変更後事業計画について(前提事実⑷、乙9の1)控訴人は、平成20年3月14日、本件事業計画について、以下のとおり、α都市計画道路3・4・15号線及びα都市計画道路7・5・1号線につき道路特別会計を新規に導入することに伴う資金計画の変更及び事業を円滑に行うため、一部区画道路の変更に係る事業計画変更決定(本件事 業計画第1次変更決定)をした。 なお、これらの変更は、土地区画整理法上、「軽微な変更」に該当するものとして(土地区画整理法55条12項括弧書き、同条13項括弧書き、土地区画整理法施行令4条の2、同4条1項6号、9号)、東京都知事の認可及び縦覧手続は行われていない。 資金計画の変更本件事業計画(平成15年4月16日公告)では、本件事業の収入について、前記アaのとおり、「東京都交付金」、「β 市負担金」及び「保留地処分金」の三つの財源から得ることが計画されていたが、本件第1次変更後事業計画では、これらのほかに、「国庫補助金」(14億 9720万円)及び「東京都補助金」(6億7690万円)が新たに交付される見通しとなったことから、これらの補助金(合計21億7410万円)が財源として加えられた。 他方、これらの財源が追加された結果、東京都交付金について19億3750万円、β 市負担金について2億3660万円(以上合計21億 7410万円)が従前の計画(本件事業計画)より減少した。 なお、これらの変更に伴い、年度別の歳入歳出資金計画も変更された。 一部区画道路の変更変更の対象となった区画道路は、 JR青梅線とα 都市計画道路7・5・1号線に平行し、その中間にある駅前広場に接続する幅員 変更に伴い、年度別の歳入歳出資金計画も変更された。 一部区画道路の変更変更の対象となった区画道路は、 JR青梅線とα 都市計画道路7・5・1号線に平行し、その中間にある駅前広場に接続する幅員10mの 区画道路(路線番号10-1)である(乙9の2)。 - 15 -本件第1次変更後事業計画では、上記道路の起点及び終点の位置は変更されず、中心線をα都市計画道路7・5・1号線に寄せる変更が行われた。この変更に伴い、道路面積が8.1㎡減少し、宅地面積が8.1㎡増加した結果、公共減歩率は22.62%から22.61%に減少した。 ウ本件第2次変更後事業計画について(前提事実⑸、甲2、乙59)控訴人は、権利者からの意見聴取や土地区画整理審議会(土地区画整理法56条1項)での審議を経て、平成25年8月13日、換地設計(案)を決定したが(甲323)、この換地設計(案)の決定に当たって、道路及び公園の配置についても見直しが行われたことから、事業計画中の設計 の概要や資金計画を見直す必要が生じた。 そこで、控訴人は、平成26年12月17日、本件第1次変更後事業計画について、東京都知事の認可(土地区画整理法55条12項)及び公衆の縦覧(同条13項、1項)を経て、以下のとおり、設計の概要及び資金計画の変更を行った(本件事業計画第2次変更決定)。 設計の概要の変更a 道路の変更換地設計(案)に基づき、一部道路の廃止及び追加が行われた。 b 公園の変更換地設計(案)に基づき、一部の公園及びポケットパークの配置の 変更及び追加が行われ、公園の合計面積が増加した。 c その他整理施行前後の地積については、道路、公園等の設計変更により、施行後面積の内訳が変更となった。また、施行前面積の内訳については、 変更及び追加が行われ、公園の合計面積が増加した。 c その他整理施行前後の地積については、道路、公園等の設計変更により、施行後面積の内訳が変更となった。また、施行前面積の内訳については、控訴人が取得した用地が宅地から公共用地に振り替わったことや、 権利者による地目・地積更正などの権利変動を反映したことにより、- 16 -各種目における面積や測量増減面積が全体的に修正され、増減した。 これらの結果、宅地地積が変更となり、減歩率や保留地の予定地積の割合が低下した。 なお、埋蔵文化財については、文化財保護法に基づき、あらかじめβ市教育委員会等の関係機関と協議の上、発掘調査等を行い、適切な 方法により記録保存等の措置を講じることになっていたところ(乙27)、同教育委員会との協議が整ったことから、調査の一部を本件事業で実施することとされた。 資金計画の変更a 支出面の変更 道路延長や公園面積の増加に伴い、道路築造費・公園施設費等の公共施設整備費が増加した。また、既存道路に埋設されているNTTケーブルの移設について費用負担協議が整ったことから、電纜移設費が新規に追加されたことなどにより、これら工事費として合計5億9100万円の支出増となり、これに伴い、損失補償費も6300万円の増 となった。さらに、人件費等についての実績から経費を精査し、事務費8億4600万円の増となった。 支出面では、以上合計15億円の増となり、総事業費も355億円から370億円に増加した。 b 収入面の変更 東京都交付金対象路線に係る道路築造費や電纜移設費の増加により、新たに東京都交付金7500万円の増となった。残りの14億2500万円については、β 市負担金の増加として反映された。 エ本件第3次変更後事業計画に 路線に係る道路築造費や電纜移設費の増加により、新たに東京都交付金7500万円の増となった。残りの14億2500万円については、β 市負担金の増加として反映された。 エ本件第3次変更後事業計画について(前提事実⑺、乙48、49)控訴人は、本件事業計画第2次変更決定後、権利者意見の反映等の施策 に時間を要したこと等から、事業施行期間の延伸及びそれに伴う資金計画- 17 -の変更等を視野に入れた事業計画の変更について検討を行ったほか、それと同時に、控訴人の費用負担を軽減させるため、補助金獲得の調査及び調整を行い、新規に国庫補助金(社会資本整備総合交付金都市再生区画整理)の導入に至った。なお、事業施行期間の延伸を行うことになれば、従前、事業計画に組み入れられていた国庫補助金(社会資本整備総合交付金道路 事業〈旧通常費・旧臨時交付金〉)の補助期間延伸が必要となることから、この点も事業計画に反映させる必要が生じた。 控訴人は、これらの事項について調査、調整を重ねた上、令和元年5月20日、本件事業計画第3次変更決定を行い、事業施行期間を15年延長するとともに、資金計画として、支出面では、総事業費が370億円から 436億円に増加(66億円の増加)する一方で、収入面では、101億3368万4000円の補助金の増加により、β市負担金が255億8040万円から220億4671万6000円に減少(35億3368万4000円の減少)することとなった(詳細は、後記及びのとおりである。)。 第3回事業計画変更決定の変更内容は、以上のとおり、「事業施行期間及び資金計画の変更」であり(乙47)、これ以外の部分について、事業計画に変更はない。なお、事業施行期間及び資金計画は設計の概要ではないため、本件事業計画第1次変更決定の 上のとおり、「事業施行期間及び資金計画の変更」であり(乙47)、これ以外の部分について、事業計画に変更はない。なお、事業施行期間及び資金計画は設計の概要ではないため、本件事業計画第1次変更決定の場合と同様、その変更は都道府県知事の認可の対象外であるとともに、縦覧手続等が不要とされている「軽 微な変更」に該当する(土地区画整理法55条12項括弧書き、同条13項括弧書き、土地区画整理法施行令4条1項4号、9号)ことから、本件事業計画第3次変更決定に当たって、東京都知事の認可及び縦覧手続は行われていない。 資金計画の変更 a 支出面- 18 -(a) 道路築造費「幹線道路築造費」として4億5900万円が増加された。これは、平成29年度及び平成30年度の2年間にわたって、α 都市計画道路3・4・12号線に付属する道路擁壁の築造工事を行った際の費用を追加したものであり、上記擁壁築造工事は、既に完了して いる。 (b) 移転費① 建物移転費移転建物が968棟から970棟へと2棟増加したこと、集団移転手法導入によって、再築工法(曳家工法に比してコスト高) により移転を行う建物の割合が増加したことなどから、建物移転費が44億8600万円の増加となった。 ② 工作物移転費これまでの本件事業の施行実績及び残工事費の精査に伴い、工作物移転費用が増加することとなり、1億3100万円の増加と なった。 ③ 移転費全体以上により、建物移転費と工作物移転費の合計は、46億1700万円の増加となった。 (c) 上下水道等移設費 上水道について、641m分の事業量の減少があり、2400万円の移設費用減となる一方で、下水道については、996m分の事業量の増加が見込まれ、6100万円の移設費 (c) 上下水道等移設費 上水道について、641m分の事業量の減少があり、2400万円の移設費用減となる一方で、下水道については、996m分の事業量の増加が見込まれ、6100万円の移設費用増となった。 以上により、上下水道等移設費全体としては、 3700万円の増加となった。 (d) 工事雑費- 19 -工事雑費については、基本的に、これまでの本件事業の施行実績を整理して精査したことにより、2億6700万円の増となった。 (e) 損失補償費駅前暫定整備に係る土地損失補償費等についてのこれまでの本件事業の施行実績を整理して精査したことにより、1億2700万円 の増となった。 (f) 事務費事務費は、事業施行期間の延伸に伴う人件費等の増加を反映させ、10億9300万円の増となった。 (g) 小括 以上のとおり、各費目において費用の増加があり、総事業費としては、370億円から436億円へと66億円の増となった。 b 収入面(a) 国庫補助金新たに交付を受けられることとなった社会資本整備総合交付金都 市再生区画整理(71億6400万円)が計上されるとともに、国の制度改正に伴い、補助金の制度や名称が変更されたことから、従前、資金計画に組み込んでいた社会資本整備総合交付金道路事業(旧通常費・旧臨時交付金)について、費目の振替え等を行い、対象事業費の再積算を行った結果、社会資本整備総合交付金道路事業につ いては、1億7760万円の減となった。 以上により、国庫補助金全体としては、69億8640万円の増となった。 (b) 東京都補助金東京都補助金は、東京都土地区画整理事業助成規程(乙40)3 条及び5条に基づき、新規に35億8200万円(東京都補助金都- 20 - 億8640万円の増となった。 (b) 東京都補助金東京都補助金は、東京都土地区画整理事業助成規程(乙40)3 条及び5条に基づき、新規に35億8200万円(東京都補助金都- 20 -市再生区画整理)が交付されることとなり、これが計上された。同時に、従来からの補助金について費目の振替えを行うとともに、対象事業の再積算を行ったことにより、2170万円の減となった。 以上により、東京都補助金全体としては、35億6030万円の増となった。 (c) 東京都交付金社会資本整備総合交付金都市再生区画整理の新規導入に伴い、公園に係る補助金が、東京都交付金の対象から国庫補助金(都市再生)及び東京都補助金(都市再生)の対象に振替えとなった結果、4億1301万6000円の減少となった。 (d) β市負担金総事業費が66億円の増加となる(上記a(g))一方、補助金の導入により収入が101億3368万4000円の増加となった(上記(a)~(c))ため、その差額分35億3368万4000円について、β市負担金が減少した。 (e) 小括以上のとおり、収入は、従前の370億円から436億円に増加した。 事業施行期間の変更本件事業計画では、事業施行期間は平成15年4月16日から令和4 年3月31日まで(19年間)であったところ、平成15年4月16日から令和19年3月31日まで(34年間)となり、15年間延伸された。 ⑶ 検討上記⑵において認定したとおり、本件事業計画は、平成15年4月16日 に公告(本件事業計画決定)された後、令和元年5月20日の本件事業計画- 21 -第3次変更決定に至るまで、3次にわたって変更されてきたものであり、そのうち本件事業計画第3次変更決定は、本件第2次 公告(本件事業計画決定)された後、令和元年5月20日の本件事業計画- 21 -第3次変更決定に至るまで、3次にわたって変更されてきたものであり、そのうち本件事業計画第3次変更決定は、本件第2次変更後事業計画の資金計画及び事業施行期間の点を変更するものである。 被控訴人らは、本件訴訟において、本件事業計画第2次変更決定の取消しを求めているところ、控訴人は、本件事業計画第2次変更決定について、原 審は①資金計画の内容及び②事業施行期間の設定が土地区画整理法等の規定に違反することを理由として取り消したものであり、これを不服として控訴人のみが控訴をしたこと(被控訴人らは不服の申立てをしていないこと)から、控訴審における審判の対象(訴訟物)は、上記①(本件第2次変更後事業計画における資金計画の適法性)及び②(同事業計画における事業施行期 間の定めの適法性)の点に限られる旨主張する。 しかしながら、行政処分がその内容、手続、方式等の要件(処分要件)を充たさない場合には、当該行政処分は違法となるのであり、そのような意味で、処分の取消訴訟における審判の対象(訴訟物)は、当該処分の違法性一般であると解すべきものであって、個々の処分要件ごとに訴訟物が分断され るものではないというべきであるから(この点は、上記のとおり、本件において控訴人のみが不服の申立てをしていることによっても変わるところはない。)、控訴人の上記主張は採用することができない。 したがって、本件訴訟においては、本件事業計画第2次変更決定の違法性一般が審判の対象となるというべきであるが、本件では、上記のとおり、本 件第2次変更後事業計画のうち、①資金計画の内容及び②事業施行期間の設定の点については、本件事業計画第3次変更決定により変更され、その審理の対象が既に きであるが、本件では、上記のとおり、本 件第2次変更後事業計画のうち、①資金計画の内容及び②事業施行期間の設定の点については、本件事業計画第3次変更決定により変更され、その審理の対象が既に存在しない状態になっているのであるから、かつて存在した上記①、②の内容それ自体の適否については、本件訴訟(控訴審)において審判する実益は失われ、原則として判断を要しない(判断の必要もない)とい うべきである。この点、被控訴人らは、本件事業計画第3次変更決定がされ- 22 -た後であっても、それがなかったものとして、本件第2次変更後事業計画における資金計画及び事業施行期間の定めについて、当審においてその適否が判断されるべきである旨の主張をするが、上記で説示したとおり、本件事業計画第3次変更決定前の資金計画及び事業施行期間の内容を含む本件第2次変更後事業計画は既に存在しないものであるから、それが存在するものとし て本件第2次変更後事業計画の適否を判断することはできないというべきである。もっとも、仮に本件事業計画第2次変更決定の手続等に著しい瑕疵があり、それが本件事業計画第3次変更決定を経てもなお、同決定手続や本件第3次変更後事業計画の適法性に影響を及ぼすような例外的な事情がある場合には、本件第3次変更後事業計画の適法性の判断に必要な限度で、本件第 2次変更後事業計画の適法性を判断する余地はあり得るが、そのような例外的な事情が認められない本件第2次変更後事業計画については、その適否を判断する実益はないというべきである。したがって、被控訴人らの主張は採用することができない。 なお、本件第3次変更後事業計画の資金計画及び事業施行期間の定め(あ るいはこれらを含めた事業計画全体)の適否については、被控訴人ら及び控訴人も当審に 人らの主張は採用することができない。 なお、本件第3次変更後事業計画の資金計画及び事業施行期間の定め(あ るいはこれらを含めた事業計画全体)の適否については、被控訴人ら及び控訴人も当審における判断は求めておらず、審級の利益の観点からも、別途、本件事業計画第3次変更決定に係る取消訴訟(東京地方裁判所令和元年(行ウ)第577号)において審理されるべきものである。 以上を前提として、以下、本件事業計画第2次変更決定のうち、資金計画 及び事業施行期間を除いた点について、その適法性を検討する。 2 争点⑴(原告適格の有無)について当裁判所も、原審と同じく、本件訴訟において、被控訴人らはいずれも原告適格を有するものと判断する。その理由は、次のとおり付加訂正するほか、原判決の「事実及び理由」中、「第3 当裁判所の判断」1の⑴ないし⑹(原判 決18頁1行目から24頁11行目まで)に記載のとおりであるから、これを- 23 -引用する。 ⑴ 原判決20頁24行目冒頭から21頁16行目末尾までを削除する。 ⑵ 原判決22頁15行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「 この点、控訴人は、本件事業の施行地区内の宅地上に在る建物に賃借権等を有する者(建物占有者)は、当該建物が移転、除却されたからといって当 然に賃借権等がなくなるものではなく、当該賃借権等に係る契約において、そのような場合に賃借権等が消滅する旨の約定があり、その結果として賃借権等が消滅することになったとしても、借主が契約において自ら選択した結果にすぎないから、いずれにしても本件事業計画第2次変更決定の取消しを求める法律上の利益がなく、原告適格を有しない旨を主張する。 しかしながら、契約の効果として賃借権等が消滅するとしても、そのような効果を生じさ にしても本件事業計画第2次変更決定の取消しを求める法律上の利益がなく、原告適格を有しない旨を主張する。 しかしながら、契約の効果として賃借権等が消滅するとしても、そのような効果を生じさせる本件事業計画第2次変更決定の取消しを求める法律上の利益はあるというべきであるし、仮に仮換地に移転された建物又は仮換地上に新たに建築された建物において、これらの者が引き続き当該建物の賃借人、使用借人として使用収益ができることになったとしても、従前地における居 住等の利益が損なわれることに変わりはないのであるから、控訴人の上記主張を踏まえても、これらの建物占有者について、事業計画決定の法的効果により権利の制限を受ける者として、原告適格を有するという上記の結論を左右するものではない。」⑶ 原判決23頁11行目の「土地についての使用権」から同12行目の「使 用権を有するものでもないが、」までを「土地についての独立した権利(使用権)や地上建物についての使用権を有するものではなく、主たる権利者と法的状態を共にするものではあるが、」と改める。 ⑷ 原判決24頁2行目の「原告番号111の原告」から同6行目の「当たり、」までを「原告番号111の被控訴人は、本件施行地区内の地権者(原告番号 109及び110の被控訴人ら)の子として、同被控訴人らが共同所有する- 24 -同地区内の宅地上の建物内において同地権者と共に居住している者(同建物の占有補助者)であり、」と改める。 ⑸ 原判決24頁9行目冒頭から同11行目末尾までを次のとおり改める。 「 以上によれば、被控訴人らは、本件訴訟について、いずれも原告適格を有するものと認められる。」 3 争点⑵(都市計画の適法性)及び争点⑶(本件事業計画第2次変更決定の適法性)について 「 以上によれば、被控訴人らは、本件訴訟について、いずれも原告適格を有するものと認められる。」 3 争点⑵(都市計画の適法性)及び争点⑶(本件事業計画第2次変更決定の適法性)について争点⑵及び⑶について、当裁判所は、本件事業計画第2次変更決定や、その前提となっている都市計画は、いずれも適法であると判断する。その理由は、次のとおり付加訂正するほか、原判決の「事実及び理由」中、「第3 当裁判 所の判断」2ないし9(原判決24頁12行目から55頁13行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。なお、先述のとおり、本件第2次変更後事業計画における資金計画及び事業施行期間の適否は当審の判断の対象とはならないが、事案に鑑み、後記⑾で当裁判所の見解を示すこととする。 ⑴ 原判決24頁14行目から同15行目にかけての「原告ら(原告番号3、 64、88、99、102の原告らを除く。以下、9項までにおいて同じ。)」を「被控訴人ら」と改める。 ⑵ 原判決27頁9行目冒頭から同20行目末尾までを次のとおり改める。 「 この目的は、公共施設である道路及び公園等の整備改善並びにこれに伴って整備される宅地の利用の増進を目的とするものであり、被控訴人らの主張 する諸事情を考慮しても、本件変更後事業都市計画が前提としているβ駅西口地区の現状の事実認定に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くとか、事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くなどの事情を認めることはできないから、本件変更後事業都 市計画は、主観的にも客観的にも、「公共施設の整備改善」及び「宅地の利- 25 -用の増進」に資するものとなっているものと 当性を欠くなどの事情を認めることはできないから、本件変更後事業都 市計画は、主観的にも客観的にも、「公共施設の整備改善」及び「宅地の利- 25 -用の増進」に資するものとなっているものと認められる。」⑶ 原判決29頁25行目の「3点」の次に「(①土地区画整理事業を基軸として施行地区の整備を行うこと、②整備施行地区を拡大すること、③「まちづくり委員会」を設置すること)」を加える。 ⑷ 原判決30頁10行目の「道路」を「公共施設である道路」と改める。 ⑸ 原判決32頁5行目の「東北方向」を「南北方向」と改める。 ⑹ 原判決33頁2行目の「玉川上水に下る坂」を「玉川上水へ下る坂」と改める。 ⑺ 原判決38頁17行目から同18行目にかけての「3・4・5号線」の次に「(新奥多摩街道線)」を、同18行目の「都道163号線」の次に「(β ~θ線)」を、同19行目の「都道167号線」の次に「(β停車場線)」をそれぞれ加える。 ⑻ 原判決38頁22行目の「適切な」を「適正な」と改める。 ⑼ 原判決38頁26行目の「特殊道路」の次に「(歩行者専用道路)」を加える。 ⑽ 原判決40頁3行目の「決定されており、」の次に「形式的に住民の意見を聞いたのが実績作りであったとも、都市計画審議会における否定的な意見を封じたとも認められず、」を加え、同行目の「趣旨」を「精神」と改める。 ⑾ 原判決41頁11行目冒頭から52頁18行目末尾までを次のとおり改める。 「⑴ 前提事実⑺(当審において訂正後のもの)のとおり、控訴人は、令和元年5月20日、本件第2次変更後事業計画における資金計画及び事業施行期間の定めを変更したものであり(本件事業計画第3次変更決定)、これにより、上記資金計画及び事業施行期間の適否が当審において判断を 年5月20日、本件第2次変更後事業計画における資金計画及び事業施行期間の定めを変更したものであり(本件事業計画第3次変更決定)、これにより、上記資金計画及び事業施行期間の適否が当審において判断を要しないことは、当審における当裁判所の判断として既に説示したところであ る。 - 26 -⑵ なお、これまでの審理の経過に鑑み付言するに、一般に、事業施行期間が長期間にわたる土地区画整理事業においては、事業計画の作成当初の時点において最終的に要する資金額や施行に要する期間を正確に予測することは困難であり、実際の事業の施行状況に応じて、その時々の社会情勢の変化や、事業の主体(施行者)である市町村の財政状況、他からの財源確 保の可能性等も勘案しながら、計画内容について所要の修正をしていくこととなるのが通常というべきである(土地区画整理法も、このことを前提として、資金計画や事業施行期間を含む事業計画の変更を、新たな認可手続や縦覧手続を要しない軽微な変更として許容しているものと解される。)。 したがって、本件第2次変更後事業計画の適否の判断に当たっても、そ の資金計画の内容や事業施行期間の設定について、必ずしも本件事業計画第2次変更決定時に存在した事情のみに限定されず、本件事業の執行状況や控訴人の予算規模、追加の予算措置の獲得や事業施行期間の延長の可能性等の事情にも照らして検討すべきであり、ある一定の時点で、事業計画そのものの内容からは一見実現可能性がないようにみえる(に至った)場 合であっても、本件のように、事業が相応に進捗し、また、控訴人において、その後の事業計画の進捗を踏まえて事業計画の変更を具体的に予定していたような状況にある場合(現に、控訴人は、上記のとおり、令和元年5月20日に本件事業計画第3次変更決定をし 、また、控訴人において、その後の事業計画の進捗を踏まえて事業計画の変更を具体的に予定していたような状況にある場合(現に、控訴人は、上記のとおり、令和元年5月20日に本件事業計画第3次変更決定をしている。)には、予定されている事業計画の変更の内容、変更の検討経緯、検討状況、変更の実現可 能性等の事情についても、判明している範囲で他の諸事情に加えて総合的に考慮し、本件第2次変更後事業計画について、事業施行期間の定めの適切性や、収入予算における収入金の確実性に関する土地区画整理法施行規則10条1号、2号の規定や、土地区画整理法54条、6条9項の規定に適合するか否かを検討する必要があるというべきである。そして、このよ うな観点から、本件に現れた全ての事情を総合すれば、被控訴人らが主張- 27 -する種々の点を考慮しても、本件第2次変更後事業計画の資金計画及び事業施行期間の内容が実現可能性を欠くものとして直ちに違法であるとまでは認められないというべきである。」⑿ 原判決53頁17行目冒頭から同19行目末尾までを次のとおり改める。 「 しかしながら、本件事業の施行期間が42年に及ぶことについて、これを 認めるに足りる的確な証拠はなく(本件第3次変更後事業計画においても、その事業施行期間は、令和19年3月31日までの34年間である。)、被控訴人らの主張は、そもそもその前提を欠くものである。」⒀ 原判決53頁20行目の「なお、」を「この点を措いても、」と改める。 ⒁ 原判決54頁1行目の「帰するものであり」の次に「(なお、当審におい て本件第2次変更後事業計画の事業施行期間が審判の対象とならず、また、本件第3次変更後事業計画の事業施行期間の適否については別件訴訟において審理されるべきことは、既に説示したとおりである い て本件第2次変更後事業計画の事業施行期間が審判の対象とならず、また、本件第3次変更後事業計画の事業施行期間の適否については別件訴訟において審理されるべきことは、既に説示したとおりである。)」を加える。 4 その他、控訴人及び被控訴人らは種々主張するが、上記認定、判断を左右するものはない。 第4 結論よって、本件事業計画第2次変更決定(前記のとおり、当審の判断対象とならない資金計画の内容及び事業施行期間の設定の点を除く。ただし、これらの点についても直ちに違法であるとまでは認められないことは、前記において説示したとおりである。)は適法であり、被控訴人らの請求はいずれも棄却すべ きところ、これと異なる原判決は相当でないから、原判決を取り消した上、被控訴人らの請求をいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第9民事部 - 28 -裁判長裁判官小出邦夫 裁判官鈴木和典 裁判官佐 々 木健二- 29 -別紙は全て省略
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