平成28(行ウ)508 法人税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和元年6月27日 東京地方裁判所
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判決文本文66,105 文字)

【機密性2】 令和元年6月27日判決言渡平成28年(行ウ)第508号法人税更正処分等取消請求事件主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 処分行政庁が原告に対して平成27年6月26日付けでした,①原告の平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額0円を超える部分,納付すべき税額マイナス6460万35 14円を超える部分及び翌期へ繰り越す欠損金5億2375万2652円を下回る部分,並びに②過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 2 処分行政庁が原告に対して平成27年6月26日付けでした,①原告の平成22年4月1日から平成23年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額21億7343万5852円を超える部分及び納付すべき税 額3億1843万3800円を超える部分,並びに②過少申告加算税賦課決定処分のうち87万7000円を超える部分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,その完全子会社を被合併法人とする適格合併(平成22年法律第6号による改正前の法人税法2条12号の8)を行い,当該子会社が有 していた未処理欠損金額を同法57条2項の適用により原告の欠損金額とみなして損金の額に算入して法人税の確定申告をしたところ,処分行政庁から,上記未処理欠損金額を原告の損金の額に算入することは原告の法人税の負担を不当に減少させる結果となるとして,同法132条の2の適用により更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから,上記の損金算入を認めな かったことは違法であると主張して,これらの一部の取消しを求める事案である。 法132条の2の適用により更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから,上記の損金算入を認めな かったことは違法であると主張して,これらの一部の取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め関係法令の定めは,別紙2「関係法令の定め」に記載のとおりであり(なお,同別紙中で定義した略称等は,以下の本文においても同様に用いるものとす る。),その概要は,以下のとおりである。 (1) 適格合併(法人税法2条12号の8)法人税法2条12号の8は,適格合併について,同号イからハまでのいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式等以外の資産が交付されないものをいう旨規定して おり,①同号イは,発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係(以下「完全支配関係」ということがある。)がある法人間の合併を,②同号ロは,発行済株式の100分の50超100分の100未満を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係(以下「支配関係」ということがある。)がある法人間の合併で,同号ロ(1)及び (2)の各要件をいずれをも満たすものを,③同号ハは,共同事業を営むための合併として政令で定めるものを,それぞれ掲げている。なお,施行令4条の2第4項は,同号ハの共同事業を営むための合併として,上記①②に該当する合併以外の合併のうち,同項1号から5号まで(一定の場合は同項1号から4号まで)の各要件(以下,併せて「共同事業要件」という。)のすべて に該当するものを定めている。 (2) 欠損金の繰越しと適格合併等における未処理欠損金額の引継ぎア法人税法57条1項は,確定申告書を提出する内国法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業 に該当するものを定めている。 (2) 欠損金の繰越しと適格合併等における未処理欠損金額の引継ぎア法人税法57条1項は,確定申告書を提出する内国法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額がある場合には,同項ただし書が規定する限度において,当該欠損金額に相当する金 額は,当該各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する旨規定 している。 イ法人税法57条2項は,適格合併等(適格合併又は合併に類する分割型分割として政令で定めるもののうち適格分割型分割に該当するもの)が行われた場合において,当該適格合併等に係る被合併法人等の当該適格合併等の日前7年以内に開始した各事業年度(前7年内事業年度)において生 じた未処理欠損金額があるときは,合併法人等の当該適格合併等の日の属する事業年度以後の各事業年度における同条1項の規定の適用については,当該前7年内事業年度の開始の日の属する当該合併法人等の各事業年度において生じた欠損金額とみなす旨規定している。 ウ法人税法57条3項は,適格合併等に係る被合併法人等と合併法人等と の間に特定資本関係(いずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式又は出資を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係)があり,当該特定資本関係が当該合併法人等の当該適格合併等に係る合併等事業年度開始の日の5年前の日以後に生じている場合において,当該適格合併等が 「共同で事業を営むための適格合併等として政令で定めるもの」に該当しないときは,同条2項に規定する未処理欠損金額には,当該被合併法人等の当該特定資本関係が生じた日の属する事業年度前の各事業年度で前7年内事業年度に該当する事業年度において 政令で定めるもの」に該当しないときは,同条2項に規定する未処理欠損金額には,当該被合併法人等の当該特定資本関係が生じた日の属する事業年度前の各事業年度で前7年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額(同条3項1号)等を含まないものとすると規定している。 施行令112条7項は,上記の「政令で定めるもの」につき,適格合併等のうち,①同項1号から4号までに掲げる要件又は②同項1号及び5号に掲げる要件に該当するものとするものと規定している(以下,これらの要件を「みなし共同事業要件」という。)。 (3) 組織再編成に係る行為又は計算の否認(法人税法132条の2) 法人税法132条の2は,税務署長は,合併等をした一方の法人又は他方 の法人(1号)等の法人税につき更正又は決定をする場合において,その法人の行為又は計算で,これを容認した場合には,合併等により移転する資産及び負債の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加,法人税の額から控除する金額の増加等の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは,その行為又は計算にかかわらず,税務 署長の認めるところにより,その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる旨規定している。 2 前提事実(証拠等を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者等ア原告は,自動車部品等の製造及び販売を主たる目的とする法人である。 イ A株式会社(平成14年2月13日付けで「株式会社B」から商号変更。 以下,商号変更の前後を問わず「旧C社」という。)は,平成2年3月20日に設立された,鉄製品,銅,アルミニウム,チタン等非鉄金属製品の製造及び販売を目的とする法人であり,自動二輪車用ア ら商号変更。 以下,商号変更の前後を問わず「旧C社」という。)は,平成2年3月20日に設立された,鉄製品,銅,アルミニウム,チタン等非鉄金属製品の製造及び販売を目的とする法人であり,自動二輪車用アルミホイール製造事業を営んでいた(以下,旧C社による同事業を「本件事業」という。)。 旧C社は,平成22年3月1日付けで原告に吸収合併され(以下,この合併を「本件合併」という。),解散した。 ウ A株式会社(現商号:D株式会社(甲3)。以下「新C社」という。)は,平成22年2月16日に設立された,鉄製品,銅,アルミニウム,チタン等非鉄金属製品の製造及び販売を目的とする法人である。 (2) 本件合併前の原告と旧C社の状況等ア原告は,平成14年2月9日,旧C社の発行済株式総数の3分の2を取得した。 イ原告は,平成14年2月13日付けで,旧C社との間で,同社との取引に係る取引基本契約(以下「旧取引基本契約」という。)を締結し,スズ キ株式会社(以下「スズキ」という。)から受注した自動二輪車用アルミ ホイールの製造を旧C社に委託した。 ウ原告は,平成15年3月18日,旧C社の発行済株式を追加取得し,同社の発行済株式の全てを保有することになった。 エ旧C社は,平成21年9月30日時点で,負債の合計金額が資産の合計金額を1億1403万9576円上回る債務超過となっていた。 (3) 本件合併の経緯等ア平成21年12月21日,旧C社の取締役会が開催され,平成22年3月1日付けで原告が旧C社を吸収合併する合併契約を平成21年12月22日付けで締結することが審議され,承認された。 イ平成21年12月21日,原告の経営会議(原告社内において取締役会 の次に位置付けられる会議)が開催 合併する合併契約を平成21年12月22日付けで締結することが審議され,承認された。 イ平成21年12月21日,原告の経営会議(原告社内において取締役会 の次に位置付けられる会議)が開催され,原告が旧C社を吸収合併することが提案され,承認された。 上記経営会議の承認を受けて,同日,原告の取締役会が開催され,原告が旧C社を吸収合併することにつき提案がされ,承認された。 ウ原告は,上記イの取締役会の承認を受けて,平成21年12月22日, 旧C社との間で,平成22年3月1日付けで原告が旧C社を吸収合併する合併契約を締結した。同契約に係る契約書には,要旨,以下のとおり定められている。 (ア) 原告及び旧C社は合併して,原告は存続し,旧C社は解散する(1条)。 (イ) 原告は,旧C社の発行済株式の全てを所有しているため,合併による株式その他の金銭等の交付を行わず,合併による資本金の増加を行わない(2条)。 (ウ) 合併の効力発生日は,平成22年3月1日とする(3条本文)。 (エ) 旧C社は,平成22年2月28日現在の貸借対照表,その他同日の 計算を基礎とし,合併効力発生日においてその資産,負債その他一切の 権利義務を原告に引き継ぎ,原告はこれを承継する(4条)。 エ平成22年2月5日,原告の取締役会が開催され,①旧C社の債務超過を解消するため増資をし,その後減資をすること,②新C社の社名を「A株式会社」,設立登記日を平成22年2月15日~19日の間とし,所在地は「岡山県津山市(住所省略)」とするが,合併後に「岡山県津山市 (住所省略)」に変更すること,③旧C社の従業員は,旧C社の解散と同時に新C社に転籍すること,④旧C社の棚卸資産(製品・仕掛品・原材料等)は,合併後に新C社に売却 るが,合併後に「岡山県津山市 (住所省略)」に変更すること,③旧C社の従業員は,旧C社の解散と同時に新C社に転籍すること,④旧C社の棚卸資産(製品・仕掛品・原材料等)は,合併後に新C社に売却すること等が提案され,承認された(甲14の1・2)。 オ上記エの取締役会の承認に基づき,原告は,平成22年2月15日,旧 C社に対し,2億5000万円の増資引受けをし,また,同月16日,全額を出資して,鉄製品,銅,アルミニウム,チタン等非鉄金属製品の製造及び販売を目的とし,「岡山県津山市(住所省略)」を本店所在地とする新C社を設立した(以下「本件設立」という。)。 カ本件合併等 (ア) 前記ウの合併契約に基づき,平成22年3月1日,本件合併の効力が生じ,原告は旧C社の権利義務を承継し,同社は解散した。 (イ) 原告は,平成22年3月1日付けで,旧C社の全従業員を新C社に転籍させた(以下「本件転籍」という。)。 (ウ) 原告は,平成22年3月1日付けで,新C社との間で,本件合併に より旧C社から承継した資産及び負債のうち,本件事業に係る製品,仕掛品,原材料等の棚卸資産等の資産及び同社の従業員に係る負債(甲18,乙10。以下「本件棚卸資産等」という。)の譲渡に関する契約を締結し,同日,本件棚卸資産等の譲渡を行った(以下,この譲渡を「本件譲渡」という。)。 (エ) 原告は,平成22年3月1日付けで,新C社との間で,本件合併に より旧C社から承継した資産のうち,本件事業に係る建物,構築物,機械装置等の製造設備等(甲17,乙10。以下「本件製造設備等」という。)について設備賃貸借契約を締結し,同日,これを新C社に賃貸した(以下,この賃貸借を「本件賃貸借」という)。 (オ) 原告は,平成22年3月1日付けで, 17,乙10。以下「本件製造設備等」という。)について設備賃貸借契約を締結し,同日,これを新C社に賃貸した(以下,この賃貸借を「本件賃貸借」という)。 (オ) 原告は,平成22年3月1日付けで,新C社との間で取引基本契約 (以下「新取引基本契約」という。)を締結したほか,同社に対し,「取引品」の価格改定を実施する旨通知した(以下,この価格改定を「本件単価変更」という。)。これにより,原告による新C社からの仕入数量が減少すればそれに応じて仕入単価が上がり,仕入数量が増加すれば仕入単価が下がるという,仕入数量に応じた仕入単価の決定方法が 導入されることとなった。 なお,新取引基本契約に係る契約書は,おおむね旧取引基本契約の契約書と同じ内容である。 キ新C社は,平成22年3月2日付けで,本店所在地を,旧C社の解散当時の本店所在地であった「岡山県津山市(住所省略)」に移転した。 (4) 更正処分等の経緯等ア旧C社は,平成15年4月1日から平成16年3月31日までの事業年度(以下「平成16年3月期」という。)から,平成21年4月1日から平成22年2月28日までの事業年度までの7事業年度のうち,平成19年4月1日から平成20年3月31日までの事業年度(以下「平成20年 3月期」という。)を除く各事業年度において損失を計上しており,平成22年2月28日までの事業年度の時点で未処理欠損金額合計11億7548万7989円(以下「本件未処理欠損金額」という。)を有していた。 原告は,法人税法57条2項に基づき,旧C社の本件未処理欠損金額を原告の前7年内事業年度において生じた欠損金額とみなして,同条1項に 基づき,原告の平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業 年度(以下「平成 き,旧C社の本件未処理欠損金額を原告の前7年内事業年度において生じた欠損金額とみなして,同条1項に 基づき,原告の平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業 年度(以下「平成22年3月期」という。)の損金の額に6億1673万3935円を,同年4月1日から平成23年3月31日までの事業年度(以下「平成23年3月期」といい,平成22年3月期と平成23年3月期を併せて「本件各事業年度」という。)の損金の額に5億5875万4054円を,それぞれ算入した上,本件各事業年度の法人税について,別 表1の各「確定申告」欄のとおり記載した青色の確定申告書を提出し,法定申告期限までに申告した。 その後,原告は,平成24年6月18日付けで,平成23年3月期の法人税について,別表1の「修正申告」欄のとおり記載した修正申告書を提出した。 イ処分行政庁は,平成24年7月27日付けで,平成22年3月期の法人税について,別表1の「当初更正処分」欄のとおり更正をするとともに,上記アの平成23年3月期の修正申告について,別表1の「第1次賦課決定処分」欄のとおり過少申告加算税の賦課決定処分をした。 その後,処分行政庁は,平成27年6月26日付けで,本件各事業年度 の法人税について,別表1の各「本件各更正処分等」欄のとおり,平成22年3月期に係る法人税の更正処分(以下「平成22年3月期更正処分」という。)及び平成23年3月期に係る法人税の更正処分(以下「平成23年3月期更正処分」といい,平成22年3月期更正処分と併せて「本件各更正処分」という。)並びに平成22年3月期更正処分に係る過少申告 加算税の賦課決定処分及び平成23年3月期更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分(以下,併せて「本件各賦課決定 て「本件各更正処分」という。)並びに平成22年3月期更正処分に係る過少申告 加算税の賦課決定処分及び平成23年3月期更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分(以下,併せて「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と本件各賦課決定処分を併せて「本件各更正処分等」という。)をした。 これらの経緯等は,別表1,別表2-1及び別表2-2のとおりである。 ウ原告は,平成27年8月18日付けで,本件各更正処分等を不服として, その一部の取消しを求めて,国税不服審判所長に審査請求をした。 国税不服審判所長は,平成28年7月7日付けで,上記審査請求をいずれも棄却する裁決を行った。 エ原告は,平成28年11月1日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 第3 本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張 被告が本件訴訟において主張する本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する主張(後記第4に摘示する被告の主張を除く。)は,別紙3のとおりである(同別紙において定義した略語は,本文においても用いることとする。)。 第4 争点及び争点に関する当事者の主張 1 争点 本件の争点は,本件各更正処分等の適法性に関し,処分行政庁が法人税法132条の2を適用して原告の本件各事業年度における本件未処理欠損金額の損金の額への算入を認めなかったことが適法であるか否かであり,具体的には,次の各点が争われている。 (1) 特定資本関係が合併法人の当該合併に係る事業年度開始の日の5年前の日 より前に生じている場合(以下「特定資本関係5年超要件」ということがある。),すなわち,法人税法57条3項の適用が除外される適格合併に当たる場合に,同法132条の2を適用することができるか否か(2) (1 じている場合(以下「特定資本関係5年超要件」ということがある。),すなわち,法人税法57条3項の適用が除外される適格合併に当たる場合に,同法132条の2を適用することができるか否か(2) (1)が肯定されるとして,本件合併が法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(以下「不当性 要件」ということがある。)に当たるか否か 2 争点(1)(特定資本関係が合併法人の当該合併に係る事業年度開始の日の5年前の日より前に生じている場合に法人税法132条の2を適用することができるか否か)に関する当事者の主張(被告の主張) (1) 法人税法132条の2の規定の文言上,個別的否認規定である同法57条 3項に規定する要件に該当しない組織再編成(特定資本関係5年超要件を満たす適格合併)に対して,同法132条の2の適用を除外する規定は設けられていないのであって,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併に同法57条3項が適用されないからといって,同法132条の2の適用が排除されると解すべき文理上の理由はない。 法人税法132条の2は,組織再編成は,その形態や方法が複雑かつ多様であるため,これを利用する巧妙な租税回避行為が行われやすく,租税回避の手段として濫用されるおそれがあることから,税負担の公平を維持するため,組織再編成に係る租税回避を包括的に防止する規定として設けられたものである。このことは,国税庁作成の「平成13年改正税法のすべて」(甲24, 乙39)における同条の説明や,平成13年度税制改正当時の組織再編成に関する税制(以下「組織再編税制」という。)の立案担当者の説明等からも明らかである。 法人税法132条の2の立法趣旨及び立案担当者の説明に鑑みても,特定資本関係 13年度税制改正当時の組織再編成に関する税制(以下「組織再編税制」という。)の立案担当者の説明等からも明らかである。 法人税法132条の2の立法趣旨及び立案担当者の説明に鑑みても,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併に同条の適用が排除されると解すべき理 由はない。 (2) 最高裁平成27年(行ヒ)第75号同28年2月29日第一小法廷判決・民集70巻2号242頁(以下「平成28年最判」という。)は,法人税法57条3項について,特定資本関係発生前の期間に生じた被合併法人の未処理欠損金額等を利用した租税回避行為を防止するための規定として設けられ たものであることを明らかにしている。また,「平成13年改正税法のすべて」においては,同項について,「企業グループ内の組織再編成については,共同で事業を営むための組織再編成に比べて適格組織再編成に該当するための要件が緩和されていることから,例えば,繰越欠損金等を有するグループ外の法人を一旦グループ内の法人に取り込んだ上で,グループ内の他の法人 と組織再編成を行うこととすれば,容易に繰越欠損金等を利用することも可 能となってしまうこと等が勘案されたもの」であると説明されている。 これらに鑑みても,法人税法57条3項は,組織再編税制の導入当時に,他の法人が有する未処理欠損金額を組織再編成を通じて不当に利用する典型的な租税回避行為として個別具体的に想定し得るものと考えられた,グループ外の法人が有する未処理欠損金額を利用した租税回避行為を防止するため に設けられた規定であり,未処理欠損金額を利用したあらゆる租税回避行為を前提として定められた規定ではないことは明らかである。 (3) 小括以上のとおり,法人税法132条の2の文理解釈及び立法趣旨からしても,特定資本関係 理欠損金額を利用したあらゆる租税回避行為を前提として定められた規定ではないことは明らかである。 (3) 小括以上のとおり,法人税法132条の2の文理解釈及び立法趣旨からしても,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併に同条の適用が排除されると解す べき理由はなく,同法57条3項が想定する租税回避行為に該当しない租税回避行為については,法人税法上,同法132条の2を適用することが予定されているというべきであるから,同法57条3項の趣旨及び構造からしても,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併に同法132条の2は適用し得ないと解すべきである旨の原告の主張には理由がない。 (4) その余の原告の主張についてア原告は,平成16年度税制改正等における欠損金額の繰越期間の延長に合わせて特定資本関係5年超要件に係る「5年」の期間が改正されなかったことにより,法人税法57条3項に係る「支配の継続性」の持つ意味合いが希薄化したなどと主張する。 しかしながら,法人税法57条3項は,特定資本関係発生前の期間に生じた被合併法人の未処理欠損金額等を利用した租税回避行為を防止するための規定として設けられたものであるところ,同項の制定時に欠損金額の繰越期間に合わせて特定資本関係5年超要件が定められたとしても,同項の趣旨に照らせば,当該要件に係る期間をどのように設定するかは,どの ような事実がある場合に同項の規定により被合併法人の有する未処理欠損 金額の引継ぎを制限すべきであるかという観点から定められるものであって,我が国企業の競争力強化を図るべくして延長された欠損金額の繰越期間と必ず整合させなければならない理由はなく,平成16年度税制改正における同条1項に規定する欠損金額の繰越期間の延長に伴い,これに合わせて特 企業の競争力強化を図るべくして延長された欠損金額の繰越期間と必ず整合させなければならない理由はなく,平成16年度税制改正における同条1項に規定する欠損金額の繰越期間の延長に伴い,これに合わせて特定資本関係5年超要件に係る期間を変更する必然性もない。その後 の税制改正による欠損金額の繰越期間の更なる延長と特定資本関係5年超要件に係る期間との関係についても同様であると考えられ,平成16年度税制改正等による欠損金額の繰越期間の延長に合わせて特定資本関係5年超要件に係る期間が変更されなかったことが,同条3項に規定する要件の意義に影響するものではないことは明らかである。 イ原告は,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併について,法人税法132条の2を適用して未処理欠損金額の引継ぎを制限するとなれば,適格合併として合併に伴う資産移転に係る課税繰延べを認めながら,他方において未処理欠損金額の引継ぎに関してはこれを認めないということになり,組織再編成により移転する資産等(以下「移転資産等」という。)の 譲渡損益に係る取扱いと未処理欠損金額の引継ぎを同様に取り扱うとする組織再編税制の基本的な考え方に反することになると主張する。 しかしながら,法人税法132条の2の不当性要件を充足した場合にその効果として行われる税務署長による法人税の課税標準等の計算とは,常に法人の行為又は計算により生じた租税法上の効果の全てを無かりしもの とするように課税標準等の計算をしなければならないというものではなく,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図して組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるものであると認められる行為又は計算により生じている租税法上の効果(税負担の不当な減少)を排除するために ことを意図して組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるものであると認められる行為又は計算により生じている租税法上の効果(税負担の不当な減少)を排除するために必要な限度で課税標準等の計算を行 うことであると解される(本件においては,本件未処理欠損金額を原告に 引き継ぎ,当該金額を原告の損金の額に算入することにより,原告の法人税の額を減少させることを意図したものであって,同法57条2項の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるものと認められるから,原告の法人税の課税標準等は,同項の適用の効果としての本件未処理欠損金額の原告への引継ぎを認めず,原告の欠損金額とみなすことなく計 算することになる。)。 また,法人税法57条3項の適用により適格合併に係る被合併法人の有する未処理欠損金額の全部又は一部を合併法人に引き継ぐことができなくなる場合であっても,その合併が適格合併に該当すること自体は否定されず,その合併に伴う移転資産等に係る譲渡損益の計上の繰延べ等の適格合 併に係る課税の特例の適用も否定されるものではない。 これらのことからすれば,法人税法は,合併に伴う移転資産等に係る課税繰延べと被合併法人の有する未処理欠損金額の引継ぎとが常に一体として認められる,あるいは,認められないというものではないことを組織再編税制の基本的な構造として予定しているということができる。 ウ原告は,平成18年度税制改正によって導入された法人税法57条の2のほかに親子会社関係が成立した後の未処理欠損金額の引継ぎを制限する規定は特段設けられていないことからすれば,立案担当者は,親子会社関係が成立した後の未処理欠損金額の引継ぎ制限は,同条の適用によって解決することで必要十分とす た後の未処理欠損金額の引継ぎを制限する規定は特段設けられていないことからすれば,立案担当者は,親子会社関係が成立した後の未処理欠損金額の引継ぎ制限は,同条の適用によって解決することで必要十分とする趣旨であると解されるなどと主張する。 しかしながら,平成18年度税制改正によって導入された法人税法57条の2は,「欠損金を有する法人を買収した上で利益の見込まれる事業をその法人に移転することによって課税所得を圧縮する」という,定型化し,かつ,多発化してきた租税回避行為を防止するために設けられた個別的否認規定であって,これに該当しない限り特定資本関係発生後に生じた未処 理欠損金額の引継ぎ等を常に容認するというものではない。したがって, 同条に該当しないことは,同法132条の2の適用を完全に排除する効果を有するものではない。 (原告の主張)(1) 法人税法132条の2の適用要件は,条文上極めて曖昧なものであり,租税法律主義(憲法84条)の要請たる課税要件明確主義との間で緊張関係を はらみ,法的安定性及び予測可能性を害し,社会経済活動に過度の抑止を生ずる結果を招き得るところ,立案担当者は,法人税法132条の2につき,立法当時想定されていない行為の形態や方法による租税回避行為(のうち規制を及ぼすべきと考えられるもの)に対して適用すべきものであることを述べている。このように,立法当時既に予測されている態様であって,これに 対処するために個別的否認規定(同法57条3項等)が設けられている類型の組織再編成に関しては,当該個別的否認規定に,租税回避行為として否認するための要件(及び否認されないための例外要件)が全て書き尽くされ,当該要件の該当性を判断することによって課税上の問題に対処することが,当時から想定され 該個別的否認規定に,租税回避行為として否認するための要件(及び否認されないための例外要件)が全て書き尽くされ,当該要件の該当性を判断することによって課税上の問題に対処することが,当時から想定されていた。特に,一般的否認規定の制定後に個別的否認規定 が順次創設された同法132条とは異なり,同法132条の2は,組織再編税制が,通常膨大な課税所得を生じるはずの組織再編成について一定の範囲の特例として課税繰延べを認める税制であり,課税上の弊害を生じることが一般的に懸念されたことから,多くの個別規定によって課税要件(換言すれば否認のための要件)が詳細に規定されていることを前提として,ごく限ら れた場面において適用すべく定められたものである。このような立法経緯に照らしても,個別的否認規定に定める例外要件を充足する事案に同条が適用されることは想定されていなかったといえる。 法人税法57条3項は,適格合併による被合併法人の未処理欠損金額の引継ぎ(同条2項)に関する個別的否認規定の一つであり,同条2項に関する 否認要件(及びその例外要件)を全て書き尽くしたものであるから,同条3 項に規定された否認の要件を充足しない(否認規定の例外要件としての特定資本関係5年超要件を充足する)本件合併に対し,さらに一般的否認規定である同法132条の2を適用して本件未処理欠損金額の引継ぎを否認することが可能であるとする法解釈は,一般的否認規定につき過度に広汎で曖昧な解釈を許容するものであり,立案担当者の説明から読み取れる立法趣旨にも 反し,また,課税要件が法令によって明確に定められることを要請する租税法律主義に反し,到底許容されるものではない。 (2) 以下のとおり,法人税法57条3項の趣旨と構造や,近時の裁判例に照らしても,特定資本関 課税要件が法令によって明確に定められることを要請する租税法律主義に反し,到底許容されるものではない。 (2) 以下のとおり,法人税法57条3項の趣旨と構造や,近時の裁判例に照らしても,特定資本関係5年超要件を満たす組織再編成については否認規定を適用しないこととされていることが明らかであり,このような組織再編成に 同法132条の2を適用して否認することは許されない。 ア法人税法57条3項の趣旨と構造法人税法57条3項は,グループ外の法人をグループ内に取り込んだ上で未処理欠損金額を利用する等の租税回避を防止することをその趣旨としており,特定資本関係5年超要件を満たすグループ内の法人に関する組織 再編成について否認規定を適用することは想定されていない。同項の規定が設けられた平成13年度税制改正における組織再編税制の検討過程においても,実際にはグループ外の法人であるにもかかわらず形式上グループ内の被合併法人の未処理欠損金額を利用することとして租税回避が行われる蓋然性を念頭に置いて検討が行われたものの,特定資本関係5年超要件 を満たす適格合併は,実態を伴ったグループ内の適格合併であり,否認の対象とすべき適格合併ではないものとして整理されたものである。 上記のことは,政令ではなく法律のレベルで,特定資本関係5年以下の組織再編成と特定資本関係5年超の組織再編成を明確に区別して規定しているという法人税法57条3項の構造に照らしても明らかであり,組織再 編成における未処理欠損金額の引継ぎのためには,特定資本関係5年超要 件という形式基準を満たすことこそが肝要であり,それで足りるという立法者の判断が現れているといえる。 イ法人税法57条の改正経緯また,組織再編成における未処理欠損金額の引継ぎのためには特 件という形式基準を満たすことこそが肝要であり,それで足りるという立法者の判断が現れているといえる。 イ法人税法57条の改正経緯また,組織再編成における未処理欠損金額の引継ぎのためには特定資本関係5年超要件という形式基準を満たせば足りるという立法者の判断は, 法人税法57条の改正経緯に照らしても明らかである。すなわち,グループ内の適格合併においては,特定資本関係成立前に被合併法人に生じた未処理欠損金額は,合併によって合併法人に一切引き継ぐことを認めないとの立法者の判断の下,平成16年法律第14号による改正前の法人税法57条は,欠損金額の繰越期間(5年)と平仄を合わせ,引継ぎに係る否認 規定(3項)の適用除外要件としての特定資本関係の継続期間(「支配の継続性」を要する期間)を5年と定めていた。もし,「支配の継続性」を欠損金額の引継ぎにおいて重視するのであれば(争点(2)に関する被告の主張),欠損金額の繰越期間と法人税法57条3項の支配関係の期間は整合的に規律されるべきであるが,欠損金額の繰越期間が5年から7年,9年, 10年と順次変更され,特に5年から7年への改正(平成16年法律第14号による改正)の際には,特定資本関係の継続期間を欠損金額の繰越期間と合わせて7年とすべきである旨の意見があったにもかかわらず,特定資本関係の継続期間はあえて5年のままとされた。これにより,「支配の継続性」の有する意味合いが希薄化し,合併法人は,特定資本関係成立前 に被合併法人に生じた未処理欠損金額の一部を引き継げることとなったのであり,このような改正経緯に照らせば,上記改正以降の法人税法57条3項は,グループ外から欠損金を有する法人を購入することを部分的に認めるようになったと理解され,これを踏まえれば,本件のように特定資 であり,このような改正経緯に照らせば,上記改正以降の法人税法57条3項は,グループ外から欠損金を有する法人を購入することを部分的に認めるようになったと理解され,これを踏まえれば,本件のように特定資本関係5年超要件を満たすグループ内法人の未処理欠損金額を引き継ぐとい う課税上の弊害がおよそ想定し得ない類型については,未処理欠損金額の 引継ぎは認められるべきであるし,これを同法132条の2により否認することは納税者の予見可能性を著しく害するものであるとともに,同法57条3項の趣旨を没却するものといえる。このように,平成16年度税制改正以降の改正経緯を踏まえれば,特定資本関係5年超要件を満たす組織再編成につき,未処理欠損金額の引継ぎを否認することは許されないと解 するのが自然である。 ウ近時の裁判例においても同旨の判断がされていること平成28年最判に係る事件の第1審判決(東京地方裁判所平成26年3月18日判決)は,特定資本関係5年超要件に関しては法人税法132条の2の適用は「想定し難い」と述べ,同事件で問題とされたみなし共同事 業要件の一類型である特定役員引継要件(施行令112条7項5号)とは異なり,特定資本関係5年超要件については,一般的否認規定である同法132条の2の適用は認められない旨を明らかにしている。同事件の控訴審は,上記の判示部分をそのまま維持し,上告審である平成28年最判も,特定資本関係5年超要件の点について直接言及していないが,第1審判決 における上記の判示部分を否定するものではないと解される。 (3) 仮に,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併について,法人税法132条の2を適用して未処理欠損金額の引継ぎを制限するとなれば,適格合併として合併に伴う資産移転に係る課税繰延べを認めなが (3) 仮に,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併について,法人税法132条の2を適用して未処理欠損金額の引継ぎを制限するとなれば,適格合併として合併に伴う資産移転に係る課税繰延べを認めながら,未処理欠損金額の引継ぎに関してはこれを認めないということになる。しかしながら,この ような結果は,資産移転等の譲渡損益と未処理欠損金額の引継ぎを同様に取り扱うとする組織再編税制の基本的な考え方に反することとなる。 (4) 前記(2)の法人税法57条3項の構造と趣旨に加えて,組織再編税制の導入以後に見受けられた租税回避行為の存在に鑑み,親子会社関係が成立した後の未処理欠損金額を一定の場合に適格合併の合併法人に引き継がせるべき ではないとの判断の下,平成18年度税制改正によって,特定株主等によっ て支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用制度(同法57条の2)が設けられ,その後の法人税法の改正では同条のほかに親子会社関係が成立した後の未処理欠損金額の引継ぎを制限する規定は特段設けられていない。 これは,親子会社関係が成立した後の未処理欠損金額の引継ぎ制限は,同条の適用によることで必要かつ十分であるとの立法判断によるものと解される。 以上の立法経緯からすれば,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併であり,かつ,旧C社が原告との特定資本関係の成立の前後を通じて事業を営んでいるような本件合併について,特定資本関係成立後の未処理欠損金額の引継ぎをも制限するような形で法人税法132条の2を適用することは,およそ想定されておらず,少なくとも特定資本関係成立後の未処理欠損金額の 引継ぎを制限することはできないというべきである。 (5) 平成28年最判は,法人税法57条3項の定める個別的否認規定の適用除外要件のうち,みな なくとも特定資本関係成立後の未処理欠損金額の 引継ぎを制限することはできないというべきである。 (5) 平成28年最判は,法人税法57条3項の定める個別的否認規定の適用除外要件のうち,みなし共同事業要件の一類型である特定役員引継要件(施行令112条7項5号)を充足させようとする納税者の行為・計算につき,同法132条の2を適用したものであり,特定資本関係5年超要件を満たす組 織再編成について同条を適用することができるか否かという点について,同判決の射程は直ちに及ばない。同判決は,その判示内容に照らしても,みなし共同事業要件の一類型である特定役員引継要件に関して,納税者の行為は,実態とはかい離した上記要件の形式を作出する明らかに不自然なものとしているところ,特定資本関係5年超要件は,数値による客観的な基準により構 成されており,形式と実態がかい離することは想定されないのであるから,みなし共同事業要件の充足が問題となった組織再編成について同条を適用した同判決の射程は,本件には及ばない。 3 争点(2)(本件合併が法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるか否か)に関する当事者の主 張 (被告の主張)(1) 「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」か否かを判断する基準ア前記2(被告の主張)(1)で述べた法人税法132条の2の趣旨及び目的からすれば,同条にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると 認められるもの」とは,法人の行為又は計算が組織再編税制に係る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものであることをいうと解すべきであり,その濫用の有無の判断に当たっては,①当該法人の行為又は 行為又は計算が組織再編税制に係る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものであることをいうと解すべきであり,その濫用の有無の判断に当たっては,①当該法人の行為又は計算が,通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり,実態とはかい離した形式を作出したりするなど,不 自然なものであるかどうか(以下「考慮要素①」という。),②税負担の減少以外にそのような行為又は計算を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか(以下「考慮要素②」という。)等の事情を考慮した上で,当該行為又は計算が,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,組織再編税制に係る各規定 の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるもの又は免れるものと認められるか否かという観点から判断するのが相当である(平成28年最判参照)。 そして,考慮要素①の行為又は計算の不自然性については,同最判が示した二つの態様(通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づくも の,実態とはかい離した形式を作出するもの)は,不自然性を基礎づける代表的な例示であって,不自然な行為又は計算であるとされる類型は他にもあり得ると解すべきである。また,考慮要素②の考慮事情については,行為又は計算の不自然さ(異常性・変則性)の程度との比較や税負担の減少目的と事業目的との主従関係等に鑑み,行為又は計算の合理性を説明す るに足りる程度の事業目的等が存在するかどうかという点を考慮すべきで ある。さらに,考慮要素①及び考慮要素②の事情は,実質的には,法人税法132条の2の不当性要件該当性を肯定するために必要な要素であるところ,上記にいう「組織再編成を利用して税負担を減少させる意図」すな 。さらに,考慮要素①及び考慮要素②の事情は,実質的には,法人税法132条の2の不当性要件該当性を肯定するために必要な要素であるところ,上記にいう「組織再編成を利用して税負担を減少させる意図」すなわち租税回避の意図とは,客観的な事情から租税回避の意図があると認められれば足りると解される。 したがって,法人の行為又は計算が不自然であり,かつ,租税回避以外にその合理的な理由となる事業目的等が存在しない場合には,通常は租税回避の意図の存在を推認し得るというべきである。 イ本件は,適格合併の場合に認められる被合併法人の有する未処理欠損金額の合併法人への引継ぎの可否を争点とする事案であるから,本件合併の 不当性を判断するに当たっては,以下において述べる組織再編税制の基本的な考え方及び組織再編成に伴う未処理欠損金額の取扱いを定める法人税法57条2項の規定の趣旨及び目的を考慮すべきである。 (ア) 組織再編税制の基本的考え方平成13年度税制改正により導入された組織再編税制の基本的な考え 方は,実態に合った課税を行うという観点から,原則として,移転資産等についてその譲渡損益の計上を求めつつ,移転資産等に対する支配が継続している場合には,その譲渡損益の計上を繰り延べて従前の課税関係を継続させるというものである。このような考え方から,組織再編成による資産等の移転が形式と実質のいずれにおいてもその資産等を手放 すものであるとき(非適格組織再編成)は,その移転資産等を時価により譲渡したものとされ,譲渡益又は譲渡損が生じた場合,これらを益金の額又は損金の額に算入しなければならないが(法人税法62条等),他方,その移転が形式のみで実質においてはまだその資産等を保有しているということができるものであるとき(適格組織再編成)は, らを益金の額又は損金の額に算入しなければならないが(法人税法62条等),他方,その移転が形式のみで実質においてはまだその資産等を保有しているということができるものであるとき(適格組織再編成)は,その移 転資産等について帳簿価額による引継ぎをしたものとされ(同法62条 の2等),譲渡損益が生じないものとされている。 (イ) 法人税法57条2項の規定の趣旨及び目的a 組織再編成に伴う未処理欠損金額の取扱いについても,基本的に,移転資産等の譲渡損益に係る取扱いに合わせて従前の課税関係を継続させることとするか否かを決めることとされており,法人税法57条 2項は,実態に合った課税を行うという組織再編税制の基本的な考え方に基づいて,適格合併等は,移転資産等に対する支配が合併後も実質的に継続するものであるということを前提として,従前の課税関係を継続させる取扱いを認めているものというべきである。 b この点につき,税制調査会法人課税小委員会も,組織再編成につき 移転資産等の譲渡損益の計上の繰延べを認めるに当たり,被合併法人の有する未処理欠損金額の引継ぎの前提となる組織再編成について移転資産等の譲渡損益の計上の繰延べ及び従前の課税関係の継続を認める基本的な考え方として,移転資産等に対する支配が合併後においても実質的に継続するものであること,換言すれば,組織再編成により 移転した事業が組織再編成後において継続するものであることが必要であると考えているものと認められる。 c 以上のとおり,法人税法57条2項に規定する適格合併に係る被合併法人(子会社)の未処理欠損金額の合併法人(親会社)への引継ぎは,被合併法人が適格合併前に行っていた事業が合併法人において継 続して営まれるという「事業の継続性」を前提として認めら 係る被合併法人(子会社)の未処理欠損金額の合併法人(親会社)への引継ぎは,被合併法人が適格合併前に行っていた事業が合併法人において継 続して営まれるという「事業の継続性」を前提として認められるものと解される。 (ウ) 小括前記(ア)及び(イ)を踏まえれば,法人税法57条2項は,適格合併について,移転資産等に対する支配が合併後においても実質的に継続する ものであることを前提として,被合併法人の有する未処理欠損金額の合 併法人への引継ぎという租税法上の効果を認めたものと解すべきであり,本件合併の不当性を判断するに当たっては,本件合併について考慮要素①及び考慮要素②を検討した上で,本件合併が,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,上記のような同項の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるものと認められるか 否かという観点から判断すべきである。 (2) 本件合併は,組織再編税制を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,法人税法57条2項の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるものと認められることア考慮要素①について 以下のとおり,本件合併は,実質的には,合併法人である原告が,旧C社の資産及び負債を承継しておらず,その未処理欠損金額のみを引き継いだものであるから,適格合併としては通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づくものであり,実態とはかい離した形式を作出するものであるというべきである。 (ア) 原告は,平成21年12月22日付けで,旧C社との間で本件合併に係る合併契約を締結し,平成22年2月16日に本件設立を行った。 その際,本件設立時における新C社の商号,登記簿上の目的及び役員は,解散時における旧C社の商号,登記 付けで,旧C社との間で本件合併に係る合併契約を締結し,平成22年2月16日に本件設立を行った。 その際,本件設立時における新C社の商号,登記簿上の目的及び役員は,解散時における旧C社の商号,登記簿上の目的及び役員とそれぞれ同一であったほか,新C社の本店所在地は,本件合併の翌日である平成 22年3月2日に,解散時における旧C社の本店所在地に移転した。また,新C社の退職慰労金支給規程は,旧C社において制定され,施行されていたものがそのまま新C社において適用され,同社の組織は,「製造部」という部門の名称が「工場長」に変更されるなどしたのみで,解散時における旧C社の組織と実質的に変わっていない。 このように,新C社は,商号,本店所在地,役員,事業目的,組織及 び労務面において,旧C社のそれと同一である。 (イ) 原告は,平成22年3月1日付けで本件合併をし,これと同時に本件転籍,本件譲渡及び本件賃貸借を行った。 本件転籍については,解散時における旧C社の従業員が本件合併により原告に引き継がれることなく,同日付けで新C社に転籍しており,同 社は,新たに雇用契約を締結することなく旧C社の従業員を雇用したものである。 また,原告は,本件合併の効力発生日と同じ平成22年3月1日付けで本件譲渡を行い,新C社に対し,本件棚卸資産等を譲渡するとともに,同日付けで,環境負荷物質管理責任及び支払方法の追記を除き旧取引基 本契約と同一内容の新取引基本契約を締結した。 そして,旧C社が締結していたリース契約は,本件合併後,新C社が引き継いでおり,同社の売上先,仕入先等の取引先も,旧C社の取引先から変更されておらず,新C社が取引先に送付した書面にも,同社は,事業内容,社員を旧C社からそのまま継承した旨記載されていた。 き継いでおり,同社の売上先,仕入先等の取引先も,旧C社の取引先から変更されておらず,新C社が取引先に送付した書面にも,同社は,事業内容,社員を旧C社からそのまま継承した旨記載されていた。 このように,新C社は,本件事業を行うに当たって必要な従業員,本件棚卸資産等,リース契約,取引基本契約及び取引先を旧C社からそのまま引き継いでいる。 (ウ) 原告は,平成22年3月1日付けで,本件合併により旧C社の資産及び負債を引き継いだにもかかわらず,同日付けの本件賃貸借により, 新C社に本件製造設備等を貸し付け,旧C社が負担していた本件製造設備等に係る減価償却費相当額を賃料として新C社に支払わせている。 このように,新C社は,本件製造設備等に係る減価償却費相当の費用負担についても,本件賃貸借により,本件合併前の旧C社のそれと同じ負担を負っている。 (エ) 小括 前記(ア)から(ウ)までの各事実に鑑みれば,本件合併とともに本件設立,本件転籍,本件譲渡及び本件賃貸借が行われたことによって,旧C社が有していた未処理欠損金額が原告に引き継がれたことを除き,本件合併前に旧C社が本件事業を行っていたのと,新C社が本件事業を行うことになったのとで,実質的には何ら変わりがないものと認められる。 そうすると,本件合併によって,形式的には旧C社が原告に吸収合併されているものの,その実態においては旧C社の事業は何ら変化がないまま新C社に引き継がれ,旧C社の未処理欠損金額のみが原告に引き継がれたというべきであるから,本件合併は,形式的には適格合併の要件を満たしているものの,その実態においては移転資産等に対する支配が 合併後も継続することがないものであり,実態とはかい離した形式を作出するものであるというべきである。 形式的には適格合併の要件を満たしているものの,その実態においては移転資産等に対する支配が 合併後も継続することがないものであり,実態とはかい離した形式を作出するものであるというべきである。 また,適格合併は,合併により合併法人が被合併法人から一切の権利義務を承継することが予定されており,移転資産等に対する支配が合併後も継続することが通常想定されているところ,上記のとおり,原告は, 本件合併によって,実質的に旧C社から承継した移転資産等に対する支配を継続しているとはいえず,本件合併は,適格合併において通常想定されない組織再編成の手順や方法に基づくものというべきである。 イ考慮要素②について以下のとおり,原告は,当初,本件合併により,旧C社の未処理欠損金 額を引き継いで原告の税負担を減少させることを主たる目的とするとともに,旧C社の本件事業を原告の一部門として取り込んで旧C社の損益を改善する目的も併せて有していたが,その後,同社の本件事業を原告に取り込むことをせず,減価償却費の負担も含めて本件事業をそのまま旧C社から新C社に引き継がせることとしてからは,原告が旧C社の未処理欠損金 額を引き継いで,原告の法人税の負担を減少させることのみを目的とする に至ったものである。そのため,本件合併の行為としての不自然さの程度との比較や税負担減少目的と事業目的との主従関係からしても,本件合併の合理性を説明するに足りるだけの事業目的等が存在するとは認められず,原告が本件合併を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事情があったとは認められない。 (ア) 原告の経理部及び経営企画室は,平成21年11月末頃には,旧C社の繰越欠損金を有効活用することを主たる目的として,原告が旧C社を吸収合併することを の事情があったとは認められない。 (ア) 原告の経理部及び経営企画室は,平成21年11月末頃には,旧C社の繰越欠損金を有効活用することを主たる目的として,原告が旧C社を吸収合併することを検討し,平成21年12月15日の会議においては,本件合併による未処理欠損金額の引継ぎという税務上の目的を達成するに当たり,本件合併により生ずる不都合(人件費の増加)を回避す るために,本件設立,本件転籍等の提案がされた。このように,原告は,本件設立,本件転籍等を行ってまでも未処理欠損金額の引継ぎを実現しようとしていたものであって,このことからしても本件合併の主たる目的が税負担減少目的であったことは明らかである。 (イ) 原告は,平成21年12月21日,経営会議及び取締役会を順次開 催し,本件合併とともに本件設立及び本件転籍を行うことにより,原告が旧C社の保有する資産,負債その他一切の権利義務を引き継いで本件事業を原告の一部門として取り込むという組織再編成が提案された上,その財務効果として,旧C社の繰越欠損金を全額引き継ぐことができることや合併後の本件事業の赤字を取り込むことができ,これにより合併 後の原告の税負担(約4億7000万円)が大幅に削減されることなど,税務上のメリットなどが協議され,本件合併が決定された。このように,上記経営会議の時点においては,旧C社の損益改善計画を考え出した当初とは異なり,経営責任を新C社に負わせることにより,同社の経営上のリスク負担を増大させることも議論された上で,本件合併に伴う財務 効果として,旧C社の繰越欠損金を全額引き継ぐことができることや合 併後の原告の税負担が大幅に削減されることなど,税務上のメリットも併せて協議され,本件合併が決定されたものと認められる。 (ウ) して,旧C社の繰越欠損金を全額引き継ぐことができることや合 併後の原告の税負担が大幅に削減されることなど,税務上のメリットも併せて協議され,本件合併が決定されたものと認められる。 (ウ) 原告は,遅くとも新C社の概要が定まった平成22年1月14日頃には,本件合併は旧C社の本件事業の損益状況の改善に有効なものではないことを認識しており,新C社にも従前の旧C社と同様の責任を持た せた場合,本件合併には税負担減少効果だけが残ることが指摘されていた。 すなわち,同月13日の原告の経営会議においては,指示・確認事項として,設備償却費等の負担も新C社に持たせて製造側の責任を明確にすることが議論されているが,その際,役員から,原告の購入価格を高 く設定しないと新C社は黒字にならないのではないかとの指摘がされている。また,社長であるEが,設備の減価償却費についても新C社に負担してもらってはどうか,同社に責任を持たせないといけない,などと発言したのに対しては,役員から,本件製造設備等の減価償却費相当額を本件製造設備等の賃料として同社に負担をさせた場合,本件合併には 税負担減少効果だけが残ることや,購入価格も問題となるといった趣旨の指摘がされている。さらに,旧C社の当時の代表取締役であるFは,同月14日,上記経営会議を踏まえ,原告の経営企画室に所属するG宛てのメールにおいて,本件合併により原告に帰属する本件製造設備等を新C社に賃貸し,旧C社が負担していた減価償却費相当額を賃料として 新C社に支払わせることにより,原告に「岡山工場」を新設する必要がなくなる旨記載していた。 そうすると,原告においては,遅くとも新C社の概要が定まった同日頃には,旧C社が従来負担していた減価償却費相当額を新C社が賃料として負担すべきもの 場」を新設する必要がなくなる旨記載していた。 そうすると,原告においては,遅くとも新C社の概要が定まった同日頃には,旧C社が従来負担していた減価償却費相当額を新C社が賃料として負担すべきものとする方針が議論される一方,その場合は本件合併 を行っても旧C社と新C社の負担に実質的な変化はなく,原告が旧C社 の本件事業を原告の一部門として取り込むことにもならないため,本件合併が旧C社の本件事業の損益状況の改善に有効なものではないことが認識されていたものといえる。 また,同月13日の時点において,原告は,本件設立及び本件転籍を伴う本件合併において,減価償却費相当額の負担も新C社に負わせる方 針で議論を進めており,旧C社の損益状況を改善するという目的とはかい離した状況にあったのであり,税負担の減少という税務上のメリット以外には本件合併の合理的理由が見いだせない状況にあったものと認められる。 なお,原告は,本件合併の効力が発生した同年3月1日付けで本件単 価変更を行っているが,仮に本件合併が行われなかったとしても,原告において,旧C社との間で単価変更を行うことにより同社の損益改善を図ることができたのであるから,本件合併の要否とは直接関係がないものである。 (エ) 原告は,本件合併の目的として,本件事業の損益状態の改善のほか, 本件事業の管理体制の強化を挙げる。 しかしながら,仮に本件合併が行われなかったとしても,原告は,旧C社の事業を予算会議の審議対象とすることで管理体制を容易に変更することができたのであるから,予算会議における本件事業の位置付けが変更されたことと本件合併とはおよそ関係がない。本件事業の管理体制 の強化を図るために本件合併を行う必要はなく,また新C社を設立する必要性も認められな ら,予算会議における本件事業の位置付けが変更されたことと本件合併とはおよそ関係がない。本件事業の管理体制 の強化を図るために本件合併を行う必要はなく,また新C社を設立する必要性も認められないのであって,このような管理体制の強化は,本件合併に正当な事業目的があったことの根拠とはならない。 (オ) 前記アのとおり,原告は,本件合併とともに本件設立,本件転籍,本件譲渡及び本件賃貸借を行うことにより,旧C社の本件事業を原告の 一部門として取り込むことなく,そのまま新C社に引き継がせているの であり,適格合併においては合併法人が被合併法人の一切の権利義務を承継することが通常想定されるにもかかわらず,原告には旧C社の未処理欠損金額のみが引き継がれるという,適格合併としては通常想定されない不自然な行為が行われている。 また,原告は,旧C社の減価償却費負担を本件製造設備等の賃料とし て新C社に負担させた結果,旧C社の損益改善のために行ったはずの組織再編行為が,実質的には,同社の損益改善のためには何ら意味のない行為であったことも明らかである。 そうすると,原告が主張する旧C社の損益改善という事業目的は,このような不自然さの程度が大きい本件合併を行ったことの合理性を説明 するに足りる程度の事業目的とは到底いえないのであって,行為の不自然さの程度との比較の観点からも,税負担の減少以外に原告が本件合併を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由は認められないというべきである。 (カ) 小括 以上のとおり,原告は,経理部から吸収合併スキームが提案された時点においても,旧C社の有する未処理欠損金額の全てを原告に引き継ぐという税負担減少を主たる目的として本件合併を企図したものである上,その後,新C社の概要を決定 理部から吸収合併スキームが提案された時点においても,旧C社の有する未処理欠損金額の全てを原告に引き継ぐという税負担減少を主たる目的として本件合併を企図したものである上,その後,新C社の概要を決定する段階からは,旧C社の有する未処理欠損金額の全てを原告が利用するという税負担減少のみを目的として本件 合併を行ったことが明らかであり,原告が本件合併の目的として主張する旧C社の損益改善は,本件単価変更を行わなければ達成できなかったものである。また,原告が本件合併のもう一つの正当な事業目的として主張する本件事業の管理体制の強化についても,本件合併を行わずとも旧C社の行う事業を予算会議の審議の対象とすることにより達成するこ とは可能であった。 加えて,行為の不自然性の程度との比較の観点からみても,本件合併の合理性を説明するに足りるだけの事業目的等が存在するとは認められないことからすれば,本件において,税負担を減少させること以外に原告が本件合併を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事情があったとは認められない。 (キ) なお,原告は,本件合併を行うに至った事業目的とは,原告取締役会が合併契約を承認した時点においてその経営陣が事業目的として措定した内容を指すのであり,それが事後的に変更されたり,遡及的に消滅したりすることは,会社法上あり得ないなどと主張する。 しかしながら,考慮要素②は,組織再編税制に係る各規定の濫用の有 無の判断に当たって,考慮要素①と併せて特に重視して考慮すべきものであるから,その判断時期についても,取締役会が合併契約を承認した時点などといった特定の時点に限定する必要はなく,むしろそのような限定は相当ではない。すなわち,仮に,組織再編成に係る行為を行うことの合理的な理由となる事業目 ついても,取締役会が合併契約を承認した時点などといった特定の時点に限定する必要はなく,むしろそのような限定は相当ではない。すなわち,仮に,組織再編成に係る行為を行うことの合理的な理由となる事業目的等が存在するか否かの判断時期が当該 行為の取締役会の決議時点といった特定の時点以外にないとすると,取締役会においては,相応の事業目的を掲げて当該行為の実行を承認した上で,その後,当該行為の内容を変える,他の行為を付加するなどした結果,当該行為の合理性を説明するに足りる程度の事業目的等が存在しなくなったような場合にも法人税法132条の2は適用されないことに なるのであって,このような解釈が同条の趣旨に反するものであり,平成28年最判が判示する同条の不当性要件の判断基準に合致しないものであることは明らかである。 本件において,原告は,旧C社の損益改善という事業目的に加え,その未処理欠損金額を引き継いで原告の税負担を減少させることを主たる 目的として決定された本件合併について,その後,新C社の概要を決定 する段階においては,旧C社の本件事業の損益状況の改善に有効なものではないことを認識していたものといえるのであって,本件合併を行うことの合理的な理由となる事業目的等の有無は,原告の取締役会で合併契約が承認された時点における原告の経営陣の考えのみによって判断することができないことは明らかである。また,そもそも,原告の上記主 張は,単に,会社法に規定する合併の一般的な手続・手順を述べるものにすぎず,かかる規定等は,事業目的の事後的な変更等が「会社法上あり得ない」ことを根拠づけるものではない。 ウ本件合併は,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,法人税法57条2項の本来の趣旨及び目的から逸脱 的な変更等が「会社法上あり得ない」ことを根拠づけるものではない。 ウ本件合併は,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,法人税法57条2項の本来の趣旨及び目的から逸脱する態 様でその適用を受けるものであると認められること前記ア及びイのとおり,本件合併は,通常想定されない組織再編成の手順や方法に基づくものであり,また,実態とはかい離した形式を作出するものであって,その態様が不自然なものであり,かつ,旧C社の未処理欠損金額の引継ぎによって原告の法人税の負担を減少させること以外に合理 的な理由といえるような事業目的その他の事情があったとは認められないことから,本件合併には租税回避の意図の存在が推認されるというべきである。 したがって,本件合併は,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,組織再編税制に係る各規定の一つである法人 税法57条2項の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるものと認められるというべきである。 (3) その余の原告の主張について原告は,完全支配関係下において「事業の継続」が前提とされているなどという被告の主張を裏付ける議論は,立法過程において全く見いだすことが できないなどと主張する。 しかしながら,完全支配関係下の適格合併について事業継続要件が付加されていないのは,そのような合併の場合,元々経済的に同一であったものを合体するにすぎないとの考え方から,「事業の継続」の程度として,支配関係がある場合の適格合併と同じ要件は求められていないことを意味するにとどまるのであって,そのような適格合併に係る要件の形式的な比較によって, 組織再編税制の基本的考え方である組織再編前後で「経済実態に実質的な変更が無い」 要件は求められていないことを意味するにとどまるのであって,そのような適格合併に係る要件の形式的な比較によって, 組織再編税制の基本的考え方である組織再編前後で「経済実態に実質的な変更が無い」こと,被合併法人の営む事業に着目していえば,「事業の継続」がある場合に課税関係の引継ぎを認めるという考え方が,完全支配関係がある場合の適格合併には当てはまらないということになるものではない。 (原告の主張) (1) 判断枠組みについて法人税法132条の2の「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(不当性要件)とは,法人の行為又は計算が,組織再編税制に係る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものであることをいうと解される。そして,「濫用」の有無の判 断に当たっては,①行為・計算の不自然性と②そのような行為・計算を行うことの合理的な理由となる事業目的等の有無の2点を特に重視して,実質的には不当性要件該当性を肯定するために必要な要素として考慮すべきであり,①については,当該法人の行為・計算が通常は想定されない組織再編成の手順や手法に基づいたり,実態とはかい離した形式を作出したりするなどの事 情を,また,②については,行為・計算の異常性の程度との関係や,税負担の減少目的との主従関係等を考慮して,租税回避以外の事業目的等が正当なものといえるかどうかという事情を具体的に検討することとなる。 さらに,このような考慮要素を踏まえ,「濫用」の有無の判断は,当該行為又は計算が,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したも のであって,組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する 態様でその適用を受けるもの又は免れるものと認められるか否かという観点 を利用して税負担を減少させることを意図したも のであって,組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する 態様でその適用を受けるもの又は免れるものと認められるか否かという観点から判断するのが相当である(以上につき平成28年最判参照)。上記の点を踏まえると,事業目的と租税回避の意図の関係については,少なくとも租税回避の意図が存在するだけで,直ちに合理的な事業目的の存在が否定されるものでないことは明らかである。 以上の判断枠組みに従って判断すれば,後記(2)から(4)までのとおり,本件合併が法人税法132条の2の不当性要件を充足しないことは明らかである。 (2) 行為・計算の不自然性がないことア被告は,本件合併によって,形式的には旧C社が新C社に変更されてい るものの,その実態においては何ら変化がないまま,本件未処理欠損金額のみが原告に引き継がれたものであり,実態とはかい離した形式を作出するものであると主張し,また,本件において,原告は移転資産等に対する支配を継続しておらず,適格合併において通常想定されない組織再編成の手順や方法によって本件合併を行ったと主張する。 しかしながら,次のとおり,本件合併が適格合併において通常想定されない組織再編成の手順や方法によって行われたものであるとする被告の主張は適格合併に関する法解釈を誤るものであり(後記イ),また,本件合併は実態とかい離した形式を作出するものであるということもできず(後記ウ及びエ),被告の主張は理由がない。 イ完全支配関係下の適格合併では「移転資産に対する支配の継続」及び「事業の継続」は求められていないこと(ア) 法人税法57条2項は,適格合併が行われた場合には,被合併法人の有する未処理欠損金額の引継ぎを認めている 適格合併では「移転資産に対する支配の継続」及び「事業の継続」は求められていないこと(ア) 法人税法57条2項は,適格合併が行われた場合には,被合併法人の有する未処理欠損金額の引継ぎを認めている。適格合併の要件は同法2条12号の8に規定されており,合併法人と被合併法人の間に完全支 配関係がある場合は,その他の場合とは異なり,金銭等不交付要件(被 合併法人の株主等に合併法人株式以外の資産が交付されないこと)のみを満たせば足りるものとされ(同号イ),同号ロ(2)のような事業継続要件は必要とされていない。 完全支配関係がある場合に事業継続要件が必要とされていないのは,税制調査会法人課税小委員会が,「完全に一体と考えられる持分割合の 極めて高い法人間で行う組織再編成については,これらの要件(「資産の移転が独立した事業単位で行われること」及び「組織再編成後も移転した事業が継続すること」の要件)を緩和することも考えられる。」と述べているとおりに適格合併の要件が立法されたことによって生じたものである。なお,同じ合併であっても,完全支配関係の存しない合併に ついて事業継続要件が必要と解されていることに鑑みれば,上記要件の違いは,「吸収合併自体が,本来的に,被合併法人の権利義務の全部を合併法人に承継させるものであることを前提としている」という事情を理由として生じたものではない。 (イ) 被告は,完全支配関係がある場合の合併であっても,事業の継続が 求められている旨主張するが,独自の見解である。 組織再編税制の立法過程においては,グループ内の組織再編成でも,100%の持株比率と50%超100%未満とでは要件が異なるということは明確に意識されていた。すなわち,法人税法2条12号の8ロ(1)及び(2)のいわゆる従 においては,グループ内の組織再編成でも,100%の持株比率と50%超100%未満とでは要件が異なるということは明確に意識されていた。すなわち,法人税法2条12号の8ロ(1)及び(2)のいわゆる従業者引継要件及び事業継続要件は,支配関係下の合 併と,完全支配関係下の合併とを明確に区別した上で,前者についてのみ税制適格要件として「付加」(「平成13年改正税法のすべて」参照)されたものであり,完全支配関係下においても「事業の継続」が前提とされているなどという被告の主張を裏付ける議論は,立法過程において見いだすことができない。そして,課税当局に現に所属し,又は過去に 所属した者の著書を含む実務上の諸文献においても,完全支配関係下の 合併で「事業の継続」が前提となっていることをうかがわせるものはない。 (ウ) 以上のとおり,法人税法57条2項は,組織再編成における未処理欠損金額の引継ぎにおいて,完全支配関係下の適格合併については事業継続要件の充足を求めていないのであるから,同法132条の2の適用 に当たって,合併法人が被合併法人の事業を継続していないことを考慮して通常想定されない組織再編成の手順であるなどとする被告の主張は理由がない。 ウ本件合併は極めて自然な行為・計算であること本件合併は,完全子会社を被合併法人とする無対価合併である。これは, 通常の実務として行われる極めてシンプルな組織再編成であり,その事務手続上も何ら特別な手順を要するものではなく,極めて自然な行為・計算である。なお,新C社の設立は,旧C社における給与水準が,その地域的特性等の理由から,原告における給与水準の50%という低い水準にあり,旧C社の従業員の雇用関係を原告がそのまま承継することは非現実的であ るため(本件事業そのもの おける給与水準が,その地域的特性等の理由から,原告における給与水準の50%という低い水準にあり,旧C社の従業員の雇用関係を原告がそのまま承継することは非現実的であ るため(本件事業そのものの損失がさらに大きくなる事態が懸念され,一方で,かかる事態を防ぐためには一定数の従業員を解雇する必要が生じてしまう。),企業活動の継続性・効率性及び雇用維持の観点から行われた経営上当然の施策である。 エ本件合併は実態を伴うものであること (ア) 旧C社は,本件事業の特性として,高価な製造設備と相応の人員体制を必須とし,減価償却費等の固定費の負担が重いという損益構造を有しており,納入先であるスズキからの受注数量の減少の影響を受けやすい状況にあった。そのため,旧C社は,生産工程上の不良発生に伴う赤字のみならず,受注生産数の減少に伴う赤字をも負担し,平成14年3 月期以降,継続して損失を計上していた。上記事情に鑑みて,原告の社 外役員からも解決の必要性が示唆されるなど,増資による対症療法ではなく,抜本的な解決を図ることが必要とされていた。 本件合併は,かかる状況における抜本的な解決策として,旧C社や原告のアルミホイール製造事業の損益構造を変更し,スズキからの受注量減少に伴う赤字リスクを原告が負担するようにビジネスモデル(事業リ スクの所在)を変更し,併せて原告における重要な事業として,その管理体制を強化すべく行われたものである。現に本件合併により,原告は旧C社からその製造設備を含む一切の資産および負債を承継し,新C社の貸借対照表の構成は有形固定資産がなくなり,損益計算書上損失が計上されていないなど,旧C社と新C社は全く別の会社の形となっており, また,原告の全役員が参加する毎月の予算会議においてアルミホイー 借対照表の構成は有形固定資産がなくなり,損益計算書上損失が計上されていないなど,旧C社と新C社は全く別の会社の形となっており, また,原告の全役員が参加する毎月の予算会議においてアルミホイール製造事業を審議対象とするよう体制が変更され,自動車会社を顧客とする事業として原告のグループ内部において重要な位置付けにあったアルミホイール製造事業の重要性が明確に位置付けられることとなった。 以上のとおり,本件合併により,旧C社や新C社の損益構造及びビジ ネスモデル(事業リスクの所在)の変更並びに管理体制の強化という実質的な変更が生じたことは明らかであり,本件合併は実態を伴うものである。 (イ) 被告は,新C社が減価償却費相当額の設備賃料を負担していることを指摘して,損益構造及びビジネスモデル(事業リスクの所在)の変更 は原告と新C社との間で行った販売単価の変更によって生じたものであり,原告における本件事業の管理体制の強化は本件合併によらずとも実現可能であるなどとして,本件合併によって上記(ア)の実質的な変化が生じたものとはいえないと主張する。 しかしながら,被告の上記主張は,旧C社の行う本件事業の損益構造 及びビジネスモデル(事業リスクの所在)を変更し,管理体制を強化す るための抜本的な解決方法として,まず合併という手法が採用され,本件合併を中核とした一体的な諸施策を進めていく中でこそ設備賃料の負担や販売単価の変更,予算会議におけるアルミホイール製造事業の審議対象化という施策を行うことができたという,原告の経営判断に係る事実経過を全く無視するものである。 (3) 租税回避以外の正当な事業目的があること以下のとおり,本件合併について,税負担の減少以外に合理的な理由となる事業目的その他の事由は認め 断に係る事実経過を全く無視するものである。 (3) 租税回避以外の正当な事業目的があること以下のとおり,本件合併について,税負担の減少以外に合理的な理由となる事業目的その他の事由は認められないとする被告の主張は失当であり(後記ア),また,本件の事実経過に照らしても,本件合併は正当な事業目的に基づくものであり,税負担の減少以外に合理的な理由となる事業目的その他 の事由が認められないなどということは決していえない(後記イ及びウ)。 ア本件合併にあっては,原告及び旧C社の各取締役会において,合併契約が承認された上で,両社間で合併契約が締結されたものであり,その後は粛々と法定の手続が進んでいくのみで,特段の追加的な行為や取締役会の決定等を要することなく,合併効力発生日の到来により合併の効力が発生 したものであるから,原告が本件合併を行うに至った事業目的は,原告取締役会が合併契約を承認した平成21年12月21日を基準として判断されなければならない。そして,同日を基準に判断された事業目的が,事後的に変更される,消滅するなどということは,会社法上およそあり得ない。 被告は,当初,原告が旧C社の事業を原告の一部事業として取り込むこ とにより旧C社の損益改善を図るという事業目的を有していたことを認めており,同日の時点において本件合併に正当な事業目的があったことを認めているのであるから,平成22年1月13日の時点において本件合併の目的が原告の法人税の負担を減少させることのみとなったとして同時点で事業目的がなくなったとする被告の考慮要素②に関する主張は失当である。 イ合併契約の承認決議(平成21年12月21日)までの事情等 合併契約の承認決議がされた平成21年12月21日の時点において,本件合併に前記( 慮要素②に関する主張は失当である。 イ合併契約の承認決議(平成21年12月21日)までの事情等 合併契約の承認決議がされた平成21年12月21日の時点において,本件合併に前記(2)エ記載の本件事業の損益構造の変更及び管理体制の強化という事業目的が存したことは,証拠上も明らかである。 さらに付言すれば,原告は節税を推進していくといった考え方を持っていない会社であり,もとより同日の取締役会で本件合併の節税効果など俎 上に上ったことすらなく,本件合併による法人税の負担減少は副次的効果にすぎず,目的の一つですらなかった。 ウ平成22年1月13日の経営会議について平成22年1月13日の経営会議において,原告は,新C社に対し,製造設備の減価償却費相当額の賃料を負担させることを検討するに至ってい るが,この施策は,同社が製品の製造について何ら責任を負わなくなると生産現場のモラルが低下する旨の指摘を受け,同社に製品の製造に関する責任を持たせるという観点から行われたものである。この施策は,あくまで生産設備の所有権を原告に移転し,その減価償却費は原告の負担とした上で,同時に,原告と新C社との取引について,受注数量に応じた単価変 更を行うこととして,同社に損失が生じることを回避していることから,本件事業の損益構造及びビジネスモデルの変更という本件合併の目的に変容を来すべきものではない。 被告は,上記経営会議における「節税効果だけ」という発言をもって,本件合併には節税効果だけが残ることを確認する趣旨があったと主張する が,上記発言の前後の発言に照らせば,同発言は,新C社に赤字も責任も負わせるという方針に疑問を呈するという文脈でされたものといえる。そして,実際には,本件合併とそれと一体として行われた諸施策によ が,上記発言の前後の発言に照らせば,同発言は,新C社に赤字も責任も負わせるという方針に疑問を呈するという文脈でされたものといえる。そして,実際には,本件合併とそれと一体として行われた諸施策により,新C社は赤字とはならない損益構造へと変わったものであるから,上記発言の前提である,同社が引き続き赤字リスクを負担するという原告内部にお ける当時検討途中のアイデアは,平成22年1月27日の常務席会議(業 務執行に従事する役員等が協議する会議)以降は意味を有さなくなったものである。 また,被告は,岡山工場新設の必要がなくなったことを指摘するが,「岡山工場」とは,その新設計画の方針が了承された当時から,本件事業に関する旧C社の資産負債を合併により原告が引き受け,新C社を単なる 賃加工の会社として扱うに当たって,岡山所在の上記資産負債(工場,製造設備等)を管理するために設けられる会社組織上の名称として理解されていたにすぎない。「岡山工場」の新設が不要となったのは,本件合併及びこれを中心とした一連の施策が進行する過程で,新C社を単なる賃加工の会社にしなくても損益構造の変更及び管理体制の強化を図ることができ るようになったため,上記名称の組織が不要になったものにすぎず,「岡山工場」の設立は本件合併の目的との関係では全く意味がないものである。 したがって,「岡山工場」新設の必要がなくなったことをもって,本件合併の目的が変容したなどということは到底できない。なお,そもそも,完全支配関係下の適格合併においては事業の継続が求められておらず,法人 税法132条の2の適用に当たり原告による旧C社の事業の継続の有無を考慮すべきでないことは,前記(2)イのとおりである。 (4) 租税回避の意図及び趣旨目的からの逸脱が認められないこと 法人 税法132条の2の適用に当たり原告による旧C社の事業の継続の有無を考慮すべきでないことは,前記(2)イのとおりである。 (4) 租税回避の意図及び趣旨目的からの逸脱が認められないことア被告は,本件合併には租税回避の意図の存在が推認され,組織再編税制に係る法人税法57条2項の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその 適用を受けるものであると主張する。 しかしながら,平成28年最判は,前記(1)のとおり,法人税法132条の2にいう不当性要件について,第1のハードルとして,①行為・計算の不自然性,②合理的な理由となる事業目的等の不存在の2点を不可欠の考慮要素として,かかる考慮要素の有無を判断した上で,第2のハードルと して,租税回避の意図及び趣旨目的からの逸脱の観点から判断するという 判断枠組みを示している。被告の主張は,租税回避の意図の存否を第1のハードルの判断に当たって過度に強調することによって,被告に都合のよい結論を導くものであって,不当なものである。 イ前記(3)ア及びイにおいて主張した経緯のほか,Eが明確に証言しているとおり,原告は,自動車部品会社ではトップクラスの収益力を誇る会社で あり,それゆえ,節税についての関心が全くない会社であって,Eが本件合併による税効果について部下に対して報告を求めたこともなかった。このように,原告は,未処理欠損金額の引継ぎによる租税回避のためだけに本件合併を行うつもりなどなかったのであり,本件合併において,租税回避の意図を有していなかった。 (5) 以上のとおり,本件合併は,通常想定されない組織再編成の手順や手法に基づいたり,実態とはかい離した形式を作出したりするものとはいえず(前記(1)記載の①),租税回避以外の事業目的等が正当なものとはいえ 上のとおり,本件合併は,通常想定されない組織再編成の手順や手法に基づいたり,実態とはかい離した形式を作出したりするものとはいえず(前記(1)記載の①),租税回避以外の事業目的等が正当なものとはいえないと評価することもできず(前記(1)記載の②),これらの点を措くとしても,租税回避の意図及び法人税法の趣旨目的からの逸脱も認められないから,平成2 8年最判に照らして,法人税法132条の2の不当性要件を充足するものではない。 第5 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められ る。 (1) 原告は,平成14年2月9日に旧C社の発行済株式の総数の3分の2を取得し,平成15年3月18日に同社の発行済株式を追加取得して,同社の発行株式の全てを保有することとなり,同社を原告の完全子会社とした(前提事実(2)ア,ウ)。 (2) 原告による旧C社の損益改善計画の検討等 ア原告は,旧C社との間で旧取引基本契約を締結し,スズキから受注した自動二輪車用アルミホイールの製造を旧C社に委託していた(前提事実(2)イ)。 旧C社は,平成16年3月期以降,平成20年3月期を除き継続して損失を計上しており,原告においては,かねてから,旧C社の経営計画,損 益改善等のための検討が行われていた(前提事実(4)ア,甲6の1・2,7,49,50の1~3,乙10,11,証人E〔2~5頁〕)。 イ原告は,平成21年11月30日,経営会議を開催した。同会議においては,旧C社が,平成21年度及び平成22年度において2期連続で赤字の見込みであることが報告されたほか,同社の損益改善計画の検討におい て,後日経営会議にて資本増強案(又はリストラ案)を提案するとの報告がされた(甲6 度及び平成22年度において2期連続で赤字の見込みであることが報告されたほか,同社の損益改善計画の検討におい て,後日経営会議にて資本増強案(又はリストラ案)を提案するとの報告がされた(甲6の1・2,証人E〔4~6,17~19頁〕)。 (3) 本件合併,新C社の設立に至る経緯等ア国税局への問合せ等原告の経理部に所属していたH主査及びIは,平成21年12月1日, 東京国税局に対して,平成14年3月以降,原告と旧C社との間に特定資本関係が継続しているとの原告の認識に誤りがないかとの問合せをした。 これに対し,東京国税局は,平成21年12月10日,原告と旧C社は平成14年3月期から法人税法57条3項にいう特定資本関係にある旨回答した(甲8,弁論の全趣旨)。 イ本件合併案の浮上等(ア) Iは,平成21年12月3日,H主査に対してメールを送信した。 同メールの添付ファイルには,本件事業の立直しを図りつつ,旧C社の繰越欠損金を有効活用すべく,企業グループ内組織再編の手法として吸収合併を提案すること,原告が100%出資をして新会社を設立し,同 社に旧C社の従業員を転籍させること,原告内に岡山工場を新設し,新 会社に生産を委託することなどが記載されていた(乙10〔6~10枚目〕)。 なお,「岡山工場」とは,原材料の調達等を行うことを想定した部門の名称である(乙10〔7枚目〕,11,14の2)。 (イ) 原告の経営企画室に所属していたGは,平成21年12月11日, F及び原告の専務取締役のJに対し,メールを送信した。 同メールには,検討中の増減資案とは別案を検討していること,別案の「ねらい」として,旧C社の累積の欠損金を同社が7年以内に節税に利用することができる可能性が低いことへの ,メールを送信した。 同メールには,検討中の増減資案とは別案を検討していること,別案の「ねらい」として,旧C社の累積の欠損金を同社が7年以内に節税に利用することができる可能性が低いことへの対策であることが記載され,その具体的内容として,同社を原告に合併することにより旧C社の欠損 金を原告が引き継ぐことができること,合併と同時に新会社を設立して旧C社の従業員を新会社に転籍させ,合併後原告内には一部門として「岡山工場」ができ,新会社は人員のみを抱えた賃加工会社の形態となり,原告から設備を貸与され,材料も支給されることとなって,原則として利益も赤字も出ない会社となることなどが記載されていた。 加えて,同メールには,上記別案の「効果」として,旧C社の過去の累積赤字を活用して最大4億7000万円の節税効果を期待することができること,この方法を採用する場合であっても,現在の同社の債務超過を解消するための増減資については実行が必要であること,上記方法の最も大きな「メリット」として,上記の節税効果があること,「デメ リット」として,新会社設立の手間,原告内の体制づくり,新会社の従業員のモチベーションが低下すること等が考えられると記載されていた。 (以上につき乙11)ウ平成21年12月15日の会議原告は,平成21年12月15日に,旧C社の赤字見通しを踏まえた対 策協議のための会議を開催し,同会議において,原告の経理部及び経営企 画室から,経理部作成の書面に基づき,旧C社の債務超過解消の方法として,①株式の無償譲渡(100パーセント減資)の活用,②企業組織再編税制の活用(適格合併/適格分割),③連結納税制度の活用の三つの方法についての説明,比較検討等が行われた(甲9,乙10)。 このうち, 式の無償譲渡(100パーセント減資)の活用,②企業組織再編税制の活用(適格合併/適格分割),③連結納税制度の活用の三つの方法についての説明,比較検討等が行われた(甲9,乙10)。 このうち,上記②の方法については,そのメリットとして,資産等を簿 価で引き継ぐことができることのほか,税務上の繰越欠損金を引き継ぐことができること等が挙げられていた。一方,デメリットとしては,労働条件(賃金体系)を合わせるため人件費の上昇につながることなどが挙げられていた(甲9〔1枚目〕)。原告の経理部からは,税務上のメリットだけなら上記②の案が最有力であるが,人件費の上昇がネックであるため, この問題を回避する「秘策」として,旧C社の従業員のみを現行の労働条件のまま引き継ぐための新会社を設立することを,組織再編税制の適格合併に加えることが提案された(甲9〔1枚目〕,乙10)。 また,同会議には,上記①及び②の案の詳細を示す書面も提示されており,上記②の案については,「目的」として,旧C社は原告による完全子 会社化以降赤字が続いており,繰越欠損金は年々切り捨てられ,また,先行きとしても繰越欠損金を使用することが厳しいと予想されることから,原告が旧C社を吸収合併することによって,本件事業の立て直しを図りつつも,同社の繰越欠損金を原告に取り込み,約4億7000万円の節税を図ることが記載されていた。また,上記②の案の具体的な方法として,原 告が旧C社を吸収合併するとともに,原告が100%子会社を新設し,同社に旧C社の従業員を転籍させること,旧C社の全ての資産及び負債を原告が引き継ぐことになるため,原告の岡山工場ができること,新会社は原告の岡山工場の業務委託会社となり,労務費のみが発生することとなるため,損益は差し引きゼロとなるこ ,旧C社の全ての資産及び負債を原告が引き継ぐことになるため,原告の岡山工場ができること,新会社は原告の岡山工場の業務委託会社となり,労務費のみが発生することとなるため,損益は差し引きゼロとなることなどが記載され,「メリット」として, 旧C社の繰越欠損金を切り捨てずに原告に引き継ぐことにより節税するこ とができることなどが記載され,「デメリット」として,新会社の従業員等の士気が低下するおそれがあることなどが記載されていた(甲9〔5,6枚目〕)。 エ平成21年12月21日の経営会議(ア) 原告は,平成21年12月21日,経営会議を開催し,同会議にお いて,平成22年3月1日を期日として旧C社を吸収合併するため,平成21年12月22日付けで原告と旧C社との間で合併契約を締結することが提案され,承認された(甲10の1~3,乙10)。 (イ) 上記経営会議において示された原告の経営企画室及び経理部作成の書面(甲10の2)に記載された「決議内容」においては,①旧C社の 損益改善計画をより迅速に実行すべく,また,更なる経営管理の強化を目指して本件事業を原告の一事業部門として取り込むとされ,②「合併の内容」として,原告が旧C社を吸収合併し,原告は旧C社が保有する資産,負債その他一切の権利義務を引き継ぎ,原告内にこの資産を引き受ける「岡山工場(仮称)」を新設すること等とされていた。また,同 書面には,その「財務効果」として,旧C社は原告の100%子会社であるから本件合併は税務上の適格合併の要件を満たし,原告は旧C社の繰越欠損金(平成22年2月末予想で約12億円)を全額引き継ぐことができ,これにより,(税率40パーセントで)約4億7000万円の当期損益及び将来キャッシュフローの改善効果が見込まれること,「そ 繰越欠損金(平成22年2月末予想で約12億円)を全額引き継ぐことができ,これにより,(税率40パーセントで)約4億7000万円の当期損益及び将来キャッシュフローの改善効果が見込まれること,「そ の他」として,合併に伴う人件費の増加を回避するため旧C社の労働条件を承継する新会社を設立することなどが記載されていた(甲10の2)。 (ウ) 上記経営会議において示された原告の経営企画室及び経理部作成の補足資料(甲10の3)には,合併に伴う人件費の上昇を回避するため, 合併期日前までに旧C社の労働条件を継承する原告の100%子会社を 設立し,旧C社の社員は合併期日をもって新会社に転籍させること,新会社は岡山工場の生産委託会社となることなども記載されていたが,同会議において,新会社を生産委託会社とする案については了承が得られなかった(甲10の3,乙10)。 オ平成21年12月21日の取締役会 原告は,平成21年12月21日,取締役会を開催し,同取締役会において,原告が旧C社を吸収合併すること等についての決議案が承認された。 承認された決議案に係る書面は,「決議内容」として,①原告のアルミ製品事業の更なる強化とグループ経営の効率化を目的として旧C社を吸収合併すると記載されていたこと,②「その他」の項目において,合併に伴い, アルミ製品の生産を委託する新会社を設立し,旧C社の従業員は合併期日を持って新会社に転籍すると記載されていたほかは,前記エ(イ)の書面と全く同一であった(甲10の2,乙12)。 なお,同取締役会においては,新会社設立の必要性として,旧C社と原告とで労働条件に差があることから,旧C社の労働条件を引き継ぐために 新会社の設立が必要であるとの説明があったほか,Eから,新会社は設備を 役会においては,新会社設立の必要性として,旧C社と原告とで労働条件に差があることから,旧C社の労働条件を引き継ぐために 新会社の設立が必要であるとの説明があったほか,Eから,新会社は設備を持たず,減価償却費が不要となること等の説明があった(乙12)。 カ本件合併契約の締結原告は,平成21年12月22日,旧C社との間で,平成22年3月1日付けで原告が旧C社を吸収合併する旨の合併契約を締結した(前提事実 (3)ウ)。 キ平成22年1月13日の経営会議(ア) 原告は,平成22年1月13日,経営会議を開催し,同会議において,旧C社の合併手続についての決議がされ,承認された(甲12の1・2,乙10,証人E〔9~13,28,29頁〕)。 (イ) 上記経営会議において提案され,承認された原告経営企画室作成の 書面には,新会社の概要に関する「基本的な考え方」として,新会社は,旧C社の事業内容を継承し,会社設立に伴う変更手続は最小限とすることなどが記載されていた。また,旧C社の従業員は,平成22年3月1日の同社の解散と同時に新会社に転籍し,旧C社の労働条件を継承すること,同社の資産・負債は合併により原告に移転するが,移転後,旧C 社の棚卸資産(製品・仕掛・原材料等)は新会社に売却し,旧C社の退職給与債務は同社解散時に精算せず新会社に移転継承すること,勤続計算も継続扱いとすることなどが記載されていた(甲12の2)。 (ウ) なお,上記経営会議において,出席者の一人が,新会社に関して,原告の購入価格を高く設定しないと新会社は黒字にならないのではない かと発言したのに対し,経営企画室から,基本的にはそのように考えており,減価償却費を除いたベースで新会社は運営してもらうなどと回答があったが,これに しないと新会社は黒字にならないのではない かと発言したのに対し,経営企画室から,基本的にはそのように考えており,減価償却費を除いたベースで新会社は運営してもらうなどと回答があったが,これに対し,Eは,設備の減価償却費についても新会社に負担してもらってはどうか,新会社に責任を持たせないといけないなどと発言した。また,Eが,新会社には責任を負わせ赤字も持たせる,賃 加工でなく設備償却費の負担も新会社に持ってもらう,設備償却費を賃貸料に置き換えるなどと発言したのに対し,出席者の一人が,節税効果だけで価格移転という問題もあると発言したが,Eは,(新会社については)従来と同じ扱いをするなどと発言した(甲12の1)。 経営企画室は,設備償却費等の負担も新会社に持たせて製造側の責任 を明確にすることとの上記経営会議での指示・確認事項を踏まえた検討を行い,平成22年1月27日の経営会議で提案することとした(甲12の1,乙10)。前記経営企画室作成の書面にも,原告(岡山工場)を含めた新会社の管理体制(損益管理,管理会計,業務フロー等)については,同日の経営会議にて提案予定と記載されていた(甲12の2)。 ク平成22年1月14日のメール Fは,平成22年1月14日,Gにメールを送信した。同メールにおいては,上記キの経営会議に基づいて現時点での旧C社の考えを記すとの記載の下に,①資産の減価償却費は原告での発生とし,減価償却費相当額を賃借料として新会社が原告に支払うこととすることにより,原告に対する製品納入価格は従来どおりとする,②アルミ商品全体の損益も従来どおり とするなどと記載され,これらにより原告内に岡山工場は必要なくなるなどと記載されていた(乙13)。 ケ平成22年1月27日の常務席会 格は従来どおりとする,②アルミ商品全体の損益も従来どおり とするなどと記載され,これらにより原告内に岡山工場は必要なくなるなどと記載されていた(乙13)。 ケ平成22年1月27日の常務席会議原告は,平成22年1月27日,常務席会議を開催し,同会議において,原告の経営企画室作成の書面に基づき,当初原告が負担することとしてい た固定資産に係る減価償却費等を新会社に請求し負担させること,新会社からの仕入価格を原価の実態に合わせた金額にすることなどを前提として,原告が新会社から仕入れる製品の仕入価格を見直すことが提案され,承認された(甲13の1・2,弁論の全趣旨)。 コ平成22年2月5日の取締役会 原告は,平成22年2月5日,取締役会を開催し,同取締役会において,原告経営企画室作成の書面に記載されたとおり,旧C社の増減資手続及び新会社の設立内容につき提案がされ,承認された。同書面の記載内容は,新会社の登記申請手続のスケジュールが若干異なっていること,岡山工場に関する記載がないことなどを除き,同年1月13日の経営会議(前記キ) において提案,承認された書面(甲12の2)とほぼ同じであった(甲14の1・2)。 (4) 本件設立等原告は,前記(3)コの取締役会の承認に基づき,平成22年2月16日,全額を出資して,新C社を設立した(前提事実(3)オ)。 新C社は,本件設立当時,商号,目的及び役員構成が旧C社と同一であっ た(甲2,3,乙8〔4枚目〕)。また,新C社の設立時の本店所在地は「岡山県津山市(住所省略)」であったが,同社は,平成22年3月2日付けで,本店所在地を旧C社の解散当時の本店所在地である「岡山県津山市(住所省略)」に移転させた(前提事実(3)オ,キ)。 (5) 本件 県津山市(住所省略)」であったが,同社は,平成22年3月2日付けで,本店所在地を旧C社の解散当時の本店所在地である「岡山県津山市(住所省略)」に移転させた(前提事実(3)オ,キ)。 (5) 本件合併,本件転籍,本件譲渡,本件賃貸借及び本件単価変更等 原告は,平成22年3月1日,旧C社を吸収合併した(本件合併,前提事実(3)カ(ア))。 また,原告は,同日付けで,旧C社の従業員を同一の労働条件で新C社に転籍させ(本件転籍),旧C社との間で,本件事業に係る本件棚卸資産等の譲渡に関する契約を締結し,同社に本件棚卸資産等を譲渡するとともに(本 件譲渡),本件事業に係る本件製造設備等について設備賃貸借契約を締結し,本件製造設備等を同社に賃貸した(本件賃貸借)。本件賃貸借に係る本件製造設備等の賃借料は,本件製造設備等の減価償却費に相当する金額であった。 (以上につき前提事実(3)カ(イ)~(エ),乙9,10)さらに,原告は,同日付けで,旧C社との間で新取引基本契約を締結した ほか,同社に対し,取引品の価格改定を実施する旨通知し,これにより,原告による新C社からの仕入数量に応じて仕入単価が決定されることとなった(本件単価変更)。新取引基本契約に係る契約書は,旧C社との間の旧取引基本契約に係る契約書と概ね同じ内容であった。(以上につき前提事実(3)カ(オ)) 旧C社が締結していたリース契約は,本件合併後,新C社が引き継ぎ,同社の売上先,仕入先等の取引先も,旧C社の取引先と同一であった(乙9,14の2〔12枚目〕,18,20の2)。 2 争点(1)(特定資本関係が合併法人の当該合併に係る事業年度開始の日の5年前の日より前に生じている場合に法人税法132条の2を適用することができ るか否か)について 20の2)。 2 争点(1)(特定資本関係が合併法人の当該合併に係る事業年度開始の日の5年前の日より前に生じている場合に法人税法132条の2を適用することができ るか否か)について (1) 法人税法132条の2は,税務署長が「合併,分割,現物出資若しくは事後設立(中略)又は株式交換若しくは株式移転」に係る所定の法人の法人税につき更正又は決定をする場合において,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われたときに,その行為又は計算にかかわらず法人税額等を計算することができる旨規定しており,その文言 上,組織再編成に係る特定の行為又は計算を否認の対象とし,あるいは否認の対象から除外することとはされていない。 また,法人税法132条の2は,組織再編成が,その形態や方法が複雑かつ多様であるため,これを利用して巧妙な租税回避行為が行われやすく,租税回避の手段として濫用されるおそれがあることから,税負担の公平を維持 するため,組織再編成において法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われた場合に,それを正常な行為又は計算に引き直して法人税の更正又は決定を行う権限を税務署長に認めたものと解され,組織再編成に係る租税回避を包括的に防止する規定として設けられたものと解される(平成28年最判参照)。このように,組織再編成に係る租税 回避について,これを包括的に防止するための一般的否認規定が設けられているのは,組織再編成の形態や方法が複雑,多様であり,立法の際に,組織再編成を利用したあらゆる租税回避行為をあらかじめ想定した上で,個別的な否認規定を網羅的に設けることは,事柄の性質上困難であることによるものと解される。 そうすると,法人税法は,個別的な否認 成を利用したあらゆる租税回避行為をあらかじめ想定した上で,個別的な否認規定を網羅的に設けることは,事柄の性質上困難であることによるものと解される。 そうすると,法人税法は,個別的な否認規定である同法57条3項の適用が排除される適格合併についても,同項の規定が一般的否認規定の適用を排除するものと解されない限り,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われたものと認められる場合には,同法132条の2が適用されることを予定しているものと解される。 そこで,以上の見地から,法人税法57条3項の適用が排除される適格合 併である,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併につき,同項の規定が一般的否認規定の適用を排除するものと解されるか否かについて,原告の主張に基づいて検討することとする。 (2)ア原告は,法人税法57条3項が,同条2項に関する否認とその例外の要件を全て書き尽くしたものであって,同条3項に規定された否認の要件を 充足しない(すなわち,否認規定の例外要件としての特定資本関係5年超要件を充足する)事案に同法132条の2を適用することは許されないと主張し,特定資本関係5年超要件を満たすグループ内の法人に関する組織再編成について一般的否認規定を適用することが想定されていないことは,特定資本関係5年以下の組織再編成と5年超の組織再編成を明確に区別し て規定している同法57条3項の構造からも明らかであると主張する。 しかし,法人税法57条3項は,一定期間内に特定資本関係を有することとなった法人間で組織再編成が行われた場合,共同で事業を営むための適格合併等として政令で定めるものに該当する場合を除き,特定資本関係が生じた日の属する事業年度前に生じた欠損金額等の引継ぎを制限 こととなった法人間で組織再編成が行われた場合,共同で事業を営むための適格合併等として政令で定めるものに該当する場合を除き,特定資本関係が生じた日の属する事業年度前に生じた欠損金額等の引継ぎを制限する旨 定めており,このような同項の規定の構造に鑑みても,同項は,未処理欠損金額を有するグループ外の法人をいったんグループ内の法人に取り込んだ上でグループ内の他の法人と組織再編成を行うといったグループ外の法人が有する未処理欠損金額を利用した租税回避行為を防止するために設けられた規定であって,未処理欠損金額を利用したあらゆる租税回避行為を あらかじめ想定して網羅的に定めたものとはいい難く,実際にも,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併等であっても,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われる場合が想定されないとはいい難い。そうすると,同項は,むしろ,典型的な租税回避行為としてあらかじめ想定されるものを対象として定めた具体的な否認規定 にすぎないものと理解するのが自然である。 そうすると,法人税法57条3項は,同条2項に関する否認とその例外の要件を全て書き尽くしたものとはいえず,同条3項が特定資本関係5年以下の組織再編成と5年超の組織再編成を区別して規定しているからといって,特定資本関係5年超の組織再編成について一般的否認規定の適用が排除されているとはいえないから,原告の上記主張は採用すること ができない。 イ原告は,欠損金額の繰越期間が5年から7年,9年,10年と順次変更された一方で,法人税法57条3項が否認規定の適用例外要件として定める特定資本関係の継続期間は5年のままとされたことなどから,特定資本関係5年超要件を満たした組織再編成につき,未処理欠損金額の引継ぎを で,法人税法57条3項が否認規定の適用例外要件として定める特定資本関係の継続期間は5年のままとされたことなどから,特定資本関係5年超要件を満たした組織再編成につき,未処理欠損金額の引継ぎを 否認することは,同項の趣旨を没却し,許されないなどと主張する。 しかしながら,欠損金額の繰越期間(法人税法57条1項)の延長に係る同法の改正は,我が国の企業の競争力強化等を図る目的で行われたものと理解され,同条3項の制定時に欠損金額の繰越期間に合わせて特定資本関係5年超要件が定められたとしても,欠損金額の繰越期間の延長に合わ せて被合併法人の有する未処理欠損金額の引継ぎ制限に関する同項の特定資本関係5年超要件に係る期間を変更しなければならないというものではないし,これらの改正経緯から,特定資本関係5年超要件を満たした組織再編成につきおよそ同法132条の2を適用する余地がなくなったということもできないから,上記主張は採用することができない。 ウ原告は,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併について,法人税法132条の2を適用して未処理欠損金額の引継ぎを制限すると,適格合併として合併に伴う資産移転に係る課税繰延べを認めながら,未処理欠損金額の引継ぎは認めないことになり,資産移転等の譲渡損益と未処理欠損金額の引継ぎを同様に取り扱うとする組織再編税制の基本的な考え方に反す ることとなると主張する。 確かに,後記3(2)アのとおり,組織再編税制の基本的な考え方は,組織再編成に伴う未処理欠損金額の取扱いについて,基本的に,移転資産等の譲渡損益に係る取扱いに合わせて従前の課税関係を継続させることとするか否かを決めるというものであると解される。しかしながら,前記(1)のとおり,法人税法132条の2は,法人の行 本的に,移転資産等の譲渡損益に係る取扱いに合わせて従前の課税関係を継続させることとするか否かを決めるというものであると解される。しかしながら,前記(1)のとおり,法人税法132条の2は,法人の行為又は計算が組織再編税制に係 る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を不当に減少させるものである場合に適用されるものであるところ,どの規定が濫用されたのかによって否認すべき租税法上の効果は異なり得るといえるから,法人税の更正又は決定に当たり,複数の租税法上の効果のうち未処理欠損金額の引継ぎという効果のみを否認するということも許容されると いえる。また,同法57条3項の適用により被合併法人の有する未処理欠損金額の一部を引き継ぐことができなくなる場合であっても,その合併に伴う移転資産等に係る譲渡損益の計上の繰延べ(同法62条の2第1項)等が否定されるものではないことからすると,同法は,移転資産等に係る課税繰延べと被合併法人の有する未処理欠損金額の引継ぎが常に一体とし て認められるものではないことを予定しているものといえる。 以上からすれば,原告の上記主張を採用することはできない。 エ原告は,平成18年度税制改正によって法人税法57条の2が設けられ,その後の改正で親子会社関係が成立した後の未処理欠損金額の引継ぎを制限する規定は特段設けられていないことから,親子会社関係が成立した後 の未処理欠損金額の引継ぎ制限は同条によることで必要かつ十分であるとの立法判断がされたとし,本件合併のように特定資本関係5年超要件を満たす適格合併で,特定支配関係の成立の前後を通じて事業を営んでいるものについて,特定資本関係成立後の未処理欠損金額の引継ぎをも制限するような形で同法132条の2を適用することはおよそ想 年超要件を満たす適格合併で,特定支配関係の成立の前後を通じて事業を営んでいるものについて,特定資本関係成立後の未処理欠損金額の引継ぎをも制限するような形で同法132条の2を適用することはおよそ想定されていないな どと主張する。 しかしながら,平成18年度税制改正により新設された法人税法57条の2は,欠損金の繰越控除の仕組みを利用して,欠損金を有する法人を買収した上で利益の見込まれる事業をその法人に移転することによって課税所得を圧縮するといった租税回避行為を防止するため,欠損金を利用するための買収と認められる場合を類型化して,その買収された法人の欠損金 の繰越控除を認めないこととしたものであって,これに該当しない限り特定資本関係成立後に生じた未処理欠損金額の引継ぎ等を常に容認するものではないと解されるから,原告の上記主張を採用することはできない。 (3) 以上のとおり,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併につき,法人税法57条3項の規定により一般的否認規定の適用が排除されることの論拠と して原告が主張する点は,いずれも採用することができず,ほかに上記の適格合併につき同項の規定が一般的否認規定の適用を排除するものと解すべき理由は見当たらない。 したがって,法人税法は,特定資本関係5年超要件を満たす適格合併についても,同法132条の2が適用されることを予定しているものと解するの が相当である。 3 争点(2)(本件合併が法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるか否か)について(1) 前記2(1)の法人税法132条の2の趣旨及び目的からすれば,同条にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは, 法人の行為又 の」に当たるか否か)について(1) 前記2(1)の法人税法132条の2の趣旨及び目的からすれば,同条にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは, 法人の行為又は計算が組織再編税制に係る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものであることをいうと解すべきであり,その濫用の有無の判断に当たっては,①当該法人の行為又は計算が,通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり,実態とはかい離した形式を作出したりするなど,不自然なものであるかどうか,②税負 担の減少以外にそのような行為又は計算を行うことの合理的な理由となる事 業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情を考慮した上で,当該行為又は計算が,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるもの又は免れるものと認められるか否かという観点から判断するのが相当である(平成28年最判参照)。 (2)ア平成13年度税制改正により導入された組織再編税制の基本的な考え方は,実態に合った課税を行うという観点から,原則として,移転資産等についてその譲渡損益の計上を求めつつ,移転資産等に対する支配が継続している場合には,その譲渡損益の計上を繰り延べて従前の課税関係を継続させるというものである。このような考え方から,組織再編成による資産 等の移転が形式と実質のいずれにおいてもその資産等を手放すものであるとき(非適格組織再編成)は,その移転資産等を時価により譲渡したものとされ,譲渡益又は譲渡損が生じた場合,これらを益金の額又は損金の額に算入しなければならないが(法人税法62条等),他方,その移転が形式のみで実 織再編成)は,その移転資産等を時価により譲渡したものとされ,譲渡益又は譲渡損が生じた場合,これらを益金の額又は損金の額に算入しなければならないが(法人税法62条等),他方,その移転が形式のみで実質においてはまだその資産等を保有しているということができ るものであるとき(適格組織再編成)は,その移転資産等について帳簿価額による引継ぎをしたものとされ(同法62条の2等),譲渡損益が生じないものとされている。 また,上記のような考え方から,組織再編成に伴う未処理欠損金額の取扱いについても,基本的に,移転資産等の譲渡損益に係る取扱いに合わせ て従前の課税関係を継続させることとするか否かを決めることとされており,適格合併が行われた場合については,被合併法人の前7年内事業年度において生じた未処理欠損金額は,それぞれ当該未処理欠損金額の生じた前7年内事業年度の開始の日の属する合併法人の各事業年度において生じた欠損金額とみなすものとして(同法57条2項),その引継ぎが認めら れている。 イところで,適格合併には,大別して,企業グループ内の適格合併(法人税法2条12号の8イ及びロ)と共同事業を営むための適格合併(同号ハ)があるところ,いずれについても移転資産の対価として株式又は出資以外の資産の交付がされないことが要件とされている。これは,株式又は出資以外の資産の交付がされる場合には,その経済実態は通常の売買取引と異 なるところがなく,移転資産に対する支配が継続していないこととなるなど,組織再編成の前後で経済実態に実質的な変更がないとはいえなくなるからであると考えられる。また,上記要件に加えて,共同事業を営むための適格合併については共同事業要件(施行令4条の2第4項各号)が必要とされ,企業グループ内の適格合併に な変更がないとはいえなくなるからであると考えられる。また,上記要件に加えて,共同事業を営むための適格合併については共同事業要件(施行令4条の2第4項各号)が必要とされ,企業グループ内の適格合併についても,完全支配関係がある場合 と異なり支配関係があるにすぎない場合には,いわゆる従業者引継要件(法人税法2条12号の8ロ(1))及び事業継続要件(同(2))が必要とされている。 以上の法人税法等の規定に加え,前記アの組織再編税制の基本的な考え方の「移転資産等に対する支配が継続している場合」としては,当該移転 資産等の果たす機能の面に着目するならば,被合併法人において当該移転資産等を用いて営んでいた事業が合併法人に移転し,その事業が合併後に合併法人において引き続き営まれることが想定されているものといえるところ,このことからすれば,組織再編税制は,組織再編成による資産の移転を個別の資産の売買取引と区別するために,資産の移転が独立した事業 単位で行われること及び組織再編成後も移転した事業が継続することを想定しているものと解される。そして,完全支配関係がある法人間の合併は,いわば経済的,実質的に完全に一体であったものを合併するものといえるのに対し,支配関係がある場合の合併や共同事業を営むための合併の場合は,経済的同一性・実質的一体性が希薄であることから,上記の基本的な 考え方に合致するように,従業者引継要件及び事業継続要件等の要件が付 加されているものと考えられる。このように,組織再編成税制は,完全支配関係がある法人間の合併についても,他の2類型の合併と同様,合併による事業の移転及び合併後の事業の継続を想定しているものと解される。 そうすると,法人税法57条2項についても,合併による事業の移転及び合併後の事 の合併についても,他の2類型の合併と同様,合併による事業の移転及び合併後の事業の継続を想定しているものと解される。 そうすると,法人税法57条2項についても,合併による事業の移転及び合併後の事業の継続を想定して,被合併法人の有する未処理欠損金額の 合併法人への引継ぎという租税法上の効果を認めたものと解される。 ウそこで,本件合併が不当性要件を満たすか否かについて判断するに当たっては,前記(1)の①及び②の点を考慮した上で,本件合併が,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,上記の法人税法57条2項の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるもの と認められるか否かという観点から判断するのが相当である。 以上に反する原告の主張は,上記説示に照らし,採用することができない。 (3) 本件合併に関する検討ア(ア) 前記認定事実のとおり,原告は,本件合併により旧C社を吸収合併 したものの,本件合併に併せて新C社を設立し(本件設立),本件合併と同日,本件転籍,本件譲渡及び本件賃貸借が行われた。これにより,本件事業に従事していた旧C社の従業員は原告を経ずに同一労働条件で新C社に引き継がれ,本件事業に係る本件棚卸資産等も同社に引き継がれた。また,本件事業に係る本件製造設備等についても,その所有こそ 原告に帰属したものの,減価償却費相当額は賃借料という名目で新C社が負担することとなった。さらに,旧C社が締結していたリース契約は,本件合併後新C社に引き継がれ,同社の取引先も旧C社の取引先と同一であったほか,本件設立当時の新C社の商号,目的及び役員構成も旧C社のそれと同一であり,新C社の本店所在地も,設立当時こそ旧C社と 異なっていたものの,本件合併の翌日には同社の解散当時の本店所 であったほか,本件設立当時の新C社の商号,目的及び役員構成も旧C社のそれと同一であり,新C社の本店所在地も,設立当時こそ旧C社と 異なっていたものの,本件合併の翌日には同社の解散当時の本店所在地 に移転された。 以上の事情に照らすと,本件合併とともに本件設立,本件転籍,本件譲渡及び本件賃貸借が行われたことによって,実態としては,旧C社の営んでいた本件事業はほぼ変化のないまま新C社に引き継がれ,原告は,旧C社の有していた本件未処理欠損金額のみを同社から引き継いだに等 しいものということができる。そうすると,本件合併は,形式的には適格合併の要件を満たすものの,組織再編税制が通常想定している移転資産等に対する支配の継続,言い換えれば,事業の移転及び継続という実質を備えているとはいえず,適格合併において通常想定されていない手順や方法に基づくもので,かつ,実態とはかい離した形式を作出するも のであり,不自然なものというべきである(前記(1)①)。 (イ) 原告は,本件合併は実態を伴うものであったとし,その理由として,旧C社や原告のアルミホイール製造事業の損益構造が変更され,スズキからの受注量減少に伴う赤字リスクを原告が負担するようにビジネスモデル(事業リスクの所在)が変更され,併せて原告における重要な事業 として,その管理体制が強化されたなどと主張する。 そこで検討すると,確かに,本件製造設備等は原告の所有となったものの,新C社は,本件賃貸借により減価償却費相当額の賃借料を負担することになったものであるし,スズキからの受注量減少に伴う赤字リスクを原告が負担することとなったのは,旧C社との間で行うことも可能 であった本件単価変更によるものであること(証人E〔34頁〕)に照らせば,本件合併自 し,スズキからの受注量減少に伴う赤字リスクを原告が負担することとなったのは,旧C社との間で行うことも可能 であった本件単価変更によるものであること(証人E〔34頁〕)に照らせば,本件合併自体の効果によって原告の主張する損益構造の変更,事業リスクの所在の変更が生じたと評価することは相当でないといわざるを得ない。また,原告における本件事業の管理体制の強化についても,旧C社の事業を原告における予算会議の審議対象とすることなどにより, 本件合併によらずとも実現可能であったということができる。 したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 イ(ア) 上記アのとおり,実態としては,旧C社の営んでいた本件事業はほぼ変化のないまま新C社に引き継がれ,原告は,旧C社の有していた本件未処理欠損金額のみを同社から引き継いだに等しいものといえるところ,前記認定事実のとおり,本件合併の検討に当たっては,終始,「メ リット」「ねらい」などとして,本件未処理欠損金額を利用した節税効果が挙げられていた。 また,本件合併について検討を始めた当初は,原告内に新たな部門を設け,生産委託会社として設立した新会社にアルミホイールの製造を委託することが検討されるなど,本件事業を原告の一部門として取り込む ことにより旧C社の損益を改善するといった事業目的もあったものといえるものの,結局は,原告内に新たな部門が設置されることはなく,本件事業は新C社に引き継がれ,本件製造設備等の減価償却費相当額を同社に負担させるとの方針が決まった頃(平成22年1月13日頃)以降は,本件合併自体によって本件事業の損益状況の改善を図るという目的 を達成することはできない状況にあったといえる。そして,このことは,同日の経営会議において,原告の購 22年1月13日頃)以降は,本件合併自体によって本件事業の損益状況の改善を図るという目的 を達成することはできない状況にあったといえる。そして,このことは,同日の経営会議において,原告の購入価格を高く設定しないと新会社は黒字にならないのではないかと発言や,節税効果だけではないかとの発言があったことからみても,原告経営陣において当然認識されていたということができる。 以上の本件合併及びこれに伴う本件設立等の検討経過等に照らすと,本件合併の主たる目的は本件未処理欠損金額の引継ぎにあったものとみるのが相当であり,前記アで述べた本件合併の不自然さも考慮すると,税負担の減少以外に本件合併を行うことの合理的理由となる事業目的その他の事由が存在するとは認め難いといわざるを得ない(前記(1)②)。 なお,原告は,前記(1)②にいう「事業目的」について,原告取締役会 において合併契約の承認決議がされた平成21年12月21日の時点で判断するべきであると主張するが,法人税法132条の2の趣旨及び目的(前記2(1))に照らし,そのような限定をすることは相当でない。 (イ) これに対し,原告は,本件合併による法人税の負担減少は副次的効果にすぎず,目的の一つですらなかったなどと主張し,Eも,証人尋問 において,税務上のメリットを考慮しなかったとか,審議・議論の対象とはならなかったなどと供述する(証人E〔8,9,15,16頁〕)ものの,前記認定事実のとおり,経営会議や取締役会において経営企画室や経理部から資料として示された書面には,常に未処理欠損金額を引き継ぐことによる節税に関する記載があったこと等に照らし,いずれも 採用することはできない。 (ウ) また,原告は,本件合併について,本件 して示された書面には,常に未処理欠損金額を引き継ぐことによる節税に関する記載があったこと等に照らし,いずれも 採用することはできない。 (ウ) また,原告は,本件合併について,本件事業の損益構造の変更やその管理体制の強化といった正当な事業目的があったと主張する。 しかしながら,前記のとおり,スズキからの受注量減少に伴う赤字リスクを原告が負担することとなったのは本件単価変更によるものである し,原告における本件事業の管理体制の強化も本件合併によらずとも実現可能であったことからすると,本件合併や本件設立等の諸策を検討する中で損益構造の変更や管理体制の強化の観点からの施策が取られたことがあったにせよ,これらが本件合併自体の主たる目的であったということはできず,前記(ア)の判断を左右するものとはいえない。 ウ前記ア及びイのとおり,本件合併は,通常想定されない組織再編成の手順や方法に基づくものであり,実態とはかい離した形式を作出するものであって,その態様が不自然なものであることに加えて,本件未処理欠損金額の引継ぎによって原告の法人税の負担を減少させること以外に本件合併を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事情があったとは認め られないことからすれば,本件合併は,組織再編成を利用して税負担を減 少させることを意図したものであって,法人税法57条2項の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるものというべきである。 そうすると,本件合併は,組織再編税制に係る上記規定を租税回避の手段として濫用することによって法人税の負担を減少させるものとして,法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となる と認められるもの」に当たるということができる。 手段として濫用することによって法人税の負担を減少させるものとして,法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となる と認められるもの」に当たるということができる。 4 小括以上によれば,本件未処理欠損金額を原告の欠損金額とみなして損金の額に算入する計算は,法人税法132条の2の規定に基づき否認することができ,証拠(甲21の1・2,乙2の1~3,3)及び弁論の全趣旨によれば,原告 の本件各事業年度における法人税の額及び原告に課される過少申告加算税の額は,別紙3のとおりとなり,本件各更正処分等における法人税の額及び過少申告加算税の額と同額であると認められる。 したがって,本件各更正処分等は適法である。 5 結論 以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官森 英明 裁判官小川弘持 裁判官三貫納 有 子(別紙1省略)(別表1省略) (別表2-1省略)(別表2-2省略) (別紙2)関係法令の定め第1 法人税法(以下,特に断らない限り,平成22年法律第6号による改正前のものをいう。) 1 2条(定義) この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。 12号の8 適格合併次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人株式(合併法人の株式又は出資をいう。)又は合併親法人株式(〔括弧内略〕)の いずれか一方の株式又は出資以外の資産(〔括弧内略〕)が交付されないものをいう。 イその合併に係る 法人株式(合併法人の株式又は出資をいう。)又は合併親法人株式(〔括弧内略〕)の いずれか一方の株式又は出資以外の資産(〔括弧内略〕)が交付されないものをいう。 イその合併に係る被合併法人と合併法人(〔括弧内略〕)との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併 ロその合併に係る被合併法人と合併法人(〔括弧内略〕)との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の総数(〔括弧内略〕)の100分の50を超え,かつ,100分の100に満たない数(〔括弧内略〕)の株式(〔括弧内略〕)を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併のうち,次に掲げる要件のす べてに該当するもの(1) 当該合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち,その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること(〔括弧内略〕)。 (2) 当該合併に係る被合併法人の当該合併前に営む主要な事業が当該合 併後に当該合併に係る合併法人において引き続き営まれることが見込まれていること(〔括弧内略〕)。 ハその合併に係る被合併法人と合併法人(〔括弧内略〕)とが共同で事業を営むための合併として政令で定めるもの 2 57条(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し) (1) 1項確定申告書を提出する内国法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額(〔括弧内略〕)がある場合には,当該欠損金額に相当する金額は,当該各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する。〔ただし書略〕 始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額(〔括弧内略〕)がある場合には,当該欠損金額に相当する金額は,当該各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する。〔ただし書略〕 (2) 2項適格合併等(適格合併又は合併に類する分割型分割として政令で定めるもののうち適格分割型分割に該当するもの(〔括弧内略〕)をいう。以下同じ。)が行われた場合において,当該適格合併等に係る被合併法人又は分割法人(以下「被合併法人等」という。)の当該適格合併等の日前7年以内に 開始した各事業年度(以下「前7年内事業年度」という。)において生じた欠損金額(〔中略〕以下「未処理欠損金額」という。)があるときは,当該適格合併等に係る合併法人又は分割承継法人(以下「合併法人等」という。)の当該適格合併等の日の属する事業年度(以下「合併等事業年度」という。)以後の各事業年度における前項の規定の適用については,当該前7年内事業 年度において生じた未処理欠損金額は,それぞれ当該未処理欠損金額の生じた前7年内事業年度開始の日の属する当該合併法人等の各事業年度(〔括弧内略〕)において生じた欠損金額とみなす。 (3) 3項適格合併等に係る被合併法人等と合併法人等(〔括弧内略〕)との間に特 定資本関係(いずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式又は出資(〔括 弧内略〕)の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式又は出資を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係をいう。以下同じ。)があり,かつ,当該特定資本関係が当該合併法人等の当該適格合併等に係る合併等事業年度開始の日の5年前の日以後に生じている場合において,当該適格合併等が共同で事業を営むための適格合併等として政令で定め るものに該 特定資本関係が当該合併法人等の当該適格合併等に係る合併等事業年度開始の日の5年前の日以後に生じている場合において,当該適格合併等が共同で事業を営むための適格合併等として政令で定め るものに該当しないときは,前項に規定する未処理欠損金額には,当該被合併法人等の次に掲げる欠損金額を含まないものとする。 1号当該被合併法人等の特定資本関係事業年度(当該被合併法人等と当該合併法人等との間に当該特定資本関係が生じた日の属する事業年度をいう。次号において同じ。)前の各事業年度で前7年内事業年度に該当す る事業年度において生じた欠損金額(〔括弧内略〕)2号当該被合併法人等の特定資本関係事業年度以後の各事業年度で前7年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額のうち62条の7第2項(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入)に規定する特定資産譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額として政令で定め る金額 3 132条の2(組織再編成に係る行為又は計算の否認)税務署長は,合併,分割,現物出資若しくは事後設立(〔括弧内略〕)又は株式交換若しくは株式移転(以下この条において「合併等」という。)に係る次に掲げる法人の法人税につき更正又は決定をする場合において,その法人の 行為又は計算で,これを容認した場合には,合併等により移転する資産及び負債の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加,法人税の額から控除する金額の増加,1号又は2号に掲げる法人の株式(〔括弧内略〕)の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加,みなし配当金額(〔括弧内略〕)の減少その他の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる ものがあるときは,その行為又は計算にかかわらず,税務署長の認めるところ に みなし配当金額(〔括弧内略〕)の減少その他の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる ものがあるときは,その行為又は計算にかかわらず,税務署長の認めるところ により,その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。 1号合併等をした一方の法人又は他方の法人〔2号以下略〕第2 法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの。以下「施行 令」という。) 1 4条の2(適格組織再編成における株式の保有関係等)(1) 1項法2条12号の8(定義)に規定する全部を保有する関係として政令で定める関係は,合併の直前に当該合併に係る合併法人と当該合併法人以外の法 人との間に当該法人による直接完全支配関係(二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等(〔括弧内略〕)の全部を保有する関係をいう。以下この項において同じ。)があり,かつ,当該合併後に当該合併法人と当該法人(以下この項において「親法人」という。)との間に当該親法人による直接完全支配関係が継続すること(〔括弧内略〕)が見込まれている 場合における当該合併に係る合併法人と親法人との間の関係とする。 (2) 2項法2条12号の8イに規定する政令で定める関係は,次に掲げるいずれかの関係とする。 1号合併に係る被合併法人と合併法人(〔括弧内略〕)との間にいずれか 一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係がある場合における当該関係(次号に掲げる関係に該当するものを除く。)2号合併前に当該合併に係る被合併法人と合併法人との間に同一の者(〔括弧内略〕)によってそれぞれの法人の発行済株式等の全部を直接 又は間 係(次号に掲げる関係に該当するものを除く。)2号合併前に当該合併に係る被合併法人と合併法人との間に同一の者(〔括弧内略〕)によってそれぞれの法人の発行済株式等の全部を直接 又は間接に保有される関係があり,かつ,当該合併後に当該者によって 当該合併法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に継続して保有されること(〔括弧内略〕)が見込まれている場合における当該合併に係る被合併法人と合併法人との間の関係(3) 3項法2条12号の8ロに規定する政令で定める関係は,次に掲げるいずれか の関係(前項各号に掲げる関係に該当するものを除く。)とする。 1号合併に係る被合併法人と合併法人(〔括弧内略〕)との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の総数(〔括弧内略〕)の100分の50を超える数(〔括弧内略〕)の株式(〔括弧内略〕)を直接又は間接に保有する関係がある場合における当該関係(次号に掲げる関 係に該当するものを除く。)2号合併前に当該合併に係る被合併法人と合併法人との間に同一の者(〔括弧内略〕)によってそれぞれの法人の発行済株式等の総数の100分の50を超える数の株式(以下この号において「支配株式」という。)を直接又は間接に保有される関係があり,かつ,当該合併後に当 該者によって当該合併法人の支配株式を直接又は間接に継続して保有されること(〔括弧内略〕)が見込まれている場合における当該合併に係る被合併法人と合併法人との間の関係(4) 4項法2条12号の8ハに規定する政令で定めるものは,同号イ又はロに該当 する合併以外の合併のうち,次に掲げる要件(当該合併に係る被合併法人の株主等の数が50人以上である場合又は当該合併に係る被合併法人のすべて若し 規定する政令で定めるものは,同号イ又はロに該当 する合併以外の合併のうち,次に掲げる要件(当該合併に係る被合併法人の株主等の数が50人以上である場合又は当該合併に係る被合併法人のすべて若しくは合併法人が資本若しくは出資を有しない法人である場合には,1号から4号までに掲げる要件)のすべてに該当するものとする。 1号合併に係る被合併法人の被合併事業(当該被合併法人の当該合併前に 営む主要な事業のうちのいずれかの事業をいう。以下この項において同 じ。)と当該合併に係る合併法人の合併事業(当該合併法人の当該合併前に営む事業のうちのいずれかの事業をいい,当該合併が新設合併である場合にあっては,他の被合併法人の被合併事業をいう。次号及び4号において同じ。)とが相互に関連するものであること。 2号合併に係る被合併法人の被合併事業と当該合併に係る合併法人の合併 事業(当該被合併事業と関連する事業に限る。)のそれぞれの売上金額,当該被合併事業と合併事業のそれぞれの従業者の数,当該被合併法人と合併法人(〔括弧内略〕)のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと又は当該合併前の当該被合併法人の特定役員(社長,副社長,代表取 締役,代表執行役,専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう。以下同じ。)のいずれかと当該合併法人(〔括弧内略〕)の特定役員のいずれかとが当該合併後に当該合併に係る合併法人の特定役員となることが見込まれていること。 3号合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち,その総数の おおむね100分の80以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事す 込まれていること。 3号合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち,その総数の おおむね100分の80以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること(〔括弧内略〕)。 4号合併に係る被合併法人の被合併事業(当該合併に係る合併法人の合併事業と関連する事業に限る。)が当該合併後に当該合併法人において引 き続き営まれることが見込まれていること(〔括弧内略〕)。 5号合併の直前の当該合併に係る被合併法人の株主等で当該合併により交付を受ける合併法人の株式又は法2条12号の8に規定する合併親法人株式のいずれか一方の株式(議決権のないものを除く。)の全部を継続して保有することが見込まれる者(〔括弧内略〕)及び当該合併に係る 合併法人(〔括弧内略〕)が有する当該合併に係る被合併法人の株式 (議決権のないものを除く。)の数を合計した数が当該被合併法人の発行済株式等(議決権のないものを除く。)の総数の100分の80以上であること。 2 112条(適格合併等による欠損金の引継ぎ等)(1) 4項 法57条3項に規定する政令で定める関係は,次の各号に掲げるいずれかの関係とする。 1号二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式又は出資を除く。次号において「発行済株式等」という。)の総数(〔括弧内略〕)の100分の50を超える数 (〔括弧内略〕)の株式(〔括弧内略〕)を直接又は間接に保有する関係2号二の法人が同一の者(〔括弧内略〕)によってそれぞれの法人の発行済株式等の総数の100分の50を超える数の株式を直接又は間接に保有される関係 (2) 7項 する関係2号二の法人が同一の者(〔括弧内略〕)によってそれぞれの法人の発行済株式等の総数の100分の50を超える数の株式を直接又は間接に保有される関係 (2) 7項法57条3項に規定する政令で定めるものは,適格合併等のうち,1号から4号までに掲げる要件又は1号及び5号に掲げる要件に該当するものとする。 1号適格合併等に係る被合併法人等の被合併等事業(当該被合併法人等の 当該適格合併等の前に営む主要な事業のうちのいずれかの事業をいう。 3号までにおいて同じ。)と当該適格合併等に係る合併法人等(〔括弧内略〕)の合併等事業(当該合併法人等の当該適格合併等の前に営む事業(〔括弧内略〕)のうちのいずれかの事業をいう。次号において同じ。)とが相互に関連するものであること。 2号被合併等事業と合併等事業(当該被合併等事業と関連する事業に限る。 以下この号及び4号において同じ。)のそれぞれの売上金額,当該被合併等事業と当該合併等事業のそれぞれの従業者の数,適格合併等に係る被合併法人等と合併法人等のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額又はこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと。 3号被合併等事業が当該適格合併等に係る被合併法人等と合併法人等との 間に特定資本関係(法57条3項に規定する特定資本関係(当該合併法人等の同項の合併等事業年度開始の日の5年前の日以後に生じたものに限る。)をいう。次号及び5号において同じ。)の生じた時(〔中略〕以下この号において「被合併法人等特定資本関係発生時」という。)から当該適格合併等の直前の時まで継続して営まれており,かつ,当該被 合併法人等特定資本関係発生時と当該適格合併等の直前の時における当該被合併等事業 被合併法人等特定資本関係発生時」という。)から当該適格合併等の直前の時まで継続して営まれており,かつ,当該被 合併法人等特定資本関係発生時と当該適格合併等の直前の時における当該被合併等事業の規模(〔括弧内略〕)の割合がおおむね2倍を超えないこと。 4号合併等事業が当該適格合併等に係る合併法人等と被合併法人等との間に特定資本関係が生じた時(〔中略〕以下この号において「合併法人等 特定資本関係発生時」という。)から当該適格合併等の直前の時まで継続して営まれており,かつ,当該合併法人等特定資本関係発生時と当該適格合併等の直前の時における当該合併等事業の規模(〔括弧内略〕)の割合がおおむね2倍を超えないこと。 5号適格合併等に係る被合併法人等の当該適格合併等の前における特定役 員である者のいずれかの者(当該被合併法人等が当該適格合併等に係る合併法人等と特定資本関係が生じた日前(〔括弧内略〕)において当該被合併法人等の役員又は当該これらに準ずる者(同日において当該被合併法人等の経営に従事していた者に限る。)であった者に限る。)と当該合併法人等の当該適格合併等の前における特定役員である者のいずれ かの者(当該特定資本関係が生じた日前において当該合併法人等の役員 又は当該これらに準ずる者(同日において当該合併法人等の経営に従事していた者に限る。)であった者に限る。)とが当該適格合併等の後に当該合併法人等(〔括弧内略〕)の特定役員となることが見込まれていること。 以上 (別紙3)本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張 1 本件各更正処分の根拠及び適法性(なお,「△」を付した金額は欠損金額,マイナスの金額を意味する。) (1) 平成22年3月期更正 本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張 1 本件各更正処分の根拠及び適法性(なお,「△」を付した金額は欠損金額,マイナスの金額を意味する。) (1) 平成22年3月期更正処分の根拠ア所得金額(別表2-1⑤欄) 6億5173万5337円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)から(エ)までの金額を加算した金額である。 (ア) 当初の更正処分における所得金額(別表2-1①欄) 0円 上記金額は,処分行政庁が平成24年7月27日付けでした平成22年3月期に係る法人税の更正処分(以下「当初更正処分」という。)に係る更正通知書(乙3)の「更正又は決定の金額」の「1」欄に記載された所得金額である。 (イ) 法人税法132条の2による所得金額の増加額(別表2-1②欄) 6億4466万6794円上記金額は,平成22年3月期当初更正処分における所得金額の計算上,損金の額に算入した繰越欠損金の額であるが,法人税法132条の2により損金の額に算入されないことから,原告の所得金額に加算すべき金額である。 (ウ) 損金の額に算入されない交際費等の額(別表2-1③欄)35万2857円上記金額は,原告が平成22年3月期の法人税の確定申告における所得金額の計算上,損金の額に算入した金額であるが,上記金額は,租税特別措置法(平成22年法律第6号による改正前のもの)61条の4に より損金の額に算入されないことから,原告の所得金額に加算すべき金 額である(原告が争わないとしている部分である。)。 (エ) 損金の額に算入されない寄附金の額(別表2-1④欄)671万5686円上記金額は,原告が平成22年3月期の法人税の すべき金 額である(原告が争わないとしている部分である。)。 (エ) 損金の額に算入されない寄附金の額(別表2-1④欄)671万5686円上記金額は,原告が平成22年3月期の法人税の確定申告における所得金額の計算上,損金の額に算入した金額であるが,上記金額は,租税 特別措置法(平成22年法律第6号による改正前のもの)66条の4第3項に規定する国外関連者に対する寄附金に該当し損金の額に算入されないことから,原告の所得金額に加算すべき金額である(原告が争わないとしている部分である。)。 イ所得金額に対する法人税額(別表2-1⑥欄) 1億9552万0500円上記金額は,前記アの所得金額(国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項の規定に基づき1000円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に,法人税法(平成23年法律第114号による改正前のもの)66条1項に規定する税率(100分の30)を乗じて計算し た金額である。 ウ法人税額から控除する所得税額等(別表2-1⑧欄)2億0367万8307円上記金額は,法人税法(平成23年法律第114号による改正前のもの)68条及び法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)69条 の規定により,法人税額から控除する所得税等の金額である。上記金額は,原告の平成22年3月期の法人税の確定申告書(乙2の1)に記載された,法人税額から控除する所得税の額2327万2027円に平成22年3月期更正処分に伴い控除することとなる外国税額1億8040万6280円を加算した金額である。 エ納付すべき法人税額(別表2-1⑨欄) △815万7807円 上記金額は,前記イの金額から上記ウの金額を差し引いた金額である。 オ既 280円を加算した金額である。 エ納付すべき法人税額(別表2-1⑨欄) △815万7807円 上記金額は,前記イの金額から上記ウの金額を差し引いた金額である。 オ既に納付の確定した法人税額(別表2-1⑩欄)△6460万3514円上記金額は,平成22年3月期当初更正処分により,既に納付の確定した法人税額であり,平成27年6月26日付けでした平成22年3月期更 正処分に係る更正通知書及び加算税の賦課決定通知書の「更正又は決定の金額」の「19」欄に記載された金額と同額である。 カ差引納付すべき法人税額(別表2-1⑪欄) 5644万5700円上記金額は,前記エの金額から上記オの金額を差し引いた金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数金額を切り捨てた後のも の)であり,平成22年3月期更正処分により原告が新たに納付すべき法人税額である。 キ翌期へ繰り越す欠損金(別表2-1⑫欄) 0円上記金額は,平成22年3月期当初更正処分により翌期へ繰り越した欠損金額5億3082万1195円から,法人税法132条の2により翌期 へ繰り越されない欠損金額5億3082万1195円を差し引いた金額である。 (2) 平成23年3月期更正処分の根拠ア所得金額(別表2-2⑤欄) 26億4718万7504円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)及び(ウ)の金額を加算し,(エ)の金 額を減算した金額である。 (ア) 修正申告における所得金額(別表2-2①欄)21億6589万7785円上記金額は,原告が平成24年6月18日付けで処分行政庁に提出した平成23年3月期の法人税の修正申告書(乙2の3)に記載された所 得金額と同額である。 欄)21億6589万7785円上記金額は,原告が平成24年6月18日付けで処分行政庁に提出した平成23年3月期の法人税の修正申告書(乙2の3)に記載された所 得金額と同額である。 (イ) 法人税法132条の2による所得金額の増加額(別表2-2②欄)5億3082万1195円上記金額は,原告が平成23年3月期の法人税の修正申告における所得金額の計算上,繰越欠損金として損金の額に算入した金額であるが,法人税法132条の2により損金の額に算入されないことから,原告の 所得金額に加算すべき金額である。 (ウ) 損金の額に算入されない交際費等の額(別表2-2③欄)46万9524円上記金額は,原告が平成23年3月期の法人税の確定申告における所得金額の計算上,損金の額に算入した金額であるが,租税特別措置法 (平成23年法律第82号による改正前のもの)61条の4により損金の額に算入されないことから,原告の所得金額に加算すべき金額である(原告が争わないとしている部分である。)。 (エ) 損金の額に算入される事業税等の額(別表2-2④欄)5000万1000円 上記金額は,平成22年3月期更正処分に伴い納付することとなる事業税及び地方法人特別税の合計額であり,損金の額に算入されるため,原告の所得金額から減算すべき金額である。 イ所得金額に対する法人税額(別表2-2⑥欄)7億9415万6100円 上記金額は,前記アの所得金額に,法人税法(平成23年法律第114号による改正前のもの)66条1項に規定する税率(100分の30)を乗じて計算した金額である。 ウ法人税額の特別控除額(別表2-2⑦欄) 1億9053万9990円上記金額は,租税特別措置法(平成23年法律第82号による改正前の 定する税率(100分の30)を乗じて計算した金額である。 ウ法人税額の特別控除額(別表2-2⑦欄) 1億9053万9990円上記金額は,租税特別措置法(平成23年法律第82号による改正前の もの)42条の4の規定により,原告の平成23年3月期の法人税額から 控除される試験研究費に係る特別控除額であり,原告の平成23年3月期の修正申告書(乙2の3)に記載された法人税額の特別控除額2億0028万0271円から,試験研究費の増加額等に係る法人税額の特別控除額の対象とならない974万0281円(原告が争わないとしている部分である。)を差し引いた金額と同額である。 エ法人税額から控除する所得税額等(別表2-2⑧欄)1億8462万4570円上記金額は,法人税法(平成23年法律第114号による改正前のもの)68条及び69条の規定により,原告の平成23年3月期の法人税額から控除される所得税等の金額である。上記金額は,原告の平成23年3月期 の法人税の修正申告書(乙2の3)に記載された法人税額から控除する所得税の額1810万6632円に平成23年3月期更正処分に伴い控除することとなる外国税額1億6651万7938円を加算した金額である。 オ納付すべき法人税額(別表2-2⑨欄) 4億1899万1500円上記金額は,前記イの金額から前記ウ及びエの金額を差し引いた金額 (通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)である。 カ既に納付の確定した法人税額(別表2-2⑩欄)3億0966万0400円上記金額は,原告が平成24年6月18日付けで処分行政庁に提出した 平成23年3月期の法人税の修正申告書(乙2の3)により確定した法人税額である。 キ差引納付すべ 億0966万0400円上記金額は,原告が平成24年6月18日付けで処分行政庁に提出した 平成23年3月期の法人税の修正申告書(乙2の3)により確定した法人税額である。 キ差引納付すべき法人税額(別表2-2⑪欄)1億0933万1100円上記金額は,前記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額であり, 平成23年3月期更正処分により原告が新たに納付すべき法人税額である。 (3) 本件各更正処分の適法性原告の本件各事業年度の法人税に係る所得金額,納付すべき法人税額及び平成22年3月期から平成23年3月期へ繰り越す欠損金額は,前記(1)及び(2)のとおりであるところ,これらはいずれも本件各更正処分における所得金額,納付すべき法人税額及び平成22年3月期から平成23年3月期へ繰り 越す欠損金額とそれぞれ同額であるから,本件各更正処分はいずれも適法である。 2 本件各賦課決定処分の根拠及び適法性上記1のとおり,本件各更正処分はいずれも適法であるところ,本件各更正処分により原告が新たに納付すべき法人税額については,その計算の基礎とな った事実について,原告がこれを計算の基礎としなかったことに,通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)65条4項に規定する「正当な理由」があるとは認められない。 したがって,本件各事業年度の法人税につき,原告に対して課されるべき過少申告加算税の額は,以下のとおりである。 (1) 本件各賦課決定処分の根拠ア平成22年3月期更正処分に係る過少申告加算税の額701万1500円上記金額は,平成22年3月期更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額5644万5700円(甲21の1・1枚目「更正又は 決定の金額」の「20」欄) 税の額701万1500円上記金額は,平成22年3月期更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額5644万5700円(甲21の1・1枚目「更正又は 決定の金額」の「20」欄)から平成22年3月期当初更正処分により増加した法人税の還付金額953万3743円(同号証の1・1枚目「申告又は更正前の金額」の「20」欄)を差し引いた4691万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)65条1項の規 定に基づく100分の10の割合を乗じて算出した金額469万1000 円に,同条2項の規定に基づき,平成22年3月期更正処分により新たに納付すべきこととなった税額5644万5700円から平成22年3月期当初更正処分により増加した法人税の還付金額953万3743円(同号証の1・1枚目「申告又は更正前の金額」の「20」欄)を差し引いた4691万1957円のうち,同条3項に規定する期限内申告税額に相当す る金額0円(同号証の1・1枚目「申告又は更正前の金額」の「13」及び「14」欄の合計額)と50万円とのいずれか多い金額である50万円を超える部分の額4641万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に100分の5の割合を乗じて算出した金額232万0500円を加算した金額である。 イ平成23年3月期更正処分に係る過少申告加算税の額1093万3000円上記金額は,平成23年3月期更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額1億0933万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に通則法(平成28年法律第1 5号による改正前のもの)65条1項 告が新たに納付すべきこととなった税額1億0933万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)に通則法(平成28年法律第1 5号による改正前のもの)65条1項の規定に基づく100分の10の割合を乗じて算出した金額である。 (2) 本件各賦課決定処分の適法性本件各事業年度の法人税につき,原告に対して課されるべき過少申告加算税の額は上記(1)のとおりであり,本件各賦課決定処分における過少申告加算 税の金額は,上記(1)に示した各金額と同額であるから,本件各賦課決定処分は適法である。 以上

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