【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 被告人A弁護人田中栄蔵の上告趣意について。 記録を精査するに、昭和二二年一一月一二日午前一一時の原審第一回公判期日に お
主文 本件上告を棄却する。 理由 被告人A弁護人田中栄蔵の上告趣意について。 記録を精査するに、昭和二二年一一月一二日午前一一時の原審第一回公判期日において、弁護人田中栄蔵不出頭のまゝ開廷の上審理を遂げ弁論の終結せられるに至つた経緯については、洵に論旨所論の通りである。しかし、右原審の公判には、共同弁護人中井宗夫が田中弁護人に代つて出頭し被告人の弁護に当つて居り被告本人も同弁護人の弁論はこれを抛棄する旨の意思を表明していることも亦記録上明らかであるからその問における原審の公判手続には「不法に弁護権の行使を制限した」というような違法は存在しないのである。論旨は要するに弁護人田中栄蔵が別に担当していた宇都宮地方裁判所に繋属中の刑事々件の公判期日が原審公判期日と同一日時に繰上げ変更せられたことを理由として、しかもその理由を証明して、原審に対し期日変更の申請をなしたにも拘わらず、原審が該申請を却下してそのまゝ公判を開廷したため被告人の信頼する同弁護人は該公判に立会し得ず、又被告人も不本意ながら同弁護人の弁論を抛棄するの止むなきに至つたもので、形式上はともかく実質上は被告人に対する弁護権を著しく制限する違法を招来したものであるというのであるが、かように同一弁護人の担当する別個の刑事々件の公判期日が各別異の裁判所によつて同一日時に指定せられた場合にあつては、その間に処して適当なる考慮を払い弁護人の支障を来さないような措置を講ずべきは、固より推奨せらるべきところではあるが、本件の場合、宇都宮地方裁判所が同一日時にその公判期日を指定したからというて、必ず原審が先に指定していたその公判期日を変更せねばならぬという理由は毫末もなく、又弁護人としても原審公判には必然的に出頭不能という訳でもないのであるから原審が右 の公判期日を指定したからというて、必ず原審が先に指定していたその公判期日を変更せねばならぬという理由は毫末もなく、又弁護人としても原審公判には必然的に出頭不能という訳でもないのであるから原審が右期日変更の申請を許容しなかつたことは当不- 1 -当の問題はしばらく措いて、これを目して違法であると断ずることはできない。論旨は独自の見地に立つて適法なる原審の手続を強いて違法なりとするものであつて、上告理由として採用に値しない。 よつて刑訴第四四六条に従い主文の通り判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官橋本乾三関与昭和二三年四月二二日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岩松三郎裁判官沢田竹治郎裁判官斎藤悠輔- 2 -
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