平成24年1月31日判決言渡平成23年(ネ)第10031号特許権に基づく製造販売禁止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成21年(ワ)第19013号)平成23年11月2日口頭弁論終結判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1 控訴人らの請求 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人株式会社カーボテックは,別紙物件目録記載1及び2の各物件を製造,販売してはならない。 3 被控訴人株式会社カーボテックは,その占有する別紙物件目録記載1及び2の各物件をそれぞれ廃棄せよ。 4 被控訴人協同組合カーボテック飛騨は,別紙物件目録記載3の物件を販売してはならない。 5 被控訴人協同組合カーボテック飛騨は,その占有する別紙物件目録記載3の物件を廃棄せよ。 6 被控訴人有限会社山下木材は,別紙物件目録記載3の物件を販売してはならない。 7 被控訴人有限会社山下木材は,その占有する別紙物件目録記載3の物件を廃棄せよ。 8 被控訴人株式会社成基は,別紙物件目録記載4の物件を製造し,マンション等の建造物に使用してはならない。 9 被控訴人株式会社成基は,その占有する別紙物件目録記載4の物件を廃棄せよ。 10 被控訴人らは,控訴人株式会社ナカタに対し,連帯して1億1677万3400円及びこれに対する平成21年7月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 11 被控訴人らは,控訴人株式会社安田製作所に対し,連帯して1億1677万3400円及びこれに対する平成21年7月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 12 訴訟費用は,第1,2審とも被 控訴人らは,控訴人株式会社安田製作所に対し,連帯して1億1677万3400円及びこれに対する平成21年7月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 12 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 13 仮執行宣言第2 事案の概要及び当事者の主張等 1 事案の概要控訴人株式会社ナカタを「原告ナカタ」と,控訴人株式会社安田製作所を「原告安田製作所」と,被控訴人株式会社カーボテックを「被告カーボテック」と,被控訴人協同組合カーボテック飛騨を「被告飛騨」と,被控訴人有限会社山下木材を「被告山下木材」と,被控訴人株式会社成基を「被告成基」という。原審において用いられた略語は,当審においてもそのまま用いる。 原審の経緯は,以下のとおりである。 原告らは,発明の名称を「炭化方法」とする本件特許権(特許第3364065号)を共有している。原告らは,①被告カーボテックは,本件特許に係る方法の使用にのみ用いる炭化装置(別紙物件目録記載1の物件)を製造,販売して,本件特許権を間接侵害した,②被告カーボテックは,本件特許に係る方法により粉末活性炭(別紙物件目録記載2の物件)を製造,販売して,本件特許権を侵害した,③被告飛騨は,被告カーボテックが販売する炭製品が本件特許の侵害品であることを認識しながら,これを利用した炭製品(別紙物件目録記載3の物件)を販売して,本件特許権を侵害した,④被告山下木材は,被告飛騨が販売する炭製品(別紙物件目 録記載3の物件)が本件特許の侵害品であることを認識しながら,これを被告成基に販売して,本件特許権を侵害した,⑤被告成基は,被告山下木材が販売する炭製品(別紙物件目録記載3の物件)が本件特許の侵害品であることを認識しながら,これを購入し,第三者をしてセラミック炭ボード(別紙物件目録記載 件特許権を侵害した,⑤被告成基は,被告山下木材が販売する炭製品(別紙物件目録記載3の物件)が本件特許の侵害品であることを認識しながら,これを購入し,第三者をしてセラミック炭ボード(別紙物件目録記載4の物件)を製造させ,自社開発のマンションに使用して,本件特許権を侵害した,と主張して,被告らに対し,特許法100条1項及び2項に基づき,上記商品の製造又は販売の差止め及び廃棄を求めるとともに,不法行為(民法719条,709条,特許法102条2項)に基づき,損害賠償の支払いを求めた。 原審は,被告カーボテックによるセラミック炭の製造方法(被告製造方法)は,木質チップの表面をベントナイトで被覆し,そのことによって酸化を抑制して可燃物である木質チップを炭化させるものであると認めることはできず,被告製造方法は,本件特許発明の技術的範囲に属するものと認めることはできないとして,原告らの請求をいずれも棄却した。 これに対し,原告らは,原判決の取消しを求めて,本件控訴を提起した。 2 争いのない事実等及び争点次のとおり訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の「1 争いのない事実等」(原判決3頁3行目ないし6頁20行目),「2 争点」(原判決6頁21行目ないし7頁23行目)記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決5頁8行目ないし21行目を次のとおり改める。 「ウ本件特許に係る無効審判手続の経緯等(ア) 被告カーボテックは,平成21年10月30日付けで,本件特許の請求項1及び3につき特許無効審判を請求した(無効2009-800227号。乙11)。 これに対し,原告らは,平成22年2月1日付けで本件明細書の訂正請求をした(甲66)ところ,特許庁は,同年10月27日付けで,上記訂正請求中,本件特許の請求項1を引用する 800227号。乙11)。 これに対し,原告らは,平成22年2月1日付けで本件明細書の訂正請求をした(甲66)ところ,特許庁は,同年10月27日付けで,上記訂正請求中,本件特許の請求項1を引用する請求項5についての訂正を除いて訂正を認めるとともに,本件 特許の請求項1に係る発明についての特許を無効とし,本件特許の請求項3に係る発明についての審判請求は成り立たない,との審決をした(乙16)。原告らは,平成22年12月4日,上記審決の取消訴訟(知的財産高等裁判所平成22年(行ケ)第10378号)を提起し,平成23年3月3日に訂正審判(訂正2011-390025号)を請求した。知的財産高等裁判所は,平成23年3月18日,特許法181条2項の規定により,上記審決中,本件特許の請求項1に係る発明についての特許を無効とするとの部分を取り消すとの決定をした(甲85,弁論の全趣旨)。 (イ) 原告らは,再開された審理において,平成23年4月26日に訂正請求をした(以下「本件訂正」という。なお,平成22年2月1日付けの訂正請求のうち,上記審決により確定した訂正を除く訂正の請求は,特許法134条の2第4項の規定により取り下げられたものとみなされた。)(甲96)。 本件訂正のうち,本件特許の請求項1に係る部分は,次のとおりである。 a 「可燃物あるいは可燃物を含む」を,「木材,穀物の殻もしくはコーヒー粕等の粒状の固体からなる可燃物あるいは該可燃物を含む」と訂正する。 b 「反対方向から着火させ,」を,「反対方向から,原料のガス成分に着火および燃焼させ,」と訂正する。 c 「投入口側で乾燥させ」を,「投入口側で原料を乾燥させ」と訂正する。 d 「酸化を抑制しつつ」を,「可燃物の酸化を抑制しつつ」と訂正する。 (ウ) 特許庁は,平成23年9月13日,本 正する。 c 「投入口側で乾燥させ」を,「投入口側で原料を乾燥させ」と訂正する。 d 「酸化を抑制しつつ」を,「可燃物の酸化を抑制しつつ」と訂正する。 (ウ) 特許庁は,平成23年9月13日,本件訂正のうち請求項1に係る訂正を認めるとともに,本件特許の請求項1に係る発明についての特許を無効とするとの審決をした。これに対し,原告らは,平成23年10月1日,上記審決の取消訴訟(知的財産高等裁判所平成23年(行ケ)第10314号)を提起した(甲96,97,弁論の全趣旨)。」 3 争点に対する当事者の主張次のとおり当審における主張を追加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 争点についての当事者の主張」(原判決7頁24行目ないし36頁15行 目)記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決11頁21行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。 「(エ) 信州大学繊維学部材料化学工学課程のA准教授(以下「A准教授」という。)作成の試験結果報告書等(甲86,94,103)及び長野県工業技術総合センター所長B作成の試験成績書(甲87)は,被告製造方法における原料の被覆の状態は,以下のとおり,炭化炉内に酸素が供給された状態であっても酸化を抑制して炭化させることができる程度に原料の表面を覆っているとともに,原料に着火させ,原料のガス成分を燃焼することができる程度には原料の表面を覆わない部分が存在することを示している。 すなわち,A准教授は,被告製造方法として示された木質チップ等1㎥当たりベントナイト50㎏という比率と同じ比率(10ml:0.5g)で,原料がベントナイトによって被覆されるか否かの実験を行った。これによると,チップ表面は,ベントナイトによって100%に近い割合で被覆されているとともに,鉱物粒子間に隙間が存在してお :0.5g)で,原料がベントナイトによって被覆されるか否かの実験を行った。これによると,チップ表面は,ベントナイトによって100%に近い割合で被覆されているとともに,鉱物粒子間に隙間が存在しており,熱分解により生成した揮発成分のガス分子は,鉱物粒子間の間隙を容易に通り抜けることができるため,この状態の木材チップを燃焼器(炭化炉)の中に投入した場合,木材チップの熱分解により生成する揮発成分が,これらの粒子間の隙間を通じて外側に放出される。他方,周囲の空気中の酸素は,このようにチップ表面がベントナイトにより被覆され,かつ,粒子間の隙間からは熱分解により生成した揮発成分が放出されている状態では,ベントナイト層の下にある木材チップ表面に容易にたどり着くことができず,このため空気中でも炭化が進行する。 そして,上記の方法で作成したベントナイトを混合した木材チップを,空気雰囲気下で昇温速度約50℃/min,最高到達温度800℃で10分間保持の条件で加熱する実験を行った結果,黒色の炭化物を得ることができ,同じ条件でベントナイトを混合していない木材チップを加熱したところ,炭化物は得られず灰分(木材に含まれている金属元素の酸化物)のみが残留した。 また,被告カーボテック提出の「工程説明書」(乙9)の「(工程4)炭化炉内部 での原料の着火→予熱バーナー停止(原料の自然延焼継続)」との記載及び「【写真⑩】炭化炉燃焼状況」でも,被告製造方法において,バーナーを停止した状態で原料が火炎を上げて自然燃焼しており,分解ガスが噴出していることは明らかである。 これに対し,被告カーボテック提出の「写真撮影報告書(ベントナイトの木質チップへの付着状態)」(乙10)は,意図的に水を加えずにベントナイトと木チップの混合実験を行ったものと考えられるから,採用されるべきで し,被告カーボテック提出の「写真撮影報告書(ベントナイトの木質チップへの付着状態)」(乙10)は,意図的に水を加えずにベントナイトと木チップの混合実験を行ったものと考えられるから,採用されるべきではない。 以上のとおり,被告製造方法は,構成要件B及びDを充足する。」原判決14頁16行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。 「(ウ) A准教授の実験は,被告カーボテックが実際に使用している木質チップ,ベントナイトとは異なるものを使用し,木材チップとベントナイトを混合したものをシャーレに取り出して95℃の乾燥機で一昼夜乾燥させるというように,実験室における特殊な条件の下で行われたものであり,被告カーボテックの炭化焼成前の木質チップとベントナイトの存在状態を証明するようなものではない。」原判決16頁9行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。 「そうでないとしても,被告成基は,被告飛騨が原告らの本件特許権を侵害していることを認識していながら,被告飛騨からセラミック炭を購入し,これを原料として,セラミック炭ボードを製造して,自社開発のマンションに使用しており,当該行為は,本件特許権を侵害する。」原判決17頁8行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。 「ウさらに,①被告カーボテック京都工場を原告ナカタの代表者の父Cが訪問した際,被告カーボテックの代表者と被告山下木材の京都営業所長Dが一緒に事務所で対応したこと,②原告ナカタの代表者らが被告飛騨の工場を訪問した際,ハイモックスを製造するための粉砕機があり,被告山下木材のE常務及び被告飛騨のF顧問は,被告飛騨においてハイモックスを製造していると説明していたこと,③被告カーボテック京都工場には,ハイモックスを製造するための粉砕機がないこと,④被告飛騨の代理店イマオ商会が,ハイモック のF顧問は,被告飛騨においてハイモックスを製造していると説明していたこと,③被告カーボテック京都工場には,ハイモックスを製造するための粉砕機がないこと,④被告飛騨の代理店イマオ商会が,ハイモックスの製造元は被告飛騨であると説明 していること,⑤被告飛騨のF顧問は,岐阜県東部クリーンセンターにハイモックスを納入する際に立ち会ったり,中部圏においてハイモックスの営業を行っていることなどからすれば,被告カーボテック,同飛騨及び同山下木材は,密接な関係を有しており,被告山下木材の介在の下,被告カーボテックが製造したセラミック炭を被告飛騨が購入し,これを粉砕してハイモックスを製造しているとも考えられる。」原判決17頁19行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。 「また,被告山下木材の京都営業所長Dは,原告ナカタの代表者の父Cが被告カーボテック京都工場を訪問した際,かちあったにすぎない。さらに,被告山下木材のE常務及び被告飛騨のF顧問は,原告ナカタの代表者らが被告飛騨の工場を訪問した際,被告飛騨においてセラミック炭を粉砕し,これを被告カーボテックに販売していると説明したにすぎない。」原判決18頁5行目ないし7行目を次のとおり改める。 「(2) 被告成基は,被告飛騨が製造したセラミック炭を,被告山下木材から購入しており,被告飛騨からはセラミック炭を購入していない。また,被告飛騨主張のとおり,被告飛騨によるセラミック炭の製造行為は,何ら本件特許権を侵害するものでなく,被告成基が,セラミック炭ボードを製造して,自社開発のマンションに使用することも,何ら本件特許権を侵害するものではない。」原判決32頁10行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。 「なお,本件訂正により,出発原料を粒状の固体に限定したことにより,水に膨潤したベン ことも,何ら本件特許権を侵害するものではない。」原判決32頁10行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。 「なお,本件訂正により,出発原料を粒状の固体に限定したことにより,水に膨潤したベントナイトが表面のみ被覆し,先行文献のように練り込まれるものではないことがより明確となった。」第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,本件控訴はいずれも理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の「第4 争点に対する判断」記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決44頁1行目ないし45頁17行 目を次のとおり改め,原判決50頁23行目ないし53頁10行目を削除する。 「当裁判所は,被告製造方法は,本件特許発明の構成要件B及びDを充足すると認めることはできない。その理由は,以下のとおりである。 (ア) A准教授の試験結果等について原告らは,A准教授の試験結果(甲86,94),長野県工業技術総合センターの試験結果(甲87)及び被告カーボテック提出の「工程説明書」(乙9)により,被告製造方法における被覆の状態は,炭化炉内に酸素が供給された状態であっても酸化を抑制して炭化させることができる程度に原料の表面を覆っているとともに,原料に着火させ,原料のガス成分を燃焼することができる程度には原料の表面を覆わない部分が存在することを確認できると主張する。しかし,原告らの上記主張は採用することができない。 すなわち,被告カーボテックにおいては,被告製造方法を実施するに当たり,木質チップ1㎥当たりベントナイト(カサネン工業株式会社製,商品名「出雲ベントナイト」)50㎏を,ミキサーで約5分間回転させながら散水し混合して原料を作成し,これを開放型回転式キルンで乾燥及び焼成し,炭化させるものと認められる(乙2, ネン工業株式会社製,商品名「出雲ベントナイト」)50㎏を,ミキサーで約5分間回転させながら散水し混合して原料を作成し,これを開放型回転式キルンで乾燥及び焼成し,炭化させるものと認められる(乙2,9,10,弁論の全趣旨)。 これに対し,A准教授の実験は,ビーカー内の木材チップ(代表長さ3~10㎜)約10ml にベントナイト粉末(甲86の実験において使用されたベントナイトの種類は不明。甲94の実験においては,カサネン工業株式会社製「出雲ベントナイト」を使用。)0.50g を添加し,霧吹きを用いて蒸留水を適量吹きかけながら,薬匙を用いて上記木材チップとベントナイトを均一に混合した後,濡れた状態の木材チップ数片をサンプルとして取り出し,それぞれのサンプルについて光学顕微鏡を用いて表面状態を観察し,さらに,上記木材チップをシャーレに取り出して,95℃の乾燥機で一昼夜乾燥させた上で,光学顕微鏡ないし走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて表面状態を観察したものである。 上記によれば,A准教授の実験は,木材チップ約10ml に対し,ベントナイト0. 50g という少量の試料について,ビーカー内において,霧吹きを用いて蒸留水を適量吹きかけながら,薬匙を用いて上記木材チップとベントナイトを均一に混合したり,上記木材チップをシャーレに取り出して,95℃の乾燥機で一昼夜乾燥させるなど,上記被告製造方法とは大きく異なる条件の下でなされたものといえる。また,その観察方法についてみても,上記方法で作成された試料の一部分を光学顕微鏡ないし走査型電子顕微鏡(SEM)(甲86の実験においては,倍率200倍・1000倍・5000倍,甲94の実験においては,倍率100倍・1000倍・5000倍)で観察したものにすぎず,ベントナイトの粒子の大きさが0.005~0. 2μm 6の実験においては,倍率200倍・1000倍・5000倍,甲94の実験においては,倍率100倍・1000倍・5000倍)で観察したものにすぎず,ベントナイトの粒子の大きさが0.005~0. 2μm と微細であること(甲37)なども考慮すると,被膜の状態を特定するまでには至っていないものと解される。なお,A准教授は,「乙第23号証に対する見解」と題する書面(甲103)において,甲94に記載された方法で作成した,ベントナイトを混合した木材チップを,空気雰囲気下で昇温速度約50℃/min,最高到達温度800℃で10分間保持の条件で加熱する実験を行ったところ,黒色の炭化物を得ることができ,他方,ベントナイトを混合していない木材チップのみを同じ条件で加熱した場合,炭化物は得られず,灰分(木材に含まれている金属元素の酸化物)のみが残留した旨の見解を述べる。しかし,上記書面には,写真が添付されておらず,炭化物ないし灰分がいかなるものか判然としない上,加熱方法も上記被告製造方法とは大きく条件の異なるものと解され,これをもって被膜の状態を特定することもできない。 また,長野県工業技術総合センターの試験結果(甲87)についてみても,木チップ(大きさは不明)10㎤にベントナイト(種類は不明)0.5g を混合し,水(その量は不明)で膨潤させたもの及びこれを乾燥させたものを,光学顕微鏡(倍率25倍・100倍)で観察したというものであって,上記被告製造方法とは大きく異なる条件の下で作成された試料の一部分を観察したものにすぎず,上記ベントナイトの粒子の大きさなども考慮すると,被膜の状態を特定するまでには至っていないものと解される。 さらに,被告カーボテック提出の「工程説明書」(乙9)の「(工程4)炭化炉内部での原料の着火→予熱バーナー停止(原料の自然 ると,被膜の状態を特定するまでには至っていないものと解される。 さらに,被告カーボテック提出の「工程説明書」(乙9)の「(工程4)炭化炉内部での原料の着火→予熱バーナー停止(原料の自然延焼継続)」との記載及び【写真⑩】によれば,被告製造方法において,バーナーを停止した状態において炭化炉内において燃焼が継続することが認められるものの,分解ガスの噴出する程度に原料が被覆されているか否かは明らかでない。そして,被告カーボテック提出の写真撮影報告書(乙10)によれば,被告製造方法において,ベントナイトと混合した後の木質チップは,白色がかっている部分があることは認められるものの,被覆の状態は判然としない。 なお,被告カーボテックは,そのホームページ中の被告カーボテック装置の動作イメージの説明図面において,被告カーボテック装置のロータリーキルンの原料投入口側は「レトルト(低酸素)」である旨記載しており(甲7),また,被告カーボテックの代表者は,その著書において,「空気を外から引き込んでいるため,原料投入側の酸素が希薄な状態になることで熱分解が行われ,燃焼して炭として排出され」ることが,被告製造方法がロータリーキルンを用いて炭化する従来の方法と異なる特徴であると説明している(甲78)。そうすると,炭の収量の問題はあるものの,炉内を酸素雰囲気としたロータリーキルンにより,粘結剤により被覆しなくとも原料を炭化することができるものと認められる(乙12の1段落【0015】参照)。 本件全証拠によるも,被告製造方法における木質チップに対するベントナイトの被覆の状態は判然とせず,被告製造方法は,ベントナイトによって,炭化炉内に酸素が供給された状態であっても酸化を抑制して炭化させることができる程度に原料の表面が覆われているとともに,原料に着火させ, 被覆の状態は判然とせず,被告製造方法は,ベントナイトによって,炭化炉内に酸素が供給された状態であっても酸化を抑制して炭化させることができる程度に原料の表面が覆われているとともに,原料に着火させ,原料のガス成分を燃焼することができる程度には原料の表面を覆わない部分が存在するものと認めることはできない。 以上のとおりであり,被告製造方法は,本件特許発明の構成要件B及びDを充足すると認めることはできない。 (イ) 原告らのその他の主張について」 2 結論以上のとおり,本件控訴は,いずれも理由がない。その他,原告らは,縷々主張するが,いずれも採用の限りでない。よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官八木貴美子 裁判官知野明 (別紙) 当事者目録 控訴人株式会社ナカタ 控訴人株式会社安田製作所 上記両名訴訟代理人弁護士松村光晃同築地伸之同山下幸夫同中村秀一同田中秀浩同屋 山下幸夫 中村秀一 田中秀浩 屋宮昇太 山崎久美子 被控訴人株式会社カーボテック 訴訟代理人弁護士伊原友己 同加古尊温 訴訟代理人弁理士小林良平 被控訴人協同組合カーボテック飛騨 被控訴人有限会社山下木材 上記両名訴訟代理人弁護士田辺一男 被控訴人株式会社成基 訴訟代理人弁護士置田文夫 同荒鹿高行 同頼政忠 同村田純江 同服部達夫 同西靖雄 (別紙) 物件目録 1 被控訴人株式会社カーボテックの回転キルン式連続炭化装置で,以下の型番のもの① NS-300型② NS-500型③ NS-800型 2 被控訴人株式会社カーボテックの粉末活性炭商品① ハイモックス(型番 DC-P1)② セラミック炭 型番のもの① NS-300型② NS-500型③ NS-800型 2 被控訴人株式会社カーボテックの粉末活性炭商品① ハイモックス(型番 DC-P1)② セラミック炭 3 セラミック炭製品① 飛騨炭Vマット② 飛騨炭③ セラミック炭シート④ 炭塗料 4 セラミック炭ボード
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