- 1 -主文 本件訴えのうち,甲事件原告P1,同P2,同P3,同P4,同P5及び同P6の請求に係る部分をいずれも却下する。 甲事件原告P7,同P8,同P9,同P10,同P11,同P12,同P13,乙事件原告P14,同P15,同P16,同P17及び同P18の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は甲事件原告ら及び乙原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 被告がP19株式会社,P20株式会社,P21株式会社,P22株式会社及び株式会社P23に対して平成16年9月29日付けでした建築確認処分(確認番号第ERI××××××××号)(ただし,株式会社P24を建築主として追加する旨の建築主変更届が同年10月15日付けで受理された後のもの)を取り消す。 被告がP19株式会社,P20株式会社,P21株式会社,P22株式会社,株式会社P23及び株式会社P24に対して平成17年2月16日付けでした建築確認変更処分(確認番号第ERI××××××××号)を取り消す。 被告がP19株式会社,P20株式会社,P21株式会社,P22株式会社,株式会社P23及び株式会社P24に対して平成17年6月2日付けでした建築確認変更処分(確認番号第ERI××××××××号)を取り消す。 被告がP19株式会社,P20株式会社,P21株式会社,P22株式会社,株式会社P23及び株式会社P24に対して平成18年6月9日付けでした建- 2 -築確認変更処分(確認番号第ERI××××××××号)を取り消す。 (甲事件訴状「請求の趣旨」欄第1項,乙事件訴状「請求の趣旨」欄第1項及び平成18年6月27日付け訴え変更申立書「請求の趣旨」欄第2項ないし第4項各記載の「株式会社P24に対して」は,それぞれ上記1から4までのとおりの誤記と認める。)第2 「請求の趣旨」欄第1項及び平成18年6月27日付け訴え変更申立書「請求の趣旨」欄第2項ないし第4項各記載の「株式会社P24に対して」は,それぞれ上記1から4までのとおりの誤記と認める。)第2事案の概要本件は,被告が,P19株式会社,P20株式会社,P21株式会社,P22株式会社及び株式会社P23(以下,上記5社を併せて「P19ほか4社」という。)に対して平成16年9月29日付けで別紙物件目録記載の建物(以下「本件マンション」という。)についてした建築基準法6条の2第1項に基づく確認の処分(確認番号第ERI××××××××号。ただし,株式会社P24(以下「P24」という。)を建築主として追加する旨の建築主変更届を同年10月15日付けで受理した後のもの。以下「本件建築確認処分」という。),P19ほか4社及びP24に対して同17年2月16日付けで本件建築確認処分に係る計画の変更についてした同項に基づく確認の処分(確認番号第ERI××××××××号。以下「本件変更確認処分1」という。),P19ほか4社及びP24に対して同年6月2日付けで本件変更確認処分1に係る計画の変更についてした同項に基づく確認の処分(確認番号第ERI××××××××号。以下「本件変更確認処分2」という。),並びにP19ほか4社及びP24に対して同18年6月9日付けで本件変更確認処分2に係る計画の変更についてした同項に基づく確認の処分(確認番号第ERI××××××××号。以下,「本件変更確認処分3」といい,上記4つの処分を併せて「本件- 3 -各処分」という。また,本件変更確認処分1,本件変更確認処分2及び本件変更確認処分3を併せて「本件各変更確認処分」という。)につき,原告らが,被告に対し,本件各処分が同法6条1項にいう建築基準関係規定に違反する違法なものであ 更確認処分1,本件変更確認処分2及び本件変更確認処分3を併せて「本件各変更確認処分」という。)につき,原告らが,被告に対し,本件各処分が同法6条1項にいう建築基準関係規定に違反する違法なものである旨主張して,本件各処分の取消しを求める事案である。 関係法令等の定め( )建築基準法施行令(昭和25年政令第338号) ア1条この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 敷地1の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう。 …(以下略)…イ81条(なお,「法」とは建築基準法をいう。)(ア)1項法第20条第2号に規定する建築物(超高層建築物を除く。)の構造計算は、次の各号のいずれかに定める構造計算によらなければならない。 ただし、次の各号のいずれかに定める構造計算による場合と同等以上に安全さを確かめることができるものとして国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算又は次条の規定により国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算による場合においては、この限りでない。 許容応力度等計算 限界耐力計算- 4 -(イ)2項2以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している建築物の当該建築物の部分は、前項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。 ( )東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条 ア1項延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は、その延べ面積の合計とする。)が1000平方メートルを超える建築物の敷地は、その延べ面積に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。 延べ面積長さ1000平方メートルを超え、2000平方メートル6メートル以下の 方メートルを超える建築物の敷地は、その延べ面積に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。 延べ面積長さ1000平方メートルを超え、2000平方メートル6メートル以下のもの2000平方メートルを超え、3000平方メートル8メートル以下のもの3000平方メートルを超えるもの10メートルイ2項- 5 -延べ面積が3000平方メートルを超え、かつ、建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については、同項中「道路」とあるのは、「幅員6メートル以上の道路」とする。 ウ3項前2項の規定は、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては、適用しない。 ( )高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関す る法律(平成6年法律第44号。以下「ハートビル法」という。)ア1条この法律は、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる建築物の建築の促進のための措置を講ずることにより建築物の質の向上を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。 イ3条(ア)1項特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。以下この条において同じ。)をしようとする者は、当該特別特定建築物を、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするために必要な政令で定める特定施設の構造及び配置に関する基準(以下「利用円滑化基準」という。)に適合させなければならない。当該建築をした特別特定建築物の維持保全をする者についても、同様とする。 (イ)2項- 6 -地方公共団体は、その地方の自然的社会的条件の特殊性により、前項の規定のみによっては、高齢者、身体障害者等が特定建築物を円滑に 物の維持保全をする者についても、同様とする。 (イ)2項- 6 -地方公共団体は、その地方の自然的社会的条件の特殊性により、前項の規定のみによっては、高齢者、身体障害者等が特定建築物を円滑に利用できるようにする目的を十分に達し難いと認める場合においては、特別特定建築物に条例で定める特定建築物を追加し、同項の建築の規模を条例で同項の政令で定める規模未満で別に定め、又は利用円滑化基準に条例で必要な事項を付加することができる。 (ウ)3項前2項の規定は、建築基準法第6条第1項に規定する建築基準関係規定とみなす。 ( )高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関す る法律施行令(平成6年政令第311号。以下「ハートビル法施行令」という。)13条次に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定める経路のうち1以上を、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる経路(以下「利用円滑化経路」という。)にしなければならない。 …(以下略)…( )高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例(平成1 5年東京都条例155号。以下「ハートビル条例」という。)3条(なお,「法」とはハートビル法をいう。)法第3条第2項の条例で定める特定建築物は、次に掲げるものとする。 …(略)… 共同住宅- 7 -…(以下略)… 前提事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実等は,その旨付記した。その余の事実は,当事者間に争いがない。 ( )当事者等 ア原告らは,本件マンションの所在地の周辺である肩書地に居住する者である。(乙1の1,1の2,弁論の全趣旨)イ被告は,建築基準法77条の18から77条の21までの規定の定めるところにより指定を受けた者( は,本件マンションの所在地の周辺である肩書地に居住する者である。(乙1の1,1の2,弁論の全趣旨)イ被告は,建築基準法77条の18から77条の21までの規定の定めるところにより指定を受けた者(以下「指定確認検査機関」という。)である。(甲1,弁論の全趣旨)ウ本件マンションは,東京都町田市αに所在する土地上に存在する建築物である。(甲1)( )本件各処分の経緯等 ア本件建築確認処分について(ア)P19ほか4社は,被告に対し,平成16年9月10日,建築基準法6条の2第1項の確認の申請を行い,被告は,P19ほか4社に対して,同月29日付けで,同項に基づく確認の処分をした。被告は,同年10月15日付けで,P24を上記処分の建築主として追加する旨の建築主変更届を受理した。(甲1,弁論の全趣旨)(イ)原告らは,町田市建築審査会に対し,平成16年11月25日,本件建築確認処分が不当かつ違法であるとして審査請求をしたところ,町- 8 -田市建築審査会は,同17年3月28日,審査請求を棄却する旨の裁決をした。(甲1)(ウ)原告P7外12名は,平成17年7月22日,本件建築確認処分の取消しを求め,甲事件の訴えを提起した。(当裁判所に顕著な事実)(エ)原告P14外4名は,平成18年4月12日,本件建築確認処分の取消しを求め,乙事件の訴えを提起した。(当裁判所に顕著な事実)イ本件各処分のうち本件建築確認処分以外の処分について(ア)P19ほか4社及びP24は,被告に対し,平成17年2月4日,本件建築確認処分に係る計画の変更について,建築基準法6条の2第1項に基づく申請をし,被告は,P19ほか4社及びP24に対して,同月16日付けで本件変更確認処分1をした。(弁論の全趣旨)(イ)P19ほか4社及びP24は,被告に対し,平成 建築基準法6条の2第1項に基づく申請をし,被告は,P19ほか4社及びP24に対して,同月16日付けで本件変更確認処分1をした。(弁論の全趣旨)(イ)P19ほか4社及びP24は,被告に対し,平成17年4月12日,本件変更確認処分1に係る計画の変更について,建築基準法6条の2第1項に基づく申請をし,被告は,P19ほか4社及びP24に対して,同年6月2日付けで本件変更確認処分2をした。(弁論の全趣旨)(ウ)P19ほか4社及びP24は,被告に対し,平成18年6月2日,本件変更確認処分2に係る計画の変更について,建築基準法6条の2第1項に基づく申請をし,被告は,P19ほか4社及びP24に対して,同月9日付けで本件変更確認処分3をした。(弁論の全趣旨) 争点 ( )甲事件原告ら及び乙事件原告ら(以下,単に「原告ら」という。)は本件 各処分の取消しを求める訴えの原告適格を有するか。 - 9 -( )本件各変更確認処分の取消しを求める訴えは審査請求を前置していない不 適法なものであるか。 ( )本件各処分は建築基準法施行令1条1号に違反するものであるか。 ( )本件各処分は東京都建築安全条例に違反するものであるか。 ( )本件各処分は都市計画法に違反するものであるか。 ( )本件各処分はいわゆるハートビル法令に違反するものであるか。 ( )本件各処分は建築基準法1条に違反するものであるか。 当事者の主張の要旨( )争点( )について (原告らの主張)原告らは,以下のとおり法律上保護された利益を有するから,本件各処分の取消しを求める訴えの原告適格を有する。 ア安全及び防災等の利益について(ア)原告P11は,その居宅からB棟までの水平距離が約40メートルであり,B棟の高さは地盤面の高さ11.5メ 本件各処分の取消しを求める訴えの原告適格を有する。 ア安全及び防災等の利益について(ア)原告P11は,その居宅からB棟までの水平距離が約40メートルであり,B棟の高さは地盤面の高さ11.5メートル及び建物の高さ30.5メートルの合計約42メートルであるから,大地震の際にB棟が斜面に沿って西側に倒壊すれば直撃を受け,火災時には延焼する危険性がある。同原告の居宅に隣接する居宅に住む同P7及び同P9も同様である。 原告P18及び同P17は,その居宅からA棟までの水平距離が約41メートルであり,A棟の北側の高さは地盤面の高さ11.5メートル及び建物の高さ21.4メートルの合計約32.9メートルであるから,- 10 -大地震の際にA棟が斜面に沿って北西側に倒壊すれば生命及び財産の危険にさらされ,火災時には延焼する危険性がある。同原告らの居宅に隣接する居宅に住む同P16,同P15及び同P14も同様である。 原告P5は,その居宅からC棟までの水平距離が約48メートルであり,C棟の高さは地盤面の高さ8メートル及び建物の高さ30.5メートルの合計約38.5メートルであるから,大地震の際にC棟が斜面に沿って南東側に倒壊すれば生命及び財産の危険にさらされ,火災時には延焼する危険性がある。同P4も同様である。 原告P8は,その居宅からH棟までの水平距離が約30メートルであり,H棟の高さは地盤面の高さマイナス11.5メートル及び建物の高さ30.5メートルの合計約19メートルであるから,大地震の際にH棟が斜面に沿って南側に倒壊すれば生命及び財産の危険にさらされ,火災時には類焼の危険性がある。同原告の居宅に隣接する居宅に住む同P3も同様である。 本件マンションの高さは約31メートルであるところ,原告P10は,火災その他の災害により直接的な被害を受けること 火災時には類焼の危険性がある。同原告の居宅に隣接する居宅に住む同P3も同様である。 本件マンションの高さは約31メートルであるところ,原告P10は,火災その他の災害により直接的な被害を受けることが予想される。 そうすると,上記各原告らには原告適格が認められるべきである。 (イ)原告らは町田市中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例所定の「近隣関係住民」に該当するところ,本件マンションが約11メートルの高台にあり倒壊した場合の被害は建築物の高さ以上に広範囲に及ぶこと,取付道路である市道β線に東京都建築安全条例違反の実測6メートル以下の部分が存在し火災等における緊急車両の通行に- 11 -支障を来すこと及び主要な避難経路となる坂道のこう配がハートビル法令に違反しているため避難上の支障を来すことによる被害の拡大のおそれがあることを考慮すると,原告らに原告適格が認められるべきである。 イ日照について(ア)本件マンションの西側は,隣接する道路面より約11.5メートル高台にあり,本件マンションの西側に居住する周辺住民は,建物の高さ30.5メートルと併せて約42メートルの高さの本件マンションにより日照被害を受ける。 (イ)P24が住民説明会で配布した計画書(甲121)によれば,冬至の日において,原告P9は午前8時から午前9時までの約1時間,同P14及び同P15は午前8時から午前8時30分までの約30分,同P16は午前8時から午前10時30分までの約2時間30分,同P17及び同P18は午前8時から午前11時までの約3時間,それぞれ日照被害を受けることとなる。したがって,少なくとも上記原告らには,本件訴訟における原告適格が認められるべきである。 ウプライバシーについて(ア)原告P11及び同P7は,本件マンションのA棟及びB 被害を受けることとなる。したがって,少なくとも上記原告らには,本件訴訟における原告適格が認められるべきである。 ウプライバシーについて(ア)原告P11及び同P7は,本件マンションのA棟及びB棟の住民の目によりプライバシー権が侵害され,常に他人の目を気にして日常生活を送らなければならない。 (イ)原告P4及び同P5は,本件マンションのC棟,D棟及びE棟の住民の目を気にしながら生活しなければならない。 (ウ)原告P12,同P10,同P13及び同P1は,本件マンション- 12 -のD棟,E棟,F棟,G棟及びH棟の住民の目を気にしながら生活しなければならない。また,同P12及び同P10は,洗濯物を干す際にD棟から見られるため,自費で目隠しを購入しなければならなかった。 (エ)原告らは,いずれも,本件マンションの住民に生活行動をのぞかれる位置に居住しており,プライバシーの侵害を長時間にわたって受けることになるから,原告適格が認められるべきである。 エ風害について(ア)本件マンションのような巨大な建築物が建築されれば,必然的に周辺には風環境の変化が起きる。本件マンションの建築による風害は,周辺居住者や通行人に対して,直接的にも間接的にも種々の影響を与えて,快適かつ安全な生活を侵害する。 (イ)原告らは町田市中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例所定の「近隣関係住民」に該当するところ,「近隣関係住民」は事業者に対し通風及び風害に対する措置を求める権利を有しているのであるから,原告らには本件訴訟における原告適格が認められるべきである。 オ通行,騒音及び大気汚染について(ア)a本件マンションの完成により市道β線が渋滞することになるところ,当該道路沿道に居住する住民及び当該道路を頻繁に利用する住民は,その渋滞を避 きである。 オ通行,騒音及び大気汚染について(ア)a本件マンションの完成により市道β線が渋滞することになるところ,当該道路沿道に居住する住民及び当該道路を頻繁に利用する住民は,その渋滞を避けようがなく,連日,車列の中へ無理矢理押し入って自動車を出庫せざるを得なくなり,また,家から一歩出るだけでも自動車の合間を縫って歩かなければならない。この渋滞によ- 13 -り被害を被るのは,原告P7及び同P11である。当該道路をよく利用する同P4,同P5,同P8,同P1,同P2,同P3,同P10,同P6,同P12及び同P13もまた,この渋滞の被害を受ける。 b本件マンションの完成により市道γ線が渋滞することになるところ,当該道路は,原告らが町田市街,δ駅などに行く場合に使用する道路であるから,渋滞の悪化による時間のロスの被害は,原告ら全員に及ぶ。また,当該道路の渋滞により,当該道路へ出にくくなるため,原告P7,同P11及び同P9は,当該道路への進入時の精神的負担が極めて大きくなる。 c本件マンションの完成により市道ε線が渋滞することになるところ,この渋滞により被害を被るのは,当該道路を唯一の出入口としている原告P4,同P5,同P8,同P1,同P2,同P3,同P10,同P6,同P12及び同P13である。 d本件マンションの完成によりζ所在のクランクが渋滞することになるところ,この渋滞により被害を被るのは,当該クランクを通ってδ駅まで家人を送迎するなどしている原告P7,同P11,同P3,同P2,同P12及び同P10である。 (イ)a市道γ線及び市道ε線を通って自動車を利用している原告らは,本件マンションの完成がもたらす渋滞による時間的損失により,経済的損失や精神的損失を被り,明るくのびのびと暮らす権利が奪われる。 - 14 -b 及び市道ε線を通って自動車を利用している原告らは,本件マンションの完成がもたらす渋滞による時間的損失により,経済的損失や精神的損失を被り,明るくのびのびと暮らす権利が奪われる。 - 14 -b市道γ線,市道ε線又は市道β線沿いの住民は,本件マンションの完成による交通量の急激な増加と坂道での低速走行がもたらす騒音,振動及び排気ガスの増大による被害を被ることとなる。 c交通量の増加により,原告らは,より危険な環境に追いやられることになり,安全に暮らす権利が奪われ,危険回避のために精神や体力を消耗することになる。そもそも原告らは,静ひつと安全を求めて現在の居住地に移り住み,この環境の恩恵を受けてきたのである。 d本件マンションの近隣には,自動車の待避する余地のない道路が多く,渋滞により救急車や消防車が間に合わないことなどが懸念され,病人や老人を抱える家庭は大きな不安を抱いている。 e本件マンションの完成により,δ駅の交通量が一気に増加し,駅前の自動車の流れが混乱することになる。 カ「生態系の多様性等が確保された自然環境」,「景観」及び「自然との触れ合い活動の場を持つ利益」について(ア)本件マンションはオオタカの営巣中心域にあり,本件各処分によりオオタカの生息及び繁殖が脅かされるのであるから,営巣期高利用域に居住する原告らには,「生態系の多様性等が確保された自然環境」と暮らす利益を侵害される者として,原告適格が認められるべきである。 (イ)本件各処分は,町田市住みよい街づくり条例に違反し,戸建て住宅主体のη地域に高層マンションを建築するものであり,東京都環境影響評価技術指針を通じて保護されている原告らの景観に対する利益を侵害- 15 -するものであるから,原告らに原告適格が認められるべきである。 (ウ)本件各処分は,町田市 るものであり,東京都環境影響評価技術指針を通じて保護されている原告らの景観に対する利益を侵害- 15 -するものであるから,原告らに原告適格が認められるべきである。 (ウ)本件各処分は,町田市住みよい街づくり条例に違反し,戸建て住宅主体のη地域に高層マンションを建築するものであり,東京都環境影響評価技術指針を通じて保護されている原告らの「自然との触れ合い活動の場」を持つ利益を侵害するものであるから,原告らに原告適格が認められるべきである。 キ電波障害について(ア)P24が住民説明会で配布した説明書(甲122)によれば,原告P8,同P2,同P3及び同P6は,UHF多摩局の遮へい障害地域にあり,同P1,同P10,同P12,同P13,同P4及び同P5は,UHF多摩局,UHF14及び16チャンネル並びにVHF1ないし12チャンネルの遮へい障害地域にあり,同P7,同P11及び同P9は,UHF14,16及び42チャンネル並びにVHF1ないし12チャンネルの遮へい障害地域にあり,それぞれ電波障害を受ける。 (イ)原告P1,同P5,同P10,同P6,同P12及び同P13は,テレビ電波障害の被害を受け,同P2及び同P3は,特定のチャンネルにおける画面のちらつき等の被害を受けているから,原告適格が認められるべきである。 ク圧迫感について(ア)形態率とは,複数の測定点から建物を見たときに目から入る建物の壁の大きさ,高さ及び視点からの距離などを変数に取り入れて測定するものであり,具体的には,魚眼レンズで天空を撮影した像を正射影図に- 16 -変換し,全体の円の面積に対する建物の占める面積の比率を求めるものである。形態率が4パーセントに達すると,住宅地に建つ中高層建築物の近隣住民全員が圧迫感を感じるようになり,形態率8パーセントに達すると し,全体の円の面積に対する建物の占める面積の比率を求めるものである。形態率が4パーセントに達すると,住宅地に建つ中高層建築物の近隣住民全員が圧迫感を感じるようになり,形態率8パーセントに達すると,著しく大きな圧迫感を感じることとなる。 (イ)原告P7及び同P11が居住する地点における形態率は8.637パーセントであり,同原告らは耐え難い圧迫感及び恐怖感等を感じることとなる。 (ウ)原告P7,同P11,同P4,同P5,同P8,同P1,同P2,同P3,同P10,同P6,同P12及び同P13が通過する地点の形態率は10.036パーセントであり,同原告らは耐え難い圧迫感及び恐怖感等を感じることとなる。 (エ)原告P4及び同P5が居住する地点の周辺の形態率は4.877パーセントであり,同原告らは圧迫感を感じることとなる。 (オ)原告P8,同P1,同P2,同P3,同P10,同P6,同P12及び同P13が通行する地点の形態率は5.082パーセントであり,同原告らは圧迫感及び危機感などの精神的苦痛を感じることとなる。 (被告の主張)ア原告らの居宅は,本件マンションの敷地の南側又は西側に所在し,本件マンションの出現によって日照通風等の被害を受けることは全くないし,原告らの居住環境に何らかの影響を与えるとしても,①本件マンションが広い敷地内に建築される地上10階建ての中高層建築物であること,②原告らの居宅の敷地との水平距離は,最も近い場合において28メートル,- 17 -最も遠い場合は69メートルであること,③本件マンションの敷地は,原告らの居宅からみて,東側及び南側とも標高差にして約10メートル高い位置にあるにすぎず,土手ののり面は従来の形状のまま安定していて崩れるおそれはないことから,原告らが主張する本件マンションの建築による影響は受忍 みて,東側及び南側とも標高差にして約10メートル高い位置にあるにすぎず,土手ののり面は従来の形状のまま安定していて崩れるおそれはないことから,原告らが主張する本件マンションの建築による影響は受忍限度内にある。 本件マンションは耐火性に優れたマンションであるから,仮に火災を起こしたとしても本件マンションと原告らの居宅との距離からして,原告らの居宅への延焼のおそれはない。また,近年建築基準法の耐震基準は以前と比して格段に強化されており,原告らの主張はき憂にすぎない。 本件マンションの開発及び建築事業は,環境影響評価法の対象事業に含まれていないので,そもそも同法の対象にならない。また,東京都環境影響評価条例の適用があるのは,①戸数1500以上の住宅団地又は②高さ100メートルを超え,かつ,床面積10万平方メートル以上の高層建築物に限られており,本件マンションはこのいずれにも該当しない。したがって,本件訴訟の原告適格の有無を判断するに当たって,本件各処分の根拠法たる建築基準法の関連法規として環境影響評価法や東京都環境影響評価条例を挙げることは誤りである。さらに,町田市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例は,いわゆる行政指導条例であって,関係者を法的に拘束する法規ではないから,建築基準法の関連法規に該当しない。 イ原告P9のように,冬至の日の朝方に1時間の日照阻害を受けることは,社会通念上極めて軽微な被害であり,この程度の日照被害者に対して建築- 18 -確認の取消しの訴えの原告適格を求める余地はない。 ウ現代社会において,社会生活を営んでいる者は,近隣建物居住者から多かれ少なかれプライバシーの侵害を受けるおそれがあるが,特段の事情のない限り,当該プライバシーの侵害は受忍限度内にある。本件マンションは,広い敷地内に建築さ 活を営んでいる者は,近隣建物居住者から多かれ少なかれプライバシーの侵害を受けるおそれがあるが,特段の事情のない限り,当該プライバシーの侵害は受忍限度内にある。本件マンションは,広い敷地内に建築されていて,原告らの居宅の敷地からは離れており,原告らの居宅自体からは更に距離がある。我が国においては本件におけるような相当の距離を隔てた建物からのプライバシーの侵害は,社会通念上優に受忍限度の範囲内にあるといわなければならない。 エ原告らの居住地域における風については,本件マンション建築前後において,ほとんど変化はない。 オ原告らの世帯の多くも自家用車を利用しているのであり,このことによって周辺に何らかの被害を与えているのである。また,このように自家用車が社会において一般化している現在においては,自家用車の利用による被害は,特段の事情がない限り,相互に受忍すべきものであり,特定の建物の建築によって自家用車が増加することは,特段の事情のない限り,当該建物に係る建築確認処分の取消しの訴えの原告適格を基礎付けるものではない。 カ仮に,本件マンションの建築により周辺の景観に何らかの影響があったとしても,本件マンションの敷地及びその周辺には,そのことにつき法律又は条例に基づく行政上の規制は存在せず,また,本件マンションの建築が刑罰法規に違反するとか,公序良俗違反又は権利濫用に該当するとは到底いうことができないから,原告らの本件訴訟における原告適格を基礎付- 19 -けるに足りるものではない。 キ原告らは,本件マンションによりテレビ電波障害を受けるから,本件訴訟における原告適格を有すると主張する。しかし,原告ら自身が認めるとおり,P24は誠実に対策工事を行っており,なお被害が残る場合にはこれを解消するために必要な措置を採る方針であるから,原告ら 本件訴訟における原告適格を有すると主張する。しかし,原告ら自身が認めるとおり,P24は誠実に対策工事を行っており,なお被害が残る場合にはこれを解消するために必要な措置を採る方針であるから,原告らの主張は失当である。 ク圧迫感は,極めて主観的な概念であって,保護の対象となる利益としての客観性又は明確性を備えるまでには至っておらず,これを日照やプライバシー等と同様の権利利益として認めることはできない。 ( )争点( )について (原告らの主張)本件各変更確認処分は,本件建築確認処分を前提にその一部を変更するものにすぎず,本件建築確認処分と密接不可分の関係にあって,これに付随するものである。そして,上記変更の内容は,原告らが本件訴訟において主張する違法事由と何ら関連性がないから,既に本件建築確認処分について審査請求を経ている以上,改めて本件各変更確認処分について審査請求をしたとしても結論を異にすることは期待できない。また,そのような審査請求を経る必要があるとすると,原告らに著しい損害が生ずることとなる。 (被告の主張)本件建築確認処分の後,3回の変更確認がされており,これに基づき工事が進行中である以上,原告らが本件マンション建築工事を停止させるという本件訴えの目的を達成するためには,改めて本件各変更確認処分について審- 20 -査請求をする必要がある。 ( )争点( )について (原告らの主張)ア建築基準法施行令1条1号は,敷地について「1の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地」と定義しており,いわゆる1建築物1敷地の原則を規定している。しかし,本件マンションは,「1の建築物」にも「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」にも該当しないから,建築基準法86条に規定する場合を除き,別の ,いわゆる1建築物1敷地の原則を規定している。しかし,本件マンションは,「1の建築物」にも「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」にも該当しないから,建築基準法86条に規定する場合を除き,別の敷地に建築しなければならないにもかかわらず,本件各処分は,本件マンションを1の敷地に建築することを認めているから,建築基準法施行令1条1号に違反するものである。 イ(ア)「1の建築物」とは,外観上分離されておらず,また,構造上も外壁,床,天井,屋根といった建築物の主要な構造部分が一体として連結し,あるいは密接な関連をもって接続しているものをいう。 (イ)本件マンションは,A棟からJ棟までの10棟及びE棟に接続する共用棟と呼ばれる棟から成り立っているが,A棟からJ棟までの10棟の建物は,構造上それぞれ別個に計算されており,壁,柱,床,はり,屋根,階段などの主要構造部分での連結はなく,渡り廊下でつながれているにすぎない。この渡り廊下は,エキスパンションジョイントで接続されているが,エキスパンションジョイントとは,建築物や構造物の接続方法の1つで,構造物を物理的に分離しておくことによって,構造体が相互に力学上影響を及ぼし合わないようにすることで,本来構造体の- 21 -膨張伸縮などによるひび割れ防止,あるいは振動周期の異なる構造物に生じる応力や形状変化を防御するために行われる接続方法であって,相互に接続されている部分に応力を伝えるものではないから,エキスパンションジョイントで接続されている建築物は,むしろ構造的には分離されているに等しいものである。 建築基準法施行令81条2項は,「2以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している建築物の当該建築物の部分は、前項の規定の適用については、それぞれ別の 建築基準法施行令81条2項は,「2以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している建築物の当該建築物の部分は、前項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす」と規定しているから,エキスパンションジョイントで接続された建築物を「1の建築物」とすることは,同項にも違反する。 (ウ)また,上記10棟の建物は,それぞれが構造耐力上別の建物に依存することなく自立して立つことのできる建物であるから,密接な関係をもって接続しているともいえない。 (エ)したがって,本件マンションは,「1の建築物」に該当しない。 ウ(ア)「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」とは,主要用途上の建築物とそれに付属する建築物と解釈すべきである。 (イ)しかし,本件マンションの各棟は,住居という用途のために使用するに当たり相互に不可欠なものであるとは到底いえない。入居者は,1棟内で独立した生活を営むことができる。 (ウ)また,本件マンションは,同種の機能を有する共用部分を各地に分散して配置しており,機能上も一体とはいえない。例えば,出入口については,メインエントランスが共用棟に存在するが,サブエントランス- 22 -がI棟及びJ棟に設置されているし,その他の棟においても,階段から進入が可能な棟が複数存在する。エレベーターは,E棟,H棟,I棟及びJ棟に各1機,共用棟に3機設置されている。ごみ置き場もJ棟1階のほかI棟前にある駐車場内にもあり,メールコーナーは共用棟のほかI棟1階にもある。電気室は,共用棟,I棟1階及びJ棟1階の3箇所に存在する。駐車場及び駐輪場は,無秩序に各所に配置されている。 このように,管理共用施設が数箇所に分散されて配置されていることは,本件マンションの規模が1棟の建築物としては機能しない大 1階の3箇所に存在する。駐車場及び駐輪場は,無秩序に各所に配置されている。 このように,管理共用施設が数箇所に分散されて配置されていることは,本件マンションの規模が1棟の建築物としては機能しない大きさであることを意味している。すなわち,本件マンションが「1の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物」に該当するのであれば,居住者全員の管理共用施設はすべて1つで十分なはずであるにもかかわらず,これを各所に分散させなければならないのは,入居者の生活に支障を来すからにほかならない。例えば,J棟1階にごみ置き場を設置しなければ,A棟,B棟,C棟,D棟及びJ棟の各居住者は,毎朝,数百メートル離れたI棟前の駐車場前に設置されるごみ置き場までごみを運ばざるを得なくなるのである。 (エ)共同住宅が人の居住の用に供することを目的とする以上,一体として管理運営できる建築物の規模にも居住者の生活実態に応じておのずから限界があるが,本件マンションはその限界をはるかに超えており,一体として管理運営することがおよそ不可能であるから管理共用施設が複数存在するのである。また,I棟の居住者はI棟に設置されたサブエントランスを利用し,J棟の居住者はJ棟に設置されたサブエントランス- 23 -を利用することが当然予定されている。 (オ)したがって,本件マンションは,「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」にも該当しない。 エ本件マンションにおいては,駐車場及び駐輪場としてI棟1階のほか,2つの大型の自走式駐車場の建築が予定されている。 しかし,これらの駐車場等は,用途上可分の建築物であるから,建築基準法施行令1条1号に反するものである。 (被告の主張)ア数棟の建築物が設備を共有するなど,機能的に一体を成し,また一体的に管理運営され,渡り廊下で機能上避難 用途上可分の建築物であるから,建築基準法施行令1条1号に反するものである。 (被告の主張)ア数棟の建築物が設備を共有するなど,機能的に一体を成し,また一体的に管理運営され,渡り廊下で機能上避難上有効に接続しており,客観上も渡り廊下によって一体性を持つ場合,併せて1の建築物又は用法上不可分の関係にある2以上の建築物とされているので,原告らの主張は誤りである。 イまた,エキスパンションジョイントで結合されていることは,全体が1の建築物であることの妨げにはならない。原告らが挙げる建築基準法施行令81条2項は,エキスパンションジョイントで結合されている建築物の部分は,「同条1項の適用については,それぞれ別の建築物とみなす」と規定しているのであって,同条1項の適用以外の場面では併せて1の建築物であることを前提とした規定である。エキスパンションジョイントは,棟と棟とが互いに直接に応力を伝えることが危険な場合に,これを避け,構造上の安全性を高める効果を有する。本件マンションの設計においてエキスパンションジョイントが使用されたのは,構造上一体となった1棟と- 24 -して建築することができる場合に,建築物の形状が長くなりすぎると,地震の際など危険があることから,適切な間隔で棟を分け,棟と棟との間に一定の間隔を空けることによって耐震性を高めるためである。このような場合,構造上の安全は,その性質上,棟ごとに判断すれば足り,必ずしも各棟が併せて「1の建築物」となることの要件とは解されない。 ウ原告らは,「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」の意味を,機能の異なる各棟が主要用途の下に結合されている場合に限られ,各棟がすべて居住棟であるような場合は含まれないとするが,独自の見解である。 エ特定の建築物が1の建築物に該当するか否かの判断は,主観的 機能の異なる各棟が主要用途の下に結合されている場合に限られ,各棟がすべて居住棟であるような場合は含まれないとするが,独自の見解である。 エ特定の建築物が1の建築物に該当するか否かの判断は,主観的に流れやすく,法的安定性を害するため,専門的技術的見地から一応の合理的説明ができるものについては,1の建築物であることを認めるべきである。本件マンションについていえば,全体的に見て外観上,構造上及び機能上の一体性が認められるのであるから,全体として1の建築物又は用途上不可分の関係にある複数の建築物というべきである。 ( )争点( )について (原告らの主張)ア東京都建築安全条例4条2項の立法趣旨は,火災の際の避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行う必要がある大規模建物の前面道路の最低幅員を定めた規定である。同条例の立法趣旨からして,当該道路が他の幅員6メートル以上の道路に接するまですべて6メートル以上の幅員が確保される必要がある。 イしかしながら,本件マンションの敷地は,東京都建築安全条例の適用を- 25 -受けるにもかかわらず,当該敷地に接している町田市道β線には幅員6メートルに満たない部分がある。 ウしたがって,本件各処分は,東京都建築安全条例に違反するものである。 (被告の主張)道路法上の道路で幅員4メートル以上のものは建築基準法上の道路であるが,建築基準法上の道路としての幅員は,有効幅員ではなく,道路台帳に記載された幅員によって判断される。本件マンションの敷地の道路台帳上の幅員は6メートルであるから,本件マンションは東京都建築安全条例4条2項に適合している。 ( )争点( )について (原告らの主張)ア本件マンション建築においては,以下の行為が都市計画法上の開発行為に該当し,開発許可が必要であるにもか 建築安全条例4条2項に適合している。 ( )争点( )について (原告らの主張)ア本件マンション建築においては,以下の行為が都市計画法上の開発行為に該当し,開発許可が必要であるにもかかわらず,本件各処分は,開発許可申請を経ないままされており,違法である。 ①本件マンションの敷地内には,深さ約1.5メートルのプールが3つ存在するが,これを本件マンション建築のために盛土をして埋め戻すことは,「形質の変更」に該当する。 ②本件マンションの敷地の土地登記簿上の地目は,従前「雑種地」であったから,これをマンションの敷地とすることは,一団の土地利用形態を変更する行為又は宅地以外の土地を宅地とする行為であり,「土地の区画形質の変更」に該当する。 ③本件土地の一部は分筆されており,それを本件マンションの敷地とす- 26 -ることは,一団の土地利用形態を変更する行為であり,「区画の変更」に該当する。 ④本件マンションの共用棟入口へのアプローチ部分に巨大な穴が掘削され,また,F棟北側,本件マンション敷地西側の市道β線際及び南側の斜面にも比較的大きな穴が掘削されている。これらは,「形質の変更」に該当する。 イ上記プールは,本件マンションの地下となるべき位置になく,後記被告の主張は前提事実を誤認している。 (被告の主張)ア敷地について切土や盛土等の形質変更が行われても,例えば建築物の地下室や築造するための根切工事のための切土のように,建築物の工事と不可分一体のものとして行われるものは,開発工事に該当せず,開発許可の対象にはならない。 イ本件の場合,原告らが指摘するプールは,本件マンションの自走式駐車場の地下となるべき位置にあるため,建築工事の際に除却される予定となっている。したがって,上記プールの除却は,建築行為と不可分一体であ 本件の場合,原告らが指摘するプールは,本件マンションの自走式駐車場の地下となるべき位置にあるため,建築工事の際に除却される予定となっている。したがって,上記プールの除却は,建築行為と不可分一体であるから,開発工事に該当せず,開発許可を要する場合に当たらない。また,プールを埋め戻す行為は,管理行為の一環であって,都市計画法29条1項12号の「通常の管理行為」に該当し,開発許可は不要である。 ウまた,都市計画法所定の「土地の区画形質の変更」とは,土地の物理的形状の変更をいうのであり,単なる地目の変更や合筆分筆を含まない。 エさらに,上記④の掘削は,本件マンションの建築工事の過程で必要とさ- 27 -れる雨水貯留槽設置のために行われたものである。雨水貯留槽の掘削は,建築物の建築と不可分一体の行為であるから,その深さにかかわらず開発行為としての形質の変更に該当しない。 ( )争点( )について (原告らの主張)ア本件マンションは,ハートビル法3条2項に基づき東京都が制定したハートビル条例3条2号所定の特別特定建築物であり,利用円滑化基準に適合していなければならない。 イ本件マンションの敷地の出入口である町田市道β線から本件マンションの主要な出入口がある共用棟までに急こう配の坂道が存在するが,当該坂道は利用円滑化基準を満たしておらず,本件各処分はハートビル法令に違反する。 当該坂道は,利用円滑化経路又は特定経路に該当し,利用円滑化基準を満たす必要がある。当該坂道が利用円滑化経路に該当する場合,「敷地内の通路」の「傾斜地」は,こう配が20分の1を超えないこと,両側に側壁又は立ち上がりを設けること,傾斜地の始点及び終点には車いすが安全に停止することができる平たんな部分を設けること,高さ75センチメートル以内ごとに踏幅が150セン 0分の1を超えないこと,両側に側壁又は立ち上がりを設けること,傾斜地の始点及び終点には車いすが安全に停止することができる平たんな部分を設けること,高さ75センチメートル以内ごとに踏幅が150センチメートル以上の踊り場を設けることなどが義務付けられている。 ウ特定経路に該当しない場合であっても,こう配が12分の1を超えないことのほか同種の基準を遵守しなければならない。 しかし,当該坂道は,こう配について法令の基準を満たしておらず,本- 28 -件各処分は違法である。 (被告の主張)アハートビル法にいう特別特定建築物とは,「不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、身体障害者等が利用する」建物であり,ハートビル条例も同じである。ハートビル条例3条2号は,特別特定建築に共同住宅を追加したが,そこにいう「共同住宅」とは,ハートビル法の立法趣旨からして,共同住宅一般を指すのではなく,一般に開放された大規模集会室や,身体障害者等の授産施設など,ハートビル法にいう「不特定かつ多数の者が利用し、又は主として身体障害者等が利用する」施設を包含する共同住宅のみを意味するものと解される。 本件マンションの集会室は規模が小さく,マンション各戸の居住者及びその関係者によって利用されることを目的とするものであって,「不特定かつ多数の者が利用し、又は主として身体障害者等が利用する」施設ということはできないから,ハートビル条例にいう特別特定建築物に該当しない。 イ原告らは,本件マンションにハートビル条例の適用があり,本件マンションの敷地への出入口である市道から本件マンションに至る急こう配の坂道は,ハートビル条例が定める利用円滑化道路の基準に適合していない旨主張する。 しかし,行政事件訴訟法10条1項は,取消訴訟においては自己の法律上の利益に関係のな ら本件マンションに至る急こう配の坂道は,ハートビル条例が定める利用円滑化道路の基準に適合していない旨主張する。 しかし,行政事件訴訟法10条1項は,取消訴訟においては自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることはできない旨規定しているところ,原告らは,いずれも日常生活上本件マンションが包- 29 -含する集会施設等を利用すべき地位になく,したがって,仮に上記施設等の関係で本件各処分が違法であるとしても,それは原告らの法律上の利益に関係しない違法であり,原告らが本件訴訟においてその違法を本件各処分の違法事由として主張することはできない。 ( )争点( )について (原告らの主張)建築基準法1条は,「国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」と規定している。 本件マンションの建設予定地は,閑静な低層住宅地の中にあり,地域住民によって長年にわたり良好な生活環境を保持すべく努力が払われてきたところ,本件マンションが建設されると,付近住民は,風害,高層階による圧迫感とプライバシーの侵害,隣接道路に著しい交通渋滞及び交通事故の危険が発生することによる生活侵害,近隣の人口増加に伴って生じる公共施設の慢性的不足等により,日常生活における著しい精神的及び経済的被害を受ける。 したがって,本件各処分は,建築基準法1条に違反するものである。 (被告の主張)建築確認とは,建築主事又は指定確認検査機関が特定の申請に係る建築物の計画が建築基準法令に適合するとの判断の表示たる行政処分である。 したがって,建築確認申請の際における審査の対象は,建築基準法令のうち,実体的建築基準を内容とする規定である。これに対して,建築基準法1条は,同法の目的を定めた規定であって,実体的建築基準に該当しない。し って,建築確認申請の際における審査の対象は,建築基準法令のうち,実体的建築基準を内容とする規定である。これに対して,建築基準法1条は,同法の目的を定めた規定であって,実体的建築基準に該当しない。したがって,特定の建築確認処分の違法性を論じるに当たって,建築基準法1- 30 -条違反を独立して主張できるとした例はなく失当である。 第3当裁判所の判断 認定事実前記前提事実に加え,証拠及び弁論の全趣旨(各事実の後に付記する。)によると,以下の事実を認めることができる。 ( )当事者等 ア原告らは,本件マンションの所在地の周辺である肩書地に居住する者であり,被告は,建築基準法所定の指定確認検査機関である。(前記前提事実)イ(ア)本件マンションは,東京都町田市αに所在する土地上に存在する建築物であり,住宅棟であるA棟(地上10階建て),B棟(地上10階建て),C棟(地上10階建て),D棟(地上10階建て),E棟(地上10階地下1階建て),F棟(地上10階建て),G棟(地上10階建て),H棟(地上10階建て),I棟(地上10階建て)及びJ棟(地上10階建て)を各棟の各階を共用廊下により相互に接続した建築物などから構成されている。(甲1)(イ)本件マンションのうち,A棟,B棟,C棟及びD棟の各敷地は,周囲の土地よりも約8メートルないし約11メートル高い位置にあるが,E棟,F棟,G棟,H棟及びI棟の各敷地は,H棟の敷地付近では周囲の土地よりも約13メートル低い位置にある。本件マンションの最高の高さは30.24メートルであり,本件マンションと原告らの住居との位置関係は,別紙図面1及び図面2のとおりである。(甲72,乙1の- 31 -1,1の2)(ウ)本件マンションは,冬至の日において,午前8時から午後4時までの間に,原告 ョンと原告らの住居との位置関係は,別紙図面1及び図面2のとおりである。(甲72,乙1の- 31 -1,1の2)(ウ)本件マンションは,冬至の日において,午前8時から午後4時までの間に,原告P9の住居において約1時間,同P14及び同P15の各住居において約30分,同P16の住居において約2時間30分,同P17及び同P18の住居において約3時間の日影を生じさせるが,その余の原告らの各住居には日影を生じさせない。(甲121,乙1の1,1の2,弁論の全趣旨)( )本件各処分の経緯等 ア本件建築確認処分について(ア)P19ほか4社は,被告に対し,平成16年9月10日,建築基準法6条の2第1項の確認の申請を行い,被告は,P19ほか4社に対して,同月29日付けで,同項に基づく確認の処分をした。被告は,同年10月15日付けで,P24を上記処分の建築主として追加する旨の建築主変更届を受理した。(前記前提事実)(イ)原告らは,町田市建築審査会に対し,平成16年11月25日,本件建築確認処分について審査請求をし,本件建築確認処分が建築基準法施行令1条1号所定の1建築物1敷地の原則に違反していること,本件マンションの敷地が東京都建築安全条例所定の幅員の道路に接していないこと,都市計画法所定の開発許可を受けていないこと,ハートビル法及びハートビル条例に違反していること並びに建築基準法1条に違反していることを主張したところ,町田市建築審査会は,同17年3月28日,原告らの上記各主張をいずれも排斥し,審査請求を棄却する旨の裁- 32 -決をした。(甲1,前記前提事実)(ウ)原告P7外12名は,平成17年7月22日,本件建築確認処分の取消しを求め,甲事件の訴えを提起した。(前記前提事実)(エ)原告P14外4名は,平成18年4月12日 。(甲1,前記前提事実)(ウ)原告P7外12名は,平成17年7月22日,本件建築確認処分の取消しを求め,甲事件の訴えを提起した。(前記前提事実)(エ)原告P14外4名は,平成18年4月12日,本件建築確認処分の取消しを求め,乙事件の訴えを提起した。(前記前提事実)イ本件各変更確認処分について(ア)P19ほか4社及びP24は,被告に対し,平成17年2月4日,本件建築確認処分に係る計画のうち設定地盤面の誤記の訂正及び高さの変更をした計画について,建築基準法6条の2第1項に基づく申請をし,被告は,P19ほか4社及びP24に対して,同月16日付けで本件変更確認処分1をした。(前記前提事実,弁論の全趣旨)(イ)P19ほか4社及びP24は,被告に対し,平成17年4月12日,本件変更確認処分1に係る計画のうち,建築面積及び延べ面積の変更,外部階段の位置及び面積の変更,並びに住戸面積の変更及びサブエントランスピロティの変更をした計画について,建築基準法6条の2第1項に基づく申請をし,被告は,P19ほか4社及びP24に対して,同年6月2日付けで本件変更確認処分2をした。(前記前提事実,弁論の全趣旨)(ウ)P19ほか4社及びP24は,被告に対し,平成18年6月2日,本件変更確認処分2に係る計画のうち住戸間取りの変更をした計画について,建築基準法6条の2第1項に基づく申請をし,被告は,P19ほか4社及びP24に対して,同月9日付けで本件変更確認処分3をした。 - 33 -(前記前提事実,弁論の全趣旨) 争点( )について ( )ア行政事件訴訟法9条は取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1 項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され 事件訴訟法9条は取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1 項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すべきであり,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)(以上につき,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号264- 34 -5頁参照)。 イ原告らは,上記法律上保護された利益として種々の利益について主張していることから,上記の見地に立って,原告らが本件各処分の取消しを求める原告適格を有するか否かについて検討する。 ( )安全,防災等の利益 は,上記法律上保護された利益として種々の利益について主張していることから,上記の見地に立って,原告らが本件各処分の取消しを求める原告適格を有するか否かについて検討する。 ( )安全,防災等の利益について ア(ア)建築基準法は,52条において建築物の容積率制限,55条において建築物の高さ制限,56条及び56条の2において斜線制限等の規制について規定しているところ,これらの規定は,本来,建築密度,建築物の規模等を規制することにより,建築物の敷地上に適度な空間を確保し,もって,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つことを目的とするものであるが,そのほか,当該建築物に火災その他の災害が発生した場合に,隣接する建築物等に延焼するなどの危険を抑制することをもその目的に含むと解するのが相当である(最高裁平成9年(行ツ)第7号同14年1月22日第三小法廷判決・民集56巻1号46頁,最高裁同年(行ツ)第159号同年3月28日第一小法廷判決・民集56巻3号613頁参照)。 同法第3章の規定による規制は,直接には,市街地において,道路等による公共の空間の確保のほか,建築物の敷地にも着目して個々の建築物の大きさを規制することによりその周囲に一定の空間を確保することとし,もって,周辺の一定範囲内の建築物,その居住者等の具体的利益の保護を図ることとするものであるが,同章の規定による規制の中には,上記のとおり,相互に隣接し,又は周辺に位置するという関係にあるこ- 35 -とから一種の運命共同体的な関係にある建築物を保護することをも目的とする規定が存在しているというべきである。 また,同法は,21条において,大規模の建築物の主要構造物が同法2条9号の2イに掲げる基準に適合するものでなければならない旨規定しているところ, をも目的とする規定が存在しているというべきである。 また,同法は,21条において,大規模の建築物の主要構造物が同法2条9号の2イに掲げる基準に適合するものでなければならない旨規定しているところ,これは,本来,当該建築物の居住者の生命及び身体の安全の保護を目的とするものであるが,そのほか,火災,地震等により当該建築物が倒壊した場合に,隣接する建築物等が損壊するなどの危険を抑制することをもその目的に含むと解するのが相当である。同法第2章の規定による規制は,直接には当該建築物並びにその居住者の生命,身体の安全及び健康の保護を図るものであるが,同章の規定による規制の中には,上記のとおり,近接する建築物並びにその居住者の生命及び身体の安全をも保護しているものと解するべき規定が存在しているというべきである。 そして,同法6条の2第1項は,同法6条1項各号に掲げる建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて指定確認検査機関がした確認及び指定確認検査機関が交付した確認済証をそれぞれ同項の規定による確認及び確認済証とみなし,確認済証にはそれが交付されなければ同項各号に掲げる建築物の建築等の工事をすることができないという法的効果が付与されており(同条6項),また,同法21条を始めとする同法第2章の規定並びに同法52条,55条,56条及び56条の2を始めとする同法第3章の規定は,いずれも建築基準関係規定に含まれる。 - 36 -そうすると,同法6条の2第1項が,同法6条1項各号に掲げる建築物の計画が,例えば,同法21条,52条,55条,56条及び56条の2に適合するものであることについて確認することができなければ,当該建築物の建築等の工事をすることができないこととしているのは,①当該建築物並びにその居住者の生命,身体の安全及び健康 条及び56条の2に適合するものであることについて確認することができなければ,当該建築物の建築等の工事をすることができないこととしているのは,①当該建築物並びにその居住者の生命,身体の安全及び健康の保護を図り,②当該建築物及びその周辺の建築物における日照,通風,採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することができるようにするとともに,③地震、火災等により当該建築物が倒壊し,又は炎上するなど万一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物やその居住者に重大な被害が及ぶことのないようにするためであると解される。 そして,以上のような同法6条の2第1項の趣旨及び目的,同項が同法6条1項各号に掲げる建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることの確認において保護しようとしている利益の内容及び性質等のほか,同法が建築物の敷地,構造等に関する最低の基準を定めて国民の生命,健康及び財産の保護を図ることなどを目的としていること(1条)をも考慮すると,同法6条の2第1項は,同項による確認に係る建築物並びにその居住者の生命又は身体の安全及び健康を保護し,その建築等が市街地の環境の整備改善に資するようにするとともに,当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命又は身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。 - 37 -そうすると,建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,当該建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消しの訴えにおける原告適格を有すると解するのが相当である。 想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,当該建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消しの訴えにおける原告適格を有すると解するのが相当である。 (イ)前記認定事実のとおり,本件マンションのうち,A棟,B棟,C棟及びD棟の各敷地は,周囲の土地よりも約8メートルないし約11メートル高い位置にあるのに対し,E棟,F棟,G棟,H棟及びI棟の各敷地は,H棟の敷地付近では周囲の土地よりも約13メートル低い位置にあり,本件マンションの最高の高さは30.24メートルであり,本件マンションと原告らの居住する建物との位置関係は,別紙図面1及び図面2のとおりである。そうすると,本件マンションの倒壊,炎上等により直接的な被害を受ける蓋然性がある範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者であると認められるのは,原告P7,同P8,同P10,同P11,同P12及び同P13だけであり,その余の原告は当該範囲内の地域に存する建物に居住し,又はこれを所有する者であるということはできない。したがって,原告P7,同P8,同P10,同P11,同P12及び同P13は,本件各処分の取消しを求める原告適格を有するものということができる。 (ウ)この点につき,原告らは,本件マンションが約11メートルの高台に建っていることを理由に,本件マンションの倒壊により被害が広範囲に及ぶから,他の原告らにも原告適格が認められるべきである旨主張す- 38 -る。しかし,本件マンションと周囲の土地の位置関係は上述のとおりであるところ,本件マンションの倒壊及び炎上時の被害が前記(イ)の範囲より広い範囲に及ぶことを認めるに足りる証拠はないから,原告らの上記主張を採用することはできない。 イ(ア)また,原告らは,本件マンションの取付 件マンションの倒壊及び炎上時の被害が前記(イ)の範囲より広い範囲に及ぶことを認めるに足りる証拠はないから,原告らの上記主張を採用することはできない。 イ(ア)また,原告らは,本件マンションの取付道路である市道β線に東京都建築安全条例の規定に違反する幅員6メートル未満の部分が存在することを理由に,原告らが本件各処分の取消しの訴えにおける原告適格を有する旨主張する。 (イ)ところで,建築基準法43条1項は,「建築物の敷地は、道路(…(略)…)に2メートル以上接しなければならない。ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。」と規定しているところ,これは,道路が,平常時における通行の場として必要であるのみならず,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つとともに,当該建築物に火災等の災害が発生した場合における避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行うために必要であり,道路のないところに建築物が相当の密度で立ち並ぶことは,当該建築物の居住者等のみならずこれに隣接する建築物等の居住者等の平時の利用に不便なばかりでなく,その災害時の避難や消火活動にも大きな支障を来すことから,建築物の敷地は一定の広さを有する道路に接していなければならないものとしたので- 39 -あり,そうであるとすると,同項の規定は,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つことのほかに,当該建築物に災害が発生した場合に,当該建築物及びその隣接する建築物等についてその居住者等の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を保護する おける日照,通風,採光等を良好に保つことのほかに,当該建築物に災害が発生した場合に,当該建築物及びその隣接する建築物等についてその居住者等の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を保護することをもその目的に含むものと解するのが相当である。 また,同条2項は,「地方公共団体は、…(略)…延べ面積(…(略)…)が1000平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により、前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、必要な制限を付加することができる。」と規定しているところ,これは,一定の用途や規模を有する建築物の場合,それらの建築物の敷地が同条1項の規定する幅員4メートル(特定の区域内では6メートル)の道路に2メートル接すればよいという制限だけでは,平常時における通行の確保並びに火災等の災害の発生時における迅速かつ適切な避難,消火及び救助活動ができないおそれがあることから,地方公共団体の条例で,建築物の用途又は規模の特殊性に応じ,各地方の実情に合わせて必要な制限を付加することができる旨規定したものと解するのが相当である。 上記規定を受けて,東京都建築安全条例4条1項は,「延べ面積(…(略)…)が1000平方メートルを超える建築物の敷地は、その延べ面積に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならな- 40 -い。」と規定し,同条2項は,「延べ面積が3000平方メートルを超え、かつ、建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については,同項中「道路」とあるのは、「幅員6メートル以上の道路」とする。」と規定している。 000平方メートルを超え、かつ、建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については,同項中「道路」とあるのは、「幅員6メートル以上の道路」とする。」と規定している。 以上の規定及びその趣旨からすると,東京都建築安全条例4条1項及び2項が,延べ面積が3000平方メートルを超え,かつ,建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員を6メートル以上としたのは,このような大規模な建築物にあっては,平常時における通行を確保するためだけでなく,火災その他の災害が発生した場合における避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行うためには幅員6メートル以上の道路に接する必要があるとの考えに基づくものと解するのが相当である。 そして,東京都建築安全条例4条3項は,「建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合」に限り,同条1項及び2項の規定を適用しないことを認めているところ,同条1項及び2項の上記趣旨,目的等をも考慮すれば,同条3項が知事の認定に当たり「建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況」を勘案すべきものとしているのは,当該建築物が火災等により炎上するなどの事態が生じた場合に,これに隣接する建築物等やその居住者等に重大な被害が及ぶことのないようにするためであると解するのが相当である。 そうすると,同条1項及び2項は,延べ面積が3000平方メートル- 41 -を超え,かつ,建築物の高さが15メートルを超える建築物について,火災その他の災害が発生した場合に避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行うことによって,当該建築物やその居住者等に重大な被害が及ぶことのないようにするとともに,当該建築物に隣接する建築物等やその居住者等に重大な被害 生した場合に避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行うことによって,当該建築物やその居住者等に重大な被害が及ぶことのないようにするとともに,当該建築物に隣接する建築物等やその居住者等に重大な被害が及ぶことのないようにしているものということができ,したがって,当該建築物に隣接する建築物等の所有者又は居住者等の利益を個々人の個別的利益として保護しているものと解するのが相当である。 そうすると,建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けた建築物が幅員6メートルに満たない道路に接しているために当該建築物において発生した火災について消火を迅速かつ適切に行うことができず,それによって当該建築物に隣接する建築物等やその居住者等に重大な被害が及ぶおそれがある場合には,当該被害が及ぶおそれのある者には,当該確認の取消しを求めるにつき法律上の利益があるということができる。 (ウ)そこで検討すると,原告らは,本件マンションに接する道路である市道β線には幅員が5.83メートルの部分があることを理由に原告らに原告適格が認められるべきである旨主張しているが,市道β線に幅員が5.83メートルの部分があるというだけでは,本件マンションに発生した火災によって原告らに重大な被害が及ぶおそれがあることを認めることはできないというべきであり,他にこれを認めるに足りる証拠もないから,本件マンションに接する道路である市道β線に幅員が5.83メートルの部分があることを理由に,原告らに本件各処分の取消しを- 42 -求める法律上の利益があるということはできない。 ウ(ア)さらに,原告らは,本件マンションがハートビル法及びハートビル条例10条1項5号ロに違反することを理由に,原告らが本件各処分の取消しの訴えにおける原告適格を有する旨主張する。 (イ)ところで,ハートビル法は, らは,本件マンションがハートビル法及びハートビル条例10条1項5号ロに違反することを理由に,原告らが本件各処分の取消しの訴えにおける原告適格を有する旨主張する。 (イ)ところで,ハートビル法は,1条において,「この法律は、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる建築物の建築の促進のための措置を講ずることにより建築物の質の向上を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」とし,3条1項において,「特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。以下この条において同じ。)をしようとする者は、当該特別特定建築物を、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするために必要な政令で定める特定施設の構造及び配置に関する基準(以下「利用円滑化基準」という。)に適合させなければならない。当該建築をした特別特定建築物の維持保全をする者についても、同様とする。」とし,同条2項において,「地方公共団体は、その地方の自然的社会的条件の特殊性により、前項の規定のみによっては、高齢者、身体障害者等が特定建築物を円滑に利用できるようにする目的を十分に達し難いと認める場合においては、特別特定建築物に条例で定める特定建築物を追加し、同項の建築の規模を条例で同項の政令で定める規模未満で別に定め、又は利用円滑化基準に条例で必要な事項を付加することができる。」と規定しており,同項に基づき,ハートビル条例が定められたものである。 - 43 -そして,ハートビル法施行令13条は,「次に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定める経路のうち1以上を、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる経路(以下「利用円滑化経路」という。)にしなければならない。」と規定しているところ,ハートビル条例10条1項5号は,「当該利用円滑化経 る経路のうち1以上を、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる経路(以下「利用円滑化経路」という。)にしなければならない。」と規定しているところ,ハートビル条例10条1項5号は,「当該利用円滑化経路を構成する敷地内の通路は、次に掲げるものであること。…(略)…ロ傾斜路は、次に掲げるものであること。…(略)…( )こう配は、20分の1を超えないこと。…(以下略) …」と規定している。 (ウ)しかしながら,上記のような利用円滑化経路のこう配の制限は,当該建築物を利用する高齢者,身体障害者等が円滑にこれを利用できることを目的とするものと解するのが相当であり,建築基準法6条の2第1項が,上記こう配の制限につき,当該建築物の周辺の他の建築物に居住する者の個々人の個別的利益として保護しているとは考え難いから,仮に本件マンションに上記ハートビル条例違反があるとしても,当該事実をもって直ちに原告らに本件各処分の取消しの訴えにおける原告適格を認めることはできない。 エ原告らは,原告らがいずれも町田市中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例2条( )所定の「近隣関係住民」に該当すること を理由に,本件各処分の取消しの訴えにおける原告適格を有する旨主張する。 しかし,上記条例は,2条( )において,「中高層建築物の敷地境界線 から、その高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して- 44 -権利を有する者及び当該範囲内に居住する者」及び「特定用途建築物の敷地境界線から50メートルの水平距離の範囲内に土地又は建築物に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者」は「近隣関係住民」に該当する旨規定しているものの,上記「近隣関係住民」に該当する者すべてが,本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有しているという 権利を有する者及び当該範囲内に居住する者」は「近隣関係住民」に該当する旨規定しているものの,上記「近隣関係住民」に該当する者すべてが,本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有しているということは到底できないから,原告らの主張は失当である。 ( )日照を阻害されない利益について ア前述した建築基準法6条の2第1項の趣旨及び目的,同項が同法6条1項に掲げる建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることの確認において保護しようとしている利益の内容及び性質等にかんがみれば,同法6条の2第1項は,建築確認に係る建築物並びにその居住者の生命身体の安全及び健康を保護し,その建築が市街地の環境の整備改善に資するようにするとともに,当該建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物に居住する者の健康を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。 そうすると,建築確認に係る建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物の居住者は,建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消しの訴えにおける原告適格を有すると解するのが相当である。 イ前記認定事実のとおり,本件マンションは,冬至の日において,午前8時から午後4時までの間に,原告P9の住居において約1時間,同P14及び同P15の各住居において約30分,同P16の住居において約2時- 45 -間30分,同P17及び同P18の住居において約3時間の日影を生じさせているが,その余の原告らの各住居には日影を生じさせない。したがって,原告P9,同P14,同P15,同P16,同P17及び同P18は,本件各処分の取消しを求める原告適格を有するものということができる。 ( )プライバシーの権利について ア原告らは,本件各処分の取消しの訴え P14,同P15,同P16,同P17及び同P18は,本件各処分の取消しを求める原告適格を有するものということができる。 ( )プライバシーの権利について ア原告らは,本件各処分の取消しの訴えの原告適格を基礎付ける権利として,プライバシーの権利を主張している。 イしかし,建築基準関係規定の中に建築確認に係る建築物の周辺の建築物に居住する者のプライバシーの保護を読み込むことは困難であり,建築基準法6条の2第1項の趣旨及び目的に,建築確認に係る建築物の周辺の建築物に居住する者のプライバシーを保護することが含まれているということはできない。 ウしたがって,プライバシーの権利が本件各処分の取消しの訴えの原告適格を基礎付ける権利であるとの原告らの主張を採用することはできない。 ( )風害を被らない利益について ア原告らは,本件各処分の取消しの訴えの原告適格を基礎付ける利益として,風害を被らない利益を主張している。 イ前述した建築基準法6条の2第1項の趣旨及び目的,同項が同法6条1項に掲げる建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることの確認において保護しようとしている利益の内容及び性質等にかんがみ,同法6条の2第1項は,建築確認に係る建築物及びその居住者の生命又は身体の安全及び健康を保護し,その建築が市街地の環境の整備改善に資する- 46 -ようにするとともに,当該建築物により通風を阻害されるなど風害を受ける周辺の他の建築物に居住する者のそのような風害を被らない利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。 そうすると,建築確認に係る建築物により,風害を受ける地域内の居住者は,建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消しの訴えにおける原告適格を有すると解す 解すべきである。 そうすると,建築確認に係る建築物により,風害を受ける地域内の居住者は,建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消しの訴えにおける原告適格を有すると解するのが相当である。 ウしかし,本件において,本件マンションの建築により原告らの住居において,風の環境に何らかの変化が生じる蓋然性があることは否定できないとしても,風害が発生することを認めるに足りる的確な証拠はなく,本件マンション以外の建築物に関する資料は本件マンションの建築による風害の発生を直ちに裏付けるものではないから,風害があることを前提として原告らが本件各処分の取消しの訴えの原告適格を有するとの原告らの主張を採用することはできない。 エなお,原告らは,前述の町田市中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例所定の「近隣関係住民」に該当する者すべてが,本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有している旨主張するが,原告らの主張を採用することができないことは,前述のとおりである。 ( )通行妨害,騒音又は大気汚染を被らない利益について ア原告らは,本件マンションが建築されることにより,本件マンションの住民等の自動車が周辺の道路に流入し,それにより本件マンションの周辺に居住する原告らの通行が害され,騒音及び大気汚染の被害を被ることを- 47 -理由に,本件各処分の取消しの訴えの原告適格を有する旨主張する。 イしかし,建築基準関係規定の中に建築確認に係る建築物の居住者等の自動車による被害から周辺の建築物に居住する者個々人の個別的利益の保護を読み込むことは困難であり,建築基準法6条の2第1項の趣旨及び目的に,建築確認に係る建築物の周辺の建築物に居住する者の上記利益を保護することが含まれているということはできない。 ウ 的利益の保護を読み込むことは困難であり,建築基準法6条の2第1項の趣旨及び目的に,建築確認に係る建築物の周辺の建築物に居住する者の上記利益を保護することが含まれているということはできない。 ウしたがって,本件マンションの住民等の自動車が周辺の道路に流入することによる不利益を根拠に,原告らが本件各処分の取消しの訴えの原告適格を有するとの原告らの主張を採用することはできない。 ( )「生態系の多様性等が確保された自然環境」,「景観」及び「自然との触れ 合い活動の場を持つ利益」についてア原告らは,「生態系の多様性等が確保された自然環境」,「景観」及び「自然との触れ合い活動の場を持つ利益」が本件各処分の取消しを求めるについての法律上の利益である旨主張する。 イしかし,原告らの主張する上記のような良好な住環境を享受する利益は,建築基準関係規定によって建築確認に係る建築物の周辺の建築物に居住する者個々人の個別具体的利益として保護されているということはできず,これらの利益を根拠に,原告らが本件各処分の取消しの訴えの原告適格を有するとの原告らの主張を採用することはできない。 ( )電波障害を受けない利益について 原告らは,電波障害を理由に,本件各処分の取消しの訴えの原告適格を有する旨主張するが,建築基準関係規定が電波障害につき建築確認に係る建築- 48 -物の周辺の建築物に居住する者個々人の個別具体的利益として保護しているということはできず,これらの利益を根拠に,原告らが本件各処分の取消しの訴えの原告適格を有するとの原告らの主張を採用することはできない。 ( )圧迫感を受けない利益について ア原告らは,本件マンションの建築により,周辺に居住する原告らが圧迫感を感じることから,本件各処分の取消しを求めるについての法律上の利益を有す できない。 ( )圧迫感を受けない利益について ア原告らは,本件マンションの建築により,周辺に居住する原告らが圧迫感を感じることから,本件各処分の取消しを求めるについての法律上の利益を有する旨主張する。そして,証拠(甲116ないし120)によれば,原告らの居住する住居付近において,形態率(建築物の外形の水平面立体角投射率)が4.877パーセントから10.036パーセントであったことが認められる。 イしかし,圧迫感については,東京都環境影響評価技術指針(甲115)中にはこれを評価の対象とすべき場合がある旨の記載があるものの,建築基準関係規定中にこれを建築確認に係る建築物の周辺の建築物に居住する者個々人の個別具体的利益として保護していると解される規定は見出し難く,原告らが本件マンションにより圧迫感を感じることを根拠に,原告らが本件各処分の取消しの訴えの原告適格を有するとの原告らの主張を採用することはできない。 ()小括 以上のとおり,原告らのうち,本件訴訟における原告適格が認められるのは,原告P7,同P8,同P9,同P10,同P11,同P12,同P13,同P14,同P15,同P16,同P17及び同P18である。 争点( )について - 49 -( )ア建築主が指定確認検査機関から確認を受けた建築物の計画を変更して建 築物を建築しようとする場合には,建築基準法施行規則3条の2所定の軽微な変更である場合を除き,当該建築主は,建築物の計画と同様,当該変更した計画について建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならない(建築基準法6条1項,6条の2第1項)。そして,建築主が建築物の計画の変更の確認の申請をする場合,建築主は,当該計画の変更に係る直前の確認を建築主事から受けている場合には変更に係る部分の申請 ない(建築基準法6条1項,6条の2第1項)。そして,建築主が建築物の計画の変更の確認の申請をする場合,建築主は,当該計画の変更に係る直前の確認を建築主事から受けている場合には変更に係る部分の申請書及びその添付図書を,当該計画の変更に係る直前の確認を指定確認検査機関から受けている場合には建築基準法施行規則1条の3第1項ないし第18項所定の申請書及びその添付図書並びに当該直前の確認に要した図書のうち変更に係る部分を提出することとなる(建築基準法施行規則1条の3第19項)。 このような建築基準法等の規定のほか,建築確認が,確認申請に表れた事実や法律関係の存否等についての判断行為であり,判断の結果確認申請に係る建築物が建築基準関係規定に適合する旨を公権的に確定し宣言するにとどまるという意味での確認的行為の性格を有するものであること(最高裁昭和55年(オ)第309号,第310号同60年7月16日第三小法廷判決・民集39巻5号989頁参照)からすると,建築物の計画の変更の確認は,軽微な変更である場合を除き,建築主事又は指定確認検査機関が変更しなかった部分と変更した部分とを併せて建築基準関係規定の適合性を判断し,変更しなかった部分については従前の建築物の計画の確認のとおりであること及び変更した部分については建築基準関係規定に適合- 50 -していることの確認をする性質を有するものであり,変更前の計画とは別個の処分であると解するのが相当である。 イしたがって,建築物の計画の変更の確認の取消しを求める訴えは,原則として,当該建築物の計画の変更の確認につき建築審査会の裁決を経た後でなければ提起することはできないというべきである(建築基準法96条参照)。 ( )アところで,行政事件訴訟法8条2項3号は,裁決を経ないことにつき 「正当な理由」があ 建築審査会の裁決を経た後でなければ提起することはできないというべきである(建築基準法96条参照)。 ( )アところで,行政事件訴訟法8条2項3号は,裁決を経ないことにつき 「正当な理由」があるときは,審査請求に対する裁決を経ずに処分の取消しの訴えを提起することができる旨規定しているところ,2個の処分が極めて密接な関連性を有しており,2個の処分を通じて処分の理由が共通であり,不服申立てにおいて攻撃する点も専ら共通の処分理由に対するものであって,これに対する行政庁の基本的な判断が一方の処分に対する不服申立てにおいて既に示されていて変更の余地がない場合には,他方の処分について改めて不服申立てをして行政庁の判断を求めることはもはや無意味であるから,そのような場合には,他方の処分については,裁決を経ないで取消しの訴えを提起することにつき,上記の「正当な理由」があると解するのが相当である。 イこれを本件についてみると,前記認定事実によると,①原告らは町田市建築審査会に対し本件建築確認処分について審査請求をし,( )本件建築i確認処分が建築基準法施行令1条1号所定の1建築物1敷地の原則に違反している,( )本件マンションの敷地が東京都建築安全条例所定の幅員のii道路に接していない,()都市計画法所定の開発許可を受けていない,iii- 51 -()ハートビル法及びハートビル条例に違反している,並びに( )建築基ivv準法1条に違反している旨を主張し,町田市建築審査会は原告らの上記各主張をいずれも排斥していること,②本件変更確認処分1は,本件建築確認処分に係る計画のうち設定地盤面の誤記の訂正及び高さの変更をした計画に係る処分であり,本件変更確認処分2は,本件変更確認処分1に係る計画のうち,建築面積及び延べ面積の変更,外部階段の ,本件建築確認処分に係る計画のうち設定地盤面の誤記の訂正及び高さの変更をした計画に係る処分であり,本件変更確認処分2は,本件変更確認処分1に係る計画のうち,建築面積及び延べ面積の変更,外部階段の位置及び面積の変更,並びに住戸面積の変更及びサブエントランスピロティの変更をした計画に係る処分であり,本件変更確認処分3は,本件変更確認処分2に係る計画のうち住戸間取りの変更をした計画に係る処分であること,③原告らの本件各変更確認処分についての違法事由に係る主張は,本件建築確認処分についての主張と異なるものではないことが認められ,そうすると,本件建築確認処分と本件各変更確認処分とは,極めて密接な関連性を有しており,不服申立てにおいて攻撃する点も専ら共通の処分理由に対するものであって,これに対する町田市建築審査会の基本的な判断が既に示されていて変更の余地はないというべきであるから,原告らが本件各変更確認処分につき町田市建築審査会に対する審査請求を経ずに取消しの訴えを提起したことについては,行政事件訴訟法8条2項3号所定の「正当な理由」があると認めるのが相当である。 ( )よって,原告らの本件各変更確認処分の取消しを求める訴えが,審査請求 を経ていない点において不適法であるということはできない。 争点( )について ( )ア原告らは,被告は,本件マンションが建築基準法施行令1条1号の「1 - 52 -の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物」に当たらないにもかかわらず,これに当たるとして本件各処分をしたとして,本件各処分が違法であると主張する。 イ建築基準法施行令1条1号は,敷地について,「1の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう」と規定しており,原則として「1の建築物」ごとに1の「 であると主張する。 イ建築基準法施行令1条1号は,敷地について,「1の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう」と規定しており,原則として「1の建築物」ごとに1の「敷地」が成立し,2以上の建築物が用途上不可分の関係にあるときは,「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」ごとに1の「敷地」が成立するものとし(以下,この原則を「1建築物1敷地の原則」という。),「1の建築物」あるいは「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」という概念によって「敷地」の個数が決せられるものとしている。そして,建築基準法は,敷地の接道義務(43条1項),容積率及び建ぺい率の制限(52条,53条),隣地斜線規制及び北側斜線規制(56条),日影規制(56条の2)など,都市計画実現の一環として,都市環境の整備及び保護を図るために建築物の用途,密度,形態及び規模について建築規制を行うための規定による規制を「敷地」単位で行うものとしており,1建築物1敷地の原則は,上記規制を実効あらしめる役割を担っている。 ところで,建築物がいかなる場合に「1の建築物」に当たるかという点については,建築基準法及び同法施行令等にはこれを定めた規定はない。 そして,「1の建築物」が建築基準法による上記規制を実効あらしめるための重要な概念であることにかんがみれば,ある建築物が「1の建築物」に当たるか否かについては,建築基準法の趣旨を踏まえて,社会通念に基- 53 -づき各事案ごとに決せざるを得ないが,同法施行令1条1号が,「1の建築物」と定めていることからすると,建築基準法の趣旨を踏まえて,社会通念に照らし,構造上,外観上及び機能上の一体性があると認められる建築物は,「1の建築物」に当たると解するのが相当である。また,「2以上の建築物」が「用途上不可分の関 築基準法の趣旨を踏まえて,社会通念に照らし,構造上,外観上及び機能上の一体性があると認められる建築物は,「1の建築物」に当たると解するのが相当である。また,「2以上の建築物」が「用途上不可分の関係にある」とは,例えば,主物と従物のように,2以上の建築物が一定の共通の用途の下に不可分一体の結合関係にあるもののほか,そのような関係が認められないものであっても,建築基準法の趣旨を踏まえて,社会通念に照らし,維持管理,使用,利用,機能などの態様において一体であると認められるものを指すと解するのが相当である。 ウそこで検討すると,前記認定事実のほか,証拠(甲1,3ないし5)及び弁論の全趣旨によれば,本件マンションは,西から東に向かってA棟(地上10階),B棟(地上10階),C棟(地上10階),D棟(地上10階),E棟(地上10階地下1階),F棟(地上10階),G棟(地上10階),H棟(地上10階),I棟(地上10階)及びJ棟(地上10階)の順に,S字状に配置されており,上記10棟の各階は共用廊下により相互に接続されており,その各接続部分はエキスパンションジョイントで接続されていること,エキスパンションジョイントは,構造体の接続方法の1つで,構造体を物理的に分離しておく方法によって,力学上応力を伝えないことにより,構造体が相互に力学上影響を及ぼさないことを意図する接続方法であること,共用棟は,地上1階及び地下1階においてE棟と接続されており,地下1階部分には主要な出入口であるエントランス- 54 -ホール,防災センター,メールコーナー,集会室,電気室,フィットネス,販売コーナー,管理室等が設けられ,地上1階部分には出入口となるホール及びゲストルーム2室が配置されていること,本件マンションの出入口は,共用棟のメインエントランスのほかに,I 気室,フィットネス,販売コーナー,管理室等が設けられ,地上1階部分には出入口となるホール及びゲストルーム2室が配置されていること,本件マンションの出入口は,共用棟のメインエントランスのほかに,I棟及びJ棟にサブエントランスが設置されていること,エレベーターは,E棟,H棟,I棟及びJ棟に各1機,共用棟に3機設置されており,各棟すべてに設置されているのではないこと,電気室は,共用棟,I棟及びJ棟に設置されていること,メールコーナーは,共用棟のほか,I棟にも設置されていることが認められる。 上記認定事実によると,A棟からJ棟までの10棟(以下,上記10棟を併せて「住宅棟」という。)はエキスパンションジョイントで接続され,共用棟はE棟と接続されているのであるから,住宅棟及び共用棟は構造上の一体性があるといい得るものである。そして,本件全証拠を精査しても,住宅棟及び共用棟が構造上一体であると認めることが,接道義務,建ぺい率及び容積率の制限,隣地斜線規制及び北側斜線規制,日影規制などの点において,上記各規制を定めた建築基準法の趣旨及び目的を没却するものであると認めるには足りない。したがって,住宅棟及び共用棟には全体として構造上の一体性があると認められる。 また,上記認定事実によると,住宅棟を構成するA棟からJ棟までの各階は共用廊下により相互に接続されており,A棟からJ棟までは西から東に向かって順に配置され,S字状の形状に配置されているから,住宅棟及び共用棟には全体として外観上の一体性があると認められる。 - 55 -さらに,上記認定事実によると,共用棟の地下1階にはエレベーター3機,メインエントランス,防災センター,メールコーナー,集会室,電気室,フィットネス,販売コーナー,管理室等が設けられ,地上1階にはホール,ゲストルーム2室が配置され 棟の地下1階にはエレベーター3機,メインエントランス,防災センター,メールコーナー,集会室,電気室,フィットネス,販売コーナー,管理室等が設けられ,地上1階にはホール,ゲストルーム2室が配置されているから,住宅棟及び共用棟は一体となって1つの共用住宅として機能しているというべきである。そして,サブエントランスがI棟及びJ棟に設置されていること,エレベーターがE棟,H棟,I棟及びJ棟に各1機設置されていること,電気室がI棟及びJ棟にも設置されていること,メールコーナーがI棟にも設置されていることは,いずれも利用上又は管理上の観点に基づき分岐施設が合理的に配置されたものと認めることができる。したがって,住宅棟及び共用棟には機能上の一体性があると認められる。 以上によれば,本件マンションは,全体として「1の建築物」に該当すると認めるのが相当である。 仮に,本件マンションが全体として「1の建築物」に当たらないとしても,前述したところによれば,住宅棟及び共用棟は,維持管理,使用,利用,機能などの態様において一体であるといい得るものであり,また,本件全証拠を精査しても,住宅棟及び共用棟が一体であると認めることが,接道義務,建ぺい率及び容積率の制限,隣地斜線規制及び北側斜線規制,日影規制などの点において,上記各規制を定めた建築基準法の趣旨及び目的を没却するものであると認めるには足りないから,本件マンションは「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」に当たると認めるのが相当である。 - 56 -( )ア原告らは,本件マンションがエキスパンションジョイントで接続されて いることを理由に「1の建築物」とはいえない旨主張する。 イしかし,前述のとおり,エキスパンションジョイントは,構造体を物理的に分離しておく方法によって,力学上応力を伝えないこと トで接続されて いることを理由に「1の建築物」とはいえない旨主張する。 イしかし,前述のとおり,エキスパンションジョイントは,構造体を物理的に分離しておく方法によって,力学上応力を伝えないことにより,構造体が相互に力学上影響を及ぼさないことを意図する接続方法であり,エキスパンションジョイントを使用したとしても,それが構造物を接続する1つの方法であり,それにより当該部分は一応一体化する以上,エキスパンションジョイントを使用したことをもって「1の建築物」でないとまでいうことはできない。 ( )アこの点につき,原告らは,建築基準法施行令81条2項が,「2以上の 部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している建築物の当該建築物の部分は、前項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。」と規定していることを理由に,エキスパンションジョイントで接続されている場合には「1の建築物」であるということはできない旨主張する。 イところで,建築基準法20条2号は,一定の建築物にあっては,政令で定める基準に従った構造計算によって確かめられる安全性を有することを要する旨規定し,これを受けて,同法施行令81条1項は,同法20条2号に規定する建築物(超高層建築物を除く。)の構造計算について規定し,そして,同条2項は,「2以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している建築物の当該建築物の部分は、前項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみな- 57 -す。」と規定している。 このように,同項は,その文理上,1つの「建築物」であっても,構造計算に当たっては,エキスパンションジョイント等の構造方法のみで接している「当該建築物の部分」は,別の建築物とみなすという規 ている。 このように,同項は,その文理上,1つの「建築物」であっても,構造計算に当たっては,エキスパンションジョイント等の構造方法のみで接している「当該建築物の部分」は,別の建築物とみなすという規定であり,エキスパンションジョイントが力学上応力を伝えないものである以上,構造計算において別の建築物とみなすのは,当然の事理であるから,同項がエキスパンションジョイントを使用している場合には「1の建築物」であることを否定する趣旨の規定であると解することはできない。 ( )アまた,原告らは,本件マンションにおける共用廊下が建築基準法2条1 項5号に規定されている「主要構造部」や同法施行令1条3項に規定されている「構造耐力上主要な部分」に該当しないことを理由に,本件マンションが「1の建築物」でないと主張する。 イしかし,本件では,本件マンションが全体として「1の建築物」といい得るかどうかということが問題であるから,共用廊下自体が「主要構造部」や「構造耐力上主要な部分」に該当しないことをもって,直ちに「1の建築物」に該当しないということはできない。 ( )アさらに,原告らは,本件マンションとそれに隣接する駐車場等は用途上 可分の建築物であるから,建築基準法施行令1条1号に反するものであるとも主張する。 イしかし,前述のとおり,一定の共通の用途の下に,不可分一体の結合関係にある場合には,建築基準法施行令1条1号の「用途上不可分の関係にある」というべきであるところ,住宅とこれに付属する駐車場は用途上不- 58 -可分の関係にあるということができるから,本件マンションとそれに隣接する駐車場等は「用途上不可分の関係にある」というべきである。 ウしたがって,原告らの主張を採用することはできない。 ( )以上のとおり,本件マンションは,建築基準法 ら,本件マンションとそれに隣接する駐車場等は「用途上不可分の関係にある」というべきである。 ウしたがって,原告らの主張を採用することはできない。 ( )以上のとおり,本件マンションは,建築基準法施行令1条1号の「1の建 築物」であると認められ,仮に,そうでないとしても,同号の「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」であると認められ,また,本件マンションが「1の建築物」でないとの原告らの主張を採用することはできないから,その余の点について判断するまでもなく,本件各処分が同号に違反するということはできない。 争点( )について ( )原告らは,本件マンションの取付道路である市道β線に東京都建築安全条 例の規定に違反する幅員6メートル未満の道路が存在することを理由に,本件各処分が違法であると主張する。 ( )前述のとおり,東京都建築安全条例4条2項は,延べ面積が3000平方 メートルを超え,かつ,建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地は,幅員6メートル以上の道路に10メートル以上接しなければならない旨規定しているところ,これは,このような大規模な建築物にあっては,火災その他の災害が発生した場合に,避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行うことによって,当該建築物やその居住者及びこれに隣接する建築物等やその居住者等に重大な被害が及ぶことのないようにするためには幅員6メートル以上の道路に接する必要があるとの考えに基づくものと解される。 ( )そこで検討すると,原告らは,本件マンションに接する道路である市道β - 59 -線には幅員が実測すると5.83メートルの部分があり,これを理由に本件各処分が違法であると主張するが,弁論の全趣旨によれば,市道β線の道路台帳上の幅員は6メートルであることが認められ,また,証拠( 線には幅員が実測すると5.83メートルの部分があり,これを理由に本件各処分が違法であると主張するが,弁論の全趣旨によれば,市道β線の道路台帳上の幅員は6メートルであることが認められ,また,証拠(甲8)及び弁論の全趣旨によると,市道β線には幅員が5.83メートルである地点が1箇所存するということであり,当該部分は本件マンションの敷地に接している部分ではないから,本件マンションの敷地が幅員6メートル以上の道路に10メートル以上接しなければならないという東京都建築安全条例の規定に反しているとは直ちに認め難い。また,幅員が5.83メートルである地点が1箇所存することによって本件マンションに発生した火災によって避難,消火及び救助活動を迅速かつ適正に行うことができないという事態が発生し,そのために本件マンションやその居住者等及びこれに隣接する建築物等やその居住者等に重大な被害が及ぶおそれがあることも認め難い。そうすると,市道β線の一部分につき実測上の幅員が5.83メートルの部分があるとしても,そのことを理由に直ちに本件各処分が違法であるとまでいうことはできない。 争点( )について ( )原告らは,本件マンションの建築に当たり,開発許可を受けなければなら ないにもかかわらず,開発許可を受けないまま本件各処分がされたとして,本件各処分が違法であると主張する。 ( )アところで,建築基準法6条の2第1項は,指定確認検査機関が建築基準 関係規定に適合するかどうかを審査する旨規定しているところ,同法施行令9条12号は,この建築基準関係規定には,都市計画法4条12項に規- 60 -定する開発行為の許可について定める都市計画法29条1項も含まれる旨規定している。そして,建築基準法施行規則1条の3第9項は,建築確認の申請に係る建築物の敷地 都市計画法4条12項に規- 60 -定する開発行為の許可について定める都市計画法29条1項も含まれる旨規定している。そして,建築基準法施行規則1条の3第9項は,建築確認の申請に係る建築物の敷地が都市計画区域内又は準都市計画区域内にある場合においては,一定の場合を除き,その計画が都市計画法29条1項等の規定に適合していることを証する書面を申請書に添えなければならない旨規定している。また,都市計画法施行規則60条は,建築基準法6条の2第1項の規定による確認済証の交付を受けようとする者は,その計画が都市計画法29条1項等の規定に適合していることを証する書面の交付を都道府県知事等に求めることができる。 イまた,都市計画法4条12項は,「開発行為」とは,「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更」をいうと規定しているところ,町田市は,「「都市計画法」の規定に基づく開発行為の許可等に関する審査基準」を策定し,「切土が1mをこえる場合,又は盛土が1mをこえる場合」には,原則として上記「形質の変更」に該当するが,「建築物の建築自体と不可分な一体の工事と認められる基礎打ち,土地の掘削等の行為」については,その対象から除外する旨規定している(甲190)。 ( )アまず,証拠(甲191ないし195)によると,本件マンションの共用 棟入り口へのアプローチ部分,F棟北側,A棟西側及びC棟南側に掘削している場所があることが認められ,原告らは,これらの掘削が開発行為に該当する旨主張する。 イしかし,証拠(甲191)及び弁論の全趣旨によれば,上記掘削は雨水- 61 -貯留槽設置のための掘削であると認められるところ,雨水貯留槽は本件マンションの建築自体と不可分な一体の工事と認められる土地の掘削ということができる 弁論の全趣旨によれば,上記掘削は雨水- 61 -貯留槽設置のための掘削であると認められるところ,雨水貯留槽は本件マンションの建築自体と不可分な一体の工事と認められる土地の掘削ということができるから,上記掘削が開発行為に該当すると直ちに認めることはできない。また,原告らは,雨水貯水槽の設置のための掘削それ自体が独立して開発行為に該当するから,都市計画法29条1項の許可が必要である旨主張しているとも解されるが,雨水貯水槽の設置のための掘削が,「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的」で行われたと認めるに足りる疎明資料はない。 ウしたがって,本件各処分が都市計画法29条1項の許可を受けていない違法な処分であるということはできない。 ( )アまた,証拠(甲197)及び弁論の全趣旨によれば,本件マンションの 敷地内に,3つのプールが存在していたことが認められるところ,原告らは,このプールを埋め立てる行為が都市計画法4条12項の「土地の形質の変更」に該当し開発行為に当たると主張する。 イしかし,証拠(甲196,197)によれば,上記プールは,その大部分が自走式駐車場の下部にあることが認められることからすると,上記プールを埋め立てる行為は,前記「建築物の建築自体と不可分な一体の工事」と認められることから,これを開発行為に当たるということはできない。 ( )アさらに,原告らは,本件マンションの敷地につき,その地目を雑種地か ら宅地に変更したことや,分筆をすることは,都市計画法4条12項の「土地の区画形質の変更」に該当し開発行為に当たると主張する。 - 62 -イしかし,「土地の区画形質の変更」とは,建築物の建築又は特定工作物の建設のための土地の区画の変更及び切土,盛土又は整地をいうものと解されるところ,単に地目の変 に当たると主張する。 - 62 -イしかし,「土地の区画形質の変更」とは,建築物の建築又は特定工作物の建設のための土地の区画の変更及び切土,盛土又は整地をいうものと解されるところ,単に地目の変更や分筆をしたことをもって,これが直ちに「土地の区画形質の変更」であるということはできない。 ( )以上のことからすると,本件において開発行為があったということはでき ず,その余の点について判断するまでもなく,本件各処分に都市計画法違反があったということはできない。 争点( )について ( )原告らは,本件マンションにつきハートビル条例10条1項5号所定の利 用円滑化経路のこう配の制限に係る規定違反があるとして,本件各処分が違法であると主張する。 ( )ところで,行政事件訴訟法10条1項は,取消訴訟において,自己の法律 上の利益に関係ない違法を理由として取消しを求めることができない旨規定しているところ,この「自己の法律上の利益に関係のない違法」とは,行政庁の処分に存する違法のうち,原告の権利利益を保護する趣旨で設けられたのではない法規に違背した違法をいうと解すべきである。 ( )そして,前述のとおり,上記利用円滑化経路のこう配の制限に係る規定が, 当該建築物の周辺の他の建築物に居住する者の個々人の個別的利益として保護しているとは考え難いから,仮に本件マンションに上記ハートビル条例違反があるとしても,原告らは,当該違法を本件各処分の取消訴訟において主張することはできないといわざるを得ない。 争点( )について - 63 -原告らは,本件各処分が建築基準法1条に違反し違法であると主張するが,同条は,同法の目的を定めた規定であり,同条に違反することを理由に直ちに本件各処分が違法であるということはできないから,原告らの主張 告らは,本件各処分が建築基準法1条に違反し違法であると主張するが,同条は,同法の目的を定めた規定であり,同条に違反することを理由に直ちに本件各処分が違法であるということはできないから,原告らの主張は失当といわざるを得ない。 第4 結論 よって,本件訴えのうち,原告P1,同P2,同P3,同P4,同P5及び同P6の請求に係る部分はいずれも不適法であるから却下し,同P7,同P8,同P9,同P10,同P11,同P12,同P13,同P14,同P15,同P16,同P17及び同P18の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部杉原則彦裁判長裁判官鈴木正紀裁判官松下貴彦裁判官
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