昭和39(行ウ)16 行政処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和46年11月8日 東京地方裁判所 その他
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【DRY-RUN】主   文 原告の被告通商産業省重工業局長に対する請求を棄却する。 原告の被告福岡県計量検定所長に対する訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。        事   実 第一 当事者の求める裁

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主文 原告の被告通商産業省重工業局長に対する請求を棄却する。 原告の被告福岡県計量検定所長に対する訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 第一当事者の求める裁判原告は「被告通商産業省重工業局長が昭和三八年八月二〇日付三八重局第一二七七号をもつて各都道府県知事宛に発した別紙記載内容の通達を取消す。被告福岡県計量検定所長が昭和三八年一〇月四日付三八福計発第三四七号をもつて原告に対してしたホワイト六折スケールの製造中止勧告を取消す。訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決を求め、被告らは「本件訴えをいずれも却下する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決および本案につき「原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。 第二原告主張の請求の原因一原告は商品名を「ホワイト六折スケール」と称する合成樹脂製六つ折函数尺を製造、販売していたところ、被告通商産業省重工業局長は右函数尺に関し昭和三八年八月二〇日付三八重局第一二七七号をもつて各都道府県知事宛に別紙記載内容の通達を発した(右通達中計量法とは昭和四一年七月一日法律第一一二号による改正前のものを指す。以下同じ。)。 二被告福岡県計量検定所長は、右通達の趣旨に基づき、昭和三八年一〇月四日付三八福計発第三四七号をもつて原告に対し右函数尺の製造中止の勧告をした。 三そこで、原告は昭和三八年九月二七日付をもつて右通達に対する不服申立書を通商産業大臣に提出したところ、同大臣はこれを異議申立てとみなし、同年一一月三〇日右「異議申立ては認められない」旨の決定をなし、その通知書は同月二一日原告に送達された。 四しかしながら、右通達および勧告は計量法の解釈を誤つたものであり、違法である。 なお、右通達、勧告は形式こそ通達、勧告である られない」旨の決定をなし、その通知書は同月二一日原告に送達された。 四しかしながら、右通達および勧告は計量法の解釈を誤つたものであり、違法である。 なお、右通達、勧告は形式こそ通達、勧告であるが、実質的には原告の製造、販売にかかる前記函数尺が計量法第一二条の計量器に該当し、しかも非法定計量単位による目盛を併記しているので、これを販売または販売のため所持することは同法第一〇条に違反する旨の有権的判断を示して、同法第二三一条(第六三条違反)、第二三五条(第一〇条違反)の罰則をもつて、その製造、販売を禁止しようとする行政処分である。そして、原告は、各都道府県計量検定所長が右通達に基づきこぞつて右函数尺の販売業者に対しその取扱い中止方を勧告したため、その販売予約の注文を相次いで解約され、莫大な損害を被つた。 したがつて、右通達、勧告は、行政争訟の対象とするに足り、原告がその取消を求める法律上の利益がある。 よつて、右通達および勧告の取消を求めるものである。 第三被告らの主張(本案前の抗弁)原告主張の前記通達は、国の行政機関の間における所管事務についての指示にすぎないものであつて、直接私人の権利義務に影響を与える公権力の行使にあたらないから、原告がこれによりその権利ないし利益を侵害されるものではない。 また、原告主張の前記勧告は、計量法違反として処罰されること等をおもんぱかり、事前の防止措置として事実上なされたものであつて、直接原告の権制義務に影響を与える公権力の行使にあたらないから、原告がこれによりその権利を侵害されるものではない。 (請求原因に対する答弁)原告主張の請求原因一ないし三の事実は認める。ただし原告主張の通達は、被告局長が原告の製造、販売にかかる前記函数尺の販売について行政庁としてなんらかの措置を必要とするか否かに 求原因に対する答弁)原告主張の請求原因一ないし三の事実は認める。ただし原告主張の通達は、被告局長が原告の製造、販売にかかる前記函数尺の販売について行政庁としてなんらかの措置を必要とするか否かについて判断の資料を得るため、各知事に対し右函数尺に関する一応の見解を表明して、その販売の実体調査およびその結果の報告をなすべく指示したものであつて、右函数尺の販売の取締りを命令したものではない。同四の原告の主張は争う。 (抗弁―通達、勧告の適法性)右函数尺は、その構造、機能から客観的に観察して社会通念上計量するための器具であり、計量法第一二条第一号ヘの畳尺に該当すると認められるところ、右函数尺には非法定計量単位の寸およびインチの目盛が併記されているから、これを販売しまたは販売のために所持することは、商品に非法定計量単位を表示して用いることをも禁止した同法第一〇条第一項に違反するものである。すなわち、同法第一二条の計量器とは、その構造、機能から客観的に観察して社会通念上当該器具が物象の状態の量を計るための器具と一般に思料されるものをいい、また、同法第一〇条第一項は売買等の取引において非法定計量単位を計量に用いることのみならず、商品に非法定計量単位を表示して用いること、すなわち、尺、インチ等の表示を商品に付することをも禁止しているものと解すべきであるから、非法定計量単位を併記した計量器を販売しまたは販売のため所持することは、右条項に違反するものといわなければならない。 しかるところ、右函数尺は、その構造、機能から客観的に観察して社会通念上計量するための器具であることは明らかであり、同法第一二条第一号への畳尺に該当し、また、右函数尺にはセンチメートルのほか寸およびインチの各目盛が併記されていることも明らかであるから、右函数尺を販売しまたは販売 めの器具であることは明らかであり、同法第一二条第一号への畳尺に該当し、また、右函数尺にはセンチメートルのほか寸およびインチの各目盛が併記されていることも明らかであるから、右函数尺を販売しまたは販売のために所持することは、同法第一〇条に違反するものといわなければならない。 してみれば、右通達はなんら計量法の解釈を誤つた違法はなく、また同趣旨よりなされた右勧告にも違法はない。 第四原告の反論一右函数尺は、換算に使用するためのものであつて、計量に使用するための器具ではないから、計量法第一二条の計量器ではない。すなわち、従前、木材の取引単位は石(容積単位)が使用され、また、木材の長さの単位には寸、尺、間が使用されていた。そこで、木材取引業者は、右単位による取引に慣れていたので、昭和二六年六月七日法律第二〇七号による計量法においてメートル法以外の尺貫法・ヤード・ポンド法が非法定計量単位とされ、これに伴い木材の寸法等の表示もメートル法によることとなつても、木材のせり売等の取引にあたつては、必ず一度尺貫法による単位に換算したうえで指値をするのが実情である。右函数尺は、そのようなときに換算を迅速に行なうために使用する器具であり、計量するための器具ではない。 右函数尺の用途が右のようなものであるため、計量器の材料として親しまないセルロイド類似の合成樹脂(スチロール樹脂)を用いたのであり、単位の表記、全長の表記も付さなかつたのである。 もつとも、右函数尺にはカーソル線(指線)がついていないが、それは右函数尺の使用目的が前示のようなものであり、カーソル線をつけなければならない程の精密性が要求されないからつけなかつたまでであり、また、右函数尺にセンチメートル、寸、インチの各実寸に近い目盛線を付したのは、実寸に近いほど単位を誤認するおそれが少なく、 をつけなければならない程の精密性が要求されないからつけなかつたまでであり、また、右函数尺にセンチメートル、寸、インチの各実寸に近い目盛線を付したのは、実寸に近いほど単位を誤認するおそれが少なく、便利なためであり、さらに、右函数尺の構造を別紙図面(一)のようなものにせず、同図面(二)のようなものとしたのは、商品としての美観、安定感を考慮したことによるものである。 二右函数尺の素材は、セルロイド類似の合成樹脂(スチロール樹脂)であり、膨脹率が大きく計量器の材料に親しまないものであるから、右函数尺は、計量することのできる性質を具備しているものではなく、したがつて、計量器ということはできない。 現に、当局では、文房具のセルロイド製定規は、センチメートル、ミリメートルにほぼ一致する目盛が記されているものも、その材質、精度、標記等から計量器ではないとの見解をとつている。 三右函数尺にはセンチメートル、寸、インチの各実寸に近い目盛線が付されているが、その旨の長さの単位および全長の表記はなく、これのみをもつてしては長さを計ることができないから、右函数尺を計量器ということはできない。 ちなみに、通商産業省通商機械局長は、昭和二七年四月一四日付都道府県知事宛通達二七機第六七二号をもつて「単に目盛線のみであつて、長さの単位の表記のないものは長さ計ではない取扱いをするものと解されたい」旨の通達を発している。 四右函数尺には「これは函数尺です。計量器ではありませんから取引証明には使えません。」との注意書が明記されており、取引および証明の計量に用いるものではないことは一見して明らかであるから、右函数尺は計量法第一二条の計量器にあたらない。すなわち、 計量法は、計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もつて経済の発展および文化の向上に寄与することを目的と とは一見して明らかであるから、右函数尺は計量法第一二条の計量器にあたらない。すなわち、 計量法は、計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もつて経済の発展および文化の向上に寄与することを目的とする法律である(同法第一条)から、同法の強制力の及ぶのは取引または証明を行なう場合に限られるのであつて、取引上または証明上の計量以外の計量に用いるための器具等は計量法第一二条の計量器にあたらないと解すべきところ、右函数尺には前記のとおりの注意書が明記されており、取引上または証明上の計量に用いるものでないことは明らかであるから、右函数尺は計量法第一二条の計量器ということはできない。 五右函数尺が計量法第一二条の計量器にあたるとしても、右函数尺には非法定計量単位の目盛の併記はない。 六右函数尺が非法定計量単位の目盛の併記された計量器であるとしても、それを販売しまたは販売のため所持するだけでは計量法第一〇条違反になるものではない。 七右函数尺を販売しまたは販売のため所持することが形式上計量法第一〇条に違反するとしても、同条は計量法施行法第三条との関連において憲法第二一条第一項(表現の自由)に違反する無効なものであるから、右函数尺の販売または販売のための所持を違法ということはできない。すなわち、計量単位としてメートル法が尺貫法、ヤードポンド法より優れていることは否定しえないが、わが国では古来尺貫法が使用され、尺貫法が国民生活に定着しているのであるから、メートル法を実施するにしても、従来の国民生活の安定を考慮し、これとの調和を図りつつ、その方策を企画実施すべきであり、そうすることが文化主義、人間主義を理念とする憲法の趣旨にも合致する。 しかるに、計量法は尺貫法の慣行による国民生活の安定については一切考慮せず、ただ尺貫法を非法定計量単位とし、その すべきであり、そうすることが文化主義、人間主義を理念とする憲法の趣旨にも合致する。 しかるに、計量法は尺貫法の慣行による国民生活の安定については一切考慮せず、ただ尺貫法を非法定計量単位とし、その違反に対しては刑罰をもつて禁止するというものであつて、非法定計量単位の使用を禁止した同法第一〇条は同法施行法第三条との関連において憲法第二一条第一項(表現の自由)に違反する無効なものというべきである。 第五原告の反論に対する被告の再反論一原告の主張する右函数尺の使用目的は、単なる原告の主観的製造目的にすぎない。 当該器具の使用目的が計量のためのものか否かは、当該器具が社会通念上物象の状態の量を計るための器具と一般に思料されるか否かによるのであつて、製造業者の単なる主観的製造目的によつて定まるものではない。 二計量器か否かは、その構造、機能から客観的に観察して社会通念上計量のための器具と認められるか否かによつて判断すべきものであり、計量器の材料として適当でないものが使用されているからといつて、その故に当該器具が計量器ではないとされるものではないから、右函数尺が合成樹脂製のものであることを理由に右函数尺が計量器ではないとする原告の主張は理由がない。 三右函数尺に単位および全長の表記がないといつても、そこに記されている目盛はセンチメートル、寸、インチの各実寸に極めて近いものであつて、その長さの単位および全長の表記がなくとも普通経験的にその目盛がいかなる単位全長を表示するものかは容易に識別することが可能であり、また、たとえ経験上識別することが不可能としても、一度調べることにより以後は継続的に使用することができるから、単位および全長の表記がないことを理由に右函数尺が計量器でないとする原告の主張は理由がない。 なお、原告主張の通商産業省通商機械 しても、一度調べることにより以後は継続的に使用することができるから、単位および全長の表記がないことを理由に右函数尺が計量器でないとする原告の主張は理由がない。 なお、原告主張の通商産業省通商機械局長の昭和二七年四月一四日付二七機第六七二号通達は、文房具のセルロイド製定規等のようにその主たる用途が計量でないものは長さ計の製造事業の許可の区分上長さ計ではない取扱いをするというものであつて、原告主張のように一般に目盛線のみで単位の表記のないものをすべて長さ計ではない取扱いにする趣旨のものではない。このことは、その後同局長が都道府県知事宛に発した通達で「文房具としてのセルロイド製定規およびセルロイド製角度定規であつて、全長または単位の標記のないものは、計量法第一二条にいう計量器とはみなさないものと解されたい。」としていることからも明らかである。 四右函数尺が前記のとおりその構造、機能から計量器と判断される以上、右函数尺に「これは函数尺です。計量器ではありませんから取引証明には使えません。」との注意書が記されるいるからといつて、右函数尺が計量器でないということはできないから、この点に関する原告の主張は理由がない。 なお、原告は、右に関連して、取引上たまは証明上の計量に用いられない計量器は計量法の規制対象でない旨主張するが、同法は計量器であれば取引上または証明上の計量に用いられるものであると否とにかかわらず、製造許可(同法第一三条)、販売登録(同法第四七条)、譲渡制限(同法第六三条)等の規制対象としているのであり、取引上または証明上の計量に用いられるものであることは、使用制限(同法第六八条)、定期検査、受検義務(同法第一三九条)等の加重要件となるにすぎないのであつて原告の右主張は誤りである。 第六証拠関係(省略) 理由 ( のであることは、使用制限(同法第六八条)、定期検査、受検義務(同法第一三九条)等の加重要件となるにすぎないのであつて原告の右主張は誤りである。 第六証拠関係(省略) 理由 (本案前の抗弁について)一被告局長に対する訴えについて当事者間に争いのない事実および成立に争いのない乙第一号証によれば、被告局長に対する訴えにおいて原告が取消を求めている通達というのは、被告局長から各都道府県知事宛に発せられた「計量法違反事件について(照会)」と題する書面によるものであつて、その内容は、原告の製造にかかる本件函数尺が計量法第一二条の計量器にあたり、同法の各種規制を受けるものであること、右函数尺には非法定計量単位の目盛が併記されているので、その販売および販売のための所持は非法定計量単位の使用を禁止した同法第一〇条に違反するものであることをそれぞれ明示し、知事に対しその趣旨にそつて右函数尺に関する事務を処理するよう指示するとともに、あわせて右函数尺の販売の実体調査とその結果の報告を命じたものと認められる。そして、計量法の施行事務は通商産業省の所管事務に属し、同省重工業局が計量に関する事務を掌り(通商産業省設置法第三条第四号、第一〇条第四号)、また、知事は国の委任を受け、国の機関として計量器の販売等の事業の登録等の事務を処理する関係にあるので(地方自治法第一四八条第二項、別表三(九四))、被告局長は右事務につき知事に対し指揮監督権を有するものであるから、右書面は、被告局長が右権限に基づいてその所掌事務につき国の機関たる知事に対し右函数尺につき計量法第一〇条、第一二条の解釈を示し、前示のごとくそれにそつた事務処理を指示するとともに右函数尺の販売の実体調査とその結果の報告を命じたものである。 ところで、通達そのものの取消を求める訴 につき計量法第一〇条、第一二条の解釈を示し、前示のごとくそれにそつた事務処理を指示するとともに右函数尺の販売の実体調査とその結果の報告を命じたものである。 ところで、通達そのものの取消を求める訴訟が許されるかどうかは問題の存するところである(最高裁判所昭和三九年(行ツ)第八七号昭和四三年一二月二四日判決、民集第二二巻第一三号三一四七頁参照)。 元来、通達は、上級行政機関がその所掌事務について関係下級行政機関およびその職員に対しその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであつて(国家行政組織法第一四条第二項)、行政組織の内部的規律にすぎないものであることからすれば、国民との関係についていう限り、通達そのものは、たとえそれが国民の権利、義務ないし法律上の利益に関係のあることがらを内容とするものであつても、一般的には、いまだ個人の具体的な権利、義務ないし法律上の利益に変動を生ぜしめるものではないから、これを具体的な法律上の紛争があるものとして司法審査の対象とすることはできないものといわなければならない。そして、このように解したとしても、通常は通達に基づいてなされた具体的な行政処分の適否についての訴訟によつて国民の利益を保護することが充分可能であるから、国民の権利救済に欠けるところはないというべきである。 しかし、現実の行政事務の運営において通達がはたしている役割・機能の重要性およびその影響力も無視しえないのであつて、こうした点をも併せ考えると、通達であつてもその内容が国民の具体的な権利、義務ないし法律上の利益に重大なかかわりをもち、かつ、その影響が単に行政組織の内部関係にとどまらず外部にも及び、国民の具体的な権利、義務ないしは法律上の利益に変動をきたし、通達そのものを争わせなければその権利救済を全からしめることがで りをもち、かつ、その影響が単に行政組織の内部関係にとどまらず外部にも及び、国民の具体的な権利、義務ないしは法律上の利益に変動をきたし、通達そのものを争わせなければその権利救済を全からしめることができないような特殊例外的な場合には、行政訴訟の制度が国民の権利救済のための制度であることに鑑みれば、通達を単に行政組織の内部的規律としてのみ扱い、行政訴訟の対象となしえないものとすることは妥当でなく、むしろ通達によつて具体的な不利益を受ける国民から通達そのものを訴訟の対象としてその取済を求めることも許されると解するのが相当である。 このような観点から本件訴えの対象とされた前記通達についてみると、右通達は前示認定のとおりの形式および内容のものであり、前掲乙第一号証および証人A、同B、同Cの各証言によれば、本件函数尺についてはかねてより計量法違反物件としてその製造、販売に対しなんらかの行政措置を講ずべきではないかとの疑義があり、右通達はこうした疑義からなされた照会に対するものとして発せられたものであることが認められ、このような通達が発せられた経緯およびその内容よりすれば、右通達は原告の製造にかかる右函数尺の販売および販売のための所持を規制することをも目的としているものと解されるところ、証人Bの証言および弁論の全趣旨よりすれば、計量に関する事務はすぐれて専門技術的要素が多く、現実の行政事務は通達によつて運営、執行され、計量法規の解釈、運用、取扱基準等に関して発せられる通達には下級行政機関のみならず計量器製造業者およびその販売業者らも多大の関心を示し、行政機関においても行政事務の円滑な運営をはかるうえからこれら業者に対しその通達の紹介、説明等をなし、業者らは発せられた通達に従うのが実情であり、計量に関する行政において通達のはたしている現実的役割・機能 関においても行政事務の円滑な運営をはかるうえからこれら業者に対しその通達の紹介、説明等をなし、業者らは発せられた通達に従うのが実情であり、計量に関する行政において通達のはたしている現実的役割・機能は極めて大きいことが認められるうえ、現に、原告本人尋問の結果によれば、右通達が発せられたのち、各関係機関において右函数尺の販売取扱業者らに対し販売中止勧告等の行政措置がなされ、原告は右業者らから右函数尺の買入れを解約されるに至つたことが認められるから、これらの点をも併せ考えると、右通達が右函数尺の製造業者である原告の権利・利益に重大な影響を及ぼすものであることは明らかであり、かつ、右のような解約という事態を防止しうる措置として原告のなしうる最も適切な法的手段としては、右業者らに対する行政措置の根拠とされた右通達そのものの取消を求めるほかはないといわなければならない。しかも、本件においては、原告は計量器の製造事業の許可を受けた計量器製造業者ではないから、原告が右通達に基づいて許可の取消、事業の停止等の具体的な行政処分を受けることはなく、せいぜい製造中止の勧告を受ける程度にとどまり、右通達に基づく具体的な行政処分を受けるのは個々の計量器販売業者であり、これらの業者に対する登録の取消または事業停止(計量法第五九条)といつた具体的処分をまつて、その処分に対してのみ不服の申立てをすることができるとすれば、結局、その処分を受けた個々の販売業者のみが右の処分を争うことを通じて右通達の適否を争うことができるにとどまり、これらの業者が敢えて右通達に反する行為をなし、右のような不利益処分を受けて争うことがないかぎり、右函数尺の製造業者である原告としては実際に右通達による不利益を受けながらそれを争う方法がないということでは甚だ不合理な結果をきたすといわざるを得な のような不利益処分を受けて争うことがないかぎり、右函数尺の製造業者である原告としては実際に右通達による不利益を受けながらそれを争う方法がないということでは甚だ不合理な結果をきたすといわざるを得ない。以上の諸関係を考慮すれば、右通達は抗告訴訟の対象たりうる行政庁の公権力の行政にあたると解するのが相当であり、また、原告には右通達の取消を求める適格があるというべきである。 右につき、被告局長は、右通達は原告の製造、販売にかかる右函数尺の販売について行政庁としてなんらの措置を必要とする否かについて判断の資料を得るため、各知事に対し右函数尺に関する一応の見解を表明して、その販売の実体調査およびその結果の報告をなすべく指示したものにすぎない旨主張する。 しかし、前記認定のような右通達の内容ならびにその発せられた経緯からすれば、右通達が単に右函数尺の販売の実体調査とその結果の報告のためにのみ発せられたものとは到底いえないし、現に前示認定のとおり右通達に則つて右函数尺の販売取扱業者らに対し販売中止勧告等の行政措置がなされ、また、原告に対しても被告所長から右通達に基づいて製造中止の勧告がなされている(この点は当事者間に争いがない。)のであるから、被告局長の右主張は採用できない。 よつて、被告局長の右本案前の主張は採用できない。 二被告所長に対する訴えについて成立に争いのない甲第一号証および証人B、同Cの各証言によれば、被告所長に対する訴えにおいて原告が取消を求めている勧告は、被告所長が原告に対し原告の協力のもとに右函数尺の製造および販売の中止を要請したもので、いわゆる行政指導としてなされたものにすぎないことが認められる。 そうとすれば、他に特段の事情の認められない本件においては、右勧告はなんら原告の権利、義務ないしは法律上の利益に影響を及ぼすも ので、いわゆる行政指導としてなされたものにすぎないことが認められる。 そうとすれば、他に特段の事情の認められない本件においては、右勧告はなんら原告の権利、義務ないしは法律上の利益に影響を及ぼすものではなく、右勧告の取消を求めなければ原告の権利救済をはかることができないという関係にもないから、右勧告は抗告訴訟の対象たりうる行政庁の公権力の行使と認めることはできない。 原告は、右勧告は計量法第二三一条(第六三条違反)、第二三五条(第一〇条違反)の罰則をもつて右函数尺の製造および販売を禁止しようとするものであるから行政処分である旨主張するが、右条項は勧告を受けた者が勧告に従わないことに対し刑罰を科するとするものではなく、勧告とは関係なく同法第六三条、第一〇条違反に対し罰則を定めたものにすぎないから、原告の右主張は採用できない。 したがつて、右勧告の取消を求める本件訴えは不適法であるといわざるをえず、却下を免れないというべきである。 (本案について)一原告が商品名を「ホワイト六折スケール」と称する合成樹脂製六つ折函数尺を製造、販売していたところ、被告局長が右函数尺に関し昭和三八年八月二〇日付三八重局第一二七七号をもつて各都道府県知事宛に別紙記載内容の通達を発したこと、そこで、原告が昭和三八年九月二七日付をもつて右通達に対する不服申立書を通商産業大臣に提出したところ、同大臣はこれを異議申立てとみなし、同年一一月三〇日右「異議申立ては認められない」旨の決定をなし、その通知書が同月二一日原告に送達されたことは当事者間に争いがない。 二原告は、右通達は計量法の解釈を誤つた違法があると主張するので、以下この点について判断する。 計量に関する制度は、社会生活における基本的な制度であつて、単に経済取引ばかりでなく、家庭・産業・学術・教育などの国民 は計量法の解釈を誤つた違法があると主張するので、以下この点について判断する。 計量に関する制度は、社会生活における基本的な制度であつて、単に経済取引ばかりでなく、家庭・産業・学術・教育などの国民生活のあらゆる分野に多大の影響を及ぼすものであるから、合理的かつ統一的な計量制度を確立することは、社会生活の便宜と安全を図り、かつ、経済の発展と文化の向上を期するうえで必要不可欠のものである。計量法は、かような社会的要請から計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もつて経済の発展および文化の向上に資することを目的として制定されたものであり(同法第一条)、その目的の達成のために、計量基準として計量単位を定め(同法第三条、第五条)、法定計量単位以外の計量単位を取引上または証明上の計量に用いることのみならずそれを物象の状態の量の表示として用いることをも原則として禁止し(同法第一〇条)、取引上または証明上における雑多な計量単位の使用を防ぎ、計量単位の単純明確化を期するとともに、適正な計量の実施を確保する見地から、計量器の定義を定め(同法第一二条)、その製造、修理、販売の事業につき許可ないし登録の制度を採用し(同法第一三条、第三五条、第四七条)、製造、修理された計量器についての譲渡等につき検定制度を定め(同法第六三条)、検定に合格しない計量器についての譲渡等を禁止(同法第六六条)する等、正確な計量器の供給を図る措置を講じている。 したがつて、右のような計量法の目的および趣旨よりすれば、同法第一二条にいう計量するための器具、機械または装置とは、その素材、構造、形状、外観等から客観的に観察し、社会通念上物象の状態の量を計ることのできる機能・性質を具備しているものであつて、その使用目的が主として計量するためのものと認められるものをいうと解するのが相当で 、形状、外観等から客観的に観察し、社会通念上物象の状態の量を計ることのできる機能・性質を具備しているものであつて、その使用目的が主として計量するためのものと認められるものをいうと解するのが相当であり、そのようなものであれば、製作者の主観的意図の如何を問わず右の計量器にあたり、その製造、販売については同法第一三条、第四七条その他計量法の定める規制を受けなければならず、また、そのような計量器に非法定計量単位が表示されているときは、その販売または販売のための所持は、非法定計量単位を物象の状態の量の表示として用いること自体をも禁止した同法第一〇条第一項本文に違反するものと解するのが相当である。 そこで、本件函数尺が右計量器にあたるかについてみるに、成立に争いのない甲第二四号証および検甲第一号証によれば、右函数尺は、表面にセンチメートルとかね尺の寸、裏面にインチの各目盛が別紙図面(三)のとおり併記された長さ約一メートルのスチロール樹脂製六つ折尺様のものであり、その素材、形状、構造、外観等に照らし、社会通念上、長さを計ることのできる機能・性質を具備し、主として計量(長さを計る)のために使用する目的をもつものと認められるから、右函数尺は同法第一二条にいう計量器であり、同条第一号ヘの畳尺に該当するものというべきである。 そして、右函数尺には前示認定のとおり非法定計量単位であるかね尺の寸およびインチの各目盛が併記されているから、その販売または販売のための所持は、非法定計量単位を物象の状態の量の表示として用いることをも含め禁止している同法第一〇条第一項本文に違反するものと解するのが相当である。 してみれば、右と同趣旨の内容の右通達には計量法の解釈を誤つた違法はないといわなければならない。 三原告は、右通達が計量法の解釈を誤つたものであることを各種の 違反するものと解するのが相当である。 してみれば、右と同趣旨の内容の右通達には計量法の解釈を誤つた違法はないといわなければならない。 三原告は、右通達が計量法の解釈を誤つたものであることを各種の観点から理由づけているので、以下原告の主張について検討する。 (一) 原告は、右函数尺は計量するためのものではなく、主として木材取引業者らが換算に使用するためのものである旨主張する。 しかし、前示のとおり、当該器具が計量するためのものであるか否かは、当該器具の構造、形状、外観、機能等から客観的に観察し、社会通念に照らして判断すべきものであって、製造業者の主観的な製造目的如何によるべきものではないと解するのが相当であるから、右函数尺が前示認定のとおりの構造、形状、外観等を具備するものである以上、原告の主観的な製造目的如何にかかわらず、右函数尺は社会通念上計量のためのものというべきである。 したがつて、原告の右主張は採用できない。 (二) 原告は、右函数尺の素材がセルロイド類似の合成樹脂(スチロール樹脂)であつて、膨脹率が大きく計量器の材料に親しまないものであるから、右函数尺は計量することのできる性質を具備しているものではなく、計量器とはいえない旨主張する。 右函数尺がスチロール樹脂製のものであることは前示認定のとおりであり、スチロール樹脂は膨脹係数が大きく、計量器検定検査規則の定める基準膨脹係数以下のものではないから、その意味では右函数尺が計量器の材料として不適当であることは原告主張のとおりである。 しかし、計量法第一二条の計量器にあたるか否かは、前示のとおり、その素材、構造、形状、外観等から客観的に観察し、社会通念上計量することのできる機能・性質を具備していると認めうるか否かによつて判断すべきものであつて、右検定規則の基準にあたらない材料 示のとおり、その素材、構造、形状、外観等から客観的に観察し、社会通念上計量することのできる機能・性質を具備していると認めうるか否かによつて判断すべきものであつて、右検定規則の基準にあたらない材料によるものであつても、その構造等から客観的に観察し、社会通念に照らし一般的に計量可能と認められるものであれば、同法第一二条の計量器といいうるのであつて、当該器具に使用された材料が右検定規則の基準を保有するか否かは、検定の合否には関係しても、同法第一二条の計量器か否かの判断にあたつては関係ないものというべきである。 したがつて、原告の右主張は採用できない。 (三) 原告は、右函数尺には目盛線のみ記され、長さの単位および全長の表記がなく、これのみをもつてしては長さを計ることができないから、右函数尺は計量器ではない旨主張する。 検甲第一号証によれば、右函数尺には長さの単位および全長の表記はないが、その表面に1ないし99および1ないし30の、その裏面に1ないし36の数字の表記があるほか、前示のとおりセンチメートル、かね尺の寸およびインチの各目盛が記されてあり、長さの単位および全長の表記がなくても、一般通常人において自己の知識、経験により、また、他の物件との比較により、右目盛がいかなる単位、全長を表示しているか容易に識別することができ、これを使用して長さを計ることができるから、右函数尺を計量器というをさまたげるものではないというべきである。 したがつて、原告の右主張は採用できない。 (四) 原告は、右函数尺には「これは函数尺です。取引、証明には使用できません。」との注意書が明記され、取引上および証明上の計量に用いるものでないことは一見して明らかであるから、右函数尺は計量法第一二条の計量器ではない旨主張する。 しかし、計量法がその第一二条において計量 。」との注意書が明記され、取引上および証明上の計量に用いるものでないことは一見して明らかであるから、右函数尺は計量法第一二条の計量器ではない旨主張する。 しかし、計量法がその第一二条において計量器の定義に関する規定を設けた趣旨は、その製造、販売等の事業について許可ないし登録の制度を採用し(同法第一三条、第四七条等)、検定制度を規定(同法第六三条)する等して正確な計量器の供給を図り、もつて適正な計量の実施を確保するとの見地よりいでたものというべきであるから、前示のとおり、当該器具の素材、構造、形状、外観等から客観的に観察し、社会通念上計量するための器具と認められるものは同法第一二条の計量器と解するを相当とし、そのような器具であれば、たとえ当該器具に「これは函数尺です。取引証明には使用できません。」との注意書が付記されていても、同法第一二条の計量器というべきである。すなわち、右のような注意書の有無は、同法第一二条の計量器に該当するか否かを判定するうえで、決定的な要因となるものではないのである。 したがつて、原告の右主張は採用できない。 (五) 原告は右函数尺には非法定計量単位の目盛の併記はない旨主張する。 しかし、前示認定のとおり、右函数尺にはセンチメートルの目盛のほか、その表面にかね尺の寸、その裏面にインチの各目盛が表記され、右寸、インチはいずれも非法定計量単位であるから、原告の右主張は採用できない。 (六) 原告は、右函数尺が非法定計量単位の目盛の併記された計量器であるとしても、それを販売または販売のため所持するだけでは計量法第一〇条違反にならない旨主張する。 計量法第一〇条第一項本文(第一〇条中第一項本文以外は本件においては問題にならない。)は、長さ、質量等の物象の状態の量について「法定計量単位以外の計量単位は、取引上又は証明上 らない旨主張する。 計量法第一〇条第一項本文(第一〇条中第一項本文以外は本件においては問題にならない。)は、長さ、質量等の物象の状態の量について「法定計量単位以外の計量単位は、取引上又は証明上の計量(物象の状態の量の表示を含む。)に用いてはならない」旨規定し、右の「取引」とは、同法第一一条第一項において、有償であると無償であるとを問わず、物または役務の給付を目的とする業務上の行為をいうと定義され、また、「計量」とは、同法第二条において、長さ、質量等物象の状態の量を計ることをいうと定義されているが、非法定計量単位の目盛の併記された計量器を販売し、または販売のため所持することが右第一〇条第一項本文に違反するか否かは、右条文の規定からはかならずしも明瞭とはいい難いところである。 しかし、同法が計量基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もつて経済の発展および文化の向上に資することを目的とするものであること(同法第一条)、同法第一〇条が、右の目的を達成すべく、取引上または証明上における雑多な計量単位の使用を規制し、計量単位の単純明確化を図るための規定であること、同条第一項本文がそのかつこ書において「物象の状態の量の表示を含む」とし、売買、贈与等の取引において非法定計量単位を計量に用いることのみならず、非法定計量単位を取引上または証明上物象の状態の量の表示として用いることをも含め禁止していること等よりすれば、同条第一項本文は、非法定計量単位の目盛の付記された計量器を販売することまたは販売するために所持することをも禁止しているものと解するのが相当であるから、右函数尺が前示認定のとおり非法定計量単位の目盛の併記のある計量器と認められる以上、その販売または販売のための所持は同条第一項本文に違反するものというべきである。 したがつて、原告の右主張は から、右函数尺が前示認定のとおり非法定計量単位の目盛の併記のある計量器と認められる以上、その販売または販売のための所持は同条第一項本文に違反するものというべきである。 したがつて、原告の右主張は採用できない。 (七) 原告は、計量法第一〇条は計量法施行法第三条との関連において憲法第二一条第一項(表現の自由)に違反し無効である旨主張する。 原告の右主張の趣旨はかならずしも明らかではない。しかし、ある計量単位を取引上または証明上の計量(量の表示を含む。)に使用するということは、内心の思想(厳格な意味での思想に限らず、思つていること、感じていることのすべてを含む。)を外部に発表することとなんら関係のないことであるから、非法定計量単位を取引上または証明上の計量(量の表示を含む。)に使用することを禁止しても、憲法第二一条第一項の規定する表現の自由を侵したことになる余地がない。 したがつて、原告の右憲法の主張はその前提を欠くものであつて、採用できない。 (結論)以上の次第であるから、原告の被告局長に対する訴えは、その理由がないから失当として棄却することとし、また、被告所長に対する訴えは、不適法として却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官高津環佐藤繁海保寛)(別紙)一原告の製造している「ホワイト六折スケール」と称する合成樹脂製六つ折函数尺は、計量法第一二条に規定する計量器である。 二右計量器には非法定計量単位による目盛が併記されているので、これを販売し、または販売のため所持することは計量法第一〇条に違反する。 別紙図面 は計量法第一〇条に違反する。 別紙図面

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