判決平成14年4月26日神戸地方裁判所平成13年(ワ)第1434号約束手形金請求事件(手形異議申立) 主文 1 原告と被告との間の当庁平成13年(手ワ)第18号約束手形金請求事件につき,同裁判所が平成13年7月5日に言い渡した手形判決を取り消す。 2 原告の請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,金1000万円及びこれに対する平成12年7月31日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,別紙約束手形目録記載の約束手形1通(以下「本件手形」という。)につき原告が振出人である被告に対し,手形金及びこれに対する満期から支払い済みまで手形法所定の年6分の割合による法定利息金の支払いを求めるものであり,これを認容した主文掲記の手形判決に対する異議申立事件である。 被告は,上記請求に対し,抗弁として,本件手形は盗難手形であり,その後の取得者において善意取得が成立していないから,原告はこれについて権利を有しないと主張する。 1 争いのない事実等(1) 被告は,本件手形を振り出した(争いがない)。 (2) 本件手形の裏面には,第1裏書人釜谷紙業株式会社(以下「釜谷紙業」という。),第1被裏書人白地,第2裏書人有限会社松本産業(以下「松本産業」という。),第2被裏書人白地,第3裏書人友伸環境開発株式会社(以下「友伸環境開発」という。),第3被裏書人白地,第4裏書人原告,第4被裏書人紀陽銀行(取立委任)との記載がある(甲1の2)。 (3) 原告は,本件手形を所持している(甲1の1ないし3並びに 下「友伸環境開発」という。),第3被裏書人白地,第4裏書人原告,第4被裏書人紀陽銀行(取立委任)との記載がある(甲1の2)。 (3) 原告は,本件手形を所持している(甲1の1ないし3並びに弁論の全趣旨)。 (4) 原告は,本件手形を支払呈示期間に支払い場所で支払いのため提示した(甲1の3)。 (5) 本件手形は,釜谷紙業株式会社が被告から振出・交付を受けて,兵庫県加古川市内の同社事務所で保管中,平成12年4月26日未明に何者かによって同所から盗み出されたものである(乙4,5,弁論の全趣旨)。 2 争点原告を含め前記盗難後に本件手形を取得した者が,取得に際し,本件手形が盗難手形であり,それぞれの前主が無権利者であることについて悪意または重大な過失があったか(善意取得者か否か)。 3 当事者双方の主張(原告の主張)(1) 原告は本件手形を友伸環境開発から善意取得した本件手形の正当な所持人である。 被告は,原告と友伸環境開発とが事実上,一体性のある会社で,原告は本件手形を取得するにつき悪意又は重過失がある旨主張するが,原告の経営は名実ともに代表者であるAが担当し,同人は原告の筆頭株主であり(発行済み株式200株のうち80株を有する。),Bの所有株式ではないこと,Bは原告の代表取締役を昭和63年12月に辞任した後,原告の経営に関与していないこと,同人の元妻Cも平成元年12月に辞任した後,原告の経営に関与していないことからすると,原告と友伸環境開発が事実上一体であるとは到底いえない。 (2) 原告の帳簿上,Bに対して借受金名下の入・出金が繰り返されているが,これはB以外の第三者との貸借について,その第三者が原告の帳簿上名前を出してほしくないとの申出があったため,原告が (2) 原告の帳簿上,Bに対して借受金名下の入・出金が繰り返されているが,これはB以外の第三者との貸借について,その第三者が原告の帳簿上名前を出してほしくないとの申出があったため,原告がBに無断で帳簿上の名義を借用したものである。 (3) 原告は,手形割引を業とする者でも貸金を業とする者でもなく,友伸環境開発が所持する手形について,その内の一部については銀行調査の結果,事故届が出されたこともなく,当座預金口座が約束手形の支払場所の銀行に開設されていたことなどから,本件手形が盗難手形であるとは知らずに取得するに至ったものであり,また,その知らないことについて,未だ重大な過失があったということはできない。 (被告の主張)(1) 原告の前者以前の本件手形取得者の悪意性本件手形の盗難事件発生当時において,訴外Dが代表者を務める松本産業は,対外的信用もなく,営業の実体を欠く状態であった(乙14)。そのような状態にあった松本産業が正常な商業取引において本件手形を取得したものとは到底いえない。 また,友伸環境開発(取締役B)と松本産業の間では,従前さしたる営業上の取引,手形取引も存在しなかったにもかかわらず,本件手形を含む35枚もの高額面の一流手形を一度に割引依頼をかけてきた松本産業に対し,金融業を営むBやもと金融機関支店長であったE(友伸環境開発の従業員)が,その手形の由来,原因関係,取得経緯等を確認しないというのはきわめて不自然である。 のみならず,このような信用のある一流手形をわざわざ遠隔地で,しかも平生取引のないBないし友伸環境開発に持ち込んでいる点については(しかも,月利15パーセントの割引率としても異常な高率である。),通常の取引観念をもつ一般人であれば,当然不自然に思うはずである。したが 生取引のないBないし友伸環境開発に持ち込んでいる点については(しかも,月利15パーセントの割引率としても異常な高率である。),通常の取引観念をもつ一般人であれば,当然不自然に思うはずである。したがって,Bが本件一連の手形の由来を特に不自然に思わず取得したと見るのは困難であり,むしろ,そのいわくを十分熟知して超高利をもって敢えて割り引いたと見るのが事案の実体に照らし妥当である。 すなわち,Bないし友伸環境開発は,本件手形取得に関し,松本産業が本件手形の無権利者であることにつき悪意であることにつき悪意であったというべきである。 (2) 原告の悪意・重過失原告は,友伸環境開発との間で本件手形を含む額面合計1億円以上もの手形を譲り受ける原因関係となるべき商取引の存在や手形の対価となるべき金銭の授受を直接示す証拠を提出しない。 むしろ,Bが設立した会社であり,F同様に容易に手形の受領に関与できる立場にあった原告は,やはりBの意思に即応できる密接な間柄を有していたというべきであって,本件が原告において明白な原因関係,金銭の授受を欠く手形取得である以上,本件手形を含む多数の一流手形をBがどのようにして取得してきたものであるかを知悉して取得し,善意者を装うべく裏書きをなしたとみるのが相当である。 仮に,原告が悪意でないとしても,本件の多数の一流手形をBが取得し,これを取引銀行に持ち込まず原告に受領させたことについては,やはり取引観念上重大な疑念を生じさせるものであるから,本件手形の流通経路等について,振出人に対する振出確認等,適宜の方法をもって十分に調査をするべき注意義務があったというべきである。にもかかわらず,原告は,この点何らの調査をした形跡も認められないのであるから,少なくとも手形取得における前者の無権利につ 等,適宜の方法をもって十分に調査をするべき注意義務があったというべきである。にもかかわらず,原告は,この点何らの調査をした形跡も認められないのであるから,少なくとも手形取得における前者の無権利につき重過失を免れないというべきである。 第3 争点に対する判断 1 証拠(認定事実の末尾の括弧内に掲記する。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 被告は,マーガリン,食用油脂製品の製造等を主たる事業内容とし,現在資本金7200万円,従業員数60名の株式会社であり,年間売上高は40億円を超える大会社である(乙1)。 (2) 訴外釜谷紙業は,兵庫県加古川市に本店を置き,洋紙,板紙,包装資材,ダンボールケースの製造・販売等を主たる業務とする,資本金4800万円の企業であり,年間売上高は40億円を超え,決算内容からみても優良な企業である(乙2,3の1,2)。 (3) 原告は,大阪府堺市に本店を置き,不動産売買,同賃貸業を主たる業務とする,資本金1000万円の株式会社である。平成8年に第1回不渡りを出している(乙17,18)。 (4) 平成12年5月18日,松本産業の代表者であるDから友伸環境開発の取締役であるBに額面合計約1億8000万円の約束手形35通が交付され,同月22日に友伸環境開発の従業員であるEから原告の代表取締役であるGにそのうちの額面合計約1億円の約束手形22通が交付された。本件手形はこの22通のうちの1通である。 そして,DからBに交付された上記35通の約束手形は,いずれも商業手形として振り出され,いずれも関西の企業である釜谷紙業,訴外サンコー株式会社または訴外安福ゴム工業株式会社が振出・交付を受けて保管中に盗まれたものであり,受取人名義の第1裏書は何者かによって偽造されたものである( され,いずれも関西の企業である釜谷紙業,訴外サンコー株式会社または訴外安福ゴム工業株式会社が振出・交付を受けて保管中に盗まれたものであり,受取人名義の第1裏書は何者かによって偽造されたものである(乙4,5,10の1乃至22,13,21,22,弁論の全趣旨)。 2 上記認定事実に基づき,争点について判断する。 (1) 松本産業における善意取得の不成立についてDは,別件訴訟(当庁平成12年(ワ)第2646号事件)における証人尋問において,平成12年5月10日頃,Hという人物から,上記約束手形35通をどこかで割引を受けられないかとの依頼を受けた上,同月18日,札幌市内の自分の事務所の前でHから同手形の交付を受け,その割引代金としてBから受け取った約1億2000万円をHに支払った旨供述する(乙25)。 しかしながら,Dは,上記Hとの関係について,前記証人尋問において,平成12年4月初めに知り合いの暴力団組長Iから日本製鋼という会社の専務として紹介されたと供述しているところ(乙25),この供述を前提とする限り,上記Hは,松本産業又はDとの間で従前から取引の実績がなく,しかも,暴力団組長と交際のある人物ということになる。加えて,Dの供述によれば,同人が紹介を受けた際,Hは,勤務先である日本製鋼振り出しの額面4億7000万円ないし4億8000万円の約束手形1通のほかに額面合計が約30億円の多数の約束手形を持ち歩き,会社を近いうちに退社するなどと言っていた上,上記35通の約束手形の割引先の紹介をDに依頼した際にも,その条件について,割引料は月1割でもかまわない,Dにも手数料として1500万円を支払うなどと取引通念上常識では考えられない申入れをしていたというのであるから,それが真実であれば,Hという人物が上記約束 件について,割引料は月1割でもかまわない,Dにも手数料として1500万円を支払うなどと取引通念上常識では考えられない申入れをしていたというのであるから,それが真実であれば,Hという人物が上記約束手形35通を正当な取引行為により入手したとは到底考えられず,これらの約束手形が,不正な手段を経て流通に置かれ,暴力団組織の関与の下に換金が企図されたものであることは明らかであり,それにもかかわらずDは上記約束手形35通の取得経緯について納得のできる説明を求めた形跡はないことに鑑みると,Hの依頼に応じたDは,そのような事情を当然認識しつつこれに加担したものと推認することができる。 そうすると,Dのこれらの供述が虚偽であればなおさら,仮に真実であるとしても,松本産業が,前主が無権利者であることについて悪意であることが明らかであり,上記約束手形35通に含まれる本件手形について,その手形上の権利を善意取得したということはできない。 (2) 友伸環境開発における善意取得の不成立についてBは,別件訴訟(当庁平成12年(ワ)第2646号,同13年(ワ)第42号,同第3232号事件)における証人尋問において,友伸環境開発の取締役として本件手形を取得した経緯について,平成12年5月13日頃,Dからの電話で上記約束手形35通の割引依頼を受けたため,友伸環境開発から500万円を出したほか,親族のFから3500万円,原告から2500万円をそれぞれ借用し,残りをB本人で用立てて合計1億2000万円を準備し,平成12年5月17日,Eと二人でこのうちの1億1800万円を現金で所持して東京に行き,Dと落ち合ったが取引はせず,翌日,札幌にあるDの事務所に行き,そこで同人が所持していた上記約束手形35通を額面金額から15パーセントの割引料を差 のうちの1億1800万円を現金で所持して東京に行き,Dと落ち合ったが取引はせず,翌日,札幌にあるDの事務所に行き,そこで同人が所持していた上記約束手形35通を額面金額から15パーセントの割引料を差し引いた約1億2300万円で割り引くことにし,持参した現金の不足を補うために友伸環境開発からDの銀行口座に500万円を振込送金させ,同人との間で差額を精算して,これらの約束手形の交付を受けた旨供述する(乙21ないし23,43,46)。 しかしながら,Bは,前記証人尋問において,同人は,Dとは阪神大震災の年に同人にダンプカーの手配をしてもらっただけで,それ以外には行き来がなく,上記約束手形35通の割引依頼を受けた当時の同人の仕事等についてほとんど把握していなかったと供述しており,そうであれば,上記約束手形35通が前記のとおり上場企業振出の一流手形を含む額面合計1億8000万円もの商業手形であるとともに,第1裏書名義人となっている3社がいずれも関西地方の企業であることが手形面上から明らかである以上,Bにおいて,Dがこのような多数・多額の商業手形を所持していることについて疑念を抱くのが普通であるといえるところ,Bの供述によっても,金融業を営むというBや元金融機関支店長であるEがDに対し,上記約束手形35通の手形の由来,原因関係,取得経緯等について納得のできる説明を求めた形跡はない。 また,前記別件訴訟における証人尋問において,Dは,Bが札幌のDの事務所に赴いた時点では,いまだ同人の手許に上記約束手形35通はなく,これらは,上記事務所において,D,B,Eの3人で待っていたところ後からHとみられる第三者が同事務所に持参した旨供述しており,仮にこれが真実であれば,Bは,全く素性のわからない人物の所持する上記約束手形35通 上記事務所において,D,B,Eの3人で待っていたところ後からHとみられる第三者が同事務所に持参した旨供述しており,仮にこれが真実であれば,Bは,全く素性のわからない人物の所持する上記約束手形35通を特段の疑問もなく取得したことになる(なお,Bは上記第三者の存在を否定している。)。さらに,B及びEの供述によれば,Dは,上記約束手形35通に対して,15パーセントの割引料を差し引くことを受け入れたとのことであるが,前記のとおり,上記約束手形35通が上場企業振出の一流手形を含む商業手形であったことからすれば,割引料としては通常の取引通念を有する一般人ならば誰もが不自然に思うほどの高率であって,Bとしても,このような条件が受け入れられる以上は,上記約束手形35通を前主が異常に低廉な価格で取得したことが認識できるはずである。 加えて,前記別件訴訟におけるD及びBの供述(乙25,43)によれば,Bは,上記約束手形35通の一部について盗難手形であることが明らかになった後であったにもかかわらず,覚せい剤取締法違反で逮捕されたDの内妻の依頼に応じて同人の弁護士費用30万円を用立てたとのことであり,盗難手形をそうとは知らずに掴まされた者の行動としては不自然であるばかりか,手形を売って1億2000万円以上もの大金を取得したばかりの人間が30万円の弁護士費用を用意することができないことは通常ありえず,上記事実からすると,友伸環境開発が松本産業に対して1億2000万円を支払った事実がないことが推認される。 以上の事実関係によれば,Bは,上記約束手形35通に含まれる本件手形が不正な手段を経て流通に置かれ,松本産業がその正当な所持人でないことを認識しながらあえてこれらを取得したものと推認すべきであり,したがって,友伸環境開発は,悪意の 約束手形35通に含まれる本件手形が不正な手段を経て流通に置かれ,松本産業がその正当な所持人でないことを認識しながらあえてこれらを取得したものと推認すべきであり,したがって,友伸環境開発は,悪意の取得者であるから本件手形上の権利を善意取得した者とはいえない。 (3) 原告における善意取得の不成立について原告代表者Gは,別件訴訟(平成13年(ワ)第42号,同第3232号事件)における原告代表者尋問(乙44)において,本件手形の取得経緯に関し,平成12年5月15日頃,Bから「仕事で要る」との理由で友伸環境開発に融資するように依頼され,同月17日,原告会社において1か月後に現金で返済を受ける約束で2500万円を貸し渡したところ,同月19日頃,Bから,以前からの原告の友伸環境開発への貸付金に対する内入を含めて手形で支払うとの連絡を受け,同月22日,Eから本件手形を含む前記約束手形22通を受け取ったと供述する。 しかしながら,前記約束手形22通は,前記のとおりいずれも商業手形である上,弁論の全趣旨によれば,その中には東京証券取引所第1部上場企業である株式会社ノーリツ,三菱製紙株式会社を振出人とするものも含まれていることが認められるところ,そのような約束手形は,複数の裏書を経由して転々流通しないまま金融機関に取立て・割引に出されるのが通例であることからすると,Gは,まずこの点でこれらの約束手形が正常に取引されてきたものであるかどうかについて疑いを抱いてしかるべきである。 また,証拠(乙17ないし23,44)によれば,原告は,Bが設立し,代表者として経営していた会社であり,その後,同人は原告の取締役を退任したことになっているが,現在も同人の元妻及び養子が原告の取締役に就任しているのに加え,原告から友伸環境開発に対しては,平 立し,代表者として経営していた会社であり,その後,同人は原告の取締役を退任したことになっているが,現在も同人の元妻及び養子が原告の取締役に就任しているのに加え,原告から友伸環境開発に対しては,平成12年2月以前から10億円前後の貸付残高がある上,日常的にも,原告の友伸環境開発に対する少額の貸付が行われている一方で,原告のBからの借受金の入金・返済も繰り返し行われていることが認められる。 さらに,Gの前記供述からすると,同人は,友伸環境開発に対してはすでに10億円前後の貸付残高があったにもかかわらず,Bから「仕事で必要である」といわれて安易に2500万円もの貸し付けを行い,その返済条件の変更にも特段苦情を申し立てた形跡もなくこれを受け入れたことになる。 このような事実関係に照らすと,原告は,友伸環境開発とは平成12年5月当時も経営上相当緊密な関係にあったことは明らかである。 そうすると,原告代表者であるGは,前記約束手形22通を受け取るまでにBからこれらの約束手形の入手経路について十分説明を受けて認識を共通にしていたものと考えるのが自然であり,従って,原告においても,本件手形が不正な手段を経て流通に置かれ,第2裏書人である松本産業,さらに同社から取得した友伸環境開発がこれらの正当な所持人でないことを現に認識していたか,少なくともその疑いを抱くべきであったと認めるのが相当であるところ,前記Gの供述によっても,原告において,本件手形の振出人である被告らに対する振出確認や支払銀行に対する事故届の有無の問い合わせを行った形跡はない。 上記確認や問い合わせは,電話一本で容易にすることができるものであり,本件手形が盗難手形であることを容易に認識することができたといえる。 以上によれば,原告は,本件手形を取得するに 。 上記確認や問い合わせは,電話一本で容易にすることができるものであり,本件手形が盗難手形であることを容易に認識することができたといえる。 以上によれば,原告は,本件手形を取得するにあたり,少なくとも重大な過失が認められるというべきであり,本件手形上の権利を善意取得した者ということはできない。 (4) 原告の主張に対する検討原告は,原告と友伸環境開発(取締役B)との関係につき,被告が指摘するような一体性や密接な関係はない旨種々主張し,証拠(甲6ないし9)を提出するが,上記証拠は,未だ原告の上記主張を証するに足りないばかりか,前示認定((3))を妨げるものではない。 また,原告は,友伸環境開発が所持する手形の一部について,銀行調査の結果,事故届が出されていないことを確認したことから,本件手形が盗難手形であるとは知らずに取得したものである旨主張し,これを裏付ける証拠として甲第10ないし18号証を提出するが,上記証拠によっても,未だ原告が本件手形取得にあたり必要な調査確認義務を尽くしたと認めることができないし,他に,原告の上記主張を認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告の上記主張は,いずれも理由がない。 (5) まとめこれを要するに,本件手形について,前記盗難後の取得者である松本産業,友伸環境開発及び原告は,いずれも悪意又は重過失者であり,本件手形上の権利を善意取得したものということはできないから,原告は無権利者というべきであり,被告に対する本件手形上の権利を請求するに由ないものというべきである。 3 結語よって,原告の被告に対する本訴請求は理由がないから,これを認容した前掲手形判決を取り消し,原告の本件請求を棄却することとし,訴訟費用の負担について民訴法67条1項 べきである。 3 結語よって,原告の被告に対する本訴請求は理由がないから,これを認容した前掲手形判決を取り消し,原告の本件請求を棄却することとし,訴訟費用の負担について民訴法67条1項本文,61条に従い,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第6民事部裁判官松村雅司
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