令和7年1月8日熊本地方裁判所刑事部宣告令和6年第440号背任被告事件判決主文被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (犯罪事実)被告人は、健康増進をはかるための施設の企画、運営、受託運営等を営む株式会社Aのフィットネス事業課課長として、報奨用のギフトカード等の発注業務等を誠 実に遂行すべき任務を有していたものであるが、自己の利益を図る目的で、業務上必要のないギフトカード等を発注し、購入したギフトカード等を売却処分してその対価を自己の用途に充てるとともに、同社にその購入代金を負担させようと考え、前記任務に背き、令和5年3月20日頃から同年9月4日頃までの間に15回にわたり、熊本市a区bc丁目d番e号「B」C店において、株式会社D及び株式会社 Eに対し、被告人名義でギフトカード等合計1万6470枚を発注し、同年3月25日から同年9月8日までの間に、これらを前記「B」C店に配送させるなどして受領し、よって、同年3月22日から同年9月4日までの間に、16回にわたり、前記株式会社Aをして、前記ギフトカード等の購入代金合計8190万6070円を支払わせ、もって同社に財産上の損害を加えたものである。 (量刑の理由)本件被害額は合計8000万円以上と高額であり、被害結果は重大である。 また、被告人は、約半年の間に合計15回と多数回にわたって、繰り返し必要な決裁を受けたように装った稟議書等を作成してギフトカードやクオカードを発注したもので、犯行態様も悪質といえる。そして、被告人は、投資資金を得 るなどのために、転売目的で各カードを発注し受領したもので、動機に酌むべ き点もない。したがって、犯情は相応に悪く、一般予防 犯行態様も悪質といえる。そして、被告人は、投資資金を得 るなどのために、転売目的で各カードを発注し受領したもので、動機に酌むべ き点もない。したがって、犯情は相応に悪く、一般予防の見地なども踏まえ、被告人を懲役刑の実刑に処することが相当との検察官の意見も十分理解できる。 他方、一般情状について、被告人は罪を認めて反省し、被害会社に対してこれまで被害弁償として約850万円支払っているほか、同社との間では示談が 成立し、同社は被告人を許し、同人に対する執行猶予を求める旨の嘆願をしている。また、被告人の妻は、被告人の給与や資金を管理、監督する旨述べ、被告人の母親は、被害会社との示談書において、被告人と連帯して損害賠償を支払う旨を約しているなど、被告人を支える親族も存在する。さらに、被告人に前科はない。これらの被告人のために酌むべき事情を考慮すると、前記犯情の 悪質性に照らしても、直ちに実刑に処することには躊躇があり、今回に限り、刑の執行を猶予することとした。 (求刑―懲役4年の実刑)令和7年1月8日熊本地方裁判所刑事部 裁判官鈴木和彦
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