昭和55(オ)153 所有権移転登記手続

裁判年月日・裁判所
昭和57年1月22日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所 昭和54(ネ)217
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人青木仁子の上告理由一の(一)について  一 原審の確定した事実関係

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判決文本文2,330 文字)

主    文      原判決を破棄する。      本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人青木仁子の上告理由一の(一)について  一 原審の確定した事実関係の概要は、次のとおりである。すなわち、上告人ら の先代亡D(昭和五三年三月一一日死亡)は、昭和二八年三月九日、被上告人から 一〇万円を借受けて、その所有にかかる第一審判決別紙物件目録記載の土地(以下 「本件土地」という。)を譲渡担保として提供し、同日、被上告人に対し売買名下 に所有権移転登記を経由したところ、右債務(以下「本件債務」という。)の弁済 期は遅くとも同二九年一二月末日に到来したが、その後Dは、同四七年六月二〇日 に被上告人に対し、本件債務の弁済として一〇万円(元金相当額)を現実に提供し、 更に、同五一年三月八日に残債務を弁済した。  二 上告人らの本訴請求は、右事実関係のもとで、本件債務がDの弁済により消 滅したため、Dにおいて、本件土地所有権を回復したか、又は被上告人に対する本 件土地所有権の返還請求権を取得したところ、上告人らはDの死亡によりこれを承 継したとして、被上告人に対し、本件土地の所有権移転登記手続を求めるものであ る。  三 右請求についての原審の判断の概要は、次のとおりである。すなわち、(1)  譲渡担保提供者(債務者)は債務を弁済して目的物を受戻すことを請求できるが、 右権利すなわち、受戻権は、いわゆる形成権であつて、民法一六七条二項により二 〇年間これを行使しないときは、時効により消滅する、(2) 受戻権は、債務者が 債権者に対し債務の元利金及び遅延損害金等の全額を現実に提供して、受戻の意思 表示をなす方法により行使すべきもので、もとより債務の本旨に従つた弁済をなす - 1 - べきものである、(3) ところで、本件債務の履行期は遅くとも昭和二 延損害金等の全額を現実に提供して、受戻の意思 表示をなす方法により行使すべきもので、もとより債務の本旨に従つた弁済をなす - 1 - べきものである、(3) ところで、本件債務の履行期は遅くとも昭和二九年一二月 末日に到来したから、Dは翌三〇年一月一日以降は債務を弁済して本件土地の受戻 を請求し得ることとなつたものというべきところ、Dは、本件債務の弁済として、 昭和四七年六月二〇日被上告人に対し一〇万円(元金相当額)を現実に提供したが、 同三〇年一月一日以降の民法所定年五分の割合による遅延損害金について現実の提 供をしていない以上、同人のした右提供は債務の本旨に従つたものとは言い得ない、 (4) Dは、その後同五一年三月八日に至つて残債務を弁済したが、本件土地の受 戻権は右弁済に先立ち、二〇年の時効期間の経過によつて既に消滅しているもので ある。   原審は、以上の判断により、上告人らの本訴請求を棄却すべきものとした。  四 ところで、不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が債務の履行 を遅滞したときは、債権者は、目的不動産を処分する権能を取得し、この権能に基 づいて、当該不動産を適正に評価された価額で自己の所有に帰せしめること、又は 相当の価格で第三者に売却等をすることによつて、これを換価処分し、その評価額 又は売却代金等をもつて自己の債権の弁済に充てることができるが、他方、債務者 は、債務の弁済期の到来後も、債権者による換価処分が完結するに至るまでは、債 務を弁済して目的物を取り戻すことができる、と解するのが相当である。そうする と、債務者によるいわゆる受戻の請求は、債務の弁済により債務者の回復した所有 権に基づく物権的返還請求権ないし契約に基づく債権的返還請求権、又はこれに由 来する抹消ないし移転登記請求権の行使として行われるものというべきであるから、 原判示 、債務の弁済により債務者の回復した所有 権に基づく物権的返還請求権ないし契約に基づく債権的返還請求権、又はこれに由 来する抹消ないし移転登記請求権の行使として行われるものというべきであるから、 原判示のように、債務の弁済と右弁済に伴う目的不動産の返還請求権等とを合体し て、これを一個の形成権たる受戻権であるとの法律構成をする余地はなく、したが つてこれに民法一六七条二項の規定を適用することは許されないといわなければな らない。 - 2 -   してみれば、前掲の見解を前提として、Dのした本件債務の弁済が形成権たる 受戻権の二〇年の時効期間経過後にされたものであることを理由に弁済の効力を否 定した原審の判断には、譲渡担保に関する法令の解釈、適用を誤つた違法があるも のといわなければならない。そして、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが 明らかであるから、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免 れない。そして、本件債務について、その本旨に従つた弁済がなされたかどうか、 本件土地についてDが返還請求権を取得したかどうか等につき、更に審理を尽くさ せる必要があるから、これを原審に差し戻すのが相当である。 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決 する。      最高裁判所第二小法廷          裁判長裁判官    宮   崎   梧   一             裁判官    栗   本   一   夫             裁判官    木   下   忠   良             裁判官    鹽   野   宜   慶 - 3 -  宜   慶 - 3 -

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