令和2(ワ)2015 不当利得返還請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年1月20日 札幌地方裁判所
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判決文本文13,583 文字)

判決 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,163万2844円及びこれに対する令和2年3月19日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要 本件は,被告との間でフランチャイズ加盟契約等を締結し,「ほっともっとα店(以下「本件店舗」という。)」を経営していた原告が,平成24年10月から令和元年12月までに被告に対して支払った広告宣伝費等のうち月額7万5000円(消費税別,以下同じ。)を超えるチラシ折込費用等は原告に支払義務のないものであったとして,被告に対し,不当利得返還請求権又は債務不履行による 損害賠償請求権に基づき,163万2844円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲括弧記載の証拠及び弁論の全趣 旨により容易に認められる。 ⑴ 当事者等ア被告は,「ほっともっと」「やよい軒」の名称で飲食業のフランチャイズ事業を営む株式会社である。 イ原告は,平成21年3月1日,被告との間で,本件店舗に係る経営委託契 約を締結し,平成24年10月以降は,フランチャイズ加盟契約及びこれに 付帯するユニットFC契約を締結して,被告の加盟店として本件店舗を経営していた。 ⑵ 原告と被告との間の契約原告は,被告との間で,以下のとおり,本件店舗に関する契約を締結した。 なお,以下では,アないしエの経営委託契約を総称して「本件経営委託契約」, ⑵ 原告と被告との間の契約原告は,被告との間で,以下のとおり,本件店舗に関する契約を締結した。 なお,以下では,アないしエの経営委託契約を総称して「本件経営委託契約」, オないしキのフランチャイズ契約を総称して「本件加盟契約」,ユニットFC契約を総称して「本件ユニットFC契約」ということがある。 ア平成21年3月1日経営委託契約イ平成22年1月1日経営委託契約ウ平成23年1月1日経営委託契約 エ平成24年1月1日経営委託契約オ平成24年10月1日フランチャイズ加盟契約及びユニットFC契約カ平成27年10月1日フランチャイズ加盟契約及びユニットFC契約キ平成30年10月1日フランチャイズ加盟契約及びユニットFC契約⑶ 本件経営委託契約における広告宣伝費等の定め 本件経営委託契約では,広告宣伝費等について次のとおり定められている(甲14,弁論の全趣旨)。 ア第5条(広告宣伝費等)乙(原告)は,甲(被告)に対し,本契約の期間中,広告宣伝費及び販売促進活動費として契約要項4に記載の金員を翌月17日までに支 払わなければならない。 2 甲(被告)は,経済事情の変化等により,前項に定める金額を変更することがある。 イ契約要項4広告宣伝費等【第5条】 月額金75,000円 ⑷ 本件加盟契約における広告宣伝費等の定め 本件加盟契約では,広告宣伝費等について次のとおり定められている(甲2,15,17)。 ア第10条(広告宣伝費等)加盟者(原告)は,開店日以降,本契約の期間中,広告宣伝等に要する費用として別表に定める について次のとおり定められている(甲2,15,17)。 ア第10条(広告宣伝費等)加盟者(原告)は,開店日以降,本契約の期間中,広告宣伝等に要する費用として別表に定める金額を毎月本部に支払うものとする。 ⑵ 本部は,経済事情の変化等により,前項に定める費用を変更することがある。 イ別表 (広告宣伝費等)第10条広告宣伝費及び販売促進活動費は,金75,000円也とする。 ⑸ 支払の事実 原告は,被告に対し,平成24年10月から令和元年12月までの間,月額7万5000円の広告宣伝費等とは別に,別紙販促品等一覧記載のとおり,B4チラシ折込費用として86万9928円,販促品代金として60万9766円,エリア販促費として7万2150円及びキャンペーン販促代として8万1000円の合計163万2844円を支払った(以下,原告が支払ったこれら 費用等を「本件折込費用等」という。)。 第3 争点及びこれに対する当事者の主張 1 争点本件の争点は,①不当利得返還請求については,本件折込費用等を被告が受領する法律上の原因がなかったか,②債務不履行に基づく損害賠償請求については, 被告の信義則上の説明義務違反の有無である。 2 不当利得返還請求について(原告の主張)⑴ B4チラシ折込費用等の実費についてア原告は,被告に対し,B4チラシ折込費用を支払っているが,チラシ折込 費用は,チラシを折り込んで広告宣伝のために頒布する際にかかる実費であ るから「広告宣伝費」の定額に含まれる費用である。 イ被告担当者の説明内容 原告は,平成24年5月18日,被告のFC第一営業部のCからユニットFC契約の説明 実費であ るから「広告宣伝費」の定額に含まれる費用である。 イ被告担当者の説明内容 原告は,平成24年5月18日,被告のFC第一営業部のCからユニットFC契約の説明を受けた際,「FCサポート条件案」(甲4)を交付され,Cはこれに基づいて説明を行った。 Cは,原告に対し,東日本地区では「広告宣伝費等」として定額で月額7万5000円であると説明し,FCサポート条件案では,販売促進費は9万4000円と記載されているが,月額7万5000円の誤りであると説明した。なお,FCサポート条件案の年間予測損益計算書には,販売促進費は「固定」と付記されている。 また,Cは,契約概略の説明の際,参考資料として西日本地区の「加盟店募集のご案内ユニットFC制度」(甲19)を原告に交付し,西日本地区である石川県では「宣伝広告費」は3万5000円のほかに別途販売促進費として実費が発生すると説明した。 原告は,同年8月,本件店舗のバックヤードで被告担当者であるDスー パーバイザー(以下「DSV」という。)から「ユニットFC制度活用のご案内」(甲5)を交付され,これをもとにユニットFC契約の概要説明を受けたが,このときも「広告宣伝費等」は定額7万5000円とだけ説明された。 また,同ご案内の5枚目には,契約比較一覧が掲載されているが,広告 宣伝費等は,西日本地区では「3万5000円+実費」と記載されているが,東日本地区では「7万5000円」としか記載されていない。 原告は,同年9月上旬頃,苫小牧市内のファミリーレストランにおいて,DSVから,契約内容の説明を受けた。DSVは,ノートパソコンの画面を見ながら契約書の概要を説明したが,原告には加 。 原告は,同年9月上旬頃,苫小牧市内のファミリーレストランにおいて,DSVから,契約内容の説明を受けた。DSVは,ノートパソコンの画面を見ながら契約書の概要を説明したが,原告には加盟契約書及びユニット FC契約書のいずれも交付されず,ノートパソコンの画面も見せられず, 説明を聞くだけであった。 このときにも広告宣伝費等として定額7万5000円のほかに実費が発生することの説明はなかった。 平成31年4月下旬,被告担当者であるEオペレーション・フィールド・カウンセラー(以下「EOFC」という。)が,本件店舗を訪れ,原告に対 し,「広告宣伝費等変更に伴う別表変更の件」(甲7)を示し,広告宣伝費等は金7万5000円から広告宣伝費3万5000円販売促進費は別途実費と変更することを説明し,「広告宣伝費等の変更に関する覚書」(甲8)に署名することを求めた。なお,原告は,署名を断った。 後日,EOFCは,平成31年4月11日付け「広告宣伝費等変更に関 する費用内訳の件」(甲6)と題する書面を提示して,広告宣伝費等のほかに実費がかかることを説明した。 原告は,このときはじめて広告宣伝費等のほかにチラシ折込費用等の実費がかかることを認識した。これ以前に,被告が原告に対し,実費が広告宣伝費に含まれないことを説明したことはない。 ⑵ 販売促進費について本件加盟契約では,加盟店は広告宣伝費等に要する費用として,毎月7万5000円を負担することとされているが(第10条及び別表),「広告宣伝費等」は「広告宣伝費及び販売促進活動費」とされているとおり,7万5000円の中には,広告宣伝費等に加えて販売促進費も含まれている。 原告が被告に対し支払った販促品,エリ 「広告宣伝費等」は「広告宣伝費及び販売促進活動費」とされているとおり,7万5000円の中には,広告宣伝費等に加えて販売促進費も含まれている。 原告が被告に対し支払った販促品,エリア販促費,キャンペーン販促代は,いずれも販売促進活動にかかる費用であるから,販売促進費に含まれるものである。 そして,本件加盟契約には,販促品,エリア販促費,キャンペーン販促代について,加盟店に支払義務があることを定めた規定はなく,被告が原告に対し て広告宣伝費等のほかに別途請求できる契約上の根拠は存在しない。 ⑶ 公正取引委員会は,「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法の考え方」を策定し,「募集にあたり加盟希望者の適正な判断に資するため,十分な情報が開示されていることが望ましい」とされ,「加盟者に対する事業活動上の指導の内容,方法,回数,費用負担に関する事項」「加盟後,本部の商標,商号等の使用,経営指導等の対価として加盟者が本部に定期的に支払う金銭(ロイ ヤルティ)の額,算定方法,徴収の時期,徴収の方法」などについて,「開示が的確に実施されることが望ましい」としている。フランチャイズ事業を営む被告は,募集段階で原告に示す文書の中で広告宣伝費等のほかに実費を徴収することも明示する必要がある。 また,中小小売振興法11条1項6号,同規則10条12号及び11条7号 に照らしても,被告は,法定開示書面において広告宣伝費等のほかに実費費用を徴収することの記載が義務付けられている。 しかし,「FCサポート条件案」及び「ユニットFC制度活用のご案内」には,実費の負担が必要であることが一切記載されていない。 ⑷ 以上のように,本件加盟契約において広告宣伝費等は月額7万5000円の 定額 サポート条件案」及び「ユニットFC制度活用のご案内」には,実費の負担が必要であることが一切記載されていない。 ⑷ 以上のように,本件加盟契約において広告宣伝費等は月額7万5000円の 定額とされ,実費が生じる旨の文言はなく,加盟店向けの説明でも同様の説明がなされており,原告は広告宣伝費等のほかに実費を支払うことについて同意していない以上,被告が,本件折込費用等を原告から徴収する法律上の原因はない。したがって,原告が被告に対し支払った163万2844円は,不当利得となる。 ⑸ 被告は店舗責任者会議で販促計画書を交付して同意を得ていると主張するが,同会議において,被告担当者から別途実費がかかる旨の説明はなかった。 店舗責任者会議では,担当OFCから加盟店に対し,販促計画が決定事項として伝えられるのみであり,折込の発注等に関するFAXについて,原告の意見が反映されるということはなかった。 (被告の主張) ⑴ 原告は,平成11年9月,株式会社ほっかほっか亭との間で労働契約を締結し,同社直営の「ほっかほっか亭β店」で働き始め,平成12年6月からは,同社直営の「ほっかほっか亭α店」で稼働し,平成16年8月1日からは,同店の店長になった(なお,株式会社ほっかほっか亭は,平成16年3月に被告に吸収合併されており,平成20年5月以降同店の名称は,「ほっともっとα 店」となった。)。 被告は,直営店の店長に対し,経営の数値管理について教育し,売上げと粗利益を確保するよう指導していた。特に原告は,「ひまわり店長(有期契約の従業員でありながら,能力を評価されて店長に抜擢されたもの。)」として,担当店舗の粗利益の多寡により業績向上分の一部を店長手当に反映させて昇給す るという評価を受けており,数 店長(有期契約の従業員でありながら,能力を評価されて店長に抜擢されたもの。)」として,担当店舗の粗利益の多寡により業績向上分の一部を店長手当に反映させて昇給す るという評価を受けており,数値管理を熟知していた。 したがって,原告は,被告から提供されるチラシについて店頭に置くか新聞折込やポスティングにするかを判断できる立場にあり,新聞折込やポスティングにした場合,その費用が月額7万5000円の広告宣伝費等とは別に販売促進費として経費計上されることを知っていた。 ⑵ 原告は,平成21年3月1日に経営委託契約を締結しているが,当該契約締結時,被告は,原告に対し,「経営委託契約のあらまし」(甲1)を交付し,広告宣伝費等として7万5000円とは別に,店長の時に経費として計上していたチラシ折込費用や販促品費用等は支払ってもらうことを説明し,店長経験者である原告もそのことを理解していた。 ⑶ 本件加盟契約締結の際の説明等ア被告担当者であるCは,平成24年4月3日と同年5月8日の2回 ,被告の北海道事務所において,原告と面談し,ユニットFC契約の説明を行った。その際,広告宣伝費等については,前記⑵と同様の説明を行っており,原告もこれに同意していた。 なお,原告が面談日であると主張する同年5月18日は,Cは仙台に出張 しており,同日原告に対する契約の説明は行っていない。 イ DSVは,同年8月20日,原告と面談を行い,原告に対し,法定開示書面である「フランチャイズ契約のご案内」(乙1,以下「本件案内書面」という。)と「事業計画書」(乙2,以下「本件事業計画書」という。)を交付して本件加盟契約及びユニットFC契約について説明した。本件事業計画書に は,販売促進 案内」(乙1,以下「本件案内書面」という。)と「事業計画書」(乙2,以下「本件事業計画書」という。)を交付して本件加盟契約及びユニットFC契約について説明した。本件事業計画書に は,販売促進費として9万4000円を記載しているが,これは,本件案内書面記載のとおり東日本地区では広告宣伝費等7万5000円と合わせてチラシ折込費用やその他の販促品,エリア販促費,キャンペーン販促代等の実費として,東日本地区の平均値から算出した1万9000円程度を加算した額を負担してもらうという趣旨であり,被告は,原告に対し,そのように 説明した。 ⑶ 店舗責任者会議ア被告は,「ほっともっと」の直営店の店長及び加盟店のオーナー(以下,併せて「店舗責任者」という。)を対象とし,一定の地区毎に毎月店舗責任者会議を開催し,同会議において「販促計画書」を交付して,翌月に予定する 販促や商品,商品に使用する食材・調味料・包材等の商材及び販促ツールの案内を行い,店舗責任者の同意を得ている。 原告は,平成16年8月1日に本件店舗の店長になってから,店舗責任者会議に出席して販促計画書を受け取っていた。 イ販促計画書には,販促ツール等の項に,「定額」,「無償」という記載と,「価 格」が表示されているものがある。このうち,「定額」とあるものは,広告宣伝費等の7万5000円に含まれるものであり,「無償」とあるものは,広告宣伝費等に含まれないものの,無償で提供されるものである。そして,「価格」の記載のあるものは,当該価格で提供されるものである。 ウ B4チラシを追加発注する場合は,ファクシミリにて申請することとなっ ており,「キャンペーンチラシ」の表には,「キャンペーンB4チラシ(折込) /※折込費 ものである。 ウ B4チラシを追加発注する場合は,ファクシミリにて申請することとなっ ており,「キャンペーンチラシ」の表には,「キャンペーンB4チラシ(折込) /※折込費用は別途発生します。」と記載がある。 3 債務不履行に基づく損害賠償請求について(原告の主張)⑴ 原告と被告の契約は,フランチャイズ契約であり,継続的契約である以上,契約当事者間には高度の信頼関係が必要である。そして,信頼関係を構築する ためには,加盟店が負担すべき金員等については,契約書において明確にされている必要がある。そして,本部が加盟店に対し,契約書に記載がない金員を負担させる場合には,本件加盟契約31条(平成30年締結の加盟契約にあっては32条。)又は信義則に従い,法令,商慣習に従って加盟者である原告と協議し,その承諾を得る必要があった。 ⑵ したがって,被告には,原告に対し広告宣伝費等のほかに実費がかかることを説明し,原告の承諾を得るという契約上又は信義則上の義務があるといえる。 被告は,この義務に違反し,原告に対して何らの説明もせず,承諾を得ることもなく,広告宣伝費等のほかに実費を請求し,原告に支払わせたという点で債務不履行があり,その結果原告が被告に対し支払った163万2844円を 賠償すべき責任がある。 (被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実 前記前提事実,後掲括弧記載の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ⑴ 原告は,平成11年9月,株式会社ほっかほっか亭と労働契約を締結し,同社の直営店である「ほっかほっか亭β店」で勤務を開始した。その後原告は,「ほっかほっか亭α店」で稼働し,平成16年8月1日からは,同 告は,平成11年9月,株式会社ほっかほっか亭と労働契約を締結し,同社の直営店である「ほっかほっか亭β店」で勤務を開始した。その後原告は,「ほっかほっか亭α店」で稼働し,平成16年8月1日からは,同店の店長に なった(平成20年5月以降,同店の名称は「ほっともっとα店」(本件店舗) となった。)。 当時の原告の給与は,店舗の粗利益によって変動するものであった。また,原告は被告から提供されるチラシを店頭に置くか,ポスティングするか,新聞折り込みにするかについて一定の判断ができる立場にあり,チラシを折り込みにした場合,その費用が店舗の経費となることを理解していた。(以上,甲2 3,原告本人〔14,15頁〕)。 ⑵ 被告の直営店制度の変更を受け,原告と被告は,平成21年3月1日付けで本件経営委託契約を締結した。被告はその際,「経営委託契約のあらまし」(甲1)を原告に交付した。 経営委託契約のあらましには,広告宣伝費等の金額について,「月額75,0 00円」と記載されている(甲1〔2頁〕)。 ⑶ 本件経営委託契約は,平成22年1月1日付け,平成23年1月1日付け及び平成24年1月1日付けで更新されたが,同年3月頃,被告内部で新たなフランチャイズ制度としてユニットFC制度が作られることとなった。(乙95,C〔3頁〕)。 ⑷ Cによる説明Cは,平成24年4月3日と同年5月8日,被告の北海道事務所において,ユニットFC制度を利用したフランチャイズ加盟契約の締結を希望していた原告と面談し,従前の経営委託契約とユニットFC制度を利用した加盟契約の違いについて説明し,原告の意思確認等を行った。その際,Cは,原告に対し, 加盟契約やユニットFC契約についての資料は渡しておらず,説明 従前の経営委託契約とユニットFC制度を利用した加盟契約の違いについて説明し,原告の意思確認等を行った。その際,Cは,原告に対し, 加盟契約やユニットFC契約についての資料は渡しておらず,説明は口頭で行った(C〔3,16頁〕)。 なお,Cは,平成24年5月18日,仙台に出張していた(乙90ないし92)。 ⑸ DSVによる説明 ア同年8月20日,DSVは,原告と面談し,原告に対し加盟契約及びこれ に付帯するユニットFC契約の説明を行った。 その際,DSVは,原告に対し,本件案内書面及び本件事業計画書を交付し,加盟契約書を原告と読み合わせて確認を行った(C〔25頁〕)。 イ本件案内書面には,「広告宣伝費等」について,以下のとおり記載がある(乙1)。 金額・広告宣伝費:毎月金3万6750円(消費税1,750円を含む)・販売促進物等の費用:実費を請求いたします。 但し,一部地域については次の金額を加盟者に請求いたします。 ・広告宣伝費及び販売促進活動費:毎月金78,750円(消費税3,750円を含む) 性質当社が行うテレビCM,ラジオCM等の広告宣伝等に要する費用及び各種販売促進物等の費用ウ本件事業計画書の月次の損益計画の項には,販売促進費の金額欄に9万4000円と記載されている(乙2)。 ⑹ 原告は,同年9月12日,被告に対し,205万4000円を振り込み,同 月中に,加盟契約書及びユニットFC契約書を提出した(甲15,16)。 ⑺ 店舗責任者会議ア被告は,毎月店舗責任者会議を開催しており,原告は,遅くとも平成24年10月1日以降は,店長としてこの店舗責任者会議に参加していた。 イ被告は,店舗責任者会議にお ⑺ 店舗責任者会議ア被告は,毎月店舗責任者会議を開催しており,原告は,遅くとも平成24年10月1日以降は,店長としてこの店舗責任者会議に参加していた。 イ被告は,店舗責任者会議において,販促ツール等が記載されている販促計 画書を店舗責任者らに交付しており,原告もこの販促計画書の交付を受け,販促,販促ツール及び商材の内容について説明を受けていた。 ウ販促計画書には,例えば,次のような記載がある。 2012年10月度販促計画書(乙3)a 「3.⑴販促ツール詳細東日本」の頁 商品名「B4チラシ」の価格欄には,「定額(追加分有償)」,商品名 「のぼり(追加発注分)」の価格欄には「@800円」,商品名「帯告知」の価格欄には「無償」との記載がある。 b 「3.⑵-①追加発注表(Nо.1) 関東/東日本/北海道」の頁≪追加発注≫との記載の下に,「発注方法」として,「下記発注書に記入し,支店宛にFAXして下さい。」との記載がある。 商品名「11月キャンペーンB4チラシ(店舗納品分)」及び「同(折込分)」の価格欄にはいずれも「1500円」,商品名「メニューパンフレット11月号」の価格欄には「600円」,商品名「のぼり」の価格欄には「800円」との記載がある。 2014年8月度販促計画書(乙25) a 「3.⑴販促ツール詳細北海道」の頁商品名「メニューパンフレット(100冊/袋)」の価格欄には「定額」,商品名「B4チラシ(東)」の価格欄には「定額(追加@5円/枚)」,商品名「帯告知」の価格欄には「無償」との記載がある。 また,⑤ファイターズキャンペーンの項の,商品名「タペストリー」 の価格欄には「定額」,商品名「帯 額(追加@5円/枚)」,商品名「帯告知」の価格欄には「無償」との記載がある。 また,⑤ファイターズキャンペーンの項の,商品名「タペストリー」 の価格欄には「定額」,商品名「帯告知」の欄には「無償」,商品名「ファイターズグッズ(60ヶ/ケース)」の価格欄には「@7,500円」との記載がある。 b 「3.⑵-①追加発注表(Nо.1) 東日本」の頁「発注方法」として,「下記発注書に記入し,支店宛にFAXして下さ い。」との記載がある。 商品名「キャンペーンB4チラシ(店舗納品分)」及び「同(折込分)」の価格欄にはいずれも「1500円」,〔増刷の有無〕として「3000枚まではキャンペーン費用(無償),追加分に関しては【1枚5円/300枚単位】で発注受付致します。」との記載がある。 また,商品名「メニューパンフレット9月号」の価格欄には「@60 0円」,商品名「ポスティング用A4チラシ」の価格欄には「@1,500円」との記載がある。 2016年5月度販促計画書(乙46)「3.⑵-①販促ツール詳細東日本」の頁には,「※折込費は別途発生します。」との記載がある。 ⑻ア原告は,被告に対し,販促品の発注書をファクシミリで送付していた(弁論の全趣旨)。 イ原告は,被告の北海道事務所に対し,2020年11月度の販促品の発注書をファクシミリで送付しており,その際,「※上記全て変更なしの場合はこちらにチェック」と書かれているチェックボックスにレ点を付している。 また,同発注書のキャンペーンB4チラシの欄には「キャンペーンB4チラシ(折込)※折込費用は別途発生します」との記載がある(甲22)。 2 事実認定の補足説 クボックスにレ点を付している。 また,同発注書のキャンペーンB4チラシの欄には「キャンペーンB4チラシ(折込)※折込費用は別途発生します」との記載がある(甲22)。 2 事実認定の補足説明⑴ 原告は,平成24年5月18日,CからユニットFCサポート条件案(甲 4)を交付され,その際に同書面2枚目の予測損益計算書の販売促進費9万400 0円は,7万5000円の間違いである旨説明を受けたと供述する。しかし,前記認定のとおり,同日,Cは仙台に出張しており,同日に北海道にいた原告に対し,Cが説明を行ったとは認められない。また,原告が主張の根拠とする甲第4号証は,FCサポート条件案という標題を二重線で消し,その上に乱雑な手書きでユニットFC契約条件案と記載されており,その体裁に照らし,被 告担当者が加盟店契約の締結を希望する原告への説明に供した資料とは認め難い。また,甲第4号証の4枚目及び5枚目には,平成30年1月頃の本件店舗に係る請求書と精算書が綴じられていることから,甲第4号証は本件加盟契約の説明資料として,Cから原告に交付されたものとは認められない。そうすると,平成24年5月18日に原告がCから甲第4号証を交付され,これに基 づいて広告宣伝費は7万5000円の定額である旨の説明を受けたという原 告の供述は採用できない。 ⑵ また,原告は,平成24年8月20日にDSVから本件加盟契約及びユニットFC契約の説明を受けた際,本件案内書面及び本件事業計画書を受け取っていないし,これに基づく説明も受けていないと主張する。 しかし,原告は,同年9月12日に被告に対し205万4000円を振り込 んでいること,この金額が,本件事業計画書の1頁目に記載されている開業前に入金が必要とされている加盟金1 ないと主張する。 しかし,原告は,同年9月12日に被告に対し205万4000円を振り込 んでいること,この金額が,本件事業計画書の1頁目に記載されている開業前に入金が必要とされている加盟金105万円(税込み)及び加盟保証金100万円の合計額に加盟契約書(甲15)に貼付された印紙4000円を加えたものと一致していることからすると,原告は,DSVから本件案内書面及び本件事業計画書を受け取った上,これに基づいて説明を受け納得したからこそ,事 業計画書の記載と一致する金額を被告に振り込んだと推認される。 また,DSVは原告と面談を行った翌日である同年8月21日付けで本件加盟契約に係る社内稟議を起案し,本件事業計画書を決裁の添付資料としていること(乙94)から,原告との面談の際には本件事業計画書を既に作成していたものと推認され,作成済みの本件事業計画書をあえて原告に交付しない合理 的な理由を見出し難い。したがって,DSVが,原告に対し,本件案内書面及び本件事業計画書を交付し,これに基づいて説明を行ったことが認められ,これに反する原告の主張及び供述は採用できない。 3 判断⑴ 原告は,広告宣伝費の定めに実費負担の文言がないこと及び被告担当者であ るC及びDSVから,広告宣伝費は月額7万5000円の定額と説明され,それ以外に折込費用や販促費がかかる旨の説明を受けていないことから,本件加盟契約において原告が負担すべき広告宣伝費等は月額7万5000円のみであったと主張する。 ⑵ しかし,被告担当者であるC及びDSVが原告に対し,広告宣伝費は月額7 万5000円の定額であり,それ以上の負担が生じない旨説明したことは本件 全証拠を検討しても認められない。また,本件加盟契約における広告宣伝費等の定め( に対し,広告宣伝費は月額7 万5000円の定額であり,それ以上の負担が生じない旨説明したことは本件 全証拠を検討しても認められない。また,本件加盟契約における広告宣伝費等の定め(前記前提事実⑷)の記載からは,直ちに,加盟契約者の広告宣伝費等の負担が月額7万5000円の定額に限定されるものと解することはできないし,DSVが平成24年8月20日に原告に交付したと認められる本件案内書面には,広告宣伝費等の性質として「当社が行うテレビCM,ラジオCM等 の広告宣伝等に要する費用及び各種販売促進物等の費用」と記載されており,各店舗が需給動向や地域特性に応じて配布するチラシの折込費用や販促品の追加費用までが定額の広告宣伝費等に含まれていると解することもできない。 ⑶ 以上の点に加え,原告は,本件加盟契約を締結する約8年前の平成16年8月1日から,被告の運営する店舗の店長として稼働し,その後,被告との間で 本件経営委託契約を締結する等しており,その際には,チラシを折り込みにした場合,その費用が店舗の経費となることを理解していたことや,DSVが原告に交付した本件事業計画書の月次の損益計画では,販売促進費として9万4000円が計上されていたことも考慮すれば,原告が負担すべき広告宣伝費等が実費の如何にかかわらず,月額7万5000円に限定される旨の合意が原告 と被告との間でされたと認めることはできない。 ⑷ そして,原告は,遅くとも平成24年10月1日以降は,店長として店舗責任者会議に参加し,販促計画書の交付を受けていたこと,この販促計画書には販促品の発注書も含まれており,同発注書の価格欄には「定額」「無償」のほか,具体的な金額が記載されていること,原告はこの発注書を被告に送付して販促 品を注文していた こと,この販促計画書には販促品の発注書も含まれており,同発注書の価格欄には「定額」「無償」のほか,具体的な金額が記載されていること,原告はこの発注書を被告に送付して販促 品を注文していたことは前記認定のとおりであり,これらの事実からは,原告が販促品や折込費用について別途費用がかかる場合があること,及びその額を認識しながら,注文を行ったものと推認されるから,本件折込費用等については原告が負担する旨の合意が成立していると認定できる。 原告は,定額に含まれる販促品以外に追加で発注した事実はないとも主張す るが,原告が被告に支払った額が変動していること,原告提出の甲22が「2 020年11月度販促物追加発注のご案内」であることに照らせば,原告が追加発注を行っていたと認められる。 ⑸ また,原告は,平成24年10月以降,令和元年12月までの間,何らの異議を述べることもなく,広告宣伝費等に関する実費を支払い続けている。その間,2016年5月度の販促計画書には,「※折込費は別途発生します。」 との 記載が認められるなど,原告が実費について認識し,異議を述べる契機があったにもかかわらず,その後も,本件訴訟に至るまで原告が実費負担について異議を述べたり疑義を呈したりしたなどの事情は認められないことは,原告が広告宣伝費等について実費を負担することを容認していたことを推認させる。 ⑹ よって,本件契約における広告宣伝費等について,月額7万5000円以 外に実費の負担がないという原告の主張は採用できず,むしろ,原告が負担する合意があったものと認められるから,本件折込費用等を被告が受領する法律上の原因がないとはいえない。 ⑺ 原告は,被告が原告に本件折込費用等を負担させるためには,本件加盟契約 ,原告が負担する合意があったものと認められるから,本件折込費用等を被告が受領する法律上の原因がないとはいえない。 ⑺ 原告は,被告が原告に本件折込費用等を負担させるためには,本件加盟契約31条(平成30年締結の加盟契約にあっては32条。)又は信義則に従い,原 告と協議し,その承諾を得る必要があり,その義務を怠ったと主張する。しかし,前記のとおり,原告は,販促計画書の記載等から本件折込費用等を認識しながら,被告にその注文を行っており,販促計画書にはその単価等についても記載があるから,原告が主張する信義則上の義務の有無について判断するまでもなく,債務不履行の主張は認められない。 第5 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官 中野郎 裁判官水野峻志 裁判官田中大地

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