令和2(ワ)10628 建物明渡等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年3月14日 大阪地方裁判所
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判決文本文61,401 文字)

1 主 文 1⑴ 被告ホテル開発は、原告に対し、別紙賃貸借占有部分目録記載 1の部分を明け渡せ。 ⑵ 被告ホテル、被告ホテル開発及び被告TCMは、原告に対し、 別紙賃貸借占有部分目録記載2の部分を明け渡せ。 5 ⑶ア 被告ホテル開発は、原告に対し、3億6496万5929円 及びうち3億2622万3484円に対する令和4年12月2 7日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員(ただ し、3億6404万5661円及びこれに対する3億1637 万1780円に対する令和4年12月27日から、976万5 1 0 320円に対する令和2年11月1日から、いずれも支払済み まで年3パーセントの割合による金員の限度で被告Aと連帯し て)を支払え。 イ 被告Aは、原告に対し、被告ホテル開発と連帯して、3億6 404万5661円及びこれに対する3億1637万1780 1 5 円に対する令和4年12月27日から、976万5320円に 対する令和2年11月1日から、いずれも支払済みまで年3パ ーセントの割合による金員を支払え。 ⑷ 被告ホテル開発及び被告Aは、原告に対し、連帯して、1億0 545万7260円及びこれに対する令和2年8月1日から支払 2 0 済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 ⑸ 被告らは、原告に対し、連帯して、20億9591万6406 円及びうち20億2880万9865円に対する令和4年12月 27日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払 え。 2 5 ⑹ 被告らは、原告に対し、連帯して、令和4年12月1日から本 2 物件1及び本物件2の明渡し済みまで、1か月あたり7030万 4840円を支払え。 2⑴ 被告ホテル開発は、原告に対し、別紙占有部分目録記載1の各赤 色着色部分(以下「本 年12月1日から本 2 物件1及び本物件2の明渡し済みまで、1か月あたり7030万 4840円を支払え。 2⑴ 被告ホテル開発は、原告に対し、別紙占有部分目録記載1の各赤 色着色部分(以下「本物件3」という。)を明け渡せ。 ⑵ 被告ホテルは、原告に対し、別紙占有部分目録記載2の各赤色 5 着色部分(以下「本物件4」という。)を明け渡せ。 ⑶ 被告ホテル開発は、原告に対し、283万4750円及びうち 56万5000円に対する令和2年5月1日から支払済みまで別 表の①の「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合 による金員(ただし、合計額の100円未満は切り捨て)を、う 1 0 ち56万5000円に対する令和2年5月30日から支払済みま で別表の②の「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の各 割合による金員(ただし、合計額の100円未満は切り捨て)を、 うち56万5000円に対する令和2年7月1日から支払済みま で別表の③の「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の割 1 5 合による金員(ただし、合計額の100円未満は切り捨て)を、 うち56万5000円に対する令和2年8月1日から支払済みま で別表の④の「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の割 合による金員(ただし、合計額の100円未満は切り捨て)を、 うち56万5000円に対する令和2年9月1日から支払済みま 2 0 で別表の⑤の「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の割 合による金員(ただし、合計額の100円未満は切り捨て)を、 それぞれ支払え。 ⑷ 被告ホテルは、原告に対し、366万2530円及びうち73 万円に対する令和2年5月1日から支払済みまで別表の①の「期 2 5 間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合による金員 3 (ただし、合計額の10 対し、366万2530円及びうち73 万円に対する令和2年5月1日から支払済みまで別表の①の「期 2 5 間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合による金員 3 (ただし、合計額の100円未満は切り捨て)を、うち73万円 に対する令和2年5月30日から支払済みまで別表の②の「期間」 欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合による金員(ただ し、合計額の100円未満は切り捨て)を、うち73万円に対す る令和2年7月1日から支払済みまで別表の③の「期間」欄記載 5 の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合による金員(ただし、合 計額の100円未満は切り捨て)を、うち73万円に対する令和 2年8月1日から支払済みまで別表の④の「期間」欄記載の各期 間ごとに「利率」欄記載の各割合による金員(ただし、合計額の 100円未満は切り捨て)を、うち73万円に対する令和2年9 1 0 月1日から支払済みまで別表の⑤の「期間」欄記載の各期間ごと に「利率」欄記載の各割合による金員(ただし、合計額の100 円未満は切り捨て)を、それぞれ支払え。 ⑸ 被告ホテル開発は、原告に対し、1567万4135円及びう ち1520万7603円に対する令和4年12月27日から支払 1 5 済みまで、年3パーセントの割合による金員を支払え。 ⑹ア 原告の、被告ホテル開発に対する、本物件3についての令和 5年4月1日以降明渡し済みまでの使用料相当損害金(大阪府 公有財産規則〔昭和43年4月1日大阪府規則第30号〕第1 7条に基づき毎年3月31日の現況において知事が適正に評価 2 0 した評価額により改定された現在価額〔土地の価額、建物の価 額〕を同規則第26条に定める算式にあてはめて計算した金額) の支払を求める部分に係る訴えを却下する。 イ 被告ホテル開発は、原告に対し、令和 た評価額により改定された現在価額〔土地の価額、建物の価 額〕を同規則第26条に定める算式にあてはめて計算した金額) の支払を求める部分に係る訴えを却下する。 イ 被告ホテル開発は、原告に対し、令和4年12月1日から令 和5年3月31日(同日以前に本物件3の明渡しがされたとき 2 5 は、同明渡しの日)まで1か月あたり59万3588円を支払 4 え。 ⑺ 被告ホテルは、原告に対し、1988万7838円及びうち1 929万4870円に対する令和4年12月27日から支払済み まで、年3パーセントの割合による金員を支払え。 ⑻ア 原告の、被告ホテルに対する、本物件4についての令和5年 5 4月1日以降明渡し済みまでの使用料相当損害金(大阪府公有 財産規則〔昭和43年4月1日大阪府規則第30号〕第17条 に基づき毎年3月31日の現況において知事が適正に評価した 評価額により改定された現在価額〔土地の価額、建物の価額〕 を同規則第26条に定める算式にあてはめて計算した金額)の 1 0 支払を求める部分に係る訴えを却下する。 イ 被告ホテルは、原告に対し、令和4年12月1日から令和5 年3月31日(同日以前に本物件4の明渡しがされたときは、 同明渡しの日)まで1か月あたり76万6919円を支払え。 ⑼ 被告ホテル開発は、原告に対し、1万3300円を支払え。 1 5 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 被告ホテル開発の反訴請求をいずれも棄却する。 5 この判決は、第1項⑶ア、イ、⑷ないし⑹及び第2項⑶ないし⑸、 ⑹イ、⑺、⑻イ、⑼に限り、仮に執行することができる。 6 訴訟費用は、第1事件本訴、第1事件反訴、第2事件を通じ、被 2 0 告らの負担とする。 事 実 及 び 理 由 第1 請求 1 第1事件本訴 ⑴ 主文1項⑴、⑵、 ることができる。 6 訴訟費用は、第1事件本訴、第1事件反訴、第2事件を通じ、被 2 0 告らの負担とする。 事 実 及 び 理 由 第1 請求 1 第1事件本訴 ⑴ 主文1項⑴、⑵、⑷ないし⑹に同旨。 2 5 ⑵ 被告ホテル開発及び被告Aは、原告に対し、連帯して、3億6 5 496万5929円及びうち3億2622万3484円に対する 令和4年12月27日から支払済みまで年3パーセントの割合に よる金員を支払え。 2 第2事件 ⑴ 主文2項⑴ないし⑸、⑺、⑼に同旨。 5 ⑵ 被告ホテル開発は、原告に対し、令和4年12月1日から本物 件3の明渡し済みまで、令和5年3月31日までは1か月あたり 59万3588円を、令和5年4月1日以降は大阪府公有財産規 則(昭和43年4月1日大阪府規則第30号。以下「本件公有財 産規則」という。)第17条に基づき毎年3月31日の現況にお 1 0 いて知事が適正に評価した評価額により改定された現在価額(土 地の価額、建物の価額)を同規則第26条に定める算式にあては めて計算した金額を支払え。 ⑶ 被告ホテルは、原告に対し、令和4年12月1日から本物件4 の明渡し済みまで、令和5年3月31日までは1か月あたり76 1 5 万6919円を、令和5年4月1日以降は本件公有財産規則第1 7条に基づき毎年3月31日の現況において知事が適正に評価し た評価額により改定された現在価額(土地の価額、建物の価額) を同規則第26条に定める算式にあてはめて計算した金額を支払 え。 2 0 3 第1事件反訴 原告は、被告ホテル開発に対し、7000万円及びこれに対する 令和3年2月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支 払え。 第2 事案の概要等 2 5 別紙物件目録記載1の区分所有建物( 原告は、被告ホテル開発に対し、7000万円及びこれに対する 令和3年2月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支 払え。 第2 事案の概要等 2 5 別紙物件目録記載1の区分所有建物(以下「本件建物」という。) 6 全体の所有者である原告は、被告ホテル開発に対し、本件建物の7 階 から17階のうち、専有部分である本物件1及び本物件2(以下 「本件賃貸借部分」という。)について、ホテル経営を目的として 賃貸した。被告ホテル開発は、原告の承諾を得て、本件賃貸借部分 のうち本物件2を被告TCMに転貸し、被告TCMはこれを被告ホ 5 テルに再転貸した。 また、原告は、本件建物の7階から17階のうち、ホテル経営や 工事等に必要となる共用部分(行政財産)である本物件3及び本物 件4(以下「本件各使用許可部分」という。)について、本物件3 については被告ホテル開発に対し、本物件4については被告ホテル 1 0 に対し、それぞれ地方自治法238条の4第7項に基づく行政財産 目的外使用許可をした(以下「本件各使用許可」という。)。 1 第1事件 ⑴ 本訴請求 原告は、本件賃貸借部分に関して、 1 5 ① 令和2年7月31日、被告ホテル開発との間の賃貸借契約 を賃料不払いにより解除したと主張して、本件賃貸借部分のうち、 本物件1については直接占有者としての被告ホテル開発に対し、 本物件2については直接占有者としての被告ホテル並びに間接占 有者としての被告ホテル開発及び被告TCMに対し、それぞれ所 2 0 有権に基づく返還請求権として明渡し(主文1⑴、⑵関係)を、 ② 被告ホテル開発に対しては賃貸借契約及び使用許可処分に 基づき、連帯保証人である被告Aに対しては保証契約に基づき、 連帯して、(ⅰ)上記解除日までの滞納賃料と滞納管理費等( 1⑴、⑵関係)を、 ② 被告ホテル開発に対しては賃貸借契約及び使用許可処分に 基づき、連帯保証人である被告Aに対しては保証契約に基づき、 連帯して、(ⅰ)上記解除日までの滞納賃料と滞納管理費等(本 物件3の使用許可部分に係る滞納管理費等の一部を含む。)及び 2 5 これらについての各納期限の翌日から本件口頭弁論終結日(令和 7 4年12月26日)までの確定遅延損害金の合計3億6496万 5929円並びにうち元金3億2622万3484円に対する同 月27日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合によ る遅延損害金の支払(主文1⑶関係)と、(ⅱ)賃貸借契約が賃 料不払いを理由に解除された場合の約定の違約金として、賃料3 5 か月分相当額である1億0545万7260円及びこれに対する 解除日の翌日である令和2年8月1日から支払済みまで民法所定 の年3パーセントの割合による支払(主文1⑷関係)を、 ③ 被告ホテル開発、被告ホテル及び被告TCMに対し、共同 不法行為(民法719条1項)に基づき、被告ホテル開発の連帯 1 0 保証人である被告Aに対し、保証契約に基づき、連帯して、解除 日の翌日である令和2年8月1日から令和4年11月30日まで の本件賃貸借部分の賃料相当損害金等(賃料の2倍相当額及び管 理費等相当額)及びこれについての各納期限の翌日から本件口頭 弁論終結日(令和4年12月26日)までの確定遅延損害金の合 1 5 計20億9591万6406円並びにうち元本20億2880万 9865円に対する同日の翌日である同月27日から支払済みま で民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払(主 文1⑸関係)と、令和4年12月1日から本件賃貸借部分の明渡 し済みまで、賃料相当損害金(賃料の2倍相当額)として1か月 2 0 あたり703 法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払(主 文1⑸関係)と、令和4年12月1日から本件賃貸借部分の明渡 し済みまで、賃料相当損害金(賃料の2倍相当額)として1か月 2 0 あたり7030万4840円の支払(主文1⑹関係)を、 それぞれ求めた。 ⑵ 反訴請求 被告ホテル開発は、本件建物のエレベーターから著しい騒音が 発生しているが、同騒音は原告が騒音を下げるための改修工事実 2 5 施義務を怠ったことによるものであるし、本件賃貸借部分にはホ 8 テルとしての遮音性能を満たさない瑕疵がある、また、原告は信 義則上上記騒音について被告ホテルに告知する義務を負っており、 これに違反したなどと主張して、原告に対し、主位的に債務不履 行に基づき、予備的に、瑕疵担保責任(平成29年法律第44号 による改正前の民法〔以下「改正前民法」という。〕559条・ 5 570条・566条1項)又は不法行為(民法709条)に基づ き、損害賠償請求として、防音工事費用と工事期間中の休業損害 の合計36億4227万0280円と未払の賃料等合計4億88 93万8230円との相殺後の残額31億5333万2050円 の一部である7000万円及びこれに対する反訴状送達日の翌日 1 0 である令和3年2月19日から支払済みまで改正前民法所定の年 5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求めた。 2 第2事件 原告は、本件各使用許可部分に関して、 ① 被告ホテル開発や被告ホテルが使用料等を滞納したことなど 1 5 から本件各使用許可を取り消したと主張して、本件建物の所有権に 基づき、被告ホテル開発に対して本物件3の明渡し(主文2⑴関 係)、被告ホテルに対して本物件4の明渡し(主文2⑵関係)を、 ② 本件各使用許可に基づき、(ⅰ)被告ホテル開発に対し、令 和2 の所有権に 基づき、被告ホテル開発に対して本物件3の明渡し(主文2⑴関 係)、被告ホテルに対して本物件4の明渡し(主文2⑵関係)を、 ② 本件各使用許可に基づき、(ⅰ)被告ホテル開発に対し、令 和2年5月分から同年9月分までの滞納使用料の合計283万47 2 0 50円及び上記各月分につき56万5000円に対する各納期限の 翌日から支払済みまで別表①ないし⑤記載の各期間ごとの利率によ る遅延損害金の支払(主文2⑶関係)を、(ⅱ)被告ホテルに対し、 令和2年5月分から同年9月分までの滞納使用料の合計366万2 530円及び上記各月分につき73万円に対する各納期限の翌日か 2 5 ら支払済みまで別表①ないし⑤記載の各期間ごとの利率による遅延 9 損害金の支払(主文2⑷関係)を、 ③ 被告ホテル開発に対し、不法行為に基づき、本件各使用許可 の取消し後である令和2年10月分から本件口頭弁論終結日(令和 4年12月26日)までに納期限が到来する同年11月分までの本 物件3の使用料と管理費等相当損害金及びこれについての各納期限 5 の翌日から本件口頭弁論終結日までの確定遅延損害金の合計156 7万4135円並びにうち1520万7603円に対する同年12 月27日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による 遅延損害金の支払(主文2⑸関係)と、令和4年12月1日から本 物件3の明渡し済みまでの使用料相当額の損害金として、令和5年 1 0 3月31日までは1か月あたり59万3588円の支払を、同年4 月1日以降は本件公有財産規則第17条・26条によって定まる損 害金の支払(主文2⑹関係)を、 ④ 被告ホテルに対し、不法行為に基づき、本件各使用許可の取 消し後である令和2年10月分から本件口頭弁論終結日(令和4年 1 5 12月26日)までに納期限が到 害金の支払(主文2⑹関係)を、 ④ 被告ホテルに対し、不法行為に基づき、本件各使用許可の取 消し後である令和2年10月分から本件口頭弁論終結日(令和4年 1 5 12月26日)までに納期限が到来する同年11月分までの本物件 4の使用料相当額の損害金及びこれについての各納期限の翌日から 本件口頭弁論終結の日までの確定遅延損害金の合計1988万78 38円並びにうち1929万4870円に対する同年12月27日 から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害 2 0 金の支払(主文2⑺関係)と、令和4年12月1日から本物件4の 明渡し済みまでの使用料相当額の損害金として、令和5年3月31 日までは1か月あたり76万6919円の支払を、同年4月1日以 降は本件公有財産規則第17条・26条によって定まる損害金の支 払(主文2⑻関係)を、 2 5 ⑤ 被告ホテル開発が令和2年2月及び同年3月分の使用料を各 10 納期限に遅れて支払ったとして、被告ホテル開発に対し、これら使 用料に対する各納期限の翌日から各支払日までの遅延損害金の未払 分合計1万3300円の支払(主文2⑼関係)をそれぞれ求めた。 なお、本判決書に添付した別紙及び別表の略称は、本判決書末尾 に添付の別紙「別紙等一覧表」のとおりである。 5 3 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲の各証拠及び弁論の全趣 旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者等 ア 原告は普通地方公共団体である。本件建物は区分所有建物 であるが、専有部分は全て原告の所有であり、原告は、一棟 1 0 の建物としての本件建物及びその敷地である別紙物件目録記 載2の土地(以下「本件土地」という。)を所有している。 (甲1、弁論の全趣旨) Bは、平成27年1月16日から平成30年3月31日ま で、 建物としての本件建物及びその敷地である別紙物件目録記 載2の土地(以下「本件土地」という。)を所有している。 (甲1、弁論の全趣旨) Bは、平成27年1月16日から平成30年3月31日ま で、原告の総務部庁舎管理課の参事として、本件建物全体の 1 5 総合調整、活用検討等の業務を担当していた。(甲121、 122、弁論の全趣旨) イ 被告ホテル開発は、ホテル、飲食店、各種商業施設の経営 及び運営受託等を目的として、平成29年11月24日に設 立された株式会社であり、株式会社リコジャパン(以下「リ 2 0 コジャパン」という。)及び株式会社西辻工務店(以下「西 辻工務店」といい、リコジャパンと併せて「リコジャパンら」 という。)が100パーセント出資して設立した会社である。 被告Aはその代表取締役である。 被告ホテルは、ホテル、飲食店、各種商業施設の経営及び 2 5 運営受託等を目的として、同日に設立された株式会社であり、 11 リコジャパンの創業メンバーであるCがその代表取締役であ る。(乙42、弁論の全趣旨) 被告TCMは、日本管財株式会社(以下「日本管財」とい う。)の子会社であり、不動産の管理、賃貸、売買及び仲介 等を目的とする株式会社である。(甲94、弁論の全趣旨) 5 ⑵ 本件建物の構造等 ア 本件建物は、平成7年3月に、大阪市(住所省略)にある本 件土地を敷地として建築された地下3階地上54階建てのビル である。 本件建物は被告が所有する公有財産であるが、エレベーター 1 0 や給水管のような共用部分は行政財産として管理されており、 その余の部分は普通財産として管理されている。本物件1及び 本物件2は、専有部分であり普通財産にあたり、本物件3及び 本物件4は、共用部分であり行政財産にあたる。 本件 財産として管理されており、 その余の部分は普通財産として管理されている。本物件1及び 本物件2は、専有部分であり普通財産にあたり、本物件3及び 本物件4は、共用部分であり行政財産にあたる。 本件建物には、メインとなるエレベーターとして、第1ない 1 5 し第4バンクまで各6機(合計24台)(以下「本件エレベー ター」という。)が存在する。第1バンクは本件建物の7階か ら17階(以下「本件低層階」という。)用のエレベーターで あり、ホテル専用のエレベーターとして使用されている。第2 バンクが中層用(1・2・6・18~28階)、第3バンクが 2 0 高層用(1・2・6・28~39階)、第4バンクが超高層用 (1・2・6・39~52階)である。各エレベーターのメー カーは、第1バンク及び第4バンクが東芝エレベータ株式会社 (以下「東芝エレベータ」という。)、第2バンクが三菱電機 ビルテクノサービス株式会社(以下「三菱電機ビルテクノサー 2 5 ビス」という。)、第3バンクが株式会社日立ビルシステム 12 (以下「日立ビルシステム」という。)である。(甲1、10 0、弁論の全趣旨) イ 原告は、平成22年6月1日、元所有者である株式会社ワー ルドトレードセンタービルディングから本件建物を取得し、同 年11月以降、本件建物の一部を庁舎として使用しており、本 5 件建物の名称は、「大阪ワールドトレードセンタービルディン グ」から「大阪府咲洲庁舎」へと変更された。本件建物は、オ フィス等の事務所としての仕様となっており、本件建物の18 階から52階までの各フロアは、原告の執務室や民間企業のオ フィスとして使用されている。一方、本件低層階については、 1 0 平成23年頃まで大阪市が執務室として使用していたが、同年 頃に退去して以降、短期貸付がされた期間を は、原告の執務室や民間企業のオ フィスとして使用されている。一方、本件低層階については、 1 0 平成23年頃まで大阪市が執務室として使用していたが、同年 頃に退去して以降、短期貸付がされた期間を除き、原告らが入 居するまでの間、空きスペースとなっていた。(甲1、121、 弁論の全趣旨) ⑶ 本件建物の空きスペースの有効活用のための原告の取組等 1 5 ア 原告は、平成28年9月、本件建物の空きスペースの有効活 用と管理コストの軽減に向けて、本件低層階へのテナント入居 促進に重点的に取り組むという基本戦略を立て、本件建物がビ ジネス、観光、文化の中心になり得ることから、ホテルなど多 様な事業者ニーズに対応できるよう、現行の用途制限(事務 2 0 所・店舗等に限定)の緩和に向けた取組を進めることとし、事 業者から本件低層階を借り入れることへの関心表明を募るなど した。(乙2、5、6、弁論の全趣旨) イ 大阪市は、平成29年5月、本件建物のある地区の建築物等 の用途の制限を緩和するため、条例を改正し、本件建物につい 2 5 ても、オフィス、ショップ、ホテルなど幅広い用途に使用する 13 ことが可能となった。(乙7ないし11、弁論の全趣旨) ⑷ 本件建物の賃貸借契約及び被告Aの連帯保証契約の締結 ア 原告は、平成29年6月8日、同月12日から同年7月14 日を受付期間として、本件低層階の入居事業者の募集)に係る 募集要項(甲2。以下「本件募集要項」という。)及び仕様書 5 (甲3。以下「本件仕様書」という。)を定めて募集(以下 「本件公募」という。)を行ったところ、リコジャパンらは、 同日、ホテル経営を目的として、入居者募集に連名で応募した。 応募にかかる事業内容は、応募事業主であるリコジャパンが 西辻工務店の資本参加により事業主体となる )を行ったところ、リコジャパンらは、 同日、ホテル経営を目的として、入居者募集に連名で応募した。 応募にかかる事業内容は、応募事業主であるリコジャパンが 西辻工務店の資本参加により事業主体となる子会社の被告ホテ 1 0 ル開発を新規設立して、観光ホテル運営を行うというものであ った。 リコジャパンらは、本件公募に対する応募の際に、原告に対 し、本件募集要項及び本件仕様書について十分理解し、承知の 上で申し込み、参加する旨の平成29年7月14日付けの誓約 1 5 書(甲90)を提出した。(甲2ないし5、90、121、乙 2) イ 公募の選定基準に基づき、リコジャパンらが入居者に選定さ れ、本件低層階において、さきしまコスモタワーホテル(以下 「本件ホテル」という。)との名称でのホテル事業(以下「本 2 0 件ホテル事業」という。)が行われることとなった。(弁論の 全趣旨) ウ 原告及びリコジャパンらは、平成30年1月26日、原告を 賃貸人、リコジャパンらを賃借人として、本件賃貸借部分の定 期建物賃貸借契約を締結した(以下、この際に締結された契約 2 5 書(甲6)を「本件契約書」という。)。本件契約書には本件 14 募集要項及び本件仕様書が綴られている。 その後、原告、リコジャパン及び同社の連帯保証人(同社代 表取締役)、西辻工務店及び同社の連帯保証人(同社代表取締 役)、並びに被告ホテル開発及び同社の連帯保証人である被告 Aは、同年2月7日、「地位承継確認書」と題する書面(甲7) 5 を作成して、被告ホテル開発がリコジャパンらの賃借人の地位 を承継すること、承継後の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」 という。)における賃借人の連帯保証人は被告Aのみとするこ とについて合意し、被告Aは、同書面により、大阪府との間で、 本件賃貸借 借人の地位 を承継すること、承継後の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」 という。)における賃借人の連帯保証人は被告Aのみとするこ とについて合意し、被告Aは、同書面により、大阪府との間で、 本件賃貸借契約における被告ホテル開発の債務について連帯保 1 0 証する旨の保証契約(以下「本件保証契約」という。)を締結 した。 また、リコジャパンらは、被告ホテル開発に対し、同日、本件 ホテル事業の全てを事業譲渡した。(甲6ないし8、弁論の全趣 旨) 1 5 エ 原告、被告ホテル開発、被告ホテル開発の融資元に予定され ている株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」とい う。)、被告TCM及び被告ホテルは、平成30年3月26日、 上記イの原告及びリコジャパンらの間の定期建物賃貸借契約に ついて、以下の 及び の内容の覚書を締結した(以下「本件 2 0 覚書」という。)。(乙1) 連絡調整会議の設置(第1条・第2条) 被告ホテル開発の本件ホテルの運営が健全かつ円滑に行え るようにするという本件覚書の目的を達成するために、本件 覚書の締結者の5者による連絡調整会議を設ける。 2 5 契約の解除(第5条) 15 本件契約書第23条第1項第3号の契約解除の適用にあた っては、原告は、必要に応じ、連絡調整会議の意見を聞き、 将来の収支状況及び客室稼働状況等を勘案し、慎重に判断す るものとする。 オ 被告ホテル開発からの3度の契約期間の変更要請を踏まえて、 5 契約内容が変更された結果、平成30年5月25日時点におけ る本件賃貸借契約の内容は、以下の ないし のとおりである。 (甲6ないし10、弁論の全趣旨) 賃貸目的物(本件契約書第1条) 本件賃貸借部分(ただし、①平成30年5月29日から同 1 0 年6月24日まで15階・16 の ないし のとおりである。 (甲6ないし10、弁論の全趣旨) 賃貸目的物(本件契約書第1条) 本件賃貸借部分(ただし、①平成30年5月29日から同 1 0 年6月24日まで15階・16階、②同月25日から同年1 0月31日まで14階から17階、③同年11月1日から平 成31年1月31日まで13階から17階、④同年2月1日 から令和元年8月31日まで10階から17階、⑤同年9月 1日以降は7階から17階) 1 5 賃貸借の期間(本件契約書第3条) 平成30年5月29日から平成50年(令和20年)4月 30日まで 賃料(共益費を含む。以下同じ。)(本件契約書第5条) ①の期間 月額580万8348円(ただし、平成30年 2 0 5月分については、賃料の月額を日割計算によ り算定した額である58万0834円) ②の期間 月額1161万6696円(ただし、平成30 年5月分については、賃料の月額を日割計算に より算定した額である697万0017円) 2 5 ③の期間 月額1452万0870円 16 ④の期間 月額2324万4228円 ⑤の期間 月額3195万6750円 ただし、上記各金額に消費税相当額を加えた上で、10円未 満を切り捨てた額とする。⑤の期間(令和元年9月1日以降) の賃料は、月額3515万2420円である。 5 費用の負担(本件契約書第8条) 本件賃貸借部分の照明等その他の機器の電気料及び照明灯 の維持に要する費用、被告ホテル開発が設置した施設の温水 料、冷水料、ガス料及び水道料等、別途定める時間以外の本 件賃貸借部分内の空気調和に関する費用、本件賃貸借部分の 1 0 清掃及び手入れの費用、並びに本件賃貸借部分内の殺鼠殺虫 の費用(以下「管理費等」という。)は、被告ホテ 料等、別途定める時間以外の本 件賃貸借部分内の空気調和に関する費用、本件賃貸借部分の 1 0 清掃及び手入れの費用、並びに本件賃貸借部分内の殺鼠殺虫 の費用(以下「管理費等」という。)は、被告ホテル開発の 負担とする。 支払時期(本件契約書第9条) 被告ホテル開発は、毎月末日までに翌月分の賃料及び前月 1 5 分の管理費等を、原告の発行する納入通知書により、原告の 指定する金融機関に振り込んで支払う。 遅延損害金(本件契約書第10条) 被告ホテル開発が賃料その他の債務の支払を遅延したとき は、被告ホテル開発は、原告に対し、支払期限の翌日から支 2 0 払日までの日数に応じ、遅延金額につき年5パーセントの割 合で計算した金額の遅延損害金を支払う。 契約の解除と約定違約金(本件契約書第23条) 被告ホテル開発が賃料又は管理費等の支払を怠り、その合 計額が3か月分以上に達したときは、原告は、本件賃貸借契 2 5 約を解除することができる。 17 この場合には、被告ホテル開発は、原告に対し、賃料3か 月分相当額の違約金を支払わなければならない。 明渡し及び原状回復(第25条第1項) 被告ホテル開発は、本件賃貸借契約が解除されたときは、 諸造作等及び被告ホテル開発の所有又は占有する物件等を、 5 被告ホテル開発の費用をもって撤去し、諸造作等による特別 な使用方法を伴う変更、破損、故障及び損耗並びに天井、壁 及び床の破損及び消耗を修復し、本件賃貸借部分を原状回復 して、原告に明け渡さなければならない。 損害金等(本件契約書第25条第4項) 1 0 被告ホテル開発が、本件賃貸借契約の終了時までに、本件 賃貸借部分を原告に明け渡さないときは、被告ホテル開発は、 本件賃貸借契約の終了の日の翌日から明渡し完了 件契約書第25条第4項) 1 0 被告ホテル開発が、本件賃貸借契約の終了時までに、本件 賃貸借部分を原告に明け渡さないときは、被告ホテル開発は、 本件賃貸借契約の終了の日の翌日から明渡し完了に至るまで の間、本件賃貸借契約の終了時における賃料の2倍相当額を 原告に支払い、かつ、明渡しを遅延したことにより原告が被 1 5 った損害を賠償しなければならない。 納入通知書等による請求 納入通知書では、賃料の納期限は、上記 のとおり、翌月 分を毎月末日払いとして請求されていたが、管理費等の納期 限は、上記 の定めにかかわらず、当月分を翌々月末日払い 2 0 として請求されていた。 また、滞納賃料及び滞納管理費等に対する遅延損害金は、 上記 の定めにかかわらず、各納期限の翌日から大阪府税外 収入延滞金徴収条例2条、附則3所定の割合によるものとし て請求されていた。(甲124、128〔枝番号を含む〕、 2 5 弁論の全趣旨) 18 カ 原告は、被告ホテル開発に対し、平成30年5月29日以降 令和元年9月1日までに、本件賃貸借契約に基づき、本件賃貸 借部分を引き渡した。(弁論の全趣旨) ⑸ 被告TCM、被告ホテルへの転貸借、本件ホテル事業の構造等 ア 被告ホテル開発及び被告TCMは、原告の承諾を得た上で、 5 被告ホテル開発が被告TCMに対し、平成30年3月26日、 本件賃貸借部分を転貸することとして以下の内容の定期貸室転 貸借契約を締結した(以下「本件転貸借契約」という。)。ま た、被告ホテル開発及び被告TCMは、平成31年4月5日、 本件転貸借契約の契約期間等につき変更契約を締結した。(甲 1 0 11、甲12の1ないし3、甲14) 契約の目的(第2条) 被告TCMは、本件賃貸借部分をホテル事業及びこれに付 随する事 本件転貸借契約の契約期間等につき変更契約を締結した。(甲 1 0 11、甲12の1ないし3、甲14) 契約の目的(第2条) 被告TCMは、本件賃貸借部分をホテル事業及びこれに付 随する事業用途として使用しまたは再転貸する。 被告ホテル開発及び被告TCMは、被告ホテルが行う予定 1 5 の本件ホテル事業の発展のため、互いに及び被告ホテルに協 力する。 賃料(第5条) 本件賃貸借部分の引渡しが完了した客室に相応する金額の 賃料を、毎月末日までに翌月分を被告ホテル開発の口座に振 2 0 り込んで支払う。本件賃貸借部分のうち本物件2を引き渡し た後の賃料(管理費・共益費込み、消費税・地方消費税別) は、5214万0900円とする。本物件1まで全てを引渡 しした後の賃料は、7000万円とする。 ただし、被告TCMが、再転貸借契約に基づき被告ホテル 2 5 から収受する賃料(消費税・地方消費税を除く。以下「現実 19 収受賃料」という。)が月額7150万円を下回る場合は、 当該歴月の賃料は、現実収受賃料に0.98を乗じた金額と するが、月額2800万円を下限とする(本件賃貸借部分が 全て引き渡されるまでは下限を設けない。) イ 被告TCM及び被告ホテルは、原告の承諾を得た上で、被告 5 TCMが被告ホテルに対し、平成30年3月26日、本件賃貸 借部分をさらに転貸することとして以下の内容の定期貸室転貸 借契約を締結した(以下「本件再転貸借契約」という。)。ま た、被告TCM及び被告ホテルは、平成31年4月5日、本件 再転貸借契約の契約期間等につき変更契約を締結した。(甲1 1 0 3、15、弁論の全趣旨) 使用目的(第2条) 被告ホテルは、本件賃貸借部分を本件ホテル事業及びこれ に付随する事業の運営のために使用する 約期間等につき変更契約を締結した。(甲1 1 0 3、15、弁論の全趣旨) 使用目的(第2条) 被告ホテルは、本件賃貸借部分を本件ホテル事業及びこれ に付随する事業の運営のために使用する。 賃料(第6条) 1 5 本件賃貸借部分の引渡しが完了した客室に相応する金額の 賃料を、毎月末日までに翌月分を被告TCMの口座に振り込 んで支払う。本件賃貸借部分のうち本物件2を引き渡した後 の賃料(管理費・共益費込み、消費税・地方消費税別)は、 5320万5000円とする。本物件1まで全てを引渡しし 2 0 た後の賃料は、7300万円とする。 報告義務(第12条) 被告ホテルは、契約期間中、被告TCMに対し、①毎歴月 の売上げ、経費、稼働率、客室単価、収益等(以下「売上げ 等」という。)に関する月次報告書を、翌歴月の15日まで 2 5 に、②毎事業年度の売上げ等に関する年次報告書を、翌事業 20 年度の開始日から1か月以内に提出するなどの報告義務を負 う。 また、被告ホテルは、当該事項について、被告TCMが説 明を求めたときは、合理的な範囲で説明するものとする。 契約の解除(第12条) 5 被告TCMは、被告ホテルが本件ホテル事業の信用を落と し、事業継続が順調でないと状況と判断した場合や、被告ホ テルが本件再転貸借契約に定める事項に違反した場合は、無 催告解除できる。 ウ 被告TCM及び被告ホテルは、令和2年3月30日、新型コ 1 0 ロナウイルス感染症の拡大によるホテル営業への重大な影響等 への対応として、前歴月のGOP(被告ホテルの本件ホテル事 業の総売上げから経費を控除した粗利益)が5320万500 0円を下回っている場合は、本件再転貸借契約の賃料(管理 費・共益費、消費税・地方消費税を含む)をGOPと 月のGOP(被告ホテルの本件ホテル事 業の総売上げから経費を控除した粗利益)が5320万500 0円を下回っている場合は、本件再転貸借契約の賃料(管理 費・共益費、消費税・地方消費税を含む)をGOPと同額とす 1 5 る旨の覚書を締結した。(丙2) エ 本件ホテル事業の構造 本件ホテル事業については、上記ア、イのとおり、被告ホテ ル開発は被告TCMに、被告TCMは被告ホテルにそれぞれ本 件賃貸借部分を転貸することとされ、被告ホテル開発が本件賃 2 0 貸借部分で行う本件ホテル事業の事業主、被告ホテルが実際の ホテルの運営主体(オペレーター)となり、日本管財グループ が全面的に支援を行うこととされ、日本管財が被告ホテルに出 資をした上で、日本管財の子会社である被告TCMがマスター リース事業者として参画することとされた。 2 5 本件ホテル事業の融資となる貸付けについては、三井住友銀 21 行をエージェントとして、同行ほか4行の銀行を貸付人、被告 ホテル開発を借入人、被告ホテル、被告A及び被告ホテル代表 者を保証人とするコミット型シンジケートローン契約が締結さ れている。また、被告ホテル開発が上記貸付けの返済を怠った 場合の担保として、本件転貸借契約上の被告ホテル開発の地位 5 及び権利義務を、三井住友銀行が被告TCMと協議の上で多数 貸付人の意思に基づき指定する譲受人(日本管財が第一候補) に譲渡することの予約をし、全貸付人がその予約完結権を取得 している。(甲93、94、97、乙43、弁論の全趣旨) ⑹ 本件賃貸借部分の使用状況等 1 0 ア 原告は、平成30年5月29日以降、本件賃貸借契約に基づ き、被告ホテル開発に対し、段階的に本物件1及び本物件2を 引き渡し、令和元年9月1日までに全ての引渡しを完了した。 被告ホテル 0 ア 原告は、平成30年5月29日以降、本件賃貸借契約に基づ き、被告ホテル開発に対し、段階的に本物件1及び本物件2を 引き渡し、令和元年9月1日までに全ての引渡しを完了した。 被告ホテル開発は本件転貸借契約に基づき被告TCMに対し、 被告TCMは本件再転貸借契約に基づき被告ホテルに対し、順 1 5 次本物件2を引き渡し、本件ホテルは、平成31年1月29日 に本件建物のうち14階から17階までの各フロアを、同年4 月19日に13階のフロアを、同年10月1日に10階から1 2階までの各フロアを順次開業し、現在に至るまで、本物件2 を占有している。(甲11、13、弁論の全趣旨) 2 0 イ 本件賃貸借部分のうち、7階から9階までの各フロア(本物 件1)については、改装工事が未了であるため被告TCM及び 被告ホテルへの引渡しはされておらず、被告ホテル開発が現在 に至るまで、直接占有して開業準備をしている。(弁論の全趣 旨) 2 5 ⑺ 行政財産である共用部分の使用許可及び使用状況等 22 ア 被告ホテル開発は、平成30年5月以降、順次、ホテルの開 業に向けた工事を行うため、必要に応じてエレベーター、廊下、 屋外機置場、給水管等の設備機器などの共用部について、原告 知事から地方自治法238条の4第7項に基づく使用許可を受 けた。 5 そして、被告ホテルが、ホテル運営を開始する箇所及びそれ に関連する箇所については、順次、被告ホテルに対する使用許 可に切り替えられた結果、令和2年3月30日時点において、 被告ホテル開発に対し本物件3について、被告ホテルに対し本 物件4について、それぞれ地方自治法238条の4第7項に基 1 0 づく使用許可がされた(本件各使用許可)(甲33ないし52、 弁論の全趣旨) イ 本件各使用許可には、使用を許 被告ホテルに対し本 物件4について、それぞれ地方自治法238条の4第7項に基 1 0 づく使用許可がされた(本件各使用許可)(甲33ないし52、 弁論の全趣旨) イ 本件各使用許可には、使用を許可する期間を令和2年4月1 日から令和3年3月31日までとし、原告に対し、行政財産使 用料(以下「使用料」という。)を、別に発行する納入通知書 1 5 の定めるところに従って納付しなければならないこと、許可物 件の維持保持のため通常必要とする経費のほか、許可物件に付 帯する電気、水道、ガスその他の設備の使用に必要な経費(以 下「本件各使用許可部分の管理費等」という。)を負担しなけ ればならないことなどの附款が付されていた。 2 0 使用料については、本件公有財産規則第17条に基づき毎年 3月31日の現況において知事が適正に評価した評価額により 改定された当該公有財産の現在価額を、同規則第26条に定め る算式にあてはめて計算した金額とされ、令和2年4月ないし 令和3年3月までの使用料は、本物件3について1月あたり5 2 5 6万6950円、本物件4について1月あたり73万2506 23 円とされた。 本件各使用許可部分の管理費等については、実費相当額であ り、納入通知書により請求されていた。 納入通知書では、使用料の納期限は、翌月分を毎月末日払い として請求されていたが、本件各使用許可部分の管理費等の納 5 期限は、当月分を翌々月末日払いとして請求されており、滞納 使用料及び滞納管理費等に対する遅延損害金は、各納期限の翌 日から大阪府税外収入延滞金徴収条例2条、附則3所定の割合 によるものとして請求されていた。(甲33ないし52、54、 79、83、124、125、132〔枝番号を含む〕、13 1 0 3〔枝番号を含む〕、弁論の全趣旨) 滞金徴収条例2条、附則3所定の割合 によるものとして請求されていた。(甲33ないし52、54、 79、83、124、125、132〔枝番号を含む〕、13 1 0 3〔枝番号を含む〕、弁論の全趣旨) ウ 被告ホテル開発は本物件3を、被告ホテルは本物件4を、そ れぞれ共用部分としてホテルの開業準備ないし経営のために使 用し占有している。(弁論の全趣旨) ⑻ ホテルの運営状況 1 5 本件ホテルの開業後、平成31年4月から8月あたりまでは、 客室の稼働率が80パーセントから90パーセント程度であった が、ホテル供給が需要に追いついたこと等が要因となって、同月 以後、徐々に稼働率が低下した。さらに、令和2年2月以降は、 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行のために、訪日外国人 2 0 の受入れが停止し、日本国民の国内での移動が著しく鈍化したこ と等から、本件ホテル事業の売上げが著しく減少した。(弁論の 全趣旨) ⑼ 被告ホテル開発による賃料及び管理費等並びに被告ホテル開発 及び被告ホテルの使用料の支払状況等 2 5 ア 本件賃貸借部分の賃料及び管理費等 24 被告ホテル開発は、本件賃貸借部分の賃料について、平成3 0年5月分以降、令和元年9月分までは約定通りに支払ったが、 同年10月分からはこれを支払わなくなり、その後、同年12 月28日、同年10月分を支払ったが、同年11月分以降の賃 料及び管理費等を支払わなかった。(甲16及び17〔各枝番 5 号を含む〕、18、19、28、甲126ないし128〔各枝 番号を含む〕、弁論の全趣旨) イ 本件各使用許可部分の使用料及び管理料等 被告ホテル開発及び被告ホテルは、原告に対し、令和2年4 月分までの使用料を支払ったが、同年5月分以降の使用料を支 1 0 払わなかった。また、 イ 本件各使用許可部分の使用料及び管理料等 被告ホテル開発及び被告ホテルは、原告に対し、令和2年4 月分までの使用料を支払ったが、同年5月分以降の使用料を支 1 0 払わなかった。また、本件各使用許可部分の管理費等について は、被告ホテル開発は、令和元年11月分以降の本物件3の管 理費等を支払わなかったが、被告ホテルは本物件4の管理費等 を全て支払った。(甲54、78、82、84、132〔枝番 号を含む〕、133〔枝番号を含む〕、136〔枝番号を含 1 5 む〕、弁論の全趣旨) ⑽ 本件賃貸借契約の解除と本件各使用許可の取消処分 ア 原告は、被告ホテル開発に対し、令和2年3月16日、同月 13日付けの内容証明郵便にて、令和元年11月分ないし令和 2年3月分の賃料、令和元年11月分及び同年12月分の管理 2 0 費等並びに令和元年10月分の賃料に係る遅延損害金を、令和 2年3月31日までに支払うよう催告し、支払がない場合は解 除する旨通知したが、被告ホテル開発による支払はなかった。 原告は、被告ホテル開発に対し、同年7月31日、同月30日 付けの内容証明郵便(以下「本件解除通知」という。)にて、同 2 5 年11月分から令和2年7月分までの9か月分の賃料等を支払っ 25 ていないなどとして、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示を した。 実際にも、令和2年7月30日時点における被告ホテル開発の 賃料等の未払額は、別紙20の「【請求の趣旨3】滞納賃料及び 遅延損害金について」の「滞納賃料(請求額)」欄、同「【請求 5 の趣旨3】滞納管理費及び遅延損害金について」の「滞納管理費 (既請求額)」欄、同「【請求の趣旨3】支払済み賃料に係る遅 延損害金について」の「遅延損害金(請求額)」欄に各記載のと おり、令和元年11月分から令和2年7月分 及び遅延損害金について」の「滞納管理費 (既請求額)」欄、同「【請求の趣旨3】支払済み賃料に係る遅 延損害金について」の「遅延損害金(請求額)」欄に各記載のと おり、令和元年11月分から令和2年7月分までの9か月分の賃 料等(合計3億1637万1780円)、令和元年11月分から 1 0 令和2年4月分までの管理費等(合計747万0648円)並び に令和元年10月分の賃料に係る遅延損害金(41万6050円) の合計3億2425万8478円であった。(甲16及び17 〔各枝番号を含む〕、18ないし23、126ないし128〔各 枝番号を含む〕、弁論の全趣旨) 1 5 イ 原告は、被告ホテル開発及び被告ホテルに対し、令和2年8 月19日付けの通知書にて、本件各使用許可の取消処分につい て、行政手続法13条1号に定める聴聞手続を行う旨を通知し たところ、被告ホテル開発及び被告ホテルは、原告に対し、原 告が本件エレベーターの走行音についての4億円以上の追加工 2 0 事費用を負担しなければ、賃料及び使用料を納付できないこと 等の内容を記載した同年9月1日付けの答弁書を提出したが、 聴聞の期日には出頭しなかった。 原告は、被告ホテル開発及び被告ホテルに対し、令和2年9 月7付けの通知書にて、上記答弁書を同法21条1項に規定す 2 5 る陳述書と取り扱うこと、聴聞手続を終結することを通知した 26 上で、同月14日、被告ホテル開発及び被告ホテルに対する本 件各使用許可を、本件賃貸借契約の解除と使用料の未納を理由 に取り消し(以下「本件各取消処分」という。)、被告ホテル 開発及び被告ホテルに対し、同月15日、本件各取消処分の通 知をした。(甲56ないし77) 5 ⑾ 占有移転禁止の仮処分決定、訴えの提起等 ア 原告は、本件賃貸借部分につき、令和2年8月 テル 開発及び被告ホテルに対し、同月15日、本件各取消処分の通 知をした。(甲56ないし77) 5 ⑾ 占有移転禁止の仮処分決定、訴えの提起等 ア 原告は、本件賃貸借部分につき、令和2年8月12日付け で、被告ホテル開発及び被告ホテルに対する占有移転禁止の 仮処分決定(大阪地方裁判所令和2年(ヨ)第626号)を 得ており、その執行は同月21日に完了した(同庁令和2年 1 0 (執ハ)第84号、同第85号)。(甲30ないし32、弁 論の全趣旨) 原告は、令和2年11月4日付けで、本物件3につき被告 ホテル開発に対し、本物件4につき被告ホテルに対し、それ ぞれ占有移転禁止の仮処分決定(大阪地方裁判所令和2年 1 5 (ヨ)第766号)を得ており、その執行は同月11日に完 了した(同庁令和2年(執ハ)第118号、同第119号)。 (甲88、甲89の1ないし3、弁論の全趣旨) イ 原告は、被告らに対し、令和2年11月10日、第1事件本 訴に係る訴訟を提起したところ、被告ホテル開発は、原告に対 2 0 し、令和3年2月3日、第1事件反訴に係る訴訟を提起した。 被告ホテル開発は、第1事件反訴に係る反訴状をもって、本 件賃貸借契約に係る滞納賃料、滞納管理費等及び遅延損害金の 支払債務(以下「本件賃料等支払債務」という。)と、本件エ レベーターの走行音についての原告の債務不履行、瑕疵担保責 2 5 任又は不法行為に基づく損害賠償債務(以下「本件損害賠償債 27 務」という。)を対当額で相殺する旨の意思表示をした。 また、原告は、被告ホテル開発及び被告ホテルに対し、令和 3年1月20日、第2事件に係る訴訟を提起した。(顕著な事 実) ウ 被告ホテル開発及び被告ホテルは、原告に対し、令和3年3 5 月12日、本件各取消処分や、その後の原告 び被告ホテルに対し、令和 3年1月20日、第2事件に係る訴訟を提起した。(顕著な事 実) ウ 被告ホテル開発及び被告ホテルは、原告に対し、令和3年3 5 月12日、本件各取消処分や、その後の原告ホテル開発の行政 財産使用許可申請についての不許可処分の取消しや、行政財産 使用の許可の義務付けを求める訴訟を提起した(大阪地方裁判 所令和3年(行ウ)第21号。以下「別件行政訴訟」とい う。)。 1 0 被告ホテル開発及び被告ホテルは、同事件に係る訴状をもっ て、被告ホテル開発及び被告ホテルの未払の使用料の支払債務 と本件損害賠償債務と対当額で相殺する旨の意思表示をした。 同裁判所は、令和4年12月23日、別件行政訴訟について、 本件各取消処分の取消請求を含む、すでに使用許可期間が経過 1 5 し使用許可申請に係る取消処分の取消請求について訴えの利益 がないとして却下し、理由中で本件各取消処分について適法と 判断した上でその余の取消請求を棄却し、義務付けの訴えにつ いて却下する判決をした。(甲137、弁論の全趣旨) 4 本件の争点 2 0 ⑴ 本件エレベーターの走行音についての原告の被告ホテル開発に 対する本件損害賠償債務の有無(争点1)(第1事件・第2事件) ⑵ 本件賃貸借契約の解除の有効性及び本件各取消処分の適法性 (争点2)(第1事件・第2事件) ⑶ 本物件2について被告TCMの間接占有の有無(第1事件) 2 5 (争点3) 28 ⑷ 被告TCMが被告ホテル開発及び被告ホテルと共に、解除後の 本件賃貸借部分の占有についての共同不法行為責任を負うか及び その損害額(争点4)(第1事件本訴) 5 当事者の主張 ⑴ 本件エレベーターの走行音についての原告の被告ホテル開発に 5 対する本件損害賠償債務の有無(争点1) (被告 行為責任を負うか及び その損害額(争点4)(第1事件本訴) 5 当事者の主張 ⑴ 本件エレベーターの走行音についての原告の被告ホテル開発に 5 対する本件損害賠償債務の有無(争点1) (被告ホテル開発らの主張) ア 本件エレベーターの走行音についての改修工事実施義務違反 又は隠れた瑕疵の有無 本件賃貸借部分は、被告ホテル開発らがホテル客室として 1 0 使用するものとして賃貸されているのであるから、客室の騒 音レベルが35dB以下の騒音レベル1級(日本建築学会が 推奨する好ましい性能水準)であるべきである。 しかし、本件賃貸借部分の客室の騒音レベルは、被告ホテ ル開発が原告から借り受けた時点で、最大で65.2dBに 1 5 達しており(乙15、17)、全ての測定地点において、3 5dBをはるかに上回る状態であった。 65dBという騒音は、工業地域、工業専用地帯における 工場・事業場の敷地境界線においてですら、基準を超過する 数値である。 2 0 諸造作等の設置費用をリコジャパンらの負担とする旨の本 件契約書第16条の記載は、本件建物にホテルとしての利用 を積極的に阻害するような瑕疵が存在しないこと、ホテルと して利用されるにあたって特別の弊害を被告ホテル開発に及 ぼさない使用環境を提供することを前提とするものであるか 2 5 ら、原告には、本件賃貸借契約上、ホテルとしての品質・機 29 能を有している建物を提供する義務がある。 被告ホテル開発らは原告に対し、騒音レベルが35dBに なるような改修工事をするように求めたが、原告は、必要な 改修工事を実施せず、かかる義務に違反した。 また、上記のような状態であった以上、本件賃貸借部分に 5 は、ホテルとしての遮音性能を満たさない瑕疵がある。 イ 本件エレベータ 、原告は、必要な 改修工事を実施せず、かかる義務に違反した。 また、上記のような状態であった以上、本件賃貸借部分に 5 は、ホテルとしての遮音性能を満たさない瑕疵がある。 イ 本件エレベーターの走行音についての原告の告知義務違反の 有無 原告は、本件賃貸借部分の客室の騒音レベルが上記ア の ような状態であり、ホテルとしての使用収益に耐えない騒音 1 0 が発生することを認識しながら、故意にこれを告知せず、被 告ホテル開発に、ホテル使用を目的とする本件賃貸借契約を 締結させた。 以前にオフィス仕様の高層ビルをホテル仕様に改装して泉 佐野センターホテルを成功させた被告Aのことがテレビで紹 1 5 介されたことなどがあり、被告A及びCは、平成28年5月 24日、Bらと面談して以降、原告から強く勧誘を受けて本 件建物で本件ホテル事業を開業するに至っている。 しかも、被告ホテル開発は、月額4000万円近い賃料を 支払う契約をしようとしているのに、本件建物がホテルとし 2 0 ての静謐基準をみたさないということは本件建物で本件ホテ ル事業をすることを著しく困難にする事情である。 このような事情からして、原告は、被告ホテル開発に対し、 信義則上、ホテルとしての使用収益に耐えない騒音が発生す ることを被告ホテル開発に告知することにつき告知義務を負 2 5 うが、原告は故意にこの義務に違反した。 30 ウ 被告ホテル開発の損害の発生及び金額 防音工事費用 35億6798万0680円 被告ホテル開発が賃借人として、ホテルの客室内の騒音レ ベルを35dB以下まで下げるには、客室内の天井及び壁に 防音性能の高い建材を設置することが必要不可欠であり、そ 5 のための工事費用は、見積書(乙24)のとおり、35億6 798万0680円 音レ ベルを35dB以下まで下げるには、客室内の天井及び壁に 防音性能の高い建材を設置することが必要不可欠であり、そ 5 のための工事費用は、見積書(乙24)のとおり、35億6 798万0680円(消費税10%込み)である。 工事期間中の休業損害 7428万9600円 a 防音工事の期間中は、稼働している268室の営業を停止 する必要があり、1室あたりの工事期間は少なくとも30日 1 0 間である。 b 本件建物の近隣周辺に存するハイアットリージェンシー大 阪の稼働率及び客室平均単価は、以下のとおりである。 ① 平成29年5月から平成30年4月 稼働率77.4パ ーセント 客室平均単価1万5597円 1 5 ② 平成30年5月から平成31年4月 稼働率73.4パ ーセント 客室平均単価1万5602円 ③ 令和元年5月から令和2年4月 稼働率52.3パーセ ント 客室平均単価1万6223円 c 客室稼働率及び販売客室の平均単価は、上記①ないし③を 2 0 基準とし、稼働率はこれまでの客室稼働率を考慮して70パ ーセントとし、平均単価を1万2000円とする。 休業損害は以下のとおり計算すると、7428万9600 円である。 休業損害=268室(販売可能客室数)×30日(工事日数) 2 5 × 70パーセント(稼働率)× 1万2000円 31 (平均単価)×1.1(消費税) と の合計 36億4227万0280円 (原告の主張) ア 本件エレベーターの走行音についての改修工事実施義務違反 又は隠れた瑕疵の有無 5 本件契約書には本件募集要項及び本件仕様書が併せて綴じ られており、本件募集要項には、原告の間仕切り等撤去工事 等以外の改修費用は入居事業者の負担とされていること等か らして、被告ホテル開発が、 本件契約書には本件募集要項及び本件仕様書が併せて綴じ られており、本件募集要項には、原告の間仕切り等撤去工事 等以外の改修費用は入居事業者の負担とされていること等か らして、被告ホテル開発が、もともと事務所仕様である本件 賃貸借部分をホテルとして改修するのであれば、その費用を 1 0 負担するべきである。 そのため、原告には、本件賃貸借契約上、本件エレベータ ー裏や廊下部分について、何らの防音措置をせずに、常に3 5dB以下の騒音レベルとしなければならないという義務は ない。 1 5 仮に、エレベーターの走行音によってホテルの客室に防音 措置等が必要になるのであれば、その費用は被告ホテル開発 が負担するべきである。 室内の騒音レベルが35dB以下というのは、あくまで日 本建築学会の推奨基準であり、法定基準ではない。また、被 2 0 告ホテル開発らが提出している、ガイドローラー交換等以前 のエレベーター走行音についての測定結果(乙13ないし1 5)は、本件エレベーターの裏(廊下)の測定値であり、客 室内のものではない。 ガイドローラーの交換後は、走行音が劇的に減少しており、 2 5 最も活発にエレベーターが稼働する朝と夕のラッシュ時でさ 32 え、客室の騒音レベルは、最上とされる35dBのエレベー ター騒音にほど近いものであり、ホテル経営に支障をきたす ほどの騒音が発生しているとはいえない。 以上からすると、本件賃貸借部分に原告の主張するような 瑕疵があるとはいえない。 5 イ 本件エレベーターの走行音についての原告の告知義務違反の 有無 被告ホテル開発らは、原告から本件建物でホテル事業を行う ことを強く勧誘したとして、30回程度、原告の職員と面談し たというが、その面談の内容は具体的に示されておらず、告知 告知義務違反の 有無 被告ホテル開発らは、原告から本件建物でホテル事業を行う ことを強く勧誘したとして、30回程度、原告の職員と面談し たというが、その面談の内容は具体的に示されておらず、告知 1 0 義務を基礎づける事実など何ら主張されていないことなどから して、信義則に基づく告知義務自体が認められない。 ウ 被告ホテル開発の損害の発生及び金額 否認ないし争う。 ⑵ 本件賃貸借契約の解除の有効性及び本件各取消処分の適法性 1 5 (争点2) (原告の主張) ア 本件賃貸借契約の解除の有効性について 被告ホテル開発の賃料及び管理費等の滞納状況からすれば、 賃料及び管理費等の滞納を理由とする本件賃貸借契約の解除は 2 0 有効である。 相殺による滞納賃料等の消滅の有無 原告が被告ホテル開発に対して本件損害賠償債務を負って いないことは前記⑴(原告の主張)のとおりである。 仮に、本件損害賠償債務が認められるとしても、そもそも、 2 5 相殺の遡及効は、相殺の意思表示以前に有効になされた契約 33 解除の効力には何ら影響を与えるものではないから(最高裁 判所昭和32年3月8日第2小法廷判決・民集11巻3号5 13頁)、原告による本件賃貸借契約の解除後になされた被 告ホテル開発による相殺は、本件賃貸借契約の解除の有効性 に影響を与えない。そのため、相殺によって、未払の賃料及 5 び管理費等が遡って消滅するとの被告ホテル開発らの主張は 失当である。 信頼関係不破壊の特段の事情、又は原告による解除の信義 則違反該当性の有無 a 本件賃貸借契約については、本質的な義務である賃料につ 1 0 いて、契約解除の時点で、被告ホテル開発の滞納期間が9か 月に及び、滞納金額が3億2000万円以上に達しており、 信頼関係が 有無 a 本件賃貸借契約については、本質的な義務である賃料につ 1 0 いて、契約解除の時点で、被告ホテル開発の滞納期間が9か 月に及び、滞納金額が3億2000万円以上に達しており、 信頼関係が破壊されていないとは到底いえない。 b 原告は、被告ホテル開発による滞納賃料が多額になるに及 び、賃料の滞納を解消するように被告ホテル開発に再三求め、 1 5 被告ホテル開発は、令和元年度末までに滞納解消を約する旨 の誓約書を2度提出しながら(甲98、99)、一向に滞納 を解消しようとしなかった。 c このような事情からして、信頼関係の破壊は明らかである し、原告による解除が信義則に反して許されないとはいえな 2 0 い。 イ 本件各取消処分の適法性 被告ホテル開発及び被告ホテルの使用料の滞納状況に加え、 本件各使用許可は、本件ホテル事業のため、本件賃貸借契約と 一体をなすものであり、本件賃貸借契約が有効に存続すること 2 5 を前提になされたものであるところ、上記アのとおり本件賃貸 34 借契約が解除されたことからすれば、本件各取消処分は適法で ある。被告ホテル開発らの主張は、行政処分の公定力が存する ことを無視した主張である。 (被告ホテル開発らの主張) ア 本件賃貸借契約の解除の有効性について 5 以下の事情からすれば、本件賃貸借契約の解除は無効である。 相殺による滞納賃料等の消滅の有無 被告ホテル開発は、第1事件に係る反訴状をもって、本件 賃料等支払債務と本件損害賠償債務とを相殺したところ、原 告が解除の原因として主張する本件賃料支払等債務は、解除 1 0 の意思表示よりも前の相殺適状時に遡って消滅するから、本 件賃貸借契約の解除は無効である。 信頼関係不破壊の特段の事情、又は原告による解除の信義 則違反該当 る本件賃料支払等債務は、解除 1 0 の意思表示よりも前の相殺適状時に遡って消滅するから、本 件賃貸借契約の解除は無効である。 信頼関係不破壊の特段の事情、又は原告による解除の信義 則違反該当性の有無 a 本件賃貸借契約の解除にあたっては、必要に応じ、連絡調 1 5 整会議の意見を聞き、将来の収支状況及び客室稼働状況等を 勘案し、慎重に判断することとされている(乙1)ところ、 原告は、連絡調整会議において、解除すべきでない旨の意見 が出ていたにもかかわらず、突如、本件賃貸借契約につき解 除の意思表示をした。 2 0 b また、被告ホテル開発らには、本件エレベーターの走行音 についての追加の改修工事費用が4億円以上発生する見込み であったことから費用負担を原告に求めるなどの交渉をして いたこと、新型コロナウイルス感染症の流行による減収など の契約締結時に予想できない状態に陥ったこと、滞納賃料等 2 5 を納めていくための被告ホテルの経営計画に三井住友銀行な 35 どが賛同していたことなどの事情があったにもかかわらず、 本件賃貸借契約の解除にあたって、かかる事情が一切考慮さ れていない。 c 仮に本件賃料等支払債務が相殺によって遡及的に消滅しな い場合であっても、上記 、⒝のような事情は信頼関係不破 5 壊の特段の事情にあたるから、本件賃貸借契約の解除は無効 である。 また、このような事情からすると、被告ホテル開発が相殺 適状時に本件賃料等支払債務と本件損害賠償債務とを相殺す る旨の意思表示をしなかったとしても無理からぬ事情があっ 1 0 たといえることを斟酌して、解除権を否定すべきであり(最 高裁昭和39年7月28日第3小法廷判決・民集18巻6号 1220頁参照)、原告による本件賃貸借契約の解除は信義 則に反して許されず、無効であ たといえることを斟酌して、解除権を否定すべきであり(最 高裁昭和39年7月28日第3小法廷判決・民集18巻6号 1220頁参照)、原告による本件賃貸借契約の解除は信義 則に反して許されず、無効である。 イ 本件各取消処分の適法性 1 5 以上のとおり、原告による本件賃貸借契約の解除は無効であ る。また、被告ホテル開発及び被告ホテルは、別件行政訴訟に 係る訴状をもって、滞納使用料の支払債務と本件損害賠償債務 を相殺する旨の意思表示をしたから、滞納使用料の支払債務は 本件各取消処分の前に遡って消滅した。よって、本件賃貸借契 2 0 約が解除されたことなどを理由とする本件各取消処分は、取消 事由を欠き、違法である。 (被告TCMの主張) いずれも争う。 ⑶ 本物件2について被告TCMの間接占有の有無(争点3) 2 5 (原告の主張) 36 本物件2は、原告から引渡しを受けた被告ホテル開発が、被告 TCMに転貸して引き渡し、さらに被告TCMが被告ホテルに再 転貸して引き渡して、被告ホテルが直接占有をしているので、被 告ホテル開発と被告TCMは、共に本物件2の間接占有者である といえる。 5 (被告TCMの主張) 争う。本件賃貸借契約の解除が認められ、本件賃貸借契約が終 了した場合、本件転貸借契約及び本件再転貸借契約も終了するか ら、被告TCMは本物件2の間接占有を失っている。 ⑷ 被告TCMが被告ホテル開発及び被告ホテルと共に、解除後の 1 0 本件賃貸借部分の占有について共同不法行為責任を負うか及びそ の損害額(争点4) (原告の主張) ア 共同不法行為責任の有無について 被告TCMは、本件ホテル事業におけるマスターリース事業 1 5 者として、被告ホテルからの賃料収入を得つつ、現在も継続し (争点4) (原告の主張) ア 共同不法行為責任の有無について 被告TCMは、本件ホテル事業におけるマスターリース事業 1 5 者として、被告ホテルからの賃料収入を得つつ、現在も継続し ている本件ホテル事業に主体的にかかわっている。被告TCM は、本件賃貸借契約の解除により、本件転貸借契約に基づく本 件建物の転借人としての占有権原を失い、転貸人である被告ホ テル開発及び再転借人である被告ホテルと共に、本物件2を不 2 0 法に占有していることになる。 また、本物件1は、本物件2と一体となって本件転貸借契約 及び本件転貸借契約の対象となっており、被告TCMは、本物 件1につき被告ホテル開発に占有させ、本物件2につき被告ホ テルに本件ホテル事業として使用させることで、本件賃貸借部 2 5 分全体の明渡しを妨げている。 37 被告TCMは、本件解除通知により、本件賃貸借契約、本件 転貸借契約及び本件再転貸借契約の終了、並びに被告ホテル開 発による本物件1の直接占有と被告ホテルによる本物件2の直 接占有が原告の所有権を侵害することについて知っていたとい えることからして、被告TCMは、被告ホテル開発との共同不 5 法行為責任を負う。 イ 原告の損害の発生及び金額について 本件賃貸借契約においては、賃料の2倍相当額が明渡し遅延 の損害賠償額として予定されている。したがって、本件賃貸借 契約の解除後に、本件賃貸借部分の使用収益が妨げられたこと 1 0 により原告に生じた損害は、賃料の2倍相当額及び実損として の管理費等相当額である。 (被告ホテル開発及び被告ホテル) いずれも争う。 (被告TCMの主張) 1 5 ア 共同不法行為責任の有無について 被告TCMは、本物件1につき占有がなく、前記⑶(被告T CMの主 (被告ホテル開発及び被告ホテル) いずれも争う。 (被告TCMの主張) 1 5 ア 共同不法行為責任の有無について 被告TCMは、本物件1につき占有がなく、前記⑶(被告T CMの主張)の通り、本件賃貸借契約が解除された場合には、 本物件2の間接占有も失う。 また、被告TCMは本件賃貸借部分の占有につき何らの作為 2 0 もしていないし、さらに、被告TCMには本件転貸借契約及び 本件再転貸借契約を解除して被告ホテルを退去させる作為義務 はないから、被告TCMの不作為をもって作為義務違反又は権 利侵害があるともいえない。よって、被告TCMは、本件賃貸 借部分の占有につき、共同不法行為責任を負わない。 2 5 イ 原告の損害の発生及び金額について 38 本物件1については、被告ホテル開発が直接占有しており、 被告TCMは直接にも間接にも占有したことはない。 本物件2に関して、原告が使用収益できない損害は、被告 ホテル開発が直接占有していることに起因するものであるか ら、被告TCMが間接占有しているとしても、その行為と損 5 害との間に因果関係はない。 騒音等の建物の構造に欠陥があることが争われているなど の本訴訟の特殊性からして、原告の損害額は、本件転貸借契 約及び本件再転貸借契約の賃料規定により算定される金額か ら、騒音その他本件賃貸借部分に存在する欠陥を考慮して合 1 0 理的に算定される金額を控除した金額とすることが合理的で ある。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下 1 5 の事実が認められる。 ⑴ 本件募集要項等の記載内容 ア 本件募集要項には、以下の 及び の記載がある。(甲2) 用途の指定として、「賃貸借物件の基本的な仕様 の全趣旨によれば、以下 1 5 の事実が認められる。 ⑴ 本件募集要項等の記載内容 ア 本件募集要項には、以下の 及び の記載がある。(甲2) 用途の指定として、「賃貸借物件の基本的な仕様は、『事 務所』となっております。」「現行の賃貸借物件の用途(事 2 0 務所)を、他の用途に変更して使用する場合は、事前に大阪 府の承認を得るとともに、入居事業者の責任と負担において 建築確認その他の必要な手続きを行ってください。」 必要経費の負担として、入居事業者が負担すべき経費には、 改修費用(原告において実施予定の間仕切り等撤去工事、出 2 5 入口用カードリーダーの取替え工事及び空調制御設備等修繕 39 工事を除く。)が含まれること イ 本件仕様書には、入居事業者は、建築基準法第6条に規定す る賃貸借物件の用途について、「咲洲コスモスクエア地区地区 計画」及び「大阪市咲洲コスモスクエア地区地区計画の区域内 における建築物の制限に関する条例(平成2年条例第30号)」 5 で認められた範囲で使用することが可能である、現行の賃貸借 物件の用途(事務所)を、他の用途に変更して使用する場合は、 事前に大阪府の承認を得るとともに、入居事業者の責任と負担 において建築確認その他の必要な手続きを行う、との記載があ る。(甲3) 1 0 ⑵ エレベーターの走行音に関する調査、連絡調整会議の内容等 ア 日本建築学会作成の建築物の遮音性基準と設計方針(以下 「本件指針」という。)においては、ホテルの客室の室内騒音 について、35dBが騒音レベル(dBA)1級(建築学会が 推奨する好ましい性能水準)、40dBが騒音レベル2級(一 1 5 般的な性能水準)、45dBが騒音レベル3級(やむを得ない 場合に許容される性能水準)との基準が定められている。(乙 23 築学会が 推奨する好ましい性能水準)、40dBが騒音レベル2級(一 1 5 般的な性能水準)、45dBが騒音レベル3級(やむを得ない 場合に許容される性能水準)との基準が定められている。(乙 23) イ 被告ホテル代表者は、平成30年5月9日頃、本件建物にお いて、本件エレベーターの方から異音がすることに気が付いた。 2 0 東芝エレベータ、三菱電機ビルテクノサービス、日立ビルシス テム及び日本管財は、平成30年5月16日から同年7月30 日までに、本件賃貸借部分のうち、本件エレベーターの真裏に あるホテル客室内で騒音測定を行い、その結果、騒音最大測定 値は、最小で46.0dBで、最大で65.2dBであった。 2 5 東芝エレベータ及び日立ビルシステムは、騒音の軽減策として、 40 ガイドローラーの交換を検討している旨の意見を述べた。 なお、ガイドローラーとは、エレベーターの籠や重りが昇降 するために、エレベーター昇降路(エレベーターが通過する竪 穴)の壁面に設置されたレールの上を走るローラーのことをい う。(甲91、乙13ないし16、42、43、弁論の全趣旨) 5 ウ 平成30年10月30日の連絡調整会議において、被告ホテ ル開発及び被告ホテルは、ホテル運営上の問題点等として、本 件エレベーターから発生する騒音について、建築学会が推奨す る好ましい性能水準(1級)によると、ホテル空室の騒音レベ ルは35dBであるが、本件エレベーターによる騒音は基準値 1 0 を超えており、客からのクレームに繋がりかねないとして、原 告に対し、ガイドローラーの交換を行う等の被告ホテル開発作 成の「エレベーターから発生する騒音について」と題する書面 (乙16)の「3.エレベーター会社からの主な改善提案」に 記載された対応を、本件ホテルのオープンに間に合うよ の交換を行う等の被告ホテル開発作 成の「エレベーターから発生する騒音について」と題する書面 (乙16)の「3.エレベーター会社からの主な改善提案」に 記載された対応を、本件ホテルのオープンに間に合うように早 1 5 急に行い、ホテルとして問題なく営業できるようにすることを 求めた。 これに対して、原告は、かねてからの打合せ内容であり、検 討しており、すべてではないが問題となっているガイドローラ ーを同年11月に交換する手配となっている旨答えた。(乙1 2 0 6、18、弁論の全趣旨) エ 原告は、平成30年11月7日から12月26日までの間に、 本件エレベーター(24機)のうち、走行音の軽減が見込まれ る13機のガイドローラーの交換や円滑油の塗布をした(うち 1機のガイドローラーについては同年5月31日にすでに交換 2 5 していた。)。 41 また、原告は、午後11時から翌日午前8時までの間は、第 1バンクを除く18機のうち、第2ないし第4バンクについて 2機ずつの計6機のエレベーターのみを稼働することとした。 (甲102、104、弁論の全趣旨) オ 本件エレベーターのうち第1ないし第3バンクの騒音レベル 5 について、ガイドローラーの交換前(平成30年6月から同年 12月までに測定)と交換後(同月から平成31年1月21日 までに測定)に測定した結果は、別紙21「ガイドローラー交 換前後の走行音比較(dB)」のとおりである。 ガイドローラーの交換前では、本件建物のうち、本件ホテル 1 0 事業の開始後は客室前の廊下となっている場所での測定値は、 最も小さいもので39.7dBから42.8dB、最も大きい もので57.9dBから65.0dBである。 また、ガイドローラーの交換後では、日立ビルシステムが、 平成31年1月18 所での測定値は、 最も小さいもので39.7dBから42.8dB、最も大きい もので57.9dBから65.0dBである。 また、ガイドローラーの交換後では、日立ビルシステムが、 平成31年1月18日の午後5時30分から午後7時まで、同 1 5 月21日午前8時15分から午前9時6分までに(これらの時 間帯はラッシュの時間帯で、一日の中でもエレベーターの利用 者が多い。)、本件賃貸借部分のうち16階の客室内での走行 音測定をしたところ、測定値は、最も小さいもので30dBか ら36dB、最も大きいもので37.0dBから41.2dB 2 0 である。(甲103ないし115、弁論の全趣旨) カ 原告及び被告ホテル開発は、平成31年1月31日の連絡調 整会議において、被告ホテルは同月29日からのホテル開業後、 エレベーターの騒音についてホテルの客からの特段の苦情は出 ていない旨報告した。(乙19、弁論の全趣旨) 2 5 キ 被告ホテルは、令和元年7月30日の連絡調整会議において、 42 防音工事で1億8300万円が必要となったことなどにより、 工事費用が当初の予定の31億円から36億円に増額したこと を報告し、三井住友銀行が原告に対し、増額分の費用負担が可 能か尋ねたところ、原告は、撤去費用以外は予算に入れておら ず、契約以上のことはできず、本件募集要項に沿った対応が基 5 本となる旨回答した。(乙20、弁論の全趣旨) ク 被告ホテルは、令和元年10月29日の連絡調整会議におい て、追加工事費用の捻出について、原告と三井住友銀行にそれ ぞれ個別に相談する方針である旨述べた。(乙21、弁論の全 趣旨) 1 0 ケ 被告ホテル開発は、原告に対し、令和元年11月21日、同 年10月分及び同年11月分の滞納賃料並びに同年8月分の滞 納管理費等の合計714 針である旨述べた。(乙21、弁論の全 趣旨) 1 0 ケ 被告ホテル開発は、原告に対し、令和元年11月21日、同 年10月分及び同年11月分の滞納賃料並びに同年8月分の滞 納管理費等の合計7147万6097円を令和元年度中に全額 支払うことなどの誓約書を差し出した。(甲98) コ 被告ホテル開発は、原告に対し、令和元年12月26日、同 1 5 年10月分ないし同年12月分の滞納賃料の合計1億0481 万8130円を令和元年度中に全額支払うことなどの誓約書を 差し出した。(甲98) サ 原告は、令和2年6月26日の連絡調整会議において、被告 ホテル開発の未払賃料等が同年5月末時点で累計約2億900 2 0 0万円となっていること、被告ホテル開発から2回誓約書が出 されているのに未払が発生していること等を踏まえて、契約解 除についての出席者の意見を聴取した。 三井住友銀行は、被告ホテル開発の未払金解消のための10 か年計画も精査して、支えていくことが可能であれば、同計画 2 5 を支持したいが、債権放棄や金利減免、新規支援は受け入れら 43 れない旨述べた。 被告ホテルも、債権放棄等は望んでおらず、同計画に基づい て原告への未払金の支払と銀行への返済を行えば、平成43年 (2031年)には未払が解消される見込みである旨述べた。 (乙22、弁論の全趣旨) 5 ⑶ 騒音対策に必要な工事費用の見積り 被告ホテル開発が、騒音対策に必要な工事の見積りを取ったとこ ろ、令和2年10月26日付けの見積書では、客室1室につき、完 全浮き構造にする防音工事費用として475万6000円と、それ に付随する開口部の防音ドアの取り付けや床・壁・天井の仕上げ工 1 0 事及び設備等の費用として362万9600円の合計838560 0円が必要であり、全3 工事費用として475万6000円と、それ に付随する開口部の防音ドアの取り付けや床・壁・天井の仕上げ工 1 0 事及び設備等の費用として362万9600円の合計838560 0円が必要であり、全371室にこの工事をする費用と、廊下の防 音改修工事費用とで合計32億4361万8800円(いずれも消 費税10パーセントは別)が必要とされている。(乙24、42) ⑷ 未払の賃料、使用料、管理費等、使用料相当損害金、管理費等 1 5 相当損害金 ア 本件賃貸借部分の未払の賃料及び管理費等 被告ホテル開発についての、本件賃貸借契約の解除日までの、 本件賃貸借部分の未払の賃料及び管理費等(本物件3の管理費等 の一部を含む。)は以下のとおりである。(甲16及び17〔各 2 0 枝番号を含む〕、18、19、24、28、甲126ないし12 8〔各枝番号を含む〕、弁論の全趣旨) 令和元年11月分から令和2年7月分までの未払の賃料及 び遅延損害金 上記期間の本件賃貸借部分の未払賃料は、別紙20の 2 5 「【請求の趣旨3】滞納賃料及び遅延損害金について」の 44 「滞納賃料(請求額)」欄記載のとおり、合計3億1637 万1780円であり、上記未払賃料についての各納期限の翌 日から本件口頭弁論終結日(令和4年12月26日)までの 確定遅延損害金は、同「遅延損害金(拡張請求額)」欄記載 のとおり、合計3733万8608円である。 5 令和元年11月分から令和2年7月分までの本件賃貸借部 分の未払の管理費等及び遅延損害金 上記期間の本件賃貸借部分の未払管理費等は、別紙20の 「【請求の趣旨3】滞納管理費及び遅延損害金について」の 「滞納管理費(既請求額)」欄記載のとおり、合計976万 1 0 5320円であり、上記未払管理費等についての各納期限の 理費等は、別紙20の 「【請求の趣旨3】滞納管理費及び遅延損害金について」の 「滞納管理費(既請求額)」欄記載のとおり、合計976万 1 0 5320円であり、上記未払管理費等についての各納期限の 翌日から令和2年10月31日までの確定遅延損害金は、同 「遅延損害金(既請求額)」欄記載のとおり、合計15万3 903円である。 令和元年11月分から令和2年7月分までの本件賃貸借部 1 5 分及び本物件3(本件使用許可部分)の未払の管理費等及び 遅延損害金 上記期間の本件賃貸借部分及び本物件3の未払の管理費等 は、別紙20の「【請求の趣旨3】滞納管理費及び遅延損害 金について」の「滞納管理費(拡張請求額)」欄記載のとお 2 0 り、合計985万1704円であり、上記管理費等について の各納期限の翌日から本件口頭弁論終結日(令和4年12月 26日)までの確定遅延損害金は、同「遅延損害金(拡張請 求額)」欄記載のとおり、合計98万7787円である。 令和元年10月分の賃料の支払が同年12月28日まで遅 2 5 れたことに対する遅延損害金 45 上記遅延損害金は、別紙20の「【請求の趣旨3】支払済 み賃料に係る遅延損害金について」の「遅延損害金(請求 額)」欄記載のとおり、41万6050円である。 イ 本件各使用許可部分の未払の使用料、管理料等、使用料相当 損害金、管理費等相当損害金 5 被告ホテル開発について、本物件3の未払の使用料、管理料等、 使用料相当損害金、管理費等相当損害金、被告ホテルについて、 本物件4の未払の使用料、使用料相当損害金は、以下のとおりで ある。なお、被告ホテルについての本物件4の管理費等の未払は ない。(甲54、78、82、84、124、甲131ないし1 1 0 36〔各枝番号を含む〕、弁論の全趣旨) 当損害金は、以下のとおりで ある。なお、被告ホテルについての本物件4の管理費等の未払は ない。(甲54、78、82、84、124、甲131ないし1 1 0 36〔各枝番号を含む〕、弁論の全趣旨) 本物件3の令和2年5月分から本件各取消処分がされた同 年9月分までの未払の使用料及び遅延損害金 被告ホテル開発について、本物件3の使用料は1か月56 万6950円であるところ(前記前提事実⑺イ)、令和2年 1 5 5月分から同年9月分までの本物件3の未払の使用料は、別 紙22の「【請求の趣旨3】滞納使用料及び遅延損害金につ いて(㈱さきしまコスモタワーホテル開発)」の「滞納使用 料(請求額)」欄記載のとおり合計283万4750円であ る。 2 0 また、上記未払使用料についての遅延損害金は、上記各月 の使用料のうち56万5000円(別紙23の「㈱さきしま コスモタワーホテル開発【使用許可取消前】」の「各月総請 求額」欄の56万6950円のうち「内訳(調定額)」欄記 載の各金額につき100の位以下を切り捨てた「算出基礎額」 2 5 欄記載の各金額の合計額)に対する、別紙22の「【請求の 46 趣旨3】滞納使用料及び遅延損害金について(㈱さきしまコ スモタワーホテル開発)」の「納期限」欄の記載のとおりの 各納期限から、大阪府税外収入延滞金徴収条例2条及び附則 3によって定まる割合による金員(令和2年5月分について は、別表の①の「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記 5 載の各割合による金員、同年6月分については、別表の②の 「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合によ る金員、同年7月分については、別表の③の「期間」欄記載 の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合による金員、同年8 月分については、別表の④の「期間」欄記載の各期間ごと 間ごとに「利率」欄記載の各割合によ る金員、同年7月分については、別表の③の「期間」欄記載 の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合による金員、同年8 月分については、別表の④の「期間」欄記載の各期間ごとに 1 0 「利率」欄記載の各割合による金員、同年9月分については、 別表の⑤の「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の 各割合による金員〔ただし、いずれも合計額の100円未満 は切り捨て〕)となる。 本物件4の令和2年5月分から本件各取消処分がされた同 1 5 年9月分までの未払の使用料及び遅延損害金 被告ホテルについて、本物件4の使用料は1か月73万2 506円であるところ(前記前提事実⑺イ)、令和2年5月 分から同年9月分までの本物件4の未払の使用料は、別紙2 2の「【請求の趣旨4】滞納使用料及び遅延損害金について 2 0 (㈱さきしまコスモタワーホテル)」の「滞納使用料(請求 額)」欄記載のとおり合計366万2530円である。 また、上記未払使用料についての遅延損害金は、上記各月 の使用料のうち73万円(別紙23の「㈱さきしまコスモタ ワーホテル【使用許可取消前】」の「各月総請求額」欄の7 2 5 3万2506円のうち「内訳(調定額)」欄記載の各金額に 47 つき100の位以下を切り捨てた「算出基礎額」欄記載の各 金額の合計額)に対する、別紙22の「【請求の趣旨4】滞 納使用料及び遅延損害金について(㈱さきしまコスモタワー ホテル)」の「納期限」欄の記載のとおりの各納期限から、 大阪府税外収入延滞金徴収条例2条及び附則3によって定ま 5 る割合による金員(令和2年5月分については、別表の①の 「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合によ る金員、同年6月分については、別表の②の「期間」欄記載 の各期間ごとに「利率」 5 る割合による金員(令和2年5月分については、別表の①の 「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合によ る金員、同年6月分については、別表の②の「期間」欄記載 の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合による金員、同年7 月分については、別表の③の「期間」欄記載の各期間ごとに 1 0 「利率」欄記載の各割合による金員、同年8月分については、 別表の④の「期間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の 各割合による金員、同年9月分については、別表の⑤の「期 間」欄記載の各期間ごとに「利率」欄記載の各割合による金 員〔ただし、いずれも合計額の100円未満は切り捨て〕) 1 5 となる。 本物件3の令和2年10月分以降の使用料及び管理費等相 当損害金、遅延損害金 a 本件口頭弁論終結時までに納期限が到来した、令和2年1 0月分ないし令和4年11月分の使用料相当損害金及び遅延 2 0 損害金 被告ホテル開発についての、本物件3の使用料は、前記前 提事実⑺イのとおりの方法で算出されるから、令和2年10 月分ないし令和4年11月分の使用料相当額の各月額は、別 紙22の「【請求趣旨5】使用料相当損害金及び遅延損害金 2 5 について(㈱さきしまコスモタワーホテル開発)」の「使用 48 料損害金(拡張請求額)」欄記載のとおり、合計1493万 7338円である。 そして、各月の使用料相当損害金の納期限は、同「納期限」 欄記載のとおりであるから、各納期限の翌日から本件口頭弁 論終結日(令和4年12月26日)までの確定遅延損害金の 5 額は、同「遅延損害金(拡張請求額)」欄記載のとおり、合 計45万9047円である。 b 本件口頭弁論終結後に納期限が到来する、令和4年12月 1日から令和5年3月31日までの使用料相当損害金 被告ホテル開 延損害金(拡張請求額)」欄記載のとおり、合 計45万9047円である。 b 本件口頭弁論終結後に納期限が到来する、令和4年12月 1日から令和5年3月31日までの使用料相当損害金 被告ホテル開発についての、本物件3の使用料は、前記前 1 0 提事実⑺イのとおり、毎年3月31日の現況において知事が 適正に評価した評価額を所定の算式にあてはめて算出される こととなっているから、令和4年12月1日から令和5年3 月31日までの使用料相当損害金は、令和4年11月分まで と同額の月額59万3588円であると認められる。 1 5 c 令和2年11月分ないし令和4年10月分の管理費等相当 損害金及び遅延損害金 被告ホテル開発についての、本物件3の令和2年11月分 ないし令和4年10月分の管理費等相当額は、別紙22の 「【請求の趣旨5】管理費相当損害金及び遅延損害金につい 2 0 て(㈱さきしまコスモタワーホテル開発)」の「管理費損害 金(拡張請求額)」欄の記載のとおり、合計27万0265 円である。 そして、上記各月の管理費等相当損害金の納期限は、同 「納期限」欄記載のとおりであるから、各納期限の翌日から 2 5 本件口頭弁論終結日(令和4年12月26日)までの確定遅 49 延損害金の額は、同「遅延損害金(拡張請求額)」欄記載の とおり、合計7485円である。 本物件4の令和2年10月分以降の使用料相当損害金及び 遅延損害金 a 本件口頭弁論終結時までに納期限が到来した、令和2年1 5 0月分ないし令和4年11月分の使用料相当損害金及び遅延 損害金 被告ホテルについての、本物件4の使用料は、前記前提事 実⑺イのとおりの方法で算出されるから、令和2年10月分 ないし令和4年11月分の使用料相当額の各月額は、別紙2 1 0 2の 延 損害金 被告ホテルについての、本物件4の使用料は、前記前提事 実⑺イのとおりの方法で算出されるから、令和2年10月分 ないし令和4年11月分の使用料相当額の各月額は、別紙2 1 0 2の「【請求趣旨7】使用料相当損害金及び遅延損害金につ いて(㈱さきしまコスモタワーホテル)」の「使用料損害金 (拡張請求額)」欄記載のとおり、合計1929万4870 円である。 そして、上記各月の使用料相当損害金の納期限は、同「納 1 5 期限」欄記載のとおりであるから、各納期限の翌日から本件 口頭弁論終結日(令和4年12月26日)までの確定遅延損 害金の額は、同「遅延損害金(拡張請求額)」欄記載のとお り、合計59万2968円である。 b 本件口頭弁論終結後に納期限が到来する、令和4年12月 2 0 1日から令和5年3月31日までの使用料相当損害金 被告ホテルについての、本物件4の使用料は、前記前提事 実⑺イのとおり、毎年3月31日の現況において知事が適正 に評価した評価額を所定の算式にあてはめて算出されること となっているから、令和4年12月1日から令和5年3月3 2 5 1日までの使用料相当損害金は、令和4年11月分までと同 50 額の月額76万6919円であると認められる。 本物件3の令和2年2月及び同年3月分の使用料について の遅延損害金 被告ホテル開発は、別紙22の「【請求の趣旨9】使用料 支払済分の遅延損害金について(㈱さきしまコスモタワーホ 5 テル開発)」記載のとおり、令和2年2月分使用料(納期限 同年1月31日)合計117万3142円について支払を遅 延し、同年4月1日にこれを支払い、令和2年3月分使用料 (納期限同年2月28日)合計76万7448円について支 払を遅延し、同年3月31日にこれを支払ったことから、各 17万3142円について支払を遅 延し、同年4月1日にこれを支払い、令和2年3月分使用料 (納期限同年2月28日)合計76万7448円について支 払を遅延し、同年3月31日にこれを支払ったことから、各 1 0 使用料に対する各納期限の翌日から各支払日までの遅延損害 金の合計は、同「遅延損害金(拡張請求額)」欄記載のとお り、合計1万3300円である。 2 本件各使用許可部分についての令和5年4月1日以降の使用料相 当損害金請求に係る訴えの適法性について(職権による判断) 1 5 原告は、本件各使用許可取消し後、被告ホテル開発が本物件3を、 被告ホテルが本物件4をそれぞれ権原なく占有しているとして、使用 料相当損害金の支払を求めている。 しかし、前記前提事実⑺イ記載のとおり、本件各使用許可部分の使 用料の額については、毎年3月31日の現況をもとに、原告代表者知 2 0 事が適正に評価した評価額により改訂された当該公有財産の現在価額 を元に算出されることとされているところ、令和5年4月1日以降の 本件各使用許可部分の使用料については、いまだ、上記の同年3月3 1日の現況をもとにした評価額が定められていないことが明らかであ るから、本件口頭弁論終結時(令和4年12月26日)において、そ 2 5 の金額を一義的に認定することができないといわざるを得ない。 51 そうすると、令和5年4月1日以降の本件各使用許可部分の使用料 相当損害金請求として、本件公有財産規則第17条に基づき毎年3月 31日の現況において知事が適正に評価した評価額により改定された 現在価額(土地の価額、建物の価額)を同規則第26条に定める算式 にあてはめて計算した金額の支払を求める部分については、将来給付 5 の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しないという べきであ (土地の価額、建物の価額)を同規則第26条に定める算式 にあてはめて計算した金額の支払を求める部分については、将来給付 5 の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しないという べきである。 したがって、原告の、①被告ホテル開発に対する、本物件3につい ての令和5年4月1日以降明渡し済みまでの使用料相当損害金の支払 を求める部分、②被告ホテルに対する、本物件4についての令和5年 1 0 4月1日以降明渡し済みまでの使用料相当損害金の支払を求める部分 に係る訴えは、いずれも不適法である。 3 争点1(本件エレベーターの走行音についての原告の被告ホテル 開発に対する本件損害賠償債務の有無)について ⑴ 本件エレベーターの走行音についての改修工事実施義務違反又 1 5 は隠れた瑕疵の有無 ア 本件エレベーターの走行音についての改修工事実施義務違反 の有無 前記前提事実⑷ア、ウによれば、リコジャパンらは本件公 募の際に、原告に対し、本件募集要項及び本件仕様書につい 2 0 て十分理解し、承知の上で申し込み、参加する旨の誓約書を 提出していること、本件契約書には本件募集要項及び本件仕 様書が綴られていることからすると、リコジャパンらから賃 貸人の地位を承継した被告ホテル開発と原告との間の本件賃 貸借契約においても、本件募集要項及び本件仕様書の内容は 2 5 契約の前提となっていると解するのが相当である。 52 そして、前記認定事実⑴によれば、本件募集要項には、用 途の指定として、「賃貸借物件の基本的な仕様は、『事務所』 となっております。」、「現行の賃貸借物件の用途(事務所) を、他の用途に変更して使用する場合は、事前に大阪府の承 認を得るとともに、入居事業者の責任と負担において建築確 5 認その他の必要な手続きを行ってください 。」、「現行の賃貸借物件の用途(事務所) を、他の用途に変更して使用する場合は、事前に大阪府の承 認を得るとともに、入居事業者の責任と負担において建築確 5 認その他の必要な手続きを行ってください。」と記載され、 入居事業者が負担すべき経費には、改修費用(原告において 実施予定の間仕切り等撤去工事、出入口用カードリーダーの 取替え工事及び空調制御設備等修繕工事を除く。)が含まれ る旨記載されていることが認められる。 1 0 また、入居事業者が負担すべき改修費用については本件契 約書や本件募集要項等で特段限定されていないことからする と、本件賃貸借部分は、事務所としての基本的な仕様で賃貸 され、事務所の状態の現状有姿で引き渡された上、入居希望 者(賃借人)は、自らが望む用途での営業をするための改修 1 5 工事等の費用を自ら負担することが想定されていたものと認 められる。 被告ホテル開発らは、原告との間で、本件賃貸借部分につ いて、客室の騒音レベルが35dB以下となることを黙示に 合意した旨主張する。 2 0 しかし、仮にそのような合意をするのであれば、本件契約 書などにその旨を明記するのが通常であろうし、また、本件 賃貸借部分は事務所として現状有姿で引き渡すものとされて いたことは上記アの認定判断のとおりである。よって、かか る被告の主張は採用できない。 2 5 以上によれば、原告が、被告ホテル開発に対し、本件賃貸 53 借契約に基づき、本件賃貸借部分をホテルとして使用したと きの客室内の騒音レベルが35dBを下回らない場合に、遮 音性能を備えるための改修工事等を実施すべき義務があった ものとは認められない。 イ 本件エレベーターの走行音の瑕疵該当性 5 前記認定事実⑵アないしオによれば、本件エレベーターの ガイドロー 音性能を備えるための改修工事等を実施すべき義務があった ものとは認められない。 イ 本件エレベーターの走行音の瑕疵該当性 5 前記認定事実⑵アないしオによれば、本件エレベーターの ガイドローラーの交換前の平成30年5月ないし7月時点で は、本件賃貸借部分のうち本件エレベーターの真裏にあるホ テル客室内で騒音測定を行った結果、騒音最大測定値は、最 小で46.0dBで、最大で65.2dBであったことが認 1 0 められるものの、原告が同年11月から12月にかけて本件 エレベーターのガイドローラーの交換等を実施した後、平成 31年1月18日の午後5時30分から午後7時まで、同月 21日午前8時15分から午前9時6分までという、一日の 中でもエレベーターの利用者が多いラッシュの時間帯に、本 1 5 件賃貸借部分のうち16階の客室内での走行音測定をした結 果、測定値は、最も小さいもので30dBから36dB、最 も大きいもので37.0dBから41.2dBであり、客室 内の騒音は相当程度改善されたこと、同月29日に本件ホテ ルが開業した後、同月31日の連絡調整会議では、本件エレ 2 0 ベーターの騒音についてホテルの客からの特段の苦情は出て いない旨が報告されていたことが認められる。 そうすると、上記の程度の本件エレベーターの走行音は、 本件指針を前提としても、本件賃貸借部分の客室内での騒音 が、35dBから40dB程度に、すなわち騒音レベル1級 2 5 (建築学会が推奨する好ましい性能水準)から騒音レベル2 54 級(一般的な性能水準)程度におさまっているといえ、少な くとも本件ホテルの開業の時点では、本件賃貸借部分におけ る騒音の程度は、ホテルとしての使用を前提としても問題の ない程度であったというべきである。 したがって、本件エレベーターの るといえ、少な くとも本件ホテルの開業の時点では、本件賃貸借部分におけ る騒音の程度は、ホテルとしての使用を前提としても問題の ない程度であったというべきである。 したがって、本件エレベーターの走行音について、本件賃 5 貸借部分に瑕疵があったとは認められない。 ⑵ 本件エレベーターの走行音についての原告の告知義務違反 ア 被告ホテル開発らは、Bが原告の担当者として強く勧誘を受 けて本件建物で本件ホテル事業を行うこととなったことなどの 事情からすれば、信義則上、被告ホテル開発に対する本件エレ 1 0 ベーターの走行音についての告知義務が認められるべきである 旨主張し、被告ホテル代表者も同旨の供述をしている(乙42、 43)。 イ しかし、上記の被告ホテル代表者の供述を裏付ける的確な証 拠はないから、原告が、被告ホテル開発に対し、本件建物で本 1 5 件ホテル事業を行うよう強く勧めた経過があったものと認める に足りない。 また、前記⑴の認定判断のとおり、原告が、被告ホテル開発 に対し、本件賃貸借契約に基づき、本件賃貸借部分を事務所と しての現状有姿で引き渡せば足り、本件賃貸借部分をホテルと 2 0 して使用したときの客室内の騒音レベルが35dBを下回らな い場合に、遮音性能を備えるための改修工事等を実施すべき義 務があったものとは認められないことに加え、実際にも、本件 エレベーターのガイドローラーの交換後、本件ホテルの開業の 時点では、本件賃貸借部分における本件エレベーターの走行音 2 5 に係る騒音の程度は、ホテルとしての使用を前提としても問題 55 のない程度であったものと認められる。 そうすると、原告において、被告ホテル開発らが本件賃貸借 部分をホテルとして使用することを前提に、本件エレベーター のガイドローラーの交換前 問題 55 のない程度であったものと認められる。 そうすると、原告において、被告ホテル開発らが本件賃貸借 部分をホテルとして使用することを前提に、本件エレベーター のガイドローラーの交換前の騒音レベルを告知すべき義務があ ったとはいえない。 5 ウ よって、原告において、被告ホテル開発らの主張する前記ア の本件エレベーターの走行音についての信義則上の告知義務が あったとは認められない。 ⑶ 以上によれば、その余の点(損害の発生及び金額)について判 断するまでもなく、本件エレベーターの走行音につき、債務不履 1 0 行(改修工事実施義務違反)に基づく損害賠償請求(主位的請求) も、瑕疵担保責任又は不法行為に基づく損害賠償請求(予備的請 求)も認められない。 4 争点2(本件賃貸借契約の解除の有効性及び本件各取消処分の適 法性)について 1 5 ⑴ 本件賃貸借契約の解除の有効性について ア 前記前提事実⑼及び⑽ア、前記認定事実⑷アのとおり、原告 は、被告ホテル開発に対し、令和2年3月16日、令和元年1 1月分ないし令和2年3月分の賃料、令和元年11月分及び同 年12月分の管理費等並びに令和元年10月分の賃料に係る遅 2 0 延損害金を、令和2年3月31日までに支払うよう催告したに もかかわらず、被告ホテル開発はこれを支払わなかったこと、 原告が本件解除通知を作成した令和2年7月30日時点におけ る、被告ホテル開発の賃料等の滞納額は、令和元年11月分か ら令和2年7月分までの9か月分の賃料等(合計3億1637 2 5 万1780円)、令和元年11月分から令和2年4月分までの 56 管理費等(合計747万0648円)並びに令和元年10月分 の賃料に係る遅延損害金(41万6050円)の合計3億24 25万8478円と多額に及んでおり、本 11月分から令和2年4月分までの 56 管理費等(合計747万0648円)並びに令和元年10月分 の賃料に係る遅延損害金(41万6050円)の合計3億24 25万8478円と多額に及んでおり、本件賃貸借契約書23 条の解除事由(賃料又は管理費等の3か月分の滞納。前記前提 事実⑷オ )を大幅に超過していたといえるから、本件賃貸借 5 契約の解除については、有効な解除事由があるものと認められ る。 イ 被告ホテル開発らの主張について 被告ホテル開発らは、被告ホテル開発が、第1事件反訴に 係る反訴状をもって、本件賃料等支払債務と、本件損害賠償 1 0 債務を対当額で相殺する旨の意思表示をしており、相殺の遡 及効により、本件賃貸借契約の解除の意思表示の時点におい て賃料や管理費等の滞納はなかったなどと主張する。 しかし、賃料債務の不払いを理由として賃貸借契約を解除 する旨の意思表示がされた後、当該賃料債務を受働債権とす 1 5 る相殺の意思表示をしたとしても、解除の効力に影響が及ぶ ものではない(最高裁昭和32年3月8日第二小法廷判決・ 民集11巻3号513頁参照)ところ、上記相殺の意思表示 は、令和2年7月31日にされた本件賃貸借契約の解除後に されたことが明らかであるから、上記相殺の抗弁は失当であ 2 0 る。また、前記3の認定判断のとおり、本件エレベーターの 走行音についての原告の債務不履行、瑕疵担保責任又は不法 行為に基づく損害賠償債務(本件損害賠償債務)は認められ ないから、相殺の主張もまた認められない。 被告ホテル開発らは、原告が本件賃貸借契約の解除にあた 2 5 って、連絡調整会議の意見を聞き、将来の収支状況及び客室 57 稼働状況等を勘案し、慎重に判断するとされているにもかか わらず、連絡調整会議で解除すべきでない旨の 貸借契約の解除にあた 2 5 って、連絡調整会議の意見を聞き、将来の収支状況及び客室 57 稼働状況等を勘案し、慎重に判断するとされているにもかか わらず、連絡調整会議で解除すべきでない旨の意見が出てい たにもかかわらず、突如、本件賃貸借契約の解除の意思表示 をしたこと、新型コロナウイルス感染症の拡大によって収入 が大きく落ち込んでいたことなどの解除に至る経緯を信頼関 5 係不破壊の事情として主張し、また、原告による本件賃貸借 契約の解除が信義則に反するなどと主張する。 しかし、前記アの認定判断のとおり、原告ホテル開発によ る賃料や管理費等の滞納は、長期間にわたり、未払額も多額 に上っている。そして、前記前提事実⑷エ、前記認定事実⑵ 1 0 ケないしサによれば、被告ホテル開発は、令和元年11月と 12月の2度にわたり、原告に対し、滞納賃料等を同年度中 に支払う旨の誓約書を差し入れていたにもかかわらず、これ を履行せず、令和2年6月26日開催の連絡調整会議の時点 においても、被告ホテル開発が、短期のうちに賃料等の滞納 1 5 状態を解消できる具体的な見込みがあったとはいえない。 そうすると、被告らの種々主張する内容を踏まえても、本 件において、信頼関係不破壊の特段の事情があるとか、上記 の状況で原告が本件賃貸借契約を解除したことが信義則に反 して許されないなどということはできない。 2 0 ウ 以上によれば、原告による本件賃貸借契約の解除は有効であ る。 ⑵ 本件各取消処分の効力について 本件各使用許可については、前記前提事実⑺イのとおり、もと もと令和3年3月31日までを使用許可期間とするものである上、 2 5 前記前提事実⑽イのとおり、令和2年9月14日付けで本件各取 58 消処分がされている(なお、本件各取消処分 とおり、もと もと令和3年3月31日までを使用許可期間とするものである上、 2 5 前記前提事実⑽イのとおり、令和2年9月14日付けで本件各取 58 消処分がされている(なお、本件各取消処分の取消訴訟の帰趨に ついて、前提事実⑽ウ参照)。 本件各取消処分の適法性について検討するに、前記前提事実⑹、 ⑺によれば、本件各使用許可は、被告ホテル開発が、本件賃貸借 契約に基づき使用する本物件1及び本物件2について、本件ホテ 5 ルの開業に向けた工事を行うために必要な範囲の共用部分につい て、原告が行政財産の使用を許可したものであり、被告ホテルが ホテル運営を開始する箇所については順次被告ホテルに対する使 用許可に切り替えられた経過が認められることからすれば、本件 使用各許可は、本件賃貸借契約が存続することを前提にされたも 1 0 のと認められるから、本件賃貸借契約が解除された場合に本件各 使用許可のみを維持すべき理由があるとはいえない。 そして、前記前提事実⑺イ、⑼イによれば、被告ホテル開発及 び被告ホテルは、本件各取消処分時点で、使用料の滞納期間が5 か月に及び、滞納使用料は、被告ホテル開発が283万4750 1 5 円であり、被告ホテルが366万2530円といずれも高額とな っており、かかる使用料の滞納は、本件各使用許可の許可条件 (附款)に反するものと認められるから、本件各使用許可につい て取消事由が認められる(地方自治法238条の4第9項参照)。 被告ホテル開発及び被告ホテルは、上記各滞納使用料の支払債 2 0 務と本件損害賠償債務との相殺を主張するが、前記3の認定判断 のとおり、本件エレベーターの走行音についての原告の債務不履 行、瑕疵担保責任又は不法行為に基づく損害賠償債務(本件損害 賠償債務)は認められないから、相殺の主張も の相殺を主張するが、前記3の認定判断 のとおり、本件エレベーターの走行音についての原告の債務不履 行、瑕疵担保責任又は不法行為に基づく損害賠償債務(本件損害 賠償債務)は認められないから、相殺の主張もまた認められない。 その他被告ホテル開発らの主張を踏まえても、本件各取消処分に 2 5 ついて裁量権の範囲の逸脱、濫用や手続の違法があったとは認め 59 られない。 そうすると、本件各取消処分は適法である。 5 争点3(本物件2について被告TCMの間接占有の有無)につい て ⑴ 前記前提事実⑹によれば、被告TCMは、本件転貸借契約に基 5 づいて被告ホテル開発から本物件2の引渡しを受け、さらに、本 件再転貸借契約に基づいて本物件2を被告ホテルに引き渡して被 告ホテルに占有させていることが認められる。そして、被告ホテ ルは、本件再転貸借契約に基づいて本物件2を直接占有し、いず れ本物件2を被告TCMに返還すべき義務を負う関係にあり、被 1 0 告TCMは、本件転貸借契約に基づいて、いずれ本物件2を被告 ホテル開発に対して返還すべき義務を負う関係にあるというべき であるから、被告TCMは、本物件2を間接占有しているものと 認められる。 ⑵ 被告TCMは、本件賃貸借契約の解除が認められる場合、本件 1 5 再転貸借契約も終了するから、被告TCMは間接占有を失ったと みるべきである旨主張する。 しかし、占有は、外形的な事実関係であって、占有権原となる 契約関係等の法律的効力の有無にはかかわりがないというべきで あるところ、前記前提事実⑹ア、⑽アによれば、被告ホテルは、 2 0 本件賃貸借契約の解除後も、現在に至るまで本物件2を占有して いるのであり、被告TCMは、いずれ被告ホテルから本物件2の 返還を受けた上で、被告ホテル開発に対して本物件 れば、被告ホテルは、 2 0 本件賃貸借契約の解除後も、現在に至るまで本物件2を占有して いるのであり、被告TCMは、いずれ被告ホテルから本物件2の 返還を受けた上で、被告ホテル開発に対して本物件2を返還すべ き義務を負う関係が外形的に存在するものと認められる。 ⑶ 以上によれば、被告TCMは、本件賃貸借契約の解除後も、引 2 5 き続き、本物件2を間接占有しているものと認められる。 60 なお、被告TCMは本物件2を現実に占有していないから、本 来、所有権に基づく物権的返還請求権の対象とならないなどとも 主張するが、間接占有者(民法181条)に対しても所有権に基 づく返還請求は可能であるから、被告TCMの上記主張は採用で きない。 5 6 争点4(被告TCMが被告ホテル開発及び被告ホテルと共に、解 除後の本件賃貸借部分の占有について共同不法行為責任を負うか及 びその損害額)について ⑴ 共同不法行為責任の有無について ア 本物件2の占有について 1 0 前記4⑴の認定判断のとおり、本件賃貸借契約の解除は有効 であるところ、前記5の認定判断のとおり、本件賃貸借契約解 除後も被告ホテル開発は本物件2を直接占有し、被告ホテル及 び被告TCMは本物件2を間接占有しているものと認められる から、被告ホテル開発、被告ホテル、被告TCMによる本物件 1 5 2の占有は、いずれも違法であると認められる。 イ 本物件1の占有について 前記4⑴の認定判断のとおり、本件賃貸借契約の解除は有 効であるから、本件賃貸借契約解除後の、被告ホテル開発に よる本物件1の占有は、不法占有となる。もっとも、前記前 2 0 提事実⑹のとおり、被告TCM及び被告ホテルは本物件1を 占有していない。 しかし、前記前提事実⑸、⑹によれば、本件ホテル事業に よる本物件1の占有は、不法占有となる。もっとも、前記前 2 0 提事実⑹のとおり、被告TCM及び被告ホテルは本物件1を 占有していない。 しかし、前記前提事実⑸、⑹によれば、本件ホテル事業に おけるマスターリース事業者である被告TCMは、被告ホテ ル開発及び被告ホテルと共に本件賃貸借部分において本件ホ 2 5 テル事業を行う計画のもと、被告ホテル開発が原告から本件 61 賃貸借部分を賃借するとともに、被告TCMが同物件を転借 し、被告ホテルが再転借する旨の本件転貸借契約及び本件再 転貸借契約を締結していたこと、上記各契約に基づいて、本 件賃貸借部分のうちすでに工事が完了した本物件2について は被告ホテル開発から被告TCM、被告TCMから被告ホテ 5 ルに引き渡し、被告ホテルが直接占有して本件ホテルの営業 を開始していたこと、本件賃貸借部分のうち本物件1につい ては、いまだ工事が完了していないために被告ホテル開発か ら被告TCMや被告ホテルに引渡しがされていないものの、 今後工事が完了すれば同占有を移転することが予定されてい 1 0 るのであって、現在、被告ホテル開発が本物件1を占有して いるのも、被告ホテル開発、被告TCM、被告ホテルが本件 賃貸借部分(本物件1及び本物件2)において本件ホテル事 業を行う計画に基づくものであるといえるから、被告TCM 及び被告ホテルについても、被告ホテル開発に本物件1を占 1 5 有させることによって、被告ホテル開発と共に、原告による 本物件1の使用収益を違法に妨げているものと認められる。 ウ 以上によれば、被告ホテル開発、被告TCM及び被告ホテル は、いずれも本件賃貸借契約の解除後の本件賃貸借部分(本物 件1及び本物件2)の占有から生じる損害について、共同不法 2 0 行為責任を負うものと認められる。 ホテル開発、被告TCM及び被告ホテル は、いずれも本件賃貸借契約の解除後の本件賃貸借部分(本物 件1及び本物件2)の占有から生じる損害について、共同不法 2 0 行為責任を負うものと認められる。 エ 被告TCMは、本件転貸借契約によれば、本件賃貸借部分の 引渡しが全て終了するまでは、マスターリース事業についてマ イナス賃料の負担が生じない関係にあるなどその役割が一般的 な転貸借契約や再転貸借契約におけるマスターリース事業者よ 2 5 りも限定的であったことなどから、共同不法行為責任を負わな 62 いと主張する。 しかし、前記前提事実⑸によれば、本件ホテル事業について は、被告TCMは、マスターリース事業者として、被告ホテル に対して本物件2の引渡しが完了した時点から、本件ホテルの 営業はオペレーターである被告ホテルに任せつつ、被告ホテル 5 開発に対する支払を差し引いても賃料収入として月額106万 4100円を得ることができる地位にあったこと、本件ホテル 事業については、日本管財グループが全面的な支援を行うこと とされ、日本管財が被告ホテルに出資をした上で、日本管財の 子会社である被告TCMがマスターリース事業者として参画し 1 0 ていたことが認められる。そうすると、被告TCMが本件ホテ ル事業において限定的な役割であったということはできない。 被告TCMは、本件ホテル事業を被告ホテル開発及び被告ホテ ルと共同で行う意思のもとで、被告ホテル開発が開業準備をし て本件ホテル事業を進めていたものといえるから、被告ホテル 1 5 開発が本件ホテル事業の一環として行った本物件1の不法占有 についても、共同不法行為責任を負うというべきであり、これ に反する被告TCMの上記主張は採用できない。 ⑵ 原告の損害の発生及び金額について ア 原告の損害 業の一環として行った本物件1の不法占有 についても、共同不法行為責任を負うというべきであり、これ に反する被告TCMの上記主張は採用できない。 ⑵ 原告の損害の発生及び金額について ア 原告の損害の発生について 2 0 前記⑴の認定判断のとおり、被告ホテル開発、被告TCM、 被告ホテルは、いずれも、本件賃貸借契約の解除後に、本物件 1については被告ホテル開発が占有し、本物件2については被 告ホテルが直接占有し、被告ホテル開発及び被告TCMが間接 占有することにより、原告による本件賃貸借部分(本物件1及 2 5 び本物件2)の使用収益を妨げていることについて、共同不法 63 行為責任を負うものと認められるところ、原告には、本件賃貸 借部分の使用収益を妨げられたことにより損害が生じているも のと認められる。 イ 損害額について 前記前提事実⑷オ によれば、本件賃貸借契約においては、 5 解除後も明渡しを遅延した場合、①賃料の2倍相当額及び② 明渡しを遅延したことにより原告が被った損害を賠償する旨 が定められているところ、本件賃貸借契約の解除後に、本件 賃貸借部分の使用収益が妨げられたことにより原告に生じた 損害は、①賃料の2倍相当額及び②管理費等相当額であると 1 0 認められる。 したがって、被告ホテル開発、被告TCM、被告ホテルは、 いずれも、本件賃貸借契約の解除日の翌日である令和2年8 月1日から、本件賃貸借部分(本物件1及び本物件2)の明 渡し済みまで、賃料の2倍相当額及び管理費等相当額の損害 1 5 賠償義務を負うものと認められる。 賃料2か月分相当損害金について 前提事実⑷オ 、証拠(甲129の1ないし28)及び弁 論の全趣旨によれば、賃料の2倍相当額の損害金は月額70 30万4840円であり、令和2年8月分 られる。 賃料2か月分相当損害金について 前提事実⑷オ 、証拠(甲129の1ないし28)及び弁 論の全趣旨によれば、賃料の2倍相当額の損害金は月額70 30万4840円であり、令和2年8月分ないし令和4年1 2 0 1月分(28か月分)の合計は19億6853万5520円 であり、これに対する各納期限(別紙20の「【請求の趣旨 5】賃料相当損害金(2倍相当額)及び遅延損害金について」 の「納期限」欄記載の各納期限)の翌日から本件口頭弁論終 結日(令和4年12月26日)までの確定遅延損害金は、同 2 5 「遅延損害金(拡張請求額)」欄の記載のとおり、合計65 64 50万4836円であると認められる。 管理費等相当額について 証拠(甲130の1ないし28)及び弁論の全趣旨によれ ば、令和2年8月分ないし令和4年11月分の管理費等相当 額の損害金額は、別紙20の「【請求の趣旨5】管理費相当 5 損害金及び遅延損害金について)」の「管理費損害額(拡張 請求額)」欄の記載のとおり、合計6027万4345円で あり、これに対する各納期限(同「納期限」欄記載の各納期 限)の翌日から本件口頭弁論終結日(令和4年12月26日) までの確定遅延損害金額は、同「遅延損害金(拡張請求額)」 1 0 欄記載のとおり、合計160万1705円であると認められ る。 被告TCMは、騒音等の建物の構造に欠陥があることが争 われているなどの本訴訟の特殊性からして、原告の損害額は、 本件転貸借契約及び本件再転貸借契約の賃料規定により算定 1 5 される金額から、騒音その他の本件賃貸借部分に存在する欠 陥を考慮して合理的に算定される金額を控除した金額とする ことが合理的であると主張する。 しかし、本件エレベーターの走行音について本件賃貸借部 分に瑕疵があった その他の本件賃貸借部分に存在する欠 陥を考慮して合理的に算定される金額を控除した金額とする ことが合理的であると主張する。 しかし、本件エレベーターの走行音について本件賃貸借部 分に瑕疵があったとは認められないことは、前記3⑴の認定 2 0 判断のとおりであるから、被告TCMの上記主張は、その前 提において採用することができない。 ウ 小括 以上によれば、被告ホテル開発、被告ホテル及び被告TCM は、原告に対し、不法行為に基づく損害賠償債務として、①令 2 5 和2年8月分ないし令和4年11月分の賃料の2倍相当額(合 65 計19億6853万5520円)、②令和2年8月分ないし令 和4年11月分の管理費等相当額(合計6027万4345 円)、③上記賃料の2倍相当額に対する令和4年12月26日 までの確定遅延損害金額(合計6550万4836円)、④上 記管理費等相当額に対する令和4年12月26日までの確定遅 5 延損害金額(合計160万1705円)の合計20億9591 万6406円並びにうち上記①及び②の合計20億2880万 9865円に対する令和4年12月27日から支払済みまで民 法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払義務、 並びに、令和4年12月1日から本件賃貸借部分(本物件1及 1 0 び本物件2)の明渡し済みまで、賃料の2倍相当額の損害金と して1か月あたり7030万4840円の支払義務を負うもの と認められる。 7 その余の被告らの主張も、前記認定判断を左右するものではない。 8 小括 1 5 ⑴ 被告ホテル開発に対する、本物件1の明渡請求(主文1⑴、第 1事件本訴) 前記前提事実⑵イ、⑹によれば、原告は本物件1を所有し、被 告ホテル開発は本物件1を占有していることが認められるところ、 前記4⑴の認定判 に対する、本物件1の明渡請求(主文1⑴、第 1事件本訴) 前記前提事実⑵イ、⑹によれば、原告は本物件1を所有し、被 告ホテル開発は本物件1を占有していることが認められるところ、 前記4⑴の認定判断のとおり、被告ホテル開発らが占有権原とし 2 0 て主張する本件賃貸借契約は、有効に解除されたことが認められ る。 よって、原告は、被告ホテル開発に対し、所有権に基づく返還 請求権として、本物件1の明渡しを求めることができる。 ⑵ 被告ホテル、被告ホテル開発及び被告TCMに対する、本物件 2 5 2の明渡請求(主文1⑵、第1事件本訴) 66 前記前提事実⑵イ、⑹によれば、原告は本物件2を所有し、本 物件2については、被告ホテルが直接占有し、被告ホテル開発が 間接占有しており、前記5の認定判断のとおり、被告TCMもこ れを間接占有していると認められる。そして、前記4⑴の認定判 断のとおり、被告らが占有権原として主張する本件賃貸借契約は、 5 有効に解除されたことが認められる。 よって、原告は、被告ホテル、被告ホテル開発及び被告TCM に対し、所有権に基づく返還請求権として、本物件2の明渡しを 求めることができる。 ⑶ 被告ホテル開発及び被告Aに対する、本件賃貸借契約の解除日 1 0 までの未払賃料及び管理費等(本物件3の管理費等の一部を含 む。)の請求(主文1⑶ア、イ、第1事件本訴) ア 前記前提事実⑼ア、前記認定事実⑷アのとおり、被告ホテル 開発は、本件賃貸借契約の解除日(令和2年7月31日)まで の賃料及び管理費等(本物件3の管理費等の一部を含む)に未 1 5 払部分があることが認められるところ、前記3の認定判断のと おり、本件損害賠償債務は認められないから、被告ホテル開発 による、本件損害賠償債務の存在を前提とする相殺の主 等の一部を含む)に未 1 5 払部分があることが認められるところ、前記3の認定判断のと おり、本件損害賠償債務は認められないから、被告ホテル開発 による、本件損害賠償債務の存在を前提とする相殺の主張も認 められない。 イ 被告ホテル開発に対する請求 2 0 前記認定事実⑷ア 、 、 のとおり、被告ホテル開発の、 本件賃貸借契約の解除日までの未払賃料、管理費等(本物件3 の管理費等の一部を含む。)及び確定遅延損害金の金額は、① 令和元年11月分ないし令和2年7月分の滞納賃料(合計3億 1637万1780円)、②上記期間の本件賃貸借部分及び本 2 5 物件3の滞納管理費等(合計985万1704円)、③上記滞 67 納賃料に対する各納期限の翌日から本件口頭弁論終結日(令和 4年12月26日)までの確定遅延損害金(合計3733万8 608円)、④上記滞納管理費等に対する各納期限の翌日から 本件口頭弁論終結日(令和4年12月26日)までの確定遅延 損害金(合計98万7787円)、⑤令和元年10月分の賃料 5 の支払が同年12月28日まで遅れたことに対する遅延損害金 (41万6050円)の合計3億6496万5929円である。 よって、被告ホテル開発は、本件賃貸借契約に基づき、原告 に対し、後記ウの限度で被告Aと連帯して、上記①ないし⑤の 合計3億6496万5929円及びうち上記①及び②の合計3 1 0 億2622万3484円に対する令和4年12月27日から支 払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金 の支払義務を負う。 ウ 被告Aに対する請求 前記前提事実⑷ウのとおり、被告Aは、本件賃貸借契約に 1 5 基づく被告ホテル開発の債務について連帯保証したことによ り、前記イの同被告の債務のうち、本件賃貸借契約に基づき 生じた 対する請求 前記前提事実⑷ウのとおり、被告Aは、本件賃貸借契約に 1 5 基づく被告ホテル開発の債務について連帯保証したことによ り、前記イの同被告の債務のうち、本件賃貸借契約に基づき 生じた範囲について、同被告と連帯して支払義務を負う。 そして、その範囲は、前記認定事実⑷ア 、 、 のとお り、前記イ①の滞納賃料(合計3億1637万1780円)、 2 0 同②のうち本件賃貸借部分に係る滞納管理費等(合計976 万5320円)、同③の滞納賃料等の令和4年12月26日 までの確定遅延損害金(合計3733万8608円)、同④ のうち本件賃貸借部分に係る滞納管理費等の令和2年10月 31日までの確定遅延損害金(合計15万3903円)、同 2 5 ⑤の令和元年10月分の賃料の遅延損害金(41万6050 68 円)の合計3億6404万5661円である。 よって、被告Aは、原告に対し、被告ホテル開発と連帯し て、3億6404万5661円及びこれに対する滞納賃料の 3億1637万1780円に対する令和4年12月27日か ら、滞納管理料等の976万5320円に対する令和2年1 5 1月1日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合 による遅延損害金の支払義務を負う。 そして、原告の被告Aに対する本件賃貸借契約の解除日ま での未払賃料及び管理費等(本物件3の管理費等の一部を含 む。)の請求のうち、上記 を超える部分(本物件3の管理 1 0 費等及びその遅延損害金の請求部分)については、理由がな い。 ⑷ 被告ホテル開発及び被告Aに対する、本件賃貸借契約の解除に 伴う約定違約金の請求(主文1⑷、第1事件本訴) 前記4⑴の認定判断のとおり、原告が令和2年7月31日にし 1 5 た賃料等不払による本件賃貸借契約の解除は有効であるところ、 貸借契約の解除に 伴う約定違約金の請求(主文1⑷、第1事件本訴) 前記4⑴の認定判断のとおり、原告が令和2年7月31日にし 1 5 た賃料等不払による本件賃貸借契約の解除は有効であるところ、 前提事実⑷オ のとおり、被告ホテル開発は、本件賃貸借契約 (23条)に基づき、本件賃貸借契約が賃料不払により解除され た場合の約定違約金として、賃料3か月分相当額(賃料月額35 15万2420円の3か月分である1億0545万7260円) 2 0 の支払義務を負うものと認められる。そして、被告Aは、前提事 実⑷ウ記載のとおり、本件保証契約に基づき、被告ホテル開発の 上記債務について連帯して支払義務を負うものと認められる。 よって、被告ホテル開発は本件賃貸借契約に基づき、被告Aは 本件保証契約に基づき、原告に対し、連帯して、本件賃貸借契約 2 5 に基づく約定違約金として、1億0545万7260円及びこれ 69 に対する解除日の翌日である令和2年8月1日から支払済みまで 民法所定の年3パーセントの割合による支払義務を負う。 ⑸ 被告らに対する、本件賃貸借契約解除後本件賃貸借部分の明渡 しまでの賃料等相当損害金等の請求(主文1⑸⑹、第1事件本訴) 前記6⑵の認定判断のとおり、被告ホテル開発、被告ホテル及 5 び被告TCMは、いずれも本件賃貸借契約の解除日の翌日(令和 2年8月1日)以降の本件賃貸借部分の占有につき、共同不法行 為に基づき、連帯して、①賃料の2倍相当額及び、②原告が被っ た損害として管理費等相当額の損害賠償債務を負う。また、被告 Aは、前提事実⑷ウのとおり、本件保証契約に基づき、被告ホテ 1 0 ル開発の上記債務について連帯して支払義務を負うものと認めら れる。 よって、被告ホテル開発、被告ホテル及び被告TCMは、不法 行為に 事実⑷ウのとおり、本件保証契約に基づき、被告ホテ 1 0 ル開発の上記債務について連帯して支払義務を負うものと認めら れる。 よって、被告ホテル開発、被告ホテル及び被告TCMは、不法 行為に基づく損害賠償債務として、被告Aは、保証契約に基づく 債務として、原告に対し、連帯して、前記6⑵ウの認定判断のと 1 5 おり、賃料の2倍相当額及び管理費等相当額の損害金並びに確定 遅延損害金の合計20億9591万6406円及びうち20億2 880万9865円に対する令和4年12月27日から支払済み まで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払義 務(主文1⑸)、並びに、令和4年12月1日から本件賃貸借部 2 0 分の明渡し済みまで、賃料の2倍相当額の損害金として1か月あ たり7030万4840円の支払義務(主文1⑹)を負う。 ⑹ 第1事件反訴請求について 前記3の認定判断のとおり、第1事件反訴請求に係る、本件エ レベーターの走行音についての、原告に対する債務不履行に基づ 2 5 く損害賠償請求、瑕疵担保責任又は不法行為に基づく損害賠償請 70 求(本件損害賠償債務)は、いずれも認められない。 ⑺ 被告ホテル開発に対する本物件3の明渡請求及び被告ホテルに 対する本物件4の明渡請求(主文2⑴、⑵、第2事件) 前記前提事実⑵イ、⑺ウによれば、原告は本物件3、4を所有 し、被告ホテル開発は本物件3を、被告ホテルは本物件4をそれ 5 ぞれ占有していることが認められるところ、前記4⑵の認定判断 のとおり、被告ホテル開発及び被告ホテルが占有権原として主張 する本件各使用許可については、本件各取消処分により適法に取 り消されたことが認められる。 よって、原告は、所有権に基づく返還請求権として、被告ホテ 1 0 ル開発に対し本物件3の として主張 する本件各使用許可については、本件各取消処分により適法に取 り消されたことが認められる。 よって、原告は、所有権に基づく返還請求権として、被告ホテ 1 0 ル開発に対し本物件3の、被告ホテルに対し本物件4の、それぞ れ明渡しを求めることができる。 ⑻ 被告ホテル開発及び被告ホテルに対する、令和2年5月分から 本件各取消処分がされた同年9月分までの未払の使用料の請求 (主文2⑶、⑷、第2事件) 1 5 ア 前記前提事実⑼イ、前記認定事実⑷イ 、 のとおり、被告 ホテル開発及び被告ホテルには、本物件3及び本物件4の令和 2年5月分から本件各取消処分がされた同年9月分までの各滞 納使用料の支払債務があると認められるところ、前記3の認定 判断のとおり、本件損害賠償債務は認められないから、被告ホ 2 0 テル開発及び被告ホテルによる、本件損害賠償債務の存在を前 提とする相殺の主張も認められない。 イ 被告ホテル開発に対する請求 前記認定事実⑷イ のとおり、被告ホテル開発の、令和2年 5月分から同年9月分までの滞納使用料は、合計283万47 2 5 50円であると認められる。 71 よって、被告ホテル開発は、本物件3の本件使用許可処分に 基づき、原告に対し、上記滞納使用料の合計283万4750 円及びうち上記各月分につき56万5000円に対する各納期 限の翌日から支払済みまで別表①ないし⑤記載の各期間ごとの 利率による遅延損害金の支払義務を負う。 5 ウ 被告ホテルに対する請求 前記認定事実⑷イ のとおり、被告ホテルの、令和2年5月 分から同年9月分までの滞納使用料は、合計366万2530 円であると認められる。 よって、被告ホテルは、本物件4の本件使用許可処分に基づ 1 0 き、原告に対し、上記滞納使 の、令和2年5月 分から同年9月分までの滞納使用料は、合計366万2530 円であると認められる。 よって、被告ホテルは、本物件4の本件使用許可処分に基づ 1 0 き、原告に対し、上記滞納使用料の合計366万2530円及 びうち上記各月分につき73万円に対する各納期限の翌日から 支払済みまで別表①ないし⑤記載の各期間ごとの利率による遅 延損害金の支払義務を負う。 ⑼ 被告ホテル開発に対する、本件各使用許可取消後である令和2 1 5 年10月分以降の本物件3の使用料及び管理費等相当損害金の請 求(主文2⑸、⑹、第2事件) ア 前記4⑵の認定判断のとおり、本件各使用許可は令和2年9 月に取り消されたが、前記前提事実⑺ウのとおり、被告ホテル 開発は、令和2年10月1日以降も、本物件3を権原なく占有 2 0 していることにより、原告に使用料及び管理費等相当額の損害 が発生していることが認められる。 イ 本件口頭弁論終結日(令和4年12月26日)までに納期限 が到来した使用料及び管理費等相当損害金並びに遅延損害金 (主文2⑸) 2 5 上記の使用料及び管理費等損害金並びに遅延損害金は、前記 72 認定事実⑷イ a、cのとおり、①令和2年10月分ないし令 和4年11月分の使用料相当損害金(合計1493万7338 円)、②上記使用料相当損害金についての各納期限の翌日から 本件口頭弁論終結日(令和4年12月26日)までの確定遅延 損害金(合計45万9047円)、③令和2年11月分ないし 5 令和4年10月分の管理費等相当額(合計27万0265円)、 ④上記管理費等相当額についての各納期限の翌日から本件口頭 弁論終結日(令和4年12月26日)までの確定遅延損害金 (合計7485円)の合計1567万4135円である。 よって、被告ホテル開発は、 ④上記管理費等相当額についての各納期限の翌日から本件口頭 弁論終結日(令和4年12月26日)までの確定遅延損害金 (合計7485円)の合計1567万4135円である。 よって、被告ホテル開発は、不法行為に基づく損害賠償債務 1 0 として、原告に対し、上記①ないし④の合計1567万413 5円及びうち上記①及び③の合計1520万7603円に対す る令和4年12月27日から支払済みまで、民法所定の年3パ ーセントの割合による遅延損害金の支払義務を負う。 ウ 本件口頭弁論終結後に納期限が到来する使用料相当損害金 1 5 (主文2⑹ア、イ) 前記認定事実⑷イ bのとおり、令和4年12月1日から 令和5年3月31日までの使用料相当損害金の額は、令和4 年11月分までと同額の月額59万3588円であると認め られる。 2 0 よって、被告ホテル開発は、不法行為に基づく損害賠償債 務として、原告に対し、本物件3についての令和4年12月 1日から令和5年3月31日(同日以前に本物件3が明け渡 されたときは、同明渡しの日)まで、使用料相当損害金の将 来請求として、1か月あたり59万3588円の支払義務を 2 5 負う。 73 被告ホテル開発に対する、本物件3についての令和5年4 月1日以降の使用料相当損害金請求については、前記2の認 定判断のとおり、将来給付の訴えを提起することのできる請 求権としての適格を有しないから、上記請求に係る訴えは不 適法である。 5 ⑽ 本件使用許可取消後である令和2年10月分以降の本物件4の 使用料相当損害金の請求(主文2⑺、⑻、第2事件) ア 前記4⑵の認定判断のとおり、本件使用許可は令和2年9月 に取り消されたが、前記前提事実⑺ウのとおり、被告ホテルは、 令和2年10月1日以降も本物件4を権原なく占有して (主文2⑺、⑻、第2事件) ア 前記4⑵の認定判断のとおり、本件使用許可は令和2年9月 に取り消されたが、前記前提事実⑺ウのとおり、被告ホテルは、 令和2年10月1日以降も本物件4を権原なく占有しているこ 1 0 とにより、原告に使用料相当額の損害が発生していることが認 められる(なお、被告ホテルに対しては、管理費等相当損害金 の請求はない。)。 イ 本件口頭弁論終結日(令和4年12月26日)までに納期限 が到来した使用料相当損害金及び遅延損害金(主文2⑺) 1 5 上記の使用料相当損害金、遅延損害金は、前記認定事実⑷イ aのとおり、①令和2年10月分ないし令和4年11月分の 使用料相当額(合計1929万4870円)、②上記使用料相 当損害金についての各納期限の翌日から本件口頭弁論終結日 (令和4年12月26日)までの確定遅延損害金(合計59万 2 0 2968円)の合計1988万7838円である。 よって、被告ホテルは、不法行為に基づく損害賠償債務とし て、原告に対し、上記①及び②の合計1988万7838円及 びうち上記①の1929万4870円に対する令和4年12月 27日から支払済みまで、民法所定の年3パーセントの割合に 2 5 よる遅延損害金の支払義務を負う。 74 ウ 本件口頭弁論終結後に納期限が到来する使用料相当損害金 (主文2⑻ア、イ) 前記認定事実⑷イ bのとおり、令和4年12月1日から 令和5年3月31日までの使用料相当損害金の額は、令和4 年11月分までと同額の月額76万6919円であると認め 5 られる。 よって、被告ホテルは、不法行為に基づく損害賠償債務と して、原告に対し、令和4年12月1日から令和5年3月3 1日(同日以前に本物件4が明け渡されたときは、同明渡し の日)まで1か月あたり76万6 よって、被告ホテルは、不法行為に基づく損害賠償債務と して、原告に対し、令和4年12月1日から令和5年3月3 1日(同日以前に本物件4が明け渡されたときは、同明渡し の日)まで1か月あたり76万6919円の支払義務を負う。 1 0 被告ホテルに対する、本物件4についての令和5年4月1 日以降の使用料相当損害金請求については、前記2の認定判 断のとおり、将来給付の訴えを提起することのできる請求権 としての適格を有しないから、上記請求に係る訴えは不適法 である。 1 5 ⑾ 被告ホテル開発の、令和2年2月及び同年3月分の使用料につ いての遅延損害金の請求(主文2⑼、第2事件) 前記認定事実⑷イ のとおり、被告ホテル開発の、令和2年2 月及び同年3月分の使用料についての遅延損害金の合計は、1万 3300円である。 2 0 よって、被告ホテル開発は、本物件3の本件使用許可処分に基 づき、原告に対し、1万3300円の支払義務を負う。 第4 結論 以上によれば、原告の被告らに対する請求のうち、本件各使用許 可部分についての令和5年4月1日以降の使用料相当損害金の支払 2 5 を求める部分は、不適法であるからこれを却下し(前記第3の2、 75 8⑼ウ 、8⑽ウ )、原告の被告Aに対する本件賃貸借契約の解 除日までの未払賃料及び管理費等(本物件3の管理費等の一部を含 む。)の請求のうち、本物件3の管理費等及びその遅延損害金の請 求部分については、理由がないから、これを棄却し(前記第3の8 ⑶ウ )、その余の部分についてはいずれも理由があるから、これ 5 を認容することとし、被告ホテル開発の反訴請求にはいずれも理由 がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴 法61条、64条ただし書、65条1項本文を適用して、主文のと お れ 5 を認容することとし、被告ホテル開発の反訴請求にはいずれも理由 がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴 法61条、64条ただし書、65条1項本文を適用して、主文のと おり判決する。 なお、仮執行宣言は、民訴法259条1項を適用して主文第1項 1 0 ⑶ア、イ、⑷ないし⑹及び第2項⑶ないし⑸、⑹イ、⑺、⑻イ、⑼ に限り付すことにし、主文第1項⑴、⑵及び第2項⑴、⑵について は、本件事案の性質に鑑み相当ではないからこれを付さないことと する。 被告ホテル開発らが求める仮執行免脱宣言は、相当ではないから 1 5 これを付さない。 大阪地方裁判所第18民事部 裁判長裁判官 横 田 典 子 2 0 裁判官 中 山 周 子 裁判官 比 舍 昌 志 2 5 76 (別紙の掲載省略)

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