平成19(行コ)171 誤納金返還等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第126号)

裁判年月日・裁判所
平成20年3月12日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文31,116 文字)

- 1 -主文 本件各控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴の趣旨(1)原判決を取り消す。 (2)被控訴人の各請求をいずれも棄却する。 (3)訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 控訴の趣旨に対する答弁主文と同旨。 第2事案の概要 被控訴人は,平成11年12月3日付けで,アメリカ合衆国所在の子会社である米国P1銀行との間で,米国P1銀行が被控訴人の代理人として米国債又はドイツ国債の売買及び再売買取引(RepurchaseTransaction。以下「レポ取引」という。なお,レポ取引は,有価証券取引の一類型であり,一般的には,当初売買する有価証券と同種・同量の有価証券を将来一定価格で再売買するとの条件の下で,当該有価証券を売買し,その後に当該有価証券と同種・同量の有価証券を当該一定価格で再売買する取引をいい,本件においても,上記の意味で使用されている。)を行うことを内容とする契約(以下「本件代理契約」という。)を締結し(乙1),米国P1銀行を代理人として,外国法人である各取引先との間でレポ取引を行った。 控訴人麹町税務署長は,被控訴人が米国P1銀行を代理人として,外国法人である各取引先との間で平成11年12月から平成13年6月まで行った各レポ取引(以下「本件各レポ取引」という。)において,同各取引先から受け入れた金額と交付した金額との差額(以下「本件各レポ差額」という。)につき,- 2 -同各取引先に対して支払った本件各レポ差額が所得税法(平成14年法律第15号による改正前のもの。特に断らない限り以下同じ。)161条6号の「国内において業務を行なう者に対する貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」に該当し,同法 額が所得税法(平成14年法律第15号による改正前のもの。特に断らない限り以下同じ。)161条6号の「国内において業務を行なう者に対する貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」に該当し,同法6条,212条1項,2項に基づき,被控訴人には当該差額に係る所得税を源泉徴収し,納付する義務があるとして,平成14年8月30日付けで上記各取引に係る源泉徴収による所得税の各納税告知処分(合計90億2576万7893円)及び各不納付加算税賦課決定処分(合計9億0256万8000円)を行った(甲1。以下,上記各処分を併せて,「本件各処分」という。)。 本件は,被控訴人において,本件各処分に基づく金員(平成14年8月30日に納付した本件各処分に係る源泉所得税及び不納付加算税の合計99億2833万5893円,同年9月30日に納付した延滞税3億9945万9400円及び平成15年4月30日に納付した源泉所得税5億0143万1402円の合計108億2922万6695円)を納付したものの,本件各レポ差額は同法161条6号に該当せず,同法6条,212条1項,2項の源泉徴収義務がなく,また,同各処分が憲法84条及び同法14条に反する違法,違憲な処分であるから,上記納付した金員は法律上の原因に基づかない納付であるとして,控訴人国に対し,上記納付した金員(108億2922万6695円)のうち,既に還付された45億1288万4022円を除いた63億1634万2673円の返還及び還付加算金(その具体的な内容は原判決34頁記載のとおり)の支払を求めるとともに,控訴人麹町税務署長に対し本件各処分(ただし,上記各納税告知処分については,被控訴人が還付を受けた額を超える部分)の取消しを求めた事案である。 本件における争点は,まず,①本件各レポ差額が所得税法161条6号の「貸 対し本件各処分(ただし,上記各納税告知処分については,被控訴人が還付を受けた額を超える部分)の取消しを求めた事案である。 本件における争点は,まず,①本件各レポ差額が所得税法161条6号の「貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」に該当するか否かであり,控訴人らは,「貸付金(これに準ずるものを含む。)」はいわゆる固有概念で- 3 -あるから,その意義については,所得税法283条1項,租税特別措置法42条の2等の規定を考慮して,私法上の性質に左右されることなく,租税法規の趣旨・目的に照らし,その経済的実質に着目してその意義を租税法独自の見地から解釈しなければならないものであって,債務者に対して信用を供与する目的で弁済期日まで一定期間が設けられた金銭債権であり,その金銭債権から果実(利子ないし利息)が発生し得る元本債権をいうから,本件各レポ差額は「利子」に該当すると主張したのに対し,被控訴人は,上記「貸付金」は私法上の貸付金という概念を租税法に借用した概念であって,金銭消費貸借契約に基づく貸金を指し,「貸付金(これに準ずるものを含む。)」とは金銭消費貸借の対象金銭(若しくはその前提となる債権)又は準消費貸借など金銭消費貸借と同様若しくは類似の法律関係の目的である金銭(若しくはその前提となる債権)に限られるから,本件各レポ差額は「利子」には該当しないと主張した。 その他の争点は,②本件各レポ差額の支払につき,被控訴人が所得税法212条1項,2項の「支払をする者」に該当するか否か,③被控訴人P2支店及び米国P1銀行が被控訴人の恒久的施設に該当するか否か,④不納付加算税賦課決定処分について,国税通則法67条1項ただし書の「正当な理由があると認められる場合」に該当する事由があるか否かである。 原審は,争点①について,所得税法1 に該当するか否か,④不納付加算税賦課決定処分について,国税通則法67条1項ただし書の「正当な理由があると認められる場合」に該当する事由があるか否かである。 原審は,争点①について,所得税法161条6号の「貸付金(これに準ずるものを含む。)」は,消費貸借契約に基づく貸付債権以外の債権を含む趣旨で規定されたものであると解するのが相当であり,同号の「貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」は,消費貸借契約に基づく貸付債権を基本としつつ,その性質,内容等がこれとおおむね同様ないし類似の債権の利子ということができ,原因となる法律行為の法形式のみからその適用の有無を判断できるものではない(この点において,被控訴人の主張は採用できない。)が,他方,社会通念上,私法上の消費貸借契約における貸付債権とその性質,内容等がおおむね同様ないし類似するか否かが問題となり,その法形式等を全く考慮- 4 -することなく,経済的効果のみに着目して判断することもできない(この点において,控訴人らの主張も採用できない。)とした上で,本件各レポ取引の基本契約(以下「本件各基本契約」という。)の沿革及びその内容からすれば,本件各基本契約は,倒産隔離を果たすため,契約条項において売買及び再売買により構成されることを明確に定めたものであって,他方,金融的取引の側面があり,それを示唆するかのような条項の存在によっても,その法的性質を変容させるまでのものとはいえず,本件各レポ取引は,売買・再売買を一つの契約で実行する複合的な性格を有する契約であると解するのが相当であり,本件各レポ取引において,買主が再売買(以下「エンド取引」という。)において有する再譲渡価格相当額の代金債権は,あくまでエンド取引時において,売主(被控訴人又は米国P1銀行)に対して対象債券と同種・同量 各レポ取引において,買主が再売買(以下「エンド取引」という。)において有する再譲渡価格相当額の代金債権は,あくまでエンド取引時において,売主(被控訴人又は米国P1銀行)に対して対象債券と同種・同量の債券を移転することと引換えに再譲渡価格相当額の代金の支払を請求する権利を意味するものであって,本件各レポ取引のエンド取引における売買代金債権が消費貸借契約における貸付債権とその性質,内容等がおおむね同様ないし類似するとはいえないから,本件各レポ差額は所得税法161条6号の「貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」に該当するとはいえず,したがって,被控訴人が本件各レポ差額に係る所得について源泉所得税の徴収義務を負うとの判断を前提としてされた本件各処分は,その余の点について判断するまでもなく違法であるとして,被控訴人の各請求をいずれも認容したので,控訴人らが不服を申し立てた。 そのほかの事案の概要は,次のとおり訂正し,又は付加するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第2事案の概要等」に記載のとおりであるから,これをここに引用する。 (1)原判決10頁8行目の「平成11年12月4日から」を「平成11年12月14日から」に,同12頁10行目の「係る現金」を「かかる現金」にそれぞれ改める。 - 5 -(2)原判決15頁22行目末尾の次に行を改めて,次のとおり加える。 「(d)非債務不履行当事者が本条第(a)項にいう選択権を行使し,又は行使したものとみなされる場合,非債務不履行当事者は,債務不履行当事者に対する事前通知を行うことなく,次の各号の処置を行うことができる。 (Ⅰ) 債務不履行当事者が売主である本件取引に関して,(A)確立した市場において(又はそれ以外の商業的に合理的な方法により),非債務不履行当事者が合理的に満足すると考え 処置を行うことができる。 (Ⅰ) 債務不履行当事者が売主である本件取引に関して,(A)確立した市場において(又はそれ以外の商業的に合理的な方法により),非債務不履行当事者が合理的に満足すると考える単一又は複数の価格により,かかる本件取引の対象である購入有価証券の一部又は全部を売却し,その代金を,本契約に基づき債務不履行当事者が負担する未払の買戻価格の合計及びその他の金額に充当するか,又は,(B)その独自の裁量により,かかる購入有価証券の全部又は一部の売却に代えて,当該購入有価証券について,その一般に認められた情報源から入手したかかる日の価格,若しくはかかる情報源による直近の最終呼び値に相当する額により,本契約に基づき債務不履行当事者が負担する未払の買戻価格の合計及びその他の金額に対して,債務不履行当事者のために貸記することを選択することができる。 (Ⅱ)債務不履行当事者が買主である本件取引に関して,(A)確立した市場において(又はそれ以外に商業的に合理的な方法により),非債務不履行当事者が合理的に満足すると考える単一又は複数の価格により,債務不履行当事者により,非債務不履行当事者に対して本契約の要求するところに従った交付がされていない購入有価証券と同種,同額の証券(以下『代替有価証券』という。)を直ちに購入するか,又は,(B)その独自の裁量により,代替有価証券の購入に代えて,その一般に認められた情報源から入手したかかる日の価格,若しくはかかる情報源による直近の最終売り呼び値に相当する額により,代替有価証券- 6 -を購入したとみなすことを選択することができる。 当事者は,別段の定めがある場合を除くほか,(1)本契約に基づく本件取引の対象となる有価証券が確立した市場で取引される証券であり,(2)いずれかの有価証券の価格又は買い呼 とを選択することができる。 当事者は,別段の定めがある場合を除くほか,(1)本契約に基づく本件取引の対象となる有価証券が確立した市場で取引される証券であり,(2)いずれかの有価証券の価格又は買い呼び値若しくは売り呼び値に関する一般に認められた情報源がない場合,非債務不履行当事者がその独自の裁量によりかかる情報源を設定することができ,かつ,(3)すべての価格,買い呼び値及び売り呼び値が,経過収入金と併せて決定されること(ただし,関連する有価証券に関する市場慣行と相反する場合を除く。)を,確認し,合意する。 (e)債務不履行当事者が買主である本件取引に関して,債務不履行当事者は,非債務不履行当事者が代替有価証券に対して支払った(又は支払ったとみなされる)価格が,それにより代替された購入有価証券の買戻価格を上回る部分,及び,本契約第5条又は他の条項に基づき債務不履行当事者が支払うべき金額について,非債務不履行当事者に対して責任を負うものとする。 (f)本条の目的上,債務不履行当事者が買主である本契約に基づく各本件取引の買戻価格は,非債務不履行当事者による本条第(a)項にいう選択権の行使又はみなし行使の日において決定されたかかる本件取引の買戻価格を超えて増額することはないものとする。 (g)債務不履行当事者は,(Ⅰ)債務不履行事由に関係又は起因して非債務不履行当事者が負担したすべての合理的な弁護士費用又はその他の費用,(Ⅱ)代替取引の締結及び債務不履行事由に関係又は起因するヘッジ取引の締結又は終了にかかる費用(報酬,経費及び手数料のすべてを含む。)に相当する額の損害,並びに(Ⅲ)債務不履行事由の発生を直接の原因とする,本件取引に関するその他の損失,損害,費用又は経費について,非債務不履行当事者に対して責任を負うものとする。 - 7 - む。)に相当する額の損害,並びに(Ⅲ)債務不履行事由の発生を直接の原因とする,本件取引に関するその他の損失,損害,費用又は経費について,非債務不履行当事者に対して責任を負うものとする。 - 7 -(h)適用ある法律により許容される範囲で,債務不履行当事者は,本契約に基づき債務不履行当事者が負担する金額に対する,本契約に基づき債務不履行当事者がかかる金額について責任を負うこととなった日から,(Ⅰ)債務不履行当事者による全額の支払又は(Ⅱ)本契約に基づく非債務不履行当事者の権利行使による全額の充当がされるまでの期間の利息について,非債務不履行当事者に対して責任を負うものとする。債務不履行当事者が非債務不履行当事者に支払うべき金額に対する本項に基づく利息は,当該本件取引のプライシングレート又はプライムレートのうち高い方に相当する利率によるものとする。 (i)非債務不履行当事者は,本契約に基づく権利に加え,その他の契約又は適用ある法律に基づき別途行使可能な権利を有するものとする。」(3)原判決16頁5行目の「(乙3)」を「(甲10)」に,同18頁7行目の「債権銘柄」を「債券銘柄」にそれぞれ改める。(4)原判決20頁19行目末尾の次に行を改めて,次のとおり加える。 「ア控訴人らの補充主張(ア)本件各レポ取引が行われた後の平成14年度税制改正(平成14年法律第15号)により設けられた租税特別措置法(以下『措置法』という。)42条の2第1項柱書は,『外国金融機関等が,……所得税法第161条第6号に掲げる国内源泉所得の基因となる次に掲げる債券の買戻又は売戻条件付売買取引として政令で定めるもの(括弧内省略)につき,特定金融機関等から同号に掲げる利子の支払を受ける場合には,その支払を受ける利子(括弧内省略)については,所得税を課さない。 の買戻又は売戻条件付売買取引として政令で定めるもの(括弧内省略)につき,特定金融機関等から同号に掲げる利子の支払を受ける場合には,その支払を受ける利子(括弧内省略)については,所得税を課さない。』と規定し,上記規定の委任を受けた租税特別措置法施行令27条の2第1項は,『法第42条の2第1項に規定する政令で定める債券の買戻又は売戻条件付売買取引は,債券をあらかじめ約定した期日にあらかじめ約定した価格で(括弧内省略)買い戻し,又は- 8 -売り戻すことを約定して譲渡し,又は購入し,かつ,当該約定に基づき当該債券を買い戻し,又は売り戻す取引とする。』と規定している。 措置法42条の2は,次のとおり,所得税法の特例として所得税を課さないことを定めた創設的な規定である。 a措置法は,その名称からも明らかなとおり,租税特別措置を定めた法律であり,租税特別措置とは,担税力その他の点で同様の状況にあるにもかかわらず,何らかの政策目的の実現のために,特定の要件に該当する場合に,税負担を軽減しあるいは加重することを内容とする措置のことであり(乙58),措置法の規定は,所得税法等の個別租税法の規定に対し,当該規定をそのまま適用した場合よりも税負担を軽減し又は加重するという修正を加える特例(特に設けた例外)を定めたものである。そして,措置法42条の2第1項の規定は,同項にいう債券現先取引(レポ取引)から外国金融機関等に生じる所得(レポ差額)が所得税法161条6号に掲げる国内源泉所得に該当し,当該所得については外国法人である外国金融機関等(措置法42条の2第4項1号)にも我が国の所得税が課され(所得税法7条1項5号,178条),特定金融機関等が外国金融機関等に対しその支払をする場合には所得税の源泉徴収を要すること(同法212条1項,2項)を前提に,『 項1号)にも我が国の所得税が課され(所得税法7条1項5号,178条),特定金融機関等が外国金融機関等に対しその支払をする場合には所得税の源泉徴収を要すること(同法212条1項,2項)を前提に,『所得税法の特例』として,当該所得について創設的に『所得税を課さない』こととしたものである。 b措置法42条の2第1項は適用対象期間を限定した限時的な立法であるが,仮に,同項に規定する債券現先取引(レポ取引)から外国金融機関等に生じた所得(レポ差額)が所得税法161条6号に掲げる国内源泉所得に該当せず,措置法42条の2第1項がもともと非課税であることを確認した規定にすぎないというのであれば,- 9 -一定の期間中に開始された債券現先取引のみをその適用対象とする意味はなく,また,改めてその期間を延長する必要もないことは明らかであるから,この点からも,同項は,外国金融機関等に支払われるレポ差額に所得税が課され,源泉徴収の対象となることを前提に,当該レポ差額について創設的に所得税を課さないこととしたものであることが裏付けられる。 c措置法42条の2においては,非課税適用申告書等の提出が同条1項の非課税規定の適用を受けるための手続要件とされている(5,8項)が,仮に,措置法42条の2第1項の規定が,所得税法上は所得税の源泉徴収義務が課されない所得について確認的に所得税を課さないとした規定であれば,上記手続要件を満たしていなくても所得税が課されず,上記のような手続要件を設けることには何の意味もないことになるから,この点からも,同項の規定は,外国金融機関等に支払われるレポ差額に所得税が課され,源泉徴収の対象となることを前提に,当該レポ差額について創設的に所得税を課さないこととしたものというべきである。 d被控訴人は,措置法69条の2の規定を挙 関等に支払われるレポ差額に所得税が課され,源泉徴収の対象となることを前提に,当該レポ差額について創設的に所得税を課さないこととしたものというべきである。 d被控訴人は,措置法69条の2の規定を挙げて,租税特別措置法で非課税が定められていることは,もともと本法で課税であったことを意味するものではなく,措置法42条の2の規定は,レポ差額等の債券現先取引から生じる差額に対する課税について,その前提として源泉徴収課税の対象となるものかどうかをあいまいにしたまま,政治的決着を図るべく,明確に源泉非課税扱いとする部分のみを明文化したものである旨主張するが,誤りである。 措置法42条の2第1項柱書の規定は,この規定が設けられるまで,一定の『債券の買戻又は売戻条件付売買取引』が『所得税法第161条第6号に掲げる国内源泉所得の基因となる』という解釈が同号につ- 10 -いて行われていることを当然の前提として立法されているものであって,仮に,租税特別措置法施行令27条の2第1項に定める『債券の買戻又は売戻条件付売買』が,『所得税法第161条第6号に掲げる国内源泉所得の基因とな』らないという解釈が同号について行われているのであれば,措置法42条の2第1項柱書の規定を適用するまでもなく,上記『債券の買戻又は売戻条件付売買取引』に係る『利子』について所得税は課せられないことになり,この規定は無用の定めをしたことに帰することになる。このような解釈は,この規定の立法者の意思に反することが明らかである。 この規定の立法担当者の解説(乙23)からも,措置法42条の2の規定を創設した立法府が,この規定を設けるまで,本件のような国際的な標準取引約款(MRA及びGMRA)に基づくレポ取引により,所得税法161条6号に規定する『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の 規定を創設した立法府が,この規定を設けるまで,本件のような国際的な標準取引約款(MRA及びGMRA)に基づくレポ取引により,所得税法161条6号に規定する『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』が生じるという解釈を採用していたことは明白であり,また,そうであるからこそ,立法府は,上記政策目的に基づいて,一定のレポ取引に限り,非課税の特例措置を講ずることとしたのである。 また,措置法42条の2による上記非課税措置の導入に先立ち,P3協会,P4協会,P5協議会及びP6協会の4団体から提出された平成11年10月付け『平成12年度税制改正に関する要望』(乙44),その後の平成12年10月付け『平成13年度税制改正に関する要望』(乙11)や金融庁作成の平成13年8月付け『税制改正要望項目』(乙24)における税制改正要望は,レポ取引による収益,すなわちレポ差額が所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』に該当し,源泉徴収の対象となることを前提とした上で,政策的観点から,税制改正によりその源泉徴収を行- 11 -わないこととするよう要望したものであり,平成14年度税制改正における措置法42条の2の非課税措置の創設は,正に以上のような税制改正要望を考慮したものであって,このことからも,この規定の立法者が,本件のような国際的な標準取引約款(MRA及びGMRA)に基づくレポ取引のレポ差額が所得税法161条6号に規定する『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』に当たるという解釈が行われていることを当然の前提として措置法42条の2を立法したことが明らかである。 原判決の判断によれば,非課税の特例措置を定めた措置法42条の2は,およそ無意味かつ無駄な規定を立法で設けたことになり,このような解釈が立法者の意思 措置法42条の2を立法したことが明らかである。 原判決の判断によれば,非課税の特例措置を定めた措置法42条の2は,およそ無意味かつ無駄な規定を立法で設けたことになり,このような解釈が立法者の意思に反することは明らかであり(乙46),しかも,原判決は,措置法42条の2の規定と所得税法161条6号の規定との関係や立法の趣旨について何ら判断を示さないまま,その立法者意思に明白に反し,レポ取引の課税関係を根底から覆す結論を導いており,法的安定性を害することも甚だしい。 (イ)所得税法施行令283条1項各号の定め及びその立法の経緯によれば,所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』には,『資産の譲渡又は役務の提供の対価に係る債権』などの売買,請負,委任,準委任,賃貸借等の多様な契約に基づいて発生する債権が含まれるのであって,これらの債権の私法上の性質,内容等が,消費貸借契約に基づく貸付債権と著しく異なることは明らかであり,このような所得税法施行令283条1項各号に掲げる債権から『利子』が生じる場合とは,当該債権について,支払の猶予や延べ払いにより,債権者から債務者に対して『信用の供与』が行われた場合であると考えられること(所得税基本通達161-18参照)からすれば,所得税法161条6号に規定する『貸付金(これに準ずるもの- 12 -を含む。)』の意義を検討するに当たっても,『信用の供与』が重要な考慮要素とされるべきである。 また,各種金融関係法規や銀行取引において,『貸付金』ないし『(金銭の)貸付け』という用語が,金銭の消費貸借の場合に限定されず,当座貸越(委任)を包含する意味に使われたり(銀行法10条1項2号参照),手形の割引(売買)を含む概念とされるなど(貸金業法2条1項,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに 借の場合に限定されず,当座貸越(委任)を包含する意味に使われたり(銀行法10条1項2号参照),手形の割引(売買)を含む概念とされるなど(貸金業法2条1項,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下『出資法』という。)7条参照),多様な契約類型を含む与信取引に広く用いられていることからすれば,所得税法161条6号に規定する『貸付金(これに準ずるものを含む。)』についても,消費貸借契約に基づく貸付債権や,その性格,内容等がこれとおおむね同様ないし類似の債権に限定される理由はなく,『信用の供与』(与信)の有無が重要な要素になるものと解すべきである。 さらに,上記のような『貸付金』ないし『(金銭の)貸付け』の用例に照らすと,所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』は,民法など私法からの借用概念ではなく,租税法上の固有概念というべきであり,私法上の性質に左右されることなく,租税法規の趣旨・目的に照らしその経済的実質に着目してその意義を解釈しなければならない。 そして,所得税法161条6号が,『消費貸借(これに準ずるものを含む。)による貸付金』などと私法上の契約類型を用いて規定することなく,『貸付金(これに準ずるものを含む。)』と規定したのは,消費貸借とは性質,内容等が異なる金融的・与信的な商取引に基づく債権から生じた利子であっても,その経済的実質に従い,同号に掲げる国内源泉所得に含まれることを確認的に明示し,ひいては課税の公平性や経済取引に対する税制の中立性を確保する趣旨であったものと- 13 -解されるから,この点からも,同号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』は,信用の供与という経済的実質に着目してその解釈を行うべきである。 他方,『貸付金(これに準ずるものを含む。)』は,信用供与の対価として この点からも,同号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』は,信用の供与という経済的実質に着目してその解釈を行うべきである。 他方,『貸付金(これに準ずるものを含む。)』は,信用供与の対価としての『利子』が生じ得る元本債権でなければならない。 したがって,所得税法161条6号にいう『貸付金(これに準ずるものを含む。)』とは,債務者に対して信用を供与する目的で弁済期日まで一定期間が設けられた金銭債権であり,その金銭債権から果実(利子ないし利息)が発生し得る元本債権をいうものと解すべきである。 原判決が,所得税法161条6号にいう『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の意義を『消費貸借契約に基づく貸付債権を基本としつつ,その性質,内容等がこれとおおむね同様ないし類似の債権』と判示したのは,狭きに失しており,同号の解釈を誤ったものである。 (ウ)原判決は,本件各レポ取引の私法上の法形式(法的性質)が『売買及び再売買』であることを唯一の根拠として,『貸付金(これに準ずるものを含む。)』該当性を否定したが,①措置法42条の2の規定は,一定の『債券の買戻又は売戻条件付売買取引』(売買及び再売買)が『所得税法第161条第6号に掲げる国内源泉所得の基因となる』という解釈が同号について行われていることを当然の前提として立法されていること,また,②所得税法施行令283条1項各号の定め及びその立法の経緯によれば,所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』には,売買,請負,委任,準委任,賃貸借等の多様な契約に基づいて発生する債権が含まれることに照らすと,本件各レポ取引の私法上の法形式が『売買及び再売買』であるということをいかに強調しても,それが『貸付金(これに準ずるもの- 14 -を含む。)』該当性を否定する根拠となり得ないこと とに照らすと,本件各レポ取引の私法上の法形式が『売買及び再売買』であるということをいかに強調しても,それが『貸付金(これに準ずるもの- 14 -を含む。)』該当性を否定する根拠となり得ないことは明白である。 そして,本件各レポ取引が,買主である外国法人において,売主である被控訴人に対し,一定期間信用を供与する取引であることは,本件各基本契約の条項に照らし,客観的に明らかというべきである。 また,企業会計審議会の平成11年1月22日付け『金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書』(乙47。平成18年8月11日付け企業会計基準第10号による改正前のもの。以下同じ。)には,『譲渡人が譲渡した金融資産を満期日前に買戻す権利及び義務を実質的に有していることにより,金融資産を担保とした金銭貸借と実質的に同様の取引がある。現先取引や債券レポ取引といわれる取引のように買戻すことにより当該取引を完結することが予め合意されている取引については,その約定が売買契約であっても支配が移転しているとは認められない。このような取引については,売買取引ではなく金融取引として処理することが必要である。』と記載されている。 さらに,上記会計基準を実務に適用する場合の指針等について,P7協会が,平成12年1月31日付けで取りまとめた会計制度委員会報告第14号『金融商品会計に関する実務指針』(乙48)においては,売買及び再売買の法形式を採るレポ取引(債券現先取引)の会計処理について,『有価証券の現先取引は金融処理するが,その場合,現先有価証券の買手は貸付けを行い,有価証券を担保受入金融資産として受領することになる。売手は借入れを行い,その担保として有価証券を差し入れることになる。』とした上で,スタート取引時に,対象債券の買主は,譲渡価格相当額を『貸付金(現先)』の勘 保受入金融資産として受領することになる。売手は借入れを行い,その担保として有価証券を差し入れることになる。』とした上で,スタート取引時に,対象債券の買主は,譲渡価格相当額を『貸付金(現先)』の勘定科目により資産に計上すべきものとされている。 このように,MRAやGMRAに基づくレポ取引が,売買及び再売買という法形式を採りながらも,経済的には信用供与を伴う金融取引- 15 -としての性格を有していることは,企業会計上の取扱い等からも明らかである上,銀行経理の実務もこれに従っており,さらに,被控訴人も本件各レポ取引を金融取引として経理処理している。 その上,レポ取引の専門家等も,MRAやGMRAに基づくレポ取引について,経済的には信用供与を件う金融取引としての性格を有していることを一致して指摘している。 そして,レポ取引から生じるレポ差額相当額の収益又は費用の所得課税上の取扱いについては,措置法42条の2の規定以外には,所得税法及び法人税法の定める所得計算の原則的規定(所得税法36条,37条,法人税法22条2項,3項)を排除する『別段の定め』が存在しないことから,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準である『金融商品に係る会計基準』等の定めに従って,益金の額(収入金額)又は損金の額(必要経費)に算入されることになる(法人税法22条2項ないし4項参照)。 レポ取引は,税法上も,売買取引ではなく,金融取引として取り扱われることが予定されている(法人税基本通達2-1-44参照)。 したがって,本件各レポ取引は,買主である外国法人が,売主である被控訴人に対し,一定期間信用を供与する取引であって,スタート取引の譲渡価格相当額に係る権利は,そこから果実(利子ないし利息)が発生し得る元本に当たるから,『貸付金(これに準ずるものを含む。)』に該当 訴人に対し,一定期間信用を供与する取引であって,スタート取引の譲渡価格相当額に係る権利は,そこから果実(利子ないし利息)が発生し得る元本に当たるから,『貸付金(これに準ずるものを含む。)』に該当する。 また,本件各レポ差額は,譲渡価格相当額の上記元本債権に対して一定の割合であるレポレートによりレポ取引期間に応じて発生する法定果実であって,エンド取引による弁済があるまでの間の譲渡価格相当額の利用可能性の対価,すなわちレポ取引期間における信用供与の対価という性質を有するものであるといえるから,所得税法161条- 16 -6号の『利子』に該当する。 イ被控訴人の補充主張(ア)原判決は,本件各レポ取引の基本契約において売買及び再売買という法形式が選択されたことに極めて重要な意味があったとし,本件レポ差額が所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』に当たるか否かの判断に当たっても,このような本件各レポ取引の法的性質を重視し,取引に金融的取引の側面が存在したとしても,その法的性質が変容されるものでないとして,源泉徴収義務を否定しており,取引当事者によって選択された私法上の法形式が仮装されたものではなく,これによる法的効果を取引当事者が真に享受する意思がある限り租税法上もこれを尊重しなければならないという,近時の複数の高裁レベルの裁判例の傾向及び有力な学説に合致するものであり,極めて正当である。 (イ)控訴人らは,所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の解釈につき,『消費貸借とは性質,内容等が異なる金融的・与信的な商取引に基づく債権から生じた利子であっても,その経済的実質に従い,同号に掲げる国内源泉所得に含まれることを確認的に明示し,ひいては課税の公平性や経済取引に対する税制の中立性 なる金融的・与信的な商取引に基づく債権から生じた利子であっても,その経済的実質に従い,同号に掲げる国内源泉所得に含まれることを確認的に明示し,ひいては課税の公平性や経済取引に対する税制の中立性を確保する趣旨であったものと解される』と主張するが,このような法解釈は根本的に誤っている。 すなわち,そもそも『経済的実質』が何を意味するのか不明である上,ある利得の経済的な性質が同一であるからといって,当事者が私法上選択した法形式を無視して課税することは,近時の複数の高裁レベルの裁判例において,租税負担の回避を目的として法形式が選択された場合ですら,許容されておらず,しかも,本件各レポ取引には租税負担回避の目的は存在しておらず(この点は,控訴人らも争ってい- 17 -ない。),当事者が正常なビジネス上の経済目的を達成するため,当該法形式による私法上の法律効果を享受するために選択した私法上の法形式を無視して課税するようなことは一層許されない。 (ウ)金融・商取引の場面において,一定期間金融を得させることで,当該期間に応じて資金提供者に一定の利益が生じること(このような経済的性質を持つ利益を便宜的に『期間利益』と呼ぶ。)はよく見られることであるが,控訴人らの主張は,『金融的』,『与信的』な商取引に基づく債権から期間に応じて生じる利益については,その『経済的実質』からみて,すべからく所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』に当たるという主張にほかならない。しかし,割引債の償還差益や金現先取引から生じる差益等に対する所得税法161条における取扱いからも明らかなとおり,このような利益(期間利益)は経済的実質からみれば『金利』,『利子』又は『利息』と呼ばれ得るものであっても,立法者は,それらが直ちに所得税法161条 税法161条における取扱いからも明らかなとおり,このような利益(期間利益)は経済的実質からみれば『金利』,『利子』又は『利息』と呼ばれ得るものであっても,立法者は,それらが直ちに所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』に該当するとしてきたわけではなく,源泉徴収課税が適当と考えられた場合には特に立法措置を行うことによって源泉徴収の対象としてきたのであるから,本件レポ差額のみ別の取扱いをする理由は全くない。 また,本件各レポ取引の場合,売買及び再売買という法形式が選択されている結果,法的に存在するのはスタート取引とエンド取引それぞれの際に発生する売買代金のみであり,法的には『元本債権に付随した利息債権に基づく所得』(甲57)が存在するわけではない。例えば,割引債の償還差益は,経済的性質は利子であっても,法的には『元本債権に付随した利息債権に基づく所得』が存在するわけではないことから所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含- 18 -む。)』の『利子』に当たらないものと解されてきたのであり,そのため,これに課税するために別途新たに規定が設けられたのである。 このように,法的に『元本債権に付随した利息債権に基づく所得』が存在しない場合の所得が,所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』に当たらないという理は本件レポ差額にも同様に当てはまる。すなわち,本件各レポ取引においては,エンド取引時には再売買の際の売買代金しか法的に存在していない。 にもかかわらず,控訴人らの主張は,これをスタート取引の売買代金額相当額とその差額(本件レポ差額)部分とに殊更に切り分け,レポ差額を『経済的実質』から『利子』であると無理に引き直し,当該『利子』に引き直した部分を源泉徴収の対象とすること スタート取引の売買代金額相当額とその差額(本件レポ差額)部分とに殊更に切り分け,レポ差額を『経済的実質』から『利子』であると無理に引き直し,当該『利子』に引き直した部分を源泉徴収の対象とすることを主張するものである。これは,前記の所得税法161条6号の確立した解釈に明白に反しており,また納税者の予測可能性を著しく害する扱いであって到底許されるものではない。 (エ)租税法規は厳格に解されなければならない。特に所得税法161条6号は源泉徴収に係る規定であり,その文言を厳格に解すべき要請は一層強い。にもかかわらず,控訴人らのように,当事者の選択した法形式を殊更に無視した上で,『信用の供与』というあいまいかつ多義的な概念を元に,取引の『経済的実質』というあいまいな概念を規範の中核に据え,上記のような不当な引き直しを行って源泉徴収義務を課すなどということは,課税範囲の外延を不明確にし,納税者の予測可能性を著しく損なう到底採り得ない解釈である。『経済的実質』論の濫用は,租税法律主義の崩壊を意味する。 (オ)控訴人らは,上記のように法的に『利子』が存在しない本件各レポ取引について,法的性質の引き直しによって『利子』を見出す合理的な正当化根拠を何ら述べず,殊更に(控訴人麹町税務署長による国- 19 -税調査の最中に立案・立法された)平成14年度税制改正に係る措置法42条の2の解釈や会計処理上の扱いを課税根拠として挙げている。 しかし,本件各レポ取引が実行された後に行われた改正である平成14年度税制改正に係る法の規定や,所得税法161条の適用の局面における原因取引に係る所得の区分の問題とは無関係な,しかも本件各レポ取引が行われた期間中に取扱いに変更があった会計処理上の扱いを,本件レポ差額の課税根拠として持ち出すことには何らの論理性もないので おける原因取引に係る所得の区分の問題とは無関係な,しかも本件各レポ取引が行われた期間中に取扱いに変更があった会計処理上の扱いを,本件レポ差額の課税根拠として持ち出すことには何らの論理性もないのであるから,控訴人らの主張は全くの誤りである。 (カ)控訴人らは,措置法42条の2は,所得税法の特例として所得税を課さないことを定めた創設的な規定であると主張するが,その根拠として主張する内容がいずれも理由がないことは次のとおりである。 a控訴人らは,措置法42条の2が,『所得税法第161条第6号に掲げる国内源泉所得の基因となる……債券の買戻又は売戻条件付売買取引として政令で定めるもの』と規定していることが,本件レポ差額につき所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』に当たると解されることの根拠となるかのように主張するが,措置法42条の2は,そもそも本件各レポ取引が行われた当時において草案すら存在していない規定であるから,本件各処分の根拠とはなり得ない上,文言上課税要件を定めた規定ではなく,『債券の買戻又は売戻条件付売買取引』から生ずる所得が課税されるか否かの課税要件を定める規定が所得税法161条6号であることをいささかも変更するものではない。控訴人らの指摘する上記箇所は,措置法42条の2の非課税規定を定めるに当たり,本法である所得税法上の条文を特定する以上の意味はなく,本件レポ差額が所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』に当たるか否かは,本法である所得税法161- 20 -条6号の解釈に委ねられていると解釈されるべきである。 控訴人らは,措置法42条の2がもともと非課税のものを対象とした規定であるとすれば無意味な規定であると主張するが,税務当局は,平成14年度税制改正前は,所 釈に委ねられていると解釈されるべきである。 控訴人らは,措置法42条の2がもともと非課税のものを対象とした規定であるとすれば無意味な規定であると主張するが,税務当局は,平成14年度税制改正前は,所得税法161条6号を正しく解釈しレポ取引に係る売買差益はこれには該当せず,同条1号に該当するものと取り扱っており,レポ取引から生じた差額に対して課税を行う意向は低く,現実に課税はされていなかったが,有価証券取引税の廃止と新現先取引の導入の決定を契機に,特に平成13年8,9月以降は,少なくともその時点では存在していなかった新現先取引に関して,新現先取引が導入されたときには所得税法161条1号に該当せず同条6号に該当するものと解し,源泉徴収の対象とするいう課税の意向を強めていたものであって,このように税務当局による現実の課税の可能性が高まって状況からみて,一定の要件を満たす債券の『売買と再売買の組合せ』につき非課税を確認する意味は十分に存在し,いわばセーフハーバー規定として規定されたものというべきである。 また,控訴人らは,旧現先取引から生じる差額についての取扱いにつき,旧現先取引の基本契約書はマージン・コール条項等が付されていないから,所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』の該当性が個別に判断されるとした上で,租税特別措置法施行令27条の2第2項2号において,一括清算条項が置かれていないことから,措置法42条の2により非課税措置の対象から除外されると主張するが,旧現先取引も,措置法42条の2が定める『債券の買戻又は売戻条件付売買取引』にほかならないから,欧米型レポ取引につき,措置法42条の2の規定を根拠に所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含- 21 -む。)』の『利子』に当たるとされるの 売戻条件付売買取引』にほかならないから,欧米型レポ取引につき,措置法42条の2の規定を根拠に所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含- 21 -む。)』の『利子』に当たるとされるのであれば,旧現先取引から生じる差額についても,例外なく所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』に当たるとされなければならないはずであるのに,控訴人らは,欧米型レポ取引から生じる差額について,措置法42条の2の規定を根拠に,所得税法161条6号には一律該当するとしながら,旧現先取引から生じる差額について個別の判断を認め,所得税法161条6号に該当しない余地を認めており,その主張は矛盾している。 b控訴人らは,措置法42条の2が限時的な規定であることをその主張の根拠としているが,措置法とそれに基づく政令は,非課税を明確化する範囲について,対象となる証券の種類等を細かく定めているため,経済取引の実情を踏まえて見直しを定期的に行う必要があると考えられ,限時的規定としていることにも不自然な点はない。 c控訴人らは,措置法42条の2において,非課税適用申告書等の提出が非課税規定の適用を受けるための手続要件とされていることもその主張の根拠としているが,被控訴人のようにセーフハーバー規定と解した場合であっても,当該セーフハーバー規定の適用を受けるために一定の手続要件が定められることは何ら異とすべきことでなく,控訴人らの主張は理由がない。 d控訴人らの主張は,被控訴人の主張に対する実質的理由を伴った反論でなく,何らの意味もない。 (キ)仮に,控訴人らの主張するように,所得税法161条6号の解釈の下で本件各処分が正当化されるなどということになれば,為替スワップ取引における差額等,現在の国際金融市場において広く行われている (キ)仮に,控訴人らの主張するように,所得税法161条6号の解釈の下で本件各処分が正当化されるなどということになれば,為替スワップ取引における差額等,現在の国際金融市場において広く行われている重要な各種金融取引で,現在は当該取引から生ずる所得に源泉徴収が不要であると当然に考えられている取引に対して,突如として課- 22 -税庁の裁量による恣意(しい)的な源泉徴収さえも容認する事態となり,それが司法判断において容認されることとなれば,国際的な金融市場において,諸外国では一般に源泉徴収課税が行われていない各種金融取引に係る所得について,日本はいつ何時源泉徴収課税を行いかねないという,予測不能かつ計量不能なリスクが存するという懸念を刻み付けることとなり,金融市場及び関係当事者への悪影響は余りに深刻である(甲74)。」第3当裁判所の判断 当裁判所も,被控訴人の各請求はいずれも理由があるから,これを認容すべきものと判断する。その理由は,次のとおり訂正し,又は付加するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第3当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これをここに引用する。 (1)原判決30頁13行目の「すなわち,」から同31頁12行目末尾までを次のとおり改める。 「a控訴人らは,本件各レポ取引にはマージン・コール条項が定められており,買主が対象債券の価格変動によるリスクを負わず,エンド取引において再譲渡価格を確実に取得できるとされていることから,本件各レポ取引は買主から被控訴人に対して一定期間信用を供与する取引であると主張する。 しかしながら,マージン・コール条項は,前記第2の2(3)ウ(ウ)のとおり,約定された再売買代金額と再売買の対象となる有価証券の現在市場価値との間に差額が生じたときに,一方当事者が,他方当事者に対し,その がら,マージン・コール条項は,前記第2の2(3)ウ(ウ)のとおり,約定された再売買代金額と再売買の対象となる有価証券の現在市場価値との間に差額が生じたときに,一方当事者が,他方当事者に対し,その差額に対応する金銭又は有価証券を差し入れることを義務づけるものであるが,相手方の再売買契約上の債務不履行によって損害を被らないようにする措置という意味では,広い意味で担保といえるとしても,売買価格変動リスクを調整し,再売買契約における目的物と代金と- 23 -の対価的均衡を維持し,エンド取引の履行を確保するための措置であって,一方が他方に与信し,その返済義務を履行するという性質のものということはできない。このことは,マージン不足の場合に買主が売主に対して差額分の現金又は有価証券の譲渡を要求できるだけでなく,マージン超過の場合に売主が買主に対して差額分の現金又は購入有価証券の譲渡を要求できる旨の条項も置かれており,売主及び買主の双方がマージン・コールの権利を有していることにも表れており,控訴人らの主張はその一方のみを取り上げて強調しているにすぎないものというべきであるから,控訴人らの上記主張を採用することはできない。 b控訴人らは,本件各レポ取引においては収入金支払条項により売主に対象債券に生じた収入金を受領する権利が留保されており,買主に対象債券の完全な所有権が移転していないことから,本件各レポ取引は買主から被控訴人に対して一定期間信用を供与する取引であると主張する。 しかしながら,収入金支払条項は,前記第2の2(3)ウ(エ)のとおり,対象証券の所持人に対して収入金が支払われた場合において,レポ取引の買主が,その収入金を受領したか否かに関係なく売主に対して当該収入金相当額を支払うことを定めているものであって,同条項の存在と対象債券の所有 所持人に対して収入金が支払われた場合において,レポ取引の買主が,その収入金を受領したか否かに関係なく売主に対して当該収入金相当額を支払うことを定めているものであって,同条項の存在と対象債券の所有権の帰属とは切り離されており,売主が対象債券についての果実収取権を失うことを前提に,一定の要件の下で,買主が売主に対して対象証券の収入金相当額を支払うことを定めたものと解することができ,債券の所有権が買主に完全に移転していることと整合するものであるから,控訴人らの上記主張は理由がない。 c控訴人らは,本件各レポ取引には担保権条項において,担保権付貸付けと評価された場合,売主は,対象債券及びその収入金をエンド取引における義務のために担保権を設定したものとみなすとされており,本件各レポ取引の本質が対象証券を担保とする与信行為であることを示して- 24 -いることから,本件各レポ取引は買主から被控訴人に対して一定期間信用を供与する取引であると主張する。 しかしながら,担保権条項は,前記第2の2(3)ウ(オ)のとおり,『当事者は,本契約に基づくすべての本件取引が売買であってローンではないことを意図している。』ことが明確にされた上で,『にもかかわらず,かかる本件取引がローンとみなされた場合』の規定として仮定的に設けられており,レポ取引がその意図した法的構成により解釈されない場合に備えて設けられた条項であって,同条項を根拠としてレポ取引自体の法的性質に影響を与えるものではないことが明らかであるから,これをもって,当事者にレポ取引がローンであるなどとする意思があったと解釈することは相当とはいえず,控訴人らの上記主張を採用することはできない。 d控訴人らは,本件各レポ取引には一括清算条項により,一方当事者に債務不履行のリスクが生じた場合にはすべての契 あったと解釈することは相当とはいえず,控訴人らの上記主張を採用することはできない。 d控訴人らは,本件各レポ取引には一括清算条項により,一方当事者に債務不履行のリスクが生じた場合にはすべての契約を一括して清算できるとされ,当事者の信用リスクを最小限に抑えることができるようになっていることから,本件各レポ取引は買主から被控訴人に対して一定期間信用を供与する取引であると主張する。 しかしながら,一括清算条項は,前記第2の2(3)ウ(ケ)のとおり,当事者間に複数存在し得るレポ取引のうち1つについてでも債務不履行があったときは,他のレポ取引の履行期も到来することを定めているが,この点は,当事者の一方の債務不履行によるリスクを最小限に抑えられることになるとしても,当事者間に複数の契約関係がある場合に,リスクを回避するため各契約において債務不履行を原因とする期限の利益の喪失特約を定めることは特段不自然なことはなく,当事者間に複数の取引関係が存在する場合に一般的にみられるものであり,一括清算条項の存在が本件各レポ取引の法的性質を判断する上で重要であるとはいえな- 25 -い。 また,当事者間に複数存在し得るレポ取引について,一方当事者が破綻した場合に,相手方当事者は全額弁済しなければならないのに,不履行当事者から破産債権等として一部の弁済しか受けられなくなるという事態を避けるために差引き計算が行われることについても,当事者間の公平及び債権債務関係の清算の便宜に資するものであって,レポ取引の法的性質とは関連がなく,本件各レポ取引を売買取引と解することとは矛盾しないものである。 そして,これらの制度については,売主の債務不履行だけでなく,買主の債務不履行の場合についての条項も置かれているから,買主から被控訴人に対して一定期間信用を供与する取引 とは矛盾しないものである。 そして,これらの制度については,売主の債務不履行だけでなく,買主の債務不履行の場合についての条項も置かれているから,買主から被控訴人に対して一定期間信用を供与する取引であるなどとして,その一方のみを強調することも相当とはいえないものであって,いずれの点からみても,控訴人らの上記主張を採用することはできない。 e控訴人らは,本件各レポ取引には単一契約条項が定められ,相互に約因として約定され,レポ取引が単一の取引上及び契約上の関係を構成するものとし,スタート取引とエンド取引とが一体のものとして評価されるべきであることからすれば,エンド取引に係る売買代金債権のうちスタート取引の譲渡価格相当額の部分が信用供与の対価としての利子を生じさせる元本債権に当たるというべきであることから,本件各レポ取引は買主から被控訴人に対して一定期間信用を供与する取引であると主張する。 しかしながら,単一契約条項は,前記第2の2(3)ウ(コ)のとおり,本件各基本契約に基づく同一当事者間における複数の取引について単一の取引上及び契約上の関係を構成するとすることにより,複数存在する契約関係の一つの不履行が他の契約関係においても影響することを明らかにし,倒産等の場合に,管財人によって複数存在する契約関係の一部- 26 -のみの履行を迫られること(いわゆるチェリー・ピッキング)を防止するものであって,スタート取引とエンド取引とを一体の契約として解釈することを意味する条項ではないから,これをもって本件各レポ取引が売買契約であることについて変容をもたらすものではなく,控訴人らの上記主張は理由がない。」(2)原判決32頁23行目の「同種・同量の債券の」を「同種・同量の債券を」に改め,同33頁8行目末尾の次に行を改めて,次のとおり加える。 「 らすものではなく,控訴人らの上記主張は理由がない。」(2)原判決32頁23行目の「同種・同量の債券の」を「同種・同量の債券を」に改め,同33頁8行目末尾の次に行を改めて,次のとおり加える。 「エ控訴人らは,所得税法161条6号にいう『貸付金(これに準ずるものを含む。)』とは,債務者に対して信用を供与する目的で弁済期日まで一定期間が設けられた金銭債権であり,その金銭債権から果実(利子ないし利息)が発生し得る元本債権をいうものと解すべきであるところ,本件各レポ取引は,買主である外国法人において,売主である被控訴人に対し,一定期間信用を供与する取引であることは,本件各基本契約の条項に照らし,客観的に明らかというべきであるから,本件各レポ取引は,所得税法161条6号にいう『貸付金(これに準ずるものを含む。)』に該当すると主張する。 しかしながら,そもそも所得税法161条6号にいう『貸付金(これに準ずるものを含む。)』について,債務者に対して信用を供与する目的で弁済期日まで一定期間が設けられた金銭債権であり,その金銭債権から果実(利子ないし利息)が発生し得る元本債権をいうとの控訴人らの上記主張を採用することができないことは,前記のとおりである。 そして,前記のとおり,本件各レポ取引が使用している本件各基本契約は,米国法人との間ではMRAに,英国法人との間ではGMRAにそれぞれ依拠し,取引の当事者を買主,売主として表示し,『本契約の両当事者は,随時,一方当事者が,他方当事者に対して,証券その他の資産を,買主による資金の移転と引換えに譲渡することに同意し,これと- 27 -同時に,買主が,売主に対して,かかる有価証券を,所定の日又は要求があり次第,売主による資金の移転と引換えに譲渡することに同意するところの取引を締結することができる。』と 意し,これと- 27 -同時に,買主が,売主に対して,かかる有価証券を,所定の日又は要求があり次第,売主による資金の移転と引換えに譲渡することに同意するところの取引を締結することができる。』として,その処分証書たる契約書の条項においても売買及び再売買という法形式による契約類型を選択し採用することが明確に規定されていること,MRAは,米国において,1982年に中堅証券会社が倒産し,その清算手続において,同証券会社が顧客との間で締結していたレポ取引(債券の売買と再売買(買戻)とを内容とする契約)について担保付貸付けとする裁判所の判断がされ,レポ取引契約において売主となる者に,相手方が倒産した場合に当該債券を直ちに処分して投下資本を回収することができなくなるリスク,担保の実行手続という煩雑な手続が必要となるリスク,同手続が終了するまでの間当該債券の価格変動のリスクなどが生じるおそれが出てきたことを受けて,いわゆる倒産隔離を念頭に,担保付貸付けと判断されないよう,統一的な標準契約書として作成されたものであること,また,GMRAは,英国法においては,担保権の登録制度が採用されていることから,レポ取引の法的性質が担保付貸付けと評価されると,登録を経ていないことから,スタート取引の時点において当該債券の完全な所有権移転がされておらず,かつ,担保権も設定されていないという疑義を生じさせることになるため,倒産隔離を確保するべく,レポ取引が法形式的に売買であるということを明確にする必要もあって作成されたものであることなどの本件各基本契約の沿革からみても,売買及び再売買という法形式を選択したことに重要な意味があったこと,そして,本件各基本契約においては,マージン・コール条項等が整備され,金融的な特長を生かし一見信用の供与と見られる側面のある条項も 売買及び再売買という法形式を選択したことに重要な意味があったこと,そして,本件各基本契約においては,マージン・コール条項等が整備され,金融的な特長を生かし一見信用の供与と見られる側面のある条項も整備されているが,これは,所有権移転構成の下で精密化されたものであって,売買及び再売買を本質とする基本的な構成には変化がないものと考えるべ- 28 -きものであることに照らすと,本件各レポ取引が,買主である外国法人において,売主である被控訴人に対し,一定期間信用を供与する取引であるということはできない。 また,前記のとおり,レポ取引には資金調達的な面があることは確かであるが,レポ取引には債券の調達に資する面もあり,顧客に対して,空売りを行った債券ディーラーが,取引の決済日までに債券を調達するために,他者から債券を一時的に購入するということにも使われるから,金融機能的側面とともに,債券売買市場の流動性の確保も経済的機能としては考慮されるべきであり,これらを売買及び再売買という法律構成の下で実現しようとしているものであるから,私的自治の作用する取引関係において当事者が上記のような法律形態を選択して取引関係に入り,その法律形態に特段不合理なものがない以上,その契約関係を基本にして解釈すべきものであって,本件各レポ取引において,買主がエンド取引において有する再譲渡価格相当額の代金債権は,あくまでエンド取引時において,売主に対して対象債券と同種・同量の債券を移転することと引換えに再譲渡価格相当額の代金の支払を請求する権利を意味するものである。しかるに,このような法律形態を素直にとらえることなく,レポ取引の持つ金融取引的側面のみを強調し,専らこの観点から,債務者に対して信用を供与する目的で弁済期日まで一定期間が設けられた金銭債権であり,その金銭債 のような法律形態を素直にとらえることなく,レポ取引の持つ金融取引的側面のみを強調し,専らこの観点から,債務者に対して信用を供与する目的で弁済期日まで一定期間が設けられた金銭債権であり,その金銭債権から果実(利子ないし利息)が発生し得る元本債権であるとして,所得税法161条6号にいう『貸付金(これに準ずるものを含む。)』に該当すると解することには無理があるといわざるを得ない。 控訴人らは,所得税法施行令283条1項各号の定め及びその立法の経緯によれば,所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』には,『資産の譲渡又は役務の提供の対価に係る債権』など- 29 -の売買,請負,委任,準委任,賃貸借等の多様な契約に基づいて発生する債権が含まれるとして,所得税法161条6号に規定する『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の意義を検討するに当たっても,『信用の供与』が重要な考慮要素とされるべきであると主張する。しかし,所得税法施行令283条1項は,法的にも元本に付随する利子が存在するといえる場合の規定と解される上,所得税法161条6号の末尾には『(政令で定める利子を除く。)』と規定されており,所得税法施行令283条1項は,『国内において業務を行なう者に対してする資産の譲渡又は役務の提供の対価に係る債権』であっても,その発生の日からその債務を履行すべき日までの期間が6月を超えないものについては,所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』から除外されることを明記しているから,仮に控訴人らの主張するように所得税法161条6号が本件各レポ取引に適用されるのであれば,所得税法施行令283条1項1号もレポ取引に適用されることとなり,スタート取引からエンド取引までの期間が6か月を超えていない本件各レポ取引に 税法161条6号が本件各レポ取引に適用されるのであれば,所得税法施行令283条1項1号もレポ取引に適用されることとなり,スタート取引からエンド取引までの期間が6か月を超えていない本件各レポ取引については,本件各レポ差額は源泉徴収義務の対象とならないことになる(甲86)ものであって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 控訴人らは,MRAやGMRAに基づくレポ取引が,売買及び再売買という法形式を採りながらも,経済的には信用供与を伴う金融取引としての性格を有していることは,企業会計上の取扱い等からも明らかである上,銀行経理の実務もこれに従っており,さらに,被控訴人も本件各レポ取引を金融取引として経理処理しているとも主張するが,そもそも会計上当該取引をどのような勘定項目で計上するかという問題は,専ら会計基準により定まる問題であって,会計基準においては会社法(本件各レポ取引当時においては商法)等の法律上の概念が考慮されてはいる- 30 -ものの,同一ではなく,別次元のものであって,企業会計上の取扱い等を根拠に,法律上の概念についての法的性質を決定することは相当とはいえないから,控訴人らの上記主張も理由がない。 そして,前記(2)のとおり,所得税法161条6号にいう『貸付金(これに準ずるものを含む。)』は,消費貸借契約に基づく貸付債権以外の債権を含む趣旨で規定されたものと解するのが相当であり,同号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』は,消費貸借契約に基づく貸付債権を基本としつつ,その性質,内容等がこれとおおむね同様ないし類似の債権の利子というべきであり,原因となる法律行為の法形式のみからその適用の有無を判断できるものではないものの,他方で,社会通念上,私法上の消費貸借契約における貸付債権とその性質,内容等がおおむね の債権の利子というべきであり,原因となる法律行為の法形式のみからその適用の有無を判断できるものではないものの,他方で,社会通念上,私法上の消費貸借契約における貸付債権とその性質,内容等がおおむね同様ないし類似するか否かが問題となり,その法形式等を全く考慮することなく,経済的効果のみに着目して判断することもできないから,これについて,専ら経済的な効果に着目して『貸付金』の解釈の範囲を広げ,『これに準ずるものを含む。』との規定と相まってその外延を不明確にする結果をもたらすことは,租税法律主義の内容である租税要件明確主義に沿った解釈ということはできず,租税要件明確主義に反した解釈とならないためには,外延を不明確にすることのない解釈を行うべきであって,この点からみても,控訴人らの上記主張を採用することできないといわざるを得ない。 控訴人らは,所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』について,課税の公平性や経済取引に対する税制の中立性を確保する趣旨から,信用の供与という経済的実質に着目してその解釈を行うべきであるとも主張するが,課税の公平性や経済取引に対する税制の中立性を確保する趣旨が重要であることは疑いがないものの,本件においてそのような解釈をすることは,解釈論としての域を超えるもので- 31 -あって相当とはいえない。 そして,本件各基本契約の沿革及びその内容からすれば,本件各基本契約は,倒産隔離を果たすため,契約条項において売買及び再売買により構成されることを明確に定めたものであって,他方,金融的取引の側面があり,それを示唆するかのような条項の存在によっても,その法的性質を変容させるまでのものとはいえず,本件各レポ取引は,売買・再売買を一つの契約で実行する複合的な性格を有する契約であると解するのが相当であって, 示唆するかのような条項の存在によっても,その法的性質を変容させるまでのものとはいえず,本件各レポ取引は,売買・再売買を一つの契約で実行する複合的な性格を有する契約であると解するのが相当であって,本件各レポ取引のエンド取引における売買代金債権が消費貸借契約における貸付債権とその性質,内容等がおおむね同様ないし類似するということはできない。 オ措置法について(ア)平成14年度税制改正(平成14年法律第15号)により設けられた租税特別措置法(以下『措置法』という。)42条の2第1項柱書は,『外国金融機関等が,平成14年4月1日から平成16年3月31日までの間において開始した所得税法第161条第6号に掲げる国内源泉所得の基因となる次に掲げる債券の買戻又は売戻条件付売買取引として政令で定めるもの(括弧内省略)につき,特定金融機関等から同号に掲げる利子の支払を受ける場合には,その支払を受ける利子(括弧内省略)については,所得税を課さない。』と規定し,上記規定の委任を受けた租税特別措置法施行令27条の2第1項は,『法第42条の2第1項に規定する政令で定める債券の買戻又は売戻条件付売買取引は,債券をあらかじめ約定した期日にあらかじめ約定した価格で(括弧内省略)買い戻し,又は売り戻すことを約定して譲渡し,又は購入し,かつ,当該約定に基づき当該債券を買い戻し,又は売り戻す取引とする。』と規定している。なお,上記対象期間は,平成16年度税制改正(平成16年法律第14号)により『平成18年3月- 32 -31日まで』に延長され,更に平成18年度税制改正(平成18年法律第10号)により『平成20年3月31日まで』に延長されている。 (イ)控訴人らは,措置法42条の2は,所得税法の特例として所得税を課さないことを定めた創設的な規定であり,租税特別措 平成18年法律第10号)により『平成20年3月31日まで』に延長されている。 (イ)控訴人らは,措置法42条の2は,所得税法の特例として所得税を課さないことを定めた創設的な規定であり,租税特別措置法施行令27条の2第1項の『債券の売買又は売戻条件付売買』が『所得税法161条6号の国内源泉所得の基因となら』ないとするなら,措置法42条の2の適用の余地がないことになるが,これは,立法者の意思に反するものであると主張する。 (ウ)しかしながら,上記のとおり,措置法42条の2の規定は,平成14年度税制改正(平成14年法律第15号)により創設されたものであって,本件各レポ取引がされた当時には制定されていなかったものであるから,そもそも上記規定をもって本件各レポ取引について所得税法161条6号の適用があると解釈すべきことにはならず,本件各レポ取引について所得税法161条6号の適用があるかどうかはあくまでも課税要件を定めた所得税法161条6号自体の解釈が重視されるべきものである。 そして,本件各レポ取引において,買主がエンド取引において有する再譲渡価格相当額の代金債権は,あくまでエンド取引時において,売主(被控訴人又は米国P1銀行)に対して対象債券と同種・同量の債券を移転することと引換えに再譲渡価格相当額の代金の支払を請求する権利を意味するものであり,本件各レポ取引のエンド取引における売買代金債権が消費貸借契約における貸付債権とその性質,内容等がおおむね同様ないし類似するとはいえないものであるから,本件各レポ取引について所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』に該当するものと解することができないことは前記のとおりである。 - 33 -そうすると,本件各レポ取引がもともと所得税法161条6号の国内源泉所得の基因とならな 金(これに準ずるものを含む。)』に該当するものと解することができないことは前記のとおりである。 - 33 -そうすると,本件各レポ取引がもともと所得税法161条6号の国内源泉所得の基因とならないのであれば,措置法42条の2の適用の余地がないことになるが,それは,課税根拠規定である所得税法161条6号自体の解釈による結果であって,本件各レポ取引がされた後に制定された措置法42条の2の規定をもって所得税法161条6号を解釈しようとすること自体に無理があるからにほかならない。すなわち,控訴人らの上記主張を採用するためには,所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』について,本件各レポ取引のような債券をあらかじめ約定した期日にあらかじめ約定した価格で買い戻し,又は売り戻すことを約定して譲渡し,又は購入し,かつ,当該約定に基づき当該債券を買い戻し,又は売り戻す取引である債券の買戻又は売戻条件付売買取引が含まれると解されることが前提になるところ,そのように解すべき根拠を見いだすことはできない。 そして,実際にも,レポ差額について,従前から所得税法161条6号に該当するとの前提で課税がされていた形跡はなく,控訴人らは,本件以外にもレポ差額が課税の対象となっていたことの根拠として,国税不服審判所の裁決書(乙67)を提出しているが,上記裁決書においては,争点となった恒久的施設該当性が肯定されて,平成13年7月3日に行われた処分を取り消す判断がされており,所得税法161条6号の解釈についての判断はされていないものであるから,本件と同種の課税がされた例があることを示すものではあるが,その課税自体が取り消されている以上,これをもって適法な課税がされていたことを根拠づけることはできず,他に一般的にレポ差額について所得税法161条6号 課税がされた例があることを示すものではあるが,その課税自体が取り消されている以上,これをもって適法な課税がされていたことを根拠づけることはできず,他に一般的にレポ差額について所得税法161条6号が適法に適用されていたことをうかがわせる証拠は見当たらない。むしろ,この点は,レポ取引を巡っては,旧現先取引については有価証券取引税法上売買として取り扱われていたこと,そ- 34 -の後,有価証券取引税が廃止され,新現先取引の導入が検討され,また,本件各基本契約に基づくレポ取引が活用されるようになってきた経過に照らすと,レポ取引から生じたレポ差額に対して課税が行われていたと認めることは困難である。 したがって,この点からみても,措置法42条の2の規定の新設によって,従前レポ差額に対して所得税法161条6号の課税がされていたことを前提に,その特例としてそのうちの一定のものについて所得税を免除することが定められたと認めることはできないものというべきである。 なお,控訴人らは,措置法42条の2による非課税措置の導入に先立ち,P3協会等の団体や金融庁から,レポ差額が所得税法161条6号の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』に該当し,源泉徴収の対象となることを前提とした上での要望があったことからも,レポ差額が上記『利子』に当たることが裏付けられていると主張するが,仮に上記陳情において提出された書面にレポ差額が課税の対象となることを前提としたような趣旨の記載が含まれていたとしても,それがいかなる根拠に基づくものであるかは明らかにされておらず,上記のとおり,レポ差額が上記『利子』に該当するものと解することが正当であることの裏付けがなく,レポ差額に対して課税がされていたものと認めることもできないことに照らすと,控訴人らの上記主張も採用する 記のとおり,レポ差額が上記『利子』に該当するものと解することが正当であることの裏付けがなく,レポ差額に対して課税がされていたものと認めることもできないことに照らすと,控訴人らの上記主張も採用することはできない。 結局,措置法42条の2の規定については,外国金融機関等が,平成14年4月1日から平成20年3月31日までの間において開始した一定の債券の買戻又は売戻条件付売買取引として政令で定めるものにつき,特定金融機関等から同号に掲げる利子の支払を受ける場合には,その支払を受ける利子については,所得税を課さないことを明ら- 35 -かにしたものとして意味を有するものの,レポ差額が所得税法161条6号に該当するかどうかについてまで解釈する根拠となるものではなく,措置法42条の2の立法者意思をもって,所得税161条6号の解釈基準とすることには無理があるといわざるを得ないというべきである。そして,このことは,措置法42条の2が限時的な規定であることや非課税適用申告書等の提出が非課税規定の適用を受けるための手続要件とされていることをもって左右されるものではなく,措置法とそれに基づく政令が,非課税の範囲を明確化し,対象となる証券の種類等を細かく限定し,一定の手続にかからしめることとし,かつ,経済取引の実情を踏まえて見直しを定期的に行う必要があるものとして限時的な立法がされたこと自体については,十分意味があるものということができる。 したがって,控訴人らの上記主張は理由がない。」 以上のとおりであって,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は相当であり,本件各控訴はいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第20民事部裁判長裁判官宮崎公男裁判官山本博裁判官今泉秀和 件各控訴はいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第20民事部裁判長裁判官宮崎公男裁判官山本博裁判官今泉秀和

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