平成11(行ウ)283 固定資産税賦課徴収懈怠違法確認請求事件

裁判年月日・裁判所
平成12年8月29日 東京地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文4,002 文字)

主文 一本件訴えを却下する。 二訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第一原告らの求めた裁判被告が別紙物件目録記載の各不動産について平成五年度ないし平成一〇年度の固定資産税の賦課、徴収を怠ったことがいずれも違法であることを確認する。 第二事案の概要本件は、原告らが、宗教法人創価学会の所有する別紙物件目録記載の各不動産(以下「本件不動産」という。)につき被告が固定資産税を賦課、徴収しないことが違法であると主張して、地方自治法二四二条の二第一項三号に基づき、怠る事実の違法確認を求めるものである。 一法令の定め地方税法は、宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法三条に規定する境内建物及び境内地については、固定資産税を課することができない旨定めている(三四八条二項三号。以下「本件非課税規定」という。)。 二前提事実(争いがない。) 1 原告らは、東京都の住民である。 2 創価学会は、昭和二七年八月二七日付けで東京都知事(以下「都知事」という。)により認証を受け、同年九月八日付けで宗教法人として設立の登記をした。 3 原告らは、平成一一年一一月一一日、東京都監査委員に対し、地方自治法二四二条に基づき、都知事が本件不動産を含む創価学会所有の不動産に係る固定資産税の賦課、徴収を怠っている事実の是正を求める住民監査請求を行ったところ、東京都監査委員は、平成一一年一二月三日、監査を行わない旨の通知をした。 三原告らの請求原因 1 創価学会は、固有の本尊や教義を有せず、宗教法人日蓮正宗の信徒による団体に他ならず、宗教法人としての本質的な要件に欠けているものであって、宗教法人としての適格性を有しないから、本件非課税規定が適用される余地はない。また、創価学会は、平成三年一一月二八日付けで日蓮正宗から破門され、宗教団 人としての本質的な要件に欠けているものであって、宗教法人としての適格性を有しないから、本件非課税規定が適用される余地はない。また、創価学会は、平成三年一一月二八日付けで日蓮正宗から破門され、宗教団体としての性格を失った。 2 創価学会は、本件不動産を「事務所」「礼拝所」としているが、これらの土地建物を「本部」等として使用しており、本来的な意味で宗教行事の用に供しているとは認められないから、本件非課税規定は適用されない。 四本案前の争点本案前の争点は、都知事に被告適格が認められるか否かという点であり、これに関する当事者の主張は以下のとおりである。 (被告の主張)本件訴訟は、地方自治法二四二条の二第一項三号に基づき怠る事実の違法確認を求めるものであるが、右条項は、地方公共団体の執行機関又は職員に対し、個人としてその職務懈怠の責任を追及することを目的としたものではなく、職務懈怠の違法を確認することによってその違法状態を除去し、もって地方自治体の財務の適法性を確保することを目的としたものであるから、必然的に、怠る事実の違法確認を求める相手方は、現に当該怠る事実に係る権限を有しているものに限られるというべきである。 これを本件についてみれば、地方税法三条及び三四二条の規定によると、固定資産税は、当該固定資産所在の市町村で課する市町村税であり、固定資産税を賦課徴収する権限は市町村長にあるところ、都の特別区の存する区域においては、地方税法七三四条一項の規定により、「都」は「市」とみなされ、「市町村長」は「都知事」と読み替えられる。そして、法三条の二及び東京都都税条例(以下「都税条例」という。)四条の三第一項によれば、この都知事の権限は、都税の納税地所管の各都税事務所長等に委任されており、本件固定資産税の賦課徴収の権限は、東京都新宿都税事務 及び東京都都税条例(以下「都税条例」という。)四条の三第一項によれば、この都知事の権限は、都税の納税地所管の各都税事務所長等に委任されており、本件固定資産税の賦課徴収の権限は、東京都新宿都税事務所長に委任されている。 したがって、被告は、本件固定資産税の賦課、徴収に係る権限を有していないので、地方自治法二四二条の二第一項三号に規定する「当該執行機関又は職員」に該当しないから、本件訴えの被告適格がないというべきである。 また、原告らは、固定資産税の賦課徴収の権限がない都知事を対象とする住民監査請求を行ったのであるから、右監査請求は不適法なものというべきところ、本件訴えは、適法な住民監査請求を経たものということはできず、この点でも本件訴えは不適法というべきである。 (原告らの主張)本件において怠る事実とされる固定資産税の非課税の措置は、賦課徴収の事務を執行する上での権限の懈怠ではなく、宗教法人の適格性を欠くにもかかわらず、都知事において創価学会について宗教法人の認証を行い、これを引き続き容認しているという事実に由来しているのである。都税事務所長は、固定資産税の賦課徴収の事務に限って委任されているにすぎない。そして、当該怠る事実の存否は、その理由との関連を度外視して判断することはできないのであって、都知事が他の機関に事務上の権限を委任したとしても、その基となる法律に基づく本来的な職責と権限に伴う責任を免れないというべきである。 また、登録免許税法四条二項によれば、境内建物等の所有権の取得登記等は非課税とされているところ、右登記がなされる場合には、現地調査が行われ、都知事が「もっぱら本来の用に供する境内建物及び境内地に該当する」旨の証明書を交付することとされている。そして、固定資産税や不動産取得税の非課税に関しても、右証明書をもって申 には、現地調査が行われ、都知事が「もっぱら本来の用に供する境内建物及び境内地に該当する」旨の証明書を交付することとされている。そして、固定資産税や不動産取得税の非課税に関しても、右証明書をもって申請することが要求されている。このように、非課税とするかどうかの判定が、都知事固有の権限に基づく認定に依拠して行われることからしても、本件訴訟における被告は、都知事とするのが相当である。 したがって、都知事は、本件訴えについて被告適格を有するというべきである。 第三当裁判所の判断一本件は、地方自治法二四二条の二第一項三号に基づき、固定資産税の賦課若しくは徴収を怠る事実の違法確認を求める訴訟であるところ、怠る事実の違法確認請求は、地方公共団体の執行機関又は職員に対し、個人としてその職務懈怠の責任を追及することを目的としたものではなく、職務懈怠の違法を確認することによってその違法状態を除去し、もって地方自治体の財務の適法性を確保することを目的としたものであるから、怠る事実の違法確認を求める相手方は、現に当該怠る事実に係る権限を有している者に限られるというべきである。 これを本件についてみると、東京都は、特別区の存する区域において、固定資産税を課することとされているが(地方税法七三四条一項)、都知事は、徴収金の賦課徴収に関する事項を、都税の納税地所管の各都税事務所長又は支庁長(以下「都税事務所長等」という。)に委任している(地方税法三条の二及び都税条例四条の三第一項)から、固定資産税の賦課徴収に関する権限は、都税事務所長等に属しており、都知事は右権限を有していないものと解される。 もっとも、都知事は、委任した事項について必要があると認める場合においては、都税事務所長等に指示をすることができ(都税条例四条の三第九項)、都税事務所長等に対する指揮 有していないものと解される。 もっとも、都知事は、委任した事項について必要があると認める場合においては、都税事務所長等に指示をすることができ(都税条例四条の三第九項)、都税事務所長等に対する指揮監督権限を有しているものであるが、都知事の右指揮監督権限の行使自体については、これを財務会計上の行為とみることはできないから、仮に右指揮監督権限の行使に懈怠があったとしても、これをもって地方自治法二四二条の二第一項三号にいう公金の賦課若しくは徴収を怠る事実に該当すると解することはできない。 そうすると、被告は、地方自治法二四二条の二第一項三号に規定する「当該執行機関又は職員」に該当せず、本件訴えにつき被告適格を有しないというべきである。 二これに対して、原告らは、創価学会の宗教法人としての適格性及び本件不動産の本件非課税規定該当性を判断したのは都知事であるところ、右の各点が本件訴訟で争点とされるべきであるから、都知事に被告適格が認められるべきであると主張する。 右主張は、直接の審理対象とされるべき財務会計行為に先行する別の行為に違法性があると主張して当該先行行為の主体に被告適格を認めようとするものである。 しかし、本件訴訟は地方自治法が特別に認めた訴訟類型である住民訴訟であり、被告とすべき者は、同法二四二条の二第一項三号が定める「当該執行機関又は職員」に限られるのであって、先行行為の主体にすぎない者は右に該当せず、被告適格を有しないというほかないから、右主張は採用できない。 三結論よって、本件訴えは、その余の点を判断するまでもなく、被告適格のない者を被告としたものとして、不適法であるから、これを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六一条、六五条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民 い者を被告としたものとして、不適法であるから、これを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六一条、六五条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第三部裁判長裁判官藤山雅行裁判官谷口豊裁判官加藤聡

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