令和4(ワ)11025等 特許権侵害差止等請求本訴事件、不当利得返還請求反訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年10月21日 大阪地方裁判所
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判決文本文27,412 文字)

令和6年10月21日判決言渡同日原本受領裁判所書記官令和4年(ワ)第11025号特許権侵害差止等請求本訴事件令和5年(ワ)第4348号不当利得返還請求反訴事件口頭弁論終結の日令和6年8月23日判決 本訴原告兼反訴被告株式会社エコプロ (以下「原告」という。) 同代表者代表取締役P1 同訴訟代理人弁護士辻本希世士 辻本良知 同補佐人弁理士 丸山英之 本訴被告兼反訴原告株式会社ウィズユークラブ (以下「被告」という。) 同代表者代表取締役P2 同訴訟代理人弁護士岡田晃朝 主文 1 原告の請求を、いずれも棄却する。 2 被告の請求を、いずれも棄却する。 3 訴訟費用は、本訴反訴を通じ、各自の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求【本訴請求】 1 被告は、別紙1の1被告製品目録記載1ないし10の物件を製造し、販売し、又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は、別紙1の1被告製品目録記載1ないし10の物件を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、6820万円及びこれに対する令和4年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 【反訴請求】 1 原告は、被告に対し、350万9924円及びこれに対する令和5年5月16日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 原告は、被告に対し、90万2861円及びこれに対する令和5年5月16日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 年5月16日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 原告は、被告に対し、90万2861円及びこれに対する令和5年5月16日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本判決における略語は、本文中に定義するもののほか、以下のとおりである。 (1) 本件特許別紙2「特許権目録」記載の特許(特許第4796334号)(2) 本件特許権本件特許に係る特許権(3) 本件発明本件特許に係る発明。なお、本件特許の請求項の項番に従い 「本件発明1」「本件発明2」「本件発明3」「本件発明4」といい、「本件発明」というときは、これらの総称を意味する。 (4) 本件明細書本件特許の 「明細書及び図面」であり、その記載は、別紙 3 「特許公報」(以下、同特許公報の項番は、単に 【●●●●】と、【】付の番号で特定する。)のとおりである。 (5) 被告製品別紙1の1「被告製品目録」記載の製品の総称 2 訴訟物(1) 本訴請求ア原告の、被告に対する、本件特許権侵害を理由とする特許法100条1項及び2項に基づく差止め及び侵害予防行為としての廃棄請求権イ原告の、被告に対する、被告が平成24年頃から被告製品を製造販売し - 3 -たことによる本件特許権侵害を理由とする民法709条に基づく6000万円の損害賠償請求権ウ原告の、被告に対する、平成24年頃から、被告が原告に無断で原告の商号を冒用した会社法8条1項違反、被告製品に原告の商号を付すことで、被告製品が原告の製造販売に係るものであるかのように表示した品質等誤認惹起行為 (不正競争防止法2条1項20号)、被告製品に 「特許取得済」との表示を用いた品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号) 原告の製造販売に係るものであるかのように表示した品質等誤認惹起行為 (不正競争防止法2条1項20号)、被告製品に 「特許取得済」との表示を用いた品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号)の各行為を理由とする6200万円(内6000万円について営業損害として、上記イと選択的併合。内200万円について、無形損害として)の損害賠償請求権エイ及びウによる損害賠償額の6200万円に対する弁護士費用として620万円の民法709条に基づく損害賠償請求権オエの元本合計6200万円に対する、不法行為の日の後の日である令和4年12月21日から支払済みまで民法(不法行為日が令和2年4月1日より前の日であるとして、平成29年法律第44号附則17条3項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同法による改正前の民法。以下、本訴請求に係る法定利率及び後記する反訴で主張される時効期間について同じであり、改正前の法律を 「改正前商法」、「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の附帯請求(2) 反訴請求ア被告の、原告に対する、被告が平成23年6月から令和4年6月までの間、原告の三井住友銀行からの借入金のうち、合計350万9924円を第三者弁済したことを前提とする、同額の民法650条1項に基づく委任事務処理費用償還請求権又は民法702条1項に基づく事務管理費用償還請求権若しくは民法703条に基づく不当利得返還請求権イ被告の、原告に対する、被告代表者が、本件特許権の登録費用90万2 - 4 -861円を原告に代わって支払い、よって、原告が法律上の原因なく同額の利得を得たことによる民法703条に基づく不当利得返還請求権(債権譲渡により被告代表者から被告に移転)ウア及びイの各元本に対する、履行請求 に代わって支払い、よって、原告が法律上の原因なく同額の利得を得たことによる民法703条に基づく不当利得返還請求権(債権譲渡により被告代表者から被告に移転)ウア及びイの各元本に対する、履行請求日である令和5年5月16日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の附帯請求 3 前提事実(争いのない事実、掲記の証拠(枝番含む。以下同じ)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者ア原告は、産業廃棄物関連事業並びに健康器具や健康機器及び環境衛生に関する機器の製造販売等を業とする株式会社である。P1は、原告の代表取締役である。(乙5)イ被告は、健康食品の販売及びアイデア製品の企画販売等を業とする株式会社であり、P2が、代表取締役に就任している(乙8)。 (2) 原告の特許権原告は、本件特許権を有している (甲1)。また、本件明細書の記載は別紙3のとおりである(甲2)。 (3) 被告製品について被告製品のうち、別紙1の1記載10のものは、存在に争いがあるが、存在すると認めるに足りる証拠がない。 また、その余の被告製品は、構造の共通性から、同記載1ないし7のものと同記載8及び9のものとに区別される (以下、前者を 「被告製品α」と、後者を「被告製品β」といい、これらをまとめて「販売被告製品」という。なお、構造の相違点に起因する販売被告製品の構成に関する当事者の主張は後記する。)。 被告は、遅くとも平成24年頃から、現在までに製造を中止したものも含 - 5 -め、被告製品α及びβを製造販売し、又は、販促目的で製造配布するなどしている(弁論の全趣旨)。 (4) 構成要件の分説、販売被告製品の構成及び構成要件充足性本件特許の請求の範囲及びその分説は、別紙4の1及び 及びβを製造販売し、又は、販促目的で製造配布するなどしている(弁論の全趣旨)。 (4) 構成要件の分説、販売被告製品の構成及び構成要件充足性本件特許の請求の範囲及びその分説は、別紙4の1及び4の2の 「請求項」欄記載のとおりである。販売被告製品の構成のうち、当事者間で争いがないものは、別紙4の1及び4の2の 「争いの有無及び当事者の主張」において、「◯」と記載されているものである。また、販売被告製品の構成のうち、本件発明の構成要件を充足することに争いがない部分は、別紙5の1及び5の2の「被告の主張」欄に「〇」と記載されているものである。 (5) 原告は、平成17年頃、三井住友銀行から弁済期間を7年とする事業ローンを借り入れており (以下 「本件借入金」という。)、平成18年8月31日時点における借入額は738万円であった。 (6) 被告は、令和4年7月20日頃までの間、被告事務所の表札及び郵便受けに被告の商号とともに、原告の商号を表記していた。なお、現在は、原告の商号は表示されていない。(甲13ないし15、乙17)(7) 被告は、別紙1の1記載1ないし5の製品を販売する際、総発売元として原告の商号を記載し、「特許取得済」との記載をしていた (甲3ないし7、16、17)。なお、現在は、原告の商号及び 「特許取得済」との記載はない。 (8) 被告は、令和5年5月15日(反訴状が送達された日)、P2が、被告に対し、反訴請求中、P2の原告に対する、P2が支払った本件特許の登録に関する費用に相当する90万2861円分の不当利得返還請求権を譲渡したと主張した(当裁判所に顕著)。 (9) 被告は、令和5年11月28日、本件特許権に関する取得時効を援用するとの意思表示をした。また、原告は、後記第3の12 【原告の主張】に係る消滅時効を援 したと主張した(当裁判所に顕著)。 (9) 被告は、令和5年11月28日、本件特許権に関する取得時効を援用するとの意思表示をした。また、原告は、後記第3の12 【原告の主張】に係る消滅時効を援用するとの意思表示をした。(当裁判所に顕著) 4 争点 - 6 -〔本訴請求に関する主張〕(1) 被告製品の構成(争点A1)(2) 文言侵害が成立するか(争点A2)(3) 均等侵害が成立するか(争点A3)(4) 原告の損害(特許権侵害分)(争点A4)(5) 差止め及び廃棄の必要性(争点A5)(6) 被告が本件特許権を時効により取得したか(争点A6)(7) 被告が不正の目的をもって原告の商号を表記したか(争点A7)(8) 被告製品に原告の商号を付したことが品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号)に該当するか(争点A8)(9) 被告製品に「特許取得済」との表示をしたことが品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号)に該当するか(争点A9)(10) 原告の損害(会社法違反及び不正競争防止法分)(争点A10)〔反訴請求に関する主張〕(1) 原告が、被告に対し、本件借入金について被告が第三者弁済することを委託したか並びに同第三者弁済について事務管理に基づく費用償還又は不当利得返還請求ができるか(争点B1)(2) P2による本件特許権の登録費用等の支払があったか及び同支払について不当利得返還請求ができるか(争点B2)(3) P2から被告への債権譲渡につき対抗要件を備えたか(争点B3)(4) (1)(2)の各請求権につき消滅時効が成立するか(争点B4)(5) 消滅時効を援用することが権利の濫用に該当し、許されないか (争点B5)第3 争点についての当事者の主張 1 本訴請求のうち、 1)(2)の各請求権につき消滅時効が成立するか(争点B4)(5) 消滅時効を援用することが権利の濫用に該当し、許されないか (争点B5)第3 争点についての当事者の主張 1 本訴請求のうち、特許権侵害 (争点A1からA3)に関する当事者の主張は、別紙4の1ないし別紙6に各記載のとおりである。 2 争点A4(原告の損害(特許権侵害分))について - 7 -【原告の主張】(1) 特許法102条3項に基づき推定される損害額6000万円被告は、平成24年頃に被告製品を販売し始めてから現在に至るまでの間、1枚当たり約1000円で少なくとも60万枚を販売した。被告製品に対する実施料率は10%を下回らない。 よって、原告は、被告の特許権侵害により、少なくとも6000万円 (=1000円/枚×60万枚×10%)の損害を被った。 なお、本件特許権侵害に基づく請求と後記8(1)の会社法違反及び不正競争行為に基づく本件特許権の実施料相当額の請求は選択的な関係に立つものであり、いずれかのうち、最も高額なものが採用されるべきである。 (2) 弁護士費用 600万円被告に対し、上記損害額の賠償を求めるために必要かつ相当な弁護士費用は、上記のとおりである。 (3) 合計 6600万円【被告の主張】争う。 3 争点A5(差止め及び廃棄の必要性)について【原告の主張】被告は、現在も被告製品を製造・販売しており、被告製品が本件訴訟において本件特許権を侵害していることを争うなどしていることも考慮すれば、本件特許権侵害の予防のため、被告製品の製造等の行為の差止め及び廃棄を求める必要がある。 【被告の主張】争う。 4 争点A6(被告が本件特許権を時効により 争うなどしていることも考慮すれば、本件特許権侵害の予防のため、被告製品の製造等の行為の差止め及び廃棄を求める必要がある。 【被告の主張】争う。 4 争点A6(被告が本件特許権を時効により取得したか)について【被告の主張】 - 8 -被告は、遅くとも平成23年9月末日には、原告が事実上廃業したことから、本件特許を使用したダニ捕りマットの製造販売事業を含む事業を譲り受け、これに伴い、本件特許権も譲り受けたものと信じていた。その後、被告は、原告から何ら異議を述べられることなく販売被告製品を製造販売し、特許更新費用を支払い続けたことで、令和2年10月1日まで、善意かつ無過失の状態で、平穏公然と本件特許権を準占有していた。 よって、被告は、本件特許権を時効により取得した。 【原告の主張】原告と被告の間で、本件特許権を含むダニ捕りマット事業の移転について話し合われたことはなく、本件特許権を譲渡するような話をしたこともない。また、特許権移転の効力要件は移転登録であるところ、その登録名義が原告のまま、被告が本件特許権を取得したと信じることはあり得ない。 原告は、被告が販売被告製品を製造販売していたことを知っていたが、本件借入金を含む多額の事業資金の返済に奔走しており、そのような中で被告に対し、異議を述べることができなかったに過ぎない。 5 争点A7(被告が不正の目的をもって原告の商号を表記したか)について【原告の主張】被告は、原告がその表示を止めるよう警告するまで、原告に無断で、被告本店所在地の表札や郵便受けに原告の商号を表記していた。被告は、この間、原告の商号の信用力や原告名義の本件特許権の存在にただ乗りし、営業上の利益を得ようとしていたものであるから、原告の商号を表記していた行為は、不正の目的をも 原告の商号を表記していた。被告は、この間、原告の商号の信用力や原告名義の本件特許権の存在にただ乗りし、営業上の利益を得ようとしていたものであるから、原告の商号を表記していた行為は、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用するものであり、会社法8条1項に違反する。 【被告の主張】否認し争う。 会社法8条1項の「不正の目的」とは、不正な活動を行う積極的な意思をい - 9 -うところ、原告と被告の会社の目的は明らかに異なっており、被告には、誤認惹起をさせる目的がない。また、P1は、原告が事実上廃業した後、被告に対し、自動車保険や自動車のリース契約名義等の関係で原告の名義を継続して使用したいから、被告本店所在地宛に郵便物が届くようにするため、被告本店所在地に原告の商号を掲示してほしいと依頼した。原告が被告に対し警告するまで原告の商号を表記していたのは、単にこのような状態が放置されていたからに過ぎず、被告には不正の目的はない。 6 争点A8(被告製品に原告の商号を付したことが品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号)に該当するか)について【原告の主張】被告は、原告が製造販売しているものではないにもかかわらず、被告製品を製造販売する際、同商品に原告の商号を表記することで、原告の商号の信用力や原告名義の本件特許権の存在にただ乗りし、営業上の利益を得ていた。かかる行為は、不正競争防止法2条1項20号が定める品質等誤認惹起行為に該当する。 【被告の主張】否認し争う。 原告の商号は、会社名に過ぎず、品質等誤認惹起行為の対象となる「商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について」の表示ではない。商号や商品名自体の利 号は、会社名に過ぎず、品質等誤認惹起行為の対象となる「商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について」の表示ではない。商号や商品名自体の利用は、不正競争防止法2条1項2号の著名表示冒用行為として別途規制されており、商号の使用を同項20号の品質等誤認惹起行為とすることはできない。 また、原告は、平成25年から2年間、被告の下請として販売被告製品を製造していたが、そのときも、同製品に原告の商号が付されていたにもかかわらず一度も異議を述べていない。そうすると、原告は、販売被告製品に商号を付すことを承諾していたものであり、不正競争に該当することはあり得ない。 - 10 -加えて、原告は、ダニ捕りマット事業を行っておらず、ダニ捕りマットの製造販売について被告と競争関係にない。 7 争点A9(被告製品に「特許取得済」との表示をしたことが品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号)に該当するか)について【原告の主張】被告は、原告が当該表示を止めるよう警告するまで、被告製品を製造販売等するにあたり、本件特許の特許権者でないにもかかわらず「特許取得済」等の表示を用いていた。この間の表示行為は、商品の品質、内容について誤認させるような表示をし、その表示をした商品を譲渡し若しくは電気通信回路を通じて提供したものであるから、品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号)に該当する。 【被告の主張】「特許取得済」との記載は、一般消費者との関係で損害が発生することはあり得ても、それは、不当景品類及び不当表示防止法の問題であり、原告との関係で不正競争行為となるものではない。 販売被告製品は、本件特許権を侵害していないから、「特許取得済」との表示があったとしても 得ても、それは、不当景品類及び不当表示防止法の問題であり、原告との関係で不正競争行為となるものではない。 販売被告製品は、本件特許権を侵害していないから、「特許取得済」との表示があったとしても、原告の信用を利用し、原告の権利を侵害するものではない。 また、原告は、ダニ捕りマット事業を行っておらず、ダニ捕りマットの製造販売について被告と競争関係にない。 8 争点A10(原告の損害(会社法違反及び不正競争防止法分))について【原告の主張】(1) 本件特許権の実施料相当額 6000万円被告は、原告の商号や 「特許取得済」の表示を用いることで、本件特許権の存在にただ乗りし、営業上の利益を得ていた。よって、不正競争防止法5条3項を類推適用し、本件特許権の実施料相当額の損害が生じたものとして、 - 11 -当該金額を請求することができるものというべきである。 前記2(1)のとおり、被告が支払うべき本件特許権の実施料相当額は6000万円であるから、被告の会社法違反及び不正競争行為によって、原告は同額の損害を被った。 なお、会社法違反及び不正競争行為に基づく本件特許権の実施料相当額の請求と前記2(1)の本件特許権侵害に基づく損害は選択的な関係に立つものであり、いずれかのうち、最も高額なものが採用されるべきである。 (2) 無形損害 200万円被告の会社法違反及び不正競争行為により、原告には、無形の損害が発生し、その金額は200万円とすることが相当である。 (3) 弁護士費用 620万円被告に対し、上記(1)及び(2)の合計額である6200万円の損害の賠償を求めるために必要かつ相当な弁護士費用は上記のとおりである。 (4) 合計 620万円被告に対し、上記(1)及び(2)の合計額である6200万円の損害の賠償を求めるために必要かつ相当な弁護士費用は上記のとおりである。 (4) 合計 6820万円【被告の主張】争う。なお、品質等誤認惹起行為に対し、不正競争防止法5条3項が類推適用される余地はない。 9 争点B1(原告が、被告に対し、本件借入金について被告が第三者弁済することを委託したか並びに同第三者弁済についての事務管理に基づく費用償還又は不当利得返還請求ができるか)について【被告の主張】原告は、平成23年6月頃、原告を事実上休眠させた際、本件借入金を含む事業資金の返済に窮していたことから、被告に対し、被告が本件借入金を第三者弁済することを依頼し、被告はこれを引き受けた。 被告は、このような原告の依頼に基づき、別紙7の2記載のとおり、平成23年6月から令和4年6月まで、三井住友銀行に対し、本件借入金の弁済とし - 12 -て、合計350万9924円を支払った。 よって、被告は、原告に対し、民法650条1項に基づき、同額の委任事務処理費用償還請求権を有する。 仮に、準委任契約の成立が認められなかったとしても、この第三者弁済は原告の意思に反しないものであるから、事務管理に該当するので、被告は、原告に対し、同額の事務管理費用償還請求権を有する。さらに、事務管理も認められない場合であったとしても、被告の第三者弁済により、原告は、同弁済額相当額の支払を免れ、利得を得ており、かかる利得に法律上の原因がないから、被告は、原告に対し、同額の不当利得返還請求権を有する。 【原告の主張】争う。 被告は、平成23年6月頃、三井住友銀行との間で、P2が原告の事業を実質的に取り仕切っていたことから、本件 、被告は、原告に対し、同額の不当利得返還請求権を有する。 【原告の主張】争う。 被告は、平成23年6月頃、三井住友銀行との間で、P2が原告の事業を実質的に取り仕切っていたことから、本件借入金についても責任を取るべきであるとして、以後、P2が被告を通じて本件借入金を支払い、その債務を引き受けることを申し出て、P1及び三井住友銀行ともその内容で協議が成立した。 本件借入金は、被告のみが利益を得ているダニ捕りマット事業のために借り入れたものであり、その利益帰属との対応関係に鑑みても、P2が弁済することは合理的なものであった。 よって、被告による第三者弁済は、原告からの委託に基づくものではなく、被告の申し出によりなされたものであるから、準委任契約自体が存在しない。 また、被告は、自分の事務として第三者弁済を行ったのであるから事務管理も成立しないし、上記引受けの申し出に基づくものであるから、法律上の原因があるので不当利得も成立しない。 10 争点B2(P2による本件特許権の登録費用等の支払があったか及び同支払について不当利得返還請求ができるか)について【被告の主張】 - 13 -P2は、別紙7の1記載のとおり、本件特許権の登録費用として合計90万2861円を支払った。本件特許権の特許権者は原告であるから、これらの費用は原告が負担すべきであり、P2が負担すべき理由はない。 よって、P2は原告に対し、同額の不当利得返還請求権を有する。 【原告の主張】否認し争う。 P2は、本件特許の出願に際し、事務手続を担当していた。しかし、少なくとも、被告が設立された平成20年11月17日までの間は、原告の計算で本件特許権に関する費用が支弁されていた。原告が金融機関から事業資金を借り入れていたのは、このような費用を支 いた。しかし、少なくとも、被告が設立された平成20年11月17日までの間は、原告の計算で本件特許権に関する費用が支弁されていた。原告が金融機関から事業資金を借り入れていたのは、このような費用を支弁するためでもあった。そうすると、少なくとも同日までの費用は、P2が支払ったものとは認められない。 また、別紙7の1記載の費用には、本件特許権の維持管理費用のほか、弁理士への手数料や見解書作成費用が含まれている。しかし、本件特許権の維持管理のために弁理士に依頼する必要はないし、見解書作成費用は、本件特許権を維持管理するための費用ですらない。 加えて、被告は、被告製品の製造販売が本件特許権の実施に該当し得るものとして、これを製造販売し、その利益を全て得ていたものであり、損失がない。 よって、本件特許権の登録費用等相当額の不当利得返還請求権は成立しない。 11 争点B3(P2から被告への債権譲渡につき対抗要件を備えたか)について【原告の主張】P2は、原告に対し、被告に本件特許権の登録費用等相当額の不当利得返還請求権を譲渡したと通知していないし、原告はかかる債権譲渡を承諾していない。 よって、原告は、被告が債務者対抗要件を具備するまで、被告を債権者と認めない。 【被告の主張】 - 14 -P2の被告に対する債権譲渡は、反訴状により通知した。 12 争点B4(争点B1及び争点B2記載の各請求権につき消滅時効が成立するか)について【原告の主張】被告は、平成23年6月から第三者弁済をしていたが、本件反訴請求に至るまで、原告に対し、何ら、求償権を行使しなかった。本件特許権の登録費用についても同様である。 よって、被告の反訴請求に係る各債権のうち、① 委任事務処理費用償還請求権については、改正前商法522条に 、原告に対し、何ら、求償権を行使しなかった。本件特許権の登録費用についても同様である。 よって、被告の反訴請求に係る各債権のうち、① 委任事務処理費用償還請求権については、改正前商法522条に基づき、平成30年5月10日(裁判上の請求をした日の前日である令和5年5月10日の5年前の応当日)までに発生したものについて、② その余の請求権については、改正前民法167条1項に基づき、平成25年5月10日(裁判上の請求をした日の前日の10年前の応当日)までに発生したものについて、いずれも、消滅時効が完成しており、原告は、これらの消滅時効を援用する。 【被告の主張】争う。 13 争点B5(消滅時効を援用することが権利の濫用に該当し、許されないか)について【被告の主張】原告は、本店所在地において事業を行わなくなった後も、なお、登記上、本店所在地を移転させておらず、被告が時効を中断させるために手続を取ろうとしてもこれを著しく困難にしていた。 このような原告が消滅時効を援用することは、権利の濫用に該当し、許されない。 【原告の主張】争う。 - 15 -第4 当裁判所の判断 1 当裁判所は、本訴請求及び反訴請求はいずれも理由がないものと判断するが、以下、判断の便宜上、特許権侵害に関する争点A2(文言侵害が成立するか)及びA3(均等侵害が成立するか)について先に判断した後に、その余の本訴請求及び反訴請求に関する事実認定を行った上で、争点について必要な判断を行う。 2 争点A2(文言侵害が成立するか)について(1) 販売被告製品に存する、ダニ誘引剤を挟んだ2枚のガーゼや不織布が、「誘引剤袋」であって、構成要件A-3の「ダニ用食餌入りの多孔質通気性袋」に該当するかについて検討する。 (2) 「袋」の辞書的 ) 販売被告製品に存する、ダニ誘引剤を挟んだ2枚のガーゼや不織布が、「誘引剤袋」であって、構成要件A-3の「ダニ用食餌入りの多孔質通気性袋」に該当するかについて検討する。 (2) 「袋」の辞書的意義「袋」の字義を検討すると、「袋」とは、物を入れるもの、布・紙・革などの柔らかい素材で作り、口を閉じられるようにしたものを意味する(甲36、乙31)。すなわち、必ずしも開口部のない密閉構造である必要まではないものの、内包物を保持する際には容易に口を閉じ、拡散を防止することができることが求められるものと解される。 (3) 本件明細書の記載【発明が解決しようとする課題】【0006】本発明は、上述の情況に鑑み、ダニ誘引物質で誘引したダニを粘着剤によって捉えて死滅させるダニ捕獲マットとして、強力な誘引作用及び捕捉作用を有し、大きな捕獲能力を発揮できるものを提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】【0007】ダニ捕獲マットは、(中略)ダニ誘引香料を含浸した織物シート1と、両面粘着テープ2と、ダニ用食餌3入りの多孔質通気性袋4と、多孔質通気性 - 16 -カバー5とで構成され、(中略)、前記多孔質通気性袋4は、その少なくとも一部が前記織物シート1と前記両面粘着テープ2との間に位置して、残部が該両面粘着テープ2の外面側に位置するように配置され、これら織物シート1及び両面粘着テープ2と多孔質通気性袋4の被着一体化物の全体が前記多孔質通気性カバー5にて被覆されてなるものとしている。 【0010】請求項1の発明に係るダニ捕獲マットによれば、織物シートに含浸されたダニ誘引香料により、マット配置部から離れた広範囲の領域から多数のダニを誘引して集めることができると共に、ダニ食餌入りの多孔質通気性袋が両 の発明に係るダニ捕獲マットによれば、織物シートに含浸されたダニ誘引香料により、マット配置部から離れた広範囲の領域から多数のダニを誘引して集めることができると共に、ダニ食餌入りの多孔質通気性袋が両面粘着テープの表裏両側に配置するから、マットに集まった多数のダニを該多孔質通気性袋のダニ食餌によって更に表裏両側から多孔質通気性カバーの内側へ誘い込み、両面粘着テープ2の粘着層に触れさせて捕捉することができる上、その粘着層が混ぜ物のない粘着剤成分のみからなって強い粘着力を発揮できるから、接触したダニを逃さずに確実に捕獲拘束して死滅させることができ、もって大きな捕獲能力による極めて高い防ダニ効果が得られる。 【0020】(略)多孔質通気性袋4の千鳥状配置により、1袋のみで両面粘着テープ2の表裏両側に配置できるから、構成材料の数が少なくて済み、それだけマット製作が容易になる。 (4) 検討上記本件明細書の記載によると、本件発明は、大きなダニ捕獲能力を発揮することを目的として、その手段は、ダニ誘引物質を含浸させた織物シートからダニ誘引物質を拡散させることで広い範囲のダニを誘引した上で、マットの内部にダニ捕獲用の粘着テープと、これに対して千鳥状に被着させたダニ用食餌を入れた多孔質通気性袋を配することで、ダニ誘引物質で誘引されたダニを、マットの表裏両面からさらに内部に侵入させ、粘着テープに触れ - 17 -させ、そこで捕捉するようにするというものである。 そして、ダニを誘引させる物質として、「香料」を織物シートに含侵させた上、「食餌」入りの多孔質通気性袋を配置させる位置を両面粘着テープの表裏両面に配置させることにより、多孔質通気性カバーの内側に誘い込み、混ぜ物のない粘着層に触れさせて補足させる構成をとるものであるから、本件発 入りの多孔質通気性袋を配置させる位置を両面粘着テープの表裏両面に配置させることにより、多孔質通気性カバーの内側に誘い込み、混ぜ物のない粘着層に触れさせて補足させる構成をとるものであるから、本件発明において 「多孔質通気性袋」は、食餌が同位置にとどまり、粘着層の粘着力を低減させない機能を備えるべきことが想定されているといえる。加えて、多孔質通気性袋の構造上、一袋でこれらが実現でき、構成材料の数も減らすことができるようになっている。 以上を踏まえると、構成要件A-3にいう「多孔質通気性袋」とは、辞書的にも、本件明細書の記載からも、少なくとも内包物を内部で保持し、拡散を防止することができる構造を有することが必要であると解することが相当である。一方、販売被告製品では、ダニ誘引物質が2枚の不織布シートやガーゼ等で重ねて挟み込まれているのみであり、その周囲からダニ誘引物質が零れ落ちるようなものであるから、誘引物質を内部で保持することができる構造であるとは認められない。 この点、原告は、本件発明における 「袋」の意義について、ダニ食餌を入れることができ、かつ、一つの袋のみで粘着テープの表裏両面に配置することができればよく、口を閉塞している必要はないから、被告製品も、多孔質通気性袋を有すると主張するが、上記説示に照らし、採用できない。 (5) よって、販売被告製品は、構成要件A-3を充足せず、同構成要件を充足することを前提とする構成要件C、D、F及びGも充足しない。 3 争点A3(均等侵害が成立するか)について上記2のとおり、本件発明は、ダニ食餌を零れ落ちさせることなく保持することができる「多孔質通気性袋」に収納することで、粘着テープの高い粘着力を実現するとともに、構成材料の数を減らすことを実現しており、そのために - 18 - 餌を零れ落ちさせることなく保持することができる「多孔質通気性袋」に収納することで、粘着テープの高い粘着力を実現するとともに、構成材料の数を減らすことを実現しており、そのために - 18 -袋構造を有することが本質的要素となっているものと認められる。 そうすると、多孔質通気性袋に代わり、挟み込んだ物が零れ落ち得る2枚の不織布やガーゼでダニ誘引物質を挟み込む構造を有している販売被告製品は、本件発明の非本質的部分で相違点があるに過ぎないとはいえないし、これらを置換したときの作用効果が同一であるともいえない。 よって、第1要件(非本質的部分)及び第2要件(置換可能性)がいずれも認められないことから、均等侵害は成立しない。 4 小括(特許権侵害について)(1) 以上の次第であり、被告製品は、本件特許の技術的範囲に属しないので、原告の本件特許権侵害に関する主張(争点A1ないしA6)は、その余の争点について判断するまでもなく理由がない。 (2) なお、被告は、原告の均等侵害の主張について、時機に後れた攻撃防御方法として却下することを求めているが、その審理のために訴訟が遅延するものとは認められないから、採用しない。 5 認定事実(会社法違反、不正競争防止法違反及び反訴請求関係)証拠(甲48、乙32)及び掲記の証拠並びに弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められ、これに反する証拠は採用できない。 (1) 原告は、平成14年9月26日、設立された。このとき、P1は、子供のころからの知己であるP2から、P2及びP3が役員に就任していた石油リサイクル事業等を目的とする株式会社ギケンが破産する可能性があること、その事業を存続させる必要があることから、新会社として原告を設立し、P1が原告の代表者に就任することを依頼された。P1は、かかる サイクル事業等を目的とする株式会社ギケンが破産する可能性があること、その事業を存続させる必要があることから、新会社として原告を設立し、P1が原告の代表者に就任することを依頼された。P1は、かかるP2の依頼を引き受け、原告の代表取締役に就任したが、石油リサイクル事業に関する経験はなかった。(乙3ないし5)(2) 原告が設立されてからもP3が原告の経営に関与し、石油リサイクル事業が続けられていたが、原告の経営は行き詰まるようになった。そして、原告 - 19 -が平成16年3月頃、金融機関から事業資金として1000万円を借り入れた際、P1がその連帯保証人となった。また、P3は、平成16年11月26日に原告の代表取締役に就任し、P2は、同日、原告の代表権のない取締役に就任したが、P3は平成17年1月7日に辞任し、原告の経営から退き、P2も、同月28日に取締役を辞任した。この頃から、原告は、石油リサイクル事業を営まなくなり、同年2月13日、本店所在地を、P1の住所地付近から現在の所在地に移転した。(乙5、7)(3) P1及びP2は、平成17年頃から、ダニ捕りの事業を行うために本件発明の開発に着手した。そのため、原告は、平成17年3月、金融機関から同事業のために1000万円の追加融資を受け、P1がこれを連帯保証した。また、原告は、同年頃、三井住友銀行から本件借入金を借り入れた。 (4) P2は、平成17年頃、弁理士に本件特許の出願等を依頼してその費用を負担し、以後、令和4年7月まで、本件特許権に関し、別紙7の1記載の各費用 (合計90万2861円)を支払った (乙13)。なお、本件特許は、P1及びP2を共同発明者、原告を特許権者として、平成17年6月7日に出願され、平成23年7月7日、特許査定を受け、同年8月5日、登録された 万2861円)を支払った (乙13)。なお、本件特許は、P1及びP2を共同発明者、原告を特許権者として、平成17年6月7日に出願され、平成23年7月7日、特許査定を受け、同年8月5日、登録された (甲1、2)。 (5) P2は、平成20年11月17日、原告の本店所在地を本店所在地として被告を設立し、代表取締役に就任した(乙8)。 この頃、原告は、鶏卵販売事業も行っており、原告及び被告の共同名義 (ただし、連絡先メールアドレスは被告のもの)で、鶏卵販売のチラシが作成されていた (甲19)が、ダニ捕りマット事業は行っていなかった。一方、被告は、販売被告製品の製造販売を行い、その利益は、すべて、被告に帰属していた。うち、原告の商号及び 「特許取得済」の記載がある販売被告製品は、平成20年頃から令和4年7月20日頃まで、継続して製造販売されていた(甲15)。 - 20 -(6) P2は、平成21年10月30日、代表取締役として重任されるP1とともに原告の代表権のない取締役となった。その後、原告の法人登記は、令和3年10月5日まで、何ら変更等がなされていなかった。(乙16)(7) 原告は、平成23年6月頃から実質的に事業を停止し、この頃から、被告が三井住友銀行の原告名義の口座 (乙10。以下、「乙10口座」という。)に係る通帳を管理するようになった (乙10)。このとき、P1、P2及び三井住友銀行は、本件借入金の返済方法について協議し、実質的に原告の事業を取り仕切っていたP2が、被告を通じて本件借入金を返済していくこととなった。 (8) 被告は、平成23年6月20日から令和4年6月30日にかけて、本件借入金の分割弁済日に先立ち、乙10口座に必要資金を振り込む方法で、別紙7の2記載の各支払日に、本件借入金を第三者弁済した。 (8) 被告は、平成23年6月20日から令和4年6月30日にかけて、本件借入金の分割弁済日に先立ち、乙10口座に必要資金を振り込む方法で、別紙7の2記載の各支払日に、本件借入金を第三者弁済した。なお、平成23年6月20日以降、乙10口座の入出金のほとんどは、本件借入金の支払のためのものであった。(乙10)(9) P1は、平成25年7月頃、被告から委託を受け、販売被告製品を製造・販売していた。このとき、販売被告製品には、原告の商号や 「特許取得済」との表記がされていた。(乙14)(10) 被告は、平成27年10月1日、本店所在地を原告の本店所在地から現在の本店所在地に移転した(乙8)。 (11) 原告について、令和3年10月5日、同月1日の株主総会の決議により解散し、P1が清算人兼代表清算人に就任した旨の登記並びにP1及びP2の取締役、代表取締役の抹消登記がそれぞれされた。 また、同年11月9日、同年10月2日に会社継続の決議を行い、同日付でP1のみが取締役兼代表取締役に、P4が監査役に就任し、P5が令和元年10月31日に退任した旨の登記がされた。(乙16)(12) 原告は、令和4年7月6日頃、被告に対し、被告の本店所在地に原告の商 - 21 -号を表記すること及び被告製品に「特許取得済」と表記することを止めることを求めるとともに、被告製品が本件特許権を侵害するとの警告を記載した警告書を送付した(甲15)。 (13) 令和4年10月頃、被告本店所在地を宛先(住所)とする原告宛の郵便物が、配達されることがあった(乙11)。 (14) 原告の登記上の本店所在地には、令和5年2月時点で、原告の事務所等が存在していなかった(乙9)。 6 争点A7(被告が不正の目的をもって原告の商号を表記したか)について(1) )。 (14) 原告の登記上の本店所在地には、令和5年2月時点で、原告の事務所等が存在していなかった(乙9)。 6 争点A7(被告が不正の目的をもって原告の商号を表記したか)について(1) 上記認定事実によれば、原告が、平成23年以降、実質的に休眠状態にあったこと、その頃から被告が乙10口座に係る通帳を保管し、出納管理をしていたこと、被告が平成27年10月1日に本店所在地を原告の登記上本店所在地から移転させた後も、移転後の被告の本店所在地に原告宛の郵便物が配達されていたことが認められる。 (2) 原告が、平成23年6月頃以降、実質的に休眠状態にあったことに鑑みれば、被告が、その後、原告宛の郵便物を被告所在地に配達させる必要があったとは認められないし、被告が、原告の商号を使用することで不正の利益を得ることができたものとも認められない。むしろ、このような郵便物の処理は、原告又はP1の残務処理等の都合上、原告名義の郵便物を受け取る必要があったが、原告の登記上の本店所在地では郵便物を受け取ることができなかったことから、その便宜として、被告所在地に配達するようにしていたものと考えられる。このような場合、被告は、被告の本店所在地において原告宛の郵便物を受け取るために、原告の商号を被告の本店所在地に表記する必要があったものといえる。また、原告が、被告に対し、被告の本店所在地に原告の商号を表記することを止めるよう求め、被告がこれに応じてからも、なお、被告の本店所在地宛に原告宛の郵便物が配達されているが、原告の要請に応じた被告が、殊更に、原告宛の郵便物を受け取ろうとする理由はないか - 22 -ら、結局、原告宛の郵便物が被告の本店所在地に配達されていたのは、P1も納得した上でのことと推認される。 よって、被告が、不正の目的をもって を受け取ろうとする理由はないか - 22 -ら、結局、原告宛の郵便物が被告の本店所在地に配達されていたのは、P1も納得した上でのことと推認される。 よって、被告が、不正の目的をもって、本店所在地に原告の商号を表記していたとは認められない。 (3) 以上の次第であり、原告の主張は採用できない。 7 争点A8(被告製品に原告の商号を付したことが品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号)に該当するか)について不正競争防止法2条1項20号にいう品質等誤認惹起行為は、品質について誤認惹起させる行為を規制しているものであり、出所識別機能を有する商品等表示の冒用行為を規制するものではない。 そうすると、被告製品に原告の商号を付したことを品質等誤認惹起行為と構成する原告の主張は、主張自体失当であり、採用できない(なお、原告の商号が著名表示であると認めるに足りる証拠はない)。 8 争点A9(被告製品に「特許取得済」との表示をしたことが品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号)に該当するか)原告は、被告が被告製品に「特許取得済」との表示をしたことが品質等誤認惹起行為に該当すると主張する。 しかし、不正競争行為というためには、当該行為によって原告の営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれがあることを要するところ、原告は、被告から販売被告製品の製造を受託したことはあっても、自ら製造販売したことはなく、本件口頭弁論の終結時においても同様である。 そうすると、原告と被告は競争関係にないから、被告が販売被告製品に「特許取得済」と表示した行為は、不正競争に該当しない。 原告の主張は採用できない。 9 争点B1(原告が、被告に対し、本件借入金について被告が第三者弁済することを委託したか並びに同第三者弁済について 取得済」と表示した行為は、不正競争に該当しない。 原告の主張は採用できない。 9 争点B1(原告が、被告に対し、本件借入金について被告が第三者弁済することを委託したか並びに同第三者弁済について事務管理に基づく費用償還又は - 23 -不当利得返還請求ができるか)について(1) 前記認定事実によれば、原告が平成23年6月頃、実質的に休眠状態となったこと、原告及びP1は、その頃、本件借入金を弁済することが困難であったこと、被告が、その頃から、乙10口座を管理し、被告の計算で本件借入金を第三者弁済するようになったことが認められる。このような経緯に鑑みれば、原告及び被告は、平成23年6月頃、少なくとも、以後被告の計算で本件借入金を第三者弁済していくことを合意したものと認められる。 (2) そこで、かかる合意が、弁済委託であったものと認められるか否かを検討するに、本件借入金により、ダニ捕りマット事業が運営されていたこと、被告のみがダニ捕りマット事業による利益を得ていたこと、被告は、原告に対し、販売被告製品の製造を委託することができた(よって、求償権を行使し得た。)にもかかわらず、反訴が提起されるまで、第三者弁済分の求償権を行使していなかったことが認められる。これらの事実に加え、前記認定に係る平成23年6月当時の原告及びP1の資力や組織運営状況等も踏まえると、上記の第三者弁済に関する合意の際に、被告が、事後的に原告に対し求償することは想定されておらず、むしろ、被告が本件借入金の弁済を引き受けたものというべきである。 この点、被告は、弁済委託等がなければ他人の債務を弁済することはないなどとも主張する。しかし、被告は、本件特許権が原告名義であったにもかかわらず、本件発明の技術的範囲に属するものと解し得る表示をしていた販売被告製 弁済委託等がなければ他人の債務を弁済することはないなどとも主張する。しかし、被告は、本件特許権が原告名義であったにもかかわらず、本件発明の技術的範囲に属するものと解し得る表示をしていた販売被告製品を製造販売し、その利益を全て得ていた。そうすると、被告が、金融機関に対する弁済を継続することで、強制執行等により本件特許権が第三者に譲渡されることを回避し、実質的に被告が管理できるようにした上で、その名義と利益帰属主体の齟齬を解消する便法の一つとして本件借入金の第三者弁済をすることは、当時の被告にとっては相応に合理的であったとも言い得るものであって、被告の主張は採用の限りでない。 - 24 -(3) 以上の次第であり、原告が被告に対し本件借入金の弁済を委託したものとは認められず、本件借入金に対する被告の第三者弁済は、被告が自ら引き受けたものと認められるから、事務管理及び不当利得のいずれにも該当しない。 被告の主張は採用できない。 10 争点B2(P2による本件特許権の登録費用等の支払があったか及び同支払について不当利得返還請求ができるか)について(1) 上記認定事実のとおり、P2は弁理士に対し、本件特許権の登録費用等として90万2861円を支払ったものと認められる(原告は、少なくとも被告が設立された平成20年11月17日までは、P2ではなく原告の計算で支弁されていたと主張するが、客観的証拠(乙13)に反し、採用できない。)。 (2) ここで、被告は、債権譲渡の点は措くとして、これらの費用を法律上の原因なく支払ったことで、原告に利得が発生した一方で被告に損失が発生したと主張する。 しかし、被告は、販売被告製品が本件発明の技術的範囲に属さないにしても、これに 「特許取得済」との表示をして利益を得、かつ、その利益の全てを 利得が発生した一方で被告に損失が発生したと主張する。 しかし、被告は、販売被告製品が本件発明の技術的範囲に属さないにしても、これに 「特許取得済」との表示をして利益を得、かつ、その利益の全てを取得していた。そうすると、本件特許権の登録費用等は、少なくとも本件本訴の提起前までは、被告が本件特許権を自らの利益を確保するため利用するに当たり必要な費用として負担していたものというべきであって、実際、利益を得ていたのであるから、これを支払うことには法律上の原因があり、またこれによって被告に損失が発生したともいえない。 (3) 以上の次第であり、原告が、被告の損失のもとで本件特許権の登録費用等相当額を不当に利得したものとは認められず、被告の主張は採用できない。 11 小括(会社法違反及び不正競争防止法に関する本訴請求並びに反訴請求について)以上の次第であり、本訴請求中特許権侵害に関するもの以外の請求(会社法違反及び不正競争防止法に関する請求)及び反訴請求は、その余の争点につい - 25 -て判断するまでもなくいずれも理由がない。 第5 結論よって、原告の本訴請求及び被告の反訴請求はいずれも理由がないから、いずれも棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法64条、61条を適用して、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 松阿彌隆 裁判官 阿波野右起 裁 裁判官 阿波野右起 裁判官 西尾太一 被告製品目録 1 ダニ捕ってポイ 2 ダニポイポイ 3 ダニを集めて捕るシート 4 ダニ捕りバスター 5 ダニ集めてポイ 6 ラビガード(RabbiGuard) 7 ダニ捕りポイポイ 8 ダニシート 9 ダニ捕りシート 10 その他、上記1~9と同じく別紙被告製品説明書に記載の構成を備える各製品以上 特許権目録 特許番号特許第4796334号 発明の名称ダニ捕獲マット 出願日平成17年6月7日 登録日平成23年8月5日以上 本件発明 1請求項 原告の主張 争いの有無及び当事者の主張 A-1ダニ誘引香料を含浸した織物シートと、ダニを誘引する香料が付着した織物シートと、 A-2両面粘着テープと、粘着テープと、 A-3ダニ用食餌入りの多孔質通気性袋と、誘引剤を入れた誘引剤袋と、 【原告の主張】本件発明における「多孔質通気性袋」は、袋そのものを縫製等することによりダニ用食餌を入れられるようにすることに限定したものではなく、両面粘着テープに接着させたり、縫製された多孔質通気性カバーに被包させることも想定している。 被告製品の「誘引剤袋」は、これと同様の構成である。 入れられるようにすることに限定したものではなく、両面粘着テープに接着させたり、縫製された多孔質通気性カバーに被包させることも想定している。 被告製品の「誘引剤袋」は、これと同様の構成である。 【被告の主張】被告製品は、2枚の不織布シートでダニ用食餌を挟んでいるのみであって、当該不織布シートは袋状に形成されていないから、「誘引剤袋」との構成を備えない、A-4多孔質通気性カバーとで構成され、外装生地とで構成され、〇B前記織物シートの片面に前記両面粘着テープが貼着されると共に、前記織物シートの一方の面に粘着テープが貼着されるとともに、【原告の主張】被告製品βの略図は、織物シートが存することを認めている。被告製品2及び4と同じであり、被告製品βにも織物シートが存する。 【被告の主張】被告製品αについては認める。 被告製品βには、ダニ誘引剤を含浸した織物シートはなく、ガーゼがあるのみである。 充足論(被告製品の構成)検討表1-41-C前記多孔質通気性袋は、前記誘引剤袋は、〇C-1その少なくとも一部が前記織物シートと前記両面粘着テープとの間に位置して、略半分が織物シートと一の粘着テープとの間に位置して、〇C-2残部が該両面粘着テープの外面側に位置するように配置され、残りの略半分が他の粘着テープの外面側に位置するように配置され、〇Dこれら織物シート及び両面粘着テープと多孔質通気性袋の被着一体化物の全体が前記多孔質通気性カバーにて被覆されてなる織物シート、粘着テープ、誘引剤袋が被着されて形成された一体化物の全体が外装生地にておおわれている〇Eダニ捕獲マット。 ダニ捕獲マット。 〇-42-(別紙4の2)本件発明2請求項原告の主張争いの有無及び当事者 が被着されて形成された一体化物の全体が外装生地にておおわれている〇Eダニ捕獲マット。 ダニ捕獲マット。 〇-42-(別紙4の2)本件発明2請求項原告の主張争いの有無及び当事者の主張F前記多孔質通気性袋は、誘引剤袋は、◯F-1その半部が前記織物シートと前記両面粘着テープとの間に位置し略半分が織物シートと一の粘着テープとの間に位置し、【原告の主張】被告製品βの略図は、織物シートが存することを認めている。被告製品2及び4と同じであり、被告製品βにも織物シートが存する。 【被告の主張】被告製品αについては認める。 被告製品βには、ダニ誘引剤を含浸した織物シートはなく、ガーゼがあるのみである。 F-2且つ残部が前記両面粘着テープの外面側に位置するように、且つ残りの略半分が他の粘着テープの外面側に位置するよう◯F-3千鳥状に配置され、粘着テープに対して互い違いに配置され、〇G全体が前記両面粘着テープに被着している全体が粘着テープに被着している【原告の主張】別紙5の1のとおり、被告製品に配されているものも多孔質通気性袋であり、これが粘着テープに被着している。 【被告の主張】販売被告製品は、同寸矩形の2枚の不織布シートが重ねて配されているのみであり、多孔質通気性袋は存在しない。 H請求項1記載のダニ捕獲マット。 前記〔1〕記載のダニ捕獲マット。 ◯充足論(被告製品の構成)検討表2-43-本件発明3請求項原告の主張争いの有無及び当事者の主張I前記織物シートがコットンのワッフル地からなる織物シートがコットンのワッフル状の生地からなる【原告の主張】被告製品の織物シートは、コットンのワッフル状の生地からなる。ワッフル地とは凹凸のある敷物を ートがコットンのワッフル地からなる織物シートがコットンのワッフル状の生地からなる【原告の主張】被告製品の織物シートは、コットンのワッフル状の生地からなる。ワッフル地とは凹凸のある敷物を意味し、高い形態安定性や強度を発揮するところ、被告製品3の織物シートを拡大した写真では、凹凸が確認できる。また、被告製品における織物シートは、単なる織物シートのような軟弱な素材ではなく、ワッフル地特有の形態安定性及び強度を有している。そうすると、被告製品においてもワッフル地が用いられている。 【被告の主張】販売被告製品には、ガーゼ及び不織布シートを備えているが、ガーゼは平織り生地であるし、不織布シートは、文字通り、織らない布状のものであるからワッフル地ではない。 J請求項1又は2に記載のダニ捕獲マット。 前記〔1〕又は〔2〕に記載のダニ捕獲マット。 ◯本件発明4請求項原告の主張争いの有無及び当事者の主張K前記多孔質通気性カバーが裏毛側を外面側にしたコットンの裏毛地からなる外装生地が裏毛側を外面としたコットンの裏生地からなる◯L請求項1~3のいずれかに記載のダニ捕獲マット。 前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のダニ捕獲マット。 ◯-44-(別紙5の1)本件発明1請求項原告の主張被告の主張A-1ダニ誘引香料を含浸した織物シートと、被告製品の織物シートには、ダニを誘引する香料が付着している。本件発明1における「含浸」とは、織物シートにダニ誘引香料の成分が保持された状態にすることを意味するものであり、かつ、これで足りる。被告が主張するように、液体物質である香料を生地等に染み込ませるなどというのは、一般的な用法にも整合しないし、本件明細書でもそのような意味であることを示唆する記載はない。 「 つ、これで足りる。被告が主張するように、液体物質である香料を生地等に染み込ませるなどというのは、一般的な用法にも整合しないし、本件明細書でもそのような意味であることを示唆する記載はない。 「含浸」とは、香料等を液体に溶いて生地等に染み込ませることを指すところ、販売被告製品では、製造費用や仕入費用が高額である「含浸した織物シート」は用いておらず、含浸がない安価な薄いガーゼを使用している。 被告製品αでは、ダニ誘引香料とガーゼがあるだけで、ガーゼに香料を含浸させていないし、被告製品βでは、そもそもガーゼですらない。 A-2両面粘着テープと、争いがない。 〇A-3ダニ用食餌入りの多孔質通気性袋と、被告製品の誘引剤袋は多数の細孔が開いていて通気性を有しているから多孔質通気性袋に相当する。また、その誘引剤袋にはダニ用食餌に相当する誘引剤が入れられている。よって、被告製品は構成要件A-3を充足する。 本件発明における多孔質通気性袋は、袋そのものを縫製等をすることでダニ用食餌を入れられるように限定するものではなく、両面粘着テープに被着させたり、縫製された多孔質通気性カバーに被包されることをも想定している。被告製品における誘引剤袋も、ダニ食餌を入れられるし、1つの袋のみで両面粘着テープの表裏両面に配置できることから、構成要件A-3を充足するものというべきである。 また、縫製により口を閉塞していないことのみをもって「袋」にあたらないとすることは、本件明細書からは読み取ることができない。 販売被告製品では多孔質通気性袋は使っていない。袋の形状に製造すると経費がかかるため、販売被告製品は誘引剤を不織布等で挟み込んだのみであって、縫製により口が閉塞されていない。 すなわち、被告製品αでは、2枚の不織布は重ねて配されているの い。袋の形状に製造すると経費がかかるため、販売被告製品は誘引剤を不織布等で挟み込んだのみであって、縫製により口が閉塞されていない。 すなわち、被告製品αでは、2枚の不織布は重ねて配されているのみで、袋状には形成していないし、被告製品βでは、不織布と両面シートが重ねて配されているだけで袋状には形成されていない。 むしろ、販売被告製品は、ダニの誘引力を確保するため、袋状に形成されていない2枚のガーゼなどをあえて上下又は左右に2箇所の隙間を開け、意図的に袋にならないように粘着テープを貼り付け、香料の2割程度が不織布の隙間から周囲にこぼれ落ち、8割程度が不織布に挟まれて保持されるようにしている。 A-4多孔質通気性カバーとで構成され、争いがない。 〇充足論(文言侵害)検討表1-45-B前記織物シートの片面に前記両面粘着テープが貼着されると共に、被告製品βは、別紙4の1のとおり、織物シートを備えている。 被告製品αについては認める。 被告製品βについては、別紙4の1のとおり、織物シートを備えていない。 C前記多孔質通気性袋は、C-1その少なくとも一部が前記織物シートと前記両面粘着テープとの間に位置して、C-2残部が該両面粘着テープの外面側に位置するように配置され、Dこれら織物シート及び両面粘着テープと多孔質通気性袋の被着一体化物の全体が前記多孔質通気性カバーにて被覆されてなる構成要件A-3に関する主張と同旨であり、被告製品は、織物シート、粘着テープ、誘引剤袋が被着されて形成された一体化物の全体が外装生地に覆われており、構成要件Dを充足する。 構成要件A-3に関する主張と同旨Eダニ捕獲マット。 争いがない。 〇構成要件A-3に関する主張と同旨であり、被告製品には、多孔質通気製袋に 装生地に覆われており、構成要件Dを充足する。 構成要件A-3に関する主張と同旨Eダニ捕獲マット。 争いがない。 〇構成要件A-3に関する主張と同旨であり、被告製品には、多孔質通気製袋に相当する織物シートがある。 構成要件A-3に関する主張と同旨であり、多孔質通気性袋が存在しない。 -46-(別紙5の2)本件発明2請求項原告の主張被告の主張F前記多孔質通気性袋は、F-1その半部が前記織物シートと前記両面粘着テープとの間に位置しF-2且つ残部が前記両面粘着テープの外面側に位置するように、F-3千鳥状に配置され、G全体が前記両面粘着テープに被着している構成要件A-3に関する主張と同旨で、被告製品には多孔質通気性袋が存在する。 また、被告製品の誘引剤袋は、全体が粘着テープに被着しており、構成要件Gを充足する。本件発明2は、ダニ用食餌が入った多孔質通気性袋が1枚で両面粘着テープの表裏に千鳥状に配されるようにすることで、構成材料の数を少なく、容易に制作できることを企図している。したがって、構成要件Gにおける「全体」とは、1枚の多孔質通気製袋をもって両面粘着テープの表裏双方に被着している状態を修飾的に表すものであり、多孔質通気性袋のわずかな隙間もない全面が両面粘着テープに被着していることを要するものではない。 構成要件A-3に関する主張と同旨で、販売被告製品には多孔質通気性袋は存在しない。 また、被告製品αでは、2枚の不織布シートが中央に一定の隙間をあけて並び配された幅広の両面テープ状部材2枚に張り付けられていて、中央の5mmないし1cmの隙間部分には貼り付けられていない。被告製品βも不織布シートと粘着テープの重ね合わせのサイズや方向が一致せず、全部の面に張り付けられているわけではない。よって、「 ていて、中央の5mmないし1cmの隙間部分には貼り付けられていない。被告製品βも不織布シートと粘着テープの重ね合わせのサイズや方向が一致せず、全部の面に張り付けられているわけではない。よって、「全体」が粘着テープに被着していない。 H請求項1記載のダニ捕獲マット。 前記〔1〕記載のダニ捕獲マット。 争う。 充足論(文言侵害)検討表2構成要件A-3に関する主張と同旨構成要件A-3に関する主張と同旨-47-本件発明3請求項原告の主張被告の主張I前記織物シートがコットンのワッフル地からなる被告製品は、別紙4の2のとおり、ワッフル地の織物シートを備えている。 被告製品は、別紙4の2のとおり、ワッフル地の織物シートを備えていない。 J請求項1又は2に記載のダニ捕獲マット。 前記〔1〕又は〔2〕に記載のダニ捕獲マット。 争う。 本件発明4請求項原告の主張被告の主張K前記多孔質通気性カバーが裏毛側を外面側にしたコットンの裏毛地からなる外装生地が裏毛側を外面としたコットンの裏生地からなる◯L請求項1~3のいずれかに記載のダニ捕獲マット。 前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のダニ捕獲マット。 争う。 -48-(別紙6)要件原告の主張被告の主張非充足部分第1要件(非本質的部分)本件発明の本質的特徴は、ダニ誘引物質によりダニを両面粘着テープの表裏両面に誘い込んだうえで、ダニの誘引とは別の構成によりダニの捕捉を実現する点であり、多孔質通気性袋はこれに寄与するものである。 被告製品は、通気性を備える2枚のガーゼ内にダニ用食餌が保持されるように意図的に構成されており、これによって、本件発明がダニ用食餌入り多孔質通気性袋を発明特定事項とした技術的意義を実現している。 そうすると、被告製品は、本件発明と ーゼ内にダニ用食餌が保持されるように意図的に構成されており、これによって、本件発明がダニ用食餌入り多孔質通気性袋を発明特定事項とした技術的意義を実現している。 そうすると、被告製品は、本件発明と本質的特徴において同一の構成を備えており、2枚のガーゼから成る誘引剤袋が多孔質通気性袋に該当しないとしても、そのような相違点は、本件発明における本質的部分には当たらない。 本件発明では、織物シートに含浸させたダニ誘引香料によって、マットを配置した場所から離れた広範囲の領域から多数のダニを誘引して集める効果を生じさせるためにダニ誘引剤を含浸させた織物シートを用いており、このシートの存在は必須であり、本質的部分である。 また、多孔質性通気袋のダニ食餌によってさらに表裏両面からダニを内側に誘い込むことも企図しており、ダニ食餌が袋で保持されていることも必須であり、かつ、置き換えが不可能な事項である。 そして、ダニ食餌が袋内で保持されることで、ダニ誘引剤との混合が生じず、混ぜ物のない粘着剤成分のみからなる強い粘着力を生じさせることができ、ガーゼでは拡散され保持できない、袋による確実な保持が可能となるのであるから、袋構造には本質的特徴が存する。 本件発明では、ダニ用食餌とダニ誘引香料が明確に区別されて用いられているところ、誘引力が強いが誘引範囲が狭く粘着剤より内側にある食餌と、誘引力に劣るが誘引範囲が広く粘着剤外にも拡散する香料とでは役割が異なり、特に、食事が粘着剤の内側から出ないようにする構造は本質的に必要とされている部分である。 よって、被告製品が多孔質通気性袋を有しないことは、本質的部分に相違がある。 第2要件(置換可能性)第1要件で記載した通り、被告製品は、マットの表裏両側からダニを誘引し、その粘着層は混ぜ物のない粘着剤成分で構成さ 孔質通気性袋を有しないことは、本質的部分に相違がある。 第2要件(置換可能性)第1要件で記載した通り、被告製品は、マットの表裏両側からダニを誘引し、その粘着層は混ぜ物のない粘着剤成分で構成され強い粘着力を保持できることから、本件発明と同様の高い防ダニ効果を得ることができる。 ガーゼであれば挟み込んでいる食餌又はダニ誘引剤が粘着剤周辺に拡散され、混ぜ物がある場合と同様の状態が生じるため、本件発明と同一の作用効果を得ることはできない。 第3要件(置換容易性)袋は素材となる部材を複数縫い合わせるなどして製造しているところ、一定の空間内に内容物を保持するために2枚のガーゼを縫い合わることなく密着して重ね合わせることは何ら困難ではない。 ガーゼと多孔質通気性袋は構造も構成も意義も全く異なっており、置換できない。 充足論(均等侵害)検討表被告製品における誘引剤袋が本件発明における多孔質通気性袋に該当しないこと-49-第4要件(容易推考性)本件発明は、明確性要件違反を理由とする拒絶理由通知を受けたことがあるが、新規性や進歩性の欠如を理由とする拒絶理由通知を受けたことはない。本件発明は、公知技術と同一ではなく、かつ、公知技術から容易に推考できたものではないことはこのような審査経過から明らかである。 否認し争う。 第5要件(意識的除外等)被告製品が本件特許の出願手続において意識的に除外されたものにあたるなどの特段の事情は存しない。 否認し争う。 -50-

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