平成25(行ウ)13 高額療養費不支給処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年2月26日 奈良地方裁判所
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判決文本文17,578 文字)

平成27年2月26日判決言渡し平成25年(行ウ)第13号高額療養費不支給処分取消等請求事件(以下「甲事件」という。)平成25年(ワ)第231号損害賠償請求事件(以下「乙事件」という。)判決 主文 1 甲事件原告・乙事件原告の甲事件被告に対する甲事件請求のうち,甲事件原告・乙事件原告が健康保険法上の各種の療養費請求をするに当たって平成25年法律第26号による改正前の健康保険法1条所定の「労働者の業務外の事由による」との条件が不要であることの確認を求める部分に係る訴えを却下する。 2 甲事件原告・乙事件原告のその余の甲事件請求及び乙事件請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は甲事件原告・乙事件原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨⑴ 甲事件被告(以下「被告A」という。)は,甲事件原告・乙事件原告(以下,単に「原告」という。)に対し,原告が健康保険法(以下「健保法」という。)上の各種の療養費請求をするに当たって平成25年法律第26号による改正前の健保法(以下「平成25年改正前健保法」という。)1条所定の「労働者の業務外の事由による」との条件(以下「業務外要件」という。)が不要であることを確認する。 ⑵ 甲事件処分行政庁(以下「処分行政庁」という。)が原告に対し平成23年4月25日付けでした高額療養費を支給しない旨の処分(以下「本件不支給処分」という。)を取り消す。 ⑶ 処分行政庁が原告に対し平成23年4月26日付けでした傷病に関する療 養の給付をしない旨の決定(以下「本件不給付処分」という。)を取り消す。 ⑷ 乙事件被告(以下「被告国」という。)は,原告に対し,80万円及びうち50万円に対する平成23年2月1 病に関する療 養の給付をしない旨の決定(以下「本件不給付処分」という。)を取り消す。 ⑷ 乙事件被告(以下「被告国」という。)は,原告に対し,80万円及びうち50万円に対する平成23年2月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑸ 訴訟費用は被告両名の負担とする。 ⑹ 前記⑷につき,仮執行宣言 2 被告Aの請求の趣旨に対する答弁⑴ 原告の被告Aに対する前記1⑴の請求に係る訴えを却下する。 ⑵ 原告の被告Aに対する前記1⑵及び⑶の請求をいずれも棄却する。 ⑶ 訴訟費用は原告の負担とする。 3 被告国の請求の趣旨に対する答弁⑴ 原告の被告国に対する前記1⑷の請求を棄却する。 ⑵ 訴訟費用は原告の負担とする。 ⑶ 仮執行免脱宣言第2 事案の概要 1 本件請求の概要等原告の被扶養者であるBは,Cから紹介を受けて,民家の庭木の剪定作業を行っていた際,事故に遭って傷害を負い,病院で治療を受けた。原告は,上記療養に要した費用について,健保法上の家族療養費の支給を受けるとともに,処分行政庁に対し,健保法上の高額療養費の支給を請求した。これに対し,処分行政庁は,Bの負傷が業務外の事由によるものとは認められないとの理由で,上記高額療養費について不支給決定(本件不支給処分)をするとともに,Bの上記診療について健保法による給付をしない決定(本件不給付処分)をし,既に支給した上記家族療養費の返還を求めた。 本件請求は,原告が,処分行政庁が所属する被告Aに対し,平成25年改正前健保法が保険給付に当たって業務外要件を設けていることが憲法違反である ことを理由に,Bの上記診療について原告が健保法上の各種の療養費を請求するに当たって業務外要件が不要であることの確認を求め,Bの負傷が平成25年改正前健保法1条所定の業務外 とが憲法違反である ことを理由に,Bの上記診療について原告が健保法上の各種の療養費を請求するに当たって業務外要件が不要であることの確認を求め,Bの負傷が平成25年改正前健保法1条所定の業務外の事由によるものであるにもかかわらず,これが業務外の事由によるものではないとの理由で処分行政庁がした本件不支給処分及び本件不給付処分がいずれも違法であるなどと主張して,本件不支給処分及び本件不給付処分の取消しを求め,また,被告国に対し,平成25年改正前健保法が保険給付に当たって業務外要件を設けていたことが憲法に違反するにもかかわらず,これを国会が長期間放置して適切な立法をしなかったことにより憲法25条2項に基づく健保法上の原告の受給権を侵害したなどと主張して,慰謝料50万円及びこれに対する遅延損害金並びに弁護士費用30万円の賠償を求めるものである。 2 関連法規の定め⑴ 健保法ア目的健保法は,労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(以下「労災法」という。)7条1項1号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病,負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い,もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする(1条)。 なお,上記健保法1条の規定は,「健康保険法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第26号。平成25年10月1日施行)により,「この法律は,労働者の業務外の事由による疾病,負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い,もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」との規定(平成25年改正前健保法1条)を改正したものである。また,上記平成25年改正前健保法1条(当時は1条1項)は,「健康保険法の一部を改正する等の法律」(昭和22年号外法律第45号)により,「疾病,負傷,死 5年改正前健保法1条)を改正したものである。また,上記平成25年改正前健保法1条(当時は1条1項)は,「健康保険法の一部を改正する等の法律」(昭和22年号外法律第45号)により,「疾病,負傷,死亡又ハ分娩」を「業務外ノ事由ニ因ル疾 病,負傷若ハ死亡又ハ分娩」に改めたものである(以下,改正前の規定を「昭和22年改正前健保法1条」という。)。 イ被保険者等健保法は,被保険者を適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者としている(3条1項)。また,被扶養者を被保険者の直系尊属,配偶者,子,孫及び弟妹等被保険者と一定の親族関係にある者であって,主としてその被保険者により生計を維持する者としている(3条7項)。 ウ保険者健保法に基づく健康保険の保険者は,被告A及び健康保険組合とされている(4条)。被告Aは,健康保険組合の組合員でない被保険者の保険を管掌している(5条1項)。 エ保険給付健保法は,被保険者に係る保険給付を,療養の給付並びに療養費,傷病手当金,家族療養費及び高額療養費の支給などとしている(52条)。療養の給付としては,被保険者の疾病又は負傷に関して,診察,薬剤又は治療材料の支給,処置,手術その他の治療並びに病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護などとしている(63条1項)。被保険者の被扶養者が保険医療機関等のうち自己の選定するものから療養を受けたときは,被保険者に対し,その療養に要した費用について,家族療養費を支給することとされている(110条1項)。療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費,療養費,訪問看護療養費,家族療養費若しくは家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額が著しく高額であると 又は療養に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費,療養費,訪問看護療養費,家族療養費若しくは家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額が著しく高額であるときは,その療養の給付又は保険外併用療養費,療養費,訪問看護療養費,家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた者に対し,高額療養費を支給することとされている(115条1項)。 ⑵ 労災法労働者災害補償保険は,業務上の事由又は通勤による労働者の負傷,疾病,障害,死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため,必要な保険給付を行い,あわせて,業務上の事由又は通勤により負傷し,又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進,当該労働者及びその遺族の援護,労働者の安全及び衛生の確保等を図り,もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的としている(労災法1条)。 労働者災害補償保険は,上記目的を達成するため,業務上の事由又は通勤による労働者の負傷,疾病,障害,死亡等に関して保険給付を行うほか,社会復帰促進等事業を行うことができる(2条の2)。 労災法による保険給付は,労働者の業務上の負傷,疾病,障害又は死亡に関する保険給付,労働者の通勤による負傷,疾病,障害又は死亡に関する保険給付並びに二次健康診断等給付とする(7条1項)。 3 前提となる事実以下の事実は,当事者間に争いのない事実,当裁判所に顕著な事実又は証拠若しくは弁論の全趣旨によって認めることができる事実である。 ⑴ 被告A及び被告Aと処分行政庁との関係被告Aは,健保法により,健康保険組合の組合員でない被保険者に係る健康保険事業を行うため,設立された法人であり(健保法7条の2第1項,同条の3),処分行政庁が所属する公共団体である。 (顕著な事実)⑵ 原告及び原告とBとの関係 合の組合員でない被保険者に係る健康保険事業を行うため,設立された法人であり(健保法7条の2第1項,同条の3),処分行政庁が所属する公共団体である。 (顕著な事実)⑵ 原告及び原告とBとの関係原告は,健康保険の被保険者である。 Bは,健康保険における原告の被扶養者である。 (争いのない事実,弁論の全趣旨)⑶ Bの受傷及び治療並びに療養の給付 Bは,Cの会員であり,Cが受注した庭木の剪定作業について,Cから引き受けた。そして,平成21年11月21日午前10時頃,奈良県b郡a町内の民家において庭木の剪定作業に従事していた際,石垣が崩れたため,道路に転倒し,その足の上に崩れた石垣が落ちてきて,右第1趾基節骨中足骨骨折,右足背挫滅創,右下肢末梢神経炎及び左膝皮膚欠損創の傷害を負い,同22年2月まで,恵王病院に入通院して診療を受け,健康保険の療養の給付を受けた。 なお,Bは,Cから,上記仕事の内容及び就業実績に応じて,Cが受注した仕事に関して受領した契約代金の一部について配分金(報酬)を受領することになっていた。 (争いのない事実,乙第1号証,弁論の全趣旨)⑷ 高額療養費の支給の請求原告は,平成23年2月14日,処分行政庁に対し,平成21年12月1日から同月31日までの入院期間に受けた療養の給付について支払われた一部負担金の額が,一定額(自己負担限度額)を超えたとして,高額療養費の支給を請求した。その請求に係る書面には,BがCの仕事に従事していた際に負傷したなどの事情が記載されていた。 (争いのない事実,甲第3号証,弁論の全趣旨)⑸ 本件不支給処分処分行政庁は,平成23年4月25日付けで,原告に対し,前記⑷の高額療養費の請求について,業務外の事由による負傷とは認められないとの理由で,高額療養費を支給しない処 全趣旨)⑸ 本件不支給処分処分行政庁は,平成23年4月25日付けで,原告に対し,前記⑷の高額療養費の請求について,業務外の事由による負傷とは認められないとの理由で,高額療養費を支給しない処分(本件不支給処分)をした。そして,本件不支給処分は,その頃,原告に通知された。 (争いのない事実,甲第4号証,弁論の全趣旨)⑹ 本件不給付処分処分行政庁は,平成23年4月26日付けで,原告に対し,Bの前記⑷の 診療について,業務外の傷病と認められない傷病で受診したとの理由で,健保法による給付をしないことに決定(本件不給付処分)し,その療養の給付に要した費用61万1314円を同年5月31日までに返還するよう求めた。そして,本件不給付処分は,その頃,原告に通知された。 (争いのない事実,甲第5号証,弁論の全趣旨)⑺ 審査請求及び再審査請求等原告は,平成23年7月5日,近畿厚生局社会保険審査官に対し,審査請求をした。しかしながら,近畿厚生局社会保険審査官は,平成23年9月9日,上記審査請求を棄却する決定をした。そして,上記審査決定は,その頃,原告に通知された。 原告は,平成23年10月17日,社会保険審査会に対し,再審査請求をした。しかしながら,社会保険審査会は,平成24年3月30日,上記再審査請求を棄却する決定をした。そして,上記再審査決定は,その頃,原告に通知された。 (丙第1,第2号証,弁論の全趣旨)⑻ 本訴の提起原告は,平成24年9月25日,大阪地方裁判所に本件訴訟を提起した。 なお,大阪地方裁判所は,本件訴訟を当裁判所に移送した。 (顕著な事実) 4 主たる争点⑴ 業務外要件の不要についての確認請求ア原告健保法は,大正11年4月22日に制定された法律であるが,現行憲法が制定された後は,憲法25条 に移送した。 (顕著な事実) 4 主たる争点⑴ 業務外要件の不要についての確認請求ア原告健保法は,大正11年4月22日に制定された法律であるが,現行憲法が制定された後は,憲法25条2項の趣旨をうけて同条項で保障された生活権を具体化するものであるとの趣旨で運用される必要がある。そして,労災法が制定された昭和22年4月7日以降,健康保険の対象を業務外の 事由によるものに限定し,他方,業務上の事由によるものを労災法の労働者災害補償保険の対象としたため,そのいずれの適用も受けることができない者が生じることになった(以下「谷間問題」ということがある。)。 もっとも,その当時は業務上の事由によるものについては労災法が適用され,他方,それ以外については健保法が適用されることで多くの事案に対処することにより,それなりに合理性を有していた。しかしながら,その後の労働状況の変化により健保法及び労災法のいずれの適用も受けない者が生じる状況が指摘され,昭和30年6月9日当時いずれの保険給付も拒否される事態が想定されたため,厚生省保険局長と労働省労働基準局長とが連名により都道府県知事に対しそのような事態が生じないように取り計らうことを求める趣旨の通知を発出していた。その後も,特に非定型労働や高年齢者労働の質的及び量的大変化により健保法及び労災法のいずれの適用も受けることができない労働者又は被保険者が生じ,それらの者の憲法上保障されている権利行使の機会を奪っているにもかかわらず,国会が昭和30年からであっても55年以上もの長期にわたって正当な理由もないのに所要の立法措置を執らなかった。そのため,健保法1条所定の業務外要件は,その後の高年齢者労働の質的及び量的大変化により現時点では高齢者の就労実態にそぐわない状況になっているから,その限度で違 いのに所要の立法措置を執らなかった。そのため,健保法1条所定の業務外要件は,その後の高年齢者労働の質的及び量的大変化により現時点では高齢者の就労実態にそぐわない状況になっているから,その限度で違憲というべきものである。 そして,原告は,上記業務外要件が存在する限り,憲法で保障された社会保障における受給権を行使することができない。 したがって,国会が業務外要件に関する立法措置を講ずるまでの間,原告にとって業務外要件は不要であるとの公法上の法律関係に関する確認の訴えとしての確認の利益を認めるべきである。 イ被告A平成25年改正前健保法1条及び労災法のいずれの適用も受けることが できない者が存在していたことは認めるが,その余の主張は争う。平成25年改正前健保法1条の規定は合憲である。 原告が確認を求めているのは,被告Aに対し,健保法1条所定の文言に反する解釈をすることであり,訴訟形式として不適法である。 仮に上記請求が適法であるとしても,健保法1条所定の「業務外の事由による」という部分を適用しないで保険給付を行うことは,保険者の裁量権を逸脱するものであり,訴え却下を免れない。 ⑵ 本件不支給処分及び本件不給付処分の違法性の有無ア被告A健保法1条所定の「業務」とは,一定の仕事を任意に又は義務として反復継続して行う意思を持ってされることが必要であり,この意思があれば1回の行為であっても業務となり,また,社会的地位において行うものであることを要し,個人的行動や家庭的,親族的関係においてなされる行為は含まれず,さらに,その事務又は事業はその者の主たる事務又は事業たるとを問わず,業務の遂行により利益を伴うと否とを問わず,自己のためになすと他人のためになすとを問わないとされている。 Bは,Cとの間に労使関係がな その事務又は事業はその者の主たる事務又は事業たるとを問わず,業務の遂行により利益を伴うと否とを問わず,自己のためになすと他人のためになすとを問わないとされている。 Bは,Cとの間に労使関係がないため,仕事中の負傷に関して労災法の適用はないが,社会生活上の地位に基づいてCとの委任又は請負という形で継続して行う事務又は事業を行っていた。 したがって,Bが行っていた前記3⑶の作業は健保法1条所定の「業務」に該当し,その作業においてBが負った傷害は同条所定の「業務外の事由による負傷」ではないから,健保法の適用はなく,本件不支給処分及び本件不給付処分はいずれも適法である。 イ原告昭和22年健保法改正の経緯及び趣旨に照らし,いわゆる谷間問題について健康保険による療養の給付等について弾力的運用を行い,就業者の傷 病について救済してきた保険給付の運用実態に照らせば,平成25年改正前健保法1条所定の「業務外」とは労災法所定の「業務上」外を意味すると解すべきである。また,Bは,社会生活参加,生きがい及び健康維持という観点から,Cに会員登録して紹介を受け,前記3⑶の作業を行っていたものであり,Cから作業に伴う日額6000円程度の配分金を受け取っていたにすぎず,現代社会が抱える高齢者問題の状況や憲法25条2項の趣旨に照らせば,Bが行っていた上記作業は健保法1条所定の「業務」に該当しないというべきである。 被告Aは,健保法及び労災法のいずれの適用も受けることができない者について,一方では平成15年7月1日付けの厚生労働省保険局長・社会保険庁運営部長連名通知により法人の代表者及び業務執行者に対してのみ健保法の適用によって救済を図るよう指示をしながら,他方,それ以外の者に対して平成25年改正前健保法1条所定の「業務外の事由によるもの」と 営部長連名通知により法人の代表者及び業務執行者に対してのみ健保法の適用によって救済を図るよう指示をしながら,他方,それ以外の者に対して平成25年改正前健保法1条所定の「業務外の事由によるもの」との要件を厳格に適用して保険給付をしないことは,同一の状況にある者について憲法14条1項に定める平等原則に違反するものであって,違法というべきである。 Bの前記3⑶の作業が平成25年改正前健保法1条所定の「業務」に当たるとしても,被告Aは定款上加入者の利益の実現を図ることを目的として関係機関と調整を図り,適切な取り計らいをすることができるのであるから,同法の弾力的運用によって現実的解決を図る裁量権を有していたというべきである。それにもかかわらず,上記作業を平成25年改正前健保法1条所定の「業務」に当たることを理由にして処分行政庁が行った本件不支給処分及び本件不給付処分はいずれもこのような裁量権を著しく逸脱して行われた違法なものである。 平成25年健保法改正によって,労災法の適用のない者については健保法が適用されることになったが,この改正は長年にわたって未解決のまま であった昭和22年改正の健保法の業務外要件の瑕疵を修復するものであるから,遡及効の定めがないにもかかわらず,その改正前の該当者にも適用されるべきである。 したがって,本件不支給処分及び本件不給付処分は,いずれも法律の解釈適用を誤り,又は,裁量権を逸脱した違法があるから,取り消されるべきである。 ウ被告A被告Aが平成15年7月1日付けの厚生労働省保険局長・社会保険庁運営部長連名通知により法人の代表者及び業務執行者の一部に対して健保法を適用するよう指示していることは認めるが,被告Aは,法律に基づき平等に審査を行っており,憲法14条1項に反するような健保法1条の解釈 部長連名通知により法人の代表者及び業務執行者の一部に対して健保法を適用するよう指示していることは認めるが,被告Aは,法律に基づき平等に審査を行っており,憲法14条1項に反するような健保法1条の解釈適用を行っていない。 被告Aが健保法1条所定の「業務外」を労災法所定の「業務上」外として保険給付をしてきた運用実態はない。 被告Aは療養の給付等の判断について弾力的運用を行うための裁量権を有していない。 ⑶ 国会の立法不作為による損害賠償の成否ア原告憲法17条に基づく請求(主位的請求)前記⑴アのとおり,労災法が労働者災害補償保険の対象を業務上の事由による負傷とし,他方,昭和22年4月7日以降健保法が健康保険の対象を業務外の事由に限定したため,そのいずれの適用も受けることができない者が生じることになっていたにもかかわらず,昭和30年からであっても55年以上もの長期にわたって正当な理由もないのに所要の立法措置を執らなかったという国会の立法不作為によって,原告は憲法25条2項に基づく社会保障を具体化したところの健保法上の受給権を 奪われたものである。 そして,憲法17条は,法律によって十分対処することが可能であるにもかかわらず,敢えて公務員の不法行為を起因とする国等の損害賠償責任を規定しており,また,憲法99条において公務員の憲法尊重擁護義務を規定しながら,公務員によって憲法違反の事態が生じることを考慮して憲法40条の刑事補償とともに規定を設けているのであるから,上記国会による立法不作為による憲法違反行為については憲法17条に基づく損害賠償責任が認められるべきである。 国家賠償法1条に基づく請求(予備的請求)前記のとおり,原告は,国会の立法不作為の不法行為により,憲法25条2項に基づく社会保障を具体化したと 基づく損害賠償責任が認められるべきである。 国家賠償法1条に基づく請求(予備的請求)前記のとおり,原告は,国会の立法不作為の不法行為により,憲法25条2項に基づく社会保障を具体化したところの健保上の受給権を奪われたのであるから,被告国に対し,国家賠償法1条に基づき損害賠償を求めることができる。 原告に生じた損害 神的苦痛を被ったものであり,これを慰謝するためには50万円を要する。また,原告は,その慰謝を求めて原告訴訟代理人らに対し本件訴訟の提起を委任したものであるが,その弁護士費用は30万円を下らない。 よって,原告が被った損害の額は80万円である。 イ被告国憲法17条に基づく請求について平成25年改正前健保法1条及び労災法のいずれの適用も受けることができない者が存在していたことは認めるが,その余の主張は争う。 憲法17条は,国又は公共団体がその公務員の不法行為による損害を賠償すべきことを定めるとともに,その具体的要件については,これを法律に譲ることを定めているから,この要件を規律する法律が存しない 限り,憲法17条のみを根拠として,国民が国に対して具体的な国家賠償請求権を取得することはないというべきである。 国家賠償法1条に基づく請求(予備的請求)国家賠償法1条1項所定の「違法」とは,公権力の行使に当たる公務員が,個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することをいう。そして,国会議員の立法行為(立法不作為を含む。以下同じ。)が,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるのは,立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず,国会があえて当該立法を行うというような,容易に想定し難い例外的な場合に限られるのであって,例えば,立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保 の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず,国会があえて当該立法を行うというような,容易に想定し難い例外的な場合に限られるのであって,例えば,立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などに限って,例外的に,国会議員の立法行為又は立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受けるというべきである。 平成25年改正前健保法及び労災法のいずれの保険給付も受けられない事例は,原告が本件訴訟を提起するまで想定されておらず,社会的に問題視されることはなかった。また,憲法25条の規定の趣旨に応えて具体的にどのような立法措置を講ずるか否かの選択決定は,立法府の広い裁量に委ねられており,それが著しく合理性を欠き明らかに逸脱・濫用と見ざるを得ないような場合を除き,裁判所が審査判断するのに適さないものである。 そうすると,国会が平成25年改正前健保法及び労災法のいずれの保険給付も受けられない者が存在する状況を解消するべく立法を行わなかったことが,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受ける場合に該当しないことは明らかである。 原告に生じた損害争う。 第3 争点に対する判断 1 業務外要件の不要についての確認請求について原告が被告Aに対し,原告が健保法上の各種の療養費を請求するに当たって平成25年改正前健保法1条所定の「労働者の業務外の事由による」との条件が不要であることの確認を求める請求は,確認の利益を欠き,不適法な訴えであるというべきである。 原告の上記請求は,平成25年改正前健保法1条が,Bの前記第2の3⑶の負傷につい 事由による」との条件が不要であることの確認を求める請求は,確認の利益を欠き,不適法な訴えであるというべきである。 原告の上記請求は,平成25年改正前健保法1条が,Bの前記第2の3⑶の負傷について,労災保険給付を受けることができない原告に対し,健康保険給付を請求するに当たって,業務外要件を課していることが憲法に違反して無効であることを前提に,そのような条件が不要であることの確認,ひいては原告が被告Aに対し業務外要件を課されずに各種の健康保険給付を請求する権利を有することの確認を求めるものであると理解することができる。 確認の訴えは,原告の権利又はその法律上の地位に現に危険ないし不安が存在し,これを除去するためには確認の対象とされている権利又はその法律上の地位について判決することが必要かつ適切である場合に認められるものと解される。しかしながら,原告の上記請求は,被告Aが原告に対してした各種の健康保険給付をしない旨の行政処分を争う抗告訴訟によって行うことができ,また,原告が被告Aに対し将来各種の健康保険給付を請求するについて,事前の救済を認めなければ必要な救済を図ることが困難になるというべき事情も認められないから,原告の上記請求が必要かつ適切なものであるということはできない。 そうすると,原告の上記請求は,確認の利益を欠き,不適法な訴えであるといわざるを得ない。 2 本件不支給処分及び本件不給付処分の違法性の有無について ⑴ 憲法違反について健保法に基づく健康保険制度は,労働者の疾病等について医療給付などを行うものであり,国民健康保険とともに医療保険制度の中核的な地位を占めるものである。そして,医療保険は,健康保険のような被用者(労働者)を対象とする被用者保険(職域保険)に国民健康保険のような地域住民を対象とする地域 健康保険とともに医療保険制度の中核的な地位を占めるものである。そして,医療保険は,健康保険のような被用者(労働者)を対象とする被用者保険(職域保険)に国民健康保険のような地域住民を対象とする地域保険(住民保険)が合わさることによって,全国民が何らかの医療保険の適用を受けることができる国民皆保険が実現されている。このような健康保険制度は,憲法25条の規定に基づき社会保障の一環として立法(健保法は,憲法制定前に立法されたものであるが,憲法制定後はそのような趣旨で存続しているものというべきである。)されたものと考えることができる。 しかしながら,憲法25条はすべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言しているものの,その規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は,立法府の広い裁量に委ねられており,それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き,裁判所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない(最高裁判所昭和51年(行ツ)第30号昭和57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁)。したがって,健康保険給付の要件等の健康保険制度の具体的な内容も,著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き,憲法25条に違反するということはできない。 そうすると,平成25年改正前健保法1条は,健康保険給付を受けるためにはその傷病等が「業務外の事由による」ことを要件としているが,その要件に当てはまらないために健康保険給付を受けることができない者についても,国民健康保険等によって医療保険給付を受けることができることになっていることなどをも考え合わせれば,平成25年改正前健保法1条が上記の ために健康保険給付を受けることができない者についても,国民健康保険等によって医療保険給付を受けることができることになっていることなどをも考え合わせれば,平成25年改正前健保法1条が上記の 要件を設けていることが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合に当たるということはできず,憲法25条に違反するということもできない。 もっとも,昭和22年に制定された労災法によって,労働者の「業務上の事由による」傷病等について労働者災害補償保険給付を行うことになり,他方,同年の健保法の改正により健保法1条1項に「業務外ノ事由ニ因ル」との文言が追加されたため,労働者の傷病等が,「業務上の事由による」ものではなく,かつ,「業務外ノ事由ニ因ル」ものでもない場合には,健康保険給付及び労働者災害補償保険給付のいずれも受けることができないこととなった。しかしながら,昭和22年の健保法1条1項の改正によって業務外要件が設けられたことにより健康保険給付及び労働者災害補償保険給付のいずれも受けることができない者が生じるようになったとしても,上記判示したような憲法25条の趣旨や上記のとおり国民健康保険等の何らかの医療給付を受けることはできることも考え合わせれば,上記改正によって健保法1条1項に業務外要件が設けられたことが憲法25条に違反するものであるとまではいえない。そして,昭和22年以降の労働状況の変化,特に高齢者労働の質的及び量的変化が生じているとしても,国民健康保険等の何らかの医療給付を受けることができる事情に変わりはないから,平成25年改正前健保法1条が「業務外の事由による」との要件を定めていることが著しく合理性を欠くことになったということはできない。 また,平成25年改正前健保法1条の業務外事由の要件は,労働者の業務上 5年改正前健保法1条が「業務外の事由による」との要件を定めていることが著しく合理性を欠くことになったということはできない。 また,平成25年改正前健保法1条の業務外事由の要件は,労働者の業務上の事由による傷病等については労働者災害補償保険が給付されるので,そのような場合には健康保険給付を行う必要がないため,設けられたものであると解することができるから,平成25年改正前健保法1条が業務外事由の要件を設けたこと自体は合理性があり,憲法14条に違反するものであるということもできない。もっとも,平成25年改正前健保法1条の業務外事由 の要件の存在によって,労働者災害補償保険給付を受けることができない労働者の中に健康保険給付を受けることもできない者が生じているが,そのような者についても国民健康保険等による医療給付を受けることができることからすれば,労働者の傷病についてどのような原因で生じたものについて,国民健康保険等による医療給付によらずに,健康保険給付を行うことにするかは,保険料の負担者や額,保険給付の範囲及び程度等の内容などを勘案して定められるべきものであるから,その要件自体について合理性が認められる以上,労働者災害補償保険給付を受けることができない労働者の中に健康保険給付を受けることができない者が存在したとしても,そのことから直ちに業務外要件が憲法14条に違反すると解すべきではない。 ⑵ 平成25年改正前健保法1条所定の「業務」の該当性について平成25年改正前健保法1条所定の「業務」とは,人が職業その他社会生活上の地位に基づいて,継続して行う事務又は事業の総称であり,一定の仕事を任意に又は義務として反復継続して行う意思を持ってなされることが必要であるが,この意思があれば,1回の行為であっても業務になると解するのが相当であ 継続して行う事務又は事業の総称であり,一定の仕事を任意に又は義務として反復継続して行う意思を持ってなされることが必要であるが,この意思があれば,1回の行為であっても業務になると解するのが相当である。 ところで,前記第2の3⑶で判示したとおり,Bは,Cの会員であり,Cが受注した作業について,Cから引き受けて行っていた作業において負傷したものである。 そうすると,Bが行っていた上記作業は,社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務であるというべきであるから,平成25年改正前健保法1条所定の「業務」に当たると解するのが相当である。 Bは,Cの従業員ではなく,雇用関係にないので,上記作業における負傷について労災法による労働者災害補償保険給付を受けることができないことがうかがわれる。しかしながら,仮にBが上記作業における負傷について労働者災害補償保険給付を受けることができないとしても,このような事情を 考慮して,Bに健康保険給付を受けさせるために,平成25年改正前健保法1条所定の「業務」の解釈を変更することは,本末転倒であるといわざるを得ず,また,保険給付の内容及び範囲等が被保険者等の保険料の支払等と関連して定められることを等閑視することにもなる。憲法25条2項の趣旨,労働者災害補償保険法の制定とともに平成25年改正前健保法1条所定の「業務外の事由による」との文言が付加された経緯や高齢労働者の増加という労働状況の変化を考慮しても,上記判断が左右されるものではない。 ⑶ 極小規模事業所の代表者との比較について乙第9号証によれば,厚生労働省保険局長及び社会保険庁運営部長は,連名で,平成15年7月1日,各地方社会保険事務局長に対し,極めて小規模な適用事業所に所属する法人の代表者及び業務執行者について,その業務に起因して生じた傷病 働省保険局長及び社会保険庁運営部長は,連名で,平成15年7月1日,各地方社会保険事務局長に対し,極めて小規模な適用事業所に所属する法人の代表者及び業務執行者について,その業務に起因して生じた傷病に関しても健康保険による保険給付の対象とするよう通知していることが認められる。 しかしながら,上記通知は,平成25年改正前健保法1条所定の「労働者」の要件について一定の解釈に基づいて健康保険給付の対象を明確にしたものにすぎず,仮にこれによって健康保険給付を受けることができなかった者の一部についてこれを受けることができるようになったとしても,そのことから健康保険給付を受けることができないままの状態に置かれている原告ないしBが不合理な差別的な取扱いを受けているということはできないから,上記通知及びこれに基づく取扱いの存在によって,Bが前記第2の3⑶で負った傷害について業務外要件を満たさないことを理由に健康保険給付をしないこととした本件不支給処分及び本件不給付処分が違法になると解することはできず,まして憲法14条に違反するものであるとは解し難い。 ⑷ 裁量権の逸脱について前記⑵で判示したとおりBが前記第2の3⑶で負った傷害は,平成25年改正前健保法1条所定の「業務外の事由による」ものと認められないことは 明らかであって,処分行政庁がこれを「業務外の事由による」ものと認める弾力的運用を行うことが許されるとは認め難く,処分行政庁が行った本件不支給処分及び本件不給付処分に裁量権の逸脱があるとは認められない。 ⑸ 遡及適用の可否について「健康保険法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第26号)の附則3条は,同法律の施行日前に生じた事故に起因する業務上の事由(平成25年改正前健保法1条所定の「業務外の事由」以外の事由である。)による 険法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第26号)の附則3条は,同法律の施行日前に生じた事故に起因する業務上の事由(平成25年改正前健保法1条所定の「業務外の事由」以外の事由である。)による疾病,負傷若しくは死亡に関するものについては,なお従前の例によると規定しているから,Bが前記第2の3⑶で負った傷害の診療に対する療養費の給付に関しては平成25年改正前健保法1条が適用されることが明らかであり,同年改正後の規定が遡及して適用されることはない。 ⑹ 小括前記⑴ないし⑸によれば,Bの前記第2の3⑶の負傷に関する本件不支給処分及び本件不給付処分はいずれも適法である。 3 国会の立法不作為による損害賠償の成否⑴ 憲法17条に基づく請求について憲法17条は,「何人も,公務員の不法行為により,損害を受けたときは,法律の定めるところにより,国又は公共団体に,その賠償を求めることができる。」と規定し,その保障する国又は公共団体に対し損害賠償を求める権利については,法律による具体化を予定している。これは,公務員の行為が権力的な作用に属するものから非権力的な作用に属するものにまで及び,公務員の行為の国民へのかかわり方には種々多様なものがあり得ることから,国又は公共団体が公務員の行為による不法行為責任を負うことを原則とした上,公務員のどのような行為によりいかなる要件で損害賠償責任を負うかを立法府の政策判断にゆだねたものであると解される(最高裁判所平成11年(オ)第1767号平成14年9月11日大法廷判決・民集56巻7号14 39頁)。そして,憲法17条の規定を受けて,国家賠償法が公務員の権力的な作用に属する不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を規定している。 したがって,公務員の権力的な作用に属する不法行為により損害を受 して,憲法17条の規定を受けて,国家賠償法が公務員の権力的な作用に属する不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を規定している。 したがって,公務員の権力的な作用に属する不法行為により損害を受けたと主張する者は,国家賠償法に基づき国又は公共団体に対し損害賠償請求をすることができるのであって,憲法17条に基づき損害賠償請求をすることはできないと解するのが相当である。 ⑵ 国家賠償法1条に基づく請求について国家賠償法1条1項所定の「違法」とは,公権力の行使に当たる公務員が,個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することをいう。そして,国会議員の立法行為が,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるのは,立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず,国会があえて当該立法を行うというような,容易に想定し難い例外的な場合に限られるのであって,例えば,立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などに限って,例外的に,国会議員の立法行為又は立法不作為が国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受けるというべきである(最高裁判所昭和53年(オ)第1240号昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁,最高裁判所平成13年(行ツ)第82号,同年(行ヒ)第76号,同年(行ツ)第83号,同年(行ヒ)第77号平成17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁)。 前記2⑴で判示したとおり,平成25年改正前健保法1条所定の「業務外の事由による」との文言の存在によって,これが憲法25条,14条に違反するということはできず,その立法の 9巻7号2087頁)。 前記2⑴で判示したとおり,平成25年改正前健保法1条所定の「業務外の事由による」との文言の存在によって,これが憲法25条,14条に違反するということはできず,その立法の内容が憲法の一義的な文言に違反して いるということもできないから,国会が平成25年改正前健保法及び労災法のいずれの保険給付も受けられない者が存在する状況を解消するべく立法を行わなかったことが,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受ける場合に該当すると認めることはできない。 ⑶ 小括前記⑴及び⑵によれば,原告の被告国に対する損害賠償請求を認めることはできない。 第4 結論以上によれば,原告が,被告Aに対し,原告が健保法上の各種療養費請求するに当たって平成25年改正前健保法1条所定の「労働者の業務外の事由による」との条件が不要であることの確認を求める請求に係る訴えは,不適法であるから,これを却下し,本件不支給処分及び本件不給付処分がいずれも違法であることを理由にこれらの取消しを求める請求は,理由がないから,これらをいずれも棄却することとし,被告国に対し,主位的に憲法17条,予備的に国家賠償法1条1項に基づき損害賠償金80万円及びうち50万円に対する平成23年2月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 奈良地方裁判所民事部裁判長裁判官牧賢二裁判官池上尚子裁判官久野雄平 二裁判官 池上尚子 裁判官 久野雄平

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