平成22(ワ)32483 商標権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年1月26日 東京地方裁判所
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判決文本文22,448 文字)

平成24年1月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(ワ)第32483号商標権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成23年12月2日判決富山市<以下略>原告株式会社カムイワークスジャパン同訴訟代理人弁護士稲元富保同訴訟代理人弁理士宮田信道富山市<以下略>被告株式会社中条同訴訟代理人弁護士平尾正樹同補佐人弁理士猪狩 充主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,ゴルフクラブに,別紙被告標章目録記載1,3,5の各標章を付して,譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,電気通信回線を通じて提供してはならない。 2 被告は,キャディバッグに,別紙被告標章目録記載3の標章を付して,譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,電気通信回線を通じて提供してはならない。 3 被告は,ゴルフクラブ及びキャディバッグに関する広告に,別紙被告標章目録記載1ないし4の各標章を付して展示し若しくは頒布し,同広告を内容とする情報に上記各標章を付して電磁的方法により提供してはならない。 4 被告は,その所有し,占有する別紙被告標章目録記載1,3,5のいずれかの標章を付したゴルフクラブ,同目録記載3の標章を付したキャディバッグ及び同目録記載1ないし4のいずれかの標章を付したゴルフクラブの広告用パンフレットを廃棄せよ。 5 被告は,原告に対し,8000万円及びこれに対する平成22年9月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,「 の広告用パンフレットを廃棄せよ。 5 被告は,原告に対し,8000万円及びこれに対する平成22年9月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,「KAMUI」の商標(商品及び役務の区分は第28類,指定商品は運動用具)を有する原告が,被告が同商標と同一又は類似の標章を付したゴルフクラブ及びキャディバッグの譲渡等を行い,これらの商品の広告に同標章を付して展示等をしていることが原告の商標権を侵害するとして,商標法(以下単に「法」という。)36条1項に基づく被告の上記侵害行為の差止め及び同条2項に基づく上記各商品の廃棄並びに不法行為に基づく損害賠償を求める事案である。 1 争いのない事実(1) 当事者ア原告は,ゴルフ用具の製造及び販売などを業とする株式会社である。原告の旧商号は,株式会社北陸ゴルフ製作所であり,その後,商号が株式会社カムイワークスに変更され,平成9年10月22日に,現在の商号である株式会社カムイワークスジャパンに変更された。 イ被告は,ゴルフ用品の製造及びスポーツ用品の販売などを業とする株式会社である。 (2) 原告は,次の商標権(以下,「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)を有する。 登録番号第5142685号出願年月日平成19年4月23日 登録年月日平成20年6月20日公報発行日平成20年7月22日商品及び役務の区分第28類指定商品運動用具登録商標 KAMUI(標準文字)(3) 被告は,遅くとも平成20年7月23日から,被告が製造するゴルフクラブ及びキャディバッグ(以下,これらを総称して「被告製品」ということがある。)に,別紙被告標章 標 KAMUI(標準文字)(3) 被告は,遅くとも平成20年7月23日から,被告が製造するゴルフクラブ及びキャディバッグ(以下,これらを総称して「被告製品」ということがある。)に,別紙被告標章目録記載1ないし5記載の各標章(以下,それぞれ「被告標章1」などといい,これらを総称して「被告各標章」ということがある。)の少なくともいずれかを付して,譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,電気通信回線を通じて提供し,また,被告製品に関する広告に被告各標章の少なくともいずれかを付して展示し若しくは頒布し,同広告を内容とする情報に上記各標章を付して電磁的方法により提供している。例えば,被告は,ゴルフクラブに被告標章1,3又は5を付し,キャディバッグに被告標章3を付し,また,広告用パンフレットに被告標章1ないし4のいずれかを付している。 (4) 被告標章1ないし3は,いずれも本件商標と同一又は類似の商標である。 2 争点(1) 本件商標と被告標章4及び5は同一又は類似の商標であるか(争点1)(2) 被告に法32条1項の先使用権が認められるか(争点2)(3) 本件商標は,商標登録無効審判により無効にされるべきもので,原告の本件商標権の行使は許されないか(争点3)ア本件商標は法4条1項7号に該当するか(争点3-1)イ本件商標は法4条1項10号に該当するか(争点3-2)(4) 原告の本件商標権の行使が権利の濫用に当たり許されないか(争点4)(5) 原告の損害(争点5) 3 当事者の主張(1) 本件商標と被告標章4及び5は同一又は類似の商標であるか(争点1)(原告の主張)ア被告標章4は,ゴシック体に相当する書体で「KAMUITyphoonPro」の英文字を書して成るところ, 本件商標と被告標章4及び5は同一又は類似の商標であるか(争点1)(原告の主張)ア被告標章4は,ゴシック体に相当する書体で「KAMUITyphoonPro」の英文字を書して成るところ,「KAMUI」と「TyphoonPro」との間には間隔が空いており,かつ,一語とするには長い語であることからすれば,両者は分離して観察されることも多いというべきであるので,「カムイタイフーンプロ」の自然的称呼とともに「カムイ」の自然的称呼も生じる。 よって,被告標章4は,本件商標と同一又は類似の商標である。 イ被告標章5は,被告標章3と「PRO」を二段に書して成るものであり,被告標章3の部分のみ分離観察されるため,「カムイプロ」の自然的称呼とともに「カムイ」の自然的称呼も生じる。 したがって,被告標章5は,本件商標と同一又は類似の商標である。 (被告の主張)被告標章4及び5は,いずれも本件商標と非類似である。 (2) 被告に法32条1項の先使用権が認められるか(争点2)(被告の主張)ア被告の「KAMUI」商標の周知性(ア) 被告は,平成8年ころから,ゴルフクラブに「KAMUI」,「TYPHOONPRO」あるいは両者を結合した「KAMUITYPHOONPRO」の使用を開始し,現在も使用を継続している。なお,被告標章1ないし3はいずれも「KAMUI」商標であって,社会通念上同一の商標である。被告標章4は,被告標章1又は2に「TyphoonPro」を結合して成り,被告標章5は,被告標章3に「PRO」を二段併記して成り,いずれも本件商標と非類似であるし,仮にこれらを 2個の商標とみたとしても,被告標章4及び5の「KAMUI」商標は,被告標章1ないし3と社会通念上同一の商標である。 併記して成り,いずれも本件商標と非類似であるし,仮にこれらを 2個の商標とみたとしても,被告標章4及び5の「KAMUI」商標は,被告標章1ないし3と社会通念上同一の商標である。 よって,被告は,社会通念上同一の商標である「KAMUI」商標の使用実績を主張,立証する。 (イ) 被告が製造するゴルフクラブには,すべて「KAMUI」商標が付されている。被告は,10年以上にわたって「KAMUI」商標を使用してきており,「KAMUI」のクラブの総販売本数は7万本以上であって,その販売額は年間1億2000万円ないし2億円である。また,「KAMUI」のクラブは,多数の雑誌に掲載され,多くのプロに使用されている。したがって,被告の「KAMUI」商標は,法32条1項の周知性の要件を満たす。 なお,全国において被告の製造するゴルフクラブのシェアが0.3%程度であったとしても,法32条1項の周知性の要件は満たされる。 (ウ) 原告は,被告との共同事業を解消した後,商品名を「カムイツアー」に変更し,これを使用してきた。原告は,「KAMUI」と非類似で,社会通念上同一とはいえない「KAMUITOUR」の使用実績を立証しているだけである。 イ 「KAMUI」の命名者は,被告の代表者であり,原告と被告が共同企業体を解消した際,「カムイ」の新製品については,各々の会社が権利を有するとの約束の下,被告は,遅くとも平成8年には「KAMUI」商標の使用を開始している。他方,原告が本件商標の使用を開始したのは,本件商標が設定された平成20年6月以降であるから,被告に不正競争の目的がなかったことは明らかである。 ウ被告は,本件商標が出願された平成19年4月23日以前から現在至るまで,継続して「KAMUI」商 定された平成20年6月以降であるから,被告に不正競争の目的がなかったことは明らかである。 ウ被告は,本件商標が出願された平成19年4月23日以前から現在至るまで,継続して「KAMUI」商標を使用してきた。 エ以上によれば,被告には,「KAMUI」商標について法32条1項の 先使用権が認められる。 (原告の主張)ア被告各標章に周知性が認められないこと(ア) 先使用権は当該商標が周知であるときに認められるものであり,被告標章4及び5の使用実績は,「KAMUI」単独の商標の使用実績を立証するものではない。また,「KAMUI」と「KAMUIPRO」は別異のものであり,「KAMUIPRO」の使用実績は,「KAMUI」の使用実績を立証するものではない。 (イ) 被告が提出した証拠によっても,被告標章1ないし5がゴルフクラブ,キャディバッグについて,被告の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。 (ウ) 原告は,被告との共同事業を解消した後,「KAMUITOUR」,「カムイツアー」の標章を付したゴルフクラブの販売を開始し,平成8年から平成11年まで集中的な宣伝活動を行うことによって,ゴルフクラブ業界において「カムイ」というときは,原告のクラブを指すほどまでに認知された。その後も,原告は,継続して上記標章を付したゴルフクラブの宣伝活動を行っている。 したがって,ゴルフクラブについて「カムイ」の称呼が生じる「KAMUI」の文字列を含む標章は,原告のクラブを表示するものとして需要者の間に周知になっていることが明らかである。被告は,「KAMUI」の文字列を含む標章やカムイの称呼を持つ標章の周知主体ではない。 (エ) 200 章は,原告のクラブを表示するものとして需要者の間に周知になっていることが明らかである。被告は,「KAMUI」の文字列を含む標章やカムイの称呼を持つ標章の周知主体ではない。 (エ) 2009年版ゴルフ産業白書によれば,国内には145のゴルフ用品メーカーがあり,そのうち上位24社を除く121社の出荷金額のシェアは7.7%,出荷数量のシェアは12.8%である。 被告の主張によれば,2007年度の被告の出荷金額のシェアは0. 3%,出荷数量のシェアは0.3%であり,この程度のシェアでは,全 国を市場とするゴルフクラブの市場において,被告の標章が周知であるとは到底認められない。 なお,原告の2007年度の出荷金額のシェアは0.27%,出荷数量のシェアは0.4%であるが,上記のとおり,原告はこれまで大量の宣伝広告行為や販売によって「カムイ」ブランドを確立してきたのであって,2007年度において被告と同程度のシェアであっても,原告が「カムイ」の周知主体であることに影響を与えるものではない。 イ本件商標の出願前における,被告の「KAMUI」標章の使用の事実については知らない。 ウ被告は,被告と株式会社卑弥呼(以下「卑弥呼」という。)との間の「CAMUI」商標についての使用許諾契約が平成17年2月末日をもって終了しているにもかかわらず,標章「KAMUI」等の使用を継続し,卑弥呼の商標権を故意に侵害する行為を継続的に行っている。このような被告が,正当な手続を経て商標登録を受けた原告に対し,先使用権を主張することは,権利の濫用である。 (3) 本件商標は,商標登録無効審判により無効にされるべきもので,原告の本件商標権の行使は許されないか(争点3)ア本件商標は法4条1項7号に該当するか(争点3- 権利の濫用である。 (3) 本件商標は,商標登録無効審判により無効にされるべきもので,原告の本件商標権の行使は許されないか(争点3)ア本件商標は法4条1項7号に該当するか(争点3-1)(被告の主張)原告は,被告が「KAMUI」商標を使用してゴルフクラブを販売している事実を知りながら,被告のライセンサーである卑弥呼が有する「CAMUI」の商標が取り消しうるものであることに目を付け,これを取り消すとともに,本件商標を出願してその登録を得ており,これは他人の商標の剽窃に該当する。しかも,原告は,被告との間で,共同企業体を解消するに当たり,原告は「KAMUITOUR」を,被告は「KAMUIPRO」,「KAMUI」を使用することを約束したにもかかわらず,その約 束に反して本件商標を出願し,その登録を得たものである。そして,原告は,その後,被告標章2と酷似した書体の「KAMUI」商標を,被告が使用しているくさび形図形と同色のくさび形図形を併記して使用し始めた。 以上の原告の行為は,被告の業務を妨害し,その業務上の信用を横取りすることを目論んだと評価するしかなく,公正な競業秩序を蹂躙するものであるから,本件商標は,法4条1項7号に該当し,商標登録無効審判によって無効とされるべきものである。 (原告の主張)(ア) 原告は,「KAMUITOUR」,「KAMUIWORKS」など「KAMUI」を含む標章を平成8年当時から使用しており,「KAMUI」の標章について商標権を取得するため,不使用取消審判を請求し,本件商標権を取得したことについて,何ら違法はない。 (イ) むしろ,被告は,被告と卑弥呼との間の「CAMUI」商標についての使用許諾契約が平成17年2月末日をも 不使用取消審判を請求し,本件商標権を取得したことについて,何ら違法はない。 (イ) むしろ,被告は,被告と卑弥呼との間の「CAMUI」商標についての使用許諾契約が平成17年2月末日をもって終了しているにもかかわらず,標章「KAMUI」等の使用を継続し,卑弥呼の商標権を故意に侵害する行為を継続的に行っていたにもかかわらず,本件商標の無効を主張している。 (ウ) 原告は,平成9年に,韓国で,「KAMUI」,「KAMUITOUR」,「KAMUIPRO」の商標の出願を行ったところ,既に登録されている株式会社プラコの「KAMUIPRO」の商標と類似であるとして拒絶された。そこで,韓国において,原告の代理店が上記「KAMUIPRO」の商標について無効審判の申立てをし,平成13年4月に無効審決が確定した。しかし,その1年後の平成14年5月に,被告が韓国で商標「KAMUI」を出願し,平成15年9月に商標登録がされた後,被告は,原告の「KAMUITOUR」を付したゴルフクラブを取り扱う店舗に対して,販売の中止を要求する警告等を行ったため, 原告は韓国の市場において多大な損害を被った。そこで,原告は,日本でも同様の事態が生じることを危惧した。 また,原告は,アメリカや中国にもゴルフクラブを輸出していたため,法改正により,「輸出」も被告に妨害されるおそれが生じた。 さらに,原告のゴルフクラブは,「カムイ」ブランドのゴルフクラブとして需要者,取引者に広く認識されているので,上記韓国における被告の行為を受けて,「カムイ」ブランドを保護する必要性が生じた。 このように,原告は,標章「KAMUI」の商標登録を受ける必要性に迫られたため,卑弥呼の「CAMUI」に対して不使用取消審判を請求し,その結果,不 ブランドを保護する必要性が生じた。 このように,原告は,標章「KAMUI」の商標登録を受ける必要性に迫られたため,卑弥呼の「CAMUI」に対して不使用取消審判を請求し,その結果,不使用取消しが認められ,本件商標の登録が受けられたのである。 他方,被告は,「KAMUIPRO」の商標権を有しており,この商標権を使用して,従前どおりゴルフクラブを製造,販売することが継続できるから,被告の不利益はさしたるものではない。 (エ) よって,本件商標は,法4条1項7号に違反して登録されたものではない。 (原告の主張に対する被告の反論)(ア) 被告は,卑弥呼との間の2回目の「CAMUI」商標の使用許諾契約が終了した後,「KAMUI」を被告製品の統一ブランドとして使用することとし,単独のゴルフクラブの名称としては使用しないこととした。このような事情から,被告は,上記契約の更新をしなかったが,卑弥呼もこのことを了知し,何ら異議を述べることはなかった。したがって,平成17年3月1日から平成20年3月18日まで,被告は,卑弥呼から黙示の許諾を得て「KAMUI」を使用してきたと評価できる。 (イ) 韓国において,被告もその販売代理店も,「KAMUIPRO」の商標権を根拠に原告の「KAMUITOUR」を排除しようとしたこと は一度もなかった。しかし,原告は,韓国において,被告が使用していた「KAMUIPRO」,「KAMUI」の商標を出願し,被告の販売代理店の「KAMUIPRO」の商標を無効にし,被告の「KAMUIPRO」,「KAMUI」のゴルフクラブを韓国市場から排除しようとした。このような経緯があったため,被告は,韓国で「KAMUI」商標が設定された後,原告の「KAMUITO 効にし,被告の「KAMUIPRO」,「KAMUI」のゴルフクラブを韓国市場から排除しようとした。このような経緯があったため,被告は,韓国で「KAMUI」商標が設定された後,原告の「KAMUITOUR」の使用に異議を述べることとなり,被告名義で販売店に警告状を送付したのである。以上の経緯に対して,原告は逆恨みをし,日本において被告の「KAMUI」製品を排除することを企て,不使用取消審判を請求して,卑弥呼の「CAMUI」商標を取り消し,自ら「KAMUI」商標の登録を得,被告のクラブと酷似した「KAMUI」のクラブの製造,販売を開始し,被告の「KAMUI」のクラブを日本市場から排除する目的で本件訴訟を提起したのである。 イ本件商標は法4条1項10号に該当するか(争点3-2)(被告の主張)上記(2)(被告の主張)ア(イ)のとおり,被告の「KAMUI」商標は,ゴルフ用品の需要者の間で広く知られていたから,本件商標の登録は,法4条1項10号の規定に違反してされたものであり,商標登録無効審判によって無効とされるべきものである。 (原告の主張)被告の主張は,争う。 被告は,本件商標に対して,無効審判を請求し(無効2009-890077号),法4条1項10号違反等を主張したが,特許庁は,被告の請求は成り立たないとの審決をし,この審決は確定している。 (4) 原告の本件商標権の行使が権利の濫用に当たり許されないか(争点4)(被告の主張) 上記(3)ア(被告の主張)で述べた事情によれば,原告による本件商標権の行使は,権利の濫用に当たり許されない。 (原告の主張)原告は,正当な手続と権利の行使を経て,本件商標権を取得したものであ の主張)で述べた事情によれば,原告による本件商標権の行使は,権利の濫用に当たり許されない。 (原告の主張)原告は,正当な手続と権利の行使を経て,本件商標権を取得したものであり,その行使が権利の濫用に当たることはない。 (5) 原告の損害(争点5)(原告の主張)被告は,遅くとも平成20年7月23日から,被告各標章のいずれかを付した被告製品を製造,販売している。被告製品の年間販売額は,2億円を下らず,被告製品の利益率は20%を下らない。 そうすると,被告が,同日から平成22年7月末日までの約2年間で,被告製品の譲渡によって得た利益は,8000万円(2億円×0.2×2)となる。 よって,原告の損害額は,法38条2項により,8000万円と推定される。 (被告の主張)否認する。 第3 争点に対する判断 1 争点1(本件商標と被告標章4及び5は同一又は類似の商標であるか)について(1) 本件商標と被告標章4について本件商標は,標準文字から構成される「KAMUI」の外観を有する商標で,「カムイ」の称呼が生じる。その称呼である「カムイ」は,アイヌ語の「神」を意味する語である(広辞苑第6版)ものの,このような意味が取引者,需要者に浸透して良く知られていると認めるに足りる証拠はないから,本件商標から特定の観念が生じるとまで認めることはできない。 これに対して,被告標章4は,ゴシック体に類した書体のアルファベットで一列に表記された「KAMUITyphoonPro」の外観を有し,「KAMUI」と「TyphoonPro」との間には空白があり,「KAMUI」はすべて大文字で表記され,「TyphoonPro」は「Typhoon」の「T」と「Pro」の onPro」の外観を有し,「KAMUI」と「TyphoonPro」との間には空白があり,「KAMUI」はすべて大文字で表記され,「TyphoonPro」は「Typhoon」の「T」と「Pro」の「P」のみが大文字で,ほかは小文字で表記されている。このような外観からすれば,「KAMUI」の部分と「TyphoonPro」の部分は不可分的に結合しているものとはいえないから,両部分は分離して観察することが可能であり,かつ「KAMUI」の部分は,後記2のとおり,被告のゴルフクラブ等を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認められるから,被告標章4の一部である「KAMUI」を取り出して本件商標と比較し,その類否を判断することができるというべきである。そして,「KAMUI」の部分は,本件商標と外観が類似し,本件商標と同一の「カムイ」の称呼が生じる。 よって,本件商標と被告標章4の「KAMUI」の部分とは外観が類似し,称呼が同一であるから,本件商標と被告標章4とは,類似の商標であるといえる。 (2) 本件商標と被告標章5について本件商標の外観,称呼,観念については,上記(1)で述べたとおりである。 これに対して,被告標章5は,ゴシック体に類した書体のアルファベットで表記された「KAMUI」(「A」に該当する文字は,横線が省略されている。)とゴシック体に類した書体のアルファベットで表記された「PRO」が二列に表記され,「PRO」は「KAMUI」の下方の中央に位置し,文字の間隔が「KAMUI」に比べると狭いという外観を有する。このような外観からすれば,「KAMUI」の部分と「PRO」の部分とは不可分的に結合しているものとはいえないから,両部分は分離して観察することが可能であり,かつ,被告標章5の一部である「KAM る。このような外観からすれば,「KAMUI」の部分と「PRO」の部分とは不可分的に結合しているものとはいえないから,両部分は分離して観察することが可能であり,かつ,被告標章5の一部である「KAMUI」を取り出して本件 商標と比較し,その類否を判断することができるというべきことは,上記(1)に説示したとおりである。そして,被告標章5の「KAMUI」の部分は,本件商標と外観が類似し,本件商標と同一の「カムイ」の称呼が生じる。 よって,本件商標と被告標章5の「KAMUI」の部分は,外観が類似し,称呼が同一であるから,本件商標と被告標章5とは,類似の商標であるといえる。 2 争点2(被告に法32条1項の先使用権が認められるか)について(1) 認定事実争いのない事実,証拠(甲1~8,11の1~18,12~44,46~51,54~86,95,96,97の1・2,98,乙1,2の1~4,3,4の1~3,5の1・2,6,7,8の1・2,9,10の2,11の1~4,12の1~7,13,14の1~5・7~16,15,16,18の1・2,23の1・2,24の1~8,26,27の1~9,原告代表者本人,被告代表者本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 ア原告と被告との間の「KAMUI」に関する標章を巡る事実経過(ア) 原告と被告は,平成5年ころ,共同でゴルフクラブを製造,販売することを計画し,平成6年2月1日,ゴルフクラブの開発,製造,販売を目的とする共同企業体カムイクラフト(以下「カムイクラフト」という。)を設立し,製造したゴルフクラブに「KAMUIPRO」(カムイプロ)の名称を付けて販売した。そして,原告と被告は,同月28日,共同で「KAMUIPRO」の商標を,第28類の運動用具で出願し,同 。)を設立し,製造したゴルフクラブに「KAMUIPRO」(カムイプロ)の名称を付けて販売した。そして,原告と被告は,同月28日,共同で「KAMUIPRO」の商標を,第28類の運動用具で出願し,同商標は,平成9年11月7日に登録された。 当時,カムイクラフトが製造したゴルフクラブ「カムイプロ300」は,非常によく売れ,一大ヒット商品となった。 (イ) 原告と被告は,平成7年2月21日,カムイクラフトによる共同事 業を解消し,カムイの新製品については,それぞれが権利を有すること,カムイプロ300の金型については,それぞれが50%の権利を有することを確認した。 (ウ) 原告は,平成7年8月30日,カムイプロ300の部品を製造していた株式会社タカギセイコー(以下「タカギセイコー」という。)に対し,今後カムイプロ300の金型を使用しないことを要求した。そこで,被告は,同年10月,原告とタカギセイコーに対し,カムイプロ300の金型の使用を妨害しないことを求める仮処分を富山地方裁判所に申し立てた。この仮処分事件は,同年11月,和解によって終了し,被告とタカギセイコーは今後もゴルフクラブの製作の取引を継続すること,タカギセイコーが製作するゴルフクラブヘッドにカムイクラフトの名称を刻印しないことなどが確認された。 (エ) 原告は,平成7年の秋ころ,取引先に対し,今後はゴルフクラブの名称をカムイプロからカムイツアーに改め再出発を図ること,社名もカムイワークスに変更することを通知し,その後,カムイツアーの名称を付したゴルフクラブを製造,販売するようになった。なお,原告は,平成7年8月24日に,「KAMUITOUR(標準文字)」の商標を第28類の運動用具で登録出願し,これは平成9年12月26日に登録された。 他 を製造,販売するようになった。なお,原告は,平成7年8月24日に,「KAMUITOUR(標準文字)」の商標を第28類の運動用具で登録出願し,これは平成9年12月26日に登録された。 他方,被告は,平成8年3月ころ,取引先に対し,原告と被告がカムイプロのゴルフクラブを別々に販売することになった旨通知し,その後も,カムイプロの名称を付したゴルフクラブの製造,販売を継続した。 (オ) 有限会社カムイは,平成8年12月25日に設立され,被告代表者の妻がその代表取締役に就任した。同社は,被告が製造するゴルフクラブ等の販売を行った。 (カ) 原告は,韓国で,平成9年1月25日,「KAMUI」,「KAM UITOUR」,「KAMUIPRO」の商標を,指定商品をゴルフクラブ,ゴルフボール,キャディバッグとして出願した。しかし,韓国では,被告の販売代理店であるキムズクラブの代表者Aと株式会社プラコが「KAMUIPRO」の商標を有しており,この商標と類似するとして,上記出願は拒絶された。 (キ) 原告の韓国における販売代理店である株式会社ユニオン産業は,平成11年12月18日,上記(カ)の韓国におけるAらの「KAMUIPRO」の商標に対し,無効審判を申し立て,平成12年7月27日,同商標を無効とする審決がされ,その後,平成13年4月13日,同審決に対する取消しの訴えが棄却され,同年5月5日,同審決は確定した。 (ク) 被告は,平成12年1月14日,卑弥呼との間で,卑弥呼が有する次の商標(以下「CAMUI商標」という。)について,商標使用許諾契約を締結した。同契約において,卑弥呼は,被告に対し,CAMUI商標について通常使用権を許諾し,使用商品はゴルフクラブ,使用期間は平成11年3月1日から平成14年2月末日まで ついて,商標使用許諾契約を締結した。同契約において,卑弥呼は,被告に対し,CAMUI商標について通常使用権を許諾し,使用商品はゴルフクラブ,使用期間は平成11年3月1日から平成14年2月末日までの3年間,使用地域は日本国内とされ,被告は,卑弥呼に対し,通常使用権の対価として240万円を支払った。なお,同契約において,被告は,卑弥呼に対して,CAMUI商標の有効性を争わないことを約束していた。 登録番号第2280009号登録年月日平成2年11月30日商品の区分旧第24類(その後,第15類,第25類及び第28類に書換登録された。)登録商標 CAMUI(標準文字)(ケ) 被告は,上記使用許諾契約を締結したころから,ゴルフクラブ等に「KAMUI」の標章を使用し始めた。原告は,程なくして,被告の上記標章の使用について認識したものの,被告に対して特段異議を述べる ことはなかった。 (コ) 被告は,平成14年3月1日,卑弥呼との間で,CAMUI商標について,上記(ク)の商標使用許諾契約とほぼ同じ内容の契約を締結し,使用期間は,平成14年3月1日から平成17年2月末日までとされ,被告は,卑弥呼に対し,通常使用権の対価として210万円を支払った。 なお,被告は,上記契約を,平成17年3月以降,卑弥呼との間で更新しなかった。しかしながら,その後においても,卑弥呼から,被告が「KAMUI」の標章を使用することについて,異議が述べられることはなかった。 (サ) 被告は,Aから,上記(キ)のとおり,韓国における「KAMUIPRO」の商標が無効とされたとの連絡を受けたため,韓国で「KAMUI」の商標を登録する方法を検討し,最終的に,平成14年5月17日,「KAMUI」の商標 記(キ)のとおり,韓国における「KAMUIPRO」の商標が無効とされたとの連絡を受けたため,韓国で「KAMUI」の商標を登録する方法を検討し,最終的に,平成14年5月17日,「KAMUI」の商標をゴルフクラブ,ゴルフボール,キャディバッグ等を指定商品として商標登録出願し,平成15年9月2日,同商標は韓国において登録された。 上記商標が登録された後,被告は,キムズクラブと相談の上,韓国のゴルフクラブの販売店に対し,原告の「KAMUITOUR」の商標を付したゴルフクラブを取り扱わないことを求めた。 (シ) 原告は,平成19年4月23日,本件商標を登録出願した。そして,原告は,同月24日,CAMUI商標の第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「運動用具」について,過去3年間使用された事実が認められないとして,商標登録取消しの審判を請求し,平成20年3月18日,上記指定商品についての登録を取り消す審判がされた。 なお,被告は,上記審判がされたことを認識していなかった。 そして,本件商標は,平成20年6月20日に登録された。 (ス) 原告は,平成21年4月3日,被告に対し,今後第28類の運動用 具について,「KAMUI」単独での表示を使用することを禁止する旨通知した。さらに,原告は,同年6月22日,被告に対し,今後「KAMUI」商標を使用しないことを求める警告書を送付した。 そして,原告は,平成22年8月26日,被告に対し,本件訴訟を提起した。 (セ) 原告代表者は,カムイクラフトによる共同事業の解消の際,原告と被告はお互いに「KAMUIPRO」を使用しないようにすることを約束し,被告の「KAMUIPRO」の使用に対しても異議を述べた旨供述するが,上記供述は,具体的な内容についてあいま の解消の際,原告と被告はお互いに「KAMUIPRO」を使用しないようにすることを約束し,被告の「KAMUIPRO」の使用に対しても異議を述べた旨供述するが,上記供述は,具体的な内容についてあいまいであり,同供述に符合する客観的な証拠もないから,これに反する被告代表者の供述に照らし,採用することはできない。 イ被告による被告各標章の使用について(ア) 被告は,平成12年の時点で,被告標章3やその他「KAMUI」単体の標章を,ゴルフクラブのヘッドやネックに付して製造・販売し(有限会社カムイが販売。以下同じ。),また,キャディバッグに被告標章3を付して販売し,さらに,被告のゴルフ用品のカタログにも上記各標章を付していた。また,被告は,このころ,「KAMUIPRO」の標章や名称が付されたゴルフクラブも製造・販売しており,これらが掲載されたカタログには「KAMUIPRO」の標章も付されていた。 (イ) 被告が製造・販売したゴルフクラブ「KAMUI320」には,ヘッドに被告標章1,シャフトに被告標章3が付されていた。「KAMUI320」は,平成13年には1万1720本,平成14年には8676本,平成15年には2730本,平成16年には924本,平成17年には345本が販売された。 (ウ) 被告が製造・販売したゴルフクラブ「TYPHOONPRO380」(タイフーンプロ380)には,ヘッドとシャフトに被告標章3と 「Typhoonpro」の標章が付されていた。「TYPHOONPRO380」は,平成14年には2808本,平成15年には4316本,平成16年には1199本,平成17年には312本,平成18年には137本が販売された。 なお,被告は,「TYPHOONPRO」(標準文字)の商標を平成7年8月2 5年には4316本,平成16年には1199本,平成17年には312本,平成18年には137本が販売された。 なお,被告は,「TYPHOONPRO」(標準文字)の商標を平成7年8月24日に登録出願し,同商標は平成9年8月1日に登録された。 (エ) 「TYPHOONPRO380」を除く,被告が製造・販売した「TYPHOONPRO」シリーズのゴルフクラブには,ヘッドやネックに被告標章3が,また,ヘッドに「Typhoonpro」の標章が付されていた。「TYPHOONPRO380」を除く「TYPHOONPRO」シリーズは,平成12年には2373本,平成13年には554本,平成14年には260本,平成15年には177本,平成16年には94本が販売された。 (オ) 被告が製造・販売したゴルフクラブ「RDⅡ」(RDⅡ KAMUIPROFAIRWAYWOOD)には,ヘッドに被告標章3が付されていた。「RDⅡ」は,平成16年には592本,平成17年には680本,平成18年には1752本,平成19年には247本,平成20年には141本,平成21年には169本が販売された。 (カ) 被告が製造・販売したゴルフクラブ「KAMUIPRO430」には,ヘッドに被告標章3が付されていた。「KAMUIPRO430」は,平成17年には2644本,平成18年には3478本,平成19年には971本,平成20年には131本が販売された。 (キ) 被告が製造・販売したゴルフクラブ「TP-03」(同クラブのカタログ(甲5)では,「TP-03 タイフーンプロ TyphoonPro®」,「タイフーンプロ<TP-03>」と記載されていることからすると,「TP」は「TyphoonPro」を意味すると認めら れる。)には,ヘッドに被告標 フーンプロ TyphoonPro®」,「タイフーンプロ<TP-03>」と記載されていることからすると,「TP」は「TyphoonPro」を意味すると認めら れる。)には,ヘッドに被告標章3とロゴを用いた「TyphoonPro」の標章が付されていた。「TP-03」は,平成19年には7093本,平成20年には6150本,平成21年には1886本が販売された。 (ク) 上記(イ)ないし(キ)の被告が製造する被告標章1又は3の「KAMUI」の標章が付されたゴルフクラブは,全国各地で販売され,その販売本数の合計は,平成12年は2376本,平成13年は1万2274本,平成14年は1万1744本,平成15年は7223本,平成16年は2809本,平成17年は4008本,平成18年は5464本,平成19年は8355本,平成20年は6453本であった。 (ケ) 有限会社カムイの平成15年12月21日から平成16年12月20日までの売上高は1億7455万円,平成16年12月21日から平成17年12月20日までの売上高は1億2026万円,平成17年12月21日から平成18年12月20日までの売上高は1億1826万円,平成18年12月21日から平成19年12月20日までの売上高は1億9888円であり,同社の売上高のほぼすべては,被告が製造するゴルフクラブの販売によるものであった。 (コ) 雑誌等における被告のゴルフクラブの掲載状況a 被告のゴルフクラブ「KAMUI320」(上記(イ)参照)は,被告(中条)の表示と共にゴルフメイト2001年8月号に掲載され,また,ゴルフダイジェスト2001年10月号にも掲載された。 b 被告のゴルフクラブ「TYPHOONPRO380」(上記(ウ)参照)は,週刊ゴルフダイジェスト2002年1 年8月号に掲載され,また,ゴルフダイジェスト2001年10月号にも掲載された。 b 被告のゴルフクラブ「TYPHOONPRO380」(上記(ウ)参照)は,週刊ゴルフダイジェスト2002年10月1日号に「カムイ」のクラブとして掲載され,また,同年に発刊されたゴルフクラシックにも被告の表示及び「カムイ」の記載と共に掲載された。さらに,同クラブは,ゴルフダイジェスト2004年2月号にも「カムイ」の クラブとして掲載された。 c 被告のゴルフクラブ「KAMUI320改」(このクラブは,上記(イ)の「KAMUI320」同様,ヘッドに被告標章1が付されている。)は,チョイス2002年11月号に「カムイ」のクラブとして掲載された。 d 月刊ゴルフ用品界2004年9月号に,被告のゴルフクラブ「KAMUIPROV」の広告が,被告及び「KAMUIPRO」の表示と共に掲載された。このクラブのヘッドには被告標章3と「KAMUI」と「PRO」を二段に表記した「KAMUIPRO」の標章が付されていた。 e 月刊ゴルフ用品界2005年8月号に,被告のゴルフクラブ「KAMUIPRO430」(上記(カ)参照)の広告が,被告標章3,被告及び「KAMUIPRO」の表示と共に掲載された。 f 月刊ゴルフ用品界2006年3月号に,被告のゴルフクラブ「KAMUIPRO430」と「KAMUIPRO430CFM」を紹介する記事が,被告及び「KAMUI」の表示と共に掲載された。「KAMUIPRO430CFM」のヘッドにも被告標章3が付されていた。 g 月刊ゴルフ用品界2006年8月号に,「KAMUIPRO430CFM」を被告のゴルフクラブとして紹介する記事が,「KAMUI」の表示と共に掲載された。 h 平成18年10月 た。 g 月刊ゴルフ用品界2006年8月号に,「KAMUIPRO430CFM」を被告のゴルフクラブとして紹介する記事が,「KAMUI」の表示と共に掲載された。 h 平成18年10月27日の読売新聞に,被告のゴルフクラブ「KAMUIPRO430CFM」の広告が被告及び「カムイ」の表示と共に掲載された。 i 月刊ゴルフ用品界2007年3月号に,被告のゴルフクラブ「KAMUIPROV」,「KAMUIPROWEDGE」,「KAMUITP」,「RDⅡ」(上記(オ)参照)の広告が被告標章3,被 告及び「KAMUIPRO」の表示と共に掲載された。また,同誌には,被告,「KAMUIPROブランド」のニューモデルとして,「KAMUIPROV」を除く上記各クラブと「KAMUIPROPUTTER」を紹介する記事が掲載された。 j 被告は,2007(第9回)ゴルフダイジェストドラコン日本選手権の協賛企業となり,同選手権のパンフレットに,被告標章3及び被告の表示と共に被告のゴルフクラブ「TP-03」(上記(キ)参照)の広告が掲載された。 k 月刊ゴルフ用品界に掲載される,全国の主なゴルフ用品販売店における売れ筋のクラブの情報を提供する「定店観測」と題する記事において,被告のゴルフクラブ「KAMUIPROV」が2004年12月号,2005年1月号,同年12月号に掲載され,また,「KAMUIPRO430」が2005年10月号,2006年2月号,同年9月号,同年11月号,同年12月号,2007年1月号,同年2月号に掲載された。 (サ) 被告は,これまで被告標章3や被告標章1などの「KAMUI」の標章を付したゴルフクラブを,100名を超えるプロゴルファーに納品している。 (シ) 被告は,上 号に掲載された。 (サ) 被告は,これまで被告標章3や被告標章1などの「KAMUI」の標章を付したゴルフクラブを,100名を超えるプロゴルファーに納品している。 (シ) 被告は,上記(イ)の「KAMUI320」や上記(ウ)の「TYPHOONPRO380」を製造・販売していたころ,キャディバッグに被告標章3を付して販売していた。また,上記(キ)の「TP-03」を製造・販売していたころ,キャディバッグに被告標章3を付して販売していた。 (ス) 被告が製造・販売したゴルフクラブ「TP-05」(同クラブの「TP」が「TyphoonPro」を意味するのは,上記(キ)の「TP-03」と同様である。)には,ヘッドに被告標章5が付されていた。 「TP-05」は,平成21年には5611本が販売された。 ウ原告による「KAMUI」に係る標章の使用等について(ア) 原告は,上記ア(エ)のとおり,カムイクラフトの解消後は,製造・販売するゴルフクラブの名称として,「KAMUITOUR」,「カムイツアー」を採用した。原告が製造・販売したゴルフクラブのうち,「KAMUITOUR300」(カムイツアー300)には,ヘッドに「KAMUITOUR」,「KAMUIWORKS」の標章が付された。 平成9年6月ころから販売された「KAMUITOURASIRI」(カムイツアーアシリ)には,ヘッドに「KAMUITOUR」,「KAMUIWORKS」の標章が付され,平成10年6月ころから販売された「アシリアイアン」においては,ヘッドに筆記体の「Kamuitour」の標章と,ブロック体の「Kamuiworks」の標章が付された。 さらに,平成13年11月ころから販売されたカムイツアー360や,それ以降に販売されたカムイツアーアシリ等のゴル muitour」の標章と,ブロック体の「Kamuiworks」の標章が付された。 さらに,平成13年11月ころから販売されたカムイツアー360や,それ以降に販売されたカムイツアーアシリ等のゴルフクラブにおいては,ヘッドに筆記体の「Kamuitour」の標章等が付された。 なお,原告は,本件商標が登録されるまで,日本国内で原告が製造・販売するゴルフクラブに「KAMUI」単独の標章を使用することはなく,その広告にも「KAMUI」単独の標章は使用せず,「KAMUITOUR」,「カムイツアー」,「ASIRI」,「アシリ」等の標章を使用していた。 (イ) 原告のゴルフクラブが「カムイ」のゴルフクラブとして扱われている雑誌等の記事は,以下のとおりである。 a 平成9年6月2日のスポーツニッポンに,原告の「カムイツアーアシリ」が「カムイ」の新製品として紹介された。 b パーゴルフ1997年9月号に,原告の「カムイツアーアシリ」が 「カムイ」の「ニューモデルチタン」として紹介された。 c 平成10年2月19日のスポーツ報知に,原告の「カムイツアーアシリ」が「カムイのドライバーはめちゃくちゃ飛ぶ」と紹介された。 d アルバトロス・ビュー1998年4月23日号の原告の「カムイツアーアシリ」を紹介する記事の中で,同クラブが「カムイ」と記載され,また原告も「カムイ」と記載された。 e 平成10年4月27日の北日本新聞に,原告代表者へのインタビュー記事が掲載され,この記事の中で「アイアンからパター,ゴルフバッグまで『カムイ』ブランドがそろった」との記載がされた。 f 平成10年8月5日のデイリースポーツに原告の「カムイツアーアシリ」を紹介する記事が掲載され,この記事の中に「カムイのクラブの申し込み・問い合わ 』ブランドがそろった」との記載がされた。 f 平成10年8月5日のデイリースポーツに原告の「カムイツアーアシリ」を紹介する記事が掲載され,この記事の中に「カムイのクラブの申し込み・問い合わせは」との記載があった。 g 平成10年9月4日の大阪日刊スポーツに,「カムイのドライバー」として原告の「カムイツアーアシリ」のモニターを募集する記事が掲載された。 h 平成11年4月7日のデイリースポーツに,原告の新製品を紹介する記事が掲載され,この記事の中で原告が「『カムイ』ブランドで一躍,名を売った」と紹介された。 i 平成11年3月18日の読売新聞に掲載されたゴルフクラブの広告記事の中で,原告の新製品が紹介され,「ドライバーはカムイ。カムイの名前は・・・」との記載がされた。 j ゴルフダイジェスト2006年12月号に,原告がかつて製造・販売していた「KAMUITOUR300」を「カムイ」のクラブとして紹介する記事が掲載された。 (ウ) 原告の製造するゴルフクラブの年度別(各年度は,4月から翌年の3月まで)の売上本数と売上高は,平成8年度は2万4794本,11 億0456万円,平成9年度は2万6054本,15億0672万円,平成10年度は1万5809本,6億7474万円,平成11年度は1万2496本,4億7806万円,平成12年度は6657本,2億3993万円,平成13年度は4242本,1億2150万円,平成14年度は4721本,1億4809万円,平成15年度は4751本,1億3398万円,平成16年度は5376本,1億2697万円,平成17年度は6676本,1億2905万円,平成18年度は1万1613本,1億9242万円であった。 (2) 上記(1)イのとおり,被告は,平成12年以降,ゴル 度は5376本,1億2697万円,平成17年度は6676本,1億2905万円,平成18年度は1万1613本,1億9242万円であった。 (2) 上記(1)イのとおり,被告は,平成12年以降,ゴルフクラブに被告標章3をはじめ,被告標章1やその他「KAMUI」単体の標章を付して製造・販売し,また,キャディバッグにも被告標章3を付して販売しており,これらの各標章は,「KAMUI」の標章として社会通念上同一のものと認められる。そして,上記(1)イ(ク),(ケ)のとおり,上記「KAMUI」の標章が付されたゴルフクラブが,平成12年から本件商標が登録される前年の平成18年までに合計して約4万5000本販売されており,平成16年以降は毎年1億円を超える売上げがあったこと,上記(1)イ(コ)のとおり,複数の雑誌等に上記「KAMUI」の標章が付された被告のゴルフクラブが,場合によっては被告の表示と共に,掲載されていたこと,上記(1)イ(サ)のとおり,上記「KAMUI」の標章が付されたゴルフクラブが100名を超える多数のプロゴルファーに納品されていることを併せ考慮すると,上記「KAMUI」の標章は,本件商標が登録出願された平成19年4月23日の時点において,被告の製造・販売するゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグを表示するものとして需要者の間に広く認識されていた(法32条1項)というべきである。 そして,上記(1)ア認定の事実経過によれば,被告が「KAMUI」標章を使用することに不正競争の目的は認められないから,被告には,法32条 1項により,ゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグについて,「KAMUI」の標章として社会通念上同一の標章と認められる被告標章1ないし3の先使用権が認められる。 他方,被告は,社会通念上同 により,ゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグについて,「KAMUI」の標章として社会通念上同一の標章と認められる被告標章1ないし3の先使用権が認められる。 他方,被告は,社会通念上同一性が認められる「KAMUI」の標章の周知性について主張・立証するのみで,被告標章4及び5については,具体的な主張・立証がないから,これらの標章について被告に法32条1項の先使用権を認めることはできない。 なお,原告は,被告が卑弥呼との間の商標使用許諾契約が平成17年2月末日に終了したにもかかわらず,「KAMUI」の標章の使用を継続したことを論難するが,上記契約終了後も卑弥呼から被告に対し,「KAMUI」の標章の使用について,特段異議が述べられたことが認められないことからすれば,被告が原告に対し,法32条1項の先使用権を主張することは何ら妨げられないというべきである。 3 争点4(原告の本件商標権の行使が権利の濫用に当たり許されないか)について被告標章4及び5について,被告に法32条1項の先使用権が認められないことは,上記2説示のとおりである。 しかしながら,① 社会通念上同一の標章と認められる「KAMUI」の標章をゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグへ使用することについては,上記2のとおり,被告に法32条1項の先使用権が認められ,また,上記2(1)の認定事実によれば,② 原告と被告は,カムイクラフトの共同事業を解消した後は,原告は「KAMUITOUR」(カムイツアー),「ASIRI」(アシリ),被告は「KAMUIPRO」(カムイプロ),「TYPHOONPRO」(タイフーンプロ),「KAMUI」(カムイ)の名称でそれぞれゴルフクラブを販売し,日本国内では互いの名称について異議を述べたことは認められないこと PRO」(カムイプロ),「TYPHOONPRO」(タイフーンプロ),「KAMUI」(カムイ)の名称でそれぞれゴルフクラブを販売し,日本国内では互いの名称について異議を述べたことは認められないこと,③ 被告が卑弥呼からCAMUI商標について使用 許諾を得て,平成12年ころから被告のゴルフクラブに「KAMUI」の標章を使用し始め,被告のゴルフクラブに被告標章1,3等の「KAMUI」単独の標章を付すようになったこと,④ 原告は,被告が「KAMUI」単独の標章を使用していることをその使用開始から程なくして認識していたものの,本件商標が登録されるまで,その使用について特段異議を述べることはなかったこと,⑤ 原告は,本件商標が登録されるまで,日本国内で製造・販売するゴルフクラブに「KAMUI」単独の標章を使用することはなかったこと,⑥雑誌等においても,原告のゴルフクラブを「カムイ」のゴルフクラブとして扱うものは平成9年から平成11年までのものがほとんどで,「KAMUI」や「カムイ」の単独の表記が原告の標章として浸透していなかったことが認められる。そして,上記2(1)ア認定の事実経過,証拠(甲82,95,原告代表者本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告が被告による「KAMUI」単独の標章の使用の事実を知りながら,あえて卑弥呼のCAMUI商標の取消審判を得た上で,本件商標を登録し,被告に対し本件商標権を行使したのは,韓国で被告が原告の「KAMUITOUR」の商標を付したゴルフクラブの取扱いの中止を各販売店に要請したことに報復する目的があったためであることが認められる。 上記①ないし⑥の事情に原告の本件商標権の行使の目的を併せて考慮すれば,原告が被告に対し,本件商標(KAMUI)と類似すると認められる被告標章4(「KAMUITyph であることが認められる。 上記①ないし⑥の事情に原告の本件商標権の行使の目的を併せて考慮すれば,原告が被告に対し,本件商標(KAMUI)と類似すると認められる被告標章4(「KAMUITyphoonPro」の標章)及び5(「KAMUI」と「PRO」から成る二段表記の標章)をゴルフクラブに使用する行為について,本件商標権を行使することは,正当な権利行使とは認められず,権利の濫用として認められないというべきである。 4 まとめ以上のとおり,被告には,法32条1項により,被告標章1ないし3をゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグに使用する権利が認められる。 また,原告が,被告に対し,被告標章4及び5をゴルフクラブに使用することについて,本件商標権を行使することは,権利の濫用として許されない。 さらに,被告標章4については,証拠上,甲第4号証の被告のゴルフクラブのパンフレットで使用されている事実しか認められず,被告のキャディバッグやその広告に使用されていることを認めるに足りる証拠がないことからすれば,被告標章4がキャディバッグに使用されるおそれも認められないというべきである。よって,原告は被告に対し,キャディバッグに関する広告に被告標章4を付さないことを求めることはできない。 よって,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないこととなる。 第4 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官阿部正幸 裁判長 裁判官 阿部正幸 裁判官 山門優 裁判官 小川卓逸 別紙 被告標章目録 KAMUITyphoonPro

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