平成17(あ)1153 詐欺,公正証書原本不実記載,同行使,強制執行妨害,競売入札妨害,電磁的公正証書原本不実記録,同供用被告事件

裁判年月日・裁判所
平成18年12月13日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所 平成13(う)1182
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判決文本文1,858 文字)

- 1 -主文本件各上告を棄却する。 理由 被告人3名の弁護人喜田村洋一の上告趣意のうち,競売入札妨害罪の公訴時効の成否に関し判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 所論にかんがみ,第1審判示第7の1に係る競売入札妨害罪の公訴時効の成否につき,職権で判断する。 原判決の認定及び記録によれば,上記第1審判示第7の1の事実に関する事実関係は,次のとおりである。 (1)被告人Aは,甲株式会社(平成7年11月24日の商号変更により株式会社乙となる。以下「本件会社」という。)の代表取締役であるとともに,同社関連会社である株式会社丙の実質的経営者として両社の業務全般を統括しているもの,被告人Bは本件会社の財務部長,被告人Cは丙の代表取締役であったものであるが,被告人3名は,共謀の上,平成7年10月31日付けで東京地方裁判所裁判官により競売開始決定がされた本件会社所有に係る土地・建物(以下「本件土地・建物」という。)につき,その売却の公正な実施を阻止しようと企てた。 (2)そこで,上記競売開始決定に基づき,同年12月5日,同裁判所執行官が現況調査のため,本件土地・建物に関する登記内容,占有状況等について説明を求めた際,被告人Bにおいて,同執行官に対し,本件会社が同建物を別会社に賃貸して引き渡し,同社から丙に借主の地位を譲渡した旨の虚偽の事実を申し向けるとと- 2 -もに,これに沿った内容虚偽の契約書類を提出して,同執行官をしてその旨誤信させ,現況調査報告書にその旨内容虚偽の事実を記載させた上,同月27日,これを同裁判所裁判官に提出させた。 (3)その後,同裁判所裁判官 沿った内容虚偽の契約書類を提出して,同執行官をしてその旨誤信させ,現況調査報告書にその旨内容虚偽の事実を記載させた上,同月27日,これを同裁判所裁判官に提出させた。 (3)その後,同裁判所裁判官から本件土地・建物につき評価命令を受けた,情を知らない評価人は,上記内容虚偽の事実が記載された現況調査報告書等に基づき,不動産競売による売却により効力を失わない建物賃貸借の存在を前提とした不当に廉価な不動産評価額を記載した評価書を作成し,平成8年6月5日,同裁判所裁判官に提出した。これを受けて,情を知らない同裁判所裁判官は,同年12月20日ころ,本件土地・建物につき,上記建物賃借権の存在を前提とした不当に廉価な最低売却価額を決定し,情を知らない同裁判所職員において,平成9年3月5日,上記内容虚偽の事実が記載された本件土地・建物の現況調査報告書等の写しを入札参加希望者が閲覧できるように同裁判所に備え置いた。 被告人3名は,平成12年1月28日,本件土地・建物につき,偽計を用いて公の入札の公正を害すべき行為をした旨の競売入札妨害の事実で起訴されたものであるが,所論は,競売入札妨害罪は,即成犯かつ具体的危険犯であるから,現況調査に際して執行官に対し虚偽の陳述をした時点で犯罪は終了しており,公訴時効が完成しているのに,その成立を否定した原判決には法令解釈適用の誤りがあるという。 しかしながら,上記1の事実関係の下では,被告人Bにおいて,現況調査に訪れた執行官に対して虚偽の事実を申し向け,内容虚偽の契約書類を提出した行為は,刑法96条の3第1項の偽計を用いた「公の競売又は入札の公正を害すべき行為」に当たるが,その時点をもって刑訴法253条1項にいう「犯罪行為が終つた時」- 3 -と解すべきものではなく,上記虚偽の事実の陳述等に基づく競売手続が進行す 「公の競売又は入札の公正を害すべき行為」に当たるが,その時点をもって刑訴法253条1項にいう「犯罪行為が終つた時」- 3 -と解すべきものではなく,上記虚偽の事実の陳述等に基づく競売手続が進行する限り,上記「犯罪行為が終つた時」には至らないものと解するのが相当である。そうすると,上記競売入札妨害罪につき,3年の公訴時効が完成していないことは明らかであるから,同罪につき,公訴時効の成立を否定した原判決の結論は正当である。 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官堀籠幸男裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖裁判官那須弘平裁判官田原睦夫)

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