平成12(ネ)215 債務不存在確認請求控訴

裁判年月日・裁判所
平成13年12月7日 広島高等裁判所 岡山支部
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判決文本文6,453 文字)

主文 一原判決を取り消す。 二被控訴人が控訴人Fを除く各控訴人に対し,原判決添付別紙目録1記載の下水道設備のうち,当判決末尾添付の別紙図面一ないし三の青線表示部分を除く部分につき,利用させる義務のないことを確認する。 三被控訴人の控訴人Fに対する請求並びに同控訴人を除く各控訴人に対するその余の請求をいずれも棄却する。 四訴訟費用は第一審,二審を通じ,被控訴人と控訴人Fとの間では被控訴人の負担とし,同控訴人を除く控訴人らとの間ではこれを10分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を上記控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一控訴人ら 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は第一審,二審とも,被控訴人の負担とする。 二被控訴人本件控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 第二本件請求被控訴人は,原判決添付別紙目録1記載のG団地所在の下水道設備全部につき,所有する旨主張し,上記団地内に原判決添付別紙目録2記載の各区画宅地をそれぞれ所有する控訴人らに対し,控訴人らには上記下水道設備の利用権原がない旨主張して,被控訴人が控訴人らに上記下水道設備を利用させる義務のないことの確認を求め,原判決は,被控訴人の控訴人らに対する本件確認請求をいずれも全部認容した。 第三当事者の主張一争いのない事実(前提事実)原判決「第二事案の概要一争いのない事実」欄に記載のとおりであるからこれを引用する。 二争点次のとおり改めるほかは,原判決「第二事案の概要二争点」欄に記載のとおりであるからこれを引用する。 1 原判決5頁4行目の冒頭に「(1))を付加し,7行 るからこれを引用する。 二争点次のとおり改めるほかは,原判決「第二事案の概要二争点」欄に記載のとおりであるからこれを引用する。 1 原判決5頁4行目の冒頭に「(1))を付加し,7行目「一切の権利,権限を承継し」を「一切の権利,権限の譲渡を受け」と改め,10行目「権利,権限を」の次に「買受当事者を,上記請求者団が設立するH株式会社とする旨合意の上,」と挿入する。 2 6頁1行目「G団地造成工事請求者団」から2行目「買受当事者)」までを「前記H株式会社」と改め,3行目「一切の権利,権限を承継し」を「一切の権利,権限の譲渡を受け」と改める。 3 6頁6行目「原告は」から10行目「明らかである。」までを次のとおり改める。 当判決添付別紙図面一ないし三の青線表示部分については,I建設が既に設置していた下水道設備であるところ,前記譲渡により,被控訴人は,上記下水道設備の所有権の譲渡を受けた。 (2) 被控訴人は,前記開発者たる地位の承継の申立以降,G団地内の法面,道路,側溝,下水設備,一部宅地区画などの構築,整備の造成工事をしてきた。前記既存の下水道設備を除く未完成部分であった本件下水道設備は,被控訴人が,新設工事をなし,その所有権を原始取得した。 4 7頁5行目「本件下水道設備は,」の次に,倉敷市に寄付された団地内道路下に設置されており,」と挿入し,6行目「内容をなしている。」の次に「したがって,その所有権は道路所有者たる倉敷市に帰属する。」と挿入する。 5 同頁6行目の次に行を改め,次のとおり挿入する。 (2) I建設は,住宅団地であるG団地を造成し,多数の者に区画宅地を分譲したものであるところ,いずれもI建設から,控訴人Aは,原判決添付別紙目録2記載の454番17の宅地を昭和46年4月1日買い受け, ) I建設は,住宅団地であるG団地を造成し,多数の者に区画宅地を分譲したものであるところ,いずれもI建設から,控訴人Aは,原判決添付別紙目録2記載の454番17の宅地を昭和46年4月1日買い受け,Kは456番69の宅地を昭和47年4月1日買い受け,平成8年11月30日,同人から控訴人Bが交換により取得し,Lは505番50の宅地を昭和46年7月30日買い受け,昭和54年5月31日,同人から控訴人Cが交換により取得し,控訴人Dは,505番51の宅地を昭和46年10月6日買い受け,M,Nは505番53の宅地を昭和46年11月5日買い受け,控訴人Eが昭和57年11月4日競落により取得した。 ① I建設は,分譲宅地に隣接する道路下に水道管とともに下水道管を埋設し,それに接続するための施設を設置した上,前期分譲をなしたものであり,格別の負担を要せず,上記下水道設備を分譲地買受人に利用させる旨約した。 6 同頁7行目の冒頭に「②」を付加し,8頁7行目冒頭の「(2)」を「(3)」と改める。 7 8頁10行目「宅地を」の次に「造成して」と挿入する。 8 11頁8行目の冒頭に「(2)下水道設備を分譲地買受人に利用させる旨の約定あるいは」と付加する。 9 12頁1行目「利用権」の次に「設定」と挿入する。 第四当裁判所の判断一争点1について(本件下水道設備の所有権) 1 証拠(甲1ないし3,4の1,2,5,18,19,22,31,32ないし34の各1,2,乙10の1ないし4,11の1ないし3,12の1ないし4,13の1ないし3,14の1,2,20,27,30,31,原審及び当審における被控訴人代表者)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ① I建設は,G団地の用地を地主から取得し,昭和45年3月から開発,造成工 ,2,20,27,30,31,原審及び当審における被控訴人代表者)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ① I建設は,G団地の用地を地主から取得し,昭和45年3月から開発,造成工事に着手して,控訴人ら(控訴人Fを除く)若しくはその前主を含む買受人に対し,区画宅地を分譲し,昭和48年2月27日,都市計画法43条2項所定の県知事による開発許可を受けたが,倒産し,同年3月20日,J株式会社にG団地に関する一切の権利,権限を譲渡した。Jは,G団地の未分譲宅地を分譲したが,造成工事を完成しないまま倒産して会社更生法の適用を受け,更生債権者で更生されるG団地土地造成工事請求者団が,昭和54年11月28日,G団地内の残った宅地部分,道路,法面等の土地につき,同請求者団が設立したH株式会社を買受当事者として,更生会社Jから買い受け,さらに,昭和56年3月16日,J株式会社債権者G団地期成同盟がその譲渡を受け,その後,さらに被控訴人がその譲渡を受けた。被控訴人は,昭和57年4月6日付けで,I建設の前記G団地の開発許可に基づく地位の承継の承認申立てを県知事になし,平成2年4月19日,県知事の承認を受け,上記申立時以降,G団地内の法面,道路,側溝,下水道,一部宅地区画などの構築,整備,維持管理等の造成工事をなしてきた。そして,団地内の道路の一部について,その下に埋設されている下水道管の敷設の占用許可を受けた上,倉敷市に寄付した。 ② 本件下水道設備は,団地内道路に敷設されているが,I建設が,宅地分譲時において,設置していた既存のものと,被控訴人が,新たに設置したものとがある。既存の下水道設備は,マンホール等に下水が流れ込むようになったままであり,下水はそこから,被控訴人が新設した下水道設備に流れ込むようになっている。控訴人らに関係す 人が,新たに設置したものとがある。既存の下水道設備は,マンホール等に下水が流れ込むようになったままであり,下水はそこから,被控訴人が新設した下水道設備に流れ込むようになっている。控訴人らに関係する部分の既存下水設備は当判決添付の別紙図面一ないし三の青線表示部分である。 ③ 本件下水道設備は,公共下水道に接続しておらず,独自に浄化槽を有して河川に排水する方式になっていて,私人による維持管理を要する(したがって下水道法の適用はない)。 以上認定したところによると,被控訴人は,G団地内の残存土地,道路等やG団地の開発許可に基づく地位の承継を受けることに付随して,これらに伴うすべての権利権限を承継したものと解され,I建設設置の既存下水道設備部分についてもその中に含まれるものとして,その所有権を承継取得し,その余の部分の本件下水道設備については,自らの新設工事によりその所有権を原始取得し,本件下水道設備全部を所有するものと認定することができる。 そして,本件下水道設備はそれ自体,独立性を有する所有権の客体たる動産として,その所在土地の所有権の内容となるものでないことは明らかであって,その所在土地に附合するものとは認められない。 二争点2について(控訴人らの本件下水道設備の利用権原) 1 控訴人Fを除く控訴人らの利用権原証拠(甲10,11の1,14の1,15,16の1)及び弁論の全趣旨によると,いずれもI建設から,控訴人Aは,原判決添付別紙目録2記載の454番17の宅地を昭和46年4月1日買い受け,Kは456番69の宅地を昭和47年4月1日買い受け,平成8年11月30日,同人から控訴人Bが交換により取得し,Lは505番50の宅地を昭和46年7月30日買い受け,昭和54年5月31日,同人から控訴人Cが交換により取 を昭和47年4月1日買い受け,平成8年11月30日,同人から控訴人Bが交換により取得し,Lは505番50の宅地を昭和46年7月30日買い受け,昭和54年5月31日,同人から控訴人Cが交換により取得し,控訴人Dは,505番51の宅地を昭和46年10月6日買い受け,M,Nは505番53の宅地を昭和46年11月5日買い受け,控訴人Eが昭和57年11月4日競落により取得したことが認められる。 そして,証拠(乙2の1,原審証人L,当審証人O,原審控訴人A本人)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 ① I建設は,G団地の区画宅地を分譲するに当たっては,水道の宅地引込みについて実費1万5000円を徴収する一方で,排水施設についての買主負担はないものとし,控訴人らあるいはその前主に対する宅地分譲に際しても,既に前記下水道設備を設置し,側溝への排水とは別に,下水道設備への生活排水等の排水ができるようにしており,I建設による宅地分譲については,当然に下水道設備の利用権が付着する一般の分譲契約と異なるところはなかった。 ② 控訴人Eを除く控訴人らは,その取得宅地上に建物を建築所有しておらず,上記の既存下水道設備を利用してこなかったが,近隣の居住者はこれを日常利用しており,被控訴人においても,上記下水道設備について分譲地取得者が利用する権利を有していたことは十分承知していた。 そして,上記認定したところによると,既存下水道設備については,分譲地の取得に付随して,当然に取得者がその利用権を取得し,反面,上記下水道設備の所有権には,その性質上,利用権の負担が付着しているものと解されるから,被控訴人において,これを利用すべき分譲地取得者である控訴人らに対し,これを利用させる義務があることとなる。 控訴人Bの前主で には,その性質上,利用権の負担が付着しているものと解されるから,被控訴人において,これを利用すべき分譲地取得者である控訴人らに対し,これを利用させる義務があることとなる。 控訴人Bの前主であるKへの456番69宅地の譲渡は,債権回収目的でなされた旨のI建設の陳述書(甲20の1)が提出されているが,分譲地の譲渡がなされたことに異同はないから,このことをもって上記下水道設備利用権を否定する根拠とすることはできない。 他方,既に分譲されていた宅地の所有者に対し,下水道設備を完成し,あるいは補修すべき義務を被控訴人が負うべき根拠は見出せず,I建設に下水道設備を完成すべき義務が残っていたとしても,これを被控訴人が承継すべき根拠はない。 而して,被控訴人が新設した下水道設備については,前示のとおり,既存の下水道からの排水が事実上流入する結果となりうるが,その場合には,民法221条の適用あるいは類推適用等により,同条2項所定の応分の工作物設置保存費用を負担すべきこととなる。 しかし,本件においては,上記の応分費用を負担しての利用権原についての主張はないから,被控訴人が新設した下水道設備については,被控訴人において,Fを除く控訴人らにこれを利用させる義務はないものと判断するほかない。 2 控訴人Fの利用権原控訴人F及びその義母であるP所有土地の登記簿上の所有権変動の経緯については,原判決18頁4行目から23頁8行目までの記載をここに引用する。 上記登記簿上の所有権変動の経緯と,乙8,9の1ないし7,原審及び当審証人Qの証言並びに弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 ① 控訴人F及びその義母であるPは,昭和45年ころ,G団地の開発地域内にあるその所有土地を提供して,造成後,その約半分の面積の宅 証人Qの証言並びに弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 ① 控訴人F及びその義母であるPは,昭和45年ころ,G団地の開発地域内にあるその所有土地を提供して,造成後,その約半分の面積の宅地の返還を受ける旨,I建設との間で合意して,所有宅地を提供したが,提供者側の窓口であったQが事故に遭遇して2年間入院治療を受けたり,I建設が倒産したことなどから,返還を受ける宅地の具体的な内容について話ができないまま推移し,昭和61年ころ,被控訴人代表者であった故Rとの間で,Qを窓口として交渉をするようになった。 ② しかし,そのころには,返還の対象となる残存の宅地も少なくなっていて,選択の余地は少なく,返還対象土地は早期に決まったが,当時の種々の事情を考慮して,返還面積を決めることとなり,Rにおいて,法面負担分15パーセント,道路負担分16・3パーセント,上下水道負担分14パーセントを控除した残地面積からさらに造成工事費負担分として30パーセントを控除した残地面積を返還する旨の提案がなされるなどして,これをもとに交渉が進み,最終的に,提供した土地の合計面積1546平方メートル(実測面積1465平方メートル)に対し,542・06平方メートルの宅地が返還されることとなり,境界を確認した上,被控訴人において分筆,合筆,所有権移転等の登記手続きをなした。本件の宅地は,上記返還された宅地の一部である。 上記認定したところによると,控訴人Fは,本件の宅地を取得するに当たり,上下水道利用を前提とする相当の負担をなしたことが認められ,被控訴人の有する既存,新設の下水道設備の利用の対価を一括して支払い,被控訴人から本件下水道設備の利用権設定を受けたものと評価することができる。 三結論そうすると,被控訴人が控訴人Fを除く各控訴人に対する 既存,新設の下水道設備の利用の対価を一括して支払い,被控訴人から本件下水道設備の利用権設定を受けたものと評価することができる。 三結論そうすると,被控訴人が控訴人Fを除く各控訴人に対する債務不存在確認請求は,原判決添付別紙目録1記載の下水道設備のうち,当判決末尾添付の別紙図面一ないし三の青線表示部分を除く部分につき,利用させる義務のないことを確認する限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないから棄却すべく,被控訴人の控訴人Fに対する債務不存在確認請求は理由がないから棄却すべきである。 よって,これと結論を異にする原判決を取り消し,上記のとおりの裁判をすることとし,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法67条2項前段,61条,64条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所岡山支部第一部裁判長裁判官片岡安夫裁判官金馬健二裁判官石原稚也

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