令和6刑(わ)2218 詐欺

裁判年月日・裁判所
令和7年3月27日 東京地方裁判所
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判決文本文1,999 文字)

令和7年3月27日宣告東京地方裁判所刑事第6部宣告令和6年刑(わ)第2218号詐欺被告事件 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (犯罪事実)被告人は、参議院議員であったものであるが、自己の公設第一秘書であったA及び同人の妻であるBらと共謀の上、 1 令和4年12月13日、東京都千代田区永田町1丁目7番1号所在の参議院事務局において、同事務局庶務部議員課長Cらに対し、真実は、単に名義を借用するにすぎず、被告人においてBを自己の公設第二秘書に採用する意思も採用した事実もないのに、これらがあるように装い、同年11月29日付けでBを被告人の公設第二秘書に採用した旨の内容虚偽の参議院議長宛て議員秘書採用同意申請書、議員秘書採用届等を提出し、前記Cらをして、その旨誤信させ、よって、別表1(掲載省略)記載のとおり、同年12月23日から令和5年12月8日までの間、12回にわたり、参議院から給与支給の名目で合計342万1480円を岩手県遠野市ab番c号所在の株式会社D銀行E支店に開設されたB名義の普通預金口座に振込送金させ、 2 令和5年8月18日、前記事務局において、同局庶務部議員課長Fらに対し、真実は、被告人においてBを自己の公設第二秘書に採用していた事実がないのに、これがあるように装い、被告人の公設第二秘書であったBを同月21日付けで解職する旨の内容虚偽の参議院議長宛て議員秘書解職届を提出し、前記Fらをしてその旨誤信させ、よって、別表2(掲載省略)記載のとおり、同年10月19日及び同年12月26日、参議院から退職手当の名目で合計16万3556円を前記普 通預金口座に振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 (量 (掲載省略)記載のとおり、同年10月19日及び同年12月26日、参議院から退職手当の名目で合計16万3556円を前記普 通預金口座に振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 (量刑の理由)本件は、現職の参議院議員であった被告人が、名義を借りるだけで勤務実態のない共犯者を公設第二秘書として採用したかのように装い、その給与及び退職手当を詐取した詐欺の事案であり、国会議員の秘書給与の支給制度を悪用し、国民が納付した税金を財源とする公金をだまし取った悪質な犯行である。秘書給与を詐取した期間は9か月に及んでいて、決して短期間とはいえず、詐取金額も合計約358万円と多額である。被告人は、犯行動機に関連して、政治活動資金の負担が重く、議員活動を続ける上で経済的不安があった旨述べ、弁護人も被告人が私腹を肥やすことを目的としていたわけではない旨主張するが、結局は身銭を切って私財を減らすことを惜しんで不当に公金から資金を得ようとしたものと認められ、そのような身勝手な動機に酌むべき点はない。また、被告人は、名義借りの公設秘書の給与の支給を受けることは他の国会議員もやっているなどと安易に考え、娘に上記名義借りを複数回依頼するも断られ、夫からも違法性を指摘された経験があったにもかかわらず、本件犯行に及んでいるところ、被告人が弁護士資格を有することも考慮すると、以上のような経緯は余りにも浅はかであり、強い非難が妥当する。そして、被告人は、共犯者である当時の公設第一秘書から提案されて本件犯行に及んだというが、上記のとおり、被告人もそれ以前に名義借りを考えたことがあったことに加え、国会議員とその公設秘書という被告人と同共犯者の関係性、被告人が詐取金額の約7割に当たる約260万円を自己の取り分として受領していることなどからすれば、被告人が本件犯 考えたことがあったことに加え、国会議員とその公設秘書という被告人と同共犯者の関係性、被告人が詐取金額の約7割に当たる約260万円を自己の取り分として受領していることなどからすれば、被告人が本件犯行の主犯といえる。また、報道機関が被告人の公設第二秘書の勤務実態を疑い取材をしていることを察知すると、勤務実態を取り繕うなどするため、共犯者との口裏合わせ等の偽装工作に及んだ点も非難に値する。 他方で、被告人が、事実を全面的に認めて反省の態度を示し、詐取した給与等を全額返還して被害弁償を完了していること、議員を既に辞職し、本判決により弁護 士資格を失う見込みであるなど、一定の社会的制裁も受けると認められること、前科がないことなどの被告人のために酌むべき事情も認められるから、それらを最大限考慮すると、被告人に対しては、主文の刑を量定し、今回に限り、その刑の執行を法律上最長の5年の期間を定めて猶予するのが相当と判断した。 (求刑懲役2年6月)令和7年3月27日東京地方裁判所刑事第6部 裁判長裁判官石川貴司 裁判官鈴木悠 裁判官滝口麻理奈

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