平成27(ワ)34571 損害賠償等請求事件 ほか

裁判年月日・裁判所
令和6年3月22日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-93516.txt

判決文本文47,211 文字)

令和6年3月22日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成27年(ワ)第34571号損害賠償等請求事件(以下「第1事件」という。)平成28年(ワ)第9820号損害賠償請求事件(以下「第2事件」という。)平成28年(ワ)第26415号損害賠償請求事件(以下「第3事件」という。)平成29年(ワ)第7864号損害賠償請求事件(以下「第4事件」という。) 平成29年(ワ)第13403号損害賠償請求事件(以下「第5事件」という。)平成29年(ワ)第14557号損害賠償請求事件(以下「第6事件」という。)平成29年(ワ)第30001号損害賠償請求事件(以下「第7事件」という。)口頭弁論終結日令和5年11月14日判決 別紙1(当事者目録)記載のとおり 主文 1 被告株式会社東芝は、別紙2(認容額一覧)の「原告名」の項記載の各原告に対し、各原告に係る同別紙の「合計(円)」の項記載の各金員及びこれに対する平成27年5月8日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 別紙2(認容額一覧)の「原告名」の項記載の各原告の被告株式会社東芝に対するその余の請求及びその余の被告らに対する請求をいずれも棄却する。 3 別紙3記載の各原告の被告らに対する請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、別紙4(訴訟費用負担一覧)記載のとおりの負担とする。 5 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告株式会社東芝(以下「被告東芝」という。)、被告E(以下「被告E」という。)、被告F(以下「被告F」という。)、被告G(以下「被告G」という。)及び被告H(以下「被告H」という。)は、連帯して(ただし、下記2及び 以下「被告東芝」という。)、被告E(以下「被告E」という。)、被告F(以下「被告F」という。)、被告G(以下「被告G」という。)及び被告H(以下「被告H」という。)は、連帯して(ただし、下記2及び3の限度で、 被告C、被告D及び被告Bとも連帯して)、別紙5の1~6(請求の趣旨一覧表) の「原告名」の項記載の各原告に対し、各原告に係る同別紙の「損害合計」の項記載の各金員及びこれに対する平成27年5月8日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Cは、被告東芝、被告E、被告F、被告G及び被告Hと連帯して、別紙5の1~6の「原告名」の項記載の各原告に対し、各原告に係る同別紙の「損害合 計(C分)」の項記載の各金員及びこれに対する平成27年5月8日から各支払済みまで年5分の割合による金員を、亡A(以下「亡A」という。)の相続財産の限度において支払え。 3 被告D及び被告Bは、被告東芝、被告E、被告F、被告G及び被告Hと連帯して、別紙5の1~6の「原告名」の項記載の各原告に対し、各原告に係る同別紙 の「損害合計(D分・B分)」の項記載の各金員及びこれに対する平成27年5月8日から各支払済みまで年5分の割合による金員を、亡Aの相続財産の限度において支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要 本件は、被告東芝が発行する株式(以下「被告株式」という。)の取引をした原告らが、被告東芝が提出し公衆の縦覧に供された平成20年度(第170期)から平成26年度(第176期)の第3四半期までの期間にかかる有価証券報告書及び四半期報告書には、被告東芝の不適切な会計処理に起因する重要な事項についての虚偽記載があり、これによって損害を被ったと主張して、⑴被告東芝に対 しては、金融商品取引法(以下「金商法 報告書及び四半期報告書には、被告東芝の不適切な会計処理に起因する重要な事項についての虚偽記載があり、これによって損害を被ったと主張して、⑴被告東芝に対 しては、金融商品取引法(以下「金商法」という。)21条の2、民法709条に基づき、⑵被告東芝の役員であった亡A、被告E、被告F、被告G及び被告H(以下「被告役員ら」という。)に対しては、金商法24条の4が準用する22条、民法709条、719条に基づき、別紙5の1~6の「損害合計」の項記載の各金員及びこれに対する上記虚偽記載後の日である平成27年5月8日から各支払 済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合によ る遅延損害金の連帯支払(被告東芝と被告役員らは民法719条1項の関係)を求める事案である。 なお、亡Aは、本件訴訟係属中の平成29年12月8日に死亡し、被告C、被告D及び被告Bが亡Aの相続を限定承認して本件訴訟を承継したため、これらの相続人らについては、上記損害賠償金及び遅延損害金につき、各相続分に応じて 他の被告らとの連帯支払を求める請求に変更された(別紙5の1~6の「損害合計(C分)」及び「損害合計(D・B分)」の項参照)。 2 前提事実(当事者間に争いがないか掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者等 ア原告らは、被告株式を募集又は売出しによらないで取得した者である。 (争いのない事実)。 イ被告東芝は、電気機械器具製造業、計量器、医療機械器具その他機械器具製造業等を業とする株式会社(取締役会設置会社、指名委員会等設置会社、会計監査人等設置会社)であり、その発行株式は東京証券取引所市場第一部 及び名古屋証券取引所市場第一部に上場されていた。決算期は毎年3月末日である。 (取締役会設置会社、指名委員会等設置会社、会計監査人等設置会社)であり、その発行株式は東京証券取引所市場第一部 及び名古屋証券取引所市場第一部に上場されていた。決算期は毎年3月末日である。(争いのない事実、弁論の全趣旨)ウ被告役員らは、いずれも被告東芝の役員を務めていた者であり、その在任期間等は、別紙6(被告役員一覧)記載のとおりである(甲A67)。 亡Aは、平成29年12月8日に死亡し、その妻である被告C並びに子で ある被告D及び被告Bが、亡Aの財産に属した権利義務を承継した。上記の被告らは、横浜家庭裁判所に対し、限定承認をする旨の申述をし、同申述は、平成31年3月26日、受理された(乙B14、15)。 ⑵ 被告東芝による有価証券報告書等の提出被告東芝は、別紙7(虚偽記載一覧表)記載のとおり、平成21年6月から 平成27年2月までにかけて、第170期から第175期までの有価証券報告 書及び第176期第1四半期から第3四半期までの各四半期報告書(以下、有価証券報告書と四半期報告書を併せて「有価証券報告書等」といい、同別紙記載の有価証券報告書等を「本件有価証券報告書等」という。)を関東財務局長に対して提出した。本件有価証券報告書等は、各提出の頃、公衆の縦覧に供された。 本件有価証券報告書等の連結財務諸表において、「当期純利益」、「株主資本」、「純資産」及び「継続事業からの税金等調整前当期純損益(△損失)」(以下「継続事業税引前当期純損益」という。)の各項目について、別紙7の「虚偽記載の該当部分」欄のとおり記載されていた。 (以上につき、甲A2、3、5、7、9、11、50、 52、54、乙A6)⑶ 原告らによる被告株式の取得及 紙7の「虚偽記載の該当部分」欄のとおり記載されていた。 (以上につき、甲A2、3、5、7、9、11、50、 52、54、乙A6)⑶ 原告らによる被告株式の取得及び処分原告らは、別紙8(取引履歴一覧)記載のとおり、被告株式を取得し、処分した(争いのない事実)。 ⑷ 本件有価証券報告書等の訂正に至る経緯等 ア被告東芝は、平成27年2月12日、証券取引等監視委員会から、金商法26条に基づき報告命令を受けるとともに工事進行基準案件等について開示検査を受けた(弁論の全趣旨)。 イ被告東芝は、平成27年4月3日、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」と題する書面を公表した。 同書面においては、平成25年度における一部インフラ関連の工事進行基準に係る会計処理について、調査を必要とする事項が判明したこと及び「工事進行基準案件に係る会計処理の適正性を検証し、検証結果を踏まえ改善・再発防止に関して提言する」ことを目的として、社外の専門家を含む特別調査委員会を設置し、事実関係の調査を行う旨が記載されていた。 被告東芝による前記平成27年4月3日の公表を受け、同日以降、インフ ラ工事の一部で不適切な会計処理があった疑いがある、平成25年度の会計処理では、工事費用を少なく見積もって利益を実際より多く計上していた可能性があるなどと報道がされた。 (以上につき、乙A8、24の1~6、D37)ウ被告東芝は、平成27年5月8日、「第三者委員会設置のお知らせ」、「業績 予想の修正に関するお知らせ」及び「剰余金の配当(期末)に関するお知らせ」と題する各書面を公表した。 これらの書面においては、(Ⅰ)特別調査委員会による調査の過 のお知らせ」、「業績 予想の修正に関するお知らせ」及び「剰余金の配当(期末)に関するお知らせ」と題する各書面を公表した。 これらの書面においては、(Ⅰ)特別調査委員会による調査の過程で、一部インフラ関連の工事進行基準案件において、工事原価総額が過少に見積もられ、工事損失(工事損失引当金を含む。)が適時に計上されていない等の事象 が判明した上、工事進行基準案件における工事原価総額の見積りの問題以外にも、更なる調査を必要とする事項が判明したこと、(Ⅱ)(Ⅰ)の状況に鑑みて、特別調査委員会による調査の枠組みから、日本弁護士連合会の定めるガイドラインに準拠した、被告東芝と利害関係を有しない中立・公正な外部の専門家から構成される第三者委員会による調査の枠組みに移行すると決 定したこと、(Ⅲ)特別調査委員会による調査結果によれば、平成25年度以前の過年度決算修正を行う可能性が生じており、平成26年度の決算発表は平成27年6月以降となる見込みであること、(Ⅳ)平成26年度通期の業績予想について、平成26年9月18日に公表した前回予想を修正し、業績予想を未定とすること、及び(Ⅴ)平成27年3月末日を基準日とする剰余 金の配当につき、無配とするとの決議をしたこと等が記載されていた。 被告東芝による前記平成27年5月8日の公表を受け、同日以降、被告東芝が、一部のインフラ関連工事における不適切な会計処理についての調査の必要から、同年3月期の連結業績予想を取り消し、「未定」とすると発表したなどと報道がされた。 (以上につき、甲A66の1~3、乙A26の1~5) エ被告東芝は、平成27年5月13日、同月8日付け「第三者委員会設置のお知らせ」と題する書面に記載された内容の補足として、「現時 (以上につき、甲A66の1~3、乙A26の1~5) エ被告東芝は、平成27年5月13日、同月8日付け「第三者委員会設置のお知らせ」と題する書面に記載された内容の補足として、「現時点で判明している過年度修正額見込み及び第三者委員会設置に関する補足説明」と題する書面を公表した。 同書面においては、(Ⅰ)「現時点で判明している過年度修正額見込み」と して、工事原価総額の過少見積りとそれに伴う工事損失(引当金)計上時期に関する過年度の要修正額が、平成23年度から平成25年度までの累計の営業損益ベースで▲(マイナス)500億円強を見込んでいるが、この見込みは平成27年5月13日時点のものであり、新たに設置される第三者委員会における判断とは異なる可能性があること、(Ⅱ)特別調査委員会の調査 の過程で、工事進行基準案件以外にも更なる調査が必要な事項(損失引当計上の時期及び金額の妥当性、経費計上時期の妥当性、在庫評価の妥当性等)が判明しており、これらの事項について、被告東芝として、全社的、網羅的に調査する必要があると判断したこと、及び(Ⅲ)(Ⅱ)に記載した事項によって更なる過年度決算の修正が必要となるか否か、また必要となった場合の 要修正額の規模は同日時点では不明であること等が記載されていた。 被告東芝による上記平成27年5月13日の公表を受け、同日以降、被告東芝が、平成23年度から平成25年度までの累計の営業損益ベースで▲(マイナス)500億円強を見込んでいるなどと報道がされた。 (以上につき、甲A65の1、66の4) オ被告東芝は、平成27年5月22日、「第三者委員会の調査対象に関するお知らせ」と題する書面を公表した。 同書面においては、①工事進行基準に係る会計 65の1、66の4) オ被告東芝は、平成27年5月22日、「第三者委員会の調査対象に関するお知らせ」と題する書面を公表した。 同書面においては、①工事進行基準に係る会計処理、②映像事業における経費計上に係る会計処理、③ディスクリート、システムLSIを主とする半導体事業における在庫の評価に係る会計処理及び④パソコン事業における 部品取引等に係る会計処理の事項について、第三者委員会に調査を委託する こと等が記載されていた。 被告東芝による上記平成27年5月22日の公表を受け、同日以降、被告東芝が、上記の①~④の事項につき、第三者委員会による調査の対象とすることを発表したなどと報じられた。 また、平成27年7月4日には、被告東芝の不適切会計が1500億円超 に拡大する可能性が高いことが同月3日に分かったなどと報道がされた。 (以上につき、甲A65の2、3、6、A66の5)カ(ア) 第三者委員会は、被告東芝の取締役や執行役等からのヒアリング等を経て、平成27年7月20日、第三者委員会の調査及び調査の結果は、被告東芝における調査対象に関する事実の確認と、調査対象たる会計処理が 「適切性」を欠くと判断した場合において、被告東芝におけるその発生原因の究明と再発防止策の策定・評価のために用いられることを予定しているものであり、それ以外の目的のために用いられることを予定していないこと、上記調査結果は、被告東芝からの委嘱を受けて、被告東芝のためだけに行われたものであるから、第三者に依拠されることは予定していない ことを留保した上で、前記オ①~④の各調査事項について、調査報告書(以下「本件調査報告書」という。)を被告東芝に提出した(甲A28の1、29の2、66の9) に依拠されることは予定していない ことを留保した上で、前記オ①~④の各調査事項について、調査報告書(以下「本件調査報告書」という。)を被告東芝に提出した(甲A28の1、29の2、66の9)。 (イ) 第三者委員会は、本件調査報告書において、①工事進行基準案件(インフラ関連案件)においては、工事原価総額の過少見積りによる工事損失引 当金の過少計上又は未計上等の「不適切」な会計処理があった、②映像事業においては、C/O(キャリーオーバー。当期で引き当てるべき引当金を計上しなかったり、経費の計上を翌期以降に先延ばしにしたりすることで見かけ上の当期利益を嵩上げすること。)と称する損益調整による当期利益の嵩上げ等の「不適切」な会計処理があった、③ディスクリート、シ ステムLSIを主とする半導体事業においては、滞留在庫について適切な 時期に評価損を計上せず、期中前工程のTOV(標準原価)改定による当期利益の嵩上げ等の不適切な会計処理が行われた、④パソコン事業において、マスキング価格を用いたODM先とのBuy-Sell取引(被告東芝又はその子会社が部品を購入し、ODM先に有償支給する部品取引と、部品供給を受けたODM先が自己調達部品と合わせてパソコンを製造し、 上記子会社に納入する完成品取引を総称する取引をいう。)により部品供給量を調整し、取引実態に沿わない利益が計上される等の不適切な会計処理がされたとそれぞれ認定し、平成20年度から平成26年度まで総額1518億円の税引き前利益の過年度決算の修正が必要であるとした(甲A28の2、29の2)。 (ウ) 被告東芝は、本件調査報告書の公表と併せ、自主チェックとして、さらに上記期間の累計で過年度修正額(税引前損益)44億円の修正が必要であり、要 (甲A28の2、29の2)。 (ウ) 被告東芝は、本件調査報告書の公表と併せ、自主チェックとして、さらに上記期間の累計で過年度修正額(税引前損益)44億円の修正が必要であり、要修正額は合計1562億円となると公表した(甲A28の1、66の9)。 キ被告東芝は、平成27年7月21日、「第三者委員会の調査報告書全文の 公表及び当社の今後の対応並びに経営責任の明確化についてのお知らせ」と題する書面と併せて、本件調査報告書の全文を公表した(甲A29の1、66の10)。 ク被告東芝は、平成27年8月18日、「新経営体制及びガバナンス体制改革策並びに過年度決算の修正概要及び業績予想についてのお知らせ」と題す る書面を公表した。 同書面においては、自主チェック、固定資産減損分及びその他の派生影響を含む修正額を加えた平成20年度から平成26年度までの過年度修正額が、平成27年8月18日時点において、未確定であるものの、累計▲2130億円(第170期:▲803億円、第171期:▲372億円、第17 2期:153億円、第173期:▲854億円、第174期:▲796億円、 第175期:▲9億円、第176期第1四半期から第3四半期まで:551億円)である旨記載されていた。 (以上につき、甲A66の13)ケ被告東芝は、平成27年8月18日、「剰余金の配当に関するお知らせ」と題する書面を公表した。 同書面においては、被告東芝における平成27年8月18日開催の取締役会において、平成26年度の業績に応じた剰余金の配当を見送ること及び平成27年9月末日を基準日とする剰余金の配当につき、0円とすることを決議した旨記載されていた。 (以上につき、甲A66の14) コ 成26年度の業績に応じた剰余金の配当を見送ること及び平成27年9月末日を基準日とする剰余金の配当につき、0円とすることを決議した旨記載されていた。 (以上につき、甲A66の14) コ被告東芝は、平成27年9月7日、「過年度決算の修正、2014年度決算の概要及び第176期有価証券報告書の提出並びに再発防止策の骨子等についてのお知らせ」と題する書面を公表した。 同書面においては、過年度決算の修正作業及び平成26年度の決算作業が監査手続も含めて終了した旨のほか、過年度決算の修正内容の概要として、 「継続事業税引前当期純損益」について、本件調査報告書記載の要修正額に自主チェック、固定資産減損分及びその他の派生影響等を含む修正額を加えた平成20年度から平成26年度までの過年度修正額が、累計▲2248億円(第170期:▲764億円、第171期:▲415億円、第172期:71億円、第173期:▲840億円、第174期:▲847億円、第17 5期:14億円、第176期第1四半期から第3四半期まで:533億円)である旨等が記載されていた。 (以上につき、甲A32、36、37、66の16、乙F1)⑸ 被告東芝による本件有価証券報告書等の訂正被告東芝は、平成27年9月7日、関東財務局長に対し、本件有価証券報告 書等の各期について訂正を行う旨の報告書(以下、併せて「本件訂正報告書」 という。)を提出した。 本件訂正報告書は、本件有価証券報告書等のうち、「売上高」、「継続事業税引前当期純損益」、「当期純損益」、「株主資本」、「純資産額」、「総資産額」等の項目につき訂正を行うものであり、訂正前後の各項目の数値は、別紙7の「虚偽と真実の内容」の項記載のとおりである。 (以上につき、 期純損益」、「株主資本」、「純資産額」、「総資産額」等の項目につき訂正を行うものであり、訂正前後の各項目の数値は、別紙7の「虚偽と真実の内容」の項記載のとおりである。 (以上につき、甲A4、6、8、10、12、51、53、55、乙A7)⑹ 被告株式の特設注意市場銘柄指定等被告東芝は、前記⑸のとおり、本件有価証券報告書等への虚偽記載の事実を受けて、内部管理体制等について深刻な問題を抱えており、当該内部管理体制等について改善の必要性が高いとして、東京証券取引所及び名古屋証券取引所 から、平成27年9月15日付けで、被告株式につき、上場廃止に準ずる措置である特設注意市場銘柄に指定する旨の通知を受けた(甲A66の19)。 ⑺ 金融庁による課徴金納付命令等ア証券取引等監視委員会は、平成27年12月7日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対し、被告東芝の有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命 令の発出を勧告した(甲A15、乙A2、F2)。 イ金融庁長官は、前記アの勧告を受けて、被告東芝に対し、金商法違反に係る審判手続開始決定通知書を送付したところ、被告東芝は、審判期日前の平成27年12月17日、課徴金に係る金商法178条1項2号及び4号に掲げる事実並びに納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書を提出した。その ため、審判期日が開かれることはなく(金商法183条2項)、同月24日、金融庁長官は、被告東芝に対し、上記勧告のとおり、重要な事項につき虚偽の記載のある有価証券報告書を提出したなどとして、課徴金73億7350万円を平成28年2月25日までに国庫に納付するよう命ずる決定をした。 (甲A16、乙A3、D17、E4) ⑻ 被告株式の特設注意市場銘柄指定の解除等 課徴金73億7350万円を平成28年2月25日までに国庫に納付するよう命ずる決定をした。 (甲A16、乙A3、D17、E4) ⑻ 被告株式の特設注意市場銘柄指定の解除等被告東芝は、前記⑹のとおり、東京証券取引所及び名古屋証券取引所から、被告株式につき、上場廃止に準ずる措置である特設注意市場銘柄指定処分を受けたことから、平成28年9月15日、上記指定をした両取引所に内部管理体制確認書を提出した。しかし、被告東芝は、同年12月19日、両取引所より 特設注意市場銘柄の指定を継続する旨の通知を受けたため、平成29年3月15日、内部管理体制確認書を再提出して審査を受けていたところ、同年10月11日、被告株式の特設注意市場銘柄や監理銘柄の指定を解除する旨の通知を受け、同月12日付けでこれらの指定が解除された(甲A34)。 ⑼ 被告株式の株価推移 被告株式の平成27年4月3日から平成28年1月12日までの株価(終値)の推移は別紙9(株価の推移)のとおりである(乙A9、25)。 なお、本件口頭弁論終結時(令和5年11月14日)の株価は4601円であるが、被告東芝は、平成30年10月1日に被告株式10株を1株に株式併合しているため、株式併合前の単価に引き直すと460.1円である(以下、 平成30年10月1日以降の被告株式の株価を記載する場合であっても、株式併合前の単価に引き直した価格を記載するものとする。)。 ⑽ 本件訴訟の提起原告らは、①平成27年12月7日に第1事件、②平成28年3月28日に第2事件、③同年8月8日に第3事件、④同年4月19日に第4事件、⑤平成 29年4月21日に第5事件、⑥同月29日に第6事件、⑦同年9月2日に第7事件の訴えをそれぞれ提起した 8年3月28日に第2事件、③同年8月8日に第3事件、④同年4月19日に第4事件、⑤平成 29年4月21日に第5事件、⑥同月29日に第6事件、⑦同年9月2日に第7事件の訴えをそれぞれ提起した。なお、第4事件の訴えは、広島地方裁判所福山支部に提起されたが、平成29年2月17日付け移送決定により当庁に移送された。(顕著な事実) 3 争点 ⑴ 被告東芝の責任 ア本件有価証券報告書等の重要な事項についての虚偽記載の有無及びその範囲イ金商法21条の2及び民法709条の責任の有無⑵ 被告役員らの責任ア本件有価証券報告書等の重要な事項についての虚偽記載の有無及びその 範囲イ金商法24条の4、22条、民法709条、719条の各責任の有無⑶ 原告らに生じた損害の額及び相当因果関係の有無 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点⑴ア(本件有価証券報告書等の重要な事項についての虚偽記載の有無及 びその範囲(被告東芝関係))についてア原告らの主張(ア)虚偽の記載金商法21条の2第1項の「虚偽の記載」とは、真実でない記載と解すべきであるところ、一般に、有価証券報告書等の訂正が行われるのは、訂 正前の有価証券報告書等の内容が真実でなかったことが理由であるから、本件有価証券報告書等において訂正されている箇所については、「虚偽の記載」があったといえる。 なお、原告らは、高度の信用性がある本件調査報告書の記載を引用するなどして、訂正前の本件有価証券報告書等に記載された数値の基礎となっ た会計処理が一般に認められた公正な会計原則に反する方法により行われたことを主張している。また、被告東芝が、平成29年10月20日付けで公表した「内部 券報告書等に記載された数値の基礎となっ た会計処理が一般に認められた公正な会計原則に反する方法により行われたことを主張している。また、被告東芝が、平成29年10月20日付けで公表した「内部管理体制の改善報告」の中で、過年度決算訂正事項について不正会計があったことを認めていること及び被告東芝が被告役員らに対して提起した損害賠償請求訴訟(以下「別件訴訟」という。)におけ る被告東芝の主張内容に照らしても、本件有価証券報告書等に「虚偽の記 載」があったことは明らかである。 (イ)重要な事項金商法21条の2第1項の「重要な事項」に当たるか否かは、投資者の投資判断に重要な影響を与えるか否かにより判断すべきであるところ、企業の財務諸表における項目は、法定記載事項とされるなどしているという 意味で当然に重要である。 本件有価証券報告書等は、主位的には「当期純利益」、「株主資本」、「純資産」に係る訂正前の金額の記載が「重要な事項」についての「虚偽の記載」に該当し、予備的に「税引前当期純損益」に係る訂正前の金額の記載が「重要な事項」についての「虚偽の記載」に該当する。 イ被告東芝の主張(ア)虚偽の記載金商法上、財務書類に関する「虚偽の記載」の有無は、「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」に従って財務書類が作成されているか否かにより決せられるから、原告らは、訂正前の本件有価証券報告書等におけ る財務書類の内容が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準を逸脱していることを具体的に主張立証する必要がある。より具体的には、原告らが虚偽であると主張する財務情報ごとに、①会計処理の基礎となる個別具体的な事実関係、②被告東芝が違反したとする会計基準の内容及び理由、③会計基準違 的に主張立証する必要がある。より具体的には、原告らが虚偽であると主張する財務情報ごとに、①会計処理の基礎となる個別具体的な事実関係、②被告東芝が違反したとする会計基準の内容及び理由、③会計基準違反の結果として生じた虚偽記載の内容等について、具体的に 主張立証する必要があるところ、原告らは、これらの主張立証をしない。 被告東芝は、過年度決算の訂正に際して、会計基準において許容される範囲で、可能な限り保守的な手法により減損損失を追加計上したにすぎず、訂正前の各決算時点において減損損失を認識すべきであったことを理由に追加計上したわけではない。したがって、本件有価証券報告書等の「当 期純損益」の訂正のうち、減損損失の追加計上分は「虚偽の記載」に当た らない。 (イ)重要な事項有価証券報告書等における虚偽記載が、「重要な事項」についてのものと認められるか否かは、当該虚偽記載が投資者の投資判断に重大な影響を与えるものであったか否かを基準として判断されるところ、その判断に当 たっては、当該企業規模に照らした訂正額の多寡を問題とするべきであり、訂正比率こそが重要であって、このほか、財務諸表におけるいかなる項目の訂正であるかということや、投資者の投資判断の前提となる企業の経営環境等も考慮されるべきである。 被告東芝は、第171期(平成22年3月期)、第173期(平成24年 3月期)及び第174期(平成25年3月期)の各有価証券報告書の連結当期純損益に、「重要な事項について虚偽の記載」が存在することについては争わない。 しかし、第172期(平成23年3月期)及び第175期(平成26年3月期)の各有価証券報告書並びに第176期(平成27年3月期)の第 3四半期の四半期報告書における訂正後の当期純損益 ない。 しかし、第172期(平成23年3月期)及び第175期(平成26年3月期)の各有価証券報告書並びに第176期(平成27年3月期)の第 3四半期の四半期報告書における訂正後の当期純損益は、むしろ改善しているため、これらの書類について、「重要な事項について虚偽の記載」が存在することは争う。 その他の本件有価証券報告書等及び当期純損益以外の項目(純資産、株主資本及び税引前当期純損益(損失))について、「重要な事項について虚 偽の記載」があることは争う。 ⑵ 争点⑴イ(金商法21条の2及び民法709条の責任の有無(被告東芝関係))についてア原告らの主張(ア)金商法21条の2の責任 前記⑴アのとおり、本件有価証券報告書等には「重要な事項について虚 偽の記載」があるから、被告東芝は、金商法21条の2の責任を負う。 (イ)民法709条の責任a 被告東芝は、有価証券報告書等を提出する際、その重要な事項について虚偽記載をしないように配慮すべき注意義務、すなわち、①ある会計年度において新しく重要な事項について虚偽記載をしないように配慮 すべき注意義務及び②過去の会計年度の有価証券報告書等において既に提出された有価証券報告書等の重要な事項について虚偽記載を速やかに発見し、修正し、公表する注意義務を負っていたところ、被告東芝は、本件有価証券報告書等において、合計金額2306億円にも上る巨額の虚偽記載を行ったのであるから、上記①及び②の義務に違反したこ とは明らかであり、民法709条の責任を負う。 b また、証券取引所に上場している被告東芝は、発行する有価証券に関する投資判断に影響を与える重要な会社情報につき、一般投資家に対し、直ちに開示すべき義務を負っていたが、企業 09条の責任を負う。 b また、証券取引所に上場している被告東芝は、発行する有価証券に関する投資判断に影響を与える重要な会社情報につき、一般投資家に対し、直ちに開示すべき義務を負っていたが、企業体として虚偽記載の事実を小出しに公表し、株主の投資判断に必要な情報を速やかに開示せず、ま た、ウエスティングハウス社の減損処理に関していまだ明確な会計処理方針を発表していないから、上記義務に違反したことは明らかであり、民法709条の責任を負う。 イ被告東芝の主張(ア)金商法21条の2の責任 前記⑴イのとおり、第171期、第173期及び第174期の各有価証券報告書の連結当期純損益に「重要な事項について虚偽の記載」が存在することについては争わないが、本件有価証券報告書等のうちその余のものについて「重要な事項について虚偽の記載」が存在することについては争う。 (イ)民法709条の責任争う。 a 原告らが主張する本件有価証券報告書等の訂正には、被告東芝の複数の事業における複数の案件に関する記載が含まれており、原告らが不適切な会計処理が行われたと主張する複数の案件においては、各会計処理 に関与した被告東芝の役職員は異なっている。したがって、原告らが被告東芝の不法行為の成立を主張するのであれば、会計処理ごとに被告東芝のいかなる行為を加害行為と主張し、当該加害行為について、法人である被告東芝の故意又は過失(注意義務の存在及びその違反)が誰のいかなる認識・注意義務違反により基礎付けられると主張するのかを明確 にする必要があるが、原告らは、そのような具体的な主張を行わない。 b 一般に、証券取引所の自主規制である適時開示の義務に違反したとしても、それが当然 けられると主張するのかを明確 にする必要があるが、原告らは、そのような具体的な主張を行わない。 b 一般に、証券取引所の自主規制である適時開示の義務に違反したとしても、それが当然に投資家との関係で直ちに加害行為に該当するものではない。本件有価証券報告書等の虚偽記載の開示について、被告東芝は、東京証券取引所等の適時開示に関する規制に従って、適時に各時点で開 示できる情報を開示しており、適時開示義務違反に該当する行為はない。 また、原告らが指摘するウエスティングハウス社の減損損失は、被告東芝の連結決算上においては計上の必要性が認められず、当時において、当該減損損失が適時開示基準の要件に該当するか必ずしも一義的に明らかではなかったのであるから、これらの事象を開示しないという不作 為が投資家に対する加害行為ということはできない。 ⑶ 争点⑵ア(本件有価証券報告書等の重要な事項についての虚偽記載の有無及びその範囲(被告役員ら関係))についてア原告らの主張前記⑴アのとおりである。 イ被告役員らの主張金商法21条の2、22条における「虚偽の記載」に当たるか否かは、当該有価証券報告書等に記載された内容が、公正な会計慣行に反しているか否かという観点から実質的に判断されるべきものであるところ、原告らからこの点について主張立証がされていない。本件有価証券報告書等に虚偽の記載 があると主張するのであれば、いかなる公正な会計慣行を、どのように違反した結果、いくらの虚偽の記載が生じたのかについて主張立証すべきである。 また、本件調査報告書は、被告東芝がより適切な会計処理を行うためにのみに用いられることが予定されており、有価証券報告書等の内容が、一般 虚偽の記載が生じたのかについて主張立証すべきである。 また、本件調査報告書は、被告東芝がより適切な会計処理を行うためにのみに用いられることが予定されており、有価証券報告書等の内容が、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に反するか否かという点は調査の対 象にしていない。また、第三者委員会において、どのような方法で会計処理の適切性について判断したのか明らかでなく、本件調査報告書はその信用性を欠くものである。 ⑷ 争点⑵イ(金商法24条の4、22条、民法709条、719条の各責任の有無(被告役員ら関係))について ア原告らの主張(ア)金商法24条の4が準用する22条1項の責任被告役員らは、本件有価証券報告書等の虚偽記載が行われた当時、被告東芝の役員であったか、また、既に退任していても相談役や顧問等として被告東芝の経営に携わり、強い影響力を発揮し、取締役、執行役に「準ず る者」といえるから、金商法24条の4が準用する22条1項の責任を負う。また、被告役員らにおいて、相当の注意を尽くしたが本件有価証券報告書等の虚偽記載を知ることができなかったとはいえないため、上記責任は免責されない。 (イ)民法709条、719条の責任 a 被告役員らは、有価証券報告書等を提出する会社の役員として、その 重要な事項について虚偽記載をしないように配慮すべき注意義務、すなわち、①ある会計年度において新しく重要な事項についての虚偽記載をしないように配慮すべき注意義務、②過去の会計年度の有価証券報告書等において既に提出された有価証券報告書等の重要な事項についての虚偽記載を速やかに発見し、修正し、公表する注意義務、③役員の地位 を退く際に自分の任期中に提出された有価証券報告書 有価証券報告書等において既に提出された有価証券報告書等の重要な事項についての虚偽記載を速やかに発見し、修正し、公表する注意義務、③役員の地位 を退く際に自分の任期中に提出された有価証券報告書等の重要な事項について虚偽記載がないかどうかを速やかに発見し、修正し、公表する注意義務、④引継ぎを受ける立場の後任の新役員においては、前任者時代に提出された有価証券報告書等の重要な事項について虚偽記載がないかどうか速やかに発見し、修正し、公表する注意義務を負っていた。 それにもかかわらず、被告役員らは、本件有価証券報告書等において、合計2306億円もの巨額の粉飾決算を行い、また是正措置をとらなかったのであるから、民法709条の責任を負う。また、本件有価証券報告書等の虚偽記載は一連一体の1個の注意義務違反行為であって、不正会計に関与した役員は、役員退任後に積極的に不正会計の解消に尽力し て初めて注意義務違反が消滅するものである。そうすると、被告役員らは、その任期や不正会計の年度にかかわらず、本件有価証券報告書等の虚偽記載全ての責任を負う。 b 前記⑵ア(イ)で述べた被告東芝の不法行為は、現実には、被告役員らによって行われたものであるから、被告東芝と被告役員らは、共同して、 本件有価証券報告書等の虚偽記載によって生じた損害を賠償する責任を負う。また、被告役員らの不法行為は、現実には、同一の会議又は組織の中の分業及び権限分掌の結果行われたものであるから、被告役員らも共同して、本件有価証券報告書等の虚偽記載によって生じた損害を賠償する責任を負う。 イ被告役員らの主張(ア)金商法24条の4が準用する22条1項の責任前記⑶イのとおり、原告らは、本件有価証券報告書等に「虚偽の記載」 賠償する責任を負う。 イ被告役員らの主張(ア)金商法24条の4が準用する22条1項の責任前記⑶イのとおり、原告らは、本件有価証券報告書等に「虚偽の記載」があることについて、具体的に主張立証しておらず、被告らは金商法24条の4が準用する22条1項の責任を負わない。 (イ)民法709条、719条の責任争う。 有価証券報告書等を提出する当該会社の役員が、一般的・抽象的に有価証券報告書等の重要な事項について虚偽の記載をしないように配慮すべき義務を負うとしても、具体的な状況下において、個々の役員の職務内容 に照らし、具体的に如何なる注意義務が存在するのかという点が主張されなければならないが、原告らは、この点について全く明らかにしていない。 また、原告らは、被告役員らのどのような行為が注意義務違反に該当するのか特定して主張しておらず、失当である。 ⑸ 争点⑶(原告らに生じた損害の額及び相当因果関係の有無)について ア原告らの主張(ア)主位的主張(取得自体損害)本件有価証券報告書等においては、悪質かつ甚大な規模の虚偽記載が行われていたものであるが、原告らとしては、かかる虚偽記載がなく、被告東芝の企業実態が当初より正しく明らかにされていれば、被告株式を取得 することはあり得なかった。そうすると、原告らは、本件有価証券報告書等における虚偽記載の結果、取得価格に相当する金員を支出して虚偽記載にかかる株式を取得したといえるのであり、この支出自体が原告らの損害となる。 (イ)予備的主張(高値取得等損害) 仮に、取得自体損害が認められないとしても、被告東芝による本件有価 証券報告書等の虚偽記載によって、被告 が原告らの損害となる。 (イ)予備的主張(高値取得等損害) 仮に、取得自体損害が認められないとしても、被告東芝による本件有価 証券報告書等の虚偽記載によって、被告東芝の株価は、本来あるべき株価よりも嵩上げされており、原告らはその嵩上げされた株価で購入せざるを得ず、嵩上げ額相当の損害を被ったものである。そのほか、上記虚偽記載の発覚によって、①被告東芝に対する社会的な信用が毀損され、それに伴って被告株式の株価は下落し、また、②通常の市場取引における売買状況 とは大きく異なる多数の株式売買が行われ、それに伴って被告株式の株価は暴落し、ろうばい売り損害が発生した。このような上記虚偽記載と相当因果関係のある株価下落の影響は、有価証券報告書の虚偽記載に関する明示の公表のあった平成27年5月8日から本件有価証券報告書等の訂正報告書が提出された同年9月7日までの一連一体不可分の公表行為を起 点として、被告株式が1株当たり155円に下落した平成28年2月12日まで継続した。 そうすると、平成28年2月12日までに被告株式を売却した株主との関係では、購入時の株価と売却時の差額が損害として賠償されなければならず、他方、同日以降も被告株式を保有していた者については、その後の 株式の上昇にかかわらず、各原告の1株ごとの株式購入価格から155円を控除した額を損害額として賠償されなければならない。 (ウ)損害額の算定方法a 損害賠償請求の対象となる被告株式について(a) 虚偽記載がされた有価証券報告書は、長期間をかけて作成されるも のであるから、不正な会計処理という不法行為が行われていた期間は、実際には、有価証券報告書の公表前の時期も含まれる。したがって、平成22 がされた有価証券報告書は、長期間をかけて作成されるも のであるから、不正な会計処理という不法行為が行われていた期間は、実際には、有価証券報告書の公表前の時期も含まれる。したがって、平成22年6月23日よりも前に取得された被告株式についても損害賠償請求の対象となる。 (b) 被告東芝による平成27年4月3日のプレスリリースは、有価証券 報告書の虚偽記載が存在したという表現は使用されていないほか極 めて抽象的なアナウンスにとどまっていることから、同月4日時点では、一般の投資家において、被告東芝の不正会計の全体像を認識することは不可能であった。 また、同年5月8日のプレスリリースでは、有価証券報告書の虚偽記載があったと明示されて一般投資家が被告東芝の不正会計を認識 することが可能になったものの、不正会計についての十分な情報が提供されたわけではなく、本件有価証券報告書等に重要な不備があったと公表した同年9月7日までの間、被告東芝は、一般投資家に対して十分な情報開示を行っていない。 そして、被告東芝による有価証券報告書虚偽記載に関する公表は、 同年9月7日時点までの間、一連の行為として行われたものであるから、少なくとも、同日までに取得された被告株式については、損害賠償請求の対象となる。 b 損害賠償請求の対象となる株式の特定方法について本件の損害賠償請求の対象株式の特定については、棚卸資産の評価や 原価計算をする際、先に仕入れた物品から先に払い出されたと仮定する方法として、一般的な会計の方法として広く行われている先入先出法を用いるべきである。市場で流通する株式は、その購入した日があるため、日付順に先入先出法によって整理すれば足り、あえて総平均法を適用する理由はない。 な会計の方法として広く行われている先入先出法を用いるべきである。市場で流通する株式は、その購入した日があるため、日付順に先入先出法によって整理すれば足り、あえて総平均法を適用する理由はない。 そして、現物取引と信用取引は、もともと異なる取引であるから、区別して請求対象株式の特定を行うことは合理的である。 (エ)取引諸経費について現物取引及び信用取引のいずれを行うに当たっても、手数料及び消費税のほか諸経費の支払が必要となり、これらの費用は、金商法21条の2第 1項の「損害」に含まれる。 (オ)弁護士費用について本件において、被告東芝が負うこととなる責任の本質は、不法行為責任であるから、本訴訟で各原告らが被った損害賠償金の1割相当額は、弁護士費用として損害に計上されなければならい。 (カ)以上によれば、本件における原告らの損害は、別紙10の1~6の損害 額算定表記載のとおりである。 イ被告東芝の主張(ア)主位的主張(取得自体損害)について否認する。 原告らは、本件有価証券報告書等の虚偽記載がなければ被告株式を取得 することがなかったとはいえないから、被告株式の取得価額から処分価額を控除した残額分(取得自体損害)が原告らの損害であるとは認められない。 (イ)予備的主張(高値取得等損害)について前記(ア)のとおり、原告らは、本件有価証券報告書等の虚偽記載がなけ れば被告株式を取得することがなかったとはいえないところ、原告らの損害として認められ得るのは、高値取得損害(虚偽記載によって嵩上げされていた株式の価値に相当する部分)の部分に限られる。このほかの信用毀損及びろうばい売りによる株価下落は、会社の業績 ころ、原告らの損害として認められ得るのは、高値取得損害(虚偽記載によって嵩上げされていた株式の価値に相当する部分)の部分に限られる。このほかの信用毀損及びろうばい売りによる株価下落は、会社の業績悪化や事故による株価下落と同様に、株主が一般的にその地位に基づいて被る損失であるから、 虚偽記載と相当因果関係がないものとして、賠償の対象となる損害から控除されるべきである。 また、前記のとおり、原告らが被った損害が高値取得損害の部分に限られる以上、被告株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落が、損害賠償請求の対象とはならないことは当然の帰結である。 (ウ)損害額の算定方法についてa 損害賠償請求の対象となる被告株式について虚偽記載のある本件有価証券報告書等の提出日より前に被告株式を取得した者は、虚偽記載による影響を受けることなく被告株式を取得したのであるから、損害賠償の対象とはならない。 被告東芝は、平成27年4月3日のプレスリリースにおいて、平成25年度における一部インフラ関連の工事進行基準に係る会計処理について、特別調査委員会を設置して調査を行う旨公表しており、同日時点では、一般の投資家において、被告東芝の過年度の有価証券報告書等の記載が訂正される疑いを認識できる状態となっている。それにもかかわ らず、原告らのうち同月4日以降に被告株式を取得した者は、過年度決算修正が必要になり得ることを認識し、そのリスクを引き受けていたといえるから、本件有価証券報告書等の虚偽記載によってその権利等を侵害されたことはない。 したがって、本件において、損害賠償請求の対象となる株式の取得期 間の始期は、早くとも平成22年6月24日であり、終期は、遅くとも によってその権利等を侵害されたことはない。 したがって、本件において、損害賠償請求の対象となる株式の取得期 間の始期は、早くとも平成22年6月24日であり、終期は、遅くとも平成27年4月3日である。 b 損害賠償請求の対象となる株式の特定方法について株式は、会社の構成員たる地位あるいは会社に対する持分の細分化された割合的単位に過ぎず、1株1株に個性はない。そして、株券が発行 されず数量のみによって把握される振替株式制度の下では、特定の株券と紐づけられた特定の株式が売買されるわけではなく、投資家の会社の対する持分割合が増減するのみであるから、先入先出法は、振替株式の特性に適合せず、また、会計実務や税法上の取扱いに照らしても適用すべきではない。したがって、総平均法と同様の考え方によって、請求対 象株式を特定すべきである。 そして、信用取引と現物取引は、投資資金の調達方法に違いがあるだけで、いずれの取引においても株式売買の損益は投資家に帰属するのであるから、投資家の損害を算定するに当たって、両取引の取扱いを区別する合理的な理由はなく、両取引を区別することなく、請求対象株式を特定すべきである。 c 具体的な損害額(高値取得損害)の算定について(a) 一般に、虚偽記載により嵩上げされていた高値取得部分(嵩上げ額)は、虚偽記載に関する事実の公表後の株価下落により解消されるから、嵩上げ額が、虚偽記載に関する事実の公表後に生じる、虚偽記載に起因する株価下落の額を上回ることはない。そこで、高値取得損害の算 定に当たっては、まず、高値取得損害の上限として公表後の株価下落額を求めた上で、当該株価下落額から、嵩上げ額とは無関係な部 に起因する株価下落の額を上回ることはない。そこで、高値取得損害の算 定に当たっては、まず、高値取得損害の上限として公表後の株価下落額を求めた上で、当該株価下落額から、嵩上げ額とは無関係な部分、すなわち、経済情勢、市場動向、当該会社の業績等による株価の下落や、信用毀損、ろうばい売り等の部分を差し引くことで、嵩上げ額を推定する方法をとるべきである。 本件では、本件有価証券報告書等の訂正報告書が公表された平成27年9月7日(被告東芝による虚偽記載に関する事実の公表日)から、約1か月後の同年10月9日までの間において、上記訂正報告書の公表による影響は株価に織り込まれており、原告らの主張する虚偽記載に起因する株価下落は解消されていると評価できる。むしろ、同年5 月8日から同年10月9日までの株価下落は、中国株式市場の影響等、電機産業の事業環境の悪化による下落がほとんど全てである。 また、かかる株価下落のうち、原告らが主張する虚偽記載に起因する株価下落が含まれていたとしても、それは信用毀損やろうばい売り等、虚偽記載の公表により過剰に反応したものであって、原告らの主 張する虚偽記載による嵩上げ額が解消したことで生じる株価下落は 全くなかったのであるから、やはり原告らに高値取得損害は生じていない。なお、被告株式の株価は、平成27年9月29日に底を打ったが、それはシャープ株式会社等電機産業5銘柄の市場株価ないし日経平均株価と連動したことが主たる要因である。 (b) 仮に、高値取得損害が存在するとしても、被告株式の株価は、平成 27年5月8日時点において1株当たり483.3円であったところ、平成28年2月12日に1株当たり158円と底を打った後、同年12月15日 値取得損害が存在するとしても、被告株式の株価は、平成 27年5月8日時点において1株当たり483.3円であったところ、平成28年2月12日に1株当たり158円と底を打った後、同年12月15日に1株当たり475.2円まで回復して以降、一時下落する時期はあったものの、令和3年4月14日に497.5円を記録し、同年11月4日には平成27年4月3日の終値である512.4円を 超えていた。したがって、平成28年12月15日から令和3年4月14日までの間に被告株式を売却した原告らについては、取得価額(ただし、これが483.3円を超えるものについては483.3円)-平成28年12月15日以降売却までの間の最高値が上限となり、それ以降も被告株式を保有し続けている原告らについても、少なくと も、その株価上昇分は損害額から控除されるべきである。 (エ)取引諸経費について前記イ(ア)のとおり、原告らは、本件有価証券報告書等の虚偽記載がなければ被告株式を取得することはなかったとはいえないところ、原告らは、いずれにせよ、取引諸経費を支出した上で、被告株式を取得して株主とな っていたといえるから、取引諸経費は、虚偽記載とは無関係な要因による支出であり、原告らが負担すべきものである。 (オ)弁護士費用について本件の請求金額は多額であるが、それと比例的に弁護士費用が多額となるものではないから、原告らの損害額の5%を超える部分について、弁護 士費用相当額の賠償責任が認められることはない。 (カ)遅延損害金について遅延損害金の起算点は、損害の発生時である。具体的には、投資家が有価証券を、取得価額より低い金額で処分した場合には、当該時点で投資家が不利益を被ったことが確定するため、処 害金について遅延損害金の起算点は、損害の発生時である。具体的には、投資家が有価証券を、取得価額より低い金額で処分した場合には、当該時点で投資家が不利益を被ったことが確定するため、処分時点で損害が発生したとみて、同時点を遅延損害金の起算点とする。また、投資家が、損害賠償請求の時 点で、有価証券を未だ処分せず保有している場合には、請求時から遅延損害金を起算すべきである。 (キ)除斥期間について金商法21条の2第1項に基づく損害賠償請求権は、請求権者が虚偽記載等に係る書類が提出された時から5年間行使しないときは消滅する(2 1条の3、20条)。本件において、最も訴え提起の早かった第1事件の訴えの提起が平成27年12月7日であるから、原告らの損害賠償請求権のうち、有価証券報告書に関しては、平成22年6月23日に提出された第171期(平成22年3月期)及びそれ以前の有価証券報告書の虚偽記載を理由とする損害賠償請求権は除斥期間の経過により消滅した。 ウ被告役員らの主張争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点⑴ア(本件有価証券報告書等の重要な事項についての虚偽記載の有無及びその範囲(被告東芝関係))について ⑴ 虚偽記載の判断基準等について金商法193条及び財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則1条等によれば、金商法の規定により提出される貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類は、「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」に従って作成すべきものとされ、会社法上も、株式会社の会計は、「一般に公正妥 当と認められる企業会計の慣行」に従うものとされている(会社法431条)。 そうすると、金商法21条の2第1項にいう「重要な事項について虚偽の記 も、株式会社の会計は、「一般に公正妥 当と認められる企業会計の慣行」に従うものとされている(会社法431条)。 そうすると、金商法21条の2第1項にいう「重要な事項について虚偽の記載」とは、投資者の投資判断に重大な影響を与える事項について、当該記載が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準を逸脱することをいうと解される。 したがって、原告らとしては、本件有価証券報告書等に「虚偽の記載」があるとして被告東芝の金商法21条の2第1項による責任を主張するのであれ ば、本件有価証券報告書等に記載された財務諸表の内容に訂正があったことを主張するのでは足りず、訂正前の有価証券報告書等に記載された財務情報について、その前提となった会計処理及び一般に公正妥当と認められる企業会計の基準を特定した上で、上記会計処理が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に違反していることを主張する必要がある。 ⑵ 原告らの主張について原告らは、本件有価証券報告書等において訂正されていれば、訂正前の有価証券報告書等には虚偽の記載があったといえると主張した上で、訂正前の本件有価証券報告書等に記載された数値の基礎となった会計処理が一般に認められた公正な会計原則に反する方法により行われたことについては、本件調査報 告書の記載を引用するなどして主張しており、また、被告東芝が、公表した「内部管理体制の改善報告」の記載及び被告東芝が被告役員らに対して提起した損害賠償請求訴訟における被告東芝の主張内容に照らしても、本件有価証券報告書等に虚偽の記載があったことは明らかであると主張する。 しかしながら、本件調査報告書においては、訂正前の有価証券報告書等に記 載された数値の基礎となった会計処理及び一般に公正妥当と認められる企 の記載があったことは明らかであると主張する。 しかしながら、本件調査報告書においては、訂正前の有価証券報告書等に記 載された数値の基礎となった会計処理及び一般に公正妥当と認められる企業会計の基準はいずれも特定されないまま、被告東芝による会計処理が不適切なものであったと結論付けられるにとどまっている。そして、本件調査報告書においては、被告東芝による会計処理の「適切」「不適切」が記載されたにすぎず、本件有価証券報告書等における虚偽の記載を基礎付ける違法な会計処理の 存在について、調査・検討の結果が記載されたものではない(前提事実⑷カ、 甲28の2、29の2)。また、被告東芝が、平成29年10月20日付けで公表した「内部管理体制の改善報告」においては、不正な会計処理が行われていたことについて、その原因と改善策が記載されているものの、一般に認められた公正な会計原則に反する方法により行われたものであるとの報告はされていない(甲A34)。そして、別件訴訟における被告東芝の主張(甲A59~6 4)をみても、本件有価証券報告書等の訂正額との関連性は明らかでない。 なお、原告らは、被告東芝の別件訴訟の主張と本件の主張は矛盾しており、被告東芝は本件有価証券報告書の虚偽記載の発生を全面的に認めるべきであるとも主張するが、被告東芝は、別件訴訟において違法性を主張している会計処理については、本件において会計処理の違法性を争っておらず、被告東芝の 主張が本件と別件訴訟との間で矛盾を生じているとはいえない。 そうすると、金商法21条の2第1項にいう「虚偽の記載」の有無について、原告らが、本件有価証券報告書等に「虚偽の記載」があったことを基礎付ける具体的な事実を主張しているとはいえない。 もっとも、被告東芝 商法21条の2第1項にいう「虚偽の記載」の有無について、原告らが、本件有価証券報告書等に「虚偽の記載」があったことを基礎付ける具体的な事実を主張しているとはいえない。 もっとも、被告東芝の前記第2の4⑴イの主張を踏まえ、本件有価証券報告 書等において、重要な事項について「虚偽の記載」が認められないか、以下検討する。 ⑶ 第171期、第173期及び第174期の各有価証券報告書の当期純損益についてア被告東芝は、第171期、第173期及び第174期の各有価証券報告書 の当期純損益について、「重要な事項について虚偽の記載」があることは争わないとした上で、当該当期純損益の訂正のうち、以下の減損損失の追加計上分及び組替えによる訂正部分についてのみ虚偽の記載に該当しないと主張する(前記第2の4⑴〔イ被告東芝の主張〕(ア)参照)ほか、その余の部分については、具体的な反論をしない。 第171期 ▲53億1000万円 第173期 ▲386億5100万円第174期 ▲162億6000万円被告東芝は、特別調査委員会を設置してインフラ関連案件の会計処理について調査を開始し、また、第三者委員会を設置して上記案件を含むその他の案件の会計処理に関する調査を委託するなどして調査を行い(前提事実⑷イ ~オ)、その上で、金融庁による金商法違反審判事件において、課徴金に係る事実及び納付すべき課徴金の額を認め(前提事実⑺)、本件訴訟においても上記のとおり争う点と、争わない点を明確に区別して対応している。そうすると、被告東芝は、本件有価証券報告書等のうちに「重要な事項について虚偽の記載」があることを認めることによる法的効果の内容について、十分に 理解し、かつ、十分な に区別して対応している。そうすると、被告東芝は、本件有価証券報告書等のうちに「重要な事項について虚偽の記載」があることを認めることによる法的効果の内容について、十分に 理解し、かつ、十分な調査の上、「重要な事項について虚偽の記載」のあることを認めているというべきであるから、そのように被告東芝が争わないと明確に述べる範囲については、これを基礎付ける具体的事実の証明がなくても、裁判所はこれを前提として判断することができると解するのが相当である。 したがって、原告らと被告東芝の間においては、訂正前後の上記各有価証 券報告書の当期純損益について、上記争いのある部分を控除した次の差額部分は、「重要な事項について虚偽の記載」であるということができる(単位は百万円。以下、第171期、第173期及び第174期の訂正前の各有価証券報告書の当期純損益の記載を「本件虚偽記載」という。)。 (ア)第171期 ▲28890 訂正額▲34200(19743-53943)-減損▲5310(イ)第173期 ▲31860訂正額▲70511(3194-73705)-減損及び組替え▲38 (ウ)第174期 ▲47848 訂正額▲64108(13425-77533)-減損及び組替え▲1 6260イ他方、被告東芝が「虚偽の記載」であることを争うとする部分については、前記⑵のとおり、原告らは、訂正前の上記各有価証券報告書等に記載された財務情報について、虚偽の記載を認めるべき具体的事実を主張していないから、上記各有価証券報告書等に「虚偽の記載」があるとはいえない。 ⑷ 第172期及び第175期の各有価証券報告書並びに第176期の第1四半期~第3四半期報告 るべき具体的事実を主張していないから、上記各有価証券報告書等に「虚偽の記載」があるとはいえない。 ⑷ 第172期及び第175期の各有価証券報告書並びに第176期の第1四半期~第3四半期報告書の当期純損益について被告東芝は、第2の4⑴イのとおり、本件有価証券報告書等について、前記⑶で争わないとする部分を除く部分については、「重要な事項について虚偽の記載」があることを争っているところ、前記⑶イと同様、原告らは、訂正前の 上記各有価証券報告書等に記載された財務情報について、虚偽の記載を認めるべき具体的事実を主張していないから、そもそも、上記各有価証券報告書等に「虚偽の記載」があるとはいえない。 そして、上記各有価証券報告書等の当期純損益は、訂正後に改善していること(前提事実⑵、⑷コ)に照らしても、投資者の投資判断に重大な影響を与え る事項に関する「虚偽の記載」があるとは認められない。 ⑸ 第170期の有価証券報告書の当期純損益について前記⑷と同様、原告らは、訂正前の上記有価証券報告書に記載された財務情報について、虚偽の記載を認めるべき具体的事実を主張していないから、そもそも、上記各有価証券報告書に「虚偽の記載」があるとはいえない。また、後 記4⑷ウ(エ)で検討するとおり、第171期有価証券報告書の虚偽記載による損害賠償請求権については除斥期間の経過によって消滅しているところ、それ以前に提出された第170期有価証券報告書の虚偽記載による損害賠償請求権についても同様と解されることからも、第170期有価証券報告書に「虚偽の記載」があるか否かについては検討を要しない。 ⑹ 本件有価証券報告書等における当期純損益以外の項目について「純資産」及び「株主資本」の各項目は、当該企業 書に「虚偽の記載」があるか否かについては検討を要しない。 ⑹ 本件有価証券報告書等における当期純損益以外の項目について「純資産」及び「株主資本」の各項目は、当該企業がこれまで株式を発行して集めた資金や、当該企業がこれまで内部に留保した利益等の計算上の合計値であるところ、企業の現在の収益力とは直接関係しないというべきであるから、投資者の投資判断に影響を与えるような重要な事項であるとは認められない。 また、最終の当期純損益の情報は、企業の現在の収益力を直接的に示すものであるから、投資者の投資判断に影響を与える重要な事項であるとしても、税引前当期純損益は、当期純損益を算出するための損益計算において、法人税等の影響を考慮する前の段階の項目にすぎないから、投資者の投資判断に影響を与えるような重要な事項であるとは認められない。 2 争点⑴イ(金商法21条の2及び民法709条の責任の有無(被告東芝関係))について⑴ 本件有価証券報告書等の虚偽記載に関する責任についてア金商法21条の2の責任について前記1で説示したとおり、本件有価証券報告書等のうち、前記1⑶アの限 度で「重要な事項について虚偽の記載」があると認められるから、被告東芝は、金商法21条の2の責任を負う。 イ民法709条の責任について原告らは、被告東芝が、有価証券報告書等を提出する際、その重要な事項について虚偽記載をしないように配慮すべき注意義務を負っていたが、これ を怠ったと主張する。 しかしながら、法人である被告東芝に対して、本件有価証券報告書等の虚偽の記載に関する民法709条の責任を追及するには、被告東芝の代表者又は被用者が、流通市場ないし発行市場で被告株式を取得しようと しかしながら、法人である被告東芝に対して、本件有価証券報告書等の虚偽の記載に関する民法709条の責任を追及するには、被告東芝の代表者又は被用者が、流通市場ないし発行市場で被告株式を取得しようとする者に対し、具体的にどのような注意義務を負うのかを明らかにした上で、その注意 義務に違反する行為がされたことの主張立証をすべきであるが、原告らは、 これらについて具体的な主張をしない。 また、本件有価証券報告書等の虚偽の記載が被告東芝による多数人の組織的活動の結果であるがゆえに個々の被用者や代表者の注意義務違反を特定することはできないとして、被告東芝という法人自体の注意義務違反(いわゆる組織過失)を認め得るかという点から検討しても、虚偽の記載のある有 価証券報告書等の提出に至った原因を特定し、これを防止するためにどのような注意義務を負っていたか、どのように事業組織を編成すべきであったか等を検討する必要があると解されるところ、原告らは、被告東芝が有価証券報告書等を提出する際に、その重要な事項について虚偽記載をしないように配慮すべきであると主張するのみであって、これらについて具体的な指摘が されたとはいえない。以上によれば、被告東芝が民法709条の責任を負うとは認められない。 ⑵ 適時開示に関わる責任について原告らは、被告東芝が、発行する有価証券に関する投資判断に影響を与える重要な会社情報につき、一般投資家に対し直ちに開示すべき義務を負っていた が、同社は、ウエスティングハウス社の減損処理に関して明確な会計処理方針を発表しないなどしてこれを怠ったと主張する。 しかしながら、前提事実⑷のとおり、被告東芝は、本件有価証券報告書等の訂正について、各時点において判明した内容の概要、調査を必要とする事項 理方針を発表しないなどしてこれを怠ったと主張する。 しかしながら、前提事実⑷のとおり、被告東芝は、本件有価証券報告書等の訂正について、各時点において判明した内容の概要、調査を必要とする事項の存在等を可能な限り開示していたものといえ、会社情報の開示に関する注意義 務違反があったと認めるに足りる証拠はない。 また、ウエスティングハウス社の減損処理について、適時開示義務違反を負うと認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告東芝が、適時開示義務違反に係る責任を負うとは認められない。 3 争点⑵ア(本件有価証券報告書等の重要な事項についての虚偽記載の有無及び その範囲(被告役員ら関係))について⑴ 金商法24条の4の「重要な事項についての虚偽の記載」の意義、虚偽記載の判断基準は、前記1⑴で説示した金商法21条の2第1項の「重要な事項について虚偽の記載」の意義、虚偽記載の判断基準と同じであると解される。 そうすると、前記1⑵で説示したとおり、「虚偽の記載」の有無について、原 告らが、本件有価証券報告書等に「虚偽の記載」があったことを基礎付ける具体的な事実を主張しているとはいえない。 そして、被告役員らは、被告東芝と異なり、本件有価証券報告書等の一部について「虚偽の記載」のあることを認める旨の主張をしていない。 ⑵ したがって、被告役員らとの関係では、本件有価証券報告書等に「虚偽の記 載」があるとは認められない。 4 争点⑵イ(金商法24条の4、22条、民法709条、719条の各責任の有無(被告役員ら関係))について前記3のとおり、被告役員らとの関係では、本件有価証券報告書等に「虚偽の記載」があるとは認められないから、被告役員らが、本件有価証券報告書等に「虚 各責任の有無(被告役員ら関係))について前記3のとおり、被告役員らとの関係では、本件有価証券報告書等に「虚偽の記載」があるとは認められないから、被告役員らが、本件有価証券報告書等に「虚 偽の記載」のあることを前提とする、金商法24条の4で準用する22条1項、民法709条の責任を負うとは認められない。 また、前記2⑵のとおり、被告東芝が適時開示義務違反に係る責任を負うとは認められず、被告役員らも、適時開示義務違反に関して民法709条の責任を負うとは認められない。 5 争点⑶(原告らに生じた損害の額及び相当因果関係の有無)について⑴ 損害賠償請求の対象となる被告株式の範囲についてア金商法21条の2第1項は、重要な事項について虚偽の記載のある有価証券報告書等の提出者は、当該有価証券報告書等が公衆の縦覧に供されている間に、募集又は売出しによらないで有価証券を取得した者に対し、損害賠償 責任を負う旨定めているから、同項の損害賠償請求の対象となる被告株式は、 重要な事項について虚偽記載のある有価証券報告書等が公衆の縦覧に供された時点以降に取得したものに限られる。 そうすると、前記1のとおり、本件有価証券報告書等のうち、重要な事項について虚偽の記載があると認められる有価証券報告書は、第171期に係るものが最初であるところ、上記有価証券報告書が提出されたのは平成22 年6月23日(別紙7「リリース日」の項参照)であるから、その翌日である同月24日以降に取得された被告株式については損害賠償請求の対象となるが、同月24日より前に取得された被告株式については、損害賠償請求の対象とならない。 イ金商法21条の2第1項は、有価証券報告書等の虚偽記載によって損害を 被った投資者の保護の見 なるが、同月24日より前に取得された被告株式については、損害賠償請求の対象とならない。 イ金商法21条の2第1項は、有価証券報告書等の虚偽記載によって損害を 被った投資者の保護の見地から、民法709条など一般不法行為の規定の特則として、立証責任を緩和して、有価証券報告書等の提出者に対し、損害賠償責任を負わせるものであり、このような虚偽記載を抑止して、投資家が有価証券報告書等において開示された情報を信頼して投資判断を行うことを可能にすることをその目的とする規定であると解される。そして、同項ただ し書は、有価証券を取得した者が取得の際に有価証券報告書等の虚偽記載を知っていたときは、その有価証券報告書等の提出者は損害賠償責任を負わない旨定めているところ、これは、有価証券報告書等を信頼せずに投資判断を行ったことが明らかな者についてまで同条による保護を与える必要はないという趣旨に基づくものであると解される。そうすると、有価証券報告書等 を信頼せずに投資判断を行ったと認められる者については、同項ただし書を準用ないし類推適用して、同項による損害賠償責任を負わないと解するのが相当である。 前提事実⑷イによれば、被告東芝は、平成27年4月3日、平成25年度における一部のインフラ関連の工事進行基準に係る会計処理について、調査 を必要とする事項が判明したことから、事実関係の調査のために特別調査委 員会を設置したことを公表し、同日以降、新聞等で、被告東芝において、平成25年度の会計処理に際して不適切な会計処理がされた疑いがあることについて報じられたことが認められる。そうすると、原告ら一般の投資家においても、遅くとも同月4日には、被告東芝における過年度の有価証券報告書等の記載が誤ったものである疑いがあるこ れた疑いがあることについて報じられたことが認められる。そうすると、原告ら一般の投資家においても、遅くとも同月4日には、被告東芝における過年度の有価証券報告書等の記載が誤ったものである疑いがあることを認識することができる状 態に至ったということができる。そうであるにもかかわらず、同日以降に被告株式を取得したのであれば、有価証券報告書等を信頼せずに投資判断を行ったものと認められるから、被告東芝は、そのような者については、金商法21条の2第1項による損害賠償責任を負わないというべきである。 ウしたがって、本件において損害賠償請求の対象となる被告株式は、平成2 2年6月24日から平成27年4月3日までの間に取得され、かつ、同日の取引終了時において未処分であったものに限られる。 ⑵ 本件虚偽記載と相当因果関係のある損害(総論)についてア前記⑴のとおり、被告東芝は、平成22年6月24日から平成27年4月3日までに被告株式を取得した者に対し、金商法21条の2第1項に基づき、 その被った損害を賠償する責任を負うところ、同項にいう「損害」とは、一般不法行為の規定に基づきその賠償を請求することができる損害と同様に、虚偽記載等と相当因果関係のある損害を全て含むものと解される(最高裁平成22年(受)第755~759号同24年3月13日第三小法廷判決・民集66巻5号1957頁)。 本件において、本件有価証券報告書等に記載された内容が真実であるとの信頼の下で形成された市場価格に起因して、嵩上げされた株式の価値に相当する額の金銭等を支出した投資家について、仮に虚偽記載がなければ形成されていたであろう被告株式の市場価額(想定価額)と実際の取得価額との差額(以下「高値取得分」又は「高値取得損害」という。)については、 額の金銭等を支出した投資家について、仮に虚偽記載がなければ形成されていたであろう被告株式の市場価額(想定価額)と実際の取得価額との差額(以下「高値取得分」又は「高値取得損害」という。)については、本件虚 偽記載と相当因果関係のある損害に含まれるというべきである(このことは、 被告東芝も認めているところである。)。 イ取得自体損害について原告らは、本件虚偽記載がなく、被告東芝の企業実態が当初より正しく明らかにされていれば、被告株式を取得することはあり得なかったことから、被告株式の取得価格に相当する金員の支出自体が損害であると主張する。 一般に、有価証券報告書等に虚偽記載があるとしても、取引市場における市場価額が投資家の想定する市場価額よりも低額であれば、当該投資家が株式を取得する可能性は十分にあると考えられ、現に別紙8(取引履歴一覧)のとおり、原告らが一般投資家が被告東芝の不正会計を認識することが可能になった時点と主張する平成27年5月8日以降においても、一部の原告ら (例えば、第1事件原告番号4、13、14、21など。)は被告株式を取得している。 そして、被告東芝においては、本件虚偽記載がなく、前提事実⑸のとおりの訂正後の数値により有価証券報告書等が当初から作成されていたとしても、本件虚偽記載部分の対象期間において、上場廃止基準に抵触するもので はなく、およそ一般投資家の投資対象となり得なかったといえるものではない。また、本件虚偽記載の存在が明らかになった後、被告東芝は、平成27年9月7日、本件有価証券報告書等の訂正報告書を関東財務局長に提出した後、東京証券取引所及び名古屋証券取引所から、内部管理体制等の改善の必要性が高いとして、同月15日付けで、被告株式につき、上場廃止 年9月7日、本件有価証券報告書等の訂正報告書を関東財務局長に提出した後、東京証券取引所及び名古屋証券取引所から、内部管理体制等の改善の必要性が高いとして、同月15日付けで、被告株式につき、上場廃止に準ずる 措置である特設注意市場銘柄に指定する処分を受けたものの、内部管理体制確認書の提出を経て、平成29年10月12日付けで上記指定が解除され、被告株式の上場が維持されている(前提事実⑸~⑻)。これらの経過をみても、被告株式がおよそ一般投資家の投資対象とはなり得なかったなどとはいえない。 以上のことからすると、本件において、本件虚偽記載がなければ、原告ら が被告株式を取得することはなかったとはいえず、原告らについて、上記主張の取得自体損害があるとは認められない。 ウ信用毀損やろうばい売りによる損害について原告らは、本件虚偽記載の発覚によって、被告東芝に対する社会的な信用が毀損し、それに伴って被告株式の株価は下落し、また、通常の市場取引に おける売買状況とは大きく異なる多数の株式売買が行われ、それに伴って被告株式の株価は暴落し、ろうばい売り損害が発生したとして、このような信用毀損やろうばい売りによる株価下落も本件虚偽記載と相当因果関係のある損害であると主張する。 確かに、被告株式の株価は、平成27年4月4日以降、別紙9のとおり下 落したことが認められ(前提事実⑼)、前提事実⑷~⑺の事実経過からすると、これらの下落が、被告東芝の不適切な会計処理によって過年度の有価証券報告書等に虚偽の記載があった疑いがある旨を被告東芝が公表したこと等を契機とする投資家の過剰反応に起因して生じた部分もあるということができ(弁論の全趣旨)、本件虚偽記載と被告株式の株価下落との間には、事 実として あった疑いがある旨を被告東芝が公表したこと等を契機とする投資家の過剰反応に起因して生じた部分もあるということができ(弁論の全趣旨)、本件虚偽記載と被告株式の株価下落との間には、事 実としての因果関係(条件関係)があることは否定できない。 しかしながら、そもそも株主は、会社の構成員であり、その資産を実質的に有している者であることからすれば、株主であることによって当然に会社財産の増減、会社の信用の上昇、毀損に伴う株価変動に従って、間接的に利益を得たり、損失を被ったりするものである。そうすると、会社の信用毀損 やろうばい売りによる株価下落の損害は、取得の経緯や時期にかかわらず、全株主が被るべきものであるから、前記イのとおり、本件虚偽記載がなければ被告東芝の株主にならなかったとはいえない原告らについて、本件虚偽記載とろうばい売りによる株価下落の損害との間に相当因果関係があるとは認められない。 ⑶ 損害額の具体的な算定方法ア前記⑵のとおり、本件虚偽記載と相当因果関係のある損害は、高値取得分(本件虚偽記載がなければ形成されていたであろう被告株式の市場価額(想定価額)と実際の取得価額との差額)に限られる。そして、原告らは、平成26年法律第44号による改正前の金商法21条の2第2項の推定規定を 援用しないため、この高値取得分を算定するに当たっては、想定価額を立証することが必要となるが、これは実際には実現しなかった価額であるから、性質上、その立証は極めて困難である。結局のところ、高値取得分については、本件虚偽記載公表後の株価下落部分に反映されるものとして、虚偽記載の公表前後の市場価額の下落幅等を参考にして推計するほかない。もっとも、 当該株価の下落の要因は、本件虚偽記載がなかったことを前 本件虚偽記載公表後の株価下落部分に反映されるものとして、虚偽記載の公表前後の市場価額の下落幅等を参考にして推計するほかない。もっとも、 当該株価の下落の要因は、本件虚偽記載がなかったことを前提とした適正な情報の反映のほか、本件虚偽記載の発覚に伴う会社の信用毀損やろうばい売り、経済情勢、市場動向、当該会社の業績等による株価の下落もあり得るから、当該株価の下落分が直ちに高値取得分と等しいということにはならない。 また、株価下落分のうちの一定の割合が高値取得分として反映されるとして も、その割合は、株式取得時期、虚偽記載の時期・内容・程度、虚偽記載の公表までの期間等の諸事情によって異なり得るところである。 そうすると、本件虚偽記載によって高値取得分の損害が生じたことは認められるが、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときに当たるから、民訴法248条を適用して、相当な損害額を認定するのが相当で ある。 そこで、まず、①本件虚偽記載の公表前後の株価下落部分のうち、高値取得分が反映された範囲(後記イ)、次に、②それ以外の要因による株価下落分(後記ウ)、さらに、③被告株式の取得時期や虚偽記載の時期等(後記エ)の諸要素を検討して、高値取得分として株価下落分に反映される割合及び相当 な損害額を認定する。 イ本件虚偽記載の公表前後の株価下落部分のうち、高値取得分が反映されたと認められる範囲(ア)本件虚偽記載と相当因果関係がある株価下落の始期及び終期被告株式の株価の推移等は、前提事実⑷~⑹、⑼(別紙9)によると、以下のとおりである。 被告東芝は、平成27年4月3日、工事進行基準案件に係る会計処理の適正性を検証することを目的として特別調査委員 移等は、前提事実⑷~⑹、⑼(別紙9)によると、以下のとおりである。 被告東芝は、平成27年4月3日、工事進行基準案件に係る会計処理の適正性を検証することを目的として特別調査委員会を設置する旨公表し、同日以降、インフラ工事の一部で不適切な会計処理があった可能性があるなどと報じられたところ、同日時点で512.4円であった被告株式の株価は、翌取引日の同月6日には487.4円に下落した。 その後、株価は478.6円から495.8円の間にあったが、同年5月8日、特別調査委員会の調査の結果、更なる調査が必要として第三者委員会を設置すること及び平成26年度通期の業績予想は未定であるものの平成27年3月末日を基準日とする剰余金の配当は無配とすることを公表したところ、同年5月8日時点で483.3円であった株価は、翌取 引日の同月11日に403.3円にまで下落した。 平成27年7月に入ると、同月4日に、被告東芝の不適切会計が1500億円超に拡大する可能性が高いなどの報道がされた後、同月16日、株価は369.3円にまで下落した。他方で、同月20日には、本件調査報告書と共に過年度修正額が合計1562億円となることが公表され、また、 同年8月18日には、過年度修正額が568億円追加されると公表されたが、株価は、同月31日(第176期の有価証券報告書提出期限日)には、384円にまで回復した。 しかし、被告株式の株価は再び下落し、本件訂正報告書が提出された平成27年9月7日には352.7円に、被告株式が特設注意市場銘柄に指 定された同月15日には309円にまで下落し、同月16日以降、本件訂 正報告書提出の1か月後の同年10月7日までは、291.9円(同年9月29日)か 被告株式が特設注意市場銘柄に指 定された同月15日には309円にまで下落し、同月16日以降、本件訂 正報告書提出の1か月後の同年10月7日までは、291.9円(同年9月29日)から323.3円(同月17日)の間にあり、本件訂正報告書提出から1か月を経過した後の同年10月8日以降、同月中は329.3円から356.1円の間にあった。 そうすると、本件虚偽記載の原因となった不適切会計の可能性が公表さ れた同年4月3日(512.4円)から、本件訂正報告書が提出された後1か月以内で最も値を下げた同年9月29日(291.9円)までは、本件虚偽記載の公表に反応して、株価が形成されたものと認められる。 したがって、本件虚偽記載公表前後の株価下落分のうち、本件虚偽記載と相当因果関係のある下落の始期は平成27年4月3日、終期は同年9月 29日と認め、上記期間の下落分は220.5円(512.4円-291. 9円)となる。 (イ) 本件虚偽記載と相当因果関係のある株価下落の範囲前記⑴のとおり、本件で損害賠償請求の対象となる被告株式は、平成27年4月3日の本件虚偽記載公表前までに取得されたものである。そうす ると、被告株式の取得価額と同日の株価である512.4円との差額について、取得価額が512.4円よりも高い場合には本件虚偽記載と無関係に上昇していたものと考えるのが相当であるから、本件虚偽記載と相当因果関係のある損害であるとは認められない。また、本件虚偽記載による高値取得損害は、被告株式を処分した時点で現実化するものであり、取得価 額と処分価額の差を超えることはないと解すべきであるから、取得価額が512.4円よりも低い場合には、現実の取得価額を基準として、本件虚偽記載と相当因果関係の 点で現実化するものであり、取得価 額と処分価額の差を超えることはないと解すべきであるから、取得価額が512.4円よりも低い場合には、現実の取得価額を基準として、本件虚偽記載と相当因果関係のある株価の下落の範囲の上限を算定すべきである。 そして、前記(ア)のとおり、本件虚偽記載と相当因果関係のある株価の 下落の終期は、平成27年9月29日であるから、同日取引終了時点まで に処分された場合は、取得価額(ただし、これが512.4円を超える場合は512.4円)と処分価額の差額が本件虚偽記載と相当因果関係のある損害の上限と認められる。また、同日取引終了時点後に処分がされ、その処分価額が291.9円(同日の株価)よりも高い場合には、その処分価額と291.9円との差額は損害賠償の対象とならないと解すべきであ る。なお、本件口頭弁論終結時点(令和5年11月14日)で保有中の被告株式については、処分価額を同日の株価である460.1円(前記前提事実⑼)とする。 以上によれば、本件虚偽記載と相当因果関係のある株価の下落の範囲の上限を求める算式は次のとおりである。 【平成27年9月29日の取引終了時点までに処分された場合】① 取得価額<512.4円: 取得価額-処分価額② 取得価額≧512.4円: 512.4円-処分価額 【平成27年9月29日の取引終了時点後に処分された場合】① 取得価額<512.4円、かつ、処分価額<291.9円: 取得価額-291.9円② 取得価額<512.4円、かつ、処分価額≧291.9円: 取得価額-処分価額 ③ 取得 91.9円: 取得価額-291.9円② 取得価額<512.4円、かつ、処分価額≧291.9円: 取得価額-処分価額 ③ 取得価額≧512.4円、かつ、処分価額<291.9円: 512.4円-291.9円④ 取得価額≧512.4円、かつ、処分価額≧291.9円: 512.4円-処分価額(ウ)これに対し、原告らは、本件虚偽記載と相当因果関係のある株価下落は、 平成27年5月8日から同年9月7日までの一連一体不可分の本件虚偽記 載等に関する公表行為を起点として、被告株式1株当たり155円に下落した平成28年2月12日まで継続した旨主張する。 しかしながら、一般に、投資者の投資判断に影響を及ぼす事実が公表された場合には、投資家は速やかにその公表事実を踏まえた投資判断を行い、その投資家の判断が速やかに株価に反映されるという証券取引の現状に照 らすと、本件虚偽記載の公表から1か月経過後の市場価額の変動は、同公表による影響ではなく、その他被告東芝の経営に対する市場の評価等を原因とするものと考えられる。そうすると、本件虚偽記載が、平成27年9月7日に本件有価証券報告書等の訂正報告書が提出された後の約5か月間にわたって株価に影響するというのは考え難く、その間影響が継続すると考 える合理的な理由も見当たらない。平成26年法律第44号による改正前の金商法21条の2第2項が、推定損害額の算定にあたり、虚偽記載等の事実の公表日後1か月間の有価証券の市場価額の平均額を用いるのも、虚偽記載等の事実の公表が株価に影響するのは1か月程度であるということを前提としていると考えられるところである。 した 事実の公表日後1か月間の有価証券の市場価額の平均額を用いるのも、虚偽記載等の事実の公表が株価に影響するのは1か月程度であるということを前提としていると考えられるところである。 したがって、原告らの主張は採用することができない。 (エ)被告東芝は、シャープ株式会社等電機産業5銘柄の市場株価ないし日経平均株価と連動したことが主たる要因となって、被告株式の株価は、平成27年9月29日に底を打ったにすぎず、本件虚偽記載と相当因果関係のある株価下落の終期は、同年10月9日である旨主張する。 しかしながら、同年9月29日の株価が本件虚偽記載の公表の影響を受けたものであることは明らかであって、公表後最も値を下げた時点をもって、本件虚偽記載と相当因果関係のある株価下落の終期であると認めるのが相当というべきである。被告東芝が指摘する点は、本件虚偽記載の公表とは無関係な、被告株式の株価に影響を及ぼした市場要因を検討し、株価 下落分に対する影響の程度を考慮することで足りる。 ウそれ以外の要因による株価下落分の影響度の検討及びその控除(ア)市場要因前提事実⑼及び証拠(乙A10~15、36の1~3、37の1の1~6の3)によれば、平成27年4月3日から同年9月29日までの被告株式、日経平均株価及び被告東芝の属する大手電機、重電産業のうち被告東芝と 同様に中国向け売上比率の高い5社(いずれも日経中国関連株50に指定されているもの)の株価(終値)の推移、下落率等は、次のとおり認められる(本項においては、年の記載のないものは平成27年をいう。)。 ① 被告株式4月3日 512.4円 9月29日 291.9円下落額・下落率 220.5 は、年の記載のないものは平成27年をいう。)。 ① 被告株式4月3日 512.4円 9月29日 291.9円下落額・下落率 220.5円・43.0%② 日経平均株価4月3日 19435.08円9月29日 16930.84円 下落額・下落率 2504.24円・12.8%③ シャープ株式会社4月3日 231円9月29日 139円下落額・下落率 92円・39.8% ④ 株式会社日立製作所4月3日 831.4円9月29日 592円下落額・下落率 239.4円・28.7%⑤ 三菱電機株式会社 4月3日 1467.5円 9月29日 1063円下落額・下落率 404.5円・27.5%⑥ パナソニック株式会社4月3日 1565.5円9月29日 1179.5円 下落額・下落率 386円・24.6%⑦ 三菱重工業株式会社4月3日 667.1円9月29日 516.5円下落額・下落率 150.6円・22.5% このように、被告株式のみならず、日経平均株価や上記5社についても、4月3日と9月29日の株価を比較すると、下落傾向にあったものと認められる。 そして、この頃、中国株式市場の不安定さに伴う中国における事業環境の悪化への懸念からとりわけ電気機器業種の株価の下落が目立っているな どと評価されていたところ(乙A ったものと認められる。 そして、この頃、中国株式市場の不安定さに伴う中国における事業環境の悪化への懸念からとりわけ電気機器業種の株価の下落が目立っているな どと評価されていたところ(乙A16)、中国向け売上比率の高い被告東芝や上記5社の株価の下落はその影響もあったものとうかがわれる。 もっとも、平成27年4月3日から同年9月29日までにおける被告東芝と上記③~⑦記載の5社の株価の上昇・下落率は別紙11のとおりであって(乙A9、11~15)、下落の開始時期は異なる上、被告株式と上記 5社の株価が上記期間を通じて連動しているとはいえないが、6月以降は概ね共通した上昇、下落の傾向を示している。 そうすると、本件虚偽記載の公表前後の株価下落には、本件虚偽記載とは無関係な市場要因の影響による部分もあるというべきである。シャープ株式会社については、5月14日の中期経営計画の公表が市場の失望売り を招くなどした点もあって(乙A39、40)、他4社よりも下落率が高く なった可能性も否定することはできないから、同社を除く他4社の下落率(平均25.8%)等を考慮し、被告東芝の株価下落(上記①の43.0%)のうち、市場要因の影響は、本件虚偽記載の公表前後の株価下落分のうちの60%を占めるものと認めるのが相当である。 (イ)信用毀損やろうばい売り 被告株式の株価は、前記⑵ウ、前記イ(ア)のとおり、4月3日にインフラ工事の一部で不適切な会計処理があった可能性があるなど報じられたことをきっかけに下落し、いったん回復した後、5月8日に第三者委員会の設置や3月末日を基準日とする剰余金の配当を無配とすること等の公表をきっかけに再度下落した。その後、被告株式の株価は、新たな公表や報道を きっかけに下落と 回復した後、5月8日に第三者委員会の設置や3月末日を基準日とする剰余金の配当を無配とすること等の公表をきっかけに再度下落した。その後、被告株式の株価は、新たな公表や報道を きっかけに下落と回復を繰り返し、9月7日の本件有価証券報告書等の訂正報告書が提出された後の1か月間は340.6円から291.9円の間で上下したものである。本件虚偽記載の公表により、被告東芝の信用が毀損され、ろうばい売りも生じたと考えられるところ、上記の被告株式の株価の推移を考慮すると、信用毀損やろうばい売りの影響は、本件虚偽記載 の公表前後の株価下落分のうち20%を占めるものと認めるのが相当である。 (ウ) 他方で、被告東芝が金商法21条の2に基づく責任を負うべき「重要な事項について虚偽の記載」に当たらない訂正部分が、投資者の投資判断や株価形成に与える影響は極めて限定的であるというべきであるから、本件 虚偽記載の公表前後の株価下落に対して上記訂正部分の影響があるとは認められない。 (エ)以上によれば、本件虚偽記載の公表前後の株価下落部分のうち、高値取得分以外の要因による株価下落分は80%を占めるものと認められる。 エ被告株式の取得時期による調整 本件虚偽記載は、第171期、第173期及び第174期有価証券報告書 においてされたものであるところ、一般に直近の財務情報の方が株価に与える影響は大きいことを考慮すると、被告株式の取得時期に応じた虚偽記載公表後の株価下落に与えた影響度は、次のとおりと考えるのが相当である。 ① 平成22年6月24日(第171期有価証券報告書の提出日翌日)から平成24年6月22日(第173期有価証券報告書の提出日)までの間に 被告株式を取得した場合 30%② 平成24年6月23日(第1 2年6月24日(第171期有価証券報告書の提出日翌日)から平成24年6月22日(第173期有価証券報告書の提出日)までの間に 被告株式を取得した場合 30%② 平成24年6月23日(第173期有価証券報告書の提出日翌日)から平成25年6月25日(第174期有価証券報告書の提出日)までの間に被告株式を取得した場合 60%③ 平成25年6月26日(第174期有価証券報告書の提出日翌日)から 平成27年4月3日(対象期間の期末)までの間に被告株式を取得した場合 100%オなお、原告らが、被告株式を取得した後に有価証券報告書に虚偽記載があった場合、当該虚偽記載は上記取得時の被告株式の取得価額には影響しないから、当該虚偽記載により損害賠償を請求することはできない。 カ被告東芝は、前記第2の4⑸(争点⑶)イ(被告東芝の主張)(ウ)c⒝)のとおり、被告株式の株価の回復をもって、その株価上昇分は損害額から控除すべきである旨主張する。 前記⑵のとおり、本件虚偽記載と相当因果関係のある損害は高値取得損害に限られるところ、前記ア、イのとおり、損害の性質上その額を立証するこ とが極めて困難であることから、民訴法248条により相当な損害額を認定することとして、本件虚偽記載と相当因果関係がある株価下落の始期と終期を定め、その株価の差額を算定した上、その損害の算定に当たり、取得価額と損害が現実化する時である処分価額をも考慮して、本件虚偽記載と相当因果関係のある株価の下落の範囲を求めることとしたものである。以上のよう な高値取得損害の算定に当たっての株価の下落の範囲についての民訴法2 48条による認定は、推計として十分に合理性を有するものであるし、前記ウ、エのとおり、それ以外の要因による株価の下落や株式取 値取得損害の算定に当たっての株価の下落の範囲についての民訴法2 48条による認定は、推計として十分に合理性を有するものであるし、前記ウ、エのとおり、それ以外の要因による株価の下落や株式取得時期による調整を経て具体的損害が求められるものであることからすると、取得自体損害が認められる場合とは異なり、投資家において、株価下落分の全額について賠償を受けられることを期待しつつ、株式を売却せずに保有し続けることが できることになるものでもない。 したがって、被告株式の株価の回復による株価上昇分を損害額から控除する必要があるとはいえず、被告東芝の上記主張を採用することはできない。 ⑷ 具体的な損害額(高値取得分)の算定についてア損害賠償請求の対象となる株式(以下「算定対象株式」という。)の特定 (ア)算定対象株式の特定方法について原告らは、算定対象株式の特定に当たっては先入先出法を用いるべきであり、総平均法を適用する理由はないとし、現物取引と信用取引とを区別して請求対象株式の特定を行うことは合理的である旨主張する。 しかしながら、被告東芝において採用されている振替株式制度において は、株券が発行されず株式の数量のみによって株主の権利関係が把握されるのであって、株式は会社に対する持分の細分化された割合的単位にすぎないから、ある時点で処分した株式について、どの時点で取得した株式を処分に充てたかといった取得と処分の対応関係を特定することはできず、株式の取得と処分は会社に対する持分割合を増減させるにすぎない。そう すると、算定対象株式の特定においては、先入先出法(先に取得したものから先に処分したとみなして棚卸資産の取得原価を算定する方法)ではなく、総平均法(同一銘柄の有 を増減させるにすぎない。そう すると、算定対象株式の特定においては、先入先出法(先に取得したものから先に処分したとみなして棚卸資産の取得原価を算定する方法)ではなく、総平均法(同一銘柄の有価証券について、一定の期間の期首の帳簿価額と期中に取得した有価証券の取得価額の合計額をこれらの有価証券の総数で除して平均単価を算出し、その平均単価を譲渡した有価証券の1単 位当たりの帳簿価額とする方法)によるのが相当である。 また、損害の算定に当たって、現物取引と信用取引とを区別する合理的な理由があるとはいえず、これらを区別することなく算定対象株式を特定すべきである。 以下では、総平均法の考え方を用いて、具体的な損害額(高値取得分)の算定についての検討を行う。なお、以下で記載するA~Zが示すものは、 別紙12(凡例表)のとおりである。 (イ)算定対象株式の数量算定対象株式(別紙13の1~6(以下、単に「別紙13」という。)【裁判所の判断】表1(取得単価の算定)中〔E〕)の数量は、損害賠償請求の対象期間(平成22年6月24日から平成27年4月3日までの期間。以 下「対象期間」という。)の末日時点(平成27年4月3日)の保有株式数(別紙13【裁判所の判断】表1中〔D〕)に、対象期間の取得株式数(別紙13【裁判所の判断】表1中〔B〕)を対象期間の期首時点の保有株式数(別紙13【裁判所の判断】表1中〔A〕)と対象期間の取得株式数(B)の合計で除したものを乗じる方法で求めることとなる(E=D×B÷(A +B))。 (ウ)算定対象株式の取得単価算定対象株式の取得単価は、対象期間の取得株式についての1株当たりの実際の取得単価(別紙13【裁判所の判断 (E=D×B÷(A +B))。 (ウ)算定対象株式の取得単価算定対象株式の取得単価は、対象期間の取得株式についての1株当たりの実際の取得単価(別紙13【裁判所の判断】表1中〔K〕)であり、総平均法の考え方によれば、これは、対象期間の取得株式の取得価格(株式取 得の際に要した費用から取引諸経費を差し引いたもの)の合計金額(別紙13【裁判所の判断】表1中〔J〕)を対象期間の取得株式数(B)で除する方法により平均値として算出される(K=J÷B)。 (エ)処分株式に占める算定対象株式の割合の算定総平均法の考え方によれば、対象期間の末日時点(平成27年4月3日) 後の処分株式総数(別紙13【裁判所の判断】表1中〔G〕)及び現時点(口 頭弁論終結時)の未処分株式総数(別紙13【裁判所の判断】表1中〔H〕)の中には、一定の割合で算定対象株式が含まれているから、処分株式に占める算定対象株式の割合(別紙13【裁判所の判断】表1中〔I〕)を求める必要がある。そして、この割合は、前記(イ)で求めた算定対象株式数(別紙13【裁判所の判断】表1中〔E〕)を対象期間の末日(平成27年4月 3日)時点の保有株式数(D)と同日以降の取得株式数(別紙13【裁判所の判断】表1中〔F〕)の合計で除する方法によって求めることとなる(I=E÷(D+F))。 イ取引単位ごとの損害額の算定(ア)当該取引における1株当たりの損害額 まず、当該取引における1株当たりの損害額(別紙13【裁判所の判断】表2(虚偽記載以外の要因及び取得後の虚偽記載に起因する株価下落を控除する前の損害額の算定)中〔P〕)は、前記⑶イ(ア)、(イ)に従って求めることとなる。 額(別紙13【裁判所の判断】表2(虚偽記載以外の要因及び取得後の虚偽記載に起因する株価下落を控除する前の損害額の算定)中〔P〕)は、前記⑶イ(ア)、(イ)に従って求めることとなる。 具体的には、前記ア(ウ)で求めた1株当たりの実際の取得単価(K)又 は512.4円を損害額を算定するに当たって算出した株式1株当たりの取得単価(別紙13【裁判所の判断】表2中〔O〕)とし、株式1株当たりの実際の処分単価(別紙13【裁判所の判断】表2中〔M〕)又は291. 9円を損害額を算定するに当たって算出した株式1株当たりの処分単価(別紙13【裁判所の判断】表2中〔N〕)として、前者(O)から後者(N) を差し引く方法により求めることとなる(P=O-N)。 また、本件の口頭弁論終結時において被告株式を保有している原告らについては、本件口頭弁論終結時における被告株式の株価460.1円を損害額を算定するに当たって算出した株式1株当たりの処分単価(N)として、同様の方法によって1株当たりの損害額を求めることとなる。 なお、損害額を算定するに当たって算出した株式1株当たりの処分単価 (N)が、同取得単価(O)を上回る場合には、当該取引については、損害が生じていない(別紙13【裁判所の判断】表2中〔P〕欄参照)。 (イ)取引単位ごとの損害額の算定取引単位ごとの算定対象株式に係る損害額(虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前のもの)(別紙1 3【裁判所の判断】表2中〔R〕)は、各取引単位における処分株式数(別紙13【裁判所の判断】表2中〔L〕)に1株当たりの損害額(虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する 【裁判所の判断】表2中〔R〕)は、各取引単位における処分株式数(別紙13【裁判所の判断】表2中〔L〕)に1株当たりの損害額(虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前のもの)(P)を乗じた額(別紙13【裁判所の判断】表2中〔Q〕)に、処分株式に占める算定対象株式の割合(I)を乗じることによって求めら れ(R=Q×I)、取引単位ごとの損害額(虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前のもの)の合計は、別紙13【裁判所の判断】表2中〔S〕のとおりとなる。 また、本件口頭弁論終結時において、未処分であった株式の損害(虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除 する前のもの)の合計額(別紙13【裁判所の判断】表2中〔T〕)は、本件口頭弁論終結時の未処分株式数(H)に、処分単価を460.1円として求めた株式1株当たりの損害額(虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前のもの)(P)を乗じた額に、処分株式に占める算定対象株式の割合(I)を乗じることにより求められ ることとなる(T=H×P×I)。なお、本件口頭弁論終結時において未処分であった被告株式については、別紙13【裁判所の判断】表2中「約定日」の項に終結時と記載し、未処分株式数(H)を表2中「L」の項に記載する。 そして、取引単位ごとの損害額(虚偽記載以外の要因及び株式取得後の 虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前のもの)の合計(S)に、本 件口頭弁論終結時において未処分であった株式の損害額(虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前のもの)の合計(T)を加えることにより の合計(S)に、本 件口頭弁論終結時において未処分であった株式の損害額(虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前のもの)の合計(T)を加えることにより、虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前の損害額の合計(別紙13【裁判所の判断】表2中〔U〕)が求められることとなる(U=S+T)。 ウ本件虚偽記載による株価下落によって生じた損害額の算定(ア) 前記⑶エのとおり、被告株式の取得時期によって、本件虚偽記載が虚偽記載公表後の株価下落に与えた影響度が異なるから、本件虚偽記載による株価下落によって生じた損害額を算定するに当たっては、虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前の損 害額を取得時期ごとに算出した上で、高値取得分以外の要因や被告株式の取得時期に応じた調整を図るべきである。 (イ) そこで、まず、対象期間を①第171期有価証券報告書の提出日の翌日(平成22年6月24日)から第172期有価証券報告書の提出日(平成23年6月22日)までの期間、②第172期有価証券報告書の提出日の 翌日(同月23日)から第173期有価証券報告書の提出日(平成24年6月22日)までの期間、③第173期有価証券報告書の提出日の翌日(同月23日)から第174期有価証券報告書の提出日(平成25年6月25日)までの期間、④第174期有価証券報告書の提出日の翌日(同月26日)から第175期有価証券報告書の提出日(平成26年6月25日)ま での期間、⑤第175期有価証券報告書の提出日の翌日(同月26日)から対象期間の末日(平成27年4月3日)までの期間(以下「本件各期間」という。)の5つに分類した上で、算定対象株 25日)ま での期間、⑤第175期有価証券報告書の提出日の翌日(同月26日)から対象期間の末日(平成27年4月3日)までの期間(以下「本件各期間」という。)の5つに分類した上で、算定対象株式数(E)を、対象期間の取得株式総数(B)の本件各期間の取得株式数(別紙8参照)に対する割合で按分した株式数(別紙13【裁判所の判断】表3(虚偽記載による株価 下落による損害額の算定)中〔V〕)を求める。 次に、前記のとおり求まった株式数(V)から、以下で述べる除斥期間の経過により消滅する損害賠償請求権に対応する株式数(別紙13【裁判所の判断】表3中〔W〕)を引いて、本件各期間において、各原告が被告東芝に対して最終的に有する損害賠償請求権に対応する株式数(X)を求める(X=V-W)。そして、この株式数に対応する虚偽記載以外の要因及び 株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前の損害額の合計は、(別紙13【裁判所の判断】表3中〔U〕)のとおりである。 最後に、本件虚偽記載の公表前後の株価下落部分のうち、高値取得分の20%(前記⑶ウ)及び被告株式の取得時期に応じた30%から100%の影響度(前記⑶エ)を踏まえ、最終的な損害額を算定するに当たり、本 件各期間における虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前の損害額に乗ずべき割合を算定する(別紙13【裁判所の判断】表3中〔Y〕)。具体的には、次のとおりである。 ① 平成22年6月24日から平成24年6月22日までに取得された株式に係る、高値取得損害に対応する下落割合×株式の取得時期による 影響の割合 6%② 平成24年6月23日から平成25年6月25日までに取得された株式に係る、高値取得損害に対応する下落割合×株式の 、高値取得損害に対応する下落割合×株式の取得時期による 影響の割合 6%② 平成24年6月23日から平成25年6月25日までに取得された株式に係る、高値取得損害に対応する下落割合×株式の取得時期による影響の割合 12%③ 平成25年6月26日から平成27年4月3日までに取得された株 式に係る、高値取得損害に対応する下落割合×株式の取得時期による影響の割合 20%(ウ) 以上の計算過程を経て、株式取得前の虚偽記載に起因する株価下落による最終的な損害額(別紙13【裁判所の判断】表3中〔Z〕)が求められることとなる(Z=U×Y)。 なお、別紙13【裁判所の判断】のうち、算定対象株式数を示している 表1中〔E〕と表3中〔V〕及び虚偽記載以外の要因及び株式取得後の虚偽記載に起因する株価下落分を控除する前の損害額の合計を示している表2〔U〕と表3中〔U〕は、それぞれ本来数値が一致すべきものであるが、別紙12中「計算処理について」記載の計算処理をしている都合上、誤差を生じているものが存在する。 (エ)除斥期間の経過による損害賠償請求権の消滅について金商法21条の2第1項に基づく損害賠償請求権は、虚偽記載のある有価証券報告書等が提出された時から5年間行使しないときは消滅する(金商法21条の3、20条2号)。 原告らは、平成27年12月7日以降にそれぞれ訴えを提起したから (前提事実⑽)、平成22年6月23日に提出された第171期有価証券報告書(前提事実⑵、別紙6)の虚偽記載による損害賠償請求権については、除斥期間の経過によって消滅したこととなる。具体的には、第171期の有価証券報告書の提出日翌日である平成22年6月24日から第1 報告書(前提事実⑵、別紙6)の虚偽記載による損害賠償請求権については、除斥期間の経過によって消滅したこととなる。具体的には、第171期の有価証券報告書の提出日翌日である平成22年6月24日から第173期有価証券報告書の提出日である平成24年6月22日までに取得 された被告株式については、第171期の有価証券報告書の虚偽記載による高値取得分の損害が発生することとなるが、その損害賠償請求権は除斥期間の経過によって消滅した。その結果は、別紙13【裁判所の判断】表3中〔W〕のとおりである。 ⑸ 被告株式の取得及び売却に要した取引諸経費について 本件においては、前記⑵イのとおり、原告らにおいて、本件虚偽記載がなければ被告株式を取得することはなかったとは認められないから、取引諸経費は原告らの負担に帰すべきものである。したがって、被告株式の取得及び売却に要した取引諸経費は、本件虚偽記載と相当因果関係のある損害であるとは認められない。 ⑹ 弁護士費用について原告らが原告ら訴訟代理人に本件訴訟の提起及び遂行等を委任したことは当裁判所に顕著であり、前記判示に係る本件事案の内容及び性質、本件訴訟の審理経過、本件の認容額等を考慮すると、相当因果関係のある弁護士費用として、別紙2のとおり、別紙13の〔裁判所の判断〕表3中Z記載額の1割相当 額(同表中の弁護士費用の項参照)を認めるのが相当である。 そして、弁護士費用を含めて原告らに生じた最終的な損害額は、別紙13【裁判所の判断】中「損害額」欄記載のとおりである。 ⑺ 遅延損害金について金商法21条の2に基づく損害賠償債務は、損害の発生と同時に、かつ、何 らの催告を要することなく、遅滞に陥るものと解するのが相当である。そして、本件虚 ある。 ⑺ 遅延損害金について金商法21条の2に基づく損害賠償債務は、損害の発生と同時に、かつ、何 らの催告を要することなく、遅滞に陥るものと解するのが相当である。そして、本件虚偽記載と相当因果関係が認められる損害(高値取得損害)は、前記⑵アのとおり、本件虚偽がなければ形成されていたであろう被告株式の市場価額(想定価額)と実際の取得価額との差額であるから、これらの損害は被告株式取得時に発生したものと評価することができる。そのため、高値取得損害が現 実化するのは、被告東芝の主張のとおり被告株式の処分時点又は損害賠償請求時点ではあるものの、金商法21条の2に基づく損害賠償債務は被告株式取得時点から遅滞に陥るものというべきである。 したがって、遅延損害金の請求については、原告らの請求に従って、被告株式取得時以降の平成27年5月8日を起算点としてこれを認めるのが相当で ある。 第4 結論以上によれば、別紙2(認容額一覧)の「原告名」の項記載の各原告の請求は、被告東芝に対し同別紙の「合計(円)」の項記載の各金員及びこれに対する平成27年5月8日から各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法 所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める限度で理由があるから これを認容し、その余はいずれも理由がないから棄却するとともに、別紙3記載の各原告の被告らに対する請求は全部理由がないからいずれも棄却することとする。 よって主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第7部 裁判長裁判官荒谷謙介 裁判官長尾崇 裁判官海 﨑 新一朗 裁判長 裁判官 荒谷謙介 裁判官 長尾崇 裁判官 海崎新一朗 別紙1ないし別紙13については記載を省略。

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る