【DRY-RUN】主 文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告が福地労委昭和六三年(不)第一号の二の事件につき昭和六
主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が福地労委昭和六三年(不)第一号の二の事件につき昭和六三年一〇月一七日付でなした命令を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する被告の答弁主文同旨第二当事者の主張一請求原因 1 被告補助参加人らは、原告を被申立人として、被告に不当労働行為救済申立をしたところ(福地労委昭和六三年(不)第一号の二、以下「初審」という。)、被告は、昭和六三年一〇月一七日付で、原告に対し別紙「命令書」のとおりの救済命令(以下「本件命令」という。)を発し、右命令の写は同月一八日に原告に交付された。 2 本件命令の違法性(一) (認定・判断の欠落)本件命令は、初審において被告補助参加人らが「不当労働行為を構成する具体的事実」として申し立て、原告が争った事実のうち、別紙(一)「認定・判断を欠落した事実」記載の事実(以下「別紙(一)の事実」という。)について認定・判断を欠落している。労働委員会の審判の対象は、被告補助参加人ら(初審申立人)の主張する「不当労働行為を構成する具体的事実」であるから、被告はその存否を認定し、主張された不当労働行為を構成する事実の一部が認められなかった場合には、命令書主文において当然その部分の申立を棄却する旨明示しなければならない。しかるに本件命令は主文中にも理由中にも右事実の認定・判断を遺脱したものであって、この点において本件命令は違法である。 (二) (事実誤認)(1) 本件命令は、P1専務(以下「P1専務」という。)が被告補助参加人全金同盟福島地方金属清和電器労働組合(以下「清和労組」という。)代表者(以下「P2委員長」という。)に対して行った昭和六三年二 1) 本件命令は、P1専務(以下「P1専務」という。)が被告補助参加人全金同盟福島地方金属清和電器労働組合(以下「清和労組」という。)代表者(以下「P2委員長」という。)に対して行った昭和六三年二月二日の発言について事実を誤認している。すなわち、P1専務は、「会社は上部団体を外せば団体交渉に応じる。アルプス電気は強い組合は認めないと言われているので『労働委員会』にして労使でうまくやろう。」とか「もし、会社が倒産したら、執行委員長である君は、全従業員の生活に対して、どう責任をとろうとするのか。」と発言をした事実はない。 (2) P1専務が、右同日、「この円高で受注が大変厳しい時期にそのような事を行っていたのでは会社がおかしくなってしまうのではないか。まして自社製品を持たない会社では無理ではないのか。」との発言をした事実はあるが、右発言には、何ら威嚇、不利益の示唆、利益の誘導を伴っていないから、使用者の正当な言論の自由の行使であり、支配介入に該当しない。 (3) また、原告が昭和六三年一月一九日に原告の従業員に本件命令で認定された内容の「質問、申し入れ並びに回答書」と題する書面を配付した事実はあるが、その行為についても同様であり、原告の見解を率直に表明したもので、使用者の言論の自由に属し、不当労働行為には該当しない。 (4) 本件命令において原告が行ったとされるその余の組合脱退慫慂行為についての認定は、いずれも採証法則を誤った違法なものである。 (三) (本件命令主文第二項の違法性)(1) 本件命令が主文第二項において掲示を命じる文書には、「当社は、貴組合に対して陳謝する。」及び「誓約いたします。」との文言が含まれている。 しかし、右のような「陳謝」や「誓約」を強制することは、憲法一九条により絶対的に保障されている思想・良心の自由及びその一 貴組合に対して陳謝する。」及び「誓約いたします。」との文言が含まれている。 しかし、右のような「陳謝」や「誓約」を強制することは、憲法一九条により絶対的に保障されている思想・良心の自由及びその一内容をなす「沈黙の自由」を侵害することになるから、違憲である。 (2) また、本件命令主文第二項は、報復的、懲罰的な性格を有し、原状回復の範囲を逸脱しているから、労働委員会に許された裁量の範囲を超え、違法である。 3 よって、原告は、本件命令の取消しを求める。 二請求原因に対する認否及び被告の主張 1 請求原因1の事実は認める。 2 同2(本件命令の違法性)の主張は争う。 本件命令は、適法に発せられた行政処分であり、処分の理由は、別紙「命令書」の理由記載のとおりである。 (一) 同2(一)(認定・判断の欠落)の主張について被告は、別紙(一)の事実については存否不明であったため、その判断を示さなかったものである。被告としては、主張された「不当労働行為を構成する具体的事実」を総合的に審理・判断したうえ、不当労働行為に該当する行為を特定すれば充分であって、原告の主張は失当である。 (二) 同(二)(事実誤認)の主張について(1) 本件命令においては、当事者から提出された証拠などを労働委員会規則の手続きに則り厳正に審査した結果、確信するに至った事実を認定したもので、P1専務は、同(二)(1)に指摘されているとおりの発言をしている。 (2) 同(二)(2)及び(3)のとおりのP1専務の発言及び原告の文書配付行為があった事実は認めるが、右各行為はいずれも使用者の言論の自由に属し、不当労働行為に該当しないとの主張についてはこれを争う。P1専務らの右行為は、本件命令において判断したとおり不当労働行為であるから原告の右主張は失当である。 (3) 同(二)(4)の主 の自由に属し、不当労働行為に該当しないとの主張についてはこれを争う。P1専務らの右行為は、本件命令において判断したとおり不当労働行為であるから原告の右主張は失当である。 (3) 同(二)(4)の主張は争う。 (三) 同2(三)(本件命令主文第二項の違法性)の主張について(1) 本件命令主文第二項は、使用者の行為が労働委員会によって不当労働行為と認定された事実を関係者に周知徹底せしめ、将来同種の行為の再発を抑制することを主眼としており、その文言中に「陳謝」等の文言が用いられているとしても、それは使用者に倫理的な意味での「謝罪」の意思表白を要求するものではないから、憲法一九条に違反するものではない。 (2) また、本件命令主文第二項の主眼とするものは、右(1)のとおりであり、使用者に倫理的な意味での「謝罪」の意思表白を要求するのではないから、報復的、懲罰的なものではなく、労働委員会の裁量権の範囲を超えていない。 第三証拠関係(省略) 理由 一請求原因1の事実(本件命令がなされたこと)は、当事者間に争いがない。 二同2の主張(本件命令の違法性)について判断する。 1 同2(一)の主張(認定・判断の欠落)について原本の存在とその成立に争いのない乙第一号証、成立に争いのない乙第五ないし第九号証、同第一一四号証によれば、被告補助参加人らは、初審において、不当労働行為を構成する具体的事実として、別紙(二)「不当労働行為と認定された事実」(以下「別紙(二)の事実」という。)のほか、別紙(一)の事実を主張し、原告は右各事実を争ったが、本件命令においては別紙(一)の事実について何ら明示的な認定・判断が示されなかったことが認められる(本件命令において別紙(一)の事実について何ら明示的な認定・判断が示されなかったことは、当事者間に争いが 令においては別紙(一)の事実について何ら明示的な認定・判断が示されなかったことが認められる(本件命令において別紙(一)の事実について何ら明示的な認定・判断が示されなかったことは、当事者間に争いがない。)。 ところで別紙(一)の①ないし⑩及び⑫ないし⑰の各事実は、別紙(二)の②ないし⑤の各事実と外形的には別個の事実ではあるが、前記乙第一号証、成立に争いのない乙第一〇六号証(三頁から四頁にかけてのP3執行委員長の陳述部分)に徴すると、被告補助参加人らが初審においてなした不当労働行為救済申立は、右各行為を一括して、原告側職制が同一の不当労働行為意思に基づき、昭和六三年一月中旬から同年三月中旬までの短期間に行なった清和労組組合員に対する組合脱退強制行為ないしその準備行為であるとし、全体として一個の継続的な支配介入行為として主張されたものと認められる。 したがって、被告としては、一個の申立として包括的に主張された支配介入行為の内容をなす各具体的行為については、そのうち証拠によって認定できる行為の一部が不当労働行為と認定することができ、かつこれに基づき、労働組合の申し立てた不当労働行為救済命令を発することが相当と判断される以上、さらにその余の行為の存否の認定にまで及ばず、不当労働行為救済命令を発しても何ら違法ということはできない。そしてこの場合、認定しない行為について、申立の一部棄却をする必要もないと解せられる。 そして別紙(一)の①ないし⑩及び⑫ないし⑰の各事実は、右説示のとおり包括的な支配介入行為の内容として主張されたものであるから、被告補助参加人らは再びこの行為を主張して、改めて不当労働行為救済の申立をなすことは、本件命令において認定・判断された事実と同一の事実について再び救済の申立をすることになるので、許されない。すなわち、原告は、 人らは再びこの行為を主張して、改めて不当労働行為救済の申立をなすことは、本件命令において認定・判断された事実と同一の事実について再び救済の申立をすることになるので、許されない。すなわち、原告は、本件命令において、右各事実についての明示的な認定・判断が欠落しているからといって、右事実について改めて不当労働行為救済申立の審理に応じるべきことを強いられるということはない。 同様に、別紙(一)の⑪及び別紙(二)の⑧のP1専務の各行為は、清和労組幹部に対してなされた一連の継続的な支配介入行為とみるべきであって、別紙(一)の⑪の行為を主張することにより改めて不当労働行為救済の申立をすることはできないというべきである。 したがって、原告は、本件命令において別紙(一)の事実についての明示的な認定・判断が欠落しているからといって何らの不利益を被ることはない。 以上のとおり、右認定・判断の欠落をもって本件命令を違法とすることはできず、原告の請求原因2(一)の主張は失当である。 2 同2(二)(事実誤認)の主張について(一) 弁論の全趣旨により原本の存在とその真正な成立が認められる乙第二三号証によれば、P1専務は、昭和六三年二月五日に、P2委員長に対し、「会社は上部団体を外せば団体交渉に応じる。アルプス電気から強い組合は認めないと言われているので『労働委員会』にして労使でうまくやろう。」とか「もし、会社が倒産したら、執行委員長である君は、全従業員の生活に対して、どう責任をとろうとするのか。」と発言をした事実が認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。なお、成立に争いのない乙第八三号証によれば、P1専務が同年二月二日の発言に関する陳述書を作成した事実が認められるが、右陳述書の内容は右認定に反するものではない。また成立に争いのない乙第八四号証によれば、P1専 争いのない乙第八三号証によれば、P1専務が同年二月二日の発言に関する陳述書を作成した事実が認められるが、右陳述書の内容は右認定に反するものではない。また成立に争いのない乙第八四号証によれば、P1専務が同年二月五日の発言に関連する陳述書を作成した事実が認められるが、その内容は具体性に欠け、右乙第二三号証に照らし措信できない。 (二) そして、P1専務が、同年二月二日「この円高で受注が大変厳しい時期にそのような事を行っていたのでは会社がおかしくなってしまうのではないか。まして自社製品を持たない会社では無理ではないのか。」との発言を行った事実は当事者間に争いがない。 ところで、使用者も言論の自由を有することはいうまでもないが、労働者に対する発言においては、労働者の団結権等を侵害してはならないという制約を受けるものと解され、その発言が組合の結成、組織、運営等に影響を及ぼしうるものは、支配介入行為として不当労働行為となるものである。P1専務の右発言及び右(一)に認定の発言は、清和労組の運営に影響を及ぼす意図のもとになされたものと推認され、かつ清和労組の運営に影響を及ぼしうるもので、使用者としての正当な言論の自由の行使の範囲を超えた不当労働行為に該当するというべきであり、この点に関する本件命令の判断は是認できる。 (三) また、原告が、昭和六三年一月一九日、原告の従業員に対し、本件命令において認定された内容の「質問、申し入れ並びに回答書」と題する書面を配付した事実は当事者間に争いがない。 右書面中、「多数の従業員より『管理監督者(リーダーを含む。)が組合活動をやっているのはおかしい。』、『管理監督者(リーダーを含む。)が組合に加入している組合は労働組合ではない。』、『しらないうちにかってに組合員にされて困っている。』、『一部管理監督者(リーダー 活動をやっているのはおかしい。』、『管理監督者(リーダーを含む。)が組合に加入している組合は労働組合ではない。』、『しらないうちにかってに組合員にされて困っている。』、『一部管理監督者(リーダーを含む。)が職務と権限を利用し、組合加入活動をしたのでやむを得ず加入した。』など数多くの問い合わせが来ています。」との記載部分は、清和労組が右のような誤った活動を行っていることを従業員に訴え、清和労組の活動を批判するものであると解され、また「組合からの脱退に関しても、『自らの意思で脱退することは自由であり、組合がこれを拒否したり、阻止したりすることはできない。』、『脱退の自由を不当に制限することは違法であり、その組合の行為は無効である。』との裁判所の判決もあります。」との記載部分は、原告の従業員に対し清和労組が組合員の脱退の自由を制限しているかのような印象を与え、組合からの脱退を示唆して記載されたものと認められる。 そして、これらの記載のある原告代表者の作成にかかる文書を清和労組結成直後に朝礼において原告従業員に配付すること(右の配付の時期が清和労組結成直後の朝礼の際であったことは弁論の全趣旨により明らかである。)は、清和労組の組織を弱体化してその運営に影響を及ぼしうる行為であり、使用者としての言論の自由の範囲を超えた支配介入行為として不当労働行為に該当するというべきで、この点に関する本件命令の判断は是認することができる。 (四) 本件命令において認定された原告の従業員に対する組合脱退慫慂行為について検討するに、(1) まず、P1専務の昭和六三年二月五日及び同月六日のP4に対する組合脱退慫慂行為は、成立に争いのない乙第一〇八号証により真正に成立したことが認められる乙第二七号証の一、二によりこれを認めることができる。右認定に反する乙第八七号証 五日及び同月六日のP4に対する組合脱退慫慂行為は、成立に争いのない乙第一〇八号証により真正に成立したことが認められる乙第二七号証の一、二によりこれを認めることができる。右認定に反する乙第八七号証は、右乙第二七号証の一、二に照らし措信できず、他に右認定を覆すに足る証拠はない。 なお、成立に争いのない乙第九〇号証によれば、P4が同年三月一一日付で原告会社を退社した事情について記載した陳述書を作成した事実が認められるが、右認定に反するものではない。 (2) 原告代表者とP5係長の同年二月二八日のP6に対する組合脱退慫慂行為については、前掲乙第一〇八号証により真正に成立したことが認められる乙第二八号証によりこれを認めることができ、右認定に反する証拠はない。 なお、成立に争いのない乙第六九号証によれば、P6が同年三月一〇日付で原告会社を退社したことなどを記載した書面を作成したことが認められるが、その内容は右認定に反するものではない。 (3) P1専務の同年二月二八日のP7に対する組合脱退慫慂行為については、成立に争いのない乙第一一〇号証及びこれにより真正に成立したことが認められる乙第三五号証によりこれを認めることができ、右認定に反する証拠はない。 (4) 原告代表者とP5係長の同日のP8に対する組合脱退慫慂行為については、前掲乙第一一〇号証及びこれにより真正に成立したことが認められる乙第三四号証によりこれを認めることができ、右認定に反する証拠はない。 (5) なお、成立に争いのない乙第一一一号証によれば、清和労組は、原告に対し、その組合員名簿を提出したことがなかった事実が認められるが、組合員の名簿の提出がなくとも、原告側において組合員の氏名を知ることは可能であると解され、右事実は以上の(1)ないし(4)の認定に反するものではない。 (6) したが とがなかった事実が認められるが、組合員の名簿の提出がなくとも、原告側において組合員の氏名を知ることは可能であると解され、右事実は以上の(1)ないし(4)の認定に反するものではない。 (6) したがって、原告による従業員に対する組合脱退慫慂行為に関する本件命令の認定は、これを是認することができる。 3 同2(三)(本件命令主文第二項の違法性)の主張について(一) 本件命令主文第二項は、原告に対し、「当社は貴組合に対して陳謝する。」とか「誓約いたします。」との文言を含んだ文書の掲示をすることを命じているものであることは明らかである。 しかし、同項の命令は、原告の有する倫理的な意思、良心の自由を制限する趣旨のものではなく、原告の行為が不当労働行為であったことを関係者に周知徹底させ、将来同旨の行為の再発を抑制することを目的としたものであり、原告に陳謝や誓約の意思がなくとも、単にその文言を機械的に掲示するだけでよい趣旨のものと解することができ、憲法一九条に違反するということはできない。 (二) また、労働委員会は、不当労働行為が認定される場合、いかなる救済を与えるかに関しては広汎な自由裁量権を有しており、具体的事件に即して不当労働行為がなかったと同じ状態に回復するための適当な処分を命じうる。 そして、前掲乙第一〇八、成立に争いのない乙第一〇九号証によれば、右2に認定したとおりの不当労働行為の結果、清和労組においては、昭和六三年一月二八日に一一九名であった組合員が、同年六月二九日の初審結審時には八名に激減し、重大な打撃を被った事実が認められ、右事実を考慮したとき、本件各不当労働行為がなかったと同じ状態に回復するための処分として、本件命令主文第二項の命令は、相当な措置であるというべきで、いたずらに報復的、懲罰的な目的を意図したものと認めることはでき たとき、本件各不当労働行為がなかったと同じ状態に回復するための処分として、本件命令主文第二項の命令は、相当な措置であるというべきで、いたずらに報復的、懲罰的な目的を意図したものと認めることはできず、裁量権の範囲を逸脱したものということはできない。 三以上の検討によれば、本件命令には、原告の主張するような違法はなく、適法であるから、原告の請求は理由がない。 よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官小林茂雄大内捷司都築政則)(別紙(一))認定・判断を欠落した事実① 昭和六三年一月一九日午前一〇時一〇分頃、清和電器元泉工場脇にある、宝珠院橋付近のマツザキストアーの前で、P9総務課長は、早退したP10に対して、「組合に何故加入したのか、お母さんに相談したのか、お母さんの意見に従え」と言った。なお、P9総務課長とP10の母とは、旧知の間柄である。P10は、一月二五日、退社している。 ② 同月二二日午後六時頃、社員送迎バスの中で、P9総務課長の命令を受けたP11運転手が、第二工場の組合員五名に対して、組合脱退を強要し脱退届に記入させて脱退させた。 ③ 同月二三日午後八時頃、社員送迎バス運転係りのP11とP5係長は、P12を玉川団地入口のヤキトリ屋「ふるさと」に食事会と称して呼び出し組合脱退を強要した。同女は一月二六日組合を脱退した。後日の話では、当日他の場所でも食事会を催し組合脱退工作が行なわれた(P12談)。またこれらの催しはP9課長の命令でやったことが判明した(P11談)。また会社において食事会は、従来行なったことがない。 ④ 同月二六日午前八時二〇分頃、第二工場長のP13工場長が、事務所二階へ部品を取りに行ったP14を呼びとめ、社長 ったことが判明した(P11談)。また会社において食事会は、従来行なったことがない。 ④ 同月二六日午前八時二〇分頃、第二工場長のP13工場長が、事務所二階へ部品を取りに行ったP14を呼びとめ、社長室に連れこんだ。そして「一月二四日の組合の集会にどの位の人数が集まったか」「第一工場と第二工場では、どちらが多く出席したのか」「P14君は組合に加入しているのか」「今の話しは内緒にしておけ」といって組合切り崩しの準備行為をなしている。 ⑤ 同月二六日午後八時頃、P15課長は、P16に対して、「P13工場長とP15課長とで、開発課を押えたから、誰も組合に入れなくした。だから、君も組合を脱退しろ」と組合からの脱退を強要した。 ⑥ 同月二六日午後一〇時頃、P9総務課長が、P17に対し、電話で組合脱退を強要した。 ⑦ 同月二七日、P18宅にバス運転手のP11が来て組合から脱退しろと強要した。 またP11はP18に対し「アルプスのP19と云う人が私に組合をツブセと言っている。アルプスの人が云っているのだから清和には絶対組合はできない。早くP18さんも組合から抜けろ」と云った。 ⑧ 同月二九日、バス運転手のP11が第二工場の女子組合員に対して脱退を強要した。そして午後八時三〇分頃、P20宅に行き組合から脱退する様強く迫った。同時にP20の友人であるP21も呼び出し組合から脱退する様強要し、脱退届に氏名を書かせた。しかしP21は印鑑を持っていなかったので次の日に印鑑をP11に渡し脱退届に印鑑を押させられた。 ⑨ 同月三〇日午後八時頃、P22係長が第一工場社員食堂において、九名の組合員に対して、組合脱退を強要し、その場で脱退届に記入させ、脱退させた。(その後P23、P24の二名は、脱退届を撤回した。)⑩ 同年二月三日午後二時三〇分頃、全金同盟福島地方金属のP25 、九名の組合員に対して、組合脱退を強要し、その場で脱退届に記入させ、脱退させた。(その後P23、P24の二名は、脱退届を撤回した。)⑩ 同年二月三日午後二時三〇分頃、全金同盟福島地方金属のP25書記長が、電話で、P9総務課長と話したいと、応対に出た女子社員に申したところ「P9は、銀行および従業員の家庭を訪問している」と話した。同総務課長が従業員の家庭を訪問したことは、以前まではなかったことであり各家庭訪問により組合からの脱退強要をなしていることの裏付けがなされた。 ⑪ 同月三日付けで、被告から、原告宛に「勧告書」が出された。したがって二月五日の昼頃には、原告側は「勧告書」の内容を充分知っていた筈であるにもかかわらず、二月五日午後七時三〇分頃、第一工場クリーンルーム付近で、勤務を終えたP26副委員長に対し、P1専務が「P26君、君は、ここに来てはダメだ」とどなった。組合が結成される以前には、このようなことは一度もなかったのであるから、組合幹部に対するあからさまな嫌悪を示すものであり、不当な差別行為であることは明白である。 ⑫ 同月一九日、勤務時間中にP27課長がパチンコをしていたので、たまたまP4がその場を目げきしP2委員長にその事を話した。そこでP2委員長はP1専務に「どういう管理職の指導をしているのか」と問いただしたところ、同専務は「よくわかった、あとで注意しておく」との事であった。 しかしその二、三日後に女子従業員であるP12がP1専務にその件を聞いたら「あのP14課長には組合を見張らせるためにパチンコをさせていたんだ」と話していた。 ⑬ 社長、P1専務および管理職らが次の通り組合員となった者に組合からの脱退を強要して脱退届を書かせるなどした。 (あ) P28 同月二六日社内で事務所に呼ばれ、社長に脱退届を書かせられた。 (い) ⑬ 社長、P1専務および管理職らが次の通り組合員となった者に組合からの脱退を強要して脱退届を書かせるなどした。 (あ) P28 同月二六日社内で事務所に呼ばれ、社長に脱退届を書かせられた。 (い) P29 同月二六日社長が自宅に来て脱退届を書かせた。 (う) P24 同月二七日社内で事務所に呼ばれ、社長、P1専務に脱退届を書かせられた。 (え) P30 同月二七日社長が自宅に来て脱退届を書かせた。 (お) P31 同月二七日社内で事務所に呼ばれ、社長に脱退届を書かせられた。 (か) P32 同月二七日社内で事務所に呼ばれ社長に脱退届を書かせられた。 (き) P33 同月二八日午後、P9総務課長が自宅に来て脱退届を書かせた。 (く) P34 同月二八日P9総務課長が自宅に来て脱退届を書かせた。この時、車の中で第二工場のP11らしい人がサングラスをかけて待っていた。 (け) P35 同月二八日社長とP5係長が自宅に来て脱退届を書かせた。 (こ) P36 同月二八日社長とP5係長が自宅に来て脱退届を書かせた。 (さ) P37 同月二八日社長とウエハーのP5係長が自宅に来て脱退を強要した。 ⑭ P24は同月二七日、朝礼終了後社長室に呼ばれ、社長とP1専務に一一時半頃までの間、「欠勤が多いので第二工場へ行ってくれ」と言われたが、それでは交替制でないので収入が減ってしまうので「第一工場へ置いてくれ」とたのんだところ、両名から組合を脱退するならそのまま置くと言われ、やむなく脱退届を書いた。 ⑮ 同月末頃、P18の自宅に専務が行き、同人と奥さんに脱退を強要するような内容の話をした。 ⑯ 同年三月四日、P38はP39課長に命令され、組合員に対し、「組合に入っていると組合費を相当とられるぞ、おまえらは金ばかり取られ何もやってもらえないぞ」と組合から脱退する様話をさせられた。ま 。 ⑯ 同年三月四日、P38はP39課長に命令され、組合員に対し、「組合に入っていると組合費を相当とられるぞ、おまえらは金ばかり取られ何もやってもらえないぞ」と組合から脱退する様話をさせられた。また同人は清和の組合は上部団体の金づるとも言っている。 ⑰ 同月一四日、P40は仕事中、運転手のP11に二階食堂の和室に呼び出され(ちょっと話がある、もう第二工場で組合に入っているのはP40さんとP41さん二名だけだ、組合から早く脱退しろ」と命令され、そこにP13工場長も来て「組合から脱退しろ」と、いずれも組合からの脱退を強要した。 (別紙(二))不当労働行為と認定された事実① 原告は、昭和六三年一月一九日、朝礼において、原告の従業員に対し一方的に原告側の見解を述べた「質問、申し入れ並びに回答書」と題する書面を配布した。 ② 同年二月五日午後八時四五分頃、P1専務は仕事場に一人残ったP4に対し「この会社は組合をつくったらやってゆけない」「アルプスから組合を作ったんでは仕事がもらえなくなる」等と話しをしたうえ、翌六日午後四時三〇分にレストラン「ロッキングコール」で待合せ、そこで再び「組合があっては会社がなりたたなくなる」「執行委員の頭の人は労働組合の団体でも上になれる可能性があるし、会社にうらみをもっているから、組合員の人達にはいいように言っているが、実はちがって会社がつぶれればいいと思っている」「組合費もばかにならない、もし組合が成功して給料が三〇〇〇円あがっても組合費で三〇〇〇円とられたんでは何にもならない」「(組合をやめない人がいるが、彼らは)P2におどしをかけられている。 P2のバックにはヤクザがついている」等として組合くずしと組合からの脱退を強く勧めた。 ③ 同月二八日午後七時頃、P42社長とP5係長がP6の自宅を訪れ、就寝中のP6を起 におどしをかけられている。 P2のバックにはヤクザがついている」等として組合くずしと組合からの脱退を強く勧めた。 ③ 同月二八日午後七時頃、P42社長とP5係長がP6の自宅を訪れ、就寝中のP6を起こしたうえ、P6とP6の父の前で「会社が危ない。」「組合ができたからアルプスから仕事が貰えない。」「現在仕事が少しずつ減ってきている。仕事がなくなる。」「組合が会社をつぶす。」「組合は共産主義者だと思っている。」等と述べて組合からの脱退を求め、結局当日深夜一一時頃に脱退届を作成させた。 ④ 同月二八日午後九時三〇分頃、初めてP7宅を訪れたP1専務は同人とその父母を前にして「組合があると会社が危ない。」「P2委員長は信頼できる人なのか?」「組合と心中するつもりか。」等とP7を組合から脱退させるべく説得し、同人を組合から脱退させた。P7はその後会社の社長室(二階)でP1専務から脱退届の用紙をもらい、同専務が書面で示した五つ位の脱退理由のうち適当に二つ選んで書き入れて脱退届を作成した。 ⑤ 同月二八日午後五時頃、P42社長とP5係長が初めてP8宅を突然訪れ、同人(同人の妻らは間もなく二階へあがる)を前にして、P42社長は「組合があるとアルプスから仕事をもらえない。(そうなれば)仕事がなくなり、会社が潰れてしまう。」「労働委員会を作る」等と数時間にわたり組合からの脱退を求めた。 ⑥ 社長をはじめとする会社の管理職は従業員の組合からの脱退を促進するため脱退届書用紙の準備や脱退届のとりまとめ、組合への脱退届の送付などに積極的に関与した。 ⑦ 同月二日午後七時四五分、P1専務がP2執行委員長に対し、「いよいよもって、従業員が就職口を探さなければならない状態になってきた」と、暗に倒産が迫っていることを話して、組合活動に圧力をかけてきた。 ⑧ また、P1専務は同月五 1専務がP2執行委員長に対し、「いよいよもって、従業員が就職口を探さなければならない状態になってきた」と、暗に倒産が迫っていることを話して、組合活動に圧力をかけてきた。 ⑧ また、P1専務は同月五日、第一工場クリーンルーム付近でP2執行委員長に対し、「P2君、話していいか、今から言うことは、不当労働行為かな」と話かけ「会社は、上部団体を外せば、いつでも団体交渉に応ずるんだが……」「アルプス電気から、強い組合は認めない、と言われているので、(組合を解散して)『労働委員会』にして、労使でうまくやろう」〔(注)アルプス電気には、「労働委員会」がある。〕「もし、会社が倒産したら、執行委員長である君は、全従業員の生活に対して、どう責任をとろうとするのか」としつこく言い張って、組合運営に対する介入を行った。 命令書申立人福島県須賀川市<以下略>全国金属産業労働組合同盟福島地方金属執行委員長 P3申立人福島県いわき市<以下略>全金同盟福島地方金属清和電器労働組合執行委員長 P2被申立人神奈川県横浜市<以下略>清和電器産業株式会社代表取締役 P42上記当事者間の福地労委昭和六三年(不)第一号の二不当労働行為救済申立事件について、当委員会は、昭和六三年九月二七日開催の第四一二回及び同年一〇月一七日開催の第四一三回公益委員会議において、会長公益委員P43、公益委員P44、同P45、同P46及び同P47が出席し、合議のうえ、次のとおり命令する。 主文 1 被申立人は、申立人全金同盟福島地方金属清和電器労働組合の組合員に対し、組合を非難・中傷する言動をし、また、組合の解散や組合からの脱退を要求ないし勧誘したりなどして、申立人の組合運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、縦八〇センチメートル以上、横 組合員に対し、組合を非難・中傷する言動をし、また、組合の解散や組合からの脱退を要求ないし勧誘したりなどして、申立人の組合運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、縦八〇センチメートル以上、横一六〇センチメートル以上の白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、これをこの命令の到達した日から七日以内を初日として一〇日間、同会社の小名浜第一工場及び小名浜第二工場の構内の従業員の見やすい場所に掲示しなければならない。 記当社が行った次の行為は、福島県地方労働委員会において、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であると認定されました。 1 昭和六三年一月一九日、朝礼において、貴組合の不適合性を主張した文書を従業員に配布したこと 2 貴組合の組合員に対し、組合を非難・中傷する言動をし、また、組合の解散や組合からの脱退を要求ないし勧誘したりしたこと 3 貴組合の組合員の脱退届の作成に関与して、組合からの脱退を幇助したこと当社は、貴組合に対して陳謝するとともに、今後はこのようなことを繰り返さないことを誓約いたします。 昭和年月日全金同盟福島地方金属清和電器労働組合執行委員長 P2殿全国金属産業労働組合同盟福島地方金属執行委員長 P3殿清和電器産業株式会社代表取締役 P42(注‥日付は、掲示の初日とする) 3 被申立人は、前項を履行したときは、速やかに、当委員会に文書で報告しなければならない。 理由 第1 認定した事実 1 当事者(1) 申立人全国金属産業労働組合同盟福島地方金属(以下「地方金属」という。)は、昭和四〇年五月九日に結成され、上記肩書地に事務所を置き、福島県下において金属関係労働組合を構成員とする連合団体たる労働組合である。 (2) 申立人全金同盟福島地方金属清和電器労働組合 という。)は、昭和四〇年五月九日に結成され、上記肩書地に事務所を置き、福島県下において金属関係労働組合を構成員とする連合団体たる労働組合である。 (2) 申立人全金同盟福島地方金属清和電器労働組合(以下「清和労組」という。)は、昭和六三年一月一〇日に結成され、上記肩書地に事務所を置き、清和電器産業株式会社で働く労働者をもって組織する労働組合であり、組合員数は結審時において八名である。 (3) 被申立人清和電器産業株式会社(以下「会社」という。)は、昭和三六年六月二三日に設立され、上記肩書地に本社を置き、いわき市<以下略>の小名浜第一工場(以下「第一工場」という。)及び同市<以下略>の小名浜第二工場(以下「第二工場」という。)において電気部品の製造及び組立の業務を営んでおり、主としてアルプス電気株式会社(以下「アルプス電気」という。)からの下請けを行っている会社で、従業員数は結審時において約一五〇名である。 2 清和労組結成とその後の状況(1) 会社の従業員有志は労働組合を結成すべく準備を進めていたが、第一工場及び第二工場の従業員三四名の賛同を得て、昭和六三年一月一〇日結成大会を開催し、組合規約を定め、それに基づいて、執行委員長にP2(以下「P2委員長」という。)、副執行委員長にP26、書記長にP48、副書記長にP49及びその他の組合役員を選出して清和労組を発足させ、即日、清和労組は地方金属に加盟した。 (2) 同年一月一一日、P2委員長を初めとする清和労組役員とその上部団体の役員は、結成通知書の提出と団体交渉の申入れをすべく、会社内にて会社代表取締役社長P42(以下「P42社長」という。)との面会を求めたが、P42社長が不在のため、会社総務課長P9(以下「P9課長」という。)に対して、組合結成通知書を手交するとともに、ユニオンショップ制 締役社長P42(以下「P42社長」という。)との面会を求めたが、P42社長が不在のため、会社総務課長P9(以下「P9課長」という。)に対して、組合結成通知書を手交するとともに、ユニオンショップ制及び団体交渉に関する事項等を内容とする暫定労働協約案、時間外及び休日労働に関する協定案並びに賃金控除協定案を添えて団体交渉の申入れ書を手交した。 これに対して、会社は、同月一八日、清和労組に「質問、申し入れ並びに回答書」と題した文書(内容については、後記第1の3に記載する。)を交付した。そして、翌一九日午前九時頃、P9課長が、朝礼に出席していた日勤の従業員及び夜勤明けの従業員全員に、同じ内容の文書を配布した。 (3) 清和労組結成後、同年二月中旬から同年三月上旬を中心に、P42社長や会社専務取締役P1(以下「P1専務」という。)らの会社職制は、組合員であるP4、P6、P7及びP8らに対し、社長室へ呼付けあるいは自宅を訪問したりして、「労働組合ができると会社が潰れる。」「P2委員長は信頼できない。」「組合と心中するつもりか。」等の発言をして、組合からの脱退を強要ないし勧誘したばかりでなく、脱退届を書かせたりした。 (4) 会社は、清和労組からの脱退届の用紙を作成し、P42社長やP1専務らがこれをP7ら組合員に配付した。併せて、脱退届記載のマニュアルとして「組合の方針について行けない」「考えた結果自分の信念に基づいて決めた」「私の自由意志である」など脱退理由の例を作成し、脱退届記載の際にこれを呈示して、その他の組合員が脱退届を作成し易くし、組合脱退を幇助した。 (5) P1専務が、P2委員長に対して、同年二月二日に「この円高で受注が大変厳しい時期にそのような事を行なっていたのでは会社がおかしくなってしまうのではないか。まして自社製品を持たない会社で た。 (5) P1専務が、P2委員長に対して、同年二月二日に「この円高で受注が大変厳しい時期にそのような事を行なっていたのでは会社がおかしくなってしまうのではないか。まして自社製品を持たない会社では無理でないのか。」と言ったり、またその後、「会社は上部団体を外せば団体交渉に応じる。アルプス電気は強い組合は認めないと言われているので″労働委員会″にして労使でうまくやろう。」とか「もし、会社が倒産したら、執行委員長である君は、全従業員の生活に対して、どう責任をとろうとするのか。」と言ったりした。 (6) 同年一月一〇日結成時三四名だった清和労組の組合員数は、同月二八日には一一九名に増加したが、その後、脱退者が続出して、同年二月二一日には六七名となり、さらに、本件結審時には、前記第1の1(2)〔当事者である清和労組〕に記載のとおり、八名と激減した。 3 会社見解を示す文書の配布について前記第1の2(2)〔清和労組結成後の状況〕に記載のとおり、昭和六三年一月一一日付の団体交渉申入れに対して、同月一八日、会社は清和労組に次の文書を交付した。そして、翌一九日午前九時頃、P9課長が、朝礼に出席していた日勤の従業員及び夜勤明けの従業員全員に、同じ内容の文書を配布した。 <08498-003><08498-004><08498-005><08498-006><08498-007> 4 本件申立て前後の経緯(1) 昭和六三年一月一九日、清和労組は、団体交渉応諾をあっせん事項として、当委員会にあっせんを申請したが、会社は同月二六日付文書であっせんを辞退し、当委員会は、実情を把握するため、同月二八日、労働委員会規則第六二条の二による事務局調査を行わせたが、会社はこれを拒否した。 (2) 同年一月二九日、清和労組と地方金属は本件申立てをし、同年二月一日付 委員会は、実情を把握するため、同月二八日、労働委員会規則第六二条の二による事務局調査を行わせたが、会社はこれを拒否した。 (2) 同年一月二九日、清和労組と地方金属は本件申立てをし、同年二月一日付で申立人より、被申立人が申立人組合員に対する脱退強要等の支配介入行為を直ちに止めるべき旨の実効確保の措置勧告申立てがなされ、当委員会は同月三日付で不当労働行為と疑われるような行為をしないようにという勧告を行った。 (3) 同年二月一二日、第一回審問を開催し、同日、当委員会は福地労委昭和六三年(不)第一号清和電器産業(株)事件を団体交渉拒否に関する部分と支配介入に関する部分とに分離した。そのうち、支配介入に関する部分が本件である。 (4) 同年三月二日、当委員会は分離した事件のうち団体交渉拒否に関する件について命令を出し、同月三日に被申立人に同月四日に申立人である二組合に、それぞれ命令書の写を交付したが、被申立人は、この命令を履行しないまま同月一六日付で再審査申立てを行い、今日に至っている。 第2 判断 1 会社職制の一般組合員に対する言動について申立人は、会社職制が組合員に対し、組合脱退を強要あるいは勧誘したと主張し、被申立人はこれを争っているので、以下判断する。 (1) 当委員会は、前記認定事実2(3)、(4)に示したように、組合員であるP4、P6、P7、及びP8らに対し、会社職制から組合脱退を強要もしくは勧誘し、その他の組合員に対して脱退届の作成を容易ならしめて、組合脱退を幇助したと認めたのであるが、その内容の詳細は以下のとおりである。 (2) 昭和六三年二月五日午後八時四五分頃、P4が仕事場であるオート室で一人になったとき、P1専務がオート室に入ってきて、P4に対して「もし、会社が潰れたらどうする。」「東芝とかNECとか大きい会社ならいいだろ 三年二月五日午後八時四五分頃、P4が仕事場であるオート室で一人になったとき、P1専務がオート室に入ってきて、P4に対して「もし、会社が潰れたらどうする。」「東芝とかNECとか大きい会社ならいいだろうけどこの会社は組合を作ったらやって行けない。」「アルプスから組合を作ったんでは仕事がもっていかれちゃうぞ。」等の発言をし、さらに、翌六日午後四時三〇分頃、P1専務はP4を市内レストランに呼出し、「うちの会社は、組合があったんではやっていけない。」「執行委員の頭の人は労働組合の団体の上の人間になれる可能性があるし、彼は会社にうらみをもっているから、組合員の人達にいいように言ってるだろうけど実は違うんだ。会社がつぶれればいいと思ってる。」「組合費もバカにならない。もし組合が成功して三、〇〇〇円上がっても三、〇〇〇円取られたら何にもならないだろう。」「P2君(P2委員長)におどしをかけられている。彼のバックにはこれもん(頬を指でなでながら)がついている。」等の発言をして、組合からの脱退を勧めた。 P4は、本件第二回審問の証人として予定されていたが、当日は審問に出頭せず、その後、会社を辞め、その間、甲第一八号証の二を作成し、上記経過を具体的事実に即して詳細に表現しながら、次いで、被申立人の要請にこたえて乙第三八号証を作成し、組合と会社の板ばさみとなった苦悩を表現している。 (3) 同年二月二八日午後五時頃、P42社長が、P8の自宅を、その直属の上司である会社係長P5(以下「P5係長」という。)を同道させて訪問した。これまで社長の訪問を受けたことがなく突然の訪問にびっくりしたP8に対して、P42社長は「組合があるとアルプスから仕事をもらえない。」とか、「仕事がなくなり会社が潰れてしまう。」という話をして、脱退を迫った。また、「労働組合を脱退してもら 訪問にびっくりしたP8に対して、P42社長は「組合があるとアルプスから仕事をもらえない。」とか、「仕事がなくなり会社が潰れてしまう。」という話をして、脱退を迫った。また、「労働組合を脱退してもらって労働委員会なる親睦団体を作る。」という話をした。 (4) 同年二月二八日午後九時三〇分頃、P1専務が、手土産を持って、P7の自宅を訪問し、P7に対して、その両親の前で「組合があると会社が危ない。」「P2委員長は、信頼できる人なのか。自分は信頼してない。」「組合と心中するつもりなのか。」ということを話して、組合からの脱退を勧めた。その際、P1専務は、「脱退届の用紙は私のところにある。」と話した。P7は、それまで会社の役員や管理職の訪問を受けたことがなく、専務の来訪に驚いて両親と話合った結果、会社が潰れては困るということで、組合脱退を決意した。 同年三月二日、P7は、第一工場内の社長室に行き、P1専務と会った。P1専務は、脱退届の用紙とともに、脱退届に書く理由を書いたメモのようなものをP7に渡し、「これを見て書いてくれ。」と言った。P7は、その中から、「組合の方針について行けない」と「考えた結果、自分の信念に基づいて決めた」の二項目を選んで脱退届に記載し、組合に提出した。 P7は、以上の経過を経て、清和労組を脱退したが、その後、再加入した。 (5) 同年二月二八日午後七時頃、P42社長とP5係長が、P6の自宅を訪れ、P6とその父に対し、会社が危ない、組合が会社を潰す、組合は共産主義だと思っている、アルプス電気から仕事がもらえない等の趣旨の発言をして、午後一一時頃までの間に組合からの脱退を勧誘し、父親を説得し、P6に無理に脱退届に押印させた。 P6は同年三月一四日に当委員会の審問に出席のうえ証言する予定であったが、証言することをやめ、会社も退職し、 一一時頃までの間に組合からの脱退を勧誘し、父親を説得し、P6に無理に脱退届に押印させた。 P6は同年三月一四日に当委員会の審問に出席のうえ証言する予定であったが、証言することをやめ、会社も退職し、乙第一七号証を提出して会社を辞めたのは会社側から強制されたものではないと陳述しているが、前記P42社長らの言動を否定する内容とはなっていない。 (6) 脱退届記載のアニュマルの点は、甲第二七ないし第三二号証に記載された文章が「組合の方針について行けない」、甲第二七、第三三ないし第三七号証が「考えた結果信念に基づいて決めた」、甲第三八ないし第四二号証が「私の自由意志である」というもので、これの存在だけからも何者かの意図が充分汲み取れるところ、証人P7の証言によって、P1専務から示された書面に記載されていたことが立証され、これに反する証拠はない。 (7) 以上の事実に前記認定事実2(6)の組合員の急激な減少の点と考え合わせれば、被申立人が会社の職制ぐるみで、清和労組の組合運営に支配介入したもので不当労働行為であることは明らかである。 2 P1専務のP2委員長に対する言動について申立人は、P1専務は、P2委員長に対して、組合に圧力をかけ、組合運営に介入する発言をしたと申立てているのに対し、被申立人は、言論の自由の範囲内での発言であると主張しているので、以下判断する。 前記1に判断したとおり当委員会は、被申立人が会社の職制ぐるみで組合員に対し、組合からの脱退を要求し又は勧誘したと認め、清和労組の組合運営に支配介入したと考えるもので、このことと、清和労組結成後未だ団体交渉に応じていない会社の専務がわざわざ執行委員長に話を持ちかけて来ることは、極めて不自然であり、その内容も言論の自由として許容される範囲を逸脱していると認められ、P1専務がP2委員長に対 未だ団体交渉に応じていない会社の専務がわざわざ執行委員長に話を持ちかけて来ることは、極めて不自然であり、その内容も言論の自由として許容される範囲を逸脱していると認められ、P1専務がP2委員長に対して組合に圧力をかけ組合運営に介入する発言をしたことは明らかである。 3 会社見解を示す文書の配布について申立人は、一方的に会社側の見解を述べた文書を配布したものであり、組合への支配介入行為である、と主張し、被申立人は、労使問題の現状と会社の見解を従業員に周知させることは使用者の言論の自由に属する行為であって支配介入に該当しない、と主張するので、以下判断する。 この文書の内容は前記第1の3認定のように、「貴組合は労働組合法上、独立した自主的な労働組合であるのでしょうか。」「一部管理監督者が中心となって、その職務と権限を利用し、または、職務を放棄し…とのことであるが、これは事実であるのか否か」「「管理監督者が組合活動をやっているのはおかしい。」「管理監督者が組合に加入している組合は労働組合ではない。」「しらないうちにかってに組合員にされて困っている。」「一部管理監督者が職務と権限を利用し、組合加入活動をしたのでやむを得ず加入した。」など数多くの問い合せがきています。」「組合からの脱退に関しても、「自らの意思で脱退することは自由であり、組合がこれを拒否したり、阻止したりすることはできない。」「脱退の自由を不当に制限することは違法であり、その組合の行為は無効である。」との裁判所の判決もあります。」等々を内容とするものであり、あたかも組合がこのような誤った活動をしているかの如き印象を与えかねないもので、これを、組合結成直後の朝礼において労使問題の現状と会社の見解として従業員に発表することは、不穏当であるばかりでなく、不適当であり、これは、組合弱体 活動をしているかの如き印象を与えかねないもので、これを、組合結成直後の朝礼において労使問題の現状と会社の見解として従業員に発表することは、不穏当であるばかりでなく、不適当であり、これは、組合弱体化を意図して組合の不適合性を主張したものと言わざるを得ない。 4 結論以上の判断のように、本件は、被申立人が、会社の職制ぐるみで、清和労組の組合員に対し、組合を非難・中傷する言動をし、また、組合の解散や組合からの脱退を要求ないし勧誘したりなどして、申立人の組合運営に支配介入したものであり、これは、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為である。 5 命令の内容について申立人は、陳謝文の掲示の他、陳謝文の新聞掲載も併せて求めているが、主文第二項記載のとおりで充分であると判断する。 第3 法律上の根拠以上のとおりであるから、労働組合法第二七条及び労働委員会規則第四三条の規定を適用して主文のとおり命令する。 昭和六三年一〇月一七日福島県地方労働委員会会長 P43
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