平成22(ネ)271 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成24年5月24日 広島高等裁判所 棄却 広島地方裁判所 平成19(ワ)754
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判決文本文39,381 文字)

- 1 - 主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とし,補助参加によって生じた費用は参加人の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴の趣旨(1) 原判決を取り消す。 (2) 被控訴人は,控訴人aに対し3352万3221円,控訴人b及び控訴人cに対しそれぞれ1826万1610円並びにこれらの各金員に対する平成16年10月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 訴訟費用は,第一,二審とも被控訴人の負担とする。 2 控訴の趣旨に対する答弁主文と同旨第2 事案の概要 1 d(以下「亡d」という。)は,平成16年10月14日,被控訴人が設置,運営するe総合病院(以下「被控訴人病院」という。)において,胆管癌及び肝腫瘍の精査目的で内視鏡的逆行性膵胆管造影による検査を受けたが(以下「本件ERCP」といい,これに用いられた内視鏡を「本件内視鏡」という。),その際,本件内視鏡の挿入部先端に付着していたと推認される多剤耐性緑膿菌(以下,単に「緑膿菌」ということがある。)に感染して敗血症を起こし,同年12月5日,多臓器不全により死亡した(以下,上記感染を「本件感染」ないし「本件感染事故」という。)。 本件は,亡dの法定相続人(妻及び子)である控訴人らが,①被控訴人には多剤耐性緑膿菌が残存しないよう本件内視鏡を適切に洗浄,消毒すべき義務を怠った過失があり,②胆汁の流れが悪くなって感染しやすかったから内視鏡的 - 2 -経鼻胆管ドレナージ又はプラスチックステント留置して合併症防止を図るべき義務があったのに,これを怠った過失があり,これらの過失により亡dが死亡したものであるところ,亡dの被控訴人に対す - 2 -経鼻胆管ドレナージ又はプラスチックステント留置して合併症防止を図るべき義務があったのに,これを怠った過失があり,これらの過失により亡dが死亡したものであるところ,亡dの被控訴人に対する損害賠償請求権を相続したとして,被控訴人に対し,不法行為ないし診療契約の債務不履行に基づき,控訴人a(妻)について損害金3352万3221円,控訴人b(子)及び控訴人c(子)について損害金各1826万1610円並びにこれらの各金員に対する平成16年10月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるのに対し,被控訴人が,上記過失の存在を否認するなどして,控訴人らの請求を争う事案である。 原判決は,控訴人らの請求をいずれも棄却したので,控訴人らが控訴をし,また,参加人が当審において控訴人らのために補助参加をした。 2 前提事実(証拠を掲記しない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア控訴人aは,亡d(昭和2年7月2日生)の妻であり,控訴人b及び控訴人cは,いずれも亡dと控訴人aとの間の子である。 亡dは,平成16年12月5日に死亡し,控訴人らがその遺産を相続した(相続分は,控訴人aが2分の1,控訴人b及び控訴人cが各4分の1である。)。他に相続人はいない。 イ被控訴人は,医療に関する事業等を目的とする法人であり,廿日市市****丁目において,被控訴人病院を設置,運営している。 f医師及びg医師は,いずれも被控訴人に雇用され,被控訴人病院内科に勤務する医師である。本件感染事故当時,f医師は,消化器内科主任部長であり,g医師は,亡dの主治医であった。 本件感染事故発生当時,被控訴人病院には内視鏡室が設けられており,医師が行う内視鏡検査を補助するため,いずれも被控訴人に雇用された看護師7 内科主任部長であり,g医師は,亡dの主治医であった。 本件感染事故発生当時,被控訴人病院には内視鏡室が設けられており,医師が行う内視鏡検査を補助するため,いずれも被控訴人に雇用された看護師7名が配属されていたが,h看護師がその看護科主任を務めていた。 - 3 -ウ参加人は,医療用具等の製造販売等を目的とする株式会社である。なお,参加人の前身はi****株式会社(その後,i株式会社に商号を変更した。)であったが,同社グループの事業の再編により,平成**年*月**日に参加人が設立された(以下,参加人設立の前後を問わず,参加人を含むi****株式会社グループを「i社」という。)。 (2) 亡dの診療経過等ア亡dは,平成16年10月4日,悪性疾患の存在が疑われたため,被控訴人病院内科を受診し,その後行われた腹部エコー検査,CT検査及びMRI検査の結果,肝門部の腫瘤を中心とする病変が認められ,肝門部胆管(細胞)癌との一応の診断がされたが,その確定診断や癌細胞の胆管への浸潤の詳細を検査する必要があることから,本件ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影。十二指腸乳頭から内視鏡的にカニューレを挿入し,膵管,胆管を造影する画像診断方法である。)及び生検検査が施行されることとなった(乙A1)。 そこで,亡dは,同月13日,上記検査の目的で被控訴人病院に入院した。 イ被控訴人病院の医師は,同月14日,亡dに対し,本件内視鏡を用いて本件ERCP検査及び生検検査を行った。これにより,亡dについて,胆管癌(胆管細胞癌)を否定できず,腫瘍は,右肝内胆管を原発巣とし,3管(左右の肝管と胆嚢管)合流部にも水平に浸潤しているとの確定診断がされ(乙A2),これへの対応として,亡dの年齢と全身状況を考慮して,放射線治療や化学的治療(抗癌剤投与)は副 胆管を原発巣とし,3管(左右の肝管と胆嚢管)合流部にも水平に浸潤しているとの確定診断がされ(乙A2),これへの対応として,亡dの年齢と全身状況を考慮して,放射線治療や化学的治療(抗癌剤投与)は副作用による危険が高いため採用できないものとされ,外科的治療(切除)によって余命の向上を図るか,静観することが選択肢として残された。 なお,肝門部胆管癌の生命予後は悪く,全症例の5年生存率(生存期間中間値)は29.7%であり,切除率83.8%で,そのうち,切除例で - 4 -の5年生存率は36%,非切除例では3.2%であった(乙B4)。 ウこのような中,亡dは,同月19日に発熱し,抗生剤ロセフィンが投与されたが(ただし,本件ERCP施行当日の同月14日と翌15日にも投与されている。),同月20日には発熱が39.5度に上昇し,嘔吐もみられたため,肝・胆感染症に有効な抗生剤カルベニンの点滴投与が開始された(乙A3)。 また,同日,血液培養検査がされ,翌21日,グラム陰性桿菌が検出されたたため,同日,更に血液培養検査と前日採取された胆汁培養検査がされ,翌22日,多剤耐性緑膿菌(グラム陰性桿菌の一種である。)が検出され,g医師にその旨が伝えられた。 エ g医師は,同日午前,控訴人bに対し,血液培養検査の結果,亡dが抗生剤の効かない多剤耐性緑膿菌に感染(本件感染)したことが判明したこと,本件感染により,亡dが敗血症を起こしてDIC(播種性血管内凝固症候群)から多臓器不全に陥り,死亡する可能性があること,肝の内部に膿が多発しており(肝膿瘍),血中のエンドトキシン(細菌が産生する内毒素)によって血圧が低下し,ショックを起こす可能性があり,今後,エンドトキシン吸着と透析で対応していくことを説明し,できる限りのことをしていきたい旨を述べた(乙A エンドトキシン(細菌が産生する内毒素)によって血圧が低下し,ショックを起こす可能性があり,今後,エンドトキシン吸着と透析で対応していくことを説明し,できる限りのことをしていきたい旨を述べた(乙A2の19頁)。 オその後,上記方針に従い,亡dに対してドレナージチューブの挿入,エンドトキシン吸着,抗生剤(種類が数回変更された。)の投与等の治療が施されたが,亡dは,肝膿瘍,敗血症を発症し,病状は回復しなかった(乙A2)。 カ f医師とg医師は,同年11月16日,控訴人bに対し,亡dが多剤耐性緑膿菌により肝膿瘍,敗血症となった原因として,内視鏡操作(本件ERCP,生検)が考えられること,ここ数例同様のことが起きており,DNA等でも菌種が一致していること,必ずしも皆に感染症状(敗血症など) - 5 -が出るわけではないが,亡dの場合,胆管腫瘍(癌)により胆汁の流れが悪くなっており,感染しやすかったものと思われることなどを説明した上,謝罪した(乙A2の39頁)。 キ亡dの病状はその後も徐々に悪化し,同年12月5日,亡dは多臓器不全で死亡した。 (3) 亡dの本件感染の感染経路亡dの本件感染は,本件内視鏡の挿入部先端に付着した多剤耐性緑膿菌によって生じたものと推認される。 (4) 多剤耐性緑膿菌とその感染ないし感染の防御等についてア緑膿菌(Pseudomonasaeruginosa)は,健康な人の腸内に10%の割合で存在する細菌(常在菌)であり,湿潤環境を好むが,栄養要求性が低く(蒸留水の中でも発育する。),わずかな有機物と水があれば増殖し,特に老人や癌,糖尿病,肝不全,腎不全などの基礎疾患を持つ免疫能力の低下した易感染患者に日和見感染する代表的な細菌である。 このような生物学的特徴から,トイレ,流しのシンク,浴槽等 あれば増殖し,特に老人や癌,糖尿病,肝不全,腎不全などの基礎疾患を持つ免疫能力の低下した易感染患者に日和見感染する代表的な細菌である。 このような生物学的特徴から,トイレ,流しのシンク,浴槽等の水回りや花瓶,布タオル,歯ブラシ等の湿潤箇所に緑膿菌が生着すると,排除は困難である(甲B1,丙B16,18,19)。 イ多剤耐性緑膿菌(Multi-drugresistantpseudomonasaeruginosa)とは,複数の抗菌薬に対して耐性を持つ緑膿菌のことである。病原性は通常の緑膿菌とほぼ同じであり,健康な人が腸管内や鼻腔に保菌していても無害であるが,万一,敗血症や腹膜炎などを起こした場合,上記のように複数の抗菌薬に対する耐性を持つことから,確立した治療法がないため,治療に難渋することが多く,患者の予後の悪化や死亡率が増加する(乙B8,丙B16,18)。 ウなお,緑膿菌の感染には,外因性感染と内因性感染があり,外因性感染とは,患者が緑膿菌に直接触れる,あるいは医療従事者の手指を介して間 - 6 -接的に他の患者に接触感染することで伝播することをいい,内因性感染とは,緑膿菌保菌者に抗緑膿菌活性の弱い抗菌薬を使用し,菌交代現象として緑膿菌感染が生じる場合をいう(甲B1,丙B16)。 そのうち,外因性感染には,上記のような場合のほか,内視鏡を介した直接的な感染,あるいは内視鏡周辺の環境汚染を介した間接的な感染が起こる場合があり,院内感染事故として問題となっている。本件感染事故も,このような場合であり,亡dが多剤耐性緑膿菌に感染し,敗血症を起こして多臓器不全により死亡した症例である。 エ感染の防御等に関する一般的知見は,後記の別紙1「本件ガイドラインの概要」の第1ないし第3のとおりである。 (5) 本件内視鏡及び 染し,敗血症を起こして多臓器不全により死亡した症例である。 エ感染の防御等に関する一般的知見は,後記の別紙1「本件ガイドラインの概要」の第1ないし第3のとおりである。 (5) 本件内視鏡及びその自動洗浄消毒装置についてア本件内視鏡等について(ア) 本件内視鏡は,i社が平成*年に製造した「**** 十二指腸ビデオスコープ ******* ** **** 230」(以下「j230型」という。)中の1製品であり,同機種については,同年8月1日,当時の厚生大臣から医療用具製造承認を受けている(丙B6の1,2)。j230型は,これまで国内で約900台が販売されたほか,その同型機種を含めると,国内で約2500台,全世界で約2万台が販売された。 被控訴人は,平成7年12月28日ころに本件内視鏡を購入し,そのころから被控訴人病院で使用し始めた(乙B31)。 (イ) 本件内視鏡の構造a 本件内視鏡は,コネクター部,ユニバーサルコード部,操作部及び挿入部から構成されている。コネクター部は,光源との接続部分であり,ユニバーサルコード部は,コネクター部と操作部とを接続するコード部分であり,吸引,送気,送水の各チャンネル(管路)が内蔵さ - 7 -れている。操作部は,ボタンの使用により,吸引,送気,送水等の各種操作をする部分であり,挿入部は,患者の体内に入る部分である。 b 吸引,送気,送水は,上記のとおり,各別のチャンネルを通して行われ,これらのチャンネルがコネクター部から挿入部先端にあるノズルに達して開口しているが,このうち,送気,送水のチャンネルは,挿入部先端付近で合流しており,送気・送水ボタン(AWチャンネルないしA/Wチャンネルとも呼ばれる。)により,チャンネルの切替えが行われる(送気・送水機構)。 また,本件内視鏡 のチャンネルは,挿入部先端付近で合流しており,送気・送水ボタン(AWチャンネルないしA/Wチャンネルとも呼ばれる。)により,チャンネルの切替えが行われる(送気・送水機構)。 また,本件内視鏡の操作部及び挿入部には,鉗子口から挿入部先端に達する鉗子チャンネルが設けられており,挿入部先端には鉗子出口と鉗子起上台があって,鉗子起上ワイヤ(これについても,特別のチャンネルが設けられている。)を操作することにより,鉗子起上台を起上させることができる仕組みとなっている(鉗子起上機構)。これにより,鉗子口から鉗子チャンネルを通じて挿入部先端まで通した生検鉗子等を起上させ,生検資料を採取することができるようになっており,さらに,採取した生検資料を鉗子チャンネル分岐部で同チャンネルに接続する吸引チャンネルを通じ,コネクター部に送ることができる(吸引機構)。 c 以上のとおり,本件内視鏡には,吸引,送気,送水,鉗子及び鉗子起上ワイヤの各別のチャンネル(ただし,送気,送水の各チャンネルは,挿入部先端付近で合流しており,鉗子チャンネルは,鉗子チャンネル分岐部で吸引チャンネルに接続している。)があり,そのうち,コネクター部及びユニバーサルコード部には送気,送水及び吸引の各チャンネルが,操作部にはこれらの各チャンネルに加え,鉗子及び鉗子起上ワイヤの各チャンネルと鉗子口が,挿入部には送気,送水,鉗子及び鉗子起上ワイヤの各チャンネルと上記ノズル(送気・送水), - 8 -鉗子出口及び鉗子起上台とがある。 (ウ) 本件内視鏡の操作部,挿入部の先端部拡大図,先端部断面図及び挿入部断面図と送気・送水機構,鉗子起上機構及び吸引機構は,原判決別紙のとおりである。また,各チャンネル等の状況は,別紙図面「内視鏡各部位の名称」のとおりである。 (エ) 本件内視鏡 部断面図及び挿入部断面図と送気・送水機構,鉗子起上機構及び吸引機構は,原判決別紙のとおりである。また,各チャンネル等の状況は,別紙図面「内視鏡各部位の名称」のとおりである。 (エ) 本件内視鏡であるj230型は,先端キャップ固定式であり,主に先端部に「しつこい」汚れが集まる可能性が高かったため,i社では,先端をキャップ化し,取り外しを可能にすることで洗浄性の向上を図ることとし,平成9年以降,先端キャップ着脱式(先端キャップを取り外すと,上記ノズル,鉗子出口,鉗子台及び鉗子起上ワイヤチャンネルが露出するため,洗浄が容易かつ効率的である。)の内視鏡j240型を販売するようになった(乙B9ないし13)。 ただし,本件内視鏡であるj230型の同型機種(いずれも先端キャップ固定式である。)は,上記(ア)のとおり,国内で約2500台,全世界で約2万台が販売された実績があるが,本件感染事故が発生した平成16年10月までに,国内又は海外からi社に対し,感染菌が検出され,あるいは感染事故が発生した旨の品質クレーム情報が寄せられたことはなかった(丙B12,13の各1,2)。 イ内視鏡自動洗浄消毒装置について(ア) i社は,内視鏡自動洗浄消毒装置「k」とその後継機種「l」を製造,販売していた。 被控訴人は,本件内視鏡の購入と併せ,平成7年12月28日ころにkを購入して被控訴人病院で使用し始め,平成9年1月31日ころにはlを購入して被控訴人病院で使用し始めた。 また,被控訴人は,平成11年3月,m株式会社製造の内視鏡自動洗浄消毒装置「n」を購入して被控訴人病院で使用し始めた。 - 9 -(イ) 被控訴人は,上記各内視鏡自動洗浄消毒装置の更新期が迫っていたため,平成16年10月4日から同月15日までの間,株式会社o製造,p株式会社 して被控訴人病院で使用し始めた。 - 9 -(イ) 被控訴人は,上記各内視鏡自動洗浄消毒装置の更新期が迫っていたため,平成16年10月4日から同月15日までの間,株式会社o製造,p株式会社販売の同装置「qS(シリアル番号FBSA0072)」の貸与を受けて被控訴人病院で試用した後,同年11月8日,これを3台(シリアル番号FBSA0567ほか。),「qD」を1台それぞれ購入し,これらを被控訴人病院で使用し始め,これに伴い,i社製のkとl及びm株式会社製のnの使用を終了した。 qSは,シリアル番号0300までが旧型であり,0301以降が新型である(以下,上記旧型,新型をそれぞれ「旧型q」,「新型q」といい,新型,旧型を区別しないときは,単に「q」という。)。旧型qは鉗子起上ワイヤチャンネル(副送水チャンネル)を有する本件内視鏡に適合しなかったが,新型qは鉗子起上ワイヤチャンネルに接続できるカプラ(接続器)を増設してこれに適合するようになった(乙B36,37)。上記の同年10月4日から同月15日まで試用されたのが旧型qであり,同年11月8日に新たに購入されたのが新型qである。 (6) 内視鏡の洗浄消毒に関するガイドラインア緑膿菌の外因性感染には,前記のとおり,内視鏡を介した直接,間接の感染があり,院内感染事故として問題となっていることから,日本消化器内視鏡技師会(現日本消化器内視鏡技師学会)安全管理委員会は,平成16年3月,「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン」第2版(以下「本件ガイドライン」という。)を定めた(甲B1)。 イ本件ガイドラインの概要は,別紙1「本件ガイドラインの概要」のとおりである(本件ガイドラインの第1の3,4の「スポルディング」とは,分類を提唱した人物名である。)。 (7) 本件内視鏡の取扱説明 本件ガイドラインの概要は,別紙1「本件ガイドラインの概要」のとおりである(本件ガイドラインの第1の3,4の「スポルディング」とは,分類を提唱した人物名である。)。 (7) 本件内視鏡の取扱説明書による洗浄消毒本件内視鏡の取扱説明書(平成20年2月19日付け原審調査嘱託の結果 - 10 -の結果)による洗浄消毒の概要は,別紙2「本件内視鏡の取扱説明書による洗浄消毒」のとおりである。 (8) 被控訴人病院の洗浄消毒マニュアルア本件内視鏡は,内視鏡検査終了後,医師から内視鏡室担当の看護師に渡され,看護師がその洗浄消毒等に当たっていたが,本件感染事故前には,そのための成文化した文書は作成されていなかった。 そこで,被控訴人は,本件感染事故を機に,看護師が従前行っていた上記洗浄消毒等の手順を成文化することとし,平成16年11月中に従前の手順を成文化した「**e総合病院ファイバー洗浄手順」(以下「本件マニュアル」という。)を作成した。 イ本件マニュアルによる内視鏡の洗浄消毒手順の概要は,別紙3「本件マニュアル」のとおりである。 なお,本件マニュアルでは,本件内視鏡の取扱説明書とは異なる用語が使われており,別紙3「本件マニュアル」のA8に「副送水チャンネルと鉗子口チャンネルは,同じ管腔となっている」とあるのは,「鉗子起上ワイヤチャンネルと洗浄チューブ取付口金は,同じ管腔となっている」との趣旨である。 3 争点及び争点に関する当事者の主張は,控訴人ら及び被控訴人の当審における主張と参加人の主張を後記4に付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第4 争点及びこれに対する当事者の主張」(原判決12頁8行目から同18頁16行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決13頁25行目から同26行目にか 事実及び理由」欄の「第4 争点及びこれに対する当事者の主張」(原判決12頁8行目から同18頁16行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決13頁25行目から同26行目にかけての「(以下「q」という。)を削る。)。 4 控訴人らの当審における主張,参加人の主張及び被控訴人の当審における主張(1) 控訴人らの当審における追加主張 - 11 -ア本件内視鏡の洗浄消毒に関する注意義務違反(ア) lの取扱説明書には,「洗浄消毒した後は,必ず内視鏡の取扱説明書に従って滅菌を行ってください」と記載されており,本件内視鏡の取扱説明書には,ガス滅菌するよう記載されている。ところが,本件マニュアルにはこのような記載がないから,担当看護師がガス滅菌をしなかったことは明白である。 したがって,被控訴人には,上記各取扱説明書に従って滅菌しなかった注意義務違反がある。 (イ) 米国消化器内視鏡看護者協会では,すべての内視鏡処置において,送水ボトルには滅菌水が使用されるべきであるとの見解が支持されている。ところが,被控訴人は,滅菌水を使用しなかったため,本件内視鏡に緑膿菌が残り,本件感染事故が発生した。 したがって,被控訴人には,滅菌水を使用しなかった注意義務違反がある。 (ウ) 本件感染事故は,本件内視鏡の鉗子起上ワイヤチャンネルが十分に乾燥していなかったため,これに緑膿菌が付着したことにより発生した可能性が高い。 したがって,被控訴人には,アルコールフラッシュと空気の注入を行い,鉗子起上ワイヤチャンネルを十分に乾燥させることを怠った注意義務違反がある。 (エ) 仮に本件内視鏡の構造により緑膿菌の残存が不可避であるのなら,平成9年には,洗浄性が向上された本件内視鏡の後継機種である先端キャップ着脱式の内 乾燥させることを怠った注意義務違反がある。 (エ) 仮に本件内視鏡の構造により緑膿菌の残存が不可避であるのなら,平成9年には,洗浄性が向上された本件内視鏡の後継機種である先端キャップ着脱式の内視鏡(j240型)が発売されており,被控訴人も,本件内視鏡に問題があることを認識していたのであるから,早々にj240型に切り替えるべきであった。 したがって,被控訴人には,この切替えを怠った注意義務違反がある。 - 12 -イ本件内視鏡の環境整備に関する注意義務違反(ア) 被控訴人病院では,本件感染事故発生前から緑膿菌による汚染がみられた。ところが,被控訴人は,汚染箇所の消毒を行わず,医療従事者に対する保菌調査をせず,汚染発生の十分な原因究明をしていない。また,被控訴人は,本件内視鏡やその周辺環境に対する定期的な調査をすることも怠った。 したがって,被控訴人には,上記の消毒,保菌調査,原因究明の不徹底,定期的調査の懈怠による注意義務違反がある。 (イ) 本件内視鏡が緑膿菌に汚染されたのは,保管庫が緑膿菌に汚染されていたためである可能性が高い。ところが,被控訴人は,保管庫に対する環境調査をするなどの適切な措置をとらなかったため,本件感染事故が発生したものである。 したがって,被控訴人には,保管庫の汚染防止その他本件内視鏡を適切に保管することを怠った注意義務違反がある。 ウ胆道感染防止に関する注意義務違反ERCPを行うと,内視鏡を介して緑膿菌に感染し,胆道感染等の合併症を起こす危険があるから,感染予防のため,本件ERCPに際し,造影剤に抗生剤を混入すべきであった。 また,ドレナージは内視鏡的にもできるのであるから,胆汁の貯留した胆道の上流部分で内視鏡的ドレナージをすることができたのであり,本件ERCP後直ちにこ し,造影剤に抗生剤を混入すべきであった。 また,ドレナージは内視鏡的にもできるのであるから,胆汁の貯留した胆道の上流部分で内視鏡的ドレナージをすることができたのであり,本件ERCP後直ちにこれを行っていれば,緑膿菌の増殖を抑止できた。 以上のとおり,被控訴人には,造影剤に抗生剤を混入すべきであったのにこれを怠り,また,上記内視鏡的ドレナージをすべきであったのにこれを怠った各注意義務違反がある。 (2) 参加人の主張被控訴人は,本件内視鏡の鉗子起上台の裏面の洗浄性に構造上の問題があ - 13 -ったため,その部位に極めて微量で強力な耐性菌が生き残り,次回の使用時までに感染性を持つまでに繁殖したことが本件感染の原因であると主張する。 しかし,本件感染が「本件内視鏡の挿入部先端に付着した緑膿菌によって生じた」ことを認めるに足りる証拠はない。 また,仮に「本件感染が本件内視鏡の挿入部先端に付着した緑膿菌によって生じた」としても,本件内視鏡が緑膿菌に汚染される機序としては,いくつもの有力な可能性が存在するから,本件内視鏡の構造に起因するものではない。 上記可能性としては,次のような場合が考えられる。 ア患者の周辺環境や医療従事者が緑膿菌に汚染されており,このような周辺環境や医療従事者に付着した緑膿菌が,本件内視鏡の使用前や使用中に,直接本件内視鏡に付着するか,汚染された手袋,ハンガー等を介して間接的に本件内視鏡に付着したことにより本件内視鏡を汚染し,本件内視鏡を介して本件感染が生じた可能性イ消毒後保管前の本件内視鏡の乾燥が不十分であったことや内視鏡保管庫内の環境が不適切であったことなどの保管環境が原因となって,本件内視鏡が緑膿菌に汚染された可能性ウさらに,本件内視鏡の洗浄消毒にその一部チャンネルを十分 の乾燥が不十分であったことや内視鏡保管庫内の環境が不適切であったことなどの保管環境が原因となって,本件内視鏡が緑膿菌に汚染された可能性ウさらに,本件内視鏡の洗浄消毒にその一部チャンネルを十分に洗浄消毒することができない株式会社o社製qが使用されたため,本件内視鏡に緑膿菌が残存した可能性上記可能性のうちでも,本件では,環境調査により,緑膿菌が検出されたり,されなかったりすることが繰り返されており,このような事実があったことに照らすと,本件感染の原因は,保管庫その他被控訴人病院における本件内視鏡の保管状況に問題があったことによると考えられる。 したがって,被控訴人の上記主張は理由がない。 - 14 -(3) 被控訴人の当審における主張控訴人ら及び参加人は,保管庫その他被控訴人病院における本件内視鏡の保管状況に問題があったと主張する。 しかし,被控訴人病院では,自動洗浄消毒装置から取り出した内視鏡の外側の水分をディスポ(使い捨て)の紙で拭き取り,その後,保管庫に収納して保管していた。この保管庫は,奥側が斜めになっており,内視鏡が接触するため,防水シートが貼られていた。内視鏡は,垂直につり下げられており,下には圧定布が敷かれ,保管庫の中には市販の乾燥剤が入れられていた。 被控訴人病院における上記内視鏡の保管状況に問題はない。 したがって,控訴人ら及び参加人の上記主張は理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は以下のとおりである。 2 本件内視鏡の洗浄,消毒,保管等に関する被控訴人の注意義務違反の有無について(1) 本件内視鏡の挿入部先端に付着した多剤耐性緑膿菌による本件感染(前記前提事実(3))本件感染は本件内視鏡の挿入部 視鏡の洗浄,消毒,保管等に関する被控訴人の注意義務違反の有無について(1) 本件内視鏡の挿入部先端に付着した多剤耐性緑膿菌による本件感染(前記前提事実(3))本件感染は本件内視鏡の挿入部先端に付着した多剤耐性緑膿菌によって発生したものと推認される。 なお,参加人は,上記事実を認めるに足りる証拠はないと主張するが,この点は控訴人らと被控訴人との間に争いがないから,民事訴訟法45条2項により,参加人は,上記争いのない事実と異なる主張をすることはできない。 (2) 多剤耐性緑膿菌と院内感染事故(前記前提事実(4))ア緑膿菌は,健康な人の腸内に10%の割合で存在する細菌(常在菌)であり,湿潤環境を好むが,栄養要求性が低く(蒸留水の中でも発育する。),わずかな有機物と水があれば増殖し,特に老人や癌,糖尿病,肝不全,腎 - 15 -不全などの基礎疾患を持つ免疫能力の低下した易感染患者に日和見感染する代表的な細菌である。 このような生物学的特徴から,トイレ,流しのシンク,浴槽等の水回りや花瓶,布タオル,歯ブラシ等の湿潤箇所に緑膿菌が生着すると,排除は困難である。 イ多剤耐性緑膿菌とは,複数の抗菌薬に対して耐性を持つ緑膿菌のことである。病原性は通常の緑膿菌とほぼ同じであり,健康な人が腸管内や鼻腔に保菌していても無害であるが,万一,敗血症や腹膜炎などを起こした場合,上記のように複数の抗菌薬に対する耐性を持つ上,確立した治療法がないため,治療に難渋することが多く,患者の予後の悪化や死亡率が増加する。 ウ緑膿菌の外因性感染は,患者が緑膿菌に直接触れる,あるいは医療従事者の手指を介して間接的に患者に接触感染して伝播することなどをいうが,そのような例として,内視鏡を介した直接的な感染,あるいは内視鏡周辺の環境汚染を介した間接 が緑膿菌に直接触れる,あるいは医療従事者の手指を介して間接的に患者に接触感染して伝播することなどをいうが,そのような例として,内視鏡を介した直接的な感染,あるいは内視鏡周辺の環境汚染を介した間接的な感染が起こる場合があり,現在,このような感染が,院内感染事故として問題となっている。本件感染事故も,このような院内感染の事故である。 (3) 被控訴人の院内感染事故に対する対応被控訴人病院では,本件感染事故より前から,院内感染対策委員会(乙B34①)が設けられ,定期的に,あるいは臨時にMRSA,緑膿菌等による病院施設や医療器具等の汚染状況及び緑膿菌等の保菌者ないし感染患者の状況等を調査し(以下,これらに係る調査を「環境調査」という。),その対策を講じるほか,緑膿菌の菌株の同一性についても,株式会社rほか1社にDNA分析を依頼して調査を繰り返してきた。また,乙B42①ないし⑩によれば,院内感染対策委員会では,その必要がある都度,各種論文や他の総合病院における院内感染対策に係る資料が提出され,これに基づいて被控訴 - 16 -人病院における院内感染事故に備えるとともに,これを各病棟に周知していたことが認められ,これを受けて,内視鏡室では,相当高い水準のスタンダードプリコーションがおこなわれていたと推認される(なお,乙B44によれば,f医師やh看護師ら内視鏡室担当者は,内視鏡の洗浄消毒効果を検討した論文を執筆し,平成**年**月発行(同年8月31日受付)の医学雑誌に掲載している。)。 (4) 本件内視鏡の挿入部先端に多剤耐性緑膿菌が付着するに至った経路ア前提事実,乙B34①,35①ないし⑤,38①ないし⑦,41①,②,42①ないし⑦,45,46,50①ないし⑧,54①,②及び丙B9,14,28及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人 に至った経路ア前提事実,乙B34①,35①ないし⑤,38①ないし⑦,41①,②,42①ないし⑦,45,46,50①ないし⑧,54①,②及び丙B9,14,28及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人病院における緑膿菌(それ以外の細菌等は除外)の検出状況等について,次のとおりの事実が認められる。 (ア) 被控訴人病院では,院内感染対策委員会において,定期的に,あるいは臨時にMRSA,緑膿菌等に係る環境調査を行っていたが,これによる平成16年中の多剤耐性緑膿菌の感染患者は,別紙一覧表(以下「別表」という。)のとおりである。 そのうち,被控訴人が株式会社rほか1社に依頼したDNA分析(パルスフィールドゲル電気泳動による遺伝子分析)の結果,患者F,H,J,K及び亡dの菌株(○で表示)と患者L及びNの菌株(◎で表示)については,これらがそれぞれ同一であると判定された(乙B41の①,②)。また,患者F,H,J,K及び亡dの菌株と患者L及びNの菌株が同一であるとは判定されていないものの,乙B41の①,②の各泳動写真を対照すると,同一である可能性は高い。さらに,乙B41の①の泳動写真の番号1ないし8を対照すると,患者Gの菌株(△で表示)も患者Fほかの菌株(○で表示)と同一である可能性が高い(ただし,これら以外の患者の緑膿菌については菌株の同定がされていないが,それ - 17 -は,DNA分析がされていないためであるから,これらの患者の緑膿菌の菌株が直ちに異種の菌株であるということにはならない。)。 (イ) 被控訴人病院における環境調査は,ほぼ1か月に一度行われており,平成16年中の調査の結果と被控訴人病院の対応は,次のとおりである。 a 1月14日(資料受付日である。以下同じ。),2月18日,3月3日,5月19日の調査はいずれも陰性であっ に一度行われており,平成16年中の調査の結果と被控訴人病院の対応は,次のとおりである。 a 1月14日(資料受付日である。以下同じ。),2月18日,3月3日,5月19日の調査はいずれも陰性であった。しかし,6月9日の調査の際,内視鏡のうち下部消化管に用いるものの1つ(以下「下部①内視鏡」という。ただし,機種は不明である。)を洗浄した洗剤から細菌(種類不明)が検出され,7月7日の調査の際,下部①内視鏡を洗浄した洗剤から桿菌(菌種の判別はされていない。)が検出されたが,8月4日の調査は陰性であった(乙B50①ないし⑦)。 なお,5月14日開催の院内感染対策委員会において,外来患者1名から緑膿菌が検出されたとの報告がされた(乙B42①1枚目,7枚目)。 b ところが,その後,別表のとおり,患者FないしHが多剤耐性緑膿菌に感染していることが判明したことから,9月3日開催の院内感染対策委員会において,緑膿菌汚染に関する協議がされ(乙B42④),各部署にて感染対策の再確認をするとともに,原因調査がされることとなった。 その結果,同月8日の調査では,下部①内視鏡を洗浄した洗剤から緑膿菌ほかの細菌が検出されたが(乙B50⑧),本件内視鏡は陰性であった(乙B35①)。 また,別表のとおり,同月18日の調査により,患者Kが多剤耐性緑膿菌に感染したことが判明した。 これを受けて同月22日に開催された院内感染対策委員会で協議がされ,西7病棟の感染経路は未定であり,接触感染が疑われるなどと - 18 -の報告がされた。なお,同日時点において,患者FないしH及びJの緑膿菌が同一菌株であることが同定された(乙B42⑤)。 c このような中,10月14日に亡dに対する本件ERCPが,同月18日に患者Lに対するERCPが(ただし,カニュレーシ 者FないしH及びJの緑膿菌が同一菌株であることが同定された(乙B42⑤)。 c このような中,10月14日に亡dに対する本件ERCPが,同月18日に患者Lに対するERCPが(ただし,カニュレーションできず。),同月20日に患者Nに対するERBD(内視鏡的逆行性胆道ドレナージ)がそれぞれ施行されたが,患者Lに対するERCPでも,患者Nに対するERBDでも本件内視鏡が使用された。その間の同月19日から亡dが発熱し,同月20日の調査により(同月21日から同月22日にかけてその報告がされた。),亡dが緑膿菌に感染していることが判明したことから,被控訴人病院では,同月21日ころ以降,本件内視鏡を使用禁止とする措置をとった。 そして,同月25日に本件内視鏡に対する調査が行われ,その結果,本件内視鏡の起立鉗子及び鉗子口先端から緑膿菌が検出された(乙B35②)ほか,別表のとおり,患者Lについては同月29日,患者Nについては11月5日の調査により,それぞれ緑膿菌に感染していることが判明した(なお,同日の調査により,同月2日に膵頭十二指腸切除術が施行された患者Mについても緑膿菌に感染していることが判明したが,患者Mの手術の際には本件内視鏡は使用されていない。)。 d そこで,被控訴人は,11月8日,i社立会いの下,本件内視鏡の洗浄消毒を行った上,緑膿菌による汚染の有無を調査したが,結果は陰性であった(乙B35の③)。 このような調査を踏まえ,f医師とg医師は,同月16日,控訴人bに対し,本件感染の原因として,本件ERCPにおける本件内視鏡操作が考えられるなどと説明して謝罪し,翌17日に開催された院内感染対策委員会においても,f医師は,本件内視鏡が原因で本件感染事故を発生させたとして,これを謝罪した(乙B42⑥)。 - 19 -e 本 られるなどと説明して謝罪し,翌17日に開催された院内感染対策委員会においても,f医師は,本件内視鏡が原因で本件感染事故を発生させたとして,これを謝罪した(乙B42⑥)。 - 19 -e 本件内視鏡については,11月19日にも調査が行われ,鉗子口と副送水(鉗子起上ワイヤチャンネル)から緑膿菌が検出されたが,12月16日の調査では陰性であることが確認され(乙B35④,⑤),以後,本件内視鏡は保管庫に収納された。 しかし,上記のとおり,本件内視鏡は既に使用されていなかったにもかかわらず,別表のとおり,この間の同月9日の調査により患者Oから,同月24日の調査により患者Pからそれぞれ多剤耐性緑膿菌が検出された。 (ウ) 平成17年においても,本件内視鏡に対する調査が続けられたが,その結果は,次のとおりである。 a 9月8日の調査では陰性であったが,12月1日と5日の調査で副送水(鉗子起上ワイヤチャンネル)から緑膿菌が検出された。しかし,同月6日の調査では陰性であり,同月14日の調査ではまた副送水から緑膿菌が検出されたが,同月15日と16日の調査ではいずれも陰性であった。そして,その後,平成20年の年末まで隔月で調査が行われたが,すべて陰性であった。 bi社では,平成17年12月14日,上記12月1日の調査により本件内視鏡から緑膿菌が検出されたとの情報を入手し,同社従業員が被控訴人病院を訪ねてその原因調査に当たったところ,被控訴人病院では,上記調査(同月14日までの調査を含む。)において,本件内視鏡を機械洗浄(別紙2「本件内視鏡の取扱説明書による洗浄消毒」のB)する際,o株式会社製の新型qを使用していたことが判明したことから,緑膿菌検出の原因について,本件内視鏡を保管中,浮遊している菌が鉗子起上ワイヤチャンネル内に残留した水 説明書による洗浄消毒」のB)する際,o株式会社製の新型qを使用していたことが判明したことから,緑膿菌検出の原因について,本件内視鏡を保管中,浮遊している菌が鉗子起上ワイヤチャンネル内に残留した水分に付着したか,もしくは残存していた菌が増殖した可能性が高いものと考えた。 c そこで,i社は,新型qを販売しているp株式会社に対応を依頼し, - 20 -同社従業員は,平成18年2月7日,被控訴人病院を訪ねた上,保管に課題があるとして,被控訴人病院に対し,拭き取りタオルの交換頻度,保管庫の吸水シートと内視鏡の接触,吸水シートの交換頻度の点の改善を求めたほか,保管庫の扉を開放状態にしないように助言した(乙B54①,②,丙B9,14,28)。 イ上記アの事実によると,(ア) 平成16年中に被控訴人病院で緑膿菌が検出されたのは,別表の患者AないしPの17名であるが,そのうち,患者A,CないしE,G,K,O及びPは,いずれも検出前30日以内の手術歴がないから,本件内視鏡ないしこれを使用する手術とは無関係に緑膿菌に感染したものというべきである。 また,患者B,H及びIは,いずれも検出前30日以内の手術歴があるものの(ただし,患者Iは30日内の手術ではない。),これらの手術は,内視鏡を使用するものではないから,上記各患者についても,本件内視鏡ないしこれを使用する手術とは無関係に緑膿菌に感染したものというべきである。 さらに,患者Jは,平成16年9月15日に内視鏡を使用する手術を受けているが,患者Jから緑膿菌が検出されたのは,それ以前の同年8月29日であるから,患者Jについても,本件内視鏡ないしこれを使用する手術とは無関係に緑膿菌に感染したものというべきである。患者Mも,同年11月2日,内視鏡を使用する手術を受けているが,本件内視 月29日であるから,患者Jについても,本件内視鏡ないしこれを使用する手術とは無関係に緑膿菌に感染したものというべきである。患者Mも,同年11月2日,内視鏡を使用する手術を受けているが,本件内視鏡は同年10月21日ころ以降,使用禁止の措置がとられているから,患者Mについても,本件内視鏡ないしこれを使用する手術とは無関係に緑膿菌に感染したものというべきである。 そうすると,別表の患者17名のうち,その約75%に当たる13名がいずれも本件内視鏡ないしこれを使用する手術とは無関係に多剤耐性 - 21 -緑膿菌に感染したことになる。 (イ) 本件内視鏡ないしこれを使用する手術によって緑膿菌に感染した可能性があるのは,患者F,亡d,患者L及び患者Nの4名となるが,亡dが平成16年10月14日に受けた本件ERCP以前の手術であって,その直近の緑膿菌保菌者の手術であったのは,患者Jが同年9月15日に受けた胆嚢摘出術であるから,その間には1か月の間隔がある。しかも,f医師の原審証言(6項)によれば,被控訴人病院で本件内視鏡を使用するのは年間80件前後であるというのである(乙B39によっても,優に裏付けられるところである。)から,本件内視鏡は,1か月の間に平均して6.6回使用されることになり,患者Jの手術後,亡dが本件ERCPを受けるまでの1か月間に少なくとも4,5回は使用されたはずであるが,これにより,緑膿菌の感染事故が発生した形跡はない。 (ウ) 本件内視鏡は,平成16年10月21日ころ以降,使用禁止の措置がとられたにもかかわらず,同年11月2日に膵頭十二指腸切除術を受けた患者Mから緑膿菌が検出され,また,同年12月16日の緑膿菌の調査において,陰性が確認された後,保管庫に収納されたものの,この間の同月9日の調査により患者Oから,同月 日に膵頭十二指腸切除術を受けた患者Mから緑膿菌が検出され,また,同年12月16日の緑膿菌の調査において,陰性が確認された後,保管庫に収納されたものの,この間の同月9日の調査により患者Oから,同月24日の調査により患者Pからそれぞれ緑膿菌が検出されており,患者M,O及びPがいずれも緑膿菌に感染していることが判明したほか,このようにして保管された本件内視鏡について翌平成17年12月に調査を行ったところ,同月1日,5日及び14日の調査において緑膿菌が検出されている。 (エ) 以上によれば,被控訴人病院においては,本件内視鏡ないしこれを使用する手術以外にも,緑膿菌感染の原因となる何らかの感染源や感染経路等があったと考えられるが,これらを特定することは困難である。そうすると,被控訴人病院の院内感染の調査によっても,本件内視鏡の挿入部先端に緑膿菌が付着するに至った経路を解明することは困難という - 22 -ほかない。 (5) 本件内視鏡の洗浄,消毒,保管等が本件ガイドラインや各取扱説明書の内容を遵守したものであったかどうか。 ア本件ガイドラインの指示違反について(ア) 控訴人らは,本件マニュアルには,本件ガイドライン(院内感染防止の対策として,日本消化器内視鏡技師会安全管理委員会が作成したもの)が要求する次の処置に関する記載がないから,被控訴人の消毒担当者はこれらの処置を怠った可能性があると主張する。 a 周辺環境に関する適切な処置(清潔を保つ)b 内視鏡検査の従事者に対する適正な処置(1回ごとに手袋を交換するなど)c 内視鏡洗浄消毒器のメンテナンス(イ) しかし,上記処置は,いずれも環境整備ないし本件ガイドライン(別紙1「本件ガイドラインの概要」の第1の4)にいうスタンダードプリコーションに係る処置であり,本件マニュ 消毒器のメンテナンス(イ) しかし,上記処置は,いずれも環境整備ないし本件ガイドライン(別紙1「本件ガイドラインの概要」の第1の4)にいうスタンダードプリコーションに係る処置であり,本件マニュアルが内視鏡の洗浄消毒の手順を成文化したにとどまるものであることを考慮すると,本件マニュアルにこれらの処置に関する記載がされていないのは当然であって,かかる記載がないからといって,被控訴人が上記環境整備に係る処置を怠ったということはできない。 (ウ) したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない(なお,環境整備に係る問題は,後に検討するとおりである。)。 イ本件内視鏡の取扱説明書の指示違反について(ア) 控訴人らは,本件マニュアルには,本件内視鏡の取扱説明書にある次の事項が記載されていないから,本件内視鏡の洗浄消毒等に当たり,担当看護師がこれらの手順が践まなかった注意義務違反があると主張する。 - 23 -aAWチャンネル洗浄アダプターを取り付けての送気・送水の繰り返しb 鉗子起上パイプ内洗浄c 鉗子起上台回りは流水中で鉗子起上台を動かし,十分に水洗d 吸引管路のブラッシング後の洗浄水,空気の交互吸引(イ) 本件マニュアルは,本件感染事故を機に,看護師が従前行っていた内視鏡の洗浄消毒の手順を平成16年11月中に成文化したものであり,その概要は,別紙3「本件マニュアル」のとおりである。 また,乙B18,19及びf医師,h看護師の原審各証言と弁論の全趣旨によれば,本件感染事故発生当時,被控訴人病院では,内視鏡検査・CT検査・胃透視,注腸造影検査・血管造影検査等のすべての業務を放射線科内視鏡室配属の看護師7名が担当しており,床面積合計80㎡の内視鏡室等において,緊密に連絡を取り合いながらこれらの業務に従 ・CT検査・胃透視,注腸造影検査・血管造影検査等のすべての業務を放射線科内視鏡室配属の看護師7名が担当しており,床面積合計80㎡の内視鏡室等において,緊密に連絡を取り合いながらこれらの業務に従事していたこと,同室の看護師の人員交代の頻度は1年に1名程度であり,新たに内視鏡室担当となった看護師には,マンツーマンで3週間程度の新人教育が行われ,各種機器に係る手技や知識が伝授されていたこと,また,同室では,毎昼食時,主任からスタッフ全員に対して各種連絡事項,注意事項,変更事項等が伝達されていたほか,毎月1回,勤務終了後に勉強会が開催されていたことが認められる。 以上によると,本件感染事故発生当時,被控訴人病院の内視鏡室所属の看護師7名は,いずれも本件マニュアルに従って本件内視鏡の洗浄消毒をしていたものと認めるのが相当である。 そこで,以下,控訴人らの主張について順次検討する。 a 「aAWチャンネル洗浄アダプターを取り付けての送気・送水の繰り返し」は,別紙2「本件内視鏡の取扱説明書による洗浄消毒」の2に記載があるが,本件マニュアルである別紙3「本件マニュアル」 - 24 -のA2には,「エンドザイム液を鉗子チャンネルから吸引し,その後,同様に水を吸引して送気・送水の確認を行う。」との記載があるものの,上記aに相当する直接の記載はない。 しかし,本件マニュアルは,上記のとおり,内視鏡室所属の看護師7名が緊密な連絡を取り合っていることを前提として作成されたいわば仲間内の文書であり,その用語,内容とも,この7名の看護師が理解できればそれで足りる性質のものであるから(現に,本件マニュアルでは,前提事実(8)イに記載のとおり,本件内視鏡の取扱説明書の用語と異なる独自の用語が使われている。),第三者からみて,本件マニュアルの記載 それで足りる性質のものであるから(現に,本件マニュアルでは,前提事実(8)イに記載のとおり,本件内視鏡の取扱説明書の用語と異なる独自の用語が使われている。),第三者からみて,本件マニュアルの記載に不備,不足があるとしても,それだけの理由により,上記看護師7名が本件内視鏡の洗浄消毒に必要な手順を践んでいなかったということはできない。 他方,本件マニュアルの上記記載は,「エンドザイム液を鉗子チャンネルから吸引し」,その後,「同様に」鉗子チャンネルに「水を吸引して送気・送水」するとの趣旨にも読めるが,後に自動洗浄消毒装置による洗浄消毒が予定されていることを考慮すると,この手洗いの段階で鉗子チャンネルを洗剤と水とで2回洗浄するというのは不合理であるから,上記記載は,むしろ,「エンドザイム液を鉗子チャンネルから吸引し」て洗浄し,その後,「同様に」送気,送水の各チャンネルに「水を吸引して送気・送水」する(その場合,当然にAWチャンネル洗浄アダプターが取り付けられる。)との趣旨に読むのが自然である。事実,本件内視鏡の操作部から挿入部にかけては,送気,送水,鉗子及び鉗子起上ワイヤの各別のチャンネル(ただし,送気,送水の各チャンネルは,挿入部先端で合流している。)が併存しているのであるから(別紙図面参照),後記bのとおり,別に洗浄される鉗子起上ワイヤチャンネルを除くとすれば,送気,送水及び鉗子の各チ - 25 -ャンネルのいずれをも洗浄するのが通常であり,そのうち,送気,送水の各チャンネルをことさらに除外し,鉗子チャンネルだけを洗浄する合理的な理由はなく,h看護師も,原審証人尋問48項,49項において,送気,送水の各チャンネルを洗浄する旨の証言をしている。 そうすると,本件マニュアルには,上記aに相当する直接の記載はないものの,内視鏡 由はなく,h看護師も,原審証人尋問48項,49項において,送気,送水の各チャンネルを洗浄する旨の証言をしている。 そうすると,本件マニュアルには,上記aに相当する直接の記載はないものの,内視鏡室における実際の洗浄においては,鉗子チャンネルのみならず,AWチャンネル洗浄アダプターが取り付けられた上,送気,送水の各チャンネルも洗浄されていたと認めることができる。 したがって,控訴人らの上記aに関する上記主張は理由がない。 b 「b 鉗子起上パイプ内洗浄」は,鉗子起上ワイヤチャンネルの洗浄を意味しているが,乙B14(ただし,被写体の内視鏡は,本件内視鏡でなく,新型のj240型である。)の10枚目には,副送水口(正しくは,洗浄チューブ取付口金)にエンドザイム液を注入している写真があり,これによれば,手洗いの段階で,鉗子起上ワイヤチャンネルが洗浄されていたことが認められる。 したがって,控訴人らの上記bに関する上記主張は理由がない。 c 「c 鉗子起上台回りは流水中で鉗子起上台を動かし,十分に水洗」は,本件マニュアルである別紙3「本件マニュアル」のA8の十二指腸ファイバー洗浄時の追加事項に趣旨を同じくする記載があり,内視鏡室における洗浄の際にこれが履践されていたことが認められるから,控訴人らの上記cに関する主張は,理由がない。 d 「d 吸引管路のブラッシング後の洗浄水,空気の交互吸引」は,別紙2「本件内視鏡の取扱説明書による洗浄消毒」の10 のことであるが,これは,吸引ボタンを吸引ボタン取付座に,吸引アダプターを鉗子口にそれぞれ取り付け,さらに,コネクター部の吸引チャンネルの吸引口金に吸引チューブを取り付けた上,吸引アダプターの先端チュ - 26 -ーブと挿入部先端とをいずれも洗浄水に入れ,鉗子口と鉗子チャンネル(a),鉗 ,さらに,コネクター部の吸引チャンネルの吸引口金に吸引チューブを取り付けた上,吸引アダプターの先端チュ - 26 -ーブと挿入部先端とをいずれも洗浄水に入れ,鉗子口と鉗子チャンネル(a),鉗子チャンネルに接続する吸引チャンネルのうちの吸引ボタンまで(b)及び同ボタンからコネクター部の吸引口金までの吸引チャンネル(c)について,洗浄水と空気を交互に吸引しながら洗浄するとの趣旨である。 他方,h看護師の原審証言60項以下によれば,本件マニュアルである別紙3「本件マニュアル」のA6の「3管路」とは,上記a,b及びcの各管路をいい,内視鏡室配属の看護師は,この3管路にエンドザイム液を注入して洗浄していたことが認められる。 そうすると,上記dについても,内視鏡室における洗浄の際にこれが履践されていたことが認められるから,控訴人らの上記dに関する主張は理由がない。 (ウ)以上のとおりであり,控訴人らの上記(ア)の主張はいずれも理由がない。 ウ自動洗浄消毒機器に関する指示違反(鉗子起上部分の機械洗浄,消毒の可否)について(ア) 控訴人らは,本件内視鏡を手洗いした後,自動洗浄消毒装置で洗浄消毒するに当たり,担当看護師は,本件内視鏡の鉗子起上部分を洗浄消毒することができないk又はqを使用した注意義務違反があると主張する。 (イ) そこで,本件感染事故発生当時,本件内視鏡の洗浄にkが使用されたか否か検討する。 被控訴人は,原審において,当初,本件感染事故発生当時,本件内視鏡の洗浄にkが使用された旨を主張したが,平成21年5月20日にf医師及びh看護師に対する各証人尋問が実施された際,控訴人ら訴訟代理人が両証人に対し,「この装置では,(中略)鉗子起上部分は,洗浄・消毒・すすぎが行えません。」との記載があるkの取扱説明書(乙B 医師及びh看護師に対する各証人尋問が実施された際,控訴人ら訴訟代理人が両証人に対し,「この装置では,(中略)鉗子起上部分は,洗浄・消毒・すすぎが行えません。」との記載があるkの取扱説明書(乙B - 27 -21の20頁)を示して反対尋問をしたところ,両証人ともこれに的確に応答することができなかったことから,被控訴人において再調査をし,その結果,本件感染事故発生当時に本件内視鏡の洗浄に使用されたのは,kではなく,鉗子起上部分の洗浄等が可能なlであったとして,当初の主張を変更した経緯があることが認められるから,本件感染事故発生当時,本件内視鏡の洗浄にkが使用された疑いがないとはいえない。 しかし,乙B21,22①,②,23ないし26と弁論の全趣旨によれば,被控訴人病院では,平成7年12月ころi社製のkを,平成9年1月ころ同社製のlをそれぞれ購入し,本件感染事故が発生した平成16年10月当時,kを下部(大腸)用内視鏡に,lを十二指腸用内視鏡に専用していた(他に,平成11年3月ころ購入したm株式会社製のnを上部(一般消化器)用に専用した。)が,kでは鉗子起上部分(鉗子起上台付近をいうものと解される。)の洗浄ができないが,lではこれができること,その後,k,l及びnは,更新期が迫っていたため,被控訴人は,平成16年11月8日,株式会社o製の新型q3台とqDを購入して使用し始め,従前使用していた上記3機種の使用を終了したこと,その後,本件訴訟において,自動洗浄消毒装置が問題となった際,被控訴人病院では,従前使用していた3機種を機種名ではなく,上記用途別(下部用,十二指腸用及び上部用)に区別し,しかも,これらについては既に使用を終了していて各取扱説明書も廃棄していたことから,十分な確認をしないまま,本件内視鏡の取扱説明書に記載のあったk 記用途別(下部用,十二指腸用及び上部用)に区別し,しかも,これらについては既に使用を終了していて各取扱説明書も廃棄していたことから,十分な確認をしないまま,本件内視鏡の取扱説明書に記載のあったk(被控訴人が本件内視鏡とkを購入した平成7年12月当時,lは発売されていなかった。)を洗浄消毒に使用した旨を主張したが,上記反対尋問後,i社から各取扱説明書を取り寄せるなどして再調査した結果,上記のとおり,下部用内視鏡にはkを,十二指腸用内視鏡である本件内視鏡にはlをそれぞれ自動洗浄消毒装置として使用していたことが判明した - 28 -ため,その旨当初の主張を変更したことが認められる。 上記事実によれば,本件内視鏡をkで洗浄消毒したとの被控訴人の当初の主張は,不十分な調査と不注意に基づく誤った主張であり,本件感染事故発生当時,本件内視鏡はlで洗浄消毒されていたものと認められ,このことは,本件マニュアルである別紙3「本件マニュアル」のB1に「十二指腸ファイバーをセットするときは,起立鉗子を約60度起立させ,副送水甲(副送水口の誤記と認める。)チューブを接続する。」,すなわち,鉗子起上台を約60度起上させ,洗浄チューブ取付口金に同チューブを接続して洗浄する旨が記載されていることからも裏付けられるというべきである。 したがって,本件感染事故発生当時,担当看護師が本件内視鏡の洗浄にkを使用したとの控訴人らの主張は採用することができない。 (ウ) 次に,本件感染事故発生当時,本件内視鏡の洗浄にqが使用されたか否か検討する。 亡dに対する本件ERCPが施行されたのは平成16年10月14日であり,前提事実によれば,これに接着した同月4日から同月15日までの間,被控訴人病院においては,株式会社o製の旧型qが試用された事実があるが,旧型qに RCPが施行されたのは平成16年10月14日であり,前提事実によれば,これに接着した同月4日から同月15日までの間,被控訴人病院においては,株式会社o製の旧型qが試用された事実があるが,旧型qには,新型で増設された鉗子起上ワイヤチャンネル用の接続カプラ(接続器)がなく,同チャンネルを有する本件内視鏡には適合しなかったというのであるから,これでは,洗浄チューブ取付口金に同チューブを接続して洗浄する旨が記載された本件マニュアルに従った洗浄をすることができない。そうすると,当時,本件内視鏡の洗浄に使用されたのは,上記接続が可能であったlであり,これが不可能であった旧型qでなかったことは明らかである。 したがって,本件感染事故発生当時,担当看護師が,本件内視鏡の洗浄に(旧型)qを使用したとの控訴人らの主張は採用することができな - 29 -い。 (エ) 以上のとおりであり,控訴人らの上記(ア)の主張は,いずれも理由がない。 エ lの取扱説明書の指示違反(ア) 控訴人らは,被控訴人の消毒担当者は,lの取扱説明書において守らないと中程度以下の障害につながる可能性があると警告指示されている以下の作業手順を守っていないと主張する。 a 再度の洗浄消毒作業b 消毒液の有効性の点検確認作業c 「洗剤は使用しないでください。」とされているのに,酵素系洗浄剤であるエンドザイム液を使用した。 d 給水管路の消毒e フィルター目詰まり点検f 付属品の点検g 管路詰まりの確認h 洗浄チューブの洗浄消毒工程(イ) lの取扱説明書の概要は,別紙4「lの取扱説明書の概要」のとおりであり(乙B23),控訴人ら主張のa,bはいずれも同別紙の5の警告に,cはその注意に,dは同別紙の6.2.4の2の警告に,eは,同別紙の6.3.3の警 要は,別紙4「lの取扱説明書の概要」のとおりであり(乙B23),控訴人ら主張のa,bはいずれも同別紙の5の警告に,cはその注意に,dは同別紙の6.2.4の2の警告に,eは,同別紙の6.3.3の警告に,fは同別紙の6.3.4の警告に,gは同別紙の6.3.7に,h は同別紙の7の警告にそれぞれ対応する記載がある。 (ウ) そこで,以下,検討するに,まず,「再度の洗浄消毒作業」は,別紙4「lの取扱説明書の概要」の5の警告においても,「必要に応じて」されるべき旨が明記されているのであり,上記(4)で検討したとおり,本件感染事故が発生する前の時点においては,本件内視鏡が緑膿菌の感染 - 30 -源ないし感染経路であることを疑うべき事情はなかったのであるから,本件内視鏡について特に入念な洗浄をすべき理由もなかったというべきである。そうすると,同時点においては,本件内視鏡について「再度の洗浄消毒作業」をする必要があったとは認められないから,内視鏡室の看護師がこれをしなかったとしても,注意義務違反があったということはできない。 次に,「消毒液の有効性の点検確認作業」及び「給水管路の消毒」ないし「洗浄チューブの洗浄消毒工程」は,いずれもlのメンテナンスや環境整備に係る一般的な警告,注意事項であるが,これらの事項のそれぞれが適切に行われていなかったことを疑うべき証拠はない。かえって前記事実によれば,被控訴人病院では,内視鏡室所属の看護師7名が緊密な連絡を取りながら同室の業務に従事しており,マンツーマンで3週間程度の新人教育が行われていたほか,毎昼食時,各種連絡事項等が伝達され,毎月1回勉強会が開催されていたというのであるから,上記7名の看護師が配属された内視鏡室は,本件ガイドラインにいうスタンダードプリコーションについても相当高い水準にあ 時,各種連絡事項等が伝達され,毎月1回勉強会が開催されていたというのであるから,上記7名の看護師が配属された内視鏡室は,本件ガイドラインにいうスタンダードプリコーションについても相当高い水準にあったものと推認されるのであって,この点からみても,上記事項に関する注意義務違反があったということはできない。 さらに,洗剤を使用しないことについても,乙B21(9頁),23(6頁)によれば,kには洗剤タンクと消毒液タンクが設けられているのに対し,lには消毒液タンクしか設けられていないことが認められるのであるから,内視鏡室所属の看護師がlで本件内視鏡を洗浄消毒するに当たり,洗剤を使用したとは認め難い。 もっとも,この点に関し,f医師やh看護師は,原審各証人尋問において,機械洗浄過程において酵素系洗浄剤であるエンドザイム液を使用した旨の証言をしているが,これらの証言は,いずれもkで本件内視鏡 - 31 -を洗浄消毒していたとの誤った前提に立つものであるから,採用することはできない。 したがって,洗剤の使用についても,内視鏡室所属の看護師に注意義務違反があったということはできない。 (エ) 以上のとおりであり,lの取扱説明書の指示違反に関する控訴人らの主張は,いずれも理由がない。 オ控訴人らの当審における本件内視鏡の洗浄消毒に関する主張について(ア) 控訴人らは,lによる洗浄消毒後,担当看護師が本件内視鏡のガス滅菌をしなかったことが注意義務違反であると主張する。 しかし,本件ガイドラインである別紙1「本件ガイドラインの概要」の第1の5のスポルディングによる分類によれば,内視鏡はセミクリティカルの機器であり,滅菌まで要求されるクリティカルの機器ではないし,lの取扱説明書(乙B23)でも,また,本件内視鏡の取扱説明書(平成2 の5のスポルディングによる分類によれば,内視鏡はセミクリティカルの機器であり,滅菌まで要求されるクリティカルの機器ではないし,lの取扱説明書(乙B23)でも,また,本件内視鏡の取扱説明書(平成20年2月19日付け原審調査嘱託の結果の結果)でも,ガス滅菌をすることが常に要求されているわけではないから,被控訴人病院内視鏡室の看護師が本件内視鏡のガス滅菌をしなかったことが注意義務違反であるということはできない。 (イ) 控訴人らは,すべての内視鏡措置について,減菌水を使用しなかったため,本件内視鏡に緑膿菌が付着したとして,これが注意義務違反に当たると主張する。 しかし,本件ガイドラインである別紙1「本件ガイドラインの概要」の第2の2によれば,「現在,内視鏡で通常に塩素消毒されている水による感染事例は,報告されていない。」とされており,必ず減菌水を使用するよう指示されてはいないのであるから,被控訴人病院内視鏡室の看護師が減菌水をしなかったことが注意義務違反であるということはできない。 - 32 -(ウ) 控訴人らは,本件内視鏡の鉗子起上ワイヤチャンネルが十分に乾燥していなかったため,これに緑膿菌が付着したことにより発生した可能性が高いとして,被控訴人には,アルコールフラッシュと空気の注入を行い,鉗子起上ワイヤチャンネルを十分に乾燥させることを怠った注意義務違反があると主張する。 しかし,lの取扱説明書(乙B23の37頁)によれば,lでは,洗浄消毒工程終了後,消毒用アルコールを自動的に送液し,引き続き送気を行って内視鏡管路の乾燥を促進する機能があることが認められるから,lが使用されている限り,控訴人ら主張のアルコールフラッシュが行われていたことになる。 したがって,控訴人らの上記主張は理由がない。 (エ) 控訴人らは, 進する機能があることが認められるから,lが使用されている限り,控訴人ら主張のアルコールフラッシュが行われていたことになる。 したがって,控訴人らの上記主張は理由がない。 (エ) 控訴人らは,平成9年には,洗浄性が向上された本件内視鏡の後継機種である先端キャプ着脱式の内視鏡(j240型)が発売されており,被控訴人も,本件内視鏡に問題があることを認識していたのであるから,早々にj40型に切り替えるべきであったとして,被控訴人には,この切替えを怠った注意義務違反があると主張する。 しかし,i社が先端キャップ固定式の本件内視鏡(j230型)の洗浄性の向上を図り,平成9年以降,先端キャップ着脱式の内視鏡(j240型)を販売するようになったことは,前提事実のとおりであるが,先端キャップ固定式の内視鏡について,本件感染事故が発生した平成16年10月ころまでの間,i社に対し,感染菌の検出や感染事故発生の品質クレーム情報が寄せられたことがなかったことは,上記前提事実のとおりである。また,被控訴人病院においても,亡dの本件感染後に緑膿菌に感染した患者LとNを除けば,本件感染事故前に本件内視鏡に係る原因で緑膿菌の感染が生じたことを疑うべき事例に乏しいことは,前記(4)で認定,説示したとおりである。そうすると,少なくとも平成16 - 33 -年10月当時において,本件内視鏡が緑膿菌感染の原因となることを具体的に予見することはできなかったというべきであるから,被控訴人が先端固定式の内視鏡を先端着脱式の内視鏡に切り替えるべき注意義務を負っていたということはできない。 したがって,控訴人らの上記主張は理由がない。 (オ) 以上のとおりであり,控訴人らの当審における上記(ア)の主張は,いずれも理由がない。 カ控訴人らの当審における本件内視鏡の はできない。 したがって,控訴人らの上記主張は理由がない。 (オ) 以上のとおりであり,控訴人らの当審における上記(ア)の主張は,いずれも理由がない。 カ控訴人らの当審における本件内視鏡の環境に関する主張について(ア) 控訴人らは,被控訴人には,被控訴人病院の汚染箇所の消毒,医療従事者に対する保菌調査,汚染発生の原因究明の不徹底,内視鏡やその周辺環境に対する定期的調査の懈怠による注意義務違反があると主張する。 しかし,被控訴人病院においては,院内感染対策委員会が設けられ,相応の対策がとられていたことは,上記(3)のとおりである。 したがって,控訴人らの上記主張は,理由がない。 なお,本件感染事故については,多剤耐性緑膿菌による汚染発生の経路や原因が明らかではないが,緑膿菌がわずかな有機物と水があれば増殖する常在菌であることを考慮すると,これを確定するのは非常に困難であるから,緑膿菌による汚染発生の経路や原因が明らかとならなかったとしても,被控訴人に注意義務違反があるということはできない。 (イ) 控訴人らは,被控訴人には,保管庫の汚染防止その他本件内視鏡を適切に保管することを怠った注意義務違反があると主張する。 しかし,乙B14,53及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人病院では,自動洗浄消毒装置から取り出した内視鏡の外側の水分をディスポ(使い捨て)の紙で拭き取り,その後,保管庫に収納して保管していたこと,この保管庫は,奥側が斜めになっており,内視鏡が接触するため,防水 - 34 -シートが貼られていたこと,内視鏡は,垂直につり下げられ,下には圧定布が敷かれ,保管庫の中には市販の乾燥剤が入れられていたことが認められ,このような本件内視鏡の保管状況に特に問題があったとは認められない。 なお,乙B42④によれ 垂直につり下げられ,下には圧定布が敷かれ,保管庫の中には市販の乾燥剤が入れられていたことが認められ,このような本件内視鏡の保管状況に特に問題があったとは認められない。 なお,乙B42④によれば,同年9月3日に開催された対策委員会において,f医師が,保管庫の問題が取り上げられており,「かなり古いので新しく購入できればより安全。」との発言をしているが,当時においても保管庫の細菌培養検査が実施されていたことは,同発言の前の「検査前後と洗浄前後は検査に出している。」との記載に照らして明らかであるし(なお,保管庫から緑膿菌が検出されたとの証拠はない。),保管庫について具体的に緑膿菌汚染を疑う事実が出たのは,上記のとおり,平成17年12月のことであったから,上記対策委員会において,f医師から上記発言がされたとしても,上記判断を覆すものではない。 したがって,控訴人らの上記主張も理由がない。 (ウ) 以上のとおりであり,控訴人らの当審における上記(ア)の主張は,いずれも理由がない。 キ以上のとおり,本件内視鏡の洗浄,消毒,保管等において,本件ガイドラインや各取扱説明書の内容に違反する注意義務違反があったとの控訴人らの上記各主張は,いずれも理由がなく,むしろ,被控訴人病院では,本件内視鏡の洗浄,消毒,保管等について,本件ガイドラインや各取扱説明書の内容を遵守して行われていたものと認めることができる。 (6) まとめ上記(1),(2)のとおり,本件感染事故は,多剤耐性緑膿菌による院内感染の事故であり,本件内視鏡の挿入部先端に付着した多剤耐性緑膿菌によって発生したものと推認される。 しかし,上記(3)ないし(5)のとおり,被控訴人病院では,本件感染事故発 - 35 -生の前から,院内感染対策委員会を設け,定期的に,あるいは臨 性緑膿菌によって発生したものと推認される。 しかし,上記(3)ないし(5)のとおり,被控訴人病院では,本件感染事故発 - 35 -生の前から,院内感染対策委員会を設け,定期的に,あるいは臨時にMRSA,緑膿菌等による病院施設や医療器具等の汚染状況及び緑膿菌等の保菌者ないし感染患者の状況等を調査し,その対策を講じ,緑膿菌の菌株の同一性についても,DNA分析を依頼して調査を繰り返し,その必要がある都度,各種論文や他の総合病院における院内感染対策に係る資料に基づいて被控訴人病院における院内感染に備えるとともに,これを各病棟に周知し,これを受けて,内視鏡室では,相当高い水準のスタンダードプリコーションがおこなわれていたものと推認されるのである。また,緑膿菌は,健康な人の腸内に10%の割合で存在する細菌(常在菌)であり,湿潤環境を好むが,栄養要求性が低く(蒸留水の中でも発育する。),わずかな有機物と水があれば増殖するため,湿潤箇所に緑膿菌が生着すると,排除が困難な性質を有するものであるところ,被控訴人病院の院内感染の調査によっても,本件内視鏡の挿入部先端に緑膿菌が付着するに至った経路を解明することは困難というべきである。さらに,本件内視鏡の洗浄,消毒,保管等については,控訴人らが主張するような注意義務違反はいずれも認められず,むしろ,被控訴人病院においては,本件ガイドラインや各取扱説明書の内容を遵守して行われていたものと認めることができるのである。 そうすると,本件感染事故が,多剤耐性緑膿菌による院内感染の事故であり,本件内視鏡の挿入部先端に付着した多剤耐性緑膿菌によって発生したものと推認されるからといって,被控訴人病院の注意義務違反が推認されるものではなく,また,控訴人らの主張する注意義務違反の点がいずれも理由がなく,むしろ, 端に付着した多剤耐性緑膿菌によって発生したものと推認されるからといって,被控訴人病院の注意義務違反が推認されるものではなく,また,控訴人らの主張する注意義務違反の点がいずれも理由がなく,むしろ,被控訴人病院では,本件内視鏡の洗浄,消毒,保管等について,本件ガイドラインや各取扱説明書の内容を遵守して行われていたものと認めることができることに照らすと,被控訴人病院の亡dに対する措置等に不法行為上の過失ないし診療契約上の債務不履行があったということはできないものというべきである。 - 36 - 3 ERCP検査時における被控訴人の注意義務違反の有無について(1)ア控訴人らは,被控訴人はERCP検査時,亡dの胆汁の流れが悪いことを認識していたのであるから,黄疸を防ぐためにも同時に胆汁を体外に排出するENBD(内視鏡的経鼻胆管ドレナージ)又はプラスチックステント留置をすべきであったのにこれを怠ったため,緑膿菌の感染が生じたと主張する。 イしかし,f医師の原審証言(42項)及び弁論の全趣旨によれば,亡dの癌は肝門部にあり,そのために閉塞が生じて胆汁の流れが悪くなっていたのであるから,ドレナージをするのであれば,癌で閉塞した部分よりも上流の部位で行うべきこととなるが,本件ERCPが施行されたのは,それよりも下流の部位であったこと,また,亡dの当時の病状に照らすと,ドレナージ自体に多大の危険を伴うことが認められる。そうすると,本件ERCP施行の際,ENBD又はプラスチックステント留置をすべき義務があったとまでは認め難く,被控訴人にその注意義務違反があったということはできないのであって,控訴人らの上記アの主張は理由がない。 (2)ア控訴人らは,ERCPを行うと,内視鏡を介して緑膿菌に感染し,胆道感染等の合併症を起こす危険があるから 務違反があったということはできないのであって,控訴人らの上記アの主張は理由がない。 (2)ア控訴人らは,ERCPを行うと,内視鏡を介して緑膿菌に感染し,胆道感染等の合併症を起こす危険があるから,感染予防のため,本件ERCPに際し,造影剤に抗生剤を混入すべきであったと主張する。 イしかし,弁論の全趣旨によれば,本件ERCP時,造影剤にトブラシン(緑膿菌等に感受性のある抗生剤)1アンプルを混入していることが認められるから,控訴人らの上記アの主張は理由がない。 (3)ア控訴人らは,ドレナージは内視鏡的にもできるのであるから,胆汁の貯留した胆道の上流部分で内視鏡的ドレナージをすることができたのであり,本件ERCP後直ちにこれを行っていれば,緑膿菌の増殖を抑止できたと主張する。 イしかし,これが理由のないことは,上記(1)のとおりであるから,控訴人 - 37 -らの上記アの主張は理由がない。 (4) 以上によれば,被控訴人には,ERCP検査において,不法行為上の過失ないし診療契約上の債務不履行があったということはできないものというべきである。 4 結論以上の次第で,控訴人らの請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないものというべきである。 よって,控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第4部 裁判長裁判官宇田川基 裁判官近下秀明 裁判官松葉佐隆之は,転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官宇田川 裁判官近下秀明 裁判官松葉佐隆之は,転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官宇田川基 - 38 -(別紙1)本件ガイドラインの概要 第1 感染の防御 1 感染と感染症感染とは,微生物が宿主の生体表面,体内,あるいは組織内に定着,増殖して有害作用を示すことであり,感染の後,悪寒や高熱とその菌の特徴的な臨床症状を示す状態が感染症である。 2 感染の成立感染が成立するためには,以下の6因子が全部そろっていなければならない。 ①病原体(細菌,ウイルス,真菌,原虫,プリオン),②リザーバー(微生物が生息する場所:人,動物,器具など),③リザーバーからの排出口(気道,消化管,内視鏡ほか),④感染経路(空気感染,飛沫感染,接触感染ほか),⑤感受性宿主の侵入門戸(消化管,気管,眼,創のついた皮膚ほか),⑥感受性宿主 3 感染管理の原則感染の成立を防ぐためには,この6因子のどこかを潰せばよい。その中でも感染経路を遮断することが最も簡単で効果的な方法である。そのための戦略としてスタンダードプリコーション(標準予防策)とスポルディングによる分類が不可欠である。 4 スタンダードプリコーション感染対策の方法として基本的で最も重要な考え方がスタンダードプリコーションである。その内容は,創のある皮膚,粘膜,すべての血液,すべての体液,分泌物(ただし,汗を除く。),排泄物に感染性があるものとして取り扱う。 この基準は,推定される感染状態とは関係なく,すべての患者に適用される。 5 スポルディングによる分類 - 39 -スポルディングの分類は,患者に使用する医療器具や器材を生体に与えるリスクの違いによ ,推定される感染状態とは関係なく,すべての患者に適用される。 5 スポルディングによる分類 - 39 -スポルディングの分類は,患者に使用する医療器具や器材を生体に与えるリスクの違いにより,感染の危険性を考慮して3つのカテゴリー(クリティカル,セミクリティカル,ノンクリティカル)に分け,その程度により適切な消毒方法を決定したものである。 例えば,生検鉗子は,無菌の部位に挿入するので感染の危険が高く,クリティカル器材として滅菌をする。内視鏡は,粘膜に接触するので感染の危険は低く,セミクリティカル器材として高水準消毒をする。そして,無傷の皮膚に接触する血圧のカフは,感染の危険はほとんどなく,ノンクリティカル器材として低水準消毒又は洗浄でよい。 第2 消化器内視鏡検査に関連した感染 1 消毒剤抵抗性様々な微生物により,感染が起きているが,微生物の種類により消毒剤抵抗性が異なる。緑膿菌の消毒剤抵抗性は,5段階(非常に高い,高い,やや高い,中間,低い)のうちの4段階目(中間)に分類されている。 2 洗浄水の安全性水道水(飲料水)は無菌ではないといわれ,内視鏡の洗浄やすすぎには減菌水やフィルタで濾過されたものが望まれる。しかし,現実にすべての洗浄水の清潔度合いを一律に上げることは難しく,また,残留塩素濃度が維持されていれば,通常の培養では細菌の検出はほとんど見られない。現在,内視鏡で通常に塩素消毒されている水による感染事例は,報告されていない。 第3 汚染,洗浄,消毒,減菌 1 汚染汚染(汚れ)は,固体表面と異物との間に何らかの結合力がはたらいて表面と異物とが強い力で結合している。汚れには有機物と無機物があり,微生物も含まれる。医療器具では微生物汚染が問題となる。 2 洗浄 - 40 -洗浄とは,固体 何らかの結合力がはたらいて表面と異物とが強い力で結合している。汚れには有機物と無機物があり,微生物も含まれる。医療器具では微生物汚染が問題となる。 2 洗浄 - 40 -洗浄とは,固体の表面から汚れを除去することをいう。洗浄には,化学成分の働きによる表面張力の低下や可溶化のほかに,機械的(物理的)な作用がある。洗浄は,微生物除去に非常に有効な補助的手段であり,器材は消毒処理の前に洗剤と温水によって洗浄をする。 洗浄によってバイオバーデン(微生物数)が減少し,消毒や滅菌に対して抵抗する物質(有機物,無機物)を除去できる。したがって,便,血液,粘液で汚染されたものは放置すると乾燥し汚れが落ちにくくなるので,使用後はできるだけ早く洗浄する。 3 消毒消毒とは,対象物から細菌芽胞を除く,多くの又はすべての疾患の病原に関連した微生物を除去あるいは殺滅する処理方法であり,液体薬剤や湿熱を用いて行う。消毒の効果はさまざまな条件で異なってくる。消毒剤の種類,濃度,温度,浸漬時間,微生物の種類や汚染の度合い,被消毒物の洗浄の有無,被消毒物の形状(隙間,管腔のあるもの),バイオフィルム(液体に冒された細菌が菌体表面に糖タンパクを産生し,互いに凝集して膜状の菌塊を形成するもので,消毒剤に抵抗性を示す。)の有無などである。消毒剤は不適切なものを使用すると効果が得られないばかりでなく,感染の危険もあるので使用時に適正な消毒剤を選択し,正しい濃度で最も効果的な方法で使用する。 4 滅菌消毒ではどうしても殺滅できない微生物が一部存在するが,滅菌はすべての微生物を死滅,正確には無限にゼロに近い確率まで死滅させる工程である。滅菌で望まれる細菌汚染の状況とは,汚染の確率を100万分の1以下にすることであり,滅菌はこのレベルまで処理できる条件 はすべての微生物を死滅,正確には無限にゼロに近い確率まで死滅させる工程である。滅菌で望まれる細菌汚染の状況とは,汚染の確率を100万分の1以下にすることであり,滅菌はこのレベルまで処理できる条件で行われる。 5 内視鏡に使用される消毒剤グルタラール(グルタルアルデヒド,GA)は,内視鏡の消毒剤として長年使用されている信頼のおける高水準消毒剤である。一般細菌,抗酸菌,真菌, - 41 -ウイルスなどに有効であり,また有機物存在下でも活性を維持できる殺菌剤である。消毒時間が長いこと,消毒時の曝露による副作用の問題もあるが,金属,ゴム,プラスチックなどを腐食せず,熱に弱い内視鏡の消毒に適している。内視鏡の消毒には2%GAで10分間の浸漬消毒後,水ですすぎ,更にアルコールによる追加の乾燥を行う。 第4 内視鏡の洗浄・消毒 1 ベッドサイドの洗浄(患者から抜去直後の洗浄)(1) 内視鏡の外側をガーゼや布で拭く,これは外側に付着した粘液,血液,汚物を除くためである。ガーゼは濡れていても乾いていてもどちらでもよい。 (2) 吸引チャンネル内の洗浄を行う。洗浄は酵素洗浄液を200ml吸引する。 水で洗うと洗浄力が酵素洗剤と比べてかなり劣る。 (3) A/Wチャンネル洗浄アダプターを装着し,送気・送水チャンネルの洗浄を行う。 2 漏水テスト内視鏡を光源から外して防水キャップを取り付ける。漏水テストは検査数の関係で毎回行うことは難しいが,毎症例ごとに行うと確実に重修理(重症例の誤記と認める。)の予防となる。 3 内視鏡外側(外表面)の洗浄流し台にて温水を流しながら,洗浄剤(中性洗剤,酵素洗剤など)を用いてスポンジやガーゼなどで内視鏡外側の汚れを落とす。 4 付属部品の洗浄送気・送水ボタン,吸引ボタン,鉗子栓を外し,それ 流し台にて温水を流しながら,洗浄剤(中性洗剤,酵素洗剤など)を用いてスポンジやガーゼなどで内視鏡外側の汚れを落とす。 4 付属部品の洗浄送気・送水ボタン,吸引ボタン,鉗子栓を外し,それぞれ洗浄する。特に鉗子栓は汚れが落ちにくいため蓋を開けてブラシで洗浄した後,よくもみ洗いする必要がある。 5 吸引・鉗子チャンネルのブラッシング鉗子チャンネルのブラッシングは流水下でも酵素洗剤液中でもどちらで行っ - 42 -てもよい。チャンネル掃除用のブラシを用いて,ブラシが先端から現れるたびに水道水でブラシそのものを揉み洗いする。 チャンネル掃除用のブラシで吸引・鉗子チャンネルの3カ所すべてに行う。 ここでいう3カ所とは,吸引ボタン取付座から吸引口金までと同じく吸引ボタン取付座から鉗子出口までそして鉗子挿入口から鉗子チャンネルの分岐部までである。 汚れがひどく落ちていない場合は汚れが落ちるまでブラッシングを行うが,目視で汚れが落ちていればその回数で終了してもよい。 6 酵素洗剤液への浸漬チャンネルの中は見ることができず,また,送気・送水ノズルの詰まり,ごくわずかな汚れの付着などを考慮すると,安価な中性洗剤ではなく,酵素洗剤液を使用すべきである。その使用に当たって,チャンネル洗浄装置を装着し,酵素洗剤液の中に浸した後,チャンネル内の気泡を十分に追い出して,この洗剤液がチャンネル全体に満たされるようにする。 7 すすぎ内視鏡外側は流水下で,吸引・生検鉗子チャンネルはチャンネル洗浄装置を取り付けて十分な水ですすぐ。 8 消毒GAを用いた消毒例では,洗剤を十分に除去した後に,GAの浸潤槽で内視鏡外側とすべての内視鏡チャンネルに2%以上のGAを満たして10分間の浸潤を行う。 9 消毒剤のすすぎ7に同じ。 毒GAを用いた消毒例では,洗剤を十分に除去した後に,GAの浸潤槽で内視鏡外側とすべての内視鏡チャンネルに2%以上のGAを満たして10分間の浸潤を行う。 9 消毒剤のすすぎ7に同じ。  乾燥70%イソプロピールアルコールやエタノールを10ml 以上各チャンネル内に通し,送気又は吸引で乾燥させる。 - 43 - 保管内視鏡のチャンネル内に水分が残っていると,保管中に細菌が増加するので,細菌の増加を防ぐために乾燥する。そのため,内視鏡は,送気・送水ボタン,吸引ボタン,鉗子栓などを装着せずにハンガーに掛けて保管する。  洗浄機洗浄洗浄機洗浄は,必ず内視鏡の吸引洗浄,内視鏡外側の洗浄そして吸引・生検チャンネルのブラッシングを行った後に行う。この工程を省くと完全な洗浄・消毒ができなくなる。それから,洗浄機にかけて洗浄,消毒を行うのが洗浄機洗浄であり,その後保管ということになる。 以上 - 44 -(別紙2)本件内視鏡の取扱説明書による洗浄消毒 1 挿入部のペーパー(またはガーゼ)拭きスコープ挿入部に付いた汚れをペーパータオル(またはガーゼ)で拭き取ります。 2 送気・送水の繰り返しノズル,送気・送水チューブに逆流した粘液・血液などを次の手順で除去します。 (1) ****ユニバーサル光源装置の送気を停止し,送気・送水ボタンを取り外し,代わりにAWチャンネル洗滌アダプターを付けます。 (2) 次に,光源装置の送気圧を「強」に設定し,AWチャンネル洗滌アダプターのボタンを10秒程度押し続けて送水します。 (3) その後,ボタンから指を離して水が出なくなるまで10秒程度送気します。 3 吸引吸引ボタンを押し込み,挿入部先端を清浄水の中に入れたり出したりして,水と空気を交 し続けて送水します。 (3) その後,ボタンから指を離して水が出なくなるまで10秒程度送気します。 3 吸引吸引ボタンを押し込み,挿入部先端を清浄水の中に入れたり出したりして,水と空気を交互に10秒程度吸引します。 4 ****ビデオシステムセンター**-***の電源スイッチと光源装置の送気スイッチを切ります。送水タンクのチューブ,吸引チューブ,スコープケーブル200,スコープコネクターの順に取り外します。 5 防水キャップの取付けスコープコネクターの電気コネクター部に,防水キャップを次の手順で取り付けます。 (1) 電気コネクター部の外周及び防水キャップの内部に,キズや異物がないかどうか確認します。 (2) 防水キャップのカム溝を電気コネクター部のピンに合わせて,まっすぐに突 - 45 -き当たるまで押し込んだ後,時計方向に突き当たるまで回します。 6 鉗子起上パイプ内洗滌洗滌チューブ取付口金に鉗子起上パイプ洗滌チューブを取り付け3㏄シリンジで数回送水します。 7 AWチャンネル洗滌アダプター・鉗子起上パイプ洗滌チューブ・吸引ボタン・セミディスポ鉗子栓の取り外し 8 スコープ全体の水洗,洗滌スコープ全体を洗浄液を含ませたスポンジで洗います。 次に流水中でガーゼまたはスポンジを用いてよく洗います。 特に鉗子起上台まわりは流水中で鉗子起上台を動かし,十分に水洗します。 9 吸引管路のブラッシング付属のチャンネル掃除用ブラシを以下の3か所に挿入してブラッシングします。 (1) 吸引ボタン取付座の斜め上方から挿入してブラシ先端を鉗子出口より突き出します。引き込みながら挿入部内の管路をブラッシングします。 (2) 吸引ボタン取付座にまっすぐ挿入してスコープコネクターの吸引口金からブラシ先端を突 上方から挿入してブラシ先端を鉗子出口より突き出します。引き込みながら挿入部内の管路をブラッシングします。 (2) 吸引ボタン取付座にまっすぐ挿入してスコープコネクターの吸引口金からブラシ先端を突き出します。引き込みながらユニバーサルコード内の管路をブラッシングします。 (3) 鉗子口から挿入して鉗子チャンネルの分岐部をブラッシングします。  吸引吸引ボタンを吸引ボタン取付座に,吸引洗滌アダプターをねじ込むように鉗子口に取り付けます。スコープコネクターの吸引口金に,吸引チューブを取り付けます。 吸引洗滌アダプターのチューブ及びスコープ先端部を洗浄水に入れ,吸引ボタンを押して洗浄水と空気を交互に10秒程度吸引します。 以上 - 46 -(別紙3)本件マニュアル A ベッドサイド洗浄と流し台での作業 1 検査が終了したら,ファイバーのアングル操作部を把持し,ファイバー挿入部外表面の汚れをガーゼでふきとる。 2 約100ml のエンドザイム液を鉗子チャンネルから吸引し,その後,同様に水を吸引して送気・送水の確認を行う。 3 光源のスイッチを切り,ファイバーを取り外し,防水キャップをする。 4 流しでスコープの外側表面を洗浄し,粘液や血液を除去する。 5 ファイバーをエンドザイム液に浸漬しキャップ・ボタン類をはずし,ファイバー本体の汚れをスポンジで落とす。 6 3管路よりエンドザイム液約100㏄をシリンジにて注入する。 7 3方向3回のブラッシングをする。 8 アングル操作部と先端部は,専用ブラシでブラッシングする。 ※ 十二指腸ファイバー洗浄時の追加事項・起立鉗子を立てた状態 シリンジにて注入する。 7 3方向3回のブラッシングをする。 8 アングル操作部と先端部は,専用ブラシでブラッシングする。 ※ 十二指腸ファイバー洗浄時の追加事項・起立鉗子を立てた状態・曲げた状態で,ブラッシングを十分に行う。 ・副送水チャンネルと鉗子口チャンネルは,同じ管腔となっているため,構造が複雑になっているので注意すること。 9 鉗子口キャップと吸引及び送気・送水ボタンを専用ブラシでブラッシングする。 10 ブラッシングが終了したファイバーは,流水下で簡単に洗い,引き続き機械洗浄の行程へ進む。 B 機械洗浄による,洗浄・消毒作業 1 ファイバー外表面の水分を拭き取り,洗浄機にセットする。(ボタン類は専用かごに入れる) - 47 -※ 十二指腸ファイバーをセットするときは,起立鉗子を約60度起立させ,副送水甲(副送水口の誤記と認める。)チューブを接続する。 2 洗浄・消毒時間の設定を確認し,作動させる。 ※ 最終行程では,アルコールフラッシュを行う。 3 行程が終了したら装置より取り出し,水分をふきとり乾燥させる。 4 ファイバー専用ロッカーに収納し,施錠のうえ保管する。 5 キャップ・ボタン類も乾燥させる。 以上 - 48 -(別紙4)lの取扱説明書の概要 1 安全性について1.8 警告表示本説明書の中では以下の警告表示を使用しています。 警告:それを守らないと中程度以下の障害につながる可能性のある事柄を示しています。 注意:それを守らないと機器の損傷につながる可能性のある事柄を示しています。 5 取扱い上の注意事項警告内視鏡を洗滌層 ないと中程度以下の障害につながる可能性のある事柄を示しています。 注意:それを守らないと機器の損傷につながる可能性のある事柄を示しています。 5 取扱い上の注意事項警告内視鏡を洗滌層から取り出した後には,清潔な環境で保管し雑菌が内視鏡に付着しないよう,ご注意ください,また必要に応じて検査前に,再度洗滌消毒作業を行ってください。 本製品は消毒工程を繰り返すことにより,消毒液の希釈を生じます。消毒液メーカーの提示する有効期限より早く有効濃度を下回る可能性がありますので,「6.3.9 消毒液の点検」に従って消毒液の有効性を確認してご使用ください。 注意洗剤は使用しないでください。内視鏡の機能を損なったり,装置動作に支障をきたすおそれがあります。本装置では,洗剤を使用しなくても,十分な洗滌力が得られます。 6 準備と点検6.2 使用前の準備6.2.1 消毒液の注入警告消毒液の濃度の確認は「6.3.9 消毒液の点検」に従い使用前に毎回行ってください。最低有効濃度を下回っていた場 - 49 -合には,「8.2 消毒液の交換」に従い交換を行ってください。 6.2.4 水フィルターの取付け及び交換方法 2 給水管路の消毒警告給水管路の消毒は,水フィルターを交換(少なくとも1か月に1度)した直後は毎回行ってください。また,使用環境などにより給水管路に雑菌が混入するおそれがあるため,すすぎ水の細菌検査を行うなど専門の立場から消毒が必要と判断された場合も必ず行ってください。 6.3 点検注意使用前に必ず以下の手順に従って点検を行ってください。 6.3.3 フィルター詰まりの確認警告フィルターが目詰まりを起こすと装置動作に支障をきたすだけでなく,内視鏡の故障の原因となったり,内視鏡の洗浄 ず以下の手順に従って点検を行ってください。 6.3.3 フィルター詰まりの確認警告フィルターが目詰まりを起こすと装置動作に支障をきたすだけでなく,内視鏡の故障の原因となったり,内視鏡の洗浄,消毒が不十分になるおそれがあります。 6.3.4 付属品の点検警告洗滌チューブや漏水検知用送気チューブに異常が認められる状態で使用すると,洗滌消毒効果が得られなかったり,内視鏡が故障するおそれがあります。 6.3.7 管路詰まりの確認本機能は,装置の各管路に送水及び送気し,各管路に詰まり,はずれなどがなく,内視鏡管路内を正常に洗滌消毒できるかを確認するものです。 警告この確認は,内視鏡の洗滌消毒する前に毎回行ってください。 詰まり検具の玉がケースの中で回転しないなどの異常が認められる場合は,洗滌消毒が不十分になるおそれがあります。 - 50 -6.3.9 消毒液の点検警告消毒液の効果確認は各消毒液専用のテストストリップで内視鏡の消毒を行う前に毎回行ってください。この確認作業を怠ると消毒が不十分になるおそれがあります。 7 使用方法警告本装置で内視鏡の洗滌消毒を行う前に,装置に洗浄チューブのみを接続して洗滌消毒工程を行い装置内の消毒を行ってください。装置内の消毒を行わないと内視鏡の洗滌消毒が不十分になるおそれがあります。 以上

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