平成13年(行ウ)第9号法人税更正処分等取消請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告が原告の平成7年11月1日から平成8年10月31日までの事業年度の法人税について平成11年12月17日付けでなした更正処分のうち確定申告による所得金額マイナス1774万9418円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 2 被告が原告の平成8年11月1日から平成9年10月31日までの事業年度の法人税について平成11年12月17日付けでなした更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 3 被告が原告の平成9年11月1日から平成10年10月31日までの事業年度の法人税について平成11年12月17日付けでなした更正処分のうち確定申告による所得金額マイナス748万5744円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告の行った法人税に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分の取消しを求めた事案である。 1 争いのない事実等以下の事実は当事者間に争いがないか,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨によって認められる。 (1) 原告は,平成4年8月12日に設立登記された,飲食店等の経営,不動産売買・賃貸等を目的とする株式会社であり,青色申告事業所である。原告の代表取締役は,その設立当初からaが務めている(甲1,乙21)。 (2)ア原告は,その設立中である平成4年7月25日,別紙(別紙省略,以下同じ)1の1及び2記載の土地(以下「本件土地」という。)並びに3記載の建物(以下「本件建物」といい,本件土地と併せて「本件土地建物」という。)について,有限会社b(代表取締役はc。以 紙省略,以下同じ)1の1及び2記載の土地(以下「本件土地」という。)並びに3記載の建物(以下「本件建物」といい,本件土地と併せて「本件土地建物」という。)について,有限会社b(代表取締役はc。以下「b」という。)と代金合計1億3600万円(消費税込み)としてa個人名義で売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結してこれらを取得し,同年8月24日付けで,いずれも同年5月20日売買を原因として原告名義に所有権移転登記手続を経由した(甲5,7の1,2,甲8)。 イ原告は,同年9月,本件土地を有限会社d(以下「d」という。)に対し,駐車場として月額100万円(平成6年1月から50万円)で賃貸することとし,同年10月ころ,本件建物を取り壊した(甲21)。 (3) 原告は,平成8年2月7日,別紙2記載の土地建物(以下,同別紙記載のA1ないしA3の各建物を併せて「A建物」と,C1ないしC3の各建物を併せて「C建物」と,同別紙記載のすべての建物を併せて「X建物」と,同別紙記載のすべての土地建物を併せて「X土地建物」という。)について,eとの間で,代金合計1億2406万4000円として売買契約(以下「甲契約」という。)を締結してこれらを取得した。その売買契約書には,土地を6500万円,建物を5906万4000円とする旨記載されている(乙1)。なお,A3,C2,C3各建物は未登記建物である(甲3)。 また,原告は,同年4月3日,別紙3記載の土地建物(以下,同別紙記載の各建物を併せて「Y建物」と,同別紙記載の土地建物を併せて「Y土地建物」という。)について,fとの間で,代金合計6000万円として売買契約(以下「乙契約」という。)を締結してこれらを取得した。その売買契約書には,土地を3600万円,建物を2400万円とする旨記載されている(甲71 ついて,fとの間で,代金合計6000万円として売買契約(以下「乙契約」という。)を締結してこれらを取得した。その売買契約書には,土地を3600万円,建物を2400万円とする旨記載されている(甲71,乙2)。 (4)ア原告は,本件土地建物の取得に要した費用について,取壊時における本件建物の帳簿価額7000万円,斡旋手数料130万円,不動産登記費用61万0450円,交際費125万円の合計7316万0450円が開業費に当たるとして,平成4年8月12日から同年10月31日までの事業年度(以下「平成4年10月期」という。)において繰延資産に計上し,平成4年11月1日から平成5年10月31日までの事業年度(以下「平成5年10月期」という。),平成5年11月1日から平成6年10月31日までの事業年度(以下「平成6年10月期」という。),平成6年11月1日から平成7年10月31日までの事業年度(以下「平成7年10月期」という。)及び平成7年11月1日から平成8年10月31日までの事業年度(以下「平成8年10月期」という。)において,上記開業費の償却費を損金の額に算入して,法人税について,法定申告期限までに確定申告をした。平成8年10月期における損金への算入額は2205万2239円である。 イ原告は,X建物及びY建物の減価償却資産の償却費として,平成8年10月期に536万3047円,平成8年11月1日から平成9年10月31日までの事業年度(以下「平成9年10月期」という。)に714万8115円,平成9年11月1日から平成10年10月31日までの事業年度(以下「平成10年10月期」という。)に651万9080円を損金に算入して,法人税について,法定申告期限までに確定申告をした。 (5) 以上の平成8年10月期ないし平成10年10月期の確定申告の内容は 「平成10年10月期」という。)に651万9080円を損金に算入して,法人税について,法定申告期限までに確定申告をした。 (5) 以上の平成8年10月期ないし平成10年10月期の確定申告の内容は,別紙4のとおりである。 (6) 被告は,平成11年12月17日付けで,原告の上記(5)記載の各事業年度の確定申告について,別紙4記載のとおりの更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(平成10年10月期は除く)を行った(以下「本件更正処分等」という。)。 その理由は,原告の(4)アの処理については,原告が開業費に当たるとして繰延資産に計上した額のうち,交際費相当額を除く2167万5451円は平成4年10月期の更正において土地の取得価額と認定されているので,その償却費として計上した額は損金の額に算入されないというものである。 また,原告の(4)イの処理については,本件X建物は平成10年9月からA建物が賃貸されたほかは事業の用に供されておらず,本件Y建物も事業の用に供されていないので,減価償却資産に該当せず,減価償却費として計上した額は損金に算入されない,X土地建物及びY土地建物について,契約書上の売買価額を資産に計上しているが,その額は土地につき固定資産税評価額等の土地価額より著しく低額であり,建物につき同様に著しく高額であり,適正な価額を反映しているとは認められず,またA建物の耐用年数の見積りが合理的でないなどというものである。 (7) 原告は,平成12年2月14日,本件更正処分等を不服として,国税不服審判所長に対し審査請求をしたが,同審判所長は平成13年7月9日付けで原告の審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。 (8) なお,原告は,被告が原告に対し,平成7年12月22日付けでした原告の平成4年10月期から平成6年10 同審判所長は平成13年7月9日付けで原告の審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。 (8) なお,原告は,被告が原告に対し,平成7年12月22日付けでした原告の平成4年10月期から平成6年10月期までの法人税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分等の取消しを求める訴えを当庁に提起し(平成10年(行ウ)第2号),また同様に平成10年12月17日付けでした平成7年10月期の法人税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求める訴えを当庁に提起した(平成12年(行ウ)第1号)が,それぞれ平成12年9月20日及び平成13年2月21日にいずれも請求を棄却する旨の判決があった。原告は両判決に対し控訴したが(福岡高等裁判所那覇支部平成12年(行コ)第4号,平成13年(行コ)第1号),平成13年9月20日にそれぞれの事件について控訴棄却する旨の判決がされ,確定した。(乙4ないし7) 2 争点(1) 原告には,本件土地建物を購入した際に,本件建物を利用する目的がなかったと認められるか。 (2) 原告が,X建物及びY建物を事業の用に供していなかったと認められるか。 (3) 土地と建物を一括購入した場合の土地建物の取得価額の算出方法(4) 中古建物の耐用年数の算出方法(5) 本件更正処分等における更正の理由附記に不備があるか。 3 争点(1)について(1) 原告の主張原告は,本件建物を貸店舗とする目的で取得し,改修工事のため,見積りを進めていたところ,本件建物が相当老朽化し,人命に関わる危険性があることが判明したことから取壊しのやむなきに至ったもので,当初から本件土地だけを利用する目的で本件土地建物を取得したものではない。本件土地建物の近隣には,本件建物よりも老朽化のひどい建物が補修を重ねて現在も利用されているから,本件建 なきに至ったもので,当初から本件土地だけを利用する目的で本件土地建物を取得したものではない。本件土地建物の近隣には,本件建物よりも老朽化のひどい建物が補修を重ねて現在も利用されているから,本件建物も補修を行えば貸店舗として利用可能であったといえ,無価値な建物ではなかった。bが本件土地建物をgから購入した売買契約では,売買価額1億3400万円のうち,本件建物価額が3858万7719円,本件土地価額が9541万2281円であり,かような取引事例があるのだから本件建物が無価値であるとはいえない。 したがって,原告の本件土地建物の取得目的及びその経緯等に関する被告の誤った事実認定に基づいた平成8年10月期の確定申告に対する更正処分等は違法である。 (2) 被告の主張原告は,もっぱら本件土地の利用(dの駐車場)を目的として,本件建物の取壊しを前提に本件土地を取得したものであり,原告が開業費に当たるとした本件建物の帳簿価額等は,本件土地の取得のために要した費用であり,損金に計上すべきものではない。したがって,上記更正処分等は適法である。 4 争点(2)について(1) 原告の主張原告は,XY建物を,賃貸する目的で取得したものであり,その取得当初から賃借人の募集を行い,平成9年11月からはB建物を除く各建物をdに,B建物の一室をhに賃貸しているから,各建物を事業の用に供していたものといえる。 (2) 被告の主張減価償却資産から事業の用に供していないものは除かれるところ,本件XY建物は,貸家ないし貸店舗として利用できる状態にはなく,取得時当初から事業の用に供したとは認められない。A建物がdに賃貸されたのは平成10年9月からである。 5 争点(3)について(1) 被告の主張減価償却資産の取得価額については,土地 く,取得時当初から事業の用に供したとは認められない。A建物がdに賃貸されたのは平成10年9月からである。 5 争点(3)について(1) 被告の主張減価償却資産の取得価額については,土地及び建物の取得価額が契約で明示されているが,通常取り引きされる価額と比較して著しく開差があるなど合理的な価額と認められない場合においては,課税の公平及び実質主義の観点からみて,合理的な方法によりその価額を算出すべきである。 甲乙各契約における土地の価額は,固定資産税評価額,固定資産税評価額に基づく按分法,財産評価基本通達による評価額(路線価),近隣の公示価格それぞれによる算定額に比し著しく低額であり,同じく建物の価額は,固定資産税評価額,固定資産税評価額に基づく按分法それぞれによる算定額に比し著しく高額であり,各建物の建築時からの経過年数,建物等の状況などから判断すると,そのような価額で取得しなければならない理由もない。そうすると契約書上のXY土地建物の価額は,公平な課税という点に照らして合理的な価額を反映しているといえず,合理的な算出方法に基づき算定する必要がある。 そこで,建物については,一般に客観性・合理性の肯定できる指標である建設省編集の「建築統計年報」による沖縄県の構造別,用途別工事費予定額を斟酌して本件XY建物の価額を算出し,同建物取得時までの減価償却費を控除して適正価額を算出した。また,土地については,当該土地建物の一括取得額から上記によって算出された建物価額を控除する方法によって算出した。なお,算出方法は技術的に複数の方法が考えられるが,租税負担の公平及び実質主義の観点から合理性を有する方法である限り,その選択は課税処分の違法原因を構成するものではないというべきであり,本件においては,地価のように高騰する要因も少な 考えられるが,租税負担の公平及び実質主義の観点から合理性を有する方法である限り,その選択は課税処分の違法原因を構成するものではないというべきであり,本件においては,地価のように高騰する要因も少なく,かつ,取得時の標準的な建築価額等が客観的に求めやすい建物の対価の額を算出し,その額を土地及び建物の合計取得額から控除して土地の対価の額を算出する方法によった。 (2) 原告の主張甲乙各契約においては土地と建物の売買代金額がそれぞれ定められているから,それにしたがって土地と建物の価額を算出すべきである。被告は通常の取引価額と比較して合理的でない旨主張するが,通常取り引きされる価額とは不動産売買市場における取引事例の価額を意味し,これによる比較を論ずるのであればともかくも,法律に明文の規定がないにもかかわらず,固定資産税評価額等との比較を論じ,一般的・抽象的な基準により取得価額を算出するのは,憲法30条,84条に反する。 6 争点(4)について(1) 被告の主張原告は,A建物の減価償却費の計算において,耐用年数を25年としているが,中古資産の耐用年数については,減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「省令」という。)3条1項により,使用可能年数を合理的に見積もるべきところ,原告において合理的に見積もった事実が確認できないので,耐用年数の適用等に関する取扱通達1-5-2の中古資産の耐用年数の見積りの簡便法により算出すべきである。その結果,別紙5記載のとおり,A1建物については34年,A2建物については4年,A3建物については19年となる。適正な建物取得価格をもとに,簡便法により積算した耐用年数に応じた償却率で減価償却費を再計算した結果,別紙5記載のとおり,平成10年10月期のA建物の減価償却費として損金に算入すべき金額は となる。適正な建物取得価格をもとに,簡便法により積算した耐用年数に応じた償却率で減価償却費を再計算した結果,別紙5記載のとおり,平成10年10月期のA建物の減価償却費として損金に算入すべき金額は9万4320円となり,したがって,平成10年10月期に償却費として損金の額に参入した131万5082円との差額122万0762円が減価償却超過額となる。 (2) 原告の主張省令3条1項は,使用可能年数を合理的に見積もるべきであるとは規定しておらず,そして通達は法規の性格を持たず,納税者は通達には拘束されないから,通達に基づき耐用年数を計算すべきとする被告の主張は失当であり,原告の申告における耐用年数の根拠が明らかでない場合においても,その計算は通達ではなく省令3条1項によるべきである。 7 争点(5)について(1) 原告の主張法人税法130条2項は青色申告書に係る更正をする場合には,更正通知書に理由の附記を要する旨規定しているところ,その趣旨は更正処分庁の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制すると共に,更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるところにある。平成8年10月期についての法人税額等の更正通知書及び加算税の賦課決定通知書(以下「更正等通知書」という。)では,開業費償却について,土地建物の取得が当初から建物を取り壊して土地を利用する目的であったと認められる場合に建物の取得価額等を損金に算入しないとしている。また,上記更正等通知書では,XY土地建物について甲乙契約上の土地及び建物の価額が適正でないとして,建物価額を算出する方法により適正価額を算定している。しかし,上記更正等通知書に記載されている更正の理由をみても,上記の点について,その判断,法的根拠が明らかでなく,原告においてこれを判別できない。よっ 額を算出する方法により適正価額を算定している。しかし,上記更正等通知書に記載されている更正の理由をみても,上記の点について,その判断,法的根拠が明らかでなく,原告においてこれを判別できない。よって,本件更正処分等には,理由附記不備の違法がある。 (2) 被告の主張更正の理由附記として,更正の根拠を原処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものであれば足りると解すべきところ,本件各更正通知書において附記された理由は,益金に算入すべき理由及び計算過程,金額,根拠法令が個別具体的に明示されており,法が理由附記を要求する趣旨に欠けるところは全くなく,本件更正処分等には手続上の瑕疵は全くない。 第3 当裁判所の判断(以下,認定した事実は,個別に掲記した証拠のほか,争いのない事実等,弁論の全趣旨により認められる。) 1 争点(1)について(1) 取得時における本件建物の状況本件建物は,昭和41年に新築され,昭和47年に増築された鉄筋コンクリートブロック造陸屋根3階建の建物(延べ床面積609.35平方メートル)であり,原告が取得したころは築後26年を経過していた(甲8)。同建物は,当時,塩害等による腐食により1階2階の天井の鉄筋がさびて膨張しており,コンクリートの劣化が進行し,手で触ってぼろぼろに落ちる状態で,新しい天井も吊すことができず,壁もブロックも崩れて,階段の鉄筋も落ちており,道路側の庇は下の鉄筋が見えて上に乗っているだけの状態で,2階と3階の庇は,本件売買契約の直後である平成4年8月ころ落下し,建物を改修して利用することは不可能な状態であった(甲12,乙20,21,53,証人k)。また,平成4年5月ころの時点で,外見上も本件建物の随所にコンクリートの腐食による剥落が見られ,鉄筋 ろ落下し,建物を改修して利用することは不可能な状態であった(甲12,乙20,21,53,証人k)。また,平成4年5月ころの時点で,外見上も本件建物の随所にコンクリートの腐食による剥落が見られ,鉄筋が剥きだしになっていた(甲3,乙20,54)。本件建物への電気供給は,平成3年7月25日から既に停止され,電気メーターも撤去された状態にあって,その後本件建物が取り壊されるまで電気の供給が行われることはなかった(甲3,乙20,21)。そして,本件売買契約締結から約3か月後である平成4年10月ころ,dが費用を負担して同建物を取り壊した。 原告は,本件売買契約による取得後に初めて本件建物が相当老朽化している事実が判明したと主張し,aもdの大工仕事を一手に行っているiも,その旨供述し(甲11,乙20,21,原告代表者),本件建物の取壊し工事を担当した有限会社jの代表取締役kも,同旨の申述書を提出している(乙54)。しかし,前記認定のとおりの建物の老朽化の程度からすれば,本件建物は,原告が取得した時点においても,外見だけからでも,その老朽化した状況は相当程度把握できたものと考えられ,a,i,kらの前記供述はいずれも信用できない。 (2) 契約締結時における原告の姿勢不動産賃貸等を目的とする株式会社である原告あるいはその代表者であるaが真に本件建物を貸店舗として利用する目的を有していたとすれば,本件建物を購入する際に,築後26年を経過した本件建物の客観的状態を必要な限度で調査し,その老朽化の程度を把握した上で改修工事の費用等を考慮して売買代金等を決定し,本件売買契約を行おうとすることが経営上当然の行為であると考えられる。しかし,原告及びaは,本件建物の取得前に本件建物の内部についての調査を一切行わず,その修繕費用の見積り等の算出の依 等を決定し,本件売買契約を行おうとすることが経営上当然の行為であると考えられる。しかし,原告及びaは,本件建物の取得前に本件建物の内部についての調査を一切行わず,その修繕費用の見積り等の算出の依頼もしないまま,売買代金を定め,購入を決めたというのであって(乙21,原告代表者),建物だけでも7000万円,総額で1億3600万円もの取引をするには,あまりにも合理性を欠く対応であり,また,結果として7000万円で購入したという本件建物が無価値に近かったにもかかわらず,原告及びaは売主であるbに対して,瑕疵担保責任の追及や損害賠償請求等の法的手段を講じていないことはもとより,何らのクレームもつけていない(乙21)。これらのことからしても,貸店舗とする目的で本件建物を購入したというのは極めて不自然であるといわざるを得ない。 また原告は,本件土地建物の近隣には,本件建物よりも老朽化のひどい建物が補修を重ねて現在も利用されているから,本件建物も補修を行えば貸店舗として利用可能であったといえ,無価値な建物ではなかったと主張し,近隣建物の写真やそれらの建物が本件建物より塩害がひどいなどとするk,iの証明書を提出しているが(甲50ないし53の各1ないし10,甲54,55),本件は,原告が本件建物を貸店舗とする目的で取得したか,取壊しを前提として取得したかが問題とされているのであり,近隣の建物と老朽化の程度を比較しても意味のない事柄である。以上から,原告の主張は採用できない。 (3) dにおける駐車場の必要性ア原告代表者であるaは,昭和51年の法人設立当初から,dの取締役を務め,昭和53年にいったん解任されたものの,昭和56年に再び取締役に就任し,平成4年2月19日から,lに替わってdの代表取締役に就任している(乙43)。 dは,平成4年6月1 当初から,dの取締役を務め,昭和53年にいったん解任されたものの,昭和56年に再び取締役に就任し,平成4年2月19日から,lに替わってdの代表取締役に就任している(乙43)。 dは,平成4年6月15日現在,出資金総額1000万円のうち,aの出資金が700万円で全体の70パーセントを占め,これにaの妻の出資金200万円及びaの母の出資金100万円を加えると100パーセントの同族会社である。また,原告においては,出資金総額8000万円のうち,aが2000万円,aの妻が2000万円,dが3000万円を出資している。(甲11,甲34)イ dは,もともと駐車場として玄関前に車両を10台程度駐車することが可能な土地を有していたところ,aは,平成3年3月9日付けで,本件土地に隣接するm市no丁目p番q所在,136.42平方メートルの土地(以下「隣接土地」という。)を7000万円で取得し,同年4月5日所有権移転登記を経由した。同土地の売買契約締結に当たっては,同土地上の建物の撤去は売主の負担で行う旨の特約が付されており,遅くとも同月末には隣接土地上にあった建物は取り壊され,dは,同土地を駐車場用地としてaから月額25万円で賃借して利用していた(乙21,22,40,41)。 さらに,dは,原告が本件土地を取得すると,本件建物の取壊し費用352万円を全額負担した上,本件建物が取り壊される以前の平成4年9月分から月額100万円(平成6年1月から月額50万円)を支払って賃借を開始し,本件土地を隣接土地と一体となった駐車場として利用している(甲19ないし21,乙21)。 ウ原告は,dが駐車場を確保する必要性はなかったと主張し,aもその旨供述する(乙21)。 しかし,原告の主張を前提としても,dが,従前からa個人より駐車場として隣接土地を賃借していた上 1)。 ウ原告は,dが駐車場を確保する必要性はなかったと主張し,aもその旨供述する(乙21)。 しかし,原告の主張を前提としても,dが,従前からa個人より駐車場として隣接土地を賃借していた上,原告あてに代表者であるl作成の嘆願書(甲19)を提出し,本件建物の取壊し費用を負担してまで本件土地を賃借し,隣接土地と併せて毎月125万円もの賃料を支払って駐車場を確保したというのであり,その必要性がなかったとは到底認められない。 しかも,dは,収容人員が1500名で,大宴会場は450名まで収容でき,個室が40室もある大規模な宴会場であって,大宴会場だけではなく家族単位での食事会の客なども対象としており,また,調理場以外にも踊り子等も含めて当時約150名もの従業員を雇用し,これらの従業員が,本件土地を駐車場にするまでは隣近所に駐車していたこと,今から約15年くらい前から車通勤をする従業員が増加しており,従業員から駐車場についての要望が出ていたこと,実際,隣接土地と本件土地を一体として利用した駐車場には,押し込み押し込みして大体30台近くが駐車され,通常,顧客が宴会などで来る時間帯までには従業員の車で既に満車状態になっているのが日常となっていること(甲56,乙18ないし21,原告代表者)が認められ,従前の原告代表者であるl自身も,国税不服審判所において,「dは,規模が大きい割に駐車場が狭く,利用者から駐車場の苦情が多く困っていたことから駐車場用地が必要であった。」と申述している(甲3,34,乙25)。 以上の事実を総合すると,平成4年当時,dにおいて,駐車場を確保する必要性が高かったことは明らかといわなければならない。そして,前記のとおり,原告とdとが人的構成及び資金面において密接な関連性を有していたこと,特にaがdの経営に長く参画し おいて,駐車場を確保する必要性が高かったことは明らかといわなければならない。そして,前記のとおり,原告とdとが人的構成及び資金面において密接な関連性を有していたこと,特にaがdの経営に長く参画していたことを考慮すれば,原告及びaも,その必要性を十分認識していたものと認められ,原告の前記の主張は採用できない。 (4) 本件土地建物の価額本件売買契約書には,土地売買価額が6600万円,建物売買価額が7000万円と記載されており(甲5),本件土地(計262.47平方メートル)の1平方メートル当たりの単価は25万1457円となる。他方,平成3年にaが取得した隣接土地136.42平方メートルの売買契約金額は7000万円であり(乙22),1平方メートル当たりの単価は51万3121円となる。ところが,m市役所の土地・家屋・償却資産名寄帳(兼)課税台帳上の平成3年1月1日から平成4年12月31日までの間の1平方メートル当たりの土地の評価額は,本件土地が6万9895円,隣接土地が6万2963円であって,ほぼ等価といえる(甲34)。むしろ,現況によると,本件土地は,二方が道路に面した角地であるのに対し,隣接土地は,aの取得時には三方を建物に囲まれ,間口・面積ともに本件土地より小さく駐車場としては不便であり(甲3,34,乙25),現に,dは,隣接土地について月額25万円の賃料を支払っていたのに対し,約2倍の面積を有する本件土地について,当初月額100万円の賃料を支払っていた。本件土地と隣接土地の前記売買単価の相違は,これらの事情と矛盾するものである。 原告は,bが本件土地建物をgから購入した売買契約では,売買価額1億3400万円のうち,本件建物価額が3858万7719円,本件土地価額が9541万2281円であり,かような取引事例があるのだから本 原告は,bが本件土地建物をgから購入した売買契約では,売買価額1億3400万円のうち,本件建物価額が3858万7719円,本件土地価額が9541万2281円であり,かような取引事例があるのだから本件建物が無価値であるとはいえず,本件土地と隣接土地の1平方メートル当たりの価額の算出は虚構であると主張する。しかし,上記契約は平成4年5月20日に締結され,その後bが本件土地建物を原告に転売したものであるところ,上記契約の契約書では土地と建物の総額だけが記載され,個別の価額は記載されておらず(甲57),上記の各価額は,m税務署長からの照会に対してgが回答した書面に記載されていたものに過ぎない(甲34)。しかも,本件売買契約は上記売買契約からわずか2か月余り後に締結されたものであるにもかかわらず,土地と建物の価額が大きく逆転していることからすれば,仮に甲34の記載が正しいならば,むしろ本件売買契約におけるその価額設定に合理的根拠のないことを示すものといえる。そして前記建物の状態などにかんがみれば,上記のgの回答もにわかに信用できず,上記売買契約は参照すべき取引事例ということはできない。 ところで,本件売買契約書に記載された土地売買価額6600万円,建物売買価額7000万円という金額がどのような基準に基づき決定されたかという点について,aは,不動産のプロであるcが本件建物の価額を7000万円と言ったので,それに同意したと供述する(乙21)のみで,首肯しうる根拠をなんら説明することができない。 (5) 原告の主張について原告は,本件建物を貸店舗とする目的で,平成4年8月ころ,原告がiに本件建物の改装工事を依頼したこと,同じころ,r電気(代表者s。以下,s個人を指す場合は「s」という。)に改装工事に伴う電気工事の依頼をして,見積書を同月1 とする目的で,平成4年8月ころ,原告がiに本件建物の改装工事を依頼したこと,同じころ,r電気(代表者s。以下,s個人を指す場合は「s」という。)に改装工事に伴う電気工事の依頼をして,見積書を同月10日に提出してもらい,簡単な配線工事もしてもらったこと,本件土地建物購入直後には,tと本件建物2階全部を月額30万円で賃貸するとの口頭の賃貸借契約を締結していたことを主張する。 しかし,r電気の見積書(甲14の1,2)は,後日作成されたものであり(乙17),本件建物は3階建であるのに,2階部分までしか見積りをしておらず,見積書に記載されている空調機や照明器具は,当時は製造が終了したものや,又は未だ製造が開始されていなかった製品である(乙15,16)など,内容自体も著しく信用性を欠くものである。 また,sは,原告主張のとおりの内容を証明書及び申述書として提出しているが(甲13,乙17),具体的な改装工事の内容が全く決まっていないにもかかわらず,電気工事の見積り及び簡単な配線工事までも先走って行われているということは極めて不自然であり,行った配線工事に対して代金が支払われた様子もなく,前記見積書が後日作成されたものであること及びsがdの出入り業者であることからしても,同人の申述内容はたやすく信用することができない。 なお,原告は,具体的な改装工事の内容が全く決まっていなくても見積り,簡単な配線工事は可能であったと主張するが,合計371万円を超えるエアコン用電気工事,電灯用電気工事等の見積りがなされていること(甲14の1,2)に対する合理的な説明は全くなされておらず,また中古建物の改修について設計図ができあがっていなくても,電気メーターを復旧させるため配線工事等の絶縁検査をすることは一般的である旨の電気工事会社の従業員と思われる者の証明書 は全くなされておらず,また中古建物の改修について設計図ができあがっていなくても,電気メーターを復旧させるため配線工事等の絶縁検査をすることは一般的である旨の電気工事会社の従業員と思われる者の証明書等(甲38ないし40)が提出されているが,甲38は,改修工事が終了間際になってから絶縁抵抗等の電気検査を行い,その後電力会社へのメーターの復旧手続をするとのsの申述書(乙57)と相互に矛盾し信用できず,甲39,40は必ずしも原告の主張にそう証拠でなく,原告の主張は採用できない。 tは,原告と本件建物についての改修工事終了後に2階を賃貸するという契約を口頭で締結し賃料も月額30万円で合意していた旨の証明書,申述書を作成している(甲16,41)。しかし,高級スナックを営業目的としていたにもかかわらず,電気の供給が停止され利用されていない建物の内部も見ず,どのように改装されるかも全く分からない状態で,月額30万円という賃料を決めて契約書も作成しないまま契約を締結する(甲16,41,乙21)というのはあまりにも杜撰であり,同人がdの近くの飲食店経営者であり,aと以前からの知り合いであったこと(乙21)にかんがみても,その証明書,申述書は到底信用できない。 次に,iは,改装工事の見積りをaから頼まれたと供述しているが(乙20),iが上記のとおりdの大工仕事を一手に行っている者であり,aと親族関係にあること(乙20)などにかんがみると,同人の供述も信用できない。 (6) 平成8年10月期の確定申告について開業準備費の損金算入を否定した本件更正処分等の適法性以上認定の事実を踏まえて,平成8年10月期の確定申告について開業準備費の損金算入を否定した本件更正処分等の適法性について判断する。 法人税法施行令54条1項1号は,購入した資産の取得価額の 以上認定の事実を踏まえて,平成8年10月期の確定申告について開業準備費の損金算入を否定した本件更正処分等の適法性について判断する。 法人税法施行令54条1項1号は,購入した資産の取得価額の範囲は,当該資産の購入の代価と当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の合計額となると規定するところ,同項は固定資産のうちの減価償却資産の取得価額の範囲についての規定であるが,これは企業会計原則第3の5を具体化したものと解されるから,土地等の非減価償却資産についても類推適用されるべきものである。そして,土地と共に建物を取得した場合に,建物の取得目的が当初からその敷地を利用することにあったのであれば,建物を取り壊した時の帳簿価額等(建物の取壊し費用も含む。)は損金に算入することはできず,土地の取得価額に算入すべきである。法人税法基本通達7-3-6が,「その取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等,当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときには,(上記帳簿価格等は)当該土地の取得価格に算入する。」としているのも,同旨に出たものであると解される。そして,このような建物の取得目的は,納税者の内心の意思に係るものではあるが,納税者のこのような主観的意図を立証することの困難性,租税の公平負担という見地からみて,客観的諸事実に合致する明白なものでなければならない。 本件において,前記認定のとおり,購入当時の本件建物の極めて老朽化した状況,原告が平成4年7月25日に本件土地建物を購入し,そのわずか3か月後の同年10月末ころまでには,dが費用を負担して本件建物を取り壊していること,それにもかかわらず原告が本件建物の売主に何らクレームをつけていないこと,原告とdは人的にも極めて密接な関係にあ 3か月後の同年10月末ころまでには,dが費用を負担して本件建物を取り壊していること,それにもかかわらず原告が本件建物の売主に何らクレームをつけていないこと,原告とdは人的にも極めて密接な関係にあったこと,多数の収容人員及び従業員を有するdが,駐車場を必要としており,そのためaが隣接土地を購入し,売主により同土地上の建物が取り壊され,aはdに駐車場として隣接土地を賃貸していたこと,この隣接土地と本件土地を一体としてdが駐車場として利用し,本件建物が存続していた同年9月分から既に賃料を支払っていること,隣接土地と本件土地の購入価格単価の著しい相違等の客観的諸事実を総合すると,原告は,当初から本件土地をdの駐車場として利用する目的で本件土地建物を取得したと認めるに十分であるといわなければならない。他方で,原告が提出した各証拠は,客観的に原告の主張を理由付ける根拠とはなし得ず,原告にいったん本件建物の所有権移転登記がされている事実も上記の客観的な各認定事実を覆すに足りるものではない。 これに対し,原告は,本件土地建物の購入時には本件建物を貸店舗として利用する目的であった所以を,独自の見解に立って縷々主張する。しかしながら,その主張やaの供述を前提としても,設立手続中の会社が初めての事業として売買代金額が1億3000万円を超える土地建物を購入し,建物の価値に着目してこれを貸店舗として利用する目的を有していたのであれば,建物の状態,改装等の必要性を調査,検討し,負担すべき費用を見積もった上で,採算性を確保するため,それなりの事業計画,損益の見通しを立てるのが当然であると考えられるにもかかわらず(ましてや,話を持ち込んだ仲介業者はそれまでに殆ど面識がなく,売主も破産状態にあった(乙21)というのであるからなおさらである。),aは,以前から食 立てるのが当然であると考えられるにもかかわらず(ましてや,話を持ち込んだ仲介業者はそれまでに殆ど面識がなく,売主も破産状態にあった(乙21)というのであるからなおさらである。),aは,以前から食事等でよく利用し内部も見ていた建物であり,地域的にも特飲街で良好であるというだけの理由で,十分に貸店舗営業が可能であると確信し,いとも簡単に購入を決めた(乙21)というのであって,既に10か月にわたって電気の供給も停止され,建物として利用されていなかったのに,購入に際して上記の調査や計画立案,建物内部の点検をした形跡がないというのは,事業者として極めて不合理かつ不自然な行動というほかなく,原告の上記主張は理由がないことが明らかである。 したがって,原告は,本件建物を取り壊した時の帳簿価額等を繰り延べして各事業年度の損金に算入することはできず,土地の取得価額に算入すべきである。 2 争点(2)について(1) 平成13年法律第6号による改正前の法人税法2条24号,同法施行令13条によれば,減価償却資産からは事業の用に供していないものは除かれ,事業の用に供した日から償却費が損金に算入されることとなっている。いつから当該資産を事業の用に供したと認められるかについては,現に当該資産が使用されていなくても,事業の用に供するために必要な維持補修が行われており,いつでも稼働しうる状態にあるものは,事業の用に供されているものと解するのが相当である。賃貸建物についてみれば,少なくとも,当該建物が賃貸可能な状態に維持補修されており,賃借人の募集等が行われている場合には,現に賃貸されているか否かにかかわらず,事業の用に供しているものと認めるべきである。 (2) XY建物の状況ア X建物のうち,B及びC1建物は昭和36年に,A1,A2,C2建物は昭和39 合には,現に賃貸されているか否かにかかわらず,事業の用に供しているものと認めるべきである。 (2) XY建物の状況ア X建物のうち,B及びC1建物は昭和36年に,A1,A2,C2建物は昭和39年に建築されたものである。A3及びC3建物については建築年月日が不明であるが,原告への譲渡人であるeがX土地建物を購入した平成2年1月31日には存在していたもので,後記各建物の老朽化の程度等から考えて,上記各建物とさほど相違ない時期に建築された相当に古いものであることは十分に考えられることである。原告が購入した当時,B建物は賃借人としてuが占有していたが,原告が立退料400万円を支払って立ち退かせた。X建物のうちそのほかの建物は,原告が購入した当時利用されておらず,A1建物は,原告の購入以前から雨漏りが酷い状態であり,C1建物においては,もと「v」という飲食店の経営が行われていたが,それはeが取得する前のことで,平成の初めころ以降は,同建物において営業が行われることはなかった。(甲3,4の1,乙21,23,80の7ないし11,乙83,84,証人x,同y,原告代表者)eは,平成2年1月31日にX土地建物を売買により取得したが,自らX建物を利用することはなかった。甲契約の売買契約書には,土地が6500万円,建物が5906万4000円と記載されているが,eは,それらについて意識して契約を締結したことはなく,土地と建物を区別して金額を考えたことはなかった。 同人によれば,坪130万円くらいで取得した同土地を坪80万円くらいで原告に譲渡したという。(甲4の1,乙23,証人x)なお,X建物の殆どについては,甲契約締結当時,電力の供給が停止されており,その後も供給が再開されることはなかった(甲3,乙84,証人y)。 Y建物のうちD建物は昭和31 1,乙23,証人x)なお,X建物の殆どについては,甲契約締結当時,電力の供給が停止されており,その後も供給が再開されることはなかった(甲3,乙84,証人y)。 Y建物のうちD建物は昭和31年に,E建物は昭和36年に建築された。原告への譲渡人であるfは,乙契約締結当時,建物は古くなりすぎて土地と区別して値段をつけられるものとは考えておらず,逆に,建物の取壊しに費用がかかるため,土地の値段が安くされると思っていた。また,契約締結に至るまでの間,土地が1坪当たりいくらかということで原告側と交渉が行われた。売買契約書には,土地が3600万円,建物が2400万円と記載されているが,fは,それらの区別について,意識して契約を締結したことはなかった。なお,原告が購入するまでは,Y建物にはfが居住していたが,同人が居住していた当時,同建物には雨漏りがあった。(甲4の1,乙24,証人x)イ平成10年8月5日,沖縄国税事務所調査課の職員であったxがXY建物の調査を行った。その際,原告関係者の立会がなく建物の内部等について確認できなかったものの,A1建物については庇の欠落やコンクリートが落ちて鉄筋がむき出しになっている箇所も見られた。B建物とC1建物の間には,車庫にしていたとおぼしき普通乗用車1台分ほどの空間があったが,そこには廃材等とみられるゴミがうず高く積まれていた。C1建物の上に建築された形となっているC2建物は,建物の道路側の壁が崩れ落ちて,部屋が吹きさらしの状態であり,屋根のうちトタン葺とおぼしき部分はかなりの部分が割れてなくなっていた。C3建物については,高窓から見下ろして見える範囲の内側には廃材等のゴミが散乱し,積まれていた。またC1,C3建物の屋根の上に水のタンクがあったが,その蓋はいずれもはずれた状態であった。E建物の外階段か 建物については,高窓から見下ろして見える範囲の内側には廃材等のゴミが散乱し,積まれていた。またC1,C3建物の屋根の上に水のタンクがあったが,その蓋はいずれもはずれた状態であった。E建物の外階段から通じる2階部分の入口ドアは蝶番は壊れており,D建物の2階は内壁の一部が朽ちていて,歩くと強く揺れる状態であった。(乙80の1ないし13,乙82,83,証人x)平成11年10月15日,沖縄国税事務所調査課の職員であるyがa及び原告取締役zの立会を得てXY建物の調査を行った際には,A1建物は天井の一部が新しいベニヤ板に張り替えられていたが,A1ないしA3建物の内部には,いろいろな廃材が散乱しており,また,まばらに食器等がむき出しで,あるいはいくつかの段ボール箱に入って置かれていた。yは,aの説明などから,dがそれらの建物を倉庫として利用しているものと認識した。C1建物の内部では,コンクリートの天上の一部が落ちていたり,むき出しの部分も見られ,D建物の1階には内壁に一部剥がれている部分があり,いずれもA建物と異なり,倉庫として利用されている形跡はなかった。(乙84,証人y)ウ XY建物共に,原告の購入時においても上記イとほぼ同様の状況であり,そのまま他人に賃貸できるような状態ではなかった(原告代表者も代表者尋問においてそれを認める。)。原告は,本訴提起後の平成14年ころ100万円内外の費用をかけて上記建物の一部改修を行ったというが,それまでは,上記ベニヤ板の張り替えを除き,改修行為をなしていない。(原告代表者)(3) 賃貸状況ア原告は,XY建物の購入後,建物のドア,壁などに貸家又は貸店舗との張り紙をした(fは,平成8年5月ころ,貼紙を見たといい,xは,平成10年8月5日に現地を調査した際,B建物のトタン戸の右側中央付近にB4版程度の 建物の購入後,建物のドア,壁などに貸家又は貸店舗との張り紙をした(fは,平成8年5月ころ,貼紙を見たといい,xは,平成10年8月5日に現地を調査した際,B建物のトタン戸の右側中央付近にB4版程度の紙が貼られていたと思われるガムテープの跡を見たという。)が,それ以外に不動産会社に仲介を依頼するなど賃借人と賃貸借契約を締結するための努力,行動をしておらず,上記張り紙もやがて剥がれてしまい,その後は張り直すこともなくそのままにしていた(乙24,83,原告代表者)。 イ原告は,平成9年11月からXY建物をdに賃貸していた旨主張し,aもこれに沿う供述をしている。また,原告及びdの総勘定元帳には,dから原告に対し,平成10年9月30日及び同年10月31日に各50万円が支払われた旨の計上がなされ,dの総勘定元帳ではその摘要欄に,原告に対する平成9年11月から1年分の家賃の半額及び残額である旨記載されており,その後の期間においても家賃として毎月20万円が計上されている旨の記載がある(甲62,63)。 ウしかし,原告とdの賃貸借契約書とされているもの(甲58,乙78)は,賃貸物件の特定も明確にされておらず,記載金額の趣旨も明記されておらず,通常の賃貸借契約書と比較すると記載事項も極めて簡便であり,甲58に記載された手書きの「平成9年11月から1年分の家賃100万円を半額づつ支払う」という部分(後に原告職員により書き加えられたもの)を除いた文面を読むと,賃貸借契約の始期が不明であり,契約書としては不備なものである上,作成日付が平成10年11月1日とされており,原告の主張を前提としても,事後的に遡って作成されたものであることが明らかであり,作成目的・経緯も明らかではない。以上からすると,同契約書によって,その記載どおりに平成9年11月以降に賃貸借 おり,原告の主張を前提としても,事後的に遡って作成されたものであることが明らかであり,作成目的・経緯も明らかではない。以上からすると,同契約書によって,その記載どおりに平成9年11月以降に賃貸借契約が締結されたものと認めるのは困難である。 また,aも,前記のyの調査の際には,平成10年9月からdに賃貸しており,Y建物は使っていない旨話していた(証人y)。 なお,aの供述内容(同人の供述調書25頁)は,平成9年ころからdが事実上建物内に書類,食器等を置くようになったので,後になって遡って契約書を作成し,賃貸したことにした趣旨と理解できるものであり,zも同様の供述をしている(甲69)ものと理解できる。 そして,原告購入時及びx,yがそれぞれ確認した際のXY建物の外部及び内部の状況,特に平成11年にyが確認した際にA建物は内部に食器等が置かれ,利用されている形跡が見られたが,C建物については建物に未修復の部分があり,格別倉庫として利用されている形跡はなかったこと,賃貸借契約書の内容も物件の特定自体不明確であり,後記のようにB建物の一室についてはhに使用させていたことからすれば,X建物のうちA建物について平成10年11月からdに賃貸されていることは認められるが,それ以外の建物については賃貸していなかったものと認めるのが相当であり,A建物についてもそれ以前の賃貸借成立は認められない。原告及びdの総勘定元帳の記載(甲62,63)は,両者の密接な関連性からして,信用できない。 エまた原告は,B建物の一室を平成9年11月からhに賃貸している旨主張し,原告の平成13年の総勘定元帳では,受取家賃の頁で,hからの未収入金として2万円×12か月×5年として120万円が計上されている(甲63)。 しかし,aは,hから行き場がないと泣き る旨主張し,原告の平成13年の総勘定元帳では,受取家賃の頁で,hからの未収入金として2万円×12か月×5年として120万円が計上されている(甲63)。 しかし,aは,hから行き場がないと泣きつかれてB建物の一室に無料で住まわせていたが,最近になって,無料で住まわせるのはまずいとの税理士の指摘を受けて,建物の管理料として住まわす形をとることにした旨供述し(原告代表者),平成11年10月に行われた前記yの調査の際にも,同人に対して,慈善事業で老女を住まわせている旨話しており(乙84,証人y),上記総勘定元帳の記載内容もこれらaの供述と合致する。したがって,少なくとも平成8年10月期から平成10年10月期までの間,仮に原告がB建物の一室をhに使用させていたとしても,賃貸はされていなかったと認められる。 (4) 以上のとおり,原告購入時のXY建物の老朽化の程度,平成10年及び同11年に課税庁職員により確認された際の同建物の状態,原告が取得した以降における上記建物の維持補修のための行為の有無,原告は,XY建物の購入後,建物に貸家又は貸店舗との張り紙をしたものの,それ以外に不動産会社に仲介を依頼するなど賃借人と賃貸借契約を締結するための努力,行動をしておらず,上記張り紙が剥がれてしまった後は張り直すこともなくそのままにしていたことなどからすると,事業の用に供するため必要な維持補修はなされておらず,いつでも稼働しうる状態にはなかったものといえるから,XY建物は,平成8年10月期から平成10年10月期ころまでの間,事業の用には供されていなかったものと認めるのが相当である。 以上から,被告が本件更正処分等において,A建物について平成10年9月からの減価償却費の計上のみを認め,その余の建物及び期間について,減価償却資産に含まれないとして 認めるのが相当である。 以上から,被告が本件更正処分等において,A建物について平成10年9月からの減価償却費の計上のみを認め,その余の建物及び期間について,減価償却資産に含まれないとして原告の計上した金額を損金に算入せず,所得金額に加算したことは適法である。 3 争点(3)について(1) 法人税法施行令54条1項1号イ,ロは,購入した減価償却資産についてその取得額を当該資産の購入の代価と当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の合計額としているところ,上記購入の代価は,建物を売買契約により取得する場合には,原則として当該売買契約により定められた代金額がこれに当たると考えられるが,土地と建物が一括して売買され,その売買契約において定められた土地建物それぞれの価額がその客観的な価値と比較して著しく不合理なものである場合に,これを同条項の取得額としてそのまま認めれば,売買契約の際に,土地と建物への代金額の割付を操作することで容易に減価償却資産として損金に算入される額を操作できることとなり,これが租税負担の公平の原則に反する結果となることから,上記施行令で定める「当該資産の購入の代価」とは,原則として合理的な基準により算定される当該資産の合理的な価額をいうと解するのが相当である。 (2) 被告は,甲乙契約におけるXY土地の価格が,固定資産税評価額,固定資産税評価額による按分法で算定される価額(土地と建物の固定資産税評価額比率に従って売買代金額を割り振る方法),財産評価基本通達による評価額(路線価),近隣の公示価格に比して著しく低額であり,同じく固定資産税の評価額,固定資産税評価額による按分法で算定される価額に比してXY建物の価格が著しく高額である旨主張するところ,X建物のうちA3,C2,C3の各建物は未登記で固定資産税評価 あり,同じく固定資産税の評価額,固定資産税評価額による按分法で算定される価額に比してXY建物の価格が著しく高額である旨主張するところ,X建物のうちA3,C2,C3の各建物は未登記で固定資産税評価額が不明であり(甲3,乙10),X建物全体の固定資産税評価額を算定できないので,同評価額やそれに基づく按分法によりX建物の価額が著しく高額である旨の被告の主張は根拠を欠く(この点は本件更正処分等に係る裁決書でも指摘されている(甲3)。)。 しかし,平成8年度におけるX土地の固定資産税評価額は2億1063万8686円,路線価にX土地の面積を乗じた価額は1億7431万4600円,近隣の土地の公示価格にX土地の面積を乗じた価額は2億0199万9860円であり(乙10ないし12),これらの価額に比して甲契約におけるX土地代金6500万円は著しく低額である。 また,Y土地については,上記の4つの方法による価額のうち,最高の価額は平成8年度の固定資産税評価額の8157万0158円(乙10),最低の価額は固定資産税評価額に基づく按分法による約5879万2650円であると認められるが,乙契約におけるY土地の代金額は3600万円でありその差異がかなり大きいし,Y建物については,固定資産税評価額が167万5102円(乙10),固定資産税評価額に基づく按分法によると約120万7350円であり,乙契約におけるY建物の代金額が2400万円であるから,上記価額に比して著しく高額である。 以上の比較結果に,前記の甲乙契約時におけるXY建物の状態を併せ考えると,甲乙契約における土地及び建物の価額割付の合理性には強い疑いが生じるというべきである。 (3) 原告は,甲乙契約でそれぞれ土地及び建物の価額が合意されており,それに従って各価額を認めるべきである旨主張する。 ける土地及び建物の価額割付の合理性には強い疑いが生じるというべきである。 (3) 原告は,甲乙契約でそれぞれ土地及び建物の価額が合意されており,それに従って各価額を認めるべきである旨主張する。 しかし,甲契約については,売主であるeは,契約の際,総額でいくらで売れればよいと考えており,土地と建物の値段について考えたことはなく,売買契約書に記載されている土地と建物の値段及びその算定根拠については分からない旨供述しているし(乙23),aも,eとの契約の交渉を仲介人であるαのみと行っており,eとは会っておらず,αが言うのをそのまま了解した旨供述しており,また契約に際して建物の内部を確認していないのである(乙23,原告代表者)。 乙契約についても,fは,土地と建物の金額は前もって契約書に書かれており,fが決めたものではない旨供述し(乙24),aも,購入前にY建物の内部を見たことはなく,土地と建物の値段を決めたのは自分ではなく,何を基準にそれぞれの価額を定めたということではないなどと供述している(原告代表者)。 以上からすれば,甲乙契約時にどのような理由から土地建物それぞれの価額が定められたのか不明であり,aがXY建物の内部を見ることもなしに売買契約に至っていることにかんがみても,価額の算定が土地及び建物の価値に着目して行われるなど,合理的に算定されたものなのかは極めて疑わしい。そして上記のように,契約上の土地建物の価額と土地建物の固定資産税評価額等との乖離が大きく,建物に老朽化が見られる事情のもとでは,甲乙契約で定められている金額をもってその取得価額と認めることは到底できない。 (4) そこでさらに進んで,被告が本件において合理的な土地建物価額の算出方法として主張する,建物の対価の額を算出してその額を土地及び建物の合計取得額から控除し 取得価額と認めることは到底できない。 (4) そこでさらに進んで,被告が本件において合理的な土地建物価額の算出方法として主張する,建物の対価の額を算出してその額を土地及び建物の合計取得額から控除して土地の対価の額を算出する方法(以下「直接法」という。)が適当なものといえるかを検討する。 上記の方法は,一応,合理的な方法の一つであると考えられるが,新築時の工事原価,固定資産税評価額及び相続税評価額を用いる場合には,建物価額に売主の利益が含まれていないため,建物取得価額が過小となるおそれがあり,中古資産の場合には,取得時の適正な価額を算出するために損耗による補正や物価変動による時点修正を行う必要があって,特に多年にわたる補正・修正を行う算出には困難がある上,仲介業者の販売手数料がある場合,その販売手数料を土地及び建物の取得価額に分配しなければならないなどの不都合もあり,必ずしも適切とはいえない面が存することは否めない。 しかしながら,本件においては,X建物の一部が未登記でその固定資産評価額が判明せず,またX土地の固定資産税評価額は甲契約による土地建物の売買価額を超えている(乙10)から,前記のとおり固定資産税評価額等に依拠して算出する方法は採り得ず,土地の合理的な価額を算出して差し引き計算することもできない。近隣の類似取引事例も見当たらないようであり(甲3),これを参考に算出することもできない。他方で,直接法は,既に指摘した不都合はあるものの,一応の合理性を有する算定法であるといえ,上記のとおり他によるべき方法の見出し難い本件においては,これによりX土地建物の価額を算定することは許容されるというべきである。 すなわち,土地建物全体の代金総額については不合理であるとはいえないものの,建物価額の算定に不合理な点がある本件のような場合 れによりX土地建物の価額を算定することは許容されるというべきである。 すなわち,土地建物全体の代金総額については不合理であるとはいえないものの,建物価額の算定に不合理な点がある本件のような場合には,合理的な方法によって算出された建物の価額を土地建物の代金総額から控除して,土地の代金を算出し,土地建物の各金額を合理的に割り付けることには相応の合理性を肯定できるのである。 そこで具体的な建物価額の算定方法をみるに,被告はXY建物の建築時の建物価額が不明であり,平成8年度版及び同9年度版の建設省編集に係る「建築統計年報」(乙13の1,2)による沖縄県の構造別,用途別工事費予定額を斟酌して1平方メートル当たりの工事費予定額を求め,XY建物の各面積に対応する建築物工事費予定額(新築価額)を算出し,当該価額をXY建物の建築時における建築価額(取得価額)としてとらえ,この建築価額から甲乙契約によるXY建物の取得時までの減価償却費を差し引いた未償却残高価額をXY建物の適正価額とし,甲乙契約の売買代金額からこれらの価額を控除した残額をXY土地の適正価額とすべきである旨主張する。 「建築統計年報」は,建設省が建築の動態を把握するため,建築基準法15条の規定による建築工事届け等をもとに,統計法による指定統計等として毎月実施している建築動態統計調査の結果をまとめたものであり(乙13の1,2),上記建築基準法の規定(平成11年7月法律87号による改正後の建築基準法では15条1項,3項)では,建築主が建築物を建築しようとする場合又は建築物の除却の工事を施工する者が建築物を除却しようとする場合においては,これらの者は,原則として,建築主事を経由して,その旨を都道府県知事に届け出なければならないとされ,また,市町村の長は,当該市町村の区域内における建築 る者が建築物を除却しようとする場合においては,これらの者は,原則として,建築主事を経由して,その旨を都道府県知事に届け出なければならないとされ,また,市町村の長は,当該市町村の区域内における建築物が火災,震災,水災,風災その他の災害により滅失し,又は損壊した場合においては,原則として都道府県知事に報告しなければならないとされ,これにより上記の届出等がなされていることからすれば,同年報は客観的な合理性を有する資料であると認められる。 減価償却資産の償却制度は,時間の経過又は使用によりその価値を減じていく資産の取得に要した費用について,費用と収益を対応させるため,資産の減価に応じて徐々に費用化しようとする制度であるが,当該建物の建築に要した金額が不明である本件の場合において,上記の方法により求められたその時点での建物の建築価額を算定し,これに減価償却による減算をして得られた価額を合理的な建物価額とすることには一定の合理性を認めることができる。 以上の方法により算定されるXY土地建物の取得価額は別紙6のとおりである。なお,A3建物及びC3建物については建築年月日が不明であるため,前主であるeの取得日をもって建築年月日に代えて計算しているが,建築年月日が不明である以上これによれないのはやむを得ないところであり,そしてこの方法によれば,通常,減価償却資産としての建物の価額は建築年月日に基づいて計算するよりも高くなると見られるから原告にとっては有利であり,このような代替方法を採ることは許容されると考えられる。 そして,原告は,X土地建物の取得に際し,B建物を賃借していたuに立退料400万円を支払い,またX土地建物の不動産登記費用として屋宜親泊合同事務所に107万2735円を支払った。またY土地建物の取得に際し,冨名腰稔ほか1名に仲介 に際し,B建物を賃借していたuに立退料400万円を支払い,またX土地建物の不動産登記費用として屋宜親泊合同事務所に107万2735円を支払った。またY土地建物の取得に際し,冨名腰稔ほか1名に仲介手数料として150万円,上記事務所に不動産登記費用として48万2525円を支払っており(甲3),これらの支出はXY土地建物の取得価額に加算すべきである。 これらの金額を加算して得られる土地建物の取得価額は,別紙7のとおりである(上記取得価額は,X土地については1平方メートル当たり,約21万2372円,Y土地については1平方メートル当たり約26万7358円となる。)。 以上によれば,XY土地建物の価額を加減した本件更正処分等には違法はない。 4 争点(4)について(1) 減価償却資産の耐用年数は,法人税法施行令56条の委任により,減価償却資産の耐用年数等に関する省令により法定されている。平成10年3月31日大蔵省令第50号による改正前の省令(以下「改正前の省令」という。)3条1項は,中古資産の耐用年数につき,法人の事業の用に供された当該資産の耐用年数は,法定耐用年数にかかわらず,事業の用に供した時以後の使用可能期間の年数によることができる旨規定していた。 そして,同条項による使用可能期間の見積りに当たっては,減価償却資産の耐用年数は減価償却費の計算の基礎となる数字であるから,これを納税義務者の意思でいかようにも見積もれるものとすれば,納税義務者が減価償却費を容易に操作できることになり,租税負担公平の原則に照らして許されない。よって,その見積りが合理的なものであることを要するのは当然であり,見積りに合理性がないと認められるときには,合理的な方法によりその算定がなされるべきである。 (2) 原告は,平成10年10月期の確定申告において, りが合理的なものであることを要するのは当然であり,見積りに合理性がないと認められるときには,合理的な方法によりその算定がなされるべきである。 (2) 原告は,平成10年10月期の確定申告において,A建物を含めXY建物の耐用年数をすべて25年と見積もって減価償却費を計算し,131万5082円を損金に算入している(甲3,4の3)。しかし,XY建物は,その建築年月日が昭和31年5月から昭和39年1月まで幅があり(なお,前記のとおりA3,C3各建物の建築年月日は不明である。),その構造も鉄筋コンクリートブロック造のものもあれば木造トタン葺のものもあって,それぞれの建物で建築年月日や構造が異なっていることからすれば(甲3,4の1),その使用可能期間が一律に25年であるとは考え難く,これを合理的に説明できる事情も特に主張,立証されていないので,原告の見積りには合理性がないものと認められる。 (3) 被告は,見積もられた耐用年数が合理的でない場合,簡便法によりこれを計算すべきである旨主張するところ,その計算式は以下のとおりである。 ① 法定耐用年数の全部を経過した資産法定耐用年数×20/100② 法定耐用年数の一部を経過した資産(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20/100③ 残存耐用年数に1年未満の端数が生じたときは,これを切り捨て,その年数が2年未満の場合には2年とする。 (4) 平成10年10月期の確定申告について適用される改正前の省令には,被告の主張する簡便法についての規定がなく,当時は通達により定められていたものであるところ,原告は,通達は納税者を拘束するものではなく,これにより耐用年数を計算すべきではない旨主張する。 しかし,納税義務者による耐用年数の見積りが,その意思でいかようにも算定しうるもので であるところ,原告は,通達は納税者を拘束するものではなく,これにより耐用年数を計算すべきではない旨主張する。 しかし,納税義務者による耐用年数の見積りが,その意思でいかようにも算定しうるものではないことは前記のとおりであるし,上記簡便法によれば比較的明らかな数値によって耐用年数を算出できるなどの合理性が認められ,租税の公平な負担を図る見地からみても相当な算出方法であると考えられるし,前記平成10年の改正において,省令3条1項に,上記の簡便法とおおむね同様の耐用年数の計算方法が導入され,減価償却資産の使用期間の見積りが困難な場合には,これにより計算した年数をもって耐用年数とすることができるものとされるに至っているところである。 そうだとすれば,被告の主張する簡便法が中古資産の耐用年数の計算方法として一定の合理性を有するものと見ることができる。 (5) 上記の簡便法により各建物の耐用年数を算定し,償却率を判断した結果及びA建物の減価償却費の償却超過額は別紙5のとおりである。 よって,簡便法によりXY建物の耐用年数を定め,A建物の減価償却限度額を計算して,減価償却超過額を所得金額に加算した本件更正処分等に違法はない。 5 争点(5)について(1) 税務署長が青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には,更正通知書にその更正の理由を附記しなければならないとされており(法人税法130条2項),この制度は,税務署長の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制すると共に,処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものである。 (2)アまず,原告は,平成8年10月期についての法人税額等の更正等通知書では,開業費償却について,土地建物の取得が当初から建物を取り壊して土地を利用する目的であっ える趣旨に出たものである。 (2)アまず,原告は,平成8年10月期についての法人税額等の更正等通知書では,開業費償却について,土地建物の取得が当初から建物を取り壊して土地を利用する目的であったと認められる場合に建物の取得価額等を損金に算入しないとしているが,更正の理由をみてもその判断,法的根拠が明らかでないなどと主張する。 イしかるに,平成8年10月期についての更正等通知書(甲4の1)によれば,開業費償却のうち損金の額に算入されない額について「平成4年10月期の更正において開業費を土地の取得価額と認定されています」と理由付けしていること,平成4年10月期についての平成7年12月22日付け更正等通知書(乙59)によれば,本件土地と共に取得された本件建物が原告の取得後事業の用に供することなく取り壊され,本件土地が平成4年9月からdに賃貸されていることから,本件土地建物の取得は当初からその建物を取り壊して土地を利用する目的であったと認められるので,開業費として計上された額を土地の取得価額として土地勘定に加算した旨,より具体的に記載されていることが認められ,この平成4年10月期についての更正処分等に対し原告が平成10年に当庁に訴えを提起し,平成11年12月17日の本件更正処分等の当時,係争中であったことは,前記のとおりである。 ウそこで判断するに,原告と被告との間において,同一の論点について,平成4年10月期について被告が原告に対し更正等を行い,その更正等通知書にその法的な根拠等が具体的に記載され,その問題について現に訴訟において係争中であり,平成8年10月期についての更正等通知書の上記記載から,被告が同じ見解で更正処分等を行ったことは原告も十分にわかるものと解される。そして,上記程度の記載でも,原告は不服申立てを行うか 係争中であり,平成8年10月期についての更正等通知書の上記記載から,被告が同じ見解で更正処分等を行ったことは原告も十分にわかるものと解される。そして,上記程度の記載でも,原告は不服申立てを行うかの判断をすることはでき,税務署長の恣意を抑制するに十分であるから,平成8年10月期の更正等通知書における理由附記の点に違法は見出せない。 (3)アまた,原告は,平成8年10月期についての更正等通知書では,XY土地建物について甲乙契約上の土地及び建物の価額が適正でないとして,建物価額を算出する方法により適正価額を算定しているものの,その判断,法的根拠が明らかでないなどと主張する。 イしかるに,上記平成8年10月期についての更正等通知書には,XY土地建物の金額を加減する理由として,平成8年の固定資産税評価額等に比較して,XY土地の価額が著しく低額であり,XY建物の価額は著しく高額であり,適正な価額を反映していると認められないこと,固定資産税評価額等と契約金額とを対比した表と金額算出の計算式,法人税法22条3項,4項,同法施行令54条1項により合理的に土地と建物の価額が区分されるべきこと,その方法として,地価のように高騰する要因も少なく,取得時の標準的な建築価額が客観的に求めやすい建物価額を算出し,これを売買代金合計額から控除して土地価額を算出する方法を採ったこと,具体的な計算について建物毎に示した一覧表,その一覧表中で,建物の床面積等に新築価額単価を乗算し,そこから減価償却累計額を減算して建物の再取得価額を算出したこと,新築価額単価は建設省建設経済局調査情報課発刊の「建築統計年報」平成8年度版及び平成9年度版の1平方メートル当たりの工事予定額を適用したことなどが説明され,算出された土地価額などが記載されているところである。 ウ 建設経済局調査情報課発刊の「建築統計年報」平成8年度版及び平成9年度版の1平方メートル当たりの工事予定額を適用したことなどが説明され,算出された土地価額などが記載されているところである。 ウ以上の記載によれば,XY土地建物の契約上の売買価額が適正な価額を反映していると認められない根拠,被告の採用した区分方法の採用理由,具体的な算定方法,算定に用いられた資料,計算式,算定の結果などが詳細に説明されているというべきであり,何ら理由附記に違法な点は見当たらない。 (4) 以上から,平成8年10月期についての更正等通知書には,更正処分の根拠が必要な程度に記載されているものといえ,理由の附記に違法はない。 6 なお,原告は,被告が当庁平成10年(行ウ)第2号の口頭弁論期日において,原告がdから得ている手数料収入について,同手数料はdが食品業者から仕入れている食肉につき原告が仲介手数料として受け取っているものであるが,これは原告とdの利益調整あるいは租税回避を目的として行われているものであり,原告が仲介に入る必要性は認められないと主張し,手数料収入の計上を否認していたのであるから,平成8年10月期ないし平成10年10月期で計上されている上記仲介手数料を所得金額から差し引いた所得金額について本件更正処分等をすべきであったのにしていないから,本件更正処分等は違法不当な処分であると主張する(請求の原因追加申立書等)。 しかし,被告が上記訴訟において原告の仲介の必要性が認められないとの主張をしていることは認められるものの(甲60),当該訴訟でそうした主張がなされていることをもって,直ちに,被告が本件更正処分等において仲介手数料額を所得から減ずる処分をしなければならないとする理由はないから,原告の主張は失当である。 7 本件において,過少申 主張がなされていることをもって,直ちに,被告が本件更正処分等において仲介手数料額を所得から減ずる処分をしなければならないとする理由はないから,原告の主張は失当である。 7 本件において,過少申告加算税の賦課決定処分について,国税通則法65条4項の「正当な理由があると認められるものがある場合」に該当するとの証拠はない。 以上の他,本件更正処分等に違法な点があることを窺わせる証拠は存在しない(弁論の全趣旨によれば,原告は,本件更正処分等のうちそれ以外の部分については争っていない。)。以上から,本件更正処分等はいずれも適法である。 8 よって,原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却し,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 那覇地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官窪木稔裁判官鈴木博裁判官野澤晃一
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