令和1(行ケ)10146 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年8月19日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
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判決文本文40,073 文字)

令和2年8月19日判決言渡令和元年(行ケ)第10146号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和2年7月8日判決 原告日立建機株式会社 訴訟代理人弁護士宮川美津子内田晴康関川淳子小勝有紀訴訟代理人弁理士廣中健小林奈央 被告特許庁長官 指定代理人豊田純一木村一弘石塚利恵 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求特許庁が不服2017-2496号事件について令和元年9月19日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(1) 原告は,平成27年4月1日,別紙1⑴の「商標登録を受けようとする商標」及び同⑵アの「商標の詳細な説明」の記載から特定される色彩のみからなる商標について,指定商品を第7類「油圧ショベル」として,商標登録出願(商願2015-30000号。以下「本願」という。)をした(甲21)。 ⑵ 原告は,平成28年11月17日付けで 色彩のみからなる商標について,指定商品を第7類「油圧ショベル」として,商標登録出願(商願2015-30000号。以下「本願」という。)をした(甲21)。 ⑵ 原告は,平成28年11月17日付けで拒絶査定(甲24)を受けたため,平成29年2月21日,拒絶査定不服審判を請求するとともに(甲25),本願に係る「商標の詳細な説明」に記載された色彩名を「タキシーイエロー」から別紙1⑵イの「オレンジ色」に変更する手続補正(甲69)をした(以下,手続補正後の別紙1⑴及び⑵イ記載の「油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分をオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)」とする構成からなる,色彩のみからなる商標を「本願商標」という。)。 特許庁は,上記請求を不服2017-2496号事件として審理し,令和元年9月19日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年10月1日,原告に送達された。 (3) 原告は,令和元年10月30日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,別紙審決書(写し)のとおりである。 その要旨は,本願商標は,商標法3条1項3号に該当し,かつ,同条2項の要件を具備するものではないから,商標登録を受けることができないというものである。 ⑴ 商標法3条1項3号該当性について色彩は,商品そのものやその包装はもとより,その商品の広告等においても,商品の美感や魅力の向上等のために選択されるものであって,その色彩 について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。 そして,本願商標の指定商品「 めに選択されるものであって,その色彩 について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。 そして,本願商標の指定商品「油圧ショベル」を含む建設機械を取り扱う業界において,本願商標の色彩「オレンジ色」と近似する色彩が,種々の建設機械の商品に普通に使用されている事実があることからすると,「オレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)」の色彩を「油圧ショベル」のブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトに使用する本願商標を,その指定商品について使用しても,これに接する需要者は,いわゆるコーポレートカラーとして認識するというより,むしろ,商品の美感や魅力の向上等に資するため,通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはない。 したがって,本願商標は,商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法3条1項3号に該当する。 ⑵ 商標法3条2項の要件の具備について商標法3条2項が,同条1項3号等所定の商標であっても,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品(役務)であることを認識することができるものについては,商標登録を受けることができるとする趣旨は,特定人が,当該商標を,その者の業務に係る商品(役務)の自他識別標識として,永年の間,他人に使用されることなく,独占的排他的に継続使用した実績を有する場合には,当該商品(役務)に係る取引界においては,事実上,当該商標の当該特定人による独占的使用が事実上容認されているといえるので,他の事業者にその使用の機会を開 的排他的に継続使用した実績を有する場合には,当該商品(役務)に係る取引界においては,事実上,当該商標の当該特定人による独占的使用が事実上容認されているといえるので,他の事業者にその使用の機会を開放しておく公益上の要請が乏しくなるとともに,当該商標が,自他商品(役務)識別力を獲得したことにより,商標としての機能を備えるに至ったことによるものと解される。 本願商標を付した指定商品「油圧ショベル」の使用開始時期,使用期間及び使用地域,販売台数及び市場占有率(シェア),広告宣伝の方法,回数及び内容,原告が楽天リサーチ株式会社(以下「楽天リサーチ」という。)に依頼し,建設業従事者を対象者として実施したアンケート調査(甲10の1,2)の結果に加えて,建設機械を取り扱う業界において,本願商標の色彩であるオレンジ色と近似する色彩が,種々の建設機械の商品に普通に使用されていること,原告発行の商品カタログにおいて,油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトに本願商標と同一と認められる色彩を使用していることは認められるものの,その色彩とともに,使用機種等の文字及び「HITACHI」の文字も使用されていること,建設機械の分野の商品は,油圧ショベルに限定されるものではなく,多岐にわたる商品が存在するが,アンケート調査の対象の建設業従事者が,油圧ショベルの取引者及び需要者に限定されていること等を総合的に判断すると,原告が本願商標を原告の業務に係る商品の自他識別標識として,永年の間,他人に使用されることなく,独占的排他的に継続使用した実績を有する場合に該当するとはいえないから,本願商標は,同条2項の要件を具備するとは認められない。 3 取消事由本願商標の商標法3条2項の要件の判断の誤り第 的排他的に継続使用した実績を有する場合に該当するとはいえないから,本願商標は,同条2項の要件を具備するとは認められない。 3 取消事由本願商標の商標法3条2項の要件の判断の誤り第3 当事者の主張 1 原告の主張(1) 判断基準の誤り本件審決は,本願商標の商標法3条2項該当性の判断に当たり,特定人が,商標を,その者の業務に係る商品(役務)の自他識別標識として,「永年の間,他人に使用されることなく,独占的排他的に継続使用した実績を有する場合」に該当するといえるかどうかを基準として判断した。 しかしながら,同項の趣旨は,本来であれば,自他商品の識別力を持たないとされる商標であっても,特定の事業者が当該商標をその業務に係る商品に使用した結果,当該商標から,商品の出所と特定の事業者との関連を認識することができる程度に,広く知られるに至った場合には,登録商標として保護を与えない実質的な理由に乏しいといえること,当該商標の使用によって,商品の出所であると認識された事業者による独占使用が事実上容認されている以上,他の事業者等に当該商標を使用する余地を残しておく公益的な要請は喪失したとして差し支えないことにあると解されることからすれば,「永年の間,他人に使用されることなく,独占的排他的に継続使用した実績」の有無を判断基準とした本件審決は,適切ではない。 ⑵ 需要者の認定の誤り本願商標の指定商品である「油圧ショベル」は,土砂や岩を掘削するための建設機械である「掘削機械」に分類される機械であり(甲28の1,2),主として建設工事や土木工事の現場で使用されている(甲29)。油圧ショベルの特徴として,機械前方に取り付けられるフロントアタッチメントが,ブーム,バケット及びこの2つを連結させる腕の総称であるア ,主として建設工事や土木工事の現場で使用されている(甲29)。油圧ショベルの特徴として,機械前方に取り付けられるフロントアタッチメントが,ブーム,バケット及びこの2つを連結させる腕の総称であるアームの3関節構造を有し,本体が旋回(回転)や走行を行うことができ,さらには,フロントアタッチメントの交換によって様々な作業を行うことができる多様性を有しており(甲30),これらの特徴は,他の建設機械にはない固有の特徴である。 そして,建設機械の分野の商品は多岐にわたり,需要者はそれぞれの機械の機能,用途及び必要となる免許等に応じてこれを選別し,建設機械を取り扱う業界において,各機械はそれぞれ明確に区別されていることからすると,油圧ショベルの需要者は,油圧ショベルの他の機械にない上記特徴等を需要する者であり,他の機械を含む建設機械全般の需要者とは異なるものである。 そうすると,油圧ショベルの需要者を油圧ショベル以外の機械の需要者と同一視した本件審決の認定は誤りであり,これを前提に本願商標が商標法3 条2項の要件を具備するとは認められないとした本件審決の判断は誤りである。 ⑶ 使用による識別力の獲得についての判断の誤りア商標の構成及び態様本願商標は,「油圧ショベル」のブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分を「マンセル値:0.5YR5.6/11.2」により特定される「オレンジ色」とする構成からなるものである。 本願商標の色彩は,原告の製造販売する油圧ショベルに使用されており,「タキシーイエロー」との名称で呼ばれている(甲9の1ないし4,36)。 イ使用開始時期及び使用期間原告の前身である株式会社日立製作所(以下「日立製作所」という。)は,1965年(昭和40年)に日本で初め 」との名称で呼ばれている(甲9の1ないし4,36)。 イ使用開始時期及び使用期間原告の前身である株式会社日立製作所(以下「日立製作所」という。)は,1965年(昭和40年)に日本で初めて開発した純国産油圧ショベル「UH03」(甲36)の外面の塗装として本願商標の色彩を使用した。 そして,原告は,1970年(昭和45年)10月の設立当時から,原告の主力製品の一つである「油圧ショベル」のブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分の塗装の色彩として本願商標の使用を開始し,現在まで約50年以上にわたり,原告の油圧ショベルに本願商標を継続して使用している。 また,原告は,積込み機,ホイールローダ,ロードローラ,鉱山用ダンプトラック等の油圧ショベル以外の建設機械の外面の塗装についても,本願商標の色彩を継続して使用している。 ウ使用地域,販売台数等(ア) 使用地域原告は,本願商標が使用された油圧ショベルを,北海道,東北,関東,中部,関西及び西日本(九州を含む。)の各地域に所在する事業者に対し て販売し,上記油圧ショベルは,日本全国の建設工事及び土木工事の現場で使用されている。 (イ) 販売台数原告の油圧ショベルの1974年から2018年までの年度別販売台数は,●●●●●●●●●台であり,シェア(市場占有率)は常時概ね20%である。また,2005年から2011年までの油圧ショベルの国内出荷台数のシェアは,原告を含む4社間で1~4位の順位を交替しているところ,原告の国内シェアは3位以内(2009年は首位)である。 (ウ) 建設工事等の現場油圧ショベルは,我が国において建設機械の主力機として広く普及し,そのほとんどが,原告,株式会社小松製作所( 国内シェアは3位以内(2009年は首位)である。 (ウ) 建設工事等の現場油圧ショベルは,我が国において建設機械の主力機として広く普及し,そのほとんどが,原告,株式会社小松製作所(以下「小松製作所」という。),コベルコ建機株式会社(以下「コベルコ建機」という。),キャタピラージャパン合同会社(以下「キャタピラージャパン」という。)及び住友建機株式会社(以下「住友建機」という。)の5社によって供給されている。上記5社のうち,原告の油圧ショベルのみがオレンジ色を使用している。 そして,前記(ア)及び(イ)のとおり,本願商標が使用された原告の油圧ショベルは日本全国で使用され,販売台数は多数に上り,油圧ショベル全体の市場において常時約20%のシェアを有していることからすれば,油圧ショベルの需要者及び取引者は,本願商標が使用された原告の油圧ショベルを建設工事や土木工事の現場等において,確実かつ頻繁に目にしているはずである。 エ広告宣伝の方法,回数及び内容(ア) 新聞,雑誌,ウェブ広告等の掲載原告は,遅くとも1993年から現在まで,本願商標が使用された油圧ショベルのカラー画像の広告を,少なくとも47種類以上作成し,少 なくとも26種類以上の新聞及び雑誌に継続的に掲載してきた。 また,原告は,大手建設機械レンタル会社のカタログや,建設機械関連の書籍,小冊子への広告出稿など,新聞・雑誌以外の紙媒体への広告出稿も継続的に行っている。 さらに,原告は,2019年以降,本願商標が使用された油圧ショベルのカラー画像のウェブ広告を作成し,上記ウェブ広告は,少なくとも合計300万回以上表示され,閲覧された(甲47,52)。 このほか,本願商標が使用された原告の油圧ショベルのうち,実 れた油圧ショベルのカラー画像のウェブ広告を作成し,上記ウェブ広告は,少なくとも合計300万回以上表示され,閲覧された(甲47,52)。 このほか,本願商標が使用された原告の油圧ショベルのうち,実際に市場で販売されたものの画像は,建設機械分野の専門誌の表紙にも度々取り上げられるなど広く紹介されている。 (イ) テレビCMの放映原告は,1990年9月から2016年1月までの25年以上にわたり(ただし,2001年下期から2007年上期は除く。),本願商標が使用された原告の油圧ショベルを映したテレビCMを繰り返し放映した。 本願商標が使用された原告の油圧ショベルを映したテレビCMは,1990年から2000年までの10年間に少なくとも12種類が作成された。その後,2007年10月から2014年までの間に4種類が作成され,合計475回放映された。 原告のテレビCMは,東京キー局を中心に,視聴率の高い番組において繰り返し放映されているため,広範囲かつ多数の視聴者が目にしていることが推認される。 (ウ) 広告費用1990年から2014年までの期間における年度別及び媒体別の原告の広告宣伝費は,多いときで年間15億円を優に超え,2010年から2014年においても年間4億円に近い金額が支出されている。 2016年以降は,ウェブ広告に特に力を入れていることから,広告宣 伝費の支出は低下しているものの,ウェブ広告では,油圧ショベルの需要者などに対象を絞って広告配信(ターゲティング広告)を行うことが可能となり,広告の費用対効果はより高まっている。 (エ) イベントでの展示等原告は,その主催するイベントや展示会等において,本願商標が使用された原告の油圧シ )を行うことが可能となり,広告の費用対効果はより高まっている。 (エ) イベントでの展示等原告は,その主催するイベントや展示会等において,本願商標が使用された原告の油圧ショベルを展示するなどしたほか,スポーツイベントへの協賛やスポーツ選手のスポンサーを担うことにより,本願商標と同一の色彩が原告のコーポレートカラーであることを強く印象付けさせ,その結果,本願商標が使用された油圧ショベルは原告の製品であることを油圧ショベルの需要者に対して一層認識させた。 オアンケート調査の結果(ア) 原告が2017年1月に楽天リサーチに依頼して全国の油圧ショベルの取引者及び需要者を対象者として実施した「油圧ショベルの色彩に関するアンケート調査」(以下「本件アンケート」という場合がある。甲10の1,2)の結果によれば,本願商標の画像を見て油圧ショベルのメーカーを「日立建機」(原告)と認知した件数が168件中163件で認知率97.0%,本願商標と同一の色彩の画像を見て油圧ショベルのメーカーを「日立建機」(原告)と認知した件数が193件中185件で認知率95.9%であったことからすると,アンケート回答者の合計96. 4%が本願商標又は本願商標と同一の色彩から原告を想起したことを示している。 本件アンケートの対象者は,建設機械全般の購入可能性のある者から,明らかに油圧ショベルと関連性の低い業種を除いたうえで,第三者である楽天リサーチが日本全国の建設業の就労者比に応じて当該地域毎に無作為に選定した496か所及び502か所の事業所の事業者(土木建設業,解体業者,産業廃棄物処理業者及び建設機械レンタル業者など)であ って,その抽出方法は適切であり,調査票や依頼状には正解を誘導するような情報は何ら記 02か所の事業所の事業者(土木建設業,解体業者,産業廃棄物処理業者及び建設機械レンタル業者など)であ って,その抽出方法は適切であり,調査票や依頼状には正解を誘導するような情報は何ら記載されていないから,アンケートの公平性及び中立性は十分に保たれている。 (イ) これに対し本件審決は,①建設機械の分野の商品は,油圧ショベルに限定されるものではなく,多岐にわたる商品が存在することから,建設機械の取引者及び需要者は,多数存在することが推認できる中で,本件アンケート調査の対象者が,油圧ショベルの取引者及び需要者に限定されていること,②本件アンケートに係る「調査票」に原告のみを認識して回答した建設業従事者の数が明確ではないこと,③本件アンケート調査の対象の建設業従事者及びその回答数は,いずれも,多数とはいえないことからすると,本件アンケートの調査結果が,建設機械の取引者及び需要者の実際の認識を反映しているとは直ちにはいえない旨判断した。 しかしながら,①については,本件アンケートの対象者は,土木建設業,解体業者,産業廃棄物処理業者及び建設機械レンタル業者等であって,これらの事業者は,油圧ショベルのみならず,油圧ショベル以外の建設機械を取り扱うこともあり得る。また,前記⑵のとおり,油圧ショベルとその他の建設機械は機能や用途が異なり,必ずしも需要者を共通にするものではないから,建設機械全般の取引者及び需要者における本願商標の認識度を明らかにする必要はない。 次に,②については,商標法3条2項の,「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」にいう「何人」については,その名称までを認識していることは要求されていないし,上記調査票の「以下の画像の色彩を見 た結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」にいう「何人」については,その名称までを認識していることは要求されていないし,上記調査票の「以下の画像の色彩を見て,どのメーカーの油圧ショベルかお答えください。」との質問に対する回答が「日立建機日本」,「日立」,「ヒタチ」,「HITACHI」であれば,それは,日立グループに属する油圧ショベルのメーカーである原告を指すことは自明で ある。 さらに,③については,本件アンケートが全国496ヶ所及び502ヶ所の事業所を選定し,アンケート全体の対象者数は合計998件にも及ぶこと,郵送の方法によるアンケートの回収率が33.9%及び38. 6%であることからすると,本件アンケートの対象数及び回収率は適切である。 したがって,本件審決の上記判断は誤りである。 カ本件審決の指摘する考慮事情について(ア) 原告の油圧ショベルに表示された使用機種等の文字及び「HITACHⅠ」の文字について本件審決は,原告発行の商品カタログにおいて,油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトに本願商標と同一と認められる色彩を使用していることは認められるものの,その色彩とともに,使用機種等の文字及び「HITACHI」の文字も使用されていることから,これに接する取引者,需要者は自然と商品に表示された使用機種等の文字及び「HITACHⅠ」の文字に注目する旨認定した。 しかるところ,本願商標が使用された油圧ショベルには,別紙2のような使用機種等の文字や「HITACHI」の文字が付されているが(甲2の1ないし22等),使用機種等の文字は,基本的に油圧ショベルの側面に小さな文字で記載されているため,目につきにく は,別紙2のような使用機種等の文字や「HITACHI」の文字が付されているが(甲2の1ないし22等),使用機種等の文字は,基本的に油圧ショベルの側面に小さな文字で記載されているため,目につきにくく,建設工事等の現場において,需要者が遠くから油圧ショベルを視認する際には,これらの文字に注目することはない。 また,油圧ショベルのブーム及びカウンタウエイトの部分の「HITACHⅠ」の文字も,それらの占める面積は本願商標の色彩が占める面積に比して極めて小さく,建設工事等の広い現場において本願商標よりも 注目されるものとはいえない。 さらに,原告が顧客の要望を受けて「HITACHⅠ」の文字を記載していない油圧ショベルを納品することも頻繁に行われている。 したがって,原告の油圧ショベルに付される使用機種等の文字及び「HITACHI」の文字は,本願商標に比して需要者の注目をひくものとはいえないから,本件審決の上記認定は誤りである。 (イ) 本願商標の色彩と近似した色彩の種々の建設機械の存在について本件審決は,建設機械を取り扱う業界において,本願商標の色彩であるオレンジ色と近似する色彩が,種々の建設機械の商品に普通に使用されている事実があることが,原告が本願商標を原告の業務に係る商品の自他識別標識として,永年の間,他人に使用されることなく,独占排他的に継続使用した実績を有する場合に該当するとはいえないことの考慮事情の一つとして挙げている。 しかしながら,前記⑵のとおり,本願商標の指定商品「油圧ショベル」は,他の建設機械にはない固有の特徴を有し,他の建設機械と区別されること,「油圧ショベル」の需要者と他の機械を含む建設機械全般の需要者とは異なることに照らすと,本願商標の使用による識別力の獲得について判断するに当たり,油圧ショベル を有し,他の建設機械と区別されること,「油圧ショベル」の需要者と他の機械を含む建設機械全般の需要者とは異なることに照らすと,本願商標の使用による識別力の獲得について判断するに当たり,油圧ショベル以外の建設機械に使用される色彩を考慮すること自体が誤りである。 キ原告による本願商標の独占使用が公益上適当であること油圧ショベルは,参入企業数が少なく,原告,小松製作所,コベルコ建機,キャタピラージャパン及び住友建機の5社による寡占状態が継続しているところ,上記5社はいずれも特定の単色を自らの油圧ショベルに使用し続けていること,上記5社のうち,オレンジ色を継続して油圧ショベルに使用しているのは原告1社のみであること,これらの事情は,油圧ショベルの需要者において知られていること,このような取引の実情に鑑みれば, 原告が今後もこれまでと同様に本願商標の色彩を独占したとしても,他社のデザインの選択の幅が不当に狭くなることはない。 また,色彩のみからなる商標の登録制度を導入した改正商標法(平成26年法律第36号。以下同じ。)附則5条3項は,同法施行前から,不正競争の目的でなく,色彩のみからなる商標と同一又は類似する商標を使用していた既存の使用者に対する当該商標の継続的使用権を認めており,仮に本願商標の色彩又はこれと類似する色彩を油圧ショベルに使用している事業者が原告以外に存在するとしても,当該事業者が附則5条3項の要件を満たす場合は,本願商標の登録によっても継続して当該色彩を使用することが可能であり,その業務が妨げられることにはならない。 そうすると,原告による本願商標の独占的使用を認めることは,公益的見地からみても何ら問題はない。 クまとめ以上のとおり,原告は,1970年(昭和45年)の設立以来,約50年の長期間にわたり そうすると,原告による本願商標の独占的使用を認めることは,公益的見地からみても何ら問題はない。 クまとめ以上のとおり,原告は,1970年(昭和45年)の設立以来,約50年の長期間にわたり,本願商標が使用された原告の油圧ショベルを継続して販売し,原告の油圧ショベルが全国で使用されていること,原告の油圧ショベルの販売台数が毎年数千台の高い販売台数を維持しており,そのシェアは常時概ね20%であること,原告が多いときで年間15億円に及ぶ多額の費用をかけて,原告の油圧ショベルについて新聞,雑誌,ウェブ広告等に多数のカラー広告を掲載し,本願商標が使用された原告の油圧ショベルを映したテレビCMを放映するなどの広告宣伝活動を行ってきたこと,油圧ショベルの需要者も多く来場するイベントで本願商標と同一の色彩が使用された原告の油圧ショベルを展示したり,スポーツを介して本願商標と同一の色彩が原告のコーポレートカラーであるという認知度の向上に積極的に努めてきたこと,本件アンケートの調査結果によれば,本願商標の認知率は97.0%(甲10の1),商標を付する位置の特定のない本願商標 と同一の色彩の認知率は95.9%であること(甲10の2),さらには,本願商標について原告の独占的使用を認めたとしても,公益的見地からみても問題はないこと等の事情によれば,本願商標は,本件審決時において,原告によって使用をされた結果,原告の業務に係る油圧ショベルを表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものといえるから,本願商標は自他商品識別力を獲得したものである。 したがって,本願商標は,原告によって使用をされた結果,「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するから,商標法3条2項の要件を具備する。 ⑷ 被告の主張に したがって,本願商標は,原告によって使用をされた結果,「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するから,商標法3条2項の要件を具備する。 ⑷ 被告の主張についてア被告は,①本願商標に係るオレンジ色は,その指定商品である「油圧ショベル」に関連する建設機械や農機に係る分野において,多数の事業者によって取引上普通に採択されている実情がある(乙13ないし33),②建設機械や農機の取引においては,販売店を訪れる前から予算や機種などを決定し,販売店でも建設機械の作動状況などをチェックするなど,慎重に検討した上で購入に至るものであり,その購入に当たっても,会社名や商品名等を明記した注文書や物品受領書などを介して取引が行われるのが通常である,③したがって,需要者が商品調達の際に,油圧ショベルの車体色の色彩(特にオレンジ色)のみに着目して商品の製造元や販売元を識別,選択することは通常考え難く,識別すること自体も事実上困難である旨主張する。 しかしながら,①については,本願商標の指定商品は油圧ショベルであるから,油圧ショベル以外の建設機械や農機の色彩を考慮すべき理由はない。そして,被告が挙げる個々の商品(乙13ないし33)は,油圧ショベルであるが,オレンジ色でない色が採用されているか,又は販売時の色彩が不明であるもの,オレンジ色の油圧ショベルであるが,現在販売されて いる事実を確認できないもの,油圧ショベルであるが,農業用機又は林業用機であるため,国内流通が極めて少ないもの,油圧ショベルでなく,かつ,掘削機械である油圧ショベルと用途や需要者が異なる機械であるものなどであるから,本願商標が原告の油圧ショベルを表示するものとして識別力を獲得していることの妨げになるものではない。 次に,②に つ,掘削機械である油圧ショベルと用途や需要者が異なる機械であるものなどであるから,本願商標が原告の油圧ショベルを表示するものとして識別力を獲得していることの妨げになるものではない。 次に,②については,需要者は価格や性能等の商品それ自体に関する情報について種々検討すると同時に,その出所であるメーカー名やブランドについても同様に注意を払うから,当該商品について特定の色彩が継続的に使用された結果,その色彩によって商品の出所が識別されるようになっていれば,商品の自他識別標識としての商品の色彩にも注意を払うことになるのが実情である。また,色彩が識別力を獲得するのは,需要者らが当該色彩に着目することによってではなく,その色彩が当該商品について長年使用されることによって,いわば継続的使用の結果として,当該商標に信用が化体し,本来識別力のない色彩が自他識別力を具有することによるものである。 したがって,被告の上記主張は理由がない。 イ被告は,本願商標の独占適応性に関し,油圧ショベルが用途の汎用性もあって専門の事業者が製造,販売するような商品ではなく,建設機械や農機の分野に属する広い範囲の事業者によって製造,販売されている実情があること,建設機械や農機の分野では,オレンジ色は商品の車体色の色彩として多数の事業者により採択されている実情があること,橙色(オレンジ色)はJIS安全色として規格化され,安全確保や事故防止等の観点から,何人も自由な使用ができるように開放しておくべき必要性が高い色彩であることからすると,原告に本願商標の登録を認めることは,元来自由に利用できるはずであった色彩(オレンジ色及びその近似色)の使用が阻害又は制限され,その影響は極めて深刻であり,建設機械や農機に係る分 野において,現在及び将来を含めた色彩使用の自由 自由に利用できるはずであった色彩(オレンジ色及びその近似色)の使用が阻害又は制限され,その影響は極めて深刻であり,建設機械や農機に係る分 野において,現在及び将来を含めた色彩使用の自由を著しく制限するものであるから,公益的見地から許容されるものではない旨主張する。 しかしながら,農機分野に属する事業者が油圧ショベルを製造販売することはあるものの,実際に,農業,林業及び漁業に係る業者が油圧ショベルを購入する割合は,油圧ショベル購入者全体の4.9%にすぎず(甲73の1),農機分野に属する事業者が製造販売する油圧ショベルの台数も当然少ないと考えられる。 また,油圧ショベル業界は寡占市場であり新規参入が少ないのみならず,オレンジ色が建設機械や農機に係る分野において多数の事業者により広く採択されている色彩であるとはいえない。 さらに,JISの安全色として,オレンジ色以外にも赤,黄,緑,青,赤紫といった複数の幅広い範囲の色彩が規格されており(乙10,11),そもそも油圧ショベルその他建設機械一般にJISの安全色を選択することがメーカーに義務付けられているわけではないから,JISが規格するオレンジ色以外の安全色を含む色彩を単体で又は組み合わせて使用することは依然として可能であり,原告に本願商標の登録を認めても,その色彩選択の幅が不当に制限されることにはならない。 したがって,被告の上記主張は失当である。 ⑸ 小括以上のとおり,本願商標は,商標法3条2項の要件を具備するから,これと異なる本件審決の判断は誤りである。 したがって,本件審決は,違法として取り消されるべきである。 2 被告の主張(1) 判断基準の誤りの主張に対しア本願商標に係るオレンジ色は「赤みがかった黄色。」(乙1)の色彩であ したがって,本件審決は,違法として取り消されるべきである。 2 被告の主張(1) 判断基準の誤りの主張に対しア本願商標に係るオレンジ色は「赤みがかった黄色。」(乙1)の色彩であり,例えばJISの色彩規格(乙2,3)にも例示されているような,あり ふれた色彩の一つであって,建設工事の現場で利用される「ヘルメット」,「レインスーツ」,「フェンス」,「特殊車両」,「タワークレーン」,「現場作業着」などに一般的に採択されている色彩である(乙4ないし9)。 また,オレンジ色は,本願商標の指定商品と関連する建設機械や農機に係る分野において,油圧ショベル,バックホー,ホイールローダ,ショベルローダ,キャリア,フォークリフト,クレーン車,高所作業車の車体色として,取引上普通に採択されている実情がある。 さらに,「橙」色(マンセル値:5YR 6.5/14)は,人への危害及び財物への損害を与える事故防止などを目的として公表されている「JIS安全色」(乙10ないし12)として規格化されているなど,特に建設工事などに利用される建設機械や車両との関係においては,現場における安全確保や事故防止等の観点から,何人も自由な使用ができるように開放しておくべき必要性が高い色彩であって,事故防止という機能的な側面も備える色彩であるといえる。 このように本願商標である単色のオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)は,極めて一般的に採択されている色彩の一種であるのみならず,同色又はその近似色は,その指定商品と関連する建設機械や農機に係る分野において,商品の車体色として取引上普通に採択されている実情があること,事故防止という機能的側面を備える色彩であることを踏まえると,これに接する需要者及び取引者をして,単に商品の美観又は機能を向 野において,商品の車体色として取引上普通に採択されている実情があること,事故防止という機能的側面を備える色彩であることを踏まえると,これに接する需要者及び取引者をして,単に商品の美観又は機能を向上させる目的で採択されている色彩との印象を与えるにすぎず,本来的には商品の出所を表示する目的又は機能を有するものではないから,本願商標は,商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。 したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。 イそして,商標法3条2項の趣旨に照らすと,本願商標の同項の要件の具備の有無について,原告が本願商標を原告の業務に係る商品の自他識別標識として,永年の間,他人に使用されることなく,独占排他的に継続使用した実績を有する場合に該当するかどうかを基準として判断した本件審決に誤りはない。 ⑵ 需要者の認定の誤りの主張に対し建設機械には,油圧ショベルのほかにも,機能や用途などに応じて細分化された多様な商品が含まれるとしても,それら建設機械を取り扱う業界全体としては,各種建設機器(総合建機,ミニショベル,クレーン,フォークリフトなど)に関わる業界相互の関連性は極めて密接で,市場分析においては,それらは建設機械に係る業界としてまとめて取り扱われている(甲32)。 また,本願商標の指定商品「油圧ショベル」は,ブームやアームを備えた建設機械で,これにショベル系アタッチメントを組み合わせて,土砂の掘削作業を主目的に,積み込み作業を行うことができるが,ショベル系以外にも各種アタッチメントがあり,さまざまな建設機械のベースとして使用されることも多いため(甲28の1,5葉目),汎用性をもった建設機械として,多様な分野の工事関係者が需要者層に含まれる。中でも, 外にも各種アタッチメントがあり,さまざまな建設機械のベースとして使用されることも多いため(甲28の1,5葉目),汎用性をもった建設機械として,多様な分野の工事関係者が需要者層に含まれる。中でも,小さなバケットを持つ「油圧ショベル」であるミニショベルなどは,用途や機能の汎用性もあって,建設業にとどまらず,農業や林業などにも広く利用されており(乙15ないし18,22),需要者の範囲が極めて広い。 さらに,「油圧ショベル」は,他の建設機械や農機と商品の構造や機能,需要者層などが共通することもあり,同一の営業主によって製造,販売されることも多い。 加えて,油圧ショベルを含む建設機械は,通常は,操縦を行う個人が購入するのではなく,建設工事を行う法人が業務用に購入することが多いと考えら れるから,操縦のための免許の区分に応じて,建設機械の種別毎に取引市場が分割されているということはできない。 そのため,「油圧ショベル」は,他の建設機械や農機とは独立した取引市場や業界を形成するものではなく,建設機械や農機に係る取引の実情は,業界が共通又は近接し,取引市場や需要者層が共通する「油圧ショベル」に関しても妥当するというべきである。 以上によれば,「油圧ショベル」の需要者は,他の機械を含む建設機械全般の需要者とは異なるとの原告の主張は失当である。 ⑶ 使用による識別力の獲得についての判断の誤りの主張に対しア本願商標の独創性の欠如本願商標は,オレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)の色彩(単色)のみからなる商標であり,当該色彩を表示する位置(使用態様)を特定するものの,輪郭や外縁,形状のような図形的又は立体的な要素もない,単一の色彩それ自体よりなる商標である。 本願商標の色彩は,前記⑴アのと らなる商標であり,当該色彩を表示する位置(使用態様)を特定するものの,輪郭や外縁,形状のような図形的又は立体的な要素もない,単一の色彩それ自体よりなる商標である。 本願商標の色彩は,前記⑴アのとおり,極めて一般的に採択されている色彩であって,それ自体はありふれたものである。 また,本願商標は,色彩を表示する位置を油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分に特定しているものの,いずれも商品の車体色として色彩が通常施されるような箇所にすぎないから,色彩の表示箇所としては,ありふれたものである。 したがって,本願商標は,その色彩及び使用態様に特段の創作性や特異性はなく,独創性を欠くものである。 イ建設機械等の分野における取引の実情(ア) 本願商標に係るオレンジ色は,その指定商品である「油圧ショベル」 に関連する建設機械や農機に係る分野において,多数の事業者によって取引上普通に用いられている。例えば,油圧ショベル,バックホー,ホイールローダ,ショベルローダ,キャリア,フォークリフト,クレーン車,高所作業車などの車体色として,また,商品販売のウェブサイトや店舗の看板などに表示される装飾やロゴの色彩などとして,取引上普通に採択されている実情がある(乙13ないし33)。 (イ) 建設機械や農機の取引においては,販売店を訪れる前から予算や機種などを決定し,販売店でも建設機械の作動状況などをチェックするなど,慎重に検討した上で購入に至るものであり,その購入に当たっても,会社名や商品名等を明記した注文書や物品受領書などを介して取引が行われるのが通常である(甲12の1ないし6,乙34)。 したがって,車体のロゴや商品名などに着目して取引する場合があるとしても,商品の車体色を独立し を明記した注文書や物品受領書などを介して取引が行われるのが通常である(甲12の1ないし6,乙34)。 したがって,車体のロゴや商品名などに着目して取引する場合があるとしても,商品の車体色を独立した出所識別標識として着目した上で取引を行うことは想定し難い。 (ウ) 以上を踏まえると,建設機械や農機の分野においては,オレンジ色を車体色又はその一部に採択する商品が多数存在することから,本願商標の色彩も,それらの使用例の中に埋没してしまう上,通常の取引においては,製品の機能性や信頼性などのほか,どのメーカーの商品であるか等の点も慎重に確認した上で,商品を選択し,購入すると考えられるから,需要者が商品調達の際に,車体色の色彩(特にオレンジ色)のみに着目して商品の製造元や販売元を識別,選択することは通常考え難く,識別すること自体も事実上困難でもある。 ウ本願商標の使用態様本願商標に係るオレンジ色を車体色の一部に表示する原告の「油圧ショベル」(ミニショベルを含む。)は,オレンジ色が概ね本願商標の色彩を付する位置(ブーム,アーム,バケット,それらのシリンダチューブ,車体後部。 甲2の1)に相当する部分に表示されてはいるが,必ずしもその表示態様は一定ではなく,車体前部(操縦部)にもオレンジ色を使用するもの(甲2の13,14,17,18,20,21等)もあれば,全体としては複数色の組合せ(オレンジ色と緑,オレンジ色と黒,オレンジ色と白,オレンジ色とグレーなど)とするものがあり,表示方法には幅があって,本願商標の使用態様(表示箇所)も比較的漠然としており,単色表示との印象を散漫にしている。 また,原告の油圧ショベル(ミニショベルを含む。)は,車体色の一部をオレンジ色としつつ,アーム部や車体には著名商標である「HIT 比較的漠然としており,単色表示との印象を散漫にしている。 また,原告の油圧ショベル(ミニショベルを含む。)は,車体色の一部をオレンジ色としつつ,アーム部や車体には著名商標である「HITACHI」又は「日立」などの文字が表示されているため,原告の油圧ショベル(ミニショベルを含む。)に接した需要者は,まずは,それらの文字部分に着目するのが自然である。 加えて,前記イの建設機械等の分野における取引の実情を踏まえると,原告の油圧ショベル(ミニショベルを含む。)に表示された文字とは別に,車体色が独立した出所識別標識として機能,認識される可能性は極めて低い。 したがって,原告による本願商標の使用態様及び取引の実情を考慮すれば,原告の油圧ショベル(ミニショベルを含む。)の車体部分に使用される本願商標は,独立した出所識別標識として認識される可能性は低く,需要者に対し,独立した出所識別標識であるとの印象を与えるものではない。 エ販売実績及び広告実績原告の油圧ショベル(ミニショベルを含む。)は,一定の販売実績や市場シェアを占めており,また,その広告活動も継続してされてはいるが,本願商標の使用態様及び取引の実情を踏まえると,本願商標が独立した出所識別標識として機能する可能性は極めて低いから,商品の販売実績や広告宣伝活動によって,ブランド名や製品名,その機能などの側面に係る周知性 の向上は期待できても,車体色に採択されているにすぎない本願商標の色彩に係る周知性が向上するとは直ちに考え難い。 そして,原告の取り扱う建設機械や鉱山機械(油圧ショベル(ミニショベルを含む。),ホイールローダ,ロードローラ,鉱山用ダンプトラックなど)に係るカタログや広告,テレビCM,雑誌記事,イベント及びスポンサー活動(甲2の1ないし 械や鉱山機械(油圧ショベル(ミニショベルを含む。),ホイールローダ,ロードローラ,鉱山用ダンプトラックなど)に係るカタログや広告,テレビCM,雑誌記事,イベント及びスポンサー活動(甲2の1ないし21,6の1ないし13,7の1,8の1ないし12,40の1ないし4,50の1,2,8,9,11ないし122,54の1ないし5,57ないし61)は,それぞれの記事内容や活動内容も,原告の製品やその機能の紹介にすぎないものや,油圧ショベルに言及すらしないような漠然とした広告や広報活動にすぎないから,これらの広告等に接する需要者が,原告の油圧ショベル(ミニショベルを含む。)の車体色である本願商標を出所識別標識として着目し,その知名度が向上するとは考えにくく,本願商標の色彩に係る周知効果はないか,限定的であるというべきである。 オアンケート調査の結果について(ア) 本件アンケートの調査対象者の選定は,建設業者などを無作為に抽出したリストではなく,原告の関連会社が顧客開拓のために独自に調査してリストアップしている需要者データを利用したものであるから,原告の商品への関心が高い者が抽出されているおそれがある。 また,その需要者データは,原告による複数回の選別(ホイールローダ,ダンプトラック,道路機械などの需要者,農業や酪農の業種を除く。)を経た上で,調査実施会社により抽出され,最終的には,土木建設業,解体業,産業廃棄物処理業,建設機械レンタル業に絞られているから,結果として,調査対象は,大手の建設業者やレンタル業者が中心となり,中小規模の建設業者,道路などの土木事業者,林業や農業などの従事者の認識が反映されていない。 さらに,調査対象者に含まれている建設機器レンタル事業者は,商品知識や業界事情に極めて精通した取引者側の 設業者,道路などの土木事業者,林業や農業などの従事者の認識が反映されていない。 さらに,調査対象者に含まれている建設機器レンタル事業者は,商品知識や業界事情に極めて精通した取引者側の立場にいるため,建設業者や農業従事者などの一般的な需要者の認識とは区別して取り扱うべきである。 したがって,本件アンケートは,調査対象者の選定抽出方法が偏っており,恣意的に調査対象者が選定された可能性を指摘せざるを得ない。 (イ) 本件アンケートの質問方法は,本願商標の画像又は本願商標と同一の色彩の画像を見せて「どのメーカーの油圧ショベルかをお答えください。」と極めて単純に質問するものであるところ,メーカー名を思い浮かべるか否かを事前に尋ねることなく,当該色彩が出所識別標識と認識されることを当然の前提として質問しており,回答者が特段のメーカー名を想起できなくても何らかのメーカー名を回答せざるを得ない状況になるから,憶測での回答を排除できない。 回答者が2社以上のメーカーを想起する場合でも1社のみの回答を促すような質問方法であり,原告が主張するように油圧ショベルの取引市場が5社の寡占市場であれば,2社以上想起した回答者は,その中のメーカー名(例えば,原告)が自然と選択される一方で,その他のメーカー名(ミニショベルのメーカー名を含む。)が切り捨てられ,回答として反映されない可能性が高い。 したがって,本件アンケートは,質問方法が客観的な妥当性を欠いている。 (ウ) 以上のとおり,本件アンケート調査は,調査対象者の選定手法及び質問方法が客観的な公平性を欠くものであって,本願商標の指定商品「油圧ショベル」(ミニショベルを含む。)に係る需要者の認識を正確に反映したものではないから,本願商標が,需要者の間において,原告 及び質問方法が客観的な公平性を欠くものであって,本願商標の指定商品「油圧ショベル」(ミニショベルを含む。)に係る需要者の認識を正確に反映したものではないから,本願商標が,需要者の間において,原告の業務に係る独立した出所識別標識として認識されていることを示すものではな い。 カ本願商標の独占適応性の欠如(ア) 本願商標は,別紙1のとおり,色彩(単色)のみからなるもので,使用態様(「油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分」に表示)を特定するものの,輪郭や外縁,形状のような要素もない。 そうすると,本願商標の商標登録により排他的独占権が生じ得る使用の範囲は,本願商標と同一の色彩を,その輪郭や外縁,形状,態様又は面積等を問わず,「油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分」に商標として表示(使用)することである。 (イ) 色彩は,色相,明度,彩度の3属性で分類できるもので,例えばマンセル表色系などのカラーオーダーシステムによって特定できるところ,人が視覚によって見分け,記憶できる色彩には限界があり,あいまいなカテゴリ(赤,緑,黄,青,茶,紫,オレンジ,ピンク,灰,白,黒など)により記憶されるから,本願商標とマンセル値などの値が多少異なる色彩であっても,その近似色(いわゆるオレンジ色のほか,赤みの強いオレンジ色や黄みの強いオレンジなど)は,本願商標とは,時と所を異にして接する場合,見分けることは困難である。 そして,商標の類否は,時と所を異にして比較する離隔観察を前提とするから,本願商標と類似する商標(色彩)には,ある商品につき使用した場合,時と所を異にして接する場合に記憶に基づき見分けることが困 そして,商標の類否は,時と所を異にして比較する離隔観察を前提とするから,本願商標と類似する商標(色彩)には,ある商品につき使用した場合,時と所を異にして接する場合に記憶に基づき見分けることが困難で誤認混同を生じるおそれがある,オレンジ色の近似色が含まれる。 (ウ) 本願商標の指定商品「油圧ショベル」は,ユンボ,パワーショベル,バックホー,ドラグショベル,ショベルカーなど様々な名称でも呼ばれる建設機械の一種であり,中でも小さなバケットを持つもの(バケット 容量が0.25㎥未満)はミニショベルと呼ばれ,同様の機器は建設業にとどまらず,農業や林業などにも広く利用されている。そして,油圧ショベル(ミニショベルを含む。)を製造販売する企業は,原告,小松製作所,コベルコ建機,キャタピラージャパン及び住友建機の主要5社のほか,農機大手を含む企業(ヤンマーホールディングス(以下「ヤンマー」という。),クボタ,竹内製作所など)などもあるが,それらの企業は,油圧ショベルのほかにも,建設機械(ブルドーザー,クレーン,ロードローラなど)や農機なども取り扱っている(甲32)。 このように,油圧ショベル(ミニショベルを含む。)は,用途の汎用性もあって,専門の事業者が製造販売するような商品ではなく,建設機械や農機の分野に属する広い範囲の事業者によって製造販売されている実情がある。 (エ) 以上を踏まえると,本願商標の登録適格性の判断において考慮すべき第三者の使用例は,建設機械や農機の分野におけるオレンジ色の表示全般,つまり,オレンジ色を,その輪郭や外縁,形態,態様又は面積を問わず,商品の車体色や広告などに表示する使用例である。 そして,建設機械や農機の分野では,オレンジ色は商品の車体色の色彩として多数の事業者により オレンジ色を,その輪郭や外縁,形態,態様又は面積を問わず,商品の車体色や広告などに表示する使用例である。 そして,建設機械や農機の分野では,オレンジ色は商品の車体色の色彩として多数の事業者により採択されている実情があり,橙色(オレンジ色)はJIS安全色として規格化され,安全確保や事故防止等の観点から,何人も自由な使用ができるように開放しておくべき必要性が高い色彩である。 そうすると,仮に本願商標の登録を認めると,オレンジ色について,「油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分」に相当すると判断される可能性のある使用態様における色彩使用が事実上制限されることになるから,元来自由に利用できるはずであった色彩(オレンジ色及びその近似色)の使 用が阻害又は制限される影響は極めて深刻である。 したがって,本願商標は,原告に限って独占使用を認めることは,建設機械や農機に係る分野において,現在及び将来を含めた色彩使用の自由を著しく制限するものであるから,公益的見地から許容されるものではない。 (オ) これに対し原告は,①油圧ショベルは,参入企業が少なく,5社による寡占状態が継続しているところ,これらの企業はいずれも特定の単色を自らの油圧ショベルに使用し続けており,そのうちオレンジ色を継続して油圧ショベルに使用しているのは,原告1社のみであるから,原告が今後もこれまで同様に本願商標の色彩を独占したとしても他社のデザインの選択の余地が不当に狭くなることにはならない,②不正競争の目的でない既存の使用者に対する継続的使用権もあるから,他の事業者は業務が妨げられることにはならないため,原告による本願商標の独占使用を認めることは,公益的見地からも何ら問題はな ない,②不正競争の目的でない既存の使用者に対する継続的使用権もあるから,他の事業者は業務が妨げられることにはならないため,原告による本願商標の独占使用を認めることは,公益的見地からも何ら問題はない旨主張する。 しかしながら,油圧ショベルの国内シェアだけみれば,5社が多くを占めるとしても,その他に建設機械を取り扱う分野全体としては,ミニショベルに係る国内企業(クボタ,ヤンマー,竹内製作所など)やその他の多数の国内企業のほか,欧米(ディア・アンド・カンパニー,ボルボ・カー,CNHインダストリアル,JCB)や中国(中聯重化,徐工集団,三一重工),韓国(現代重工業,斗山インフラコア)などの海外企業もあるから(甲32,34の1),原告による色彩の独占使用に関する意向が,他社から直ちに受け入れられるような市場環境にあるとは考えにくい。 また,仮に主要な事業者や取引者間で,色彩の使用に関する漠然とした棲み分けがされているとしても,国内市場への新規参入者や既存の事業者による事業拡張の可能性などをも考慮すれば,そのような状況を,特 定人に商標権を付与することで恒常的なルールとして将来にわたって確立してよいかどうかは別の問題である。 加えて,建設機械や農機に係る分野において,オレンジ色は,油圧ショベル(ミニショベルを含む。)を含む商品の車体色として,取引上普通に採択されている実情があるから,その分野の事業者の間において,本願商標の使用は原告だけができるというほどの共通認識があるとも考え難い。そして,本願商標は,自由な使用を開放しておくべき必要性は高いJIS安全色にも近い色彩であることに照らすと,仮に原告による独占使用を認めた場合,自由に利用できるはずであり,又は現に自由に利用されている色彩の使用が阻害又は制限される 放しておくべき必要性は高いJIS安全色にも近い色彩であることに照らすと,仮に原告による独占使用を認めた場合,自由に利用できるはずであり,又は現に自由に利用されている色彩の使用が阻害又は制限されるおそれがある。 次に,改正商標法附則5条3項に規定する継続的使用権は,あくまでその法律の施行時点において既に使用されている商標に蓄積された信用を保護するため,一定の条件の下に継続使用を認めるにすぎないから,仕様変更(色彩の変更)や新規参入があった場合にまで適用されるものではない。 したがって,原告の上記主張は失当である。 (4) 小括以上によれば,本願商標を車体色の一部に採用する原告の油圧ショベル(ミニショベルを含む。)の販売実績や広告実績の程度如何にかかわらず,本願商標の独創性の欠如,建設機械等の分野における取引の実情(慎重な取引,色彩のみで識別する困難さ),本願商標の使用態様(色彩が独立した出所識別標識との印象を与えないこと),本件アンケートが,調査対象者の選定手法及び質問方法に客観的な公平性を欠くもので本願商標の指定商品「油圧ショベル」(ミニショベルを含む。)に係る需要者の認識を正確に反映したものではないこと,さらには,本願商標の独占適応性の欠如を総合的に考慮すれば,本願 商標は,永年の間,原告により独占的排他的に継続使用されているものではなく,事実上,原告による独占的使用が容認されているということはできないから,原告によって使用をされた結果,需要者が原告の業務に係る商品であることを認識することができるものに該当するとはいえない。 したがって,本願商標が商標法3条2項の要件を具備しないとした本件審決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由は理由がない。 第4 当裁判所の判断 るものに該当するとはいえない。 したがって,本願商標が商標法3条2項の要件を具備しないとした本件審決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由は理由がない。 第4 当裁判所の判断 1 単一の色彩のみからなる商標と商標法3条2項について⑴ 本願商標は,別紙1⑴及び⑵イの記載から特定される色彩のみからなるものであり,油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分をオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)とする構成からなる。 このように本願商標は,単一の色彩のみからなり,その色彩を付する位置を上記部分に特定した商標である。 ⑵アところで,商標法3条1項は,自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については,次に掲げる商標を除き,商標登録を受けることができる旨を規定し,同項3号において,「その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,形状(包装の形状を含む。),生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴,数量若しくは価格」を「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」を掲げる。 同号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされる趣旨は,このような商標は,商品の産地,販売地,品質その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであり,独占適応性を欠くとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないことによ るものと解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号同54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁参照)。 しかるところ,商品の ,商標としての機能を果たし得ないことによ るものと解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号同54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁参照)。 しかるところ,商品の色彩は,商品の特性であるといえるから,同号所定の「その他の特徴」に該当するものと解される。そして,商品の色彩は,古来存在し,通常は商品のイメージや美観を高めるために適宜選択されるものであり,また,商品の色彩には自然発生的な色彩や商品の機能を確保するために必要とされるものもあることからすると,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,原則として何人も自由に選択して使用できるものとすべきであり,特に,単一の色彩のみからなる商標については,同号の上記趣旨が妥当するものと解される。 イ次に,商標法3条2項は,同条1項3号から5号までに該当する商標であっても,「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」については,商標登録を受けることができる旨を規定している。同条2項の趣旨は,同条1項3号から5号までに該当する商標であっても,特定の者が長年その業務に係る商品又は役務について使用した結果,その商標がその商品又は役務と密接に結びついて出所表示機能をもつに至ることが経験的に認められるので,このような場合には商標登録を受けることができるとしたものと解される。 そうすると,同条1項3号に該当する単一の色彩のみからなる商標が同条2項の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」に当たるというためには,当該商標が使用をされた結果,特定人の業務に係る商品又は役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至り,その使用 務であることを認識することができるもの」に当たるというためには,当該商標が使用をされた結果,特定人の業務に係る商品又は役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至り,その使用により自他商品識別力又は自他役務識別力を獲得していることが必要であり,さらに,同条1項3号の前記趣旨に鑑みると,特定人による当該商標の独占使用を認めることが公益上の見地からみても許容される事情があることを要 すると解するのが相当である。 以上を前提に,本願商標が同条2項の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するかどうかについて判断する。 2 認定事実証拠(甲1ないし3,5ないし8,10,12,13,28,30,32,34ないし37,39ないし41,43ないし45,47,48,50,52,53,54の1,54の5,55,65,乙1ないし16,21,22,36ないし38,41ないし50(枝番のあるものは枝番を含む。特に断りのない限り,以下同じ。))及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) 油圧ショベルの構造,機能,用途等についてア本願商標の指定商品「油圧ショベル」は,土砂や岩を掘削するための建設機械である「掘削機械」の一種である。油圧ショベルは,ユンボ,パワーショベル,バックホー,ドラグショベル,ショベルカーなど様々な名称で呼ばれている。油圧ショベルは,社団法人日本建設機械工業会により,統計上,6トン未満のものは「ミニショベル」として小型建設機械に,6トン以上のものは「油圧ショベル」として一般土木機械に分類されている(甲29ないし31)。 油圧ショベルは,別紙2に示すように,自走できる下部走行体と,その上で360度回転できる上部旋回体 に,6トン以上のものは「油圧ショベル」として一般土木機械に分類されている(甲29ないし31)。 油圧ショベルは,別紙2に示すように,自走できる下部走行体と,その上で360度回転できる上部旋回体を有し,機械前方に取り付けられるフロントアタッチメントが,ブーム,バケット及びこの2つを連結させる腕の総称であるアームの3関節構造を有し,本体が旋回(回転)や走行を行うことができ,さらには,フロントアタッチメントの交換によって様々な作業を行うことができる多様性を有している。 油圧ショベルは,日本国内で建設業において広く用いられているほか,その用途に汎用性があることから農業や林業にも利用されている。 イ油圧ショベル(ミニショベルを含む。)を製造販売する企業は,小松製作所,原告,コベルコ建機,キャタピラージャパン及び住友建機の5社(以下「主要5社」という場合がある。)のほか,クボタ,ヤンマー,竹内製作所等がある。これらの企業は,油圧ショベル(ミニショベルを含む。)とともに,ブルドーザー,クレーン,ロードローラ等の建設機械を製造販売し,クボタ,ヤンマー等は農機も製造販売している。 また,市場分析において,油圧ショベル(ミニショベルを含む。)は,クレーン等とまとめて,建設機械に係る業界として扱われている(甲32)。 (2) 本願商標の使用態様及び使用期間ア原告は,1970年(昭和45年)10月1日,日立製作所の建設機械製造部門が独立し,旧日立建機株式会社と合併して設立された株式会社である。 原告の前身である日立製作所は,昭和40年,油圧ショベル「UH03」の外面の塗装の色彩として,本願商標の色彩を採用した(甲36)。 原告は,その設立当時から,本願商標の色彩を油圧ショベルを始めとする各種建設機械の外面の塗装の色彩として, ,油圧ショベル「UH03」の外面の塗装の色彩として,本願商標の色彩を採用した(甲36)。 原告は,その設立当時から,本願商標の色彩を油圧ショベルを始めとする各種建設機械の外面の塗装の色彩として,現在まで継続して使用してきた。 イ原告が販売する油圧ショベルには,本願商標のオレンジ色を車体の全体に使用したもの(甲2の13,2の14,2の17,2の18,2の20,2の21,8の1,8の4ないし7,8の9ないし12,40の1),アーム部及び車体後部は本願商標のオレンジ色が採用されているが,操縦席付近や駆動部は黒色又は鼠色が採用されているもの(甲2の1ないし12,2の15,2の16,2の19,6の1,6の5ないし13,8の2,8の3,8の8,9の4,40の2),操縦席,建屋カバー及びカウンタウエイトはオレンジ色であるが,アーム,ブーム,バケットは黒色であるもの(甲3の2),アーム,ブーム,シリンダチューブは本願商標のオレンジ色が採 用されているが,操縦席や車体後部に緑色のラインが入ったもの(甲6の2ないし4)がある。 また,原告の販売する油圧ショベルの多くは,アーム部や車体後部に白抜き又は黒文字で著名商標である「HITACHI」又は「日立」の文字が付されている(甲2,3の2,6の6ないし13,8の1ないし3,8の5ないし8,8の10,8の11,40の1,2)。なお,「HITACHI」又は「日立」の文字は,顧客の要望により顧客の会社名に変えることもある。 ⑶ 本願商標が使用された油圧ショベルの販売状況ア販売地域原告は,本願商標が使用された油圧ショベルを,北海道,東北,関東,中部,関西及び西日本(九州を含む。)の各地域に所在する事業者に対して販売し,上記油圧ショベルは,日本全国で使用されている。 イ 告は,本願商標が使用された油圧ショベルを,北海道,東北,関東,中部,関西及び西日本(九州を含む。)の各地域に所在する事業者に対して販売し,上記油圧ショベルは,日本全国で使用されている。 イ販売台数及びシェア本願商標が使用された原告の油圧ショベルの1974年(昭和49年)から2018年(平成30年)までの年度別販売台数は,●●●●●●●●●台であり,1981年(昭和56年)以降のシェア(市場占有率)は概ね20%台である。 我が国における油圧ショベルのシェアは,小松製作所,原告,キャタピラージャパン,コベルコ建機及び住友建機の主要5社がほぼ独占している。 2005年(平成17年)から2011年(平成23年)までの国内出荷台数のシェアにおいて,原告は毎年3位以内に入っている。 (4) 本願商標が使用された商品の広告宣伝ア新聞,雑誌,ウェブ広告等原告は,1993年(平成5年)以降,車体の一部に本願商標の色彩を使用した油圧ショベルのカラー画像を用いた広告を,少なくとも47種類以 上作成し,これらを「日本経済新聞」,「朝日新聞」,「産経新聞」,「日刊工業新聞」,「建通新聞」,「北海道新聞」等の新聞や,「日経ビジネス」,「投資経済」,「東洋経済」,「週刊ダイヤモンド」,「週刊エコノミスト」,「日経コンストラクション」,「建設機械」等の雑誌(新聞及び雑誌の合計26種類)に継続的に掲載した。 また,原告は,大手建設機械レンタル会社のカタログや,書籍・小冊子にも,車体の一部に本願商標の色彩を使用した油圧ショベルのカラー画像を用いた広告を継続的に出稿したほか,2019年以降,本願商標の色彩を使用した油圧ショベルのカラー画像を用いたウェブ広告「ほら,見て!」を作成して,Google等の4種類のオンライン媒体に出 ー画像を用いた広告を継続的に出稿したほか,2019年以降,本願商標の色彩を使用した油圧ショベルのカラー画像を用いたウェブ広告「ほら,見て!」を作成して,Google等の4種類のオンライン媒体に出稿した。このウェブ広告は,合計で300万回以上表示された(甲52)。 イテレビCM原告は,1990年(平成2年)9月から2016年(平成28年)1月までの間(ただし,2001年(平成13年)下期から2007年(平成19年)上期を除く。),本願商標の色彩を使用した油圧ショベルのほか,本願商標の色彩を使用した積込み機,ホイールローダ,鉱山用ダンプトラックなどの建設機械を含めて,その映像が表示されるテレビCMを放映した。 ウ広告宣伝費1990年(平成2年)から2014年(平成26年)までの期間における年度別及び媒体別の原告の広告宣伝費は,多いときで年間15億円を超え,2010年(平成22年)から2014年(平成26年)においても年間4億円に近い金額が支出されている。 (5) アンケート調査の結果ア本件アンケート(「油圧ショベルの色彩に関するアンケート調査」)は,原告が,楽天リサーチに依頼して,「彩色位置を特定したオレンジ色の色彩のみの商標(本願商標)が,どの建設機械メーカーの油圧ショベルを示すも のとして認知されているかを把握する」こと(甲10の1),「(本願商標と同一の彩色である)オレンジ色の色彩のみの商標が,本願商標と同一の色彩に関し,どの建設機械メーカーの油圧ショベルを示すものとして認知されているかを把握する」こと(甲10の2)を「調査目的」として実施したものである(以下,本件アンケートのうち,甲10の1のアンケートを「本願商標に係るアンケート」と,甲10の2のアンケートを「本願商標と同一の 把握する」こと(甲10の2)を「調査目的」として実施したものである(以下,本件アンケートのうち,甲10の1のアンケートを「本願商標に係るアンケート」と,甲10の2のアンケートを「本願商標と同一の色彩に係るアンケート」という。)。 本件アンケートの概要は,①「調査対象者」は「油圧ショベルの取引者及び需要者(土木建設業,解体業者,廃棄物処理業者,建設機械レンタル会社など)」,②「対象者数」は本願商標に係るアンケートにつき「496ヶ所」,本願商標と同一の色彩に係るアンケートにつき「502ヶ所」,③「調査手法」は,「全国の油圧ショベルの取引者及び需要者の回答を得るため,郵送(ダイレクトメール)による質問票送付とし,宛先は代表者名,不明の場合は社名にて送付し,設問において回答するメーカー名は,選択式ではなく,自由記入式」とし,具体的な設問内容は「以下の画像の色彩を見て,どのメーカーの油圧ショベルかをお答えください。」,④「回収期間」は,「2017年1月13日~1月31日」,⑤「認知判断基準」は「有効回答の中で「日立建機」の他,販売会社である「日立建機日本」,「日立」,「ヒタチ」,「HITACHI」は日立建機を認知しているものと判断した。その他のメーカー名を記入したものは,認知していないもの(識別力なし)とした。」というものである。 イ本件アンケートの「調査対象者」の絞込みは,①原告は,油圧ショベル,ホイールローダ,ダンプトラック,道路機械,環境機械など原告が製造する建設機械全般を販売している日立建機日本株式会社が顧客開拓のために独自に調査してリストアップしている日本全国の需要者に係るデータ(約●●●件)から,廃業した業者や,油圧ショベルと関連性の低い,ホイールロ ーダ,ダンプトラック,道路機械,環境機械等の需要者,農業や酪農と ストアップしている日本全国の需要者に係るデータ(約●●●件)から,廃業した業者や,油圧ショベルと関連性の低い,ホイールロ ーダ,ダンプトラック,道路機械,環境機械等の需要者,農業や酪農といった土木建設業等以外の業種等の需要者を対象者から除外し,その結果,残りの需要者のデータは約●●●件となり,実施件数を約500件と設定した(甲45),②楽天リサーチは,都道府県への送付件数について,国土交通省が開催した第2回建設産業活性化会議において,一般財団法人建設経済研究所が2014年(平成26年)1月30日に発表した「建設業就業者数の将来設計」記載の2012年(平成24年)時点の地域別の就労者数に基づき,地域毎のアンケート実施件数(送付件数)を決定し,上記需要者のデータから,地域毎のアンケート実施件数になるようアンケート送付先を無作為に選定したものである(甲10の1,2)。 ウ本件アンケートの調査結果は,本願商標に係るアンケートにつき,有効回答数168通(回収率33.9%),「日立建機」と認知した件数が168件中163件で,認知率97.0%,本願商標と同一の色彩に係るアンケートにつき,有効回答数193通(回収率38.6%),「日立建機」と認知した件数が193件中185件で,認知率95.9%であった。 (6) 原告以外の事業者による油圧ショベルにおける色彩の使用状況等ア油圧ショベル(ミニショベルベルを除く。)について(ア) 油圧ショベルを販売する主要5社のうち,原告以外の4社の色彩の使用状況は,次のとおりである。 小松製作所が販売する油圧ショベルは,ブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトを黄色で,青色のロゴを採用している(甲1の3,33,35)。 キャタピラージャパンが販売する油圧 販売する油圧ショベルは,ブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトを黄色で,青色のロゴを採用している(甲1の3,33,35)。 キャタピラージャパンが販売する油圧ショベルは,ブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトを黄色で,黒地に白抜きのロゴを採用している(甲1の1,33,35)。 コベルコ建機が販売する油圧ショベルは,ブーム,アーム,バケット, シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトを水色で,白抜きのロゴを採用している(甲1の6,33,35)。 住友建機が販売する油圧ショベルは,バケット,ブーム,アーム,シリンダチューブ,カウンタウエイト及び建屋カバーを黄色で,黒いロゴを採用している(甲1の5,33,35)。また,2013年(平成25年)11月25日に発売のハイブリッドショベル(SH200HB-6)(乙42),その後継機で2017年(平成29年)10月1日発売のハイブリッドショベル(SH200HB-7)(乙43)のブーム,アーム,バケット及びシリンダチューブは,いずれも赤みがかったオレンジ色の塗装がされている。 (イ) 主要5社以外では,韓国建設機械メーカーの「DoosanInfracore」社の子会社であるボブキャット社が2014年(平成26年)5月に発売したホイール式油圧ショベル「DXシリーズ」は,ブーム,アーム,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトにオレンジ色の塗装を採用している(乙14)。 また,イワフジ工業株式会社(以下「イワフジ」という。)が2011年(平成23年)10月1日に発売した林業ベースマシン(CT-500B/BS)(乙47)及びその後継機(CT-500C/CT500CS)(乙16)は,ブーム, 以下「イワフジ」という。)が2011年(平成23年)10月1日に発売した林業ベースマシン(CT-500B/BS)(乙47)及びその後継機(CT-500C/CT500CS)(乙16)は,ブーム,アーム,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトにオレンジ色又は赤みがかったオレンジ色の塗装を採用している。 さらに,クボタが「ミニバックホー」の利点を備えた8トンクラスのバックホーとして平成18年7月1日に発売した「KX080-3」は,ブーム,アーム及びシリンダチューブにオレンジ色の塗装を採用している(乙49)。なお,クボタのウェブサイト(乙50)には,ミニバックホーのベースとなった全旋回式油圧ショベル「KH1」の写真が掲載され ているところ,「KH1」のバケット,アーム,ブーム,建屋カバー及びカウンタウエイトは,オレンジ色の色彩が採用されている。 イミニショベルについて油圧ショベルのうち6トン未満に分類されるミニショベルは,主に,ヤンマー,クボタ,竹内製作所が製造販売している。 ヤンマーの販売するミニショベルは,黄色の塗装が採用され,黒いロゴが用いられている(甲35)。 クボタの販売するミニショベルに属する「ミニバックホー」(KX-57-6E,林業モデル)のカタログ(2017年(平成29年)3月発行。 乙48)には,ブーム,アーム,カウンタウエイトにオレンジ色の塗装が採用されたものが掲載されている。また,クボタは,そのウェブサイトで,2020年(令和2年)1月15日付けで,「京都市内で開催した製品展示会において,開発中の小型建機(ミニバックホー)の試作機を公開」した旨の記事を,アーム,ブーム,シリンダチューブ及びカウンタウエイトにオレンジ色の色彩を採用したミニバックホーの写真とともに掲載した(乙21)。 中の小型建機(ミニバックホー)の試作機を公開」した旨の記事を,アーム,ブーム,シリンダチューブ及びカウンタウエイトにオレンジ色の色彩を採用したミニバックホーの写真とともに掲載した(乙21)。 3 本願商標の商標法3条2項の要件の具備について(1) 本願商標の指定商品の需要者について前記2(1)アの認定事実によれば,本願商標の指定商品である「油圧ショベル」は,砂や岩を掘削するための建設機械である「掘削機械」の一種であり,このうち,6トン未満のものは「ミニショベル」として小型建設機械に,6トン以上のものは「油圧ショベル」として一般土木機械に分類されていること,油圧ショベルは,様々な作業を行うことができる多様性を有し,その用途に汎用性があるため,建設業において広く用いられているほか,農業や林業にも利用されていることが認められる。 上記認定事実によれば,油圧ショベルの需要者には,建設業者,建設機械を 取り扱う販売業者及びリース業者のみならず,農業従事者及び林業従事者,農機及び林業機械を取り扱う販売業者等も含まれるものと認めるのが相当である。 (2) 本願商標の使用による識別力の獲得についてア本願商標の構成態様(ア) 本願商標は,別紙1(1)及び(2)イ記載のとおり,油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分をオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)とする構成からなる,色彩のみからなる商標であるところ,本願商標の色彩は,単一の色彩であり,本願商標の色彩を付する位置は,上記部分に特定されているが,上記部分の形状は,別紙1(1)に着色して示された図形の形状や輪郭のものに限定されるものではない。 本願商標の色彩名の「オレンジ色」は,一般に「赤みがかった する位置は,上記部分に特定されているが,上記部分の形状は,別紙1(1)に着色して示された図形の形状や輪郭のものに限定されるものではない。 本願商標の色彩名の「オレンジ色」は,一般に「赤みがかった黄色」と定義され(乙1),基本色の一つであること(乙37の4頁),JISの色彩規格に,慣用色名として「オレンジ色」(マンセル値:5YR6.5/13)が挙げられていること(乙2),本願商標の色彩と同じ色相が色相環に挙げられ,近似した色見本が挙げられていること(乙3)からすると,本願商標の色彩のオレンジ色は,ありふれた色彩であって,特異な色彩であるとはいえない。 また,本願商標の色彩と同系色の「橙」色(マンセル値:5YR6.5/14)は,人への危害及び財物への損害を与える事故防止・防火,健康上有害な情報並びに緊急避難を目的として規格化された「JIS安全色」の一つであり(乙10ないし12),ヘルメット(乙4),レインスーツ(乙5),サイトウェア(乙9),ガードフェンス(乙6),特殊車両(乙7),タワークレーン(乙8)にオレンジ色が使用されているように,オレンジ色は,工事現場で一般に使用されている色彩である。 さらに,オレンジ色は,黄色と赤色の中間色であって,基本色の一つであることから,オレンジ色の色彩名から観念される色の幅は広いものである上,人の視覚によって,マンセル値で特定された本願商標のオレンジ色とマンセル値の異なる同系色のオレンジ色を厳密に識別することには限界がある(乙37,38)。 (イ) 油圧ショベルは,前記2(1)アの構造を有するところ,本願商標で特定された色彩を付する位置は,油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分であり,車体色として色彩が通常施される箇所をほぼ するところ,本願商標で特定された色彩を付する位置は,油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分であり,車体色として色彩が通常施される箇所をほぼ網羅しており,色彩を付する位置としては,ありふれたものである。 (ウ) 以上によれば,本願商標の色彩及び色彩を付する位置は,いずれもありふれたものであり,本願商標の構成態様に特異性はない。 イ原告による本願商標の使用態様,油圧ショベルの販売実績及び広告宣伝(ア) 前記2(2)及び(3)の認定事実によれば,原告は,1970年(昭和45年)10月1日に設立されて以来,50年以上にわたり,本願商標又は本願商標と同一の色彩が使用された油圧ショベルを全国の事業者に対して継続して販売してきたこと,原告の油圧ショベルの1974年(昭和49年)から2018年(平成30年)までの年度別販売台数は,●●●●●●●●●台であり,1981年以降のシェア(市場占有率)は概ね20%台であって,油圧ショベルのシェアは,原告を含む主要5社がほぼ独占し,2005年(平成17年)から2011年(平成23年)までの国内出荷台数のシェアでは,原告は毎年3位以内に入っていることが認められる。 上記認定事実によれば,全国の建設工事,土木工事等の工事現場では,多くの工事関係者等が本願商標又は本願商標の色彩が使用された原告の油圧ショベルを頻繁に目にしていたものと認められ,これらの工事関係 者等は,原告の油圧ショベルにオレンジ色が使用されていることを認識したものと認められる。 他方で,前記2⑵イのとおり,原告の油圧ショベルの多くには,アーム部や車体後部に白抜き又は黒文字で著名商標である「HITACHI」又は「日立」の文字が付 を認識したものと認められる。 他方で,前記2⑵イのとおり,原告の油圧ショベルの多くには,アーム部や車体後部に白抜き又は黒文字で著名商標である「HITACHI」又は「日立」の文字が付されており,カタログにも原告の社名や「HITACHI」又は「日立」の文字の記載があることが認められ,これらの文字の表示から,原告の油圧ショベルの出所が現に認識され,又は認識され得ることも否定することはできない。 (イ) 前記2(4)の認定事実によれば,原告は,1993年(平成5年)以降,本願商標の色彩を使用した油圧ショベルのカラー画像を用いた広告を,少なくとも47種類以上作成し,これらを合計26種類の新聞及び雑誌に継続的に掲載したこと,原告は,大手建設機械レンタル会社のカタログ,書籍・小冊子に本願商標の色彩を使用した油圧ショベルのカラー画像を用いた広告を継続的に出稿したほか,本願商標の色彩を使用した油圧ショベルのカラー画像を用いたウェブ広告をGoogle等の4種類のオンライン媒体に出稿し,このウェブ広告は,合計300万回以上表示されたこと,原告は,1990年(平成2年)9月から2016年(平成28年)1月までの間にわたり,本願商標の色彩を使用した油圧ショベル,積込み機,ホイールローダ,鉱山用ダンプトラックなどの建設機械を含めて,その映像が表示されるテレビCMを放映したこと,1990年(平成2年)から2014年(平成26年)までの期間の原告の広告宣伝費は,多いときで年間15億円を超え,2010年(平成22年)から2014年(平成26年)においても年間約4億円に及んでいることが認められる。 他方で,これらの広告(テレビCMを含む。)には,いずれも原告の社名や「HITACHI」又は「日立」の文字が表示されていること(甲6, いても年間約4億円に及んでいることが認められる。 他方で,これらの広告(テレビCMを含む。)には,いずれも原告の社名や「HITACHI」又は「日立」の文字が表示されていること(甲6, 7の1,50等),原告の油圧ショベルのほか,原告の積込み機,ホイールローダ,鉱山用ダンプトラックなどに本願商標の色彩を使用した建設機械が表示されるもの(甲6の1,6の13,50の3,50の4の2,50の5ないし7,50の10,50の47ないし52,50の62ないし66,50の100,50の103ないし108,50の112ないし118,50の121,50の122,54の5),油圧ショベルのモチーフがオレンジ色をした五線譜の音符として表示されるもの(甲50の2の2,50の14,50の15,50の34,50の35,50の36),原告の油圧ショベルその他の建設機械が将棋の駒として表示されるもの(甲50の9の2,50の29,50の30,53,54の1),オレンジを背景にしたキリンのシルエットと同じシルエットの一つに油圧ショベルが表示されるもの(甲50の8の2,50の28,50の41,50の111)があることに鑑みると,これらの広告は,需要者に対して,本願商標の色彩が原告のコーポレートカラーであることを印象付けるものであるとしても,本願商標と原告の油圧ショベルとの間に強い結びつきがあることまで印象付けるものとはいえない。 (ウ) さらに,前記2(6)のとおり,本願商標の色彩と同系色であるオレンジ色をその車体の一部に使用した油圧ショベルとして,住友建機のハイブリッドショベル,ボブキャット社のDXシリーズ,イワフジの林業ベースマシン及びその後継機,クボタの「ミニバックホー」等が販売されていたことに照らすと,本件審決時において,原告が油圧ショ 建機のハイブリッドショベル,ボブキャット社のDXシリーズ,イワフジの林業ベースマシン及びその後継機,クボタの「ミニバックホー」等が販売されていたことに照らすと,本件審決時において,原告が油圧ショベル(ミニショベルを含む。)についてオレンジ色の色彩を独占的に使用していたものと認めることはできない。 (エ) 以上によれば,本願商標が使用された原告の油圧ショベルの販売実績,シェア及び広告宣伝から,本願商標又は本願商標の色彩が原告の油圧ショベルに使用されていることは,相当多くの需要者に認識されているこ とは認められるものの,他方で,本願商標は,色彩及び色彩の付する位置がありふれたものであって,その構成態様は特異なものとはいえないこと,原告の油圧ショベルの多くには,アーム部や車体後部等に著名商標である「HITACHI」又は「日立」の文字が付されており,これらの文字の表示から,原告の油圧ショベルの出所が現に認識され,又は認識され得ることも否定することはできないこと,原告による広告宣伝は,これに接した需要者に対し,本願商標と原告の油圧ショベルとの間に強い結びつきがあることまで印象付けるものとはいえないこと,原告以外の複数の事業者が本願商標の色彩と同系色であるオレンジ色をその車体の一部に使用した油圧ショベルを販売していたことを総合考慮すると,本件審決時(審決日令和元年9月19日)において,原告によって本願商標が使用をされた結果,本願商標のみが独立して,原告の業務に係る油圧ショベルを表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとまで認めることはできない。 ウ本件アンケートの調査結果について前記(1)認定のとおり,油圧ショベルの需要者は,建設業者,建設機械を取り扱う販売業者及びリース業者のみならず,農業従事者及 ことはできない。 ウ本件アンケートの調査結果について前記(1)認定のとおり,油圧ショベルの需要者は,建設業者,建設機械を取り扱う販売業者及びリース業者のみならず,農業従事者及び林業従事者,農機及び林業機械を取り扱う販売業者等が含まれるものであるが,本件アンケートは,土木建設業以外の業種等の需要者が調査対象者から除外され,農業従事者及び林業従事者等が調査対象者に含まれていないから,本件アンケートの調査結果は,油圧ショベルの需要者の一部の認識を反映したものにとどまっている。 また,前記2(5)アの認定事実によれば,本件アンケートのうち,本願商標に係るアンケートの設問は,別紙1(1)アの本願商標の画像を示した上で,「以下の画像の色彩を見て,どのメーカーの油圧ショベルかをお答えください。」というものであり,「回答するメーカー名は,選択式ではなく,自由 記入式」としているが,「回答するメーカー名」は複数であってもよいことの明記はない。他方で,前記イ(エ)のとおり,原告以外の複数の事業者が本願商標の色彩と同系色であるオレンジ色をその車体の一部に使用した油圧ショベルを販売していたことに照らすならば,「回答するメーカー名」は複数であってもよいことが明記されていないことは,本願商標に係るアンケートの調査結果(有効回答数168通(回収率33.9%),認知率97. 0%)にも,影響を及ぼすものといえる。 そうすると,本件アンケートの調査結果から認定できる需要者における本願商標の認知度は限定的であるものといわざるを得ない。 エまとめ前記アないしウによれば,本件商標が使用された原告の油圧ショベルの販売期間,販売実績,シェア及び広告宣伝から,本願商標又は本願商標の色彩が原告の油圧ショベルに使用されているこ エまとめ前記アないしウによれば,本件商標が使用された原告の油圧ショベルの販売期間,販売実績,シェア及び広告宣伝から,本願商標又は本願商標の色彩が原告の油圧ショベルに使用されていることは,相当多くの需要者に認識されていることは認められるものの,本願商標の色彩のみが独立して,原告の販売する油圧ショベルを表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものとまで認めることはできず,また,本件アンケートは,農業従事者及び林業従事者等の認識が反映されておらず,油圧ショベルの需要者の一部の認識を反映したものにとどまっており,本件アンケートの調査結果から認定できる需要者における本件商標の認知度は限定的であるものといわざる得ないことからすれば,本件アンケートの調査結果を併せ考慮しても,本件審決時(審決日令和元年9月19日)において,本願商標は,原告によって使用をされた結果,原告の業務に係る油圧ショベルを表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものとまで認めることはできないから,本願商標は,その使用により自他商品識別機能ないし自他商品識別力を獲得したものと認めることはできない。 これに反する原告の主張は採用することができない。 (3) 本願商標の独占適応性について原告は,①油圧ショベルは,参入企業数が少なく,原告,小松製作所,コベルコ建機,キャタピラージャパン及び住友建機の主要5社による寡占状態が継続しており,主要5社はいずれも特定の単色を自らの油圧ショベルに使用し,オレンジ色を継続して油圧ショベルに使用しているのは原告1社のみであり,各社が特定の単色を使用していること,原告が本願商標に係る色彩であるオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)を使用していることは,油圧ショベルの需要者に しているのは原告1社のみであり,各社が特定の単色を使用していること,原告が本願商標に係る色彩であるオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)を使用していることは,油圧ショベルの需要者においても当然知られているから,このような油圧ショベルの業界の実情に鑑みれば,原告が今後もこれまでと同様に本願商標の色彩を独占したとしても,他社のデザインの選択の余地が不当に狭くなることにはならない,②仮に現に本願商標の色彩又はこれに類似する色彩を油圧ショベルに使用している事業者が原告以外に存在するとしても,当該事業者が改正商標法附則5条3項の要件を満たす場合には,本願商標の登録によっても継続して当該色彩を使用することが可能であり,その業務が妨げられることはない旨主張する。 しかしながら,前記(1)及び(2)で説示したとおり,㋐油圧ショベルは,様々な作業を行うことができる多様性を有し,その用途に汎用性があるため,建設業において広く用いられているほか,農業や林業にも利用されており,油圧ショベルの需要者には,建設業者,建設機械を取り扱う販売業者及びリース業者のみならず,農業従事者及び林業従事者等も含まれること,㋑本願商標の色彩と同系色の「橙」色(マンセル値:5YR6.5/14)は,人への危害及び財物への損害を与える事故防止・防火,健康上有害な情報並びに緊急避難を目的として規格化された「JIS安全色」の一つであり,ヘルメット,レインスーツ,サイトウェア,ガードフェンス等にオレンジ色が使用され,オレンジ色は,工事現場で一般に使用されている色彩であること,㋒原告以外の複数の事業者が本願商標の色彩と同系色であるオレンジ色をその車体 の一部に使用した油圧ショベルを販売していたこと,㋓オレンジ色は,黄色と赤色の中間色であって,基本色の一つであるこ 告以外の複数の事業者が本願商標の色彩と同系色であるオレンジ色をその車体 の一部に使用した油圧ショベルを販売していたこと,㋓オレンジ色は,黄色と赤色の中間色であって,基本色の一つであることから,オレンジ色の色彩名から観念される色の幅は広いものである上,人の視覚によって,マンセル値で特定された本願商標のオレンジ色とマンセル値の異なる同系色のオレンジ色を厳密に識別することには限界があり,加えて,本願商標は,色彩を付する位置を特定した,単一の色彩のみからなる商標であり,色彩を付する位置の部分の形状や輪郭に限定がないため,本願商標の商標登録が認められた場合の商標権の禁止権(商標法37条)の及ぶ範囲は広いものとなることに鑑みると,原告の挙げる①及び②の事情を勘案しても,原告において油圧ショベルにおける本願商標の独占的使用を認めることは適当ではないから,①及び②の事情は,原告による本願商標の独占使用を認めることが公益上の見地からみても許容される事情に当たるものと認めることはできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (4) 小括以上によれば,本願商標は,本件審決時(審決日令和元年9月19日)において,原告による使用をされた結果,原告の業務に係る油圧ショベルを表示するものとして,需要者の間に広く認識されたものとはいえないから,本願商標はその使用により自他商品識別機能ないし自他商品識別力を獲得したものとはいえず,また,原告による本願商標の独占使用を認めることが公益上の見地からみても許容される事情があるものと認めることはできないから,商標法3条2項の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するものと認めることはできない。 したがって,これと同 ることはできないから,商標法3条2項の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するものと認めることはできない。 したがって,これと同旨の本件審決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由は理由がない。 第5 結論 以上のとおり,原告主張の取消事由は理由がなく,本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。 したがって,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官中村恭 裁判官岡山忠広 (別紙1) 本願商標 ⑴ 商標登録を受けようとする商標 ⑵ 商標の詳細な説明ア出願時商標登録を受けようとする商標(以下「商標」という。)は,色彩のみからなるものであり,油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分をタキシーイエロー(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)とする構成からなる。なお,破線は,商品の形状の一例を示したものであり,商標を構成する要素ではない。 イ手続補正後商標登録を受けようとする商標(以下「商標」という。)は,色彩のみからなるものであり,油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分をオレンジ色(マンセル値:0. 5YR5.6/11.2)とする構成からなる。なお,破線は,商品の形状の一例を示したものであり,商標を構成する要素ではない。 (別紙2) ウエイトの部分をオレンジ色(マンセル値:0. 5YR5.6/11.2)とする構成からなる。なお,破線は,商品の形状の一例を示したものであり,商標を構成する要素ではない。 (別紙2) 原告の油圧ショベル (甲1の12抜粋。青枠吹き出し追加) 「ブームに『HITACHI』の文字」「カウンタウエイト部分に『HITACHI』の文字」「建屋カバーに使用機種等の文字」

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