平成26(行ウ)118 損害賠償請求事件(住民訴訟)

裁判年月日・裁判所
平成28年4月8日 大阪地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文12,423 文字)

主文 1 原告らの請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告は,Aに対し,85億9693万3000円を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要本件は,堺市の住民である原告らが,堺市が清掃工場の新設等の事業につき,平成24年度の循環型社会形成推進交付金及び震災復興特別交付税として合計85億9693万3000円の交付を受け,これを上記事業に支出したこと(以下「本件支出」という。)が違法であると主張して,堺市の執行機関である被告に対し,本件支出当時の堺市の市長であったAに対し不法行為による損害賠償請求権に基づき,本件支出相当額である85億9693万3000円の支払を請求するよう求める事案である。 1 関係法令の定め補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下「補助金適正化法」という。)3条1項は,各省各庁の長は,その所掌の補助金等に係る予算の執行に当たっては,補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し,補助金等が法令及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない旨規定する。 2 前提となる事実等以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。 (1) 当事者等ア原告らは,堺市の住民である。 イ被告は,堺市の執行機関である。 ウ Aは,本件支出当時,堺市の市長であった者である。 (2) 循環型社会形成推進交付金の復旧・復興枠についてア環境省は,市町村の自主性と創意工夫をいかした広域的かつ総合的な廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進することにより,地域における循環型社会の形成推進を図る 成推進交付金の復旧・復興枠についてア環境省は,市町村の自主性と創意工夫をいかした広域的かつ総合的な廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進することにより,地域における循環型社会の形成推進を図ることなどを目的とする予算として,循環型社会形成推進交付金(以下「交付金」という。)を設けていたところ,東日本大震災により被災市町村等に大量の災害廃棄物が発生したことから,災害廃棄物の処理能力の増強及び広域処理を促進するため,災害廃棄物の受入れの可能性がある施設を整備するための予算として交付金に復旧・復興枠を設けた。(甲3,8の1,乙15の1・2)イ環境省は,「循環型社会形成推進交付金復旧・復興枠の交付方針について」(平成24年3月15日付け環廃対発第120315001号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長通知。以下「本件交付方針」という。)により,復旧・復興枠の交付金の交付方針として,市町村等が実施する事業のうち,①諸条件等が整えば災害廃棄物の受入れが可能と考えられる処理施設の整備事業及び②現在整備中の処理施設では災害廃棄物を直接受け入れることは難しいものの,他の既存施設で受け入れたことにより,その既存施設で処理する予定であった廃棄物を処理することとなる可能性がある当該整備中の処理施設の整備事業(以下,①と②を併せて「災害廃棄物処理施設等整備事業」という。)を復旧・復興枠の交付金の交付対象とした上,受入条件の検討や被災地とのマッチングを実施したものの,結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合であっても,交付金の返還を要しないものとした。(甲8の1)(3) 平成24年度の交付金の交付決定等ア堺市における一般廃棄物の焼却処理は,クリーンセンター南工場(昭和 48年新設。以下「南工場」 還を要しないものとした。(甲8の1)(3) 平成24年度の交付金の交付決定等ア堺市における一般廃棄物の焼却処理は,クリーンセンター南工場(昭和 48年新設。以下「南工場」という。),クリーンセンター東工場第一工場(昭和52年新設)及びクリーンセンター東工場第二工場(平成9年新設。以下「東工場第二工場」という。)で行われていた。 イ堺市は,南工場及び東工場第二工場が老朽化してきたことから,臨海工場の新設事業及び東工場第二工場の基幹的設備改良事業(以下「本件各事業」という。)を実施することとし,本件各事業につき,平成24年5月11日付けで,復旧・復興枠の交付金として合計40億0286万8000円の交付申請を行い,同年10月19日付けで,同額の交付決定を受けた。(甲9の1,12の2)ウ堺市は,平成25年3月19日,平成24年度の復旧・復興枠の交付金として合計40億0135万6000円の交付を受けた(以下「本件交付金」という。)。また,堺市は,平成25年法律第4号による改正前の地方交付税法附則13条1項並びに地方団体に対して交付すべき平成24年度分の震災復興特別交付税の額の算定方法,決定時期及び決定額並びに交付時期及び交付額等の特例に関する省令1条2項9号に基づき,平成24年度の震災復興特別交付税として,45億9557万7000円の交付を受けた(以下「本件交付税」といい,本件交付金と併せて「本件交付金等」という。)。(甲2の3,乙15の1・2)(4) 本件支出等堺市は,平成25年4月,本件各事業につき,本件交付金等の合計85億9693万3000円を支出し,本件各事業の実施により,臨海工場は平成25年度から,東工場第二工場は平成26年度からそれぞれ供用したが,堺市では災害廃棄物の受入れは行わ き,本件交付金等の合計85億9693万3000円を支出し,本件各事業の実施により,臨海工場は平成25年度から,東工場第二工場は平成26年度からそれぞれ供用したが,堺市では災害廃棄物の受入れは行われていない。(乙16,17の1・2)(5) 住民監査請求原告らは,平成26年3月18日,堺市の監査委員に対し,本件支出は違法なものであるとして住民監査請求をした。堺市の監査委員は,同年5月1 5日,本件支出に違法はないなどとして原告らの請求には理由がないと判断し,同月16日,原告らにその旨を通知した。(甲1の1~3)(6) 本件訴訟の提起原告らは,同年6月13日,本件支出は違法であるなどとして,被告に対し,Aに本件支出相当額の支払を請求するよう求める本件訴訟を提起した。 (顕著な事実) 3 争点及び当事者の主張本件の主たる争点は,本件支出の違法性,具体的には,堺市は本件交付金等を国に返還すべきであり,本件交付金等を本件各事業に支出した本件支出が違法であるか否かである。この点についての当事者の主張は以下のとおりである。 (原告らの主張)(1) 本件交付方針は,災害廃棄物の受入条件の検討及び被災地とのマッチングの結果,災害廃棄物を受け入れることができなかった場合であっても,交付金の返還を要しないとしているが,災害廃棄物を受け入れない場合にも交付金の返還を要しないとすることは,交付金の目的外流用を正当化するものであり,補助金適正化法3条1項に反するというべきである。したがって,堺市は,本件交付方針によって交付を受けた本件交付金を返還すべき義務を負う。 (2) 堺市は,災害廃棄物の受入れの可否を検討したにすぎないのに,本件交付金の交付を受け,最終的には災害廃棄物の受入れを要しないこととなったのであるから,このよう 付金を返還すべき義務を負う。 (2) 堺市は,災害廃棄物の受入れの可否を検討したにすぎないのに,本件交付金の交付を受け,最終的には災害廃棄物の受入れを要しないこととなったのであるから,このような堺市が復旧・復興枠の交付金の交付を受けることは,復旧・復興枠が設けられた趣旨に反するというべきである。また,本件交付方針は,受入条件の検討を実施したものの,結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合には交付金の返還を要しないものとしているところ,上記の「受入条件の検討」は,災害廃棄物の受入れに当たっての,受入量,受入対象物,受入時期等についての検討のことであって,災害 廃棄物の受入れの可否の検討は含まれない。そうすると,本件交付方針の下では,災害廃棄物の受入れの可否を検討したにすぎない自治体が,災害廃棄物を受け入れないにもかかわらず,復旧・復興枠の交付金の交付を受けた場合にはこれを返還すべきことになる。したがって,災害廃棄物の受入れの可否を検討したにすぎない堺市は,本件交付金を返還すべき義務を負うというべきである。 (3) 以上のとおり,堺市は,本件交付金を返還すべき義務を負い,本件交付金の交付に伴って交付を受けた本件交付税も返還すべきこととなる。そうすると,本件交付金等を本件各事業に支出した本件支出は違法である。 (被告の主張)(1) 本件各事業の着手時点で本件交付金等が確実に交付されるわけではない上,本件各事業は,本件交付金等の有無にかかわりなく必要なものであり,本件交付金等が交付されない場合には堺市は地方債の発行によってその資金を調達することができた。これらの事情からすると,本件交付金等の交付は本件各事業の直接の原因となるものではないから,堺市が本件交付金等を返還すべき義務を負うとしても,これを本件各事業に ってその資金を調達することができた。これらの事情からすると,本件交付金等の交付は本件各事業の直接の原因となるものではないから,堺市が本件交付金等を返還すべき義務を負うとしても,これを本件各事業に支出したこと(本件支出)が違法となるということはできない。 (2) 仮に,本件交付金等が本件各事業の直接の原因となっており,堺市が本件交付金等を返還すべき義務を負う場合にはこれを本件各事業に支出したこと(本件支出)も違法となると解する余地があるとしても,堺市は本件交付金等を返還すべき義務を負わないから本件支出が違法ということはできない。 すなわち,本件交付方針では,災害廃棄物処理施設等整備事業を復旧・復興枠の交付金の交付対象としているところ,堺市は,環境省が実施した,国の平成23年度3次補正予算における交付金の追加所要額の調査に対して,臨海工場で災害廃棄物の受入れを検討することができる旨を回答するなど,災害廃棄物の受入れ等の基準・条件の検討を行っていたことからすると,本件 各事業は災害廃棄物処理施設等整備事業に該当するといえる。そして,堺市は,環境省に対して,受入条件の検討や被災地とのマッチングを実施しなくても,本件交付金の返還を要しない旨を再三確認している。これらのことからすると,本件各事業は,本件交付金の交付要件を満たすものであり,堺市は本件交付金を返還すべき義務を負わず,これに伴って交付された本件交付税を返還すべき義務も負わないというべきである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提となる事実に後掲の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。 (1) 平成23年3月11日の東日本大震災により大量の災害廃棄物が発生し,堺市は,同年4月18日,環境省の災害廃棄物の処理に関する調査に対して,焼 の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。 (1) 平成23年3月11日の東日本大震災により大量の災害廃棄物が発生し,堺市は,同年4月18日,環境省の災害廃棄物の処理に関する調査に対して,焼却処理で1日最大100tの災害廃棄物を受け入れることが可能である旨を回答した。しかし,その後,災害廃棄物が放射性物質により汚染されている旨の報道がされたことなどから,堺市は,災害廃棄物の受入れを見合わせることとした。(乙6,7)(2) 環境省は,東日本大震災により発生した災害廃棄物の広域処理を促進するため,平成23年度3次補正予算において,平成25年度までに災害廃棄物の受入れが可能となる施設の整備事業に交付金を追加交付することを検討し,平成23年8月1日付けで,各都道府県に対し,上記整備事業の有無等の調査を依頼した(以下,この調査を「平成23年度追加交付金調査」という。)。 堺市は,同月2日,大阪府から平成23年度追加交付金調査への回答を求められたが,前記のとおり,堺市は,災害廃棄物が放射性物質により汚染されている旨の報道がされたことなどから災害廃棄物の受入れを見合わせることとしており,環境省に対し上記整備事業がある旨を回答すると平成25年度までに災害廃棄物を受け入れることを表明することになるのではないかと の懸念を抱き,上記の調査への対応を大阪府と協議した。しかし,大阪府が環境省に確認したところ,現時点で災害廃棄物の受入れの見込みがあればその所要額を回答してもらえばよいとのことであったため,堺市は,同月4日,平成25年度までに災害廃棄物の受入れが可能となる施設の整備事業として臨海工場の新設事業を挙げた上,その所要額は,平成23年度が10億9532万8000円,平成24年度が31億6814万5000円である旨を回答した。 棄物の受入れが可能となる施設の整備事業として臨海工場の新設事業を挙げた上,その所要額は,平成23年度が10億9532万8000円,平成24年度が31億6814万5000円である旨を回答した。 (乙1の1~3,2,3)(3) 環境省は,平成24年1月6日,平成24年度の予算措置に向けた調査として,各都道府県に対し,管内市町村等における交付金の要望額の調査を依頼した。 堺市は,大阪府から上記調査に対する回答を求められ,同月23日,本件各事業につき合計40億6324万8000円を要望する旨を回答した。もっとも,上記回答において,堺市は,本件各事業については復旧・復興枠での交付ではなく,臨海工場の新設事業には日本再生重点化措置枠での交付を,東工場第二工場の基幹的設備改良事業には通常枠での交付をそれぞれ要望した。 (甲5の1・2)(4) 上記(3)の調査においては,災害廃棄物が放射性物質により汚染されているとの懸念から災害廃棄物の受入可能性を前提とする復旧・復興枠の交付金の要望が少ない一方,通常枠及び日本再生重点化措置枠の交付金の要望が予算額を大幅に超えている状況にあった。そこで,環境省は,各都道府県に対し,通常枠及び日本再生重点化措置枠から復旧・復興枠への切替えが可能な事業の有無について確認するよう依頼し,この依頼において,①復旧・復興枠の交付金は,災害廃棄物の受入れの可能性を前提とするものの,「今後詳細な検討・調整を行う必要があるが,現時点で受入れの可能性がある施設」 や「現状受入れの計画はないが,今後,諸条件等が整った場合には受入れが可能と考えられる施設」のようなものも対象としていること,②受入条件の検討結果や被災地とのマッチングの結果,災害廃棄物の受入れがされなかった場合でも交付金を返還することを要しないことを付 は受入れが可能と考えられる施設」のようなものも対象としていること,②受入条件の検討結果や被災地とのマッチングの結果,災害廃棄物の受入れがされなかった場合でも交付金を返還することを要しないことを付言した。 堺市は,同年2月2日,大阪府から上記の切替えが可能な事業の有無についての回答を求められ,同月6日,該当する事業はない旨を回答した。 (甲6の1・2)(5) 環境省は,通常枠の交付金の要望があった事業のうち,環境省として災害廃棄物を受け入れる可能性があると判断した事業を復旧・復興枠の交付金の要望として取り扱うこととした。そして,環境省は,前記(2)のとおり,堺市が平成23年度追加交付金調査において災害廃棄物の受入れが可能である施設の整備事業として臨海工場の新設事業を挙げ,同事業について追加の交付金を要望していたことなどから,堺市が通常枠及び日本再生重点化措置枠の交付金を要望していた本件各事業を復旧・復興枠の交付金を要望するものとして取り扱うこととし,同月24日,堺市にその旨を通知した。これに対し,堺市は,本件各事業については通常枠及び日本再生重点化措置枠の交付金を要望する旨を環境省に伝えた。(甲7の1・3)(6) 環境省は,復旧・復興枠の交付金に関する環境省の方針を示すため,同年3月15日付けで本件交付方針を発出した。環境省は,本件交付方針において,災害廃棄物処理施設等整備事業を復旧・復興枠の交付金の交付対象とした上,災害廃棄物が放射性物質により汚染されているとの懸念から災害廃棄物の広域処理が進まない状況の下,災害廃棄物の広域処理を推進するため,受入条件の検討や被災地とのマッチングを実施したものの結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合であっても交付金の返還を要しないものとした。 (7) 内閣総理大臣及び環境 進するため,受入条件の検討や被災地とのマッチングを実施したものの結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合であっても交付金の返還を要しないものとした。 (7) 内閣総理大臣及び環境大臣は,同月30日付けで,堺市長に対し,東日 本大震災において発生した大量の災害廃棄物を迅速に処理する必要があるなどとして災害廃棄物の受入れを要請した。そして,環境省は,本件各事業が本件交付方針の災害廃棄物処理施設等整備事業に当たるとして,同年4月6日,堺市に対し,復旧・復興枠の交付金として合計40億6324万8000円を交付する旨の内示をした。(甲8の2,14の1・2,乙8,9)(8) 堺市は,環境省に対し,復旧・復興枠の交付金が交付された場合の執行条件について質問した。これに対し,環境省は,同月26日,堺市は災害廃棄物の受入れを検討している状況にあったことから本件各事業を復旧・復興枠の交付金の交付対象事業と判断したものであり,受入条件の検討や被災地とのマッチングを実施したが結果として広域処理が行われない場合でも交付金の返還義務が生ずるものではない旨を回答した。(乙4)(9) 上記回答を受けた堺市は,同年5月2日,環境省近畿地方環境事務所の廃棄物・リサイクル対策課課長B(以下「B課長」という。)に対し,堺市としては,災害廃棄物の受入れの可否も含めて検討しており,その受入れを行わないと判断する可能性もあるし,その場合には,本件交付方針にいう「受入条件の検討や被災地とのマッチング」を実施しないこともあり得るが,このようなケースにも交付金の返還義務が生ずることはないのかについて質問した。これに対し,B課長は,同月8日,本件交付方針の「受入条件の検討や被災地とのマッチング」を実施するに至らず,結果として災害廃棄物の広域処理が行われな 返還義務が生ずることはないのかについて質問した。これに対し,B課長は,同月8日,本件交付方針の「受入条件の検討や被災地とのマッチング」を実施するに至らず,結果として災害廃棄物の広域処理が行われない場合であっても,堺市が災害廃棄物の受入れを検討している状況にあったことから交付金の返還義務は生じない旨を回答した。 (甲8の3,乙5,18)(10) 上記(9)の回答を得た堺市は,同月11日,環境省からの内示に従い,復旧・復興枠の交付金として合計40億0286万8000円の交付申請を行った。 (11) 環境大臣は,同年6月29日付けで,堺市長に対し,岩手県の可燃物・ 木くずの広域処理については,既に実施中の自治体及び調整中の自治体の受入れにより処理の見通しが得られつつあるため,当面は他の自治体との調整を見合わせることなどを通知した。また,環境省は,同年8月7日付けで,大阪府知事に対して,岩手県の可燃物・木くずの広域処理については具体的な受入れを調整している自治体及び受入実績のある自治体により目標期間内の処理が実現できると見込まれる状況にあり,新たな受入先の調整は行わない方針である旨を通知した。(甲10,11,乙13)(12) 堺市は,同年10月19日,環境省から復旧・復興枠の交付金として合計40億0286万8000円を交付する旨の交付決定を受けた。そして,堺市は,平成25年3月19日,復旧・復興枠の交付金として合計40億0135万6000円の交付を受けた(本件交付金)。また,本件交付金の交付に伴って,堺市は,平成24年度の震災復興特別交付税として45億9557万7000円の交付を受けた(本件交付税)。 (13) 堺市は,本件交付金等の合計85億9693万3000円を本件各事業に支出した(本件支出)。本件各事業の実施により, 別交付税として45億9557万7000円の交付を受けた(本件交付税)。 (13) 堺市は,本件交付金等の合計85億9693万3000円を本件各事業に支出した(本件支出)。本件各事業の実施により,臨海工場は平成25年度から供用されており,東工場第二工場は平成26年度から供用されているが,前記(11)の事情により,堺市では災害廃棄物の受入れは行われていない。 2 検討(1) 原告らは,堺市が本件交付金等を返還する義務を負うから,そのような本件交付金等を本件各事業に支出した本件支出は違法であると主張する。 しかし,堺市に対する本件交付金の交付決定が取り消されたことは認められず,上記決定が無効であると解すべき事情も認められないから,堺市が本件交付金等を返還すべき義務を負うということはできない。したがって,堺市が本件交付金等の返還義務を負うことを前提に本件支出が違法であるとする原告らの主張は理由がないというべきである。 (2) この点,原告らは,本件交付方針が,受入条件の検討や被災地とのマッ チングを実施したものの結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合でも交付金の返還を要しないとしていることは,補助金適正化法3条1項に反しているから,本件交付金の交付やその受領が違法であり,堺市は本件交付金等の返還義務を負う旨主張する。 しかし,交付金の復旧・復興枠は,東日本大震災により被災市町村等に大量の災害廃棄物が発生したことから災害廃棄物の処理能力の増強及び広域処理を促進するため,災害廃棄物の受入れの可能性がある施設の整備のための予算として設けられたものであるが(前記前提となる事実(2)ア),本件交付方針が発出された平成24年3月当時,災害廃棄物が放射性物質により汚染されているとの懸念から災害廃棄物の広域処理が進ま ための予算として設けられたものであるが(前記前提となる事実(2)ア),本件交付方針が発出された平成24年3月当時,災害廃棄物が放射性物質により汚染されているとの懸念から災害廃棄物の広域処理が進まなかったことから,災害廃棄物の広域処理を推進するため,環境省は,本件交付方針において,受入条件の検討や被災地とのマッチングを実施したものの結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合でも交付金の返還を要しないものとした(前記認定事実(6))。そして,本件交付方針の上記措置は,災害廃棄物処理施設等整備事業の実施を促進し,自治体による災害廃棄物の受入れの可能性を増加させるものであって,災害廃棄物の広域処理を推進するための施策として一定の合理性を有するものといえる。したがって,本件交付方針の上記措置は,復旧・復興枠を設けた趣旨に沿うものであり,補助金適正化法3条1項に反するということはできない。したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (3)アまた,原告らは,堺市は,災害廃棄物の受入れの可否を検討したにとどまり,本件交付方針の「受入条件の検討」を実施していないから,堺市に復旧・復興枠の交付金を交付することは,受入条件の検討を実施した場合には災害廃棄物を受け入れなくても復旧・復興枠の交付金の返還を要しないとする本件交付方針に反しており,復旧・復興枠を設けた趣旨にも反しているから,本件交付金の交付やその受領は違法であり,堺市は本件交 付金等の返還義務を負う旨主張する。 イ確かに,本件交付方針の「受入条件の検討」とは,例えば,実際の災害廃棄物の受入れに当たっての,受入量,受入対象物,受入時期等についての検討のことをいうと認められるところ(甲14の1・2),堺市は,災害廃棄物が放射性物質により汚染されている旨が報 えば,実際の災害廃棄物の受入れに当たっての,受入量,受入対象物,受入時期等についての検討のことをいうと認められるところ(甲14の1・2),堺市は,災害廃棄物が放射性物質により汚染されている旨が報道されたことなどから災害廃棄物の受入れを見合わせることとした後,災害廃棄物の状況や安全性,災害廃棄物処理に関する他の自治体の動向等の調査等を行ったことは認められるものの(弁論の全趣旨),災害廃棄物の受入量,受入対象物,受入時期等について検討したことはうかがわれず,むしろ,堺市は,B課長に対し,本件各事業に交付される復旧・復興枠の交付金の返還の要否について質問するに当たり,堺市としては,災害廃棄物の受入れの可否も含めて検討しており,その受入れを行わないと判断し,本件交付方針の「受入条件の検討や被災地とのマッチング」を実施しないこともあり得るとしている(前記認定事実(9))。そうすると,堺市は,本件各事業につき,災害廃棄物の受入れの可否は検討したものの,本件交付方針の「受入条件の検討」は実施していないことが認められる。 ウしかし,前記(2)で説示したところによれば,本件交付方針が受入条件の検討を実施したものの結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合であっても交付金の返還を要しないとしているのは,災害廃棄物の広域処理を推進するという交付金の復旧・復興枠の趣旨を踏まえ,災害廃棄物が放射性物質により汚染されているとの懸念からその処理が進まない状況の下で,復旧・復興枠の交付金の利用を容易にして災害廃棄物の受入れが可能な施設の整備事業を実施させ,もって災害廃棄物の広域処理を促進するためであると解される。このような本件交付方針の趣旨は,受入条件の検討が実施された場合に限らず,災害廃棄物の受入れの可否を検討したものの,受入条件の検討を実施 ,もって災害廃棄物の広域処理を促進するためであると解される。このような本件交付方針の趣旨は,受入条件の検討が実施された場合に限らず,災害廃棄物の受入れの可否を検討したものの,受入条件の検討を実施しないまま,結果として災害廃棄物を 受け入れることができなかった場合においても妥当するものである。 また,前記認定事実(9)のとおり,環境省近畿地方環境事務所のB課長は,堺市に対し,本件交付方針の「受入条件の検討や被災地とのマッチング」を実施するに至らず,結果として災害廃棄物の広域処理が行われない場合であっても,堺市が災害廃棄物の受入れについて検討している状況にあったことから交付金の返還義務が生じない旨を回答しているところ,いかなる場合に交付金の返還を要することになるかは循環型社会形成推進交付金の運用に関する重要事項であるから,上記回答は環境省の見解に基づくものであると認められる。そうすると,本件交付方針を発出した環境省は,災害廃棄物の受入れの可否を検討したが本件交付方針の「受入条件の検討」を実施しないまま結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合にも交付金の返還を要しないとの理解であったということができる(原告らは,上記回答は,B課長の誤った説明であると主張するが,上に説示したところに照らし,B課長が独断で上記回答をしたとは考え難く,原告らの上記主張は採用することができない。)。 以上のことからすると,災害廃棄物の受入れの可否を検討したが本件交付方針の「受入条件の検討」を実施しないまま結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合に交付金の返還を要しないとすることは,災害廃棄物の広域処理を促進するための措置として,本件交付方針の趣旨に反するものではなく,交付金の復旧・復興枠が設けられた趣旨にも反す れることができなかった場合に交付金の返還を要しないとすることは,災害廃棄物の広域処理を促進するための措置として,本件交付方針の趣旨に反するものではなく,交付金の復旧・復興枠が設けられた趣旨にも反するものではないというべきである。 エなお,証拠(甲14の1・2)によれば,参議院議員Cが,国会法74条に基づき,①本件交付方針の「受入条件の検討」に災害廃棄物の受入れの可否の検討が含まれるのか,②これを肯定した場合には,受入れの可否を検討した上で災害廃棄物を受け入れなかった市町村等に対しても復旧・復興枠の交付金を交付し返還を求めないこととなるが,これは震災復興特 別会計の趣旨に反するのではないかを質問したところ,内閣は,本件交付方針の「受入条件の検討」には,災害廃棄物の受入れの可否の検討は含まれないと答弁したことが認められる。しかし,上記の内閣の答弁は,②の質問が,①の質問について肯定されることを前提としたものであり,①の質問を否定した以上,②の質問は前提を欠くことになるため①の質問についてのみ回答したものと解し得るのであり,そうすると,②の質問について交付金の返還を求めないことが震災復興特別会計の趣旨に反する旨を回答するものとまでは解されず,上記の内閣の答弁が,上記環境省の上記ウの立場と矛盾するものとまではいえないというべきである。 オ以上のことからすれば,災害廃棄物の受入れの可否を検討したが本件交付方針の「受入条件の検討」を実施していない堺市に対して本件交付金を交付したことが,復旧・復興枠及び本件交付方針の趣旨に反するということはできない。したがって,上記アの原告らの主張は採用することができない。 3 結論以上のとおり,原告らの請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決す 反するということはできない。したがって,上記アの原告らの主張は採用することができない。 3 結論以上のとおり,原告らの請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 主文 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官西田隆裕 裁判官角谷昌毅 裁判官松原平学

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