平成19(ネ)220 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成19年9月27日 名古屋高等裁判所 その他 名古屋地方裁判所 平成18(ワ)2187
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判決文本文11,054 文字)

主文 控訴人の当審における追加請求(第1次請求)を棄却する。 原判決主文第1項ないし第3項を取り消す。 被控訴人は,控訴人に対し,28万0660円及びこれに対する平成18年5月4日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを2分し,その1を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人(1)第1次請求の趣旨(当審における追加請求)ア被控訴人は,控訴人に対し,53万1555円及びこれに対する平成18年2月24日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。 イ訴訟費用は,被控訴人の負担とする。 ウアにつき仮執行宣言(2)控訴の趣旨ア原判決を以下のとおり変更する。 (ア)第2次請求の趣旨被控訴人は,控訴人に対し,28万0660円及びこれに対する平成18年5月4日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。 (イ)第3次請求の趣旨被控訴人は,控訴人に対し,23万0660円及びこれに対する平成18年5月4日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。 イ訴訟費用は,第1,2審を通じて被控訴人の負担とする。 ウア(ア)又はア(イ)につき,仮執行宣言 被控訴人(1)第1次請求の趣旨に対する答弁ア控訴人の当審における追加請求を棄却する。 イ訴訟費用は,控訴人の負担とする。 (2)控訴の趣旨に対する答弁ア控訴人の当審における追加請求を棄却する。 イ本件控訴を棄却する。 ウ控訴費用は,控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,被控訴人との間で特定商取引に関する法律(以下「特商法」という。)41条2項の「特定継続的役務」 却する。 イ本件控訴を棄却する。 ウ控訴費用は,控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,被控訴人との間で特定商取引に関する法律(以下「特商法」という。)41条2項の「特定継続的役務」に該当する英会話レッスンの受講契約(以下「本件受講契約」という。)を締結し,被控訴人経営の英会話教室で上記レッスンを受講していた控訴人が,被控訴人に対し,①主位的に,被控訴人が本件受講契約に基づき控訴人が通学していた伏見校を一方的に廃止したのは,債務不履行に当たるとして,損害賠償金28万0660円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年5月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,②予備的に,本件受講契約中の清算合意に基づき,本件受講契約の中途解約に伴い発生した清算金23万0660円及びこれに対する上記同日から同割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 被控訴人は,①特定の校舎でレッスンを提供することは本件受講契約の内容とはなっておらず,伏見校の廃止はレッスン提供の債務の不履行とはいえない,②本件受講契約中の清算規定に基づき清算すべき26万0745円は既に支払済みであるなどと主張してこれを争った。 原審は,主位的請求については,被控訴人の債務不履行は認められないとしてこれを棄却し,予備的請求については,本件受講契約書中の清算規定は無効であるとした上で,本件受講契約の清算金として12万1059円(購入代金7 9万2300円から,役務提供済ポイントの対価相当額である1390円×95%に,役務提供済ポイント数273ポイントを乗じた額である36万0496円,中途登録解除手数料5万円及び既払額26万0745円を控除した額)及びこれに対する上記割合による遅延損害金の支払を求める限度で控訴人の請求を認容したため, ポイントを乗じた額である36万0496円,中途登録解除手数料5万円及び既払額26万0745円を控除した額)及びこれに対する上記割合による遅延損害金の支払を求める限度で控訴人の請求を認容したため,双方が原判決を不服として控訴したが,被控訴人は控訴を取り下げたものである。 なお,控訴人は,当審において,第1次請求として,クーリングオフに基づく解除に基づき,53万1555円(ポイント購入代金ほかの諸費用を含めた支払総額84万9500円から既払額26万0745円を控除した残額の一部)及びこれに対するクーリングオフによる解除の効果発生の翌日である平成18年2月24日から支払済みまで年6%の割合による遅延損害金の支払請求を追加し,原審における主位的請求及び予備的請求をそれぞれ第2次請求,第3次請求とした上で,遅延損害金の割合を商事法定利率である年6分に変更して請求を拡張した。 前提事実,争点及びこれに対する当事者の主張は,以下のとおり補正し,当審における追加主張を加えるほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」2,3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)補正ア原判決3頁20行目の「600ポイントを79万2300円」を「330ポイントを購入し,約1か月後に270ポイントを追加して,これらを合計79万2300円」と,同25行目の「乙7の1」を「甲21の1,乙7の1」とそれぞれ改める。 イ同4頁5行目の「1年」を「3年」と改める。 ウ同7頁2行目の「主位的請求」を「第2次請求」と改める。 エ同8頁21行目の「予備的請求」を「第3次請求」と,同24行目の「中途解約清算金」から25行目までを「本件受講契約中の清算合意に基づき 中途解約清算金を請求できるところ,被控訴人が清算金の算定において,役務提供済ポイントの対価相 第3次請求」と,同24行目の「中途解約清算金」から25行目までを「本件受講契約中の清算合意に基づき 中途解約清算金を請求できるところ,被控訴人が清算金の算定において,役務提供済ポイントの対価相当額の根拠とする本件清算規定は特商法に反するもので無効である。」とそれぞれ改める。 オ同12頁3行目から22行目までを削除する(被控訴人は,当審において,レッスンポイントの最初の3分の1が有効期限開始日より1年を有効期限とし,次の3分の1が有効期限開始日より2年を有効期限とする旨の主張を撤回したため,レッスンポイントの有効期限はすべて3年とすることで争いはなくなった。)カ同23行目冒頭の「(4)」を「(3)」と改める。 (2)当審における第1次請求にかかる追加主張(クーリングオフ)ア控訴人控訴人は,レッスンポイント600ポイントのうち,最初に購入した330ポイントについて,特商法(特定商取引法)42条2項所定の契約書面である本件契約書(ApplicationFormと題する書面,甲21の1)を受領した。そこには有効期限開始日と有効期限終了日の記載がされていたが,同時に受領した本件契約書のメモ(複写式の3枚目のもの。甲21の2)には,有効期限開始日と有効期限終了日の記載がなかったため,本件契約書をこれらの記載のないものと誤信して受領した。また,その後追加購入した270ポイントについては本件契約書の交付を受けていない。 以上のとおり,270ポイントについては特商法(特定商取引法)42条2項所定の契約書面を交付されていない。また,当初330ポイントを購入した際に交付された本件契約書には,600ポイントについて必要的記載事項である「必要な費用の総額」が記載されていない不備がある上,控訴人は契約内容を誤信して本件契約書を受領している。 し ントを購入した際に交付された本件契約書には,600ポイントについて必要的記載事項である「必要な費用の総額」が記載されていない不備がある上,控訴人は契約内容を誤信して本件契約書を受領している。 したがって,控訴人は,600ポイントすべてについて特商法48条1 項のいわゆるクーリングオフをすることができると解すべきである。 そして,控訴人は,平成18年2月22日付け書面(甲2)をもって,翌同月23日に本件受講契約を解除する旨の意思表示をした。特商法48条1項は「書面によりその特定継続的役務提供等契約の解除を行うことができる」と規定しているにすぎず,上記書面による解除はクーリングオフとしても有効である。 したがって,控訴人は,クーリングオフに基づき,600ポイントのレッスン料のみならず支払った諸費用を含む総額84万9500円から既払金として受領した26万0745円を差し引いた残額58万8755円と,これに対する解除の効果が発生した翌日である同月24日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払請求権を有する。 イ被控訴人控訴人は,平成18年2月10日ころ,被控訴人に対し,本件受講契約を中途解約したから,既に契約は終了しており,クーリングオフをすることはできない。 また,同年2月23日の本件受講契約解除の意思表示は,債務不履行による解除の意思表示であり,クーリングオフの意思表示ではない。 したがって,クーリングオフによる解除は認められない。 第3当裁判所の判断当裁判所は,控訴人の第1次請求は理由がなく,第2次請求は理由があるものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 第1次請求(クーリングオフに基づく返還請求)について前提事実及び甲2によれば,控訴人は,被控訴人に対し,平成18年2月23日,同月22日付け書面 のと判断する。その理由は,以下のとおりである。 第1次請求(クーリングオフに基づく返還請求)について前提事実及び甲2によれば,控訴人は,被控訴人に対し,平成18年2月23日,同月22日付け書面により,伏見校を廃校としたことが債務不履行に当たるとして,本件受講契約を解除する旨の意思表示を行うとともに,債務不履行による損害賠償請求を行ったことが認められるが,上記書面によって控訴人 が被控訴人に対しクーリングオフの意思表示をしたと認めることはできない。 そうすると,その余の点を判断するまでもなく,控訴人の第1次請求は理由がないといわなければならない。 第2次請求(債務不履行に基づく損害賠償請求)について(1)本件統合が被控訴人の債務不履行となるか否かを判断するに際し,まず被控訴人が,本件受講契約に基づき,控訴人に対し伏見校で英会話レッスンを提供する債務を負っていたか否かについて判断する。 ア控訴人は,本件受講契約締結の際に,伏見校の担当者であるAに対し,控訴人の勤務先に近い伏見校に昼休みを利用して通学することを考えている旨を説明し,被控訴人は,Aにおいてそれを認識して本件受講契約を締結したから,被控訴人のレッスン提供債務の履行場所を伏見校に限定する旨の合意がなされた旨主張し,控訴人の陳述書(甲13)中にはこれに沿う部分がある。 しかしながら,Aが接客した来校者の情報を記録したVISノート(乙49)にはこれに沿う記載はなく,その他,上記陳述書の記載を裏付ける証拠はない。 また,被控訴人の担当者が,控訴人から伏見校での受講希望動機等について説明を受けたとしても,そのことから直ちに控訴人との間で受講契約上のレッスン提供債務の履行場所を伏見校と定める旨の合意がなされたと判断すべき事情を認めるべき証拠もない。 そこで次に,契約当事者の一般 説明を受けたとしても,そのことから直ちに控訴人との間で受講契約上のレッスン提供債務の履行場所を伏見校と定める旨の合意がなされたと判断すべき事情を認めるべき証拠もない。 そこで次に,契約当事者の一般的な合理的意思の観点から,被控訴人は,控訴人に対し,伏見校で英会話レッスンを提供する債務を負っていたといえるか否かについて判断する。 イ前提事実に加え,証拠(甲11ないし13,21の1,22,25ないし27,30の1・2,乙7の1・2,50,52,53の1,2及び弁論の全趣旨)によれば,次の事実が認められる。 (ア)被控訴人が設置する英会話等の語学レッスンスクールは,「駅前留学」というキャッチフレーズを使用して,駅の近くで語学レッスンを手軽に受けられること,レッスンはポイント登録制とし,レッスンポイントを購入し,レッスン時間を自分の都合に合わせて予約し駅前のスクールでレッスンを受けたり,自宅でネットワークを利用してテレビを通じてレッスンを受けたりして,無理なく語学レッスンを受けられることを特色としている。 (イ)Bレッスンの手引き(乙50)中の受講規約によれば,本件受講契約における被控訴人の役務提供方法には,被控訴人が設置したスクールにおいて,外国人インストラクターと直接対面するレッスンを提供する「駅前留学(ルームレッスン)」,上記スクールでギンガネット(多地点接続サービス電話ネットワーク)を利用してマルチリンガル・サービスを提供する「駅前留学(MMレッスン)」と,自宅やオフィス等において,ギンガネットを利用してマルチリンガル・サービスを提供する「お茶の間留学」とがある。 (ウ)本件契約書には受講生が申込みをしたスクールを所属スクールとして,その所属スクール名及び生徒名がそれぞれ番号で記載され,生徒カードの表面にはその所属スクー 供する「お茶の間留学」とがある。 (ウ)本件契約書には受講生が申込みをしたスクールを所属スクールとして,その所属スクール名及び生徒名がそれぞれ番号で記載され,生徒カードの表面にはその所属スクール及び生徒番号が打ち込まれ,裏面にも氏名等のほかに所属スクールを手書で記載する形式となっている。なお,本件契約書やB生徒規約には,被控訴人が,受講生に対し,レッスンを提供する債務の履行場所についてこれを具体的に記載した規定はない。 しかしながら受講生は,所属スクールにおいて毎回レッスンに入る前に受付に生徒カードを呈示してレッスンルームへ案内されることになっており(受講規約35条),所属スクール以外のスクールでのレッスンを自由に受けることはできない。もっとも,受講規約44条によれば,所属スクールから他のスクールへ「転学」することはできる。その場合 には別途手数料を要し,旧所属スクールにレッスン料を完納した上で転学先のスクールに直接出頭して手続をし,新たに転学先の生徒カードの発行を受ける必要がある。 (エ)控訴人は,外資系会社に勤務していたことから英会話の必要性を感じ,勤務先の会社が所在する名古屋市中区所在の東西に走る地下鉄東山線及び南北に走る地下鉄鶴舞線の各伏見駅近辺に存在する複数の英会話スクールの中から,勤務先から徒歩で約5分ほどの距離にあり,仕事の後に通学するのに便利であり,昼休みにも通学できるのではないかと考え,地下鉄鶴舞線伏見駅の東側出口からすぐの伏見校で入校の申込みをした。 他方,名古屋栄校は,地下鉄東山線の伏見駅から一駅先の栄駅の南側出口からすぐのところに存在しており,両校の距離は約772mで,徒歩での所要時間は片道約10分である。 控訴人が勤務していた職場から名古屋栄校に通学する場合,伏見校に通学する場合と比較すると,所要時 出口からすぐのところに存在しており,両校の距離は約772mで,徒歩での所要時間は片道約10分である。 控訴人が勤務していた職場から名古屋栄校に通学する場合,伏見校に通学する場合と比較すると,所要時間において,徒歩によれば片道約8分ほど,地下鉄を利用した場合は片道約12分ほどそれぞれ増加する。 ウ以上の認定事実に基づき判断する。 上記認定のとおり,本件契約書及びB受講規約において,被控訴人が,受講生に対し,外国語会話レッスンを提供する債務の履行場所についてこれを具体的に記載した規定は存在しない。 しかしながら,受講生は,申込みをしたスクールの所属とされ,本件契約書及び生徒カードにも所属スクール番号及び生徒番号が記載されているところ,レッスンを受講する際には所属スクールにおいて所属スクール番号の打刻された生徒カードを呈示して確認を受ける必要があり,所属校にかかわらずいずれのスクールにおいても語学レッスンを受講できるわけではない。そして,受講生が他のスクールでレッスンを受講するには,所属 スクールを変更する転学手続が必要とされ,その場合には旧所属スクールにレッスン料を完納した上で転学先のスクールに直接出頭して手続をし,新たな生徒カードの発行を受けなければならない。このように,受講生は受講申込みをした特定のスクールに所属してそこで外国語会話レッスンを受講し,被控訴人においても受講生に対し当該所属スクールでレッスンを提供することが予定されているものということができる。 また,被控訴人は,駅前留学というキャッチフレーズの下で最寄り駅に直近のスクールで外国語会話レッスンを受講できることをセールスポイントとしており,B受講規約中においても,所属スクールで提供されるレッスンには,「駅前留学(ルームレッスン)」,「駅前留学(MMレッスン)」と,最寄り 国語会話レッスンを受講できることをセールスポイントとしており,B受講規約中においても,所属スクールで提供されるレッスンには,「駅前留学(ルームレッスン)」,「駅前留学(MMレッスン)」と,最寄り駅の直近でレッスンを受けられることを象徴する名称が付与されている。そして,控訴人がそうであったように,被控訴人と受講契約を締結する受講生が所属スクールを選択する際に,利便性の観点からどの駅前スクールを選択するかが重要な判断要素であることは明らかといわなければならない。 これらの事情を総合すれば,受講契約を締結する受講生と被控訴人の合理的意思としては,受講生が転学手続を取らない限り,受講生は受講申込みをした特定のスクールを所属スクールとして,当該所属スクールにおいて,外国語会話のレッスン提供の履行を受けることができるものであり,そのことは被控訴人の受講生に対するレッスンを提供する債務の履行場所は当該所属スクールとするものであると認めるのが相当というべきである。 そして,本件受講契約において,控訴人の所属スクールは伏見校であったのであるから,被控訴人は,控訴人に対し,伏見校において外国語会話レッスンを提供する債務を負っていたものというべきである。 これに対し,被控訴人は,①各受講生の所属スクールは必ずしも固定的なものではなく,受講生の外国語会話が上達すれば,より高いレベルのレ ッスンの受講が可能なスクールに転学することが予定されており,控訴人も既に伏見校の上限であるレベル5まで英会話が上達し,早晩所属校を変更する必要があったこと,②継続的にレッスンを提供する間に各スクールの校舎の賃貸借契約が終了するなどして移転が必要となることもあり得るのであって,継続的な役務提供契約である本件受講契約において,特定の場所を履行の場所として固定し,およそいかな 供する間に各スクールの校舎の賃貸借契約が終了するなどして移転が必要となることもあり得るのであって,継続的な役務提供契約である本件受講契約において,特定の場所を履行の場所として固定し,およそいかなる場合でもそれを変更できないというのは不合理であること,③伏見校に通っていた受講生の大多数は名古屋栄校で外国語会話の学習を継続しており,受講生は伏見校という特定のスクールでのレッスンの提供ではなく,伏見校の所在地又はその近隣のスクールでのレッスンの提供を受けることで足りるという前提で受講契約を締結していることは明らかであることを理由に,本件受講契約における債務の履行場所は伏見校に限定されない旨主張する。 しかしながら,①については,所属スクールを変更することが可能であり,また,上達程度によって転学が必要となることがあり得るとしても,それをもって当然に,控訴人からの同意(転学手続)なしに,被控訴人が一方的に受講場所を変更し,所属スクール以外の他のスクールでレッスンを提供することが許されるということにはならないというべきである。また②については,被控訴人において継続的に役務を提供する間に,校舎を移転する等の必要が生じる場合があり得るとしても,その具体的事情の検討なしに,単にそのことの故のみをもって当然に受講生の所属スクールの所在地を変更できると論じるのは当を得ないものというべきである。さらに③については,本件統合により現実に伏見校がなくなった受講生は,被控訴人で外国語会話レッスンを受けることを辞めるか,被控訴人の別のスクールでそれを続けるかの選択を迫られるのであるから,後者の選択をした受講生がいたからといって,本件受講契約締結当時の合理的意思がレッスン提供場所を伏見校に限定するものではないということにはならないと いうべきである。 したが れるのであるから,後者の選択をした受講生がいたからといって,本件受講契約締結当時の合理的意思がレッスン提供場所を伏見校に限定するものではないということにはならないと いうべきである。 したがって,被控訴人の上記各主張はいずれも採用できない。 (2)なお,被控訴人が控訴人に対して名古屋栄校で外国語会話レッスンを提供することが,上記債務の本旨に従った履行といえるか否かについても判断する。 上記認定のとおり,名古屋栄校は,伏見校から約772m,徒歩で片道10分ほどの距離に存在しているもので,地下鉄東山線で1区間先の栄駅の直近に所在するものであるから,伏見駅の直近とはいえず,その位置関係に照らしてもはや伏見校と呼称し得るものではないから,被控訴人が控訴人に対し,名古屋栄校で外国語会話レッスンを提供することは,「駅前留学」を謳う本件受講契約の債務の本旨に従った履行とはいえないというべきである。 これに対し,被控訴人は,①被控訴人は,本件統合に際し,受講生に対し,伏見校の近隣で統合先の名古屋栄校のみならず,交通の便の良い名古屋駅前校などを新所属校としてレッスンを提供して受講生の便宜を最大限図っていること,②統合先の名古屋栄校は,レベル5までの受講生に対応した伏見校とは異なり,全てのレベルの受講生に対応している上,午前中や日曜日でもオープンし,より多くのコース選択が可能であるなど,伏見校で提供していたものと同等以上のレッスンの提供が可能であり,本件統合によりレッスンの質は全く低下していないこと,③受講生の希望に応じて「お茶の間留学」を利用するために必要な機器を無料でレンタルする措置を講じていたことをもって,名古屋栄校での外国語会話レッスンの提供も,本件受講契約の債務の本旨に従った履行の提供である旨主張する。 しかしながら,控訴人と被控訴人との 要な機器を無料でレンタルする措置を講じていたことをもって,名古屋栄校での外国語会話レッスンの提供も,本件受講契約の債務の本旨に従った履行の提供である旨主張する。 しかしながら,控訴人と被控訴人との本件受講契約は,あくまでも当事者間の商取引契約であって,上記のとおり,一方的に契約内容を変更した被控訴人による名古屋栄校での外国語会話レッスンの提供は,伏見校でのレッスンの提供ということはできないのであるから,被控訴人が主張する上記各事 情によっても,本件統合により名古屋栄校でレッスンの提供をすることが,債務の本旨に従った債務の履行とはいえない旨の上記判断は左右されないものといわなければならない。 したがって,被控訴人の上記各主張はいずれも採用できない。 (3)そこで,次に債務不履行に基づく損害賠償額について判断する。 前提事実のとおり,控訴人は,レッスンポイントとして合計600ポイントを購入し,さらにレッスン時間が45分から40分に短縮されたことに伴い,46ポイントが無償で付与されたから,合計646ポイントを取得したことになる。そして,平成18年2月10日の最終受講日までに合計236ポイントを消化したから,その時点で646ポイントから236ポイントを控除した410ポイントが未消化で残存していたことになる。 しかして,被控訴人は,同年3月12日に本件統合を実施し,控訴人に対し,伏見校での外国語会話レッスンを提供することができなくなったのであるから,控訴人は,これにより410ポイントの上記未消化レッスンポイントを消化できなくなり,同数のポイント使用分に相当する損害を被ったものというべきである。なお,前提事実のとおり,このうち46ポイントは無償で付与されたものではあるが,そのポイントで本来レッスンを受けることができた以上,上記認定,判断は左右 に相当する損害を被ったものというべきである。なお,前提事実のとおり,このうち46ポイントは無償で付与されたものではあるが,そのポイントで本来レッスンを受けることができた以上,上記認定,判断は左右されないものというべきである。 そこで次に,410ポイント使用分に相当する損害額について判断するに,控訴人が,レッスンポイントを購入した単価は,前提事実のとおり,税込レッスンポイント単価1390円からキャンペーン割引として5%割引を受けた価格であるから,上記残存レッスンポイントの価値は,少なくともこれに410ポイントを乗じた54万1405円(1390円×0.95×410)を下らないものと認められる。 しかして,控訴人は,前提事実のとおり被控訴人から損害賠償金の内金として26万0745円の支払を受けたから,損害賠償金の残額は28万06 60円となる。 そして,被控訴人は株式会社であり,本件受講契約は外国語教室の経営という事業のためにする行為であるから,商行為ということができる(会社法5条)ところ,その債務不履行に基づく損害賠償債務も商法514条にいう「商行為によって生じた債務」というべきである(最高裁昭和47年5月25日第一小法廷判決・判例時報671号83頁)から,これを遅滞したときは,商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金が発生するというべきである(商法1条2項,民法419条1項本文)。 したがって,控訴人の債務不履行に基づく損害賠償請求は,損害賠償金残額28万0660円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年5月4日から支払済みまで商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 第4 結論 以上によれば,控訴人の本訴請求のうち,当審における追加請求である第1次請求は理由がなく,第2次請求は まで商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 第4 結論 以上によれば,控訴人の本訴請求のうち,当審における追加請求である第1次請求は理由がなく,第2次請求は理由があるから,これと異なる原判決は相当でない。 よって,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部裁判長裁判官坂本慶一裁判官山崎秀尚裁判官山下美和子

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