主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実) 被告人は,令和元年7月21日施行の第25回参議院議員通常選挙に際し,広島県選出議員選挙の立候補者として届け出たA(以下「A候補」という。)の選挙運動者であるが,いずれもA候補の選挙運動者であるB及びCと共謀の上,A候補に当選を得させる目的をもって,別表1及び2記載のとおり,同月19日頃から同月23日頃までの間に,前後14回にわたり,広島市a1区a町b番c号甲d階所在 のA選挙事務所ほか5か所において,A候補の選挙運動者であるDほか13名に対し,A候補の選挙運動用自動車上で使用される者として,同選挙の選挙人に対してA候補への投票を呼び掛ける等の選挙運動をしたことの1日分ないし8日分の報酬として,Eほか2名を介し,手渡し又は振込の方法により,かねて選挙運動をすることの報酬として約束していた合計204万円を供与し,もって法定の支給限度額 である1日1万5000円の割合で計算した金額を超える金員をそれぞれ供与した。 (証拠の標目)省略(争点に対する判断)第1 争点の所在 本件でDほか13名がA候補の選挙運動用自動車上で選挙人に対してA候補への投票を呼び掛ける等の選挙運動をするために使用される者(いわゆるうぐいす嬢。 以下「車上運動員」という。)として稼働したこと,各車上運動員に対して1日当たり3万円という法定限度額を超える報酬が支払われたこと及び被告人が上記報酬の支払に関与したことに争いはない。本件の争点は,上記金銭の供与について,被 告人が共同正犯に当たるか,幇助犯にとどまるかである。 当裁判所は,被告人は共同正犯であると 酬の支払に関与したことに争いはない。本件の争点は,上記金銭の供与について,被 告人が共同正犯に当たるか,幇助犯にとどまるかである。 当裁判所は,被告人は共同正犯であると判断したので,補足して説明する。 第2 前提となる事実関係関係各証拠によれば,以下の事実が認められる。 1 選挙事務所の体制や選挙期間中の活動・選挙結果等について⑴ 選挙事務所の初期体制 令和元年7月21日投開票の参議院議員通常選挙(以下「本件選挙」という。)に向けて,平成31年3月13日にA候補が乙党本部から公認を得て,同年4月22日にA候補の選挙事務所が実質的に稼働し始めた。選挙事務所が稼働し始めた際には,選挙情勢に詳しい等という触れ込みのあったCを事務長,A候補の夫であるU衆議院議員(以下「U議員」という。)の政策担当秘書を 務めるBを事務長補佐にするなどとされた。 ⑵ 車上運動員の募集と各グループの形成A候補やU議員は,本件選挙のために,令和元年5月上旬までに,これまでにU議員やA候補の選挙で車上運動員を務めてきたDに車上運動員を依頼した。 さらにA候補は,V広島県議会議員(以下「V県議」という。)の選挙で活動 した車上運動員にも依頼しようと考え,その頃までにV県議にも車上運動員の手配を依頼した。 ア V県議経由の車上運動員の募集経過についてV県議の夫で同人の選挙運動も行ったWは,A候補からの依頼を受けて,妻の選挙で車上運動員をしたXに,本件選挙でのA候補の車上運動員の募集 を依頼した。 Xは,同年5月21日,WとともにCと打合せを行い,1日4名くらいの車上運動員が必要だと聞き,その翌日,Wから電話で車上運動員の報酬が1日当たり3万円だと聞いた。そこでXは,報酬が1日当たり3万円であることも 月21日,WとともにCと打合せを行い,1日4名くらいの車上運動員が必要だと聞き,その翌日,Wから電話で車上運動員の報酬が1日当たり3万円だと聞いた。そこでXは,報酬が1日当たり3万円であることも伝えた上で,M,K,O,N,H,L及びIことJの7名を車上運動員 として確保し,さらにMを通じてT及びSことRの2名も確保した。 その後Xは,他の候補者の車上運動員として働くことになったので,グループリーダーをMに依頼し,Mが,K以下8名の車上運動員のグループ(以下「Mグループ」という。)のリーダーとなった。 イ Dグループの車上運動員の募集経過について同年5月21日,U議員の公設第二秘書であるYは,Bに確認した上で, Dに対し,同人を含めて4名の車上運動員の確保を依頼した。 Dは,これを受けてF,P,Qの3名を集めた。なお,同年7月13日について,Pが車上運動員を務められないことになったことから,Dは同月11日頃,Gに車上運動員を依頼した(以下,Dが募集した車上運動員を「Dグループ」という。)。 ⑶ その後の選挙事務所の体制Cは,当初は事務長として,過去の参議院選挙の遊説の行程表を基に本件選挙の遊説の行程表を作成したりしていたが,ほどなく,U議員から仕事ぶりが思わしくないと評価され,同年6月上旬頃から,U議員の意向で被告人がCの代わりに遊説の行程表の作成を担当することになった。また,A候補の選挙活 動についてU議員の意向を確認する必要が生じた際には,事務所スタッフはCではなくBに問い合わせ,CもBに問い合わせていた。 令和元年6月16日,選対事務局会議が開かれた。同会議では選挙事務所内の各部門の担当者が発表され,U議員が被告人を遊説担当の責任者に指名した。 外部から招かれたZが事務局長となり 問い合わせていた。 令和元年6月16日,選対事務局会議が開かれた。同会議では選挙事務所内の各部門の担当者が発表され,U議員が被告人を遊説担当の責任者に指名した。 外部から招かれたZが事務局長となり,その後は,事務長のCの代わりを実質 的に務めることになった。 ⑷ 公示日後の活動及び選挙結果について乙党からはA候補のほか現職候補1名が立候補し,同党県連は現職候補者を支持していたところ,A候補陣営は,17日間の選挙運動期間中,A候補が車上運動員らとともに選挙運動用自動車に乗って広島県内各地を回りながら投票 の呼びかけ等を行う遊説活動や街頭演説などに力を入れた。Mグループは,公 示日である同年7月4日や5日,14日から20日までの合計9日間,車上運動員として稼働し,Dグループは,同月6日から13日までの合計8日間,車上運動員として稼働した。 同月21日の投開票の結果,A候補は当選した。 2 被告人の本件選挙における役割等 被告人は,平成27年1月頃以降,U議員の公設第二秘書,私設秘書を務めていたが,平成30年12月頃に一旦辞任した。その後,A候補の本件選挙への立候補を受けて,U議員の元秘書の依頼でA候補の陣営に参加し,令和元年5月上旬頃から月額40万円の報酬でA候補の運転手として勤務するようになった。その後,U議員の意向で,同年6月上旬頃からCに代わって遊説の行程 表を作成し,遊説担当の責任者となった。 遊説の行程表は,被告人のみが作成,管理していた。被告人は,街頭演説や遊説先についてのA候補やU議員の希望を反映させ,かつ,個人演説会や乙党本部から派遣される応援弁士の日程などを踏まえながら,効率的に遊説を行うための行程表を作成し,その都度,A候補とU議員に提出して了解を得ていた。 また の希望を反映させ,かつ,個人演説会や乙党本部から派遣される応援弁士の日程などを踏まえながら,効率的に遊説を行うための行程表を作成し,その都度,A候補とU議員に提出して了解を得ていた。 また,A候補の意向で予定が変更されたときなどには,行程表を適宜修正した。 そのほか,被告人は,選挙運動用自動車等の運転手を集めたり,公示日前に車上運動員に遊説の予定を説明するなどして遊説の準備をした。また,選挙運動期間中には,車上運動員等に対し,遊説の集合場所や時刻を連絡して集合を確認したり,U議員から随時に車上運動員のセリフについての指示が あった場合はその内容を周知したり,遊説部隊の出発を見送った後,GPS機能を利用して遊説の進行状況を把握して適宜運転手やA候補の付人に指示,連絡をし,計画に沿って円滑に遊説が行われるように監督するなどして,連日,長時間稼働した。 3 報酬の支払に関連する事実 ⑴ Mグループの報酬決定経緯 Mグループの報酬額は,同年5月22日までに,過去のU議員の選挙における車上運動員の報酬額を踏まえて,C,Bの間でU議員の意向を確認した上で1日当たり3万円と決まった。なお被告人は,この報酬決定過程に関わっていない。 ⑵ Dグループの報酬決定経緯 ア Cの供述や捜査段階の被告人供述等から,以下の事実が認められる。 Cは,同年6月5日にDと打合せした際,Dから,過去の選挙での車上運動員の報酬額の3万5000円や4万円を例に出して,本件選挙での報酬額の希望を告げられたが,その場では返答しなかった。Cは,被告人に対して,Dから高額な報酬の支払を求められていて困っている旨をこぼした。被告人 はこのときCとの会話の中でMグループの報酬額が1日3万円であることを知った。 その数日後,D 。Cは,被告人に対して,Dから高額な報酬の支払を求められていて困っている旨をこぼした。被告人 はこのときCとの会話の中でMグループの報酬額が1日3万円であることを知った。 その数日後,DからDグループの報酬額について催促の電話があったが,Cは報酬額を返答できなかった。そこで被告人は,Cに対して,もう1つのグループと同じでいいのではないかという趣旨の発言をし,その場にい たBは,U議員の意向を確認する旨を述べた。さらに数日後,被告人は,Bから,Dグループの報酬額をMグループと合わせる旨聞かされ,Cに対して,その旨伝えた。Cは,Dに対して報酬が1日当たり3万円に決定した旨を連絡した。 イなお,被告人は,当公判において,CからMグループが1日3万円である と聞いたこと,DからDグループの報酬がいくらになったのか電話で問われたこと,Cにもう1グループが3万円なのだからDグループも3万円でどうかというようなことを言うと,Cがじゃあそれでいこうと言ったという断片的な記憶があるが,その前後関係や他の事実の有無は覚えていないなどと供述する。 しかしながら,被告人は,捜査段階において前記アのとおり供述していた ところ,その供述内容は,選挙事務所内においてCに決定権限がなかったことや,U議員の意向はBを通じて確認されていたこととも整合して自然かつ合理的な内容であり,Cもほぼ同趣旨の供述をしている。したがって,捜査段階の被告人供述が信用でき,上記事実が認定できる。 ⑶ 両グループに対する報酬支払過程 被告人は,同年7月中旬ころ,Dから報酬を受け取る際に領収証を1名当たり2枚ずつ用意していくと伝えられ,これを受けてMに対し,報酬の受取に当たっては領収証を1名当たり2枚ずつ用意させるように連絡した。 人は,同年7月中旬ころ,Dから報酬を受け取る際に領収証を1名当たり2枚ずつ用意していくと伝えられ,これを受けてMに対し,報酬の受取に当たっては領収証を1名当たり2枚ずつ用意させるように連絡した。 被告人は,同月18日,D及びMに対し,各グループの車上運動員の稼働状況を確認し,車上運動員ごとの勤務日,報酬額などが記載された集計表を作成 した。このとき,被告人は,Dグループのうち,Pの代わりにGが1日働いていることを把握していたが,Pが働いたものとした。 そして,被告人は,選挙事務所で会計事務を担当するEに対して,上記の集計表を渡し,報酬の支払を依頼し,あわせて領収証を車上運動員1名につき2枚ずつ作成することも伝えた。その後Eは,Zに対し,領収証を2枚利用した 会計処理の方法について相談し,その結果,1枚については法定限度額である1日当たり1万5000円とした上で費目を「車上運動員報酬」とし,もう1枚については法定限度額を超過した分の金額を記載して費目を「人件費」として公示日前に支出したことにすることにした。なお,遊説部門で働く車上運動員等に対する報酬支払は,被告人の指示を受けたEが現金を準備し,選挙事務 所等で支払うという流れで行われており,事務所に報酬を取りに来る者とEを被告人が引き合わせるなどしていた。 被告人は,同月18日に翌日に報酬を支払う旨Dに連絡し,Eに対してDが同日に報酬を受け取りに来ると伝えた。Eは,同日午前中に口座から金銭を引き出し,同日午後にDに対してDグループの報酬を支払った。 被告人は,投開票日である同月21日,Mに対して同日中に選挙事務所で報 酬を支払う旨伝えた。Eは,同日夜から同月22日未明頃にかけて,Mグループの車上運動員らに対して報酬を支払った。なお,被告人が 票日である同月21日,Mに対して同日中に選挙事務所で報 酬を支払う旨伝えた。Eは,同日夜から同月22日未明頃にかけて,Mグループの車上運動員らに対して報酬を支払った。なお,被告人が作成した集計表では,Mグループのうち2名の稼働日数が誤っていたところ,Eは先に分かった1名分については被告人に確認して修正して支払い,もう1名については支払の場にいたZに相談して修正して支払った。 第3 争点に対する判断 1 既に検討した事実関係からすれば,被告人が,C及びBと意を通じて,A候補に当選を得させる目的をもって,M,D各グループの各車上運動員に対して,法定の支給限度額を超える1日当たり3万円の報酬の支払を行ったことが認められる。 2 その上で,上記金銭の供与に対する被告人の関与について,自己の犯罪として行ったものといえるかどうかについて検討する。 ⑴ まず,本件犯行において被告人が果たした役割について検討すると,被告人は,DやMに出勤状況等を確認し,車上運動員に対する報酬支払日を決めた上で,Eに対し,被告人が作成した集計表を渡して1日当たり3万円の報酬を支 払うよう指示したことが認められる。選挙事務所内において,遊説に関する支出は,遊説責任者である被告人がEに指示して行われており,Eは,金額の計算違い等の誤りを確認,修正するほか,被告人の指示どおりに支払を行う立場にあったと認められる。そうすると,Eに対して集計表を渡して車上運動員らに対する報酬の支払を指示した被告人の上記行為は,Eを介して行った本件犯 行の実行行為そのものであるといえる。 そして,上記の支払指示の場面において,B,Cその他の選挙事務所関係者の直接的な関与はなく,被告人が単独で行ったものと認められる。この指示は,既に決められた選挙 実行行為そのものであるといえる。 そして,上記の支払指示の場面において,B,Cその他の選挙事務所関係者の直接的な関与はなく,被告人が単独で行ったものと認められる。この指示は,既に決められた選挙事務所の方針に沿ったものではあったが,その方針が選挙の公正を害する違法なものである以上,遊説責任者としてその指示をするべき ではなかったし,それも不可能ではなかった。実際,被告人は,車上運動員が 乙党本部の選挙運動用自動車に乗車した場合の報酬額について,自ら適法な報酬額である1万5000円と決めた。 加えて,被告人は,報酬の支払に際して,Dから領収証を2枚ずつ用意していくとの申出を受け,Mに対しても領収証を2枚ずつ用意するよう連絡し,Eに対して報酬の支払を指示するに当たり,領収証が2枚になることを伝えてい る。2枚の領収証を作成させることは,法定限度額を超える報酬の支払を隠蔽するための手段として行われたものであるところ,このような隠蔽行為への関与についても,B,Cらからの指示等はなく,被告人がDの申出を受けて自己の判断で行ったものと認められる。 ⑵ そして,上記のような支払の指示や隠蔽行為への関与は,被告人が,A候補 の陣営に報酬付きで雇用され,選挙事務所の遊説責任者として,A候補を当選させる目的で従事した活動の一環として行ったものである。 被告人は,遅くとも遊説担当を正式に任されることになった令和元年6月16日頃までにはDグループ,Mグループ双方の車上運動員に対する報酬が1日当たり3万円であることを認識しつつ,これらの車上運動員を使用して行う遊 説の行程を立てたり,車上運動員に対して必要な指示や連絡をしたり,車上運動員が乗車する選挙運動用自動車の運転手を手配したりして,違法な報酬の支払を前提とする遊 らの車上運動員を使用して行う遊 説の行程を立てたり,車上運動員に対して必要な指示や連絡をしたり,車上運動員が乗車する選挙運動用自動車の運転手を手配したりして,違法な報酬の支払を前提とする遊説活動を取り仕切っていたことが認められる。これらの活動がA候補やU議員の意向を強く反映する形で行われたことは否定し難いものの,被告人としても,いつどこで遊説活動をすることが効果的な選挙運動になるか 等を考慮しながら遊説行程を作成し,その行程に沿った遊説活動が実現できるように,連日監督していたと認められ,主体的,積極的に遊説活動に関与していたと評価できる。 そもそも運動買収が禁止される趣旨は,違法な利益の供与によって選挙運動が行われることによって選挙の公正さが害されることを防ぐことにあり, 車上運動員らに対する法定限度額を超える報酬の支払を前提とする遊説活動 を取り仕切った被告人の行為は,それ自体,選挙の公正という法益の侵害に直結しているとも評価できる。 ⑶ このように,被告人は,選挙事務所の遊説責任者として,A候補を当選させるという自己の目的を実現するため,違法な報酬の支払を前提とした選挙の公正を害する遊説活動に主体的,積極的に関与した上,その報酬の支払をEに指 示するという本件犯行の実行行為を自己の判断で行い,さらに,違法な支払を隠蔽する行為にも自己の判断で関与したものである。このような関与態様や目的に照らせば,被告人は,本件犯行を自己の犯罪として行ったと認められる。 ⑷ なお,被告人は,Mグループの報酬額の決定には関与していないと認められ,Dグループの報酬額に関しても,Cに対して速やかな判断を促す意図でMグル ープと同じでいいのではないかという趣旨の発言をしたにとどまり,最終的な報酬額の決定に影 には関与していないと認められ,Dグループの報酬額に関しても,Cに対して速やかな判断を促す意図でMグル ープと同じでいいのではないかという趣旨の発言をしたにとどまり,最終的な報酬額の決定に影響を及ぼすほどの関与をしたとは認められないが,前記のとおり,被告人は,報酬が1日当たり3万円であることを認識しながら,それを前提とする遊説活動を取り仕切った上,現に1日当たり3万円の報酬支払を指示するという本件の実行行為を担っているのであり,報酬額の決定に関与して いないことは,本件犯行を自己の犯罪として行ったとの評価をくつがえす事情には当たらない。 また,弁護人は,本件犯行への関与について,被告人が利害関係を有していないと主張するが,前記のとおり,被告人は,A候補を当選させるという目的で選挙運動に従事し,車上運動員らに対する法定限度額を超える報酬の支払や それを前提とする遊説活動は,被告人のかかる目的を実現するために行われたものであるから,本件犯行に利害関係がないとはいえない。 3 以上からすれば,被告人は,B及びCと意を通じて,自己の犯罪として本件犯行を行ったといえるから,被告人には共同正犯が成立する。 (法令の適用) 罰条各別表の各番号ごとにいずれも刑法60条, 公職選挙法221条1項1号科刑上一罪の処理刑法54条1項前段,10条(1個の行為が14個の罪名に触れる場合であるから,1罪として犯情の最も重い別表1番号1の罪の刑で処断)刑種の選択懲役刑 刑の全部の執行猶予刑法25条1項(量刑の理由)本件は,被告人が共犯者と共謀の上,参議院議員通常選挙に際し,県内全域で遊説活動に従事させた車上運動員14名に対し,その報酬として法定限度額を超え 部の執行猶予刑法25条1項(量刑の理由)本件は,被告人が共犯者と共謀の上,参議院議員通常選挙に際し,県内全域で遊説活動に従事させた車上運動員14名に対し,その報酬として法定限度額を超える1日当たり3万円の計算で合計204万円の報酬を支払ったという公職選挙法違反 (運動買収)の事案である。 公職選挙法では,選挙運動に従事する者は,自発的に運動を行うものであるという考え方に基づいて無報酬が原則とされ,車上運動員の専門性,技術性を考慮して,例外的に,車上運動員に対して法定の範囲内で報酬を支給できると定めている。被告人らは,このような法の趣旨を無視し,1日当たり3万円という法定限度額の2 倍に当たる高額報酬を14名もの車上運動員に支払って,県内全域という広範囲で選挙運動に従事させたものであり,重要な国政選挙の公正を害した。 このような犯行において,被告人は,遊説責任者として遊説行程を立案し,遊説活動を監督した上,会計担当に報酬を支払うように指示するなど,重要な役割を果たした。他方で,違法な報酬額を支払うことはかねてから陣営の方針とされており, 被告人はその方針に従って犯行に関与したにすぎないという面も否めない。 以上のような本件犯行の犯情事実を中心に,国政選挙の選挙違反事件の量刑傾向とも照らし合わせて検討すると,弁護人が主張するような罰金刑が相当な軽い事案とは言えない。 さらに,被告人には前科前歴がなく,本件犯行に関与したことを認めて反省して いることなど,有利な一般情状事実も踏まえたうえで,被告人に対しては,主文の とおりの懲役刑に処した上,その刑の執行を猶予することが相当と判断した。 (検察官の求刑懲役1年6月)(弁護人の科刑意見罰金刑)令和2年6月16日広島地方 ,主文の とおりの懲役刑に処した上,その刑の執行を猶予することが相当と判断した。 (検察官の求刑懲役1年6月)(弁護人の科刑意見罰金刑)令和2年6月16日広島地方裁判所刑事第1部裁判長裁判官冨田敦史,裁判官水越壮夫,裁判官 光武敬志
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