昭和23(れ)786 有毒飲食物等取締令違反

裁判年月日・裁判所
昭和23年12月7日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人石川時之助の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。  第一点について。  按ずるに、憲法第三八条第三項

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判決文本文2,085 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人石川時之助の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。 第一点について。 按ずるに、憲法第三八条第三項並に日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第一〇条第三項は犯罪事実の全般にわたつて被告人に不利益な証拠は被告人の自白以外には存在しない場合の規定であつて犯罪事実の一部については被告人の自白以外の証拠がなくとも他の部分については被告人の自白以外の証拠がある場合には右法条にふれないということは当裁判所が屡々判例とするところである。そして原判決においては被告人の自白の外に原審相被告人Aの原審及び予審における各供述及び同Bの予審第一回訊問調書並に押収にかかるアルコールの存在等を証拠として犯罪事実を認定したものであることは判文上明白であつて被告人の自白を唯一の証拠として犯罪事実を認定したものではないから論旨は理由がない。 第二点について。 しかし押収にかかる証第一号、同第二号が被告人CからAに販売したアルコールの一部であること並に押収にかかる証第六号が右CからDに販売したアルコールの一部であることは論旨に引用した証拠以外の証拠即ち原判決の挙示した原審公判における右被告人A及び同Bの判示同趣旨の供述等によつて優に認め得るものである。 そして右各号証のアルコールは何れもメタノールを含有するものであることは論旨に引用した各証拠を総合すればこれを認めることができるのであり、原審が挙示の各証拠によつて判示事実を認定したことに付いては何等法則違背は認められない、ただFと被告人Aが同一人なりや否やは論旨に引用した証拠だけではやや不明瞭であるが、論旨引用のEに対する予審訊問調書によればF所有のアルコール原液は押- 1 -収にかかる証一号のアルコール ない、ただFと被告人Aが同一人なりや否やは論旨に引用した証拠だけではやや不明瞭であるが、論旨引用のEに対する予審訊問調書によればF所有のアルコール原液は押- 1 -収にかかる証一号のアルコール原液であり同薄液は証二号のアルコールであることが明らかであり押収品目録によれば右各号のアルコール差出人はF事Aと記載されてあるし予審請求書にもF事Aとあり且つ原判決被告人の表示としてF事Aと記載されている等の点に鑑みFとAとは同一人たること疑いなく原審においても同一人として審理したものであることは判文上明らかであるから所論の如き違法はなく論旨は理由がない。 被告人Cの上告趣意について。 按ずるに原判決挙示の証拠の内被告人に対する予審第一回訊問調書によれば被告人は「私がこのアルコールをF方で試飲した時味が悪いし又それがドラム罐に入つてゐて変だと思ひFに味がよくないねと言つたところ味が悪くても変なものではないと答へたので滅多なこともあるまいと思つて売つたが全然不安がなかつた訳ではない、アルコールが変だと言うのは一般に言はれているメチールが入つてゐるのではなからうかと言ふ疑問の意味である」旨の記載があるが、すでにメチールが含有しているかも知れぬという疑いをもつたならば確実な方法によつて其成分を検査し飲用に供しても差支ないものであることを確かめ飲用者に不測の障害を与えない様細心の注意をしなければならないことは言うをまたないことであつて所論喜作から専問家か鑑定して販売しても差支ない物だと告げられたとしても自ら試飲した時味が悪いし又ドラム罐に入つているので変だと思い一般に言はれているメチールか入つているのではなかろうかと疑いを起しながら何等確実な検査をしないで其まま販売したのであるから注意を怠つた者でないとは言い得ない。そして原判決の認定によれば被告 と思い一般に言はれているメチールか入つているのではなかろうかと疑いを起しながら何等確実な検査をしないで其まま販売したのであるから注意を怠つた者でないとは言い得ない。そして原判決の認定によれば被告人は俗に言うメチールが入つているかも知れないと疑いながら販売する意思(所謂未必の故意)を以て販売したのであるから原判決において被告人に犯罪の意思ありと認定したことは相当であつて右認定は何等法則に違背するものではない、論旨は犯意も過失もない者を罰するのは憲法に反すると主張するが原判決は被- 2 -告人に犯意があると認定したのであり、しかも原審挙示の証拠によれば、右の認定をなし得べきものであることは前説示の通りである。被告人はこれに対し犯意も過失もなかつたと主張し、犯意も過失もない者を罰するのは、憲法違反であるという論旨の如きは憲法違反であるとの字句はあるが其実質は原審の事実認定を批難する以外の何ものでもなく裁判所法第一〇条に該当しないものと解し当小法廷において裁判した。 よつて刑事訴訟法第四四六条により主文の通り判決する。 以上は裁判官全員一致の意見である。 検察官小幡勇三郎関与昭和二三年一二月七日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官島保裁判官河村又介- 3 -

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