【DRY-RUN】主 文 本件各控訴を棄却する。 理 由 本件控訴の趣意は弁護人上村進及び新潟地方検察庁新発田支部検察官検事山崎良 男各作成名義の各控訴趣意書に記載されたとおり
主文本件各控訴を棄却する。 理由本件控訴の趣意は弁護人上村進及び新潟地方検察庁新発田支部検察官検事山崎良男各作成名義の各控訴趣意書に記載されたとおりであるから、茲にこれを引用し、これに対し次のように判断する。 弁護人の論旨第一点について原判示ビラの頒布された当時、原判示衆議院議員選挙におけるA党候補者Bが既に立候補辞退の届出をしており、従つてその当時において同候補者のためにする選挙運動の行わるべき余地のないことは所論のとおりである。そこで若し右ビラの記載内容が所論のように単にB候補の立候補辞退を選挙民に知らしめると共に、同党の政治上の主義政策を強調するに止まるならば、これを頒布したとて所論の如く同党の政治活動に過ぎないものと見られるであろうが、該ビラの全文を通読すると、A、C両党の候補者が共倒れとなるのを避けるため、A党のB候補を辞退させて、いわゆる国民政府樹立への一歩前進を保証する統一候補者としてC党のD候補を支持し、同候補者に当選を得しむべく全党を挙げて奮闘すべきにより、これに賛同協力ありたき趣旨の内容が含まれていることを看取するに難くないのである。とすれば、右ビラは単にA党の公党としての立場から、その政治上の主義政策を強調し又は時局に関する批判を表明したに過ぎないものではなく、D候補の当選を得んがため、その選挙運動のためにする趣旨の意思表示を包有する文書であるということができる。而して公職選挙法第百四十二条の制限規定が自己の所属する政党の候補者の当選を得んとする選挙運動についてのみ適用せらるべきでないことは、その文理並に律意に徴して疑を容れないところである。従つて自党の候補者が立候補を辞退した以後においても、他党の候補者の当選を得んがため、同条に違反して同条にいわゆる選挙運動 せらるべきでないことは、その文理並に律意に徴して疑を容れないところである。従つて自党の候補者が立候補を辞退した以後においても、他党の候補者の当選を得んがため、同条に違反して同条にいわゆる選挙運動のために使用する文書を頒布するときは、たとえ、それが自党名義の文<要旨第一>書であつても、同法第二百四十三条第三号の罪責を免れないのである。然らば被告人が、前示の如くC党の</要旨第一>D候補の当選を得んがため、その選挙運動のためにする趣旨の意思表示を包有する原判示ビラを同候補者の原判示選挙区内に頒布した以上、たとえ、それがA党候補者Bの立候補辞退後であつても、同法第百四十二条の規定に違反してD候補の選挙運動のために使用する文書を頒布したものと認めるの外はなく、これを以て所論のようにA党としての政治活動に過ぎないと解することはできない。それ故、原判決には、所論のような事実誤認はなく、また法律の解釈を誤つた違法も存しない。論旨は理由がない。 同第三点について憲法第二十一条の規定は言論の自由を絶対無制限に保障しているのではなく、公共の福祉を保持するため、その時、所、方法等につき合理的な制限を加えることは、これを容認する趣旨と解すべきこと同法第十二条第十<要旨第二>三条等の規定に照らしても明らかである。公職選挙法第百四十二条が選挙運動のために頒布し得べき文書図画</要旨第二>の種類と数量につき一定の制限を加えているのは、それによつて憲法の保障する言論の自由を全般的に禁止するものでなく、選挙の公正を保持せんがため、選挙運動としての文書図画による言論活動を、その方法と量において適当に規正するものに過ぎないから、この規定を以て所論のように憲法第二十一条に違反するものということはできない。論旨は独自の見解であつて、理由がない。 (その他の判決理由は省 その方法と量において適当に規正するものに過ぎないから、この規定を以て所論のように憲法第二十一条に違反するものということはできない。論旨は独自の見解であつて、理由がない。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事谷中董判事坂間孝司判事荒川省三)
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