令和5(ワ)1187 地位確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年1月30日 大阪地方裁判所
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判決文本文39,182 文字)

主文 1 本件訴えのうち、本判決確定の日の翌日から毎月17日限り、原告Aにつき6万6850円、原告Bにつき3万3425円、原告Cにつき13万9270円及び原告Dにつき16万7125円並びにこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員の支払を求める部分をいずれも却下す る。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 原告らが、被告に対し、期間の定めのない雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は、原告Aに対して、8万2472円及び別紙1の1(原告A)の各月の「未払賃金」欄記載の金額に対する同月の「支払日」欄記載の日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 3 被告は、原告Bに対して、4万1236円及び別紙1の2(原告B)の各月の「未払賃金」欄記載の金額に対する同月の「支払日」欄記載の日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 4 被告は、原告Cに対して、18万5562円及び別紙1の3(原告C)の各月の「未払賃金」欄記載の金額に対する同月の「支払日」欄記載の日の翌日から支 払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 5 被告は、原告Dに対して、19万9836円及び別紙1の4(原告D)の各月の「未払賃金」欄記載の金額に対する同月の「支払日」欄記載の日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 6 被告は、原告Aに対し、令和5年5月から毎月17日限り6万6850円及び これに対する各支払日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 7 被告は、原告Bに対し、令和5年5月から毎月17日限り3万3425円及び 月17日限り6万6850円及び これに対する各支払日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 7 被告は、原告Bに対し、令和5年5月から毎月17日限り3万3425円及びこれに対する各支払日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 8 被告は、原告Cに対し、令和5年5月から毎月17日限り13万9270円及びこれに対する各支払日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 9 被告は、原告Dに対し、令和5年5月から毎月17日限り16万7125円及 びこれに対する各支払日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、被告との間で5年以上にわたり委嘱契約を締結し、令和4年4月1日に有期雇用契約を締結した原告らが、被告に対し、 ⑴ 上記委嘱契約が雇用契約であり、労働契約法(以下「労契法」という。)18条1項に基づき無期転換の申込みをしたから、被告との間で令和4年4月1日(ただし、原告Aについては令和3年4月1日)を始期とする無期雇用契約が成立したと主張して、期間の定めのない雇用契約上の権利を有する地位の確認[請求1項] ⑵ 令和4年4月1日以降の賃金額の変更が、労働条件の不利益変更(労契法9条)に当たり無効であると主張して、同月分から同年12月分までの差額賃金及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまでの民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払[請求2項~5項]⑶ 令和5年3月31日をもってされた雇止めが、①上記⑴の無期雇用契約の解 雇に当たり無効である、②労契法19条2号に違反して無効であると主張して、雇用契約に基づき、毎月17日限り、令和5年4月分以降の月額賃金及びこれに対する各支払日から支払済みまでの民法 約の解 雇に当たり無効である、②労契法19条2号に違反して無効であると主張して、雇用契約に基づき、毎月17日限り、令和5年4月分以降の月額賃金及びこれに対する各支払日から支払済みまでの民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払[請求6項~9項]をそれぞれ求める事案である。 2 前提事実(証拠等を引用しない事実は当事者間に争いがない。書証は特記しな い限り枝番を含む。)⑴ 当事者ア被告被告は、平成16年4月1日に国立大学法人法により設立された国立大学法人であり、平成19年10月1日に国立大学法人E大学(国立大学法人化 の前後を通じて、以下「E大」という。)と統合した(以下「本件統合」という。)。 本件統合により、E大は解散し、被告は外国語学部外国語学科等を新設し、E大の資産の一部譲渡を受け、E大が締結していた契約関係のうち、必要なものを新たに締結した。(乙全19、25、証人F、弁論の全趣旨) イ原告A(ア) 原告Aは、昭和63年3月にG大学文学研究科(英文学専攻)博士課程(前期)を終了して修士号(文学)を取得した後、高校や学習塾の非常勤講師を経て、平成5年4月1日、知人の紹介によりE大の非常勤講師として任用された。その後、平成16年4月にE大が国立大学法人となったこ とに伴い、同月以降、非常勤講師として有期雇用された。 (イ) 原告Aは、平成19年10月1日、本件統合により、被告との間で、外国語学部の非常勤講師として期間6か月又は1年の委嘱契約を締結し、少なくとも令和2年度(終期令和3年3月31日)まで、同契約を更新した。 (上記(ア)、(イ)につき、甲A1、11、乙A1、弁論の全趣旨) ウ原告B(ア) 原告 し、少なくとも令和2年度(終期令和3年3月31日)まで、同契約を更新した。 (上記(ア)、(イ)につき、甲A1、11、乙A1、弁論の全趣旨) ウ原告B(ア) 原告Bは、平成7年3月にE大外国語学部○○○○語学科を卒業し、平成9年3月に同大学大学院外国語学研究科○○○○語学専攻修士課程を修了して修士号(言語・文化学)を取得した後、H大学人間文化学部の非常勤講師を経て、平成18年10月1日、E大の非常勤講師として有期雇 用された。 (イ) 原告Bは、平成19年10月1日、本件統合により、被告との間で、外国語学部の非常勤講師として期間6か月の委嘱契約を締結し、令和3年度(終期令和4年3月31日)まで、同契約を更新した。 (上記(ア)、(イ)につき、甲B1、2、12、弁論の全趣旨)エ原告C (ア) 原告Cは、専門学校卒業後に旅行会社勤務を経て、社会人入試でE大に入学し、平成15年3月に夜間主国際文化学科言語専攻を卒業し、平成18年3月にE大大学院博士前期課程(国際言語社会専攻日本コース)を修了して、修士号を取得し、同年4月、同博士後期課程に進学し、本件統合後、被告大学院博士後期課程言語社会研究科に在籍し、平成23年3月に 同課程を中退した。 (イ) 原告Cは、被告大学院博士後期課程在籍中の平成20年10月から平成23年3月頃までの間、被告の●●●●センター(留学生をサポートし、広範な日本語プログラムを提供などする組織。以下「●●●●」という。)の留学生日本語選択コースの謝金講師(アルバイトや非常勤講師が依頼を 受けて特定日の講義を実施すること)として授業を行った。 (ウ) 原告Cは、平成23年4月、被告との間で、●●●●の非 留学生日本語選択コースの謝金講師(アルバイトや非常勤講師が依頼を 受けて特定日の講義を実施すること)として授業を行った。 (ウ) 原告Cは、平成23年4月、被告との間で、●●●●の非常勤講師として期間6か月又は1年の委嘱契約を締結し、令和3年度(終期令和4年3月31日)まで、同契約を更新した。 (上記(ア)~(ウ)につき、甲C1、5、乙C1、弁論の全趣旨) オ原告D(ア) 原告Dは、専門学校で日本語教師養成講座を受講して専門実習過程を修了した後、中国山東省への語学留学や日本語学校での専任教師等を経て、平成22年3月にI大学大学院言語コミュニケーション文化研究科を修了し、修士号(日本語教育学)を取得した。原告Dは、同年から平成25 年3月までの間、同大学●●●●センターや同大学国際学部で非常勤講師 として勤務した。 (イ) 原告Dは、平成25年4月、被告との間で、●●●●の非常勤講師として期間6か月又は1年の委嘱契約を締結し、令和3年度(終期令和4年3月31日)まで、同契約を更新した。 (上記(ア)、(イ)につき、甲D1、11、乙D1、弁論の全趣旨) ⑵ 本件統合等ア本件統合(平成19年10月1日)に当たり、平成18年4月12日、被告の総長とE大の学長との間で、「J大学総長とE大学長との統合に際しての確認事項」と題する書面(乙全3)が取り交わされた。同書面第3項においては、「専攻語教育に必要な非常勤講師は確保するよう努める。ただし、 外国語学部の非常勤講師総数については教育の負担割合を勘案して見直しを行うものとする。」とされた。(乙全3)イ平成18年12月20日の統合推進協議会において、本件統合後の人事制度については、原則として被 の非常勤講師総数については教育の負担割合を勘案して見直しを行うものとする。」とされた。(乙全3)イ平成18年12月20日の統合推進協議会において、本件統合後の人事制度については、原則として被告の人事制度に合わせることを基本理念とすることが承認された。(乙全4) ウ E大は、平成19年3月19日付けで、非常勤講師に対し、「平成19年度第2期の契約について」と題する書面(甲A2)を交付した。同書面には、①授業計画については、同年9月30日まではE大として、同年10月1日からは被告の一部局として実施すること、②同年10月1日から平成20年3月31日までの授業を担当する場合には、「J大学非常勤講師の 委嘱等に関する規程」(以下「本件規程」という。)に基づく契約になることのほか、③本件規程は被告のホームページで閲覧ができるとして、そのURLが記載されていた。(甲A2)⑶ 本件規程等ア本件規程(甲全1) 被告は、本件規程を定め、平成16年4月1日、これを施行した。その内 容は、要旨別紙2のとおりであり、被告が非常勤講師との間で締結する委嘱契約の期間は1年以内で、個々の非常勤講師ごとに定め、同契約は更新されることがあること(2条)、契約の終了(5条)、契約の中途解約についての定め(6条)、報酬に関する定め(7条)、職務専念義務(8条)、信用失墜行為等の禁止(9条)、守秘義務(10条)、セクシャル・ハラスメン トの防止(12条)、安全衛生に関する遵守事項(15条)、出張等に関する定め(18条)はあるが、解雇や懲戒に関する定めはない。 イ国立大学法人J大学有期雇用教職員の契約期間等に関する規程(甲全2の1)被告は、同規程を定め、平成25年4月1日、これを施行した。 条)はあるが、解雇や懲戒に関する定めはない。 イ国立大学法人J大学有期雇用教職員の契約期間等に関する規程(甲全2の1)被告は、同規程を定め、平成25年4月1日、これを施行した。同規程に は、要旨以下の定めがある。 第2条有期雇用教職員この規程において、有期雇用教職員とは、次の各号に掲げるいずれかの就業規則が適用される者をいう。 ① 国立大学法人J大学任期付教職員就業規則 ② 国立大学法人J大学任期付嘱託職員等就業規則③ 国立大学法人J大学非常勤職員(定時勤務職員)就業規則④ 国立大学法人J大学非常勤職員(短時間勤務職員)就業規則⑤ 国立大学法人J大学非常勤職員(定時教育研究等職員)就業規則⑥ 国立大学法人J大学非常勤職員(短時間教育研究等職員)就業規則 第3条契約期間等契約期間等については、前条の各就業規則の定めによるものとする。ただし、前条の各就業規則において契約可能な期間内であっても、原則として前条の各就業規則(その他大学が特に指定するものを含む。)の適用を受ける期間等を通算して5年を超えることはできないものとする。 ウ国立大学法人J大学有期雇用教職員の契約期間等に関する要項(甲全2の 2)被告は、同要項を定め、平成25年4月1日、これを施行した。同要項第2条には、要旨以下の定めがある。 上記イの規程第3条にいう、「大学が特に指定するもの」とは、次の各号に掲げる規程等をいう。 ⑴ 国立大学法人J大学非常勤講師の委嘱等に関する規程(本件規程)(以下略)エ国立大学法人J大学有期雇用教職員等の契約期間に関する規程(甲全4)上記イの規程は、要旨以下のと ⑴ 国立大学法人J大学非常勤講師の委嘱等に関する規程(本件規程)(以下略)エ国立大学法人J大学有期雇用教職員等の契約期間に関する規程(甲全4)上記イの規程は、要旨以下のとおり改正され、平成26年4月1日、施 行された。 第2条有期雇用教職員等この規程において、有期雇用教職員等とは、第1号から第6号までに掲げる就業規則又は第7号から第10号までに掲げる規程若しくは要項(以下、これらを併せて「就業規則等」という。)のいずれかの適用を受ける者 をいう。 ⑴~⑹、⑻~⑽ (省略)⑺ 国立大学法人J大学非常勤講師の委嘱等に関する規程(本件規程)第3条契約期間1項有期雇用教職員等の契約期間については、前条の各号の就業規則 等の定めるところによる。ただし、契約期間は、6月以上の空白期間がある場合を除き、これらの就業規則等の適用を受ける期間を通算して、原則として5年を超えることはできないものとする。 2項、3項(省略)オ国立大学法人J大学非常勤講師就業規則(以下「本件就業規則」という。) (甲全12) 被告は、被告に雇用される非常勤講師の労働条件その他就業の関する事項を定めるために、本件就業規則を定め、令和4年4月1日、これを施行した。その内容は、要旨別紙3のとおりであり、労働契約の期間(2条)、採用(5条)、解雇(11条)、給与の支給原則(17条)、所定労働時間(29条)、懲戒処分(43条)、業務災害(55条)、通勤災害(56条)等に 関する定めがある。 ⑷ 原告らと被告との間の各委嘱契約の締結及びその更新(以下のとおり、原告らと被告との間で締結、更新された各委嘱契約を総称して「本件各委嘱契約」ということがある。)ア原 関する定めがある。 ⑷ 原告らと被告との間の各委嘱契約の締結及びその更新(以下のとおり、原告らと被告との間で締結、更新された各委嘱契約を総称して「本件各委嘱契約」ということがある。)ア原告A (ア) 委嘱契約の締結原告Aは、平成19年10月1日、被告との間で、要旨以下の内容の委嘱契約を締結し(なお、契約書は、担当科目ごとに作成されているが、担当科目以外の内容は同じである。)、非常勤講師として英語等の授業を担当した(甲A11、乙A1、弁論の全趣旨)。 所属及び業務従事場所外国語学部業務内容(担当科目)(時限)英語(文学)1-9b(金曜5限) 英語(文学)2b(金曜6限)(いずれも1コマ90分)所定業務時間計30時間(各担当科目につき) 報酬 1時間当たり6685円契約期間平成19年10月1日~平成20年3月31日締日、支払日毎月末日締め、翌17日払い契約の終了に関する事項本件規程第5条による。 特記事項契約書に定めのない事項については、本件規程による。 もっとも、報酬は、授業1回につき、1コマを2時間分として算定した 1万3370円が支給された。 (イ) 委嘱契約の更新原告Aは、平成20年4月1日から令和3年3月31日まで、上記(ア)と同内容(ただし、担当科目は年度によって異なる。)で、期間を6か月又は1年とする委嘱契約を更新し、週1日、主に英語や英文学の授業を2コマ (5、6限)担当した。(甲A11)イ原告B(ア) 委嘱契約の締結原告Bは、平成19年10月1日、被告との間で、要旨以下の内容の委嘱契約を締結し、非常勤講師として○○○○地域研究講義等の 。(甲A11)イ原告B(ア) 委嘱契約の締結原告Bは、平成19年10月1日、被告との間で、要旨以下の内容の委嘱契約を締結し、非常勤講師として○○○○地域研究講義等の授業を担当 した。なお、報酬額、締日、支払日は、上記ア(ア)と同じである。(甲B12、乙B1、弁論の全趣旨)所属及び業務従事場所外国語学部業務内容(担当科目)(時限)○○○○地域研究講義b(火曜3限)(1コマ90分) なお、同科目は、専任教員1名と複数の非常勤講師によるリレー方式の講義であり、原告Bの担当は、全15回のうち4回であった。 所定業務時間計8時間契約期間平成19年10月1日~平成20年3月31日(イ) 委嘱契約の更新 原告Bは、平成20年4月1日から令和4年3月31日まで、上記(ア)と同内容(ただし、担当科目が異なり、所定業務時間が30時間となった。)で、期間を6か月とする委嘱契約を更新し、週1日、〇〇〇〇地域講義等の授業を1コマ担当した。(甲B2、5、6、12)ウ原告C (ア) 委嘱契約の締結 原告Cは、平成23年4月1日、被告との間で、要旨以下の内容の委嘱契約を締結し(なお、契約書は、担当科目ごとに作成されているが、担当科目以外の内容は同じである。)、非常勤講師としてコミュニケーション行動等(留学生等を対象とする日本語教育等)の授業を担当した。なお、報酬額、締日、支払日は、上記ア(ア)と同じである。(甲C5、乙C1、2、 弁論の全趣旨)所属及び業務従事場所 ●●●●担当科目(時限)コミュニケーション行動11 同12 (1コマ90分)なお、●●●●が開講する日本語科目の 。(甲C5、乙C1、2、 弁論の全趣旨)所属及び業務従事場所 ●●●●担当科目(時限)コミュニケーション行動11 同12 (1コマ90分)なお、●●●●が開講する日本語科目の多くは、専任教員と非常勤講 師で構成されたチームティーチング体制であった。 所定業務時間計60時間(各担当科目につき)契約期間平成23年4月1日~平成24年3月31日(イ) 委嘱契約の更新原告Cは、平成24年4月1日から令和4年3月31日まで、上記(ア)と 同内容(ただし、担当科目、担当コマ数、契約期間は年度によって異なる。)で期間を6か月又は1年とする委嘱契約を更新し、週2日、留学生等を対象とする日本語教育等の授業を合計2~6コマ担当した。(甲C5、弁論の全趣旨)エ原告D (ア) 委嘱契約の締結原告Dは、平成25年4月1日、被告との間で、要旨以下の内容の委嘱契約を締結し(なお、契約書は、担当科目ごとに作成されており、担当科目と業務従事場所以外の条件は同じである。)、非常勤講師としてコミュニケーション行動等(留学生等を対象とする日本語教育等)の授業を担当し た。なお、報酬額、報酬の支払時期については、上記ア(ア)と同じである。 (乙D1、弁論の全趣旨)所属 ●●●●業務従事場所 ●●●●(K・L)担当科目(時限)コミュニケーション行動1 同2 同8 同9 総合日本語■■■■ (1コマは90分)所定業務時間計60時間(各担当科目につき)契約期間平成25年4月1日~平成26年3月31日(イ) 委嘱契約の更新原告Dは、平成26年4月1日から令和4年3月31日まで、上記(ア)と 計60時間(各担当科目につき)契約期間平成25年4月1日~平成26年3月31日(イ) 委嘱契約の更新原告Dは、平成26年4月1日から令和4年3月31日まで、上記(ア)と 同内容(ただし、担当科目、担当コマ数、契約期間は年度によって異なる。)で、期間を6か月又は1年とする委嘱契約を更新し、週2日、留学生等を対象とする日本語教育等の授業を5コマ程度担当した。(甲D11、弁論の全趣旨)⑸ 原告らの被告に対する無期転換の申込み 原告Aは令和3年3月12日頃、原告Bは令和4年1月26日頃、原告C及び原告Dは同年2月28日頃、被告に対し、各委嘱契約の通算契約期間が5年を超えたなどと主張して、労契法18条1項に基づき、それぞれ無期転換を申し込んだ(以下「本件各申込み」という。)。 ⑹ 原告らと被告との間の有期雇用契約の締結(以下のとおり、原告らと被告と の間で締結した各有期雇用契約を総称して「本件各有期雇用契約」ということがある。)ア原告A原告Aは、遅くとも令和4年4月1日、被告との間で、要旨以下の内容の有期雇用契約を締結し、これに基づき授業を担当した。(甲A5、11) 担当部局・業務従事場所外国語学部 担当科目英語(文化)a (令和4年4月1日~同年9月30日、金曜5限)英文学Ⅰa (上記と同期間、金曜6限)英語(文化)b (令和4年10月1日~令和5年3月31日、金曜5限)英文学Ⅰb (上記と同期間、金曜6限) 時間外労働なし休日及び休暇本件就業規則による。 賃金基本給:授業1回当たり1万1784円(昇給:なし) 期間、金曜6限) 時間外労働なし休日及び休暇本件就業規則による。 賃金基本給:授業1回当たり1万1784円(昇給:なし)賞与及び退職手当は支給しない。 雇用期間令和4年4月1日~令和5年3月31日 退職に関する事項本件就業規則9条~12条、43条による。 イ原告B原告Bは、令和4年4月1日、被告との間で、要旨以下の内容の有期雇用契約を締結し、これに基づき授業を担当した。(甲B4、12)担当部局・業務従事場所外国語学部 担当科目〇〇〇〇地域講義a(令和4年4月1日~同年9月30日、木曜3限)同講義b(同年10月1日~令和5年3月31日、木曜3限)そのほかは、上記アと同じ。 ウ原告C 原告Cは、令和4年4月5日、被告との間で、要旨以下の内容の有期雇用契約を締結し、これに基づき授業を担当した(甲C3、5。なお、甲C3の契約書の雇用期間に関する記載が二重線で抹消されているが、弁論の全趣旨によると、原告Cも雇用期間が1年間であることを争わない。)。 担当部局・業務従事場所 ●●●●(K) 担当科目 総合日本語■■■■1-1(令和4年4月1日~同年9月30日、火曜1限)同■■■■2-1(上記と同期間、火曜2限)総合日本語■■■■2-2(上記と同期間、金曜2限)日本語集中コース■■■■(上記と同期間、金曜3、4限) 総合日本語■■■■1-1(令和4年10月1日~令和5年3月31日、火曜1限)総合日本語■■■■2-1(上記と同期間、火曜2限)日本語集中コース■■■■(上記と同期間、金曜3、4 ) 総合日本語■■■■1-1(令和4年10月1日~令和5年3月31日、火曜1限)総合日本語■■■■2-1(上記と同期間、火曜2限)日本語集中コース■■■■(上記と同期間、金曜3、4限)そのほかは、上記アと同じ。 エ原告D原告Dは、令和4年4月1日、被告との間で、要旨以下の内容の雇用契約書を取り交わし、有期雇用契約を締結し、これに基づき授業を担当した(甲D3、11。なお、甲D3の賃金及び雇用期間が二重線で抹消されているが、弁論の全趣旨によると、原告Dも賃金が授業1回当たり1万1784円で、 雇用期間が1年間であることを争わない。)。 担当部局・業務従事場所 ●●●●(K、L)担当科目日本語集中コース■■■■(令和4年4月1日~同年9月30日、月曜3、4限) 総合日本語■■■■1(上記と同期間、木曜1限)日本語集中コース■■■■(令和4年4月1日~令和5年3月31日、木曜3、4限)日本語集中コース■■■■(令和4年10月1日~令和5年3月31日、月曜3、4限) 総合日本語■■■■1(上記と同期間、木曜1限) そのほかは、上記アと同じ。 ⑺ 本件各有期雇用契約の雇止め被告は、令和5年4月1日以降、本件各有期雇用契約を更新せず、原告らは同年3月31日をもって雇止めをされた(以下「本件各雇止め」という。)。 3 争点 ⑴ 本件訴えのうち、後記⑷⑸に係る原告らの将来の賃金請求のうち、本判決確定後の賃金請求部分に訴えの利益があるか。 ⑵ 本件各委嘱契約は有期雇用契約で(原告らの労働者性)、本件各申込みにより無期雇用契約に転換したか。 ⑶ 令和4年4月1日以降の原告らの賃金額の変更が労働 請求部分に訴えの利益があるか。 ⑵ 本件各委嘱契約は有期雇用契約で(原告らの労働者性)、本件各申込みにより無期雇用契約に転換したか。 ⑶ 令和4年4月1日以降の原告らの賃金額の変更が労働条件の不利益変更に 当たるか。 ⑷ 本件各雇止めは、上記⑵の無期雇用契約の解雇に当たり、無効か。 ⑸ 本件各雇止めは労契法19条2号により無効か。 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点⑴(本件訴えのうち、後記⑷⑸に係る原告らの将来の賃金請求のうち、 本判決確定後の賃金請求部分に訴えの利益があるか)について(被告の本案前の答弁)後記⑷⑸に係る原告らの賃金請求のうち、本判決確定後の将来の賃金請求は、現実に支払時期が経過してから給付の訴えを提起すれば足りるものであり、将来の給付の請求をする必要はないから、訴えの利益を欠く。 (原告らの主張)争う。 ⑵ 争点⑵(本件各委嘱契約は有期雇用契約で(原告らの労働者性)、本件各申込みにより無期雇用契約に転換したか)について(原告らの主張) ア原告らが本件各委嘱契約において労働者であったこと (ア) 労働者性の判断基準に照らすと原告らが労働者に当たること労働基準法(以下「労基法」という。)及び労契法上の労働者に該当するか否かは、形式的な契約形式のいかんにかかわらず、就労実態に基づいて判断すべきであり、労働基準法研究会報告(昭和60年12月19日付け「労働基準法の『労働者』の判断基準について」。以下「労基研報告」と いう。)で示された判断基準に基づき判断するのが相当である。この点に関する原告らの主張は、別紙4「労働者性に関する主張対比表」の「原告らの主張」欄記載のとおりであり、原告らの労務提供の形態、労務対償性 う。)で示された判断基準に基づき判断するのが相当である。この点に関する原告らの主張は、別紙4「労働者性に関する主張対比表」の「原告らの主張」欄記載のとおりであり、原告らの労務提供の形態、労務対償性等の諸要素を総合すると、原告らは労働者に当たる。 (イ) 原告A及び原告BがE大との間で雇用契約を締結していたこと 原告A及び原告Bは、E大との間で雇用契約を締結して非常勤講師として勤務していた。本件統合後も、原告A及び原告Bの非常勤講師としての就労実態に基本的な変化はなく、年度途中の本件統合に当たり、原告A及び原告Bは、被告との間で新たな契約を締結していないから、本件統合後も労働者であると評価せざるを得ない。 (ウ) 本件各有期雇用契約締結の前後で原告らの就労実態に変更がないこと原告らの非常勤講師としての就労実態は、本件各有期雇用契約の締結の前後で基本的に変わらないから、原告らは本件各有期雇用契約締結前も労働者であったと評価すべきである。 イ本件各委嘱契約の無期雇用契約への転換 原告らは、本件各申込みをしたから、労契法18条1項により、本件各委嘱契約は、令和4年4月1日以降(ただし、原告Aについては令和3年4月1日以降)、無期雇用契約となった。 (被告の主張)ア原告らが本件各委嘱契約において労働者ではなかったこと (ア) 労基研報告の判断基準に照らしても原告らが労働者に当たらないこと 労基研報告の判断基準に基づく労働者性に関する被告の主張は、別紙4「労働者性に関する主張対比表」の「被告の主張」欄記載のとおりであり、原告らは労働者ではなかった。 (イ) 本件統合後に原告A及び原告Bは被告との間で新たに委嘱契約を締結したこと 原告A及び原告Bは、本件統合後の平成19年度の の主張」欄記載のとおりであり、原告らは労働者ではなかった。 (イ) 本件統合後に原告A及び原告Bは被告との間で新たに委嘱契約を締結したこと 原告A及び原告Bは、本件統合後の平成19年度の後期、被告との間で、被告の制度に則り、新たに準委任契約である委嘱契約を締結したから、両原告がE大との間で雇用契約を締結していたとしても、本件各委嘱契約における原告らの地位に何ら影響を与えない。 (ウ) 本件各有期雇用契約の締結後で原告らの労働実態等に変化があること 原告らは、本件各有期雇用契約の締結後、①成績管理責任者になり、②シラバスの内容に関する会議や授業計画に関する会議やコアカリキュラム策定等に関する会議体に参画できるようになり、③教育活動関連手当が支給され、④各種研修等への参加が義務付けられ、⑤勤怠管理も義務付けられるなどした。このように、本件各有期雇用契約の締結前後で原 告らの就労実態に変化があるから、原告らが本件各委嘱契約において労働者であったことを基礎付けることはできない。 イ本件各委嘱契約は無期雇用契約に転換していないこと上記アのとおり、本件各委嘱契約は雇用契約と評価されないから、原告らと被告との間で、労契法18条1項に基づき無期雇用契約は成立していない。 ⑶ 争点⑶(令和4年4月1日以降の原告らの賃金額の変更が労働条件の不利益変更に当たるか)について(原告らの主張)ア原告らの賃金は、令和4年3月までは、1時間当たり6685円(授業1回当たり1万3370円) と定められていた。しかし、被告は、本件就業規 則により、原告らの賃金を1時間当たり5892円(授業1回当たり1万1 784円)に減額した。このような賃金減額は、労働条件の不利益変更に当たるから、労契法 被告は、本件就業規 則により、原告らの賃金を1時間当たり5892円(授業1回当たり1万1 784円)に減額した。このような賃金減額は、労働条件の不利益変更に当たるから、労契法9条本文により無効である。 したがって、1時間当たり793円(6685円-5892円)、授業1回当たり1586円(1万3370円-1万1784円)の賃金が未払である。 イ原告らの令和4年4月以降の各月の担当授業回数は別紙1の1~4の各 「コマ数」欄記載のとおりであり、各月の未払賃金は別紙1の1~4の各「未払賃金」欄記載のとおりであり、その合計は以下のとおりである。 原告A 8万2472円原告B 4万1236円原告C 18万5562円原告D 19万9836円(被告の主張) 被告は、令和4年4月1日より前に原告らとの間で雇用契約を締結していないから、本件各有期雇用契約の締結は、労働条件の不利益変更には当たらない。 ⑷ 争点⑷(本件各雇止めは、上記⑵の無期雇用契約の解雇に当たり、無効か)について(原告らの主張) ア上記⑵の原告らの主張のとおり、本件各申込みにより、原告らと被告との間に無期雇用契約が成立している。このため、本件各雇止めは解雇に当たる。 イ原告らはこれまで問題なく就労を継続してきたのであって、何らの解雇事由もなく、上記解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないから、解雇権の濫用に当たり無効である。 ウよって、原告らは被告と間に無期雇用契約上の権利を有する地位にある。 加えて、原告らは、被告に対し、民法536条2項により、令和5年5月から毎月17日限り、1か月当たり以下の賃金相当額(令和2年度~令和4年度の 無期雇用契約上の権利を有する地位にある。 加えて、原告らは、被告に対し、民法536条2項により、令和5年5月から毎月17日限り、1か月当たり以下の賃金相当額(令和2年度~令和4年度の平均)の支払を求める。 原告A 6万6850円原告B 3万3425円 原告C 13万9270円原告D 16万7125円 (被告の主張)上記⑵の被告の主張のとおり、被告と原告らとの間で無期雇用契約は成立していないから、本件各雇止めは解雇には当たらない。 ⑸ 争点⑸(本件各雇止めは労契法19条2号により無効か)について(原告らの主張) ア原告らは、長年にわたって有期雇用契約である本件各委嘱契約を反復更新しており、原告らの担当科目は、令和5年4月以降もこれまでと同じ内容で継続的に開講されることが予定されていた。 このような事情からすると、原告らには本件各有期雇用契約が更新されると期待することについて合理的な理由がある。 イ原告らは、非常勤講師として問題なく授業を担当していたから、本件各雇止めは、何ら合理的な理由がなく、社会通念上相当性であると認められないから、無効である。 ウよって、本件各有期雇用契約は更新され、原告らは、被告に対し、令和5年4月1日以降も、雇用契約上の権利を有する地位にあるから、上記⑷の原 告らの主張ウと同じ賃金相当額の支払を求める。 (被告の主張)被告における委嘱契約の通算契約期間は平成25年4月1日から10年以内の上限が設定されており、原告らもこれを認識していた。また、被告において、令和5年4月1日からの非常勤講師の公募等に際し、通算契約期間を超え た契約は締結しないこと等が通知された。原告らは、令 の上限が設定されており、原告らもこれを認識していた。また、被告において、令和5年4月1日からの非常勤講師の公募等に際し、通算契約期間を超え た契約は締結しないこと等が通知された。原告らは、令和4年3月31日以前、期間の定めのない教職員の公募への応募をせず、被告は、原告らに対する授業の委嘱手続において、その都度、委嘱の可否や委嘱可能な授業のコマ数、曜日等を確認し、その時点での状況をすり合わせて、委嘱する具体的授業を決定しており、当該年度に委嘱した授業が次年度も委嘱される保証がなかった。 これらの事情からすると、原告らには本件各有期雇用契約の更新についての 合理的期待がなかったものであり、本件各雇止めは有効である。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実(前提事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)⑴ 本件統合に際してE大の非常勤講師に対する説明等E大は、平成19年3月19日頃、非常勤講師に対し、本件統合により、授 業計画については、同年9月30日まではE大として、同年10月1日から被告の一部局として実施することになり、本件統合後の同年10月1日以降に授業を担当する場合には本件規程に基づく契約となることを周知した。(前提事実⑵ウ)また、関西圏大学非常勤講師組合は、平成19年7月12日に被告と、同 年8月10日にE大とそれぞれ団体交渉をした。その際、被告は、本件統合後、非常勤講師との間の契約が雇用契約ではなく準委任契約であることを、E大は、非常勤講師とは委託契約になることをそれぞれ説明した。 (乙全20)。 ⑵ 令和4年3月までの被告と非常勤講師との間の委嘱契約締結に係る手続等ア委嘱に先立つコアカリキュラムの策定等 被告では、コアカリキュラム等 説明した。 (乙全20)。 ⑵ 令和4年3月までの被告と非常勤講師との間の委嘱契約締結に係る手続等ア委嘱に先立つコアカリキュラムの策定等 被告では、コアカリキュラム等の授業の実施に関する重要事項は、多くの場合、教授会の審議を経ることになるところ、カリキュラム構成などの具体的な検討作業は、各学部の常勤の教員らを中心とする教授会とは別の会議体等でされている。 外国語学部では、カリキュラム等の策定に関しては、外国語学部の執行部 において原案を作成した上で、執行部から各専攻に諮り、各専攻での修正意見等を踏まえて、教務委員会(学部の専任教員により構成される)での審議を行い、教授会に上程して承認を得るという手続を経ている。また、●●●●では、カリキュラム等の策定に関しては、日本語教育研究チームに所属する教員らにおいて意見交換をして原案を策定し、教務委員会に諮り、教授会 の下部会議体である●●●●(●●●●定例ミーティング)に報告するとい う手続を経ている。 なお、コアカリキュラムの策定に関し、令和4年3月31日以前には、非常勤講師が関与する機会はなかった。 (以上につき、乙全17、18、24、証人M、原告A本人)イ非常勤講師に対する授業の委嘱手続等 (ア) 外国語学部外国語学部では、非常勤講師に対する授業の委嘱に際し、①被告の教職員ら(委嘱契約による非常勤講師は含まれない。)により、「開講科目」(どのような科目を何曜日の何限に設けるのかという時間割のようなもの)を策定し、当該授業の骨子(「コース到達目標」や「コアカリキュラ ムに定める全体目標及び到達目標」等)を策定した後、②「開講科目」に定める授業のうち、外部(非常勤講師)に委嘱する授業を選別の上、③委嘱先 該授業の骨子(「コース到達目標」や「コアカリキュラ ムに定める全体目標及び到達目標」等)を策定した後、②「開講科目」に定める授業のうち、外部(非常勤講師)に委嘱する授業を選別の上、③委嘱先候補者に打診し、内諾(次年度の委嘱についての了解)を得られた者に対し、実施する授業の詳細を検討してシラバスを作成するよう依頼し、④委嘱先候補者において作成したシラバスの内容が、「コース到達目標」 や「コアカリキュラムに定める全体目標及び到達目標」の内容に沿うものであれば、当該シラバスの内容に基づいた授業を15コマ(これを「30時間」と表示している)にわたり実施するという前提で、非常勤講師としての委嘱に係る契約書を作成するという手続がされていた。(甲A3、7~10、甲B2、乙全1、24、乙A2、3、乙B3、4、証人M) (イ) ●●●●●●●●では、非常勤講師に対する授業の委嘱に際し、①被告の教職員ら(委嘱契約による非常勤講師は含まれない。)が、「開講科目」(どのような科目を何曜日の何限に設けるのかという時間割のようなもの)を策定し、②「開講科目」に定める授業のうち、外部(非常勤講師)に委嘱す る授業を選別の上、③委嘱先候補者に対し、科目の種類、時間割、対象と なる学生(大学院生、研究生、短期留学生等の区別)、日本語レベル(初級、中級等の受講学生のレベル)等の概要を伝えて委嘱を打診し、④内諾が得られた後、●●●●の教員においてシラバスを作成し、⑤シラバスの内容について了解を得られた委嘱先候補者との間で、委嘱に係る契約書を作成するという手続がされていた。もっとも、委嘱契約の締結に先 立って、シラバスの内容について、委嘱先候補者に意見を求め、場合によっては加筆修正等を依頼し、委嘱する業務内容を確定 に係る契約書を作成するという手続がされていた。もっとも、委嘱契約の締結に先 立って、シラバスの内容について、委嘱先候補者に意見を求め、場合によっては加筆修正等を依頼し、委嘱する業務内容を確定した上で同契約を締結することもあった。 また、●●●●の科目に関し、科目ごとに、「選択コース開講にあたって」と題する連絡事項、シラバスの作成、教員間の連絡、講義室の設備・ 備品等に関する説明がなされた文書が配布されていた。 (以上につき、甲全23、甲C4、乙全1、24、乙C2、乙D2、証人M)(ウ) なお、被告において、シラバスの作成後、シラバスに定めた試験内容や採点配分等が変更されることはなかった。(弁論の全趣旨) ⑶ 委嘱契約締結後の原告らの授業の実施状況等ア授業の実施の確認等(ア) 授業の実施場所及び時間の指定授業を実施する講義室の場所や、授業の時間帯については、被告により指定されていた。(弁論の全趣旨) (イ) 外国語学部非常勤講師は、令和2年度以前に外国語学部があった旧Nキャンパスでは、出講時に出勤簿に押印することが求められていたが、出退勤時刻や授業時間の管理はなされていなかった。(甲A11、甲B12)令和3年4月以降のNキャンパスでは、非常勤講師に対して●●カー ドが貸与されており、同カードをカードリーダーにかざすことにより、 かざした時刻が記録される仕様になっており、令和4年3月以前には、非常勤講師が同カードを1日に1回カードリーダーにかざすことにより、授業の実施が確認されていた。もっとも、授業開始前後に同カードをカードリーダーにかざすことは求められていなかった。(甲全36、乙B5の1、乙全24) また、非常勤講師は、 かざすことにより、授業の実施が確認されていた。もっとも、授業開始前後に同カードをカードリーダーにかざすことは求められていなかった。(甲全36、乙B5の1、乙全24) また、非常勤講師は、令和4年3月以前のNキャンパスのオンライン授業では、おおむね1か月ごとにまとめて授業実施を報告していた。(乙全24、乙A4の1)(ウ) ●●●●Kキャンパスでは、令和4年3月以前には、非常勤講師は、1か月ごと にまとめて授業実績を報告していたが、出退勤時刻の報告や授業を実施した時間数の確認(担当するクラスごとの出欠確認)等はされていなかった。(乙全24、乙C3、乙D4)イ授業以外の業務等について(ア) 非常勤講師である原告らは、被告から、必ずしも授業時間外の学生から の質問対応を義務付けられておらず、これに応じないことを理由に注意指導等がなされることはなかった。(弁論の全趣旨)(イ) 原告らは、令和4年3月以前には、被告から、アンコンシャス・バイアス研修、情報セキュリティ研修、FD(ファカルティ・ディベロップメント)研修等の受講が義務付けられておらず、実際に受講もしていなかった。 (乙全24、原告A)(ウ) 被告において、非常勤講師による不適切な言動等が判明したとしても、懲戒処分等を行うことは予定されていなかった。(乙全24、証人M、証人F)ウ授業内容及び実施方法等 (ア) 原告A a 専門分野等原告Aは、新英米文学会及び日本映画学会に所属し、ポストコロニアル批判理論に関する研究を行っている。 (以下専門分野部分省略)b 授業内容等 原告Aは、被告での授業において、上記の調査研究活動による知見等に基づき、授業内容 ポストコロニアル批判理論に関する研究を行っている。 (以下専門分野部分省略)b 授業内容等 原告Aは、被告での授業において、上記の調査研究活動による知見等に基づき、授業内容や使用する教材等を自身が決定していた。例えば、被告で担当する授業において原告Aが取り上げていた「□□□□」というテーマは、自身の学会での活動により培われた知見に基づくものである。 (上記a、bにつき、乙A3、原告A本人)(イ) 原告Ba 専門分野等(専門分野等省略)b 授業内容等 原告Bは、被告で担当する講義において、自らの専門分野の研究に基づいて授業内容を考え、(授業内容等省略)各種文献を用いることや、学生との対話を通じて理解と考察を深めていく形式で授業を進めることなどを自ら決定していた。 (上記a、bにつき、甲B12、乙B4、原告B本人) (ウ) 原告Ca 専門分野等原告Cは、日本言語学会及び日本語文法学会に所属し、言語学や日本語教育に関する研究を行っている。 b 授業内容等 ●●●●で開講される日本語科目の多くは、専任教員と非常勤講師で 構成されたチームティーチング体制を採用しており、各科目別に設定された学内通信ツールで日々の連絡、非常勤講師から専任教員への授業報告や授業の進め方に関する質問、相談がされたり、専任教員から非常勤講師への回答や依頼等がなされたりしていた。また、授業が開講される前に、授業を担当する専任教員と非常勤講師とで学期前ミーティングを 行い、クラスの運営方針等を共有したり、学期終了後には「教育の改善のためのリフレクション会議」としてミーティングを行ったり れる前に、授業を担当する専任教員と非常勤講師とで学期前ミーティングを 行い、クラスの運営方針等を共有したり、学期終了後には「教育の改善のためのリフレクション会議」としてミーティングを行ったりした。ただし、ミーティングについては、他大学での授業等で都合がつかない場合には、参加しない非常勤講師もいた。 日本語集中コース(■■■■)及び総合日本語(■■■■)は、1つ のクラスを1名の専任教員と複数名の非常勤講師で担当した。シラバス作成、授業計画(活動、目標、スケジュール)作成などは専任教員が行い、使用する教科書は●●●●全体で統一されていた。 総合日本語(■■■■)は、複数の非常勤講師で担当するオムニバス形式の授業であり、複数の講師が同じ内容を複数のクラスに教えるとい う態様の授業であった。シラバスは非常勤講師が作成し、授業計画(活動、目標、スケジュール)は複数の非常勤講師らで話し合って決定した。 原告Cは、シラバスと授業計画に従って、指定された教科書を使用して授業を実施した。 日本語集中コース(■■■■)では、学期末に「修了発表」として学 生一人一人が日本語で発表をすることになっており、原告C及び原告Dを含む非常勤講師は、数名の学生を割り当てられ、修了発表の援助を行っていた。 (上記a、bにつき、甲C5、甲D5、10、11、乙C2、原告C本人、原告D本人) (エ) 原告D a 専門分野等について原告Dは、日本語教育学会やI大学大学院の言語コミュニケーション文化学会に所属し、日本語教育を専門分野とする教育研究活動を行っている。 b 授業内容等 原告Dは、原告Cと同じく日本語集中コース(■■)及び総合日本語(■■■■)を担当したほか、▲▲▲▲という 日本語教育を専門分野とする教育研究活動を行っている。 b 授業内容等 原告Dは、原告Cと同じく日本語集中コース(■■)及び総合日本語(■■■■)を担当したほか、▲▲▲▲という、被告に入学予定の韓国人高卒留学生らを対象とした進学準備、予備教育を担当した。▲▲▲▲は、プログラム全体のコーディネーターである専任教員がおり、各科目につき異なる非常勤講師が授業を行った。 (上記a、bにつき、甲D11、乙D2、原告D本人)エ成績の入力等(ア) 被告は、成績管理システムである△△△△(乙全7~10の各1)を利用して成績管理等を行っており、非常勤講師である原告らに対し、学期末が近づいた時期に成績評価の報告を行うよう依頼していた。 成績は、試験やレポートなどについて100点満点で評価し、90点以上をS、80点以上90点未満をA、70点以上80点未満をB、60点以上70点未満をC、60点未満をF(不合格)とすることとされていた。 原告らは、担当した科目につき、上記の基準で成績を評価し、△△△△を利用して成績登録をし、「確定」をクリックして成績登録を確定させて いた。 (以上につき、甲全9の1、甲A11、甲B12、原告A本人)(イ) 令和4年3月以前には、非常勤講師とは別に、被告の教員も△△△△で成績登録を行うことができる(すなわち、非常勤講師が採点の結果を入力したデータにつき、被告の教員において変更修正ができる)状態であり、 専任教員の指示に基づいて、教務の事務担当者が成績登録を修正すること があった。(乙全7の1、9の1、10の1、24、証人M)なお、●●●●の科目の採点・成績評価は、試験問題の作成、採点、採点結果の△△△△への入力まで非 を修正すること があった。(乙全7の1、9の1、10の1、24、証人M)なお、●●●●の科目の採点・成績評価は、試験問題の作成、採点、採点結果の△△△△への入力まで非常勤講師に委ねるもの(■■■■、▲▲▲▲)と、筆記試験の問題作成、口頭試験の課題と評価項目の作成等は専任教員が行い、一部の試験の実施、採点、採点結果の報告までを非常勤講 師が行い、専任教員がこれらを集約して最終評価を決定するもの(■■■■、■■■■)があった。(甲全29、甲C5、甲D11、乙全24)オ他の業務の指示の有無等被告において、原告らに対し、シラバスに記載した内容の授業の実施や、委嘱契約の締結に先立って提示している授業の水準や基準等の履行を求め ることを超えて、シラバスに記載されていない業務の依頼や指示がなされることはなかった。(弁論の全趣旨)カ社会保険等非常勤講師である原告らは、社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)や雇用保険の適用対象とされていなかったが、報酬について給与所得と して源泉徴収がされていた。(甲全1、乙A1、乙B1、乙C1、乙D1、弁論の全趣旨)また、原告らは、被告から、年次有給休暇に相当する休暇を付与されていたが、これを取得してもシラバスで定められた回数の授業を実施する必要があった。(弁論の全趣旨) ⑷ 被告の労働者である非常勤教職員の労働条件や業務内容等ア採用手続被告では、労働者である任期がない教員や職員の採用は、全て公募とされている。教員については、応募者につき、教授会の決定に基づいて組織される選考委員会での業績審査や選考を経て、教授会の決議を受け、学長 の決裁を得ることが必要である。(証人F) て公募とされている。教員については、応募者につき、教授会の決定に基づいて組織される選考委員会での業績審査や選考を経て、教授会の決議を受け、学長 の決裁を得ることが必要である。(証人F) イ業務内容被告と有期雇用契約を締結している外国語学部の特任講師は、授業の実施以外にも、研究科に所属する学生への研究指導、外国籍の教員のサポート、他大学(海外の大学)との共同研究プロジェクトの運営補助等の業務に従事していた。(乙全22~24) ウ労働条件等特任講師の時間給単価の上限は、平成31年4月以降、3624円であった。(乙全2)また、語学の授業を担当する特任講師の所定労働日と所定労働時間は、以下のとおりである。(乙全22、弁論の全趣旨) 月曜日:始業時刻 9時45分終業時刻 18時30分休憩時間 12時15分から13時まで水曜日:始業時刻 9時30分終業時刻 18時15分休憩時間 12時15分から13時まで木曜日:始業時刻 8時45分終業時刻 16時30分 休憩時間 12時15分から13時まで当該特任講師は、論文作成等を行っているほか、学生の研究指導、海外の大学との共同研究プロジェクト等に従事し、所定労働日以外の曜日における就労や所定時間外労働が命じられる場合もある。この所定時間外労働時間については、国立大学法人J大学非常勤職員(短時間教育研究等職員)給与規 程に基づき、割増賃金が支払われている。(乙全23、証人M)エ特任講師を含む教員の労働時間管理について特任講師を含む被告の教員については、パソコンの勤怠管理システムを使用して労働時間管理が行われており、始業時刻や終業時刻が定まっている特 3、証人M)エ特任講師を含む教員の労働時間管理について特任講師を含む被告の教員については、パソコンの勤怠管理システムを使用して労働時間管理が行われており、始業時刻や終業時刻が定まっている特任講師等については、出勤時・退勤時に、システム上の出勤・退勤の打刻を することになっている。また、裁量労働制が採用されている教授や准教授は、 同じ勤怠管理のシステム上に出勤した日の労働時間数を入力することになっている。(証人M)オ就業規則に基づく注意指導処分等被告においては、教員に対し、授業の実施や上記の各業務において不適切な言動等があった場合、就業規則に基づき、懲戒処分等を行うことが可 能であった上、このような言動を予防する観点から、アンコンシャス・バイアス研修等の受講を業務命令として命じることができた。(乙全24、証人M、証人F)⑸ 本件各有期雇用契約が締結された経緯等ア文部科学省高等教育局大学振興課は、各国公私立大学担当部局宛に、令 和3年4月8日付け事務連絡を発出し、一部の大学において、大学が直接雇用していない者に実質的に授業を担当させるという不適切と思われる事案があったとして、大学が直接雇用した教員ではなく請負契約や準委任契約等を締結した者を活用して授業を実施する場合の留意点を周知した。 (甲全6) イ令和3年6月頃、衆議院厚生労働委員会において、国会議員から、準委任契約である被告における非常勤講師の契約形態について、適切な契約変更を行うよう指導すべきではないかとの質問があり、文部科学省から、不適切な事案が判明した場合は必要な指導・助言をする旨の答弁がされた。 これを契機として、被告において、非常勤講師が担当する授業を含めた 各授業科目について、主体 質問があり、文部科学省から、不適切な事案が判明した場合は必要な指導・助言をする旨の答弁がされた。 これを契機として、被告において、非常勤講師が担当する授業を含めた 各授業科目について、主体性と責任を持って、大学の授業として適切に位置付けて教育の質保証に努める必要があると考え、部局等が非常勤講師の授業実施に関し、適切に関与する必要があるとして、非常勤講師が担当する授業実施の現状を把握するために、アンケートを実施した。被告は、その結果を踏まえて、文部科学省に対し、被告において、適切な形で主体性 と責任を持って、大学の授業として適切に実施していた旨を報告した。 (以上、甲全40、証人F)ウ被告は、令和3年9月以降、更なる教育の質保証等の観点から、①非常勤講師が実施する授業について、被告が主体性と責任を持って実施する体制を整備する、②実態把握を行いつつ、準委任契約を締結した者を個別の実態に応じて労働契約に切り替えることを視野に入れた制度設計に早急に取り組 むこととし、△△△△等の「授業担当者名」に専任教員名を併記するなど、専任教員が非常勤講師の担当する授業に関与する方針を示した。(甲全37)エ被告は、令和4年4月、原告らとの間で、本件各有期雇用契約を締結した。 (前提事実⑹)⑹ 本件各有期雇用契約の締結後の原告らの就労状況等 ア本件就業規則の適用非常勤講師である原告らには、令和4年4月以降、本件就業規則が適用されることになった。(前提事実⑶オ)イ勤怠管理等(ア) 原告A及び原告Bは、被告のNキャンパス(外国語学部)において、令 和4年4月以降、授業の都度(例えば、金曜日の5コマと6コマを連続して担当する場合には、各コマの授業の都度)、カードリーダーへの読 A及び原告Bは、被告のNキャンパス(外国語学部)において、令 和4年4月以降、授業の都度(例えば、金曜日の5コマと6コマを連続して担当する場合には、各コマの授業の都度)、カードリーダーへの読み込みを義務付けられた。(乙全13、24、証人M)(イ) 原告C及び原告Dは、被告のKキャンパス(●●●●)において、令和4年4月以降出勤簿を提出し、被告の専任教員において、当初の予定 のみならず、予定を変更して行った授業の実績を確認する方法で労働時間管理が行われていた。 また、Kキャンパス(●●●●)においては、シラバスとは異なる授業開始時刻と授業終了時刻を指定して、原告C及び原告Dに授業を担当させることもあった。 (以上につき、乙C4~C6、乙D5~D7、証人M) ウ原告らに対する成績管理手当及び教育関連手当の支給等(ア) 成績管理手当の支給等成績管理責任者は、成績管理の責任を担い、「ⅰ.当該科目の成績評価の手法(方法)及び配点基準の設定」、「ⅱ.ⅰに基づく測定(採点)」、「ⅲ.ⅱの測定結果に基づく成績評価」の全てを担当する者であるとこ ろ、従前は専任教員が担当していたが、令和4年4月以降、被告では各学部学科の判断で非常勤講師を成績管理責任者に任命できるようになり、上記業務の対価として成績管理手当が支給されることとされた。(甲全11、乙全7~9の各1、乙全24、証人M)原告A、原告B及び原告Cは、同月以降、成績管理責任者となり、非常 勤講師成績管理手当の支給を受けた。(乙全7~9の各2、乙A5、乙B6、乙C7)(イ) 非常勤講師教育活動関連手当の支給等令和4年4月以降、被告では、非常勤講師らに対し、「授業計画に関する打合せ」や「学科・専 全7~9の各2、乙A5、乙B6、乙C7)(イ) 非常勤講師教育活動関連手当の支給等令和4年4月以降、被告では、非常勤講師らに対し、「授業計画に関する打合せ」や「学科・専攻等が必要であると認めた授業以外の活動・業 務」(コアカリキュラム策定等に関する会議体への参加、各専攻におけるカリキュラムに基づく授業目標等の策定への参加等)への参加・従事を命じることができるようになり、これらの活動に従事した非常勤講師に対し、非常勤講師教育活動関連手当が支給されることとされた。(甲全11、乙全24) 原告Cと原告Dは、業務命令により「研修・会議等」への参加を命じられ、非常勤講師教育活動関連手当の支給を受けた。(乙C7、D8)エ研修の受講等令和4年4月以降、被告では、非常勤講師に対し、情報セキュリティ研修やアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)研修等の学内研修の受講が義 務付けられた。さらに、令和5年度には、非常勤講師に対し、「公的研究費 の取扱いに関する理解度チェック」、「ハラスメント研修及びハラスメント意識チェック」、「安全保障輸出管理全学説明会」の受講も義務付けられた。 (乙全14~16)原告らは、令和4年度、被告本部が実施した情報セキュリティ研修を受講し、原告A、原告B及び原告Dは、同様に実施されたアンコンシャス・バイ アス研修も受講した。もっとも、原告Cは、アンコンシャス・バイアス研修を受講しなかったが、●●●●が実施したアンコンシャス・バイアスセミナー(被告大学本部が実施した研修とは別のものであるが、同様のセミナー)を受講した。(乙全14、15、24、原告A本人、原告D本人)オ懲戒処分等の対象等 令和4年4月以降、被告では、本件就業規則22条 部が実施した研修とは別のものであるが、同様のセミナー)を受講した。(乙全14、15、24、原告A本人、原告D本人)オ懲戒処分等の対象等 令和4年4月以降、被告では、本件就業規則22条に基づき、非常勤講師である原告らにも諸規則の遵守義務が課され、同43条に基づく懲戒処分の対象となった。(甲全12、乙全24)また、同月以降、被告では、原告らも国立大学法人J大学教職員労働災害補償規程の適用対象となった。(甲全12(55~56条)) ⑺ 原告らの他の大学等での就労状況等ア原告A原告Aは、平成10年度からO大学で、非常勤講師として週2コマの英語科目の授業を担当し、その報酬は、時給5000円台であった。原告Aは、同大学に対して無期雇用契約の締結を申し込み、平成31年4月以降、無期 雇用となった。(甲A11、原告A本人)イ原告B原告Bは、平成21年4月からP大学経済学部で専門科目の授業を担当し、その報酬として月2万9000円程度を得ており、他の大学でも非常勤講師として授業を担当し、一定の収入を得ている。(甲B12、原告B本人、弁論 の全趣旨) ウ原告C原告Cは、遅くとも平成30年までに、Q大学、R大学及びS大学との間で有期雇用契約を締結して授業を担当していたが、同年以降、上記各大学に対して無期雇用契約の締結を申し込み、無期雇用となった。 上記各大学からの報酬は、Q大学が1コマあたり月1万1000円、R大 学が1コマあたり月2万6000円、S大学が1コマあたり月3万円であり、原告Cは、令和4年度には、Q大学で週3コマ、R大学で週2コマ(通年)、後期のみが週5コマ、S大学で週2コマを担当していた。 (以上につき、甲C5、原告C本人)エ マあたり月3万円であり、原告Cは、令和4年度には、Q大学で週3コマ、R大学で週2コマ(通年)、後期のみが週5コマ、S大学で週2コマを担当していた。 (以上につき、甲C5、原告C本人)エ原告D 原告Dは、遅くとも令和4年頃には、I大学で週7コマの授業を担当していた。(甲D11、原告D) 2 事実認定の補足説明⑴ 委嘱契約の契約書の作成時期等(認定事実⑵イ)についてア原告らは、被告がシラバスの提出期限よりも前に契約書の作成に着手して いた旨主張し、これに沿うとともに、証人Mの、委嘱先候補者が作成したシラバスの内容を確認した後に契約書を作成する旨の証言を弾劾するために甲全41を提出する。確かに、甲全33では、シラバスの登録期限が令和2年3月6日とされているところ、甲全41は、被告総務部人事課長が非常勤講師宛に同年2月28日付けで委嘱に係る契約書等の送付を連絡する旨の 文書であり、両書証の先後関係からすると、証人Mの上記証言内容とは整合しないようにみえる。 しかし、シラバスの提出期限よりも前に委嘱先候補者から当該科目のシラバスの作成を受け、専任教員がその内容を確認できれば、当初の提出期限前に契約書を作成することも十分に考えられることから、甲全41をもって、 直ちに証人Mの上記証言の信用性が失われることにはならず、認定事実⑵イ の認定を左右しない。 イまた、原告らは、委嘱契約に係る契約書の作成前に、個人ID、給与口座振込書、扶養控除等(異動)申告書の提出依頼や旅費等の案内があった旨主張し、甲全33~35を提出する。 しかし、上記各証拠は、契約締結後に必要な提出物や個人ID、車両入構 証の発行の為の手続等の案内をしているにすぎないから、シラバス作成前の、原告らが内諾 旨主張し、甲全33~35を提出する。 しかし、上記各証拠は、契約締結後に必要な提出物や個人ID、車両入構 証の発行の為の手続等の案内をしているにすぎないから、シラバス作成前の、原告らが内諾した段階で委嘱契約が成立していたことを裏付けるものということはできない。 ウしたがって、原告らの上記各主張は採用することができない。 ⑵ ●●カードによる授業実施確認(認定事実⑶ア(イ))について 原告Aは、令和3年度についても授業ごとに●●カードをカードリーダーにかざしていた旨供述する。 しかし、甲全36は、令和3年度のNキャンパスにおいて、授業実施日に同カードをカードリーダーにかざすことにより、勤務報告、講義室機材の起動及びコピー機の利用ができ、これをしないと勤務報告がされないことや読 み込みの方法等が説明されているだけであり、授業ごとにこれをすべきとの指示がされているわけではない。「講義室の利用」に際して、講義室の機材の電源を入れるために「毎限ごとにカード読み込み」が必要となるから(甲全36・4頁)、原告Aは、講義室の機材の利用のために、授業ごとに同カードをカードリーダーにかざしていたものと推認できる。 そうすると、原告Aの上記供述をもって、原告Aが被告から授業ごとに同カードをカードリーダーにかざすように指示されていた事実を認めることはできず、ほかに当該事実を認めるに足りる証拠はない。 3 争点⑴(本件訴えのうち、争点⑷⑸に係る原告らの将来の賃金請求のうち、本判決確定後の賃金請求部分に訴えの利益があるか)について ⑴ 雇用契約上の地位の確認と同時に将来の賃金を請求する場合、雇用契約上の 地位を確認する判決の確定後も使用者が賃金を支払わないと予想されるなどの特段の事情がない限り、判決確 ⑴ 雇用契約上の地位の確認と同時に将来の賃金を請求する場合、雇用契約上の 地位を確認する判決の確定後も使用者が賃金を支払わないと予想されるなどの特段の事情がない限り、判決確定の日の翌日以降に支払期日の到来する賃金については、あらかじめその請求をする必要(民訴法135条)がないと解するのが相当である。 ⑵ これを本件についてみるに、上記特段の事情を認めるに足りる証拠はないか ら、争点⑷⑸に係る原告らの将来の賃金請求のうち、本判決確定の日の翌日から毎月17日限り、原告Aにつき6万6850円、原告Bにつき3万3425円、原告Cにつき13万9270円及び原告Dにつき16万7125円並びにこれらに対する各支払日から支払済みまで年3分の割合による金員の支払を求める部分は、訴えの利益を欠き、不適法なものとして却下を免れない。 4 争点⑵(本件各委嘱契約は有期雇用契約で(原告らの労働者性)、本件各申込みにより無期雇用契約に転換したか)について⑴ 労働者性の判断枠組み労契法は、労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによっ て成立すると定め(6条)、労働者は、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいうと定めている(2条)ことを踏まえると、本件各委嘱契約において、原告らが労契法2条の「労働者」に当たるか否かについては、本件各委嘱契約の内容や本件各委嘱契約に基づく労務の提供の実態等に照らし、原告らと被告との間に使用従属関係(使用従属性)があるといえるか、すなわち、① 原告らが被告の指揮監督下において労務を提供したか(具体的仕事の依頼、業務従事の指示に対する諾否の自由の有無、業務遂行上の指揮監督の有無、勤務場所及 用従属性)があるといえるか、すなわち、① 原告らが被告の指揮監督下において労務を提供したか(具体的仕事の依頼、業務従事の指示に対する諾否の自由の有無、業務遂行上の指揮監督の有無、勤務場所及び勤務時間に関する拘束性の有無及び程度、労務提供の代替性の有無)、②原告らの報酬が①の対価として支払われたか(労務対償性)、③その他の事情(原告らの事業者性の有無や専属性の程度等)を総合的に考慮して判断する のが相当である。 ⑵ 原告らが被告の指揮監督下において労務を提供したかについてア具体的仕事の依頼、業務従事の指示に対する諾否の自由の有無(ア) 検討非常勤講師である原告らは、被告から、授業時間外の学生からの質問対応や各種研修の受講が義務付けられておらず、委嘱に係る授業以外の業務 遂行を求められることも想定されておらず、実際にもこれらの業務を依頼されていないこと(認定事実⑶ア、イ、オ)、シラバスが作成された後、シラバスに定めた試験内容や採点配分等について変更されることはなかったこと(認定事実⑵イ(ウ))が認められるが、外国語学部の特任講師は、所定労働日以外の曜日における就労や所定時間外労働を命じられることが あるというのである(認定事実⑷ウ)。 以上によると、原告らは、被告と有期雇用契約を締結している外国語学部の特任講師とは異なり、本件各委嘱契約において合意した内容以外に具体的な仕事の依頼や業務従事の指示を受けることがなく、本件各委嘱契約で合意した業務を超えた業務の依頼等がなされてもこれに応じる義務が ないというのであり、これらの事情は、原告らに業務従事の指示等について諾否の自由があることをうかがわせるものであり、指揮監督関係の存在を否定する方向に働くものとい されてもこれに応じる義務が ないというのであり、これらの事情は、原告らに業務従事の指示等について諾否の自由があることをうかがわせるものであり、指揮監督関係の存在を否定する方向に働くものといえる。 (イ) 別紙4の原告らの主張1⑴について●●●●(原告C及び原告D)の科目について、シラバスは、委嘱契約 の締結に先立ち、委嘱契約に基づく非常勤講師ではない被告の教員が作成しており、非常勤講師である原告らがこれを作成することはない(認定事実⑵イ(イ))。そして、外国語学部(原告A及び原告B)の科目について、次年度の委嘱契約の締結に先立ち、業務の具体的内容を確定する前の段階で、被告から委嘱先候補者に対し、「開講科目」に対応する授業内 容の提案としてシラバスの作成を依頼しているものであり(認定事実⑵ イ(ア))、シラバスの作成が委嘱契約に基づく業務の履行とはいえない。 また、原告らが確定したシラバスの内容に沿って各回の授業を行うことや成績評価又はその基礎となる採点を行うことは、被告における授業の実施という業務の性質上当然に予定されているものであり、本件各委嘱契約に基づく業務の履行にほかならないから、業務従事の指示等について諾否 の自由がないことを基礎付ける事情と評価することはできない。 イ業務遂行上の指揮監督の有無について(ア) 検討雇用契約を締結している専任教員か非常勤講師を問わず、大学教員が担当する授業の実施という業務は、高等教育機関である大学において、専門 的な学問分野における専門的知識を学生らに教授するものであり、その講義の内容や実施方法については教授の自由(憲法23条)が保障されており、授業担当者の裁量が広範であるという性質を有することから、その業務の性質上、授業 専門的知識を学生らに教授するものであり、その講義の内容や実施方法については教授の自由(憲法23条)が保障されており、授業担当者の裁量が広範であるという性質を有することから、その業務の性質上、授業の内容、遂行方法について、基本的に大学側から具体的な指示を受けることにはなじまないものといえる。そして、このような具 体的な指揮命令になじまない業務について、被告の一般的な指揮監督を認めることができるか否かを判断するに当たっては、その業務が本件各委嘱契約の内容に従って行われているにすぎないと評価し得るか、それとも、その業務にあらかじめ本件各委嘱契約において定めることが困難なものが含まれ、具体的場面において被告の指揮監督を想定する必要があるかと いう点も考慮すべきである。 以上の点を踏まえて本件についてみると、原告らの担当時間数は、原告Aが週に1日・2コマ、原告Bが週に1日・1コマ、原告C及び原告Dが週に2日・合計5~6コマにとどまっていること(前提事実⑷ア~エ)、非常勤講師はシラバスの内容や授業計画(授業の時間割)の検討、コアカリ キュラムの策定等への関与をしないこと(認定事実⑵ア)、成績管理の責 任者は専任教員が担っており、非常勤講師は成績評価の最終決定者ではなかったこと(認定事実⑶エ)等の事情は、非常勤講師である原告らは、授業の担当について広範な裁量を有することを考慮しても、あらかじめ本件委嘱契約で定められたところに従って業務を遂行するにとどまり、業務の遂行に当たり、被告から一般的のみならず、具体的な指揮監督を受けるこ とが想定されていないことがうかがわれるのであり、業務遂行上の指揮監督を否定する方向に働くものといえる。 (イ) 原告らの主張の検討a 別紙4の原告の主張2⑴⑵について 督を受けるこ とが想定されていないことがうかがわれるのであり、業務遂行上の指揮監督を否定する方向に働くものといえる。 (イ) 原告らの主張の検討a 別紙4の原告の主張2⑴⑵について事業組織への組入れは、団体交渉の保護を及ぼすべき労働者はいかな る者かという観点から考案された要素と理解するのが相当であり、労契法又は労基法における労働者性を検討するに当たり、使用者による具体的な指揮命令になじまない業務について、使用者の一般的な指揮監督を肯定することができるか否かを判断する際には、事業組織への組入れという要素ではなく、具体的事実関係の下において、その業務が本件各委 嘱契約の内容に従って行われているにすぎないと評価し得るか、それとも、その業務にあらかじめ本件各委嘱契約において定めることが困難なものが含まれ、具体的場面における使用者の指揮監督を想定する必要があるかといった視点から検討をするのが相当である。 これを本件についてみると、上記(ア)で説示したとおり、委嘱された 科目の授業の実施という原告らの業務は、具体的場面において使用者による指揮監督がなされることはそもそも想定されておらず、本件各委嘱契約の内容に従って行われているにすぎないというべきである。 したがって、原告らの上記主張は採用することができない。 b 別紙4の原告らの主張2⑶について 上記アで説示したとおり、●●●●(原告C及び原告D)では委嘱契 約に基づく非常勤講師でない被告の教員がシラバスを作成しているのであって、外国語学部では、シラバスは、委嘱契約の締結に先立ち、被告の「開講科目」に対応する授業内容の提案を委嘱先候補者から受ける趣旨で作成を依頼されているものであって、被告からのシラ 成しているのであって、外国語学部では、シラバスは、委嘱契約の締結に先立ち、被告の「開講科目」に対応する授業内容の提案を委嘱先候補者から受ける趣旨で作成を依頼されているものであって、被告からのシラバスの内容の修正依頼は委嘱契約の内容を確定させる交渉過程であると評価 できるのであり、委嘱契約に基づく被告による指揮監督がされていることを基礎付ける事情には当たらないというべきである。 また、原告らが、シラバスと授業計画の内容に従って授業を行い、成績評価等を行うことは、本件各委嘱契約の義務の履行そのものであるほか、成績評価の方法等の指定があったとしても、非常勤講師であ る原告らは、被告の授業を提供するという業務を行う以上、多数の学生を公平に取り扱い、被告の求める一定の水準を満たす授業内容を提供することが求められるという業務の性質上不可欠なものといえるのであり、これらの事情があることをもって、原告らが被告から指揮監督を受けていたと評価することはできない。 c 別紙4の原告らの主張2⑷について確かに、原告Aは、①平成29年3月、被告から年間200ページのリーディングアサインメントと、前期(春夏学期)と後期(夏冬学期)の終わりにA4の英文のアサインメントの実施を求められていたこと(甲A6)、②令和元年のシラバス作成に当たって、被告から、文部科 学省からの指摘を踏まえた修正指示を受けたり、また教職課程の再認定後には同省に提出したシラバスから内容を変えないよう求められたり、必要書類を提出するよう求められていたことが認められる(甲A8~10)。 しかしながら、上記①は、いずれも委嘱契約の内容である授業実施の 内容に関する事項であり、被告の求める一定の水準を満たす授業内容を 提供すること 認められる(甲A8~10)。 しかしながら、上記①は、いずれも委嘱契約の内容である授業実施の 内容に関する事項であり、被告の求める一定の水準を満たす授業内容を 提供すること等が要請されるという業務の性質上不可欠な指示にとどまるというべきである。そして、上記②は、文部科学省の通達により全国の大学で対応が必要なもので(甲A8~10)、被告が原告Aに対して個別に対応を求めるものではない上に、授業の実施に関連するものであるから、委嘱契約の性質上、不可欠な指示であるというべきである。 また、●●●●では、非常勤講師でない被告の教員がシラバスの作成や授業計画の作成を行い、使用する教科書も同センター全体で統一されていたほか、原告C及び原告Dは、■■■■と■■■■のクラスについて、授業内容や遂行方法について専任教員から具体的な指示を受けることがあったことが認められる(甲全28、29)が、これらは、留学生 にチームティーチング方式で日本語プログラムを提供するという同センターの授業の特殊性に由来するものということができるのであって、被告から指揮監督を受けていたと評価するには足りないというべきである。 d 別紙4の原告らの主張2⑸について 原告らが主張する授業以外の業務の内容は、本件各委嘱契約の履行としてなされるべきものや上記cで説示した●●●●の授業の特殊性によるものであるから、これらをもって被告から指揮監督を受けていたと評価することはできない。 ウ勤務場所及び勤務時間に関する拘束性の有無及び程度について 非常勤講師である原告らの授業は、被告から指定された講義室や時間帯(曜日と時限)で実施されていたところ(認定事実⑶ア(ア))、大学の授業は一定の日時に一定の場所で行うものであること ついて 非常勤講師である原告らの授業は、被告から指定された講義室や時間帯(曜日と時限)で実施されていたところ(認定事実⑶ア(ア))、大学の授業は一定の日時に一定の場所で行うものであることからすると、業務の性質上、必然的に上記の場所及び時間の指定がされているにすぎないのであって、原告らが本件各委嘱契約によって強い時間的かつ場所的な拘束を受けていた ということはできない。 加えて、令和4年3月までは、原告らは、当該授業に登壇したことの確認として、出勤簿への押印や、定期的にまとめて授業実施の報告がなされるなどしていたにすぎず、出退勤時刻や講義の実施時間について報告がなされていなかったことが認められる(認定事実⑶ア(イ)(ウ))。 以上のとおり、原告らは、厳密な勤務時間管理を受けておらず、時間的な 拘束性が弱かったということができるのであり、かかる事情は指揮監督関係の存在を否定する方向に働くものということができる。 エ労務提供の代替性の有無について非常勤講師である原告らが、第三者に授業を代替させることは認められていないところ(当事者間に争いがない。)、大学の授業という業務の性質上、 代講の措置を採るなどの特殊な場合を除いて、第三者が原告らに代替して授業を実施することはそもそも予定されていないのであって、原告らの業務に代替性がなかったからといって、直ちに指揮監督関係の存在を基礎付けるものと評価することはできない。 ⑶ 原告らの報酬が労務提供の対価として支払われたか(労務対償性)について 本件各委嘱契約において、所定業務時間は、原告A及び原告Bが合計30時間、原告C及び原告Dが合計60時間とされており(前提事実⑷ア~エ)、原告A及び原告Bが半期で15コマ、原告C及び原告Dが半 本件各委嘱契約において、所定業務時間は、原告A及び原告Bが合計30時間、原告C及び原告Dが合計60時間とされており(前提事実⑷ア~エ)、原告A及び原告Bが半期で15コマ、原告C及び原告Dが半期で30コマを担当すると、1回当たり2時間となる。非常勤講師である原告らの報酬は、1コマを2時間相当として、授業1回につき1万3370円と算定されている こと(前提事実⑷ア~エ)からすると、上記報酬は時間給を基礎として算定されているとみる余地がある。 しかし、被告における授業は1コマ90分であって(前提事実⑷ア~エ)、上記報酬が厳密に時間当たりの対価と評価できるかについては検討を要する。 すなわち、被告が報酬を上記のような算定方法によっているのは、授業の事 前準備等を考慮し、単に授業の実施時間数に応じた報酬を定めることが相当 ではないとして、授業時間(90分)に30分加えた時間を報酬算定の基礎としたとみることができる。授業の事前準備としてどの程度の作業をどの程度の時間をかけて行うかは原告らに委ねられているのであり、被告における授業の実施は、成果物の完成を目的とする請負等とは異なり、出来高等の成果によって報酬を決定することが性質上困難であることも踏まえると、単位 時間当たりの金額を基礎として、報酬を定めざるを得ない側面も否定できないことからすると、上記の報酬の算定方法をもって、直ちに労務対償性があると評価することはできない。 ⑷ その他の事情についてア事業者性の有無 (ア) 検討非常勤講師である原告らの報酬は、1時間当たり6685円であり(前提事実⑷ア~エ)、被告において期間を定めて雇用され、原告らと類似の業務に従事する特任講師の時間給単価の上限が3624円であったこと(認定事実⑷ウ)と 告らの報酬は、1時間当たり6685円であり(前提事実⑷ア~エ)、被告において期間を定めて雇用され、原告らと類似の業務に従事する特任講師の時間給単価の上限が3624円であったこと(認定事実⑷ウ)と比較すると、原告らの時間給単価が特任講師のそれ よりも約2倍であって、相当高額である。このような事情は、原告らの事業者性を基礎付け、労働者性を否定する方向に働くものである。 (イ) 原告らの主張の検討a 別紙4の原告らの主張6⑴について被告での講義という業務の性質上、原告らが被告の機器等を使うこと は通常あり得るから、これをもって原告らの労働者性を補強する要素になるものということはできない。 b 別紙4の原告らの主張6⑵について本件各委嘱契約の締結時、原告らの授業担当時間数は、週1~2コマ(原告A及び原告B)又は週に5~6コマ(原告C及び原告D)に限ら れ(前提事実⑷ア~エ)、原告らは被告の授業以外の時間に被告以外の 大学で授業を担当して相応の収入を得ていたというのであるから、被告における年収に差があることをもって、原告らと特任講師の時間給単価の比較が有意でないとはいえず、原告らの上記主張は採用することができない。 イ専属性の程度 原告らの授業担当時間数は、原告Aが週に1日・2コマ、原告Bが週に1日・1コマ、原告C及び原告Dが週に2日・合計5~6コマであって、原告らの被告から受け取る報酬の年額は、40万円(年2コマ)~200万円(年10コマ)程度にとどまること(前提事実⑷ア~エ)、原告らは、本件各委嘱契約締結時、他大学等で週2~8コマの授業を担当していたこと(認定事実 ⑺)からすると、他大学等の業務に従事することが、制度上制約されたり、時間的余裕がなく事実上困難である場合であった 各委嘱契約締結時、他大学等で週2~8コマの授業を担当していたこと(認定事実 ⑺)からすると、他大学等の業務に従事することが、制度上制約されたり、時間的余裕がなく事実上困難である場合であったりして、報酬が生計を維持しうる程度のものであるとまではいえず、専属性が高く経済的に被告に従属しているとはいえない。 そうすると、原告らは被告への専属性が必ずしも高いとはいえず、労働者 性を補強するものとはいえない。 ウその他の事情(採用・委託等の際の選考過程、給与所得としての源泉徴収、服務規律等)(ア) 検討原告らについては、被告から支給された報酬について給与所得としての 源泉徴収がされており(認定事実⑶カ)、これは労働者性を補強する事情ということができる。 他方、本件各委嘱契約の締結手続は、任期がない教職員の採用手続とは異なっていること(認定事実⑷ア)、原告らは社会保険や雇用保険の対象とされていなかったこと(認定事実⑶カ)、原告らは、懲戒処分の対象と されていなかったこと(前提事実⑶ア、認定事実⑹オ)等の事情が認めら れるのであり、これらは労働者性を否定する方向に働くものである。 また、原告らは、被告から、年次有給休暇に相当する休暇を付与されていたが、これを取得してもシラバスで定められた回数の授業を実施する必要があり(認定事実⑶カ)、労基法39条の年次有給休暇とは同様のものとはいえず、これらの事情は原告らの労働者性を強く補強するものとはい えない。 (イ) 別紙4の原告らの主張8⑷について別紙2のとおり、本件規程には、職務専念義務(8条)、信用失墜行為等の禁止(9条)、守秘義務(10条)、セクシャル・ハラスメントの防止(12条)、安全衛生に関する遵守事 張8⑷について別紙2のとおり、本件規程には、職務専念義務(8条)、信用失墜行為等の禁止(9条)、守秘義務(10条)、セクシャル・ハラスメントの防止(12条)、安全衛生に関する遵守事項(15条)、出張等に関する定め(18 条)があるところ(前提事実⑶ア)、これらの定めは雇用契約に特有のものではなく、委任契約又は準委任契約においてもこれらの内容を定めることは可能であり、これらの定めがあるからといって、労働者性を補強するものと評価することはできない。むしろ、上記(ア)で説示したとおり、本件規程には懲戒処分等の懲罰に関する定めはないから、原告らの労働者性を補 強するものとはいえず、むしろこれを否定する方向に働くものいうことができる。 したがって、原告らの上記主張は採用することができない。 (ウ) 別紙4の原告らの主張8⑹について前提事実⑶イ~エによると、被告は、有期雇用教職員の契約期間を通算 して5年を超えることができない旨の規程を定め、平成25年4月1日にこれを施行し、同日以降、本件規程にも上記契約期間の制限が及ぶこととされ、平成26年4月1日、6か月のクーリング期間がある場合を除き、契約期間は通算して5年を超えることができないことが認められる。 これらの事情は、被告が非常勤講師を有期雇用教職員と同様に処遇する ものとして、原告らの労働者性を補強するものといえるが、委嘱契約であ っても、有期雇用契約との均衡上、契約期間の上限を定めて統一的な運用を図ることが許されないわけではないから、労働者性を強く補強するものとまではいうことはできない。 したがって、原告らの上記主張は採用することができない。 ⑸ まとめ(総合評価) 以上の検討を踏まえると、非常 ではないから、労働者性を強く補強するものとまではいうことはできない。 したがって、原告らの上記主張は採用することができない。 ⑸ まとめ(総合評価) 以上の検討を踏まえると、非常勤講師として本件各委嘱契約を締結していた原告らは、労働者である教員とは異なり、被告から、委嘱に係る授業以外の業務を義務として命じられることはなく、諾否の自由があることがうかがわれるほか(上記⑵ア(ア))、本件各委嘱契約で定められたところに従って業務を遂行するにとどまり、業務の遂行に当たり、被告から一般的のみならず、具体的な 指揮監督を受けることが想定されていないことがうかがわれる(上記⑵イ(ア))。 そして、原告らは、業務遂行に当たり厳密な勤務時間管理を受けておらず、時間的拘束が弱く、場所的拘束を受けること及び業務に代替性がないことは、業務の性質によるものであり、指揮監督関係の存在を基礎付けるものとはいえない(上記⑵ウ、エ)。 加えて、原告らの本件各委嘱契約における報酬の算定方法は、時間給を基礎として算定され、労務対償性があるとみる余地があるが、業務の性質上、単位時間当たりの金額を基礎として報酬を定めざるをえない側面もあり、直ちに労務対償性があると評価することはできない(上記⑶)。 また、原告らの報酬額は、有期雇用契約を締結して類似の業務に従事する特 任講師に比べると相当高く(上記⑷ア(ア))、専属性の程度は高くない(上記⑷イ)。原告らは、報酬について給与所得として源泉徴収され、被告から年次有給休暇に相当する休暇を付与されるなど(認定事実⑶カ)、労働者性を補強する事情も存在するものの、ほかの事情をも考慮すると、原告らの労働者性を強く補強するものとはいえない。 以上より、本件各委嘱契約の締結時、原告らは労働者であ (認定事実⑶カ)、労働者性を補強する事情も存在するものの、ほかの事情をも考慮すると、原告らの労働者性を強く補強するものとはいえない。 以上より、本件各委嘱契約の締結時、原告らは労働者であったと認めること はできず、本件各委嘱契約が雇用契約ということはできないから、本件申込みにより、これが無期雇用契約に転換したものということはできない。 ⑹ 別紙4以外の原告ら主張についてア上記第2の4⑵の原告らの主張ア(イ)について前提事実⑴イ、ウによると、原告A及び原告Bは、E大との間で有期雇用 契約を締結していたところ、本件統合に伴い、平成19年度の後期から被告との間で委嘱契約を締結したことを認めることができる。 しかし、本件統合は、被告がE大の権利義務を包括的に承継するものではなく(前提事実⑴ア)、本件統合に当たり、両者間で取り交わされた書面では、被告において、専攻語教育に必要な非常勤講師の確保は努力義務とさ れた上、外国語学部の非常勤講師総数の見直しも予定されていたのであり(前提事実⑵ア)、平成18年12月20日の統合推進協議会において、本件統合後の人事制度は、原則として被告の人事制度に合わせることを基本理念とすることが承認され(前提事実⑵イ)、E大は非常勤講師に対し、平成19度第2期(10月以降)の契約は本件規程に基づく契約になる旨を 通知し(前提事実⑵ウ)、原告A及び原告Bは、被告との間で委嘱契約を締結し、令和4年3月31日までこれを更新していたというのである(前提事実⑷ア、イ)。 そうすると、原告A及び原告Bは、E大との間で有期雇用契約を締結していたとしても、包括承継ではない本件統合により、被告との間で新たに 委嘱契約を締結したものであるから、上記⑸の結論を左右しない。 イ 、原告A及び原告Bは、E大との間で有期雇用契約を締結していたとしても、包括承継ではない本件統合により、被告との間で新たに 委嘱契約を締結したものであるから、上記⑸の結論を左右しない。 イ上記第2の4⑵の原告らの主張ア(ウ)について令和4年4月に本件各有期雇用契約が締結された後、①原告らは勤怠管理を義務付けられようになったこと(認定事実⑹イ)、②被告は、非常勤講師を成績管理責任者に任命できるようになり、その業務に従事すると成績管理手 当が支給されることになり、原告A、原告B及び原告Cは、成績管理者に任 命されて、同手当の支給を受けていたこと(認定事実⑹ウ(ア))、③被告は、非常勤講師に対し、シラバスの内容や授業計画に関する会議、コアカリキュラム策定に関する会議等、授業の骨子の作成に関する会議体への参加等を命じることができるようになり、これらの活動に従事した非常勤講師に対し、非常勤講師教育活動関連手当が支給されることになり、原告C及び原告Dは 同手当の支給を受けたこと(認定事実⑹ウ(イ))、④原告らは、被告から各種研修の受講を義務付けられこれらを受講するなど、授業以外の業務も義務付けられていたこと(認定事実⑹エ)、⑤原告らは、懲戒処分の対象となったこと(認定事実⑹オ)等が認められる。これらは、本件各委嘱契約締結時と比べると、有意的な差が生じていると評価できるのであり、本件各有期雇用契 約締結の前後で原告らの就労実態に変更はないということはできない。 したがって、原告らの上記主張は採用することができない。 また、本件各有期雇用契約が締結された経緯等(認定事実⑸ア~ウ)に照らすと、本件各有期雇用契約が締結されたのは、被告が、更なる教育の質保証等の観点から、非常勤講師が実施する授業について ない。 また、本件各有期雇用契約が締結された経緯等(認定事実⑸ア~ウ)に照らすと、本件各有期雇用契約が締結されたのは、被告が、更なる教育の質保証等の観点から、非常勤講師が実施する授業について、被告が主体性と責任 を持って実施する体制を整備し、非常勤講師との間の委嘱契約を労働契約に切り替える方針としたことによるものであり、被告と非常勤講師との間の委嘱契約が有期雇用であることを前提にされたものではないから、上記⑸の結論を左右しない。 ⑺ 小括 以上より、本件各委嘱契約が無期雇用契約に転換したことを認めることができないから、この点に関する原告らの請求は理由がない。 5 争点⑶(令和4年4月1日以降の原告らの賃金額の変更が労働条件の不利益変更に当たるか)について本件各有期雇用契約において、原告らの賃金を授業1回当たり1万1784円 と合意し、これが本件各委嘱契約における授業1回当たり1万3370円の報酬 を下回ったとしても、上記3で検討したとおり、本件各委嘱契約は雇用契約に当たらないから、本件で労契法9条の適用はない。 したがって、この点に関する原告らの請求は理由がない。 6 争点⑷(本件各雇止めは、上記⑵の無期雇用契約の解雇に当たり、無効か)について 上記4で説示したとおり、本件各委嘱契約が無期雇用契約に転換したことを認めることはできず、本件各雇止めが解雇に当たるということはできないから、この点に関する原告らの請求は理由がない。 7 争点⑸(本件各雇止めは労契法19条2号により無効か)について①平成25年4月1日に施行された国立大学法人J大学有期雇用教職員の契 約期間等に関する規程によると、有期雇用教職員について、期間等を通算して5年を超 19条2号により無効か)について①平成25年4月1日に施行された国立大学法人J大学有期雇用教職員の契 約期間等に関する規程によると、有期雇用教職員について、期間等を通算して5年を超えることはできないものとされ、これが、委嘱契約を締結する非常勤講師にも適用されたこと(前提事実⑶イ~エ)、②その後、被告においては、委嘱契約を締結した非常勤講師について、平成25年4月1日以降の期間を通算して10年を超えないものとする運用がされていたこと(甲全11、乙全25、証人F)、 ③原告らが加入する労働組合は、被告に対し、平成24年12月以降、団体交渉において、通算雇用期間の上限の撤廃を要求し続けるなど(弁論の全趣旨)、上記上限があることを明確に認識しており、その組合員であった原告ら(弁論の全趣旨)もこれを認識していたといえること、④本件各有期雇用契約の締結後、これが更新された実績はないこと(前提事実⑺)、⑤被告の授業という業務の性質上、 学生の人数、受講希望の有無、社会情勢等によって、担当を求められる科目や内容は時期によって変わり得るものであり、現に原告らが担当していた科目や内容は時期によって変わっており(甲A11、B12、C5、D11)、非常勤講師の業務が恒常的なものということは困難であること等の事情を考慮すると、原告らが、本件各有期雇用契約の契約期間の満了時に当該有期雇用契約が更新される ものと期待することについて合理的な理由があるとはいえない。 そうすると、本件雇止めは無効ということはできず、本件各有期雇用契約が労契法19条2号に基づき更新されたものとはいえないから、この点の原告らの請求は理由がない。 第4 結語以上より、本件訴えのうち、本判決確定の日の翌日から毎月17日限り、原告 用契約が労契法19条2号に基づき更新されたものとはいえないから、この点の原告らの請求は理由がない。 第4 結語以上より、本件訴えのうち、本判決確定の日の翌日から毎月17日限り、原告 Aにつき6万6850円、原告Bにつき3万3425円、原告Cにつき13万9270円及び原告Dにつき16万7125円並びにこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員の支払を求める部分は不適法であるから却下することとし、原告らのその余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部裁判長裁判官横田昌紀 裁判官蒲田祐一 裁判官山中洋美 (別紙当事者目録、別紙2、別紙3の記載省略)

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