平成27(ワ)390 賃金等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成30年11月9日 水戸地方裁判所
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判決文本文49,269 文字)

平成30年11月9日判決言渡平成27年(ワ)第390号賃金等請求事件 主文 1 被告Cは,原告Aに対し,99万8380円及びこれに対する平成27年8月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Cは,原告Aに対し,99万4805円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告Aのその余の請求をいずれも棄却する。 4 原告Bの請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,被告協同組合つばさに生じた費用の10分の7と原告Bに生じた費用を同原告の,原告Aに生じた費用と被告Cに生じた費用の各8分の1を同被告の,その余を原告Aの負担とする。 6 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告Cは,原告Aに対し,165万3915円及びこれに対する平成27年8月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Cは,原告Aに対し,165万3915円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3(1) 主位的請求被告Cは,原告Aに対し,259万0137円及び別紙原告A賃金一覧表の「各月賃金」欄記載の各金員に対する「支払日」欄記載の各日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 予備的請求被告Cは,原告Aに対し,259万0137円及びこれに対する平成26年11月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告らは,原告Aに対し,連帯して330万円及びこれに対する平成27年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告Bと被告協同組合つばさとの る金員を支払え。 4 被告らは,原告Aに対し,連帯して330万円及びこれに対する平成27年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告Bと被告協同組合つばさとの間において,原告Bが,被告協同組合つばさに対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 6 被告協同組合つばさは,原告Bに対し,172万3333円及びうち42万3333円に対する平成27年1月1日から,うち26万円に対する同年2月1日から,うち26万円に対する同年3月1日から,うち26万円に対する同年4月1日から,うち26万円に対する同年5月1日から,うち26万円に対する同年6月1日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 7 被告協同組合つばさは,原告Bに対し,平成27年6月から本判決確定の日まで,毎月末日限り,26万円及びこれに対する各翌月1 日から支払済みまで年5分の割合による金員,並びに,平成27年から本判決確定の日まで,毎年12月31日限り,88万円及びこれに対する各翌年1 月1 日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件のうち,原告Aの請求に係る部分は,中華人民共和国の国籍を有する女性の技能実習生である同原告が,監理団体である被告協同組合つばさ(以下「被告組合」という。)を介して,実習実施機関であり大葉の栽培を営む被告Cとの間で雇用契約を締結していたところ,① 雇用契約に基づき,大葉を束ねる作業(以下「大葉巻き作業」という。)を行ったとして,被告Cに対し,同作業に係る未払の残業代165万3915円及びこれに対する平成27年8月26日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払並びに上記同額の付加金及びこれに対する判決確定の日の翌日から 165万3915円及びこれに対する平成27年8月26日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払並びに上記同額の付加金及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(請求の趣旨第1項及び第2項),② 被告Cに対し,主位的に,被告Cの責めに帰すべき事由により原告Aの労務提供が不能になっ たとして,雇用契約に基づき,平成27年1月1日から平成28年9月13日(雇用期間の満了日)までの各月の賃金(合計259万0137円)及びこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を(請求の趣旨第3項(1)),予備的に,被告Cの不正行為により原告Aの就労継続が不可能となったとして,不法行為(民法709条)に基づき,上記の期間の賃金相当額259万0137円及びこれに対する平成26年11月30日(不法行為日)から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(請求の趣旨第3項(2)),③ 被告Dから原告Aがセクシュアル・ハラスメント(以下「セクハラ」という。)を受け,同セクハラについて被告組合に対応を求めたにもかかわらず何らの措置もとらなかったなどとして,被告Dに対しては不法行為(同法709条)に基づき,被告Dの使用者である被告C(なお,被告Dは被告Cの父である。)に対しては被用者に対する安全配慮義務違反の債務不履行(同法415条),被告Dとの共同不法行為(同法719条1項)又は使用者責任(同法715条)に基づき,被告組合に対しては被告C及び被告Dとの共同不法行為(同法715条)に基づき,連帯して慰謝料及び弁護士費用合計330万円及びこれに対する平成27年1月17日(最終の不法行為日)から支払済 に基づき,被告組合に対しては被告C及び被告Dとの共同不法行為(同法715条)に基づき,連帯して慰謝料及び弁護士費用合計330万円及びこれに対する平成27年1月17日(最終の不法行為日)から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(請求の趣旨第4項)事案である。 本件のうち,原告Bの請求に係る部分は,同原告は被告組合との間で雇用契約を締結していたところ,被告組合が平成26年12月15日付けでした原告Bの解雇が無効であるとして,被告組合に対し,雇用契約上の地位の確認を求める(請求の趣旨第5項)とともに,雇用契約に基づき,解雇日以後本判決確定の日までの各月分の賃金(各月末締め同日払い,月額26万円(ただし,平成26年12月分のみ13万円))及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金並び に賞与88万円(各年12月31日締め同日払い)及び各支払日の翌日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(請求の趣旨第6,7項)事案である。 1 前提事実(当事者間で争いがないか掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 外国人技能実習制度(甲25)ア外国人技能実習制度は,我が国で開発され培われた技能・技術・知識の開発途上国等への移転を図り,その発展を担う人材育成に協力することを目的として創設された制度であり,同制度上,技能実習生は,出入国管理及び難民認定法2条の2第1項により同法別表第一の二の表の技能実習の在留資格をもって在留を許可され,本邦において,同法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄に掲げる活動を行うことができる。 イ技能実習で行うことができる活動の内容は,技能を修得する「技能実習1号」の活動と,修得した技 を許可され,本邦において,同法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄に掲げる活動を行うことができる。 イ技能実習で行うことができる活動の内容は,技能を修得する「技能実習1号」の活動と,修得した技能等に習熟するための「技能実習2号」の活動に分かれ,それぞれが,本邦の企業等(実習実施機関)が海外の現地法人,合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する企業単独型と,商工会や中小企業団体等営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ,監理団体が監理する企業等(実習実施機関)で技能実習を実施する団体監理型に分かれている。 団体監理型の受入れにおいて,技能実習生は,入国当初に講習を受けた後,実習実施機関との雇用契約の下で,監理団体の責任及び監理の下に技能実習を行う。監理団体は,技能実習生の技能等を修得する活動の監理を行う営利を目的としない団体をいい,「出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄に規定する団体の要件を定める省令」の要件を充たしたものをいう。監理団体は,実習実施機関において技能実習が適正に実施されているかを確認し指導する義務を負う。 ウ 「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」の「法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄第1号ロに掲げる活動」の項16号は,監理団体,実習実施機関又はあっせん機関による不正行為の類型を定めている。不正行為認定を受けた監理団体及び実習実施機関は,不正行為の類型に応じて,最長5年間にわたり技能実習生の受入れが停止され,在留する技能実習生も実習を中止して帰国することになる。 (2) 当事者等ア原告ら(ア) 原告A原告Aは,中華人民共和国の国籍を有する女性であり,平成25年9月13日,被告組合を監理団体,被告Cを実習実 も実習を中止して帰国することになる。 (2) 当事者等ア原告ら(ア) 原告A原告Aは,中華人民共和国の国籍を有する女性であり,平成25年9月13日,被告組合を監理団体,被告Cを実習実施機関として,「技能実習1号ロ」の在留資格で入国し,被告Cとの間で,同年10月16日に雇用契約(以下「A雇用契約」という。)を締結し,被告C方の大葉農場において勤務を開始した。 (イ) 原告B原告Bは,被告組合との間で平成25年9月に雇用契約(以下「B雇用契約」という。)を締結し,書類作成や被告組合が監理する農家の技能実習生の管理業務などを担当していた。 イ被告組合及びその関係者等(ア) 被告組合茨城県内における実習実施機関の監理団体の1つである。被告組合は,就業規則を定めていない。 (イ) E被告組合の相談員であり,被告組合に入社する前は,協同組合若葉の理事長として外国人研修生・実習生の受入事業を行っていたことから,被告組合においても理事長と呼ばれることがあった。 ウ被告C及び被告D(ア) 被告C大葉の栽培を営む農家で,被告組合に加盟し,原告Aらの中国人技能実習生を受け入れていた。 (イ) 被告D被告Cの父であり,被告Cと同居していて,被告Cの営む大葉農家の被用者である。 エ中国交遠国際経済技術合作公司(以下「交遠」という。)中国における技能実習生の送出機関であり,Fはその日本駐在員である。 原告Aは,交遠から被告組合に派遣された(乙80,81)。 (3) A雇用契約ア A雇用契約の内容は以下のとおりである。 (ア) 雇用期間平成25年10月16日から平成28年9月13日まで(イ) 給与時給713円(平成26年10月からは729円)(ウ) 時間外割増賃金 の内容は以下のとおりである。 (ア) 雇用期間平成25年10月16日から平成28年9月13日まで(イ) 給与時給713円(平成26年10月からは729円)(ウ) 時間外割増賃金 25%60時間を超えた場合 25%所定労働時間を越えた場合 25%法定外休日 25%法定休日 35%深夜割増賃金 25%(エ) 支払日毎月末日締め翌月5日払い(オ) 勤務時間平日は午前8時00分から午後5時00分まで(労働時間7時間),土曜は午前8時00分から午後3時00分まで(労働時間5時間)。 (カ) 休憩時間 120分(キ) 業務内容耕種農業・施設園芸 (ク) 控除住居費月額2万5000円(平成26年9月から2万円に変更)(ケ) 水道光熱費月額1万円イ A雇用契約上の勤務時間は上記のとおりであるが,土曜日に5時間の作業時間があるため,実際には,平日は午前8時に始業し,午後4時まで大葉の摘み取り作業を行っており,午前に15分の,昼食に1時間の休憩があった。原告Aは,その後,夕食及び入浴のための1時間の休憩の後,大葉巻き作業を行っていた。 (4) B雇用契約原告Bと被告組合との間で,賃金は年額400万円の年俸制で合意され,その支払方法は次のようなものであった。 ア 1か月毎の支払として,毎月末日締め同日払いで,月額26万円が支給されていた(年額312万円)。 ただし,平成26年12月は半額のみの支給である。 イまた,年間賞与として年額88万円の支給があり,8か月分を8月に,4か月分を12月に支給することとなっていた。実際には,平成25年12月及び平成26年8 成26年12月は半額のみの支給である。 イまた,年間賞与として年額88万円の支給があり,8か月分を8月に,4か月分を12月に支給することとなっていた。実際には,平成25年12月及び平成26年8月に,次のとおりの賞与の支給を受けた。 平成25年12月 21万9533円(手取り18万3300円)平成26年8月 58万6667円(手取り48万9239円)(5) 技能実習の状況被告Cは,中国人の技能実習生らを雇用して,大葉の生産・出荷業務を行っていたが,原告Aが被告C方で稼働していた期間,平均して6名の技能実習生らが稼働し,平成26年11月頃は技能実習生のうち5名が女性(原告A,G,H,I,J),1名が男性(K)であった。被告C方の離れには,男女別の技能実習生用の住まいがあり,原告Aを含む女性の技能実習生らは1DKの部屋を共同して使用していた。 (6) 被告Cの原告Aに対する支払被告Cは,原告Aに対し,給与として,以下のとおり支払をした。 ア平成25年10月分 5万5045円イ同年11月分 11万1937円ウ同年12月分 10万2760円エ平成26年1月分 9万1351円オ同年2月分 7万3022円カ同年3月分 11万9836円キ同年4月分 14万0813円ク同年5月分 14万8088円ケ同年6月分 14万0267円コ同年7月分 14万3427円サ同年8月分 13万9228円シ同年9月分 14万8348円ス同年10月分 15万1728円セ同年11月分 16万1711円(7) 原告Aのセクハラ被害の訴え等原告Aは,平成25年11月26日,被告組合に対し,セクハラの被害を訴え, ス同年10月分 15万1728円セ同年11月分 16万1711円(7) 原告Aのセクハラ被害の訴え等原告Aは,平成25年11月26日,被告組合に対し,セクハラの被害を訴え,同月28日,Eに対し,セクハラの被害に係る損害賠償や大葉巻き作業の未払の残業代の支払を求めた(原告A19,36頁)。被告組合は,同月30日,被告C方の技能実習生のうち2名(JとK)を被告C方から連れ出したが,その他の4名はこれに同行しなかった。 (8) 実習実施機関の変更原告Aは,平成26年12月1日以降,被告Cの下では労務を提供しておらず,同月9日,株式会社テンアップファーム(以下「テンアップファーム」という。)の面接を受け,同月11日,同社で働き始めた。同社の監理 団体であるアドバンス協同組合は,同月12日付けで東京入局管理局長宛てに,原告の技能実習先を被告Cからテンアップファームに変更する旨の技能実習先変更理由書を提出し(乙16(1枚目)),同日付けで被告組合との間で,技能実習生の監理団体変更に伴う合意をした(同26枚目)が,その後原告Aの同社での実習はできなくなった。 (9) 原告Bに対する解雇等ア被告組合は,原告Bを,平成26年12月15日付けで解雇(以下「本件解雇」という。)した。被告組合の同月25日付けの解雇理由証明書には,解雇事由として,以下の記載がある(乙19)。 (ア) 警察への通報原告Bが,警察に対し,① 平成26年11月30日,被告組合が技能実習生を拉致した旨の,② 同年12月6日,被告組合が傷害事件を仕組んだ旨の,③ 同月13日,被告組合が原告Bを監禁した旨の,事実に反する通報(以下,それぞれの通報を「11月30日の通報」,「12月6日の通報」,「12月13日の通報」という。)をした。 (イ 仕組んだ旨の,③ 同月13日,被告組合が原告Bを監禁した旨の,事実に反する通報(以下,それぞれの通報を「11月30日の通報」,「12月6日の通報」,「12月13日の通報」という。)をした。 (イ) 監査結果報告書の持出し等原告Bが,監査結果報告書を作成するためのソフトを消去し,また,監査結果報告書を無断で持ち出した。 (ウ) 遅刻・無断外出原告Bが,勤務時間中の無断外出を繰り返し,平成26年12月13日には,「必ずこの組合をつぶす」との発言をした上で無断外出した。 イ被告組合は,平成26年12月15日,原告Bに対し,同月分の賞与として社会保険料等控除後の24万4113円(総支給額29万3333円)を支払い(乙17,18),同月26日,解雇予告手当として1か月分の給与34万3341円を支払った。 (10) 大葉巻き作業についての残業代の支払の清算等 ア被告組合は,平成26年12月18日,原告Aに対し,大葉巻き作業の残業代として,1時間200束として計算して67万円を支払うことなどを内容とする和解案を提示したが,原告Aは,これに応じなかった。被告C方の他の技能実習生は,その頃,1時間200束として計算した大葉巻き作業の残業代の支払を受けることで和解した。 イ被告組合は,水戸市内のアパートを原告Aの住居として用意し,原告Aは,平成27年1 月17日から同所で生活するようになった。 2 争点本件の争点は以下のとおりである。 (1) 原告Aの請求関係ア請求の趣旨第1項及び第2項(未払残業代及び付加金の請求)(ア) 大葉巻き作業が,雇用契約に基づく労務の提供として行われたものか,請負契約に基づき行われたものか(争点1)(イ) 原告Aの労働時間及び未払の賃金額(争点2)イ請求の趣旨第3項(ア (ア) 大葉巻き作業が,雇用契約に基づく労務の提供として行われたものか,請負契約に基づき行われたものか(争点1)(イ) 原告Aの労働時間及び未払の賃金額(争点2)イ請求の趣旨第3項(ア) 主位的請求(労務提供不能後の賃金請求)原告Aの労務提供不能についての被告Cの帰責事由の有無(争点3)(イ) 予備的請求(労務提供不能に係る損害賠償請求)原告Aの労務提供不能についての被告Cの不法行為の成否等(争点4)ウ請求の趣旨第4項(セクハラ行為等に係る損害賠償請求)(ア) セクハラ行為を理由とする損害賠償請求の可否a 被告Dの原告Aに対するセクハラ行為の有無及び不法行為の成否(争点5)b 被告Dのセクハラ行為に係る被告Cの安全配慮義務違反の有無,共同不法行為の成否及び使用者責任の成否(争点6)c 被告Dのセクハラ行為に係る被告組合の共同不法行為の成否(争点 7)(イ) 権利行使妨害を理由とする損害賠償請求の可否(争点8)(ウ) 原告Aに生じた損害額(争点9)(2) 原告Bの請求関係原告Bの解雇理由及び解雇の相当性の有無(争点10) 3 争点に関する当事者の主張(1) 大葉巻き作業が,雇用契約に基づく労務の提供として行われたものか,請負契約に基づき行われたものか(争点1)(原告Aの主張)ア原告Aは,被告C方での作業を始めるに当たり,大葉巻きについて,被告C,被告Dあるいは先輩の技能実習生から,日中に摘み取った大葉を,午後5時以降に,10枚1束として,1束2円で束ねるよう指示を受け,被告Cによる指揮監督の下,大葉巻き作業に従事していたから,大葉巻き作業は,A雇用契約に基づき行われたものである。 イ被告Cは,大葉巻き作業は摘み取った翌日以降に行ってもよかった旨の主張をするが, 告Cによる指揮監督の下,大葉巻き作業に従事していたから,大葉巻き作業は,A雇用契約に基づき行われたものである。 イ被告Cは,大葉巻き作業は摘み取った翌日以降に行ってもよかった旨の主張をするが,鮮度が重要となる大葉の出荷作業において,大葉の結束を翌日以降に行っていいなどという杜撰な管理はされていなかった。また,Kは大葉巻き作業に従事していなかったが,同人は大葉を摘む作業そのものに従事しておらず,結束する大葉がなく,大葉巻き作業の指示を受けていなかったためであって,希望しなかったために大葉巻き作業を免除されていたわけではない。 (被告Cの主張)原告Aがした大葉巻き作業がA雇用契約に基づくものであることは否認する。大葉巻き作業は,元々被告Cが1束3円で外部業者に発注していたところ,技能実習生から1束2円でやらせてほしいとの申出があったため,希望する技能実習生に対し,大葉巻き作業を頼むことにしたものであり,雇用契 約に基づく労働が終了した後,請負契約に基づいて行われた。大葉巻き作業をしたのは技能実習生のうち希望した者だけであり,大葉巻き作業をしなかった技能実習生もいた。 技能実習生が大葉巻き作業もすると,後で大葉を束ねやすいように大きさを揃えて摘み取ることから,摘み取りに時間が掛かって能率が下がるので,被告Cとしては,技能実習生に大葉を手早く摘み取ってもらって,大葉巻き作業は外部業者に依頼する方が効率的であるが,金を稼ぐために大葉巻き作業を請け負いたいとの技能実習生の希望に応じたものである。 大葉巻きにノルマはなく,被告Cの指揮監督の下で作業がされたわけでもなく,摘み取った大葉をその日のうちに巻き終わらなくても,冷蔵庫に保管して翌日以降に大葉巻き作業をすればよかった。そのことは,原告A作成のメモ(甲5)によれば,巻いた 監督の下で作業がされたわけでもなく,摘み取った大葉をその日のうちに巻き終わらなくても,冷蔵庫に保管して翌日以降に大葉巻き作業をすればよかった。そのことは,原告A作成のメモ(甲5)によれば,巻いた大葉の束の数が少ないときは200個以下であるのに対し,多いときは1500個を超えるなど,ばらつきが極めて大きいことからも明らかである。 よって,大葉巻き作業は,被告Cの指揮監督の下で行われたものではなく,請負契約に基づき行われたものというべきである。 (2) 原告Aの労働時間及び未払の賃金(争点2)(原告Aの主張)ア平成26年6月から同年11月まで原告Aは,この期間,毎日労働時間を記録しており(甲5。30分未満は切り捨てて記載した。),この記録によれば別紙時間・賃金計算書記載の時間,労務の提供を行った。 イ平成25年10月から平成26年1月まで及び同年5月原告Aは,月曜から土曜までは,午前8時から通常午後4時までの間大葉の摘み取りを行い,その間,午前中15分間,昼に1時間の休憩があった(甲5の7,8)から,大葉摘みの労働時間は,6時間45分であった。 原告Aは,午後5時からの大葉巻き作業をしていたが,平成26年6~11月の大葉巻き作業の時間と巻いた大葉の束の数によれば,大葉を1束巻くのに要する時間は24.38秒となる。平成25年10月から平成26年1月まで及び同年5月については,巻いた大葉の束の数と上記の大葉を1束巻くのに要する時間から大葉巻き作業に要した時間を推計すると,終業時間は,別紙2013年10月から2014年1月及び2014年5月の終業時間算出表のとおりである。 ウ平成26年2月から4月までこの期間については,原告Aが巻いた大葉の束の数の控えを所持していないため,所定労働時間内の労働時 014年1月及び2014年5月の終業時間算出表のとおりである。 ウ平成26年2月から4月までこの期間については,原告Aが巻いた大葉の束の数の控えを所持していないため,所定労働時間内の労働時間は月曜から金曜までは7時間,土曜日は5時間とし,各月に給与として受領した金額に近い額の給与を受け取った月の残業代を基に,残業時間を推計した。 エ小括よって,原告Aの平成25年10月から平成26年11月までの労働時間は,別紙未払い賃金一覧表のとおりであり,同表残業代欄記載の残業代が発生している。ところが,被告Cは,基本給と残業代を合わせて,同表既払い給与総額欄記載の金員しか支払っておらず,165万3915円の賃金が未払となっている。 (被告Cの認否反論)ア認否原告らの主張はいずれも否認し,争う。原告A作成の労働時間についてのメモ(甲5)は,信用することはできず,これを基に算定された労働時間についても信用することはできない。 イ反論技能実習生は,1束2円との条件で大葉巻き作業をしていたから,巻いた大葉の束数を記録する必要はあったが,作業時間を記録する必要はなく, 原告Aも大葉巻き作業の時間を記録しなかったことは,共に作業を行っていた技能実習生のJ及びGが陳述するとおりである(乙1,2)。 大葉巻き作業の手順は,① 大葉を選別する,② 大葉を10枚重ねる,③ 重ねた大葉の軸の部分を輪ゴムで束ねるという過程で行われるが,技能実習生らは後の大葉巻き作業が楽になるようにほぼ同じ大きさの大葉を摘み取るようにしているため,選別(①の作業)に要する時間は僅かで,現実に大葉巻き作業に要する時間は②,③に要する時間だけであった。被告組合の検証結果によっても,①~③の作業に要する時間は平均12~13秒程度であり,原 ため,選別(①の作業)に要する時間は僅かで,現実に大葉巻き作業に要する時間は②,③に要する時間だけであった。被告組合の検証結果によっても,①~③の作業に要する時間は平均12~13秒程度であり,原告Aが主張する24.38秒は明らかに実態に反し過大である。 仮に,原告Aが普通に大葉巻き作業をしていたのであれば,大葉巻き作業の時間と巻いた大葉の束数は概ね一致するはずであるが,甲5によると,平成26年8月3日は大葉巻き作業を6時間行って,218個の大葉の束を巻いたのに対し(別紙大葉巻所要時間計算表参照),同じく大葉巻き作業を6時間行った同年7月26日には961個の,同年9月19日には935個の大葉の束を巻いている。同じ作業時間であるのに結束数が4倍以上も異なっているのは不自然である。 (3) 原告Aの労務提供不能についての被告Cの帰責事由の有無(争点3)(原告Aの主張)原告Aは,平成26年12月18日,被告組合から,大葉巻き作業の残業代として67万円の支払を受けること,被告Dによるセクハラ行為については被害がなかったとする書面を作成することを内容とする和解の提案を受けたが,これに応じなかった。被告Cは,原告Aがこの提案に応じなかったことを理由に,平成27年1月17日以降,原告Aが労務を提供する機会を奪ったものであるから,原告Aによる労務の提供が不能になったことにつき,被告Cに帰責事由がある。 (被告Cの主張)原告Aがセクハラ被害を訴えたこと及び被告Cが技能実習生に技能実習外の作業である大葉巻き作業を行わせていたという不正行為が発覚したことから,被告組合は原告Aの被告Cの下における技能実習が継続できないと判断し,A雇用契約は,平成26年11月末日をもって終了した。そこで,原告Aは,同年12月11日,テンアップファ 行為が発覚したことから,被告組合は原告Aの被告Cの下における技能実習が継続できないと判断し,A雇用契約は,平成26年11月末日をもって終了した。そこで,原告Aは,同年12月11日,テンアップファームとの間で雇用契約を締結した。 被告Cは,A雇用契約を継続できる立場になく,原告Aの労務提供の機会を奪ったものではないから,原告Aによる労務の提供が不能になったことにつき,被告Cに帰責事由はない。 (4) 原告Aの労務提供不能についての被告Cの不法行為の成否等(争点4)(原告Aの主張)被告Cの主張を前提としても,被告Cが被告Dのセクハラ行為を放置し,技能実習外の作業である大葉巻き作業を行わせていたという不正行為をしたことにより,原告Aは,被告C方での技能実習の継続,すなわち,A雇用契約に基づく労務の提供の継続が不能になった。被告Cの上記不正行為は不法行為に該当するというべきであり,被告Cの不法行為により,原告Aは,平成27年1月1日から平成28年9月13日までに得られたはずの賃金相当額259万0137円の損害を被った。 (被告Cの主張)被告Dからセクハラ行為を受けたとの原告Aの訴えは原告Aの自演行為であり,被告Cが原告Aに技能実習外の作業をさせたのは,原告Aの強い要望に基づくものであるから,原告が就労不能になった原因は,専ら原告Aに存する。原告Aは,被告C方での就労の継続ができないことを了承した上で,テンアップファームへの移籍を希望したものである。 原告らは平成27年1月1日から平成28年9月13日までの将来賃金相当額が損害であると主張するが,原告Aは,平成26年12月11日以降, テンアップファームで就労しており,その後原告Aが就労できなくなったことは,テンアップファームでの就労が困難となったことや,被告組合が世話 するが,原告Aは,平成26年12月11日以降, テンアップファームで就労しており,その後原告Aが就労できなくなったことは,テンアップファームでの就労が困難となったことや,被告組合が世話をしたアパートから被告Aが所在を不明にしたことによるものであり,被告Cの行為と損害との間の相当因果関係がない。 (5) 被告Dの原告Aに対するセクハラ行為の有無及び不法行為の成否(争点5)(原告Aの主張)被告Dは,以下のとおり,原告Aに対するセクハラ行為に及んだところ,これが不法行為であることは明らかである。被告Dのセクハラ行為は,原告Aらが作成した「Dセクハラ及び公然猥褻行為に関する証明書」(甲6。以下「本件セクハラ証明書」という。)によって明らかである。 ア被告Dの原告Aに対するセクハラ行為(ア) 被告Dは,平成25年10月,原告Aが被告C方で技能実習を始めた日に,原告Aに対して「結婚してくれ。」と言い,技能実習開始後,日常的に,原告Aに対し,「一緒に寝てくれ」とか「一緒にシャワーに入る」などと言ってくるようになり,同人の胸や尻を触ったり,抱きつこうとしてくるようになった。ある日,被告Dは,原告Aに対し,「俺と結婚してくれ」と言い,同人がこれを断ると,「俺と結婚しなければ,俺の息子と結婚してくれ」と言った。 (イ) 被告Dは,平成26年4月21日,女性の技能実習生らの前でバナナを食べる時,バナナを自分の股に置いて振るという猥褻な動作をして,同人らの反応を見て楽しんだ。 (ウ) 被告Dは,同年5月28日,女性技能実習生らと一緒にビニールハウスのビニールを取り換える作業をしていたとき,自身の性器を露出して近づいて来て,笑いながら歩き回った。 (エ) 被告Dは,勝手に女性技能実習生らの部屋に入ってくることがしばし ビニールハウスのビニールを取り換える作業をしていたとき,自身の性器を露出して近づいて来て,笑いながら歩き回った。 (エ) 被告Dは,勝手に女性技能実習生らの部屋に入ってくることがしばし ばあり,同年7月20日夜,同人らの部屋のベッドと台所の間の通路に座り込み,通りかかった原告Aのスカートを突然下に引っ張った。 (オ) 被告Dは,同年8月4日,勝手に女性技能実習生らの部屋に入り,浴室の外に立ち,シャワーを浴びている原告Aに対し,「一緒にシャワー浴びたい」と声をかけた。 (カ) 被告Dは,同年8月10日,無断で女性技能実習生らの寝室に入り込み,ベッドの脇で寝ている女性技能実習生の姿を覗き見し,原告Aらが驚いて声を上げても出て行かなかった。 (キ) 被告Dは,同年11月4日,原告Aが作業をしているとき,後方から近づき,振り返った同人の胸を口で触り,手で尻を触った。 イ被告Dの他の女性技能実習生に対するセクハラ行為被告Dは,原告A以外の女性技能実習生らに対しても,誰の胸が小さいと言い,日常的に胸,尻,背中を触り,後ろから抱きつく,性的言動を行うといった様々なセクハラ行為を繰り返してきた(甲6)。 (ア) 被告Dは,平成26年6月10日,メロン包装用の網を広げて,女性技能実習生のIの胸に押し付け,同人が嫌がると,ズボンの外から自分の性器の辺りにメロン包装用の網を掛け,女性技能実習生に見せた。 (イ) 被告Dは,同年7月12日,作業中に,女性技能実習生のHの胸に懐中電灯で光を当てたり,テーブルの下から同人のスカートの中に光を当てて中を見て,周囲にも見るように呼びかけるなどした。 (ウ) 被告Dは,同年8月8日,休憩時間に指でGの胸を触り,同人の胸が小さいと発言した。 ウ原告Aがセクハラ被害を訴えることができなかった理由 中を見て,周囲にも見るように呼びかけるなどした。 (ウ) 被告Dは,同年8月8日,休憩時間に指でGの胸を触り,同人の胸が小さいと発言した。 ウ原告Aがセクハラ被害を訴えることができなかった理由原告Aら技能実習生は,来日前に中国側の送出機関に多額の保証金を支払い,連帯保証人も設定されて,3年間の技能実習期間の途中で帰国した場合には保証金は返金されず,連帯保証人にも損害賠償請求がなされると の説明を受けており,技能実習生が労働条件や職場環境に対する不満を訴えるなどして問題を起こした場合には技能実習を途中で終えなければならないと聞かされていたため,被告Dのセクハラ行為について告発することができないでいた。 (被告らの認否反論)ア認否いずれの事実も否認する。 イ反論(ア) 本件セクハラ証明書について本件セクハラ証明書は,原告Bが技能実習生らに対し署名したら一儲けできるとそそのかして署名させたもので,署名した技能実習生のG,I及びHはこれに署名したことを反省しており(乙6,9,10),信用性はない。 (イ) 被告C方における技能実習の状況等被告C方では,正月に技能実習生にお年玉を配ったり,おせち料理を振る舞ったり,年1回技能実習生全員を連れて,被告Dが費用を全て負担してリンゴ狩り及び観光に行ったりしていた(乙8の1~10)。原告Aは,平成26年11月4日に被告Dに胸や尻を触られ,そのセクハラ被害により同人の姿を見る度に恐怖を感じたというが,そのわずか4日後の同月8日に,友人と遊ぶ予定を変更して,丸1日被告Dと同行することになるリンゴ狩りに積極的に参加し(乙3),被告Dと2人で親しげに写真を撮っている(乙8の7,8)。これらによれば,原告Aが主張するセクハラ被害があったことはうかがわれな 丸1日被告Dと同行することになるリンゴ狩りに積極的に参加し(乙3),被告Dと2人で親しげに写真を撮っている(乙8の7,8)。これらによれば,原告Aが主張するセクハラ被害があったことはうかがわれない。 (ウ) セクハラ被害の訴えがなかったこと原告Aの中国側の送出機関である交遠は,同人から保証金を受領しておらず,違約金の定めもしていない(乙11)。交遠が実施している講 習のテキストには,セクハラ被害に遭った場合には即刻駐日代表に報告すること,駐日代表は迅速に正当な権益を守ることが明記されており,駐日代表の携帯電話の番号も記載されている(乙12の1)。駐日代表は被告C方から車で約15分の距離にある駐在事務所(茨城県小美玉市ab-c所在。乙12の1・5枚目)におり,24時間携帯電話で相談に対応できるようにしているにもかかわらず,原告Aから駐日代表に対するセクハラの連絡は一切なされていない。 (エ) 被告C方には被告Dの妻が同居していたこと被告Dには,昭和38年に結婚してから現在に至るまで,被告C宅で,妻のLと同居している(乙77,78の写真①,乙79)。それにもかかわらず,被告Dが原告Aに対し「結婚してくれ。」と発言することや,妻と同居している住居内でセクハラ行為に及ぶことは到底考えられない。 (オ) 被告Dの日常的なセクハラ行為を他の技能実習生全員が知らないことはあり得ないこと被告C方の女性技能実習生の部屋は,約10畳ほどで,本件当時,原告A,J,H,I,Gの5人が共同生活をしていたが,その中にあるシャワー室には脱衣所がなく,シャワー室のドアを開けると,他の女性実習生がくつろいでいるテーブルや二段ベッドのある部屋に直に出る間取りとなっている(乙78,79,80)。このような間取りの部屋で,被告Dが,原告Aに対し, く,シャワー室のドアを開けると,他の女性実習生がくつろいでいるテーブルや二段ベッドのある部屋に直に出る間取りとなっている(乙78,79,80)。このような間取りの部屋で,被告Dが,原告Aに対し,日常的に「一緒にシャワーに入る。」などと言うとは考え難いし,仮にそのような発言をしていたのであれば,当時同じ部屋にいた他の女性技能実習生が,これを見聞きしたか,あるいは,原告Aが他の女性技能実習生にセクハラを被害について相談したはずである。しかし,当時被告C方にいた他の技能実習生の全員及び近くの農家の技能実習生のMがいずれも被告C方においてセクハラ行為が行われた事実はなかったと述べていることに照らして,セクハラ被害に関する 原告Aの主張は,到底信じ難い。 (カ) 被告Dの当時の病状や年齢等被告Dは,平成26年当時76歳であり,一般的に考えてもセクハラ行為に及ぶとは考え難い年齢であることに加え,平成26年の春頃から体調を悪くしており,血尿や熱などの症状がでている状況にあり(乙79),同年9月12日からN医院に通院し(乙82),同月23日に急性腎盂腎炎,脱水の病名でなめかた地域医療センターを受診し,同月25日から同年9月29日までの間に同病院に入院するなどしており(乙83),セクハラ行為に及ぶような状況になかった。 (6) 被告Dのセクハラ行為に係る被告Cの安全配慮義務違反の有無,共同不法行為の成否及び使用者責任の成否(争点6)(原告Aの主張)ア被告Cは,A雇用契約上の付随債務として,安全でハラスメントを受けることのない職場環境を保つよう配慮すべき信義則上の義務を負う。これには,セクハラの被害の事実を知った際には,セクハラ行為が継続することがないよう,被害者の保護や加害者の処分などの迅速な措置を行うべき義務も含まれる( を保つよう配慮すべき信義則上の義務を負う。これには,セクハラの被害の事実を知った際には,セクハラ行為が継続することがないよう,被害者の保護や加害者の処分などの迅速な措置を行うべき義務も含まれる(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇等に関する法律(以下「均等法」という。)11条)。しかしながら,被告Cは,被告Dの原告Aらに対するセクハラ行為を何度も目撃しており,原告Aのセクハラ被害を当然に認識していたにもかかわらず,これらに対して何ら対応しなかったのであるから,原告Aに対し,A雇用契約の債務不履行責任(安全配慮義務違反)を負う。 イ被告Cは,均等法11条1項及び2項並びに同項に基づく「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平成18年10月11日厚生労働省告示第615号)に基づき,セクハラが発生しないような職場環境を整備すべき義務を負うに もかかわらず,被告Dによるセクハラ行為を知りながら,上記各規定及び指針が義務づける措置を何ら講じなかった。よって,被告Cにつき,被告Dとの共同不法行為責任が成立する。 ウ被告Cは,被告Dの使用者であるところ,被告Dのセクハラ行為は,作業中に作業場所で行われており,早朝や就寝前の時間に女性技能実習生の部屋で行われたものもあるが,技能実習生は職住一体型の環境に置かれ,深夜労働に及んでおり,私生活と職業生活を明確に区別できないことによれば,一連のセクハラ行為は事業の執行についてなされたものということができる。よって,被告Cには,民法715条に基づく使用者責任が成立する。 (被告らの主張)否認する。 (7) 被告Dのセクハラ行為に係る被告組合の共同不法行為の成否(争点7)(原告Aの主張)ア被告組合の義務被告組合は 条に基づく使用者責任が成立する。 (被告らの主張)否認する。 (7) 被告Dのセクハラ行為に係る被告組合の共同不法行為の成否(争点7)(原告Aの主張)ア被告組合の義務被告組合は,実習実施機関において技能実習が適正に実施されているかを監理する義務,すなわち,① 技能実習が適正に実施されているかを確認し,② 適正に実施されていないことが確認できた場合には,地方入国管理局へ報告した上,③ 自ら実習実施機関に対し技能実習を適正に実施するよう指導する義務を負っていた。監理団体の確認義務は,単に実習実施機関の担当者から状況を聞くに留まらず,現地に赴いて技能実習の実施状況を確認することを要し,特に技能実習生本人から技能実習の進捗状況を労働関係法令の遵守状況を含めて確認した上,さらに日頃から相談体制を構築するなど高度の確認義務である。 イ被告組合に対するセクハラ行為の報告及びその後の対応平成26年8月,原告Aは,被告Dから,すれ違うたびに尻や胸を触ら れたり,「結婚してくれ。」と頻繁に言われたりするようになったことなどから,原告Bに対し,被告Dからのセクハラ被害の事実を訴えた。原告Bは,原告Aに対し,問題を大きくしないために我慢するようと言ったが,原告Aが繰り返し被害を訴えたことから,被告組合に報告して対応することを約束した。 原告Aは,Eが同月24日夜に被告C方を訪問したにもかかわらず,同人とセクハラ被害について話をすることができなかったため,同月25日,原告Bにそのことを伝え,引き続きセクハラについての対応を求めたところ,原告Bから同原告が被告C方のセクハラ問題の担当から外されたことを聞いて,同年9月12日に在留期限が切れるため,これ以上被告組合に面倒をかけると在留資格を更新してくれず帰国させられることにな ころ,原告Bから同原告が被告C方のセクハラ問題の担当から外されたことを聞いて,同年9月12日に在留期限が切れるため,これ以上被告組合に面倒をかけると在留資格を更新してくれず帰国させられることになるのではないかと思い,以後被告Dによるセクハラ被害について黙って耐えることを余儀なくされた。 しかし,原告Aは,同年11月4日に被告Dから作業中に胸を口で触られるなどの被害を受け,同月26日,被告組合の職員で原告Bの後任のOに対して,被告Dによるセクハラ問題に対応するよう強く訴えた。原告Aは,その夜,女性技能実習生の部屋に来た被告組合のPから同行するよう命じられたが,これまで問題を訴えた技能実習生が被告組合の事務所に連れて行かれて長期間その場に留め置かれたり,そのまま帰国させられたりしたことを見聞きしてきたことから,被告組合の事務所に行けば帰国させられてしまうのではないかと恐れて同行を拒み,更に,Eと他の職員が2人がかりで原告Aを被告組合の事務所に連れて行こうとしたが,これを拒否した。 原告Aは,同月28日,E及び原告Bと話し合った際,Eに対し,未払残業代とセクハラの賠償の支払をするよう求めたが,Eは,これを拒否し,原告Bに対し,原告Aの問題で組合が潰れるようなことがあったら殺して やると発言し,話合いの後,30万円程度の支払で大葉巻きの残業代について和解に応じるよう原告Aを説得すること,原告Aが応じなければその日のうちに被告組合の事務所まで原告Aを連れて来ることを命じた。そこで,原告Bは,深夜2時ころまで原告Aを説得しようとしたが,原告Aは和解に応ずることも同行することも拒んだ。 Eら被告組合の職員は,同月30日昼頃,原告Aから他の技能実習生が影響を受けていると考え,被告C方の技能実習生全員を被告組合に連れ出そうとしたが 原告Aは和解に応ずることも同行することも拒んだ。 Eら被告組合の職員は,同月30日昼頃,原告Aから他の技能実習生が影響を受けていると考え,被告C方の技能実習生全員を被告組合に連れ出そうとしたが,2名の技能実習生(J,K)を除き,原告Aを含む4名の技能実習生(原告A,G,H,I)が同行を拒否したため,午後11時頃まで,部屋のドアを何度も叩いたり,ドアの前で大声を上げたりして,原告Aらに同行を迫った。原告Bは,被告C方の様子がおかしいことに気付いた近くの農家の技能実習生から連絡を受けて警察に通報し,電話口で泣き叫ぶ技能実習生の声を聞いた警察官が現場に臨場したが,警察官が現場に到着するより前に,被告組合の職員らは現場を立ち去った(甲7)。 被告組合は,同月5日,原告Aの勤務先を他の農家に変更するための手続を行うことを認め,同原告は同月17日からテンアップファームで労務を提供することになったが,同月18日,同原告に対し,大葉巻き作業について1時間200束として計算した残業代67万円を支払うこと,セクハラ被害がなかったことを認める内容の書面を作成することを和解条件として提示し,同原告がこれを拒否すると,和解に応じないのであれば勤務先変更に関する手続を行わないと同原告を脅すような発言をした。そして,被告組合は,平成27年1月17日,原告Aの外出中にその荷物を被告組合の事務所に移動し,夕方に帰宅した同原告を,水戸市内の被告組合が用意したアパートに連れて行き,同原告から就業の機会を奪った。 ウ被告組合の義務違反被告組合は,アの各義務を負っているにもかかわらず,被告Cが原告A に対し,適正な技能実習の実施をしていないことを知りながら,適切な監査・指導をせず(指導義務違反),不適切な報告に加担した結果,原告Aのセクハラ被害を継続さ もかかわらず,被告Cが原告A に対し,適正な技能実習の実施をしていないことを知りながら,適切な監査・指導をせず(指導義務違反),不適切な報告に加担した結果,原告Aのセクハラ被害を継続させたのであるから,上記各義務に違反し,直接の加害者である被告D,使用者である被告Cとの間では,共同不法行為(民法719条)として,不真正連帯債務関係となる。 (被告らの主張)ア認否(ア) 被告組合の義務について争う。被告組合は,「技能実習生の技術等を修得する活動の監理を行う営利を目的としない団体」(甲24・6頁)であり,技能実習実施計画に従って技能実習が行われているかどうかを確認すべき義務を負っているが,技能実習生や被告Cら実習実施機関と労働契約を結んでいるわけではなく,労働契約に付随する義務(労働契約法5条)として,原告Aに対し安全配慮義務を負うものではないし,実習実施機関の不法行為について民法上の責任を負う立場にない。 (イ) 被告組合に対するセクハラ行為の報告及びその後の対応について平成26年8月24日にEが被告C宅を訪問したこと,同年11月28日に原告らとEが話し合いをしたこと,同月30日に被告組合の職員が被告C方にいた技能実習生全員に対し被告組合の研修センターに行く必要がある旨を述べたこと,被告組合から大葉巻き作業について1時間200束の計算で67万円の支払を提案したこと,平成27年1月17日に水戸市のアパートを原告Aの住居として提供したことは認め,その余は否認する。 (ウ) 被告組合の義務違反について争う。 イ反論 (ア) 原告AがEに対してセクハラの話をしなかったこと原告Aは,Eが平成26年8月24日に被告C方を訪問し,原告A及びGに対し被告Dについて問いかけた際,何の発言もせず イ反論 (ア) 原告AがEに対してセクハラの話をしなかったこと原告Aは,Eが平成26年8月24日に被告C方を訪問し,原告A及びGに対し被告Dについて問いかけた際,何の発言もせず,セクハラに関する話を一切しなかった。Eと原告Aの会話は中国語でされており,被告C及び被告Dは中国語を話せない上,ほとんどその場にいなかったので,原告Aがこの両名に遠慮してセクハラの話をできなかったと考える余地もなかった(乙13)。 (イ) 在留資格の更新後もセクハラを訴えなかったこと原告Aは,被告組合が在留資格の更新をしないことを恐れ,セクハラ被害を訴えることができなかった主張するが,平成26年10月15日に同人の在留資格の更新がなされ,同月23日に,被告組合の職員が新たな在留カード及びパスポートを原告Aに渡しに行った際にも,セクハラについて何も述べなかった。 (ウ) 送出機関等にセクハラ被害の訴えがないこと原告Aは,被告C方から車で15分程の近距離に中国の送出機関である交遠の駐日事務所があり,常時携帯で通話可能であったが,ここにセクハラ被害を訴えていない。また,被告組合の中国人生活指導員は,平成26年11月4日前後に絞っても同年10月6日,23日,11月12日及び19日に被告C方を訪問したが,原告Aからセクハラ被害を全く聞いていない。 (エ) 原告Aの対応が矛盾していることなどEは,平成26年11月28日に,被告C方の技能実習生らが大葉巻き作業をしており,これについて時間給での支払を求める旨を原告Aから初めて告げられ,同作業についての精算方法を話し合うことを提案したのであり,この時点では大葉巻き作業の内容を把握していなかったから,30万円の支払での和解を提案するはずがない。また,Eは,被告 Dがセクハラに関 ついての精算方法を話し合うことを提案したのであり,この時点では大葉巻き作業の内容を把握していなかったから,30万円の支払での和解を提案するはずがない。また,Eは,被告 Dがセクハラに関する事実を否定していたが,セクハラの訴えがあった以上は原告Aを含め技能実習生を被告C方に住まわせられないものと判断し,原告Aに対し,無料で弁護士の相談に連れて行くことや被告組合の研修センターで一時的に保護することを提案したが,原告Aはこれを拒んだのである。セクハラ被害を訴えながら保護を拒む原告Aの態度は,セクハラ被害を受けたこととは裏腹なものといわざるを得ない。 (8) 権利行使妨害を理由とする損害賠償請求の可否(争点8)(原告Aの主張)ア被告組合の強要前記(7)イのとおり,Eら被告組合の職員は,平成26年11月28日以降,原告Aを,恫喝を交えて執拗に被告組合の事務所に連れ出そうとしたり,移籍予定の実習実施機関から連れ出して仕事をできない環境に留め置く等の脅迫の手段を用いて,原告Aが未払残業代やセクハラ被害に対する賠償を請求する権利の行使を妨害した。 イ被告D及び被告Cが,被告組合の職員らの行為を認容していたこと被告Cが被告組合の組合員であったから,被告C及び被告Dは,当然,被告組合から前記の強要に該当する各行為の報告を受けていたはずであり,少なくとも,平成26年11月30日には,被告C方に警察が臨場するほどのトラブルとなっていたのだから,被告組合が原告Aの権利行使をあきらめさせようとしていたことについて認識があったはずである。 ウ小括被告D及び被告Cは,前記のとおり,被告組合が原告Aの権利の行使を妨害していたことを認識・認容していたから,被告組合と共同不法行為の責任を負う(被告組合と不真正連帯債務関係)。 ( ウ小括被告D及び被告Cは,前記のとおり,被告組合が原告Aの権利の行使を妨害していたことを認識・認容していたから,被告組合と共同不法行為の責任を負う(被告組合と不真正連帯債務関係)。 (被告らの認否)いずれも否認ないし争う。 (9) 原告Aに生じた損害額(争点9)(原告らの主張)被告Dのセクハラ行為に関する被告らの不法行為等により,原告Aは,精神的苦痛を被った。これに対する慰謝料は300万円,弁護士費用は30万円が相当である。 (被告らの認否反論)いずれも争う。 (10) 原告Bの解雇理由及び解雇の相当性の有無(争点10)(被告組合の主張)本件解雇の理由は,以下のとおりであり,本件解雇には,客観的で合理的な理由があり,社会通念上相当なものである。解雇理由が多数ある場合,全てを告知する必要はなく,事後的な解雇理由の追加も有効である。 ア警察への通報(ア) 11月30日の通報原告Bは,平成26年11月28日,被告組合が被告C方の技能実習生を保護しようとしていることを知り,被告C方の技能実習生に対し,被告組合は技能実習生を強制帰国させようとしているなどとして,ついていかないように伝えた(乙20~21)ため,原告A以外にも被告組合に同行しない技能実習生が現れた。被告組合が同行に応じた技能実習生(J及びK)を被告C方から連れ出したところ,原告Bが行方警察署に被告組合が技能実習生を拉致した旨の通報をした。 (イ) 12月6日の通報原告A及びGは,同月5日,被告C方の女性技能実習生の部屋から被告組合の用意した住居に移動したが,その直後に,Jは,その所有物(香水,イヤホン,洋服,腕時計,食材,櫛)がなくなっており,原告Aが窃取した疑いがあると考えた。Jは,同月6日,原告Aらの部屋に 告組合の用意した住居に移動したが,その直後に,Jは,その所有物(香水,イヤホン,洋服,腕時計,食材,櫛)がなくなっており,原告Aが窃取した疑いがあると考えた。Jは,同月6日,原告Aらの部屋に 確認に行ったところ,原告AがJの所有物の一部を窃取していたことが判明したため,他の物も探すよう促すために原告Aの肩を2回ほど押した(乙22)ところ,原告Aから連絡を受けて被告C方に来た原告Bが,取手警察署に対し,被告組合が仕組んだ傷害事件であるとして通報した。 この事件は,原告AがJの所有物を窃取したことをきっかけとする技能実習生の間のトラブルであって,被告組合が仕組んだものではなく,原告Bの通報は,虚偽の通報である。 (ウ) 12月13日の通報同年12月13日,原告Bは勤務時間中に業務と関係なく外出しようとしたため,被告組合の事務局長のQが注意をしたところ,「必ずこの組合をつぶす。」と恫喝して無断外出した。 被告組合は,原告Bに対し,職場に戻るように再三連絡をしたが,同原告が職場に戻ってきたのは午後8時近くになってからであった。被告組合の職員は,原告Bに対し,業務放棄をして1日何をしていたのかを問い質したが,同人がまともな回答をせずに帰宅しようとしたので,外出の間の経緯を説明するよう求めた。このやり取りの最中に,原告Bは,突然取手警察署に電話をして,「痛いよ,痛い」とわざと叫んで被告組合に監禁されていると告げた。この時,被告組合の職員は,有形力は一切行使しておらず,監禁などの主張は論外である。 (エ) 小括前記の3件の通報はいずれも虚偽のものであり,対応した警察官は事情を聞いただけで引き揚げ,事件として受理されたわけでもなく,被告組合の名誉・信用を棄損するとともに,その業務に多大な支障を生じさせ,職務規律にも 通報はいずれも虚偽のものであり,対応した警察官は事情を聞いただけで引き揚げ,事件として受理されたわけでもなく,被告組合の名誉・信用を棄損するとともに,その業務に多大な支障を生じさせ,職務規律にも違反することが明らかなものである。 イ監査結果報告書の不正な持ち出し等監理団体は監査結果報告書を毎月入国管理局に提出しなければならず, これを提出しないと技能実習生の受入れが認められなくなるところ,原告Bは,監査結果報告書の作成に必要なソフトを消去した。このため,被告組合は,1件ずつ手入力で監査結果報告書を作成せざるを得なくなり,業務に多大な支障が生じた。 また,原告Bは,平成26年12月13日,同月提出分の技能実習生全員の監査結果報告書を,被告組合に渡さないようにするために,無断で持ち出した。被告組合は,同日午後8時近くに原告Bが被告組合に戻った際に,そのことに気付いて,監査結果報告書を回収したが,無断持出しという事実が変わるものではない。 ウ遅刻や無断外出原告Bは平均して週に1~2回,行き先も告げないまま無断外出し,長いときには丸1日外出していることもあったが,何をしていたのかの明確な報告を行わなかった。平成26年12月13日の無断外出も同様であった。また,原告Bは,同年11月下旬から,連日,数十分単位の遅刻を続けていた。 エ国民健康保険税不払の指導原告Bは,技能実習生に対し,国民健康保険税を支払う必要はないと指導し,Eから注意を受けたにもかかわらず,これに従わなかった。このような違法行為の指導は,悪質な服務規律違反である。 オ実習生からの金品の受領原告Bは,担当であった技能実習生のMから16万円の高価な時計などを受領したが,担当の技能実習生から多額の金品を受け取ることは,実習制度の趣旨などから不適 反である。 オ実習生からの金品の受領原告Bは,担当であった技能実習生のMから16万円の高価な時計などを受領したが,担当の技能実習生から多額の金品を受け取ることは,実習制度の趣旨などから不適切であることは明らかである。また,原告Bは,Mに対し,岐阜一般労働組合のRを紹介して,農家より受領した金員の20%を同人に払うと約束させて農家に対し金員請求を行わせ,結局,Rに支払うべき金銭の20万円を自ら受領しており(乙127),服務規律違 反も甚だしいものがある。 カ技能実習生に対する虚偽文書の作成教唆(ア) 本件セクハラ証明書(甲6)本件セクハラ証明書は,原告Bが金員を得るために実習生をそそのかして作成した虚偽の内容のものである(乙9,10)。 (イ) 2014年11月30日協同組合つばさが実習生を拉致しようとした件についてと題する書面(甲7)拉致被害の証明書も原告Bが虚偽内容を作成して実習生にサインさせたものである(乙127)。 (原告Bの主張)ア警察への通報について11月30日の通報,12月6日の通用及び12月13日の通報は,いずれも正当な理由に基づくものであり,解雇の理由とはなり得ない。 (ア) 11月30日の通報原告Bは,被告Dによるセクハラ被害や未払賃金の支払を求めていた原告Aら技能実習生が被告組合の関係者に無理やり連れ去られそうになっているのを知り,近くの交番に駆けつけ,警察官と相談の上で行方警察署に通報したものであり,実際に当該技能実習生らの一部が被告組合の関係者に連れ去られているから,これを警察に通報したことは正当である。 (イ) 12月6日の通報原告Bは,Jが原告Aを殴った後,その現場を訪れ,被害に遭った原告Aから頼まれて警察に通報しており,実際に発生した犯罪性のある事件 を警察に通報したことは正当である。 (イ) 12月6日の通報原告Bは,Jが原告Aを殴った後,その現場を訪れ,被害に遭った原告Aから頼まれて警察に通報しており,実際に発生した犯罪性のある事件について警察に通報したにすぎない。また,原告Bは,通報の際,「暴力事件があった。殴られた人がいる。」と述べたのみであり,「被告組合が仕組んだ」と言ったことはない。 (ウ) 12月13日の通報原告Bは,被告組合の事務所において,被告組合の職員や理事に取り囲まれ,技能実習生とその受入農家との間の紛争について,技能実習生の味方になったことを責められ,帰宅しようとしたにもかかわらず,被告組合の組合員らが進路に立ちふさがって行く手を阻み,服を引っ張られるなどしたことから警察に通報し,警察の保護の下帰宅することができたものである。 イ監査結果報告書の不正持出し等について(ア) 監査結果報告書は,被告組合が監理する技能実習生らの勤務実績等を報告するもので,原告Bは,被告組合の指示によりその作成業務に従事してきたが,作成に当たって被告組合において技能実習生らの実際の就労状況を調査することはなく,入国管理局から問題点を指摘されることがないような虚偽の勤務実績等を記入して作成していた。原告Bは必要に応じて,提出前の監査結果報告書を自宅に持ち帰ることもあった。 (イ) 原告Bは,技能実習生らの就労状況に多くの問題があることを知り,被告組合においてこれを改善する姿勢が見られなかったことから,同原告がこれ以上不正に加担することを避けるために,平成26年12月分の監査結果報告書については,Eと話をするまでは作成を留保しようと考え,決裁に回していなかった。このような経緯により,原告Bが監査結果報告書をいったん持ち帰ろうとしたところ,被告組合が持 年12月分の監査結果報告書については,Eと話をするまでは作成を留保しようと考え,決裁に回していなかった。このような経緯により,原告Bが監査結果報告書をいったん持ち帰ろうとしたところ,被告組合が持ち出しを止めさせたものであり,結局,原告Bは書類を持ち出すに至っていない。 (ウ) 原告Bが監査結果報告書を作成するためのソフトを消去したことはない。 ウ遅刻や無断外出の事実がないこと原告Bは外回りを担当しており,外出する都度許可を得ることはそもそ もなく,遅刻や勤務時間中の無断外出をしたことはない。また,平成26年12月13日の外出は,業務の必要のために行ったものであり,被告組合がこれを止めたという事実はなく,原告Bが「この組合をつぶす。」と述べたこともない。 エ小括以上のとおり,被告組合が主張する解雇理由はいずれも解雇理由に当たりえないものであり,原告Bに対する解雇は客観的合理性もなければ相当性もなく,労働契約法16条に反し無効である。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実,当事者間に争いのない事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 大葉巻き作業の実情等ア A雇用契約における業務内容は,耕種農業・施設園芸であり(前提事実(3)ア),大葉の摘み取りは耕種農業として位置付けられ,時間給が支払われていた。摘み取った大葉は,10枚1束で結束し(大葉巻き作業),その束をパック詰めしたり,箱詰めしたりして出荷されるが,大葉巻き作業は労働契約の対象となっている実習計画として定められた作業ではなかった。結束した大葉をパック詰めしたり箱詰めしたりする作業は,通常は被告Cらが行っていた(証人J1頁,証人E34~35,55頁,被告C14~15頁,弁論の全趣旨)。 イ て定められた作業ではなかった。結束した大葉をパック詰めしたり箱詰めしたりする作業は,通常は被告Cらが行っていた(証人J1頁,証人E34~35,55頁,被告C14~15頁,弁論の全趣旨)。 イ被告Cは,従前,大葉巻き作業を1束3円で外注し,外注先に支障があったときに技能実習生に大葉巻き作業を頼むことがあり,平成24年頃は大葉巻き作業の約8割を外注していたが,技能実習生が仕事を増やして更に収入を得ることを希望したこともあって,平成25年には,大葉巻き作業は全て技能実習生が行っていた。技能実習生が行う場合,大葉巻き作業 の対価として,1束2円が支払われることとされた(被告C2,13~14,19~20頁)。 原告Aと同時期の被告C方の技能実習生は,Kが当初は大葉巻き作業を行っていたが,上手く巻けないため,途中で大葉巻き作業をやらないようになった(乙85,証人E55頁)ほかは,全員が大葉巻き作業を行っていた。 ウ大葉巻き作業は,摘み取った大葉を大きさで選別し,大葉を10枚重ねて,重ねた大葉の軸の部分をゴムで束ねるという手順で行われ,被告C方では,技能実習生による大葉巻き作業は,日中の大葉の摘み取りの作業が終わった後,平日であれば午後5時頃から,被告C方の母屋とは中庭を隔てた所にある,女性技能実習生の部屋に隣接する作業場で行われた(乙78)。技能実習生は,具体的に大葉巻きの作業を始める時間や終了する時間を被告Cから指示されていたわけではなく,これを報告することはなかった。 エ原告Aは,同原告も大葉巻き作業を行うこと,その手順や代金などについて,被告C方で技能実習を始めるに当たり,被告Dや先輩の技能実習生から聞いた(原告A・2~4頁)。 オ被告Cは,大葉の出荷先である農協との間で,出荷する大葉の量や出荷の時期を取り決 金などについて,被告C方で技能実習を始めるに当たり,被告Dや先輩の技能実習生から聞いた(原告A・2~4頁)。 オ被告Cは,大葉の出荷先である農協との間で,出荷する大葉の量や出荷の時期を取り決めており,大葉を多く摘み取った日には直ちに出荷せず冷蔵庫に保管しておくなどの出荷調整をしていた(被告C・10,11頁)。 被告Cは,大葉巻きを外注していたときは,摘み取った翌日大葉を外注先に運び,その翌日束にした大葉を回収して,その後に出荷しており,出荷調整をすることもあるため,摘み取ってから4,5日から1週間程度で出荷していた(被告C11頁)。 被告C方の技能実習生は,通常は,その日に摘み取った大葉をその日のうちに巻いていたが,その日に摘み取った分を全部巻くことができない場 合には,冷蔵庫に保管しておき,翌日巻くこともあった(証人J2頁)。 カ大葉巻き作業について,各技能実習生が巻いた束の数がとりまとめられて被告Dの妻のLに報告され(証人J2頁,被告C3頁),技能実習生は,1束2円で計算した代金を,毎月の給料とともに受領していた。 キ被告C及び被告Dは,大葉巻き作業について,特に指示をすることもなく,作業状況を監視するために作業場に来ることもなかった(被告C3~4頁,被告D1~2頁)。技能実習生が大葉巻き作業の途中で抜けたり,戻ってきてから作業を続けたりしたことがあり,原告Aも作業の途中で席を外すことがあった。また,原告Aが摘み取った大葉を,他の技能実習生が巻いたことや他の技能実習生が摘み取った大葉を原告Aが巻いたこともあった(原告A8,11~12頁,証人J5,23~25頁)が,このような場合,大葉を摘み取った者が巻いたものとして報告していた(証人J32頁)。 ク原告Aは,当初は,巻いた大葉の束数だけ数えて報告して (原告A8,11~12頁,証人J5,23~25頁)が,このような場合,大葉を摘み取った者が巻いたものとして報告していた(証人J32頁)。 ク原告Aは,当初は,巻いた大葉の束数だけ数えて報告していたが,原告Bから大葉巻き作業についても時間給で計算することができるから作業時間を記録しておくように言われ,平成26年6月から,作業時間を記録するようになった(原告A7頁)。 (2) 原告Bが被告C方の巡回指導担当をするようになった経緯等ア原告Bは,以前は,Eが理事長を務める協同組合若葉の職員をしており(乙129・10頁),平成25年9月,被告組合との間で,雇用契約を締結し,書類作成や被告組合が監理する農家の技能実習生の管理業務などを担当していた(前提事実(2)イ)。原告Bは,被告組合に入社後においては,平成26年4月頃までは内勤を担当していた。 イ原告Bは,平成26年4月30日から外回りの巡回指導担当になり,被告C方も担当するようになって,定期的に被告C方を訪問するようになった(証人E・3~4頁)が,同原告が巡回指導担当になってから2か月も すると,同原告が担当する農家の何軒かから,同原告が技能実習生に対し国民健康保険税を支払わないでいいと指導している,農家にばれないように夜技能実習生を食事に連れて行く,農家に何も言わずに女性の技能実習生の部屋にあがって長時間居座り,物や食事をもらっているなどのクレームが寄せられた(証人E4頁)。 実際,原告Bが被告C方を担当するようになった後,同被告宅の技能実習生である原告A,I,J,G,K,Hの6名は,平成26年7月31日を納期限(Kについては同年9月1日)とする国民健康保険税を滞納し,それ以後の納期限のものも滞納した(乙46の1~6)。 (3) 原告Aのセクハラ被害の訴えや ,K,Hの6名は,平成26年7月31日を納期限(Kについては同年9月1日)とする国民健康保険税を滞納し,それ以後の納期限のものも滞納した(乙46の1~6)。 (3) 原告Aのセクハラ被害の訴えや大葉巻きの作業についての残業代の支払請求等ア原告Aを含む女性の技能実習生らが居住していた部屋は,概ね10畳ほどで,被告C方の敷地内に,母屋と中庭を隔てて建っており,入口の小上がりの左側に台所が,正面に冷蔵庫があり,小上がりの右側にはテーブルと二段ベッドがある。また,冷蔵庫の裏には,シャワー室とトイレがあり,シャワー室には脱衣所はない。さらに,シャワー室とトイレの奥に2段ベッドが2つあった(うち1つは,上段と下段が分解されて別々に置かれていた。)(乙78,弁論の全趣旨)。 イ原告Aは,技能実習に当たり,Sが代表を務める中国の推薦機関に,保証金を差し入れていた(甲10の7,甲29,証人M3頁)。また,中国側の送出機関である交遠が実施している講習のテキストには,セクハラに遭遇した場合には,中国の会社や駐日代表に事情を報告して助けを求めるようにとの記載があり(乙12),交遠や被告組合の講習において,セクハラ被害に遭った場合には,必ず反抗し,被告組合及び交遠に連絡するよう指導していた(証人E2頁,証人M2頁)。 ウ Eは,原告Bから原告Aがセクハラ被害を訴えていると聞き,平成26 年8月24日,被告C方を訪れた際,原告A及びGと会話をした。この会話は中国語でされたが,その際に,原告AがEに対し被告Dのセクハラ行為による被害を訴えることはなかった(証人E5~7頁,原告A18頁)。 エ原告Bは,平成26年8月,被告組合に,被告Dのセクハラを理由に原告Aを他の農家に移籍させることを提案したが,被告組合は,同月24日にEが被告C方を訪 かった(証人E5~7頁,原告A18頁)。 エ原告Bは,平成26年8月,被告組合に,被告Dのセクハラを理由に原告Aを他の農家に移籍させることを提案したが,被告組合は,同月24日にEが被告C方を訪れた際も,原告Aから被害の話がなかったことから,移籍は見送ることにした(証人E5~7頁)。 オ被告組合は,原告Bに農家からクレームが寄せられたことから,被告C方も含め,幾つかの農家について巡回指導担当を外すことにして(乙142・2頁),事務局長のQが,平成26年8月28日,原告Bに対し,業務内容の変更を伝えた。原告Bの勤務態度は,その後目に見えて悪化し,遅刻や勤務時間中に携帯電話を私用で使うことなどが目立つようになった(証人E7~8頁)。 また,原告Bは,同原告が巡回指導を担当していた農家(被告C方とは別の農家)の技能実習生で,同原告に好意を持ち,同原告と私的に会うこともあった間柄のMに対し,巡回指導担当を外されたことについて,被告組合に復讐をするなどと言い,それに同調したMに,被告組合を訴えるための弁護士であるとして岐阜一般労組茨埼支部のRを紹介し,Mは,同労組に加入し,原告Bと相談しながら,雇用主の農家に残業代を請求する準備をした(乙127の2・7頁,乙142・8頁)。Mは,同年9月下旬頃,原告Bに対し,16万円するセイコーの腕時計を贈った(証人M5~9頁,証人E8頁)。 カ原告Aは,平成26年9月12日に在留期限が切れ,その後,同年10月15日付けで在留許可がされ,同月23日には同人に在留カードが交付された(甲36,乙16・12枚目,乙140・16枚目,原告A35頁)。 (4) 原告Aが被告組合にセクハラ被害等を訴えてからの経緯等ア原告Aは,平成26年11月26日,被告組合の職員で,原告Bの後任の被告C 目,乙140・16枚目,原告A35頁)。 (4) 原告Aが被告組合にセクハラ被害等を訴えてからの経緯等ア原告Aは,平成26年11月26日,被告組合の職員で,原告Bの後任の被告C方の巡回指導担当であるOに対し被告Dのセクハラ行為で被害を受けている旨伝え,損害賠償を求めた。原告Aが原告B以外の被告組合の関係者にセクハラ被害について申告したのは,これが初めてであった。 (甲36・8~9頁,原告A1,36頁)イ Eは,平成26年11月28日,原告Bとともに,原告Aとセクハラの問題について話し合った。この時,原告Aは,通帳のコピーを持参して,セクハラによる損害賠償と,大葉巻き作業についての残業代の支払を求めた。 Eは,同日,被告Cに対し,技能実習生からセクハラの被害の申告があり,技能実習生に実習外の大葉巻き作業をさせていることが判明したため,被告C方での実習は続けられないと説明した(証人E8~11頁)。 ウ Eは,平成26年11月30日午前中,被告組合の職員らと共に被告C方に行き,原告Aと話し合いをしようとしたが,同原告は,原告B以外とは話さないと言ってこれに応じなかった(証人E13頁)。 また,Eは,同日午後7時か8時頃,被告組合の職員であるTと共に,被告C方で,技能実習生のJ,K,Gに対し,被告C方での技能実習は終了となることを説明し(乙39の10,乙39の11,E54頁),JとKが,同日,被告組合の研修センターに移動した(証人J8~10,28頁)。この日,遅れて被告C方に戻ってきたHも一旦は研修センターに移動することに応じたものの,貴重品等を取りに戻った際翻意し,Tが呼びに行って移動するよう促したが,これに応じなかった(この時のやり取りの録音が甲33の1の1,2であり,これによれば,Tが声を荒げている様子がある じたものの,貴重品等を取りに戻った際翻意し,Tが呼びに行って移動するよう促したが,これに応じなかった(この時のやり取りの録音が甲33の1の1,2であり,これによれば,Tが声を荒げている様子があるが,TがHに対し,研修センターに移動しないことについて,「後悔しないでね。」と言ったところ,Hが「私は後悔しない。」と返答 すると,それ以上強引に説得しようとしたり,無理に連れて行こうとしたりはしていない。Tとしては,Hが翻意したことにいらだって,声を荒げた様子もうかがわれるのであり,このやり取りから直ちに技能実習生が拉致されそうになったなどと評価することはできない。)。 原告Bは,同日夜,Mに連絡をして,原告Aが拉致されそうなので,被告C方に様子を見に行ってほしいと頼んだ。Mが被告C方に行ったところ,Eが庭で電話をしている姿が見えたが,辺りは静かであり,Mは原告Bに電話をかけ,そのような様子を伝え,ちょうど通りかかったIが電話を代わって原告Bと話をした(乙89)。原告Bは,同日午後10時41分頃,行方警察署に電話をして,自らが被告C方を監理している被告組合の職員であることは明らかにしないまま,被告C方で働いている女性の技能実習生が男に拉致されそうだ,被疑者の詳細や詳しい状況はわからないと説明をした。その後警察が出動したが,警察によっても拉致の事実がないことが判明した(甲16)。 エ Mは,平成26年12月2日,雇用主の農家に残業代を請求した(乙127の2・8頁,乙142・8頁)。HとIは,同月3日,被告C方から研修センターに移り,原告AとGは,同月5日,被告C方から被告組合が一時的に借りた茨城県守谷市の一軒家に移った(証人E17頁,原告A22,24頁)。 Jは,原告Aと入れ替わりで,一旦被告C方に戻ったところ,Jの洋服や腕 AとGは,同月5日,被告C方から被告組合が一時的に借りた茨城県守谷市の一軒家に移った(証人E17頁,原告A22,24頁)。 Jは,原告Aと入れ替わりで,一旦被告C方に戻ったところ,Jの洋服や腕時計,豚肉等がなくなっており,同人は原告Aに盗まれたと思い,被告組合に連絡し,同月6日,TとSの2名と共に,原告Aの元に確認に行ったところ,窓側にJの櫛があり,また,原告Aが豚肉を間違えて持ってきたことを認めた。Jは,原告Aに対し,他の物も探すことを求めたが,同原告が座ったまま動かなかったため,立った姿勢で2回ほど平手で原告Aの肩付近を押したが,その場にいたTらに引き離され,被告組合の研修 センターに戻った(乙39の14,乙39の16,証人J10,25~27頁)。 その後,原告Bは,原告Aの元を訪れてこの話を聞き,警察に通報したが(原告B7,47頁),この件でJは警察の事情聴取を受けることはなかった(証人J10頁)。 (5) 本件解雇に関する経過等ア原告Bは,平成26年12月13日の午前9時を過ぎてから出社し,仕事もせず,携帯電話をいじったり外へ出て行ったりを繰り返していた。そして,被告組合のQに「理事長はどこへ行ったの?」と聞き,Qが「Idon’tknow」と答えると,「ああ,Idon’tknow?それなら私もどこに行こうと勝手だよね」と言って,壁に掛けていた車の鍵を持ち出し,被告組合の車で出掛けた。その際,Qから「外出するな。会社命令だ」と言われたのに対し,「絶対つぶすよこの組合」などと何度か言って出て行った(乙69~71,証人E19頁)。このとき,原告Bは,その日の朝印刷した技能実習生の監査結果報告書を持ち出した(原告B54頁)が,この監査結果報告書は,入国管理局に提出する必要があるものであった。 イ原 ~71,証人E19頁)。このとき,原告Bは,その日の朝印刷した技能実習生の監査結果報告書を持ち出した(原告B54頁)が,この監査結果報告書は,入国管理局に提出する必要があるものであった。 イ原告Bは,その後,原告Aと共に被告C方に行き,Jに対し,Jが原告Aの肩を押した件について,警察に処分してもらうか,Jが原告Aに30万円を支払うか,原告らと共に被告組合を訴えることで解決するか,そのいずれでもないならばJの裸の写真をインターネットに流すなどと言った(乙74,証人J11頁,証人E18頁)。 Eは,現場にいたTとJから原告Bのこのような言動を聞き,原告Bの今後の処遇について話し合うため,被告組合の役員,職員約10人を集め,被告組合の事務所で原告Bが戻るのを待った(E調書19頁)。 ウ原告Bは,午後8時頃,被告組合の事務所に戻り,Eが原告Bの処遇について話し合おうとしたところ,家族に連絡をして事務所に監禁されたと 言うなどと告げ,Eが,あなたが組合をつぶすと言ったから,理事も職員も集まって話をしようとしているのでしょう。どこが監禁なのと言ったところ,折りたたみ式の携帯電話を取りだしてこれを開いて,取手警察署に電話をし,痛い痛い,助けてなどと言いながら,監禁されたと通報した。 この時原告Bの身体や服に触れた者はいない(証人E20,43頁)。 エ Eは,平成26年12月15日,原告Bと話をしようとしたが,原告BはJがAを殴った件を解決しなくてはならず,それ以外何も話すことはないという態度であったため,当時の被告組合の理事長であったUが,原告Bに対し,普通解雇を言い渡した(証人E21~23頁)。 (6) 大葉巻き作業の残業代金についての和解の提案等ア被告組合は,平成26年12月18日,原告Aに対し,大葉巻き作業 あったUが,原告Bに対し,普通解雇を言い渡した(証人E21~23頁)。 (6) 大葉巻き作業の残業代金についての和解の提案等ア被告組合は,平成26年12月18日,原告Aに対し,大葉巻き作業の残業代として1時間200束として計算して67万円を支払うことなどを内容とする和解案を提示したが,原告Aは,これに応じなかった。被告C方の他の技能実習生は,その頃,1時間200束として計算した大葉巻き作業の残業代の支払を受けることで和解した(前提事実(10)ア)。 イ Mは,雇用主の農家から未払の残業代として70万円の支払を受け,Rとの間で,未払の残業代の支払を受けたときはその20%を同人に支払うとの合意をしていたが,同人に支払うよりも原告Bに支払った方が良いと思って,同月21日頃,原告Bに20万円を送金した(乙127の2・7~9,証人M13頁)。 ウ被告組合は,原告Aの住居として水戸市内のアパートを用意し,同原告は,平成27年1 月17日から同所で生活するようになった(前提事実(10)イ)。 2 争点1(大葉巻き作業が,雇用契約に基づく労務の提供として行われたものか,請負契約に基づき行われたものか)について(1) 大葉巻き作業が,A雇用契約に基づくものであるか否かを判断するに当 たっては,同作業が使用者による指揮監督下において行われたか否かによって判断すべきである。 (2) 大葉巻き作業は,大葉の出荷に向けて,大葉を摘み取った次に行う作業であり,大葉の摘み取り作業に密接に関連した作業であるといえるが,A雇用契約の業務内容は,耕種農業・施設園芸であり,大葉巻き作業はこれに含まれない実習計画外の作業であって(認定事実(1)ア),形式的には雇用契約の対象には当たらない。そして,原告Aは,日中の大葉の摘み取り作業が終わった後に 農業・施設園芸であり,大葉巻き作業はこれに含まれない実習計画外の作業であって(認定事実(1)ア),形式的には雇用契約の対象には当たらない。そして,原告Aは,日中の大葉の摘み取り作業が終わった後に大葉巻き作業をしており,大葉の摘み取り作業は農場で行われるのに対し,大葉巻き作業は女性技能実習生の部屋に隣接した作業場で行われるなど,両作業は区別されていたものとみることができる。 (3) 大葉巻き作業は,被告C方の敷地内の作業場で行われていたが,作業場は母屋と中庭を隔てた場所にあり,作業がしばしば夜遅くになることもあったのであり(原告Aの大葉巻き作業の時間については,後記3で認定するとおりである。),被告Cや被告Dが作業場に常駐していたり,作業状況を常時監督したりしていたとは考え難い。また,巻いた束数のみが被告Cに報告されており,作業時間は厳格に管理されておらず,原告Aが作業の途中に抜け出すこともしばしばあり(認定事実(1)カ,キ),作業に対する監督の程度は日中の大葉摘み取りの作業よりも低かったものとみることができる。 そして,被告Cは,従前大葉巻きを外注していたときは,出荷調整の期間も含めて,大葉を摘み取って4,5日から1週間程度で出荷しており(認定事実(1)オ),技能実習生が大葉巻きをするようになってから出荷までの期間が短縮されたような事情はうかがわれないから,技能実習生に対し,その日に摘み取った大葉をその日のうちに巻かなければならないという指示がされていたとは認め難く,実際,摘み取った大葉をその日のうちに全て巻くことができない場合には,冷蔵庫に保管していて,翌日に巻くこともあったも のである(認定事実(1)オ)。 しかし,被告C方の農場では,連日,大量の大葉を摘み取って出荷していたのであり,そのことは,原告Aの大葉巻き 蔵庫に保管していて,翌日に巻くこともあったも のである(認定事実(1)オ)。 しかし,被告C方の農場では,連日,大量の大葉を摘み取って出荷していたのであり,そのことは,原告Aの大葉巻き作業の実績からも明らかである。 そうすると,大葉を摘み取ってから出荷するまでに出荷調整を含め数日の余裕があり,摘み取った大葉の全てをその日のうちに巻くことまでは求められていなかったとしても,大葉巻き作業は全て技能実習生が行っており,外注がされていたわけではない状況の下においては,技能実習生としては,少なくともその大部分はその日のうちに巻いておく必要があったものといえる。 そして,技能実習生が大葉巻き作業を行うのは日中の作業が終わった午後5時頃からであり,大量の大葉を巻くときには作業が数時間掛かることもあるのであるから,被告Cや被告Dが常時大葉巻き作業を監督するなどしていたわけではなく,作業中に作業場から出入りすることも許容されていたとしても,作業時間についての裁量性は乏しいものであったと評価せざるを得ない。 被告Cとしても,日中は大葉の摘み取りの作業をしている技能実習生に大葉巻き作業を行わせる以上,そのような状況にあることは理解していたものと認められる。 (4) 被告Cは,平成25年には,全ての大葉巻き作業を技能実習生に行わせていたのであるから(認定事実(1)イ),技能実習生としては,大葉巻き作業は自分たちが行うべき作業だと考えていたとしても不自然なことではなく,原告Aの場合もそのことに変わりはないのであるから,同原告が大葉巻き作業をするに当たり,諾否の自由は,事実上制限された状態にあったものと認められる。 なお,技能実習生のうち,Kは大葉巻き作業を行っていないところ,同人は当初大葉巻き作業をしていたのであり,同人が大葉巻き作業をしないこと の自由は,事実上制限された状態にあったものと認められる。 なお,技能実習生のうち,Kは大葉巻き作業を行っていないところ,同人は当初大葉巻き作業をしていたのであり,同人が大葉巻き作業をしないことになった経緯は証拠上明確ではないが,上記のような事情を考慮すれば,同人が大葉巻き作業をしなくなったからといって,原告Aが大葉巻き作業をす ることについて諾否の自由があったとは直ちにいうことはできない。また,技能実習生が大葉巻き作業をすること希望したことが,技能実習生が大葉巻き作業をするようになったきっかけになっていたとしても,前記のとおり,原告Aが大葉巻き作業を始めたときは技能実習生が大葉巻き作業をすることが前提とされていて,原告Aは被告Dや先輩の技能実習生からそのような説明を受けていたのであるから(認定事実(1)エ),上記のような経緯から直ちに原告Aが大葉巻き作業をすることについて諾否の自由があったということはできない。 (5) 以上のとおり,原告Aの大葉巻き作業は,形式的には,1束2円の請負契約として合意されたものであるが,作業内容がA雇用契約において作業内容とされていた大葉の摘み取りと密接に関連しており,原告Aが大葉巻き作業をするに当たり諾否の自由が事実上制限された状態にあったものであって,作業時間についての裁量性も乏しいものであるなどの事情を考慮すれば,被告Cの指揮監督下で行われた作業であるというべきであって,A雇用契約とは別の請負契約によるものではなく,A雇用契約に基づいてされたものと認めるのが相当である。 3 争点2(原告Aの労働時間及び未払の賃金額)について(1) 大葉巻き作業に要する時間ア原告Aは,① 平成26年6月以降は大葉巻き作業の時間を記録している(甲5)として,これに基づく主張をし,② 平成25年 の労働時間及び未払の賃金額)について(1) 大葉巻き作業に要する時間ア原告Aは,① 平成26年6月以降は大葉巻き作業の時間を記録している(甲5)として,これに基づく主張をし,② 平成25年10月から平成26年1月及び同年5月については,①の期間の大葉巻き作業の時間を基に1束の大葉を巻くのに要する時間を算出し,これに基づいて大葉巻き作業に要した時間を推計し,③ 平成26年2~4月については,各月に受領した金額に近い金額を受領した月の残業代を基に,各月の残業代を推計している。 甲第5号証は,1日当たりの作業時間が30分単位で記録されているも のであり,これによれば,1時間当たりの束数は,多い日で199束(9月20日),少ない日で120個(7月28日。なお,8月3日については,甲5号証の記録上は,1時間当たりの束数が36個(作業時間が6時間,束数が218個)であり,原告Aが主張するように,その日の大葉巻き作業の作業時間が2時間であるとすると,1時間当たりの束数が109個である。)であって,相当なばらつきがある。原告Aは,30分以下の作業時間は切り捨てた上,作業をしていなかった時間は除外して記録しているとするが,同原告が作業時間を記録することになったきっかけが,原告Bから大葉巻き作業について時間給を請求できる可能性があることを伝えられたことにあるのであれば,できる限り正確な時間を記録するのが通常と考えられる。作業の開始時間や終了時間を記録すること自体それほど手間の掛かることではないし,作業を中断した時間があるのであれば,それを記録することが通常であり,それらを概算で控除した記録のみを残したことには疑問がある。そうすると,甲5号証における原告Aの大葉巻き作業の時間が正確なものではない可能性を否定することができず,この記 記録することが通常であり,それらを概算で控除した記録のみを残したことには疑問がある。そうすると,甲5号証における原告Aの大葉巻き作業の時間が正確なものではない可能性を否定することができず,この記録の信用性には疑問が残る。そして,この点に疑問が残る以上,この記録に基づいて推計された上記②の期間の作業時間にも疑問が残るといわざるを得ず,また,上記③の期間(平成26年2~4月分)の作業時間は,それぞれ平成25年10月分,同年11月分,平成26年6月分の作業時間から推計しているが,推計の基になった各月の作業時間に前記のとおり疑問が残る以上,この推計の結果についても疑問が残るものである。 イ原告らと被告らは,それぞれ,大葉巻き作業の様子の動画を証拠として提出する(甲17の1,乙125の1~8の各1)が,作業の様子の一部を撮影したものであったり,本訴提起後に撮影されたものであったりするから,これらの動画から大葉巻き作業の時間を算定するのは相当ではない。 ウ実際に大葉巻き作業をした技能実習生の供述によると,1時間に巻く大 葉の束の数について,原告Aは多くても150~160個である(原告A23頁),証人Jは大体260個,速い人で300個(証人J17,23頁)であるとするが,これも大きく開きがあり,このいずれかをそのまま採用することは困難である。 エ原告Aを除く被告C方の技能実習生は,平成26年12月,1時間に巻く大葉の束の数を200枚として算定した作業時間に基づいて残業代を支払うことで和解した(認定事実(6)ア)。技能実習生の多くがこの基準を基に算定した残業代の支払を受けることで和解したことからすれば,この基準は合理的なものとみることができる。また,この基準は,前記の原告Aや証人Jの供述内容,甲第5号証のメモに照らしても,合理的 準を基に算定した残業代の支払を受けることで和解したことからすれば,この基準は合理的なものとみることができる。また,この基準は,前記の原告Aや証人Jの供述内容,甲第5号証のメモに照らしても,合理的なものということができる。 以上によれば,原告Aの大葉巻きの作業に要した時間については,1時間に巻く大葉の束の数を200枚として算定することが相当である。 オ原告Aが巻いた大葉の束数は,甲5の1~8(平成25年10月~平成26年1月,同年6~11月),乙88(平成25年10月~平成26年11月)の記載が一致することから,これらによって,別紙結束数・所要時間・終業時間算定表の「結束数」欄記載のとおり認定する(平成25年10月28日の束数については,甲5の7では408個,乙88では584個と記載されていて,一致しないが,原告Aが甲5号証に基づいて請求するとしていることに照らして,408個を採用する。)。 (2) 原告Aの未払残業代以上によれば,原告Aの大葉巻き作業の時間は,その日に巻いた大葉の束数を基に,1時間当たり200個の束を巻くことを前提に算定することが相当である。そして,原告Aの大葉巻き作業に係る残業代は,同原告の労働条件等についての前記認定に照らして,日中の作業が終了した1時間後(平日は午後5時,土曜日・日曜日は午後4時とする。)から上記のとおり算定し た時間大葉巻き作業を行ったものとして算定することが相当である。上記の方法で,A雇用契約の条件に従って残業時間を計算すると,別紙時間計算書のとおりであり,残業代を計算すると,別紙未払賃金計算書記載のとおりである。なお,被告Cが原告Aに対し大葉巻きの作業について1束2円で算定した額を支払っていたことから,これが残業代に係る既払い金であると認める。 よって,原告Aの未払 紙未払賃金計算書記載のとおりである。なお,被告Cが原告Aに対し大葉巻きの作業について1束2円で算定した額を支払っていたことから,これが残業代に係る既払い金であると認める。 よって,原告Aの未払残業代請求については,99万8380円及びこれに対する平成27年8月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 (3) 付加金の請求について原告Aは未払賃金について付加金の支払を求めているところ,大葉巻き作業の残業代に関する前記認定の事実に照らして,被告Cに付加金を課すことが相当でない特段の事情は認められないから,別紙未払賃金計算書記載のとおり99万4805円の付加金の支払を命じることとする。 よって,原告Aの付加金請求については,99万4805円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 4 争点3(原告Aの労務提供不能についての被告Cの帰責事由の有無)について(1) 原告Aは,同原告が大葉巻き作業の残業代として67万円の支払を受け,被告Dのセクハラ行為による被害がなかったとする書面を作成することを内容とする和解に応じなかったことを理由として,被告Cが原告Aから労務を提供する機会を奪ったものであると主張し,これに沿う供述(原告A22~24頁)をする。 (2) しかし,前提事実(8)及び認定事実(4)によれば,原告Aが,平成26年11月26日に,被告組合に対し,被告Dのセクハラによる被害を訴え, また,被告Cが原告Aらを技能実習外の大葉巻き作業に従事させていることが発覚したことから,被告組合は,原告Aが被告Cの下で技能実習を継続させることが適当でないと判断し,原告Aを別の技能実習先に移籍させることとしたこと らを技能実習外の大葉巻き作業に従事させていることが発覚したことから,被告組合は,原告Aが被告Cの下で技能実習を継続させることが適当でないと判断し,原告Aを別の技能実習先に移籍させることとしたこと,原告Aは,同年12月1日以降被告Cに労務の提供をしておらず,その後,テンアップファームとの間で雇用契約を締結して,同月11日から技能実習を開始したこと,以上の事実が認められる。 技能実習生である原告Aが被告Dからのセクハラ被害を訴えており,原告Aの住居は被告Dが居住している被告C方の敷地内にあることを考え併せると,同原告に被告C方での技能実習を継続させることは相当ではなく,原告Aも,同様に考えていたからこそ,被告Cに対する労務の提供をしなくなり,他の実習実施機関の下での技能実習を開始したものと認められる。 そうすると,原告AがA雇用契約に基づく労務の提供ができなくなったのは,同原告がセクハラ被害を訴えたことがきっかけであるとしても,被告Cと同原告の合意の下にA雇用契約を終了させたことによるものと認められるから,原告Aが和解に応じなかったことを理由として被告Cが原告Aから労務を提供する機会を奪ったことを前提とする原告Aの請求は理由がない。 5 争点4(原告Aの労務提供不能についての被告Cの不法行為の成否等)について(1) 原告Aは,被告Dのセクハラ行為や,被告Cが技能実習外の大葉巻き作業を行わせるという不正行為により,原告Aが被告Cに労務の提供をすることが不能になり,これは被告Cの不法行為に該当すると主張する。 (2) しかし,原告Aが労務の提供ができなくなった理由は,上記4(2)で認定したとおりであり,原告Aの主張事実のうち,被告Dによるセクハラ行為については,後記6で検討するとおり,これを認めることはできない。 また,被告Cが原告 供ができなくなった理由は,上記4(2)で認定したとおりであり,原告Aの主張事実のうち,被告Dによるセクハラ行為については,後記6で検討するとおり,これを認めることはできない。 また,被告Cが原告Aらを技能実習外である大葉巻き作業に従事させていたことが技能実習制度の観点から問題となるものであるとしても,前記のと おり,原告Aは,自らの意思でA雇用契約に基づき労務の提供をすることをやめたものと認めるのが相当であって,被告Cが原告Aに大葉巻き作業を行わせたことにより原告Aによる労務の提供が不能になったと認めることはできない。 よって,本争点に関する原告Aの請求は理由がない。 6 争点5(被告Dの原告Aに対するセクハラ行為の有無及び不法行為の成否)について(1) 原告Aが主張するセクハラ被害を裏付ける証拠の信用性原告Aが主張するセクハラ被害を裏付ける証拠として,被告Dからセクハラ被害を受けたとする原告Aの供述及び陳述(甲36),原告らと他の技能実習生(I,H,G)が作成した本件セクハラ証明書(甲6),被告Dの原告Aに対するセクハラ行為を目撃したとする原告Bの供述及び陳述(甲37)がある。 ア原告Aの供述及び陳述(ア) 原告Aは,被告Dのセクハラ行為について具体的な供述,陳述をする。 その一方で,原告Aは,原告Bが平成26年4月頃に被告C方に来た際,被告Dのセクハラ行為を見たが,その具体的な時間や,原告Bがこれについて注意をしたかどうかは覚えていない(原告A29頁),原告Bにセクハラ被害について相談した時に,他の技能実習生がセクハラの被害に遭っていないかを確認するよう原告Bに頼んだが,これに対する原告Bの返事は覚えていない(原告A32頁),在留資格の更新後,Sにセクハラ被害について話をしたが,その時期は覚えていない セクハラの被害に遭っていないかを確認するよう原告Bに頼んだが,これに対する原告Bの返事は覚えていない(原告A32頁),在留資格の更新後,Sにセクハラ被害について話をしたが,その時期は覚えていない(原告A36頁),平成26年11月28日にセクハラ被害の賠償と未払残業代の支払を求めたが,このときに技能実習生全員について賠償等を求めたかは覚えていない(原告A36頁),本件セクハラ証明書の本文は,原告Bと相談して原告Bが作ったが,その作成に要した日数は覚えていない (原告A42頁)などと供述する。これらは,セクハラ行為そのものというよりも,セクハラ被害についての相談状況等に関するものであり,繰り返し行われたようなものではないから,他の言動等と混同して記憶が曖昧になるようなものとは解し難いが,セクハラ行為について具体的な供述や陳述をする一方で,これらの事項について曖昧な供述をしていることは,セクハラ行為自体に関する原告Aに供述の信用性に疑問を抱かせる事情ということができる。 (イ) 原告Aの供述を前提にすると,被告Dは,女性技能実習生の部屋に上がり込んで種々のセクハラ行為をしていたというのであるから,その際に,他の女性技能実習生にも被害が及ぶことがあったものと考えられる(原告Aは,他の女性技能実習生もセクハラ行為がされていた旨の供述をする。)。しかしながら,他の女性技能実習生が,本件セクハラ証明書のほかに,セクハラ被害を訴えたことはうかがわれない(本件セクハラ証明書の信用性に疑問があるのは,後記イのとおりである。)。 (ウ) 被告C方で平成26年5月に技能実習生とともにディズニーランドに行ったときの写真(乙135~138)や,同年11月8日に技能実習生とともにりんご狩りに行ったときの写真(甲21の1・2)には,被告Dが女性技 で平成26年5月に技能実習生とともにディズニーランドに行ったときの写真(乙135~138)や,同年11月8日に技能実習生とともにりんご狩りに行ったときの写真(甲21の1・2)には,被告Dが女性技能実習生と親しげにしている様子が写っている。被告Dは女性技能実習生に対しては使用者側の立場の者であるから,出掛けた際に親しげにしている様子があるからといって,直ちに他の場面でのセクハラ行為が存在しないと断定することができるわけではないが,これらの写真の様子は,被告Dと女性技能実習生との間に特段問題がなかったことをうかがわせる事情とみることができる。 (エ) 原告Aは,平成25年10月に被告C方で技能実習を始めた頃から日常的にセクハラ被害を受けていたが,そのことを相談したのは,平成26年8月頃原告Bに対してしたのが初めてであり,被告組合に被害申告 をしたのは,同年11月26日になってのことである。このように,セクハラ被害を直ちに申告するなどしなかったことについて,原告Aは,被害を訴えれば強制帰国させられ,送出機関(交遠)に支払った保証金が没収され,保証人にも損害賠償請求がされることを恐れた旨の主張をする。確かに,原告Aは来日に当たりSに対し保証金を差し入れるなどしていたのであるから,保証金の法的性質はともかくとしても,セクハラの被害を訴えてそれが問題になれば,保証金が没収されるなどの心配を抱く可能性がないとはいえない。また,平成26年9月に在留資格の期限が来ることから,その前の段階では,被害申告をしたために在留資格の更新がされない事態を心配した可能性がないとはいえない。 そうであるとしても,原告Aは,在留資格が更新された後もしばらくセクハラ被害を訴えることをしなかったのであり(なお,原告Aは,在留資格が更新された後にSにセクハラ 配した可能性がないとはいえない。 そうであるとしても,原告Aは,在留資格が更新された後もしばらくセクハラ被害を訴えることをしなかったのであり(なお,原告Aは,在留資格が更新された後にSにセクハラ被害について話をした旨の供述をするが,その時期等については覚えてないとしており,そのような事実の存在には疑問が残ることは前記のとおりである。),また,原告Bに相談をする中で,どのような場合に保証金の没収等があり得るかなどを確認したことはうかがわれないのであって,その点には疑問が残るといわざるを得ない。 (オ) 原告Aは,平成26年8月,原告Bにセクハラ被害を訴えており,同月24日にEが被告C方を訪れたのは,原告Aにおいても,同原告の訴えを踏まえてのものであったと理解することができたものと認められる。 確かに,近くに被告Cや被告Dがいる状況においては,たとえ被告Cらが中国語を分からないとしても,Eにセクハラ被害を訴えることがはばかられるとの心情は理解できないものではない。しかし,Eが上記のような理由で被告C方に来た以上,Eに頼んでEだけと話をする場面を作ること自体がそれほど困難なことであったとは考え難い。そうすると, この時に原告AがEにセクハラ被害についての相談をしなかったことは,セクハラ被害の存在自体に疑問を抱かせる事情ということができる。 (カ) 以上によれば,セクハラ被害に関する原告Aの供述の信用性に疑問を差し挟む事情が少なからず認められる。 イ本件セクハラ証明書について(ア) 本件セクハラ証明書の記載内容等本件セクハラ証明書には,被告Dが,女性技能実習生に対し,「俺と結婚してくれ」と言い,誰の胸が大きい,誰の胸が小さいと評価し,口で胸をくわえようとする,日常的に女性実習生の胸,尻,背中を突然に触り,後ろから ラ証明書には,被告Dが,女性技能実習生に対し,「俺と結婚してくれ」と言い,誰の胸が大きい,誰の胸が小さいと評価し,口で胸をくわえようとする,日常的に女性実習生の胸,尻,背中を突然に触り,後ろから抱きつく。女性実習生の前で立小便をする,バナナを自分の股に置き,振りながら猥褻な動作をしながら女性実習生に見せる,女性実習生の前で自分の性器を露出する,メロン包装用の網を広げてIの胸に押しつけたり,ズボンの外から自分の性器部に掛け,猥褻な動作をする,懐中電灯でHの胸に光を当てたり,テーブルの下からHのスカートの中に光を当てて中を見るように呼びかけたりする,勝手に女性の寝室に入り込んで,ベッドと台所の通路に座り込み,通りかかった原告Aのスカートを突然に下に引っ張ったり,シャワーを浴びている原告Aに一緒にシャワーを浴びたいと言ったりする,Gの胸を指さして触り,胸が小さいと言う,無断に女性寝室に入り込み,ベッドの脇で覗きをする,原告Aに後方から近づき,振り返った原告Aの胸を口でタッチし,手で原告Aの尻を触るなどのセクハラ行為をしたとの記載がある。 本件セクハラ証明書の文面は,原告らが相談して作ったものであり(原告A41~42頁,原告B50~51頁),その作成にIら3名は関与していない。 (イ) Iら3名の陳述内容等Iら3名は,本訴提起後,本件セクハラ証明書については,原告Bか ら署名すれば一儲けできるなどと言われて,内容を確認せず署名したものであり,被告Dがセクハラ行為をしたことを否定する旨の陳述や供述をする(Gについて乙6,Iについて乙39の7,Hについて乙39の8。また,J,H,K及びIが連名で作成した乙5。)。 (ウ) 本件セクハラ証明書の信用性本件セクハラ証明書は,被告Dがしたとするセクハラ行為について相当詳細な記 乙39の7,Hについて乙39の8。また,J,H,K及びIが連名で作成した乙5。)。 (ウ) 本件セクハラ証明書の信用性本件セクハラ証明書は,被告Dがしたとするセクハラ行為について相当詳細な記載があるが,この本文の作成に関与していないIら3名がその内容を理解して署名するとなれば,その内容を確認する必要があるところ,本件セクハラ証明書に署名がされた状況を撮影した動画(甲7の1)によれば,Iら3名が本件セクハラ証明書に目を通している様子がうかがわれないではないが,文書を作成した原告らが文書の内容や作成の趣旨を十分に説明した様子はうかがわれず,結局のところ,この動画によっても,Iら3名が具体的にどの程度文書の内容を理解して,これが事実であると納得して署名したかが明らかとはいえない。そして,Iら3名が現在は本件セクハラ証明書の内容を否定する旨の陳述をしていること(乙5の1,乙40の1),同時期に被告C方で技能実習をしていたJも被告Dのセクハラ行為を否定する旨の証言,陳述をしていることを考え併せると,本件セクハラ証明書の信用性は慎重に評価する必要がある。 原告Aは,被告Dのセクハラを否定するなどの内容のJの陳述書(乙126の1)はJが作成したものではない可能性があり,その信用性に疑問があると主張するが,Jがその陳述書と同旨の証言をしていることに照らして,原告Aの上記主張を採用することはできない。また,原告Aは,被告C方でセクハラはなかった旨の技能実習生(J,H,K,I)作成の書面(乙5の1)のIの署名は,本件セクハラ証明書などのIの署名と異なると主張するところ,確かに乙5号証の1のIの署名は,形 が崩れており,本件セクハラ証明書のIの署名とは異なる印象も与えるものであるが,形が崩れたことによる字形の違いで説明できる範囲を超 ると主張するところ,確かに乙5号証の1のIの署名は,形 が崩れており,本件セクハラ証明書のIの署名とは異なる印象も与えるものであるが,形が崩れたことによる字形の違いで説明できる範囲を超えていないとみる余地もあるものであり,その署名に直ちに疑問があるとまではいい難い。 ウ原告Bの供述について原告Bは,平成26年5月頃に,被告C方で,被告Dが原告Aにキスしようとしたのを見たと供述するが(原告B14頁),一方で,同原告の陳述書(甲37・5頁)には,同年8月に被告C方を訪問した際に被告Dのセクハラを目撃した旨の記載がある。原告Bは,被告Dの行為を見て「衝撃的すぎて言葉を失った」とも供述しており(原告B30頁),同原告が被告Dのセクハラ行為を目撃した時期についての陳述や供述が一貫していないことには疑問が残る。 エ Eの言動について原告Aは,Eが平成26年12月3日,原告Bに対し,「Aにノートを書かせるんだ。セクハラは誤解だったと。」「これは文化だと,オヤジのジョークだったと。」と述べた(甲19の4)のは,被告Dのセクハラ行為があったことを前提とするものであると主張する。しかし,Eのこの発言は,被告Dのセクハラが事実として存在することを前提としてのものではなく,原告Aが被告Dのセクハラ行為を主張していることを前提に,それは誤解であったことにして事態を収拾することができないかという趣旨で述べたものとも理解できるものであり,この発言から直ちに被告Dのセクハラ行為の存在を認めることはできない。 (2) 結論以上のとおり,被告Dが原告Aにセクハラ行為をしたことについては,原告Aの供述に疑問を差し挟む事情が少なからずあり,本件セクハラ証明書の信用性に疑問があり,原告Bの供述にも疑問が残るところである。そのこと に 原告Aにセクハラ行為をしたことについては,原告Aの供述に疑問を差し挟む事情が少なからずあり,本件セクハラ証明書の信用性に疑問があり,原告Bの供述にも疑問が残るところである。そのこと に,被告Dがセクハラ行為を否定する供述をしていることを併せ考慮すれば,被告Dが原告Aにセクハラ行為をしたことを認めることはできないというべきである。ほかにそのことを認めるに足りる証拠は見当たらない。 よって,本争点に関する原告Aの請求は理由がない。 7 争点6(被告Dのセクハラ行為に係る被告Cの安全配慮義務違反の有無,共同不法行為の成否及び使用者責任の成否)及び争点7(被告Dのセクハラ行為に係る被告組合の共同不法行為の成否)について上記4で説示したとおり,被告Dによる原告Aに対するセクハラ行為があったと認めることはできないから,これがあったことを前提とする被告Cの安全配慮義務違反,共同不法行為責任及び使用者責任はいずれも認めることができず,被告組合の共同不法行為責任もまた認めることができない。 よって,本争点に関する原告Aの請求は理由がない。 8 争点8(権利行使妨害を理由とする損害賠償請求の可否)について原告Aは,平成26年11月28日以降,Eら被告組合の職員が,原告Aを恫喝を交えて執拗に被告組合の事務所に連れ出そうとし,移籍予定の実習実施機関から連れ出して仕事をできない環境に留め置く等の「脅迫」の手段を用いて,原告Aが未払残業代やセクハラ被害に対する賠償を請求するという権利の行使を妨害したと主張するが,前記認定事実(4)ウのとおり,被告組合の職員が,脅迫的手段を用いて原告Aを被告組合の事務所に連れ出すなどの違法行為に及んだと認めるに足る証拠はない。 また,被告組合は,平成26年12月18日,原告Aに対し,1時間200束で大葉巻き作 の職員が,脅迫的手段を用いて原告Aを被告組合の事務所に連れ出すなどの違法行為に及んだと認めるに足る証拠はない。 また,被告組合は,平成26年12月18日,原告Aに対し,1時間200束で大葉巻き作業の残業代を計算したとして,67万円の支払での和解を提案しているが,これは,大葉巻き作業についての原告Aの主張にある程度配慮しての解決案の提示といえるものであり,被告組合がこのような提示をしていることに照らして,被告組合が原告Aの未払残業代やセクハラ被害に対する賠償請求の権利を妨害したとは認め難い。 よって,被告組合につき原告Aが主張するような不法行為責任を認めることはできず,そうであるとすれば,被告組合が権利行使妨害に及んだことを前提とする被告D及び被告Cの共同不法行為責任もまた認めることはできない。 よって,本争点に関する原告Aの請求は理由がない。 以上のとおり,争点5~8に係る被告Dの不法行為責任,被告Cの安全配慮義務違反,不法行為責任及び使用者責任並びに被告組合の不法行為責任を認めることはできないから,争点9について判断するまでもなく,これらを前提とする原告Aの請求は理由がない。 9 争点10(原告Bの解雇理由及び解雇の相当性の有無)について(1) 客観的に合理的な理由の有無ア警察への通報について11月30日の通報は,原告Bは被告組合の職員として原告Aのセクハラ被害の申告や実習外活動である大葉巻き作業の件で,技能実習生ら被告C方で技能実習を続けることが不可能になり,研修センターに引き上げる必要があり,被告組合の職員がそのために被告C方に行っていたことを認識していたものと認められるところ,Mからの連絡で,原告Aが拉致されそうな状況にあったわけではないことを認識していたにもかかわらず,警察に対し,自 組合の職員がそのために被告C方に行っていたことを認識していたものと認められるところ,Mからの連絡で,原告Aが拉致されそうな状況にあったわけではないことを認識していたにもかかわらず,警察に対し,自らが被告組合の職員であることを説明せず,女性の技能実習生が男に拉致されそうだという通報をしたものであり(前記認定事実(4)ウ),被告組合の職員が技能実習生を連れ出すことができないようにしようとしたものであって,これによって被告組合の業務を妨害する行為であると評価することができる。12月6日の通報は,確かにJが原告Aの肩を押すなどしており,これを暴行と評価する余地がないではないとしても,Jの行為の態様は上記のようなもので,深刻なものではなかった上,既にJはその場を離れていたのであるから,直ちに通報をする必要があったと いえるか疑問があるものである。それにもかかわらず原告Bが通報をしたことは,Jが被告組合の説得に応じて研修センターに移動するなど,セクハラ被害の問題や大葉巻き作業の問題について原告らと歩調を合わせる意思がない態度を示していたことから,Jに対する圧力をかける考えがあったことをうかがわせるものであり,被告組合の職員でありながらそのような行動に出たこと自体,被告組合の業務を妨害する行為と評価することができる。さらに,12月13日の通報は,前記認定事実(5)ウのような状況でされたもので,同原告が監禁されているような状況にはなかったにもかかわらず,被告組合の事務所で監禁されているなどと通報したことは,被告組合の信用を毀損し,その業務を妨害する行為であると評価することができる。 イ監査結果報告書の持ち出しについて監査結果報告書は,入国管理局に提出するものであり,原告Bがこれを持ち出す正当な理由は見当たらない。監査結果報告書が する行為であると評価することができる。 イ監査結果報告書の持ち出しについて監査結果報告書は,入国管理局に提出するものであり,原告Bがこれを持ち出す正当な理由は見当たらない。監査結果報告書が未完成であったとしても,監査結果報告書は事務所内のパソコンで作成されていたものであり(原告Bは,自らが作成したソフトで監査結果報告書を作成したと述べており,そのことからして,監査結果報告書が被告組合の事務所内のパソコンで作成されていたことは明らかである。),外部で作成することは考えられない。また,原告Bは,技能実習の状況について問題がない旨の報告書を提出することは不当であり,そのような監査結果報告書の作成に関与したくないと考えたなどと主張するが,監査結果報告書の内容に意見があるのであれば,上司にその旨の報告をするなどの方法によるべきであり,監査結果報告書を持ち出す正当な理由になるものではない。なお,被告組合は,原告Bが監査結果報告書を作成するためのソフトを消去した旨の主張をするが,そのことを裏付ける的確な証拠はない。 ウ無断外出等について 前記認定事実(5)アのとおり,被告組合の事務局長のQは,平成26年12月13日,原告Bに対し,外出しないように具体的な職務命令を出したにもかかわらず,原告Bは外出をしたもので,これは,職務命令に反するものである。また,原告Bは,その際,被告組合をつぶすなどと発言しているが,同年11月末頃からの原告Aのセクハラ被害の申告等に端を発する経緯の中での原告Bの行動,特に3回にわたる警察への通報は,前記のとおり被告組合の業務を妨害したり,信用を毀損したりするようなものであり,被告組合に敵対的なものといわざるを得ず,その中で上記のような発言をしたことは,被告組合に対する敵対的な感情を明らかにしたもの とおり被告組合の業務を妨害したり,信用を毀損したりするようなものであり,被告組合に敵対的なものといわざるを得ず,その中で上記のような発言をしたことは,被告組合に対する敵対的な感情を明らかにしたもので,被告組合における職場の秩序を乱すものといわざるを得ない。 エ小括以上のとおり,原告Bの警察への通報は,被告組合の信用を毀損し,又はその業務を妨害するもので,原告Bが監査結果報告書を持ち出したことは被告組合の業務を妨害するものであり,さらに,原告Bは無断外出をして職務命令に反した上,被告組合に敵対的な感情を明らかにし,被告組合の職場の秩序を乱したものであるから,解雇をするについての客観的に合理的な理由があると認められる。 (2) 相当性について原告Bの前記の言動,特に,被告組合の業務を妨害し,その信用を毀損するような警察への通報を繰り返したこと,監査結果報告書を持ち出して被告組合の業務を妨害したこと,無断外出をして職務命令違反をし,被告組合に敵対的な感情を明らかにし,被告組合の職場の秩序を乱したことによれば,これらの言動によって被告組合と原告Bとの信頼関係は失われていたといわざるを得ず,個別的な指導等によっても原告Bが被告組合の職務に戻ることは現実的に期待できなかったというべきであるから,解雇をしたことについては社会的通念上相当なものと認められる。 (3) 本件解雇の有効性以上によれば,本件解雇には客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当と認められるから,解雇権の濫用とはいえず,本件解雇は有効であり,原告の請求は理由がない。 なお,原告Bは,離職票において重責解雇とされているから本件解雇は懲戒解雇であるところ,その根拠を欠く違法,無効なものであると主張するが,被告組合は本件解雇は普通解雇であると主張して, 由がない。 なお,原告Bは,離職票において重責解雇とされているから本件解雇は懲戒解雇であるところ,その根拠を欠く違法,無効なものであると主張するが,被告組合は本件解雇は普通解雇であると主張して,解雇予告手当の支払等の手続を踏んでいるのであり,離職票の上記記載から直ちに本件解雇が懲戒解雇に当たると評価することできない。 (4) 結論よって,本件解雇が無効であることを前提とする原告Bの請求はいずれも理由がない。 第4 結論よって,原告Aの未払残業代請求のうち99万8380円及びこれに対する平成27年8月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,付加金請求のうち99万4805円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を求める限度でそれぞれ理由があるから一部認容し,その余はいずれも理由がないから棄却し,原告Bの請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 水戸地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官岡田伸太 裁判官南宏幸 裁判官長谷川稔洋

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