昭和24(わ)15 窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和24年4月22日 札幌高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人百瀬武利上告趣旨第一点 原審は憲法並びに刑事訴訟法の精神に違反し公 判に於て取調べなければならない証拠の取調をして

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判決文本文2,559 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人百瀬武利上告趣旨第一点原審は憲法並びに刑事訴訟法の精神に違反し公判に於て取調べなければならない証拠の取調をしていない被告人け原審に於ける昭和二十三年四月十九日の公判廷に於て「本件に付取調中小樽警察署に於て係警察官のため耳の辺を殴られて中耳炎に罹り遂に一方の耳が聞えなくなつた」旨を申立てた若し右の申立が眞実であれば被告人の耳を不具にした上之に対して重刑を科するのは不当である故に裁判所は其の眞否を明かにしなければならない換言すれば被告人が公判廷に於て当該事件に付係官から暴行凌虐を受けたと申立た場合には裁判所は職権を以つて又は申立により証拠調を爲して白か黒かを明かにすることを要するものと信ずる右は憲法並びに刑事訴訟法の精神の命ずるところであると確信する弁護人は前掲四月十九日原審公判に於て前記申立の眞否を明確にするため当時被告人が勾留に服していた小樽刑務支所より診療簿の取寄方並びに証人として係警部補及び主治医の訊問を申請した次第である然るに原審は右申請を全部即日却下したのであるが被告人の耳は不具のままであるし其の後一年近くも経過するが係官が暴行凌虐罪で立件されたことも聞かない斯くては暗黒が続くのみである原審が前記証拠申請を却下し証拠調をしなかつたのは違法であると信ずる仍つて原判決を破棄し相当裁判仰度しというにある。 原判決は第一審第一回公判調書中第一審相被告人Aの供述記載B提出の盗難始末書及び被告人の原審公判廷における自白を証拠として、被告人が昭和二十一年九月二十二日小樽市a町bc丁目d番地の当時の被告人の住居で第一審相被告人Aから同被告人外三名が窃取して來た砂糖八袋(一袋三十瓩入り)及び小麦粉一袋を賍物であることを知りながら代金五万円で買受けた事実を認定 二日小樽市a町bc丁目d番地の当時の被告人の住居で第一審相被告人Aから同被告人外三名が窃取して來た砂糖八袋(一袋三十瓩入り)及び小麦粉一袋を賍物であることを知りながら代金五万円で買受けた事実を認定したのであつて所論聴取書は原判決がこれを証拠として採用しなかつたことが明らかであるから、被告人が原審において論旨掲記のような暴行凌虐を受けたことを供述し、弁護人において右供述の眞否を明確にするため証拠調を申請し原裁判所が右申請全部を却下したことは原審公判調書によつて認めうるけれども、右証拠調をしなかつたことは少しも原判決の右認定に影響を與えていないことが明らかであるからこれをもつて原判決を破毀すべき理由ありとするに足りない。 同第二点原審は法律に従い判決裁判所を構成していない本件の審理に列席した原審の裁判官は裁判長判事C判事D判事補Eの三名である右裁判官の内判事Dは原審札幌地方裁判所の判事に補せられた事実はないと信ずる故に原審は適法に判決裁制所を構成しなかつたものと信ずる仮りに裁判所法第二十八條の規定に従つて札幌高等裁判所が差し迫つた必要ありとして判事Dをして札幌地方裁判所の裁判官の職務を行わせ本件の審理に列席せしむるに至つたものとするならば原審に於ける判決裁判所の構成は裁判所法第二十八條に違反しているものと信ずるその理由は次の通りである。 憲法第三十二條により何人も裁判所に於て裁判を受ける権利を奪われない、憲法第三十七條第一項によりすべて刑事事件に於ては被告人は公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有し又被告人は場合により裁判官を忌避する権利をも有するのであるから被告人は当裁判所の裁判官の氏名を予め知る権利を有し其の機会を與えられなければならない故に本件に付ては札幌高等裁判所は公告其他適当な方法で判事Dをして札幌地方裁判所の裁判官 利をも有するのであるから被告人は当裁判所の裁判官の氏名を予め知る権利を有し其の機会を與えられなければならない故に本件に付ては札幌高等裁判所は公告其他適当な方法で判事Dをして札幌地方裁判所の裁判官の職務を代行せしむる事を札幌地方裁判所管内の国民に対して周知せしむる方法をとらなければならない然るに札幌高等裁判所は右の手続をとつた形跡がないし原審裁判長も被告に対して其の旨を告げていない同判事は天降り的に列席したものである従つて判事Dは原審に於て本件の審理に列席することが出来ないものと信ずるにも不拘同判事は原審に於て本件審理に列席したのであるから原判決を破棄し相当裁判仰度し、といい、同第三点判事Dが裁判所法第二十八條の規定に依つて職務の代行を命ぜられて原審構成員の一人となつたものであるたらば原審公判調書並原判決に其の旨を記載したければならないものと信ずる然るに原審公判調書と原判決には其の旨の記載がないから原判決は破棄さるべきものと信ずる。仍つて原判決を破棄し相当裁判仰度し、というにある。 <要旨第一>裁制所法第二十八條によれば地方裁制所において裁判事務の取扱上さし迫つた必要があるときはその所在地を</要旨第一>管轄する高等裁判所はその管轄区域内の他の地方裁判所の裁判官に当該地方裁判所の裁判官の職務を行わせることができるものであつて、函館地方裁判所判事Dはこの規定により本件につき原裁判所の審判に関與したものであるから原審は法律に従つて判決裁判所を構成したことが明らかである。そうして同條の場合に高等裁判所が公告其他の方法で右の旨を周知せしむる方法をとり又原審裁判長が被告人に対してその旨を告げたけ<要旨第二>ればならないという規定が存在しないので論旨第二点は理由がなく、又同條の規定によつて他の地方裁判所の</要旨第二>裁判官が当該地方裁判所の公判 又原審裁判長が被告人に対してその旨を告げたけ<要旨第二>ればならないという規定が存在しないので論旨第二点は理由がなく、又同條の規定によつて他の地方裁判所の</要旨第二>裁判官が当該地方裁判所の公判に関與した場合に公判調書や判決書には当該裁判官の官氏名を記載すれば足り特に同條によつて職務を代行するものである旨の記載を必要としたいから、論旨第三点もまた理由がない。 よつて旧刑事訴訟法第四百四十六條を適用し、主文の通り判決する。 (裁判長裁判官原和雄裁判官藤田和夫裁判官河野力)

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