平成28(ワ)37782 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成31年1月31日 東京地方裁判所
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平成31年1月31日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成28年(ワ)第37782号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成30年10月2日判決 原告 ダイソンテクノロジーリミテッド 上記訴訟代理人弁護士 熊倉禎男 良由里子 松野仁彦 上記訴訟代理人弁理士 渡邊徹 山本泰史 被告 東芝ライフスタイル株式会社 上記訴訟代理人弁護士 鮫島正洋 小栗久典 和田祐造 髙野芳徳 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 被告は,原告に対し,6億2236万円及びこれに対する平成28年11月12日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要 本件は,発明の名称を「電気機械の制御」とする特許(特許第5189132号。以下,「本件特許1」といい,本件特許1に係る特許権を「本件特許権1」という。)及び発明の名称を「高速電気システム」とする特許(特許第5189133号。以下,「本件特許2」といい,本件特許2に係る特許権を「本件特許権2」という。)を有する原告が,被告の製造販売に係る別紙物件目録記載のバッテリ式 速電気システム」とする特許(特許第5189133号。以下,「本件特許2」といい,本件特許2に係る特許権を「本件特許権2」という。)を有する原告が,被告の製造販売に係る別紙物件目録記載のバッテリ式真空掃除機(コードレスクリーナー。以下「被告製品」という。)及び被告製品におけるモータの制御方法が本件特許権1の請求項1,6,8ないし12の発明 の技術的範囲及び本件特許権2の請求項1,4ないし7の発明の技術的範囲に属し,被告が被告製品を製造,販売等することは本件特許権1及び2を侵害すると主張して,被告に対し,民法709条に基づく損害賠償金(一部請求)及び遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって容 易に認められる事実)原告は,イギリスに本社を置く株式会社であり,主として掃除機,扇風機等の家庭用電化製品の開発,製造,販売等を行っている。(甲1,弁論の全趣旨)被告は,いわゆる白物家電の開発,製造及び販売を主たる事業とする株式会社である。(争いがない) 原告は,以下のとおり,本件特許権1及び本件特許権2を有している。(甲1ないし4)ア本件特許権1特許番号特許第5189132号発明の名称電気機械の制御 出願日平成22年4月5日 公開日平成22年10月28日優先日平成21年4月4日優先権主張国英国登録日平成25年2月1日イ本件特許権2 特許番号特許第5189133号発明の名称高速電気システム出願日平成22年4月5日公開日平成22年10月28日優先日平成21年4月4日 許番号特許第5189133号発明の名称高速電気システム出願日平成22年4月5日公開日平成22年10月28日優先日平成21年4月4日 優先権主張国英国登録日平成25年2月1日本件特許1の各請求項の記載は以下のとおりである(なお,本件特許1について,特許庁の訂正審判事件(訂正2017-390116)が確定しているため,訂正後の請求項を記載している。)。(争いがない,甲34) ア請求項1(以下,本件特許1の請求項1に係る発明を「本件特許発明1-1」といい,本件特許1の各請求項に係る発明を「本件特許発明1」と総称することがある。)「単相永久磁石モータを制御する方法であって,先進角だけ巻線の逆起電力のゼロ交差よりも前に励起電圧によって励起され,かつ整流前のフリーホ イール角にわたってフリーホイールされる単相永久磁石モータの巻線を順次励起してフリーホイールさせる段階と,前記励起電圧の変化に応答して前記先進角及び前記フリーホイール角を変更する段階と,を含み,前記励起電圧の低下に応答して,前記先進角が増加し,前記フリーホイール角が減少することを特徴とする方法。」 イ請求項6(以下,本件特許1の請求項6に係る発明を「本件特許発明1- 6」という。)「前記単相永久磁石モータの速度の変化に応答して前記先進角及び前記フリーホイール角の少なくとも一方を変更する段階を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。」ウ請求項8(以下,本件特許1の請求項8に係る発明を「本件特許発明1- 8」という。)「前記速度の増大に応答して前記フリーホイール角が低減する段階を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法 求項8(以下,本件特許1の請求項8に係る発明を「本件特許発明1- 8」という。)「前記速度の増大に応答して前記フリーホイール角が低減する段階を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。」エ請求項9(以下,本件特許1の請求項9に係る発明を「本件特許発明1-9」という。) 「各電気半サイクルが,前記先進角から始まる単一駆動期間と,前記フリーホイール角に対応する単一フリーホイール期間とからなり,前記駆動期間中に前記巻線を励起する段階と,前記フリーホイール期間中に前記巻線をフリーホイールさせる段階と,を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。」 オ請求項10(以下,本件特許1の請求項10に係る発明を「本件特許発明1-10」という。)「単相永久磁石モータのための制御システムであって,請求項1~9のいずれか1項に記載の方法を実施する,ことを特徴とするシステム。」カ請求項11(以下,本件特許1の請求項11に係る発明を「本件特許発明 1-11」という。)「単相永久磁石モータと,請求項10に記載の制御システムと,を含むことを特徴とするバッテリ式製品。」キ請求項12(以下,本件特許1の請求項12に係る発明を「本件特許発明1-12」という。) 「単相永久磁石モータと,請求項10に記載の制御システムと,を含むこ とを特徴とする真空掃除機。」本件特許2の各請求項の記載は以下のとおりである。(争いがない)ア請求項1(以下,本件特許2の請求項1に係る発明を「本件特許発明2-1」といい,本件特許2の各請求項に係る発明を「本件特許発明2」と総称することがある。) 「単相永久磁石電気機械と,60krpmを超える速度での負荷の下で前記電気機 発明を「本件特許発明2-1」といい,本件特許2の各請求項に係る発明を「本件特許発明2」と総称することがある。) 「単相永久磁石電気機械と,60krpmを超える速度での負荷の下で前記電気機械を駆動するための制御システムと,を含み,前記制御システムは,励起電圧によって励起される前記電気機械の巻線を順次励起してフリーホイールさせ,前記電気機械が,60krpmよりも大きい最小値及び80krpmよりも大きい最大値を有する作動速度範囲にわたって,且つ,最大電 圧と前記最大電圧の80%未満である最小電圧の間に定められた励起電圧範囲にわたって駆動されるように,前記制御システムは,前記励起電圧に応答して,前記巻線が励起されるタイミング及び前記巻線がフリーホイールされる期間を変更することを特徴とする電気システム。」イ請求項4(以下,本件特許2の請求項4に係る発明を「本件特許発明2- 4」という。)「前記巻線は,先進期間だけ逆起電力のゼロ交差よりも前に励起され,整流前のフリーホイール期間にわたってフリーホイールされ,前記制御システムは,励起電圧の減少に応答して,前記進み期間を増大させ,前記フリーホイール期間を減少させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に 記載の電気システム。」ウ請求項5(以下,本件特許2の請求項5に係る発明を「本件特許発明2-5」という。)「各電気半サイクルが,単一駆動期間と単一フリーホイール期間からなり,前記制御システムは,前記駆動期間中に前記電気機械の巻線を励起し,かつ 前記フリーホイール期間中に前記巻線をフリーホイールさせることを特徴 とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電気システム。」エ請求項6(以下,本件特許2の請求項6に係る発明を「本件特許発明2 リーホイール期間中に前記巻線をフリーホイールさせることを特徴 とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電気システム。」エ請求項6(以下,本件特許2の請求項6に係る発明を「本件特許発明2-6」という。)「前記電気機械は,10mm未満の直径を有する永久磁石回転子を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電気システム。」 オ請求項7(以下,本件特許2の請求項7に係る発明を「本件特許発明2-7」という。)「バッテリパックと,請求項1~6のいずれか1項に記載の電気システムと,を含み,前記巻線は,前記バッテリパックの電圧によって励起され,前記制御システムは,前記バッテリパックの電圧に応答して,前記巻線が励起 されるタイミング及び前記巻線がフリーホイールされる期間を変更することを特徴とする製品。」本件特許発明1は,以下のとおり分説することができる(以下,分説された構成を構成要件1Aなどと表記する。なお,本件特許1については,特許庁の訂正審判事件(訂正2017-390116)が確定しているため,訂正後の 請求項を基にしている。)。 ア本件特許発明1-11A 単相永久磁石モータを制御する方法であって,1B 先進角だけ巻線の逆起電力のゼロ交差よりも前に励起電圧によって励起され,かつ整流前のフリーホイール角にわたってフリーホイール される単相永久磁石モータの巻線を順次励起してフリーホイールさせる段階と,1C 前記励起電圧の変化に応答して前記先進角及び前記フリーホイール角を変更する段階と,を含み,1D 前記励起電圧の低下に応答して,前記先進角が増加し,前記フリー ホイール角が減少する 1E ことを特徴とする方法。 イ本件特許発明1-61F 前記 段階と,を含み,1D 前記励起電圧の低下に応答して,前記先進角が増加し,前記フリー ホイール角が減少する 1E ことを特徴とする方法。 イ本件特許発明1-61F 前記単相永久磁石モータの速度の変化に応答して前記先進角及び前記フリーホイール角の少なくとも一方を変更する段階を含む1G ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。 ウ本件特許発明1-81H 前記速度の増大に応答して前記フリーホイール角が低減する段階を含む1I ことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。 エ本件特許発明1-9 1J 各電気半サイクルが,前記先進角から始まる単一駆動期間と,前記フリーホイール角に対応する単一フリーホイール期間とからなり,1K 前記駆動期間中に前記巻線を励起する段階と,1L 前記フリーホイール期間中に前記巻線をフリーホイールさせる段階と, 1M を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。 オ本件特許発明1-101N 単相永久磁石モータのための制御システムであって,1O 請求項1~9のいずれか1項に記載の方法を実施する,ことを特徴 とするシステム。 カ本件特許発明1-111P 単相永久磁石モータと,請求項10に記載の制御システムと,を含む1Q ことを特徴とするバッテリ式製品。 キ本件特許発明1-12 1P 単相永久磁石モータと,請求項10に記載の制御システムと,を含む1R ことを特徴とする真空掃除機。 本件特許発明2は,以下のとおり分説することができる。 ア本件特許発明2-1 2A 単相永久磁石電気機械と,60krpmを超える速度での負荷の下で前記電気機械を駆動するため 。 本件特許発明2は,以下のとおり分説することができる。 ア本件特許発明2-1 2A 単相永久磁石電気機械と,60krpmを超える速度での負荷の下で前記電気機械を駆動するための制御システムと,を含み,2B 前記制御システムは,励起電圧によって励起される前記電気機械の巻線を順次励起してフリーホイールさせ,2C 前記電気機械が,60krpmよりも大きい最小値及び80krp mよりも大きい最大値を有する作動速度範囲にわたって,且つ,最大電圧と前記最大電圧の80%未満である最小電圧の間に定められた励起電圧範囲にわたって駆動されるように,前記制御システムは,前記励起電圧に応答して,前記巻線が励起されるタイミング及び前記巻線がフリーホイールされる期間を変更する 2D ことを特徴とする電気システム。 イ本件特許発明2-42E 前記巻線は,先進期間だけ逆起電力のゼロ交差よりも前に励起され,整流前のフリーホイール期間にわたってフリーホイールされ,2F 前記制御システムは,励起電圧の減少に応答して,前記進み期間を 増大させ,前記フリーホイール期間を減少させる2G ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電気システム。 ウ本件特許発明2-52H 各電気半サイクルが,単一駆動期間と単一フリーホイール期間から なり, 2I 前記制御システムは,前記駆動期間中に前記電気機械の巻線を励起し,かつ前記フリーホイール期間中に前記巻線をフリーホイールさせる2J ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電気システム。 エ本件特許発明2-6 2K 前記電気機械は,10mm未満の直径を有する永久磁石回転子を有する2L ことを特徴とする請求項1~5のいず 求項1~4のいずれか1項に記載の電気システム。 エ本件特許発明2-6 2K 前記電気機械は,10mm未満の直径を有する永久磁石回転子を有する2L ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電気システム。 オ本件特許発明2-7 2M バッテリパックと,2N 請求項1~6のいずれか1項に記載の電気システムと,を含み,2O 前記巻線は,前記バッテリパックの電圧によって励起され,2P 前記制御システムは,前記バッテリパックの電圧に応答して,前記巻線が励起されるタイミング及び前記巻線がフリーホイールされる期 間を変更することを特徴とする製品。 被告は,別紙物件目録記載のバッテリ式真空掃除機(コードレスクリーナー)である被告製品を製造し,平成26年1月から販売を開始したが,現在は生産を終了した。(争いがない)被告製品又は被告製品のモータの制御方法は本件特許発明1の構成要件1 A,1E,1N,1Q及び1R並びに本件特許発明2の構成要件2A,2D,2K,2M及び2Oを充足する。(争いがない,弁論の全趣旨) 3 争点被告製品又は被告製品のモータの制御方法が本件特許発明1の技術的範囲に属するか否か(争点1) ア構成要件1Bの充足性(争点1-1) イ構成要件1C及び1Dの充足性(争点1-2)ウ構成要件1F及び1Hの充足性(争点1-3)エ構成要件1J,1K及び1Lの充足性(争点1-4)被告製品が本件特許発明2の技術的範囲に属するか否か(争点2)ア構成要件2Bの充足性(争点2-1) イ構成要件2Cの充足性(争点2-2)ウ構成要件2E及び2Fの充足性(争点2-3)エ構成要件2H及び2Iの充足性(争点 ア構成要件2Bの充足性(争点2-1) イ構成要件2Cの充足性(争点2-2)ウ構成要件2E及び2Fの充足性(争点2-3)エ構成要件2H及び2Iの充足性(争点2-4)オ構成要件2Pの充足性(争点2-5)間接侵害(特許権侵害行為)の成否(争点3) 本件特許1及び2が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点4)損害発生の有無及びその額(争点5) 4 争点に対する当事者の主張被告製品又は被告製品のモータの制御方法が本件特許発明1の技術的範囲に属するか否か(争点1) ア構成要件1Bの充足性(争点1-1)(原告の主張)被告製品を「強モード」で作動させた場合,先進角だけホール信号のエッジよりも前に入力電圧によって励起(本件においては電圧がモータの巻線に入力されることを意味する。したがって,以下においては,「励起電圧」と 「入力電圧」は実質的に同義であることを前提としている。)され,かつ,入力電圧の反転前のフリーホイール角にわたってフリーホイールされる単相永久磁石ブラシレスモータの巻線を順次励起してフリーホイールさせる段階を有するから,被告製品におけるモータの制御方法は,構成要件1Bを充足する。構成要件1Bは「モータ立ち上げ時の遷移途中の状態」について規 定したものではない。 (被告の主張)構成要件1Bは「モータ立ち上げ時の遷移途中の状態」における段階を定めたものである。被告製品は,モータの立ち上げに関わる制御として,モータ立ち上げ時の遷移途中の状態を制御する起動制御と,その後の安定状態を制御する定常制御の2つの制御モードを有し,モータ立ち上げ時に起動制御 から定常制御に切り替わるようになっているが して,モータ立ち上げ時の遷移途中の状態を制御する起動制御と,その後の安定状態を制御する定常制御の2つの制御モードを有し,モータ立ち上げ時に起動制御 から定常制御に切り替わるようになっているが,モータ立ち上げ時の遷移途中の状態を制御する起動制御では,先進角及びフリーホイール角がゼロであるため先進角及びフリーホイール角を用いた制御を行っていない。したがって,被告製品におけるモータの制御方法は,構成要件1Bを充足しない。 イ構成要件1C及び1Dの充足性(争点1-2) (原告の主張)原告が実施した実験の結果によれば,被告製品におけるモータの制御方法は,入力電圧が17V以上の範囲において,入力電圧の変化に応答して先進角及びフリーホイール角を変更する段階を有し,また,入力電圧の低下に応答して,先進角が増加し,フリーホイール角が減少するから,構成 要件1C及び1Dを充足する。なお,原告は,被告製品におけるモータの制御方法において,●(省略)●が行われる範囲に関しては,本件特許発明1の実施に該当するとの主張はしないが,本件特許発明1は,作動電圧範囲にフリーホイール角が変化しない範囲が含まれていることを排除するものではないから,●(省略)●が行われることは,構成要件1C及び 1Dの充足性の判断には影響しない。 被告は,構成要件1C及び1Dはモータの1回の半サイクル期間(以下,単に「1回の半サイクル期間」ということがある。)における制御内容を意味すると主張するが,本件明細書にそのような限定をする趣旨の記載は存在しない。 被告製品におけるモータの制御方法においては,●(省略)●少なくと も入力電圧が比較的高い範囲(18.2Vから18.7V)では,それらの制御による通電時間の差は,実質的には い。 被告製品におけるモータの制御方法においては,●(省略)●少なくと も入力電圧が比較的高い範囲(18.2Vから18.7V)では,それらの制御による通電時間の差は,実質的には問題にならない程度に小さいから,長い期間(0.5秒)のフリーホイール期間の平均値は,当該期間の入力電圧に対応するフリーホイール期間をほぼ正しく代表している。そもそも,ある制御方法によって実現しようとする制御対象の動作について 種々の要因によって制御対象の実際の挙動が変動し,結果にばらつきが生じることは当業者でもよく知られているのであって,このことは一定の電圧の下において一定の速度で運転される電気モータにも当てはまる。そして,ばらつきのあるデータを扱う場合には個々のデータの分析から対象物の情報を取得することは難しいため,従来からデータの平均値が用いられ ているのであるから,本件においてもフリーホイール期間の傾向を知るために平均値を用いることは有効な方法である。 被告は,被告製品で制御の対象となっているのはモータ通電角であってフリーホイール角ではないと主張するが,被告製品でモータ通電角を制御することはフリーホイール角を直接制御することと同義であるから,被告 製品はフリーホイール角を制御しているといえる。被告製品では,入力電圧が比較的高い範囲(18.2Vないし18.7V)において,原則として●(省略)●が行われ,例外的に●(省略)●を受けたり受けなかったりするが,被告製品では●(省略)●が実行されている際にモータの安全性を確保するために付加的,補助的に●(省略)●が行われているにすぎ ない。実際にも,前記の高電圧の範囲においては●(省略)●の通電時間と●(省略)●の通電時間は実質的に問題にならないほど小さい。このような に付加的,補助的に●(省略)●が行われているにすぎ ない。実際にも,前記の高電圧の範囲においては●(省略)●の通電時間と●(省略)●の通電時間は実質的に問題にならないほど小さい。このような場合にまで本件特許発明1及び2の実施が否定されるものではない。 被告は,被告製品におけるモータの制御方法は,入力電圧の値を用いて制御していないことから,構成要件1C及び1Dの「電圧」に「応答」し てという文言を充足しないと主張するが,「応答」とは,「入力・刺激など に対する出力・反応」という意味であり,その文言の意味に照らせば,励起電圧の変化や低下という刺激に対する反応としてフリーホイール角が変更ないし減少すれば足りると解されるし,本件特許発明1の作用効果という観点から見ても,結果的に励起電圧が変化ないし低下することに応答してフリーホイール角が変更ないし減少するのであれば,同様の作用効果 を奏するから,励起電圧の値を直接的に用いるか間接的に用いるかは重要ではない。また,実際の現象という観点から見ても,電流値は入力電圧の値に大きく依存することは技術常識であり,被告製品の●(省略)●が入力電圧以外の要素によって影響を受けるとしても構成要件充足性の判断に大きな影響を及ぼすものではない。したがって,被告製品におけるモー タの制御方法において,励起電圧の値ではなく●(省略)●を用いて制御していることをもって,構成要件1C及び1Dの充足性は否定されない。 (被告の主張)構成要件1Bの「先進角だけ巻線の逆起電力のゼロ交差よりも前に励起電圧によって励起され,かつ整流前のフリーホイール角にわたってフリー ホイールされる電気機械の巻線を順次励起してフリーホイールさせる段階」との記載は,構成要件1Jなどの「各電気半サ も前に励起電圧によって励起され,かつ整流前のフリーホイール角にわたってフリー ホイールされる電気機械の巻線を順次励起してフリーホイールさせる段階」との記載は,構成要件1Jなどの「各電気半サイクル」と同義であり,1回の半サイクル期間における制御内容を意味するものであるから,それに対応する構成要件1C及び1Dも1回の半サイクル期間における制御内容を意味する。 被告製品におけるモータの制御方法は,1回の半サイクル期間ごとに●(省略)●によるものになったり,●(省略)●によるものになったり●(省略)●によるものになったりするのであり,定常動作時における同一の入力電圧下であっても,各回転におけるモータの●(省略)●が一定に定まらず,フリーホイール期間の平均値を見ただけでは,ある1回の半サ イクル期間において,当該1回の半サイクル期間における通電時間の制御 を●(省略)●のいずれで行っているのかを特定できないから,励起電圧と,当該1回の半サイクル期間のフリーホイール期間の関係は明らかにならない。 また,被告が実施した実験の結果によれば,●(省略)●のフリーホイール期間と●(省略)●のフリーホイール期間との差が約20μ秒になる 場合が示されており,その数値の変動は小さいものとはいえない。 構成要件1Cの「励起電圧の変化に応答して,フリーホイール角を変更する」,構成要件1Dの「励起電圧の低下に応答して,フリーホイール角が減少する」とは,①フリーホイール角を直接の制御対象にしていること,②フリーホイール角が同一の励起電圧下では常に同一の制御内容により 定められることを意味する。 ①について,被告製品におけるモータの制御方法は,モータ通電時間を制御の対象としており,●(省略)●をする。被告製品は,モ 励起電圧下では常に同一の制御内容により 定められることを意味する。 ①について,被告製品におけるモータの制御方法は,モータ通電時間を制御の対象としており,●(省略)●をする。被告製品は,モータの制御方法として,そもそもフリーホイール角又はフリーホイール期間を制御の対象にしておらず,モータ通電時間を対象とした制御を,モータの回転ご とに,●(省略)●のいずれかによって行うものであり,フリーホイール期間をどのような状態にするかということにつき何ら制御をするものではない。被告製品におけるモータの制御方法には入力電圧に応じた規則性は存在し得ず,モータ通電時間を制御することによってフリーホイール期間を制御することになるという関係性についても立証されていない。 ②について,モータの●(省略)●はモータの速度,逆起電力,先進角などの各要素が複雑に絡み合った結果として制御されるものであり,定常動作時であってもモータの●(省略)●は一定に定まらないから,被告製品におけるモータの制御方法は,定常動作時の同一の入力電圧下の動作であっても,通電時間の制御が,モータの回転ごとに●(省略)●によるも のになったり,●(省略)●によるものになったり,●(省略)●による ものになったりする。その結果,モータの通電時間は,同一の入力電圧下であっても,制御内容が変わる結果,変動することになり,一定とならないから,フリーホイール角について,常に同一の入力電圧に対する同一の制御があるとはいえない。 原告が実施した実験の結果において,被告製品におけるモータの制御方 法は,15Vから17Vの範囲ではフリーホイール角は変化していない。 仮に,被告製品におけるモータの制御方法において,入力電圧の値の変化(低下)に基づいてフリーホイール 品におけるモータの制御方 法は,15Vから17Vの範囲ではフリーホイール角は変化していない。 仮に,被告製品におけるモータの制御方法において,入力電圧の値の変化(低下)に基づいてフリーホイール角を制御し,変更しているのであれば,同じ制御を行っている入力電圧17V以下の領域でも,フリーホイール角が入力電圧の値の変化に応答して変化していないことについての説明が つかない。 ウ構成要件1F及び1Hの充足性(争点1-3)(原告の主張)原告が実施した実験の結果によれば,被告製品におけるモータの制御方法は,単相永久磁石ブラシレスモータの速度の変化に応答してフリーホイール 角を変更する段階を有し,その速度の増大に応じてフリーホイール角が低減する段階を有しているから,構成要件1F及び1Hを充足する。 構成要件1F及び1Hは,全ての機械の速度においてフリーホイール角が機械の速度に応答することを要件としていない。原告は,78000回転/分から87000回転/分の範囲における構成要件1F及び1Hの充足を 主張する。被告製品は,少なくとも87000回転/分のモータの速度においてフリーホイール角がモータの速度の増大に応答して低減するのであるから,構成要件1F及び1Hを充足する。 (被告の主張)被告製品におけるモータの制御方法は,モータの回転速度に基づいてフリ ーホイール角の値を制御して変更するようなことは行っていない。原告が実 施した実験の結果を前提としても,87000回転/分超の速度の領域でフリーホイール角がモータの回転速度の変化に応じて変化しておらず,これは被告製品が定常制御の状態でモータの回転速度の変化に基づいてフリーホイール角を変更する制御を行っていないことを裏付ける。したがって,被 ホイール角がモータの回転速度の変化に応じて変化しておらず,これは被告製品が定常制御の状態でモータの回転速度の変化に基づいてフリーホイール角を変更する制御を行っていないことを裏付ける。したがって,被告製品におけるモータの制御方法は,構成要件1F及び1Hを充足しない。 エ構成要件1J,1K及び1Lの充足性(争点1-4)(原告の主張)原告が実施した実験の結果によれば,被告製品におけるモータの制御方法は,各1回の半サイクル期間が,先進角から始まる単一駆動期間と,フリーホイール角に対応する単一フリーホイール期間からなり,駆動期間中に巻線 を励起する段階を有し,フリーホイール期間中に巻線をフリーホイールさせる段階を有しているから,構成要件1J,1K及び1Lを充足する。 (被告の主張)構成要件1Jは,構成要件1Bにおける「先進角」及び「フリーホイール角」並びに構成要件1C及び1Dにおける「前記先進角」及び「前記フリー ホイール角」に関する構成であるところ,前記のとおり,被告製品におけるモータ制御方法は構成要件1Bを充足しないため,被告製品におけるモータ制御方法において構成要件1Bにおける「先進角」及び「フリーホイール角」に対応する構成は存在しない。したがって,構成要件1Jの「前記先進角から始まる単一駆動期間」,「前記フリーホイール角に対応する単一フリーホイ ール期間」に対応する構成はいずれも存在していない。 また,構成要件1K及び1Lは,いずれも構成要件1Jを更に規定するものであり,構成要件1Jを充足しない以上,構成要件1K及び1Lも充足しない。 被告製品が本件特許発明2の技術的範囲に属するか否か(争点2) ア構成要件2Bの充足性(争点2-1) (原告の主 しない以上,構成要件1K及び1Lも充足しない。 被告製品が本件特許発明2の技術的範囲に属するか否か(争点2) ア構成要件2Bの充足性(争点2-1) (原告の主張)原告が実施した実験の結果によれば,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)は,励起電圧によって励起されるブラシレスモータの巻線を順次励起してフリーホイールさせるから,構成要件2Bを充足する。 構成要件1Bと同様,構成要件2Bは「モータ立ち上げ時の遷移途中の 状態」を示したものではない。 (被告の主張)構成要件1Bと同様,構成要件2Bは「モータ立ち上げ時の遷移途中の状態」における段階を定めたものであるところ,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)では,「モータ立ち上げ時の遷移途中の状態」を制御 する起動制御において先進角及びフリーホイール角がゼロであるため,先進角及びフリーホイール角を用いた制御を行っていないといえるから,構成要件2Bを充足しない。 イ構成要件2Cの充足性(争点2-2)(原告の主張) 構成要件1C及び1Dと同様,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)においては,励起電圧が17V以上の範囲で,励起電圧に応答して巻線が励起されるタイミング及び巻線がフリーホイールされる期間を変更している。なお,原告は,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)で●(省略)●が行われる範囲については,本件特許発明2 の実施に該当するとの主張はしないが,本件特許発明2は,作動電圧範囲にフリーホイール期間が変化しない範囲が含まれていることを排除するものではないから,この点は構成要件2Cの充足性の判断には影響しない。 原告が実施した実験の結果によれば,被告製品 は,作動電圧範囲にフリーホイール期間が変化しない範囲が含まれていることを排除するものではないから,この点は構成要件2Cの充足性の判断には影響しない。 原告が実施した実験の結果によれば,被告製品は,15Vから19Vの入力電圧範囲でオリフィス径を10mmから19mmの範囲で変化させ た場合の最小速度は75.4krpm,最大速度は87.4krpmであ り,60krpmよりも大きい最小値(75.4krpm)及び80krpmよりも大きい最大値(87.4krpm)を有する作動速度範囲にわたって駆動される。 構成要件2Cは,電気機械が最大電圧と前記最大電圧の80%未満である最小電圧の間に定められた励起電圧範囲にわたって駆動されることを 要件としたものであり,励起電圧の全範囲にわたってそのように駆動されることを要件とするものではないところ,原告が実施した実験の結果によれば,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)では,励起電圧範囲のうち,少なくとも17Vから19Vの範囲において,巻線がフリーホイールされる期間を変更する制御が行われている。 (被告の主張)構成要件2Cにおける,励起電圧に応答して,巻線がフリーホイールされる期間を変更するという文言に関する主張は,構成要件1C及び1Dについての主張と同様である。 被告製品を定常制御で作動させた場合の作動速度範囲は50krpm を最小値とするものであるから,構成要件2Cにおける,電気機械が60krpmよりも大きい最小値を有する作動速度範囲にわたって駆動されるとの文言を充足しない。 原告が実施した実験の結果を前提とした場合,被告製品のモータが駆動される励起電圧範囲は18.8Vから15V(又は14.6V)の範囲で あるから,被告製 て駆動されるとの文言を充足しない。 原告が実施した実験の結果を前提とした場合,被告製品のモータが駆動される励起電圧範囲は18.8Vから15V(又は14.6V)の範囲で あるから,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)が構成要件2Cを充足するためには,少なくとも18.8V(最大電圧)から15V(又は14.6V)(最大電圧の80パーセント未満の最小電圧)の励起電圧範囲にわたって,当該励起電圧に応答して巻線がフリーホイールされる期間(フリーホイール期間)を変更するという制御が行われる必要があ る。しかしながら,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム) において,フリーホイール期間に変化があるのは励起電圧が17Vを超える範囲に限られており,15V(又は14.6V)から17Vの範囲ではフリーホイール期間は変化しない。 原告が実施した実験の結果を前提とした場合,被告製品におけるモータの制御システムにおいて,15Vから17Vの範囲ではフリーホイール角 は変化していない。仮に,励起電圧の値の変化(低下)に基づいてフリーホイール角を制御し,それを変更しているのであれば,同じ制御を行っている励起電圧17V以下の領域でも,フリーホイール角が励起電圧の値の変化に応答して変化していないことの説明がつかない。 ウ構成要件2E及び2Fの充足性(争点2-3) (原告の主張)原告が実施した実験の結果によれば,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)において,巻線は,先進期間だけホール信号のエッジよりも前に励起され,励起電圧の反転前のフリーホイール期間にわたってフリーホイールされ,また,励起電圧の減少に応答して,前記先進期間を増大させ, 前記フリーホイール期間を減少させることから ジよりも前に励起され,励起電圧の反転前のフリーホイール期間にわたってフリーホイールされ,また,励起電圧の減少に応答して,前記先進期間を増大させ, 前記フリーホイール期間を減少させることから,構成要件2E及び2Fを充足する。 (被告の主張)構成要件2Eに関する被告の主張は,構成要件1Jに関する主張と同様であり,被告製品は構成要件2Bを充足しないから,被告製品におけるモータ の制御方法(電気システム)において構成要件2Eに対応する構成は存在しない。 構成要件2Fに関する被告の主張は,構成要件1C及び1D並びに2Cに関する主張と同様であり,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)は,励起電圧の変化に基づいてフリーホイール期間を制御し,それを変 更することをしていないため,構成要件2Fを充足しない。 エ構成要件2H及び2Iの充足性(争点2-4)(原告の主張)被告製品におけるモータの制御システムは,各電気半サイクルが単一駆動期間と単一フリーホイール期間からなり,前記駆動期間中に前記ブラシレスモータの巻線を励起し,かつ前記フリーホイール期間中に前記巻線をフリー ホイールさせることから,構成要件2H及び2Iを充足する。本件特許発明2は被告製品における起動制御の段階の制御に関する発明ではないから,被告の主張は失当である。 (被告の主張)構成要件2Hは,全ての電気半サイクル中にフリーホイール期間が存在す ることを前提としていると解されるところ,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)は,モータ立ち上げ時の遷移途中の状態を制御する起動制御の段階では電気半サイクル中にフリーホイール期間が存在していないから,構成要件2Hを充足しない。また 品におけるモータの制御方法(電気システム)は,モータ立ち上げ時の遷移途中の状態を制御する起動制御の段階では電気半サイクル中にフリーホイール期間が存在していないから,構成要件2Hを充足しない。また,構成要件2Iは,構成要件2Hにおける「各電気半サイクル」中の「単一フリーホイール期間」を更に規定 するものであるところ,被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)は,構成要件2Hを充足しない以上,構成要件2Iも充足しない。 オ構成要件2Pの充足性(争点2-5)(原告の主張)原告が実施した実験の結果によれば,被告製品は,励起電圧に応答して, 巻線が励起されるタイミング及び巻線がフリーホイールされる期間を変更するという制御システムを特徴とする真空掃除機である。 (被告の主張)構成要件2Cについての主張と同様である。 間接侵害(特許権侵害行為)の成否(争点3) (原告の主張) ア特許法101条4号被告製品におけるモータの制御方法は,励起電圧が17V以上の範囲(いわゆる強モード)において,本件特許発明1-1,1-6,1-8及び1-9の技術的範囲にそれぞれ属しているから,被告製品は少なくとも前記範囲において前記各発明にかかるモータの制御方法を実施するものである。そし て,被告製品において強モードは重要な機能であり,他のモードを使用し続けながら強モードは全く使用しないという使用形態はおよそ非現実的である。 したがって,被告製品は,本件特許発明1-1,1-6,1-8及び1-9に係る「方法の使用にのみ用いる物」に該当し,被告による被告製品の製 造販売行為は,特許法101条4号に基づき,前記各発明にかかる特許権の侵害行為とみなさ 発明1-1,1-6,1-8及び1-9に係る「方法の使用にのみ用いる物」に該当し,被告による被告製品の製 造販売行為は,特許法101条4号に基づき,前記各発明にかかる特許権の侵害行為とみなされる。 イ特許法101条5号本件特許発明1-1,1-6,1-8及び1-9に係るモータの制御方法は被告製品によって実施されることに照らせば,被告製品は前記各発明によ る課題の解決に不可欠なものである。原告は,平成27年3月4日及び同3月6日,その当時,被告の親会社であった株式会社東芝に対し,被告製品の製造,販売行為が本件特許権1及び2を侵害する違法な行為であることを通知したから,被告は,少なくとも平成27年4月1日以降は,被告製品が本件特許発明1-1,1-6,1-8及び1-9に係るモータの制御方法の実 施に用いられることを知っていた。 したがって,被告による被告製品の製造,販売行為は,特許法101条5号に基づき,前記各発明にかかる特許権の侵害行為とみなされる。 (被告の主張)否認ないし争う。 本件特許1及び2が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点4) (被告の主張)ア本件特許発明1及び2に共通する公知技術等本件特許1及び2の優先日(平成21年4月4日)より前である平成18年3月23日に出願公開された公開特許公報(乙9)には,「モータ4の制御装置が,インバータ3に供給される電圧が低下したことに応じて,回転子4 aの磁極位置に対して巻線が励起されるタイミングを早め,かつ,整流前の期間にわたって巻線が未励磁状態にされる期間を短くする」技術(以下「乙9技術」という。)が記載されている。 平成10年9月14日に出願公開された公開特許公報(乙10)には, かつ,整流前の期間にわたって巻線が未励磁状態にされる期間を短くする」技術(以下「乙9技術」という。)が記載されている。 平成10年9月14日に出願公開された公開特許公報(乙10)には,「モータMの制御ユニットCが,モータ駆動用電源4の電圧に応じて,巻線が励 起されるタイミングを変更し,かつ,巻線が未励磁状態にされる期間を変更する」技術(以下「乙10技術」という。)が記載されている。 平成元年4月26日に出願公開された公開特許公報(乙11)には,「モータの制御回路が,モータ駆動時に巻線に生じる起電力のゼロ交差点に対して,巻線を通電するタイミングを進めるように変更する」技術(以下「乙11技 術」という。)が記載されている。 平成10年6月9日に出願公開された公開特許公報(乙12)には,「単相モータの制御装置が,巻線に生じる起電力のゼロ交差点に対して,巻線を通電するタイミングを進め,かつ,整流前の期間にわたって,巻線を未励磁状態にする」技術(以下「乙12技術」という。)が記載されている。 平成19年7月26日に出願公開された公表特許公報(乙13)には,「掃除機のモータを,回転速度60,000rpm~100,000rpmで駆動する」技術(以下「乙13技術」という。)が記載されている。 平成9年に発行された精密工学会誌報(乙14)には,「希土類磁石で形成されたモータのロータ直径を1.5mmや3mmとする」技術(以下「乙1 4技術」という。)が記載されている。 イ本件特許発明1について 平成21年1月7日に出願公開された欧州公開特許公報には,以下の発明(以下「乙8(1)発明」という。)が記載されている。乙8(1)発明は,以下のとおり分説することができる(以下 ついて 平成21年1月7日に出願公開された欧州公開特許公報には,以下の発明(以下「乙8(1)発明」という。)が記載されている。乙8(1)発明は,以下のとおり分説することができる(以下,分説された構成を「構成1a」などと表記することがある。)。 1a モータ本体100を制御する方法であって,1b 逆起電力Ecのゼロ交差時の電気角との関係で励起電圧によって励起され,かつ整流前の電気角期間にわたって未励磁状態にされるモータ本体100の電磁コイルを,順次,励磁区間は励起させ,非励磁区間は未励磁状態にさせる段階と, 1c 任意に,前記電磁コイルが励起されるタイミング及び前記非励磁区間の電気角期間を変更する段階と,を含み,1d 任意に,前記電磁コイルが励起されるタイミングを早め,前記非励磁区間の電気角期間を減少する1e ことを特徴とする方法。 1f 前記モータ本体100の速度の変化に応答して,前記電磁コイルが励起されるタイミング及び前記非励磁区間の電気角期間を変更する段階を含む1g 方法。 1h 前記モータ本体100の速度の増大に応答して,前記非励磁区間の 電気角期間が低減する段階を含む1i 方法。 1j 各モータの半サイクル期間が,単一の励磁区間と,単一の非励磁区間からなり,1k 前記励磁区間中に前記電磁コイルを励起する段階と, 1l 前記非励磁区間中に前記非励磁区間を未励磁状態にさせる段階と, 1m を含む方法。 1n モータ本体100を駆動するための駆動制御回路200であって,1o モータ本体100を駆動する方法を実施する,ことを特徴とする単相モータを駆動するシステム。 1p モータ本体100と,駆動制御回路200と,を含む 1q こ 回路200であって,1o モータ本体100を駆動する方法を実施する,ことを特徴とする単相モータを駆動するシステム。 1p モータ本体100と,駆動制御回路200と,を含む 1q ことを特徴とするバッテリを有する製品。 1p モータ本体100と,駆動制御回路200と,を含む1r を特徴とする家電機器。 本件特許発明1-1と乙8(1)発明の対比乙8(1)発明の構成1a及び1eは本件特許発明1-1の構成要件1 A及び1Eと一致する。また,乙8(1)発明の「電磁コイルを未励磁状態にする」は本件特許発明1-1の「単相永久磁石モータの巻線をフリーホイールさせる」ことに相当し,乙8(1)発明の「非励磁区間の電気角期間」は本件特許発明1-1の「フリーホイール角」に相当し,乙8(1)発明の構成1bは,励磁区間と非励磁区間が順次存在するようになってい ることから,構成要件1Bの「単相永久磁石モータの巻線を順次励起してフリーホイールさせる」ことに相当する。 他方で,乙8(1)発明は,電磁コイルが逆起電力Ecのゼロ交差時の電気角との関係で励起されるものではあるものの,逆起電力のゼロ交差よりも前に励起されるものではないから,構成要件1Bないし1Dの「先進 角」を有しておらず,構成要件1Dの「先進角が増大」するものにもなっていない(以下「相違点1-1」という。)。また,乙8(1)発明は電磁コイルが励起されるタイミングの変更及び非励磁区間の電気角期間の変更を「任意に」行うものであり,「励起電圧に応答して」(構成要件1C)変更することが明記されていない(以下「相違点1-2」という。)。さら に,乙8(1)発明では,巻線が励起されるタイミングを早めること及び 非励磁区間の電気角期間の減少を「任意 C)変更することが明記されていない(以下「相違点1-2」という。)。さら に,乙8(1)発明では,巻線が励起されるタイミングを早めること及び 非励磁区間の電気角期間の減少を「任意に」行うものであり,「励起電圧の減少に応答して」(構成要件1D)行うことが明記されていない(以下「相違点1-3」という。)。 相違点1-1は,後記ウで説示する相違点2-4と実質的に同じであるから乙8(1)発明に乙11技術又は乙12技術を採用して容易に想到す ることができ,相違点1-2及び1-3は,後記ウで説示する相違点2-3及び2-5と実質的に同じであるから乙8(1)発明に乙9技術又は乙10技術を採用して容易に想到することができた。 以上によれば,本件特許発明1-1は,当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明1-6と乙8(1)発明の対比乙8(1)発明の「前記モータ本体100の速度の変化に応答して,前記電磁コイルが励起されるタイミング及び前記非励磁区間の電気角期間を変更する」ことは,「先進角」を有しない点を除き,本件特許発明1-6の「前記単相永久磁石モータの速度の変化に応答して前記先進角及び前記 フリーホイール角の少なくとも一方を変更する」ことに相当する。 そして,前記の相違点は,相違点1-1と同様であるところ,相違点1-1について当業者が容りである。 である。 以上によれば,本件特許発明1-6は,当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明1-8と乙8(1)発明の対比乙8(1)発明の「前記モータ本体100の速度の増大に応答して,前 記非励磁区間の電気角期間が低減する」ことは, のである。 本件特許発明1-8と乙8(1)発明の対比乙8(1)発明の「前記モータ本体100の速度の増大に応答して,前 記非励磁区間の電気角期間が低減する」ことは,乙8(1)発明の「前記 速度の増大に応答して前記フリーホイール角が低減する」ことに相当する。 である。 以上によれば,本件特許発明1-8は,当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明1-9と乙8(1)発明の対比乙8(1)発明の「各モータの半サイクル期間が,単一の励磁区間と,単一の非励磁区間からな」ることは,本件特許発明1-9の「各電気半サイクルが,前記先進角から始まる単一駆動期間と,前記フリーホイール角に対応する単一フリーホイール期間とからな」ることに相当する。また, 乙8(1)発明の「前記励磁区間中に前記電磁コイルを励起する」こと及び「前記非励磁区間中に前記電磁コイルを未励磁状態にさせる」ことは,本件特許発明1-9の「前記駆動期間中に前記巻線を励起する」こと及び「前記フリーホイール期間中に前記巻線をフリーホイールさせる」ことに相当する。したがって,本件特許発明1-9と乙8(1)発明は構成要件 1J,1K及び1Lにおいて共通する。 である。 以上によれば,本件特許発明1-9は,当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明1-10,1-11と乙8(1)発明の対比乙8(1)発明の「単相モータを駆動するシステム」は,本件特許発明1-10の「システム」に相当する。また,乙8(1)発明の「バッテリを有する製品」は,本件特許発明1-11の「バッテリ式製品」に相当する。 発明の「単相モータを駆動するシステム」は,本件特許発明1-10の「システム」に相当する。また,乙8(1)発明の「バッテリを有する製品」は,本件特許発明1-11の「バッテリ式製品」に相当する。 なお, である。 以上によれば,本件特許発明1-10,1-11は,当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明1-12と乙8(1)発明の対比乙8(1)発明の「家電機器」と,本件特許発明1-12の「真空掃除 機」は相違するものの,モータを搭載した家電機器として真空掃除機が存在することは周知であるから,乙8(1)発明の「家電機器」として「真空掃除機」を採用することは当業者が容易に想到し得た。 なお,である。 以上によれば,本件特許発明1-12は,当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ本件特許発明2について 平成21年1月7日に出願公開された欧州公開特許公報(乙8)には,以下の発明(以下「乙8(2)発明」という。)が記載されている。乙8(2) 発明は,以下のとおり分説することができる(以下,分説された構成を「構成2a」などと表記することがある。)。 2a ロータ部30に永久磁石31~34を備えた単相モータとしてのモータ本体100と,所定の速度での負荷の下で前記モータ本体100を駆動するための駆動制御回路200と,を含み, 2b 前記駆動制御回路200は,励起電圧によって励起される前記モータ本体100の電磁コイルを,順次,励磁区間は励起させ,非励磁区間は未励磁状態にさせ,2c 前記モータ本体100は,所定の作動速度範囲にわたって,且つ,コイルに印加される電圧が10V~15 モータ本体100の電磁コイルを,順次,励磁区間は励起させ,非励磁区間は未励磁状態にさせ,2c 前記モータ本体100は,所定の作動速度範囲にわたって,且つ,コイルに印加される電圧が10V~15Vの範囲で駆動されるように, 前記駆動制御回路200は,任意に,前記電磁コイルが励起されるタイ ミングを変更し,かつ,前記電磁コイルが未励磁状態にされる期間を変更する,2d 単相モータを駆動するシステム。 2e 前記電磁コイルは,逆起電力Ecのゼロ交差時との関係で励起され,整流前の期間にわたって未励磁状態にされ, 2f 前記駆動制御回路200は,任意に,前記電磁コイルが励起されるタイミングを早め,前記電磁コイルが未励磁状態にされる期間を減少させる,2g 前記単相モータを駆動するシステム。 2h 各モータの半サイクル期間は,単一の励磁区間と,単一の非励磁区 間からなり,2i 前記駆動制御回路200は,前記励磁区間中に前記モータ本体100の電磁コイルを励起し,かつ前記非励磁区間中に前記電磁コイルを未励磁状態にする,2j 前記単相モータを駆動するシステム。 2k 前記モータ本体100は,所定の直径を有する永久磁石からなる回転子を有する,2l 前記単相モータを駆動するシステム。 2m 充電池と,2n 前記単相モータを駆動するシステムと,を含み, 2o 前記電磁コイルが前記充電池の電圧によって励起され,2p 前記駆動制御回路200は,任意に,前記電磁コイルが励起されるタイミングを変更し,かつ,前記電磁コイルが未励磁状態にされる期間を変更する家電機器。 本件特許発明2-1と乙8(2)発明の対比 乙8(2)発明は,「単相永久磁石電気機械と,所定の速度での負荷の下 かつ,前記電磁コイルが未励磁状態にされる期間を変更する家電機器。 本件特許発明2-1と乙8(2)発明の対比 乙8(2)発明は,「単相永久磁石電気機械と,所定の速度での負荷の下 で前記電気機械を駆動するための制御システムと,を含み,前記制御システムは,励起電圧によって励起される前記電気機械の巻線を順次励起してフリーホイールさせ,前記電気機械が,所定の作動速度範囲にわたって,且つ,最大電圧と前記最大電圧の80%未満である最小電圧の間に定められた励起電圧範囲にわたって駆動されるように,前記制御システムは,前 記巻線が励起されるタイミング及び前記巻線がフリーホイールされる期間を変更することを特徴とする電気システム。」という点で,本件特許発明2-1と一致する。 他方で,乙8(2)発明は,①モータ本体100が「60krpmを超える速度」で駆動されることが明記されていない点(以下「相違点2-1」 という。),②モータ本体100の作動速度範囲が「60krpmよりも大きい最小値及び80krpmよりも大きい最大値」の範囲であることが明記されていない点(以下「相違点2-2」という。),③電磁コイルが励起されるタイミングの変更及び電磁コイルが未励磁状態にされる期間の変更が「励起電圧に応答して」行われることが明記されていない点(以下「相 違点2-3」という。)で,本件特許発明2-1と相違する。 相違点2-1及び2-2につき,乙13技術に基づき,乙8(2)発明のモータ本体100の作動速度範囲を「60krpmよりも大きい最小値及び80krpmよりも大きい最大値」の範囲にあるようにし,モータ本体100を「60krpmを超える速度」で駆動するようにすることは当 業者が容易に想到し得た。 相違点2-3につき び80krpmよりも大きい最大値」の範囲にあるようにし,モータ本体100を「60krpmを超える速度」で駆動するようにすることは当 業者が容易に想到し得た。 相違点2-3につき,乙8(2)発明において「電磁コイルが励起されるタイミングの変更及び電磁コイルが未励磁状態にされる期間の変更」を行うに当たり,乙9技術又は乙10技術を採用して,「励起電圧に応答して」これらの変更を行うことは当業者が容易に想到し得た。 したがって,本件特許発明2-1は当業者が容易に発明をすることがで きたものである。 本件特許発明2-4と乙8(2)発明の対比乙8(2)発明で電磁コイルが「整流前の期間にわたって未励磁状態にされ」ることは,本件特許発明2-4の「(巻線が)整流前のフリーホイール期間にわたってフリーホイールされる」ことに相当する。 他方で,乙8(2)発明は,①構成要件2Eの「先進時間」を有しておらず,構成要件2Fの「進み期間を増大」させるものでもない点(以下「相違点2-4」という。),②巻線が励起されるタイミングを早めること及び電磁コイルが未励磁状態にされる期間の減少を「励起電圧の減少に応答して」行うこと(構成要件2F)が明記されていない点(以下「相違点2- 5」という。)で,本件特許発明2-4と相違する。 相違点2-4につき,乙8(2)発明において「電磁コイルが励起されるタイミングの変更」を行うに当たり,乙11技術又は乙12技術に基づき,電磁コイルを逆起電力のゼロ交差よりも「前に」励起させるように変更して「先進時間」を有するようにし,「進み期間を増大」させることに困 難性は存在しないから,相違点2-4は当業者が容易に想到し得た事項である。 相違点2-5に も「前に」励起させるように変更して「先進時間」を有するようにし,「進み期間を増大」させることに困 難性は存在しないから,相違点2-4は当業者が容易に想到し得た事項である。 相違点2-5につき,乙9技術は構成要件2Fの「進み期間」を有するか否かが明らかでない点を除き本件特許発明2-4の「励起電圧の減少に応答して,前記進み期間を増大させ,前記フリーホイール期間を減少させ る」に相当するところ,乙8(2)発明において乙9技術を採用することに困難性は存在しないことは前記で検討したとおり(相違点2-3)であるから,先進時間を備えた乙8(2)発明に乙9技術を採用して相違点2-5を構成することは当業者が容易に想到し得た事項である。 なお,相違点2-1ないし2-3については,前記 である。 以上によれば,本件特許発明2-4は,当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明2-5と乙8(2)発明の対比乙8(2)発明で「各モータの半サイクル期間は,単一の励磁区間と,単一の非励磁区間」を有することは,本件特許発明2-5で「各電気半サ イクルが,単一駆動期間と単一フリーホイール期間」からなることに相当する。また,乙8(2)発明で「前記駆動制御回路200は,前記励磁区間中に前記電気機械の巻線を励起し,かつ前記非励磁区間中に前記電磁コイルを未励磁状態にする」ことは,本件特許発明2-5で「前記制御システムは,前記駆動期間中に前記電気機械の巻線を励起し,かつ前記フリー ホイール期間中に前記巻線をフリーホイールさせる」ことに相当する。したがって,乙8(2)発明は構成要件2H及び2Iと一致する。 なお,相違点2-1ないし2-5については,前記とおりである。 以上によれば,本件特許発明2- フリーホイールさせる」ことに相当する。したがって,乙8(2)発明は構成要件2H及び2Iと一致する。 なお,相違点2-1ないし2-5については,前記とおりである。 以上によれば,本件特許発明2-5は,当業者が容易に発明をすること ができたものである。 本件特許発明2-6と乙8(2)発明の対比乙8(2)発明の「永久磁石からなる回転子」は,本件特許発明2-6の「永久磁石回転子」に相当する。 他方で,乙8(2)発明では,構成要件2Kにいう回転子の直径が「1 0mm未満」であることが明記されていない(以下「相違点2-6」という。)。 相違点2-6につき,回転子の直径を「10mm未満」とすることの作用効果は,乙8(2)発明との関係で異質なものではなく,顕著な効果を示すものでもないから,乙8(2)発明において回転子の直径を「10m m未満」とすることは,当業者が適宜行う数値範囲の最適化程度に過ぎな い。また,乙8(2)発明に乙14技術を採用して相違点2-6を構成することは当業者が容易に想到し得た事項であるともいえる。 なお,相違点2-1ないし2-5については,前記とおりである。 以上によれば,本件特許発明2-6は,当業者が容易に発明をすること ができたものである。 本件特許発明2-7と乙8(2)発明の対比乙8(2)発明の「充電池」は本件特許発明2-7の「バッテリパック」に相当するから,乙8(2)発明にいう「前記電磁コイルが前記充電池の電圧によって励起される」ことは,本件特許発明2-7にいう「前記巻線 は,前記バッテリパックの電圧によって励起され」ることに相当する。また,乙8(2)発明にいう「前記電磁コイルが励起されるタイミングを変更し,かつ,前記 は,本件特許発明2-7にいう「前記巻線 は,前記バッテリパックの電圧によって励起され」ることに相当する。また,乙8(2)発明にいう「前記電磁コイルが励起されるタイミングを変更し,かつ,前記電磁コイルが未励磁状態にされる期間を変更する」ことは,本件特許発明2-7にいう「前記巻線が励起されるタイミング及び前記巻線がフリーホイールされる期間を変更すること」に相当する。さらに, 乙8(2)発明の「家電機器」は,本件特許発明2-7の「製品」に相当する。 他方,乙8(2)発明では,電磁コイルが励起されるタイミングの変更及び電磁コイルが未励磁状態にされる期間の変更について「励起電圧に応答して」(構成要件2P)行うことが明記されていないが,この点は相違点 2-3と同様であり,当業者が容易に想到し得た事項である。 なお,相違点2-1ないし2-6については,前記したとおりである。 以上によれば,本件特許発明2-7は,当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明2-1 と乙8(2)発明には看過された相違点1があると主張する。 しかし,本件特許発明2-1の構成要件2Cには「前記巻線が励起されるタイミング」が「逆起電力Ecのゼロ交差時よりも前の場合に限られる」であるとか,「前記巻線が励起されるタイミング及び前記巻線がフリーホイールされる期間」の「変更」を「逆起電力Ecのゼロ起電力の交差時と 逆起電力Ecの次のゼロ交差時との間で行う場合が除かれる」という限定はないから,看過された相違点1は存在しない。 本件特許発明2-4と乙8(2)発明には看過された相違点2があると主張するが,看過された相違点2は,相違点2-4の中で実質的に評価されている内容で あるから 相違点1は存在しない。 本件特許発明2-4と乙8(2)発明には看過された相違点2があると主張するが,看過された相違点2は,相違点2-4の中で実質的に評価されている内容で あるから,看過されたものではない。 (原告の主張)ア本件特許発明1及び2に共通する公知技術等乙9技術では,巻線が励起されるタイミングを,逆起電力のゼロ交差よりも前に早めることについて開示も示唆もされていない。乙9技術は,「三相 巻線を有するモータ4の制御装置が,インバータ3に供給される電圧が低下したことに応じて,整流前の期間にわたって巻線が未励磁状態にされる期間を短くする」ものと認定すべきである。 乙10技術では,どのような電圧の変化に対して,どのように電流値,進角値,通電角及び相電流の波形を変更するのかという点について,具体的な 制御は一切開示されていない。乙10技術は,「三相巻線を有するモータMの制御ユニットCが,モータ駆動用電源4の電圧に応じて,巻線が励起されるタイミングや,巻線が未励磁状態にされる期間を,予め定める」ものであると認定すべきである。 乙13技術は,スイッチングされるリラクタンス・モータに関するもので あり,単相永久磁石モータとは構造も作動も全く異なっている。乙13技術 は,「掃除機のスイッチトリラクタンス・モータを,回転速度60,000rpm~100,000rpmで駆動する」ものであると認定すべきである。 なお,乙11技術,乙12技術及び乙14技術については,被告の主張を特に争わない。 イ本件特許発明1について 本件特許発明1-1と乙8(1)発明の対比① 構成1bは,「逆起電力Ecのゼロ交差時よりも後で,逆起電力Ecの次のゼロ交差時よりも前に励起電圧によって励起さ 特許発明1について 本件特許発明1-1と乙8(1)発明の対比① 構成1bは,「逆起電力Ecのゼロ交差時よりも後で,逆起電力Ecの次のゼロ交差時よりも前に励起電圧によって励起され,かつ整流前の電気角期間にわたって未励磁状態にされるモータ本体100の電磁コイルを,順次,励磁区間は励起させ,非励磁区間は未励磁状態にさせる 段階と」とすべきである。また,構成1cおよび1dは,「逆起電力Ecのゼロ交差時と逆起電力Ecの次のゼロ交差時との間で,任意に,前記電磁コイルが励起されるタイミング及び前記非励磁区間の電気角期間を変更する段階と,を含み」,「逆起電力Ecのゼロ交差時と逆起電力Ecの次のゼロ交差時との間で,任意に,前記電磁コイルが励起されるタ イミングを早め,前記非励磁区間の電気角期間を減少する」とすべきである。 したがって,相違点1-1は,乙8(1)発明は逆起電力Ecのゼロ交差時と逆起電力Ecの次のゼロ交差時との間で電磁コイルが励起されるタイミングを早めるものであるが,構成1bないし1dは逆起電力 のゼロ交差よりも前に励起電圧によって励起され,先進角を変更し,先進角が増大するものになっていない点であると認定すべきである。 ② 相違点1-1について相違点2-4と同様の理由により(後記ウ),乙8(1)発明に乙11技術又は乙12技術を採用して相違点1-1を構成することは,当業者 であればおよそ想到しないばかりか,組み合わせることに阻害要因があ る。 ③ 相違点1-2,1-3について相違点2-3及び相違点2-5と同様の理由により(後記ウ),乙8(1)発明に乙9技術又は乙10技術を採用して相違点1-2及び1-3を構成することは,当業者はおよそ想到しな 3について相違点2-3及び相違点2-5と同様の理由により(後記ウ),乙8(1)発明に乙9技術又は乙10技術を採用して相違点1-2及び1-3を構成することは,当業者はおよそ想到しない。 本件特許発明1-6,1-9,1-10,1-11,1-12と乙8(1)発明の対比 又は乙12技術を採用して相違点1-1,1-2,1-3を構成することは,当業者はおよそ想到しない。 本件特許発明1-8と乙8(1)発明の対比乙8(1)発明は,励磁区間を変化させた際の変化を観察した結果を示しているに過ぎず,回転数に応答して励磁区間を変化させ,非励磁区間を低減させるという制御を行うことについて開示するものではない(構成1hは開示されていない)から,構成要件1Hは相違点として認定されるべ きである。そして,速度の増大に応答してフリーホイール角が低減するという前記の相違点は,被告が提出する証拠の内容から読み取れる制御方法ではないから,この点について当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 明に乙9技術,乙10技術,乙 11技術又は乙12技術を採用して相違点1-1,1-2,1-3を構成することは,当業者はおよそ想到することはできない。 ウ本件特許発明2について本件特許発明2-1と乙8(2)発明の対比① 構成2cは,「前記モータ本体100は,所定の作動速度範囲にわた って駆動されるように,前記駆動制御回路200は,逆起電力Ecのゼ ロ交差時と逆起電力Ecの次のゼロ交差時との間で,任意に,前記電磁コイルが励起されるタイミングを変更し,かつ,前記電磁コイルが未励磁状態にされる期間を変更する」ものと認定されるべきである。 したがって,本件特許発明2 cの次のゼロ交差時との間で,任意に,前記電磁コイルが励起されるタイミングを変更し,かつ,前記電磁コイルが未励磁状態にされる期間を変更する」ものと認定されるべきである。 したがって,本件特許発明2-1では,巻線が励起されるタイミング及びフリーホイールされる期間を変更するに際し,「最大電圧と前記最 大電圧の80%である最少電圧の間に定められた励起電圧範囲にわたって駆動されるように」行われることが規定され,かつ,前記タイミング及び期間には制限がないのに対し,乙8(2)発明では,励起電圧が変化することを前提に,その電圧範囲にわたって駆動するように巻線が励起されるタイミング及びフリーホイール期間を変更するようにはな っておらず,それらを変更する際には「逆起電力Ecのゼロ交差時と逆起電力Ecの次のゼロ交差時との間」で行うように制限されている点についても,本件特許発明2-1と相違している(以下「看過された相違点1」という。)。 ② 相違点2-1及び2-2について 乙8(2)発明は,60krpmを超えるような速度を実現することを想定していない発明である。単相永久磁石モータにおいて60krpm以上の高速度を実現しようとすれば,増大する逆起電力をどのように制御するかについて工夫が必要となるが,乙8(2)発明におけるモータの制御は低速度によるモータの制御を開示しているのであって,高速 度におけるモータの制御について開示も示唆もしていない。 乙13技術は,掃除機のスイッチトリラクタンス・モータを回転速度60,000rpm~100,000rpmで駆動するものであり,スイッチトリラクタンス・モータの巻線には先進角及びフリーホイール角という概念がない。したがって,スイッチトリラクタンス・モータと乙 00rpm~100,000rpmで駆動するものであり,スイッチトリラクタンス・モータの巻線には先進角及びフリーホイール角という概念がない。したがって,スイッチトリラクタンス・モータと乙 8(2)発明の単相永久磁石モータは,構造及び作動が根本的に異なっ ており,当業者は,乙13技術を乙8(2)発明と組み合わせることは考えない。 ③ 相違点2-3及び看過された相違点1について乙8(2)発明は,電源電圧が一定であることを前提としているのであって,その技術思想において,電圧が変化することも電圧の変化を考 慮して励磁区間を制御することも,全く想定されていないから,電源電圧に応じて,最適な電力削減率になるように励磁区間比を選択することは示唆されていない。 乙9技術は,三相巻線を有する固定子4bからなるブラシレスDCモータ4に関するものであって,単相モータについての技術事項を開示す るものではない。三相モータは,構造上の相違に起因して,スムーズな回転力を生じる点において単相モータよりも有利であるし,巻線のうちの1つを励起させたとき,少なくとも1つの他の巻線をそれと同時に励起されなければならないため,単相モータの巻線を励起させるタイミングを決定するときに考慮すべき要因と,三相モータの巻線を励起させる タイミングを決定するときに考慮すべき要因は異なっているから,そのような構造上の相違を無視して単相モータに関する乙8(2)発明に三相モータに関する乙9技術を組み合わせることはできない。また,仮に乙8(2)発明に乙9技術を組み合わせたとしても,乙9技術は「励起電圧の変化に応答して,巻線を励起するタイミングを変化させること」 については開示していないから,相違点2-3及び看過された相違点 8(2)発明に乙9技術を組み合わせたとしても,乙9技術は「励起電圧の変化に応答して,巻線を励起するタイミングを変化させること」 については開示していないから,相違点2-3及び看過された相違点1を構成することはできない。 乙10技術は,三相永久磁石式ブラシレスモータに関するものであるから,乙9技術と同様の理由により,単相モータに関する乙8(2)発明に組み合わせることはできない。また,仮に,乙8(2)発明に乙1 0技術を組み合わせたとしても,乙10技術はどのような励起電圧の変 化に対してどのように「進角値」や「通電角」を変更させるのかという点や,具体的な制御方法等については開示していないから,相違点2-3及び看過された相違点1を構成することはできない。 本件特許発明2-4と乙8(2)発明の対比① 構成2eは,「前記電磁コイルは,逆起電力Ecのゼロ交差時から後 に,逆起電力のピーク値との関係で励起され,整流前の期間にわたって未励磁状態にされ」るものと認定されるべきであり,構成2fは,「前記駆動制御回路200は,逆起電力Ecのゼロ交差時と逆起電力Ecの次のゼロ交差時との間で任意に,前記電磁コイルが励起されるタイミングを早め,前記電磁コイルが未励磁状態にされる期間を減少させる」もの と認定されるべきである。 したがって,本件特許発明2-4は,逆起電力のゼロ交差よりも前に巻線を励起し,励起電圧の減少に応答してフリーホイールされる期間を減少させるのに対し,乙8(2)発明においては,巻線が励起されるタイミングが,逆起電力のゼロ交差ではなく逆起電力のピーク値との関係 で決定され,かつ,フリーホイール期間を変更する際には「逆起電力Ecのゼロ交差時と逆起電力Ecの次のゼロ交差時との間」で るタイミングが,逆起電力のゼロ交差ではなく逆起電力のピーク値との関係 で決定され,かつ,フリーホイール期間を変更する際には「逆起電力Ecのゼロ交差時と逆起電力Ecの次のゼロ交差時との間」で行うように限定されている点でも本件特許発明2-4と相違している(以下「看過された相違点2」という。)。 ② 相違点2-4,2-5及び看過された相違点2について 乙8(2)発明では,逆起電力波形のゼロ交差時及びその近傍においてコイルに電圧を印加しないことが必須の構成となっている。 他方で,乙11技術は,モータの制御回路が,モータ駆動時に巻線に生じる起電力のゼロ交差点に対して,巻線を通電するタイミングを進めるように変更することが記載されている。また,乙12技術は,単相モ ータの制御装置が,巻線に生じる起電力のゼロ交差点に対して,巻線を 通電するタイミングを進め,かつ,整流前の期間にわたって,巻線を未励磁状態にすることが記載されている。 したがって,当業者は,乙8(2)発明の必須の構成に反して,逆起電力波形のゼロ交差時よりも巻線に通電するタイミングを早める乙11技術又は乙12技術を乙8(2)発明に組み合わせることは通常考え ない。むしろ,逆起電力波形のゼロ交差時及びその近傍においてコイルに電圧を印加しない構成を必須とする乙8(2)発明に乙11技術又は乙12技術を組み合せることには阻害要因があるといえる。 本件特許発明2-5,2-6及び2-7と乙8(2)発明の対比本件特許発明2-5,2-6及び2-7のいずれについても,前記 乙10技術,乙11技術,乙12技術又は乙13技術を組み合わせることはできないから,当業者が容易に発明することが 本件特許発明2-5,2-6及び2-7のいずれについても,前記 乙10技術,乙11技術,乙12技術又は乙13技術を組み合わせることはできないから,当業者が容易に発明することができたとはいえない。 損害発生の有無及びその額(争点5)(原告の主張) 被告は,平成26年1 月以降,被告製品を3万1118台販売し,その売上金額の総額は13億2776万0300円である。 原告は,本件特許発明1及び2の実施品であるコードレス真空掃除機を,被告製品が発売された平成26年1月までには日本において販売していた。被告が被告製品を前記のとおり販売したことにより,原告は,原告製品の販売機会 を喪失し,これにより得べかりし販売利益を喪失した。被告による被告製品の販売行為がなければ原告が販売することができた製品の1個当たりの利益額は,2万円を下らない。 したがって,被告による本件特許権の侵害により原告が受けた損害の額は,特許法102条1項により6億2236万円(2万円×3万1118台)を下 らない。 (被告の主張)否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件特許発明1及び2の意義本件特許1の明細書(以下「本件明細書1」という。)の発明の詳細な説明に は,以下の記載がある(甲2)。 ア技術分野「本発明は,電気機械の制御に関する。」(段落【0001】)イ背景技術「電気機械の永久磁石回転子が回転すると,それは,電気機械の巻線の逆 起電力を誘導する。回転子が加速すると,逆起電力のマグニチュードは増大する。従って,電気機械内へ電流及び従って電力を駆動するのは次第に困難になる。」(段落【0002】)ウ発明が解決しようとする課題 を誘導する。回転子が加速すると,逆起電力のマグニチュードは増大する。従って,電気機械内へ電流及び従って電力を駆動するのは次第に困難になる。」(段落【0002】)ウ発明が解決しようとする課題「その結果,電気機械の電力に対する制御が次第に困難になる。」(段落【0 003】)エ課題を解決するための手段「本発明は,電気機械を制御する方法を提供し,本方法は,先進角だけ巻線の逆起電力のゼロ交差よりも前に励起電圧によって励起され,かつフリーホイール角にわたってフリーホイールされる電気機械の巻線を順次励起し てフリーホイールさせる段階と,励起電圧の変化に応答して先進角及びフリーホイール角を変更する段階とを含む。励起電圧の変化に応答して先進角及びフリーホイール角の両方を変更することにより,電気機械の効率及び電力の両方に対するより良好な制御を達成することができる。例えば,先進角を増加させることにより,電流は,より早期の段階で巻線内に駆動され,従っ て,電力は増大する。同様に,フリーホイール角を低減することにより,電 流は,より長期間にわたって巻線内に駆動され,従って,電力は増大する。」(【段落0004】)「低下する逆起電力の領域においては,より少ないトルクが電流の所定のレベルに対して達成される。従って,この領域内でフリーホイールさせることにより,より効率的な電気機械を達成することができる。更に,巻線の逆 起電力が低下すると,仮に励起電圧が,低下する逆起電力を超えたとしたら,電流スパイクが起こるであろう。低下した逆起電力の領域内で巻線をフリーホイールさせることにより,電流スパイクは回避することができ,従って,より滑らかな電流波形を達成することができる。」(【段落0005】) るであろう。低下した逆起電力の領域内で巻線をフリーホイールさせることにより,電流スパイクは回避することができ,従って,より滑らかな電流波形を達成することができる。」(【段落0005】)「好ましくは,励起電圧の低下に応答して先進角は増加され,かつフリー ホイール角は低減される。その結果,励起電圧が低下すると,電流は,より早期の段階で巻線内に駆動される。更に,電流は,より長期間にわたって巻線内に駆動される。従って,励起電圧の降下にも関わらず,同じか又は類似の電力を達成することができる。実際に,本方法は,好ましくは,電気機械の電力が励起電圧の範囲にわたって実質的に一定であるように先進角及び フリーホイール角を変更する段階を含む。この場合の実質的に一定の電力は,電力の分散が±5%よりも大きくないことを意味することを理解すべきである。」(段落【0006】)「本方法は,有利な態様では,電気機械の効率(すなわち,出力電力対入力電力の比率)が,励起電圧の範囲にわたって少なくとも75%であるよう に先進角及びフリーホイール角を変更する段階を含む。従って,励起電圧の範囲にわたって比較的良好な効率が達成される。励起電圧の範囲は,最小電圧と最大電圧の間で延び,最小電圧は,最大電圧の80%未満とすることができる。こうして,これは,一定の電力及び/又は良好な効率を達成することができる電圧の比較的広い範囲を表している。その結果,バッテリパック を励起源として用いることができる。使用に伴うバッテリ放電にも関わらず, 一定の電力及び/又は良好な効率を依然として達成することができる。」(段落【0007】)「好ましくは,本方法は,電気機械の速度の変化に応答して先進角及びフリーホイール角の少なくとも一方を変更する段 定の電力及び/又は良好な効率を依然として達成することができる。」(段落【0007】)「好ましくは,本方法は,電気機械の速度の変化に応答して先進角及びフリーホイール角の少なくとも一方を変更する段階を含む。従って,電力の良好な制御は,励起電圧及び電気機械の速度の両方の変化に応答して達成する ことができる。実際に,本方法は,好ましくは,速度の増大に応答して先進角を増加させる段階及び/又はフリーホイール角を低減する段階を含む。従って,電気機械の速度が増大し,従って,巻線の逆起電力が増加すると,電流は,より早期の段階で巻線内に駆動され,及び/又は電流は,より長期間にわたって巻線内に駆動される。従って,同じか又は類似の電力を電気機械 の速度の変化にも関わらず達成することができる。有利な態様においては,各電気半サイクルは,単一駆動期間及び単一フリーホイール期間を含む。巻線は,次に,駆動期間中に励起され,フリーホイール期間中にフリーホイールされる。フリーホイール期間に続いて,巻線は整流される。」(段落【0012】) 本件特許2の明細書(以下「本件明細書2」という。)の発明の詳細な説明には,以下の記載がある(甲4)。 ア技術分野「本発明は,高速電気システムに関し,特に,単相永久磁石電気機械を含むシステムに関する。」(段落【0001】) イ背景技術「単相永久磁石電気機械は,単相巻線に電流を整流することによって駆動される。電気機械の速度が増大すると,相巻線の逆起電力は増大する。従って,相巻線内へ電流及び従って電力を駆動するのは次第に困難になる。更に,単相機械回転子では,損失が,磁石の磁場を乱す電機子反作用により一般的 に高い。従って,高速システムは,一般的に,3つ又はそれよりも多くの位 って電力を駆動するのは次第に困難になる。更に,単相機械回転子では,損失が,磁石の磁場を乱す電機子反作用により一般的 に高い。従って,高速システムは,一般的に,3つ又はそれよりも多くの位 相を有する電気機械を含む。」(段落【0002】)ウ発明が解決しようとする課題「しかし,この追加の位相を設けることは,電気システムの費用を増大させる。」(段落【0003】)エ課題を解決するための手段 「第1の態様では,本発明は,単相永久磁石電気機械と,60krpmを超える速度での負荷の下で電気機械を駆動するための制御システムとを含む電気システムを提供する。従って,比較的高い速度が,単一位相のみを有する永久磁石電気機械に対して達成される。好ましくは,制御システムは,60krpmよりも大きい最小値及び80krpmよりも大きい最大値を 有する作動速度範囲にわたる負荷の下で電気機械を駆動する。より好ましくは,最大値は,100krpmよりも大きい。従って,制御システムは,高速で電気機械を駆動するだけでなく様々な負荷を有する高速も維持する。」(段落【0004】)「制御システムは,電気システムが,好ましくは少なくとも80%の効率 (出力電力対入力電力の比率)を有するように電気機械を駆動する。従って,高速かつ高効率の電気システムを達成することができる。有利な態様では,電気システムの入力電力は,200Wを超えない。従って,電気機械は,比較的低電力かつ比較的高速で駆動することができる。各電気半サイクルは,理想的には,単一駆動期間及び単一フリーホイール期間を含む。制御システ ムは,次に,駆動期間中に電気機械の巻線を励起し,フリーホイール期間中に巻線をフリーホイールさせる。」(段落【0005】)「低下する逆起 動期間及び単一フリーホイール期間を含む。制御システ ムは,次に,駆動期間中に電気機械の巻線を励起し,フリーホイール期間中に巻線をフリーホイールさせる。」(段落【0005】)「低下する逆起電力の領域においては,より少ないトルクが電流の所定のレベルに対して達成される。従って,この領域内で巻線をフリーホイールさせることにより,より効率的な電気機械を達成することができる。更に,巻 線の逆起電力が低下すると,仮に励起電圧が,低下する逆起電力を超えたと したら,電流スパイクが起こるであろう。低下した逆起電力の領域内で巻線をフリーホイールさせることにより,電流スパイクは回避することができ,従って,より滑らかな電流波形を達成することができる。」(段落【0006】)「制御システムは,電気システムの出力電力が作動速度範囲にわたって実質的に一定であるように,巻線が励起される時間及び巻線がフリーホイール される時間を変更することができる。特に,制御システムは,先進角だけ巻線の逆起電力のゼロ交差よりも前に巻線を励起し,フリーホイール角にわたって巻線をフリーホイールさせることができる。制御システムは,次に,電気機械の速度の変化に応答して先進角及びフリーホイール角を変更する。」(段落【0007】) 「制御システムは,更に,電気システムの出力電力が,巻線を励起するのに用いる電圧の範囲にわたって実質的に一定であるように,巻線が励起される時間及び巻線がフリーホイールされる時間を変更することができる。特に,制御システムは,先進角だけ巻線の逆起電力のゼロ交差よりも前に巻線を励起し,フリーホイール角にわたって巻線をフリーホイールさせることができ る。制御システムは,次に,励起電圧の変化に応答して先進角及びフリーホイール角を変 の逆起電力のゼロ交差よりも前に巻線を励起し,フリーホイール角にわたって巻線をフリーホイールさせることができ る。制御システムは,次に,励起電圧の変化に応答して先進角及びフリーホイール角を変更する。」(段落【0008】)「励起電圧の範囲は,最小電圧と最大電圧の間で延びることができ,最小電圧は,最大電圧レベルの80%未満である。こうして,これは,一定の出力電力及び/又は良好な効率を達成することができる電圧の比較的広い範 囲を表している。電気機械は,理想的には,巻線が周りに巻かれるc字形固定子を含む。こうして,これは,電気機械の組立を簡素化する。更に,高フィル・ファクタが巻線に対して達成され,従って,銅損を低減し,効率を改善することができる。電気機械は,10mm未満の直径を有する永久磁石回転子を有することができる。従って,比較的小さな高速電気機械を達成する ことができる。」(段落【0009】) 「第2の態様では,本発明は,バッテリパックと前段落のいずれか1つに説明した電気システムとを含む製品を提供する。制御システムは,次に,バッテリパックの電圧を用いて電気機械を駆動する。制御システムは,バッテリパックの電圧の変化に応答して電気機械の巻線が励起される時間及び/又は巻線がフリーホイールされる時間を変更することができる。第3の態様 では,本発明は,前段落のいずれか1つに説明した電気システムを含む真空掃除機を提供する。制御システムは,好ましくは,電気機械の巻線を励起してフリーホイールさせる。制御システムは,真空掃除機が負荷の範囲にわたって実質的に一定の吸引を維持するために,巻線が励起される時間及び/又は巻線がフリーホイールされる時間を変更することができる。更に,制御シ ステムは,真空掃除機が励起電圧の が負荷の範囲にわたって実質的に一定の吸引を維持するために,巻線が励起される時間及び/又は巻線がフリーホイールされる時間を変更することができる。更に,制御シ ステムは,真空掃除機が励起電圧の変化に応答して実質的に一定の吸引を維持するために,巻線が励起される時間及び/又は巻線がフリーホイールされる時間を変更することができる。特に,励起電圧がバッテリパックによって供給される場合には,制御システムは,真空掃除機が,バッテリパックが放電する時に実質的に一定の吸引を維持するように励起時間及び/又はフリ ーホイール期間を変更する。」(段落【0010】)前記によれば,本件特許発明1は,先進角だけ巻線の逆起電力のゼロ交差よりも前に励起電圧により励起し,かつ整流前のフリーホイール角にわたってフリーホイールすることにより,高速回転時の逆起電力の増大にもかかわらず単相永久磁石モータ等の電気機械の駆動を可能にするとともに,励起電圧の低 下に応答して,先進角を増加させ,フリーホイール角を減少させることにより,電気機械の効率及び電力の両方に対する良好な制御を達成することを目的とする発明であるといえる。 本件特許発明2は,コスト面から単相永久磁石モータ(電気機械)を採用することを前提とし,所定の作動速度範囲及び所定の励起電圧 範囲にわたって駆動されるように,励起電圧に応答して巻線が励起されるタイ ミング及び巻線がフリーホイールされる期間を変更することにより,高速な作動速度の範囲及び幅広い励起電圧範囲において,実質的に一定の出力電力及び良好な効率を達成することを目的とする発明であるといえる。 2 後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 本件特許発明1及び2におけるモータの制御方法等(甲2,4) 及び良好な効率を達成することを目的とする発明であるといえる。 2 後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 本件特許発明1及び2におけるモータの制御方法等(甲2,4) ア本件特許発明1におけるモータの制御方法等について,本件明細書1には以下のとおり記載されている。 段落【0016】「電源2は,16.4VのDC電源を提供する4セルバッテリパック,又は24.6VのDC電源を提供する6セルバッテリパックのいずれかで ある。供給電圧の提供に加えて,電源は,バッテリパックの型に独特である識別信号を出力する。ID信号は,バッテリパックの型により異なる周波数を有する方形波信号の形態を取る。本発明の例では,4セルバッテリパックは,25Hz(20msパルス長)の周波数を有するID信号を出力し,一方,6セルバッテリパックは,50Hz(10msパルス長)の 周波数を有するID信号を出力する。」 段落【0043】「電源投入する時に,駆動コントローラ16は,電源ID信号,アクセサリ信号,及び電力モード信号の入力を記録する。これらの3つの信号に基づいて,駆動コントローラ16は,メモリ31に格納されたパワーマッ プを選択する。以下で説明するように,各パワーマップは,異なる出力電力でモータ8を駆動するための制御値を格納する。表2から分るように,駆動コントローラ16は,5つの異なるパワーマップを格納する。」 段落【0044】「(表2) 」 段落【0060】「「高速加速モード」におけるように,駆動コントローラ16は,順次巻線19を励起してフリーホイールさせる。各電気半サイクルは,従って,単 」 段落【0060】「「高速加速モード」におけるように,駆動コントローラ16は,順次巻線19を励起してフリーホイールさせる。各電気半サイクルは,従って,単一駆動期間とその後の単一フリーホイール期間とを継続して含む。更に, 巻線19は,位置センサ信号のエッジよりも前に,従って,逆起電力のゼロ交差よりも前に励起される。しかし,固定時間が,先進時間及びフリーホイール時間に対して使用される「高速加速モード」と異なり,駆動コントローラ16は,ここでは,一定の出力電力を達成するように先進時間及びフリーホイール時間を変更する。駆動コントローラ16は,電気角A_ ADVだけ位置センサ信号のエッジよりも前に巻線19を励起し,電気角A_FREEにわたって巻線19をフリーホイールさせる。駆動コントローラ16は,一定の出力電力を達成するために,励起電圧(すなわち,電源2のリンク電圧)及びモータ8の速度の変化に応答して,先進角A_ADV及びフリーホイール角A_FREEの両方を変更する。」 段落【0061】「電源2は,バッテリパックであり,従って,励起電圧は,バッテリパックが使用と共に放電すると低下する。仮に巻線19が励起かつフリーホイールされる電気角が固定されたとすれば,運動系5の入力電力及び従って出力電力は,電源2が放電すると低下するであろう。従って,一定の出 力電力を維持するために,駆動コントローラ16は,励起電圧の変化に応答して,先進角A_ADV及びフリーホイール角A_FREEを変更する。 特に,励起電圧の低下と共に先進角A_ADVは増加し,フリーホイール角A_FREEは減少する。先進角A_ADVを増加させることにより,電流は,より早期の段階で巻線19内に駆動される。フ 特に,励起電圧の低下と共に先進角A_ADVは増加し,フリーホイール角A_FREEは減少する。先進角A_ADVを増加させることにより,電流は,より早期の段階で巻線19内に駆動される。フリーホイール角A_FREEを低減することにより,巻線19は,半サイクルにわたって長期間励起される。正味の結果は,励起電圧の低下に応答して,より多くの 電流が,半サイクルにわたって巻線19内に駆動され,従って,一定の出力電力が維持されることである。」 段落【0063】「先進角及びフリーホイール角の分散は,パワーマップとして駆動コントローラ16によって格納される。各パワーマップは,複数の電圧レベル の各々に対して先進時間及びフリーホイール時間を格納したルックアップテーブルを含む。より詳細に以下に説明するように,駆動コントローラ16は,電圧レベル信号をモニタして,パワーマップから対応する先進時間及びフリーホイール時間を選択する。駆動コントローラ16は,次に,パワーマップから得られた先進及びフリーホイール時間を用いて,巻線1 9の励起及びフリーホイールを制御する。その結果,一定の出力電力は,励起電圧の変化に関係なく運動系5に対して達成される。表4は,167Wパワーマップの一部分を示している。」 段落【0064】「(表4) 」段落【0065】「この表の左側部分のみが,167Wパワーマップとして駆動コントローラ16によって格納される。右側部分は,本発明の説明の目的で含まれており,パワーマップの一部を形成するものではない。表から分るように, 167Wパワーマップは,167Wの一定の出力電力を送出する先進時間及びフリーホイール時間を格納する。」 段 ており,パワーマップの一部を形成するものではない。表から分るように, 167Wパワーマップは,167Wの一定の出力電力を送出する先進時間及びフリーホイール時間を格納する。」 段落【0066】「パワーマップは,先進角及びフリーホイール角ではなく,先進時間及びフリーホイール時間を格納する点に注意されたい。駆動コントローラ1 6は,タイマを用いて,巻線19を励起してフリーホイールさせる制御信号S1-S4を発生させる。従って,角度ではなく先進及びフリーホイール時間を格納することにより,駆動コントローラ16によって実施する命令は,非常に簡素化される。それにも関わらず,パワーマップは,代替的に,駆動コントローラ16が後で巻線19の励起及びフリーホイールを制 御するのに用いる先進角及びフリーホイール角を格納することができると考えられる。」段落【0067】「各先進及びフリーホイール角は,モータ8の速度に依存する対応する 時間を有する。各パワーマップに対して,駆動コントローラ16は,特定の作動速度範囲内でモータ8を駆動する。各作動速度範囲は,先進時間及びフリーホイール時間を計算するのに用いられる公称速度を有する。 T_ADV=(A_ADV/360°)*60/ωnominalT_FREE=(A_FREE/360°)*60/ωnominal ここで,ωnominal は,rpmによる公称速度である。表5は,様々なパワーマップに対して作動速度範囲及び公称速度を列挙している。」イ本件特許発明2におけるモータの制御方法等について,本件明細書2には以下のとおり記載されている。 段落【0012】 「電源2は,16.4VのDC電源を提供する4セルバッテリパ イ本件特許発明2におけるモータの制御方法等について,本件明細書2には以下のとおり記載されている。 段落【0012】 「電源2は,16.4VのDC電源を提供する4セルバッテリパック,又は24.6VのDC電源を提供する6セルバッテリパックのいずれかである。供給電圧の提供に加えて,電源は,バッテリパックの型に独特である識別信号を出力する。ID信号は,バッテリパックの型により異なる周波数を有する方形波信号の形態を取る。本発明の例では,4セルバッテリ パックは,25Hz(20msパルス長)の周波数を有するID信号を出力し,一方,6セルバッテリパックは,50Hz(10msパルス長)の周波数を有するID信号を出力する。」 段落【0039】「電源投入する時に,駆動コントローラ16は,電源ID信号,アクセ サリ信号,及び電力モード信号の入力を記録する。これらの3つの信号に基づいて,駆動コントローラ16は,メモリ31に格納されたパワーマップを選択する。以下で説明するように,各パワーマップは,異なる出力電力でモータ8を駆動するための制御値を格納する。表2から分るように,駆動コントローラ16は,5つの異なるパワーマップを格納する。」 段落【0040】 「(表2)」段落【0057】「電源2は,バッテリパックであり,従って,励起電圧は,バッテリパックが使用と共に放電すると低下する。仮に巻線19が励起かつフリーホ イールされる電気角が固定されたとすれば,運動系5の入力電力及び従って出力電力は,電源2が放電すると低下するであろう。従って,一定の出力電力を維持するために,駆動コントローラ16は,励起電圧の変化に応答して,先進角A_ADV及びフリーホイー 系5の入力電力及び従って出力電力は,電源2が放電すると低下するであろう。従って,一定の出力電力を維持するために,駆動コントローラ16は,励起電圧の変化に応答して,先進角A_ADV及びフリーホイール角A_FREEを変更する。 特に,励起電圧の低下と共に先進角A_ADVは増加し,フリーホイール 角A_FREEは減少する。先進角A_ADVを増加させることにより,電流は,より早期の段階で巻線19内に駆動される。フリーホイール角A_FREEを低減することにより,巻線19は,半サイクルにわたって長期間励起される。正味の結果は,励起電圧の低下に応答して,より多くの電流が,半サイクルにわたって巻線19内に駆動され,従って,一定の出 力電力が維持されることである。」段落【0059】「先進角及びフリーホイール角の分散は,パワーマップとして駆動コントローラ16によって格納される。各パワーマップは,複数の電圧レベルの各々に対して先進時間及びフリーホイール時間を格納したルックアッ プテーブルを含む。より詳細に以下に説明するように,駆動コントローラ16は,電圧レベル信号をモニタして,パワーマップから対応する先進時 間及びフリーホイール時間を選択する。駆動コントローラ16は,次に,パワーマップから得られた先進及びフリーホイール時間を用いて,巻線19の励起及びフリーホイールを制御する。その結果,一定の出力電力は,励起電圧の変化に関係なく運動系5に対して達成される。表4は,167Wパワーマップの一部分を示している。」 段落【0060】「(表4) 」 段落【0061】「この表の左側部分のみが,167Wパワーマップとして駆動コントロ ーラ16によって格納される 段落【0060】「(表4) 」 段落【0061】「この表の左側部分のみが,167Wパワーマップとして駆動コントロ ーラ16によって格納される。右側部分は,本発明の説明の目的で含まれており,パワーマップの一部を形成するものではない。表から分るように,167Wパワーマップは,167Wの一定の出力電力を送出する先進時間及びフリーホイール時間を格納する。」 段落【0008】 「制御システムは,更に,電気システムの出力電力が,巻線を励起するのに用いる電圧の範囲にわたって実質的に一定であるように,巻線が励起される時間及び巻線がフリーホイールされる時間を変更することができる。特に,制御システムは,先進角だけ巻線の逆起電力のゼロ交差よりも 前に巻線を励起し,フリーホイール角にわたって巻線をフリーホイールさせることができる。制御システムは,次に,励起電圧の変化に応答して先進角及びフリーホイール角を変更する。」 段落【0009】「励起電圧の範囲は,最小電圧と最大電圧の間で延びることができ,最 小電圧は,最大電圧レベルの80%未満である。こうして,これは,一定の出力電力及び/又は良好な効率を達成することができる電圧の比較的広い範囲を表している。電気機械は,理想的には,巻線が周りに巻かれるc字形固定子を含む。こうして,これは,電気機械の組立を簡素化する。 更に,高フィル・ファクタが巻線に対して達成され,従って,銅損を低減 し,効率を改善することができる。電気機械は,10mm未満の直径を有する永久磁石回転子を有することができる。従って,比較的小さな高速電気機械を達成することができる。」段落【0098】「励起電圧及び速度の両方の できる。電気機械は,10mm未満の直径を有する永久磁石回転子を有することができる。従って,比較的小さな高速電気機械を達成することができる。」段落【0098】「励起電圧及び速度の両方の変化に応答して先進角及びフリーホイール 角を制御することにより,制御システム9は,励起電圧及びモータ速度の範囲にわたって一定の出力電力でモータ8を駆動することができる。本発明の場合には,一定の出力電力は,モータ8の出力電力の分散が±5%よりも大きくないことを意味することを理解すべきである。制御システム9は,一定の出力電力だけでなく,比較的高効率(すなわち,出力電力対入 力電力の比率)でもモータ8を駆動する。励起電圧及び速度の両方の変化に応答して先進角及びフリーホイール角を制御することにより,少なくとも75%の効率は,励起電圧及びモータ速度の範囲にわたって達成可能である。実際に,表2に挙げたパワーマップに対して,少なくとも80%の効率が達成可能である。例えば,表4に挙げた入力及び出力電力から分る ように,約88%の効率は,167Wパワーマップの先進及びフリーホイ ール角で得ることができる。」段落【0099】「一定の出力電力及び/又は高効率が達成される励起電圧の範囲は,比較的広い。6セルバッテリパックに対して,励起電圧範囲は,16.8-23.0Vであるが,4セルバッテリパックに対しては,励起電圧範囲は, 11.2-14.8である。両電圧範囲に対して,最小電圧は,最大電圧の80%未満である。これは,一定の出力電力及び/又は高効率が達成される比較的大きな範囲を表している。」被告製品の構成等(甲5,6,9,弁論の全趣旨)ア被告製品は,高効率ブラシレスモータを採用し,リチウムイオン電池を搭 載し び/又は高効率が達成される比較的大きな範囲を表している。」被告製品の構成等(甲5,6,9,弁論の全趣旨)ア被告製品は,高効率ブラシレスモータを採用し,リチウムイオン電池を搭 載した真空掃除機である。 イ被告製品の内部ではバッテリが電気配線を介してコネクタ,プリント回路基板①,モータへと順次接続されていた。プリント回路基板①からは,二本の電源ライン(赤,青)がモータに接続されていた。モータは,固定子と回転子及び回転子を支持する樹脂ケース,プリント回路基板②を有していた。 固定子は,略C字形状の固定子鉄心と,固定子鉄心に取り付けられた樹脂部材と,樹脂部材に巻かれた二つの回転子巻線と,樹脂部材に取り付けられた二つの電源端子(青,赤)を有していた。固定子鉄心の両先端部には,回転子の永久磁石を略半周にわたって包囲して対向する二つの突極が設けられていた。回転子の永久磁石は回転軸に固定されていた。モータの電源端子(青) からは二つのワイヤが延び,左側に延びるワイヤは反時計方向に巻かれ,右側に延びるワイヤは時計方向に巻かれ,最後に左右のワイヤは両方とも電源端子(赤)に延びており,単相巻線を形成するように互いに接続されていた。 ウ回転子の永久磁石の直径は,約7.4ミリメートルであった。 エ被告製品の作動電圧範囲は,プリント回路基板の入力端子部分において測 定した場合,モータへの電力供給開始直後の入力電圧が18.78V(約1 8.8V),モータが自動停止する直前の入力電圧が14.64V(約14. 6V)であった。 被告製品におけるモータの制御方法等(乙17,19)ア ●(省略)●被告製品を「強モード」で作動させた場合,被告製品は,モータに対する 制御として,モータ通電時間を制御 あった。 被告製品におけるモータの制御方法等(乙17,19)ア ●(省略)●被告製品を「強モード」で作動させた場合,被告製品は,モータに対する 制御として,モータ通電時間を制御の対象としていて,●(省略)●と呼ばれる方法で制御している。●(省略)●を意図している。被告製品におけるモータの●(省略)●に設定されている。 被告製品においてバッテリ電圧が低下した場合,駆動回路の駆動能力(駆動回路を構成するトランジスタの駆動能力)が低下することとなり,モータ の●(省略)●の検出値が目標値に達しにくくなる。この観点からは,●(省略)●は出力値(モータ通電時間)を長くする方向で作用する。他方,バッテリ電圧が低下した場合には,モータの回転数が低下し,モータ周期(モータの一回転分の時間)は長くなり,モータ巻線に生じる逆起電力は小さくなるので,モータの●(省略)●の検出値が目標値に達しやすくなる。この観 点からは,●(省略)●は出力値(モータ通電時間)を短くするようにも作用する。 イ ●(省略)●被告製品においては,●(省略)●をしている。 ウ被告製品における,入力電圧と前記の各制御方法の対応関係は以下のとお りである。 15.0Vから17.1Vの範囲●(省略)●が行われており,●(省略)●は行われていない。 17.2V●(省略)●が行われており,●(省略)●については,それを行って いるサイクルと行っていないサイクルが混在している。 17.3V●(省略)●が行われており,●(省略)●は行われていない。 17.4Vから17.5Vの範囲●(省略)●が行われており,●(省略)●については,それを行っているサイクルと行っていないサイクルが混在している。 れており,●(省略)●は行われていない。 17.4Vから17.5Vの範囲●(省略)●が行われており,●(省略)●については,それを行っているサイクルと行っていないサイクルが混在している。 17.6Vから18.1Vの範囲●(省略)●を行っているサイクルと●(省略)●を行っているサイクルが混在しており,●(省略)●については,それを行っているサイクルと行っていないサイクルが混在している。 18.2Vから18.7Vの範囲 ●(省略)●が行われており(●(省略)●は行われていない),●(省略)●については,それを行っているサイクルと行っていないサイクルが混在している。 被告製品における入力電圧とフリーホイール期間等の関係に関する実験ア原告が実施した実験(甲7,8,26,27) 甲7号証記載の実験(以下「原告甲7実験」という。)① 実験に用いたシステム被告製品のモータのプリント回路基板の正電圧ケーブルを,被告製品のバッテリから切り離し,その代わりに直流電源に接続した。被告製品のモータにつながっているダクトはエアワットボックスの側面に連結 されており,オリフィスを有するキャップはエアワットボックスの他の側面に取り付けられていた。電力計により,被告製品のモータの入力電圧,入力電流及び入力電力を測定した。3つのプローブを有するオシロスコープにより,被告製品のモータの相電圧,相電流及びホール信号を測定した。 ② 実験方法1 前記①のシステムを用いて被告製品のモータに電力を供給し,強力吸引モードにセットした。異なる入力電圧及びオリフィス寸法における入力電流,入力電力,相電圧,相電流及びホール信号を記録した。 入力電圧については直流電源を用いて調整し のモータに電力を供給し,強力吸引モードにセットした。異なる入力電圧及びオリフィス寸法における入力電流,入力電力,相電圧,相電流及びホール信号を記録した。 入力電圧については直流電源を用いて調整した。オリフィスの寸法についてはダクトを覆うキャップを変えることによって調整した。 これらのデータについて,被告製品のモータが安定状態に到達した後に記録した。異なる入力電圧及びオリフィス寸法のそれぞれにつき相電圧,相電流及びホール信号を0.5秒の期間全体にわたって0.4μ秒ごとに記録した。これは,各信号につき,125万個のデータポイントに対応する。 相電圧及びホール信号に関するデータからHALL(Hall期間であり,ホール信号のパルスの長さに対応する。),ADV(先進期間であり,モータの相巻線の励起の開始とHallパルスの立上りエッジとの時間差に対応する。),COND(導通期間であり,相巻線が励起される間の時間に対応する。),FW(フリーホイール期間であり,相巻線がフ リーホイールされる間の時間に対応する。),X1(ホール信号のパルスの立上りエッジと相巻線の励起の終了との間の時間差に対応する。)の各パラメータを抽出し,それらについて0.5秒の期間にわたって平均した。また,これらのパラメータを基に,モータの速度,先進角及びフリーホイール角を算出した。 ③ 実験方法2前記①のシステムを用いて,被告製品のモータに電力を供給し,強力吸引モードにセットした。速度を80krpm及び85krpmに一定にした上で,異なる入力電圧において入力電流,入力電力,相電圧,相電流及びホール信号を記録した。 入力電圧については直流電源を用いて調整した。被告製品のモータの 速度については,寸法 た上で,異なる入力電圧において入力電流,入力電力,相電圧,相電流及びホール信号を記録した。 入力電圧については直流電源を用いて調整した。被告製品のモータの 速度については,寸法を変化させることができるオリフィスを有するキャップでダクトを覆うことによって制御した。入力電圧への各調整の後,オリフィスの寸法をモータの速度が80krpm及び85krpmのいずれかで維持されるように調整した。 異なる入力電圧及び速度のそれぞれにつき相電圧,相電流及びホール 信号を0.5秒の期間全体にわたって0.4μ秒ごとに記録した。これは,各信号につき,125万個のデータポイントに対応する。そのうえで,相電圧及びホール信号に関するデータからHALL,ADV,COND,FW,X1の各パラメータを抽出し,それらについて0.5秒の期間にわたって平均した。そして,これらのパラメータを基に,モータ の速度,先進角及びフリーホイール角を算出した。 ④ 実験方法3前記①のシステムを用いて,被告製品のモータに電力を供給し,強力吸引モードにセットした。直流電源を,一定の入力電圧18.4Vを供給するように制御した。異なる速度において,入力電流,入力電圧,入 力電力,相電圧,相電流及びホール信号を記録した。 モータの速度については,寸法を変化させることができるオリフィスを有するキャップでダクトを覆うことによって制御した。 異なる速度につき,相電圧,相電流及びホール信号を0.5秒の期間全体にわたって0.4μ秒ごとに記録した。これは,各信号につき,1 25万個のデータポイントに対応する。そのうえで,相電圧及びホール信号に関するデータからHALL,ADV,COND,FW,X1の各パラメー 0.4μ秒ごとに記録した。これは,各信号につき,1 25万個のデータポイントに対応する。そのうえで,相電圧及びホール信号に関するデータからHALL,ADV,COND,FW,X1の各パラメータを抽出し,それらについて0.5秒の期間にわたって平均した。そして,これらのパラメータを基に,モータの速度,先進角及びフリーホイール角を算出した。 ⑤ 実験方法1ないし3の結果 被告製品のモータの先進期間は入力電圧の変化に応じて変化する。具体的には,先進期間は,入力電圧の低下に応じて増大する。 被告製品のモータのフリーホイール期間は入力電圧の変化に応じて変化する。具体的には,モータの速度が80krpmの場合には入力電圧が約17V以上の範囲において,モータの速度が85krpmの場合 には入力電圧が約18V以上の範囲において,入力電圧の低下に応じてフリーホイール期間が減少する。 被告製品のモータの速度は,入力電圧が19.0Vであるとき,約82.0krpm(19mmオリフィス)から約87.9krpm(10mmオリフィス)まで変化し,入力電圧が15.0Vであるとき,約7 5.4krpm(19mmオリフィス)から約83.0krpm(10mmオリフィス)まで変化する。 被告製品のモータの先進角は,入力電圧の低下に応答して増大する。 モータの速度が80krpmの場合には入力電圧が約17V以上の範囲において,モータの速度が85krpmの場合には入力電圧が約1 8V以上の範囲において,被告製品のモータのフリーホイール角は,入力電圧の低下に応答して減少する。 被告製品のモータのフリーホイール角は,モータの速度の変化に応答して変 約1 8V以上の範囲において,被告製品のモータのフリーホイール角は,入力電圧の低下に応答して減少する。 被告製品のモータのフリーホイール角は,モータの速度の変化に応答して変化する。具体的には,フリーホイール角は,モータの速度の増大に応答して減少する。 甲8号証記載の実験(以下「原告甲8実験」という。)① 実験に用いたシステム被告製品のモータのプリント回路基板の正電圧ケーブルを,被告製品のバッテリから切り離し,その代わりに直流電源に接続した。被告製品のモータにつながっているダクトはエアワットボックスの側面に連結 されており,オリフィスを有するキャップはエアワットボックスの他の 側面に取り付けられていた。電力計により,被告製品のモータの入力電圧,入力電流及び入力電力を測定した。3つのプローブを有するオシロスコープにより,被告製品のモータの相電圧,相電流及びホール信号を測定した。 ② 実験方法 被告製品のモータに電力を供給し,強力吸引モードにセットした。異なる入力電圧及び固定したオリフィス寸法9mm,10mm,11mm及び12mmにおける入力電流,入力電力,相電圧,相電流及びホール信号を記録した。入力電圧については直流電源を用いて調整した。オリフィスの寸法についてはダクトを覆うキャップを変えることによって 調整した。 これらのデータについて,被告製品のモータが安定状態に到達した後に記録した。異なる入力電圧及びオリフィス寸法のそれぞれにつき相電圧,相電流及びホール信号を0.5秒の期間全体にわたって0.4μ秒ごとに記録した。これは,各信号につき,125万個のデータポイント に対応する。そのうえで,相電圧及びホール信号に関するデータからHA 流及びホール信号を0.5秒の期間全体にわたって0.4μ秒ごとに記録した。これは,各信号につき,125万個のデータポイント に対応する。そのうえで,相電圧及びホール信号に関するデータからHALL,ADV,COND,FW,X1の各パラメータを抽出し,それらについて0.5秒の期間にわたって平均した。そして,これらのパラメータを基に,モータの速度,先進角及びフリーホイール角を算出した。 ③ 実験結果 オリフィス寸法が固定されているとき,被告製品のモータの先進期間は入力電圧の変化に応じて変化する。具体的には,先進期間は,入力電圧の低下に応じて増大する。 オリフィス寸法が固定されているとき,被告製品のモータの先進角は入力電圧の変化に応じて変化する。具体的には,先進角は,入力電圧の 低下に応じて増大する。 オリフィス寸法が固定されているとき,入力電圧が約17V以上の範囲において,被告製品のモータのフリーホイール期間は入力電圧の変化に応じて変化する。具体的には,フリーホイール期間は,入力電圧の低下に応じて減少する。 オリフィス寸法が固定されているとき,入力電圧が約17V以上の範 囲において,被告製品のモータのフリーホイール角は入力電圧の変化に応じて変化する。具体的には,フリーホイール角は,入力電圧の低下に応じて減少する。 イ被告が実施した実験(乙1,19) 乙1号証記載の実験(以下「被告乙1実験」という。) ① 実験に用いたシステム被告製品のモータのプリント回路基板の正電圧ケーブルを,被告製品のバッテリから切り離し,その代わりに直流電源に接続した。被告製品のモータの入口間近に11mmのオリフィスを取り付け に用いたシステム被告製品のモータのプリント回路基板の正電圧ケーブルを,被告製品のバッテリから切り離し,その代わりに直流電源に接続した。被告製品のモータの入口間近に11mmのオリフィスを取り付け,ダクトを介して均圧容器に接続し,更に均圧容器の入口を乱流防止箱に接続した。電 力計によりモータの入力電圧を測定し,オシロスコープにより,モータの相電圧,相電流及びホール信号等の波形を測定し,また,ホール信号から回転数計でモータの回転数を測定した。 ② 実験方法入力電圧とフリーホイール角及びフリーホイール期間の関係を確認 するため,入力電圧を0.2V刻みで異ならせ,モータの相電圧,相電流及びホール信号のデータを収集し,各データからホール期間,フリーホイール期間を抽出し,フリーホイール角を算出した。オリフィス径は11mmで固定した。 フリーホイール期間の抽出及びフリーホイール角の算出に当たって は,各入力電圧で20点のフリーホイール期間の抽出及びフリーホイー ル角の算出を行って,その平均値を用いた。 ③ 実験結果被告製品のモータのフリーホイール期間及びフリーホイール角は,入力電圧に対して所定の幅で値がランダムに振れ,全体を通して入力電圧に対する一定の変化傾向を示さない。また,被告製品のモータは入力電 圧が低下すると回転速度が低下する傾向があり,フリーホイール角は入力電圧に対してランダムに変動するため,モータの回転速度の変化とフリーホイール角の変動との間には関係性がない。 乙19号証記載の実験(以下「被告乙19実験」という。)① 実験に用いたシステム 被告製品のモータのプリント回路基板の正電圧ケーブルを,被告 の間には関係性がない。 乙19号証記載の実験(以下「被告乙19実験」という。)① 実験に用いたシステム 被告製品のモータのプリント回路基板の正電圧ケーブルを,被告製品のバッテリから切り離し,その代わりに直流電源に接続した。被告製品のモータの入口にラッパ管を取り付け,このラッパ管と均圧容器の出口の間(均圧容器のラッパ管取り付け口)に,入力電圧18.5Vにおいてモータの回転数が85krpmになるように10.4mmのオリフィ スを取り付けた。その上で,均圧容器の入口を乱流防止箱に接続した。 電力計によりモータの入力電圧を測定し,オシロスコープによりモータの相電流及びホール信号の波形を測定し,ホール信号からモータの回転数を測定した。 また,被告モータの制御において●(省略)●が行われていることを 示す信号を外部で測定できるようにするため,それらの制御の有無に対応して所定の制御ピンに出力するようモータ制御ソフトに命令文を追加した。 ② 実験方法入力電圧については,15.0Vから17.0Vの範囲では0.2V 刻みで異ならせ,17.0Vから18.7Vの範囲では0.1V刻みで 異ならせて測定した。 ③ 実験結果前記ウ記載のとおりであり,被告製品のモータは,定常動作時における同一の入力電圧下において,モータの回転ごとに,モータの通電時間の制御が●(省略)●によるものになったり,●(省略)●によるも のになったり,●(省略)●によるものになったりした。 原告及び被告の実験結果におけるフリーホイール期間(甲7,乙19,弁論の全趣旨)ア原告甲7実験一つの特定の入力電圧及びオリフィス径における,1回の半サ のになったりした。 原告及び被告の実験結果におけるフリーホイール期間(甲7,乙19,弁論の全趣旨)ア原告甲7実験一つの特定の入力電圧及びオリフィス径における,1回の半サイクル期間 ごとのフリーホイール期間は,約20μ秒ないし約45μ秒の範囲で変動していた。 イ被告乙19実験入力電圧18.5V,オリフィス径10.4mmにおける1回の半サイクル期間ごとのフリーホイール期間は,●(省略)●の場合には約40μ秒な いし約55μ秒の範囲で,●(省略)●の場合には約35μ秒ないし約51μ秒の範囲で,それぞれ変動していた。 3 構成要件1C及び1Dの充足性(争点1-2)について 構成要件1Cは,「前記励起電圧の変化に応答して前記先進角及び前記フリーホイール角を変更する段階と,を含み,」というものであり,1Dは,「前記 励起電圧の低下に応答して,前記先進角が増加し,前記フリーホイール角が減少する」というものである。そして,本件明細書1の段落【0066】や【0067】の記載(前記2に照らせば,フリーホイール角は,モータの制御回路によって決定されたフリーホイール期間の間にモータが回る角度を示すものと解されるから,構成要件1C及び1Dにおける励起電圧とフリ ーホイール角についての関係性は,励起電圧とフリーホイール期間のそれと基 本的に同一であるといえる。 前記2アのとおり,モータの制御に関する入力電圧と先進時間及びフリーホイール時間の関係について,本件明細書1の段落【0061】には,「励起電圧の低下に応答して,より多くの電流が,半サイクルにわたって巻線19内に駆動され,従って,一定の出力電力が維持される」との記載があり,これは半 サイクル期間における電圧の低下や 】には,「励起電圧の低下に応答して,より多くの電流が,半サイクルにわたって巻線19内に駆動され,従って,一定の出力電力が維持される」との記載があり,これは半 サイクル期間における電圧の低下や巻線内への駆動を前提とするものであることや,本件明細書1の段落【0060】には,「励起電圧(すなわち,電源2のリンク電圧)及びモータ8の速度の変化に応答して,先進角A_ADV及びフリーホイール角A_FREEの両方を変更する」との記載があり,前記の「先進角A_ADV」及び「フリーホイール角A_FREE」は本件明細書1の段 落【0054】,【0055】及び【0057】などの記載に照らして半サイクル期間における先進角及びフリーホイール角を意味すると解されることなどの本件明細書1の記載を参酌すれば,構成要件1C及び1Dは,1回の半サイクル期間における励起電圧の変化及び低下やフリーホイール角の変更を定めたものであると解するのが相当である。 また,構成要件1Cの「前記励起電圧」,「前記先進角」及び「前記フリーホイール角」,構成要件1Dの「前記励起電圧」,「前記先進角」及び「前記フリーホイール角」という文言から明らかなように,構成要件1C及び1Dは構成要件1Bの表現を引用しているところ,構成要件1Bは「先進角だけ巻線の逆起電力のゼロ交差よりも前に励起電圧によって励起され,かつ整流前のフリーホ イール角にわたってフリーホイールされる電気機械の巻線を順次励起してフリーホイールさせる段階と」というものである。そして,前記2アのとおり,本件明細書1の段落【0060】には,「駆動コントローラ16は,順次巻線19を励起してフリーホイールさせる。各電気半サイクルは,従って,単一駆動期間とその後の単一フリーホイール期間とを継続して含む。更に,巻線1 の段落【0060】には,「駆動コントローラ16は,順次巻線19を励起してフリーホイールさせる。各電気半サイクルは,従って,単一駆動期間とその後の単一フリーホイール期間とを継続して含む。更に,巻線19は, 位置センサ信号のエッジよりも前に,従って,逆起電力のゼロ交差よりも前に 励起される」と記載されていることに照らせば,構成要件1Bは半サイクル期間についての制御を特定するものであると解される。そして,構成要件1C及び1Dが構成要件1Bの表現を引用していることからしても,構成要件1C及び1Dは,半サイクル期間における制御を特定しているものと解するのが相当である。 この点について,原告は,本件明細書1において,構成要件1Dを1回の半サイクル期間における制御内容についてのものであるという限定をする趣旨の記載は存在しないと主張し,フリーホイール期間の傾向を知るために平均値を用いることが有効な方法であることなどを主張する。技術常識に照らし,モータの実際の挙動が,制御対象の構造上のアンバランスのような内的要因や作 動環境のような外的要因によってばらつくこと自体はあり得ると認められ,この観点から,モータの動作として,特定のサイクルの挙動のみを取り出すのではなく,複数のサイクルにおける平均値を採用することが相当である場合があり得るとはいえる。もっとも,構成要件1C及び1Dは,上記のとおり,半サイクル期間における制御内容を特定していると解されるのであって,対象とな る製品の制御内容を複数のサイクルにおける平均値を用いて特定する場合においては,当該平均値をもって前記のとおり特定された構成要件を充足するといえるような関係がある必要があるといえる。 構成要件1Cは,「励起電圧の変化に応答して,フリーホイール角を変更する 場合においては,当該平均値をもって前記のとおり特定された構成要件を充足するといえるような関係がある必要があるといえる。 構成要件1Cは,「励起電圧の変化に応答して,フリーホイール角を変更する」というものであり,1Dは「励起電圧の低下に応答して,フリーホイール 角が減少する」というものである。 前記の「応答」という文言の国語的な意味が「入力・刺激などに対する出力・反応」であるとされていること(甲28)などに照らせば,構成要件1C及び1Dは,励起電圧の変化に応じて,フリーホイール角が変更される関係であることを意味するといえる。そして,励起電圧の変化に応じて,上記の変更がさ れる関係であれば,その制御において,励起電圧そのものを測定し,それに従 って制御をしておらず,例えば,●(省略)●等を測定して制御を行った結果,励起電圧の変化に応じてフリーホイール角が変更される関係があれば,「励起電圧の変化に応答して,フリーホイール角を変更する」,「励起電圧の低下に応答して,フリーホイール角が減少する」といえると解される。 もっとも,励起電圧の変化に応じてフリーホイール角が変化するといえるた めには,モータの実際の挙動について,制御対象の構造上のアンバランスのような内的要因や作動環境のような外的要因によってばらつくことがあるという技術常識の範囲内での誤差は許容され得るとしても,励起電圧の変化に伴い,フリーホイール角が変化するという規則的ないし原則的な関係が必要であると解され,前記に照らし,励起電圧の変化に応じて半サイクル期間における フリーサイクル角が変化するという規則的ないし原則的な関係が必要であると解される。 これに対し,被告は,被告製品のモータは,●(省略)●を行っており,モータ通電時間を制御の対象とし おける フリーサイクル角が変化するという規則的ないし原則的な関係が必要であると解される。 これに対し,被告は,被告製品のモータは,●(省略)●を行っており,モータ通電時間を制御の対象とし,また,●(省略)●を行うものであるから,フリーホイール期間をどのような状態にするかということにつき何ら制御を するものではないし,被告製品におけるモータの制御方法に入力電圧に応じた規則性は存在しないと主張する。このうち,原告は,●(省略)●がされている場合について,被告製品のモータの制御方法が,構成要件1C及び1Dを充足するとの主張はしていない。また,●(省略)●については,測定や制御の対象となるのは電圧やフリーホイール角ではなく,●(省略)●やモータ通電 時間であるが,そのことのみをもって上記構成要件を充足しないとは解されず,被告製品のモータの制御方法が上記構成要件を充足するかは,●(省略)●において,励起電圧の変化に伴って,上記のような関係があるか否かによって定まるといえる。 ア前記解釈を前提に,被告製品におけるモータの制御方法が構成要件1C及 び1Dを充足するか否かを検討する。 原告は,被告製品におけるモータの制御方法は,入力電圧が17V以上の範囲において入力電圧の変化に応答して先進角及びフリーホイール角を変更する段階を有し,入力電圧の低下に応答して,先進角が増加し,フリーホイール角が減少するから,構成要件1C及び1Dを充足すると主張し,原告甲7実験及び原告甲8実験の実験結果(前記をその根拠とする。 原告甲7実験及び原告甲8実験の実験結果は,相電圧及びホール信号に関するデータからHALL,ADV,COND,FW,X1の各パラメータを抽出し,それらについて,0.5秒の期間にわたって,0.4μ秒 原告甲7実験及び原告甲8実験の実験結果は,相電圧及びホール信号に関するデータからHALL,ADV,COND,FW,X1の各パラメータを抽出し,それらについて,0.5秒の期間にわたって,0.4μ秒ごとに記録したデータを平均したものである。そして,そのような測定方法においては,入力電圧が約17Vないし18V以上の範囲において,入力電圧が低下 した場合にフリーホイール期間(角)が減少する関係にあるという結果となっている。 イしかし,前記被告製品におけるモータの制御方法では,一定の入力電圧及びオリフィス径を前提とした場合においても,1回の半サイクル期間ごとのフリーホイール期間は,原告甲7実験では約20μ秒ないし 約45μ秒の範囲で変動し,被告乙19実験では約35μ秒ないし約55μ秒の範囲で変動していた。被告乙1実験でも前記と同様に1回の半サイクル期間ごとのフリーホイール期間には小さくない変動があることがうかがわれる(乙1・図3)。 そうすると,被告製品のモータでは,同一の入力電圧下においても,フリ ーホイール期間は,相当に変動し,1回の半サイクル期間ごとのフリーホイール期間の長さと比較して,その変動の割合は相当に大きいものといえる。 そして,その変動の大きさからすると,入力電圧が減少した場合,当該1回の半サイクル期間におけるフリーホイール期間(角)は,入力電圧が減少する直前のそれと比較して減少する可能性も,逆に増加することも想定される といえる。このような1回の半サイクル期間ごとのフリーホイール期間の変 動の幅の大きさからすると,被告製品におけるモータの制御方法において,励起電圧の変化に伴いフリーホイール角が変化するという規則的ないし原則的な関係があると認めるに足りず,前記の平均値に関する実験 動の幅の大きさからすると,被告製品におけるモータの制御方法において,励起電圧の変化に伴いフリーホイール角が変化するという規則的ないし原則的な関係があると認めるに足りず,前記の平均値に関する実験結果をもって,入力電圧が低下した場合に基本的ないし原則的に1回の半サイクル期間のフリーホイール期間(角)が減少する関係があると認めるには足りない。 したがって,原告甲7実験及び原告甲8実験の実験結果は,被告製品におけるモータの制御方法が構成要件1C及び1Dを充足すると認めるには足りない。その他,本件記録を精査しても,構成要件1C及び1Dの充足性を認めるに足りる証拠は見当たらない。 ウこれに対し,原告は,①長い期間(0.5秒)のフリーホイール期間(角) の平均値は当該期間の入力電圧に対応するフリーホイール期間(角)をほぼ正しく代表していること,②ばらつきのあるデータを扱う場合には従来からデータの平均値が用いられており,本件においてもフリーホイール期間(角)の傾向を知るために平均値を用いることは有効な方法であることなどを主張する。 前記のとおり,技術常識に照らしてモータの挙動においてばらつきが生ずること自体はあり得ることに照らせば,フリーホイール期間(角)の傾向を知るために平均値を用いること自体が否定されるものではない。また,前記のとおり,励起電圧そのものを測定の対象としなくとも,構成要件1C及び1Dを充足する場合はあると考えられるが,それは,励起電圧の変化に 伴い,フリーホイール角が変化するという規則的ないし原則的な関係が認められる場合であると解される。しかし,被告製品におけるモータの制御方法においては,フリーホイール期間(角)には相当程度大きな変動がある。そして,当該平均値の中には●( 的ないし原則的な関係が認められる場合であると解される。しかし,被告製品におけるモータの制御方法においては,フリーホイール期間(角)には相当程度大きな変動がある。そして,当該平均値の中には●(省略)●という性質の異なる制御方法による数値が混在している ことなどの事情があるほかに,被告製品は,励起電圧そのものではなく,● (省略)●を測定の対象として,通電時間の制御をしているのであり,そのような制御方法も一因となって,励起電圧との関係で,同一の制御方法下でも,上記のようなフリーホイール期間(角)に相当に大きなばらつきが生じているといえる。このような事情を考えれば,構成要件1C及び1Dとの関係において,原告甲7実験及び原告甲8実験で示された平均値が1回の半サ イクル期間におけるフリーホイール期間(角)をほぼ正しく代表しているとは認められず,本件においてフリーホイール期間(角)の傾向を知るために,原告甲7実験,原告甲8実験における平均値を用いることが有効な方法であるとも認められないから,原告の前記主張は採用できない。その他の原告の主張,立証によっても前記認定を覆すには足りない。 以上の検討によれば,被告製品におけるモータの制御方法は,構成要件1C及び1Dを充足しないから,他の構成要件の充足性を判断するまでもなく,本件特許発明1-1の技術的範囲に属さない。 4 本件特許発明1-6,1-8,1-9,1-10,1-11及び1-12について 本件特許発明1-6は本件特許権1の請求項1ないし5を前提としているところ(構成要件1G),被告製品におけるモータの制御方法は前記のとおり本件特許権1の請求項1(本件特許発明1-1)の技術的範囲に属さず,原告から本件特許権1の請求項2ないし5の技術的範囲に属す るところ(構成要件1G),被告製品におけるモータの制御方法は前記のとおり本件特許権1の請求項1(本件特許発明1-1)の技術的範囲に属さず,原告から本件特許権1の請求項2ないし5の技術的範囲に属することについての主張はされていないから,被告製品におけるモータの制御方法は,本件特許発 明1-6の技術的範囲に属さない。 本件特許発明1-8は本件特許権1の請求項6又は7を前提としているところ(構成要件1I),被告製品におけるモータの制御方法は前記のとおり本件特許権1の請求項6(本件特許発明1-6)の技術的範囲に属さず,原告から本件特許権1の請求項7の技術的範囲に属することについての主張はされ ていないから,被告製品におけるモータの制御方法は,本件特許発明1-8の 技術的範囲に属さない。 本件特許発明1-9は本件特許権1の請求項1ないし8を前提としているところ(構成要件1M),被告製品におけるモータの制御方法は前記のとおり本件特許権1の請求項1,6及び8(本件特許発明1-1,1-6及び1-8)の技術的範囲に属さず,原告から本件特許権1の請求項2ないし5及び請求項 7の技術的範囲に属することについての主張はされていないから,被告製品におけるモータの制御方法は,本件特許発明1-9の技術的範囲に属さない。 本件特許発明1-10は本件特許権1の請求項1ないし9を前提としているところ(構成要件1O),被告製品におけるモータの制御方法は前記のとおり本件特許権1の請求項1,6,8及び9(本件特許発明1-1,1-6,1 -8及び1-9)の技術的範囲に属さず,原告から本件特許権1の請求項2ないし5及び請求項7の技術的範囲に属することについての主張はされていないから,被告製品は,本件特許発明1-10の技術的範囲に属さない 及び1-9)の技術的範囲に属さず,原告から本件特許権1の請求項2ないし5及び請求項7の技術的範囲に属することについての主張はされていないから,被告製品は,本件特許発明1-10の技術的範囲に属さない。 本件特許発明1-11,1-12は本件特許権1の請求項10を前提としているところ(構成要件1P),被告製品は前記のとおり本件特許権1の請求項 10(本件特許発明1-10)の技術的範囲に属さないから,被告製品は本件特許発明1-11,1-12の技術的範囲に属さない。 5 構成要件2Cの充足性(争点2-2)について構成要件2Cは,「前記電気機械が,60krpmよりも大きい最小値及び80krpmよりも大きい最大値を有する作動速度範囲にわたって,且つ,最 大電圧と前記最大電圧の80%未満である最小電圧の間に定められた励起電圧範囲にわたって駆動されるように,前記制御システムは,前記励起電圧に応答して,前記巻線が励起されるタイミング及び前記巻線がフリーホイールされる期間を変更する」というものである。 前記2イのとおり,本件明細書2の段落【0008】には「制御システム は,更に,電気システムの出力電力が,巻線を励起するのに用いる電圧の範囲 にわたって実質的に一定であるように,巻線が励起される時間及び巻線がフリーホイールされる時間を変更することができる。」,段落【0009】には「励起電圧の範囲は,最小電圧と最大電圧の間で延びることができ,最小電圧は,最大電圧レベルの80%未満である。こうして,これは,一定の出力電力及び/又は良好な効率を達成することができる電圧の比較的広い範囲を表してい る。」,段落【0098】には「励起電圧及び速度の両方の変化に応答して先進角及びフリーホイール角を制御することにより,制御システム 良好な効率を達成することができる電圧の比較的広い範囲を表してい る。」,段落【0098】には「励起電圧及び速度の両方の変化に応答して先進角及びフリーホイール角を制御することにより,制御システム9は,励起電圧及びモータ速度の範囲にわたって一定の出力電力でモータ8を駆動することができる。」,段落【0099】には「一定の出力電力及び/又は高効率が達成される励起電圧の範囲は,比較的広い。6セルバッテリパックに対して,励起 電圧範囲は,16.8-23.0Vであるが,4セルバッテリパックに対しては,励起電圧範囲は,11.2-14.8である。両電圧範囲に対して,最小電圧は,最大電圧の80%未満である。これは,一定の出力電力及び/又は高効率が達成される比較的大きな範囲を表している。」との各記載がある。これらの記載を参酌すれば,構成要件2Cは,最大電圧と最小電圧を起点とする励 起電圧範囲の全ての範囲において,励起電圧に応答して励起のタイミングやフリーホイール期間を変更するという制御を行うことを定めていると解するのが相当である。 これに対し,原告は,構成要件2Cは,最大電圧と最小電圧の範囲内で任意に定められる励起電圧範囲において,励起電圧に応答して励起のタイミングや フリーホイール期間を変更するという制御を行うことを定めたものであるなどと主張するが,前記説示に照らして前記原告の主張は採用することができない。 前記解釈を前提に,被告製品が構成要件2Cを充足するか否かを検討する。 前記 ら17.1Vの入力電圧の範囲において●(省略)●のみが行われるところ, ●(省略)●から,前記の電圧範囲ではフリーホイール期間にも変更は生じない。また,原告甲7実験の結果(甲7・図7,図11)や原告甲8実験の結果(甲8・図 (省略)●のみが行われるところ, ●(省略)●から,前記の電圧範囲ではフリーホイール期間にも変更は生じない。また,原告甲7実験の結果(甲7・図7,図11)や原告甲8実験の結果(甲8・図5)によっても,入力電圧が約17Vないし18V以下の範囲ではフリーホイール期間は変化していない。これらの実験結果に照らせば,被告製品において,少なくとも入力電圧が17V以下の範囲で,入力電圧の変化に応 答してフリーホイール期間が変更される可能性は証拠上示されていないといえる。 したがって,被告製品は,前記2のとおり認定した最大電圧(約18.8V)と,その最大電圧の80%(約15.0V)未満の数値で設定される最小電圧の全範囲において,励起電圧の変化に応答してフリーホイール期間を変更 するものとはいえないから,その余の点を判断するまでもなく,構成要件2Cを充足しない。 以上の検討によれば,被告製品は,構成要件2Cを充足しないから,他の構成要件の充足性を判断するまでもなく,本件特許発明2-1の技術的範囲に属さない。 6 本件特許発明2-4,2-5,2-6,2-7について 本件特許発明2-4は,本件特許権2の請求項1ないし3を前提としているところ(構成要件2G),被告製品におけるモータの制御方法(電気システム)は前記のとおり本件特許権2の請求項1(本件特許発明2-1)の技術的範囲に属さず,原告から本件特許権2の請求項2及び3の技術的範囲に属すること についての主張はされていないから,被告製品は,本件特許発明2-4の技術的範囲に属さない。 本件特許発明2-5は本件特許権2の請求項1ないし4を前提としているところ(構成要件2J),被告製品は前記のとおり本件特許権2の請求項1及び4(本件特許発明2-1及び 的範囲に属さない。 本件特許発明2-5は本件特許権2の請求項1ないし4を前提としているところ(構成要件2J),被告製品は前記のとおり本件特許権2の請求項1及び4(本件特許発明2-1及び2-4)の技術的範囲に属さず,原告から本件 特許権2の請求項2及び3の技術的範囲に属することについての主張はされ ていないから,被告製品は,本件特許発明2-5の技術的範囲に属さない。 本件特許発明2-6は本件特許権2の請求項1ないし5を前提としているところ(構成要件2L),被告製品は前記のとおり本件特許権2の請求項1,4及び5(本件特許発明2-1,2-4及び2-5)の技術的範囲に属さず,原告から本件特許権2の請求項2及び3の技術的範囲に属することについての 主張はされていないから,被告製品は,本件特許発明2-6の技術的範囲に属さない。 本件特許発明2-7は本件特許権2の請求項1ないし6を前提としているところ(構成要件2N),被告製品は前記のとおり本件特許権2の請求項1,4,5及び6(本件特許発明2-1,2-4,2-5及び2-6)の技術的範 囲に属さず,原告から本件特許権2の請求項2及び3の技術的範囲に属することについての主張はされていないから,被告製品は本件特許発明2-7の技術的範囲に属さない。 7 小括以上によれば,被告製品及び被告製品におけるモータの制御方法について,い ずれも本件特許発明1及び2の技術的範囲に属すると認めることはできない。 第4 結論よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官柴田義明 裁判官佐藤雅浩 までもなく,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官柴田義明 裁判官佐藤雅浩 裁判官安岡美香子は差し支えのため署名押印できない。 (別紙) 物件目録 製品番号「VC-CL100」に係る真空掃除機

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