平成21(ネ)569 離婚等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成22年6月24日 広島高等裁判所 棄却 山口家庭裁判所 宇部支部 平成20(家ホ)13
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判決文本文9,734 文字)

- 1 - 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は,控訴人の負担とする。 原判決主文6項の「本判決確定の日」を「本判決確定の日の翌日」に更正する。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴の趣旨(1)原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 (2)被控訴人の請求をいずれも棄却する。 (3)訴訟費用は,第一,二審とも被控訴人の負担とする。 控訴の趣旨に対する答弁主文1,2項と同旨(なお,原判決2頁18行目の「846万6323円」は「846万3623円」の誤記である。)第2事案の概要 本件は,結婚して10年余りを経過し,3人の子どもをもうけた夫婦のうちの妻である被控訴人が,夫である控訴人に対し,婚姻を継続し難い重大な事由があるとして,離婚(子どもらの親権者をいずれも被控訴人に指定する旨の申立てを含む。)及び慰謝料300万円(附帯請求を除く。以下同じ。)の支払を求めるとともに,子どもらの養育費,財産分与及び年金分割のための標準報酬等の按分割合に関する各処分を求めた事案に係る控訴事件である。 原審は,被控訴人の上記各請求中,離婚(子どもらの親権者をいずれも被控訴人に指定)及び慰謝料100万円の支払の限度で認容し,その余を棄却した上,控訴人は被控訴人に対し,養育費として,いずれも子どもらが成人に達する日の属する月まで各月額7万7000円を支払うべきこと,財産分与として,- 2 -760万円を支払うべきこと及び上記按分割合を0.5と定める旨の各処分をする旨の原判決を言い渡した。 これに対し,控訴人が原判決を不服として控訴したのが本件である。 前提事実及び争点原判決3頁4行目の「当事者間に争いがない。」を「甲1,2,弁論の全趣旨」と,同頁5行目の「原告と被告 い渡した。 これに対し,控訴人が原判決を不服として控訴したのが本件である。 前提事実及び争点原判決3頁4行目の「当事者間に争いがない。」を「甲1,2,弁論の全趣旨」と,同頁5行目の「原告と被告は」を「被控訴人(昭和△年△月△日生)と控訴人(昭和△年△月△日生)は」とそれぞれ改めるほかは,同3頁5行目から同6頁18行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 当審における控訴人の主張(1)親権者指定原判決は,①子ども3人がいずれも年少であること,②別居以降,被控訴人が子どもらを養育していること,③控訴人が1か月に約10日出張により自宅を留守にするとして,子ども3人の親権者をいずれも被控訴人に指定したが,①,②については,本件において特有な事実ではないから,これを根拠とすることは間違いである。また,③についても,控訴人の出張中,控訴人の両親が子どもらの面倒をみることが可能であるし,被控訴人の方もアルバイトに出るのであるから,その間,まったく子どもらの面倒をみる者がいなくなる。したがって,子どもらの養育監護の観点からすれば,被控訴人の環境の方が劣悪である。 (2)養育費原判決は,①控訴人の平成21年分の収入額の認定資料が存在しないこと,②控訴人の役員報酬が再び増額される可能性があること,③A株式会社,B株式会社及び控訴人間における財産の移動の融通性が高いことを根拠として,控訴人の平成19年分の収入額1641万円を養育費算定の総収入としたが,控訴人の平成21年分の収入額は1495万3000円に低下しているし(乙15),②,③はいずれも理由とならない。 - 3 -他方,被控訴人の収入から家賃収入120万円を控除しているのは問題である。被控訴人としては,この家賃をいくらでも減額できるのであり,しかも,被控訴人の有限会社Cに ずれも理由とならない。 - 3 -他方,被控訴人の収入から家賃収入120万円を控除しているのは問題である。被控訴人としては,この家賃をいくらでも減額できるのであり,しかも,被控訴人の有限会社Cに対する貸金約3820万円との相殺も可能なのである。そうすると,被控訴人の収入は,少なく見積もっても436万円(316万円+120万円)となる。 さらに,本年4月1日から子ども手当が一人当たり毎月1万3000円支給されることになった。来年度からはこれが2万6000円に増額されるとのことである。したがって,この金額については,当然に養育費から控除されるべきである。 (3)財産分与原判決が,夫婦共同財産の総額を2497万7206円と認定したのは,明らかに誤りである。その算定の基礎となった1670万円(①A,B等からの配当金1210万円,②郵便局の定額貯金戻分270万円,③日本生命保険相互会社(以下「日本生命」という。)の生命保険(以下「本件生命保険」という。)の解約払戻金約90万円,④婚姻前から有していた山口銀行の預金100万円)は,控訴人が婚姻前から有していた特有財産である。 また,被控訴人は,Cに対する貸付金約3820万円を有しており,これは,上記のとおり,家賃と相殺という形で回収が可能なのであるから,資産価値を十分に有しているといえる。そうすると,この貸付金債権は,夫婦共同財産ということができる。 さらに,夫婦共同財産の形成における控訴人の貢献度を考慮に入れるならば,その寄与度は,控訴人が6割,被控訴人が4割とすべきである。 (4)年金分割同様の趣旨から,按分割合を0.4とすべきである。 (5)慰謝料原判決は,被控訴人のトリコモナス(性感染症)の発症を控訴人の責任と- 4 -し,この責任と子どもの養育に対する検討意識が低いことを婚姻関 趣旨から,按分割合を0.4とすべきである。 (5)慰謝料原判決は,被控訴人のトリコモナス(性感染症)の発症を控訴人の責任と- 4 -し,この責任と子どもの養育に対する検討意識が低いことを婚姻関係の破綻原因としたが,これは,こじつけというべきであり,また,控訴人に対して「完全な聖人君子たれ」と申し向けているに等しい。原判決の認定は,公平な裁きとはいい難い。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,被控訴人の離婚(親権者指定を含む。)及び慰謝料請求を原判決のとおりに認容するとともに,子どもらの養育費,財産分与(遅延損害金の起算日につき更正がある。)及び年金分割のための標準報酬等の按分割合に関する各処分を原判決のとおりに定めるのを相当と認める。その理由は,次のとおり付加,訂正及び削除するほかは,原判決の「事実及び理由」,「第3当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決6頁25行目の「D」の次に「である。以下「A」という。」を加える。 (2)同7頁9行目の「E株式会社」の次に「(以下「E」という。)」を,同頁10行目の「有限会社C」の次に「(以下「C」という。)」を,同頁16行目から17行目にかけての「B株式会社」の次に「(以下「B」という。)」をそれぞれ加える。 (3)同8頁8行目の末尾に「なお,Fの死亡により,その生命保険金合計約5089万円が被控訴人に支払われたが,これらはすべて金融機関に対する債務の返済や税金の納付等に充てられており,現在,その残金はない(甲30,31,乙6)。」を加え,同頁12行目の「別居」を「同年7月18日に別居」に,同頁19行目の「10歳」を,それぞれ「11歳」に各改める。 (4)同9頁9行目の「所得額」を「収入金額等」と,同頁12行目の「,平成21年分」から同頁16行目の 居」を「同年7月18日に別居」に,同頁19行目の「10歳」を,それぞれ「11歳」に各改める。 (4)同9頁9行目の「所得額」を「収入金額等」と,同頁12行目の「,平成21年分」から同頁16行目の「見込みがある。」までを「,たやすく採用できない。」と,同頁21行目から22行目にかけての「融通性は高い。」を「融通性が高く,実質的には控訴人に属する財産が形式的にはこれらの会- 5 -社に留保されて存在する可能性もある。」とそれぞれ改める。 (5)同11頁8行目の「,原告が」から10行目の末尾までを「,FやGに格別の遺産があったことを認めるに足りる証拠がない本件においては(なお,F死亡による生命保険金が既に全額債務等の弁済に充てられたことは前記のとおりである。),これらの遺産を考慮する必要があるとは認められない。」に改める。 (6)同12頁15行目,19行目及び23行目の各「(当事者間にも争いがない。)」をいずれも削る。 (7)同14頁19行目から15頁4行目までを次のとおり改める。 「しかしながら,甲32の1ないし3,34,37,38,40の1及び被控訴人本人尋問の結果と弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,Cの決算報告書上には,同社に対し,平成20年3月31日までに2714万0444円を貸し付け,同年9月30日までに3767万9084円(上記2714万0444円を含む。)を貸し付けた旨が,Eの決算報告書上には,同社に対し,平成20年3月31日までに706万0928円を貸し付けた旨がそれぞれ記載されていること,そのうち,Cに対する貸付金中874万0200円は,前記生命保険金から同額がCに貸し付けられ,これが前記税金の納付に充てられたものであること,しかし,Cに対するその余の貸付金とEに対する貸付金については,被控訴人が両社に係る経理事務 万0200円は,前記生命保険金から同額がCに貸し付けられ,これが前記税金の納付に充てられたものであること,しかし,Cに対するその余の貸付金とEに対する貸付金については,被控訴人が両社に係る経理事務を母のG(以下「G」という。)に委ねていたこともあって,なぜ上記のような各決算報告書上の記載がされたのか知らず,まったくその説明をすることができないことが認められる。また,乙6と弁論の全趣旨によれば,平成18年12月26日,被控訴人が前記生命保険金のうち2068万3016円を吉南信用金庫阿知須支店のEの預金口座に振り込み,Gがそれを同社やCの債務等の返済に充てたことが認められるが,その返済債務の内容や,返済先,被控訴人の貸付金としての処理が具体的にどのようにさ- 6 -れたのかは一切不明であるほか,他に一件記録を検討しても,上記貸付金の発生原因事実を認めるに足りる証拠はない。 上記事実によれば,生命保険金からCの税金の納付に充てられた874万0200円が被控訴人の同社に対する貸付金として処理されたことが認められ,また,生命保険金からEの預金口座に振り込まれた2068万3016円の一部である706万0928円が被控訴人の同社に対する貸付金として処理されたものと推認できるところ,これらについては,いずれもその原資が生命保険金であるから,被控訴人の特有財産であることは明らかである。さらに,被控訴人のCに対するその余の貸付金2893万8884円(上記3767万9084円から874万0200円を差し引いた金額である。)は,上記のとおりの証拠状況からみて,そもそもこのような多額の貸付金が存在するのか疑問である上,仮にこれが存在するとしても,それは,GがEの上記預金口座に振り込まれた生命保険金を適宜EやCの債務等の返済に充てた上,被控訴人の貸付金とし もそもこのような多額の貸付金が存在するのか疑問である上,仮にこれが存在するとしても,それは,GがEの上記預金口座に振り込まれた生命保険金を適宜EやCの債務等の返済に充てた上,被控訴人の貸付金として処理した可能性が高いし,被控訴人の父Fの死亡による相続に際し,もともと同人がEとCに対して有していた各貸付金のうち,Eに対する貸付金がGに,Cに対する貸付金が被控訴人にそれぞれ割り付けられて相続の処理がされた可能性もあることからすると,被控訴人のCに対する貸付金2893万8884円は,すべて被控訴人の特有財産であると推定され,この推定を覆すに足りる証拠はない。 そうすると,被控訴人のCに対する貸付金3767万9084円は,仮にそれが全額存在するとしても,被控訴人の特有財産ということになるから,財産分与に当たって分与対象財産に算入することはできない。」(8)同15頁14行目の次に改行して以下を加える。 「したがって,控訴人は,被控訴人に対し760万円及びこれに対する本判決確定の日(財産分与の効力の生ずる日)の翌日から支払済みまで年5- 7 -分の割合による遅延損害金の支払義務がある。」(9)同16頁24行目の末尾に続けて「したがって,被控訴人の慰謝料請求は,100万円及びこれに対する婚姻破綻後の平成20年11月2日(訴状送達の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。」を加える。 当審における控訴人の主張について(1)親権者指定について控訴人は,前記摘示のとおり原判決を批判するとともに,子どもらの養育監護の観点からすれば,被控訴人の環境の方が劣悪であると主張するが,甲4,33及び被控訴人本人尋問の結果と乙13及び控訴人本人尋問の結果とを対照して検討すると,控訴人には出張が多かったこともあ 養育監護の観点からすれば,被控訴人の環境の方が劣悪であると主張するが,甲4,33及び被控訴人本人尋問の結果と乙13及び控訴人本人尋問の結果とを対照して検討すると,控訴人には出張が多かったこともあって,当事者間の子であるH(平成△年△月△日生),I(同日生)及びJ(平成△年△月△日生)についていずれも主として養育監護に当たってきたのは被控訴人であったことが認められるほか,控訴人は,別居後に知り合った女性と再婚するつもりである旨を陳述ないし供述しており(乙13,同本人尋問),その可能性は高いとみるべきところ,当該女性や控訴人の母の協力があるとしても,Hらがそれまで主たる養育監護者であった被控訴人のもとを離れ,新たな環境に適応するには相当の葛藤が生じるであろうことが容易に予見されることを考慮すると,Hらについては,その親権者をいずれも被控訴人と指定するのが相当である。 (2)養育費についてア控訴人は,控訴人及び被控訴人の収入のいずれもが誤っているとして,控訴人の収入は,平成19年分の収入ではなく,平成21年分の収入である1495万3000円として,被控訴人の収入は,家賃収入120万円を加算した436万円として養育費を算定すべきであると主張する。 よって検討するに,原審記録上明らかな事実に加え,乙14と控訴人本- 8 -人尋問の結果によれば,控訴人は,平成21年7月2日付け準備書面(5)において,自己の年収を1641万円とした上,自ら養育費を子どもら一人当たり月額6万1000円と計算してその旨主張し,同年9月14日の原審第6回弁論準備手続期日において,次回口頭弁論期日である同年10月8日に控訴人,被控訴人の各本人尋問を実施する旨の証拠決定がされて弁論準備手続が終結されたにもかかわらず,同日開かれた同口頭弁論期日において,同年9月1 日において,次回口頭弁論期日である同年10月8日に控訴人,被控訴人の各本人尋問を実施する旨の証拠決定がされて弁論準備手続が終結されたにもかかわらず,同日開かれた同口頭弁論期日において,同年9月16日に開催されたAの常務会において,経費削減に相当な注力が必要であるとして,同年11月支給分から自主的に取締役報酬額を28.57パーセントカットし,月額70万円(平成20年までは月額100万円であり,平成21年1月ころから月額70万円となった。)から50万円とすることに応じる旨を承認するとの決議がされた旨の取締役会(常務会)議事録(乙14)を提出し,同日実施された本人尋問においてもその旨を供述したことが認められる。しかしながら,Aの決算書類は,原審においても,当審においても提出されておらず,Aの業績が上記のような取締役報酬額の大幅な減額を必要とするまでに悪化していることを認めるに足りる客観的な証拠はないし,控訴人も,本人尋問(40項)において同社における控訴人の事業部の成績はよかった旨を供述している。そして,これに加えて,当審において提出された乙15や上記の訴訟経過に照らして考えると,上記常務会の取締役報酬減額の決議は,本件訴訟における養育費の算定において,その高額化を免れるために意図的に作出されたものとの疑いが残るというべきであり,これによる控訴人の収入の減額をたやすく認めることはできない。 そうすると,本件においては,当事者間の衡平のためにも,甲15による控訴人の平成19年分の収入金額である1641万円を養育費算定上の控訴人の総収入とすべきである。 他方,被控訴人の収入についてであるが,甲40の1と弁論の全趣旨に- 9 -よれば,被控訴人は,子どもらとともにC所有の自宅建物に居住し,家賃として年額120万円を支払っていることが認められ る。 他方,被控訴人の収入についてであるが,甲40の1と弁論の全趣旨に- 9 -よれば,被控訴人は,子どもらとともにC所有の自宅建物に居住し,家賃として年額120万円を支払っていることが認められるところ,この家賃収入120万円をCの収益に計上すれば,被控訴人の収入がその分だけ増額するが,その場合,今度は被控訴人の家賃支出として同額を計上すべきであるから,特別経費の控除をその分だけ増額しなければならないこととなる。 したがって,原判決のように,家賃収入をCの収入ないし被控訴人の収入からあらかじめ控除しようと,これを計上した上で被控訴人の収入から特別経費として控除しようと,結局,被控訴人の基礎収入が約221万円であることに変わりはないから,控訴人の主張を採用することはできない。 イ次に,控訴人は,本年4月1日から子ども手当が一人当たり毎月1万3000円支給されることになったとして,これを養育費から控除すべきであると主張する。 しかしながら,平成22年度における子ども手当の支給に関する法律は,次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援するために,平成22年度における子ども手当の支給をする趣旨(1条)で制定された同年度限りの法律であり,政府は,平成23年度以降の子育て支援に係る全般的な施策の拡充について検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされていること(附則2条2項),その支給要件も,監護者である父又は母の所得に関する制限が設けられておらず(4条1項,2項),厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の平成22年3月31日付け都道府県知事宛て通知(雇児発0331第17号)においても,子ども手当については,子育てを未来への投資として,次代を担う子どもの育ちを個人や家族のみの問題とするのではなく,社会全体で応援するという観点から実施 宛て通知(雇児発0331第17号)においても,子ども手当については,子育てを未来への投資として,次代を担う子どもの育ちを個人や家族のみの問題とするのではなく,社会全体で応援するという観点から実施するものであると説明されていることからすると,子ども手当の支給は,民法上の扶養義務に淵源を有する養育費の支払に影響を与えるものではないと解- 10 -されるし,少なくとも,平成22年度限りの法律である同法による子ども手当について,これを継続的な養育費算定において考慮することは妥当でないというべきである。 したがって,控訴人の上記主張を採用することはできない。 (3)財産分与について控訴人は,①A,B等からの配当金1210万円,②郵便局の定額貯金払戻分270万円,③本件生命保険の解約払戻金約90万円,④婚姻前から有していた山口銀行の預金100万円,以上合計1670万円は,控訴人が婚姻前から有していた特有財産であると主張する。 しかしながら,①,②及び④については,これらを控訴人が被控訴人との婚姻前から有していたとの証拠は,乙13と控訴人本人尋問における陳述ないし供述しかなく,これだけでは,控訴人の上記主張を認めることはできない。 また,③の本件生命保険については,甲12,29の1,34,乙5,13と弁論の全趣旨によれば,控訴人は,平成6年8月1日,日本生命と生命保険契約を締結したが,平成20年4月ころこれを解約したことから,同月8日,本件解約払戻金391万0167円が夫婦共有財産である山口銀行小野田駅前支店の控訴人名義預金口座に振り込まれたこと,同生命保険契約の3年経過時点(控訴人と被控訴人との婚姻が平成9年6月1日である。)における解約払戻金の金額は50万0200円であること,同口座からは,平成20年4月15日,控訴人が200万円を払い 生命保険契約の3年経過時点(控訴人と被控訴人との婚姻が平成9年6月1日である。)における解約払戻金の金額は50万0200円であること,同口座からは,平成20年4月15日,控訴人が200万円を払い戻して夫婦共有財産であるソニー銀行の控訴人名義預金に振り替え,同年7月9日,被控訴人が310万円を払い戻して夫婦共有財産であるC名義の車両の購入代金に充て,同月18日,被控訴人が360万円を払い戻して夫婦共有財産である同額の現金を保有していること,そのほかにも,控訴人は,上記山口銀行小野田駅前支店の預金口座から数回にわたって払い戻した金員をカードの支払や税金の支- 11 -払に充てており,婚姻生活の共同の費用として費消していることが認められる。上記事実によれば,本件解約払戻金の中に控訴人の特有財産的部分があるとしても,それは,2年10月分の保険料の支払に対応する50万円弱にすぎず,夫婦共有財産の総額が2400万円を超える本件においては僅少額にとどまっているし,控訴人と被控訴人とのその後の婚姻,同居期間が10年以上に及んでいることや既に婚姻生活の共同の費用として費消されていることを考慮すると,上記50万円弱をあえて控訴人の特有財産として認めるほどのものとは認め難いというべきである。 次に,控訴人は,夫婦共同財産の形成における控訴人の寄与度は6割であると主張するが,一件記録を精査しても,控訴人にそのような寄与度を認めるべき特別の貢献があったとは認められない。 したがって,控訴人の上記各主張はいずれも採用することはできない。 (4)年金分割について控訴人は,年金分割の按分割合を0.4とすべきであると主張するが,既に説示したとおり,控訴人に特別の貢献があったとは認められないから,控訴人の同主張も採用することはできない。 (5)慰謝料について控 人は,年金分割の按分割合を0.4とすべきであると主張するが,既に説示したとおり,控訴人に特別の貢献があったとは認められないから,控訴人の同主張も採用することはできない。 (5)慰謝料について控訴人は,前記摘示のとおり,原判決が慰謝料100万円を認めたことについても不服の主張をするが,控訴人が被控訴人の求めた性感染症に係る検査・治療に応じなかったことや控訴人に子どもらに対する配慮の不足があることは否定し難い事実であり,これについても,控訴人の主張を採用することはできない。 第4 結論 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし,控訴費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。なお,原判決主文6項に「本判決確定の日」とあるのは,被控訴人の請求内容及び- 12 -原判決の説示構成からして「本判決確定の日の翌日」の明白な誤記というべきであるから,その旨更正する。 広島高等裁判所第4部裁判長裁判官廣田聰裁判官近下秀明裁判官松葉佐隆之

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