- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人は,同補助参加人に対し,3億9785万1224円を請求せよ。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 仮執行宣言第2事案の概要 本件は,被控訴人補助参加人A(参加人)が,山中湖村長として,多目的交流広場である「α1公園」を建設する目的の下,売主をB株式会社,買主を被控訴人として締結した原判決別紙第1ないし第3物件目録各記載の合計46筆の土地(本件土地)の売買契約(本件売買契約)について,山中湖村の住民である控訴人が,本件売買契約は,①農地法5条1項等に違反し無効であること,②本件土地に存在する入会権又は使用貸借類似の無名契約に基づく耕作権を侵害するものであること,③地方自治法(法)238条の4第1項違反であることを理由に,本件売買契約の目的である多目的交流広場の建設ができず,これにより山中湖村は売買代金(合計3億9785万1224円)相当額の損害を被った旨主張して,法242条の2第1項4号に基づき,被控訴人に対し,参加人に損害賠償として3億9785万1224円の請求をすることを求めた住民訴訟の事案である。 前提事実(争いがないか,証拠によって容易に認められる事実)(1)控訴人は,山中湖村の住民であり,参加人は,山中湖村の村長である。 (2)山中湖村は,明治時代の町村合併の際,旧平野村,旧長池村,旧山中村が合併して中野村になり,戦後,山中湖村と改称された。 本件土地である原判決別紙第1ないし第3物件目録記載の土地(第1ないし第3物件目録記載の土地のうち第1物件目録記載の土地を表わす場合には以下「本件第1土地」などといい,各個別の土地を表わす場合には物件目録に付された番 決別紙第1ないし第3物件目録記載の土地(第1ないし第3物件目録記載の土地のうち第1物件目録記載の土地を表わす場合には以下「本件第1土地」などといい,各個別の土地を表わす場合には物件目録に付された番号に対応して以下「土地1,土地2」などという)は,いずれも旧α2,現在のα3α4区に所在している。 。 (3)山中湖村は,本件土地内に多目的交流広場である「α1公園」の建設を計画し(本),,,(),件事業参加人は山中湖村長として平成12年11月29日B株式会社Bとの間で本件土地について,山中湖村が,発電用水の貯留及び洪水時の一時湛水を目的とした湛水地役権をBのために設定の上買い受けること,本件土地を土地収用法3条に定める用途など公共の(),利益及び地域振興に資することを目的に利用すること等を内容とする基本協定書を締結し同協定に基づき以下のとおり土地売買契約本件売買契約を締結し地役権を設定した本,(),(件地役権設定。乙6,乙7の1ないし5,乙11の1ないし46,乙30の1ないし4。 )ア売買契約(ア)契約締結日平成12年12月18日代金1億1371万3000円目的物土地8ないし42(イ)契約締結日平成13年3月26日- 2 -代金1億0478万5206円目的物土地1ないし7(ウ)契約締結日平成13年6月20日代金1億7935万3018円目的物土地43ないし46イ地役権設定(ア)本件第2土地(土地8ないし42)登記平成12年12月26日設定日同月18日目的発電用水の貯留及び洪水時の一時湛水範囲全部要役地南都留郡山中湖村α3α5××××番1(イ)本件第1土地(土地1ないし7)登記平成13年3月29日設定日 設定日同月18日目的発電用水の貯留及び洪水時の一時湛水範囲全部要役地南都留郡山中湖村α3α5××××番1(イ)本件第1土地(土地1ないし7)登記平成13年3月29日設定日同月26日目的,範囲,要役地は上記(ア)と同じ(ウ)本件第3土地(土地43ないし46)登記平成13年6月29日設定日同月20日目的,範囲,要役地は上記(ア)と同じ(4)控訴人は,平成14年1月15日,山中湖村監査委員に対し,本件事業についての予算措置の中止等を求めて監査請求をし,同月23日受理された(甲3)が,山中湖村監査委員は,同年3月18日,上記監査請求を棄却した(甲4。 ) 本件の主たる争点は,①本件訴えの適法性(すなわち控訴人は,当初法242条の2第1項2号に基づき本件売買契約の違法確認請求と法242条の2第1項1号に基づき本件売買契約に基づく代金支払及び本件事業についての予算措置の各差止請求を求めていたが,その後法242条の2第1項4号に基づき被控訴人をして参加人に対し損害賠償の請求を求める本件請求に訴えを変更したところ,そのような交換的変更後の本件訴えが請求の同一性,出訴期間等の関係で適法であるか否か,②本件売買契約が,農地法違反により無効であるとか,その)対象となっている本件土地について入会権等の存在を主張されるとか,あるいは法238条の4第1項に違反するとかして,その目的を達成することができず,これにより山中湖村が売買代金相当額の損害を被ったか否かである。 原判決は,争点①については,変更前の訴えのうち本件売買契約の代金支払の差止めを求める部分については,既に代金支払済みで訴えの利益を失っているとしても,追加的に提起され代金相当額の損害賠償請求を参加人にするよう求める訴えは,本件売買契約を問題とする点で 約の代金支払の差止めを求める部分については,既に代金支払済みで訴えの利益を失っているとしても,追加的に提起され代金相当額の損害賠償請求を参加人にするよう求める訴えは,本件売買契約を問題とする点で変更前の訴えと同じであり,対象とする財務会計行為上の行為の同一性が認められ,変更後の本件訴えは適法である旨判断し,争点②については,まず,農地法違反の点については,本件売買契約に農地法上の違法はない旨判断し,次に,本件土地に本件売買契約によって侵害される入会権等が存在するかどうかの点については,土地8ないし42(本件第2土地)については,Cが買い受ける以前に入会権が存在したと認めることができず,また,本件土地すべ- 3 -てについて,Cに所有権が移転した後のα4部落構成員による利用が入会権ないしα4部落とCとの間の永久かつ自由な使用という合意によるものではなく,使用貸借契約に基づくものと認め,α4部落による入会権があった土地についても,Cへの売却により入会権が消滅した旨認定判断し,さらに,法238条の4第1項違反の点については,本件地役権設定が行政財産の効用を減少し,行政目的を達成し難くするものとはいえず,本件地役権設定を条件とする本件売買契約が法238条の4第1項に違反し無効であるとは認められない旨判断し,控訴人の本件請求を棄却したので,控訴人が控訴をした。 上記1ないし3記載以外の当事者の主張は,下記6及び7に控訴人の当審における主張並びにこれに対する被控訴人及び参加人(この両名を以下「被控訴人ら」という)の反論を。 付加するほか,原判決が摘示するとおり(原判決4頁3行目から15頁3行目まで)であるから,これを引用する。 控訴人の当審における主張(1)入会権の存在についてア土地台帳は,明治22年に土地台帳法の制定により作成され, るとおり(原判決4頁3行目から15頁3行目まで)であるから,これを引用する。 控訴人の当審における主張(1)入会権の存在についてア土地台帳は,明治22年に土地台帳法の制定により作成され,明治初年の地租改正で国有地編入を除きすべて村持として所有権が認められ,地券が交付されたものを,その後,明治19年に登記簿法,明治22年に土地台帳法によって,土地台帳の所有者に地券の所有者がそのまま記載されたものである。 地券交付による名義は,大別して,①村持,部落持と②総代名義,共有名義とに分かれる。 ①α6×××番1の土地(土地1)についてα6×××番1の土地台帳(甲52の3)を見ると,最初の名義人はDであり,明治41年7月29日に同人名義で保存登記されており,地券発行による名義人ということになる。そして,同年8月1日に売買を原因としてEに名義変更されている。 Dは,α4部落の最高実力者であり,村持地の総代的名義人であることは明らかである。ま,,,たEは当時のα4部落出身の中野村村長経験者であるFやGらと並ぶ実力者の一人であり大正4年2月に中野村村長に就任している。 したがって,明治41年8月1日原因の名義変更は,村持共有地の代表者変更と解することができる。このことは,当該土地が,被控訴人が述べるような単なる個人所有地の個人売買ではなく,村持共有地の形式的代表者の名義を,時の入会集団の事情や思惑により部落を代表する人の名義に順次移していったことを示すものである。 以上のことから,α6×××番1の土地は,最初から総代格のDの名前で登記したα4落民総有の入会地であり,部落の有力者の名義で存続してきた紛れもない共有入会地であることは明らかである。 ②α7×××番2の土地(土地43)について,()「」,,この土地は土地台帳甲 総有の入会地であり,部落の有力者の名義で存続してきた紛れもない共有入会地であることは明らかである。 ②α7×××番2の土地(土地43)について,()「」,,この土地は土地台帳甲52の1に村持地と記載されており最初の所有権登記はH,I,J及びKの4人の形式的代表者名による記名共有登記をした後,92人全部落民の記名共有登記を行った土地である。 共有者(92名)がLを介さないで直接Bに売却したα7×××番2の土地と,それを分轄登記したα7×××番172(土地45,同×××番173(土地7,同×××番174))土地2同×××番175土地3同×××番176土地4同×××番177土(),(),(),(地46)の合計7筆の土地もこれと同様である。 - 4 -したがって,これらは,もともと村持地であり,いずれもα4部落集団の共有入会地であることは明白である。 ③α7×××番4の土地(土地44)についてこの土地は,土地台帳(甲52の2)を見れば,村持地であったことが一目瞭然である。しかも,その後の変更は,α7×××番2の土地と同様,Hら4人の形式的代表者名による記名共有登記をした後,92人全部落民の記名共有登記を行った同じ日にMに変更されている。 α7×××番4の土地は,村持からの部落民の入会地であり,それから分筆されたα7×××番178の土地(土地5)も入会地である。 このように,本件第1土地及び本件第3土地は,いずれも純然たるα4村持地(入会地)であり,部落民により一体として採草地利用がなされてきた。 ④α8の飛び地についてα8その他のいわゆる飛び地については,土地台帳を見れば,最初から個人名が記載されて,(),(),いるものもあるがα9××××番の土地土地16同所××××番2の α8の飛び地についてα8その他のいわゆる飛び地については,土地台帳を見れば,最初から個人名が記載されて,(),(),いるものもあるがα9××××番の土地土地16同所××××番2の土地土地27同所××××番内2の土地(土地20,同所××××番内8の土地(土地21)は,明らか)に「村持」と記載されてあり,α9××××番の土地(土地23)は,村持地からN名義となっている。これらの飛び地も元々入会地である。 なお,本件第2土地については,個人分割されたとしても,後に共同利用地として割り替えがなされ,それは割り地という入会地の一形態であるから,分割の事実それ自体をもって入会地でなくなったとはいえない。 イ入会権の放棄について上記のとおり,少なくともCに対する土地売買までは,本件土地が入会地であったことは明らかである。 被控訴人は,土地の利用権も含めた地盤所有権が売却されたことによって入会権が放棄されたと主張するが,入会権は,そこに入会慣行がある限り存在する権利であり,地盤所有権に左右されない権利であるから,地盤所有権売却の際の合意内容いかんによって存続するか消滅するかが決まる性質のものではない。したがって,地盤所有権の売却によって「入会権留保の合意」が存在しない限り入会権は消滅するという被控訴人の主張は,全くの誤りであり,被控訴人において「本件土地がBに売却される以前に,α4部落民の全員の一致による入会権の放,棄がなされた」ことを証明しなければならないところ,本件土地につき入会権の放棄がなされたことは何ら証明されていない。 そもそも地盤所有権の売却は,Bからの働きかけによるものであり,Bの側からすれば,O発電所運営のためには,α4への浸水補償料を抑える必要があった。α4の側からすれば,当時のα4は自給自足の域に達していない も地盤所有権の売却は,Bからの働きかけによるものであり,Bの側からすれば,O発電所運営のためには,α4への浸水補償料を抑える必要があった。α4の側からすれば,当時のα4は自給自足の域に達していない寒村であり,本件土地は生活のための共同利用地であったのであるから,無条件で浸水補償料を放棄するわけにもいかない。そうして,Bとα4部落の代表者との話合いが重ねられた結果「数年分の浸水補償料よりは少ない金額であるけれ,ども一時金をもって本件土地をBが買い取る,ただし,条件として,α4は買収地を従前どおり利用し,Bは買収地については浸水補償料を支払わないこととする」ということで話はま。 とまった。 この条件の存在は,Bに売却しなかった本件土地の周辺地については,現在に至るまで「賃貸借契約書」をもって高額の浸水補償料がBから支払われていること,売却の当事者双方に関- 5 -係する者がα4は買収地を従前どおり利用してよいという条件で売ったと証言していることか。 ,「」。 ,ら明らかであるこれこそ被控訴人のいう入会権留保の合意にほかならないすなわち上記のような合意は,まさに「入会権留保の合意」である。 そして,α4部落は,現在においても慣習上入会集団たる実質を有する団体であるところ,本件土地は,α4部落の構成員全員が昭和58年から平成11年までの間そばの共同耕作地として使用収益してきた入会地であり,平成11年以降共同耕作が停止されたのは,α4部落構成員の意思を無視して強行されたものてあって,α4部落の全員一致による入会地の利用変更,,や入会権の放棄がなされた事実は存在しないから権利の不行使状態が続いているだけであり入会権は存続している。 (2)本件土地が入会地であることによる本件売買契約への影響ア本件土地は,すべて入会地であるか 権の放棄がなされた事実は存在しないから権利の不行使状態が続いているだけであり入会権は存続している。 (2)本件土地が入会地であることによる本件売買契約への影響ア本件土地は,すべて入会地であるから,本件土地をどのように利用するかについては,入会権者全員の同意がなければできることではない。本件土地を被控訴人が利用することについては,入会権者全員一致の同意がなされた事実はないし,少なくとも別件訴訟(東京高等裁判所平成16年(ネ)第▲号)を提起してPが反対しているのであるから,全員同意による利用の変更はできないし,今後もできないことになる。 イしたがって,本件第1土地及び本件第3土地で現在実施されつつあるような緑地と建物の建設は入会権を侵害することになる。 要するに,被控訴人は,その利用目的を達することができないにもかかわらず,高額の村費を費消して本件土地を取得したことになる。このように,利用目的を達することができない土地に村費をつぎ込んだのであるから,被控訴人は,参加人に対して損害賠償請求権を行使すべきことになる。 ウ利用形態の変更は,入会権者全員の同意があればできることであり,交流プラザなる公園及び緑地を入会権者全員の同意を得て実施することができる。したがって,本件第1土地及び本件第3土地の所有権を取得しなくても,本件事業は実行することができるのであり,本件事業のためにあえて必要のない所有権を取得するために村費をつぎ込んだのであるから,被控訴人は,参加人に対して損害賠償請求権を行使すべきことになる。 (3)地方自治法96条違反について本件売買契約は,いずれも山中湖村の議会において議決され,あるいは専決処分されているが,この決議においては,浸水被害によって損害が生じた場合の賠償請求をあらかじめ放棄していることについて,全く説明されないま 契約は,いずれも山中湖村の議会において議決され,あるいは専決処分されているが,この決議においては,浸水被害によって損害が生じた場合の賠償請求をあらかじめ放棄していることについて,全く説明されないまま,単なる土地売買契約として審議され議決されている。これは,審議の基本的なルールに欠けるものであることは明らかである。しかも,審議の前提となるべき不利益な情報,すなわち,地役権設定や浸水被害によって損害が生じた場合の賠償請求をあらかじめ放棄していることが隠されているのであるから,審議の適正は全く担保されていないことも明らかである。 したがって,前記議会の議決には瑕疵があり,有効とはいえない。このような行為を行ったのは,被控訴人,なかんずく,その長である参加人の責任であるから,Bに対し本件売買契約を無効とすることが認められず,したがって,このような不利益な売買契約を締結して山中湖村に損害を与えた責任は,参加人に帰せられるべきである。 控訴人の当審における主張に対する被控訴人らの反論(1)入会権の存在について- 6 -ア本件土地に,控訴人が主張するような入会権はもともと存在しないし,仮に土地の一部について入会権が存在したとしても,大正15年ないし昭和2年にCに売却され所有権移転登記手続がなされた時点で入会権は,完全に消滅している。 イCに売却される以前の本件土地に係る入会権の存否本件土地の土地変遷表(乙5)記載のとおり本件土地の所有名義を見ると,ほとんどがもともと個人所有地であったことが分かる。控訴人は,本件土地は,割り地であり,他の多くの個人所有地とあいまって入会集団による団体的統制に服していた入会地であると主張する。しかし,個人所有名義で登記されている土地がなお入会地として団体的統制に服していたとする証拠は何もない。むしろ,昔は入会地 有地とあいまって入会集団による団体的統制に服していた入会地であると主張する。しかし,個人所有名義で登記されている土地がなお入会地として団体的統制に服していたとする証拠は何もない。むしろ,昔は入会地であったと評価されていたとしても,個人名義で最初から登記がなされた土地は,完全な私的所有地として評価されていたのであり,入会的団体的規制。 ,の対象地ではない近代的登記制度の下であえて個人名義の所有権登記がなされていることは昔入会地であったとしても,それが既に解体,消滅していることを前提としている。 ウ本件土地が大正15年ないし昭和2年にCに売却された際,入会権は放棄により消滅したか,それとも地役権的入会権に変更し留保されたかについて本件土地について売買を原因としてCに所有権移転登記手続がされているということは,本件土地の交換価値権だけでなく,土地利用権をも含めて完全な所有権がCにすべて帰属することを承認したことを意味する。したがって,売買がなされた時点で,仮に本件土地に入会権が存在したとしても,入会住民全員によって入会権は放棄され,入会権は消滅したといえる。 仮に,控訴人が主張するように,共有的入会権が地役権的入会権に変更し,依然として本件土地について利用権が留保されていたというのであれば,地役権的入会権留保付の土地売買契約であったことを控訴人が主張立証すべき責任がある。しかし,そのような土地売買契約であったことを証明する証拠を控訴人は,今日に至るまで提出していない。 また,控訴人は,Cとの売買契約を締結した後であっても,各地権者の本件土地に係る利用状況は,何も変更しなかったのであるから,依然α4部落住民の入会地であることに変わりはないなどと主張するが,仮に旧地権者が売却した土地の耕作を継続することを許されたとしても,Cがそれを事実上黙認してい 況は,何も変更しなかったのであるから,依然α4部落住民の入会地であることに変わりはないなどと主張するが,仮に旧地権者が売却した土地の耕作を継続することを許されたとしても,Cがそれを事実上黙認していたとも考えられ,耕作を継続していることをもって,Cあるいはその後本件土地を取得したBないし山中湖村に対抗し得るような土地利用権(入会権)があることにはならない。 エ昭和58年7月ころからα4区の農業適格者全員でそばの共同耕作が開始されたが,控訴人は,そばの共同耕作は,α4部落の入会権行使の一態様であると主張するが「至急回覧,-Q借地そば播きについて(乙21)を見ても,α4区長兼Q土地管理運営委員会委員長R」が共同作業の主催者としての名前があるだけで,入会団体としての責任者であるα4入会組合長の名前が記載されていない。これは,そばを共同耕作させることによって国から奨励金をα4区民に平等に配分させることを目的として行われたものであって,入会利用とか入会地であるとか,そのようなことを前提にして共同作業をしたものではない。 (2)本件土地が入会地であることによる本件売買契約への影響についてア仮に本件土地に控訴人が主張するような入会権が存在したとしても,本件売買契約の効力が否定されるわけではなく,入会権が付着した土地の所有権がBから山中湖村に売買を原因として移転したにすぎない。本件売買契約の対象となった土地に入会権が付着していたとしても,控訴人において,そのような入会権の付着した土地の金銭的評価について具体的な主張・- 7 -立証をしていないのであるから,本件売買契約により山中湖村が被った損害は明らかでない。 イ本件第1土地及び本件第3土地上に本件事業に基づいて諸施設の建設がほぼ完成に近づきつつあるが,仮にそれによって入会権が侵害されるというので ,本件売買契約により山中湖村が被った損害は明らかでない。 イ本件第1土地及び本件第3土地上に本件事業に基づいて諸施設の建設がほぼ完成に近づきつつあるが,仮にそれによって入会権が侵害されるというのであれば,入会権者が被控訴人に対し不法行為を理由に損害賠償を請求するとか,入会権に基づく本件事業の差止めを請求しなければならない。しかし,被控訴人に対して損害賠償を請求する者は誰もおらず,差止めを請求する者は,別件訴訟を提起しているPがいるが,到底勝訴の見込みがあるわけではなく,山中湖村に現実に損害が発生する可能性はない。 (3)地方自治法96条違反について控訴人は,本件売買契約は,いずれも山中湖村の議会において議決されあるいは専決処分されているが,この決議においては,浸水被害によって損害が生じた場合の賠償請求をあらかじめ放棄していることについて,全く説明されないまま,単なる土地売買契約として審議され議決されているなどと主張するが,損害賠償の請求をしないことを議会は十分認識をして議決ないし承認をしている。 したがって,議会の議決に瑕疵などはない。 証拠関係本件の証拠関係は,原審及び当審訴訟記録中の各証拠関係目録記載のとおりであるから,これを引用する。 第3当裁判所の判断 争点①(本件訴えの適法性)について当裁判所も,本件訴えは適法なものと判断する。そのように判断する理由は,原判決が認定(),。 説示するとおり原判決15頁5行目から16頁23行目までであるからこれを引用する 争点②(本件売買契約が,農地法違反により無効であるとか,その対象となっている本件土地について入会権等の存在を主張されるとか,あるいは法238条の4第1項に違反するとかして,その目的を達成することができず,これにより山中湖村が売買代金相当額の損害を被った の対象となっている本件土地について入会権等の存在を主張されるとか,あるいは法238条の4第1項に違反するとかして,その目的を達成することができず,これにより山中湖村が売買代金相当額の損害を被ったか否か)について(1)農地法違反の点について当裁判所も,本件売買契約に農地法上違法な点は存しないものと判断する。そのように判断する理由は,原判決が説示するとおり(原判決16頁24行目から17頁11行目まで)であるから,これを引用する。 (2)本件土地に本件売買契約によって侵害される入会権等が存在するか否かについてア証拠(甲6ないし9,甲11ないし16,甲52の1ないし18,甲53,乙1の1な,,,,,,。 ,,,いし6乙3乙4乙8乙9乙11の1ないし46乙12ただし甲11甲15甲53のうち下記認定に反する部分を除く)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認め。 られる。 (ア)入会集団としてのα4部落は,旧来から入会権に基づく入会慣行を有しているが,その入会地は,地盤所有権との関係で分類すると,①村持地(α4部落所有の共有の性質を有する入会地のこと。以下同じ)への単独入会,②山梨県恩賜県有財産地への単独入会,③山。 梨県恩賜県有財産地への3か村(平野・山中・長池)共同入会(字α7,④α10への11)か村(上記3か村と忍草,新屋,松山,新倉,上吉田,下吉田,大明見,小明見の8か村)共同入会に分けられている(甲6)ところ,現在では,α4部落の入会権はα4入会組合により- 8 -管理統制がされている。 (イ)本件土地の所有権の移転は,登記簿上原判決別紙所有権移転の経緯のとおりである(乙11の1ないし46。なお,土地2ないし4,土地7,土地45,土地46はいずれも土地43から,土地5は土地44からそれぞれ 件土地の所有権の移転は,登記簿上原判決別紙所有権移転の経緯のとおりである(乙11の1ないし46。なお,土地2ないし4,土地7,土地45,土地46はいずれも土地43から,土地5は土地44からそれぞれ平成13年に分筆登記された土地であり,したがって,以下の土地43についての検討は同様に土地2ないし4,土地7,土地45,土地46にあてはまり,土地44についての検討は土地5にあてはまる。 。)(ウ)α4部落においては,明治初年以降繰り返し村持地の個人分割がなされたが,大正6年ころ,村持地の大部分が,①当時の全入会権者92名による個人分割,②92名による記名共有へと変容を受けた。このうち,92名による記名共有登記がされた土地は,①将来の公益費用の支出に充てるため村としての財産を確保する,②共同利用上必要とされる土地(保安林,採草地,湖水利用(養蚕用具の洗浄など)のため不可欠な湖岸沿いの土地)を入会権者全員のため維持確保する,入会権者の生活の拠り所として全入会権者が自由に立ち入り生活資料を採取できる場所を確保するとの理由で入会権者全員の記名共有とされた旨の研究結果が表されている(甲6。 )また,大正5年ころ,一部の村持地(土地16,土地43及び土地44もこれに含まれる。 ,(,)「」土地43及び土地44はいずれも土地台帳甲52の1甲52の2の所有質取主氏名欄に「村持」と記載され,土地台帳上「村持地」とされている)は,一度中野村名義で登記。 され,H,I,J,Kの共有名義に所有権移転されているが,実質は村持地として買い戻したものである(甲6,乙11の16,乙11の43,乙11の44。 )なお,土地16及び土地44についてはその後個人に分割されたが,土地43は,92名による記名共有とされた(乙11の16,乙11の43,乙11の4 (甲6,乙11の16,乙11の43,乙11の44。 )なお,土地16及び土地44についてはその後個人に分割されたが,土地43は,92名による記名共有とされた(乙11の16,乙11の43,乙11の44。 )(エ)土地8ないし42(本件第2土地)のうち,土地20,土地21は,いずれも土地「」(,),,台帳上村持地とされ甲52の17甲52の18その後中野村が所有権の登記をし以後個人名義で売買を原因とする所有権移転登記がされている(乙11の20,乙11の21。 )(オ)土地1,土地6,土地8ないし42,土地44は,いずれも,大正15年から昭和2年の間に,Cのため本件土地の買い付けをしていたLに所有権が移転された後,Cに売買を原因として所有権が移転され,土地43については,92名による記名共有からCに売買を原因として所有権が移転された(甲6,乙11の1,乙11の6,乙11の8ないし44。 )(カ)α4区とS及びBとの間の使用貸借契約の締結についてaα4区(契約締結者はα4区長)は,昭和22年8月27日,Sとの間で,土地1,土地8ないし43を含むS所有の90筆の土地(以下この項において「本土地」という)につ。 いて,以下のような約定の下に,使用貸借契約を締結した(乙1の1。 )①Sはその所有する本土地をSの所有目的に反せざる範囲においてα4区の農耕地として使用することを認める。 ②α4区は本土地がSの所有する桂川流域の各発電所の出力増強の目的をもって取得したα11湖の水位調整権に伴う欠くことができない用地であることを確認しSの目的達成に協力の上使用する。 ③α4区は本土地を現況どおり使用し住宅その他の建物又は池沼等農耕地以外に変更使用しない。 - 9 -④α4区はSのα11湖の水位調整に伴う増水により本土地の Sの目的達成に協力の上使用する。 ③α4区は本土地を現況どおり使用し住宅その他の建物又は池沼等農耕地以外に変更使用しない。 - 9 -④α4区はSのα11湖の水位調整に伴う増水により本土地の農作物被害を受けた場合もSに対し補償,見舞金等を請求しない。 ⑤本土地の使用料は上記各項の意味をもって徴収しない。 ⑥α4区は本土地の耕作人の間及び今後の土地運営上その他の問題については責任者において公正妥当な処理をしSに迷惑を掛けない。 ⑦本土地の使用契約期間は,昭和22年4月1日から5年とする。ただし,期間満了の際は実情に即し契約の更改又は継続をすることができる。 bα4区(契約締結者は,α4区長及びα4区の住民3名)は,昭和29年7月12日,Bとの間で,土地1,土地8ないし11,土地13ないし17,土地19ないし41,土地43を含むB所有の85筆の土地について,期間昭和27年4月1日から5年間,期間満了の際は両者協議の上継続することができるとするほか上記aと同様の約定の下に,使用貸借契約を締結した(乙1の2。 )cα4区(契約締結者は,α4区長及びα4区代表5名)は,昭和36年9月25日,Bとの間で,上記B所有の85筆の土地(以下この項において「本土地」という)について,。 以下のような約定の下に,使用貸借契約を締結した(乙1の3。 )①使用目的農耕地として使用する。ただしBの使用目的に反せざる範囲において承認する。 ②賃料無償。ただしα4区はBのα11湖水位調整に伴う増水により本土地の農作物が被害を受けた場合もBに対し何等の補償その他一切の求償をしないこと。 ③期間昭和32年4月1日から昭和42年3月31日まで。ただし契約期間中もBが土地を必要とする場合は解約することができる。 ④土地使用上の協力上記a②と同じ⑤借 他一切の求償をしないこと。 ③期間昭和32年4月1日から昭和42年3月31日まで。ただし契約期間中もBが土地を必要とする場合は解約することができる。 ④土地使用上の協力上記a②と同じ⑤借主の誓約条項α4区はBの書面による同意がなければ,使用目的を変更すること,転貸すること,建物その他の構築物を設置すること,著しく地形を変更することができない。 ⑥Bは,α4区が上記誓約条項に違反した場合は事前に何らの催告をしないで,直ちにこの契約を解除し,生じた損害の請求をすることができる。 ⑦期間の更新期間満了の際は両者協議の上更新する。 dα4区(契約締結者は,α4区長及びα4区代表6名)は,昭和42年5月31日,B,,,,,,との間で土地1土地8ないし11土地13ないし17土地19ないし41土地43土地44を含むB所有の38筆の土地について,期間同年4月1日から昭和52年3月31日まで,期間満了の際はα4区の意志を尊重して両者協議の上更新するものとするほか上記cと同様の約定の下に,使用貸借契約を締結した(乙1の4。 )eα4区(契約締結者は,α4区長及びα4区代表13名)は,昭和53年3月31日,Bとの間で,上記土地1,土地8ないし11,土地13ないし17,土地19ないし41,土地43,土地44を含むB所有の36筆の土地について,期間昭和52年4月1日から昭和5- 10 -7年3月31日までとするほか上記dと同様の約定の下に,使用貸借契約を締結した(乙1の5。 )fα4区(契約締結者は,α4区長及びα4共有財産管理組合長)は,昭和63年3月3,,,,,1日Bとの間で土地1土地6土地8ないし44を含むB所有の41筆の土地について期間昭和57年4月1日から昭和77年3月31日まで,Bが将来使用 組合長)は,昭和63年3月3,,,,,1日Bとの間で土地1土地6土地8ないし44を含むB所有の41筆の土地について期間昭和57年4月1日から昭和77年3月31日まで,Bが将来使用目的が消滅したことにより土地を必要としなくなった場合は,処分の取扱いについてα4区と協議し,α4区に譲渡するよう配慮するものとするほか上記dと同様の約定の下に,使用貸借契約を締結した(乙1の6。 )g参加人は山中湖村長として,平成13年10月29日,α4区長との間で,Bからの土地買収により山中湖村が貸主の地位を承継した上記fに基づく使用貸借契約について,平成14年3月31日以降契約を更新しない旨合意した(乙8。 )イ本件土地が具体的にどのように利用されてきたかについての詳細は必ずしも明確ではないが,証拠(甲7ないし9,甲11,甲12,甲14,甲22,甲109,乙4,乙9,乙12)及び弁論の全趣旨によれば,概ね次のとおりの事実を認めることができる。 (ア)第二次世界大戦前本件第1土地及び本件第3土地付近については,昭和10年ころにおいて,一部柳や蒲が密生する沼地であったところ(本件土地以外のα4字α7×××番12,同所×××番89及び),,,同所×××番90もあるがほとんど草地であり湖岸に柳が何本か生えている状況でありα4部落民が飼育する馬の飼料用の採草等のため個別的共同利用がされていた(山中湖村役場が昭和53年10月10日付けで発行した山中湖村史第3巻(甲22)にも,α4部落は,α12と部落が隣接しているので,この入会地に入りやすく,春先に明神山や皆形山でまだ草が生えない頃に,α12の河原(現在,B用地となっている辺り)では浜草が生えるので,それを朝草(馬に与えるマグサのこと)として刈って使った旨記述されている。また,土地 ,春先に明神山や皆形山でまだ草が生えない頃に,α12の河原(現在,B用地となっている辺り)では浜草が生えるので,それを朝草(馬に与えるマグサのこと)として刈って使った旨記述されている。また,土地8。)ないし42(本件第2土地)については,個別分割がされた後それぞれ地盤所有者が畑作をするなどして利用していた。 そして,上記のような土地の利用形態は,本件土地がLを介してCへ売却された(ただし,土地43については直接Cへ売却された)後も特段変化がなかった。 (イ)第二次世界大戦後終戦直後の食糧難の時代,α4部落においても農地を持たない二男,三男らの生活を保障することが問題となり,優先的に本件土地を割り振りし,これらの者が水田等として利用するようになった。その後,昭和50年代になると国の減反政策により,減反及びこれに伴う奨励金の分配が問題となり,昭和58年1月ころ,本件土地はα4区の住民であって農業委員会が認める農業適格者全員が共同使用することを確認し,それまで耕作してきた者に水田耕作を放棄,。 ,させる同意書を取りその後農業適格者全員によりそばを共同耕作するようになったそして減反奨励金はα4部落民全員で平等に分配するようになった。さらに,平成11年ころになって,本件事業計画の構想が持ち上がったことにより耕作が中止された。 ウ上記ア及びイの認定事実を前提に,本件土地に入会集団としてのα4部落の入会権が存在するか否かについて検討する。 (ア)まず,土地8ないし42(本件第2土地)についてみると,一部村持とされた土地があるものの,いずれもLに所有権が移転する前に,地盤所有権がα4部落の構成員に分割さ- 11 -れ,分割を受けた個人が独占的に使用収益してきたものと推認され,さらにLに対する所有権の移転についても,所有権移転時期が区々で 所有権が移転する前に,地盤所有権がα4部落の構成員に分割さ- 11 -れ,分割を受けた個人が独占的に使用収益してきたものと推認され,さらにLに対する所有権の移転についても,所有権移転時期が区々であり,その売却代金の取得について団体的統制がなされたものと認めるに足りる証拠はないし,各所有権者が自らの判断で売却したものとうかがわれ,入会集団の団体的統制の下に売却されたものとまでは認めることができないから,仮に個人分割の前に入会集団による入会権が存在したとしても,個人に分割された時点において当該土地の入会権は消滅したものと認めるのが相当であり,他に個人分割後において本件第2土地が団体的統制の下に入会地として利用されてきたことを認めるに足りる証拠はない。 (イ)次に,土地43(土地2ないし4,土地7,土地45,土地46についても同様。 以下同じ)についてみると,上記認定のとおり,土地台帳上村持地とされ,H,I,J,K。 の共有登記,その後92名による共有登記がなされており,その採草地等の利用形態からしても,入会集団による個別的共同利用がなされていたものと認められるから,α7部落が入会権を有していたものと認めるのが相当である。 (ウ)土地1,土地6,土地44(土地5についても同様)については,Lを介してCに売却されるまでに,地盤所有権がα4部落の構成員に分割されており,上記認定のとおり,α4部落民が採草地として利用していた土地であるが,これらの土地について入会集団たるα4部落による入会地としての団体的統制がされていたとまではにわかに断定できない。 (エ)ところで,前記認定のとおり,本件土地は,Lを介して(土地43は直接に)Cに売却された後も,概ね従前どおりの利用がされていたものと認められ,さらに,戦後に至ってはα4部落の統制のもと個々の構成員が水 ところで,前記認定のとおり,本件土地は,Lを介して(土地43は直接に)Cに売却された後も,概ね従前どおりの利用がされていたものと認められ,さらに,戦後に至ってはα4部落の統制のもと個々の構成員が水田として利用するようになり,減反及びこれに伴う奨励金の分配が問題になると,そばを共同で耕作し,奨励金も平等に分配する等α4部落の団体的統制の下に利用されてきたものと認められる。 もっとも,昭和22年8月27日,Sとα4区(この時点ではα4部落と同一視することができる)との間で本件土地について使用貸借契約が締結されているが,この使用貸借契約の。 内容は,使用目的を農耕のみに制限し,浸水による農作物被害の補償をあらかじめ放棄する内容のものであり,その期間も5年間という短期に区切るなどα4部落構成員の本件土地利用に著しい制限があるとしても,このことがα4部落による本件土地の利用が入会権に基づくものであることと矛盾し,これを否定しなければならない関係にあるとまでは認められない。 (オ)以上検討したところによれば,土地8ないし42(本件第2土地)については,そもそもCが買い受ける以前の段階においてα4部落の入会権が存在したと認めることができないし,土地1,土地6,土地44(土地5についても同様)については,入会集団たるα4部落による入会地としての団体的統制がされていたとまではにわかに断定できないから,これらの土地についてα4部落の入会権が存在したと認めることはできない。 この点について,控訴人は,当審において,本件第2土地については,個人分割されたとしても,後に共同利用地として割り替えがなされ,それは割り地という入会地の一形態であるから,分割の事実それ自体をもって入会地でなくなったとはいえない旨主張するが,本件第2土地について,入会集団による団体的統制が及ぶ 利用地として割り替えがなされ,それは割り地という入会地の一形態であるから,分割の事実それ自体をもって入会地でなくなったとはいえない旨主張するが,本件第2土地について,入会集団による団体的統制が及ぶような共同利用の事実を認めるに足りる証拠はないから,控訴人の主張は,採用することができない。 次に,土地43については,前記認定のとおり,α4部落が入会権を有していたものと認められるところ,被控訴人らは,仮に本件土地に入会権が存在したとしても,本件土地がCに売却された時点で,入会住民全員によって入会権は放棄され,入会権は消滅したなどと主張する- 12 -が,少なくとも土地43についてα4部落民の全員の一致による入会権の放棄がなされたことを裏付けるに足りる証拠はないから,被控訴人らの主張は,採用することができない。 エそこで,土地43が入会地であることによる本件売買契約への影響について検討する。 本件土地のうち土地43にα4部落の入会権が存在するとしても,そのことから直ちに本件売買契約が無効となるものとまでは認められないところ,控訴人は,当審において,現在実施されつつあるような緑地と建物の建設は入会権を侵害することになり,被控訴人は,その利用目的を達することができないにもかかわらず,利用目的を達することができない土地に村費をつぎ込んだのであるから,被控訴人は,参加人に対して損害賠償請求権を行使すべきことになる旨主張するが,土地43が入会地であったとしても,そのことから直ちに本件事業による利用目的が達成できなくなると認めるに足りる証拠はなく,そもそも土地43の入会権の存在によりどの程度の利用目的が達成できないことになるのか,その場合に山中湖村が被る損害額について,控訴人は,具体的に主張・立証していない。 また,控訴人は,本件第1土地及び本件第3土地の所 入会権の存在によりどの程度の利用目的が達成できないことになるのか,その場合に山中湖村が被る損害額について,控訴人は,具体的に主張・立証していない。 また,控訴人は,本件第1土地及び本件第3土地の所有権を取得しなくても,本件事業は実行することができるのであり,本件事業のためにあえて必要のない所有権を取得するために村費をつぎ込んだのであるから,被控訴人は,参加人に対して損害賠償請求権を行使すべきことになるなどとも主張するが,土地43についてα4部落が入会権を有しているとしても,それはα4部落民の共同的な利用権にとどまるし,しかも本件事業の対象となる土地の一部にすぎない。したがって,土地43を除く本件第1土地及び本件第3土地の所有権を取得することなく,本件事業を実施することは不可能というべきであるから,控訴人の上記主張は,採用することができない。 そうすると,控訴人が主張するような本件売買契約の売買代金(合計3億9785万1224円)相当額の損害を被ったものとまでは認められず,本件売買契約により山中湖村が被ったとする損害の額は不明というほかない。 (3)地方自治法238条の4第1項違反について当裁判所も,Bと山中湖村との間の本件地役権設定契約及びこれを条件とする本件売買契約が地方自治法238条の4第1項に違反し無効であると認めることはできないものと判断する。そのように判断する理由は,原判決が認定説示するとおり(原判決25頁10行目から26頁14行目まで)であるから,これを引用する。 (4)地方自治法96条違反について控訴人は,当審において,本件売買契約は,いずれも山中湖村の議会において議決されあるいは専決処分されているが,この決議においては,浸水被害によって損害が生じた場合の賠償請求をあらかじめ放棄していることについて,全く説明されていない 契約は,いずれも山中湖村の議会において議決されあるいは専決処分されているが,この決議においては,浸水被害によって損害が生じた場合の賠償請求をあらかじめ放棄していることについて,全く説明されていないのであるから,上記議会の議決には瑕疵があり,有効とはいえないなどと主張するが,本件売買契約は,本件地役権設定を条件に締結されたものであり,本件地役権設定契約において,特約事項として,山中湖村は,湛水等のため本件土地及び地上工作物に損害を受けても,Bに対して一切異議求償をしないことが合意されている(乙7の1,乙30の1ないし4)ところ,証拠(乙23の3,4,乙24の3,4,乙26)及び弁論の全趣旨によれば,平成13年6月13日及び同月20日開催の山中湖村議会において,本件地役権設定について山中湖村村長による専決処分した件につき決議されており,本件地役権設定契約の内容の詳細,すなわち,上記湛水等のため本件土地及び地上工作物に損害を受けてもBに対して一切異議求償をしない旨の特約条項等について- 13 -は,議員協議会において説明がなされていることが認められるから,控訴人の上記主張は,採用することができない。 以上によれば,地方自治法242条の2第1項4号に基づき被控訴人に対し参加人に損害賠償として3億9785万1224円の請求をすることを求める控訴人の本件請求は,理由がなく,棄却すべきである。 第4 結論 よって,これと結論において同旨の原判決は相当であり,本件控訴は,理由がないから,棄却し,控訴費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法67条1項,61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第9民事部裁判長裁判官雛形要松裁判官浜秀樹裁判官山崎勉は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官雛形要 61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第9民事部裁判長裁判官雛形要松裁判官浜秀樹裁判官山崎勉は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官雛形要松
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