昭和47(行ス)1 行政処分執行停止決定に対する即時抗告申立事件

裁判年月日・裁判所
昭和47年9月7日 高松高等裁判所 その他
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判決文本文15,670 文字)

○ 主文本件抗告を棄却する。抗告費用は抗告人の負担とする。○ 理由一抗告人代理人は、「原判決を取消す。D大学学長が抗告人に対し昭和四七年三月二三日付でしたD大学大学院医学研究科博士課程在学期間延長申請不許可処分の効力をD地方裁判所昭和四七年(行ウ)第二号行政処分取消請求事件の本案判決が確定するに至るまで停止する。」との判決を求め、その理由として主張するところは、原決定第二の項に主張するほか、別紙抗告理由書記載のとおりである。二そこで一件記録にもとづき検討するに、当裁判所の判断は、以下の説示を附加するほか、原決定第四の項とおおむね同一であるから、これをここに引用する。(一) 先ず本件では、D大学学長が抗告人に対して昭和四七年三月二三日付でなした同大学大学院医学研究科博士課程在学期間の延長申請不許可処分の効力を仮に停止したとして、抗告人の大学院生としての身分が存続すると解しうるかの点を究明しなければならないところ、いうまでもなく抗告人の右博士課程への在学関係は、国の営造物利用の関係であつて、行政規則の一種であるD大学大学院学則の規律を受け、その定めに従うことになるのである。(二) そこで在学に関する同大学院学則第二〇条第二項によると、「博士課程の最短在学年限は、三年(医学研究科にあつては四年)とする。ただし特別の事情がある場合は、更に三年(医学研究科にあつては四年)を限り在学を許可することがある。」と規定されているのであり、これは、大学院設置審査基準要項(昭和二七年一〇月一一日大学設置審議会決定)の関係事項に則つて制定されたものと解される。もとよりかかる在学期間の定めは教育の機会均等の見地と、利用者の相対的な利用目的達成に要すると目される期間を考慮しながら、その利用の時的限界を画するものと解される。そこで右条項の規定の趣旨を医 る。もとよりかかる在学期間の定めは教育の機会均等の見地と、利用者の相対的な利用目的達成に要すると目される期間を考慮しながら、その利用の時的限界を画するものと解される。 関係事項に則つて制定されたものと解される。もとよりかかる在学期間の定めは教育の機会均等の見地と、利用者の相対的な利用目的達成に要すると目される期間を考慮しながら、その利用の時的限界を画するものと解される。そこで右条項の規定の趣旨を医 る。もとよりかかる在学期間の定めは教育の機会均等の見地と、利用者の相対的な利用目的達成に要すると目される期間を考慮しながら、その利用の時的限界を画するものと解される。そこで右条項の規定の趣旨を医学研究科所属の抗告人に則していえば、原則として四年間の在学が許容されるほか、特別の事情がある場合に在学期間の延長許可によつて更に最長四年間の在学が認められることになり、右延長の許可がないまま在学年限を経過すれば、特段の事情なき限り大学院生たる身分は当然に消滅するものと解するのが相当である。(三) この点について抗告人は、D大学学部や他の大学院における在学年限が最長在学年限の規律にとどまり、許可などの手続を要せずしてその間当然に在学しうるとしていることとの不均衡をいうが、前記大学院設置審査基準要項でもかかる相違を予想しているものとも解されるし、いずれにしても規定の文言に徴し、指摘の相違も前記解釈に消長を及ぼすものでないといわなければならない。(四) ただD大学大学院学則第二八条により同大学学則が準用されるところ、同大学学則第二八条に「在学八年(医学部医学科学生は一二年)に及んでも、なお、所定の試験に合格しない者に対しては、学長は、これを除籍する。」旨の規定があるため、右規定の文言のみからは在学年限の経過のみでは大学院生たる身分は消滅しないのではないかとの疑義があるが、右条項の在学年数以上に在学が許される旨の規定のないこと、と前記第二〇条の規定に照らせば、右の除籍とは在学年限の経過による大学院生の身分の消滅を確認し、且つ学籍簿に外形上存する記載を消除する内部手続をなすことを意味し、右以上の意味を有しないものと解するのが相当である。(五) そうだとすると、特段の事情の認められない抗告人について延長申請の許可がないまま在学期間を経過したことにより る内部手続をなすことを意味し、右以上の意味を有しないものと解するのが相当である。(五) そうだとすると、特段の事情の認められない抗告人について延長申請の許可がないまま在学期間を経過したことにより大学院生たる身分は消滅したものと解するほかないというべく、在学期間の延長申請不許可処分(その性質論は措く)なるものの効力を停止したとしても、大学院生たる身分を当然に回復するものではない。 経過したことにより る内部手続をなすことを意味し、右以上の意味を有しないものと解するのが相当である。(五) そうだとすると、特段の事情の認められない抗告人について延長申請の許可がないまま在学期間を経過したことにより大学院生たる身分は消滅したものと解するほかないというべく、在学期間の延長申請不許可処分(その性質論は措く)なるものの効力を停止したとしても、大学院生たる身分を当然に回復するものではない。三すると大学院生の身分の回復を前提とする抗告人の本件執行停止の申立は利益を欠くものというべく、同一の見地から右申立を却下した原決定は相当であつて、本件抗告は理由がない。四よつて本件抗告を棄却することとし、抗告費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり決定する。(裁判官合田得太郎谷本益繁石和眞)別紙抗告理由書第一原決定の違法性原決定が抗告人の大学院在学期間延長不許可処分(以下本件処分ともいう)執行停止申立を却下した理由は、要するにD大学院学則(以下単に学則という)二〇条二項の定めからすると、抗告人は昭和四七年三月三一日の経過と共に大学院生たる地位を当然に喪失しており、本件処分の執行を停止したところで単に抗告人の在学期間延長申請がなされた状態に戻るにすぎないから、結局右申立の利益がないというにある。しかし、原決定は学則二〇条二項の理解を誤まつているだけでなく、院生の在学期間延長申請それ自体に伴う利益(執行停止制度により保護を受けるべき利益)を看過している点で明らかに違法である。第二学則二〇条二項の解釈一原決定は、学則二〇条二項につき「院生の在学年限を原則として四学年間とし、大学院の特殊性に鑑み特別の事情のある場合は、例外的に四年を限り延長を許可する旨定めたもの」と解し、但書の許可をいわゆる講学上の「許可」と把えてい 項につき「院生の在学年限を原則として四学年間とし、大学院の特殊性に鑑み特別の事情のある場合は、例外的に四年を限り延長を許可する旨定めたもの」と解し、但書の許可をいわゆる講学上の「許可」と把えているようである。しかし、これは極めて皮層的且つ機械的な考え方であり次の理由により排斥されるべきである。二先ず、学則二〇条二項の本文、但書の規定を原決定の如く単純に原則例外の関係とみるのは誤まりである。1 同規定は、いうまでもなく在学期間に関し院生と大学との間の権利義務を定めたものであるが、これが原決定の理解によると、院生の権利として認められる在学期間は原則として四年間に限られ、在学期間の延長は大学の一方的且つ恩恵的な判断に委ねられるにすぎないこととなる。 方であり次の理由により排斥されるべきである。二先ず、学則二〇条二項の本文、但書の規定を原決定の如く単純に原則例外の関係とみるのは誤まりである。1 同規定は、いうまでもなく在学期間に関し院生と大学との間の権利義務を定めたものであるが、これが原決定の理解によると、院生の権利として認められる在学期間は原則として四年間に限られ、在学期間の延長は大学の一方的且つ恩恵的な判断に委ねられるにすぎないこととなる。しかし、これでは院生の在学期間は、学部学生のそれ(徳大学則一四条、同一三条、同二八条)と比較して著しく保障を欠く結果となり、院生の自主的研究活動を阻害し、ひいては大学院の存在目的(学校教育法六五条、学則一条)にも反することになる。大学院制度の充実発展をはかるためには院生の自主的研究を最大限に尊重し、研究の機会をできる限り保障することが必要である。この点、原決定は学則二〇条二項の形式的理解に拘泥する余り、事柄の本質を見誤まつているといわなければならない。2 又、学則二〇条二項本文は、あくまでも「最短在学年限」に関する定めである。同規定を率直に読む限り、「院生の在学年限を原則として四年間とし」たものとはならない筈である。もし、そうであるならば、「最短」なる用語は全く不要である。しかし、学則制定者がそのような無意味な用語をわざわざとりつけたと考えることはできない。この点につき、相手方は「在学年限を一応四年と定めている」などと故意に「最短」なる用語を無視し言葉を濁しているが(昭和四七年四月 がそのような無意味な用語をわざわざとりつけたと考えることはできない。この点につき、相手方は「在学年限を一応四年と定めている」などと故意に「最短」なる用語を無視し言葉を濁しているが(昭和四七年四月七日付意見書)、これは甚だ不正直な解釈態度という他ない。すなわち、同規定が最短在学年限として四年と定めていることからすると、在学年限としては四年に限らないということになり、四年以上の在学期間の延長(更新)を当然のこととして認める趣旨を含むものとみなされるのである。かく解してこそ、院生と学部学生との間でみられる一見不統一な在学期間に関する定めを多少なりとも調整することが可能であり、院生の自主的研究活動をできる限り尊重することになるのみならず、他大学院生との間にさしたる不均衡が生じることもなくなる。このように、学則二〇条二項本文が在学期間の延長を当然のこととして前提している以上、院生は所定の在学期間経過後も当然に期間の更新が認められ、引き継いで院生たる身分を有していると考えることが合理的である。 でみられる一見不統一な在学期間に関する定めを多少なりとも調整することが可能であり、院生の自主的研究活動をできる限り尊重することになるのみならず、他大学院生との間にさしたる不均衡が生じることもなくなる。このように、学則二〇条二項本文が在学期間の延長を当然のこととして前提している以上、院生は所定の在学期間経過後も当然に期間の更新が認められ、引き継いで院生たる身分を有していると考えることが合理的である。ちなみに、他国立大学医学研究科院生の在学期間の定めを掲げると、○ 大阪大学大学院学則(疎甲第一三号証)修業年限として四年(六条二項)。在学期間として六年を超えて在学ができない。但し特別の事情があるときは研究会委員会の議を経て在学の年限を延長することができる(二五条)。○ 岡山大学大学院教程(疎甲第二八号証)修業年限として四年(一二条)。在学期間として八年を超えて在学することができない(右同)。○ 金沢大学大学院教程(疎甲第二九号証)岡山大学と同じ(八、九条)〇九州大学大学院医学研究科規則(疎甲第三〇号証)修業年限として四年(二二条)最長在学年限として八年(同)○ 東京大学大学院学則(疎甲第三一号証)修業年限として四年(六条三項)在学年限と 条)〇九州大学大学院医学研究科規則(疎甲第三〇号証)修業年限として四年(二二条)最長在学年限として八年(同)○ 東京大学大学院学則(疎甲第三一号証)修業年限として四年(六条三項)在学年限として六年(二四条)○ 京都大学通則(疎甲第三二号証)在学年限として八年を超えることができない(四〇条)。3 ところで、学則二〇条二項但書は、院生の在学期間の延長を大学の許可、不許可にかからしめ、大学に大幅な裁量権を認めるかの如き規定である。現に、原決定は、このように但書を理解し例外的扱いが許されるのは大学院の特殊性に鑑み、特別の事情がある場合だけだと考えている。しかし、同但書は基本的には最長在学年限を「更に四年」(合計八年)と限るとともに、期間の更新にあたり大学の意思を介在させることを認めた規定であると解するのが相当である。すなわち、学則二〇条二項本文により、院生は当然に在学期間の自動更新が認められるところ、同但書により更新期間は合計八年間に限られ、更に大学は在学期間の更新を特別の事情のある場合に限定し、特別の事情が認められない場合は不許可(これは更新拒絶処分である)にすることができると解されるのである。 (合計八年)と限るとともに、期間の更新にあたり大学の意思を介在させることを認めた規定であると解するのが相当である。すなわち、学則二〇条二項本文により、院生は当然に在学期間の自動更新が認められるところ、同但書により更新期間は合計八年間に限られ、更に大学は在学期間の更新を特別の事情のある場合に限定し、特別の事情が認められない場合は不許可(これは更新拒絶処分である)にすることができると解されるのである。これに対し、原決定は同但書の「許可」をいわゆる講学上の「許可」とし、院生に対して新たな利益を設定する処分と考えているが、院生の在学関係をこのような見方で規律することは、前項で述べたとおり、同本文の「最短在学年限」を定めた趣旨に反し、又院生の地位を学部学生及び他大学院生に比較して著しく不安定にするものであるのみならず、院生の自主的研究活動をそこなうおそれがあるのであつて不当である。同但書の「許可」とは、要するに在学期間の更新の「確認」に他ならず、同但書に基く「不許可」とは「更新拒絶」である。従つて、院生は所定の在学期間が経過しても合計八 おそれがあるのであつて不当である。同但書の「許可」とは、要するに在学期間の更新の「確認」に他ならず、同但書に基く「不許可」とは「更新拒絶」である。従つて、院生は所定の在学期間が経過しても合計八年間の範囲内では不許可処分(更新拒絶処分)を解除条件として、院生たる身分を有していると考えられるのである。原決定は、「大学院の特殊性に鑑み」などともつともらしいことをいつているが、学部学生及び他の国立大学において特殊的でないことが徳大院生においてなにゆえに特殊性ありということになるのか。原決定の誤まりは、大学が学則二〇条二項を形式的に適用し、抗告人を大学院から放逐しようとした企てに安易に追随した結果生じたものであり、これは大学院の精神ならびに実情から遠くかけはなれたところにあることを申し添えておく。第三申立の利益について一さきに明らかにしたとおり、抗告人は所定の在学期間経過後も大学の不許可(更新拒絶)処分を解除条件として院生の身分を有していると解するのが相当であり、従つて、本件不許可処分の効力を停止することは暫定的に院生の身分を確認する意味で抗告人に利益であり、結局申立の利益が認められる。二仮りに、そのように言えないとしても、学則二〇条二項本文が在学期間の延長(更新)を当然の前提としていること、同但書が特別の事情があるときは在学期間の延長(更新)を許可すると定め、これは大学の恩恵によるものとは解されないこと、並びに学部学生及び他の国立大学院生の地位との比較等の関係からすると、少なくとも院生には在学期間延長(更新)許可を求める申請権が認められ、大学はこれに対し法的に応答する義務があると解することができる。 えないとしても、学則二〇条二項本文が在学期間の延長(更新)を当然の前提としていること、同但書が特別の事情があるときは在学期間の延長(更新)を許可すると定め、これは大学の恩恵によるものとは解されないこと、並びに学部学生及び他の国立大学院生の地位との比較等の関係からすると、少なくとも院生には在学期間延長(更新)許可を求める申請権が認められ、大学はこれに対し法的に応答する義務があると解することができる。ところで、本件処分は抗告人が従来自由に行なつてきた研究室への出入り等を違法視するものであるから抗告人にとつて不利益な処分であり、現 、大学はこれに対し法的に応答する義務があると解することができる。ところで、本件処分は抗告人が従来自由に行なつてきた研究室への出入り等を違法視するものであるから抗告人にとつて不利益な処分であり、現に大学は昭和四七年五月二四日付書面(疎甲第三三号証)をもつて抗告人に対し医学部薬理学教室への出入を禁止してきた。しかし、抗告人は院生たる地位に基いて在学期間延長(更新)許可の申請権があるのであり、これに対し拒否、いずれかの処分がなされるまでは、これまでどおり研究室の出入等を行なつても住居侵入罪などの責任追及をされることはないという意味において、研究室にとどまることができると考えられ、本件処分の効力の停止はまさに抗告人に対して右の如き法的状態を回復させるものであるから、これを認める利益があるということができる。この点原決定は余り周到でもない学則の明文を偏重する余り、在学期間の経過=院生たる身分の消滅=申立の利益なしという単純な思考を重ね、抗告人の立場を著しく弱める結論に陥つているものである。以上により原決定の取消を求める。○ 参照原決定の主文および理由 主文 本件申立を却下する。申立費用は申立人の負担とする。○ 理由第一当事者双方の申立て一申立人(一) 被申立人が、申立人に対して昭和四七年三月二三日付でしたD大学大学院医学研究科博士課程在学期間延長申請に対する不許可処分の効力は、当庁昭和四七年(行ウ)第二号行政処分取消請求事件の本案判決が確定するまで停止する。(二) 申立費用は被申立人の負担とする。二被申立人主文同旨。第二申立人の申立人の要旨一、(申立人の身分と被申立人の不許可処分)申立人は、昭和四二年四月D大学大学院医学研究科博士課程に入学し、その後、大学院学則所定の最短在学年限である四年を経過した昭和四六年四月一日 博士課程在学期間延長申請に対する不許可処分の効力は、当庁昭和四七年(行ウ)第二号行政処分取消請求事件の本案判決が確定するまで停止する。(二) 申立費用は被申立人の負担とする。二被申立人主文同旨。第二申立人の申立人の要旨一、(申立人の身分と被申立人の不許可処分)申立人は、昭和四二年四月D大学大学院医学研究科博士課程に入学し、その後、大学院学則所定の最短在学年限である四年を経過した昭和四六年四月一日 の申立人の要旨一、(申立人の身分と被申立人の不許可処分)申立人は、昭和四二年四月D大学大学院医学研究科博士課程に入学し、その後、大学院学則所定の最短在学年限である四年を経過した昭和四六年四月一日以降も在学期間の延長を許可され、なおその身分を継続しているD大学大学院学生(以下便宜上院生と略称する)であるが、昭和四七年三月一五日被申立人に対しさらに昭和四八年三月三一日までの在学期間延長の申請をしていたところ、被申立人は同四七年三月二三日被申立人大学大学院医学研究科委員会の議を経た上、右申立を許可しない旨決定し、翌二四日その旨申立人に告知された。二、(本件不許可処分の違法性)しかし、右不許可処分は、つぎの理由により、無効または取消されるべぎ瑕疵がある。すなわち、(一) D大学大学院学則(以下単に学則と略称する。)二〇条二項によると、「博士課程の最短在学年限は四年とする。ただし、特別の事情がある場合にさらに四年を限り在学を許可することがある。」 旨規定されている。しかして、右規定の趣旨は、院生の最短在学年限は一応は四年であるが、もし、右期間内に未だ必要単位の修得、博士論文作成ができず、かつ最終試験に合格しない場合には、さらに四年間当然に院生としての身分を保有できることを定めたものであり、ここに「許可」というのも、行政法上の許可または認可とは性質を異にし、単に、手続上身分確認のために行なわれるものである。したがつて、院生は、退学除籍等の特別の理由がないかぎり八年間はその身分を剥奪されることはないわけである。よつて、本件不許可処分には、明白重大な瑕疵があり当然無効である。(二) 仮りに然らずとしても、本件不許可処分には処分理由が存在しない。すなわち、被申立人は不許可の理由として、(1)申立人がした許可申請の保証人である同大学文部教官Aは保 疵があり当然無効である。(二) 仮りに然らずとしても、本件不許可処分には処分理由が存在しない。 別の理由がないかぎり八年間はその身分を剥奪されることはないわけである。よつて、本件不許可処分には、明白重大な瑕疵があり当然無効である。(二) 仮りに然らずとしても、本件不許可処分には処分理由が存在しない。すなわち、被申立人は不許可の理由として、(1)申立人がした許可申請の保証人である同大学文部教官Aは保 疵があり当然無効である。(二) 仮りに然らずとしても、本件不許可処分には処分理由が存在しない。すなわち、被申立人は不許可の理由として、(1)申立人がした許可申請の保証人である同大学文部教官Aは保証人として不適当であること、及び、(2)申立人に成業の見込みがないこと、の二点をあげているが、文部教官であるAに保証人として不適当な事情はまつたく認められず、かつ申立人は博士課程履修科目中二単位のみを残し他の科目の単位はすべて修得し、目下博士論文作成のため研究中であるから成業の見込みなしとはいえない。しかして、右処分理由の不存在は明白かつ重大であるから、右不許可処分は無効である。(三) 仮りに然らずとしても、本件不許可処分は、学校教育法六五条、憲法一四条、二三条、二六条に違反し、著しく教育目的を逸脱したものであり、権利濫用の違法があるから取消されるべきである。すなわち、(イ) 本件不許可処分は、申立人のため保証人となつた文部教官Aがいわゆる徳大斗争の結果停職六か月の懲戒処分をうけたものであり、申立人も学内斗争の活動家であつて、右Aのため結成せられた「Aを守る会」の一員であることなどから、これら一連の学内斗争を嫌悪しその報復手段としてなされたことは明らかであるから、思想信条にもとづき差別をした不利益処分であつて、憲法一四条に違反する。(ロ) 本件不許可処分は実質的には退学処分であつて、教育を受ける権利ないし学問の自由を侵害するものである。大学院は、学術の理論および応用を教授研究し、その深奥をきわめて、文化の進展に寄与することを目的とするものであるから(学校教育法六五条)、在学期間の延長許否の判断もこの教育目的にそつてなされるべきであるのに本件不許可処分はこれをまつたく無視し、教育目的を逸脱したものであり権利濫用の違法がある。三、(申立人の蒙 (学校教育法六五条)、在学期間の延長許否の判断もこの教育目的にそつてなされるべきであるのに本件不許可処分はこれをまつたく無視し、教育目的を逸脱したものであり権利濫用の違法がある。 を目的とするものであるから(学校教育法六五条)、在学期間の延長許否の判断もこの教育目的にそつてなされるべきであるのに本件不許可処分はこれをまつたく無視し、教育目的を逸脱したものであり権利濫用の違法がある。三、(申立人の蒙 (学校教育法六五条)、在学期間の延長許否の判断もこの教育目的にそつてなされるべきであるのに本件不許可処分はこれをまつたく無視し、教育目的を逸脱したものであり権利濫用の違法がある。三、(申立人の蒙る損害と損害の回復を求める必要性)申立人は、本件不許可処分の結果、昭和四七年四月一日以降大学院研究室への入室を拒否され、研究テーマである行動薬理実験「D-サイクロセリンの行動異常催起薬としての検討」を中断せざるを得ない。申立人は、基礎薬理研究者として生きることを目的とするものであつて臨床医に転向する意思はないから、本大学院院生として右研究を続行する以外に道がない。しかるに、実質的には退学処分に匹敵する本件不許可処分により、右院生としての権利を不当に侵害されるだけでなく、著しく研究の遅れを招くことになり、これを回復することは極めて困難であり、これにより申立人が社会的・経済的に重大な損害をうけることは明白である。四、(本件不許可処分の執行停止を求める利益)本件不許可処分は、いわゆる拒否処分ではない。すなわち、院生は最短在学年限(四年)が到来した場合、何ら特別の許可がなくても当然さらに四年間在学できその身分を保有できること前記二(一)記載のとおりであるから、本件不許可処分の執行が停止されれば申立人の申請状態が維持される結果、適法な許否処分あるまでの間(それを解除条件として)何らの作為もしくは積極的な処分がなくても院生としての地位を当然存続することができる。換言すると、院生は最長在学年限八年間を与えられているのであつて、ただ授業料徴収等手続面の関係で、一年毎に在学期間延長願いを義務付けているにすぎないから、それを受理しない処分(不許可処分)がなされることによつてその後は身分の継続が禁止されるにすぎないものと解すべきである。そうすると、本件不許可処 に在学期間延長願いを義務付けているにすぎないから、それを受理しない処分(不許可処分)がなされることによつてその後は身分の継続が禁止されるにすぎないものと解すべきである。そうすると、本件不許可処分の効力の執行停止は、その不許可処分によつて生じた院生の身分の継続禁止の措置を解除する処分に他ならないから、申立人は、これにより院生の身分を回復することができるから本件申立ては法的利益のあること明らかである。 に在学期間延長願いを義務付けているにすぎないから、それを受理しない処分(不許可処分)がなされることによつてその後は身分の継続が禁止されるにすぎないものと解すべきである。そうすると、本件不許可処分の効力の執行停止は、その不許可処分によつて生じた院生の身分の継続禁止の措置を解除する処分に他ならないから、申立人は、これにより院生の身分を回復することができるから本件申立ては法的利益のあること明らかである。第三被申立人の意見の要旨一、(認否)(一) 申請理由第一記載の事実は認める。(二) 同第二項(一)の事実中、同大学院学則二〇条二項に申立人主張のような規定が存することは認めるが、右規定が申立人主張のような趣旨、すなわち四年以内に必要な単位の修得および博士論文を作成のうえ最終試験に合格しない場合にさらに四年間院生の身分を当然保有しうる趣旨であるとの点は争う。(三) 同(二)の事実中、本件不許可処分の理由中に「成業の見込みなし」との理由があること、及び申立人の単位修得状況が申立人主張のとおりであることは認めるが、保証人不適当を処分理由とした事実はない。また、申立人が目下博士論文作成のため研究中であることを知らない。(四) その余の主張事実はすべて争う。二、(本件執行停止申立利益の不存在)D大学大学院学則二〇条二項によると、医学部研究科博士課程における院生の在学年限は一応四年と定められ、同期間の経過により当然在学年限は満了し院生の身分を失うのであつて、ただ、特別の事情が認められる場合に限り学長が各該院生に対しその人的事情その他大学院の施設の状況、指導教官の事情その他大学院施設の管理運営上の一切の事情を勘案し、明らかに成業の見込みのある学生に対し、年限を限つて在学延長を許可することがあるにすぎない。したがつて、院生の身分は前記条項但書 況、指導教官の事情その他大学院施設の管理運営上の一切の事情を勘案し、明らかに成業の見込みのある学生に対し、年限を限つて在学延長を許可することがあるにすぎない。したがつて、院生の身分は前記条項但書による特別の許可がないかぎり、在学年限満了により当然喪失するから、今、仮りに本件不許可処分の執行が停止されたとしても、それにより、院生の身分を取得するものではなく、単に不許可処分がなされる以前の法律状態に立ちかえるにとどまり、申立人としては、在学延長の許可がないまま、在学期間を満了したという状態にあることには変りがない。 て在学延長を許可することがあるにすぎない。したがつて、院生の身分は前記条項但書による特別の許可がないかぎり、在学年限満了により当然喪失するから、今、仮りに本件不許可処分の執行が停止されたとしても、それにより、院生の身分を取得するものではなく、単に不許可処分がなされる以前の法律状態に立ちかえるにとどまり、申立人としては、在学延長の許可がないまま、在学期間を満了したという状態にあることには変りがない。そうすると、本件申立はその利益がない。三、(本案についての主張)(一) 被申立人が申立人の申請に応じ在学期間を延長しても申立人には成業の見込みがない。申立人は、所定在学年限をさらに一年延長され、すでに五年間を経過したにもかかわらず、いまだ学位論文作成に着手しておらず、そのために必要な諸データーを得るための実験継続中であるにすぎないばかりか、論文提出の前提となるべき必要科目の単位すら取得していない状態で、このような事例はかつて皆無である。しかも、右遅延について何ら特別の理由とされるものは見当らず、また従前の履修態度等からみて今後ある程度在学期間を延長したとしても、所定の研究を修了し履修を終る見込みはない。(二) 被申立人が本件不許可処分にあたり、成業の見込みなしと判断するに至つた事情の一つとして、申立人が、その研究科目とは全く関係のない講座に属し、かつ現に懲戒処分により停職中のA助手を保証人にたてたり、直接指導をうける研究室のB教授など他に適切な保障人がいることを指摘されながらこれを拒んだことを考慮に入れて申立人に研究勉学の意欲がないと判断したことは争わないが、申立人に対する報復手段として本件不許可処分をしたとの点は事実に 授など他に適切な保障人がいることを指摘されながらこれを拒んだことを考慮に入れて申立人に研究勉学の意欲がないと判断したことは争わないが、申立人に対する報復手段として本件不許可処分をしたとの点は事実に反する。(三) 申立人は、現在の実験薬理の研究の中断をもつて回復困難な損害であると主張するが、右中断があるとしても、これは不許可処分に当然にともなう遅延にすぎず、これが直ちに行政処分の執行を停止する理由としての回復困難な損害ということはできない。すなわち、右研究中断による遅延があるとしても、これは後日の努力により十分回復できるものであり、また、申立人のこれまでの研究データーは後日その利用が可能な性質のものであり、かつ、右研究者である同研究室C助手によつて継続されている。 であると主張するが、右中断があるとしても、これは不許可処分に当然にともなう遅延にすぎず、これが直ちに行政処分の執行を停止する理由としての回復困難な損害ということはできない。すなわち、右研究中断による遅延があるとしても、これは後日の努力により十分回復できるものであり、また、申立人のこれまでの研究データーは後日その利用が可能な性質のものであり、かつ、右研究者である同研究室C助手によつて継続されている。また、申立人主張の基礎薬理の研究は、申立人が専攻生、研究副手としても継続できるものであつて、かならずしも院生として研究室に入らないとできない性質のものではない。四、(結論)以上のとおり、本件執行停止申立てはその利益を欠くか然らずとしても本案上の理由がない。第四当裁判所の判断一、疎明資料によれば、申立人主張一の事実、すなわち、申立人が少くとも昭和四七年三月三一日までD大学大学院医学研究科博士課程の大学院生であつたこと、及び申立人がその主張のような在学期間延長申請をしたところ、被申立人はその許可をしない旨申立人に通知したことが疎明せられる。二、申立人の本件申立は右許可をしないこととした処分の効力の停止を求めるものであるから、その適否について検討する。(一) まず、被申立人のした本件在学期間延長申請不許可処分(正確には許可をしない旨を明らかにした申請却下処分と考えられる)は、申立人の国立D大学大学院(医学研究科博士課程)の院生たる地位を喪失せしめるものであり、その限りにお 件在学期間延長申請不許可処分(正確には許可をしない旨を明らかにした申請却下処分と考えられる)は、申立人の国立D大学大学院(医学研究科博士課程)の院生たる地位を喪失せしめるものであり、その限りにおいて一般市民法上の地位または権利に直接かかわるものであつて、単に大学院生の院生たる地位に基づいて発生する当該大学院内における権利義務の得喪に留まる処分ではないから、その在学関係の法的性質をどのように解するかにかかわりなく、これを違法として抗告訴訟を提起すること(従つて、これに伴い、当該処分の執行停止を申立てること)は適法である。また、仮りに大学の機関の行う処分がいわゆる大学の自治によりその裁量に任されている部分が存するとしても、そのことの故に、処分の適法性の存否がすべて裁判所の審査の外にあるものではないこともちろんである。 義務の得喪に留まる処分ではないから、その在学関係の法的性質をどのように解するかにかかわりなく、これを違法として抗告訴訟を提起すること(従つて、これに伴い、当該処分の執行停止を申立てること)は適法である。また、仮りに大学の機関の行う処分がいわゆる大学の自治によりその裁量に任されている部分が存するとしても、そのことの故に、処分の適法性の存否がすべて裁判所の審査の外にあるものではないこともちろんである。(二) そこで、次に、本件執行停止申立の利益について考える。一般に、行政処分の効力の執行停止といつても、不許可処分(いわゆる拒否処分)の場合は、それが決定によつて一時暫定的にその効力を停止されたとしても、それによつて、直ちに許可があつたことになるわけではなく、単に許可申請をした状態が回復されるにとどまるのであるから(司法判断の消極的機能)、申請拒否処分の執行停止の申立の当否については、右執行停止によつて果して申立人が具体的に如何なる法的利益を具有するにいたるか(すなわち、許可申請をなしたが、未だ処分のない状態に回復されることによつて如何なる法的利益を取得するか)を関係法規に照らし検討する必要がある。これを本件についてみるに、申立人も医学研究科博士課程大学院生としてその適用を受け、被申立人も本件不許可処分の根拠としたD大学大学院学則二〇条二項によれば、同大学大学院では院生の在学年限について「博士課程の最短在学年限は、三年( も医学研究科博士課程大学院生としてその適用を受け、被申立人も本件不許可処分の根拠としたD大学大学院学則二〇条二項によれば、同大学大学院では院生の在学年限について「博士課程の最短在学年限は、三年(医学研究科にあつては四年)とする。ただし、特別の事情がある場合は、更に三年(医学研究科にあつては四年)を限り在学を許可することがある。」旨定めており、他に不許可の場合の当該院生の身分について、暫定的にせよ、明文の定めはないことが明らかである(疎甲第九号証二一頁、疎乙第一号証)。しかして、右規定の趣旨は、D大学大学院では院生の在学年限を原則として四年間とし(申立人の場合)、ただ、大学院の特殊性に鑑み特別の事情がある場合は例外的に四年を限り(申立人の場合)延長を許可する旨定めたものであり、この場合もし許可処分がなければ、在学年限は原則どおり四年間であつて、四年の経過により院生の身分は当然失われる建前であると解すべきである。 が明らかである(疎甲第九号証二一頁、疎乙第一号証)。しかして、右規定の趣旨は、D大学大学院では院生の在学年限を原則として四年間とし(申立人の場合)、ただ、大学院の特殊性に鑑み特別の事情がある場合は例外的に四年を限り(申立人の場合)延長を許可する旨定めたものであり、この場合もし許可処分がなければ、在学年限は原則どおり四年間であつて、四年の経過により院生の身分は当然失われる建前であると解すべきである。申立人は、院生の身分は、前記大学院学則により、特別の許可がなくても八年間は当然その身分を保有できるのが原則であり、在学期間延長申請は授業料の支払い等専ら手続上の要請から身分確認のために行われるもので、実質は届出の性質を有するものであり、それ故、申請許可の性質も確認的なものにすぎないから、いま不許可処分の効力が停止されれば、申立人としてはあらためて、被申立人の許可処分をまつまでもなくそれを解除条件として、延長申請(届出)自体により院生たる身分を回復することができる旨主張するが、明文に反し、また、他にこのように解するのを相当とする手がかりとなるような規定もないから、右主張は採用できない(申立人の言うD大学(学部)学則一四条、二八条の規定も、必らずしも右判断を覆えすものとは言えない)。そうすると、いま申立人の本件申立てを認容したとし なるような規定もないから、右主張は採用できない(申立人の言うD大学(学部)学則一四条、二八条の規定も、必らずしも右判断を覆えすものとは言えない)。そうすると、いま申立人の本件申立てを認容したとしても、申立人はその意図するように当然には院生の身分を回復継続することにはならず、ただ不許可処分がなされなかつたと同じ状態、すなわち、申立人の在学期間延長申請がなされた状態に戻るにすぎない。申立人が本件不許可処分によつて蒙る回復困難な損害として主張する事情は、ひつきよう、不許可処分の執行停止により院生の身分が回復することを前提とするものであるから、右前提を欠くかぎり、もはや執行停止申立の利益を欠くものであり、他に申立人には特に本件不許可処分の執行停止により受けるべき法的利益は見当らない。(三) してみると、申立人の本件申立ては、その利益を欠く不適法なものであり、その余の点について判断するまでもなく却下を免れない。三、よつて、本件申立を却下し、申立費用の負担について民訴法八九条を準用して主文のとおり決定する。

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