平成14(行ウ)182 占用許可決定処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年2月10日 東京地方裁判所 公物・公企業など
ファイル
hanrei-pdf-15218.txt

判決文本文26,664 文字)

主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,金1277万9657円及びこれに対する平成14年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,東京都立α公園B地区(同公園B地区イベント広場及びサッカー場をいう,以下「α公園B地区」という)を平成14年5月1日開催のメーデー会場として使用することを巡って,被告の機関である東京都東部公園緑地事務所長が,占用許可申請の競合した原告と東京地方公務員関係労働組合連合会(以下「東京地公労」という)について,申請を優先的に取り扱う者を抽せんにより決定するとしたのに対し,原告が,抽せんを行わず裁量によって,原告にα公園B地区の占用許可を与え,東京地公労には他の都立公園を斡旋すべきであるなどと異議を述べ,抽せんに応じなかったところ,被告機関が,東京地公労にα公園B地区の占用許可を与え,原告の同地区占用許可申請を不許可としたのは,法規裁量を誤り,あるいは従前の確立された裁量基準を合理的理由なく変更するとともに,原告の構成団体を差別,排除し,被告の職員で構成されている東京地公労を身びいきするもので,違憲・違法であるとして,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,これらの処分により被った損害の賠償を請求した事案である。 1 争いのない事実等(証拠等で認定した事実は当該証拠等を末尾に掲記する)(1) 当事者等ア原告は,第72回中央メーデー実行委員会を引き継ぎ,平成14年5月1日開催の「第73回中央メーデー」に取り組むことを目的として,同年1月23日に結成された団体である。 イ被告は,α公園を管理する地方公共団体であり,同公園について,都市公園法6条1項の規定により同法7条6号に掲げる 中央メーデー」に取り組むことを目的として,同年1月23日に結成された団体である。 イ被告は,α公園を管理する地方公共団体であり,同公園について,都市公園法6条1項の規定により同法7条6号に掲げるものに係る占用を許可する事務を東京都東部公園緑地事務所長に委任している者である(乙3)。 (2) 被告における公園等の占用許可に係る事務取扱要領の定めア 「集会・イベント等のための公園地の占用に関する取扱いについて」(平成6年4月1日5建公公第620号公園緑地部長決定)(以下「現取扱要領」という)では,次のとおり,定められている。 「三決定(一) 集会・イベント等の占用ができる者(以下「占用者」という。)の決定は,原則として先着順とする。ただし,受付の初日において,申請が競合したときは,抽せんにより占用者を決定する。この場合,公園緑地事務所長は,抽せん日を別に定めることができる。 (二) 前項ただし書きにおいて,抽せんにより占用者を決定することが不適当であると認めるときは,それ以外の方法で占用者を決定することができる。」イなお,現取扱要領が定められる前の「集会のための公園地の占用及びβ公園大音楽堂の使用に関する取扱について」(昭和49年10月15日49建公公第365号建設局長決定)(以下「旧取扱要領」という)では,前記現取扱要領三(二)に相当する定めはなかった。 (3) 使用日時を5月1日とするα公園B地区に係る占用許可の経緯(以下,特に断らない限り,平成14年の出来事であるので,その表記を省略する)ア(ア) 東京都東部公園緑地事務所長及び以前被告からα公園B地区に係る占用許可等の事務を委任されていた東京都南部公園緑地事務所長(以下,占用許可時において許可権限を委任されていた者を「被告機関」という)は,平成2年から同13年までの間,α公園 からα公園B地区に係る占用許可等の事務を委任されていた東京都南部公園緑地事務所長(以下,占用許可時において許可権限を委任されていた者を「被告機関」という)は,平成2年から同13年までの間,α公園B地区について,メーデー集会を使用目的とする占用許可申請が受付初日において競合する場合に備え,受付初日にメーデー行事実行委員会を構成する予定の団体に占用許可を仮に申請すること(以下「仮申込み」という)を求め,団体が競合した場合には,被告機関が,行政指導により他の都立公園を斡旋するなどして団体間の調整を行い,調整が整った段階で,メーデー集会の正式な開催者としての団体が,正規の様式により占用許可申請をするとの取扱いを行っていた。なお,後日正式な申請書が提出されないときは,仮申込みは撤回されたものとされる。 (イ) この取扱いの結果,平成2年から同13年までの間,5月1日に開催されたメーデー行事の開催者,集会会場及び参加者数(警視庁発表のもの。以下同じ)は,別表記載のとおりとなった。 イ(ア) 原告の構成団体となることが予定されていた全国労働組合総連合(以下「全労連」という)は,受付初日の平成13年11月1日,被告機関に対し,α公園B地区を「第73回中央メーデー」会場として使用するため,使用日時を平成14年4月30日午前9時から同年5月2日午後4時までとして,仮申込みを行った。 (イ) 東京地公労も,同じく平成13年11月1日,被告機関に対し,α公園B地区を「2002年東京メーデー祭典」会場として使用するため,使用日時を平成14年4月30日午前9時から同年5月2日午後5時までとして,仮申込みを行った。 ウ(ア) 被告機関は,平成14年1月15日,全労連及び東京地公労に対し,前記イのとおり仮申込みが受付初日に競合した(以下「本件競合」という)ため,占 月2日午後5時までとして,仮申込みを行った。 ウ(ア) 被告機関は,平成14年1月15日,全労連及び東京地公労に対し,前記イのとおり仮申込みが受付初日に競合した(以下「本件競合」という)ため,占用許可申請を優先的に取り扱う者(以下「優先的申請者」という)を決定する抽せん(以下「本件抽せん」という)を行うこと及び本件抽せんは同月24日に実施することを説明した。 (イ) これに対し,全労連及び原告は,被告機関に対し,α公園B地区は裁量により原告に占用を許可すべきであり,本件抽せんに応じることはできず,また,1月24日では組織内で周知,対応ができないとの意見を述べた。そこで,被告機関は,本件抽せん日を1月24日から2月19日へ,更に2月19日から3月8日へと延期した。 (ウ) 被告機関は,原告内部での周知,検討が十分になされたものと判断し,3月8日,本件抽せんを実施しようとしたが,原告は,指定時刻に指定場所に来場せず,被告機関からの照会に対して,本件抽せんには参加しない旨回答した。被告機関は,原告に対し,原告が本件抽せんを辞退したとの取扱いとする旨を告げた上,抽せんを実施することなく,東京地公労を優先的申請者とした。 エ(ア) 原告は,被告機関に対し,3月14日,仮申込みの当事者を全労連から原告に変更する旨届け出た上,同月25日,α公園B地区について正式の占用許可申請書を提出するとともに,他方で,3月19日には,東京都立γ公園(以下「γ公園」という)の占用許可申請書も提出した。そこで,被告機関は,4月9日,原告に対して,γ公園の占用を許可し,その旨通知した。 (イ) 東京地公労は,3月28日,被告機関に対し,α公園B地区について正式の占用許可申請書を提出し,被告機関は,4月12日,東京地公労に対して,同地区の占用を許可し,その旨通知した。 ( 知した。 (イ) 東京地公労は,3月28日,被告機関に対し,α公園B地区について正式の占用許可申請書を提出し,被告機関は,4月12日,東京地公労に対して,同地区の占用を許可し,その旨通知した。 (ウ) 被告機関は,4月25日,原告に対して,α公園B地区の占用許可申請について,既に許可された占用者が存在することを理由に不許可とし,その旨通知した(以下,前記(イ)の処分と併せて「本件処分」という)。 オ原告は5月1日γ公園で,東京地公労も同日α公園B地区で,それぞれメーデー集会を開催した。 なお,日本労働組合総連合会(以下「連合」という)等を中心とする実行委員会が開催するメーデー集会が,4月27日,α公園B地区で開催された。 2 関係法令等(1)【憲法21条1項】集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。 (2)【憲法28条】勤労者の団結する権利及び団体交渉その他団体行動をする権利は,これを保障する。 (3)【地方自治法244条1項】普通地方公共団体は,住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。 【同条2項】普通地方公共団体は,正当な理由がない限り,住民が公の施設を利用することを拒んではならない。 【同条3項】普通地方公共団体は,住民が公の施設を利用することについて,不当な差別的取扱いをしてはならない。 (4)【都市公園法6条1項】都市公園に公園施設以外の工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用しようとするときは,公園管理者の許可を受けなければならない。 【同法7条】公園管理者は,前条第1項又は第3項の許可の申請に係る工作物その他の物件又は施設が次の各号に掲げるものに該当し,都市公園の占用が公衆のその利用に著しい支障を及ぼさず,かつ,必要やむを得な 【同法7条】公園管理者は,前条第1項又は第3項の許可の申請に係る工作物その他の物件又は施設が次の各号に掲げるものに該当し,都市公園の占用が公衆のその利用に著しい支障を及ぼさず,かつ,必要やむを得ないと認められるものであって,政令で定める技術的水準に適合する場合に限り,前条1項又は第3項の許可を与えることができる。 【同条6号】競技会,集会,展示会,博覧会その他これらに類する催しのため設けられる仮設工作物 3 争点(1) 本件処分の違憲・違法性【原告の主張】ア団体の構成等(ア) 原告の構成団体は,全労連等の労働組合及び全国商工団体連合会等の団体である。 (イ) 東京地公労は,連合傘下の全日本自治団体労働組合東京都区職員労働組合等の4労働組合で構成されている。 イ中央メーデー行事開催の経緯(ア) 我が国では,労働組合の全国中央組織(ナショナル・センター)が中心となって開催する中央メーデー集会が,昭和43年から同63年までの間,α公園B地区で開催されてきたが,平成元年,全労連の前身である統一戦線促進労働組合懇談会を中心とした実行委員会(以下,平成2年以降の全労連を中心とした実行委員会と併せて「全労連系実行委員会」といい,同委員会が開催するメーデー行事を「全労連系メーデー」という)と,連合の前身である全日本民間労働組合連合会(以下「民間連合」という)を中心とした実行委員会(以下,平成2年以降の連合を中心とした実行委員会と併せて「連合系実行委員会」といい,同委員会が開催するメーデー行事を「連合系メーデー」という)が,別個に中央メーデー行事を開催することとなり,全労連系実行委員会が同年1月27日に,連合系実行委員会が同年2月14日に,被告機関に対して,いずれもα公園B地区の占用許可を申請し,また,東京都労働組合連合会(以下「都労連」とい することとなり,全労連系実行委員会が同年1月27日に,連合系実行委員会が同年2月14日に,被告機関に対して,いずれもα公園B地区の占用許可を申請し,また,東京都労働組合連合会(以下「都労連」という)も,同年4月6日,同様の申請を行った。 これに対し,被告機関は,旧取扱要領の先着順の定めにもかかわらず,裁量により,全労連系実行委員会より後日に申請した連合系実行委員会に対して,α公園B地区の占用を許可した。また,被告機関は,都労連に対しては,東京都を職域とする限られた範囲における労働組合の集合体であることなどを理由として,α公園B地区の占用を許可しなかった。 (イ) 被告機関は,平成2年から同12年までの間に全労連系実行委員会からなされた5月1日にα公園B地区をメーデー会場として占用したいとの申請に対し,次のとおり,占用不許可処分及び他の都立公園斡旋の理由を通知した。 a 平成3年 「継続性を勘案し」b 平成7年,8年 「メーデー会場占用の過去の経緯・参加実績等を斟酌して総合的に判断し」c 平成9年ないし同12年 「メーデー会場占用の過去の経緯・参加実績・企画内容等を斟酌して総合的に判断し」この間,被告は,平成6年4月1日,旧取扱要領を現取扱要領に改めた。また,被告建設局担当者は,平成9年のα公園B地区の占用許可を巡る折衝の際,全労連系実行委員会委員に対し,α公園B地区の占用許可基準について,「人数が絶対でない。総合的に判断する。メーデーに参加する人のレベルの問題もある。連合系メーデーは,来賓に都知事や総理大臣を呼んでいる。」と述べ,それ以降,被告機関は,他の都立公園斡旋の理由として,「企画内容」を付け加えるようになった。 ウ本件処分の違憲・違法性(ア) 憲法等違反ないし法規裁量違反a 原告の憲法上,地方自治法上の権利憲法2 降,被告機関は,他の都立公園斡旋の理由として,「企画内容」を付け加えるようになった。 ウ本件処分の違憲・違法性(ア) 憲法等違反ないし法規裁量違反a 原告の憲法上,地方自治法上の権利憲法21条1項は集会,表現の自由を,同28条は労働者の団体行動をする権利を保障すると規定し,地方自治法244条2項,3項は,普通地方公共団体は,正当な理由がない限り,住民が公の施設を利用することを拒んではならず,これについて不当な差別的取扱いをしてはならないと規定している。これら憲法及び地方自治法の規定に照らすと,集会,表現の自由及び団体行動権の行使として行われるメーデー集会のための占用許可申請に対する許否の処分は,公園管理者の自由裁量行為ではなく,法規裁量行為ということになる。したがって,被告機関が,管理権に名を借り,実質上集会,表現の自由又は団体行動権を侵害するに至った場合,その処分は違憲・違法となる。すなわち,被告機関には,メーデー集会のための占用許可申請の許否を判断するに当たり,公園管理上の支障の有無,程度という基準だけでなく,前記国民の憲法上の諸権利及び住民が差別されることなく公の施設を利用する権利を保障するという基準に基づいて,管理権を行使すべき責務がある。 b 被告機関の法規裁量違反(a) 労働者が集会に参加しやすい場所にあるか,集会に一体感を持たせることができるか,社会的にアピールできるか,デモコースを適切に設定することができるかといった観点から見て,α公園B地区及びδ公園は,メーデー会場に適しているが,γ公園,東京都立ε公園及び同ζ海浜公園(旧ζ広場)(以下,それぞれ「ε公園」,「ζ海浜公園」という)は,不適である。 (b) そして,平成14年においては,原告が開催するメーデー集会には2万5000人以上の参加者数が見込まれ,δ公園で (旧ζ広場)(以下,それぞれ「ε公園」,「ζ海浜公園」という)は,不適である。 (b) そして,平成14年においては,原告が開催するメーデー集会には2万5000人以上の参加者数が見込まれ,δ公園では面積が不足し,α公園B地区でなければ開催することができない一方,東京地公労のそれは,8000人程度の参加見込みであるから,面積的に見てδ公園で十分であり,しかも平成14年4月27日開催の連合系メーデーに続く2回目のものでもあった。 (c) 以上から,被告機関は,本件競合について,集会,表現の自由及び団体行動権を十分に保障するため,2万5000人以上の参加者数が予測される原告にはα公園B地区の占用を許可し,8000人程度の参加者数しか予測されない東京地公労にはδ公園を斡旋すべきであり,これと異なる本件処分は,憲法21条1項,28条,地方自治法244条2項,3項,都市公園法7条に違反する。 (イ) 確立された裁量基準と異なる取扱いをしたことの違憲・違法性a 前記争いのない事実等及び前記イの経緯からすれば,被告機関は,平成元年以降,複数団体からのメーデー会場としてα公園B地区を使用したいとの占用許可申請に対し,継続的に「相対的に参加者数が多いと見込まれる団体に占用を許可する」という基準及び「α公園B地区は中央メーデー会場としてそれに相応しい団体に占用許可する」という基準に基づき,裁量権を行使してきたのであるから,合理的理由なしに当該基準と異なる取扱いをすることは,平等原則に反し,裁量権の逸脱・濫用となる。 b 前記aの裁量基準によれば,被告機関は,本件競合について,参加者数が2万人規模の中央メーデー行事を開催する原告にα公園B地区の占用を許可し,参加者数が8000人程度でその範囲も一地方に限定されたメーデー行事を開催する東京地公労にδ公園を斡旋すべ ついて,参加者数が2万人規模の中央メーデー行事を開催する原告にα公園B地区の占用を許可し,参加者数が8000人程度でその範囲も一地方に限定されたメーデー行事を開催する東京地公労にδ公園を斡旋すべきであり,これは,被告が説明してきた「メーデー会場占用の過去の経緯・参加実績・企画内容等を斟酌して総合的に判断」するとの基準にも合致する。 c それにもかかわらず,被告機関は,優先的申請者の決定方法を本件抽せんに変更したものであり,当該変更について合理的理由はないから,本件抽せんを前提とした本件処分は,平等原則に違反し,憲法21条1項,28条,地方自治法244条2項,3項,都市公園法7条にも違反する違憲・違法な処分である。 (ウ) 全労連に対する差別的取扱いの違憲・違法性a 被告機関は,平成元年,全労連系実行委員会より後日に占用許可申請をした連合系実行委員会に対し,α公園B地区の占用を許可し,その後,平成2年から同12年までの間,別表記載のとおり,両メーデー行事参加者数が拮抗し,抽せんによることが相応しかったにもかかわらず,一切抽せんを行わず,常に連合系実行委員会に対し,α公園B地区の占用を許可した。 b そして,平成13年の全労連系実行委員会によるα公園B地区の占用許可申請については,「知事周辺が『公園の補修工事を口実に不許可にせよ』と指示してきた」と報じられている。 c 以上によれば,本件処分は,意図的に全労連を差別し,これを排除しようとする不正な動機で行われたものであり,違憲・違法である。 (エ) 東京地公労に対する身びいき的優遇取扱いの違法性被告機関が,δ公園でメーデー集会を開催することが可能な東京地公労につき,抽せんを強行してまでα公園B地区の占用を許可したのは,被告雇用の労働者が組織する東京地公労に対する身びいき的優遇措置であり,こ 告機関が,δ公園でメーデー集会を開催することが可能な東京地公労につき,抽せんを強行してまでα公園B地区の占用を許可したのは,被告雇用の労働者が組織する東京地公労に対する身びいき的優遇措置であり,このような不正な動機で行われた本件処分は違法である。 エ(ア) 被告は,管理する公園の占用許可申請に対する許否の処分をするに当たって考慮すべき事項は,専ら公園管理上の支障の有無・程度であると主張するが,前記ウ(ア)のとおり,判断基準として不十分であり,また,前記イ(イ)の事実と矛盾する虚偽の主張である。 (イ) また,被告は,集会参加者数が4万人を超えると見込まれる場合,抽せんによらず,その開催団体にα公園B地区の占用を許可するとの基準を主張するが,当該基準は,かつて被告機関等から示されたことはなく,被告側証人の証言にも反し,別表記載の参加者数の推移に反するとともに,開催実績1回の東京地公労に対する優遇的取扱いからすれば,被告機関がそのような基準を採用していなかったことは明らかである。加えて,4万人を超える規模の参加者数がある場合,都内ではα公園B地区以外では集会が開催できないという前提事実もない。 オ前記ウのとおり,被告機関による本件処分は,違憲・違法であり,被告は,国家賠償法1条1項に基づき,被告機関がその職務を行うに当たって故意になした本件処分により原告に与えた損害を賠償する責任がある。 【被告の主張】ア都市公園は,いわゆる公共用物であり,特定の者が特定の目的で一定期間独占的に使用する場合,公園管理者の許可(占用許可)を受けなければならないが,その許可基準については,都市公園法6条1項,7条に規定されており,占用許可申請に対する許否の処分を行うに当たって考慮すべき事項は,専ら公園管理上の支障の有無,程度に限られる。 イそして,公園の占 の許可基準については,都市公園法6条1項,7条に規定されており,占用許可申請に対する許否の処分を行うに当たって考慮すべき事項は,専ら公園管理上の支障の有無,程度に限られる。 イそして,公園の占用許可申請が競合した場合,公園管理に著しい支障を及ぼすおそれがない限り,早期に占用許可を申請した者を優先的申請者とすることが公平である。また,受付初日に申請が競合した場合には,原則として,抽せんにより優先的申請者を決めることが公平であり,例外的に,集会,イベント等において混乱が予想されたり,競合する一方の申請者がこれまで当該集会,イベント等の開催について全く実績がなく,会場整備の能力に問題があるなど,公園管理上著しい支障が予想され,抽せんによることがかえって公平に反するような特段の事情がある場合には,裁量判断により抽せん以外の方法で優先的申請者を決めるのが合理的である。現取扱要領は,以上の基準を明らかにしたものであるが,旧取扱要領によっていた時期においても,同様に妥当する基準である。 ウ本件競合については,原告と東京地公労は,参加者数において多少の差はあるものの,両団体とも都立公園を会場とするメーデー集会の開催者としてその前年において支障なく開催しているとの実績があり,両団体とも前年の参加者数及び過去数年の動向から見て,α公園B地区でなければメーデー集会を開催できないほどの多数の参加者数はないことが予想された。 以上から,被告機関は,本件競合について,現取扱要領に基づき,原則どおり本件抽せんを行おうとしたものであり,これを前提とした本件処分に何ら違憲,違法な点はない。 エ平成元年以降のα公園B地区の占用許可申請ないし仮申込みの競合に対する被告機関の判断は,次のとおりであり,原告が主張するような裁量基準があったものではない。 (ア) 平成元 ,違法な点はない。 エ平成元年以降のα公園B地区の占用許可申請ないし仮申込みの競合に対する被告機関の判断は,次のとおりであり,原告が主張するような裁量基準があったものではない。 (ア) 平成元年前年まで1団体が参加者数10万人規模のメーデー集会をα公園B地区で開催してきたが,同規模の集会が開催可能な会場は,都立公園では事実上α公園B地区に限られることに鑑み,被告機関は,公園管理上の見地から混乱を防ぐため,前年までの実績を引き継ぐ団体と認められた連合系実行委員会に対してα公園B地区の占用を許可した。被告機関は,その際,公園管理についての影響を判断する要素の一つとして,集会の規模,内容に関連し得る地方団体とか職域といった点を考慮したことがあるが,それ以上に,申請者が中央組織か地方組織かということに絡め,申請者の労働団体としての格の優劣を考慮したことはない。 (イ) 平成2年から同12年までこの間についても,いずれも前年までの参加者数実績の動向から,連合系実行委員会について,α公園B地区以外ではメーデー集会を開催することができないと予測される状況が継続し,他方,全労連系実行委員会については,そのような状況は認められず,裁量により,連合系実行委員会を優先的申請者とした。 なお,平成9年以降に全労連系実行委員会に対するα公園B地区以外の都立公園占用の斡旋理由に挙げた「企画内容等」とは,一般の公園利用者とのトラブル又は公園施設損傷のおそれといった公園管理上の支障の有無,程度を判断するのに必要な限度で考慮したものであり,また,被告建設局担当者の発言も,公園管理上の観点から,来賓に都知事や総理大臣を呼んでいるが,警備やマスコミへの対応について混乱なくα公園B地区でメーデー集会を開催してきているとの実績を指摘したものである。 (ウ) 平成13 も,公園管理上の観点から,来賓に都知事や総理大臣を呼んでいるが,警備やマスコミへの対応について混乱なくα公園B地区でメーデー集会を開催してきているとの実績を指摘したものである。 (ウ) 平成13年α公園B地区の占用許可申請について,全労連と東京地公労の仮申込みが競合したが,東京地公労は単独で都立公園でメーデー集会を開催した実績がなく,被告機関において公園管理上の支障等を予測するのが若干困難で,全労連との間で抽せんを実施するのが実質的に公平であるかどうかの判断にまでは至らなかったため,東京地公労に対し,これらの点を説明し,他の都立公園の占用を斡旋したところ,東京地公労がδ公園について正式な占用許可申請を行ったものである。 (エ) なお,前記(ア)ないし(ウ)で被告機関が裁量権を行使するに当たっては,前年及び過去数年の参加実績を中心として,諸要素を総合的に考慮したものであるが,結果的には,おおむね予想される参加者数が4万人を超えるか否かにより許否の判断が分かれている。これは,集会に必要な人間1人当たりの占用面積が1㎡であるとした場合,4万人を超える参加者数が見込まれる集会を開催できるのがα公園B地区だけであることから,妥当な判断であったと事後評価することができる。 オ原告は,各都立公園のメーデー会場としての適性を問題とするが,都市公園をメーデー会場に使用するのは目的外使用であるから,メーデー集会を行うに当たって不都合ないし不便があることやその種類,程度が公園毎に異なることは当然であって,原告ら申請団体はこれを等しく甘受すべきであり,原告がメーデー会場として都合がよいと考える公園を優先的に使用できるものではない。本件での問題は,メーデー行事の開催団体が集会,表現の自由,団体行動権を保障されていることを前提に,これらを等しく享受しようと デー会場として都合がよいと考える公園を優先的に使用できるものではない。本件での問題は,メーデー行事の開催団体が集会,表現の自由,団体行動権を保障されていることを前提に,これらを等しく享受しようとする権利者相互間の調整を図ることにある。 そして,過去の参加者数実績から見て,原告は,α公園B地区でなければメーデー集会を開催できないということはなく,他方,東京地公労は,前年の参加者数から見て,δ公園でメーデー集会を開催することも可能であるとはいえ,あえてα公園B地区で開催したいとして仮申込みをしてきたものである以上,被告機関において,東京地公労にα公園B地区の仮申込みを撤回させ,δ公園を斡旋しなければ公平に反するとまでの特段の事情は存在しなかった。 なお,集会参加者のデモコースについては,公園管理者の責任範囲外の事項であり,むしろ,その設定は原告の権限内のことであるから,公園の占用許可の判断に当たって,被告機関が考慮すべき事情には含まれない。 カ本件処分が,全労連差別・排除又は東京地公労に対する身びいきという不正な動機でなされたとの主張は争う。 (2) 原告の損害【原告の主張】原告は,被告機関の違憲・違法な処分により,次のとおり,合計1277万9657円の損害を被った。 ア無形損害 1000万円(ア) 抗議・要請行動原告は,本件抽せんが発表された平成14年1月15日から何度も,被告機関等に対し,不当な取扱いを改めるよう要請することを余儀なくされた。原告は,前記要請に当たり,被告職員,都民にも広く今回の問題を知ってもらうためビラを作成,配布したが,1回の配布につき原告に参加する労働組合員のボランティア50人ないし80人が仕事を休むなどしてこれに当たり,多大な労力を要した。 (イ) 準備の重複原告は,平成13年11月1日の仮申込み 布したが,1回の配布につき原告に参加する労働組合員のボランティア50人ないし80人が仕事を休むなどしてこれに当たり,多大な労力を要した。 (イ) 準備の重複原告は,平成13年11月1日の仮申込み後,企画書作り等実務的な作業を行っていたが,被告機関の取扱変更により,万一に備えて他のメーデー会場の確保とそこでの中央メーデー開催に向けての準備に労力を割かなければならなくなった。そして,実際の会場となったγ公園は,α公園B地区と異なり,住宅地に隣接していることから,原告は,α公園B地区では不要な近隣住民への挨拶回りなどの苦情対策も行わざるを得なかった。 (ウ) 社会的評価の低下及び名誉感情の侵害本件処分は,これまで中央メーデーの歴史を担い,また,行政上公正・公平に扱われるべき原告の地位を否定するものに他ならず,その社会的評価を低下させ,名誉感情を侵害するものである。 (エ) 不適切な会場を使用せざる得なかったことによる不利益原告が平成14年にメーデー集会を行わざるを得なかったγ公園は,α公園B地区と異なり,不規則に配置された歩道,植え込み,樹木,池などにより園内が寸断され,公園の入口や道の途中に階段があるなど起伏に富み,すぐ脇の高層マンション等住宅街に隣接するなど,身体障害者を含む数万人が一体となって行われるメーデー会場としては不適切な施設である。このため,原告は,集会参加者全体をまとめるような運営に困難を来し,障害者団体が園内に入れずにメーデー集会に参加できず,拡声器の音量を下げるとともに開始時刻も通常より遅らせなければならないといった不利益を被った。 (オ) 原告の被った以上の無形的損害を金銭評価すると,1000万円を下らない。 イ宣伝費用 77万9657円原告は,α公園B地区を平成14年のメーデー会場として利用できるようにする を被った。 (オ) 原告の被った以上の無形的損害を金銭評価すると,1000万円を下らない。 イ宣伝費用 77万9657円原告は,α公園B地区を平成14年のメーデー会場として利用できるようにするための宣伝活動,開催会場がα公園B地区からγ公園へ変更されたことを各参加団体に周知徹底する作業及びγ公園の近隣住民に理解を求める宣伝活動のために,別紙のとおり,宣伝物の作成等をせざるを得ず,合計77万9657円の出費を余儀なくされた。 ウ弁護士費用 200万円原告は,原告訴訟代理人弁護士5名に対し,本件訴訟の提起及び追行を依頼し,弁護士費用として200万円を支払うことを約した。 【被告の主張】争う。 第3 争点に対する判断 1 認定事実前記争いのない事実等,証拠(甲1,2,24の1ないし10,同27ないし36,37及び38の各1ないし4,同39,同41の1ないし5,同41の9ないし16,同41の20ないし22,同41の25,同41の29ないし31,同41の34ないし43,同46ないし49,乙4ないし6,15ないし19,21,22,証人P1,同P2,同P3)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1)ア原告の構成団体は,全労連,全日本教職員組合,日本自治体労働組合総連合,日本国家公務員労働組合連合会,日本医療労働組合連合会,日本出版労働組合連合会,全国農業協同組合労働組合連合会,東京地方労働組合評議会及び東京地方労働組合総連合等の労働組合並びに全国商工団体連合会及び新日本婦人の会等である(弁論の全趣旨)。 イ東京地公労は,連合傘下の全日本自治団体労働組合東京都区職員労働組合,東京交通労働組合,東京都公立学校教職員組合及び全水道・東京水道労働組合の4労働組合で構成されている(甲49,証人P3【12,13頁】)。 (2) 合傘下の全日本自治団体労働組合東京都区職員労働組合,東京交通労働組合,東京都公立学校教職員組合及び全水道・東京水道労働組合の4労働組合で構成されている(甲49,証人P3【12,13頁】)。 (2)アメーデーは,毎年5月1日に全世界の労働者がデモ等によって団結の力と国際連帯の意思を示す大統一行動の日であるとされている(甲39,弁論の全趣旨)。 イ我が国においては,総評(日本労働組合総評議会),同盟(全日本労働総同盟)といった労働組合の全国中央組織(ナショナル・センター)が中心となって開催するメーデー行事の集会が,昭和43年から同63年までの間,α公園B地区で開催されてきた(弁論の全趣旨)。 (3)ア平成元年,いわゆる全国的労働組合再編成の影響により,全労連の前身である統一戦線促進労働組合懇談会を中心とした「軍事費を削って,くらしと福祉・教育の充実を」国民大運動実行委員会(全労連系実行委員会)と民間連合を中心とした第60回メーデー中央実行委員会(連合系実行委員会)とが,別個にメーデー行事を開催することとなった(甲46,証人P3【2頁】,弁論の全趣旨)。 なお,全労連系実行委員会及び連合系実行委員会は,共にナショナル・センターである全労連,連合等が中心となって組織されている(弁論の全趣旨)。 イ平成元年5月1日のα公園B地区の占用については,全労連系実行委員会が同年1月27日に,連合系実行委員会が同年2月14日に,被告機関に対し,それぞれ占用許可を申請し,また,都労連も,同年4月6日,同様の申請を行った(争いがない)。 ウこれに対し,被告機関は,4月12日,連合系実行委員会に対して,行事の具体的企画において,公園管理上の支障を最小限度に止める措置を行っていること,その構成から,昭和48年以来α公園B地区におけるメーデー行事を開催し,実 は,4月12日,連合系実行委員会に対して,行事の具体的企画において,公園管理上の支障を最小限度に止める措置を行っていること,その構成から,昭和48年以来α公園B地区におけるメーデー行事を開催し,実施してきた実績を有する団体との同一性,継続性が認められること,したがって,公園管理者が行事の実施に対する指導,調整を円滑かつ十分に行い得る適切な申請者と判断したとして,同地区の占用を許可した(乙4,証人P2【8,9頁】)。 エ他方,被告機関は,全労連系実行委員会及び都労連に対して,α公園B地区の占用を許可せず,その理由として,全労連系実行委員会については,参加予定人員が著しく不明確であり,公園管理上の影響を予測できず,公園利用の秩序維持に必要な行事の実施に伴う警備体制,救急体制,公園施設の保全対策等が明らかにされていない旨,都労連については,行事実施に伴う公園管理上の適否を判断する具体的内容が明示されていない旨,それぞれ通知した(乙5,6)。 オところで,被告建設局は,4月12日付で,マスコミに対する資料として「メーデーのためのα公園B地区の占用許可について(お知らせ)」と題する文書を作成したが,その中の「審査の結果占用許可の判定表」には,都労連の申請について,申請書,企画書,過年度の記録を調査したところ,構成団体が,東京都を職域とする地方公共団体に属する限られた範囲の労働組合の集合体であるといった問題点があると記載されている(乙4,弁論の全趣旨)。 カ 5月1日,連合系実行委員会はα公園B地区で,全労連系実行委員会はζ海浜公園で,メーデー集会をそれぞれ開催した(争いがない)。 (4)ア平成2年以降も,連合系メーデーと全労連系メーデーは別個に開催され,同12年までの間,α公園B地区の仮申込みが,受付初日において,全労連系実行委員会の予定構 れぞれ開催した(争いがない)。 (4)ア平成2年以降も,連合系メーデーと全労連系メーデーは別個に開催され,同12年までの間,α公園B地区の仮申込みが,受付初日において,全労連系実行委員会の予定構成団体である全労連によるものと,連合系実行委員会の予定構成団体である連合によるものとが競合したのに対し,被告機関は,各年とも抽せんをせず,連合系実行委員会にα公園B地区の占用を許可し,全労連系実行委員会については,同2年に占用許可申請を不許可とした上で,行政指導によりε公園を斡旋し,同3年から同12年までの間は行政指導によりγ公園を斡旋し,いずれもその占用を許可した(甲24の1ないし10,弁論の全趣旨)。 イ被告機関(平成7年3月16日以降は,被告建設局公園緑地部公園課を含む)は,全労連系実行委員会に対し,前記アの不許可処分及び斡旋の理由として,次のとおり通知した。 (ア) 平成3年4月8日「申請が競合しており,継続性等を勘案し」(甲24の1)(イ) 平成4年3月16日,同5年3月16日及び同6年3月15日「α公園は,他団体と競合しているので,γ公園を斡旋します。」(甲24の2ないし4)なお,被告は,前記アの行政指導の根拠を明確にするため,平成6年4月1日,旧取扱要領を現取扱要領に改めた(甲1,2,証人P1【19,20頁】)。 (ウ) 平成7年3月16日「過去の経緯・参加実績等を斟酌して総合的に判断し,貴団体には,γ公園を斡旋します。」(甲24の5)(エ)平成8年3月18日「過去の経緯・参加実績等を斟酌して総合的に判断し,貴団体には,γ公園を斡旋します。なお,今後の状況を見ながら,来年度以降の対応について考慮します。」(甲24の6)なお,平成8年のα公園B地区占用を巡る折衝の席で,被告機関を指導する立場にある被告建設局公園 公園を斡旋します。なお,今後の状況を見ながら,来年度以降の対応について考慮します。」(甲24の6)なお,平成8年のα公園B地区占用を巡る折衝の席で,被告機関を指導する立場にある被告建設局公園緑地部(以下「公園緑地部」という)の担当者は,前年における全労連系メーデーへの参加者数が,連合系メーデーへの参加者数を上回ったことについて,「参加人員は一つの要因であることは間違いない。それを含めて総合的に判断する。」「実績は重く受け止めている。その流れをもう少し見させてほしい。来年度以降の対応は今年の実績を見て判断する」旨発言した(甲46,証人P3【9頁】,弁論の全趣旨)。 (オ) 平成9年3月6日及び同10年3月19日「過去の経緯・参加実績・企画内容等を斟酌して総合的に判断し,貴団体にはγ公園を斡旋します。なお,今後の状況を見ながら,来年度以降の対応について考慮します。」(甲24の7,8)なお,平成9年のα公園B地区占用を巡る折衝の席で,被告建設局のP4参事は,全労連系実行委員会の委員に対し,α公園B地区の占用許可基準について,「人数が絶対でない。総合的に判断する。メーデーに参加する人のレベルの問題もある。連合メーデーは,来賓に都知事や総理大臣を呼んでいる。」と述べた(証人P1【17頁】,同P3【10頁】,弁論の全趣旨)。 (カ) 平成11年3月12日及び同12年3月13日「過去の経緯・参加実績・企画内容等を斟酌して総合的に判断し,貴団体にはγ公園を斡旋します。」(甲24の9,10)ウ平成2年から同12年までの間の連合系メーデー及び全労連系メーデーの集会会場及び参加者数は別表記載のとおりである。被告機関は,この間,連合系実行委員会及び全労連系実行委員会のいずれもが,都立公園でメーデー集会を開催した実績を有しており,企画内容も公園 系メーデーの集会会場及び参加者数は別表記載のとおりである。被告機関は,この間,連合系実行委員会及び全労連系実行委員会のいずれもが,都立公園でメーデー集会を開催した実績を有しており,企画内容も公園管理上支障がないと判断した。しかし,被告機関は,前年までの参加者数実績の動向から,連合系実行委員会については,参加者数が全労連系実行委員会のそれを上回り,その規模においてα公園B地区以外の都立公園ではメーデー集会を開催することができないと予測される状況が継続し,他方,全労連系実行委員会については,そのような状況は認められないと継続的に判断し,いずれの年も連合系実行委員会を優先的申請者とした。(乙21,22,証人P1【3ないし6頁】,同P2【1ないし3,6ないし8頁】)(5)ア平成13年は,連合系実行委員会が,同年4月28日にメーデー行事を行うこととし,被告機関に対し,使用日時を同日とするα公園B地区の占用許可を申請した。他方,全労連系実行委員会の予定構成団体である全労連は,従前どおり使用日時を同年5月1日として,被告機関に対して,α公園B地区占用の仮申込みをしたが,受付初日において,同内容の仮申込みが東京地公労及び日本労働組合総連合会東京連合会(以下「連合東京」という)からなされ,仮申込みが競合した。 (乙22,証人P2【3,4頁】)これに対し,被告機関は,東京地公労及び東京連合が都立公園でメーデー集会を単独で開催した実績を持たず,公園管理上の支障等を予測するのが若干困難で,全労連との間で抽せんを実施するのが実質的に公平であるかどうかの判断にまでは至らなかったため,東京地公労及び東京連合に対し,これらの点を説明し,それぞれ東京都立η公園,δ公園を斡旋したところ,東京連合は,4月28日開催の連合系メーデーに参加するとして仮申込みを取り下げ, 至らなかったため,東京地公労及び東京連合に対し,これらの点を説明し,それぞれ東京都立η公園,δ公園を斡旋したところ,東京連合は,4月28日開催の連合系メーデーに参加するとして仮申込みを取り下げ,東京地公労は,東京連合が使用しなくなったδ公園について正式な占用許可申請を行った。そして,被告機関は,全労連系実行委員会にα公園B地区の占用を許可し,東京地公労にδ公園の占用を許可した。(乙22,証人P2【4,15ないし17頁】,同P3【10,11頁】)イなお,前記アの経緯の中,公園緑地部は,全労連系実行委員会に対して,3月9日,α公園B地区については同委員会に貸したい旨連絡し,これを受けた同委員会が,参加団体に対して,「メーデーの会場α公園に決定」「対都交渉を行ない,東京都は正式にα公園の使用を認めました。」などと記載したファックスを送信したところ,公園緑地部は,このファックスを見た東京地公労の構成団体から,交渉でα公園の占用許可がおりるのであれば,我々とも交渉せよとの抗議を受けた。そこで,公園緑地部は,3月10日,全労連系実行委員会を呼び出し,交渉でなく行政指導である,許可も未だしていないなどとして強く釈明を求めた。全労連系実行委員会は,公園緑地部に対し,当該ファックスについて,事実経過と異なった表現があったことから迷惑をかけた,交渉,許可などの正確でない文言があったとの釈明文を提出した。(甲46ないし48,証人P2【18,19頁】,同P3【11,12頁】)(6) 平成13年11月1日,本件競合が生じたため,被告機関は,同月28日,公園緑地部に対し,その取扱いについて協議を申し入れた。その結果,被告機関は,最近における参加者数の動向から見て,原告及び東京地公労によるメーデー集会への参加者数は,いずれも4万人を超えることはなく,α公園 部に対し,その取扱いについて協議を申し入れた。その結果,被告機関は,最近における参加者数の動向から見て,原告及び東京地公労によるメーデー集会への参加者数は,いずれも4万人を超えることはなく,α公園B地区でなければ開催できない程の多数のものとはならないこと,両団体とも都立公園を会場とするメーデー集会の開催者として,その前年において支障なく開催しているとの実績があること,原告が主張する中央メーデーか否かということは,占用許可の判断基準たり得ないことから,現取扱要領三(一)ただし書きに基づき,本件抽せんを実施することを決め,全労連及び東京地公労にその旨通知した。(乙21,証人P1【3ないし6,15ないし17頁】)(7) α公園B地区及びその他の都立公園における占用許可の対象となる面積は,次のとおりである(甲27ないし36,37及び38の各1ないし4,同41の1ないし5,9ないし16,20ないし22,25,29ないし31及び34ないし43,乙15ないし19,証人P1【10ないし15頁】,同P3【16,22頁】)。 ア α公園B地区 46,864㎡ただし,このうち野外ステージ部分及びケヤキ並木部分については,集会当日において実際に使用されることはない。 イ γ公園 33,306㎡ただし,このうち樹木,植栽等によって人が立ち入ることができない部分がある。 ウ δ公園 14,541㎡エ ε公園 30,129㎡オ ζ海浜公園 27,700㎡ 2 判断基準及び当裁判所の判断都市公園は,いわゆる公共用物であり,特定の者が特定の目的で一定期間独占的に使用する場合は,公園管理者の占用許可を受けなければならないところ,その許可基準については,都市公園法7条が規定している(前記第2の2(4))。都市公園法7条によれば,公園管理者は, 定期間独占的に使用する場合は,公園管理者の占用許可を受けなければならないところ,その許可基準については,都市公園法7条が規定している(前記第2の2(4))。都市公園法7条によれば,公園管理者は,公園管理上の支障の有無,程度を考慮すること要し,かつ,それで足りるというべきであるが,管理権に名を借り,実質上集会,表現の自由又は団体行動権といった占用許可申請者に保障された憲法上の権利を侵害する目的に出た場合は勿論,管理権の適正な行使を誤り,そのために実質上これらの基本的人権を侵害したと認められるに場合には,管理権の逸脱・濫用として,違憲・違法となると解するのが相当である。 そして,本件のように占用許可申請が競合した場合には,その審査をするに当たっては,早期に占用許可を申請した者を優先的に取り扱うことが公平であり,また,受付初日に申請が競合した場合は,原則として,優先的申請者を抽せんにより決めることが公平であり,例外的に,申請を受け付けた時点で既に,集会,イベント等において混乱が予想されたり,競合する一方の申請者がこれまで当該集会,イベント等の開催につき全く実績がなく,会場整備の能力に問題があるなど,公園管理上著しい支障が予想され,抽せんによることがかえって公平に反するような特段の事情がある場合は,これらの支障を回避するために抽せん以外の方法で優先的申請者を決めるのが合理的であり,これと同内容の現取扱要領には合理性があると認めるのが相当である。 問題は,前記基準の本件競合への当てはめ,すなわち,公園管理上著しい支障が予想され,抽せんによることがかえって公平に反するような特段の事情の存否であるが,前記1(6)で認定した被告機関の判断は,従前の占用許可の内容及び利用実績を踏まえた公園管理者の判断として,公園管理上の支障の有無,程度といった観 えって公平に反するような特段の事情の存否であるが,前記1(6)で認定した被告機関の判断は,従前の占用許可の内容及び利用実績を踏まえた公園管理者の判断として,公園管理上の支障の有無,程度といった観点から合理的に行われたものということができ,被告機関に管理権の逸脱・濫用があったと認めるに足りる証拠は存在しない。そうだとすると,本件処分が違憲,違法であることを前提とする原告の本訴請求は,その余の点を判断するまでもなく理由がないということになる。 3 原告の主張に対する当裁判所の判断前記2のとおり本件処分には違憲,違法な点はなく,本件請求は理由がないのであるが,原告は前記争点(1)【原告の主張】ウで摘示したとおり,本件処分の違憲,違法性について主張しているので,当該主張に対する当裁判所の判断を述べておくことにする。 (1) 原告の主張①(憲法等違反ないし法規裁量違反)についてア原告は,憲法21条1項,28条,地方自治法244条2項,3項の規定に照らし,メーデー集会のための公園占用許可申請に対する許否の処分は,法規裁量行為であり,そうだとすると,被告機関は,2万5000人以上の参加者数が予測される原告にはα公園B地区の占用を許可し,8000人程度の参加者数しか予測されない東京地公労にはδ公園を斡旋すべきであると主張する。 イ確かに,集会の自由等は国民の基本的人権であり,最大限保障されなければならず,いやしくも,管理権に名を借り,実質上集会の自由等を侵害する処分は違憲,違法であることはいうまでもなく,被告機関の処分も決して自由裁量ではない。しかし,問題は,前記憲法上の規定から,被告機関において,原告にα公園B地区の占用を許可し,東京地公労にはδ公園を斡旋すべき義務を導き出すことができるかどうかという点である。 この点に関し,原告は,各都立 問題は,前記憲法上の規定から,被告機関において,原告にα公園B地区の占用を許可し,東京地公労にはδ公園を斡旋すべき義務を導き出すことができるかどうかという点である。 この点に関し,原告は,各都立公園のメーデー会場としての適性を問題とし,社会的アピール度,交通の便,身体障害者がアクセスする容易性,園内における障害物の存否,音響に対する配慮の要否,適切なデモコースの存否等の諸点を指摘し,被告機関は,原告に対しα公園B地区の占用を許可する義務があると主張する。 ウしかしながら,原告主張の前記諸点は,都市公園法7条における明文の要件でない上,開催者側(原告)の優れて主観的な事情であって,公園管理者において客観的基準をもって判断することができる対象ではなく,競合申請者の利害が先鋭に対立する優先的申請者決定における判断要素たり得ないというべきである。例えば,公園の社会的アピール度については,原告自身,α公園B地区が社会的アピール度において最も優れていると主張していると解され(2002年8月20日付準備書面(3)4頁,同年12月12日付準備書面(5)13頁,同年12月12日付準備書面(5)13頁,甲39【3頁】),東京地公労も,平成13年にδ公園でメーデー集会を開催しながら,同14年にはα公園B地区をメーデー会場として使用すべく仮申込みをしていることからすれば,δ公園の社会的アピール度がα公園B地区のそれに劣っていると考えていることが窺える。そして,このことが本件競合が生じた根本的な原因というべきところ,社会的アピール度においてδ公園がα公園B地区に劣るという不都合と原告がγ公園等について主張する不都合のいずれが大きいか,その差が原告を優先的に取り扱わなければならない程度のものか否かを公園管理者において判断することは,著しく困難かつ不可能であり, という不都合と原告がγ公園等について主張する不都合のいずれが大きいか,その差が原告を優先的に取り扱わなければならない程度のものか否かを公園管理者において判断することは,著しく困難かつ不可能であり,適切とも解されない。また,証拠(甲41の2ないし5,証人P3【19頁】)によれば,α公園B地区においても,サッカー場とイベント広場の間に樹木があり,会場が分断されていると認められるが,これによる不都合と原告が主張するγ公園における不都合との違いについて,公園管理者が的確に判断できる尺度があるわけではない。さらに,身体障害者のアクセスや音響に関する不都合も,開催者がどのような対応をとるかとの相関関係によって決まる事柄であって,公園管理者が的確に判断し得ない性質のものである。都立公園をメーデー会場として使用する場合,メーデー行事の開催者が,不都合な点を感じ,公園毎にその種類,程度が異なるとしても,原告ら開催者はこれら不都合な点を対等な立場で甘受すべきであり,これは,メーデー集会が都市公園の目的外使用であり,公園管理者が適正に考慮し得る要素に限界がある以上やむを得ないものであって,原告が都合よいと考える公園を優先的に使用できるものではないのである。そして,証拠(甲49)及び弁論の全趣旨によれば,東京地公労と連合系実行委員会は別個独立の団体であり,かつ,東京地公労に属する組合員全員が連合系メーデーに参加しているわけでもないと認められる以上,東京地公労の一部の組合ないし組合員が既に連合系メーデーに参加しているからといって,東京地公労を原告に劣後させる理由とはならないというべきである。 エ以上の検討から明らかなとおり,原告の指摘する点から,被告機関において原告に対しα公園B地区の占用を許可するとの法規裁量基準を導き出すことは困難である。 のみならず らないというべきである。 エ以上の検討から明らかなとおり,原告の指摘する点から,被告機関において原告に対しα公園B地区の占用を許可するとの法規裁量基準を導き出すことは困難である。 のみならず,集会の自由等は,原告だけでなく東京地公労にも等しく保障されたものであるところ,両者が,α公園B地区という同一の場所を同一の日時に占用することを希望している以上,原告を優先的に取り扱い,東京地公労をこれに劣後させて取り扱うには,東京地公労の集会,表現の自由及び団体行動権を制限し,差別的取扱いを認める合理的理由が必要であるところ,本件全証拠を検討するも,そのような事情を認めるに足りる証拠は存在しない。 以上によれば,原告の主張①(憲法等違反ないし法規裁量違反)は,理由がないことが明らかである。 (2) 原告の主張②(確立された裁量基準違反)についてア原告は,メーデー会場としてα公園B地区を占用したいとの申請が競合した場合には,被告機関は,「相対的に参加者数が多いと見込まれる団体に占用を許可する」という基準及び「α公園B地区は中央メーデー会場としてそれに相応しい団体に占用許可する」という基準に基づき,裁量権を行使してきたところ,本件処分は,前記基準を合理的理由なく変更したものであり,平等原則に反し,裁量権の逸脱・濫用に当たると主張する。 イしかし,平成元年から同13年までの間の被告機関の判断内容は,前記1(3)ウ及びエ,同(4)ウ並びに(5)アで認定したとおりであり,複数の団体から占用許可申請があった場合,原告主張のような二基準が存在し,これに従って占用を許可していたと認めることはできず,そうだとすると,この点の原告の主張は,その余の点を判断するまでもなく理由がないということになる。 ウこの点に関し,本件競合のように,競合申請者のいずれもが, 占用を許可していたと認めることはできず,そうだとすると,この点の原告の主張は,その余の点を判断するまでもなく理由がないということになる。 ウこの点に関し,本件競合のように,競合申請者のいずれもが,予想参加者数から見てα公園B地区以外の都立公園でメーデー集会を開催することが可能な場合,予想参加者数の相対的な多寡を基準にα公園B地区の優先的申請者を決定すべきかが問題となり得るが,本件における原告と東京地公労のように予想参加者数の差が3倍程度に止まる場合においては,両者の権利,利益に明らかな差を認めることは困難であり,被告機関が両者を対等として扱う本件抽せんを選択したことをもって不合理なものであるとすることはできない。 また,ナショナル・センターが中心となって開催するものか否かを考慮してα公園B地区占用の優先順位を決めることは,集会開催団体の性格について公園管理者の価値判断を許容するものであり,集会,表現の自由及び団体行動権の制約に関わる判断基準としては採用することができない。 そして,被告機関が,平成9年以降,全労連系実行委員会に対し,α公園B地区以外の都立公園占用の斡旋理由とした「企画内容」は,公園管理上の支障の有無,程度を判断する際の一要素であると解され,また,平成9年における被告建設局担当者の都知事や総理大臣が出席するとの発言も,都知事,総理大臣が出席する関係上,警備やマスコミ対応が必要となるが,前年には適切な対処がなされており,会場変更に伴う新たな警備計画等の立案,実施といった不安定要素が生じることは好ましくないとの趣旨と解される上,都知事,総理大臣の参加と当該集会がナショナル・センター開催のメーデーか否かは,関係がない。さらに,前記1(5)アの認定によれば,被告機関が平成13年に東京連合及び東京地公労に対して,行政指導により 知事,総理大臣の参加と当該集会がナショナル・センター開催のメーデーか否かは,関係がない。さらに,前記1(5)アの認定によれば,被告機関が平成13年に東京連合及び東京地公労に対して,行政指導によりα公園B地区以外の都立公園占用を斡旋したのは,東京連合及び東京地公労がナショナル・センターでないからではない。 結局,被告機関が,連合系実行委員会に対してα公園B地区占用を継続的に許可したのは,同委員会は,α公園B地区以外の都立公園ではメーデー集会を開催することができないが,全労連系実行委員会は,そのような状況にないとの予測,判断が継続した結果であって,原告が主張する基準があったものではないのである。 なお,前記1(3)ウ及びエで認定したとおり,平成元年は,被告機関が優先的申請者を決めたものでなく,被告機関の判断は,占用許可申請に対する許否そのものの判断であるから,本件とは前提を異にするものであるというべきであるが,前記1(3)エで認定したとおり,平成元年の都労連に対する不許可理由も,都労連がナショナル・センターでないからとはなっていない。この点,原告が援用する「メーデーのためのα公園B地区の占用申請について」の「審査の結果占用許可の判定表」の記載も,マスコミ向けの説明であり(前記1(3)オ),直ちに被告機関の不許可理由とすることはできず,むしろ,被告機関から通知された理由によれば,公園管理上の支障の有無,程度の観点から考慮されたにすぎないというべきである。 エ以上によれば,原告の主張②(確立された裁量基準違反)も理由がない。 (3) 原告の主張③(4万人基準)についてア原告は,被告の主張する4万人基準は存在せず,その前提となる事実もないと主張するので,この点について判断する。 イ前記1(4)ウで認定したとおり,被告機関は,平成2年から (4万人基準)についてア原告は,被告の主張する4万人基準は存在せず,その前提となる事実もないと主張するので,この点について判断する。 イ前記1(4)ウで認定したとおり,被告機関は,平成2年から同12年までの間,連合系実行委員会について,α公園B地区以外の都立公園ではメーデー集会を開催することができないと予測される状況が継続し,全労連系実行委員会については,そのような状況は認められないと判断しているが,その際,両者を区別する基準となる予想参加者数が具体的に意識された形跡はない。しかし,別表によれば,被告機関は,過去数年の参加者数が,おおむね連合系メーデーは4万数千人から5万数千人,全労連系メーデーは3万数千人台で推移しているとの客観的事実を前提に判断していることが明らかであり,当該判断は,従前の占用許可の内容及び利用実績を踏まえた公園管理者による公園管理上の支障の有無,程度に関する判断として,合理性を欠くものということはできない。なお,前記期間中,平成7年は,連合系メーデーへの参加者数が全労連系メーデーへの参加者数を下回り,また,平成11年は,連合系メーデーへの参加者数が前年の5万人から3万4000人へと大きく減少しているが,単年度だけの結果から翌年の動向を予測することは,確実性において問題があり,被告機関が,複数年の動向から判断して,継続して連合系実行委員会を優先的申請者としたことには,合理性があるというべきである。 そして,前記1(6)で認定したとおり,被告機関は,平成14年に本件抽せんを行うか否かを検討した際,α公園B地区以外の都立公園ではメーデー集会を開催することが不可能か否かを判断する基準として,予想参加者数が4万人を超えるか否かという具体的数値を用いている。この4万人という数値は,都立公園における占用許可対象面積が前記 園ではメーデー集会を開催することが不可能か否かを判断する基準として,予想参加者数が4万人を超えるか否かという具体的数値を用いている。この4万人という数値は,都立公園における占用許可対象面積が前記1(7)で認定したとおりであること,集会における1人当たりの適正な占用面積は1㎡であるとの判断を前提に,従前の占用許可の内容及び利用実績を踏まえて導き出されたものとして,一応合理性のある基準と認められる。この点,原告は,東京地方裁判所昭和27年4月28日判決では,メーデーのような密集することを適当とする集会においては,1坪6人以上10人近く収容することが可能である旨判示されていると主張するが,証拠(甲38の2ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,現時点においては,公園全体についてそのような密集した状態で集会が開かれることはないと認められ,このことは,平成9年における全労連系実行委員会と公園緑地部との折衝において,全労連系実行委員会から,前年における参加者数3万3000人の集会では,γ公園ではかなり窮屈であるとの発言があったと認められること(証人P1【10頁】,弁論の全趣旨)に照らしても相当である。また,原告は,ε公園及びζ海浜公園は,4万人以上の集会が可能であると主張するが(2002年12月12日付準備書面(5)9頁),そもそも,原告は両公園がメーデー会場として適していないとも主張し(同書面20頁,2002年7月22日付準備書面(2)11頁,同年8月20日付準備書面(3)2頁),別表によれば,過去の全労連系実行委員会も1回ずつ使用しただけで,再度利用しておらず,背理というべきである上,証拠(甲43,44)によれば,両公園は,過去5年間に1万㎡を超える面積を使用した集会に使用されていないことが認められ,およそ集会開催者から敬遠されてた公園であると ておらず,背理というべきである上,証拠(甲43,44)によれば,両公園は,過去5年間に1万㎡を超える面積を使用した集会に使用されていないことが認められ,およそ集会開催者から敬遠されてた公園であるというべきであるから,両公園の収容能力如何により,公園管理者として前記判断の合理性が左右されるものではない。 ウ以上によれば,原告の主張③(4万人基準)も理由がない。 (4) 原告の主張④(全労連に対する差別等)についてア原告は,本件処分は,全労連に対する差別,排除又は東京地公労に対する身びいきからなされたものであると主張するので,この点について判断する。 イ証拠(甲40)によれば,平成13年の全労連系実行委員会によるα公園B地区の占用許可申請について,「知事周辺が『公園の補修工事を口実に不許可にせよ』と指示してきた」との報道がなされたことが認められる。しかし,平成13年の占用許可に関与した証人P2は,そのようなことを聞いたことがない旨証言していること(証人P2【24頁】),被告機関が,平成元年から同12年までの間,連合系実行委員会に対してα公園B地区の占用許可を継続して与えていた理由は,前記イ及びウのとおりであること,被告機関は,平成13年には抽せんを行わずに,全労連系実行委員会を優先的申請者として取り扱い,同委員会はα公園B地区でメーデー集会を開催していること(前記1(5)ア),被告には,原告の構成団体に加入している職員も存在すること(弁論の全趣旨)などに照らすと,被告ないし被告機関が,全労連を差別,排除し,あるいは,東京地公労を身びいきするといった目的で,本件抽せんを行おうとしたと認定することは困難というべきである。 そして,他に,原告の主張④を証するに足りる証拠は存在しない。 ウ以上によれば,原告の主張④(全労連に対する差別等)も理由 った目的で,本件抽せんを行おうとしたと認定することは困難というべきである。 そして,他に,原告の主張④を証するに足りる証拠は存在しない。 ウ以上によれば,原告の主張④(全労連に対する差別等)も理由がない。 4 結論以上の検討結果から明らかなとおり,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がないので,これを棄却することにする。 東京地方裁判所民事第36部裁判長裁判官難波孝一裁判官増永謙一郎裁判官笹川ユキコ

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る