平成21(行ケ)10165 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成22年3月11日 知的財産高等裁判所 1部 判決 請求棄却
ファイル
hanrei-pdf-38642.txt

キーワード

判決文本文32,013 文字)

- 1 -平成22年3月11日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成21年(行ケ)第10165号審決取消請求事件(特許)口頭弁論終結日平成22年2月2日判決原告X1原告X2原告ら訴訟代理人弁理士渡邊功二被告特許庁長官同指定代理人森林克郎同村田尚英同紀本孝同小林和男主文 原告らの請求を棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1請求特許庁が不服2006-17678号事件について平成21年4月27日にした審決を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告らが,名称を「回転ペダル付椅子」とする発明につき特許出願したところ,拒絶査定を受けたので,これを不服として審判請求をしたが,同発明は後出の引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとして,請求不成立の審決を受けたことから,その審決の取消しを求める事案である。 特許庁における手続の経緯- 2 -原告らは平成17年2005年12月27日上記発明につき特許出願特,(),(願2005-376646号。国内優先権主張,平成17年7月29日)し,平。 成18年6月19日付けで手続補正(甲4)したが,同年7月6日付けで拒絶査定を受けたので,これを不服として,同年8月11日に審判請求をした。 特許庁は,審理の結果,平成21年4月27日「本件審判請求は,成り立たな,い」との審決をし,同年5月22日,その謄本を原告らに送達した。 。 本願の特許請求の範囲平成18年6月19日付け手続補正書(甲4)により補正された特許請求の範囲,,(「」。 ,によれば請求項1の発明は次の 2日,その謄本を原告らに送達した。 。 本願の特許請求の範囲平成18年6月19日付け手続補正書(甲4)により補正された特許請求の範囲,,(「」。 ,によれば請求項1の発明は次のとおりである以下本願発明というなお,,,請求項は1ないし14まで存在するが請求項2ないし14に関する部分は以下省略する。 。)「脚部と座部と背もたれ部とを有し,該座部が前端側の左右両側にて切り欠かれている椅子部と,該椅子部の前方にて床面に載置されて該座部に着座した着座者が両足先を載置できるように両足の下方に配置された左右一対の回転可能なペダルを有する回転ペダル部と,該一対のペダルを1~10回/分の低速度で回転させる回転駆動部とからなるペダル装置とにより構成されたことを特徴とする回転ペダル付椅子」。 審決の理由審決は,本願発明は,特開平9-225061号公報(甲1。以下「引用例」という)に記載された発明(以下「引用発明」という)に基づいて当業者が容易に。 発明することができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないと判断した。 審決が認定した引用発明の内容,一致点及び相違点並びに容易想到性の判断内容は,次のとおりである(なお,以下において引用した審決中の当事者及び公知文献等の表記は,本判決の表記に統一した。 。)(1) 引用発明の内容- 3 -「手をかけて回転させるハンドル1と,腰をかけるサドル2と,足をかけて回転させるペダル3と,ハンドル1およびペダル3に負荷を加えるモータ4とから構成され,ハンドル1より後方の下方にはサドル2を配置し,サドル2は,下部ケース部12の後方部に突出して形成したサドル取付部ケース14から露出させて,このケース14または内部のフレームに取り付け,このサドル2 ハンドル1より後方の下方にはサドル2を配置し,サドル2は,下部ケース部12の後方部に突出して形成したサドル取付部ケース14から露出させて,このケース14または内部のフレームに取り付け,このサドル2の高低及び前後位置は,使用者の身長,器具の使用目的によって適宜に変更可能とし,サドル2の後ろ側には,背凭れ15をサドル取付部ケース14から上方へ突出させて設け,ハンドル部ケース13の根元の下部ケース部12内に,ペダル3の回転軸8の部分を正逆回転動可能に設け,ペダル3は,回転軸8の両端にそれぞれペダル軸連結部材23を取り付け,この連結部材23の連結片23aに足掛け取付アーム24を取付け,このアーム24に取り付けて形成し,ハンドル1およびペダル3にかける負荷を発生するモータ4は,回転数可変モータから回転数を制御することにより調節する型式で構成し,モータ4の負荷の調節は,モータの回転数で調節し,『運動なし』の状態より弱い負荷とすることによりリハビリにも用いられる装置」。 (2) 引用発明と本願発明の一致点「脚部と座部と背もたれ部とを有し,該座部が前端側の左右両側にて切り欠かれている椅子部と,該椅子部の前方にて床面に載置されて該座部に着座した着座者が両足先を載置できるように両足の下方に配置された左右一対の回転可能なペダルを有する回転ペダル部と,該一対のペダルを所定の回転数で回転させる回転駆動部とからなるペダル装置とにより構成された回転ペダル付椅子」。 (3) 引用発明と本願発明の相違点「回転駆動部によって回転されるペダルの回転数が,本願発明においては『1~10回/分の低速度』であるのに対し,引用発明においては『運動なし』の状態よりも弱い負荷とする,ことによりリハビリ用として用いることが可能であるものの,その場合の具体的回転数につい- 4 - 1~10回/分の低速度』であるのに対し,引用発明においては『運動なし』の状態よりも弱い負荷とする,ことによりリハビリ用として用いることが可能であるものの,その場合の具体的回転数につい- 4 -ての限定がなされていない点」。 (4) 相違点に関する容易想到性の判断ア相違点について「,『,』,,引用発明はモータ4の負荷の調節はモータの回転数で調節するものでありまた『運動なし」の状態よりも弱い負荷とすることによりリハビリ用として用いる』ものである「ことを勘案すれば,引用発明は,きわめて小さな負荷,すなわち,きわめて小さな回転数でも使用するものであることは,技術常識から考えて当然の事項である。 そして,上記『きわめて小さな回転数』として『1~10回/分』を採用することは,該数値範囲の上限及び下限に臨界値的意義が認められないことにかんがみれば,当業者が容易に想到し得たことである」。 イ平成18年8月29日付け審判請求書における原告らの主張について「なお,請求人は,平成18年8月29日付けで手続補正された審判請求書において,『本願請求項1の発明においては,回転駆動部の駆動により左右一対のペダルを1~10回/分の低速度で回転させるものであり,椅子部の座部に腰掛けた着座者が,両足を左右一対のペダルに載せることにより,自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して自動的に1~10回/分の低速度でほとんど意識しないでペダルを漕ぐ状態にさせられるのである』と。 記載し,本願請求項1の発明においては『自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従,して』用いることを主張している。 しかしながら,第1に,上記の『自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して』用いることは,本願の請求項1に特定されている事項ではなく,上記主張は 回転に追従,して』用いることを主張している。 しかしながら,第1に,上記の『自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して』用いることは,本願の請求項1に特定されている事項ではなく,上記主張は請求項の記載に基づいた主張ではないから,採用できない。 また,第2に,引用発明においても,どのように引用発明の装置を用いるかは装置を使用する目的に応じて当業者が適宜設定し得ることであるから『自らペダルを漕ぐのではなくペダ,』,。」ルの回転に追従して用いることは当業者が容易に想到し得る事項に過ぎないことである(5) むすび「以上より,本願発明は,引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をする- 5 -,。」ことができたものであるから特許法29条2項の規定により特許を受けることができない第3原告ら主張の取消事由審決は,次に述べるとおり,認定及び判断に誤りがあるから,取り消されるべきである。 取消事由1(引用発明の認定の誤り)について(1) 審決が,引用発明の認定において,引用発明を「運動なし』の状態より弱『い負荷とすることによりリハビリにも用いられる装置」と認定した点は,誤りで。 ある。 引用発明の装置は,リハビリ用としては不適当であり,鍛練用装置に限られるものであるから,その使用目的も身体を鍛錬することに限られるというべきである。 (2) まず,引用発明のサドルについては,臀部を滑りやすい不安定な状態にするものであることから,特に体力の劣るリハビリ者にとって単にサドルに腰掛けるのみで腰掛けた状態を安定させることは無理であり,ハンドルを握ることによりかろうじて腰掛けることができるものと解される。しかし,このようにハンドルを握って体を前傾状態にして不安定なサドルに腰掛ける姿勢をとること自体が体力の劣るリハビリ 理であり,ハンドルを握ることによりかろうじて腰掛けることができるものと解される。しかし,このようにハンドルを握って体を前傾状態にして不安定なサドルに腰掛ける姿勢をとること自体が体力の劣るリハビリ者にとっては非常な無理があり,これに加えて,さらにペダルを踏みハンドルを回転させることは,ペダルやハンドルの回転数の多少にかかわらず,全く無理である。 ,,。 ,(3) また引用発明では本願発明にはないハンドルが設けられている確かにハンドルは,両手でそれを持つことにより,サドルに腰掛けることによる不安定な状態を緩和させる効果があるが,前傾姿勢でハンドルを握る動作により両腕に対する負荷が加わることになる。特に,ハンドルは階段形に形成されているため,両腕に加わる負荷が一層大きくなる。そして,引用発明では,ペダルを漕ぐと共にハンドルを回転させるものであって,両足のみではなく両腕も回転させることにより,全身を鍛錬するものであるから,同時に全身に掛かる負担も非常に大きくなるものである。 - 6 -さらに,ハンドルは階段形であり,両手で,しかも左右の上下でもって回転させるものであるから,前傾姿勢となり,肩を上げ,脇を開き,顎を上げ,上肢をねじるといった状態になるが,これらは非常に不安定な姿勢であるため,無理に力を入れて速く行うことにより,首,肩,背中,腕,脊柱等に過大な負荷を与え,その結果,これらの部分に損傷を与えるおそれが多分にある。 (4) 以上のとおり,引用発明は,自らの意思で筋肉を鍛えるものであって,リハビリに用いることは不適切であるから,審決の認定は誤りである。 取消事由2(一致点の認定の誤り)について(1) 本願発明の「座部」と引用発明の「サドル」について「」「」,ア引用発明のサドル2が本願発明の座部に相当するとの は誤りである。 取消事由2(一致点の認定の誤り)について(1) 本願発明の「座部」と引用発明の「サドル」について「」「」,ア引用発明のサドル2が本願発明の座部に相当するとの審決の認定は誤りである。 すなわち,引用発明の「サドル」については,明らかに自転車用のサドルと同一のものである。サドルは,前端側の左右両側にて切り欠かれた小面積の略三角形状であって,上面側の外周は円弧状に丸められている。これにより,サドルは着座者の臀部の一部と足の付け根の一部といった限られた部分のみを支持するものであり,しかも,外周が円弧状に丸められているため,臀部を滑り易い不安定な状態にすることが意図されている。これは,自転車のペダルを漕ぐときに,腰を中心として身体を動きやすくすることによりペダルを漕ぎやすくするためであるから,サドルは安定して腰掛けるというものでないことは明らかである。 これに対して,本願発明の「座部」は,椅子の座部であり,実施例の図1ないし3にも示すように,平坦な板状となっているものであり,着座者の臀部全体と足の大腿部の半分程度を受け止めて腰部を安定した状態で支持するものである。これにより,着座者の上半身を安定した状態にすることができ,着座者が長時間リラックスした状態で過ごすことができるため,デスクワークや休息等に好適に使用されるものである。確かに,本願発明の「座部」はその前端側の左右両側が切り欠かれているが,これは大腿部を下方に動きやすくさせるためのものであって,これにより- 7 -「座部」としての上述した基本的な機能が変更されるものではない。 したがって,本願発明の「座部」と引用発明の「サドル」とは全く構造が異なるものであるから「サドル」が「座部」に相当するとの審決の認定は誤りである。 ,イ被告の反論に対する再反論 れるものではない。 したがって,本願発明の「座部」と引用発明の「サドル」とは全く構造が異なるものであるから「サドル」が「座部」に相当するとの審決の認定は誤りである。 ,イ被告の反論に対する再反論(ア) 被告は,本願発明の「座部」が前端側の両側に切り欠き部を有し,ちょうどサドルの形状に類似した形状となっていることを理由として,本願発明の「座部」が引用発明の「サドル」に相当する旨主張している。しかし,上記のとおり,本願発明の「座部」は,前端側のみが切り欠かれており,その他の部分については広い平板形状となっており,このように,座部が平坦な板状となっていることにより,長時間にわたって着座者の臀部を安定して支持することができるものであるから,引用発明の「サドル」とは全く異なるものであることは明らかである。 (イ) また,被告は,本願明細書にも,本願発明の「座部」が平坦な板状でなければならないとは記載されていないとも主張するが,椅子の座部が平板状であることは極めて常識的なことであるため,あえて明細書に記載しなかっただけであって,例えば,広辞苑第2版(甲5)を参照すると「椅子」とは平たい台を備えたもの,であることが明らかであるから,本願発明の「座部」も平たい台,すなわち平坦な板状のものを意味すると解すべきである。この点については,本願の図1ないし3からも明らかである。 ,,「,,(ウ) さらに被告は手または足の何れかを休む場合には手または足を外し空回りさせて使用する」ことが引用例に記載されていることを勘案すれば,引用発明の「サドル」も安定して腰掛けることが想定されているとも主張するが,サドルの特性を無視した単なる文言上の解釈であり,失当である。 (2) 引用発明の「一対のペダルを所定の回転数で回転させる回転駆動部」についても,本願発 て腰掛けることが想定されているとも主張するが,サドルの特性を無視した単なる文言上の解釈であり,失当である。 (2) 引用発明の「一対のペダルを所定の回転数で回転させる回転駆動部」についても,本願発明の「一対のペダルを1~10回/分の低速度で回転させる回転駆動部」と異なっていることは明らかである。 したがって,本願発明と引用発明とが回転ペダル付椅子の発明である点で一致す- 8 -るとの審決の認定は,誤りである。 取消事由3(相違点の認定の誤り)について審決は,相違点の認定において,重大な相違点について触れておらず,相違点の認定に誤りがある。本件においては,次の(1) 及び(2) も相違点というべきである(なお,ここでは,審決が認定した相違点を「相違点1」とする。 。)(1) 相違点2「引用発明では『正逆回転可能なハンドル』が必須の要件であるのに対して,本願発明では『ハンドル』は全く必要がなくむしろあることにより邪魔になるものである点」。 この点について,被告は,本願発明において「ハンドル」がないことについて何も記載されておらず,ハンドルに代わる手すり部や机などの部材が本願の請求項に記載されているわけでもなく,本願発明においてハンドルの存在が邪魔になるというようなことは,明細書のどこにも開示されていないことから,本願の請求項の記載から,本願発明がハンドルを備えたものを排除したことにはならないと主張している。 しかし,本願の請求項1の文言上ハンドルは含まれていないのであり,特許発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められなければならないとする特許法70条の規定からも,本願発明にはハンドルは含まれないと解釈されるべきである。また,本願明細書及び図面にもハンドルは一切記載されていないのであるから,結局,本願発明からハンドル ならないとする特許法70条の規定からも,本願発明にはハンドルは含まれないと解釈されるべきである。また,本願明細書及び図面にもハンドルは一切記載されていないのであるから,結局,本願発明からハンドルは完全に排除されているというべきである。 なお,確かに,本願明細書記載の実施例並びに請求項9及び14に手すり部や机が記載されており,本願の請求項1に記載されている基本的な構成要素に手すり部や机を付加することができることは明らかであるが,ハンドルについてはこれらとは全く事情が異なるというべきである。 以上のとおり,本願発明がハンドルを備えたものを排除したことにはならず,引用発明がハンドルを備えたことが本願発明との相違点とはならないとの被告の反論- 9 -は全く根拠がないものであり,失当である。 (2) 相違点3「引用発明は『身体の鍛練装置』であるのに対して,本願発明は『回転ペダル付椅子』である点」。 引用発明は身体の鍛練装置であるところ,鍛錬とは身体を鍛えることを意味するのであり,自らの意思でもって激しく身体を動かすものであって,リハビリ用としては不適切であることは前記のとおりである。 これに対して,本願発明の回転ペダル付椅子は,椅子であるからリラックスした安楽な状態で座ることが前提となっているのであり,引用発明のように身体を鍛えるという構造にはなっていないのであるから,この点は大きな構成上の違いというべきである。 取消事由4(相違点の判断の誤り)について(1) 「1~10回/分」の回転数についてア審決は,引用発明を極めて小さな回転数でも使用できるものであるとし,その「きわめて小さな回転数」として「1~10回/分」を採用することは,当業者が容易に想到し得たことであると判断している。しかしながら,本願発明の「1~10回/分」の回転数は,引 るものであるとし,その「きわめて小さな回転数」として「1~10回/分」を採用することは,当業者が容易に想到し得たことであると判断している。しかしながら,本願発明の「1~10回/分」の回転数は,引用発明のようなリハビリ用には適さない鍛練用の装置にとっては考えられないほど低い数値であって,これでは鍛錬の効果が全く得られないものと解されるしたがって鍛錬を目的とする引用発明の装置において 。 ,,「~10回/分」のような非常に低い回転数を採用することが容易想到であるとした審決の判断は,誤りである。 イ被告の反論に対する再反論被告は,引用発明において,小さい負荷,すなわち,小さい回転数とするのはリハビリ用に限っており,健常者の鍛練用としては回転数を低くすることは考慮されていないと主張する。 しかし,引用発明の鍛練装置が,リハビリ用装置としては不適当であることは前- 10 -記1のとおりであり,これを鍛練装置としてみた場合,不安定なサドルに腰をかけて短時間で筋肉鍛練効果を得るためには,1回/秒程度以上の高速でペダルを漕ぐのが常識である。このように,本願発明の「1~10回/分」という非常に低速度のペダル回転数は,引用発明の鍛練装置のペダル等の回転数とは全く発想が異なるものである。 (2) 「自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して」について審決は,平成18年8月29日付けで手続補正された審判請求書において,原告ら(請求人ら)が,本願発明は「自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して自動的に1~10回/分の低速度でほとんど意識しないでペダルを漕ぐ状態にさせられるのである」と主張したことに対し,第1に「自らペダルを漕ぐのでは。 ,なくペダルの回転に追従して」用いることは,請求項1に特定されている事項ではなく,この主張は請 いでペダルを漕ぐ状態にさせられるのである」と主張したことに対し,第1に「自らペダルを漕ぐのでは。 ,なくペダルの回転に追従して」用いることは,請求項1に特定されている事項ではなく,この主張は請求項の記載に基づいた主張ではないから採用できず,第2に,引用発明においても,どのように引用発明の装置を用いるかは,装置を使用する目的に応じて当業者が適宜設定し得ることであるから「自らペダルを漕ぐのではな,くペダルの回転に追従して」用いることは,当業者が容易に想到し得る事項にすぎない旨判断しているが,誤りである。 すなわち,上記第1の指摘については,前記2(1) のとおり,本願発明が,着座者が安定した状態でリラックスして腰掛ける座部を有するものであり,引用発明のサドルのように腰を不安定な状態にさせるものとは異なっていることを看過するものである。着座者が座部に腰掛けて自己の意思で積極的にペダルを漕ぐことは,座部の構造上非常に無理があり,かえって筋肉や関節を痛める結果にもなる。また,座部に腰掛けて自らの意思で「1~10回/分」という非常に低速度でペダルを漕ぎ続けることも実際上無理であり,特に,長時間にわたって漕ぎ続けることは不可能である。したがって,本願発明の請求項の構成から「自らペダルを漕ぐのでは,なくペダルの回転に追従して自然に漕ぐ状態にさせられる」という作用が極めて自然にかつ必然的にもたらされるのである。その結果,本願発明における「自らペダ- 11 -ルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して自然に漕ぐ状態にさせられる」ことについては,本願の請求項1に特定されてはいないが,請求項1の構成に基づいて必然的に導かれる作用であると解すべきである。 また,上記第2の指摘については,引用発明の装置は,前記1のとおり,リハビリ用としては不適当であって, 1に特定されてはいないが,請求項1の構成に基づいて必然的に導かれる作用であると解すべきである。 また,上記第2の指摘については,引用発明の装置は,前記1のとおり,リハビリ用としては不適当であって,鍛練用装置に限られるというべきであるから,その使用目的は専ら身体を鍛錬することに限られるところ「自らペダルを漕ぐのでは,なくペダルの回転に追従して」用いることは明らかに鍛練装置としての使用目的に反することになる。したがって,引用発明の装置において「自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して」用いることが,当業者が容易に想到し得る事項にすぎないとの審決の判断は,誤りである。 第4被告の主張次のとおり,審決の認定判断には誤りはなく,原告ら主張の取消事由はいずれも理由がない。 取消事由1(引用発明の認定の誤り)に対して(1) 引用発明は,リハビリ用として使用することができるものであることは明らかである。そして,審決は,引用発明の認定において,引用例の【図5】の記載から「運動なし』の状態より弱い負荷の場合をリハビリ用と」して用いることが読,『み取れるとし,その記載された事実に基づいて引用発明を上記のとおり認定したものである。 したがって,審決の引用発明の認定に誤りはない。 (2) 原告らは,引用発明のサドルは,臀部を滑りやすい不安定な状態にするものであることから,特に体力の劣るリハビリ者にとって単にサドルに腰掛けるのみで腰掛けた状態を安定させることは全く無理である旨主張する。しかしながら,そのようなことは,引用例のどこにも記載されていない。むしろ,引用例には,サドル2の後ろ側に背凭れ15やヘッドレスト16を設けることが記載され図1健(【】),「常者の力より弱い力が必要なリハビリ等に使用する(段落【0020)ことが記」】- ろ,引用例には,サドル2の後ろ側に背凭れ15やヘッドレスト16を設けることが記載され図1健(【】),「常者の力より弱い力が必要なリハビリ等に使用する(段落【0020)ことが記」】- 12 -載され「手または足の何れかを休む場合には,手又は足を外し,空回りさせ(段,」落【0020)て使用することが記載されていることを勘案すれば,引用発明の】サドルは安定して腰掛けることが想定されていると解される。したがって,上記原告らの主張は,根拠のない無理な解釈に基づく主張であり,失当である。 (3) 原告らは,引用発明が「ハンドル」を有することを指摘して,引用発明がリハビリに用いることが不適切である旨主張する。しかしながら「ハンドル」につ,いては,引用例の「前記身体の鍛練装置を通常の健常者の力より弱い力が必要なリハビリ等に使用する場合,前述から明らかなように,先ず,モータ4の負荷を弱い範囲の所要の数値に設定する。次いでサドル2に腰をかけ,足をペダル3にかけ,片手でハンドル1を持ち,スイッチ31をONしモータ4の運転を開始する(段。」落【0020)の記載から「リハビリ」に用いる場合にもハンドルを使用するこ】,とができるものであること,及び「この運動で,手または足の何れかを休む場合には,手又は足を外し,空回りさせれば良い(段落【0020)の記載から,手。」】をハンドルから外して空回りさせてもよく,使用形態において「ハンドル」は必須のものではないことが理解できる。したがって,引用発明が「ハンドル」を有するからといって,引用発明がリハビリに用いることが不適切であるということはできない。 また,原告らは,引用発明は「ハンドル」を有することによって,使用者は前傾,,,,,姿勢となり肩を上げ脇を開き顎を上げ上肢 リハビリに用いることが不適切であるということはできない。 また,原告らは,引用発明は「ハンドル」を有することによって,使用者は前傾,,,,,姿勢となり肩を上げ脇を開き顎を上げ上肢をねじるといった状態になるがこれらは非常に不安定な姿勢であるため,無理に力を入れて速く行うことにより,首,肩,背中,腕,脊柱等に過大な負荷を与えることになるから,リハビリ用には不適切であるとも主張するが,そのようなことは,引用例のどこにも記載されておらず,むしろ,引用発明が「ハンドル」を有するからといって,引用発明がリハビリに用いることが不適切であるといえないことは,上記のとおりである。 よって,この点に関する原告らの主張は,根拠のない無理な解釈に基づく主張であり,失当である。 - 13 - 取消事由2(一致点の認定の誤り)に対して(1) 本願の請求項には「座部」については「該座部が前端側の左右両側にて切,,」,,り欠かれている椅子部という記載があるのみであって平坦な板状となっており着座者の臀部全体と足の大腿部の半分程度を受け止めて臀部を安定した状態で支持するものである旨の記載はない。よって,座部が平坦な板状となっているために臀部を安定した状態で支持するものであることを前提とする原告らの主張は,請求項の記載に基づく主張ではない。 また,本願明細書にも,本願発明の座部が「平坦な板状」でなければならないとは記載されていないさらに座部が平坦な板状となっていることによって着。 ,「」「座者の臀部を安定して支持する」ことができることについても,本願明細書には記載されておらず,示唆もされていないから,上記原告らの主張は,明細書の発明の詳細な説明の記載に基づく主張でもない。 かえって,本願明細書には「座部14が前端側の両側に切欠 についても,本願明細書には記載されておらず,示唆もされていないから,上記原告らの主張は,明細書の発明の詳細な説明の記載に基づく主張でもない。 かえって,本願明細書には「座部14が前端側の両側に切欠き部14bを設け,,,」(【】),ており丁度自転車のサドルに類似した形状となっているため段落0029「また,着座者は,そけい部を通る大体動脈や静脈,神経,リンパ管などが圧迫されることのない自然な状態で,前方に配置された机部61でデスクワークを行いながら,同時に負荷を非常に少なくしてリラックスした状態でサイクリング運動を行うことができるので,運動を行っていることを意識することなく長時間続けることが可能になる(段落【0030)と記載されており,着座者が長時間リラック。」】スした状態でサイクリング運動を続けることができる理由について,座部14が前端側の両側に切欠き部14bを設けており,丁度自転車のサドルに類似した形状と(,【】。)。 なっていることにあるとしているなお段落0006にも同様の記載があるしたがって,原告らの主張は,本願明細書の記載と矛盾した主張であるということもでき,失当である。 そして,引用発明の「サドル2」は「前端側の左右両側にて切り欠かれている」ものであるといえるし,上記の「座部14が前端側の両側に切欠き部14bを設け- 14 -ており,丁度自転車のサドルに類似した形状となっている」点において,本願発明の「座部」は引用発明の「サドル」と共通しているから,引用発明の「サドル2」が本願発明の「座部」に相当するとした審決の認定に誤りはない。 (2) 審決の「引用発明の『ハンドル1およびペダル3にかける負荷を発生するモ,』ータ4は回転数可変モータから回転数を制御することにより調節する型式で構成していることと 審決の認定に誤りはない。 (2) 審決の「引用発明の『ハンドル1およびペダル3にかける負荷を発生するモ,』ータ4は回転数可変モータから回転数を制御することにより調節する型式で構成していることと,本願発明の『一対のペダルを1~10回/分の低速度で回転させる回転駆動部』を備えることとは『一対のペダルを所定の回転数で回転させる回,転駆動部』を備えることで一致している」との記載は,本願発明と引用発明との。 間で「一対のペダルを所定の回転数で回転させる回転駆動部を備える」という共通事項が抽出できるとしたものにすぎないのであり,原告らが主張するように,引用発明を「所定の回転数で回転させる」ものとし,本願発明を「1~10回/分の低速度で回転させる」ものとして対峙させたものではない。 そして,審決は,回転数に関しては「回転駆動部によって回転されるペダルの,回転数が,本願発明においては『1~10回/分の低速度』であるのに対し,引用発明においては『運動なし』の状態よりも弱い負荷とすることによりリハビリ用,として用いることが可能であるものの,その場合の具体的回転数についての限定がなされていない点」として,相違点に挙げており,一致点とはしていないから,。 審決の一致点の認定に誤りはない。 取消事由3(相違点の認定の誤り)に対して(1) 原告らの主張する相違点2について,「」,本願発明の請求項にはハンドルがないことについて何も記載されておらずまた,ハンドルの代わりになる部材(例えば,本願明細書の実施例に記載されている,腕を保持して腕を運動させる機能を有する「手すり部」など)や通常ハンドルが備えられている位置に代わりに備えられる部材(例えば,本願の図1に記載されている「机部」など)が,本願発明の請求項に記載されているわけでもないし,まして 能を有する「手すり部」など)や通常ハンドルが備えられている位置に代わりに備えられる部材(例えば,本願の図1に記載されている「机部」など)が,本願発明の請求項に記載されているわけでもないし,まして,本願発明において「ハンドル」の存在が邪魔になるというようなことは,明- 15 -細書のどこにも開示されていないから,本願発明の請求項の記載から,本願発明が「ハンドル」を備えたものを排除したものであるということはできない。 一方で,引用発明において「ハンドル」の存在がリハビリに用いることの邪魔,にはならないこと,また,使用形態において「ハンドル」が必須のものでないことは,前記のとおりである。 したがって,引用発明が「ハンドル」を備えたことは,本願発明との相違点とはならない。 (2) 原告らの主張する相違点3について審決は,引用発明が「身体の鍛錬装置」であるという認定はしていない。 そして,引用発明は「運動なし』の状態より弱い負荷とすることによりリハビ『リにも用いられる装置」と認定することができるのであるから,引用発明が,リハビリ用として不適切な装置であるという原告らの主張が失当であることは,前記1のとおりである。 また,前記2のとおり,引用発明の「サドル」は本願発明の「座部」に相当する,「『』『』のであるから審決の引用発明のサドル2足をかけて回転させるペダル3を備えた『装置』が,本願発明の『回転ペダル付椅子』に相当する」との認定に。 誤りはない。 よって,引用発明は「身体の鍛錬装置」であるのに対して,本願発明は「回転ペダル付椅子」である点について,審決には相違点を看過した誤りがあるとの原告らの主張は,失当である。 取消事由4(相違点の判断の誤り)に対して(1) 「1~10回/分」の回転数について引用例には「前記身体の鍛 ある点について,審決には相違点を看過した誤りがあるとの原告らの主張は,失当である。 取消事由4(相違点の判断の誤り)に対して(1) 「1~10回/分」の回転数について引用例には「前記身体の鍛練装置を通常の健常者の力より弱い力が必要なリハ,ビリ等に使用する場合,前述から明らかなように,先ず,モータ4の負荷を弱い範囲の所要の数値に設定する(段落【0020)のとおり,モータの負荷を弱く。」】してリハビリに用いることが記載されている。そして,モータ4の負荷の調整のし- 16 -かたとして「モータ4の負荷の調節は,モータの回転数で調節するので簡単にできる(段落【0017)のとおり,回転数を小さくして負荷を弱くすることが記。」】載されている。そして,リハビリ用に用いる場合には,身体の状態の不良の程度に応じて,極めて弱い負荷が必要となる場合,すなわち,極めて低い回転数で回転させる必要があることは当然に想定し得ることである。回転数の範囲の具体的数値化は,単なる設計的事項であるから,上記の「極めて低い回転数」として「1~10回/分」という回転数を選択することは当業者が容易に想到し得たことである。 (2) 「自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して」について本願明細書には「なお,上記実施例においては,着座者が,デスクワーク等の,他の作業を行うと同時に,ほとんど意識しない状態で自動的に運動を行う場合に,ペダルの回転速度として1~10回/分の範囲,手すり部の揺動速度として1~10回/分程度の範囲,座部の往復回動速度として1~3回/分程度の範囲となっているが,例えば,着座者が,他の作業を行わずに休憩しているような場合には,これに限らず各上限を超えた回数でサイクリング運動等を行うこともできる(段落。」0040と記載されており 範囲となっているが,例えば,着座者が,他の作業を行わずに休憩しているような場合には,これに限らず各上限を超えた回数でサイクリング運動等を行うこともできる(段落。」0040と記載されており本願発明の装置をペダルの回転速度として 【】),,「~10回/分の範囲」を超える回転数で回転させ,サイクリング運動を行うこともできることが記載されている。そうすると「一対のペダルを1~10回/分の低,速度で回転させる」の構成から「自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転数に,追従して漕ぐ状態にさせられる」という作用効果は必然的には導かれない。 さらに付言すれば,引用例には「このペダル3をモータ4で駆動される方向と,同一方向に回転させる場合,ペダル3にかけた足に加える力はモータ4の負荷より小さくてよく,モータ4の負荷の範囲内の弱い力を加えることができる。一方,モータ4で駆動される方向と逆方向に回転させる場合,足に加える力はモータ4の負荷より大きくしなければならず,大きい負荷で運動したいときに使用することができる(段落【0019)と記載されており,上記の「このペダル3をモータ4。」】で駆動される方向と同一方向に回転させる場合」の1つの形態として「ペダルの回- 17 -転数に追従して漕ぐ状態にさせられる」ことが容易に想定される。 したがって,審決の,本願発明によってもたらされる効果は,引用発明から,当業者が予測し得る程度のものであるとした判断に誤りはない。 第5当裁判所の判断 取消事由1(引用発明の認定の誤り)について(1) 本願の特許請求の範囲及び明細書の記載証拠(甲3,4)によれば,本願の特許請求の範囲及び明細書には次の記載がある(ただし,下記段落【0005】及び【0017】は,平成18年6月19日付け手続補正による の特許請求の範囲及び明細書の記載証拠(甲3,4)によれば,本願の特許請求の範囲及び明細書には次の記載がある(ただし,下記段落【0005】及び【0017】は,平成18年6月19日付け手続補正による。 。)「請求項9】【前記椅子部が両側に一対の手すり部を設け,該一対の手すり部を前後に低速度で揺動させる揺動駆動手段を設けたことを特徴とする前記請求項1から8のいずれか1項に記載の回転ペダル付椅子」。 「請求項14】【前記椅子部の前方に机が配置されたことを特徴とする前記請求項1から13のいずれか1項に記載の回転ペダル付椅子」。 「技術分野】【本発明は,着座者がリラックスした状態で回転ペダルを漕ぐ等の軽度の運動を行うことがで(段落【0001)きる回転ペダル付椅子に関する。」】「背景技術】【ストレスの過剰な現代社会においては,自律神経のバランスが崩れて体の免疫力が低下しがちであり,また,パソコン等を用いた長時間のデスクワーク等により,運動不足や姿勢の不良により,肩こりや腰痛が頻発し,これらが原因となって種々の生活習慣病をもたらすという問題がある。このようなストレスの増加や運動不足を解消するには,散歩やサイクリングのような軽い運動が効果があることが知られている。ゆっくりとサイクリングや散歩などを行うことにより,自律神経のバランスが整えられると共に,小さな負荷で自然に全身運動を行うことが- 18 -できるため,注目されている。しかし,これらの運動は時間を要するため,多忙の折はまとま(段落【000った時間を取りづらい等により,規則的に行うことはなかなか困難である。」2)】「例えば,特許文献1に示すように,自宅やホテル等の専用の運動施設等に設置されたりして自由な時間にサイクリング運動を行うことができるトレーニング器が知られてい うことはなかなか困難である。」2)】「例えば,特許文献1に示すように,自宅やホテル等の専用の運動施設等に設置されたりして自由な時間にサイクリング運動を行うことができるトレーニング器が知られている。このようなトレーニング器を利用することにより,任意の時間にサイクリング運動を行うことができるため,歓迎されている。しかし,このようなサイクリング装置の場合,運動効率を高める意図もあって負荷を過重に設定する傾向になり,過重な運動となることによりかえってストレスや疲労物質を増加させることになるため,体に有害なことが多い。特に,体力の劣る中高年者にとっては,過大な負荷によって足腰を痛めたり疲れを増加させるといった逆効果になることが多い。また,上記散歩やサイクリングに限らずトレーニング器による運動も,利用時間内ではその他の作業を行うことができず,運動のための義務的な時間の消費になることは避けられなく,そのため心身のリラックス状態も得られ難くなっている。 (段落【0003)【特許文献1】特開2002-210037」】「発明が解決しようとする課題】【本発明は,上記問題を解決しようとするもので,他の作業を行いながら,負荷を非常に少なくしてリラックスした状態でほとんど意識することなくサイクリング運動等の軽度の運動を同時に行うことができ,長時間続けることが可能なことにより良好な全身運動を達成できる簡易(段落【0004)な構成の回転ペダル付椅子を提供することを目的とする。」】「,,,上記目的を達成するために本発明の構成上の特徴は脚部と座部と背もたれ部とを有し座部が前端側の左右両側にて切り欠かれている椅子部と,椅子部の前方にて床面に載置されて座部に着座した着座者が両足先を載置できるように両足の下方に配置された左右一対の回転可能なペダルを有す 部とを有し座部が前端側の左右両側にて切り欠かれている椅子部と,椅子部の前方にて床面に載置されて座部に着座した着座者が両足先を載置できるように両足の下方に配置された左右一対の回転可能なペダルを有する回転ペダル部と,一対のペダルを1~10回/分の低速度で回転させる回転駆動部とからなるペダル装置とにより構成されたことにある。なお,ペダルの回転速度としては,着座者がペダルの回転を意識しない程度の低速度である1~10回/分の範囲であればよいが,好ましくは4~8回/分程度であり,さらに好ましくは6~7回/分程度である。1- 19 -回/分より少ないと,サイクリング運動の効果が得難くなり,また,10回/分より多くなるとかえって負荷が大きくリラックスした状態にはなり難くなると共に,同時に他の作業を行う(段落【0005)ことも困難になる。」】「上記のように構成した本発明においては,椅子部の座部に腰掛けた着座者が,両足を左右一対のペダルに載せた状態で,回転駆動部の駆動により左右一対のペダルを回転させることにより,着座者がペダルの回転を意識しない程度の低速度で自動的にペダルをこぐ状態にさせられる。また,座部が前端側の両側にて切り欠かれており,丁度自転車のサドルに類似した形状となっているため,座部に座った着座者の両足の大腿部が切欠き部分によって座部の下方にスムーズに下げられる。そのため,ペダルの回転に伴って,着座者の大腿部が水平より上に持ち上げられることがないので,腹部と大腿部との間のそけい部が圧迫を受けることがなく,そけい部を通る大腿動静脈,神経,リンパ管などを圧迫することによる,腹部から下肢全体に及ぶ血管系,神経系運動系等に無用な疾患をもたらすおそれもない。また,着座者の大腿部が水平より上に持ち上げられないので,椅子部の前に机を配置しても,大腿部が机 を圧迫することによる,腹部から下肢全体に及ぶ血管系,神経系運動系等に無用な疾患をもたらすおそれもない。また,着座者の大腿部が水平より上に持ち上げられないので,椅子部の前に机を配置しても,大腿部が机に当たる不具合を生じることもない。そのため,着座者は,そけい部を通る大体動脈や静脈,神経,リンパ管などが圧迫されることのない自然な状態で,デスクワーク等の他の作業を行いながら,同時に負荷を非常に少なくしてリラックスした状態でサイクリング運動を行うことができるため,他のデスクワーク等を行いながらほとんど意識することなく長時間にわたって運動を続けることが(段落【0006)可能になる。」】「また,本発明において,回転駆動部の動作を制御してペダル部の回転速度を調節する回転制御部を設けることができる。このように,回転制御部の制御によってペダルの回転速度を変えることができるので,着座者の活動状態や健康状態に応じて適正な回転速度を選択することができる。そのため,着座者の活動状態等に応じたサイクリング運動を行うことができ,それ(段落【0008)に伴う適正な運動の効果が得られる。」】「また,本発明において,回転制御部により,ペダルの回転方向の切り換えが可能であることができる。このように,回転制御装置の制御によってペダルの回転方向を変えることができるので,足の異なった筋肉に刺激作用をもたらすことができ,よりバランスの取れた全身運動- 20 -(段落【0009)を達成することができる。」】「また,本発明において,椅子部が両側に一対の手すり部を設け,一対の手すり部を前後に(段落【0013)低速度で揺動させる揺動駆動手段を設けることができる。‥‥。」】「また,本発明において,椅子部の前方に机が配置されることが好ましい。これにより,椅子部の腰掛けた着座 部を前後に(段落【0013)低速度で揺動させる揺動駆動手段を設けることができる。‥‥。」】「また,本発明において,椅子部の前方に机が配置されることが好ましい。これにより,椅子部の腰掛けた着座者が,前方に配置された机を用いてデスクワークや学習を行いながら,負荷を非常に少なくしたリラックスした状態でサイクリング運動等の軽度の運動を行うことがで(段落【0きるので,特に意識することなく運動を長時間続けることが可能になる。‥‥。」016)】「発明の効果】【本発明によれば,椅子部の座部に腰掛けた着座者が,デスクワーク等の他の作業を行いながら,両足を左右一対のペダル部に載せ,回転駆動部によって1~10回/分の低速度でペダル部を駆動させることにより,着座者の両足の大腿部が切欠き部分によって座部の下方にスムー,。 ,ズに下げられた負担のかからない状態で自動的にペダルをこぐ状態にさせられるその結果本発明においては,着座者は,デスクワーク等の作業を行いながら,同時に負荷を非常に少なくしてリラックスした状態でほとんど意識することなく軽度のサイクリング運動を行うことが,,できるため全身の血行が良好にされ適正な全身運動による体力増強の効果が得られると共に自律神経のバランスが適正な状態に保たれる。また,本発明によれば,サイクリング運動が作業中に自動的にかつ自然に行われるため,作業が邪魔されることはなく,むしろ全身の血行が(段落【0017)良好にされることにより作業の能率を高める効果が得られる。」】「‥‥。また,座部14が前端側の両側に切欠き部14bを設けており,丁度自転車のサドルに類似した形状となっているため,座部14に座った着座者の両足の大腿部が切欠き部分によって座部14の下方にスムーズに下げられる。そのため,ペダル57の回転に伴って, bを設けており,丁度自転車のサドルに類似した形状となっているため,座部14に座った着座者の両足の大腿部が切欠き部分によって座部14の下方にスムーズに下げられる。そのため,ペダル57の回転に伴って,着座者の大腿部が水平より上に持ち上げられることがないので,腹部と大腿部との間のそけい部が圧迫を受けることがなく,そけい部を通る大体動脈や静脈,神経,リンパ管などを圧迫することによる,腹部から下肢全体に及ぶ血管系,神経系運動系等に無用な疾患をもたらすおそれも(段落【0029)ない。」】- 21 -「また,着座者は,そけい部を通る大体動脈や静脈,神経,リンパ管などが圧迫されることのない自然な状態で,前方に配置された机部61でデスクワークを行いながら,同時に負荷を非常に少なくしてリラックスした状態でサイクリング運動を行うことができるので,運動を行っていることを意識することなく長時間続けることが可能になる。その結果,本実施例によれば,軽度な運動の継続により全身の血行が良好に維持されて自然に体力が高められると共に,サイクリング運動等を行うことにより,デスクワークが邪魔されることはなく,むしろ全身の(段落【0030)血行が良好にされるため,仕事や学習の能率が高められる。」】「なお,上記実施例においては,着座者が,デスクワーク等の他の作業を行うと同時に,ほとんど意識しない状態で自動的に運動を行う場合に,ペダルの回転速度として1~10回/分の範囲,手すり部の揺動速度として1~10回/分程度の範囲,座部の往復回動速度として1~3回/分程度の範囲となっているが,例えば,着座者が,他の作業を行わずに休憩しているような場合には,これに限らず各上限を超えた回数でサイクリング運動等を行うこともでき(段落【0040)る。」】(2) 引用発明の記載証拠(甲1 例えば,着座者が,他の作業を行わずに休憩しているような場合には,これに限らず各上限を超えた回数でサイクリング運動等を行うこともでき(段落【0040)る。」】(2) 引用発明の記載証拠(甲1)によれば,引用例には次の記載がある。 「発明の属する技術分野】本発明は,身体の鍛練装置に係り,より詳細には,いわゆる自【転車型の,ペダルをこぐと共にハンドルを回動させる方式の,健常者の日常動作より弱い力の高齢者等の力の程度から鍛練運動の範囲まで負荷を調節することができる身体の鍛練装置に関(段落【0001)する。」】「本発明は,上述したような課題に対処して創作したものであって,その目的とする処は,弱い負荷から強い負荷まで広い範囲の,特に弱い範囲の,負荷をペダル及びハンドルに加えることができ,構造が簡単で小型化し,かつ負荷の調節が容易にできる身体の鍛練装置を提供す(段落【0005)ることにある。」】「発明の効果】本発明の請求項1の身体の鍛練装置によれば,…負荷調節をモータで行う【ので操作が簡単で,負荷を広い範囲,すなわちの病人用やリハビリ程度の弱い負荷から鍛練用の強い負荷に特別の操作を要することなく,容易に調節することができる。病後やリハビリ用- 22 -(段落【00に弱い負荷で使用できる結果,健康を回復させるのに役立てることができる。」09)】「本発明の実施形態の身体の鍛練装置は,図1~図4に示すように,手をかけて回転させるハンドル1と,腰をかけるサドル2と,足をかけて回転させるペダル3と,ハンドル1およびペダル3に負荷を加えるモータ4とから構成している。ハンドル1は,回転軸5にアーム6を介して取り付け,回転軸5を中心にして正逆回転動可能に形成している。回転軸5の両端にそれぞれ連結部材22を取り付け,この連結部材22の取付片2 4とから構成している。ハンドル1は,回転軸5にアーム6を介して取り付け,回転軸5を中心にして正逆回転動可能に形成している。回転軸5の両端にそれぞれ連結部材22を取り付け,この連結部材22の取付片22aに,アーム6を半径方向の反対側に伸ばして取り付け,ハンドル部全体を階段形に形成する。また,回転軸5には,ハンドル1に回転負荷を伝達するプーリ7を取り付け,ペダル3の回転軸8に設けた中継プーリ9とベルト10で連結している。そして,ハンドル1は,ハンドル部ケース13から露出させて正逆回転動可能に,このケース13又はフレームで支持する。ハンドル部ケース13は,スタンド11の上部に設けた下部ケース部12の前方から上方へ突出して形成し,その内部にプー(【】)リベルト等の伝動手段回転軸5および連結部材22等を収容する,,。」段落0013「また,ハンドル1より後方の下方にはサドル2を配置する。サドル2は,下部ケース部12の後方部に突出して形成したサドル取付部ケース14から露出させて,このケース14または内部のフレームに取り付ける。このサドル2の高低及び前後位置は,使用者の身長,器具の使用目的によって適宜に変更可能とする。また,サドル2の後ろ側には,背凭れ15をサドル取付部ケース14から上方へ突出させて設け,背凭れ15の上部にヘッドレスト16を設けている。そして,サドル2に座り,ハンドル1を握るとか手を掛けてハンドル1を回転させて,手の運動をして腕を鍛えようにしている。ハンドル部ケース13の根元の下部ケース部12内(段落【0014)に,ペダル3の回転軸8の部分を正逆回転動可能に設けている。」】「ペダル3は,回転軸8の両端にそれぞれペダル軸連結部材23を取り付け,この連結部材23の連結片23aに足掛け取付アーム24を取付け,このアーム24 回転軸8の部分を正逆回転動可能に設けている。」】「ペダル3は,回転軸8の両端にそれぞれペダル軸連結部材23を取り付け,この連結部材23の連結片23aに足掛け取付アーム24を取付け,このアーム24に取り付けて形成し,サドル部全体を階段形に構成している。回転軸8には,ハンドル1の軸5に設けたプーリ7と連結する中継プーリ9とプーリ17とを取り付けている。プーリ17とモータ4とをベルト18aでプーリ19を介して連結し,ペダル3にかける負荷をモータ4から受けるようにしてい- 23 -る。また,中継プーリ9とモータ4とは,駆動プーリ20と中継プーリ9に懸けたベルト18bで連結している。そして,モータ4で負荷を発生させ,プーリ19,20を介してペダル3(段落【0015)およびハンドル1へ,この負荷を伝達する。」】「ハンドル1およびペダル3にかける負荷を発生するモータ4は,回転数可変モータから回転数を制御することにより調節する型式で構成し,サドル取付部ケース14の下方の下部ケー。 ,,,,ス部12内に設けるそしてモータ4の出力軸にプーリ1920を取り付けプーリ1920とプーリ17,9との間にそれぞれベルト18a,18bを懸ける。このモータ4の負荷の制御は,このモータ4を制御するスイッチ類を設けた制御パネル21から行うようにしている。そして,制御パネル21は,ハンドル部ケース13の上部に設け,このパネル21の表示を見ながら鍛練装置の操作ができるようにしている。なお,この制御パネル21のスイッチ類(段落【0016)は,ハンドル部ケース13の側面に設けた構成としてもよい。」】「…ここで,ペダル3に足を掛けてこぐ運動をする場合,モータ4からプーリ17に加わる負荷に逆らって反対方向に力を加えなければ,回転させることができない。このモータ 側面に設けた構成としてもよい。」】「…ここで,ペダル3に足を掛けてこぐ運動をする場合,モータ4からプーリ17に加わる負荷に逆らって反対方向に力を加えなければ,回転させることができない。このモータ4の駆動力を強くすると,負荷を大きくすることができる。逆に,駆動力を弱くすると,負荷を小さ。 ,。 くすることができるモータ4の負荷の調節はモータの回転数で調節するので簡単にできる(段落【0017)…」】「また,上述のようにペダル3は,回転軸8と,軸連結部材23,連結片23a,足掛け取付アーム24で階段形に形成し,プーリ19,ベルト18a,プーリ17,回転軸5を介してモータ4と連結される。モータ4を運転して負荷を加えると,ペダル3およびハンドル1は回転する。このペダル3をモータ4で駆動される方向と同一方向に回転させる場合,ペダル3にかけた足に加える力はモータ4の負荷より小さくてよく,モータ4の負荷の範囲内の弱い力を加えることができる。一方,モータ4で駆動される方向と逆方向に回転させる場合,足に加える力はモータ4の負荷より大きくしなければならず,大きい負荷で運動したいときに使用する(段落【0019)ことができる。」】「以下,前記身体の鍛練装置の操作を説明する。前記身体の鍛練装置を通常の健常者の力より弱い力が必要なリハビリ等に使用する場合,前述から明らかなように,先ず,モータ4の負- 24 -荷を弱い範囲の所要の数値に設定する。次いでサドル2に腰をかけ,足をペダル3にかけ,片手でハンドル1を持ち,スイッチ31をONしモータ4の運転を開始する。そして,順回転方向にハンドル1を回転させ,ペダル3を足でこいで順回転方向に回転させる。この運動で,手または足の何れかを休む場合には,手又は足を外し,空回りさせれば良い。すなわち,ハンドル1とペ 。そして,順回転方向にハンドル1を回転させ,ペダル3を足でこいで順回転方向に回転させる。この運動で,手または足の何れかを休む場合には,手又は足を外し,空回りさせれば良い。すなわち,ハンドル1とペタル3をモータ4で駆動される方向と同一方向にそれぞれ回転させ,あるいは逆方向(段落【0020)に回転させることで,身体の鍛練ができる。」】【図5】(3) 上記(2) の各記載から,引用例に記載された「身体の鍛錬装置」は,①健常者の日常動作より弱い力の高齢者等の力の程度から鍛練運動の範囲まで負荷を調節することができるものであって,特に弱い範囲の負荷をペダル及びハンドルに加えることができ,病人用やリハビリ用としての程度の弱い負荷から鍛練用の強い負荷に(【】【】),容易に調節することができるものであること段落00010009参照②病後やリハビリ用として弱い負荷で使用できる結果,健康を回復させるのに役立てることができるものであること(段落【0009】参照,③モータ4の駆動力)を弱くすると,負荷を小さくすることができ,モータ4の負荷の調節は,モータの回転数で調節するので簡単にできること(段落【0009【0017】参照,④】)ペダル3をモータ4で駆動される方向と同一方向に回転させる場合,ペダル3にかけた足に加える力はモータ4の負荷より小さくてよく,モータ4の負荷の範囲内の弱い力を加えることができること(段落【0019】参照,⑤通常の健常者の力)より弱い力が必要なリハビリ等に使用する場合,まず,モータ4の負荷を弱い範囲の所要の数値に設定し,モータ4の運転を開始し,順回転方向にハンドル1を回転- 25 -させ,ペダル3を足でこいで順回転方向に回転させるものであること(段落【0020】参照,以上のような特徴を有していることが認め 定し,モータ4の運転を開始し,順回転方向にハンドル1を回転- 25 -させ,ペダル3を足でこいで順回転方向に回転させるものであること(段落【0020】参照,以上のような特徴を有していることが認められる。 )そうすると,引用発明は,病人用やリハビリをもその用途として想定した装置であって,それをリハビリ等に使用する場合には,モータの回転数を調節してモータの負荷をリハビリ等に適した弱い負荷に設定した後,足でペダルをモータの順回転方向に回転させることで,モータ4の負荷より小さく,モータ4の負荷の範囲内の弱い力を加えることで使用することが想定された装置であると認められる。 そして,上記(2)【図5】のとおり,モータの負荷をリハビリ用に設定する場合には,運動なしの状態よりもさらに弱い負荷に設定することも可能であることが記載されていることからすれば,引用発明は,リハビリ用として使用することができる装置であることは明らかである。 (4) この点について,原告らは,引用発明の装置が自らの意思で筋肉を鍛える装置であって,リハビリ用としては不適当である旨主張し,その理由につき,前記第3の1(2) 及び(3) のとおり,引用発明のサドルが,リハビリを行う者が安定して腰掛けることに適した形状ではないこと,引用発明では本願発明にはないハンドルを設けているが,ハンドルを握ると前傾姿勢という非常に不安定な姿勢となって両腕に負荷が加わり,その結果,かえって,体に損傷を与えるおそれすらある等,縷々主張する。 ,,【】,しかしながら原告らの主張は引用例の1実施例にすぎない図1の記載や自転車のサドルに一般的にみられる特徴に基づくものにすぎず,失当である。すなわち,そもそも引用例には,サドルを臀部が滑りやすい不安定な状態になるような形状にする旨の記載はないし ない図1の記載や自転車のサドルに一般的にみられる特徴に基づくものにすぎず,失当である。すなわち,そもそも引用例には,サドルを臀部が滑りやすい不安定な状態になるような形状にする旨の記載はないし,一般的にいっても,サドルの形状も自転車の種類に応じて種々あることは一般に知られた事実であって「サドル」という用語から直,ちに「サドル」というものが,安定して腰掛けることができないものであって,,かつハンドルを握ることが必須な形状に限られるとはいえない。 また,引用発明においては,ハンドル部ケース13を【図1】にみられるような- 26 -角度で設けることが必須ではなく,その角度を適宜設定することによって,前傾姿,,,勢とはならずむしろ後傾姿勢となるようにハンドルの角度を設定し得ることは当業者が容易に理解できる事項である。 そして,前記(2) の段落【0020】に記載されているように,引用発明では,ハンドルから手を外して空回りさせることをも想定しているのであるから,引用発明における「サドル」は,ハンドルを利用することなく腰掛けた状態を維持できるような形状に設計されていることが十分に窺えるものである。 そうすると,引用発明が「サドル」や「ハンドル」から構成される構造である,ことに照らして,リハビリ用としては不適切であるということはできず,上記原告らの主張はいずれも失当である。 (5) 以上のとおり,引用発明の装置をリハビリ用に使用するものであるとした審決の認定に誤りはない。 取消事由2(一致点の認定の誤り)について(1) 本願発明の「座部」と引用発明の「サドル」についてア「椅子」とは,一般的に「うしろによりかかりのある腰掛け(広辞苑第2,」版,甲5「腰をかけるための家具。腰掛け(広辞苑第5版「腰掛けて座るた),」), 引用発明の「サドル」についてア「椅子」とは,一般的に「うしろによりかかりのある腰掛け(広辞苑第2,」版,甲5「腰をかけるための家具。腰掛け(広辞苑第5版「腰掛けて座るた),」),。 。」(),「」めの家具腰掛け大辞泉第1版と理解されておりうしろによりかかりのないものも椅子と称する場合があることも踏まえると,少なくとも腰掛け部分を有するものといえる。 ,「」,「」(,),また腰掛けとは腰を掛ける台広辞苑第2版甲5及び広辞苑第5版「腰を掛ける台。いす(大辞泉第1版)であり「台」が「物をのせる平たいも。」,の(広辞苑第2版,甲5「物や人をのせる平たいもの(広辞苑第5版「物を」),」),のせるもの。また,人がのるためのもの(大辞泉第1版)との意味をもつことか。」らして,腰掛けとは,腰を掛けるためのもの,腰をのせるためのものであると理解される。 そして,本願発明の「椅子部」は「脚部「座部」及び「背もたれ部」を有す,」,- 27 -るものであるから,上記のような一般的な意味に照らすと,本願発明の「座部」とは,椅子のうち,腰を掛ける部分「腰掛け」に相当し,その形状として「前端側,,の左右両側にて切り欠かれている」もので「丁度自転車のサドルに類似した形状,となっている(本願明細書の段落【0006】参照)ものである。 」一方「サドル」とは,一般的に「自転車などの腰掛台(広辞苑第5版「自,,」),転車・オートバイなどの腰掛けの部分(大辞泉1版)であり,腰掛けである点に」おいて椅子の範疇に属するものと認められる。そして,引用発明の「サドル」も,腰を掛ける部分として利用されており「いわゆる自転車型の「身体の鍛錬装置」,」のサドルであること【図1】記載の形状 」おいて椅子の範疇に属するものと認められる。そして,引用発明の「サドル」も,腰を掛ける部分として利用されており「いわゆる自転車型の「身体の鍛錬装置」,」のサドルであること【図1】記載の形状からして,自転車のサドルと同様の形状,であるといえる。しかしながら,引用例にはサドルの具体的形状について特段の限定的記載はないのであるから,サドルの形状を実施例の記載や【図1】のそれに限定して解釈しなければならない理由はなく,ましてや臀部が不安定な状態になるような形状のものに限られるともいえない。 そこで,本願発明の「座部」と引用発明の「サドル」を対比するに,上記のとおり,本願発明の「座部」とは「椅子部」のうち,腰を掛ける部分あるいは腰掛け,であるととともに,前記(1) の段落【0029】に記載されているように,自転車のサドルに類似した形状を有するものである。他方,引用発明の「サドル」も腰掛けであって,自転車のサドルと同様の形状であるとともに,腰掛けである点で椅子の範疇に属するといえるのみならず「背凭れ15」とともに椅子を構成している,ことは明らかである。 したがって,引用発明の「サドル」が本願発明の「座部」に相当するとした審決の認定に,誤りはない。 イこの点について,原告らは,前記第3の2(1) アのとおり,自転車のサドルの機能や形状にかんがみ,引用発明の「サドル」は,臀部を滑り易い不安定な状態にすることが意図されており,安定して腰掛けるというものではないのに対し,本願発明の「座部」は,椅子の座部であることから,平たい台であって,平坦な板状- 28 -になっており,臀部全体と足の大腿部の半分程度を受け止めて腰部を安定した状態で支持する等,本願発明の「座部」が引用発明の「サドル」と異なる点を縷々主張する。 しかしながら,本願発明の「座 28 -になっており,臀部全体と足の大腿部の半分程度を受け止めて腰部を安定した状態で支持する等,本願発明の「座部」が引用発明の「サドル」と異なる点を縷々主張する。 しかしながら,本願発明の「座部」は,椅子の座部であることから,その上面は平たいとはいえるものの,それ以上に,平坦な板状であることや,着座者の臀部全体と足の大腿部の半分程度を受け止めて腰部を安定した状態で支持する程度に平たい部分が存することについては,本願発明の請求項に何らの特定もない。したがって,上記原告らの主張は,請求項の記載に基づかない主張であって,失当である。 また,仮に,本願発明の「座部」が着座者の臀部全体と足の大腿部の半分程度を受け止めて腰部を安定した状態で支持する程度に平坦な板状のものに限られるとしても,自転車のサドルがペダルを漕ぎやすくすることを前提にした形状を有するとはいえ,前記1(4) のとおり,サドルの形状としては自転車の種類・用途に応じて種々のものがあるのはよく知られた事実である。特に,前記1(3) のとおり,引用発明は,リハビリ用にも使用されるものでもあるところ,リハビリ用である以上,使用する患者の病状,傷害若しくは後遺障害の程度等に応じて,患者が安全に使用するようにするために,サドルの形状をその目的に合わせて設計されることはいわ,,「」,ば当然であるからこのような点を考慮すると引用発明のサドルについても腰を掛けるために,上面がある程度平たく,安定して腰掛けるような形状の物も想定されていると認めるのが相当である。 したがって,この点に関する原告らの主張は,失当である。 ウ原告らは,前記第3の2(1) イ(ウ) のとおり,被告が「手または足の何れかを休む場合には,手または足を外し,空回りさせて使用する」ことが引用例に記載されているこ 原告らの主張は,失当である。 ウ原告らは,前記第3の2(1) イ(ウ) のとおり,被告が「手または足の何れかを休む場合には,手または足を外し,空回りさせて使用する」ことが引用例に記載されていることを勘案すれば,引用発明のサドルは安定して腰掛けることが想定されていると主張していることに関し,同主張は,サドルの特性を無視した単なる文言上の解釈であって失当である旨主張する。 しかしながら,上記イのとおり「サドル」という用語は,その一般的な意味か,- 29 -らして,安定して腰掛けるものを排除するものではないし,引用発明の装置では,ハンドルから手を外して空回りさせることをも予定している以上,引用発明においても,ハンドルを利用することなく安定して腰掛けた状態を維持できるようにサドルの形状を設計していることは明らかであるから,上記原告らの主張は,失当である。 (2) 前記第3の2(2) の原告らの主張についてア本願発明は「一対のペダルを1~10回/分の低速度で回転させる回転駆,動部」を備えるものであるから「1~10回/分」といった所定の回転数で回転,させるものであるといえる。他方,引用発明は「ハンドル1およびペダル3にか,ける負荷を発生するモータ4は,回転数可変モータから回転数を制御することにより調節する型式で構成」しているもので,リハビリに用いるためにはリハビリに適した回転数に調節されるものであることから,その場合,リハビリに適した所定の回転数で回転させるものであるといえる。したがって,両者は「一対のペダルを所定の回転数で回転させる回転駆動部」を備える点で共通しており,その意味において,両者が一致することは明らかである。 イこの点について,原告らは,引用発明の「一対のペダルを所定の回転数で回転させる回転駆動部」は,本願発明の「一対 部」を備える点で共通しており,その意味において,両者が一致することは明らかである。 イこの点について,原告らは,引用発明の「一対のペダルを所定の回転数で回転させる回転駆動部」は,本願発明の「一対のペダルを1~10回/分の低速度で」,,「」回転させる回転駆動部とは異なる旨主張するが本願発明も1~10回/分といった「所定の回転数」で回転させるものであるといえる以上,その意味において,両者は一致している。したがって,この点を一致点とした審決の認定に誤りはない。そして,審決は,具体的な回転数について両者は相違するとした上で,容易想到性について判断しているのであるから,この点に関する原告らの主張は,失当である。 取消事由3(相違点の認定の誤り)について(1) 原告らの主張する相違点2について,「,,ア引用発明は手をかけて回転させるハンドル1と腰をかけるサドル2と- 30 -足をかけて回転させるペダル3と,ハンドル1およびペダル3に負荷を加えるモータ4とから構成され」るものであることからすれば「ハンドル」を有することは,明らかである。しかしながら,引用発明において「ハンドル」の存在がリハビリ,に用いることの邪魔にはならないことや,使用形態において「ハンドル」が必須のものといえないことは,前記1(3) 及び(4) において認定したとおりである。 イ他方,本願発明については,請求項1にはハンドルの有無について何らの特定もされていないので,請求項1の記載から,本願発明がハンドルを排除しているとは直ちにいえず,かえって,請求項9には「椅子部が両側に一対の手すり部を,設け」と,請求項14には「椅子部の前方に机が配置されている」と,それぞれ,記載されており,各請求項が請求項1を引用していることを考慮すれば,本願発明 項9には「椅子部が両側に一対の手すり部を,設け」と,請求項14には「椅子部の前方に机が配置されている」と,それぞれ,記載されており,各請求項が請求項1を引用していることを考慮すれば,本願発明(請求項1に係る発明)は請求項9や請求項14に係る発明を包含する発明で,手の周辺に何らかの部材が配置されている態様を想定した発明と考えることができる。したがって,むしろ,本願発明はハンドルを有する態様のものを排除していないと認めるのが相当である。 ウ以上により,原告らの主張する相違点2は,本願発明と引用発明との相違点とは認められないから,この点に関する原告らの主張は,失当である。 (2) 原告らの主張する相違点3について引用例の記載やその構造にかんがみ,引用発明はリハビリにも用いられる装置であると認められることは,前記1(3) 及び(4) において認定したとおりである。 確かに,前記1(2) の段落【0001】のとおり,引用例には「本発明は,身体の鍛錬装置に係り…」と記載されているが,その後に「より詳細には,いわゆる,自転車型の,ペダルをこぐと共にハンドルを回動させる方式の,健常者の日常動作より弱い力の高齢者等の力の程度から鍛練運動の範囲まで負荷を調節することができる身体の鍛練装置に関する」との記載があるように,病後やリハビリ用に弱い負荷で使用できる結果,健康を回復させるのに役立てることができるといった作用,効果も含めた意味での「身体の鍛錬装置」であると認められる。つまり,引用例に- 31 -おいては,一般的な意味(狭義の意味)としての「鍛錬」のみならず,リハビリをも含めて「鍛錬」と称していることは明らかであって,明細書中に「身体の鍛錬装置」という記載があることをもって,直ちにリハビリに適していないとすることはできない。 したがって,引用発 らず,リハビリをも含めて「鍛錬」と称していることは明らかであって,明細書中に「身体の鍛錬装置」という記載があることをもって,直ちにリハビリに適していないとすることはできない。 したがって,引用発明の「…リハビリに用いる装置」は,本願発明の「回転ペダル付椅子」に相当するというべきであって,原告らの主張する相違点3は,本願発明と引用発明との相違点とは認められない。 (3) 以上により,審決が看過した原告ら主張のような相違点はなく,審決の相違点の認定に誤りはない。 取消事由4(相違点の判断の誤り)について(1) 「1~10回/分」の回転数についてア前記1(3) で認定したとおり,引用発明は,病人用やリハビリ用としての程度の弱い負荷から鍛錬用の強い負荷に容易に調節することができるものであって,病後やリハビリ用として弱い負荷でも使用できる結果,健康を回復させるのに役立てることができるものである。そうであれば,引用発明では,身体の状態に応じた負荷の大きさを考慮して,身体の状態に応じた回転数を設定するものと解されるから,例えば,重度の後遺障害を有する病人用として,極めて低い回転数を設定することも当然に予定されているというべきである。 そして,本願発明の「1~10回/分」という回転数が極めて低い回転数とはいえ,想定困難な程度に低い回転数と解することはできず,重度の後遺障害を有する病人用としては十分に想定し得る回転数と認められるから,引用例においてこのような回転数の設定がおよそ想定できないものではない。 さらに,本願発明の「1~10回/分」の回転数によりもたらされる効果も,回転数に応じた効果にすぎず,当業者が予測し得る範囲内のものというべきである。 ,,「」,そうすると引用発明において1~10回/分の回転数に設定することは身体の状態に たらされる効果も,回転数に応じた効果にすぎず,当業者が予測し得る範囲内のものというべきである。 ,,「」,そうすると引用発明において1~10回/分の回転数に設定することは身体の状態に応じて適宜に設定できる範囲内の事項であると認めるのが相当であ- 32 -る。 イこの点について,原告らは,前記第3の4(1) において,本願発明の「1~10回/分」の回転数は引用発明のような鍛錬用の装置としては考えられない低い装置である旨縷々主張するが,原告らの主張は,引用発明がリハビリ用には適しない鍛練用の装置であることを前提とする主張であるところ,引用発明がリハビリ用にも使用できる装置であることは前記1(3) 及び(4) において認定したとおりであるから,この点に関する原告らの主張は採用できない。 (2) 「自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して」についてア本願発明が「自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して自動的に1~10回/分の低速度でほとんど意識しないでペダルを漕ぐ状態にさせられる」ものであるとの点は,請求項はもちろんのこと,本願明細書にも一切記載されていない。したがって,この点に関する原告らの主張は,本願発明の請求項に記載された事項に基づくものとはいえず,失当である。 イこの点について,原告らは「自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に,追従して自然に漕ぐ状態にさせられる」ことについては,本願発明の請求項に特定されてはいないが,請求項1の構成に基づいて必然的に導かれる作用である旨主張する。 確かに「1~10回/分」の回転数は極めて低い回転数であるが,自らの意思,で漕ぎ続けることが不可能な回転数と断ずることはできず,そのような回転数の装置であるからといって,論理必然的に「自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回 の回転数は極めて低い回転数であるが,自らの意思,で漕ぎ続けることが不可能な回転数と断ずることはできず,そのような回転数の装置であるからといって,論理必然的に「自らペダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して自然に漕ぐ状態にさせられる」とは認められない。 仮に,原告らが主張するように,そのような極めて低い回転数では自らの意思でペダルを漕ぎ続けることができないことが必然であるとすれば前記1(3) 及び(4),のとおり,引用発明はリハビリ用に用いることもできる装置であるから,引用発明において,回転数を「1~10回/分」に設定した場合にも,同様に「自らペ,ダルを漕ぐのではなくペダルの回転に追従して自然に漕ぐ状態にさせられる」と解- 33 -されることになるのであって,結局「1~10回/分」の回転数は,本願発明の,格別の作用効果とはいえず,その結果,当業者が容易に想到し得るものということになろう。 したがって,この点に関する原告らの主張は,採用することができない。 結論 以上のとおり,原告らの主張する審決取消事由はいずれも理由がないので,原告らの請求は棄却を免れない。 知的財産高等裁判所第1部裁判長裁判官塚原朋一裁判官東海林保裁判官矢口俊哉

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る