- 1 - 主文 被告人を懲役1年に処する。 この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (犯罪事実)被告人は、地域開発事業の企画及びコンサルティング業務、各種メディアの企画、制作等を業とする株式会社A(以下「本件会社」という。)の代表取締役として、同社の業務全般を統括していたもの、分離前の相被告人B(以下「B」という。)は、佐賀県神埼市長として、同市を代表し、同市が発注する入札、契約の締結等の事務の管理・執行を統括するなどの職務に従事していたものであるが、被告人は、神埼市が令和5年2月21日に第1次審査、同年3月4日に第2次審査を行った公募型プロポーザル方式による「神埼市ふるさと納税PR強化事業業務委託」の契約の締結に関し、本件会社を同契約の受託候補者に特定させようと考え、Bと共謀の上、同年2月8日頃から同年3月3日までの間に、佐賀県内又はその周辺において、Bから、前記プロポーザルの秘密事項である審査委員会評価部会評価委員の所属・氏名等の情報の教示を受け、さらに、同年2月16日頃、佐賀県内又はその周辺において、Bから、同プロポーザルの秘密事項である他の入札参加表明事業者の提案書の提供を受けるなどし、もって偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした。 (法令の適用)罰条刑法60条、96条の6第1項刑種の選択懲役刑を選択刑の執行猶予刑法25条1項(量刑の理由) 1 本件は、被告人が、当時神埼市長であった共犯者と共謀して、神埼市が実施した公募型プロポーザル方式によるふるさと納税関連業務の委託契約の締結に関- 2 - し、秘密事項である情報の教示を受けるなどしたという事案である。 2 被告人は、共犯者と親密な 神埼市が実施した公募型プロポーザル方式によるふるさと納税関連業務の委託契約の締結に関- 2 - し、秘密事項である情報の教示を受けるなどしたという事案である。 2 被告人は、共犯者と親密な関係にあったことを利用し、共犯者から、神埼市において秘密事項として厳しく管理され、限られた内部関係者しか知り得ないはずの評価委員に関する情報や他の入札参加表明事業者の提案書の提供を受けた。 被告人は、それらの情報等を本件会社内で共有し、第2次審査に向けた対策を講じただけでなく、評価委員やその関係者に接触して、本件会社を売り込むといった行為にまで及んでおり、このような行為を可能とした本件犯行は、参加事業者間の自由な競争を阻害し、公の入札の公正を害する程度が高い悪質なものというべきである。 被告人は、ふるさと納税関連の業務の実績がない本件会社に業務を受託させようと考え、共犯者に対し、秘密事項を教示等するよう働き掛けて犯行に及んだ。 若い従業員を抱えて仕事が欲しかったという気持ちがあったにせよ、利欲的で身勝手な犯行の動機や経緯に酌むべき事情があるとはいえないし、犯行への関与の仕方も積極的で主体的なものといえ、被告人は厳しい非難を免れない。 3 以上の犯情によれば、本件は、同種事案の中で決して軽い部類に属する事案ではないといえる。 もっとも、犯情以外の点を見ると、被告人が、事実を認めた上で、法廷で、多くの関係者に迷惑を掛けたことに対する謝罪の言葉を述べるとともに、二度と犯罪をしない旨を誓って、反省の態度を示したこと、前科前歴がないことなど、被告人にとって斟酌すべき事情も認められる。そこで、それらの事情をも考慮し、被告人に対しては、今回に限り、その刑の執行を猶予し、社会内での更生の機会を与えるのが相当と判断した。 (求刑・懲役1年)令和6 すべき事情も認められる。そこで、それらの事情をも考慮し、被告人に対しては、今回に限り、その刑の執行を猶予し、社会内での更生の機会を与えるのが相当と判断した。 主文 (求刑・懲役1年)令和6年6月21日佐賀地方裁判所刑事部 裁判長裁判官岡崎忠之 裁判官松村一成 裁判官秋山慎悟
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