令和6(行ケ)10020 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年11月19日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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判決文本文36,965 文字)

令和6年11月19日判決言渡令和6年(行ケ)第10020号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和6年9月26日判決 原告 Ⅹ 被告パナソニック株式会社 同訴訟代理人弁護士速見禎祥 同溝 内 伸治郎 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求特許庁が無効2022-800069号事件について令和6年2月5日にした審決のうち、特許第6813851号の請求項1に係る部分を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ⑴ 原告は、平成29年11月29日、名称を「照明装置」とする発明につき特許出願(特願2017-228865号)をし、令和2年12月22日、特許権の設定登録(特許第6813851号。請求項の数2。以下、この特許を「本件特許」という。)を受けた。(甲1)⑵ 被告は、令和4年7月27日、本件特許について無効審判請求をした(無 効2022-800069号事件。以下「本件無効審判請求」といい、本件 無効審判請求に基づく審判手続を「本件審判手続」という。)。(乙14)⑶ 特許庁は、令和5年3月30日付けで審決の予告(以下「本件審決予告」という。)をした。本件審決予告は、本件審判手続における甲1(特開2009-266484号公報。本件訴訟における甲2。以下「審判甲1」という。)に記載された発明を認定した上で、本件特許の請求項1に係る発明が、 審判甲1に記載された発明、後記審判甲1に記 特開2009-266484号公報。本件訴訟における甲2。以下「審判甲1」という。)に記載された発明を認定した上で、本件特許の請求項1に係る発明が、 審判甲1に記載された発明、後記審判甲1に記載された事項、技術常識及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとの判断を記載していた。(乙19)⑷ 原告は、同年5月29日、特許庁に訂正請求書を提出し、特許請求の範囲の訂正請求をした(以下「本件訂正」といい、本件訂正後の請求項1に係る 発明及び請求項2に係る発明をそれぞれ「本件発明1」、「本件発明2」という。)。(乙21)本件訂正の内容は次のとおりであった。 (後記本件審決「理由」第2、1⑴、⑵)① 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定としたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させる」と記載されているのを、「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定とし たまま青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる」に訂正する。 ② 訂正事項2特許請求の範囲の請求項2に「覚醒度合生体情報取得部は、デスクワーク作業効率の低下、運転中の居眠、疲労による運動能力の低下、 対話における適切な言葉の選択効率の低下、のいずれか一以上を測定する 効率・能率測定手段を有し、調節部は測定された値に応じて発光量比を変化させる効率・能率依存発光量比調節手段を有する請求項1に記載の照明装置若しくはディスプレイ。」と記載されているのを、「赤色光を発光する赤色発光手段と、 青色光を発光する青 て発光量比を変化させる効率・能率依存発光量比調節手段を有する請求項1に記載の照明装置若しくはディスプレイ。」と記載されているのを、「赤色光を発光する赤色発光手段と、 青色光を発光する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段とを有する発光部と、人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部と、覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの 発光手段の発光量比を変化させるための調節部と、を有し、覚醒度合生体情報取得部は、デスクワーク作業効率の低下、運転中の居眠、疲労による運動能力の低下、対話における適切な言葉の選択効率の低下、のいずれか一以上を測定する 効率・能率測定手段を有し、調節部は測定された値に応じて発光量比を変化させる効率・能率依存発光量比調節手段を有する照明装置若しくはディスプレイ。」に訂正する。 ⑸ 特許庁は、令和6年2月5日、本件訂正を認めた上で、「特許第6813851号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。特許第 6813851号の請求項2に記載された発明についての審判請求は、成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月10日、原告に送達された。(乙1)⑹ 原告は、令和6年3月8日、本件審決の取消しを求めて本件訴えを提起した。原告は、同年6月13日の第1回弁論準備手続期日において、請求の趣 旨を、前記第1のとおり、本件審決のうち、本件特許の請求項1に係る部分 の取消しを求める内容に訂正の上、訴状を陳述した。 2 特許請求の範囲の記載本件特許に係る本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである(本件審 、本件特許の請求項1に係る部分 の取消しを求める内容に訂正の上、訴状を陳述した。 2 特許請求の範囲の記載本件特許に係る本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである(本件審決「理由」第3)。 ⑴ 請求項1 赤色光を発光する赤色発光手段と、青色光を発光する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段とを有する発光部と、人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部と、覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応 じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させるための調節部と、を有する照明装置若しくはディスプレイ。 ⑵ 請求項2赤色光を発光する赤色発光手段と、 青色光を発光する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段とを有する発光部と、人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部と、覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの 発光手段の発光量比を変化させるための調節部と、を有し、覚醒度合生体情報取得部は、デスクワーク作業効率の低下、運転中の居眠、疲労による運動能力の低下、対話における適切な言葉の選択効率の低下、のいずれか一以上を測定する 効率・能率測定手段を有し、 調節部は測定された値に応じて発光量比を変化させる効率・能率依存発光量比調節手段を有する照明装置若しくはディスプレイ。 3 本件無効審判請求で主張された無効理由被告は、本件無効審判請求において、次の無効理由を主張した。なお、本件発明2に関する無効理由については内容の記載を省略 する照明装置若しくはディスプレイ。 3 本件無効審判請求で主張された無効理由被告は、本件無効審判請求において、次の無効理由を主張した。なお、本件発明2に関する無効理由については内容の記載を省略する。 ⑴ 審判甲1を主引用文献とする無効理由ア本件発明1について(本件審決「理由」第4、1⑴ア)(ア) 無効理由1(審判甲1に基づく新規性欠如)本件発明1は、審判甲1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当するものであり、本件発明1に係る特許は、同項の規定 に違反してされたものであるから、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 (イ) 無効理由2(審判甲1に基づく進歩性欠如)本件発明1は、審判甲1に記載された発明から容易に発明することができたものであり、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定 に違反してされたものであるから、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 (ウ) 無効理由3(審判甲1及び周知技術に基づく進歩性欠如)本件発明1は、審判甲1に記載された発明並びに審判甲1、本件審判手続における甲2(国際公開第2010/123031号。本件訴訟に おける乙2。以下「審判甲2」という。)、本件審判手続における甲3(特開2007-294143号公報。本件訴訟における乙3。以下「審判甲3」という。)及び本件審判手続における甲4(特開2006-252944号公報。本件訴訟における乙4。以下「審判甲4」という。)に示される周知技術から容易に発明することができたものであり、本件発明 1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである から、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 イ本件発明2について(本件審決「理由」第4 、本件発明 1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである から、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 イ本件発明2について(本件審決「理由」第4、1⑴イ)(ア) 無効理由4(審判甲1に基づく新規性欠如)(イ) 無効理由5(審判甲1に基づく進歩性欠如)(ウ) 無効理由6(審判甲1及び周知技術に基づく進歩性欠如) (エ) 無効理由7(審判甲1及び本件審判手続における甲5(特開2017-158811号公報。本件訴訟における乙5。以下「審判甲5」という。)記載の技術的事項に基づく進歩性欠如)⑵ 審判甲2を主引用文献とする無効理由ア本件発明1について(本件審決「理由」第4、1⑵ア) (ア) 無効理由8(審判甲2に基づく新規性欠如)本件発明1は、審判甲2に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当するものであり、本件発明1に係る特許は、同項の規定に違反してされたものであるから、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 (イ) 無効理由9(審判甲2に基づく進歩性欠如)本件発明1は、審判甲2に記載された発明から容易に発明することができたものであり、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 (ウ) 無効理由10(審判甲2及び周知技術に基づく進歩性欠如)本件発明1は、審判甲2に記載された発明並びに審判甲1ないし審判甲4に示される周知技術から容易に発明することができたものであり、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 イ本件発明2について(本 明することができたものであり、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 イ本件発明2について(本件審決「理由」第4、1⑵イ) 無効理由11(審判甲2及び審判甲1又は審判甲5記載の技術的事項に基づく進歩性欠如) 4 本件審決の理由等無効理由1ないし3に対する本件審決の判断の要旨は次のとおりである。本件審決は、無効理由4ないし11については、いずれも理由がないと判断した。 ⑴ 無効理由1(本件発明1の、審判甲1に基づく新規性欠如)についてア審判甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。(本件審決「理由」第6、1⑶)<甲1発明>「第1の波長域の分光成分を有する光を発する第1の光源11と、 第1の波長域と異なる第2の波長域の分光成分を有する光を発する第2の光源12と、を備えている光源部1を有し、第1の光源11は、ピーク波長が700nmの光を発するLEDであり、第2の光源12は、580nm以下の波長域の分光成分が多く含まれる LEDであり、光源制御部3には、被照射者の眼の開閉状態を検出する検出器6が接続してあり、検出器6は、光源制御部3による動作指令信号に応じて被照射者の眼の開閉状態を検出し、検出された被照射者の眼の開閉状態を光源制御部3に与え、 検出器6は、被照射者を撮影する撮像部61と、該撮像部61を制御する撮像制御部62と、撮像部61により撮影された画像を解析する画像信号解析部63とを備えてなり、画像信号解析部63は、求めた開眼の度合いを用いて被照射者が開眼状態か閉眼状態かを判定し、判定された結果を、センサ信号として光源制御 り撮影された画像を解析する画像信号解析部63とを備えてなり、画像信号解析部63は、求めた開眼の度合いを用いて被照射者が開眼状態か閉眼状態かを判定し、判定された結果を、センサ信号として光源制御 部3に与え、 被照射者が複数おり、その被照射者全員が覚醒状態を維持したい場合に適用される、光源制御部3に画像信号解析部63により与えられるセンサ信号は、複数の被照射者夫々が開眼状態又は閉眼状態であることを示す信号であり、光源制御部3は、センサ信号の少なくとも一つが閉眼状態を示す信号である状態から、すべてのセンサ信号が開眼状態を示す信号となっ たとき、第1の光源11及び第2の光源12の総光量を一定に保ちつつ、第2の光源12の光量をセンサ信号の少なくとも一つが閉眼状態を示す信号であるときよりも増加させる、照明装置10。」イ本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点1において一致し、相違点1 において相違する。(本件審決「理由」第7、1⑴エ)<一致点1>「赤色光を発光する赤色発光手段を含む複数の発光手段を有する発光部と、人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部と、 覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて、前記赤色光を発光する赤色発光手段を含む前記複数の発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま特定の発光手段の発光量比を増加させるための調節部と、を有する照明装置。」 <相違点1>本件発明1では、発光部を構成する発光手段が、「青色光を発光する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段と」を含むとともに、調節部が、「赤色発光手段」、「青色発光手段」及び「緑色発光手段」の「三つの発光手段」の発光量の総和を略一定にしたまま「青色発光 する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段と」を含むとともに、調節部が、「赤色発光手段」、「青色発光手段」及び「緑色発光手段」の「三つの発光手段」の発光量の総和を略一定にしたまま「青色発光手段もしくは緑色 発光手段の発光量比を増加させる」ためのものであるのに対し、甲1発明 では、光源部1が「第2の光源12」である「580nm以下の波長域の分光成分が多く含まれるLED」を含むとともに、光源制御部3が、「第1の光源11(ピーク長が700nmの光を発するLED、すなわち、赤色発光手段)」及び「第2の光源12」の総光量を一定に保ちつつ、「第2の光源12」の光量を、センサ信号の少なくとも一つが閉眼状態を示す信号 であるときよりも増加させるものである点。 ウ甲1発明に基づく新規性の有無についての判断(本件審決「理由」第7、1⑵ア)甲1発明における第2の光源12は、「580nm以下の分光成分が多く含まれるLED」であって、必ずしも「青色光を発光する青色発光手段 と、緑色光を発光する緑色発光手段」との2つの発光手段を有するものではないから、「青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる」ものでもなく、上記相違点1は、実質的な相違点である。 したがって、本件発明1は甲1発明ではなく、無効理由1により、請求項1に係る特許を無効にすることはできない。 ⑵ 無効理由2(本件発明1の、審判甲1に基づく進歩性欠如)について(本件審決「理由」第7、1⑵イ)審判甲1に記載された照明装置10は、「会議室内」における用途(審判甲1の段落【0077】。以下、審判甲1の段落を「審判甲1【0001】」などと記載する。)や、「入院患者に対して使用する」用途(審判甲1【008 3】)が想定されているところ、これ 用途(審判甲1の段落【0077】。以下、審判甲1の段落を「審判甲1【0001】」などと記載する。)や、「入院患者に対して使用する」用途(審判甲1【008 3】)が想定されているところ、これらの用途では、照明装置の照明光を白色光とすることが技術常識である。 また、発光色が互いに異なる複数の光源により、白色光を調光しようとする際の手法のひとつとして、発光色が赤色の光源、青色の光源、及び緑色の光源の三種類の光源を用いることは、特段文献を例示するまでもなく本件特 許出願前に周知の技術(以下「周知技術1」という。本件審決(第7、1⑵ イ)及び本件審決予告(乙19、第6、2⑴)が認定した「周知技術1」である。)である。 さらに、審判甲1【0055】には、「前述した図7に示す7種類のLEDのうち、発光色がロイヤルブルー、ブルー、シアン及びグリーンのLEDは、580nm以下の波長域に分光成分が多く含まれる光源であり、第2の光源 12として用いることができる。」と記載され、選択的ではあるものの、第2の光源12として発光色がブルーのLEDや、発光色がグリーンのLEDを用いる事項(以下「審判甲1に記載された事項」という。本件審決(第7、1⑵イ)及び本件審決予告(乙19、第6、2⑴)が認定した「甲1に記載された事項」と同じである。)が、記載されているといえ、図7からも、ブル ー及びグリーンのLEDが580nm以下の波長域に分光成分が多く含まれることが看取できる。 上記審判甲1に記載された事項、上記技術常識及び上記周知技術1を踏まえると、第1の光源11を、ピーク波長が700nmの光を発するLED(赤色発光手段)とし、第2の光源12として、580nm以下の波長域の分光 成分が多く含まれるLEDとする甲1発明において、 えると、第1の光源11を、ピーク波長が700nmの光を発するLED(赤色発光手段)とし、第2の光源12として、580nm以下の波長域の分光 成分が多く含まれるLEDとする甲1発明において、照明装置10が白色光を調光でき、かつ、580nm以下の波長域の分光成分が多く含まれるものとして、第2の光源12を、発光色がブルーのLED(青色発光手段)と発光色がグリーンのLED(緑色発光手段)とからなるものとすることは当業者が容易になし得たことである。そして、甲1発明は、第2の光源の発光量 比を増加させる構成を含むところ、第2の光源12として発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDを採用すれば、これらのうち少なくとも一方の発光量比を増加させるものとなる。 したがって、甲1発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 よって、本件発明1は、甲1発明、審判甲1に記載された事項、技術常識 及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、無効理由2により、請求項1に係る特許を無効とすべきである。 ⑶ 無効理由3(本件発明1の、甲1発明及び審判甲1ないし審判甲4に示される周知技術に基づく進歩性)について(本件審決「理由」第7、1⑵ウ)請求人(被告)は、覚醒度合生体情報取得部及び調節部の構成について、 甲1発明と本件発明1との間に相違点があったとしても、覚醒度合等に関する生体情報をセンサで検知してそのセンサで検知した人の生体情報に応じて発光色が異なる複数の発光手段の発光量の総和を一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させることは、審判甲1ないし審判甲4に示される周知技術にすぎず、当業者であれば、甲1発明及び当該周知技術に基いて、 る複数の発光手段の発光量の総和を一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させることは、審判甲1ないし審判甲4に示される周知技術にすぎず、当業者であれば、甲1発明及び当該周知技術に基いて、 本件発明1を容易に想到できる旨、予備的に主張をしているが、上記⑵で検討したとおりであるから、当該周知技術によらず、本件発明1は甲1発明、審判甲1に記載された事項、技術常識及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 原告の主張する取消事由 ⑴ 取消事由1本件発明1の審判甲1に基づく進歩性の有無に関する判断の誤り⑵ 取消事由2本件審判手続の手続的違法第3 当事者の主張 1 取消事由1(本件発明1の審判甲1に基づく進歩性の有無に関する判断の誤り)について〔原告の主張〕⑴ 本件審決は、審判甲1には「人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部」が開示されていると判断したが、審判甲1にこの内 容の開示は存在せず、この点において本件審決の甲1発明の認定には誤りが ある。 すなわち、甲1発明は、被照射者の眼の開閉状態を検出する検出器を有するが、この「眼の開閉状態」を「覚醒度合」と認定できる明示的・合理的な示唆は、審判甲1には何ら存在しない。実際、審判甲1は、被照射者の眼の開閉状態の如何に関わらず、被照射者に光刺激を付与して被照射者の覚醒を効果 的に促すことができると記載しており(審判甲1【0042】)、眼の開閉状態自体を「覚醒度合」の指標として意図しているとは考えられない。 したがって、審判甲1は眼の開閉状態を「覚醒度合」として開示しておらず、甲1発明は「人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部」を備えていないと解する しているとは考えられない。 したがって、審判甲1は眼の開閉状態を「覚醒度合」として開示しておらず、甲1発明は「人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部」を備えていないと解するのが合理的である。これに反して甲1発明の 認定を行い、本件発明1を無効とした審決は違法である。 ⑵ 審判甲1は、例えば、メラトニンの分泌抑制の効果が高い464nm近傍の波長域の光を用いて、被照射者に光刺激を付与して被照射者の覚醒を効果的に促すことができる照明装置を提供することが発明の目的であり、464nmの波長のときにメラトニンの分泌抑制の相対感度が最大になることから、 第2の光源12として、464nm近傍(例えば、430~490nm)の波長域に分光成分が多く含まれる光源を採用する方法を記載しており、本件発明1に係る特許請求の範囲に記載された「緑色光を発光する緑色発光手段」を具備する方法とは対照的に、「概ね495~570nmの波長の光を発する緑色発光手段」の適用を除外することを示唆している。すなわち、審判甲1 は、本件発明1にいう「緑色発光手段」を備えることに反対して教示している。 審判甲1【0001】、【0002】、【0016】、【0017】、【0021】、【0054】及び【0109】は、審判甲1が基礎としている技術思想について、概ね495~570nmの波長の光を発する発光手段(緑色発光手段、本件特許の特許出願の願書に添付した明細書の段落【0027】。以下、本件 特許の特許出願の願書に添付した明細書を「本件明細書」といい、本件明細 書の段落を「本件明細書【0001】」のように表示する。)を適用する発想がなく、第2の光源12として430~490nmの発光手段を具備させることのみに依存していることを示している。 明細 書の段落を「本件明細書【0001】」のように表示する。)を適用する発想がなく、第2の光源12として430~490nmの発光手段を具備させることのみに依存していることを示している。 このように、審判甲1の記載からは、「概ね435~490nmの波長の光を発する発光手段」(青色発光手段、本件明細書【0026】)と「概ね495 ~570nmの波長の光を発する発光手段」(緑色発光手段)とを有する構成に到達することは自明ではなく、審判甲1には、周知技術1の採用を排除する特別の示唆がある。 したがって、審判甲1には周知技術1の採用を排除する特別の示唆があるから、周知技術1と組み合わせた審判甲1によって本件発明の進歩性を否定 することはできない。 ⑶ 仮に、第2の光源12として「概ね435~490nmの波長の光を発する発光手段」(青色発光手段)と「概ね495~570nmの波長の光を発する発光手段」(緑色発光手段)とを有する構成を適用した場合、「概ね495~570nmの波長の光を発する発光手段」の発光量が増加すれば、第1の 光源11と第2の光源12の総光量を一定に保つ必要がある結果として、人の覚醒を効果的に促す「概ね435~490nmの波長の光を発する発光手段」の発光量が減少することになり、甲1発明の目的であるメラトニンの分泌抑制効果が阻害されることになる。 したがって、甲1発明に上記構成を適用することには、阻害要因があった。 後知恵で本発明を知らなければ、当業者が審判甲1の技術的教示を無視して提案された組合せを行う可能性は低かったといえる。 ⑷ 青色発光手段と、緑色発光手段と、赤色発光手段とを備え、かつ、発光量の総和を略一定にして明るさを一定にする構成を採用すれば、その緑色発光手段は、青色発光手段に比べ う可能性は低かったといえる。 ⑷ 青色発光手段と、緑色発光手段と、赤色発光手段とを備え、かつ、発光量の総和を略一定にして明るさを一定にする構成を採用すれば、その緑色発光手段は、青色発光手段に比べてメラトニンの分泌抑制の効果を得ることがな い。実際、審判甲1には、分泌抑制効果は、464nm近傍(例えば、43 0~490nm)の波長域に分光成分が多く含まれる光源が最適であると記載されている。このように、緑色発光手段の採用は、審判甲1の目指す作用効果と両立しない構成を備えることになる。 さらに、発光量の総和を略一定にして明るさを一定にする構成の特性上、緑色発光手段を採用してこれを発光させれば、その発光量の分だけ青色発光 手段と赤色発光手段のどちらか若しくは両方の発光を減じて総発光量の総和を略一定にせざるを得ないことは、明らかである。すなわち、緑色発光手段を採用してこれを発光させれば、青色発光手段の発光量を下げることになり、審判甲1の目的・効果であるメラトニンの分泌抑制の効果を得ることができないか、その効果を没却することになる。このように、緑色発光手段の採用 は、審判甲1の目指す作用効果と両立しない構成を備えている。 ⑸ 青色発光手段と、緑色発光手段と、赤色発光手段とを備え、かつ、発光量の総和を略一定にして明るさを一定にする構成を採用すれば、緑色発光手段は赤色発光手段に比べて瞼をほとんど透過しないので、閉眼状態の瞼を透過する波長域を被照射者に十分に付与して被照射者を十分に覚醒させることが できない。実際、審判甲1には、580nm以下の波長域は瞼を透過しないので第1の光源としてできるだけ含まないこととすべきであり、分泌抑制効果は、700nm近傍(例えば、650~750nm)の波長域の分光成分が多く含まれる光 は、580nm以下の波長域は瞼を透過しないので第1の光源としてできるだけ含まないこととすべきであり、分泌抑制効果は、700nm近傍(例えば、650~750nm)の波長域の分光成分が多く含まれる光を発する光源を第1の光源とすることが最適であると記載されている。このように、緑色発光手段の採用は、審判甲1の目指す作用効 果と両立しない構成を備えている。 さらに、発光量の総和を略一定にして明るさを一定にする構成の特性上、緑色発光手段を採用してこれを発光させれば、その発光量の分だけ、青色発光手段と赤色発光手段のどちらか若しくは両方の発光を減ずることで総発光量の総和を略一定にせざるを得ないことは明らかである。すなわち、緑色発 光手段を採用してこれを発光させれば、赤色発光手段の発光量を下げること になり、審判甲1の目的・効果である閉眼状態の瞼を透過する波長域を被照射者に十分に付与して被照射者を十分に覚醒させる効果を得ることができないか、これを没却することになる。 このように、緑色発光手段の採用は、審判甲1の目指す作用効果と両立しない構成を備えている。 ⑹ 審判甲1は、本件特許の請求項1に記載された「前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させるための調節部」に相当する構造を開示していない。例えば、審判甲1は、「第1の光源11の光量の増加分だけ、第2の光源12の光量を減少させる」実施形態に言及しているが、生体情報に応じて「三つの発光手 段の発光量の総和を略一定にしたまま青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる」構成は何ら示唆されていない。したがって、本件発明1は甲1発明に対して新規性を有する。 また、審判甲1は、「瞼の光透過率の高い光を発 したまま青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる」構成は何ら示唆されていない。したがって、本件発明1は甲1発明に対して新規性を有する。 また、審判甲1は、「瞼の光透過率の高い光を発する第1の光源11の光量を増加させて」「閉眼状態の被照射者の開眼を効果的に促す」という技術的課 題があり(審判甲1【0079】)、これは本件発明1の構成である「青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる」という発明とは真逆の技術的課題である。したがって、甲1発明に対して本件発明1の構成を適用する動機付けは存在しなかったから、本件発明1は、甲1発明に対し進歩性を有する。 ⑺ 進歩性の審査基準において、対比される文献の発明の目的・効果が相違することは、動機付けを否定し、進歩性を肯定する要件になる。 本件発明1は少なくとも、赤色、青色及び緑色の各発光手段の発光量の総和を略一定にして明るさを一定にすることが目的であるのに対し、審判甲1は、メラトニンの分泌抑制の効果が高い464nm近傍の波長域(本件発明 1における青色発光に相当)を被照射者に十分に付与して被照射者を十分に 覚醒させること、閉眼状態の瞼を透過する580nm以上の波長域(本件発明1における赤色発光に相当)を被照射者に十分に付与して被照射者を十分に覚醒させることである。 このように、本件発明1と甲1発明とは、その発明の目的及び効果が大きく異なっている。 ⑻ 進歩性の審査基準において、主引用発明の書類中に、主引用発明に副引用発明を採用する特別な示唆が存在しないことは、これを採用する動機付けを否定し、進歩性を肯定する要件になる。 甲1発明は、第1の光源(本件発明1の赤色発光手段に相当)及び第2の光源(本件発明1の青色発光手段に相当)からなる が存在しないことは、これを採用する動機付けを否定し、進歩性を肯定する要件になる。 甲1発明は、第1の光源(本件発明1の赤色発光手段に相当)及び第2の光源(本件発明1の青色発光手段に相当)からなる光源部を想定しており、 この光源部に第3の光源(緑色の光源である緑色発光手段を含む。)を追加することについては、一切の示唆がない。 このように、主引用発明に周知技術(少なくとも、緑色発光手段を更に備えること)を採用する特別な示唆が存在せず、これを採用する動機付けは否定されるから、これらを基に動機付けを認定することは合理的ではない。し たがって、本件発明1は進歩性を有する。 ⑼ 審判甲1【0055】の「前述した図7に示す7種類のLEDのうち、発光色がロイヤルブルー、ブルー、シアン及びグリーンのLEDは、580nm以下の波長域に分光成分が多く含まれる光源であり、第2の光源12として用いることができる。」との記載は、例示されたLEDのいずれかを第2の 光源12として採用できる事実が開示されているに留まり、ブルー及びグリーンの両者を第2の光源12として併用できることは一切開示されていない。 本件審決も、審判甲1において両者の採用は「選択的」であるとしている。 また、審判甲1【0055】は、第2の光源として464nm近傍のブルーのLEDが「好適」であるとしており、甲1発明においては、第2の光源 としてブルーのLEDが選択できる状況にあれば、第2の光源の全てをブル ーのLEDで構成することになる。非好適であるグリーンのLEDをブルーのLEDと併用することは、審査基準における「主引用発明が達成しようとする課題に関して、作用効果が他の実施例より劣る例」に該当し、当業者が通常は考えない適用であるから、そのような適用の動機付け ルーのLEDと併用することは、審査基準における「主引用発明が達成しようとする課題に関して、作用効果が他の実施例より劣る例」に該当し、当業者が通常は考えない適用であるから、そのような適用の動機付けは認められない。 ⑽ 本件審決の判断及び被告の主張は、審判甲1に技術常識及び周知技術1の 構成を適用して「発光部が青色発光手段、緑色発光手段、赤色発光手段による三つの発光手段を有する」という構成を想到し、これを基準に課題を認識し、「調節部が『三つの発光手段』の発光量の総和を略一定にしたまま『青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる』」という構成をさらに想到するものということができる。このように二つの関連する差異をそ れぞれ重畳的に構成を変更して容易に想到すると判断することは、いわゆる「容易の容易」であって認められない。 〔被告の主張〕⑴ 〔原告の主張〕⑴について審判甲1に記載された「眼の開閉状態」は生体に関する情報であるから、 本件発明1の「生体情報」に該当することは明らかである。そして、人が覚醒しているときは眼を開いており、眠気がある(覚醒していない)ときは眼を閉じていることは明らかであるから、「眼の開閉状態」が「人の覚醒度合に関する生体情報」であるとした本件審決の認定に誤りはない。 また、審判甲1【0082】には、瞼の動作に加えて眼球運動に関する情 報を取得することで眠気のレベルを解析し、眠気のレベルに応じて発光手段の発光を調整する構成についても開示されている。ここに開示されている「眠気のレベル」が「人の覚醒度合いに関する生体情報」であることは明らかであり、審判甲1には眼の開閉状態及び眼球運動という「人の覚醒度合に関する生体情報」に応じて調光する構成も開示されている。 ⑵ 〔原告の主 人の覚醒度合いに関する生体情報」であることは明らかであり、審判甲1には眼の開閉状態及び眼球運動という「人の覚醒度合に関する生体情報」に応じて調光する構成も開示されている。 ⑵ 〔原告の主張〕⑵について 審判甲1には、「第2の光源12」は580nm以下の波長域の分光成分を有する光を発する旨が記載されており(審判甲1の【請求項1】、審判甲1【0008】、【0009】、【0054】等)、実際に、「第2の光源12」として発光色がグリーンのLEDを使用できる旨が記載されている(審判甲1【0055】、【図7】)。したがって、審判甲1において、「第2の光源12」とし て発光色がグリーンのLED(「概ね495~570nmの波長の光を発する緑色発光手段」)を使用することを排除しているとの原告の主張は、審判甲1の記載内容に照らして誤りである。 むしろ、審判甲1に「第2の光源12」として発光色がグリーンのLEDを使用できる旨が記載されていることに鑑みれば、当業者は、「第2の光源1 2」として発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDを採用することを容易に想到する。 ⑶ 〔原告の主張〕⑶について審判甲1【0007】は、「被照射者の眼の開閉状態の如何に関わらず、被照射者に光刺激を付与して被照射者の覚醒を効果的に促すことができる照明 装置を提供することを目的とする。」との記載があるとおり、被照射者の眼の開閉状態の如何に関わらず覚醒を促すことを目的としている。また、審判甲1【0039】には、「総光量が略一定になるように前記第1及び第2の波長域の光量を制御する」構成の目的について「開眼状態の被照射者の網膜上の光受容体に付与される光刺激量が常に略一定になるから、開眼状態の被照射 者に違和感を与えずにすむ。」と記載されて 第2の波長域の光量を制御する」構成の目的について「開眼状態の被照射者の網膜上の光受容体に付与される光刺激量が常に略一定になるから、開眼状態の被照射 者に違和感を与えずにすむ。」と記載されている。 したがって、審判甲1の課題とするところは、被照射者の眼の開閉状態の如何に関わらず、被照射者に光刺激を付与して被照射者の覚醒を効果的に促すことができる照明装置を提供することであり、また、光刺激量を略一定とし開眼状態の被照射者に違和感を与えないことであって、審判甲1は、単に 開眼時の覚醒のみに着目した照明装置を記載するものではない。 そして、「第2の光源12」として発光色がブルーのLED(概ね435~490nmの波長の光を発する発光手段)とグリーンのLED(概ね495~570nmの波長の光を発する発光手段)を採用したとしても、被照射者の眼の開閉状態の如何に関わらず覚醒を促すことが可能であり、また、光刺激量を略一定とし開眼状態の被照射者に違和感を与えないという目的を果た すことが可能である。 さらに、「第2の光源12」を発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDとした場合であっても、被照射者の開眼時に「概ね435~490nmの波長の光」の発光量を増やしたければ、色がブルーのLEDとグリーンのLEDの発光量を増やすのが自然である(それに対応して「第1の光源11」の 発光量を調整する)。したがって、「第2の光源12」として発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDを採用した場合にも、開眼時の覚醒という課題を解決できる。あえて発光色がグリーンのLEDの発光量のみを増やし、発光色がブルーのLEDの発光量を減らす構成を採用する理由はなく、〔原告の主張〕⑶の主張は、不自然な例を挙げて阻害要因を主張するものであって 採 発光色がグリーンのLEDの発光量のみを増やし、発光色がブルーのLEDの発光量を減らす構成を採用する理由はなく、〔原告の主張〕⑶の主張は、不自然な例を挙げて阻害要因を主張するものであって 採用することができない。 ⑷ 〔原告の主張〕⑷について前記⑶に挙げた各事情に加え、審判甲1の課題や目的を開眼時の覚醒のみにあると考えた場合でも、「第2の光源12」を、発光色がブルーのLEDと発光色がグリーンのLEDからなるものとしても、被照射者の開眼時に発光 色がブルーのLED(「青色発光手段」)の発光量を増やすことは可能である(例えば、その分「第1の光源11」の発光量を減らせばよい。)ことからすれば、原告の主張は成り立たない。 ⑸ 〔原告の主張〕⑸について〔原告の主張〕⑸の主張は、審判甲1の課題や目的が閉眼状態の覚醒にあ るとした上で、甲1発明に技術常識ないし周知技術を適用することは、審判 甲1の課題との関係で阻害要因があるとするものである。 しかし、審判甲1の課題は前記⑶のとおりであり、「第2の光源12」として発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDを採用したとしても、被照射者の眼の開閉状態の如何に関わらず覚醒を促すことが可能であり、かつ、光刺激量を略一定とし開眼状態の被照射者に違和感を与えないという審判甲1 の目的を達成することができる。 また、審判甲1の課題や目的を原告が主張するように閉眼時の覚醒にあると考えても、原告の主張は成り立たない。すなわち、原告は「緑色発光手段を採用してこれを発光させれば、赤色発光手段の発光量を下げる」と主張するが、甲1発明において、閉眼状態の被照射者に開眼を促す効果は「第1の光 源11」(「赤色発光手段」)の発光量を増やすことで生じる。そして、「第2の光源12」を 手段の発光量を下げる」と主張するが、甲1発明において、閉眼状態の被照射者に開眼を促す効果は「第1の光 源11」(「赤色発光手段」)の発光量を増やすことで生じる。そして、「第2の光源12」を発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDとした場合であっても、被照射者の閉眼時に「第1の光源11」の発光量を増やすことは可能であり(それに対応して、「第2の光源12」である発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDの発光量を減らす。)、甲1発明に技術常識ないし周知 技術を適用しても閉眼時の覚醒という課題に関して特段の問題は生じない。 ⑹ 〔原告の主張〕⑹についてア本件審決は、甲1発明に「三つの発光手段」の開示がないと認定し、この点は相違点に当たると認定しているところ、この認定に誤りはなく、原告の主張は上記認定に対する批判となっていない。 仮に、原告の主張が、本件審決が甲1発明に「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて、前記赤色光を発光する赤色発光手段を含む前記複数の発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま特定の発光手段の発光量比を増加させるための調節部」に相当する構成が開示されていると認定した点が誤りであると主張するものであると すれば、その主張は成り立たない。審判甲1に上記構成が開示されている ことは本件審決が認定するとおりであり(本件審決「理由」第6、1⑵エ(審決書27頁)、同第7、1⑴イ(ウ)~(カ)(審決書52~53頁))、その認定に誤りはない。 イ進歩性の判断において、本件発明1と主引用発明の相違点に係る構成に周知技術を適用する動機付けは、必ずしも主引用発明の課題を根拠とする 必要はない。本件では、甲1発明の「第2の光源12」に発光色がブルーのLED(「青色発 発明1と主引用発明の相違点に係る構成に周知技術を適用する動機付けは、必ずしも主引用発明の課題を根拠とする 必要はない。本件では、甲1発明の「第2の光源12」に発光色がブルーのLED(「青色発光手段」)と発光色がグリーンのLED(「緑色発光手段」)を適用する動機付けがあるかが問題となっているが、審判甲1には「第2の光源12」として発光色がブルーやグリーンのLEDを使用することができる旨記載されており、また、会議室や病室の照明装置の照明光を白色 光とすることが技術常識であり、白色光を調光しようとする際の手法の一つとして、発光色が赤色の光源、青色の光源及び緑色の光源の三種類の光源を用いることが周知技術であることを考慮すれば、甲1発明の「第2の光源12」に「青色発光手段」及び「緑色発光手段」を適用することに十分な動機付けがあり、本件審決もこれを肯定したものである。 したがって、審判甲1の課題と本件発明1の課題に違いがあるから、甲1発明に周知技術を適用する動機付けがないとの原告の主張は、本件審決の容易想到性に関する論理付けを正しく理解せず批判するものであって、相当ではない。 ⑺ 〔原告の主張〕⑺について 本件発明1と主引用発明の課題や目的に差異があることは、主引用発明に周知技術を適用する動機付けを否定するものとならない。また、原告が主張する審判甲1の課題は誤りであり、審判甲1の課題と本件発明1の課題及びその解決手段はむしろ共通している。 ⑻ 〔原告の主張〕⑻、⑼について 審判甲1には、「第2の光源12」として発光色がグリーンのLEDを使用 できる旨が記載されている。したがって、審判甲1には、「第2の光源12」として発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDを採用することについてむしろ示唆がある 光色がグリーンのLEDを使用 できる旨が記載されている。したがって、審判甲1には、「第2の光源12」として発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDを採用することについてむしろ示唆がある。 ⑼ 〔原告の主張〕⑽について〔原告の主張〕⑽の主張は争う。 2 取消事由2(本件審判手続の手続的違法)について〔原告の主張〕本件審判手続の経緯は前記第2の1のとおりであるが、特許庁は、本件審決予告とは異なる内容の本件審決をした。 訂正請求を行った後の審決の予告については、先の審決の予告をしたときま でに申し立てられた理由又は職権審理結果として通知された理由(当該理由により審決の予告をしていないものに限る)によって、審判の請求に理由があると認めるときは、審決の予告をすることになっている。 本件では、甲1発明と本件発明1との相違点の認定について、特許庁が本件審決に記載して原告に対して令和6年2月10日に通知した理由(本件審決「理 由」第7、1⑴エ(審決書53~54頁)の<相違点1>)が、令和5年4月7日に通知された理由(本件審決予告(乙19)41頁の<相違点1>)とは異なるので、本件審決予告に加えて更に、訂正請求された請求項1について審決の予告をすることなく本件審決をしたことは、上記法規に違反した違法な手続であるから、本件審決は取り消されるべきである。 仮に特許庁が再度審決の予告をしていれば、原告は訂正の請求をする可能性もあった。特許庁の手続の違法により、原告が訂正をする権利が奪われた。 〔被告の主張〕特許法施行規則50条の6の2第3号は、同条1号又は2号の審決の予告をした後であって事件が審決をするのに熟した場合に、「当該審決の予告をした ときまでに当事者若しくは参加人が申し立てた理由…(当該 法施行規則50条の6の2第3号は、同条1号又は2号の審決の予告をした後であって事件が審決をするのに熟した場合に、「当該審決の予告をした ときまでに当事者若しくは参加人が申し立てた理由…(当該理由により審判の 請求を理由があるとする審決の予告をしていないものに限る。)によって、審判官が審判の請求に理由があると認めるとき」は、審決の予告をしなければならない旨を定めるが、この規定は、先に行われた審決の予告までに当事者が申し立てた理由のうち、当該予告において判断が留保され又は有効と判断された理由につき特許を無効にすべきものと判断する場合のように、「当該理由により 審判の請求を理由があるとする審決の予告をしていない」場合は、実質的に訂正の機会が与えられなかったから再度の審決の予告をしなければならないことを定めるものである。したがって、先に行われた審決の予告と実質的に同じ内容の理由により特許を無効にすべきものと判断する場合のように、実質的に訂正の機会が与えられていた場合は、審判長は、更に審決の予告をする必要はな い(知的財産高等裁判所平成31年3月20日〔平成30年(行ケ)第10034号〕判決参照)。 本件審決予告(乙19)は、本件訂正前の請求項1に係る発明が審判甲1及び技術常識ないし周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであると判断し、本件審決も、本件発明1が審判甲1及び技術常識ないし周 知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであると判断した。 これらの判断の理由は、表現まで含めてほぼ同一であり、実質的に同じ内容であることは明らかである。したがって、審判長が本件訂正後に二度目の審決の予告を行い、原告に再度の訂正の機会を与える必要はなかったから、本件審判手続に特段の瑕疵はない。 一であり、実質的に同じ内容であることは明らかである。したがって、審判長が本件訂正後に二度目の審決の予告を行い、原告に再度の訂正の機会を与える必要はなかったから、本件審判手続に特段の瑕疵はない。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明1の概要等⑴ 特許請求の範囲本件訂正後の本件特許に係る特許請求の範囲は、前記第2の2のとおりである。 ⑵ 本件明細書及び図面の記載 本件明細書及び本件特許の特許出願の願書に添付された図面の記載は、別紙1(本件特許に係る特許公報。本件訴訟の甲1)の【発明の詳細な説明】の箇所に記載のとおりである。 ⑶ 本件発明1の概要上記⑴の特許請求の範囲並びに上記⑵の本件明細書及び図面の記載によ れば、本件発明1の技術分野、背景技術及び効果は、以下のとおり認められる。 ア技術分野本件発明1は、照明装置に関し、光源となる赤色光、青色光、緑色光の各発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発 光量比を変化させることができる照明装置に関する。(本件明細書【0001】)イ背景技術メラトニンは動物、植物が有するホルモンのひとつであり、メラトニンの分泌が睡眠促進などの生体リズムの調整に関与している。ヒトにおいて メラトニンは脳に存在する内分泌器である松果体により生成され、メラトニンの分泌は日中の日射しを受けることで抑制され、暗くなるにつれて分泌量が増える。分泌されるメラトニンが脈拍、体温、血圧などを低下させることで睡眠が促される。(本件明細書【0002】)メラトニンの分泌は光の影響を受けるが、とくに波長が約460nmか ら480nmの主に青色の光によってメラトニンの分泌が抑制されることが知られている。したがって、この波長の青色光を夕方 】)メラトニンの分泌は光の影響を受けるが、とくに波長が約460nmか ら480nmの主に青色の光によってメラトニンの分泌が抑制されることが知られている。したがって、この波長の青色光を夕方以降も受けてメラトニンの分泌が抑制されることで、夜間になっても眠気が誘発されず睡眠不足や睡眠障害をもたらすおそれがある。(本件明細書【0003】)メラトニンの分泌に青色の光が影響を及ぼすことに鑑み、体内リズムを 好ましく調整するための技術として、例えば、青色発光体の発光強度を調 整することで使用者の生体リズムを調整して、かつ色温度を略一定に保ち白色光を形成する光源に係る技術がある(再表2008/069103号公報。以下「特許文献1」という。)。(本件明細書【0004】)ウ発明が解決しようとする課題特許文献1に開示されている技術は光源の色温度を略一定にすること で、色温度の変化によりもたらされる使用者の違和感を防止することができるというメリットがある。しかし、メラトニンの分泌を促すために青色発光体の発光強度を弱めつつ色温度を略一定にしようとする場合、青色発光体の発光強度のみならず緑色発光体及び赤色発光体の発光強度をも弱めることになるため光源による明るさも低下することになる。したがって、 明るさを維持することが求められる照明装置に係る技術を適用することはできない。(本件明細書【0006】)エ課題を解決するための手段上記課題を解決するために、赤色光を発光する赤色発光手段と、青色光を発光する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段とを有する発 光部と、人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部と、覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発 を発光する緑色発光手段とを有する発 光部と、人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部と、覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させるための調節部と、を有する照明装置を提供する。(本件訂正後の請求項1、本件明細書【0009】) オ本件発明1の効果本件発明1により、赤色、青色及び緑色の各発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま、時間に応じて青色光の発光を抑制するといった調節などを行うことのできる照明装置を提供することができる。(本件明細書【0018】) カ発明を実施するための形態 実施形態1は、赤色、青色及び緑色の三色の発光手段を有する照明装置であって、時間に応じてかかる三つの発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させることができる照明装置である。 かかる構成により、例えば人が感じる明るさを大きく変化させることなく青色光の発光量を相対的に減らすことでメラトニンの分泌を促すことが できる。(本件明細書【0021】)発光部0101は、赤色光を発光する赤色発光手段0104と、青色光を発光する青色発光手段0105と、緑色光を発光する緑色発光手段0106とを有する。発光部が有する各色の発光手段の数は一又は複数である。 (本件明細書【0024】) 赤色発光手段は、概ね610~670nmの波長の光を発するもので、例えばLEDや有機ELなどの発光素子を用いることで実現でき、これ以外の発光素子であっても赤色光を発し得るものであればよい。(本件明細書【0025】)青色発光手段は、概ね435~490nmの波長の光を発するもので、 例 素子を用いることで実現でき、これ以外の発光素子であっても赤色光を発し得るものであればよい。(本件明細書【0025】)青色発光手段は、概ね435~490nmの波長の光を発するもので、 例えばLEDや有機ELなどの発光素子を用いることで実現でき、これ以外の発光素子であっても青色光を発し得るものであればよい。(本件明細書【0026】)緑色発光手段は、概ね495~570nmの波長の光を発するもので、例えばLEDや有機ELなどの発光素子を用いることで実現でき、これ以 外の発光素子であっても緑色光を発し得るものであればよい。(本件明細書【0027】)実施形態2の照明装置は、人の覚醒度合に関する生体情報に応じて、赤色、青色及び緑色の各発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させるものである。(本件明細書【004 1】) 図2は、実施形態2の照明装置の機能ブロックの一例を示すブロック図である。図示するように、実施形態2の照明装置0200は、発光部0201と、覚醒度合生体情報取得部0202と、調節部0203とを有する。 そして、発光部は、赤色発光手段0204と、青色発光手段0205と、緑色発光手段0206とを有する。実施形態2の発光部は実施形態1の発 光部と同様である。(本件明細書【0042】)覚醒度合生体情報取得部0202は、人の覚醒度合に関する生体情報を取得する機能を有する。人の覚醒度合に関する生体情報としては、例えば、心拍数、心拍数変動、呼吸数、呼吸量、α 波、θ 波含有率、発汗量、深部体温、眼球運動などに関する情報が挙げられる。また、顔画像から瞳孔散大 の程度を生体情報として取得してもよい。これらの生体情報の取得は、それぞれの生体情報に応じた検出手段によ 率、発汗量、深部体温、眼球運動などに関する情報が挙げられる。また、顔画像から瞳孔散大 の程度を生体情報として取得してもよい。これらの生体情報の取得は、それぞれの生体情報に応じた検出手段により取得される。(本件明細書【0043】)実施形態2における調節部0203は、覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光 量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させる機能を果たす。例えば、取得した生体情報に基づき覚醒度合の低下が認められた場合には、青色発光手段の発光量比を高めることで覚醒を促すといった具合である。(本件明細書【0044】)以上のような構成による実施形態2の照明装置により、赤色、青色及び 緑色の各発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま、時間に応じて青色光の発光を抑制するといった調整を行うことのできる照明装置を提供することができる。(本件明細書【0047】) 【図2】 2 取消事由1(本件発明1の審判甲1に基づく進歩性の有無に関する判断の誤り)について⑴ 審判甲1の記載内容は、別紙2(審判甲1に係る公開特許公報。本件訴訟 の甲2)のとおりである。 別紙2のとおりである審判甲1の記載内容によれば、審判甲1には本件審決が認定した甲1発明(前記第2の4⑴ア)が記載されていると認められる。 そして、甲1発明の内容に照らせば、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、本件審決が認定した前記第2の4⑴イのとおりであると認めら れる。 すなわち、本件発明1と甲1発明との間には、本件審決が認定した相違点1(本件発明1では、発光部を構成する発光手段が、「青色光を発光する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段と れる。 すなわち、本件発明1と甲1発明との間には、本件審決が認定した相違点1(本件発明1では、発光部を構成する発光手段が、「青色光を発光する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段と」を含むとともに、調節部が、「赤色発光手段」、「青色発光手段」及び「緑色発光手段」の「三つの発光手 段」の発光量の総和を略一定にしたまま「青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる」ためのものであるのに対し、甲1発明では、光源部1が「第2の光源12」である「580nm以下の波長域の分光成分が多く含まれるLED」を含むとともに、光源制御部3が、「第1の光源11(ピーク長が700nmの光を発するLED、すなわち、赤色発光手段)」及び「第 2の光源12」の総光量を一定に保ちつつ、「第2の光源12」の光量を、センサ信号の少なくとも一つが閉眼状態を示す信号であるときよりも増加させるものである点)があると認められる。 ⑵ 本件審決は、相違点1の容易想到性を判断する前提として、①審判甲1に記載された照明装置10は、会議室内における用途(審判甲1【0077】) や、入院患者に対して使用する用途(審判甲1【0083】)が想定されているところ、これらの用途では、照明装置の照明光を白色光とすることが技術常識である、②発光色が互いに異なる複数の光源により、白色光を調光しようとする際の手法の一つとして、発光色が赤色の光源、青色の光源及び緑色の光源の三種類の光源を用いることは、本件特許出願前に周知の技術(周知 技術1)であると認定しているところ(本件審決「理由」第7、1⑵イ)、これらの認定に不当な点があるとは認められない。原告もこれらの技術常識及び周知技術1が存在すること自体を否認ないし争っていない。 また、審判甲1【 定しているところ(本件審決「理由」第7、1⑵イ)、これらの認定に不当な点があるとは認められない。原告もこれらの技術常識及び周知技術1が存在すること自体を否認ないし争っていない。 また、審判甲1【0055】には、「前述した図7に示す7種類のLEDのうち、発光色がロイヤルブルー、ブルー、シアン及びグリーンのLEDは、 580nm以下の波長域に分光成分が多く含まれる光源であり、第2の光源12として用いることができる。」との記載があり、第2の光源12として、発光色がブルーのLED及びグリーンのLEDを用いることができること(審判甲1に記載された事項)が記載されている。 以上の各事情からすれば、甲1発明において、第1の光源11を、ピーク 波長が700nmの光を発するLED(赤色発光手段)とし、第2の光源1 2を、580nm以下の波長域の分光成分が多く含まれるLEDであって、第1の光源11と共に白色光を調光できるものとして、発光色がブルーのLED(青色発光手段)とグリーンのLED(緑色発光手段)とからなるものとすることは、当業者が容易になし得たことであるといえる。 そして、甲1発明は、「光源制御部3は、センサ信号の少なくとも一つが閉 眼状態を示す信号である状態から、すべてのセンサ信号が開眼状態を示す信号となったとき、第1の光源11及び第2の光源12の総光量を一定に保ちつつ、第2の光源12の光量をセンサ信号の少なくとも一つが閉眼状態を示す信号であるときよりも増加させる」との構成を含むところ、第2の光源12として発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDを採用すれば、これら のうち少なくとも一方の発光量比を増加させるものとなる。 したがって、甲1発明に、審判甲1に記載された事項を参酌し、技術常識及び周知技術(周知技 LEDとグリーンのLEDを採用すれば、これら のうち少なくとも一方の発光量比を増加させるものとなる。 したがって、甲1発明に、審判甲1に記載された事項を参酌し、技術常識及び周知技術(周知技術1)を適用することによって相違点1に係る構成を採用し、本件発明1とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 ⑶ 原告の主張に対する判断ア原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑴のとおり、甲1発明の認定に関し、審判甲1は眼の開閉状態を「覚醒度合」として開示しておらず、甲1発明は「人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部」を備えていないと主張する。 しかし、審判甲1には、①第1の波長域の分光成分を有する光を発する第1の光源11と、第1の波長域と異なる第2の波長域の分光成分を有する光を発する第2の光源12とを備えている光源部1、及び被照射者の眼の開閉状態を検出する検出器6に接続された光源制御部3を有する照明装置10が開示され(審判甲1【0043】、【0044】、【0059】、【0 084】)、②検出器6は、被照射者を撮影する撮像部61と、該撮像部6 1を制御する撮像制御部62と、撮像部61により撮影された画像を解析する画像信号解析部63とを備えてなるものであり、光源制御部3は、画像信号解析部63により与えられるセンサ信号の少なくとも一つが閉眼状態を示す信号であるとき、第1の光源11及び第2の光源12の総光量を一定に保ちつつ、第1の光源11の光量を増加させることが開示され (審判甲1【0078】、【0080】、【0083】、【0109】、【0111】)、③検出器6は、睡眠及び/又は眠気判定を行うことが可能な検出器であればよく、脳波測定器、あるいは体圧、体温、心拍等 (審判甲1【0078】、【0080】、【0083】、【0109】、【0111】)、③検出器6は、睡眠及び/又は眠気判定を行うことが可能な検出器であればよく、脳波測定器、あるいは体圧、体温、心拍等の測定が可能な検出器でもよいことが開示されている(審判甲1【0083】、【0084】)。 そして、審判甲1の図12に示されている照明装置10は、会議室内に 設置されたものであり、被照射者の覚醒状態を維持したい場合への適用例であって、光源制御部3は、センサ信号の少なくとも一つが閉眼状態を示す信号であるとき、第1の光源11及び第2の光源12の総光量を一定に保ちつつ、第1の光源11の光量をセンサ信号が開眼状態を示す信号であるときよりも増加させるようにし、瞼を透過して閉眼状態の被照射者の網 膜上の光受容体に付与される光刺激量を多くして、閉眼状態の被照射者の開眼を効果的に促すものとされている(審判甲1【0077】~【0081】)。 以上によれば、審判甲1は、眼の開閉状態を人の覚醒度合の指標としており、人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部 を有する照明装置を開示していると認められる。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 イ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑵のとおり、審判甲1は「概ね495~570nmの波長の光を発する緑色発光手段」の適用を除外することを示唆しており、周知技術1の採用を排除する特別の示唆があるから、 周知技術1と組み合わせた審判甲1によって本件発明の進歩性を否定す ることは認められないと主張する。 しかし、審判甲1には、第2の光源12として、580nm以下の波長域の分光成分を有する光を発する光源が好ましいこと(審判甲1【0054】)、発光色がグリーンの ることは認められないと主張する。 しかし、審判甲1には、第2の光源12として、580nm以下の波長域の分光成分を有する光を発する光源が好ましいこと(審判甲1【0054】)、発光色がグリーンのLEDは、ロイヤルブルー、ブルー及びシアンのLEDとともに、580nm以下の波長域に分光成分が多く含まれる光 源であり、第2の光源12として用いることができること(審判甲1【0055】)が記載されており、審判甲1が緑色発光手段の適用を除外することを示唆しているとは認められない。 審判甲1には、特に、発光色がブルー及びロイヤルブルーのLEDは、メラトニンの分泌抑制の相対感度が最大になる464nm近傍の波長域 に分光成分が多く含まれる光源であり、第2の光源12として好適に用いることができるとの記載があるが(審判甲1【0055】)、この記載をもって、審判甲1が緑色発光手段の適用を除外していると認めることはできない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ウ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑶のとおり、審判甲1の第2の光源12として「概ね435~490nmの波長の光を発する発光手段」(青色発光手段)と「概ね495~570nmの波長の光を発する発光手段」(緑色発光手段)とを有する構成を適用することには阻害要因があると主張する。 しかし、第2の光源12を発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDとした場合であっても、発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDの発光量を増やし、第1の光源11の発光量を減らすことによって、発光量の総和を略一定としつつ、被照射者の開眼時に「概ね435nm~490nmの波長の光」(青色発光手段)の発光量を増やし、これによって開眼時の 覚醒という課題を解決することが可能なのであ 、発光量の総和を略一定としつつ、被照射者の開眼時に「概ね435nm~490nmの波長の光」(青色発光手段)の発光量を増やし、これによって開眼時の 覚醒という課題を解決することが可能なのであって、あえて発光量がグリ ーンのLEDの発光量のみを増やし、発光色がブルーのLEDの発光量を減らす構成を採る理由はない。 したがって、原告が主張する阻害要因が存在するとは認められず、原告の上記主張は採用することができない。 エ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑷及び⑸のとおり、緑色発光手段 の採用は、審判甲1の目指す作用効果と両立しない構成を備えていると主張する。 しかし、前記⑵のとおり、審判甲1に記載された照明装置10は、会議室内における用途や、入院患者に対して使用する用途が想定されているところ、これらの用途では、照明装置の照明光を白色光とすることが技術常 識であり、かつ、発光色が互いに異なる複数の光源により、白色光を調光しようとする際の手法の一つとして、発光色が赤色の光源、青色の光源及び緑色の光源の三種類の光源を用いることが周知技術(周知技術1)として認められるのであり、このような照明装置10における第2の光源12として緑色発光手段を用いることが排除されているとは解されない。 そして、甲1発明において、第2の光源12として発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDを採用したとしても、第1の光源11の発光量を増やして第2の光源12の発光量を減らすこと、及び、第1の光源11の発光量を減らして第2の発光量12の発光量を増やすことが可能であり、このような発光量の増減によって、被照射者の眼の開閉状態にかかわらず 覚醒を促すという目的(審判甲1【0007】)を達成し、かつ、総光量を略一定として、開眼状態の被照 増やすことが可能であり、このような発光量の増減によって、被照射者の眼の開閉状態にかかわらず 覚醒を促すという目的(審判甲1【0007】)を達成し、かつ、総光量を略一定として、開眼状態の被照射者に略一定の明るさの照明を提供することができる(審判甲1【0080】、【0081】)。 したがって、緑色発光手段の採用が審判甲1の目指す作用効果と両立しないとは認められず、原告の上記主張は採用することができない。 オ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑹のとおり、審判甲1には、生体 情報に応じて「三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる」構成は何ら示唆されていないから、本件発明1が新規性を有すると主張する。 しかし、本件審決も本件発明1が甲1発明に対して新規性を有すると判断しているのであって(本件審決「理由」第7、1⑵ア)、原告の上記主張 は本件審決を取り消すべき根拠とならない。 カ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑹及び⑺のとおり、審判甲1には「瞼の光透過率の高い光を発する第1の光源11の光量を増加させて閉眼状態の被照射者の開眼を効果的に促す」という技術的課題があり、これは本件発明1の構成である「青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量 比を増加させる」という発明とは真逆の技術的課題であるから、甲1発明に対して相違点1に係る本件発明1の構成を適用する動機付けは存在しなかったと主張する。 そこで検討すると、前記1⑶ウないしオのとおり、本件発明1は、従来技術が、メラトニンの分泌を促すために青色発光体の発光強度を弱めつつ 色温度を略一定にしようとする場合、青色発光体の発光強度のみならず緑色発光体及び赤色発光体の発光強度をも弱めることになるため光 術が、メラトニンの分泌を促すために青色発光体の発光強度を弱めつつ 色温度を略一定にしようとする場合、青色発光体の発光強度のみならず緑色発光体及び赤色発光体の発光強度をも弱めることになるため光源による明るさも低下するという課題を有していたところ、上記課題を解決するために、赤色光を発光する赤色発光手段と、青色光を発光する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段とを有する発光部と、人の覚醒度合 に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部と、覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させるための調節部と、を有する本件発明1の構成に係る照明装置を提供するものであり、これにより、赤色、青色及び 緑色の各発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま、時間に応じて青色 光の発光を抑制するといった調節などを行うことのできるものとしたものである。 これに対し、審判甲1は、従来技術では、メラトニンの分泌抑制の効果が高い464nm近傍の波長域の光は瞼の光透過率が低いため、被照射者が閉眼状態にある場合は、上記波長域の光を照射しても、瞼を透過する光 量が少なく被照射者の網膜上の光受容体に光刺激を殆ど与えることができないから、メラトニンの分泌抑制の効果が十分得られないという課題があったところ(審判甲1【0006】)、被照射者の眼の開閉状態にかかわらず被照射者に光刺激を付与して覚醒を促す照明装置の提供を目的としており(審判甲1【0007】、【0042】)、かつ、総光量を略一定とし て、開眼状態の被照射者に違和感を与えないよう略一定の明るさの照明を提供する照明装置を開示している(審判甲1【0080 ており(審判甲1【0007】、【0042】)、かつ、総光量を略一定とし て、開眼状態の被照射者に違和感を与えないよう略一定の明るさの照明を提供する照明装置を開示している(審判甲1【0080】、【0081】)。 以上を総合すると、本件発明1と甲1発明とは、人の覚醒状態を変化させるために発光量比を変化させつつ、照明装置の明るさを一定に保つという点で、課題及び解決手段が共通していると認められる。 そして、審判甲1には、第2の光源12として発光色がブルーのLEDとグリーンのLEDを用いることができる旨記載されており(前記イ)、かつ、会議室内や入院患者に対して用いる照明装置の照明光を白色光とすることが技術常識であり、白色光を調光しようとする際の手法の一つとして、発光色が赤色の光源、青色の光源及び緑色の光源の三種類の光源を用いる との周知技術(周知技術1)が認められること(前記エ及び⑵)からすれば、甲1発明の第2の光源12に「青色発光手段」及び「緑色発光手段」を適用する動機付けがあると認められる。 したがって、甲1発明に、審判甲1に記載された事項を参酌し、技術常識及び周知技術を適用することによって相違点1に係る構成を採用し、本 件発明1とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認め られる。 上記のとおり、本件発明1と甲1発明とは、課題及び解決手段に共通性が認められるものであり、原告が主張するように技術的課題が真逆で甲1発明から本件発明1を想到するについて阻害事由があるとは認められない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 キ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑻のとおり、甲1発明は、第1の光源(本件発明1の赤色発光手段に相当)及び第2の光源(本件発明1の青色発光手段 原告の上記主張は採用することができない。 キ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑻のとおり、甲1発明は、第1の光源(本件発明1の赤色発光手段に相当)及び第2の光源(本件発明1の青色発光手段に相当)からなる光源部を想定しており、この光源部に第3の光源(緑色の光源である緑色発光手段を含む。)を追加することについては、一切の示唆がなく、主引用発明に周知技術1を採用する特別な示唆が 存在しないから、これを採用する動機付けは否定されると主張する。 しかし、前記イのとおり、審判甲1【0055】には、発光色がグリーンのLEDは、ロイヤルブルー、ブルー及びシアンのLEDとともに、これを第2の光源12として用いることができることが記載されている。 したがって、甲1発明に、緑色発光手段を用いることについて一切の示 唆がないとはいえないから、原告の上記主張は、その前提を欠いており、採用することができない。 ク原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑼のとおり、審決甲1【0055】の記載は、例示されたLEDのいずれかを第2の光源12として採用できる事実が開示されているに留まり、ブルー及びグリーンの両者を第2の光 源12として併用できることは一切開示されていないと主張し、非好適であるグリーンのLEDを好適であるブルーのLEDと併用する動機付けはないとも主張する。 しかし、審決甲1【0055】の記載については、複数のLEDのうちのいずれか一つのみしか第2の光源12として採用することができない と解すべき理由はなく、「照明装置10が白色光を調光でき、かつ、580 nm以下の波長域の分光成分が多く含まれるものとして、第2の光源12を、発光色がブルーのLED(青色発光手段)と発光色がグリーンのLED(緑色発光手段)とからなる 調光でき、かつ、580 nm以下の波長域の分光成分が多く含まれるものとして、第2の光源12を、発光色がブルーのLED(青色発光手段)と発光色がグリーンのLED(緑色発光手段)とからなるものとすることは当業者が容易になし得たことである。」との本件審決の判断と何ら矛盾するものではない。 また、審決甲1【0055】において、発光色がグリーンのLEDを第 2の光源12として用いることができる旨記載されていることは、前記イ及びキのとおりであり、グリーンのLEDが第2の光源12として好適でないとの記載はない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ケ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑽のとおり、本件審決の判断は、 二つの関連する差異をそれぞれ重畳的に構成を変更して容易想到性を判断するものであり、いわゆる容易の容易であって認められないと主張する。 しかし、本件審決は、第1の光源11を赤色発光手段とし、第2の光源12を青色発光手段と緑色発光手段とからなるものとすることは当業者が容易になし得たことであり、甲1発明は第2の光源の発光量比を増加さ せる構成を含むから、青色発光手段及び緑色発光手段のうち少なくとも一方の発光量比を増加させるものとなると判断しているのであり、審判甲1に技術常識及び周知技術1を適用して「発光部が青色発光手段、緑色発光手段、赤色発光手段とによる三つの発光手段を有する」との構成を想到し、さらにこれに別の構成を付加して容易想到性を判断したものではない。 したがって、本件審決の容易想到性の判断が、いわゆる「容易の容易」に当たるものであると解することはできず、原告の上記主張は採用することができない。 ⑷ 取消事由1に関する結論以上によれば、本件発明1の甲1発明に対する進歩性の有 判断が、いわゆる「容易の容易」に当たるものであると解することはできず、原告の上記主張は採用することができない。 ⑷ 取消事由1に関する結論以上によれば、本件発明1の甲1発明に対する進歩性の有無に関する本件 審決の判断に誤りはなく、取消事由1には理由がない。 3 取消事由2(本件審判手続の手続的違法)について⑴ 原告は、前記第3の2〔原告の主張〕のとおり、甲1発明と本件発明1との相違点の認定について、特許庁が本件審決に記載して原告に対して令和6年2月10日に通知した理由(本件審決「理由」第7、1⑴エ(審決書53~54頁)の<相違点1>)が、令和5年4月7日に通知された理由(本件 審決予告(乙19)41頁の<相違点1>)とは異なるので、本件審決予告に加えて更に、訂正請求された請求項1について審決の予告をすることなく本件審決をしたことは、違法な手続である旨主張する。 ⑵ 特許法164条の2第1項は、審判長は、特許無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときその他の 経済産業省令で定めるときは、審決の予告を当事者及び参加人にしなければならないと規定する。 特許法164条の2第1項の「経済産業省令で定めるとき」について、特許法施行規則50条の6の2は、「特許法第164条の2第1項の経済産業省令で定めるときは、被請求人が審決の予告を希望しない旨を申し出なかった ときであって、かつ、次に掲げるときとする。」(柱書)とし、第1号ないし第3号を定め、第3号は、「前2号に掲げるいずれかのときに審決の予告をした後であって事件が審決をするのに熟した場合にあっては、当該審決の予告をしたときまでに当事者若しくは参加人が申し立てた理由又は特許法第153条第2項の規定により審理 るいずれかのときに審決の予告をした後であって事件が審決をするのに熟した場合にあっては、当該審決の予告をしたときまでに当事者若しくは参加人が申し立てた理由又は特許法第153条第2項の規定により審理の結果が通知された理由(当該理由により審判 の請求を理由があるとする審決の予告をしていないものに限る。)によって、審判官が審判の請求に理由があると認めるとき。」と定める。 ⑶ 本件審判手続において、特許庁は、令和5年3月30日付けで本件審決予告をした。 本件審決予告は、審判甲1に記載された発明を認定した上で、本件特許の 請求項1に係る発明が、審判甲1に記載された発明、審判甲1に記載された 事項、技術常識及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとの見解が記載されていた。具体的な判断の内容は、別紙3「本件審決予告の内容」に記載のとおりである。 原告が本件審決予告を受けて、請求項1について訂正請求をし、本件審決が訂正請求を認め(本件訂正)、これにより、本件特許の請求項1の「それぞ れの発光手段の発光量比を変化させる」が「青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる」と訂正されたため(前記「事実及び理由」第2、1⑷)、これに伴って、甲1発明と本件特許の請求項1に係る発明(本件訂正後は本件発明1)との相違点1について、本件審決予告では、「本件発明1では、・・・調節部が・・・『それぞれの発光手段』の発光量を変化させる ためのものである」(別紙3、2<相違点1>)とされていたところが、本件訂正後の本件審決の認定した相違点1においては、「本件発明1では、・・・調節部が・・・『青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる』ためのものである」(前記「事実及び理由」第2、4⑴イ 訂正後の本件審決の認定した相違点1においては、「本件発明1では、・・・調節部が・・・『青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させる』ためのものである」(前記「事実及び理由」第2、4⑴イ<相違点1>)と変わった。 しかし、別紙3に記載された本件審決予告の内容と、本件審決の判断の内容(前記第2の4)とを比較すると、審判甲1に記載された発明として認定した内容は同一である(甲1発明)。そして、本件審決予告は、本件訂正前の請求項1に係る発明が、甲1発明、審判甲1に記載された事項、技術常識及び周知技術1に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである と判断し、本件審決も、本件発明1が、甲1発明、審判甲1に記載された事項、技術常識及び周知技術1に基づき当業者が容易に発明をすることができるものであると判断した(前記第2の4⑵)。本件審決予告と本件審決では、審判甲1に記載された事項の認定並びに甲1発明に組み合わせる技術常識及び周知技術1の認定は同一であり、請求項1に係る発明ないし本件発明1が、 甲1発明、審判甲1に記載された事項、技術常識及び周知技術1に基づき当 事者が容易に発明することができるものであるとの判断に関する説示の内容も実質的に同一である。 そうすると、本件審決における無効理由2に関する判断は、本件審決予告に示されていた判断と同一であるから、特許法施行規則50条の6の2第3号かっこ書き所定の「当該理由により審判の請求を理由があるとする審決の 予告をしていないもの」に該当せず、特許法164条の2第1項及び特許法施行規則50条の6の2により、本件審決の前に本件審決予告に加えて更に審決の予告をする必要があったとは認められない。 前述のとおり、本件訂正が行われたことにより、甲1発明と請求項 2第1項及び特許法施行規則50条の6の2により、本件審決の前に本件審決予告に加えて更に審決の予告をする必要があったとは認められない。 前述のとおり、本件訂正が行われたことにより、甲1発明と請求項1に係る発明(本件訂正後は本件発明1)との相違点1が、本件審決予告と本件審 決との間で若干異なっている。しかし、このことの故に、本件審決の理由が「当該理由により審判の請求を理由があるとする審決の予告をしていないもの」に当たると解することはできず、本件審決の前に本件審決予告に加えて更に審決の予告をしなかったことが違法であると解することはできない。 ⑷ 取消事由2に関する結論 以上によれば、本件審決手続につき、取消事由2として原告が主張する違法性があるとは認められず、取消事由2には理由がない。 4 結論以上のとおりであり、原告が主張する取消事由はいずれも理由がなく、本件審決のうち請求項1に係る部分について、これを取り消すべき違法はない。し たがって、原告の請求は棄却されるべきである。 よって、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官中平健 裁判官今井弘晃 裁判官水野正則 (別紙1特許公報写し、別紙2公開特許公報写し省略) 別紙3本件審決予告の内容 1 甲1発明の認定「第1の波長域の分光成分を有する光を発する第1の光源11 則 (別紙1特許公報写し、別紙2公開特許公報写し省略) 別紙3本件審決予告の内容 1 甲1発明の認定「第1の波長域の分光成分を有する光を発する第1の光源11と、第1の波長域と異なる第2の波長域の分光成分を有する光を発する第2の光 源12と、を備えている光源部1を有し、第1の光源11は、ピーク波長が700nmの光を発するLEDであり、第2の光源12は、580nm以下の波長域の分光成分が多く含まれるLEDであり、 光源制御部3には、被照射者の眼の開閉状態を検出する検出器6が接続してあり、検出器6は、光源制御部3による動作指令信号に応じて被照射者の眼の開閉状態を検出し、検出された被照射者の眼の開閉状態を光源制御部3に与え、検出器6は、被照射者を撮影する撮像部61と、該撮像部61を制御する撮像制御部62と、撮像部61により撮影された画像を解析する画像信号解析部63 とを備えてなり、画像信号解析部63は、求めた開眼の度合いを用いて被照射者が開眼状態か閉眼状態かを判定し、判定された結果を、センサ信号として光源制御部3に与え、被照射者が複数おり、その被照射者全員が覚醒状態を維持したい場合に適用される、光源制御部3に画像信号解析部63により与えられるセンサ信号は、複数 の被照射者夫々が閉眼状態又は閉眼状態であることを示す信号であり、光源制御部3は、センサ信号の少なくとも一つが閉眼状態を示す信号であるとき、第1の光源11及び第2の光源12の総光量を一定に保ちつつ、第1の光源11の光量をセンサ信号が開眼状態を示す信号であるときよりも増加させる、照明装置10。」 2 甲1発明と、請求項1に係る発明との一致点及び相違点 <一致点1>「赤色光を発光する の光量をセンサ信号が開眼状態を示す信号であるときよりも増加させる、照明装置10。」 2 甲1発明と、請求項1に係る発明との一致点及び相違点 <一致点1>「赤色光を発光する赤色発光手段を含む複数の発光手段を有する発光部と、人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部と、覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて、前記赤色光を発光する赤色発光手段を含む前記複数の発光手段の発光量の総和を 略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させるための調節部と、を有する照明装置。」<相違点1>本件発明1では、発光部を構成する発光手段が、「青色光を発光する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段と」を含むとともに、調節部が、「赤色発光 手段」、「青色発光手段」及び「緑色発光手段」の「三つの発光手段」の発光量の総和を略一定にしたまま「それぞれの発光手段」の発光量比を変化させるためのものであるのに対し、甲1発明では、光源部1が「第2の光源12」である「580nm以下の波長域の分光成分が多く含まれるLED」を含むとともに、光源制御部3が、「第1の光源11(ピーク長が700nmの光を発するLED、すな わち、赤色発光手段)」及び「第2の光源12」の総光量を一定に保ちつつ、「第1の光源11」の光量を、センサ信号が開眼状態を示す信号であるときよりも増加させるものである点。 3 無効理由2(請求項1に係る発明の、甲1発明に基づく進歩性)についての判断 審判甲1に記載された照明装置10は、「会議室内」における用途(審判甲1【0077】)や、「入院患者に対して使用する」用途(審判甲1【0083】)が想定されているところ、これらの用途では、照明装置の照 甲1に記載された照明装置10は、「会議室内」における用途(審判甲1【0077】)や、「入院患者に対して使用する」用途(審判甲1【0083】)が想定されているところ、これらの用途では、照明装置の照明光を白色光とすることが技術常識である。 また、発光色が互いに異なる複数の光源により、白色光を調光しようとする際 の手法のひとつとして、発光色が赤色の光源、青色の光源、及び緑色の光源の三 種類の光源を用いることは、特段文献を例示するまでもなく本件特許出願前に周知の技術(周知技術1)である。 さらに、審判甲1【0055】には、「発光色が・・・ブルー・・・及びグリーンのLEDは、580nm以下の波長域に分光成分が多く含まれる光源であり、第2の光源12として用いることができる。」と記載され、選択的ではあるものの、 第2の光源12として発光色がブルーのLEDや、発光色がグリーンのLEDを用いる事項(審判甲1に記載された事項)が、記載されているといえる。 したがって、審判甲1に記載された事項、上記技術常識、及び周知技術1を踏まえると、甲1発明において、照明装置10が白色光を調光するよう、第1の光源11を、ピーク波長が700nmの光を発するLED(赤色発光手段)とし、 第2の光源12を、発光色がブルーのLED(青色発光手段)と発光色がグリーンのLED(緑色発光手段)とからなるものとし、上記相違点1に係る請求項1の発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 よって、請求項1に係る発明は、甲1発明、審判甲1に記載された事項、技術常識及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであ るから、無効理由2により、請求項1に係る特許を無効とすべきである。 以上 術常識及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、無効理由2により、請求項1に係る特許を無効とすべきである。 以上

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