令和6年7月10日判決言渡 令和5年(行ケ)第10145号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和6年5月29日判決 原告 日亜化学工業株式会社 同訴訟代理人弁理士 莊司英史 田中貞嗣 小山卓志 相羽昌孝 被告 特許庁長官 指定代理人 吉野三寛 波多江進 秋田将行 小暮道明 須田亮一 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 【略語】本判決で用いる略語は、別紙1「略語一覧」のとおりである。なお、本件審決中で使用されている略語は、本判決でもそのまま踏襲している。 第1 請求 特許庁が不服2023-16269号事件について令和5年11月17日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。) (1) 原告は、令和4年5月10日、発明の名称を「発光装置」とする特許出願(特願2022-77536号、当初の請求項の数8)をした。この出願(本願)は、以下の特許出願を順次分割して新たな出願としたものである。 ・原々々々出願平成28年3月15日(優先権主張平成27年5月20日) 求項の数8)をした。この出願(本願)は、以下の特許出願を順次分割して新たな出願としたものである。 ・原々々々出願平成28年3月15日(優先権主張平成27年5月20日)特願2016-51530号・原々々出願平成29年11月14日特願2017-218672号 ・原々出願令和2年1月28日特願2020-11370号・原出願令和3年4月2日特願2021-63213号(2) 原告は、令和5年2月21日付けで拒絶理由通知を受けたことから、その意見書提出期間内である同年3月24日、特許請求の範囲を下記2(1)のとおりに補正(本件補正、補正後の請求項の数13)する旨の手続補正書を提出し たが、同年6月26日付けで本件拒絶査定を受けた。 (3) 原告は、令和5年9月27日、拒絶査定不服審判を請求した。特許庁は、これを不服2023-16269号事件として審理を行い、同年11月17日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との本件審決をし、その謄本は同年12月5日原告に送達された。 (4) 原告は、令和5年12月21日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本願に係る発明の内容(1) 特許請求の範囲の記載本件補正後の特許請求の範囲の請求項1、2の記載は、以下のとおりであ る(請求項3以下については別紙2に記載)。 【請求項1】基部と、側壁と、を有する基体と、前記基部の上面に配置される半導体レーザ素子と、前記基部の上方に位置し、前記基体に固定され、前記半導体レーザ素子が配置された空間を密閉空間にする封止部材と、 前記半導体レーザ素子から出射された光 半導体レーザ素子と、前記基部の上方に位置し、前記基体に固定され、前記半導体レーザ素子が配置された空間を密閉空間にする封止部材と、 前記半導体レーザ素子から出射された光が通過するレンズ部を有し、接着剤により前記封止部材に固定されるレンズ部材と、を備え、前記封止部材と前記レンズ部材との間の空間は開放空間であることを特徴とする発光装置。 【請求項2】前記開放空間は、前記封止部材と前記レンズ部材の間において、前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されることで形成される、請求項1に記載の発光装置。 (この下線部が、新規事項の追加かどうか問題となっている請求項2補正 事項である。)(2) 上記(1)の特許請求の範囲の記載により特定される発明について、本願明細書(甲1、本件補正による変更なし)には、次の開示があると認められる。 ア発明の解決しようとする課題レンズアレイと封止部材との間の空間が密閉空間であると、レンズアレ イが有機物を含む接着剤(例えば、UV硬化性接着剤)により固定される場合において、接着剤から気化したガスがレンズアレイと封止部材との間の空間に留まってしまう。このとき、気化したガスに含まれる有機物が、レーザ光に反応し、透光性部材やレンズアレイに堆積するおそれがある(【0038】)。 UV硬化性接着剤などの有機物を含む接着剤は水分を吸収しやすい材料 であるため、レンズアレイ20がUV硬化性接着剤により固定される場合においては、大気中から接着剤に吸収された水分が封止部材80とレンズアレイ20との間の空間に留まりやすく、使用状況によっては空間内に結露が発生する ズアレイ20がUV硬化性接着剤により固定される場合においては、大気中から接着剤に吸収された水分が封止部材80とレンズアレイ20との間の空間に留まりやすく、使用状況によっては空間内に結露が発生するおそれがある(【0039】)。 イ構成 レンズアレイと封止部材との間の空間を開放空間とする構成の具体例として、接続部に貫通孔Fを設ける実施形態3(【0037】~【0039】、図7)と、接続部の外縁の外側に開口部Gを設ける実施形態4(【0040】、【0041】、図8)が示されている。ただし、レンズアレイと封止部材との間の空間が開放空間であれば、開放空間を具体的にどのように構成する かは特に限定されないとされる(【0042】)。 ウ効果レンズアレイと封止部材との間の空間が開放空間となるため、接着剤から気化したガスを当該空間外へ逃し、有機物の堆積(集塵)を抑制しやすくなる。また、同空間内における結露の発生を抑制することもできる(【00 38】、【0039】)。 (3) 当初明細書等の記載(甲1)当初明細書等の特許請求の範囲並びに明細書及び図面の抜粋(新規事項の追加に係る争点に関係する部分)を別紙3に掲げる。 3 本件審決の理由の要旨 本件審決は、以下の理由により、本件補正は特許法17条の2第3項の要件を満たしていないから本願は拒絶すべきものとした。 (1) 請求項2補正事項である「前記開放空間は、前記封止部材と前記レンズ部材の間において、前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されることで形成される」との事項を追加する補正は、当初明細書等 に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである から、新規事項を追加す することなく前記接着剤が配されることで形成される」との事項を追加する補正は、当初明細書等 に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである から、新規事項を追加するものである。 (2) すなわち、同補正事項は、「前記開放空間」が本件接着剤配置により「形成される」ことを特定するものである。そうすると、請求項2補正事項が新規事項を追加するものではないというためには、当初明細書等に単に開放空間が形成されている構成において本件接着剤配置が記載されているのみでは足り ず、当初明細書等に本件接着剤配置によって開放空間が形成されること、言い換えると、本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与していることが記載されている必要がある。 (3) 当初明細書等の【0040】~【0041】及び図8には、実施形態4に係る発光装置4に関して、封止部材とレンズ部材との間に開放空間が形成され ている構成において、本件接着剤配置とすることが記載されているが、図8において、本件接着剤配置ではなく、接着剤が環状に一周する構成であっても、開放空間はレンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されていることにより形成される開口部Gによって形成されるのであって(参考図)、接着剤が環状に一周するか否かは、開放空間の形成に 影響しない。したがって、開放空間が本件接着剤配置により形成されるとの請求項2補正事項が、当初明細書等の上記記載の中に記載されているとも、記載されているのと同然であるとも理解することはできない。 (4) 実施形態3に係る発光装置3に関する【0037】~【0039】及び図7には、本件接着剤配置が記載されていないから、請求項2補正事項が、実施形 態3に係る発光装置3に関する【0037】~【 4) 実施形態3に係る発光装置3に関する【0037】~【0039】及び図7には、本件接着剤配置が記載されていないから、請求項2補正事項が、実施形 態3に係る発光装置3に関する【0037】~【0039】及び図7に記載されていると理解することもできない。 (参考図) 4 取消事由(1) 本件補正が新規事項を追加したものであるとの判断の誤り(2) 手続違背その1/特許法159条2項違反 (3) 手続違背その2/請求項8~13に係る審理・判断の遺脱第3 当事者の主張 1 取消事由1(本件補正が新規事項を追加したものであるとの判断の誤り)について【原告の主張】 (1) 請求項1の「前記封止部材と前記レンズ部材との間の空間は開放空間である」との発明特定事項によれば、「封止部材とレンズ部材の間の空間」が開放空間であることが特定されている。 また、当初明細書等の「貫通孔Fや開口部Gは、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間を開放空間とする具体的な構成の一例である。レンズア レイ20と封止部材80との間の空間は、空間内で生じたガスを外部に逃がすことができるよう開放されていればよく、」(【0042】)との記載によれば、「開放空間」とは、空間内で生じたガスを外部に逃がすことができるよう開放されている空間といえる。 そうすると、「前記開放空間は、前記封止部材と前記レンズ部材の間におい て、前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されることで形成される」との対象補正項目は、「前記封止部材と前記レンズ部材の間において、前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されることで、前記封止部材と前記レン 記接着剤が配されることで形成される」との対象補正項目は、「前記封止部材と前記レンズ部材の間において、前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されることで、前記封止部材と前記レンズ部材の間の空間が、空間内で生じたガスを外部に逃がすことができるよう開放された空間となっている」こ とを特定する事項といえる。 (2) 当業者は、当初明細書等の【0040】の記載から直接的に「レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されているとともに、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている」ことにより、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間が開放空間 となっていると理解できる。 また、開口部Gは、図8からも理解できるように、封止部材と前記レンズ部材の間の空間ではなく、その外側の空間である。そうすると、開口部Gの形成のみによって直接的に開放空間が形成されるわけではなく、凹部82bの外側に接着剤を設けてレンズアレイ20を封止部材80に固定することで、封 止部材と前記レンズ部材の間の空間が開放空間となることが理解できる。 実施形態4の構造は、レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されているのであるから、凹部82bの外側に接着剤が配置される以上、実施形態4の構造が、「接着剤が、レンズアレイ20の外縁を環状に一周する」構造とならないこと、言い換えれば、「接着剤が、レン ズアレイ20の外縁を環状に一周することなく配置される」構造となることも、当業者は理解する。 レンズアレイ20に貫通孔Fが設けられておらず、凹部82bの外側でレンズアレイ20の外縁を環状に一周するように接着剤が配されてレンズアレイ20が封止部材80に固定されている構造( 者は理解する。 レンズアレイ20に貫通孔Fが設けられておらず、凹部82bの外側でレンズアレイ20の外縁を環状に一周するように接着剤が配されてレンズアレイ20が封止部材80に固定されている構造(実施形態3において、レンズ アレイ20に貫通孔Fが設けられていない構造)は、封止部材80とレンズ アレイ20の間の空間は開放空間とはならない構造であることが理解できるところ、レンズアレイ20の外縁を環状に一周することなく接着剤を配置することは、物理的状態としては、環状に一周する構造の接着剤に貫通孔が設けられたことに等しく、レンズアレイ20に貫通孔Fを設けて開放空間になるのであるから、レンズアレイ20とともに封止部材80とレンズアレイ2 0の間の空間を画定している接着剤に貫通孔が設けられたとしても開放空間になるのが道理といえるからである。 したがって、たとえ、実施形態4が「レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されている」具体的な構造とともに、「接着剤が、レンズアレイ20の外縁を環状に一周することなく配置される」構 造を記載するものであるとしても、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより、当業者は、対象補正項目が特定する技術的事項を導くことができる。 (3) 本件審決は、請求項2の「前記開放空間」は、本件接着剤配置により「形成される」ことを特定するものであるから、請求項2補正事項が新規事項を追 加するものではないというためには、当初明細書等に単に開放空間が形成されている構成において本件接着剤配置が記載されているのみでは足りず、当初明細書等に本件接着剤配置によって開放空間が形成されること(本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与していること)が記載されている必要があるとし、接 て本件接着剤配置が記載されているのみでは足りず、当初明細書等に本件接着剤配置によって開放空間が形成されること(本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与していること)が記載されている必要があるとし、接着剤が環状に一周する構成(参考図)であっても、開放空間は形成さ れるのであって、接着剤が環状に一周するか一周しないかは、開放空間の形成に影響しないとしている。 しかし、上記のとおり、当初明細書等には、接着剤が環状に一周しないように配することで開放空間を形成することが記載されているのであるから、本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与していることも明らかである。 ある実施形態が、接着剤を環状に一周しないことで開放空間となる形態で あることと、別の実施形態が接着剤を環状に一周する構成であり、かつ、開放空間となる形態であることは、論理的に両立し得るし、また、ある実施形態が、接着剤を環状に一周しないことで開放空間となる形態でないことと、別の実施形態が接着剤を環状に一周する構成であり、かつ、開放空間となることも論理的に両立し得るのであるから、「接着剤を環状に一周する構成であ り、かつ、開放空間となる実施形態とは別の形態が存在する」ことを根拠として、「その実施形態が、接着剤を環状に一周しないことで開放空間となる形態であるか否か」の結論を導こうとすること自体が失当である。 本件審決が提示する参考図は、当初明細書等には記載されていない新規な実施形態であり、審判官発明とでも呼ぶべきもので、どのような構成を採用 し、どのような機序により、「開放空間はレンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されていることにより形成される開口部Gによって形成される」のか不明である。 【被告の主張】 のような機序により、「開放空間はレンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されていることにより形成される開口部Gによって形成される」のか不明である。 【被告の主張】(1) 当初明細書等の【0040】、【0041】及び【図8】より、当業者は、 「レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されている」ことにより形成される開口部Gに起因して、封止部材とレンズ部材(レンズアレイ)との間の空間内で生じたガスを外部に逃がすことができる開放空間が形成されることを理解する。また、「レンズアレイ20は・・・凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている」 との記載及び図8のハッチングが施された領域を見てとれば、当業者は、レンズアレイ20は、凹部82bの外側に位置する全領域、すなわち、封止部材と接触する全領域において接着剤により封止部材80に固定されるものと理解する。 そして、この理解の下、レンズアレイ20の外縁の一部は、開口部Gを形成 するために凹部82bの内側に位置するように配置されるため、レンズアレ イ20が封止部材80と接触する領域とはならないから、当業者は、レンズアレイ20の外縁の一部に接着剤が配されない部分が付随的に生じる、すなわち、本件接着剤配置が付随的に生じるにすぎないことを理解する。 そうすると、実施形態4に係る本件接着剤配置は、「レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されている」ことにより 付随的に生じるものである。これに反して、このような本件接着剤配置を、開放空間を形成するためのものと理解する、すなわち、実施形態4に係る本件接着剤配置に起因して、実施形態4における開放空間が形成さ 付随的に生じるものである。これに反して、このような本件接着剤配置を、開放空間を形成するためのものと理解する、すなわち、実施形態4に係る本件接着剤配置に起因して、実施形態4における開放空間が形成されると理解することは、原因と結果を逆にするものであり、当初明細書等の記載から当業者にとって自明なことではない。 (2) 原告は、当初明細書等の【0040】の記載中にある「とともに」との文言から、「レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されている」ことと、「凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている」ことの両方に起因して、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間が開放空間となっていると理解できる旨を主張してい ると解される。しかしながら、【0040】の当該記載は、レンズ部材の外縁を環状に一周して接着剤が配される、すなわち、本件接着剤配置とは異なる配置で接着剤が配される図7に係る実施形態3を説明する【0037】の「レンズアレイ20は、平面視において、凹部82bの内側に貫通孔Fを有するとともに、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定され ている。」という記載と、「レンズアレイ20は、平面視において、・・・とともに、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている」という文言で共通しており、接着剤に関する記載においてなんら相違しない。そうすると、【0040】の当該記載は文言どおり、レンズアレイ20が凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている ことを意味するにとどまる記載であって、本件接着剤配置によって開放空間 が形成されることを示唆する記載ではないことが明らかである。 2 取消事由2(手続違背その1/特 定されている ことを意味するにとどまる記載であって、本件接着剤配置によって開放空間 が形成されることを示唆する記載ではないことが明らかである。 2 取消事由2(手続違背その1/特許法159条2項違反)について【原告の主張】(1) 本件拒絶査定では、特許法17条の2第3項違反は複数の拒絶理由の中の一つであるが、本件審決では同項違反を唯一の拒絶理由としている。 本件拒絶査定では、「当初明細書等には、レンズ部材の外縁を環状に一周することなく接着剤が配する構成については、いっさい示されていない」としていたのに対し、本件審決は、同構成が開示されていることを認めた上で、不成立審決をしている。拒絶査定と審決とでは、拒絶理由の根拠条文が同項であることは同じであるが、具体的な理由が全く異なっている。 原告は、審査官の上記誤解を解くことができれば、審査官の拒絶査定の理由が全て解消されると考え、審判請求をしたのに、審判合議体は、審査官が当初明細書等の記載を誤解して拒絶査定をしていることを理解した上で、本件拒絶査定の理由とは異なる拒絶理由により、原告に弁明をする機会を与えることなく、審判不成立の審決をしている。 (2) 本件審決の拒絶理由の内容は、原告に対し既になされた拒絶理由通知の範囲内であるとはいえず、原告に対して不意打ちであるし、また、原告に対して弁明の機会を与えなかったことは明らかであるので、本件審決は特許法159条2項に違反している。 【被告の主張】 拒絶理由通知書及び本件拒絶査定のいずれにおいても、請求項2補正事項が新規事項であることの理由として、当初明細書等の記載から、本件接着剤配置で開放空間が形成されるとの技術的事項を導くことはできないことを記載し 知書及び本件拒絶査定のいずれにおいても、請求項2補正事項が新規事項であることの理由として、当初明細書等の記載から、本件接着剤配置で開放空間が形成されるとの技術的事項を導くことはできないことを記載している。そして、当該理由は、本件接着剤配置によって開放空間が形成されることを特定する請求項2補正事項を含む本件補正は、当初明細書等のすべての記載 を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事 項を導入するものである、という審決の理由と同旨である。 したがって、原告が主張する手続違背その1には理由がない。 3 取消事由3(手続違背その2/請求項8~13に係る審理・判断の遺脱)について【原告の主張】 (1) 原告は、審判請求書において、本件拒絶査定における分割要件違反の判断に誤りがあり、この誤りに基づき請求項8~13が審査の対象から除外されたため、手続保障が欠けていること、すなわち、これらの請求項に対し、新規性及び進歩性についての見解が得られていたとすれば、原告において、補正の方針を検討できたことを主張した。 (2) 審判合議体は、特許法36条6項4号の委任省令要件違反がないと判断したのであれば、請求項8~13に対して、審査官が実質的にしていなかった特許性の審理をするべきであったのにもかかわらず、これをしないまま審決をしたという違法がある。また、審判合議体が上記委任省令要件違反は維持されていると判断したのであれば、請求項8~13を拒絶の理由としていな い審決をしたことは、行政手続法14条の規定の趣旨に鑑みても、理由不備の違法があるといえる。 【被告の主張】本件審決における結論を導く理由に、請求項8~13における拒絶理由は含まれていないから、これ は、行政手続法14条の規定の趣旨に鑑みても、理由不備の違法があるといえる。 【被告の主張】本件審決における結論を導く理由に、請求項8~13における拒絶理由は含まれていないから、これらの請求項を対象とする拒絶理由を通知し、審判請求 人たる原告に意見書を提出する機会を与える必要はなかった。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(本件補正が新規事項を追加したものであるとの判断の誤り)について(1) 「明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項」とは、技術的思想の高 度の創作である発明について、特許権による独占を得る前提として、第三者 に対して開示されるものであるから、ここでいう「事項」とは明細書又は図面によって開示された発明に関する技術的事項であることが前提となるところ、「明細書又は図面に記載した事項」とは、当業者によって、明細書又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入 しないものであるときは、当該補正は、「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができる。 (2) 本件補正は、特許請求の範囲の請求項2に対する「前記開放空間は、前記封止部材と前記レンズ部材の間において、前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されることで形成される」との請求項2補正 事項を含むものであり、この請求項2補正事項が、新規事項の追加に当たるかが問題となっている。そして、請求項2補正事項は、その文言から、開放空間が「前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されること(本件接着剤配置)で」形成されるのであるから、本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与 求項2補正事項は、その文言から、開放空間が「前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されること(本件接着剤配置)で」形成されるのであるから、本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与することを要すると解される。そこで、以上の趣旨が、当 初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項といえるかを、以下検討する。 ア当初明細書等のうち、まず、実施形態3に係る【0037】~【0039】の記載及び図7によれば、接着剤がレンズ部材の外縁を環状に一周して配されていることが明らかであるから、これが本件接着剤配置、ひいては請 求項2補正事項を開示するものでないことは明らかである。 イ次に、当初明細書等のうち、実施形態4に係る記載について検討する。 実施形態4では、図8から、レンズアレイ20の外縁と、レンズアレイ20が接着剤により封止部材80に固定される領域との関係から、接着剤はレンズ部材の外縁を環状に一周していないことが理解できるので、本件接 着剤配置については、図8から見て取れる事項といえる。 しかし、当初明細書等の「レンズアレイ20は、平面視において、レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されているとともに(図8中の開口部Gを参照)、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている。」(【0040】)との記載及び「開口部Gの数及び配置は、レンズアレイ20の外縁の一部を凹部82b の内側に位置させるものであればよく、図8に図示した数及び配置に限定されるものではない。」(【0041】)との記載によれば、実施形態4に係る記載は、レンズアレイ20の外縁の一部を凹部82bの内側に位置させるという位置関係によって開放空間を 図示した数及び配置に限定されるものではない。」(【0041】)との記載によれば、実施形態4に係る記載は、レンズアレイ20の外縁の一部を凹部82bの内側に位置させるという位置関係によって開放空間を形成するのであって、そこでは、そもそも接着剤の配置は問題とされていない。 また、当初明細書等の【0042】の記載は、発明が実施形態3、4に限定されないことを示すにすぎない。 ウ原告は、当初明細書等の【0040】の記載から直接的に「レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されているとともに、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定され ている」ことにより、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間が開放空間となっていると理解できる旨主張するところ、これは、「レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されている」ことと、「凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている」ことが相まって、レンズアレイ20と封止部材80との間の空 間が開放空間となっているとするものである。しかしながら、【0040】の当該記載は、接着剤がレンズ部材の外縁を環状に一周して配されているものであり、本件接着剤配置を前提としない実施形態3を説明する【0037】の「レンズアレイ20は、平面視において、凹部82bの内側に貫通孔Fを有するとともに、凹部82bの外側において接着剤により封止部材 80に固定されている。」という記載と、「レンズアレイ20は、平面視に おいて、・・・とともに、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている」という文言で一致しており、接着剤の配置が開放空間の形成に寄与することを示すものとは認められない。 おいて、・・・とともに、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている」という文言で一致しており、接着剤の配置が開放空間の形成に寄与することを示すものとは認められない。 また、原告は、実施形態3において、レンズアレイ20に貫通孔Fが設けられていない構造は、封止部材80とレンズアレイ20の間の空間は開放 空間とはならない構造であることが理解できることを前提に、当業者は、請求項2補正事項を明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより、導くことができる旨主張する。しかし、実施形態3に係る当初明細書等【0037】~【0039】及び図7、特に【0038】の「これに対して、接続部24に貫通孔Fを設ければ、レンズアレイ20と 封止部材80との間の空間が開放空間となるため、接着剤から気化したガスを当該空間外へと逃がし、有機物の堆積(集塵)を抑制しやすくなる。開放空間とは開放された空間をいう。」との記載に鑑みれば、貫通孔Fを開放空間形成の手段としていることが明らかであり、貫通孔Fが設けられていない構成についての記載や示唆もなく、ほかに、実施形態3に関する記載 から貫通孔Fが設けられていない構成を当業者が理解することができることを示す証拠もないことから、上記前提自体が認められない。 エ以上のとおり当初明細書等の全ての記載を総合しても、本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与するという技術的事項を導くことはできない。 (3) そうすると、請求項2補正事項を含む本件補正は、「明細書又は図面に記 載した事項の範囲内において」するものといえず、特許法17条の2第3項の要件を満たさないというべきである。 2 取消事由2(手続違背その1/特許法159条2項違反)について 面に記 載した事項の範囲内において」するものといえず、特許法17条の2第3項の要件を満たさないというべきである。 2 取消事由2(手続違背その1/特許法159条2項違反)について原告は、本件拒絶査定では、当初明細書等に本件接着剤配置の記載がないことを特許法17条の2第3項違反の理由としたのに対し、本件審決では、当初 明細書等に本件接着剤配置の記載があることを認めながら、本件拒絶査定の理 由とは異なる拒絶理由により、原告に弁明をする機会を与えることなく、審判不成立の審決をしたとして、手続違背(特許法159条2項違反)を主張する。 しかし、本件拒絶査定と本件審決は、いずれも、請求項2補正事項を追加する補正が、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たさない旨判断しているのであり、拒絶理由として異なるところはない。 判断内容を実質的にみても、本件拒絶査定では、当初明細書等に本件接着剤配置の記載がないことのほか、本件接着剤配置と、開放空間を形成することとの関係についても示されていないことを指摘した上で、当初明細書等の記載により、補正後の請求項2の記載で特定されるところの、「前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されることで」、「開放空間」が形成 される、との技術的事項を導くことはできない。」と判断しており、これは、本件拒絶査定が、当初明細書等に本件接着剤配置の記載がないことだけでなく、本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与することについても記載されていないという、本件審決と同様の判断もしていることを意味する。 以上、いずれの意味においても、本件は、拒絶査定不服審判において査定の理 由と異なる拒絶の理由を発見した場合に該当しない。 したがって、原告の主張は採用できない 断もしていることを意味する。 以上、いずれの意味においても、本件は、拒絶査定不服審判において査定の理 由と異なる拒絶の理由を発見した場合に該当しない。 したがって、原告の主張は採用できない。 3 取消事由3(手続違背その2/請求項8~13に係る審理・判断の遺脱)について(1) 原告は、審判合議体は、請求項8~13に対して、特許法36条6項4号 の委任省令要件違反がないと判断したのであれば、特許性の審理をするべきであったのにもかかわらず、これをしないまま審決をしたという違法があり、また、審判合議体が上記委任省令要件違反は維持されていると判断したのであれば、請求項8~13を拒絶の理由としていない審決をしたことには理由不備の違法がある旨主張する。 しかし、本願の特許請求の範囲を変更する本件補正が特許法17条の2第 3項に規定する要件を満たしていない以上、本願は拒絶を免れないのであり(同法49条1号)、特許庁審判官がこれと同じ考えに基づいて本件審判請求を棄却するに当たり、別途、請求項8~13について審理・判断する必要があったとはいえない。 (2) ところで、令和5年2月21日付け拒絶理由通知(甲2)及び同年6月2 6付け拒絶査定(甲5)において、理由1(特許請求の範囲の記載に関する委任省令要件/特許法36条6項4号)の対象請求項としては8~13が、理由2(新規事項/特許法17条の2第3項)の対象請求項としては2~6が、それぞれ掲げられているところ、後者の理由だけを採用した場合であっても、本願全体を拒絶すべきことに変わりはない。 なぜなら、特許法は、一つの特許出願に対し、一つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ、これに基づいて一つの特許が付与され、一つの特許権が 体を拒絶すべきことに変わりはない。 なぜなら、特許法は、一つの特許出願に対し、一つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ、これに基づいて一つの特許が付与され、一つの特許権が発生するという基本構造を前提としており、請求項ごとに個別に特許が付与されるものではない。このような構造に基づき、複数の請求項に係る特許出願であっても、特許出願の分割をしない限り、当該特許出願の全体を 一体不可分のものとして特許査定又は拒絶査定をするほかなく、一部の請求項に係る特許出願について特許査定をし、他の請求項に係る特許出願について拒絶査定をするというような可分的な取扱いは予定されていない。このことは、特許法49条、51条の文言のほか、特許出願の分割という制度の存在自体に照らしても明らかである(最高裁判所平成20年7月10日第一小法 廷判決・民集62巻7号1905頁参照)。 (3) よって、原告の主張は採用できない。 4 結論以上のとおり、取消事由1~3はいずれも理由がなく、本件審決に取り消すべき違法は認められない。よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとお り判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官宮坂昌利 裁判官本吉弘行 裁判官岩井直幸 別紙1 略語一覧 (略語) (意味)・本件補正 :原告が令和5年3月24日付けでした補正・本件拒絶査定 :本願について特許 井直幸 別紙1 略語一覧 (略語) (意味)・本件補正 :原告が令和5年3月24日付けでした補正・本件拒絶査定 :本願について特許庁が令和5年6月26日付けでした拒絶査定・本件審決 :本件拒絶査定に係る拒絶査定不服審判請求(不服2023-16269号)について特許庁が令和5年11月17日にした審決(本件訴訟の対象)・当初明細書等 :本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面・請求項2補正事項:本件補正の請求項2に係る補正事項である、「前記開放空間は、前記封止部材と前記レンズ部材の間において、前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されることで形成される」との補正事項・本件接着剤配置 :「前記封止部材と前記レンズ部材の間において、前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されること」という本件補正により加えられた構成 別紙2 本件特許の特許請求の範囲の記載(請求項3以下。本件補正後のもの) 【請求項3】前記レンズ部材の外縁において、互いに離隔して複数箇所に前記接着剤が配される、請求項2に記載の発光装置。 【請求項4】前記レンズ部材の外縁において、互いに離隔する第1箇所、第2箇所、第3箇所、及び、第4箇所に前記接着剤が配され、前記第1箇所と前記第2箇所は互いに対向する位置にあり、前記第3箇所と前記第4箇所は互いに対向する位置にある、請求項3に記載の発光装置。 【請求項5】前記第1箇所、第2箇所、第3箇所、及び、第4箇所は、前記レンズ部材の四隅を除いた領域に位置する、請求項4に記載の発光装置。 【請求項6】前記封止部材は凹部を有し、前記レンズ部材は、外縁の一部 1箇所、第2箇所、第3箇所、及び、第4箇所は、前記レンズ部材の四隅を除いた領域に位置する、請求項4に記載の発光装置。 【請求項6】前記封止部材は凹部を有し、前記レンズ部材は、外縁の一部を前記凹部の内側に位置するように配置され、前記凹部と前記レンズ部材による開口部を2箇所以上設けることで、前記開放空間が形成される、請求項2または3に記載の発光装置。 【請求項7】前記接着剤は、前記レンズ部材の外縁を環状に一周するように設けられ、前記レンズ部材には、前記接着剤により前記封止部材に固定される環状の領域の内側に複数の貫通孔が設けられ、前記複数の貫通孔により前記開放空間が形成される、請求項1に記載の発光装置。 【請求項8】m行n列(m≧2、n≧1)の行列状に配置される複数の前記半導体レーザ素子を備え、前記レンズ部材は、m行n列(m≧2、n≧1)の行列状に設けられる複数の前記レンズ部を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光装置。 【請求項9】前記基体は、それぞれ異なる材料で形成される前記基部と前記側壁とを有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置。 【請求項10】前記半導体レーザ素子が載置される載置体をさらに備え、前記半導体レーザ素子は、前記載置体を介して前記基部に配置される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発光装置。 【請求項11】 前記基部の上面に配置され、前記半導体レーザ素子から出射された光を反射するミラーをさらに備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発光装置。 【請求項12】前記封止部材は、溶接により前記基体に固定される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発光装置。 【請求項13】前記密閉空間は、気密封止された空間である 載の発光装置。 【請求項12】前記封止部材は、溶接により前記基体に固定される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発光装置。 【請求項13】前記密閉空間は、気密封止された空間である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の発光装置。 別紙3 当初明細書等の記載事項 1 特許請求の範囲の記載【請求項1】基体と、行列状に複数のレンズ部を有するレンズアレイと、前記基体上に配置された複数の半導体レーザ素子と、を備えた発光装置であって、前記複数の半導体レーザ素子はレーザ光をそれぞれ出射し、各レーザ光は行方向より列方向に幅が広くなるビーム形状を前記複数のレンズ部の各光入射面において有し、前記複数のレンズ部は、個々のレンズ部の最大外径と列方向の頂点間距離とのいずれよりも小さい行方向の頂点間距離を有するとともに、行方向と列方向とにおいて同じ曲率を有することを特徴とする発光装置。 【請求項2】基体と、列方向に配列され、それぞれが行方向に複数のレンズ部を有する複数のレンズアレイと、前記基体上に配置された複数の半導体レーザ素子と、を備えた発光装置であって、前記複数の半導体レーザ素子はレーザ光をそれぞれ出射し、各レーザ光は行方向より列方向に幅が広くなるビーム形状を前記複数のレンズ部の各光入射面において有し、前記複数のレンズ部は、個々のレンズ部の最大外径と列方向の頂点間距離とのいずれよりも小さい行方向の頂点間距離を有するとともに、行方向と列方向とにおいて同じ曲率を有することを特徴とする発光装置。 【請求項3】前記基体上に、前記半導体レーザ素子の出射光を前記レンズ部に向けて反射するミラーを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。 【請求項4】 る発光装置。 【請求項3】前記基体上に、前記半導体レーザ素子の出射光を前記レンズ部に向けて反射するミラーを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。 【請求項4】前記ミラーは前記レンズ部の頂点直下に位置していることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。 【請求項5】前記レンズ部は少なくとも一部が非球面状曲面からなることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の発光装置。 【請求項6】前記レンズ部は少なくとも一部周縁が平面視円弧状からなることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の発光装置。 【請求項7】前記基体と前記レンズアレイとの間に封止部材を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の発光装置。 【請求項8】 前記レンズアレイは、前記レンズ部と前記レンズ部同士を接続する接続部とを備えるとともに、前記接続部において接着剤により前記封止部材に固定され、 前記レンズアレイと前記封止部材との間の空間は開放空間であることを特徴とする請求項7に記載の発光装置。 2 明細書及び図面(抜粋)【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本開示は発光装置に関する。 【背景技術】【0002】複数の光源から出射した光をコリメートレンズアレイによりコリメートする光源装置が知られている(特許文献1参照)。 【先行技術文献】【特許文献】【0003】【特許文献1】特開2014-102367号公報【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】しかしながら、上記従来の光源装置では、コリメートレンズアレイを構成する各レンズ要素が、各レンズ要素に入射するレーザ光の断面形状に応じて、複数の曲率を有している。このため、コリメート 0004】しかしながら、上記従来の光源装置では、コリメートレンズアレイを構成する各レンズ要素が、各レンズ要素に入射するレーザ光の断面形状に応じて、複数の曲率を有している。このため、コリメートレンズアレイが所定の向きから僅かに回転して実装されるだけで、光源とレンズ要素の位置関係に大きなずれが生じ、コリメートレンズアレイから出射する光の強度分布が変化してしまう虞がある。 【課題を解決するための手段】【0005】上記の課題は、例えば、次の手段により解決することができる。基体と、行列状に複数のレンズ部を有するレンズアレイと、前記基体上に配置された複数の半導体レーザ素子と、を備えた発光装置であって、前記複数の半導体レーザ素子はレーザ光をそれぞれ出射し、各レーザ光は行方向より列方向に幅が広くなるビーム形状を前記複数のレンズ部の各光入射面において有し、前記複数のレンズ部は、個々のレンズ部の最大外径と列方向の頂点間距離とのいずれよりも小さい行方向の頂点間距離を有するとともに、行方向と列方向とにおいて同じ曲率を有することを特徴とする発光装置。 【発明の効果】【0006】上記の発光装置によれば、レンズアレイが所定の向きから僅かに回転して実装された場合であっても、光源とレンズ部の位置関係に大きなずれが生じにくく、レンズアレイから出射する光の強度分布 が変化しにくい発光装置を提供することができる。 【発明を実施するための形態】【0037】[実施形態3に係る発光装置3]図7に実施形態3に係る発光装置3の模式的平面図を示す。図7では、凹部82bの外縁を破線で示している。また、図7では、レンズアレイ20が接着剤により封止部材80に固定される領域にハッチングを施している。図7に示すように、発光装置3では、レンズアレイ20が、 では、凹部82bの外縁を破線で示している。また、図7では、レンズアレイ20が接着剤により封止部材80に固定される領域にハッチングを施している。図7に示すように、発光装置3では、レンズアレイ20が、レンズ部22とレンズ部22同士を接続する接続部24とを備えるとともに、接続部24において接着剤により封止部材80に固定されている。封止部材80は、基体10における複数の半導体レーザ素子30が載置された領域に向かって凹んだ凹部82bを有している。レンズアレイ20は、平面視において、凹部82bの内側に貫通孔Fを有するとともに、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている。 【0038】レンズアレイと封止部材との間の空間が密閉空間であると、レンズアレイが有機物を含む接着剤(例えば、UV硬化性接着剤)により固定される場合において、接着剤から気化したガスがレンズアレイと封止部材との間の空間に留まってしまう。このとき、気化したガスに含まれる有機物が、レーザ光に反応し、透光性部材やレンズアレイに堆積するおそれがある。これに対して、接続部24に貫通孔Fを設ければ、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間が開放空間となるため、接着剤から気化したガスを当該空間外へと逃がし、有機物の堆積(集塵)を抑制しやすくなる。開放空間とは開放された空間をいう。 【0039】貫通孔Fは複数設けられるのが好ましい。そして、複数の貫通孔Fは、レンズアレイ20の中心線に対して線対称に設けられることが好ましい。このようにすれば、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間内に空気の流れを形成しやすくなるため(例えば、2つの貫通孔を線対称に設けた場合には、一方の貫通孔から空間内に空気が流入し、他方の貫通孔から空間外へ空気が流出する空気の流れが形成されやす との間の空間内に空気の流れを形成しやすくなるため(例えば、2つの貫通孔を線対称に設けた場合には、一方の貫通孔から空間内に空気が流入し、他方の貫通孔から空間外へ空気が流出する空気の流れが形成されやすくなる。)、より一層、接着剤から気化したガスを当該空間外へと逃がして、当該空間内における有機物の堆積(集塵)を抑制することができる。また、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間内における結露の発生を抑制することもできる。UV硬化性接着剤などの有機物を含む接着剤は水分を吸収しやすい材料であるため、レンズアレイ20がUV硬化性接着剤により固定される場合においては、大気中から接着剤に吸収された水分が封止部材80とレンズアレイ20との間の空間に留まりやすく、使用状況によっては空間内に結露が発生するおそれがある。したがって、空間内に空気の流れを形成する上記の構成は、UV硬化性接着剤などの有機物を含む接着剤でレンズアレイ20を封止部材80に固定する場合に特に好ましく適用することができる。 【0040】[実施形態4に係る発光装置4] 図8に実施形態4に係る発光装置4の模式的平面図を示す。図8では、凹部82bの外縁を実線及び破線で示している。また、図8では、レンズアレイ20が接着剤により封止部材80に固定される領域にハッチングを施している。図8に示すように、発光装置4では、封止部材80は、基体10における複数の半導体レーザ素子30が載置された領域に向かって凹んだ凹部82bを有している。レンズアレイ20は、平面視において、レンズアレイ20の外縁の一部が凹部82bの内側に位置するように配置されているとともに(図8中の開口部Gを参照)、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている。発光装置4においても、レンズアレイ20と封止部 が凹部82bの内側に位置するように配置されているとともに(図8中の開口部Gを参照)、凹部82bの外側において接着剤により封止部材80に固定されている。発光装置4においても、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間が開放空間となるため、有機物の堆積(集塵)や結露の発生を抑制しやすくなる。 【0041】開口部Gの数及び配置は、レンズアレイ20の外縁の一部を凹部82bの内側に位置させるものであればよく、図8に図示した数及び配置に限定されるものではない。ただし、開口部Gは、平面視において、レンズアレイ20の外縁の2箇所以上(四隅に限らない。)に設けられていることが好ましい。 そして、この場合、それらの開口部Gは、レンズアレイ20の中心に対して点対称の位置に設けられることが好ましい。このようにすれば、複数の貫通孔Fをレンズアレイ20の中心線に対して線対称に設ける場合と同様に、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間内に空気の流れを形成しやすくなる。したがって、より一層、有機物の堆積(集塵)や結露の発生を抑制することができる。 【0042】以上、実施形態3、4について説明したが、貫通孔Fや開口部Gは、レンズアレイ20と封止部材80との間の空間を開放空間とする具体的な構成の一例である。レンズアレイ20と封止部材80との間の空間は、空間内で生じたガスを外部に逃がすことができるよう開放されていればよく、このような開放された空間(すなわち開放空間)を具体的にどのように構成するのかは特に限定されない。 【図1B】 【図7】 【図8】 【図7】 【図8】
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