昭和34(オ)258 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
昭和36年5月25日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を東京高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告指定代理人青木義人、同堀内恒雄、上告代理人仁科哲の上告理由について。  原

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判決文本文3,199 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理由 上告指定代理人青木義人、同堀内恒雄、上告代理人仁科哲の上告理由について。 原審は判決理由の冒頭に述べた各事実を確定した上、甲第一、二号証と当事者間に争のないところと綜合して、甲第一号証契約書第九条、第四条、第八条の趣旨を述べ、「かような条項を含む甲第一号証の約定事項全部を統一的に考えると、控訴人(被上告人)がまず第一回分納金の支払をすますならば、被控訴人はただちに目的物件ひきわたし義務を履行すべきものと定めるものであるといわなければならない。」と判示し、また、「契約当時本件の土地建物内にはずい分たくさんのいわゆる賠償機械があつたことは本件の弁論の全趣旨からあきらかであり、甲第一号証契約書の第一一条からみても、控訴人(被上告人)が前記『申請の目的』のために本件物件を使用するには、まず、みぎ賠償機械をどこかへ運びだしてしまわなければならないことは、売主である被控訴人(上告人)の担当機関たる関東財務局の係員も、また買主である控訴人の代表者も、ともによくこれを知つていたことであることが認められる。」とし、更に進んで、「しかし同時に両者とも、賠償機械の移転はもちろんのこと本件物件を控訴人の占有支配にうつすことが、後にあきらかになつたようにきわめて困難であることはつゆ知らず、ひきわたしについては前記の契約書第四条で十分と考え、賠償機械はたやすく他へ運び去ることができるものと考えていたことは、当審証人D(第一、二回)同Eの証言によつてみとめられるところであつて、それだからこそ、前記のように、第一回分納金支払と同時に本件物件は控訴人にひきわたされたこととし、かつ控訴人はひきわたしの日から『申請の目的』にしたがつて使用すべきことと約定 られるところであつて、それだからこそ、前記のように、第一回分納金支払と同時に本件物件は控訴人にひきわたされたこととし、かつ控訴人はひきわたしの日から『申請の目的』にしたがつて使用すべきことと約定したのであると解せられる。すなわち本件- 1 -契約は、第一回分納金支払さえすれば控訴人は本件物件を現実にその支配のもとにおき、すぐにも賠償機械の移転をし『申請の目的』にしたがつて使用するための工事にとりかかることができるということを前提としてとりきめられたものと認めるのが相当である。したがつて、本件契約中の被控訴人は控訴人が本件契約の義務を履行しないときは無条件で契約を解除することができるとの特約(契約書第九条)もまた前述の物件ひきわたし、使用可能を前提とするものと解せられ、この前提がそなわらないかぎり、控訴人が代金を支払わないからといつて被控訴人から無条件に契約を解除することはできないとしなければならない。もしこれを反対に解するならば、契約当事者双方の地位はなはだしくつりあいのとれないものとなり、とくべつの事情のないかぎりかような意味の契約をするはずはないというべきであり、本件においてとくべつの事情のあることはみとめられない。前説示のとおり解するのが相当である。」と判示しているのである。すなわち、原審は、原審が証拠上認定した事実関係の下においては、特別の事情のない限り原判示が説明するような契約当事者双方の地位がはなはだしくつりあいのとれない契約をするはずはないというべきであり、本件において特別の事情あることは認められないと判示しているのである。しかし、原審が確定した事実関係の下においては、甲第一号証の契約の条項が明示する第一一条並びに第九条その他の各条項と対比してみると、原審が前記のように本件において特別の事情あることは認められないとし しかし、原審が確定した事実関係の下においては、甲第一号証の契約の条項が明示する第一一条並びに第九条その他の各条項と対比してみると、原審が前記のように本件において特別の事情あることは認められないとした判示は未だもつてその理由を尽したものとは到底認められない(判示が右にいう前提云々の事項は本件契約の要点と認むべく、従つて、もし真に右前提云々の事項が本件契約の内容をなしているならば、甲第一号証の契約書の中にその点に関し言及した何らかの措辞があるべきを当然と認むべきところ、右甲第一号証を見るにその点に関する何らの文詞がなく、これによつてみれば、本件契約には前示前提云々に関する事項は、右証書中にこれを特に掲げなかつたことについて特別の事情のあつたことの証明がな- 2 -い限りは本件契約の内容をなし、従つて上告人において右前提事項を遵守しない限りは上告人において判示のように契約解除ができないものであるとは容易に考え難いところである。)。従つて、被上告人が第一回分納金を支払う以前に上告人において使用可能な状態を実現し引渡しをすることが上告人の義務であつた如くたやすく判断した原判決には、本件契約の解釈につき審理を尽さない違法ありといわなければならない。従つてまた原審が、本件契約は原判示のような趣旨の契約であるとの前提に立つて、「以上の事情をかんがえると、被控訴人(上告人)の本件契約解除の意思表示は一見控訴人の代金支払義務不履行にもとづく正当なもののようであるけれども、実は被控訴人が、控訴人の第一回分納金の支払いあり次第ただちに被控訴人の義務としてなすべき本件土地建物の引渡が当時不可能なことを十分知りながらあえてなしたもので、控訴人の代金納入がおくれたのにつけこみ、これをいいぐさにして、一般民衆の福祉を目的とするとしてした本件売買契約の趣旨をみずか 件土地建物の引渡が当時不可能なことを十分知りながらあえてなしたもので、控訴人の代金納入がおくれたのにつけこみ、これをいいぐさにして、一般民衆の福祉を目的とするとしてした本件売買契約の趣旨をみずから破つたものといわざるを得ないのである。すなわち、みぎ契約解除の意思表示は民法第一条第二項にしめされる信義誠実の原則に反するものであつて、無効のものとなすべきこともちろんである。」と判示している点(右のように本件売買契約の趣旨を上告人においてみずから破つたものといわざるを得ないといい得る程に、判示にいわゆる一般民衆の福祉云々の点が右契約の内容となつていたであろうか。甲第一号証を卒直に見て、どの条項からも右の点が本件契約の内容となつていたことを窺い知るべき何らの文詞も見当らない。もし原判示のいうとおりとすれば、右契約書中に右に関しての何らかの文詞が当然あるべきものと考えられる。)も、判決に影響を及ぼすことの明らかな違法あるに帰する。 されば論旨は結局理由があり、原判決は破棄を免れない。(そしてこのことは、原審が認定したように、本件売買は住宅難緩和に役立たせる目的で、代金調達は金融機関からの借入れによることは上告人も承知し、その予想の下に事を運んでいた- 3 -ものであること、ところが、賠償機械が存在しその移動が不可能なため、住宅建設工事着手の見込がたたず、金融機関においても被上告人に対する融資をちゆうちよし、本件第一回分納金の納期も何回か延期せられていたこと、それが昭和二六年一〇月ころになつて賠償指定解除の見込が確定的となり、漸く同年一二月末ころ融資が可能となつたこと等の事実が認められるとしても、同様である。)よつて、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁 が可能となつたこと等の事実が認められるとしても、同様である。)よつて、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官入江俊郎裁判官斎藤悠輔裁判官下飯坂潤夫裁判官高木常七- 4 -

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