- 1 - 主文 1 一審原告Aの控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。 2 一審被告らは,一審原告Aに対し,連帯して388万5778円及びこれに対する平成24年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 一審原告Aのその余の請求をいずれも棄却する。 4 一審被告D及び一審被告Eの各控訴をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は第1,2審を通じてこれを10分し,その3を一審被告らの,その余を一審原告Aの各負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 一審原告A(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 一審被告らは,一審原告Aに対し,連帯して1404万5820円及びこれに対する平成24年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 一審被告D及び一審被告E(1) 原判決中一審被告D及び一審被告Eの敗訴部分を取り消す。 (2) 前項の取消部分につき,一審原告Aの請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は,一審原告Aが,一審被告千葉市の設置する千葉市立F小学校(以下「本件小学校」という。)の5年生に在学中に,一審被告D及び一審被告E(以下両名を併せて「一審被告Dら」という。)の子であるHからいじめを受け,かつ,一審原告A及びHが在籍していたクラスの学級担任であったI教諭を始めとする本件小学校の校長及び教員(以下「I教諭ら」という。)がHの言動に関して適切な措置をとらなかったことにより肉体的,精神的苦痛を受け,- 2 -心的外傷後ストレス障害(以下「PTSD」という。)を発症したと主張して,一審被告らに対し,当時Hの監督義務者であった一審被告Dらについては民法714条1項に基づき,一審 苦痛を受け,- 2 -心的外傷後ストレス障害(以下「PTSD」という。)を発症したと主張して,一審被告らに対し,当時Hの監督義務者であった一審被告Dらについては民法714条1項に基づき,一審被告千葉市については国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償として1404万5820円及びこれに対する最終の不法行為の日(本件小学校での冬休み前の最終登校日)である平成24年12月21日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 原審は,一審原告Aの請求を一審被告Dらに対し33万円及びこれに対する上記遅延損害金の連帯支払を求める限度で認容し,一審被告Dらに対するその余の請求及び一審被告千葉市に対する請求をいずれも棄却したところ,一審原告A及び一審被告Dらは,それぞれ敗訴部分を不服として本件各控訴を提起した。 2 前提事実,争点及び当事者の主張は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第2の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決3頁9行目冒頭から10行目末尾までを「一審被告Dらは,Hが小学校5年生であった当時,親権者として同人の監護及び教育をする義務を負っていた。」に改める。 (2) 原判決7頁24行目末尾に次のとおり加える。 「これらは,対等な児童同士の間でたまたま数回振るわれた暴力というものではなく,本件クラスにおいて,I教諭から見放され,同教諭を頂点として,一審原告Aはいじめてもいいやつだという空気の充満する中で繰り返し行われることによって,一審原告Aは自信も自尊心も次第に失っていった。無力になった一審原告Aに対し,日々暴力が繰り返されて,誰も助けてくれず,学級担任にさえ見捨てられたという絶望感をもたらすい 返し行われることによって,一審原告Aは自信も自尊心も次第に失っていった。無力になった一審原告Aに対し,日々暴力が繰り返されて,誰も助けてくれず,学級担任にさえ見捨てられたという絶望感をもたらすいじめの構造が本件クラスには存在した。」- 3 -(3) 原判決7頁24行目末尾に改行して次のとおり加える。 「オその他なお,(ア) 平成25年1月15日の漢字テスト中に一審原告Aがカンニングをしたとされているのは,事実と異なる。(イ) 平成26年4月22日に,本件小学校からの回答に父母が激高し,さらに,I教諭が謝罪文を作成したのに対し,父母が書き直しを要求した事実はない。以上のほかにも,I教諭や本件小学校の作成に係る文書には虚偽の事実が記載されている。」(4) 原判決8頁1行目冒頭から8行目末尾までを次のとおり改める。 「 一審原告Aが主張するHの行為のうち,ア(ア)に記載のHが,平成24年10月15日,ドジョウがザリガニの水槽に入っているのを発見し,一審原告Aがしたものであると勘違いをし,怒って一審原告Aに殴りかかったこと(ただし,「叩こうとした」との表現が適切である。),ア(ウ)に記載のHが,同月29日,一審原告Aの左耳を殴ったこと(ただし,通せんぼしてからかおうとしていた際の出来事であり,Hが一審原告Aの耳をつねり,耳をつねり返されたHが右腕を振り回したところ,一審原告Aの耳に当たったとの表現が正確である。)は認め,イに記載のHが一審原告Aの後ろの席になっていた時期のことについては,同年11月某日,Hが授業中に自分の前の席に座っていた一審原告Aをからかう意図で,消しゴムと布製の筆箱を放ったことの限度で認め,その余は否認する。Hが一審原告Aに対し,いじめに当たる行為をしたことはない。仮に,一審原告Aが主張するHの行為 座っていた一審原告Aをからかう意図で,消しゴムと布製の筆箱を放ったことの限度で認め,その余は否認する。Hが一審原告Aに対し,いじめに当たる行為をしたことはない。仮に,一審原告Aが主張するHの行為があったとすれば,本件小学校から一審被告Dらに何らかの連絡があったはずであるが,本件小学校からは上記ア(ア)及びア(ウ)の2件に関する連絡があったにとどまる。」(5) 原判決8頁16行目の「(ア)」を「ア(ア)」に,17行目の「(イ)」を「ア(ウ)」にそれぞれ改める。 - 4 -(6) 原判決8頁21行目末尾に次のとおり加える。 「イの消しゴムと布製の筆箱を放った行為は,社会通念上許される限度を超えて,客観的に違法・不当な行為として損害賠償責任を生ぜしめるべき行為とは評価し難い。」(7) 原判決9頁8行目の「I教諭を」から9行目の「という。)」までを「I教諭ら」に改める。 (8) 原判決10頁4行目の「I教諭」を「I教諭ら」に改める。 (9) 原判決11頁23行目の「通告」の次に「の措置」を加える。 (10)原判決12頁8行目の「10月24日までの間」の次に「,同日付け請求拡張の申立書別紙2「医療費一覧」記載のとおり」を加える。 (11)原判決12頁10行目の「及び」から11行目の「カウンセリング」までを削り,12行目の「金額は,」の次に「スポーツ災害共済給付金受領分を除く」を加える。 (12)原判決30頁18行目末尾に改行して次のとおり加え,19行目の「(3)」を「(4)」に,23行目の「(4)」を「(5)」にそれぞれ改める。 「(3) 23条(いじめに対する措置)ア 1項学校の教職員(中略)は,児童等からいじめに係る相談を受けた場合において,いじめの事実があると思われるときは,(中略)適切な措置をとるものとする。 3) 23条(いじめに対する措置)ア 1項学校の教職員(中略)は,児童等からいじめに係る相談を受けた場合において,いじめの事実があると思われるときは,(中略)適切な措置をとるものとする。 イ 2項学校は,(中略)当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは,速やかに,当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに,その結果を当該学校の設置者に報告するものとする。 ウ 3項- 5 -学校は,前項の規定による事実の確認によりいじめがあったことが確認された場合には,いじめをやめさせ,及びその再発を防止するため,当該学校の複数の教職員によって,心理,福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ,いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。 エ 4項学校は,前項の場合において必要があると認めるときは,いじめを行った児童等についていじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講ずるものとする。 オ 5項学校は,当該学校の教職員が第3項の規定による支援又は指導若しくは助言を行うに当たっては,いじめを受けた児童等の保護者といじめを行った児童等の保護者との間で争いが起きることのないよう,いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。(6項は省略)」第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,一審原告Aの請求は一審被告らに対し388万5778円及びこれに対する上記遅延損害金の連帯支払を求める限度で認容し,その余の請求はいずれも (6項は省略)」第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,一審原告Aの請求は一審被告らに対し388万5778円及びこれに対する上記遅延損害金の連帯支払を求める限度で認容し,その余の請求はいずれも棄却すべきであると判断する。その理由は,以下のとおりである。 2 認定事実前提事実に加えて,証拠(甲4~6,15,16,20~22,46,64の2,丙3,原審における証人I,一審原告A法定代理人親権者B及び一審原告Aのほかに,後記各項に掲記したもの。ただし,後記認定に反する部分を除- 6 -く。)及び弁論の全趣旨により認められる事実は,以下のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第3の1(1)ないし(8)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決15頁22行目の「暴力を振るう」を「暴力を振るったり,注意や非難をした児童をにらみつける」に改める。 (2) 原判決15頁24行目の「あったため,I教諭は」を「あった。そこで,I教諭は,自分の意見を強く通そうとする児童とHが一緒にならないようにグループ分けに配慮するとともに」に改める。 (3) 原判決16頁2行目の「根気強く指導していた。」を次のとおり改める。 「繰り返し言い聞かせて指導していたが,Hは,目撃者がいても叩いたことを否定することがあり,その際の態度は叩いたことを記憶していないかのように見えることもあった。Hは,I教諭が相手方に謝罪するよう促すと黙り込み,さらに強く叱るとようやく頭を少し下げる仕草をするものの,心からの反省及び謝罪には至らず,Hの上記のような行状が改まる様子はみられなかった。 本件クラスの多くの児童は,同年9月頃になると,Hへの接し方を習得し,Hを刺激しないように柔らかな口調で注意するようになったため,Hが暴力を振るうことは減ってき 状が改まる様子はみられなかった。 本件クラスの多くの児童は,同年9月頃になると,Hへの接し方を習得し,Hを刺激しないように柔らかな口調で注意するようになったため,Hが暴力を振るうことは減ってきたが,二,三人の正義感が強く,思ったことをストレートに表現する児童に対しては,Hが頻繁に手を出す状態が続いていた。」(4) 原判決16頁13行目の「原告は」から19行目の「述べた。」までを次のとおり改める。 「一審原告Aは,Hと特に親しい間柄にはなかったが,良くないことは良くないと言う方であり,Hに注意をして叩かれたり,Hからにらまれたりちょっかいを出されたりすることがあった。一審原告AがI教諭に対し,このことを訴えたところ,I教諭は一審原告Aに対し,「いちいち取り合わ- 7 -なくていい。」,「言いに来なくていい。」と述べた。」(5) 原判決18頁13行目の「甲6」の次に「,35,36」を加える。 (6) 原判決18頁20行目末尾に改行して次のとおり加える。 「エ平成24年10月頃,Hは,「一審原告Aがむかつく」などといった言い方をして繰り返し一審原告Aを叩くようになった(以下「本件出来事4」という。)。I教諭がHに対し,なぜ一審原告Aを叩くのか尋ねると,Hは,「他の人はいいけれどAに言われると許せない。」と答えた。」(7) 原判決19頁1行目冒頭から「できなかった。」までを「ことはできないと考え,Hと一審原告Aを離れた席に座らせることをしなかった。」に改める。 (8) 原判決19頁3行目の「平成24年11月頃」の次に「,複数回にわたり」を加える。 (9) 原判決19頁11行目末尾に改行して次のとおり加える。 「エ本件クラスにおける他の児童らは,当初は自分たちもHの突発的な暴力等の対象になっていたこともあって,Hの にわたり」を加える。 (9) 原判決19頁11行目末尾に改行して次のとおり加える。 「エ本件クラスにおける他の児童らは,当初は自分たちもHの突発的な暴力等の対象になっていたこともあって,Hの行動を非難したり制止したりする発言が多くみられたが,Hの攻撃的言動が一審原告Aに集中してきた頃には,そのような発言をする児童は減り,静観する児童が増えてきていた。また,Hと一審原告Aがトラブルになると,一審原告Aを擁護することなく,Hだけでなく一審原告Aをも制止するようになり,一審原告Aは,このような本件クラスの雰囲気と,Hに対し通り一遍の指導以上のことはしようとしないI教諭の対応から,本件クラスで孤立していると感じ,精神的に追い詰められていった。(甲46,72)」(10)原判決19頁20行目冒頭から22行目の「注意した。」までを次のとおり改める。 「イ I教諭は,平成25年1月15日の漢字テストの終了後,一審原告A- 8 -を呼び出し,同人がカンニングをしていたと指摘して注意した(なお,一審原告Aは,机の中をかき混ぜていただけで,カンニングはしていない旨主張及び供述しているところ,本件全証拠によっても,一審原告Aが実際にカンニングをしていたか否かは不明である。)。」(11)原判決21頁8行目の「話した」の次に次のとおり加える。 「(なお,I教諭は,Hの暴力等について特別支援部会において報告し,他の教員から指導を受けていたと述べる((1)イ)が,具体的にどのような報告をし,どのような指導を受けたのかは明確でない(甲66の2,原審証人I)。)」(12)原判決21頁12行目の「原告も泣き出して」の次に「,話をしても通じないからもういいと言って」を加える。 (13)原判決21頁16行目冒頭から25行目の「交付した。」までを次のとお 。)」(12)原判決21頁12行目の「原告も泣き出して」の次に「,話をしても通じないからもういいと言って」を加える。 (13)原判決21頁16行目冒頭から25行目の「交付した。」までを次のとおり改め,25行目の「丙1」の次に「,3」を加える。 「(8) 平成26年以降の出来事ア父は,平成26年3月11日付けで,本件小学校の校長に対し,Hのいじめに関する調査報告書を同月18日までに提出するよう求めた(前提事実(3)ア)。本件小学校は,先行して提出することができる回答のみを記載した回答書(甲4)を作成し,これを同年4月22日の朝,父母に交付した。その内容は,前提事実(3)イのとおりであり,「Hが,一審原告Aに対し,継続的に暴力を振るったことは,一審原告Aに心理的・物理的な影響を与えた行為であり,一審原告Aが心身の苦痛を感じていたことから,いじめ防止対策推進法に定義するいじめが存在したと考える」との記載はあったが,その他の質問事項については,事実経過等の確認を行い,後日回答を提出するというものであった。 父母は,上記回答書にI教諭ら本件小学校側の不適切な対応につい- 9 -て記載がないことに激高し,I教諭との面談を要求し,同日の夕方,面談の場において,I教諭に対し,謝罪文を書くよう要求した。I教諭は,「いちいち取り合わなくていい。」,「言いに来なくていい。」などと述べたことを認めたが,このように述べたのは,教諭に言ったとHに思われて,また一審原告AがHから暴力を振るわれると困るので,一審原告AをHの暴力から遠ざけるためであったが,その真意を一審原告Aに告げていなかったため,誤解を招いたことは反省している旨父母に告げ,その旨を記載した謝罪文を作成し,これを父母に交付した。しかし,父母は,同文書は言い訳であって謝罪文になっ ,その真意を一審原告Aに告げていなかったため,誤解を招いたことは反省している旨父母に告げ,その旨を記載した謝罪文を作成し,これを父母に交付した。しかし,父母は,同文書は言い訳であって謝罪文になっていないと言って,I教諭に書き直しを要求した。I教諭は,上記発言の意図の部分を削り,謝罪の趣旨の文言を付け加えた謝罪文(甲5)を作成し,これを父母に交付した。同謝罪文には,「Hからのちょっかいや暴力を受けて,一審原告Aがそのことを訴えてきたとき,「いちいち取りあわなくていい,言いにこなくていい。」という内容のことを伝えたと思います。」,「Hの暴力に対して」,「暴力もエスカレートし」,「暴力をうけていたとき,1度や2度ではなく,続いていたとき」などの,一審原告Aに対するHの暴力があった旨の記載があるところ,I教諭は,自身の対応が不十分であった旨の記載については,父母に強く言われ,これを書かないと収まらないと思い書き足したが,それ以外の記載部分は事実である旨述べている。」 3 争点1(Hが一審原告Aに対しいじめに当たる行為をしたか)について争点1に対する判断は,以下のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第3の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決22頁25行目の「(認定事実(1)ウ)」の次に「,I教諭が確認した際,Hも上記の経緯であることを認めたこと(丙3,原審証人I)」を加える。 - 10 -(2) 原判決23頁15行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 また,同年10月頃,Hは,「一審原告Aがむかつく。」などといった言い方をして繰り返し一審原告Aを叩くようになったこと(本件出来事4)が認められる。なお,その頻度については,証拠(甲5,6,原審証人I,原審における一審原告A本人)によれば,毎日 。」などといった言い方をして繰り返し一審原告Aを叩くようになったこと(本件出来事4)が認められる。なお,その頻度については,証拠(甲5,6,原審証人I,原審における一審原告A本人)によれば,毎日というほどではないものの,継続的と感じられる程度には頻繁であったと認められる。」(3) 原判決23頁16行目冒頭から24頁10行目末尾までを次のとおり改める。 「 一審原告Aは,本件出来事1ないし4のほかにも,本件出来事1の際にHから首を絞められるなど一審原告Aの主張どおりのいじめに当たるHの行為があったと主張し,父が一審原告Aから平成28年5月8日以降に聴取した内容を記載したという平成29年6月14日付け聴取報告書(甲12),父の同年10月31日付け陳述書(甲18),一審原告A作成の陳述書(甲37)及び原審における一審原告A本人尋問の結果中には同主張に沿う部分があり,医療記録(甲77)には,平成27年11月27日以降に,一審原告Aが首を絞められたという話を医師にした旨の記載が存在する。しかし,本件出来事1は他の児童のいるところで起きた出来事であり,首を絞めるというような過激な暴力行為が行われたのに,そのことが問題になっていないのは不自然であること,一審原告Aは平成25年1月以降少しずつ親にいじめのことを話せるようになったと述べ(原審における一審原告A本人),父は同年3月までにいじめについて大体のことは分かったと述べる(原審における一審原告A法定代理人親権者B)にもかかわらず,一審原告AがHに首を絞められた旨平成27年11月頃までに話した形跡はないこと(この間,Hに首を絞められたという話を父母や医師にしなかった点に関し,一審原告Aの精神状態としては,自分が受けていたいじめの内容を全て話すのは容易でなかったとしても,同人の記憶がそ- はないこと(この間,Hに首を絞められたという話を父母や医師にしなかった点に関し,一審原告Aの精神状態としては,自分が受けていたいじめの内容を全て話すのは容易でなかったとしても,同人の記憶がそ- 11 -の頃までに変容した可能性がないとはいえない。),本件出来事1ないし4以外のことに関する一審原告Aの主張についての一審原告Aの供述及び陳述書(甲37)の記載は,これらのことが行われた時期や状況が具体性に欠けること,これらの事実については,本件訴えの提起前から一審原告Aが被害を訴えていたことを証する的確な証拠はないことを総合すると,上記各証拠では,本件出来事1ないし4のほかに,一審原告Aの主張イ及びウを認めるに足りないというべきである。したがって,本件出来事1ないし4以外の一審原告Aの主張事実は認めることができない。」(4) 原判決24頁18行目の「(本件出来事3)」の次に「及び④「一審原告Aがむかつく」などといった言い方をして繰り返し一審原告Aを叩くようになった(本件出来事4)」を加える。 (5) 原判決24頁20行目の「3」を「4」に改める。 (6) 原判決25頁1行目の「(本件出来事3)」の次に「,「一審原告Aがむかつく」などといった言い方をして繰り返し一審原告Aを叩く(本件出来事4)」を加え,2行目から3行目にかけての「(本件出来事1ないし3)は」を「(本件出来事1ないし4)は,その行為態様及び頻度等に照らし」に改める。 (7) 原判決25頁4行目末尾に次のとおり加える。 「一審被告Dらは,上記のHの行為について,小学校の学校生活ではあり得るものであり,不法行為とは評価し難いと主張するが,採用できない。」 4 争点2(I教諭らに職務上の義務違反があったか)について(1) 教員は,学校における教育活動により生ずるおそれ 活ではあり得るものであり,不法行為とは評価し難いと主張するが,採用できない。」 4 争点2(I教諭らに職務上の義務違反があったか)について(1) 教員は,学校における教育活動により生ずるおそれのある危険から児童を保護する義務を負う。 本件において,Hは,以前から,自分を否定されたり,自分の思いどおりにいかなかったりすると,怒って他の児童を叩くなどの暴力を振るったり,にらんだりすることが多いことが認識されていた(認定事実(1)イ)。そう- 12 -すると,本件小学校では,Hの問題行動により他の児童に危害が加えられるおそれがあったから,I教諭らは,Hが他の児童に対し暴力を振るわないようにするために必要な措置をとる義務を負っていたというべきである。 (2) I教諭は,平成24年4月に本件クラスの学級担任になって以降,Hが本件クラスの児童に暴力を振るったり暴言を吐いたりしたときには,Hに対し,暴力や暴言を止めるように,繰り返し言い聞かせて指導していたものの,Hは暴力を振るったことを認めなかったり,謝罪するように促しても黙り込むことが多く,同人の行状が改まる様子はなかったから,指導が効を奏しているとは到底いえない状況であった。しかるに,I教諭は,Hが家庭では暴力を振るったりしない旨一審被告Dらから聴いていたことなどから,学校において指導することが重要であると考え,Hの言動につき一審被告Dらに知らせ,家庭での指導を促すことをしなかった(認定事実(1)イ)。そして,I教諭は,良くないことは良くないと言う方である一審原告AがHに注意をして叩かれたり,にらまれたりしていることを認識していたのに,一審原告AがI教諭に被害を訴えた際に,一審原告Aに「いちいち取り合わなくていい。」,「言いに来なくていい。」と述べ(認定事実(1)ウ),同人を突き り,にらまれたりしていることを認識していたのに,一審原告AがI教諭に被害を訴えた際に,一審原告Aに「いちいち取り合わなくていい。」,「言いに来なくていい。」と述べ(認定事実(1)ウ),同人を突き放した。I教諭は,一審原告Aが本件出来事1ないし4によって被害を受けたときに,Hに対し,一審原告Aにきちんと謝罪させなかった(認定事実(3)イ~エ,(4)イ)だけでなく,本件出来事1の後には一審原告AとHを二人きりにして話し合わせた(認定事実(3)イ)が,Hは,I教諭が指導しても,暴力等の相手方に心から謝罪するには至らなかったのであるから,このようなやり方は無意味であるにとどまらず,一審原告Aに精神的苦痛を与え,一審原告AのH及びI教諭に対する不信感を増幅させる(原審における一審原告A本人)という点で不適切な措置であったというべきである。また,Hが「一審原告Aがむかつく」などといった言い方をして繰り返し一審原告Aを叩くようになり(本件出来事4),Hの暴力等が一審原告Aに集中してき- 13 -たと感じられる状況になった中で,くじ引きによる席替えを実施した際には,Hの席が一審原告Aの真後ろになって,一審原告AがHの暴力等の対象になることを予想できたのに,同年12月の席替えまで特に何もせず,本件出来事3を生じさせた(認定事実(4)ア,イ)。I教諭は,この間,Hに対し,暴力等を止めるように繰り返し言い聞かせるという以上のことはせず,その指導が功を奏しておらず,Hの一審原告Aに対する暴力等が継続しているのに,これを止めさせようとする強い指導をしなかったことから,本件クラスの他の児童は,当初は,Hの行動を非難したり制止したりする発言が多くみられたが,Hの攻撃的言動が一審原告A以外の児童に及ぶことが少なくなったこともあり,次第に静観する児童が増え,ま から,本件クラスの他の児童は,当初は,Hの行動を非難したり制止したりする発言が多くみられたが,Hの攻撃的言動が一審原告A以外の児童に及ぶことが少なくなったこともあり,次第に静観する児童が増え,また,Hと一審原告Aがトラブルになると,一審原告Aを擁護することなく,Hだけでなく一審原告Aをも制止するようになったことから,一審原告Aは,本件クラスで孤立していると感じるようになっていった(認定事実(4)エ)。 以上によれば,I教諭らは,一連の経緯を踏まえて,同年10月ないし11月の頃には,その方法についてはある程度裁量の余地があるにしても,Hに対し,さらに強く指導する,一審被告Dらに家庭での指導を促す,Hと一審原告Aとが接触しないようにする,一審原告Aの訴えを真摯に聴いて精神的に支える,他の児童が一審原告Aを支援するよう仕向ける,父母に報告するなどの措置をとるべきであった(いじめ防止対策推進法23条参照)のに,これを怠ったといわざるを得ない。 I教諭は,Hからの被害を訴えた一審原告Aに対し,「いちいち取り合わなくていい。」,「言いに来なくていい。」と述べたのは,Hが他の児童を叩くなど暴力を振るっているときに,当該児童がこれを制止するような発言をしたり教諭に言い付けたりすると,Hの行動がエスカレートすることから,一審原告AがI教諭に被害を訴えることによりさらなるHの問題行動を惹起することを懸念し,Hの問題行動に対する指導はI教諭自身が十分に行うと- 14 -の趣旨で述べた旨述べる(丙3,原審証人I)。しかし,上記のとおり,一審原告Aからの被害の訴えがあった後もI教諭はこれに応じた適切な措置をとっていないことからすると,I教諭が上記の趣旨で上記発言をしたとは認め難い上,仮に,I教諭の上記発言の趣旨が上記のとおりであったとしても,上記発 の訴えがあった後もI教諭はこれに応じた適切な措置をとっていないことからすると,I教諭が上記の趣旨で上記発言をしたとは認め難い上,仮に,I教諭の上記発言の趣旨が上記のとおりであったとしても,上記発言自体からはそのような趣旨はくみ取れないから,上記発言が不適切であることに変わりはない。なお,I教諭は,Hの暴力等について特別支援部会において報告し,他の教員から指導を受けていたと述べる(認定事実(1)イ)。しかし,具体的にどのような報告をし,どのような指導を受けたのかは明確でなく(認定事実(7)ウ),上記経緯からすると,有意義な検討が行われていたとは認め難い。 (3) したがって,I教諭らには職務上の義務違反があったと認められる。 以上のI教諭らの作為又は不作為は,Hの行為と相俟って,一審原告Aに精神的苦痛及び肉体的苦痛を与えたものであって,Hの行為と共同不法行為を構成する違法な行為というべきである。ただし,Hの行為の内容に照らし,Hについて,教育委員会への出席停止の具申や教室外への退去,別室指導,学級替えといった,より強力な措置を直ちにとるべきであったとまではいうことはできない。 5 争点3(一審原告Aの損害)について(1) Hの行為及びI教諭らの義務違反と一審原告Aの心身の不調及び不登校との因果関係について認定事実(6),証拠(甲18,68,70の1の1~70の10の2,73~75,77)及び弁論の全趣旨によれば,一審原告Aは,平成24年11月頃から心身の不調が生じ,同月13日頃からは頭痛,胃痛を訴えて複数の病院を受診するようになり,平成25年1月7日頃から頭痛や腹痛を訴えて遅刻や欠席をするようになり,同月16日以降学校を休むようになったこと,一審原告Aは,同月24日頃からは不眠,頭痛,吐き気,イライラなど- 15 -を 平成25年1月7日頃から頭痛や腹痛を訴えて遅刻や欠席をするようになり,同月16日以降学校を休むようになったこと,一審原告Aは,同月24日頃からは不眠,頭痛,吐き気,イライラなど- 15 -を訴え,適応障害,片頭痛,不安神経症などとの診断を受けたこと,一審原告Aは,その後も継続的に治療を受けているが,現在まで,状態に波はあるものの,頭痛,イライラ,睡眠障害,フラッシュバック等の精神症状を呈していることが認められる。これらの事実に加え,Hの個々の行為自体の強度はさほどではないものの,Hの行為が,一審原告Aから注意を受けたことに対する反発にとどまらず,むかつくなどという合理性のない理由でも行われることから,一審原告Aとしては防ぎようがなかったこと,しかるに,I教諭が適切な措置をとらなかったことから,一審原告Aが教諭ひいては学校に対しても不信感を抱き,また,本件クラスの中で孤立していると感じるようになったものであって,未だ精神的,肉体的に未発達な小学生であった一審原告Aが,学校という閉鎖社会の中で生活するにあたって,安心感を得られず,大きな精神的負担を感じ得る状況であったことからすると,前記のHの行為及びI教諭らの作為又は不作為により,一審原告Aは,上記のような心身の不調を来し,上記精神症状を発症し,不登校となったものと認めるのが相当である。 一審被告Dらは,一審原告Aの心身の不調及び不登校の原因は,Hの行為ではなく,認定事実(6)イ及びエの事実等からすると,一審原告Aの家族,学校,周囲の児童,課外スポーツなど多くの事情が要因となっている旨主張し,一審被告千葉市も,Hの行為と一審原告Aの症状との因果関係を否定する。 しかし,認定事実(6)イは,一審原告Aが平成24年11月頃から心身の不調を来していたことと時期的に合致しない。認定事 張し,一審被告千葉市も,Hの行為と一審原告Aの症状との因果関係を否定する。 しかし,認定事実(6)イは,一審原告Aが平成24年11月頃から心身の不調を来していたことと時期的に合致しない。認定事実(6)エは,母が平成25年1月中にI教諭を始めとする本件小学校の教員に述べたものであるが,これは,平成24年11月頃から一審原告Aの様子がおかしくなり,平成25年1月になると頭痛や腹痛を訴えて遅刻や欠席をするようになり,同月16日以降は学校に行かなくなったにもかかわらず,一審原告Aがその原因を- 16 -母にも話さなかったことから,原因が分からず,不安と焦りに駆られた母が,何とかその原因を突き止め,状況を改善したいと考え,原因として思い当たるエピソードを学校に伝えたものにすぎず(原審における一審原告A法定代理人親権者B,同一審原告A本人),このような母の発言をもって,同発言中の事実が一審原告Aの心身の不調及び不登校の主な原因であると認めることはできない。 (2) Hの行為により一審原告AにPTSDが発症したかについて一審原告Aは,Hの行為によって一審原告AがPTSDを発症したと主張する。そして,証拠(甲1~3,48,48の2,70の9の2,70の10の2,73~75,77,原審における一審原告A法定代理人親権者B及び一審原告A本人,当審証人K)及び弁論の全趣旨によれば,一審原告Aには,頭痛,イライラ,睡眠障害,フラッシュバック等のPTSDに準ずる精神症状がみられ,平成25年1月以降,複数の医療機関において,継続して治療を受けているところ,平成26年8月以降,複数の医師から,PTSDとの診断を受けていることが認められる。 しかし,PTSDは,「ほとんど誰にでも大きな苦悩を引き起こすような,例外的に著しく脅威を与えたり破局的な性質を 平成26年8月以降,複数の医師から,PTSDとの診断を受けていることが認められる。 しかし,PTSDは,「ほとんど誰にでも大きな苦悩を引き起こすような,例外的に著しく脅威を与えたり破局的な性質をもった,ストレス性の出来事あるいは状況(短期間もしくは長期間持続するもの)に対する遅延したおよび/または遷延した反応として生ずる(すなわち,自然災害または人工災害,激しい事故,他人の変死の目撃,あるいは拷問,テロリズム,強姦あるいは他の犯罪の犠牲になること)」とされる(甲48の別添4(ICD-10))。これを本件についてみると,本件出来事1ないし4及びその前後の状況は,上記ほどの強度までは認め難い。上記PTSDの診断は,これらの出来事のほかに,Hに首を絞められるなどした旨の一審原告Aの説明を前提としたものであるが,一審原告Aの上記説明に沿った事実が認められないことは前記説示のとおりである(なお,一審原告Aは,I教諭が適切な措置を- 17 -とらなかったため,本件クラスには一審原告Aをいじめてもよいという空気が醸成されたと主張し,一審原告Aは,他の児童も一審原告Aをやじったり,一審原告Aが悪いなどと言うようになった旨供述する(原審における一審原告A本人)。しかし,一審原告Aの上記供述を裏付ける的確な証拠はないこと及びHの行状からして,他の児童がHに同調して一審原告Aを非難したりするようになるというのは唐突な感を免れないことに照らし,一審原告Aの上記主張及び供述は採用できない。)。本件出来事1ないし4は平成24年10月から同年11月頃にかけて起きており,一審原告AがPTSDとの診断を受けたのは平成26年8月以降であることも併せ考えると,Hの行為によって一審原告AがPTSDを発症したとは認め難い。他に一審原告Aの主張を認めるに足りる証拠はな おり,一審原告AがPTSDとの診断を受けたのは平成26年8月以降であることも併せ考えると,Hの行為によって一審原告AがPTSDを発症したとは認め難い。他に一審原告Aの主張を認めるに足りる証拠はない。 (3) 医療費等について一審原告Aが医療費等として請求するもののうち,TFT(ThoughtFieldTherapy,鍼のつぼをタッピングすることにより心理的問題の症状を改善させるアメリカの治療法)の施術に係る費用1万9000円,オルゴール療法(向精神薬の投与の代替療法)の診療費6500円及びオルゴール代116万6000円については,治療としての必要性及び相当性を認めるに足りる証拠はない。他方で,証拠(甲7,23)及び弁論の全趣旨によれば,その余の医療費等については,上記症状等に照らし,その必要性及び相当性を認めることができる。 したがって,医療費等として75万8630円を認めるのが相当である。 (4) 引っ越し費用,リハビリ費用,フリースクール費用及び高校の学費(私立高校と公立高校の差額分)について一審原告Aは,①Hや本件クラスの同級生と同じ中学校には通いたくないと考え,学区を替えるために引っ越しをする費用として26万0720円を支出した,②社会復帰に向けたリハビリとして集団生活を実践するために,- 18 -各種団体が主催するセミナーや自然体験合宿に参加し,合計20万6120円を支出した,③中学校にも登校することができず,不登校児の支援を行っているフリースクールに在籍し,家庭訪問支援を受けながら通学して,その費用として合計71万9320円を支出した,④中学校に登校することができなかったため,中学校教員から,公立高校進学は困難なので不登校の生徒を受け入れている私立高校に相談するよう指示され,私立高校に入学し,同校に通 1万9320円を支出した,④中学校に登校することができなかったため,中学校教員から,公立高校進学は困難なので不登校の生徒を受け入れている私立高校に相談するよう指示され,私立高校に入学し,同校に通学するための費用と公立高校に通学するための費用の差額に相当する265万9586円の損害を被ったと主張する。 しかし,一審原告Aが,学区を替えるために引っ越しをし,セミナーや自然体験合宿に参加し,フリースクールに在籍した後,私立高校に進学したことについて,一審原告Aが本件クラスでいじめを受け,上記精神症状がみられたことがきっかけになっていると認められるものの,前記認定に係るHの行為及びI教諭らの作為又は不作為の内容からすると,上記各支出がHの行為及びI教諭らの作為又は不作為による共同不法行為と相当因果関係のある損害であるとはいえない。 したがって,引っ越し費用,リハビリ費用,フリースクール費用及び高校の学費(私立高校と公立高校の差額分)は損害として認めることはできない。 (5) 逸失利益上記(2)において説示したとおり,一審原告AがPTSDであると認定することはできないが,一審原告AにおいてPTSDに準ずる精神症状が継続していることは認められ,そのため,一審原告Aは,18歳以降,5%の労働能力を喪失している状況にあると認めるのが相当である。一方,一審原告Aの年齢,症状等からすると,同人の精神的な成長や治療の進捗によって将来的に上記症状が治癒することが見込まれることから,労働能力喪失期間は18歳からの5年間とするのが相当である。そこで,本件いじめがあった平成24年の賃金センサス・男女計・学歴計・全年齢平均472万6500円- 19 -を基礎収入として逸失利益を算定すると,72万7148円となる。 (計算式)4,726,500 円×3. あった平成24年の賃金センサス・男女計・学歴計・全年齢平均472万6500円- 19 -を基礎収入として逸失利益を算定すると,72万7148円となる。 (計算式)4,726,500 円×3.0769※×0.05=727,148 円(1円未満切捨て)※ 3.0769=8.8633(11歳から23歳までの12年間のライプニッツ係数)-5.7864(11歳から18歳までの7年間のライプニッツ係数)(6) 慰謝料一審原告Aは,Hの行為及びI教諭らの作為又は不作為によって,本件小学校における学校生活で不安を感じる状態に置かれ,安全であるべき学校において,学級担任であるI教諭から守られず,本件クラスで孤立していると感じるようになって,多大な精神的苦痛を受けたこと,一審原告Aの当時の年齢,本件小学校5年生の1月頃から登校できなくなり,6年生の一時期を除き不登校のまま同小学校を卒業し,中学校も不登校となり,不本意な高校生活を送らざるを得なくなったこと,上記精神症状の治療のために継続的に多数回通院したこと,現在も精神症状は治癒していないこと,他方で,Hの個々の行為の強度はさほどではなかったことなど,本件に顕れた一切の事情を総合考慮すると,本件における慰謝料として200万円を認めるのが相当である。 (7) 小計上記(3)から(6)までの小計は348万5778円である。 (8) 弁護士費用本件事案の内容,認容額など,本件に現れた一切の事情を総合考慮すると,弁護士費用40万円を本件と相当因果関係のある損害として認めるのが相当である。 (9) 損害額合計以上によれば,損害額は合計388万5778円となる。 6 よって,原判決を以上のとおり変更することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第2民事部- 20 - 損害額合計以上によれば,損害額は合計388万5778円となる。 よって,原判決を以上のとおり変更することとして,主文のとおり判決する。 主文 東京高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官白石史子 裁判官浅井憲 裁判官湯川克彦
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