平成15(行コ)4 公文書非公開処分取消等請求控訴事件(原審・奈良地方裁判所平成13年(行ウ)第4号)

裁判年月日・裁判所
平成15年6月19日 大阪高等裁判所 選挙
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判決文本文16,276 文字)

- 1 -主文一原判決別紙却下部分目録を別紙却下文書目録記載のとおり,原判決別紙取消部分目録を別紙文書目録記載のとおり,それぞれ更正する。 二本件控訴を棄却する。 三控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一控訴人 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 二被控訴人ら 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 第二事案の概要本件は,被控訴人が控訴人に対し,生駒市情報公開条例(平成9年12月24日生駒市条例第26号・以下「本件条例」という)に基づき,公文書(生駒市によ。 る平成10年度及び平成11年度土地買収事務にかかる不動産鑑定評価書)の開示を請求(以下「本件開示請求」という)したところ,控訴人が上記公文書の一部。 を開示しその余(標準画地の地番,取引等事例の指摘図,鑑定評価対象地の所有者の氏名等)を非開示とする旨の決定をしたので,行政事件訴訟法に基づいて上記決定のうち非開示決定部分の取消しを求める事案である。 ,,,その他本件事案の概要は後記二のとおり当審における控訴人の主張を付加し後記一のとおり付加,訂正するほか原判決「第2事案の概要(原判決2頁15」行目から同11頁21行目)に記載されたとおりであるから,これを引用する。 一原判決2頁7行目の「理由」を「事実及び理由」と,同3頁12行目の「7個の- 2 -事由」を「非開示となしうる場合として7個の事由」と,同7頁26行目の「本件条例6条2号」を「本件条例6条2号本文」と,同9頁11行目から12行目にか「」「」,「。」けての6条2項を6条2号本文と同17行目の一歩後退すべきであるを「一歩後退するというべきである」 6条2号」を「本件条例6条2号本文」と,同9頁11行目から12行目にか「」「」,「。」けての6条2項を6条2号本文と同17行目の一歩後退すべきであるを「一歩後退するというべきである」とそれぞれ改める。 。 二当審における控訴人の主張 本件条例6条2号本文の該当性について㈠別紙文書目録記載のAないしFの各文書(以下それぞれ「鑑定書A」等というのうち非開示とされた(ア)標準画地の地番(イ)取引等事例の指摘図以。),,(下それぞれ「非開示部分(ア)」等という)は,以下のとおり,個人に関する。 情報であって,特定の個人が識別され又は識別されうるものであるから,本件条例6条2号本文で非開示とされる個人情報(以下単に「個人情報」という)に該当する。 。 ⑴まず,非開示部分(ア)については,標準画地とは,不動産鑑定士が鑑定対象地である買収予定地の適切な地価を判定するために近隣の同種土地買,(収予定でないもの)を参考事例として選定した上価格査定したものであるが,その標準画地の地番は,何人でも閲覧できる不動産登記簿と照合することにより特定の個人を識別することができる。 そして,不動産鑑定士が,ある土地を買収の参考のために価格査定したという事実は,当該土地の所有者の立場からすれば,不特定多数人に公開されるべきものではなく,個人の属性に関するものというべきである。 したがって,非開示部分(ア)は個人情報に該当する。 ,,,,⑵次に非開示部分(イ)について検討するに取引等事例とは上記同様に近隣の同種土地について,既に行われた売買取引においてどのような価格が設定されたかを示すものであるが,取引等事例の指摘図においては,当該取引事例の場所が円で囲まれて記載されており,開示されている各事例の概要と併せると て,既に行われた売買取引においてどのような価格が設定されたかを示すものであるが,取引等事例の指摘図においては,当該取引事例の場所が円で囲まれて記載されており,開示されている各事例の概要と併せると,場所を特定できるものであるから,不動産登記簿と照- 3 -合することにより,当該取引事例にかかる特定の個人を識別することができる。 そして,ある土地について私人間で売買が行われ,それが市の買収価格を決定する際の参考事例として選定されたという事実は,当該土地の所有者の立場からすれば,不特定多数人に公開されるべきものではなく,個人の属性に関するものというべきである。 したがって,非開示部分(イ)は個人情報に該当する。 ㈡個人情報の意義に関する原判決の判断について⑴以上に対して,原判決は,条例6条2号の個人情報の意義について,何の合理的根拠もなくその範囲を縮小し「法的保護に値する個人に関する情,報」であると解釈している。 しかしながら,被控訴人が本件で主張する公文書開示請求権は本件条例,,により創設された権利であり非開示事由等の範囲を画するにあたっても条例の規定する文理や趣旨を超えた限定的な解釈をするべきではない。そして,情報公開条例の個人情報に関する規定には,生駒市のように「個人が識別できる情報」とする規定の仕方と,それに加えて「通常他人に知られたくないと認められるもの」等の要件を加える規定の仕方がある。生駒市は,本件条例の制定において,あえて前者の規定の仕方を採用したが,その理由は,①後者の規定によると,法的保護に値するのが具体的にどの部分か,その範囲を明確に画することが極めて困難であることから,個人に関する情報を保護しようとしたからであり,さらに,②前者の規定の仕方は,開示非開示の判断基準の明確化客観化によって恣意的な運用を排 部分か,その範囲を明確に画することが極めて困難であることから,個人に関する情報を保護しようとしたからであり,さらに,②前者の規定の仕方は,開示非開示の判断基準の明確化客観化によって恣意的な運用を排除でき,さらに,基準の明確化により開示請求に対しても迅速に対応しうる点で,後者の規定の仕方よりも明らかに優れているからである。本件条例の制定に当たっては,単に文言を省略して「個人が識別できる情報」とのみ規定されたのではなく,どのような範囲を非開示とすべきかという観点- 4 -から,上記のような各規定の仕方の可能性が検討された上で,あえて個人情報は全て非開示とするとの規定が選択された。 したがって,本件条例における非開示事由については,単に個人識別情報と規定されている以上,それを超えて縮小解釈をすることは本件条例の趣旨に明らかに反するのであって,原判決は,本件条例の理解を根本的に誤ったものといわざるを得ない。 そして,上記の解釈指針は,今日の裁判例の圧倒的多数説となっているというべきである。 ⑵なお,原判決は,前記解釈を採用する根拠として,①およそ個人に関する情報といえるものを全て非開示とすると,本件条例の目的が没却されること,②個人に関する情報であると同時に公的な性質を有する情報については,個人の権利利益の保護と行政情報の公開目的の達成とのバランスを考慮すべきであることを挙げる。 しかしながら,今日,個人情報の管理保護の重要性は,情報公開の要請に勝るとも劣らないものであり,個人情報について,それを行政情報の開。 ,示を阻害する負の要因であるかのような判断をすべきではないすなわち個人情報とは,本来的にそれ自体対外的な管理保護が厳重に要請されているのであって,情報公開の例外的な存在にとどまるものではない。 また,原判決が用いる「公的な性質 ような判断をすべきではないすなわち個人情報とは,本来的にそれ自体対外的な管理保護が厳重に要請されているのであって,情報公開の例外的な存在にとどまるものではない。 また,原判決が用いる「公的な性質を有する情報」といった概念は,内容的に著しく不明確であって,到底判断基準として一般化できるものではないし「公的な性質」があれば何故個人情報の管理保護の必要性が後退す,るのかも不明である。 さらに,本件条例の6条2号但書エの規定は,一定の具体的かつ定型的な情報について,種々の明確な限定を付した上でごく例外的に個人情報保護の対象としないことにしたに過ぎず,原判決のように「公的な性質を有,する情報」であれば個人情報保護の必要性が包括的に後退する等といった- 5 -法理を表したものでは全くない。 したがって,原判決の上記判断は相当でない。 ㈢非開示部分(ア)(イ)に関する原判決の判断について⑴原判決は,非開示部分(ア)(イ)について,それが個人の財産や所得に関する情報であるとしても,あくまでその一部に関するものであって,当該個人の財産や所得の全体を明らかにするものではないから,個人情報に該当しないと判断した。 しかしながら,ある情報が性質上個人情報であるか否かという問題と,それが当該個人の財産や所得の全部であるか一部に関するものであるかという問題とは全く次元が別の問題である。また,原判決のように,個人の財産等の一部に関する情報であれば開示し,全部に関する情報であれば開示しないという基準を採った場合,いったいどの程度の「一部」であれば開示するのかという点が著しく不明確であり,基準として明らかに劣る。 さらに,例えば,複数の土地を標準画地とした場合,ある所有者にとってはそれが財産の一部であったが,他の所有者にとっては当該土地が財産の全部であった う点が著しく不明確であり,基準として明らかに劣る。 さらに,例えば,複数の土地を標準画地とした場合,ある所有者にとってはそれが財産の一部であったが,他の所有者にとっては当該土地が財産の全部であった場合,同種土地でありながら,所有者の資産状況によって土地ごとに開示非開示の差異が生じるという明らかに不合理な事態を招く。 したがって,原判決の上記判断は不当である。 ⑵次に,原判決は,本件で被控訴人が開示を求める公文書は,生駒市が土地取得のため調査を依頼した不動産鑑定士が調査等を行って作成した不動産鑑定評価書中の記載部分であって,取引当事者の主観や個別事情に影響されない客観性の高いものであるから,いずれも個人のプライバシーとして保護する必要性の高い情報であるとまではいえないと判断する。 しかしながら,本件で問題となっているのは,ある個人の所有地が標準画地となっていること,あるいは取引等事例として選出されていることそれ自体を個人の秘密として保護すべきかどうかという点であって,当該土- 6 -地の地番や所在場所の記載について客観性が高いか否かは全く次元を異にする問題である。個人の土地について行政手続的にどのような対応処理がされているかということは,社会通念上,その内容とは無関係に個人の重要な秘密に当たるものとして保護されるべきであって,このことは,当該土地の地番や位置の記載が第三者から見て客観性が高いか否か等といったこととは無関係である。 したがって,原判決の上記判断は不当である。 本件条例6条7号の該当性について鑑定書AないしFのうち,非開示とされた(オ)鑑定評価の総額,単価及び試算価格,(カ)標準画地の価格(以下それぞれ「非開示部分(オ)」等という)は,以。 下のとおり,本件条例6条7号に該当するというべきである。 ㈠地権者との信頼関係 た(オ)鑑定評価の総額,単価及び試算価格,(カ)標準画地の価格(以下それぞれ「非開示部分(オ)」等という)は,以。 下のとおり,本件条例6条7号に該当するというべきである。 ㈠地権者との信頼関係の破壊について⑴鑑定評価額は,一般的認識としては売買価格の近似値を指すものと理解されているが,用地買収の対象となる土地の地権者にとっては,買収交渉における売買価格等の具体的な契約内容はもちろん,そのような交渉が行われていること自体が開示されると,自己の収入を不特定多数の他人に推測されることにつながるから,そのような開示に激しい抵抗の意を表す。 したがって,上記情報開示がなされるということであれば地権者との買収交渉は著しく難航し,仮に契約締結に至ったとしても,その後別の場面での協力を拒否されるようになるので,実施機関と地権者との間においては,交渉内容や成立した契約内容等は公にしないことを当然の前提として交渉が進められる。そして,もし用地買収にかかる契約の内容が公文書の開示によって一般市民に明らかになることを前提に交渉した場合,用地買収やそれに基づく地域の開発は到底不可能になる。 また,鑑定評価額は,交渉での上限価格であり,これよりも低い価格で契約を締結できる場合もあるが,その場合に,鑑定評価額と契約金額の差- 7 -異が明らかになると,地権者が実施機関に対して不信感を抱き,用地買収の当事者間の信頼関係が破壊される。 ⑵原判決について(ア)以上に対し,原判決は,不動産鑑定において唯一絶対の評価額といったものはなく,交渉の結果定まる買収価格と当該鑑定評価額が完全に一致しないことも当然予想されるから,上記情報開示によって買収対象不動産の鑑定評価額が明らかになったとしても,生駒市と地権者との信頼関係が直ちに損なわれるとはいえないと判断する。 定評価額が完全に一致しないことも当然予想されるから,上記情報開示によって買収対象不動産の鑑定評価額が明らかになったとしても,生駒市と地権者との信頼関係が直ちに損なわれるとはいえないと判断する。 しかしながら,信頼関係とは,専ら属人的な信頼を基盤とするものであり,そこで重要なのは,対象不動産の鑑定評価額と買収価格が一致するか否かといった客観的な問題ではなく,用地買収の交渉において,各,,地権者が現にどのような認識を持ちどのように行動するかであるから原判決の上記判断は不当である。 (イ)次に,原判決は,用地買収が公的性質を有すること,買収価格決定に地権者の主観的事情が反映されないこと,地権者の買収価格を知られたくないという期待を保護すべきとはいえないこと等を根拠に,非開示部分(オ)及び(カ)は本件条例6条7号に該当しないと判断した。 しかしながら,公的性質という用語自体曖味なものであるし,公文書には大なり小なり公的事項が記載されるから,原判決の判断によればあらゆる公文書を開示すべきことになり不当である。また,原判決が公的性質の根拠とする譲渡価格が客観的価格であること及び地権者に租税特別措置の優遇があることや,さらに,買収価格決定の地権者の主観的事情が反映されないことについても,これらの各事情は,地権者と自治体との信頼関係が破壊され,買収事務に支障が生ずるか否かという問題とは全く無関係というべきである。 (ウ)また,本件条例6条7号の適用において問題になるのは,あくまで用- 8 -地買収事務に支障が生ずるか否かという点である。したがって,地権者の買収価格を知られたくないという期待の利益が正当か否かによって,公文書公開の是非が左右されるものではなく,本件条例上もそのような規定にはなっていない。 (エ)さらに,原判決は,買収事務 ,地権者の買収価格を知られたくないという期待の利益が正当か否かによって,公文書公開の是非が左右されるものではなく,本件条例上もそのような規定にはなっていない。 (エ)さらに,原判決は,買収事務担当者としては,地権者が後に買収価格が公開される可能性があることを理由に難色を示したとしても,用地買収の公的性質を説明し説得に努力すべきであるとするが,そのような無用の手間をかけなければならないこと自体が,本件条例6条7号の事務事業の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生ずること以外の何物でもない。 ㈡地権者の価格固執による支障の発生について⑴非開示部分(オ)及び(カ)が開示されることにより,買収対象地の評価額を誰でも知ることが可能になるが,用地買収の進行は,地権者ごとに異なった速度で進行するものである。したがって,ある土地の評価額が明らかになると,地権者は,価格評価要因や評価時点の違い,各土地の形状等による差異等を無視して,自分が知った鑑定評価額に固執し,市側が提示する買収価格を拒否することが容易に予測されるところであり,その場合,買収交渉事務は著しく難航する。 以上から,上記公文書の開示によって,生駒市が行う用地買収事業の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生ずることは明らかである。 ⑵原判決について(ア)原判決は,当該買収地の鑑定評価額と近隣の地価が一致するとはいい難いから,上記鑑定評価額が公開されたとしても,同評価額から近隣の買収対象地の価格が推測されるとはいえないとして,本件条例6条7号の該当性を否定すべき事情の一つとする。 しかしながら,鑑定評価額と近隣の地価との間に差異が生じるとして- 9 -も,各地権者がそのような事態をそのとおり速やかに理解するとは限らず,むしろ,買収価格が不公平である等と主張して,用地買収担当者からの ,鑑定評価額と近隣の地価との間に差異が生じるとして- 9 -も,各地権者がそのような事態をそのとおり速やかに理解するとは限らず,むしろ,買収価格が不公平である等と主張して,用地買収担当者からの提示価格を容易に承諾しない地権者の方が圧倒的に多数である。以上のような買収現場における実情は,それ自体が買収事務の支障となるものであり,そのことは,客観的,第三者的判断により,公開情報から買収価格が推測されるか否かとは次元や場面を異にする問題である。したがって,原判決の上記判断は不当である。 (イ)次に,原判決は,既買収地の近隣地の地権者が,当該買収地と自己所有地との間の差異を無視し,当該既買収地の価格が自己所有地のそれと同額であると主張したとしても,それは合理的な主張ではないから,買収事務担当者としては,交渉が進めにくくなったとしても,それは既買収地の買収価格が公開されることによって,説明すべき事柄が増えるということであり,それにより買収交渉が不成功に終わるということでは,。 ないとしてこの点を本件条例6条7号の該当性を否定する根拠とするしかしながら,買収事務に支障が生じるか否かという問題と,交渉の,相手方である地権者の主張内容に合理性が存在するか否かという問題は次元も場面も異なる問題である。仮に,地権者の主張の合理性を第三者が判断できたとしても,当該判断がされるまでの間は,事務事業の執行を停止せざるを得ない。また,仮に,地権者の主張が不合理なものであったとしても,その旨を地権者に説明して理解させることが可能とは限らず,円満に買収金額についての合意をするためには,果てしなく膨大。 ,。 な労務を要するのであるしたがって原判決の上記判断は不当である(ウ)また,原判決は,甲4の1ないし5を根拠に,公有地の所在や取得価格につい いての合意をするためには,果てしなく膨大。 ,。 な労務を要するのであるしたがって原判決の上記判断は不当である(ウ)また,原判決は,甲4の1ないし5を根拠に,公有地の所在や取得価格について開示している他の地方公共団体において,公開以後の用地買,,収に支障を来すなどの弊害が生じていないと認定したが上記各証拠は本件とは全く事案を異にするものであり,参考事例としての価値はほと- 10 -んどない。 (エ)そして,原判決は,地方公共団体の事業用地の買収交渉において,買収価格についての駆け引きは許されておらず,適正価格で買収に応じてもらうよう,必要な情報を開示しつつ地権者を説得するのが買収事務担当者の責務であるとするが,交渉相手に対してどのようなアプローチをするのが円滑で適正な行政の執行につながるかは,完全に行政の裁量に委ねられており,条例6条7号の該当性の判断要素とはなりえない。また,原判決は,買収事務担当者の責務といった概念を法的根拠もなく勝手に設定した上,買収交渉の方針まで事細かに限定する等しており,およそ法律判断とはいい難い。 (オ)さらに,原判決は,本件は,既買収地の鑑定書の公開が求められている事案であるから,公開によって生じる直接の弊害はほとんどないとする。 しかしながら,たとえ,既買収地であっても,地権者からは,当該土地の鑑定評価額を公開することを拒否されており,このことは,乙6ないし10及び証人aの証言からも明らかである。 ㈢生駒市内での現実の抗議,批判について控訴人が上記で主張した,本件各公文書を公開することによる生駒市と地,権者との信頼関係破壊及び地権者の価格固執による用地買収の支障の発生は単なる抽象論や仮定の話ではない。現実に,市民から生駒市に対し,個人情報や用地買収における交渉や契約の内容が明 よる生駒市と地,権者との信頼関係破壊及び地権者の価格固執による用地買収の支障の発生は単なる抽象論や仮定の話ではない。現実に,市民から生駒市に対し,個人情報や用地買収における交渉や契約の内容が明らかとなる情報の開示に強く反対する声が寄せられており,その内相当の割合の市民が,上記情報が開示されるなら,今後生駒市の行う事業には一切協力しない旨を明確に表明している。 ㈣当審提出の乙17,18についてなお,b及びcは,それぞれ,乙9,乙10の作成者であるが,別件訴訟- 11 -における両名の各証言(乙17,18)によれば,生駒市の用地買収交渉の現場においては,本件各公文書の開示によって多数の市民から強い反対と批判がなされていること,上記開示によって今後の用地買収事務に著しい支障が生ずることが認められる。 第三争点に対する判断当裁判所は,被控訴人の本件請求は,原判決主文第2項の限度で理由があると判断するが,その理由は,後記二のとおり当審における控訴人の主張に対する判断をし,一のとおり付加,訂正するほか,原判決「第4争点に対する判断(原判決」12頁15行目から同23頁7行目まで)に記載されたとおりであるから,これを引用する。 なお,原判決別紙却下部分目録(原判決27頁)は別紙却下文書目録の誤記であり,別紙取消部分目録(原判決26頁)は別紙文書目録記載の誤記であって,以上は一件記録から明らかであるから,主文第一項のとおり更正する。 一1争点⑴について「」「」,「,原判決12頁16行目の争点1を争点⑴と同13頁16行目のAB,C及びD」を「AないしF」と,同17行目から18行目にかけての「鑑定書Eの2番,並びに,鑑定書Fの2番及び3番の各土地」を「鑑定書Eの1番及び3番並びに鑑定書Fの1番の各土地」とそれぞれ改 AB,C及びD」を「AないしF」と,同17行目から18行目にかけての「鑑定書Eの2番,並びに,鑑定書Fの2番及び3番の各土地」を「鑑定書Eの1番及び3番並びに鑑定書Fの1番の各土地」とそれぞれ改める。 争点⑵について原判決14頁24行目の「争点2」を「争点⑵」と,同16頁1行目から2行目にかけての「バランスを考慮した結果である」を「バランスを考慮する本件条例の基本的な趣旨を表すもの」と,2行目の「したがって,本件条例6条2号は」を「そうとすると,本件条例6条2号本文は」とそれぞれ改める。 原判決16頁7行目の「相当である」を次のとおり改める。 。 「相当であり,特に,公益上,公開の必要性が高い情報については,法的保護に値するといえる客観的具体的事情が認められる個人情報に限り非開示とすること- 12 -が許されると解するべきである。 なお,本件条例6条2号は個人のプライバシー保護を目的とするところ,本件条例が,個人情報の非開示事由につき「個人が識別しうる情報」という規定,の仕方(個人情報識別型)を採用したのは,プライバシーの具体的な内容や保護すべき範囲が一般的,客観的に定めることが困難であるという,主に立法技術的な理由に基づくものと解され,個人情報識別型による規定であってもプライバシー保護を目的とするものである以上,上記規定の解釈適用の際にプライバシー保護の必要性の有無・程度を考慮することは当然許されるというべきである。 また,いわゆる情報公開法も上記個人情報識別型を採用するが,仮に同法における個人情報の解釈適用が控訴人の主張するとおりであったとしても,情報公開法は国家レベルでの法規範であって,条例とは自ずから性質を異にするものであるし,本件条例は情報公開法が制定施行される以前に制定施行されており(顕著,情報公開法の規定と同様の解 ったとしても,情報公開法は国家レベルでの法規範であって,条例とは自ずから性質を異にするものであるし,本件条例は情報公開法が制定施行される以前に制定施行されており(顕著,情報公開法の規定と同様の解釈適用がされるべき必然性はない。したがっ),,。」て情報公開法と同様に本件条例の解釈適用をするべきであるとはいえない「」「」,原判決16頁9行目の本件条例6条2号を本件条例6条2号本文と同13行目の「鑑定を請け負った事案毎に任意で選定した土地」を「鑑定対象地ごとに土地鑑定評価の基準となる土地として任意に選定したもの」とそれぞれ改め,同17行目の「しかし」から同末行までを次のとおり改める。 「しかしながら,非開示部分(ア)(標準画地の地番)は,市が行う土地買収事業における買収価格の決定が適切であったか否かを判断するための基本的な資料であるから,市民が土地買収事業の適正を監視することを通じて「市政への参加」(本件条例1条)をするためには,非開示部分(ア)を開示する公益上の必要性は高いというべきである。したがって,非開示部分(ア)については,プライバシーを保護する必要性が高いといえる客観的具体的な事情が認められる場合に限り,本件条例6条2号本文に該当すると解すべきである。 そこで以上を前提に検討するに,非開示部分(ア)は,個人の財産や所得に関す- 13 -る情報ではあるものの,個々の財産を明らかにするものにすぎず,これを開示することにより地権者の財産や所得全体が明らかになるわけではない。また,同非開示部分は,不動産鑑定士が対象不動産の適正価格を評価するために作成した不動産鑑定評価書中に,価格評価の客観的基準とすることを目的として記載されたものに過ぎず,当該標準画地に対する外形的客観的な評価を超えて,当該土地の所有者の主 動産の適正価格を評価するために作成した不動産鑑定評価書中に,価格評価の客観的基準とすることを目的として記載されたものに過ぎず,当該標準画地に対する外形的客観的な評価を超えて,当該土地の所有者の主観的,個別的事情を明らかにするものではない。 したがって,非開示部分(ア)については,プライバシーを保護する必要性が高いといえる客観的具体的な事情があるとは認め難いから,本件条例6条2号本文に該当するとはいえない」。 原判決17頁12行目の「しかし」から同21行目末尾までを次のとおり改める。 「しかしながら,非開示部分(イ)(取引等事例の指摘図)についても,非開示部分(ア)と同様に,市が行う土地買収事業における買収価格の決定が適切であったか否かを判断するための基本的な資料であるから,市民が土地買収事業の適正を監視することを通じて「市政への参加(本件条例1条)をするためには,非」開示部分(イ)を開示する公益上の必要性は高いというべきである。したがって,非開示部分(イ)についても,プライバシーを保護する必要性が高いといえる客観的具体的事情があると認められる場合に限り,本件条例6条2号本文に該当すると解すべきである。 そこで以上を前提に検討するに,非開示部分(イ)は,個人の財産や所得に関する情報ではあるものの,個々の財産を明らかにするものにすぎず,これを開示することにより地権者の財産や所得全体が明らかになるわけではない。また,同非開示部分は,不動産鑑定士が対象不動産の適正価格を評価するために作成した不動産鑑定評価書中に,価格評価の客観的基準とすることを目的として記載されたものに過ぎず,当該取引事例に対する外形的客観的な評価を超えて,当該取引当事者の主観的,個別的事情を明らかにするものではない。 - 14 -以上によれば,非開示部分(イ)については として記載されたものに過ぎず,当該取引事例に対する外形的客観的な評価を超えて,当該取引当事者の主観的,個別的事情を明らかにするものではない。 - 14 -以上によれば,非開示部分(イ)については,プライバシーを保護する必要性が高いといえる客観的具体的な事情があるとは認められないから,本件条例6条2号本文に該当するとはいえない」。 争点⑶について原判決17頁22行目の「争点3」を「争点⑶」と,同25行目から末行にかけての「各文書の非開示部分(エ)」を「鑑定書AないしFの非開示部分(ウ)及び(エ)」と,同18頁7行目の「本件条例7条前段」を「本件条例6条7号前段」と,同13行目の「解されるところ,前記の本件条例の趣旨・目的に照らすと」を「解される。しかるに,公文書の開示は,程度の差こそあれ行政事務等の円滑な遂行を妨げるおそれを内在するものであり,事務担当者の主観によって上記おそれがあると判断されれば,直ちに当該公文書を非開示としうるとすると,本件条例の趣旨は没却されることになる。そうとすれば,本件条例6条7号は,以上の点を踏まえて,公文書を開示することにより,行政事務等の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生ずる客観的具体的なおそれがある場合に限り,これを非開示とする趣旨と解すべきである。したがって」と,同22行目の「秘密すること」「」,「」「」を秘密にすることと同23行目の破棄することによりを破棄すればと,それぞれ改める。 原判決19頁12行目の「本件各鑑定書の公開により」から同16行目末尾までを次のとおり改める。 「そうとすると,本件各鑑定書(非開示部分(オ)等)を公開することにより,買収対象不動産の鑑定評価額が明らかになったとしても,これをもって,買収価格自体を公開することにはならないし,そもそも,市は, 「そうとすると,本件各鑑定書(非開示部分(オ)等)を公開することにより,買収対象不動産の鑑定評価額が明らかになったとしても,これをもって,買収価格自体を公開することにはならないし,そもそも,市は,買収価格そのものを明らかにすることを目的として上記公開を行うわけではない。 したがって,買収対象不動産の鑑定評価額が明らかになったとしても,直ちに,生駒市と当該買収地の所有者との間の信頼関係が損なわれたり,将来的に予想される買収対象地の所有者が同市に対し不信感を抱くとは認め難く,同市が行- 15 -う用地買収交渉に著しい支障が生ずる客観的具体的なおそれがあるとまではいえない」。 原判決19頁21行目の「その価格自体公的な性質を帯びているのであるから」から同20頁2行目末尾までを次のとおり変更する。 ,「その買収価格自体が公的な性質を帯びるというべきである。したがって,その反面として,買収地の所有者は,当該買収価格の決定手続や金額が適正であったか否かについて,法的手続に基づき事後的な審査を受けることを受忍すべき立場にあるというべきであるから,買収価格を第三者に知られたくないという上記土地所有者の期待が法的な保護に値するとはいえない。そうとすると,買収価格が明らかにされると上記期待に背くことになるとしても,これを根拠に,用地買収等の事務事業に著しい支障が生ずる客観的具体的なおそれがあると認めることは相当でない。 なお,買収交渉に当たり,対象地の所有者が後に買収価格等が公開される可能性があることを理由として,買収に難色を示し交渉が難航することも考えられる。しかしながら,用地買収における買収価格が適正であるか否かを市民が監視するために,買収対象地に関する鑑定評価額の総額及び単価(非開示部分(オ) ,)鑑定評価の基準として採用された標準画地の価格 る。しかしながら,用地買収における買収価格が適正であるか否かを市民が監視するために,買収対象地に関する鑑定評価額の総額及び単価(非開示部分(オ) ,)鑑定評価の基準として採用された標準画地の価格(非開示部分(カ))を開示すべき必要性は,本件条例の趣旨目的に照らしても高いというべきである。そして,買収交渉の難航化を回避するために買収価格等を非開示とすることは,上記のとおりそもそも法的保護に値しない土地所有者の期待を重視することにより,本件条例の趣旨目的に反する結果を招くものであって不当といわざるを得ない」。 原判決20頁8行目の主張しを主張するそしてと同9行目の報「」「。 」,「道がなされると」を「報道されたことから」と,同13行目の「提出するが」か「。 ,,ら同16行目末尾までを提出するしかしながら上記説示のとおりであって控訴人の上記主張は採用できない」と,同21頁8行目の「これらの点に鑑み。 れば」を「さらに」と,同9行目の「平成11年度の先行取得に関する文書」を- 16 -「」,平成10年度及び平成11年度の土地買収事務に関する不動産鑑定評価書と「,,」「,,同11行目のなるとしてもその時点でをなった場合にはその時点であらためて」と,同12行目の「公開された情報」を「以前に公開された情報」とそれぞれ改める。 原判決21頁14行目の「また」から同23頁7行目末尾までを次のとおり改める。 「以上によれば,近隣地の所有者が,当該土地と買収対象地との個別の差異を無視して,当該土地の買収価格を巡る交渉に際して,従前の買収対象地の買収価格,。 に固執する主張をしたとしてもそれが不合理なものであることは明らかである確かに,用地買収交渉に際し,土地所有者が近隣地等の買収価格を知り同価 格を巡る交渉に際して,従前の買収対象地の買収価格,。 に固執する主張をしたとしてもそれが不合理なものであることは明らかである確かに,用地買収交渉に際し,土地所有者が近隣地等の買収価格を知り同価格に固執する主張をすることで交渉が難航することも考えられよう。しかしながら,かかる交渉の難航を回避するため上記非開示部分が公開されないとすれば,,,一方で不合理であることが明らかな土地所有者の主張を尊重することによって本件条例の上記趣旨目的に背馳するという不当な結果を招く。そうとすると,上記事情があるからといって,用地買収等の事務事業に著しい支障が生ずる客観的具体的なおそれがあると認めることは許されない。 ⑷以上によれば,鑑定書AないしDの各非開示部分(オ)及び同(カ)並びに鑑定書E(番号1,3の各土地を除く)及び鑑定書F(番号1の土地を除く)の各非開。 。 示部分(オ)中の鑑定評価の総額及び単価については,これを開示することによって,生駒市の行政事務等の円滑な遂行を妨げる客観的具体的なおそれがあるとは認め難く,いずれも本件条例6条7号に該当するとはいえない」。 二当審における控訴人の主張に対する判断 控訴人は,当審において,鑑定書AないしDの各非開示部分(ア)及び同(イ)は,何人でも閲覧できる不動産登記簿と照合することにより特定の個人を識別することができるし,当該土地の所有者の立場からすれば,不特定多数人に公開されるべきものではなく,個人の属性に関するものというべきであるとして,本件条例- 17 -6条2号本文の個人情報に該当するとして,るる主張する。 しかしながら,本件条例6条2号本文の個人情報については,上記のとおり解すべきであり,鑑定書AないしDの各非開示部分(ア)及び同(イ)がこれに該当しないことは,上記認定判断のとおりで るる主張する。 しかしながら,本件条例6条2号本文の個人情報については,上記のとおり解すべきであり,鑑定書AないしDの各非開示部分(ア)及び同(イ)がこれに該当しないことは,上記認定判断のとおりであるから,控訴人の主張は理由がない。 控訴人は,当審において,鑑定書AないしDの各非開示部分(オ)及び同(カ)並び(,。)(。)に鑑定書E番号13の各土地を除く及び鑑定書F番号1の土地を除く,,の各非開示部分(オ)中の鑑定評価の総額及び単価についてはこれを開示すると地権者との信頼関係が破壊されたり,買収対象地の評価額を知った地権者が同評価額に固執するなどして,市が行う買収事務が著しく難航するとして,上記各非開示部分は本件条例6条7号に該当するとしてるる主張する。 しかしながら,当該文書を開示することによって,行政事務等の円滑な遂行を妨げる客観的具体的なおそれがあると認められる場合に限り,本件条例6条7号に該当するというべきところ,上記各非開示部分が同号に該当しないことは,上記認定判断のとおりであるから,控訴人の主張は理由がない。 その他,控訴人は原判決の認定判断を批判してるる主張するが,前記のとおりであって,いずれも採用することができない。 第四 結論 以上によれば,被控訴人の本件請求は原判決主文第2項の限度で理由があるから認容すべきであり,これと同旨の原判決は相当である。よって,本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第4民事部裁判長裁判官武田多喜子裁判官青沼潔- 18 -裁判官小林秀和は転補のため署名押印できない。 裁判長裁判官武田多喜子- 19 -却下文書目録 平成10年度及び平成11年度土地買収事務に係る不動産鑑定評価書のうち,A平成10年3月31 判官小林秀和は転補のため署名押印できない。 裁判長裁判官武田多喜子- 19 -却下文書目録 平成10年度及び平成11年度土地買収事務に係る不動産鑑定評価書のうち,A平成10年3月31日付け鑑第○○号B平成10年7月20日付け鑑第○○号C平成11年3月31日付け鑑第○○号D平成11年11月30日付け鑑第○○号E平成11年12月10日付け,鑑第○○号F平成12年3月10日付け鑑第○○号についての(ウ)鑑定対象地の所有者の氏名(エ)未買収の対象地の地番,写真,所在地,地籍図その他所在が分かる数値,文言等 平成10年度及び平成11年度土地買収事務に係る不動産鑑定評価書のうち,E平成11年12月10日付け鑑第○○号F平成12年3月10目付け鑑第○○号の各鑑定評価書についての(ア)標準画地の地番(イ)取引等事例の指摘(オ)鑑定評価の総額,単価及び試算価格のうちの,鑑定評価の試算価格(カ)標準画地の価格E平成11年12月10日付け鑑第○○号(番号1,3)及びF平成12年3月10日付け鑑第○○号(番号1のみ)については,さらに,(オ)鑑定評価の総額,単価及び試算価格のうちの,鑑定評価の総額及び単価- 20 -文書目録平成10年度及び平成11年度土地買収事務に係る不動産鑑定評価書のうち, A平成10年3月31日付け,鑑第○○号及びB平成10年7月20日付け,鑑第○○号及びC平成11年3月31日付け,鑑第○○号及びD平成11年11月30日付け,鑑第○○号の各鑑定評価書についての(ア)標準画地の地番(イ)取引等事例の指摘図(オ)鑑定評価の総額,単価及び試算価格(カ)標準画地の価格 E平成11年12月10日付け,鑑第○○号(番号1,3の土地を除く)及びF平 ア)標準画地の地番(イ)取引等事例の指摘図(オ)鑑定評価の総額,単価及び試算価格(カ)標準画地の価格 E平成11年12月10日付け,鑑第○○号(番号1,3の土地を除く)及びF平成12年3月10日付け鑑第○○号(番号1の土地を除く)の各鑑定評価書についての鑑定評価の総額及び単価

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