平成22(行コ)163 所得税更正処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成20年(行ウ)第588号)

裁判年月日・裁判所
平成22年9月30日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文3,036 文字)

- 1 - 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(1) 原判決を取り消す。 (2)(主位的請求)ア処分行政庁が控訴人に対して平成19年6月15日付けでした控訴人の平成17年分の所得税の更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 イ処分行政庁は,控訴人の平成17年分の所得税について,原判決別紙1の「あるべき税額」欄記載のとおり減額更正処分をせよ。 (予備的請求)ア処分行政庁が控訴人に対して平成19年6月15日付けでした控訴人の平成17年分の所得税の更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 イ処分行政庁は,控訴人の平成17年分の所得税について,原判決別紙2の「あるべき税額」欄記載のとおり減額更正処分をせよ。 (3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 2 被控訴人主文同旨第2 事案の概要 1 事案の要旨控訴人は,賃貸していた建物の賃貸借契約を合意解約した際に賃借人から預託されていた保証金の返還義務を免除されたことに関し,平成17年分の所得- 2 -税の確定申告に際して,上記免除による利益(以下「本件利益」という。)を不動産所得に係る総収入金額に算入し,また,確定申告書に所得税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下「法」という。)90条4項所定の同条1項の平均課税の適用を受ける旨等の記載をせずに確定申告をしたが,その後,本件利益は臨時所得に当たり平均課税が適用されるべきであると主張して更正の請求をした。これに対し,処分行政庁が当該請求には理由がない旨の通知(以下「本件処分」という。)をした。 本 その後,本件利益は臨時所得に当たり平均課税が適用されるべきであると主張して更正の請求をした。これに対し,処分行政庁が当該請求には理由がない旨の通知(以下「本件処分」という。)をした。 本件は,控訴人が,①主位的に本件利益の一部は一時所得に当たる,②予備的に本件利益は臨時所得に当たり,平均課税が適用されるべきであると主張して,本件処分の取消し及び処分行政庁が原告の主張に沿った内容の減額更正処分をすることの義務付け(以下,本件訴えのうち当該請求に係る部分を「本件義務付けの訴え」という。)を求めた事案である。 2 原判決は,本件義務付けの訴えを不適法として却下し,また,本件処分は適法であるとして,本件処分の取消請求を棄却したため,控訴人がこれを不服として控訴した。 3 争いのない事実等,本件の主な争点及び争点についての当事者の主張は,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1ないし5(原判決3頁1行目から13頁17行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件義務付けの訴えは不適法であるから,これを却下すべきものであり,また,本件処分は適法であるから,その取消請求は理由がないのでこれを棄却すべきものと判断する。その理由は,下記のとおり原判決を補正し,後記2に当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」(原判決13頁18行目から27頁4行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決15頁9行目の「賃すことにした。」を「貸すことにした。」と- 3 -改める。 (2) 原判決24頁24行目冒頭から25頁5行目までを次のとおり改める。 「(3) 法90条5項は,同条4項の申告要件を充 賃すことにした。」を「貸すことにした。」と- 3 -改める。 (2) 原判決24頁24行目冒頭から25頁5行目までを次のとおり改める。 「(3) 法90条5項は,同条4項の申告要件を充たさないため,平均課税の適用による税負担の軽減の措置を受けられない場合にも,例外的に平均課税の適用を認める宥恕規定であり,その趣旨からして,同項にいう「やむを得ない事情」とは,自然災害等の天災その他本人の責めに帰することのできない客観的事情をいうものと解すべきである。したがって,確定申告の際には平均課税を適用できる条件を満たさないと認識されていたものが,その後の調査等により変動所得等の金額が変動し,平均課税の適用要件に合致するようになったときなどは,「やむを得ない事情」に該当すると解する余地があるが,申告者の法の不知や事実誤認等の主観的事情はこれに当たらないというべきである。」 2 控訴人は,ある経済的利益が不動産の収益の対価といえるかどうかの認定は客観的に行われる必要があり,不動産賃貸借契約の中途解約の補償金たる性質を有する経済的利益について,それが不動産の使用収益としての対価性を有するかどうかは,同利益が,中途解約によって客観的に発生が見込まれる損失の客観的な評価額に対応しているか否かを検討して判断されるべきであるとした上,本件利益は中途解約による賃料喪失分の補償であるから,本件利益のうち使用収益の対価性が認められるのは,差額賃料補償分1955万円だけであり,残余の3045万円は一時所得に該当するなどと主張する。 しかし,原判決の認定するとおり,本件解約契約においては,中途解約がされた場合に,本件残債務の返済及び本件保証金の返還に充てるべき賃料収入を失うことによって賃貸人に生じ得る一切の損失等を補償するという本件契約の中途解約 るとおり,本件解約契約においては,中途解約がされた場合に,本件残債務の返済及び本件保証金の返還に充てるべき賃料収入を失うことによって賃貸人に生じ得る一切の損失等を補償するという本件契約の中途解約条項の趣旨に沿って決定されたものであって,控訴人に実際に生じると見込まれる個々の損失等を積算して決定されたものではなく,控訴人と本件賃借人が本件利益の具体的な内訳について合意した事実もないから,本件利- 4 -益は,本件解約契約によって控訴人に生じ得る一切の経済的損失を,将来の賃料収入を得られないことによる損失,中途解約条項によれば負担を免れるはずであった本件残債務等の各項目に区分することなくすべてを一体として,また,実際に生じる損失の多寡にかかわらず補償する性質を有するものである。 本件利益のこうした性質に加え,原判決が認定した中途解約条項の趣旨や本件確認書により本件解約契約が締結された経緯を考え併せれば,本件利益は,控訴人の不動産所得を生ずべき業務に関し,「当該業務の全部又は一部の休止,転換又は廃止その他の事由により当該業務の収益の補償として取得する補償金その他これに類するもの」で,その業務の遂行により生ずべき所得に係る収入金額に代わる性質を有するもの(施行令94条1項2号)として,その全額が不動産所得に当たり,一時所得には当たらないもの解するのが相当である。 控訴人の主張は,その前提を欠くものであって,採用することができない。 3 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第19民事部 裁判長裁判官青柳馨 裁判官小林敬子 裁判官中嶋功 等裁判所第19民事部 裁判長裁判官 青柳馨 裁判官 小林敬子 裁判官 中嶋功

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