平成24(ワ)8221 実用新案権・意匠権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年4月19日 東京地方裁判所
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平成25年4月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成24年(ワ)第8221号実用新案権・意匠権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成25年2月1日判 決名古屋市<以下略>原告株式会社コマリヨー同訴訟代理人弁護士山上芳和同藤井圭子同笹岡優隆同本多 諭同訴訟代理人弁理士齋藤晴男大阪府箕面市<以下略>被告ジェイディジャパン株式会社同訴訟代理人弁護士久保慶治同西村嗣人同塚﨑幸司主 文 1 被告は,別紙被告製品目録記載の被告製品を製造し,譲渡し,貸し渡し,又は譲渡若しくは貸し渡しのために展示してはならない。 2 被告は,別紙被告製品目録記載の被告製品及びその半完成品(別紙被告製品目録記載の構造を具備しているが製品として完成するに至らないもの)を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,20万3700円及びこれに対する平成24年4月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用はこれを10分し,その7を被告の負担とし,その3を原告の負担 とする。 6 この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 主文第1,2項に同旨 2 被告は,原告に対し,450万円及びこれに対する平成24年4月17日 決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 主文第1,2項に同旨 2 被告は,原告に対し,450万円及びこれに対する平成24年4月17日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,履物装着用ヒールローラーに関する実用新案権(第3157614号。以下以下以下以下「本件実用新案権本件実用新案権本件実用新案権本件実用新案権」というというというという。)及び意匠権(第1392789号。 以下以下以下以下「本件意匠権本件意匠権本件意匠権本件意匠権」というというというという。)を有する原告が,被告による別紙被告製品目録記載の製品(ただしただしただしただし,反射材反射材反射材反射材に「JORAZOR」「JORAZOR」「JORAZOR」「JORAZOR」とあるのはとあるのはとあるのはとあるのは「JDRA「JDRA「JDRA「JDRAZOR」ZOR」ZOR」ZOR」の誤り。以下以下以下以下「被告製品被告製品被告製品被告製品」というというというという。)。)。)。)の製造販売が本件実用新案権及び本件意匠権を侵害すると主張して,被告製品の製造販売等の差止めと,民法709条,実用新案法29条2項又は意匠法39条2項に基づき,450万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年4月17日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 請求原因(1) 当事者原告は,靴,スニーカー,その他の履物製品の企画,製造,販売を業とする会社であり,被告は,キックスケーター,スケートボード,その他の運動用品,自転車及び自転車部品の企画,製造,販 1) 当事者原告は,靴,スニーカー,その他の履物製品の企画,製造,販売を業とする会社であり,被告は,キックスケーター,スケートボード,その他の運動用品,自転車及び自転車部品の企画,製造,販売を業とする会社である。 (2) 本件実用新案権ア原告は,以下の実用新案権(本件実用新案権。末尾に本件実用新案権の登録実用新案公報を添付する。)を有している。 登録番号第3157614号 考案の名称履物装着用ヒールローラー出願日平成21年12月1日登録年月日平成22年2月3日実用新案技術評価書作成日平成23年4月18日イ本件実用新案権の請求項1,5及び6の記載は,以下のとおりである。 「【請求項1】ホイールを回転自在に保持する一対のホイールホルダーを備え,前記ホイールホルダーのうちの一方は,第1のホイールを内側から軸支する側壁と,前記側壁に連設されていて前記第1のホイールを外側から軸支するホイールガードと,前記側壁から水平方向に延びる箱状体を有していて,前記箱状体の上面に,固定ピンを備えたストッパーが取り付けられ,前記ホイールホルダーのうちの他方は,第2のホイールを内側から軸支する側壁と,前記側壁に連設されていて前記第2のホイールを外側から軸支するホイールガードと,前記側壁から水平方向に延びて前記箱状体内に進入する挿入板を有していて,前記挿入板には,前記ストッパーの固定ピンを選択的に差し込むための調整孔が複数,その挿入方向に並設されて成る履物装着用ヒールローラー。」「【請求項5】前記一方のホイールホルダーの前記ストッパーは,前記箱状体の上面に形成された凹陥部内において起伏可能に枢支され,また,前記凹陥部に 設されて成る履物装着用ヒールローラー。」「【請求項5】前記一方のホイールホルダーの前記ストッパーは,前記箱状体の上面に形成された凹陥部内において起伏可能に枢支され,また,前記凹陥部に連続して,指先による前記ストッパーの起伏操作を助ける補助凹陥部が形成されている,請求項1乃至4のいずれかに記載の履物装着用ヒールローラー。」「【請求項6】前記ストッパーは,踏圧時に傾くことがないようにするために,両側に突出する翼部を有する十字形状又はT字形状とされている,請求項1乃 至5のいずれかに記載の履物装着用ヒールローラー。」ウ本件実用新案権の請求項5(請求項1を引用するもの)の考案(以下以下以下以下「本件考案本件考案本件考案本件考案1」といといといという。)。)。)。)の構成を分説すると,以下のとおりである。 A ホイールを回転自在に保持する一対のホイールホルダーを備え,B 前記ホイールホルダーのうちの一方は,第1のホイールを内側から軸支する側壁と,前記側壁に連設されていて前記第1のホイールを外側から軸支するホイールガードと,前記側壁から水平方向に延びる箱状体を有していて,前記箱状体の上面に,固定ピンを備えたストッパーが取り付けられ,C 前記ホイールホルダーのうちの他方は,第2のホイールを内側から軸支する側壁と,前記側壁に連設されていて前記第2のホイールを外側から軸支するホイールガードと,前記側壁から水平方向に延びて前記箱状体内に進入する挿入板を有していて,前記挿入板には,前記ストッパーの固定ピンを選択的に差し込むための調整孔が複数,その挿入方向に並設され,D 前記一方のホイールホルダーの前記ストッパーは,前記箱状体の上面に形成された凹陥部内において起伏可能に枢支され,E 固定ピンを選択的に差し込むための調整孔が複数,その挿入方向に並設され,D 前記一方のホイールホルダーの前記ストッパーは,前記箱状体の上面に形成された凹陥部内において起伏可能に枢支され,E また,前記凹陥部に連続して,指先による前記ストッパーの起伏操作を助ける補助凹陥部が形成されている,F 履物装着用ヒールローラー。 エ本件実用新案権の請求項6(請求項1を引用するもの)の考案(以下以下以下以下「本件考案本件考案本件考案本件考案2」というというというという。)。)。)。)の構成を分説すると,以下のとおりである。 A ホイールを回転自在に保持する一対のホイールホルダーを備え,B 前記ホイールホルダーのうちの一方は,第1のホイールを内側から軸支する側壁と,前記側壁に連設されていて前記第1のホイールを外側から軸支するホイールガードと,前記側壁から水平方向に延びる箱状体を 有していて,前記箱状体の上面に,固定ピンを備えたストッパーが取り付けられ,C 前記ホイールホルダーのうちの他方は,第2のホイールを内側から軸支する側壁と,前記側壁に連設されていて前記第2のホイールを外側から軸支するホイールガードと,前記側壁から水平方向に延びて前記箱状体内に進入する挿入板を有していて,前記挿入板には,前記ストッパーの固定ピンを選択的に差し込むための調整孔が複数,その挿入方向に並設され,G 前記ストッパーは,踏圧時に傾くことがないようにするために,両側に突出する翼部を有する十字形状又はT字形状とされている,F 履物装着用ヒールローラー。 (3) 被告による本件実用新案権侵害行為ア被告は,遅くとも平成22年12月から現在に至るまで,業として,別紙被告製品目録記載の商品名「PokeRoller/ポケローラ 着用ヒールローラー。 (3) 被告による本件実用新案権侵害行為ア被告は,遅くとも平成22年12月から現在に至るまで,業として,別紙被告製品目録記載の商品名「PokeRoller/ポケローラー」(品番JK-702)なるヒールローラー(被告製品)を製造販売している。 イ被告製品の構成被告製品の構成は,別紙被告製品目録記載のとおりであり,これを分説すれば以下のとおりである。 a ローラー(1,2)を回転自在に保持する一対の軸支部(3,4)を備え,b 前記軸支部(3,4)のうちの一方は,第1のローラー(1)を内側から軸支する内側板(5)と,前記内側板(5)に連設されていて前記第1のローラー(1)を外側から軸支するローラーガード(6)と,前記内側板(5)から水平方向に延びる箱型ケース(7)を有していて,前記箱型ケース(7)の上面に,係止ピン(9)を備えた固定板(8) が取り付けられ,c 前記軸支部(3,4)のうちの他方は,第2のローラー(2)を内側から軸支する内側板(21)と,前記内側板(21)に連設されていて前記第2のローラー(2)を外側から軸支するローラーガード(22)と,前記内側板(21)から水平方向に延びて前記箱型ケース(7)内に進入する進入板(23)を有していて,前記進入板(23)には,前記固定板(8)の係止ピン(9)を選択的に差し込むための挿入孔(24)が複数,その進入方向に並設され,d 前記一方の軸支部(3)の前記固定板(8)は,前記箱型ケース(7)の上面に形成された窪み(11)内において起伏可能に枢支され,e 前記窪み(11)に連続して,指先による前記固定板(8)の起伏操作を助ける補助窪み(12)が形成され,g 前記固定板(8)は,踏圧時に傾くことがないようにするために,両側に突出 枢支され,e 前記窪み(11)に連続して,指先による前記固定板(8)の起伏操作を助ける補助窪み(12)が形成され,g 前記固定板(8)は,踏圧時に傾くことがないようにするために,両側に突出する突部(13)を有する十字形状又はT字形状とされている,f 履物装着用ヒールローラー。 ウ被告製品は,以下のとおり,本件考案1の構成要件AないしFを充足する。 (ア) 被告製品の構成aにおけるローラー(1,2)及び一対の軸支部(3,4)は,それぞれ構成要件Aのホイール及び一対のホイールホルダーに相当するから,被告製品の構成aは構成要件Aを充足する。 (イ) 被告製品の構成bにおける,軸支部(3,4)のうちの一方は,第1のローラー(1)を内側から軸支する内側板(5)と前記内側板(5)に連設されていて前記第1のローラー(1)を外側から軸支するローラーガード(6)と,前記内側板(5)から水平方向に延びる箱型ケース(7)を有している点は,構成要件Bの「前記ホイールホルダーのうちの一方は,第1のホイールを内側から軸支する側壁と,前記側壁 に連接されていて前記ホイールを内側から軸支するホイールガードと,前記側壁から水平方向に延びる箱状体を有していて」に対応する。また,被告製品の構成bにおける,箱型ケース(7)の上面に係止ピン(9)を備えた固定板が取り付けられている点は,構成要件Bの「前記箱状体の上面に,固定ピンを備えたストッパーが取り付けられ」に対応する。 よって,被告製品の構成bは構成要件Bを充足する。 (ウ) 被告製品の構成cにおける,前記軸支部(3,4)のうちの他方は,第2のローラー(2)を内側から軸支する内側板(21)と,前記内側板(21)に連設されていて前記第2のローラー(2)を外側から軸支するローラーガード(22)と, 前記軸支部(3,4)のうちの他方は,第2のローラー(2)を内側から軸支する内側板(21)と,前記内側板(21)に連設されていて前記第2のローラー(2)を外側から軸支するローラーガード(22)と,前記内側板(21)から水平方向に延びて前記箱型ケース(7)内に進入する進入板(23)を有している点は,構成要件Cの「前記ホイールホルダーのうちの他方は,第2のホイールを内側から軸支する側壁と,前記側壁に連設されていて前記第2のホイールを外側から軸支するホイールガードと,前記側壁から水平方向に延びて前記箱状体内に進入する挿入板を有していて」に対応する。 また,被告製品の構成cにおける,前記進入板(23)には,前記固定板(8)の係止ピン(9)を選択的に差し込むための挿入孔(24)が複数,その進入方向に並設されている点は,構成要件Cの「前記挿入板には,前記ストッパーの固定ピンを選択的に差し込むための調整孔が複数,その挿入方向に並設され」に対応する。よって,被告製品の構成cは構成要件Cを充足する。 (エ) 被告製品の構成d,e,fはそれぞれ,構成要件D,E,Fを充足する。 エ被告製品が本件考案2の構成要件A~C,Fを充足することは,上記ウと同様であり,被告製品の構成gは,構成要件Gを充足する。 オよって,被告の被告製品の製造販売行為は,本件実用新案権を侵害する。 (4) 本件意匠権ア原告は,以下の意匠権(本件意匠権)を有している。 登録番号第1392789号出願日平成21年12月7日登録年月日平成22年6月18日意匠に係る物品履物装着用ヒールローラー登録意匠別紙意匠公報記載のとおり(以下以下以下以下「本件意匠本件意匠本件意匠本件意匠」といとい 平成22年6月18日意匠に係る物品履物装着用ヒールローラー登録意匠別紙意匠公報記載のとおり(以下以下以下以下「本件意匠本件意匠本件意匠本件意匠」といといといという。)。)。)。)イ本件意匠の説明(ア) 意匠部分の位置等本件意匠は部分意匠であって,上記本件考案1,2における,履物装着用ヒールローラーの側壁5(以下,便宜上,本件実用新案権にかかる登録実用新案公報における番号を用いて説明する。)から水平方向に延びる箱状体7と,反対側の側壁21から水平に延びて箱状体7内に進入する挿入板23の構成をその対象とするものである。 (イ) 本件意匠の構成本件意匠の構成は,以下のとおりである。 H 箱状体7は扁平な箱形状で,上面にT字型の凹陥部11が設けられ,また,その凹陥部11に,下膨らみ形状の補助凹陥部12が連設されている。 I 凹陥部11と補助凹陥部12の境部分に,ピン孔10が穿設されている。 J 先端部に十字形部を有していて凹陥部11に収まるストッパー8が,箱状体7の端部に枢支されている。 K ストッパー8は,その先端部にピン孔10に嵌入する固定ピン9を有する。 L 挿入板23は箱状体7内に進入し得るサイズの板状のもので,その進入方向に4つの調整孔24が並設されている。 (5) 被告による意匠権侵害行為ア意匠部分の位置等被告製品の意匠においても,本件意匠と同様,履物装着用ヒールローラーの一部分として,内側板から水平方向に延びる箱型ケースと,反対側の内側板から水平に延びて箱型ケースに進入する進入板が存在する構成部分を有する。 イ被告製品の意匠構成被告製品における,本件意匠の対象とする部分の意匠構成は,次のとおりで ースと,反対側の内側板から水平に延びて箱型ケースに進入する進入板が存在する構成部分を有する。 イ被告製品の意匠構成被告製品における,本件意匠の対象とする部分の意匠構成は,次のとおりである。 h 一方の内側板(5)から水平に延びる箱型ケース(7)は,扁平な箱形状で,上面にT字型の窪み(11)が設けられ,また,その窪み(11)に,下膨らみ形状の補助窪み(12)が連設されている。 i 窪み(11)と補助窪み(12)の境部分に,穿孔(10)が形成されている。 j 先端部に十字形部を有していて窪み(11)に収まる固定板(8)が,箱型ケース(7)の端部に枢支されている。 k 固定板(8)は,その先端部に穿孔(10)に嵌入する係止ピン(9)を有する。 l 他方の内側板(21)から水平に延びる進入板(23)は,箱型ケース(7)内に進入し得るサイズの板状のもので,その進入方向に4つの挿入孔(24)が並設されている。 ウ本件意匠と被告製品の意匠との対比被告製品における箱型ケース(7)は本件意匠の箱状体7と同一形状であり,被告製品における進入板(23)は本件意匠の挿入板23と同一形 状であるので,被告製品の本件意匠対応部分の意匠は,本件意匠と同一であり,少なくとも類似である。 よって,被告の被告製品の製造販売行為は,本件意匠権を侵害するものである。 (6) 廃棄請求の対象被告主張によっても,被告は,被告製品全部を廃棄したものではなく,ローラーは新製品に転用していることを認めているから,被告製品及びその半完成品のみではなく,取外し後のローラーも侵害行為を組成したもの(実用新案法27条2項,意匠法37条2項)として,廃棄を請求することができる。 (7) 原告の損害被告は,平成22年12月 完成品のみではなく,取外し後のローラーも侵害行為を組成したもの(実用新案法27条2項,意匠法37条2項)として,廃棄を請求することができる。 (7) 原告の損害被告は,平成22年12月から平成24年10月までの間被告製品を少なくとも1万5000個製造販売し,1個当たりの単価は2079円であるから,売上合計は3118万5000円になる。被告製品の,諸経費を控除した1個当たりの利益は420円(粗利約20%)と考えられるから,被告製品の製造販売により被告は630万円の利益を上げ,同額の損害を原告に与えた。原告は,被告に対し,損害額の一部として450万円の支払を請求する。 (8) よって,原告は被告に対し,本件実用新案権及び本件意匠権に基づき,被告製品の製造,販売及び販売の申し出の禁止,並びに,廃棄を求めるとともに,本件実用新案権及び本件意匠権の侵害による損害賠償として450万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年4月17日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 3 請求原因に対する認否(1) 請求原因(1)(当事者)は認める。 (2) 請求原因(2)(本件実用新案権)は認める。 (3) 被告製品が本件実用新案権を侵害することは争わない。 被告は,平成23年1月8日,被告製品1万0032ペアを輸入した。その後,被告は,平成23年4月1日頃,全販売先に対し被告製品を回収し一切販売しないよう求める旨の連絡を行い,その了承を得るとともに,被告製品を回収した。 そして,平成23年9月28日,被告は,被告製品9547ペアを廃棄処分した(乙4の「金属屑買取証明書」における「19094」は9547ペアを意味する。)。被告は,その際,新製品に取り付けるための車輪を外し本 成23年9月28日,被告は,被告製品9547ペアを廃棄処分した(乙4の「金属屑買取証明書」における「19094」は9547ペアを意味する。)。被告は,その際,新製品に取り付けるための車輪を外し本体を2つに分解した状態(ヒールローラーの外観はなく,金具の入ったプラスチック)で買取業者に渡した。 被告が販売した被告製品は485ペアにとどまる。 (4) 請求原因(4)(本件意匠権)は認める。 (5) 被告製品が本件意匠権を侵害することは争わない。 (6) 請求原因(6)(廃棄請求の対象)及び(7)(損害)は争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件実用新案権及び本件意匠権の侵害について請求原因(1),(2),(4),(5)は争いがない。 被告製品と本件考案1,2及び本件意匠とを対比すれば,被告製品は,原告の主張するとおり,本件考案1のAないしF,本件考案2の構成要件AないしC,G,Fを充足し,本件意匠と類似する。 したがって,被告による被告製品の販売は,本件実用新案権及び本件意匠権を侵害するものと認められる。 2 損害について(1) 被告製品の販売数量についてア被告製品の輸入被告は,平成23年1月8日,被告製品1万0032ペアを輸入した (乙5ないし7,15(枝番含む。以下同じ))。 被告がこれ以上に被告製品を輸入したり,製造したりした証拠はない。 イ被告製品の販売被告は,代理店に被告製品1000ペアを出荷し,平成23年1月8日から3月30日までの間に,代理店を通じて被告製品485ペアを販売した(乙9,11)。 ウ被告製品の販売中止被告は,平成23年4月1日,代理店に対し電話で被告製品の販売中止及びホームページからの被告製品の写真の削除を求め,被告製品の代理店 5ペアを販売した(乙9,11)。 ウ被告製品の販売中止被告は,平成23年4月1日,代理店に対し電話で被告製品の販売中止及びホームページからの被告製品の写真の削除を求め,被告製品の代理店の在庫515ペアを回収した(乙8ないし10,弁論の全趣旨)。 エ被告新製品の販売被告は,平成23年6月中旬以降,「PokeRollerJK-702」(被告製品)の改良型である「PokeRollerJK-702/1」(以下以下以下以下「被告新製品被告新製品被告新製品被告新製品」というというというという。)。)。)。)を販売している(乙1,12,14,弁論の全趣旨)。 オウェブページにおける被告製品写真の掲載について(ア) 被告の代理店であるミミー有限会社及び有限会社ドリームクリエイションのウェブページには,少なくとも平成24年8月14日時点まで,被告新製品ではなく被告製品の写真が掲載されていた(甲8,16,17)。すなわち,被告製品の反射材には「JDRAZOR」との記載があり(甲15),被告新製品の反射材には「Razor」との記載がある(乙1)ところ,甲8,16,17の写真の反射材には「JDRAZOR」との記載が読み取れる(被告新製品において形状を変更した,固定板(8)や窪み(11)の形状は読み取れない。)。 (イ) ミミー有限会社は平成24年10月7日に,有限会社ドリームクリエイションは遅くとも平成24年10月22日までに,ウェブページ上 の写真を被告新製品のものに差し替えた(乙16ないし18)。 (ウ) 原告は,上記被告製品の写真が掲載されていることをもって,現在も被告製品の販売が継続されていると主張する。 しかし,上記ウ,エの事実及び弁論の全趣旨によれば,上記被告製品の写真が 。 (ウ) 原告は,上記被告製品の写真が掲載されていることをもって,現在も被告製品の販売が継続されていると主張する。 しかし,上記ウ,エの事実及び弁論の全趣旨によれば,上記被告製品の写真が掲載されていた間も,実際に被告がミミー有限会社及び有限会社ドリームクリエイションを通じて販売していたのは,被告新製品であったと認めるのが相当である。 被告が上記イの数量を超えて被告製品を販売したことを認めるに足りる証拠はない。 (エ) 原告は,仮に実際に販売しているのが被告新製品であろうと,被告製品が譲渡のために展示されている事実が存するのであるから,これによる被告の利益は原告の損害と推定されるべきであると主張する。 しかし,実用新案法2条3項,意匠法2条3項で「実施」とされる「譲渡のための展示」とは,侵害物品の譲渡に向けられた展示をいい,侵害物品の譲渡に向けられていない展示はこれに当たらない。 上記(ア)ないし(ウ)によれば,平成24年10月までの被告の代理店のウェブページには被告製品の写真が掲載(展示)されていたが,実際に販売されていたのは被告製品ではなく被告新製品だったのであるから,被告製品の展示は被告製品の販売に向けられたものではなく,実用新案法2条3項,意匠法2条3項にいう「譲渡のための展示」に当たらないと解するのが相当である。 カ被告製品の廃棄について(ア) 被告は,上記アの1万0032ペアから上記イの485ペアを除いた9547ペアの被告製品については,ローラーを外し,本体を2つに分解した状態(ヒールローラーの外観はなく,金具の入ったプラスチック)で買取業者に渡して廃棄処分したと主張する。 乙4は,有限会社福商リサイクルの作成した平成23年9月28日付けの金属屑買取証明書であり,「プラスチッ はなく,金具の入ったプラスチック)で買取業者に渡して廃棄処分したと主張する。 乙4は,有限会社福商リサイクルの作成した平成23年9月28日付けの金属屑買取証明書であり,「プラスチック 19094(690kg)」との記載がある。被告は,この「19094」とは,被告製品19094個(9547ペア)を意味すると主張する。 (イ) しかし,乙4には,以下のとおりの疑問点がある。 乙4には,他に「パワースケートMS-180」「キャスター(スプリング付)」との製品番号や品名についての記載があるのに,「プラスチック 19094(690kg)」については,製品番号も品名も記載がなく,これを被告製品(PokeRollerJK-702)についてのものと認め得る根拠は,被告が主張する個数及び重さの点のみである。 しかし,被告製品は,ローラーを外した単体(片足分)で121gである(弁論の全趣旨・原告第2準備書面3頁)から,9547ペアで約2310kgになるはずであるところ,乙4に「690kg」とあるのも不可解である。19094個で690kgであれば,1個当たり約36gにしかならない。 さらに,被告の主張によっても,買取業者に渡した被告製品にはプラスチック製の部品のほか,プラスチックでないベルト2本,金具であるストッパー(固定板),ホイールホルダーなどが含まれていたはずであるのに,「プラスチック」とのみ記載されているのも不可解である。 (ウ) 以上のような疑問点が存することを考慮すれば,乙4によっては,被告が被告製品9547ペアを廃棄したと認めるには足りない。 しかし,原告から被告が自認する販売量以上の販売をうかがわせるだけの証拠も提出されていないことに照らせば,前記アのとおり被告が1万0032ペアを輸入したからと を廃棄したと認めるには足りない。 しかし,原告から被告が自認する販売量以上の販売をうかがわせるだけの証拠も提出されていないことに照らせば,前記アのとおり被告が1万0032ペアを輸入したからといって,9547ペアについても販売したと認めるに足りる証拠もないといわざるを得ない。 (エ) なお,原告は,被告製品から取り外したローラーは「侵害の行為を組成した物」(実用新案法27条2項,意匠法37条2項)であり,廃棄の対象となると主張する。 しかし,実用新案法27条2項,意匠法37条2項にいう「侵害の行為を組成した物」とは,侵害行為の必然的内容をなす物,すなわち,それなしには侵害行為が成立し得ない物をいうと解するのが相当である。 被告製品に用いられていたローラーであっても,被告製品から取り外された後は,侵害行為の必然的内容をなすものとはいえず,被告製品に用いられていたローラーを実用新案法27条2項,意匠法37条2項にいう「侵害の行為を組成した物」として廃棄を求めることはできない。 キ以上によれば,被告が被告製品485ペアを販売したことは認められるが,それ以上の数量を販売したと認めるに足りる証拠はない。 (2) 被告製品の販売により被告の得た利益について被告製品1個当たりの利益は420円を下らないと認めるのが相当である(弁論の全趣旨)から,被告製品485ペアの販売により被告が得た利益は20万3700円であり,実用新案法29条2項又は意匠法39条2項により,同額が原告の損害と推定される。 3 差止め・廃棄の必要性について上記2(1)ウのとおり,被告は既に被告製品の販売を中止していることが認められるが,同カのとおり,被告が被告製品をすべて廃棄したと認めるに足りる証拠はなく,そうすると被告が被告製品を販売するお て上記2(1)ウのとおり,被告は既に被告製品の販売を中止していることが認められるが,同カのとおり,被告が被告製品をすべて廃棄したと認めるに足りる証拠はなく,そうすると被告が被告製品を販売するおそれはいまだ残っているといわざるを得ないから,原告は,被告製品の製造,販売等の差止めを求めることができる。 また,被告製品をすべて廃棄したとは認められない以上,原告は,実用新案法27条2項又は意匠法37条2項に基づき,本件実用新案権・本件意匠権侵害の予防のため,被告製品及びその半完成品(「半完成品」という語では差止 めの対象が不明確であるから,「別紙被告製品目録記載の構造を具備しているが製品として完成するに至らないもの」と定義した上で認める。)の廃棄を求めることができる。 4 以上によれば,原告の請求は,(1) 被告製品の製造,譲渡,貸渡し,譲渡若しくは貸し渡しのための展示の差止め(2) 被告製品及びその半完成品の廃棄(3) 被告の得た利益により推定された損害20万3700円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年4月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官大須賀滋 裁判官西村康夫 裁判官森川さつき さつき

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