主文 被告人を懲役10年に処する。 未決勾留日数中130日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)第1(令和6年10月18日付け追起訴状記載の公訴事実に対応するもの)被告人は、令和5年12月30日午前0時1分頃から同日午前0時5分頃までの間に、横浜市a 区b 町i 番地j 先歩道上において、A(氏名及び当時の年齢は別紙(省略)のとおり)に対し、同人をその場に投げ倒し、その頭部付近を足蹴りする暴行を加え、さらに、同区b 町k 番地先歩道上において、その腹部を複数回足蹴りするなどの暴行を加え、よって、前記一連の暴行により、同人に全治約2か月間を要する外傷性肝損傷、右第9から11肋骨骨折、前額部挫創の傷害を負わせた。 第2(令和6年6月28日付け起訴状記載の公訴事実に対応するもの)被告人は 1 公安委員会の運転免許を受けないで、令和6年4月17日午後11時18分頃、横浜市c 区dl 丁目m 番地n 付近道路において、普通乗用自動車を運転した。 2 前記日時頃、前記車両を運転し、前記場所先の信号機により交通整理の行われている交差点をe 方面から川崎市f区g方面に向かい進行するに当たり、同交差点の停止線の手前約34.9mの地点に至るまでには、同交差点の対面信号機が赤色表示であることを認めたにもかかわらず、同地点で同交差点の交差道路の信号機が黄色表示であることを認めたため、同交差点の対面信号機の信号表示を意に介することなく、同交差点に進入するまで同信号機が赤色を表示したままであるとしてもこれを無視して進行しようと考え、ブレーキを踏まずに進行を続けた上 を認めたため、同交差点の対面信号機の信号表示を意に介することなく、同交差点に進入するまで同信号機が赤色を表示したままであるとしてもこれを無視して進行しようと考え、ブレーキを踏まずに進行を続けた上、同交差点の停止線手前約7.6mの地点でアクセルを踏 んで進行し、同信号機が赤色を表示していたのに、これを殊更に無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度である時速約45㎞で同交差点に進入したことにより、折から左方道路から黄色信号に従わず進行してきたB(当時48歳)運転の普通自動二輪車に自車左側部を衝突させて同自動二輪車もろとも同人を路上に転倒させ、よって、同人に顔面粉砕骨折、頭蓋冠骨折、脳底部挫滅等の傷害を負わせ、同月19日午前6時39分頃、横浜市c区ho 丁目p 番地所在のC病院において、同人を前記傷害に基づく外傷性脳障害により死亡させた。 3 前記1記載の日時場所において、前記自動車を運転中、前記2のとおり、前記Bに傷害を負わせる交通事故を起こし、もって自己の運転に起因して人に傷害を負わせたのに、直ちに車両の運転を停止して、前記Bを救護する等必要な措置を講じず、かつ、その事故発生の日時及び場所等法律の定める事項を、直ちに最寄りの警察署の警察官に報告しなかった。 (事実認定に関する補足説明)第1 争点危険運転致死の事実について、被告人が、判示交差点(以下「本件交差点」という。)の対面信号機(以下「本件対面信号」という。)の赤色表示の状態で本件交差点に進入して左方道路から進入してきた被害者車両と衝突したが、その際、被害者の対面信号機(以下「本件交差信号」という。)も赤色表示であるいわゆる全赤状態であったこと、この全赤は本件対面信号が赤色表示から青色表示に変わる前のものであったことについてはいずれも争いがなく、関係証拠からも認 (以下「本件交差信号」という。)も赤色表示であるいわゆる全赤状態であったこと、この全赤は本件対面信号が赤色表示から青色表示に変わる前のものであったことについてはいずれも争いがなく、関係証拠からも認定できる。本件の争点は、被告人が本件対面信号の赤色表示を殊更に無視したといえるか否かである。 第2 判断の前提となる事実関係証拠によれば、次の事実が認められる(以下、本件事故当日である令和6年4月17日については年月日の記載を省略する。)。 1 本件交差点の状況等 本件交差点は信号機のある十字路交差点である。そのe方面には、本件交差点まで400m以上にわたる直線が続く片側2車線の道路(以下「本件道路」という。)があり、本件交差点手前では本件交差点に向かって緩やかな上り勾配となっている。 本件道路の制限速度は毎時50㎞である。 本件対面信号(本件道路側の対面信号)は赤色表示38秒の後に青色表示に変わり、この赤色表示のうち最後の3秒が本件交差点の全信号機が赤となる全赤である。 本件交差信号は、黄色表示3秒の後に赤色表示に変わってこの全赤となる。 2 衝突前の各車両の走行状況被告人は、被告人車両(大型のミニバン)に友人2人を同乗させ本件道路の第2車線を走行して本件交差点に向かい、本件交差点を直進進行しようとした。 被告人車両は、衝突の約5秒前に時速約56㎞で走行しており、それからアクセルもブレーキも踏まれないまま減速しつつ進行したが、衝突の約2秒前(停止線約7.6m手前の地点)からアクセルが踏まれ、時速約45㎞で本件交差点に進入し、午後11時18分頃、被告人車両左側部と左方道路から本件交差点に進入してきた被害者車両(普通自動二輪車)前部との衝突が生じた。被告人車両は、衝突の約0. 65秒前までアクセルが踏まれた状態であり、衝突の約0 1時18分頃、被告人車両左側部と左方道路から本件交差点に進入してきた被害者車両(普通自動二輪車)前部との衝突が生じた。被告人車両は、衝突の約0. 65秒前までアクセルが踏まれた状態であり、衝突の約0.35秒前にブレーキが踏まれた。 衝突の約1.6秒後に本件対面信号は青色表示に変わった。したがって、本件対面信号は、衝突の約36.4秒前から赤色表示であり、本件交差信号は、衝突の約4.4秒前に青色表示から黄色表示に変わり、衝突の約1.4秒前に黄色表示から赤色表示に変わっていた。 被害者車両の衝突時の推定速度に基づいて衝突前の被害者車両の位置を測定すると、被害者車両は本件交差信号が黄色表示から赤色表示に変わった時点では停止線直前を走行しており、被害者車両は、黄色信号に従わず進行し、本件交差点に進入した。 第3 当裁判所の判断 1 被告人供述の信用性⑴ 被告人は、公判において、「本件交差点の停止線手前約34.9mの地点(統合捜査報告書(甲107)の各見取図④の地点)で、本件交差信号が黄色であることを見て、本件対面信号が赤色であると分かった。2秒程度たてば本件対面信号は青色に変わり、自分が本件交差点に進入する時には本件対面信号は青色であると思ったので、停止せずに本件交差点に進入することにした。本件交差点に進入する前に本件対面信号の赤色表示を一度見たと思うが、いつ見たかは覚えていない。」と供述するので、この被告人供述の信用性を検討する。 ⑵ 関係証拠によれば、被告人車両が統合捜査報告書(甲107)の各見取図④の地点(以下「④地点」という。)を走行していたのは衝突の約4秒前(細かくは約4.1秒前から3.95秒前)であり、その際の速度は毎時約52㎞であったことが認められるところ、その時点で本件交差信号は既に黄色表示となっていたから、 )を走行していたのは衝突の約4秒前(細かくは約4.1秒前から3.95秒前)であり、その際の速度は毎時約52㎞であったことが認められるところ、その時点で本件交差信号は既に黄色表示となっていたから、本件交差信号の視認についての被告人供述は、実際の信号表示と整合するもので信用でき、被告人は、④地点で本件交差信号が黄色表示であるのを見たことが認められる。 ⑶ しかしながら、被告人供述中、本件交差点に進入する時には本件対面信号は青色であると思ったので停止せずに本件交差点に進入したとの点は信用することができない。 被告人は、④地点において、本件交差点までの距離とその時点での被告人車両の速度をおおよそ把握できていたはずであり、④地点からこのまま進行すればすぐに停止線を越えることは分かっていたはずである(実際に、被告人車両がブレーキの踏まれないまま進行すれば3秒未満で停止線を越えていた。)。そして、被告人は、本件交差信号が青色から黄色に変わる場面を見たわけではなく、本件交差信号がいつ赤色に変わるかは把握できていなかった上、交差信号の表示が黄色から赤色に変わった後、数秒間の全赤を経てから対面信号が青色表示となることは、相応の運転経験があった被告人も当然知っていたといえる。被告人が認識していたこのような 状況からすれば、被告人が、④地点で本件交差信号の黄色表示を見てから2秒程度で本件対面信号が青色表示になると考える根拠はなく、本件交差点の進入時に本件対面信号が青色表示になると信じるような状況はない。 また、被告人が青色信号に変わってから交差点に進入しようとしていたのであれば、赤色信号のまま進入してしまわないよう、対面信号の表示を注視しつつ交差点に近付くにつれて適宜減速するなどした上、青色信号に変わったことを確認してから交差点に進入しようと しようとしていたのであれば、赤色信号のまま進入してしまわないよう、対面信号の表示を注視しつつ交差点に近付くにつれて適宜減速するなどした上、青色信号に変わったことを確認してから交差点に進入しようとするはずであるのに、被告人は④地点を過ぎてもブレーキを踏まなかったばかりか、逆に、停止線手前約7.6mといった本件交差点直前の地点でアクセルを踏んでおり、④地点から先の運転態様は、青色信号になって本件交差点に進入しようとして行われたものとは考え難い。 このような被告人が④地点において認識していた状況と④地点から先の被告人の運転態様からすれば、被告人は、④地点においてそのまま進行すれば本件対面信号が赤色表示のうちに本件交差点に進入してしまう可能性が高いことを分かっていたはずであり、本件交差点に進入する時には本件対面信号は青色であると思った、言い換えれば、赤色のままであるとは思っていなかったとの供述は信用できない。 この点について、弁護人は、被告人がブレーキを踏まずにアクセルを踏むという行動をしたのは本件対面信号が青色に変わると思い込んでいたからであると主張する。しかし、前記のとおり、本件交差点の進入時に本件対面信号が青色表示になると信じるような状況はない上、後に述べるとおり、被告人が本件対面信号が赤色表示であったとしても、交差道路から車両が来る可能性が低い状況であれば進行しようと考えていたとみることのできる事情があり、そうであるとすれば、被告人の運転態様は、弁護人の指摘するような被告人の認識を裏付けるものとはいえない。弁護人の主張は採用できない。 ⑷ このほか、被告人は、④地点で本件交差信号の黄色表示を見ているのに、本件対面信号の赤色表示については、いつ見たかは覚えていないなどと曖昧な供述をしているが、このような供述は不自然極まりないもので ⑷ このほか、被告人は、④地点で本件交差信号の黄色表示を見ているのに、本件対面信号の赤色表示については、いつ見たかは覚えていないなどと曖昧な供述をしているが、このような供述は不自然極まりないものであり、これをそのまま信用 することはできない。 2 本件対面信号が赤色表示であることの確定的認識の有無被告人について本件対面信号の表示が見えないのに本件交差信号の表示が見えたという事態は考え難い上、本件交差信号の信号表示を見る理由としては本件対面信号の赤色表示を確認したからだと考えるのが合理的であることからすると、被告人は④地点において本件交差信号が黄色表示であるのを見る前に本件対面信号の赤色表示を見たことが推認され、関係証拠により認められる被告人車両の停止距離に照らし、被告人は、停止線手前で停止することが十分可能な地点に至るまでに本件対面信号の赤色表示を確定的に認識していたものと認められる。 ここで問題となるのは、被告人が④地点で本件交差信号の黄色表示を見ており、この黄色表示は、本件対面信号の表示が赤色から青色への変わり目に近いことを示す事情であることから、被告人が④地点あるいはその先の安全な位置で停止できる地点において、交差点進入時にも本件対面信号が赤色表示のままであるとの確定的な認識を有していた(そのように考えていた)かである。 しかし、被告人は、④地点で本件交差信号の黄色表示を見たのが赤色表示に変わるどのくらい前の時点であるかは分かっていたわけではない。被告人が④地点で本件交差信号の黄色表示を見たのが赤色表示に変わる直前であり、全赤が2秒間というような実際にあったとしてもおかしくない状況を仮定すると、本件交差点に進入するまでに本件対面信号は青色に変わる可能性がある。そうすると、被告人が、④地点あるいはその先において、本件 赤が2秒間というような実際にあったとしてもおかしくない状況を仮定すると、本件交差点に進入するまでに本件対面信号は青色に変わる可能性がある。そうすると、被告人が、④地点あるいはその先において、本件交差点進入時に本件対面信号が青色表示となっている可能性を単なる願望としては排斥できない程度には認識していた合理的な疑いがあり、被告人が、本件交差点進入時にも本件対面信号が赤色表示のままであるとの確定的な認識を有していたとは認められない。 もっとも、被告人が④地点に至るまでに本件対面信号が赤色表示であることを見ていたことに加え、前記1⑶に認定判示したところによれば、被告人は、④地点においてそのまま進行すれば本件対面信号が赤色表示のうちに本件交差点に進入して しまう可能性が高いと認識していたことは疑いの余地なく認められる。 3 赤色信号を殊更に無視したかについての検討そこで、前記2の被告人の認識を踏まえて、被告人が赤色信号を殊更に無視したかを検討する。 ⑴ ④地点通過後の走行態様被告人は、④地点に至るまでに本件対面信号が赤色表示であるのを見て、④地点で本件交差信号が黄色表示であるのを見た。被告人は、④地点でブレーキを踏めば停止線手前で停止することができたのに、アクセルもブレーキも踏まないままに進行し続け、本件交差信号の黄色表示を見てから約2秒後、本件交差点の停止線手前約7.6mの地点において、アクセルを踏み始め、時速約45㎞で停止線を越えて本件交差点に進入した。 被告人は、④地点までに本件対面信号が赤色であることを認識し、④地点からそのまま進行すれば、本件対面信号が赤色表示の状態で本件交差点に進入する可能性が高いことも認識していたのに、ブレーキを踏まずに進行を続けて本件交差点に進入しており、これは赤色信号に従わない態度である上 のまま進行すれば、本件対面信号が赤色表示の状態で本件交差点に進入する可能性が高いことも認識していたのに、ブレーキを踏まずに進行を続けて本件交差点に進入しており、これは赤色信号に従わない態度である上、被告人は、本件交差点進入の直前にアクセルを踏み始め、本件対面信号が赤色表示のうちに本件交差点内に進入してしまう可能性を高める行為をあえてしたことになる。このような行為は、本件対面信号の規制に従う意思とは相容れないものであり、むしろ、その表示を意に介さない態度が表われた行為というべきである。 以上の④地点通過後の被告人の走行態様からすれば、被告人が、④地点において、本件対面信号の信号表示を意に介することなく、本件交差点に進入するまで同信号が赤色を表示したままであるとしてもこれを無視して進行しようと考えていたことが強く推認される。 このことを踏まえて被告人が本件対面信号の赤色表示を見た後に本件交差信号の黄色表示を見た意味を改めて考えてみると、被告人は、本件交差信号の表示を見て、黄色や赤色であるなど交差道路から車両が進行してくる可能性が低い状況であれば、 本件対面信号が赤色表示であっても本件交差点に進入しようと考えてした行動であるとみるのが合理的である。 ⑵ 本件交差点に至るまでの走行態様関係証拠によれば、被告人は、衝突の約2分前、横浜市c区eq 丁目にあるD交差点を、対面信号と交差道路の歩行者用信号がいずれも赤色を表示し、第1車線及び第2車線の停止線手前でそれぞれ車両が信号待ちをしている状況で、第3車線の右折専用レーンから同交差点内に進入して直進した。被告人は、信号待ち車両があるのに右折専用レーンから直進していることから、対面信号が赤色表示であることを看過した可能性は考え難い。被告人は、対面信号の赤色表示を無視し、交差道路から車 して直進した。被告人は、信号待ち車両があるのに右折専用レーンから直進していることから、対面信号が赤色表示であることを看過した可能性は考え難い。被告人は、対面信号の赤色表示を無視し、交差道路から車両が進行してくる可能性が低い状況で同交差点に進入したものと認められる。 ⑶ ④地点における被告人の意思内容前記⑴の④地点通過後の走行態様から推認される被告人の意思内容に加え、前記⑵の本件交差点に至る前の交差点の通過態様も考慮すれば、被告人は、④地点に至るまでには、交差道路から車両が進行してくる可能性が低い状況であれば、対面信号の表示が赤色であったとしてもこれを無視して交差点に進入しようと考えており、④地点に至るまでに本件対面信号が赤色表示であることを認め、さらに、④地点で本件交差信号が黄色表示であるのを見たことにより、本件交差点において、交差道路から車両が進行してくる可能性が低いと判断し、本件交差点に進入するまで本件対面信号が赤色を表示したままであるとしてもこれを無視して進行しようと考えたものと認められる。 4 結論以上によると、被告人は、本件交差点を直進進行するに当たり、④地点に至るまでには、本件対面信号が赤色表示であることを認めており、④地点において本件交差信号が黄色表示であることを認めたため、停止線手前で停止することが十分可能であったのに、本件対面信号の信号表示を意に介することなく、本件交差点に進入するまで本件対面信号が赤色を表示したままであるとしてもこれを無視して進行し ようと考え、本件交差点に進入したと認められるから、赤色信号を殊更に無視したものと認められる。 なお、被告人が、本件交差点進入時に本件対面信号が赤色表示のままであると確定的に認識していたとは認められないから、本件は赤色信号殊更無視の中でも赤色信号である を殊更に無視したものと認められる。 なお、被告人が、本件交差点進入時に本件対面信号が赤色表示のままであると確定的に認識していたとは認められないから、本件は赤色信号殊更無視の中でも赤色信号であることを確定的に認識し、停止位置で停止することが十分可能であるにもかかわらず、これを無視して進行する類型(いわゆる第1類型)には該当しないものであると判断した。 (量刑の理由) 1 量刑判断の中心となる危険運転致死の犯行についてみると、被告人は、大型のミニバンを運転し、本件交差点手前で対面信号の赤色と交差信号の黄色を確認した後、信号表示を意に介さず、ブレーキを踏まずに進み続けて交差点に進入し、被害者のバイクとの衝突を引き起こした。危険な運転であり、被告人には信号を守ろうとする態度がみられない。もっとも、この衝突には被害者が交差道路側の黄色信号に従わずに交差点に進入したことも影響しており、この点は一定程度考慮できる事情である。 一人の命が失われた結果が重大であることはいうまでもなく、突如命を絶たれた被害者の無念は察するに余りある。大切な家族を亡くした遺族が深い悲しみを訴え、被告人に対し厳罰を求めるのも当然である。加えて、被告人の車について任意保険はおろか自賠責保険の締結もなく、被害者遺族に対する賠償のめどは立っていない。 また、被告人は、無免許運転を含む非行による保護処分の前歴があり、その後免許を取得してもいないのに、車を購入して乗り回し、事故当日も無免許でその運転を開始しており、そもそも法を守ろうとする意識が乏しい。 さらに、被告人は、衝突状況等から重大な人身事故を起こした可能性が高いことを分かっていた上、同乗者から事故現場に戻るよう言われたにもかかわらず、逃走したものであり、無責任極まりなく、保身のために人命を軽視する態 度 から重大な人身事故を起こした可能性が高いことを分かっていた上、同乗者から事故現場に戻るよう言われたにもかかわらず、逃走したものであり、無責任極まりなく、保身のために人命を軽視する態 度はより一層強い非難に値する。 被告人は、これら一連の犯行の時点で19歳の特定少年であったが、本来であれば運転免許を取得し、責任をもって車に乗るべき年齢であることからすれば、その未熟さを特段有利に考慮はできない。 2 傷害の犯行についてみると、被告人は、ラーメン店に居合わせた被害者(A)の友人に因縁をつけ、被害者が警察に通報するのを見ると被害者に暴行を加え、その後被害者が警察への通報を止めていないのを見付けると、再び暴行を加えた。執拗に暴行を加え続けた犯行態様は悪質で、その動機は理不尽である。被害者は、全治2か月を要する傷害のみならず、多大な恐怖を味わっており、その受けた精神的被害も軽視できない。 3 以上の犯情からすれば、本件は、同種事案(赤色信号を殊更に無視した危険運転致死のうち被害者車両乗車中の1名を死亡させ、量刑上考慮した前科がないもの)の量刑傾向の中でもかなり重い部類に属し、被告人はその刑事責任に見合った相当長期の実刑を免れない。 4 そこで、犯罪行為以外の事情についてみると、被告人は、公判で、対面信号の表示の認識について曖昧な供述に終始するなど、自らが犯した罪に真摯に向き合って反省しているとは認められない。このほか、傷害の被害者との間では示談が成立し、被害弁償がされたこと、前記1の事故の数日後に警察に出頭したこと、被告人が現在も特定少年で今後の立ち直りが期待できる年齢であり、被告人の母親が被告人の監督を誓約していることなどの被告人に有利な事情を考慮しても、被告人に対しては主文の懲役刑を科すことが相当である。 (検察官の求刑:懲 で今後の立ち直りが期待できる年齢であり、被告人の母親が被告人の監督を誓約していることなどの被告人に有利な事情を考慮しても、被告人に対しては主文の懲役刑を科すことが相当である。 (検察官の求刑:懲役10年)令和7年2月7日横浜地方裁判所第4刑事部 裁判長裁判官奥山豪 裁判官倉知泰久 裁判官山田洋子
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