平成29(ワ)40337 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年7月22日 東京地方裁判所
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令和2年7 月22日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成29年(ワ)第40337号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和2年3月17日判決原告株式会社リコー 同訴訟代理人弁護士塩月秀平鳥海哲郎岡田誠同訴訟復代理人弁護士山室慶一郎友村明弘 同補佐人弁理士稲葉良幸阿部豊隆澤井光一被告株式会社ディエスジャパン被告株式会社ディエスロジコ 被告株式会社奥美濃プロデュース上記3名訴訟代理人弁護士厚谷襄児村田真一伊藤寛泰外崎友隆 藤井健一同訴訟代理人弁理士奥山尚一同補佐人弁理士田中祐 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,別紙1及び2記載のトナーカートリッジ製品を製造し,譲渡し,貸し渡し,輸出し,輸入し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲 する。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,別紙1及び2記載のトナーカートリッジ製品を製造し,譲渡し,貸し渡し,輸出し,輸入し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をしてはならない。 2 被告らは,その占有に係る別紙1及び2記載のトナーカートリッジ製品並びに別紙1及び2記載の電子部品を廃棄せよ。 3 被告らは,原告に対し,連帯して,1000万円及びこれに対する被告株式会社ディエスジャパンについて平成29年12月9日から,株式会社ディエスロジコ及び株式会社奥美濃プロデュースについて各同月8日から,支払済みま で年5分の割合による金員を支払え。 4 仮執行宣言第2 事案の概要 1 本件は,名称を「情報記憶装置,着脱可能装置,現像剤容器,及び,画像形成装置」とする特許権(特許第4886084号)及び名称を「情報記憶装置 及び着脱可能装置」とする2つの特許権(特許第5780375号,5780376号)を有する原告が,被告らは,原告が製造,販売するプリンタに対応する原告製のトナーカートリッジ製品から電子部品を取り外し,被告らの製造に係る電子部品(なお,平成29年11月以降は設計変更がされている。)と交換した上で,トナーを再充填するなどして,別紙1及び2記載のトナーカー トリッジ製品の再生品を販売しているところ,上記被告らの製造に係る電子部品(設計変更品を含む。)が上記各特許に係る発明の技術的範囲に属すると主張して,被告らに対し,同電子部品と一体として販売されているトナーカートリッジ製品の販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに,不法行為又は不当利得に基づき,特許法102条2項又は3項による損害賠償金及び弁護士費用の 合計4400万円のう 販売されているトナーカートリッジ製品の販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに,不法行為又は不当利得に基づき,特許法102条2項又は3項による損害賠償金及び弁護士費用の 合計4400万円のうちの1000万円並びにこれに対する不法行為の後の 日である訴状送達日の翌日(被告株式会社ディエスジャパンについて平成29年12月9日,その余の被告らについて同月8日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨によ り認定できる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,特に断らない限り,枝番を含むものとする。)(1) 当事者ア原告原告は,複写機,複合機やプリンタなどのオフィス向けの画像機器及びそ の関連商品の製造,販売,輸出入及び研究開発等を業とする株式会社である。 イ被告ら被告株式会社ディエスジャパン(以下「被告DSジャパン」という。)は,トナーカートリッジ・インクリボン・BJインク・PPCトナー・磁気製品・PPC用紙・専用用紙・各種プリンタ・複合機・パソコン・周辺機器全般の 販売,中古OA機器回収及びデータ消去業務・中古プリンタ修理を業とする株式会社である。 被告株式会社ディエスロジコ(以下「被告ロジコ」という。)は,リサイクルトナーカートリッジ製品の製造を業とする株式会社である。 (甲7の1)被告株式会社奥美濃プロデュース(以下「被告奥美濃」という。)はリサ イクルトナーカートリッジ製品の製造を業とする株式会社である。(甲7の1)(2) 原告の有する特許権原告は,以下の各特許(以下,特許番号第4886084号 被告奥美濃」という。)はリサ イクルトナーカートリッジ製品の製造を業とする株式会社である。(甲7の1)(2) 原告の有する特許権原告は,以下の各特許(以下,特許番号第4886084号の特許を「本件特許1」,特許番号第5780375号の特許を「本件特許2」,特許番 号第5780376号の特許を「本件特許3」といい,これらを併せて「本 件各特許」という。)に係る特許権(以下,本件特許1に係る特許権を「本件特許権1」,本件特許2に係る特許権を「本件特許権2」,本件特許3に係る特許権を「本件特許権3」いい,これらを併せて「本件各特許権」という。)を有している。(甲1~6)ア本件特許権1 特許番号第4886084号発明の名称情報記憶装置,着脱可能装置,現像剤容器,及び,画像形成装置出願日平成23年5月31日出願番号特願2011-121688 優先日平成22年6月11日優先権主張国日本登録日平成23年12月16日イ本件特許権2特許番号第5780375号 発明の名称情報記憶装置及び着脱可能装置出願日平成27年5月15日出願番号特願2015-100335(特願2011-220226の分割)原出願日平成23年5月31日 優先日平成22年6月11日優先権主張国日本登録日平成27年7月24日ウ本件特許権3特許番号第5780376号 発明の名称情報記憶装置及び着脱可能装置 張国日本登録日平成27年7月24日ウ本件特許権3特許番号第5780376号 発明の名称情報記憶装置及び着脱可能装置 出願日平成27年5月15日出願番号特願2015-100343(特願2011-220226の分割)原出願日平成23年5月31日優先日平成22年6月11日 優先権主張国日本登録日平成27年7月24日(3) 本件各特許に係る特許請求の範囲本件各特許に係る特許請求の範囲の記載は,以下のとおりである。(甲4~6) ア本件特許1(ア) 請求項1(以下「本件発明1-1」という。)「画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に設置される情報記憶装置であって,前記画像形成装置本体と前記着脱可能装置との間で通信される情報が記憶される情報記憶部と,前記画像形 成装置本体に設置された本体側端子に接触して,前記画像形成装置本体との間で前記情報を通信するための端子と,前記情報記憶部と前記端子とが保持されるとともに,前記画像形成装置本体に設置された突起部に係合する穴部が形成された基板と,を備え,前記端子は,短手方向に隙間を空けて並設された複数の金属板であり,前記基板に形成された前記 穴部は,前記画像形成装置本体の前記突起部に形成された接地用の本体側端子に接触するアース端子が形成され,前記複数の金属板のうち2つの金属板に間に挟まれる位置に配設されたことを特徴とする情報記憶装置。」(イ) 請求項2(以下「本件発明1-2」という。) 「前記アース端子は,少なくとも,前記穴部の内径部に形成された 金属板に間に挟まれる位置に配設されたことを特徴とする情報記憶装置。」(イ) 請求項2(以下「本件発明1-2」という。) 「前記アース端子は,少なくとも,前記穴部の内径部に形成されたこ とを特徴とする請求項1に記載の情報記憶装置。」(ウ) 請求項6(以下「本件発明1-6」といい,本件発明1-1及び本件発明1-2と併せて「本件各発明1」という。)「前記本体側端子は複数の金属部材端子で構成されていて,前記複数の金属板は,前記本体側端子の第1の金属部材端子に接触した状態でシ リアルクロックが入力されるクロック信号用の入力端子と,前記本体側端子の第2の金属部材端子に接触した状態でシリアルデータの入出力が行われるシリアルデータ用の入出力端子と,前記本体側端子の第3の金属部材端子に接触した状態で電圧が入力される電源用の入力端子であることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の情報記憶装 置。」イ本件特許2(ア) 請求項1(以下「本件発明2-1」という。)「画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に設置される情報記憶装置であって,前記画像形成装置本体が備える本体 側端子に接触される情報記憶装置側端子と,前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え,前記情報記憶装置側端子は,クロック信号用端子と,シリアルデータ用端子と,電源用端子と,アース端子と,を含み,前記アース端子は,前記穴部に設けられ,前記情報記憶装置側端子は,前記クロック信号用端子, 前記アース端子,前記シリアルデータ用端子,前記電源用端子の順に前記基板に配置されていることを特徴とする情報記憶装置。」(イ) 請求項2(以下「本件発明2-2」 ロック信号用端子, 前記アース端子,前記シリアルデータ用端子,前記電源用端子の順に前記基板に配置されていることを特徴とする情報記憶装置。」(イ) 請求項2(以下「本件発明2-2」という。)「請求項1に記載の情報記憶装置であって,前記アース端子は,少なくとも,前記穴部の内径部に形成されていることを特徴とする情報記憶 装置。」 (ウ) 請求項3(以下「本件発明2-3」という。)「請求項1又は2に記載の情報記憶装置であって,前記クロック信号用端子,前記シリアルデータ用端子及び前記電源用端子は,金属板からなることを特徴とする情報記憶装置。」(エ) 請求項4(以下「本件発明2-4」という。) 「請求項1又は2に記載の情報記憶装置であって,前記クロック信号用端子,前記シリアルデータ用端子及び前記電源用端子は,金属パッドからなることを特徴とする情報記憶装置。」(オ) 請求項25(以下「本件発明2-25」という。)「画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に 設置される情報記憶装置であって,前記画像形成装置本体が備える本体側端子に接触される情報記憶装置側端子と,前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え,前記情報記憶装置側端子は,クロック信号用端子と,シリアルデータ用端子と,電源用端子と,アース端子と,を含み,前記アース端子は,前記 穴部に設けられ,前記穴部は,前記クロック信号用端子と前記シリアルデータ用端子との間に配置されていることを特徴とする情報記憶装置。」(カ) 請求項49(以下「本件発明2-49」といい,本件発明2-1ないし4,本件発明2-25と併せて「本件各発明2」という。 との間に配置されていることを特徴とする情報記憶装置。」(カ) 請求項49(以下「本件発明2-49」といい,本件発明2-1ないし4,本件発明2-25と併せて「本件各発明2」という。)「画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に 設置される情報記憶装置であって,前記画像形成装置本体が備える本体側端子に接触される情報記憶装置側端子と,前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え,前記情報記憶装置側端子は,シリアルクロックが入力されるシリアルクロック入力端子と,シリアルデータが入力されるシリアルデータ入力端子 と,電源入力部と,アース端子と,を含み,前記アース端子は,前記穴 部に設けられ,前記穴部に対して,前記情報記憶装置が前記画像形成装置本体に装着された状態における鉛直方向上方の位置には前記シリアルクロック入力端子が設置され,鉛直方向下方の位置には前記シリアルデータ入力端子と前記電源入力部が設置されていることを特徴とする情報記憶装置。」 ウ本件特許3(ア) 請求項70(以下「本件発明3-70」という。)「水平方向に突出する突起部と,当該突起部に設置された接地用の本体側アース端子と,前記突起部と同一方向に突出する一対のリブと,を備えた画像形成装置本体に情報を伝達するための情報記憶装置であ って,前記情報記憶装置は,前記画像形成装置本体側に伝達するための情報を記憶する情報記憶部と,前記突起部が挿入される穴部と,前記情報記憶部と,を備えた基板と,前記穴部に形成され,前記本体側アース端子と接触する情報記憶装置側アース端子と,を備え,前記穴部に前記突起部が挿入された状態において,前記情報記憶部は前記穴 部 情報記憶部と,を備えた基板と,前記穴部に形成され,前記本体側アース端子と接触する情報記憶装置側アース端子と,を備え,前記穴部に前記突起部が挿入された状態において,前記情報記憶部は前記穴 部よりも下方に設けられ,前記基板は,前記穴部に前記突起部が挿入されていく間に,当該基板の側面であって前記穴部よりも下方に,前記一対のリブのうちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備えたことを特徴とする情報記憶装置。」(イ) 請求項77(以下「本件発明3-77」という。) 「請求項70ないし76のいずれかに記載の情報記憶装置であって,前記基板の表面に設けられ,前記画像形成装置本体に設けられた本体側端子と接触する情報記憶装置側端子を備えることを特徴とする情報記憶装置。」(ウ) 請求項78(以下「本件発明3-78」という。) 「請求項77に記載の情報記憶装置であって,前記情報記憶装置が 前記画像形成装置本体に接続される際,前記情報記憶装置側アース端子が前記本体側アース端子と接触した後に,前記情報記憶装置側端子が前記本体側端子と接触可能に形成されていることを特徴とする情報記憶装置。」(エ) 請求項80(以下「本件発明3-80」といい,本件発明3-70, 本件発明3-77及び本件発明3-80と併せて「本件各発明3」といい,本件各発明1及び本件各発明2と併せて「本件各発明」という。 また,本件各特許の願書に添付した明細書及び図面を,特許の符号に従って,「本件明細書等1」などといい,併せて「本件各明細書等」という。) 「請求項70ないし79のいずれかに記載の情報記憶装置であって,前記穴部は,前記基板に1つだけ形成されていることを特徴とする情報記憶装置。」(4) 本件各発明の構成要件本件各発明を 「請求項70ないし79のいずれかに記載の情報記憶装置であって,前記穴部は,前記基板に1つだけ形成されていることを特徴とする情報記憶装置。」(4) 本件各発明の構成要件本件各発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである。 ア本件各発明1(ア) 本件発明1-11-1A 画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に設置される情報記憶装置であって,1-1B 前記画像形成装置本体と前記着脱可能装置との間で通信さ れる情報が記憶される情報記憶部と,1-1C 前記画像形成装置本体に設置された本体側端子に接触して,前記画像形成装置本体との間で前記情報を通信するための端子と,1-1D 前記情報記憶部と前記端子とが保持されるとともに,前記 画像形成装置本体に設置された突起部に係合する穴部が形成 された基板と,を備え,1-1E 前記端子は,短手方向に隙間を空けて並設された複数の金属板であり,1-1F1 前記基板に形成された前記穴部は,前記画像形成装置本体の前記突起部に形成された接地用の本体側端子に接触す るアース端子が形成され,1-1F2 前記複数の金属板のうち2つの金属板に間に挟まれる位置に配設された1-1G ことを特徴とする情報記憶装置。 (イ) 本件発明1-2 1-2H 前記アース端子は,少なくとも,前記穴部の内径部に形成された1-2I ことを特徴とする請求項1に記載の情報記憶装置。 (ウ) 本件発明1-61-6J 前記本体側端子は複数の金属部材端子で構成されていて, 1-6K 前記複数の金属板は,前記本体側端子の第1の金属部材端子に接触した状態でシリアルクロックが入力されるクロック信号用の入力端子と,前 体側端子は複数の金属部材端子で構成されていて, 1-6K 前記複数の金属板は,前記本体側端子の第1の金属部材端子に接触した状態でシリアルクロックが入力されるクロック信号用の入力端子と,前記本体側端子の第2の金属部材端子に接触した状態でシリアルデータの入出力が行われるシリアルデータ用の入出力端子と,前記本体側端子の第3の金属部 材端子に接触した状態で電圧が入力される電源用の入力端子である1-6L ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の情報記憶装置。 イ本件各発明2 (ア) 2-1A 画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能 装置に設置される情報記憶装置であって,2-1B 前記画像形成装置本体が備える本体側端子に接触される情報記憶装置側端子と,2-1C 前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え, 2-1D1 前記情報記憶装置側端子は,クロック信号用端子と,2-1D2 シリアルデータ用端子と,2-1D3 電源用端子と,2-1D4 アース端子と,を含み,2-1E 前記アース端子は,前記穴部に設けられ, 2-1F 前記情報記憶装置側端子は,前記クロック信号用端子,前記アース端子,前記シリアルデータ用端子,前記電源用端子の順に前記基板に配置されている2-1G ことを特徴とする情報記憶装置。 (イ) 本件発明2-2 2-2H 請求項1に記載の情報記憶装置であって,2-2I 前記アース端子は,少なくとも,前記穴部の内径部に形成されていることを特徴とする情報記憶装置。 (ウ) 本件発明2-32-3J 請求項1又は2に記載の情報記憶装置であって, 2-3K 前記 ス端子は,少なくとも,前記穴部の内径部に形成されていることを特徴とする情報記憶装置。 (ウ) 本件発明2-32-3J 請求項1又は2に記載の情報記憶装置であって, 2-3K 前記クロック信号用端子,前記シリアルデータ用端子及び前記電源用端子は,金属板からなることを特徴とする情報記憶装置。 (エ) 本件発明2-42-4L 請求項1又は2に記載の情報記憶装置であって, 2-4M 前記クロック信号用端子,前記シリアルデータ用端子及び 前記電源用端子は,金属パッドからなることを特徴とする情報記憶装置。 (オ) 本件発明2-252-25A 画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に設置される情報記憶装置であって, 2-25B 前記画像形成装置本体が備える本体側端子に接触される情報記憶装置側端子と,2-25C 前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え,2-25D1 前記情報記憶装置側端子は,クロック信号用端子と, 2-25D2 シリアルデータ用端子と,2-25D3 電源用端子と,2-25D4 アース端子と,を含み,2-25E 前記アース端子は,前記穴部に設けられ,2-25F 前記穴部は,前記クロック信号用端子と前記シリアルデ ータ用端子との間に配置されている2-25G ことを特徴とする情報記憶装置。 (カ) 本件発明2-492-49A 画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に設置される情報記憶装置であって, 2-49B 前記画像形成装置本体が備える本体側端子に接触される情報記憶装置側端子と,2-49C 前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴 置される情報記憶装置であって, 2-49B 前記画像形成装置本体が備える本体側端子に接触される情報記憶装置側端子と,2-49C 前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え,2-49D1 前記情報記憶装置側端子は,シリアルクロックが入力 されるシリアルクロック入力端子と, 2-49D2 シリアルデータが入力されるシリアルデータ入力端子と,2-49D3 電源入力部と,2-49D4 アース端子と,を含み,2-49E 前記アース端子は,前記穴部に設けられ, 2-49F1 前記穴部に対して,前記情報記憶装置が前記画像形成装置本体に装着された状態における鉛直方向上方の位置には前記シリアルクロック入力端子が設置され,2-49F2 鉛直方向下方の位置には前記シリアルデータ入力端子と前記電源入力部が設置されている 2-49G ことを特徴とする情報記憶装置。 ウ本件各発明3(ア) 3-70A 水平方向に突出する突起部と,3-70B 当該突起部に設置された接地用の本体側アース端子と,3-70C 前記突起部と同一方向に突出する一対のリブと, 3-70D を備えた画像形成装置本体に情報を伝達するための情報記憶装置であって,3-70E 前記情報記憶装置は,前記画像形成装置本体側に伝達するための情報を記憶する情報記憶部と,3-70F 前記突起部が挿入される穴部と,前記情報記憶部と,を 備えた基板と,3-70G 前記穴部に形成され,前記本体側アース端子と接触する情報記憶装置側アース端子と,を備え,3-70H 前記穴部に前記突起部が挿入された状態において,前記情報記憶部は前記穴部よりも下方に設けられ, 成され,前記本体側アース端子と接触する情報記憶装置側アース端子と,を備え,3-70H 前記穴部に前記突起部が挿入された状態において,前記情報記憶部は前記穴部よりも下方に設けられ, 3-70I 前記基板は,前記穴部に前記突起部が挿入されていく間 に,当該基板の側面であって前記穴部よりも下方に,前記一対のリブのうちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備えた3-70J を特徴とする情報記憶装置。 (イ) 本件発明3-77 3-77O 請求項70ないし76のいずれかに記載の情報記憶装置であって,3-77P 前記基板の表面に設けられ,前記画像形成装置本体に設けられた本体側端子と接触する情報記憶装置側端子を備えることを特徴とする情報記憶装置。 (ウ) 本件発明3-783-78Q 請求項77に記載の情報記憶装置であって,3-78R 前記情報記憶装置が前記画像形成装置本体に接続される際,前記情報記憶装置側アース端子が前記本体側アース端子と接触した後に,前記情報記憶装置側端子が前記本体側 端子と接触可能に形成されていることを特徴とする情報記憶装置。 (エ) 本件発明3-803-80S 請求項70ないし79のいずれかに記載の情報記憶装置であって, 3-80T 前記穴部は,前記基板に1つだけ形成されていることを特徴とする情報記憶装置。 (5) 被告らの行為原告は,「IPSiOSPC830シリーズ」のレーザープリンタ(型番はC830及びC831。以下「原告プリンタ」といい,それ以外のシリ ーズも含め,原告が製造しているプリンタを総称するときは「原告製プリン タ」という。)用トナーカートリッジ(以下「原告製品」といい,原告製品を指して「純正 ,それ以外のシリ ーズも含め,原告が製造しているプリンタを総称するときは「原告製プリン タ」という。)用トナーカートリッジ(以下「原告製品」といい,原告製品を指して「純正品」ということがある。)を製造,販売等しているところ,被告ロジコ及び被告奥美濃は,使用済みの原告製品から情報記憶装置(以下「原告電子部品」という。)を取り外し,別紙1及び2記載の電子部品(以下「被告電子部品」という。)に取り替えた上で,トナーを充填し,再生品 である同各別紙記載のトナーカートリッジ製品(以下「被告製品」という。)を製造している。 被告ら及び株式会社ディエスホールディングスはグループ会社であり,被告ロジコ及び被告奥美濃が製造した被告製品を株式会社ディエスホールディングスが仕入れ,同社が更に被告DSジャパンに同製品を販売している。 被告らは,平成25年4月から平成29年10月までの間,被告電子部品が搭載された被告製品を,同年11月以降は,同電子部品の形状を変更した部品(以下「被告電子部品(設計変更後)」という。)が搭載された製品(以下「被告製品(設計変更後)」という。)を,日本国内において,直販ないしは被告DSジャパンが運営する「eco-choice(エコチョイス)」 との名称のウェブサイト(以下「被告ウェブサイト」という。)を通じて,販売し又は販売の申出をした。(以上,甲7,8,10,乙2,弁論の全趣旨)(6) 被告製品の構成等ア被告電子部品の構成は,別紙3記載のとおりであり(甲10~13), 被告電子部品(設計変更後)の形状は,別紙4の第2のとおりである(甲19,乙15。同部品のうち,ICチップの穴部の上側の縁部を切り取った部分を「本件設計変更部分」という。同別紙写真4~6参照)。 イ構 子部品(設計変更後)の形状は,別紙4の第2のとおりである(甲19,乙15。同部品のうち,ICチップの穴部の上側の縁部を切り取った部分を「本件設計変更部分」という。同別紙写真4~6参照)。 イ構成要件の充足性に関し,被告電子部品(設計変更後も含む。)については,本件特許3の構成要件3-70A~Dの充足性に争いがあり,被告 電子部品(設計変更後)については,更に構成要件1-1D等の「穴部」 の充足性及び均等侵害の成否について争いがある。 (7) 原告による書換制限の内容等ア原告プリンタにおいては,トナーの残量が段階的に表示され,トナーが少なくなってくると「トナーがもうすぐなくなります」,「交換用のトナーがあるか確認してください。」との予告表示がされ,トナーを使い切る と,「トナーがなくなりました。」,「トナーを補給してください。」との表示がされる。(乙25)イ原告の製造する純正品を使用した後,使用済みの原告製品にトナーを再充填して原告プリンタに装着すると,トナーの残量表示が「?」と表示され,異常が生じていることを示す黄色ランプが点滅し,「非純正トナーボ トルがセットされています。」との表示がされる。この場合でも,印刷操作を行うと支障なく印刷することができるが,「トナーがもうすぐなくなります。」,「交換用トナーがあるか確認してください。」との予告表示はされず,トナーを使い切ると,「トナーがなくなりました」,「トナーを補給してください」というメッセージが出て,赤色ランプが点灯する。 (乙25)ウ原告電子部品として使用されている情報記憶装置は不揮発性メモリの一種で,書換制限がされていなければ,電圧の操作によってデータの消去や書換えを行うことができるため,被告らをはじめとするリサイクル ウ原告電子部品として使用されている情報記憶装置は不揮発性メモリの一種で,書換制限がされていなければ,電圧の操作によってデータの消去や書換えを行うことができるため,被告らをはじめとするリサイクル業者は,原告の製造するプリンタのうち,後記エの書換制限措置がされていない機 種に適合するトナーカートリッジについては,電子部品のメモリを書き換え,トナー残量の表示をすることができるようにした上で販売している。 (乙26,46)エ原告は,C830シリーズのプリンタ(原告プリンタはこのシリーズに属する。)及びその後継機種であるC840シリーズのプリンタ用のトナ ーカートリッジの電子部品についてデータの書換えを制限する措置(以下 「本件書換制限措置」という。)をしている。 これらの機種のうち,上記C830シリーズは販売が終了しており,原告が現在販売している製品群(カラーレーザープリンタ及びモノクロレーザープリンタの合計30機種)のうち,本件書換制限措置がされているのは,RICOHSPC840ME等のカラーレーザープリンタ5機種 である。(甲31,弁論の全趣旨)オ原告の製造するプリンタのうち,本件書換制限措置がされているC830及びC840シリーズに適合するトナーカートリッジの電子部品は本件各発明と同様の形状であり,他の機種に適合するトナーカートリッジの電子部品は,本件各発明に係る形状とは異なる形状である。 (8) 本件各特許の優先日前の先行文献の存在本件各特許の優先日(平成22年6月11日)の前には,以下の先行文献が存在する。 ア平成14年7月12日公開に係る特開2002-198627号公報(乙5。以下「乙5公報」といい,乙5公報に記載された発明を「乙5発 明」という。) には,以下の先行文献が存在する。 ア平成14年7月12日公開に係る特開2002-198627号公報(乙5。以下「乙5公報」といい,乙5公報に記載された発明を「乙5発 明」という。)イ平成4年3月12日公開に係る実開4-30784号(乙6。以下「乙6公報」といい,乙6公報に記載された考案を「乙6考案」という。) 3 争点(1) 被告電子製品(設計変更後も含む。)が本件発明3の技術的範囲に属する か(争点1)構成要件3-70A~Dの充足性(争点1)(2) 被告電子製品(設計変更後)が本件各発明の技術的範囲に属するか(争点2)ア構成要件1-1D等の「穴部」の充足性(争点2-1) イ均等侵害の成否(争点2-2) (3) 本件各特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点3)ア無効理由1(進歩性の欠如。争点3-1)(ア) 無効理由1-1(本件発明1の進歩性欠如。争点3-1-1)(イ) 無効理由1-2(本件発明2の進歩性欠如。争点3-1-2) (ウ) 無効理由1-3(本件発明3の進歩性欠如。争点3-1-3)イ無効理由2(明確性要件違反。争点3-2)(ア) 無効理由2-1(本件発明3-70,3-77,3-78及び3-80に関する明確性要件違反。争点3-2-1)(イ) 無効理由2-2(本件発明3-78に関する明確性要件違反。争点3 -2-2)(4) 消尽の成否等(争点4)(5) 権利濫用の成否(争点5)(6) トナーカートリッジ本体の製造等の差止め及び廃棄の必要性の有無(争点6) (7) 原告の損害額(争点7)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(構成要件3-70 争点5)(6) トナーカートリッジ本体の製造等の差止め及び廃棄の必要性の有無(争点6) (7) 原告の損害額(争点7)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(構成要件3-70A~Dの充足性)について〔原告の主張〕被告電子部品(設計変更後も含む。争点1について,以下同様。)が搭載さ れた被告製品は,原告プリンタ用のトナーカートリッジとして被告らにより販売されており,当然に同プリンタに着脱可能であるから,被告電子部品は,構成要件3-70A~Dを充足する。 被告らは,被告電子部品が,構成要件3-70A~Cの構成を備えないプリンタに使用可能であれば,同各構成要件を充足しないと主張するが,同各構成 要件は,これらの各特徴を備えたプリンタ以外のプリンタに対する情報記憶装 置の使用可能性を排除するものではないから,被告らの主張は理由がない。 〔被告らの主張〕構成要件3-70A~Cは,プリンタ本体に係る構成であり,これらの構成は,被告電子部品の構成に当然に必要となるわけではないから,被告電子部品は,同各構成要件「を備えた画像形成装置本体に情報を伝達するための情報記 憶装置」(構成要件3-70D)ということはできない。 本件発明3-70は,情報記憶装置に係る発明であるから,構成要件3-70A~Cの充足性は,情報記憶装置が具備する特徴自体から判断される必要がある。そうすると,被告電子部品が,構成要件3-70A~Cを備えないプリンタに使用できるのであれば,被告電子部品が同各構成要件を充足するという ことはできない。しかし,被告電子部品は,トナーカートリッジ側で十分固定され,その形状自体から,同各構成要件を備えることが必須となるわけではない。 したがって,被告電子部品は,本件発明3 ことはできない。しかし,被告電子部品は,トナーカートリッジ側で十分固定され,その形状自体から,同各構成要件を備えることが必須となるわけではない。 したがって,被告電子部品は,本件発明3-70及びその従属項に係る発明である本件発明3-70,3-77,3-78及び3-80発明の技術的範囲 に属しない。 2 争点2(被告電子部品(設計変更後)が本件各発明の技術的範囲に属するか)について(1) 争点2-1(構成要件1-1D等の「穴部」の充足性)について〔原告の主張〕 ア構成要件1-1D等が定める「穴部」について,本件明細書等1~3には,突起部分が係合又は挿入される形状として記載され(本件各特許の各請求項1,本件明細書等1~3の各段落【0006】),広辞苑にも,「穴」は「くぼんだ所。または向こうまで突き抜けた所」とされていること(甲14)によれば,「穴部」は,必ずしもその縁部が閉じている必要はない。 イこれに対し,被告らは,本件特許1 の出願経過において「穴部又は切欠 部」の「切欠部」を削除する補正を行ったことを根拠に,被告電子部品(設計変更後)は「切欠部」は有しても,「穴部」を有しないと主張する。 しかし,「切欠」の意味は,広辞苑によれば,「部材接合のため切り取った部分」(甲14),図説機械用語事典によれば,「部材の接合のために切り取った部分」(甲15)とされているから,切欠部の形状は,相対 する側の形状と嵌合するような働きを有するものと理解される。本件特許1の出願経過における拒絶理由通知書(乙16)の引用文献である乙17における切欠部(乙17の第1図及び第4図)及び乙18における切欠に相当する凹部(乙18の段落【0015】,図1)も,相対する凸と凹の関係で嵌合するもの 絶理由通知書(乙16)の引用文献である乙17における切欠部(乙17の第1図及び第4図)及び乙18における切欠に相当する凹部(乙18の段落【0015】,図1)も,相対する凸と凹の関係で嵌合するものである。本件明細書等1の【図29】について説明す る段落【0084】においても,切欠部35b1は,本体側の位置決めピン73e3に嵌合するものという意味で用いられている。 以上のような,穴部及び切欠部の意味を踏まえると,構成要件1-1D等が定める「穴部」は,必ずしも穴の縁部が閉じている必要はなく,突起部分が係合又は挿入される形状であればよく,「切欠部」とは,縁部から その一部が切り取られているものの,その切り取られた部分を含む形状全体で相対する本体側の位置決めピンが嵌合するような働きを有するものであると解される。 ウ被告電子部品(設計変更後)には,別紙4の写真4~6(乙15の写真4~6と同じ)に示されているとおり,電子部品の縁部に切り取られた部 分(本件設計変更部分)があるが,このような「縁部の一部を欠いた穴部」は,突起部が係合又は挿入される形状として使用されているので,構成要件1-1D等にいう「穴部」に該当するということができる。 なお,被告らは,本件設計変更部分は,プリンタ本体の位置決めピンを差し込む部分であるから,原告の主張を前提としても「切欠部」に該当す ると主張するが,本件設計変更部分(下図の赤丸で囲まれた部分)には, 相対する本体側の位置決めピンが嵌合しないので,「切欠部」には該当しない。 (甲19の写真4)エしたがって,被告電子部品(設計変更後)は,構成要件1-1D等の「穴 部」を備えるものである。 〔被告らの主張〕本件設計変更部分は,縁部が閉じていない切 (甲19の写真4)エしたがって,被告電子部品(設計変更後)は,構成要件1-1D等の「穴 部」を備えるものである。 〔被告らの主張〕本件設計変更部分は,縁部が閉じていない切欠部を備え(乙15),縁部が閉じている穴状の部分を有しないので,構成要件1-1D等の「穴部」に該当しない。 ア広辞苑によれば,「穴」は「くぼんだ所。または向こうまで突き抜けた所」とされており(甲14),向こうまで突き抜けているということは,向こうと手前を峻別する境界が存在し,かつ,その境界によって囲まれていることとなる。縁部が閉じていないのであれば,その縁部によって囲まれた部分がなく,向こうと手前とを峻別する境界すらないから,もはや穴 部というべき構成は存在しない。 イ原告は,本件特許権1の出願経過において,切欠部を開示した実開平3-57074(乙17)を引用例として拒絶理由通知を受けた際に,「穴部又は切欠部」の「切欠部」を削除する補正を行った(乙16~20)。 原告が主張するとおり,切欠部とは部材の接合のために切り取った部分を 意味するのであれば,原告があえて穴部と切欠部を区別して「穴部又は切欠部」として出願した経緯からすれば,「穴部」とは切取部分の縁部が閉じたものを指し,「切欠部」とは切取部分の縁部が閉じていないものを指すと解すべきである。 原告は,「切欠部」とは,その切り取られた部分を含む形状全体で相対 する側の部材が嵌合するものをいうと主張するが,本件明細書等1にはそのように限定する旨の記載又は示唆は存在しない。 ウ本件設計変更部分は,プリンタ本体の位置決めピンを差し込む部分であり,相対する本体側の位置決めピンが嵌合するような働きを有するものであるので,原告が主張する切欠 旨の記載又は示唆は存在しない。 ウ本件設計変更部分は,プリンタ本体の位置決めピンを差し込む部分であり,相対する本体側の位置決めピンが嵌合するような働きを有するものであるので,原告が主張する切欠部の意味によっても,切欠部に該当する。 エしたがって,被告電子部品(設計変更後)は,構成要件1-1Dの「穴部」を備えず,同じ文言を含む1-1F1を充足しないから,本件発明1-1の技術的範囲に属さず,同発明の従属項に係る発明である本件発明1-2及び1-6の技術的範囲に属しない。同様に,構成要件2-1C及び3-70Fを充足しないから,本件各発明2及び本件各発明3の技術的範 囲に属しない。 (2) 争点2-2(均等侵害の成否)について〔原告の主張〕仮に,被告電子部品(設計変更後)における本件設計変更部分の形状が,縁部が切り取られて閉じていない形状であること(以下「本件相違部分」と いう。)を理由に,被告電子部品(設計変更後)が構成要件1-1D等の「穴部」を充足しないとしても,以下のとおり,均等侵害が成立する。 ア第1要件(非本質的部分)本件発明1が解決しようとした課題の1つが「画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱可能装置に,接触式の情報記憶装置を設 置した場合であっても,情報記憶装置に電気的な破損が生じにくい,情 報記憶装置,着脱可能装置,現像剤容器,及び,画像形成装置を提供すること」(本件明細書等1の段落【0005】等)であることを踏まえれば,その本質的部分は,電気的な破損が生じにくくなるように,着脱可能装置に設置された情報記憶装置を構成する基板に,画像形成装置本体に設置された突起部に係合可能な形状が形成されている点(同段落【0 006】)にあるという 的な破損が生じにくくなるように,着脱可能装置に設置された情報記憶装置を構成する基板に,画像形成装置本体に設置された突起部に係合可能な形状が形成されている点(同段落【0 006】)にあるということができる。画像形成装置本体に設置された突起部に係合可能な形状としては,必ずしも係合可能部分の縁部がすべて閉じた形状である必要はないので,係合可能な形状の縁部の一部が閉じた形状か否かの点は,本件発明1の本質的部分ではない。 被告電子部品(設計変更後)には,その基板上に原告プリンタに設け られた突起部に係合可能な形状が形成されており,その縁部の一部が閉じていないだけであるから,本件相違部分は,本件発明1の本質的部分ではない。 したがって,均等の第1要件を充足する。 イ第2要件(置換可能性) 被告らは,本件発明1の実施品たる被告電子部品の縁部の一部分を切り取った形状である被告電子部品(設計変更後)を,被告電子部品の代替品として,原告製の原告プリンタ用のリフィル品であるトナーカートリッジ製品のために使用している。このことは,被告電子部品(設計変更後)が,被告電子部品と同様に,原告プリンタ用のトナーカートリッ ジ製品において,本件発明1の実施品である原告電子部品と同様の効果を奏していることを示しており,実際に同様の動作をすることを原告において実施した各試験において確認している(甲18,19)。 したがって,被告電子部品(設計変更後)が,本件発明1と同一の作用効果を奏することは明らかである。 ウ第3要件(置換容易性) 被告電子部品(設計変更後)の形状は,被告電子部品の縁部の一部を,被告電子部品の機能を損なわない程度に切り取っただけのものであるから,当業者にとって (置換容易性) 被告電子部品(設計変更後)の形状は,被告電子部品の縁部の一部を,被告電子部品の機能を損なわない程度に切り取っただけのものであるから,当業者にとって本件相違部分は容易想到なものである。 エ第4要件(非容易推考性)被告電子部品(設計変更後)が、本件特許1等の出願時における公知 技術と同一又は当業者が同技術に基づき容易に推考できたとする事情もない。 オ第5要件(意識的除外の非該当)被告らが主張する,本件特許1の出願経過で削除された「切欠部」とは,上記1(1) 〔原告の主張〕のとおり,相対する側と嵌合する形状の ものを意味しており,本件相違部分にかかる被告電子部品(設計変更後)の形状のように,縁部からその一部が切り取られているものの,その形状全体では相対する側の部材の形状と嵌合しないようなものは含まれない。 したがって,被告電子部品(設計変更後)の形状は,本件特許1の出 願過程で意識的に除外されたものではなく,均等の第5要件を充足する。 カ本件発明2及び3と被告電子部品(設計変更後)の相違点は,本件相違部分と同内容である。本件発明2及び3についても,係合可能な部分の縁部が全て閉じた形状であることは本質的部分ではなく,第2要件ないし第5要件については,上記イ~オと同様であるので,本件発明2及 び3についても均等侵害が成立する。 〔被告らの主張〕原告は,本件特許権1の出願経過において,「穴部又は切欠部」の「切欠部」を削除する補正を行っており(乙16~20),構成要件1-1Dにいう「穴部」から,被告電子部品(設計変更後)のような切欠部を有する情報 記憶装置を除外しており,第5要件を充足しない。 正を行っており(乙16~20),構成要件1-1Dにいう「穴部」から,被告電子部品(設計変更後)のような切欠部を有する情報 記憶装置を除外しており,第5要件を充足しない。 したがって,被告電子部品(設計変更後)について,本件各発明に係る均等侵害は成立しない。 3 争点3(本件各特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について当事者の主張は,別紙5のとおり。 4 争点4(消尽の成否等)について〔被告らの主張〕被告らが,原告電子部品のメモリの書換えという態様により原告製品の再生品を販売する場合には,本件各特許権の消尽が成立するところ,以下のとおり,本件のように,特許権者である原告が,技術上の必要性がないにもかかわらず 原告電子部品に本件書換制限措置を行い,メモリの書換えを技術的に困難にすることにより消尽を妨げた場合においても,特許権の消尽は成立すると解すべきである。 仮に,消尽が成立しないとしても,特許権者が,本来消尽が成立すべき場合に,合理的な理由なく特許権者が消尽を妨げたときは,その特許権の行使は権 利濫用として許容されない。 (1) 被告らは,原告プリンタのC830シリーズ及びその後継機種であるC840シリーズ以外の原告製プリンタのトナーカートリッジについても再生品を販売しているが,これらの再生品については,電子部品を交換せずに,メモリの書換えで対応している。 原告電子部品のメモリの書換えは,本件各特許権を侵害するものではなく,消尽が成立する。すなわち,最高裁平成18年(受)第826号同19年11月8日第一小法廷判決(民集61巻8号2989頁。以下「インクタンク事件最高裁判決」という。)は,「譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ なわち,最高裁平成18年(受)第826号同19年11月8日第一小法廷判決(民集61巻8号2989頁。以下「インクタンク事件最高裁判決」という。)は,「譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造さ れたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,特許権 を行使することが許されるというべきである。そして,上記にいう特許製品の新たな製造に当たるかどうかについては,当該特許製品の属性,特許発明の内容,加工及び部材の交換の態様のほか,取引の実情等も総合考慮して判断するのが相当である。」と判示する。 仮に,被告らが,原告電子部品のメモリの書換えという態様で再生品を販 売することが可能であった場合は,①再生品である被告製品は,耐久財である原告製品を流用し,消耗品であるトナーを補充したものにすぎず,②原告電子部品のメモリを書き換えても,物理的には原告電子部品を再生品に流用するにとどまり,③原告電子部品のメモリの書換えは本件各発明の本質的部分と抵触することがないので,上記最高裁判決に従えば,本件各特許権の消 尽の範囲内であり,本件各特許権を侵害するものではない。 (2) ところが,後記5〔被告らの主張〕(4)のとおり,原告は,技術上の必要性や合理性がないにもかかわらず,原告電子部品に本件書換制限措置を講じたため,被告らは,原告製品をリサイクルする際に,原告製品に搭載された原告電子部品を取り外し,被告電子部品に取り替えることを余儀なくされた。 これは,本件各特許権の消尽を妨害する行為に該当する。 この点について,原告は,原告電子製品を取り外すことなく,原告製品にトナーを補充する場合であっても,印刷動作に支障はないので,本件書換制限措 れは,本件各特許権の消尽を妨害する行為に該当する。 この点について,原告は,原告電子製品を取り外すことなく,原告製品にトナーを補充する場合であっても,印刷動作に支障はないので,本件書換制限措置は競争を制限するものではないと主張するが,後記5〔被告らの主張〕(3)のとおり,原告電子部品のメモリの書換えを行わずにトナーを補充してリ サイクルした場合,トナー残量表示が常に「?」となり,ユーザーはトナーの残量を知ることができないので,このような製品は,事実上,市場で受け入れらない。 また,原告は,電子部品の構造を工夫するなどして,本件各特許権を侵害することを回避することが可能であると主張するが,本件設計変更品が本件 各発明の構成要件を充足するということであれば,本件各発明の構成要件を 充足しない製品の製造は極めて困難である。実際のところ,原告製品の再生品は30社弱の他のリサイクル事業者からも販売されているが,いずれも電子部品を交換したもので,その構造自体を変更しているものはない(乙2,37)。 (3) 特許権の消尽は,特許権者の単独の意思表示や,最初の製品の購入者等と の契約により妨げることは許されない。特許権者が,必要もないのに,特許製品を消尽の効果を妨げるような構造とすることにより消尽が否定されるのであれば,特許権の消尽の趣旨が没却されてしまう。特許権の消尽を妨げてはならないことは,インクタンク事件最高裁判決の原審である知財高裁平成18年1月31日判決・判時1922号30頁(以下「インクタンク事件高 裁判決」という。)が,「特許権者の意思によって消尽を妨げることはできないというべきである」と判示しているとおりである。 したがって,特許権者が,必要性,合理的理由のない行為により消尽を妨げ 裁判決」という。)が,「特許権者の意思によって消尽を妨げることはできないというべきである」と判示しているとおりである。 したがって,特許権者が,必要性,合理的理由のない行為により消尽を妨げた場合には,なお消尽が成立すると解すべきである。 (4) 原告は,特許製品である原告電子部品の全部が取り替えられている以上, 消尽が成立する余地はないと主張する。 しかし,本件において,取引の単位となっているのは,トナーカートリッジ製品であり,原告は,本件各特許権に基づいて,被告らの製造,販売等するトナーカートリッジ製品の製造等の差止めを求めているのであるから,本件における消尽の成否は,クレーム単位ではなく,製品単位で考えるべきで ある。 仮に,電子部品を基準にして消尽の成否を決めるとすると,再生品の取引業者は,ごく些細な部分を取り替える場合であっても,常にそこに特許権が成立しているかどうか確認しなければならないが,そうすると取引が過度に阻害されることとなる。 このように,本件における消尽の成否は,被告製品全体を基準にして考え るべきであり,同製品について本件各特許権は消尽しているのであるから,その一部を構成する情報記憶装置に関する本件各特許権は消尽していると解すべきである。 (5) 以上のとおり,本件各特許権は消尽したので,原告は被告製品に対して本件各特許権を行使することはできず,仮に,消尽が成立しないとしても,そ れは特許権者である原告の意思によりその成立が妨げられているのであるから,本件各特許権の行使は権利濫用として許容されない。 〔原告の主張〕被告製品は,本件各特許の実施品である原告製品に搭載されていた原告電子部品をすべて被告電子部品に取り替えたものであるから,本件において消尽 許権の行使は権利濫用として許容されない。 〔原告の主張〕被告製品は,本件各特許の実施品である原告製品に搭載されていた原告電子部品をすべて被告電子部品に取り替えたものであるから,本件において消尽が 成立する余地はない。仮に,消尽が成立する余地があるとしても,本件書換制限措置には必要性及び合理的理由があるから,消尽は成立しない。 (1) インクタンク事件最高裁判決は,「特許権の消尽により特許権の行使が制限される対象となるのは,飽くまで特許権者等が我が国において譲渡した特許製品そのものに限られる」と判示しており,そもそも,本件のように特許 製品がすべて取り替えられた場合を想定していない。被告製品は,本件各特許の実施品である原告電子部品を被告電子部品に取り替えたものであり,特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたことが明らかであるから,本件において消尽が成立する余地はない。 この点,被告らは,被告製品の差止めを請求していることを理由に,トナ ーカートリッジ製品を基準として消尽の成否を判断すべきであると主張するが,被告製品の差止めを求めているのは,被告電子部品が被告製品と物理的に一体となっているためであって,消尽の成否とは関係ない。 (2) 被告らは,本件書換制限措置により,原告電子部品を被告電子部品に交換することを余儀なくされていると主張するが,原告電子部品のメモリの書換 えを行わない場合に残量を「?」とする表示がされるとしても,印刷機能に 支障はなく,再生品として支障なく使用することが可能であるから,被告らにおいて原告電子部品を交換する必要はない。 原告らが使用済みの原告製品にトナーが充填された場合に残量を「?」とする表示がされることについては,第三者製の場合にトナー 可能であるから,被告らにおいて原告電子部品を交換する必要はない。 原告らが使用済みの原告製品にトナーが充填された場合に残量を「?」とする表示がされることについては,第三者製の場合にトナーの残量が正確にわからないからであって合理性がある。 原告プリンタに使用可能な電子部品の製造等に当たっては,原告プリンタ側の端子の位置や突起部の形状は決まっているので,それらに合う構造であればよく,●(省略)●構成にするなどして,本件各特許権への抵触を回避することが可能である。そのため,被告らが本件各特許権を侵害することが不可避ということはできない。 (3) 被告らは,本件書換制限措置について,必要性及び合理的な理由がないと主張するが,後記5〔原告の主張〕(4)のとおり,本件書換制限措置には必要性及び合理的理由がある。 (4) したがって,本件各特許権について消尽は成立せず,原告が同各特許権を行使することが権利の濫用となるものでもない。 5 争点5(権利濫用の成否)について〔被告らの主張〕上記4〔被告らの主張〕のとおり,原告の行為は消尽の趣旨を潜脱するものであるが,更に,同行為は,以下のとおり,公正な競争を阻害するものであるので,本件各特許権の行使は権利の濫用として許容されない。 (1) 原告の行為が公正な競争を阻害していること原告による本件書換制限措置は,本件各特許の技術思想の保護とは関係がない上,本件各特許とは独立して同措置を行う必要性や合理性もなく,あるいはその必要性等を逸脱しているにもかかわらず行われたものであり,その結果,被告らは,原告電子部品のデータを書き換えることにより再生品を製 造,販売等することができなくなり,他方,トナーの残量を「?」と表示す るトナー われたものであり,その結果,被告らは,原告電子部品のデータを書き換えることにより再生品を製 造,販売等することができなくなり,他方,トナーの残量を「?」と表示す るトナーカートリッジは市場に受け入れられないので,これを販売することは困難である。 このため,被告らは,やむを得ず,本来負担すべきではない費用を負担して,原告電子備品を被告電子部品と取り替えることにより,再生品である被告製品を製造,販売等したが,原告は,本件各特許権を行使することにより, その製造,販売等の差止めを求めている。原告の各請求が認められると,ユーザーは,廉価な再生品を使用するという選択肢を奪われ,プリンタメーカーが純正品を高価格で販売してもそれを購入せざるを得ないという状況下に置かれることとなる。 このような原告の行為は,原告プリンタの供給に併せて,消耗品である原 告製品(カートリッジ)をユーザーに購入させ,ユーザーが再生品を使用することを妨げ,原告と競争関係にある被告らをはじめとするリサイクル事業者の取引を不当に妨害し,公正な競争を阻害するものであるので,独占禁止法19条,2条9項6号,「不公正な取引方法」(昭和57年6月18日公正取引委員会告示第15号。以下「一般指定」という。)10項,14項に該当す る。 本件請求は,本件各発明の技術的思想の保護とは関係がなく,必要性や合理性も認められない本件書換制限措置を介在させることにより,被告らの行うリサイクル事業をアフターマーケットから排除するために知的財産権を利用しようとするもので,独占禁止法にも抵触するので,知的財産権制度で認 められた正当な権利行使ということはできず,権利の濫用に当たる。 (2) 公正取引委員会の先例について上記(1)の考え方は,公正 するもので,独占禁止法にも抵触するので,知的財産権制度で認 められた正当な権利行使ということはできず,権利の濫用に当たる。 (2) 公正取引委員会の先例について上記(1)の考え方は,公正取引委員会の先例(乙3。以下「乙3先例」という。)にも示されている。 乙3先例は,プリンタメーカーであるキヤノン株式会社(以下「キヤノン」 という。)がレーザープリンタのトナーカートリッジに書換えが困難なIC チップを搭載することにより再生品の取引を妨害したことが問題となり,一般指定15項(現14項)の競争者に対する取引妨害に違反するおそれがあるとして,公正取引委員会が審査を開始した事例である。同事例においては,当該プリンタメーカーがプログラムの誤りを修正するなどして,再生品の使用に支障が生じることのないような対応を行ったため,公正取引委員会によ る審査は終了したが,公正取引員会は,ICチップに記録されているデータの書換行為につき,技術上の必要性等の合理的な理由がないのに,あるいは,その必要性等の範囲を超えて,ユーザーが再生品を使用することを妨げる場合には,独占禁止法上問題となるとの考え方を示した(以下「乙3見解」という。)。 原告は,乙3先例と本件を比較して,本件書換制限措置に何ら独占禁止法上の問題がないと主張するが,乙3先例においては,キヤノンが再生品の使用に支障が生じることのないような対応をとったことが評価されたのに対し,本件において,原告は,何らそのような対応をとっておらず,残量表示が正常にされなくとも原告プリンタが動作すれば独占禁止法上の問題が生じない と主張するにとどまっており,乙3先例における公正取引委員会の見解を正解しないものである。 (3) トナーの残量表示が「?」であ とも原告プリンタが動作すれば独占禁止法上の問題が生じない と主張するにとどまっており,乙3先例における公正取引委員会の見解を正解しないものである。 (3) トナーの残量表示が「?」であることによる競争制限効果原告は,トナーの残量の表示が「?」であるトナーカートリッジであっても印刷は可能であるので,リサイクル事業者が競争上の不利益を被ることは ないと主張するが,これは市場の実態を踏まえない空論であり,以下のとおり,トナーの残量が「?」と表示されるトナーカートリッジを市場で販売することは困難であり,実際にその状態で販売されているリサイクル商品は存在しない。 ア原告製品のトナーがなくなった後,同製品内の原告電子部品の書換えを することなく,トナーを補充した場合,印刷動作は可能であるものの,ト ナーの残量は常に「?」と表示され,トナーが少なくなったときのトナーカートリッジの交換を予告するメッセージは出ず,トナーがなくなったときに突然トナーの補給を求める表示が出てプリンタが動かなくなる。 イ一般に,純正品メーカーは,自社製のハードウェアに用いる消耗品について,他社製の再生品等を使用すると機能の保証ができないことを理由に, 自社製の消耗品の使用を促しており,トナーカートリッジにおいて,再生品の方が純正品よりも低価格で販売されているが,再生品の市場シェアはモノクロ印刷の分野で35%前後,カラー印刷の分野で15%前後にとどまるのが現実である(乙30)。このことは,再生品がユーザーからの信用を獲得することが困難な実態を示している。 このような市場の現状の下,リサイクル事業者が残量表示部分に疑問を表す符号である「?」マークが表示されるトナーカートリッジを販売したとすると,ユーザーは,プリ が困難な実態を示している。 このような市場の現状の下,リサイクル事業者が残量表示部分に疑問を表す符号である「?」マークが表示されるトナーカートリッジを販売したとすると,ユーザーは,プリンタの動作不能になるまではトナーの残量を把握できず,残量表示がされていれば不要となる再生品トナーカートリッジの余剰在庫を抱えなければならないなどの不便を被ることになる(乙4 1)。 それに加えて,ユーザーにとって,残量表示の有無は製品選択における重要な要素であるので(乙25),残量表示のされない製品はユーザーから動作不良につながる不完全な品質を有する製品とみなされ,又は,その品質全般を不安視されて,同製品の購入や使用は敬遠されることが強く推 認される。 実際のところ,原告の把握する限り,トナーの残量表示が「?」のまま販売されている再生品は存在せず(乙46),被告ら及び一般社団法人日本カートリッジリサイクル工業会(以下「AJCR」という。)の会員の中には,電子部品の端子とプリンタの端子の接触状況が悪いことが原因で トナー残量が「?」と表示された製品について,ユーザーから,不良品で あるとのクレームや,プリンタかトナーカットリッジに障害が生じたのではないかとの問合せを受けているものがある(乙46,47)。このことは,残量表示が「?」である再生品はユーザーに受け入れられないことを端的に示している。 ウトナーカートリッジの再生品は,官公庁等の入札に参加し,広く採用さ れているが,同入札の際には,ISO9000シリーズを取得した工場で生産されていること,E&Qマーク等の認証取得し「純正品と同等の機能を有すること」などという条件(乙38)が課されている。また,官公庁の中には,これらの条件のほか,ICチッ シリーズを取得した工場で生産されていること,E&Qマーク等の認証取得し「純正品と同等の機能を有すること」などという条件(乙38)が課されている。また,官公庁の中には,これらの条件のほか,ICチップの搭載されたトナーカートリッジの再生品について,「リサイクルの都度,確実に情報を書き換えるこ と」といった条件を仕様書に定めるものもある(乙39)。 そうすると,トナーの残量表示がされない再生品は,「純正品と同等の機能を有すること」や,「情報を書き換えること」という条件を充たさないこととなり,リサイクル事業者は,これまで行ってきた官公庁等との入札に係る取引を継続できなくなる。 エ以上のとおり,トナーの残量を「?」と表示するトナーカートリッジは,ユーザーにとって不便であり,かつ,品質に不安を抱かせるものであるから,販売したとしても受け入れられず,これまで行ってきた官公庁等との入札に係る取引を継続できなくなるので,再生品の販売は阻害され,その競争力を大きく減殺されることとなるばかりか,リサイクル業界全体が被 る競争上の不利益も甚大である。 (4) 本件書換制限措置の必要性及び合理性についてア本件各発明との関連性本件各発明は,情報記憶装置の物理的構造にかかるものであり,情報記憶装置のメモリ内にいかなる情報が書き込まれているかとは関係がない から,本件書換制限措置は,本件各発明の保護に資するところがない。 イ原告製品の他機種における本件書換制限措置の不存在原告が市場に提供しているプリンタ用のトナーカートリッジの規格は,平成30年2月時点において,原告電子部品のような接触型で8種類あるが,本件書換制限措置がされているのは,C830シリーズの後継機種であるC840シ しているプリンタ用のトナーカートリッジの規格は,平成30年2月時点において,原告電子部品のような接触型で8種類あるが,本件書換制限措置がされているのは,C830シリーズの後継機種であるC840シリーズ用カートリッジの1種類のみである。原告は,他機 種のプリンタ用カートリッジの電子部品のメモリにも書換えに一定の制約を付してきたと主張するが,過去に遡っても,原告製プリンタ用トナーカートリッジでメモリを書き換えることができないものは,生産の終了したC830シリーズと現行のC840シリーズのほかには存在しない。 被告らが平成26年から平成30年までの5年間に出荷した原告製プリ ンタ用トナーカートリッジ約36万本のうち,原告電子部品の電子部品のメモリの書換えがされた製品は,そのうち96%以上であり,リサイクル業者全体では,原告製トナーカートリッジ製品の再生品の販売台数約580万本のうち560万本がメモリの書換えが行われた製品である(乙46)。原告は,これらの再生品について,格別な措置を講じることなく, いわば放置しており,電子部品のメモリの書換えを制限すべき必要性があったことを示す具体的な事実を主張立証していない。 原告製品のうち,電子部品のメモリの書換えが可能なものにおいては,本件原告電子部品と異なる形状の電子部品が使用されており,これらの電子部品は本件各特許の実施品ではない。原告は,本件各特許権を実施して いる電子部品が搭載されている機種についてのみ書換制限措置を行っているのであり,このことは,本件書換制限措置が,事業上又は技術的な必要性からされたものではなく,その真の目的は,本件各特許の権利行使の可能性のある電子部品について,いわば狙い撃ち的にそのメモリの書換えを困難にすることにより,再生品を市場か が,事業上又は技術的な必要性からされたものではなく,その真の目的は,本件各特許の権利行使の可能性のある電子部品について,いわば狙い撃ち的にそのメモリの書換えを困難にすることにより,再生品を市場から排除することにあることを示 している。原告は,今後,本件書換制限措置を付した機種の拡大を検討し ていく予定であるとしているが,そうすると,再生品は市場から排除されてしまう。 ウ原告の主張する本件書換制限措置の必要性及び合理性について(ア) トナー残量の正確性担保について原告は,本件書換制限措置の必要性について,トナー残量の正確性担 保を挙げるが,そもそも純正品であってもトナー残量表示と実際の印刷枚数や印刷可能な枚数は,1000枚の単位でずれることがあること(乙27)や,純正品を使用した場合でも印刷可能枚数にばらつきが出ることを原告自身認めていること(乙34)からすると,もともとトナー残量の正確性は担保されていない。 また,トナーカートリッジの再生品のトナー充填量については,被告らも所属するAJCRが定める「E&Qマーク」によって規定されている(乙28)。E&Qマークは,AJCRが定める検査項目(38項目)に合格して初めて付与される認証であり,リサイクル市場で競争力を有するリサイクル事業者のほとんどが同マークを取得している。そして, その検査項目には,再生品の寿命測定を確実に実施し,印刷可能枚数が純正品実印刷枚数に対し90%以上としなければならないことなどが含まれているから,上記マークを取得した再生品業者は,現実には純正品と同程度の枚数を印刷することができるようにトナーを充填して再生品を製造している。 なお,原告が主張するように,あえて規定量を超えてトナーを充填することは,材 再生品業者は,現実には純正品と同程度の枚数を印刷することができるようにトナーを充填して再生品を製造している。 なお,原告が主張するように,あえて規定量を超えてトナーを充填することは,材料費がかさむ上に,純正品より多く印刷できるか否かをユーザーには判断できないので,そのようなことをする再生品業者の存在は想定し難い(乙25)。原告は,甲16の2の調査を根拠に,純正品よりも多く印刷可能な再生品が流通していると主張するが,同調査はそ の方法が不明である上,その趣旨は同社の再生品の印字可能枚数が純正 品の90%を基準にしていることを示すことにあり,純正品よりも多く印刷可能な再生品が流通しているかどうかを調べたものではない。 原告は,ユーザーからの「●(省略)●」などの問合せへの対応が具体的な不都合であると主張するが,原告製のプリンタに使用されるトナーカートリッジにおいてトナー残量を「?」とする表示がされた場合に は,ユーザーから更に多くの指摘を受けることが容易に予想される。実際のところ,被告らに対しても,トナー残量について「?」という表示が出ても使用できるのか,故障ではないのかといった趣旨の問合せが寄せられている(乙46,47)。原告が指摘するような不都合は,純正品のトナーカートリッジ以外の製品を使用した場合は,印刷枚数等につ いてメーカーとして責任を負うものではない旨の告知等をすることにより十分に対応することができる。 (イ) 電子部品に記録されたデータの製品開発及び品質管理・改善への活用について被告らは,これまでメモリを書き換えて製造したトナーカートリッジ を15年にわたり販売しているが,原告が主張するデータの集約,利用に関する不都合は実際には存在していない。 仮 用について被告らは,これまでメモリを書き換えて製造したトナーカートリッジ を15年にわたり販売しているが,原告が主張するデータの集約,利用に関する不都合は実際には存在していない。 仮に,原告の主張するように,トナーカートリッジの電子部品のメモリに書き込まれたデータを活用する必要があるとしても,トナーカートリッジが再生品であれば,一般的にその旨の表示があるから,純正品か 再生品かの区別は容易である。被告製品には,「E&Qマーク」のシール,リサイクルを行った工場及び日付が記載されたシリアルシール,リサイクルカートリッジであって純正メーカーが再生したものではない旨を記載したシールが貼られているので(乙37),回収したトナーカートリッジを解体する過程で,回収したメモリが再生品であるかどうかを 判別することは極めて容易であり,電子部品のメモリの書換えを行う必 要はない。 また,仮に,外形上再生品か否かが分からない製品が存在するとしても,商品の開発や改善のためのデータ収集であれば,あえて再生品が混入する可能性のある顧客から使用済みのトナーカートリッジを回収する必要はなく,自らの顧客等,確実に再生品でないと判別可能な顧客から 回収したものについてのみ分析をし,又はメモリの書換えがされたか否かを判別し,書き換えられた製品を分析対象から除外するなどすれば足りるのであり,本件書換制限措置をする必要性はない。原告は,●(省略)●とも主張するが,当該事例は純正品ではないと区別がつくことを示すものにすぎず,具体的に何らかの支障が生じたことを示すものでは ない。 さらに,リサイクル事業者が再生品の製造のためにトナーカートリッジの電子部品のメモリを書き換えるといっても,その目的は,再生品をプリンタに設置 らかの支障が生じたことを示すものでは ない。 さらに,リサイクル事業者が再生品の製造のためにトナーカートリッジの電子部品のメモリを書き換えるといっても,その目的は,再生品をプリンタに設置した際に正常な表示がされることにあるので,書き換えるデータは一部にすぎず,原告が電子部品から取得するデータがすべて 書き換えられるものではないので,その書換えを制限するまでの必要があるとは考え難い。 なお,原告が電子部品のメモリのデータを品質管理・改善に活用していると主張する具体的な事例に対する反論は,後記エ記載のとおりであり,いずれにしても,これらの事例は,本件書換制限措置の必要性を何 ら基礎付けるものではない。 (ウ) ●(省略)●について原告は,本件書換制限措置が必要な理由として,●(省略)●の必要性も挙げるが,●(省略)●を書き換えてしまえば,本来適合するプリンタ用のトナーカットリッジとして再生品を使用することができなくな るおそれがあるので,●(省略)●をリサイクル事業者が書き換えるこ とは想定できない(乙46)。 また,●(省略)●が記録された部分についてのみ書換制限をかければ目的は達成できるのであるから,それらの情報の範囲を超えて本件書換制限措置を行う必要はない。 エ原告の指摘する具体的事例について 原告が指摘する具体的事例は,以下のとおり,本件書換制限措置の必要性等を基礎付けるものではない。 (ア) 事例1原告が電子部品から取得したとする情報は,プリンタからも取得可能な情報であり(乙42),事例1では,個別に顧客に対応しているので あるから,顧客のプリンタから当該情報を取得すれば足りる。 原告が電子部品から取得したとする情報は,プリンタからも取得可能な情報であり(乙42),事例1では,個別に顧客に対応しているので あるから,顧客のプリンタから当該情報を取得すれば足りる。 事例1の原因は,使用している用紙の種類との関係でプリンタのソフトウェアに問題があったことであり,トナーカートリッジの電子部品を分析したとしても,印刷枚数等の情報が得られるだけで,印刷に用いられる用紙の種類などの情報は得られないので,同事例は,電子部品の情 報が品質管理等に利用された事例ではない。 事例1のプリンタは,本件書換制限措置がされていない機種であり,電子部品のメモリの書換えがされた再生品が多数出回っているが,それでも本事例では問題なく対応できたというのであるから,本件書換制限措置が不必要であることを裏付けるものである。 事例1は,●(省略)●となっており,●(省略)●機種についての事例であるから,原告製品及び被告製品のように,そのような情報が電子部品に記録されない製品について,本件書換制限措置を行う必要性を基礎づけるものではない。 (イ) 事例2 事例2も個別に顧客に対応した事例であり,原告が取得した情報はプ リンタから取得することができる。 事例2は,原告製品の再生品が流通している原告プリンタに関する事例であるが,電子部品自体が交換されていても,品質管理・改善の目的が達成できることを示している。 原告は,●(省略)●と主張するが,事例2では,原告はプリンタが 保有している●(省略)●を利用したようであるから,プリンタ本体が過去の情報も記録していることを示している。また,被告らが把握する限り,プリンタ本体に少なくとも過去4本分のトナーカートリッジの情報は保存されている(乙 )●を利用したようであるから,プリンタ本体が過去の情報も記録していることを示している。また,被告らが把握する限り,プリンタ本体に少なくとも過去4本分のトナーカートリッジの情報は保存されている(乙46)。 (ウ) 事例3 事例3は,感光体ユニット側に問題があった事例であり,トナーカートリッジの問題ではないから,電子部品の情報が不可欠であったことを示すものではない。同事例では,トナーの物性検査がされており,その時点で純正品であるか否かは判明するはずであり(乙42),電子部品に記録されたデータが必要な事例ではないから,本件書換制限措置の必 要性を示すものではない。 トナーのバルクロットを特定するには,純正品であればカートリッジ本体及び箱に記載された製造管理番号を見れば足りる(乙42)。仮にバルクロットの特定のために●(省略)●が不可欠であるとすると,あるロットのトナーの品質に問題があった場合,問題があったトナーを含 むカートリッジを特定するために,当該顧客の使用前の全てのトナーカートリッジの電子部品を確認しなければならなくなるが,通常一つのバルクロットから数千本のトナーカートリッジが製造されるから,そのような作業は非現実的である。 本事例の機種は,いわゆる複合機であり,複合機においては,メーカ ーと顧客の契約において,印刷枚数に応じて課金され,所定のタイミン グでトナーカートリッジがメーカーから送られてくることになっていることが多いため,再生品が使用されることはほとんどないから,参考になる事例ではない。 (エ) 事例4事例4は,事例3と同様,バルクロットの特定に電子部品の情報は必 要ではなく,複合機において再生品が使用されることはほとんどないから参考にならない。 (オ) はない。 (エ) 事例4事例4は,事例3と同様,バルクロットの特定に電子部品の情報は必 要ではなく,複合機において再生品が使用されることはほとんどないから参考にならない。 (オ) 事例5事例5は,製品の使用開始直後に判明するトラブルであり,リサイクルに出される前に原告においてトラブルが発生したことを把握するこ とが可能となる事例であるから,再生品業者等による電子部品の書換えの不都合性を立証したことにならない。 (カ) 事例6原告は,事例6に基づき,相当量のデータを解析して品質改善に役立てていると主張するが,修理や回収が必要になった製品については現物 を必ず確認するはずであり,現物を確認すれば再生品であるか純正品であるかは容易に判別可能であるから,同事例は,電子部品の書換制限の必要性を基礎付ける事例ではない。 事例6において,顧客から回収したトナーカートリッジ55本の中に再生品が含まれていないのであれば,純正品と再生品との区別ができる ということであるし,再生品が含まれているのであれば,それも含めて電子部品を読み取ったのであれば,電子部品のメモリが書き換えられても何ら問題がないことを示す。 事例6に係る機種は,●(省略)●が記録されているものであるが,●(省略)●されたタイプであり,●(省略)●は電子部品に記録され ないから(乙46),原告製品及び被告製品との関係では不適切な事案 である。 (キ) 事例7被告らが把握する限り,電子部品には●(省略)●があるかないかの情報のみが記録され,具体的な●(省略)●は記録されていない(乙46)から,事例7において●(省略)●関して電子部品内の情報を得て も役に立たず,●(省略)●事例としては不適切である。 事例7 情報のみが記録され,具体的な●(省略)●は記録されていない(乙46)から,事例7において●(省略)●関して電子部品内の情報を得て も役に立たず,●(省略)●事例としては不適切である。 事例7においては,●(省略)●ことであるが,その中に再生品が含まれていなければ,再生品と純正品との区別ができるということであるし,その中に再生品が含まれており,それも含めて電子部品の情報を読み取ったのであれば,電子部品のメモリが書き換えられても問題がない ことを示している。 (5) 小括以上のとおり,原告は,必要性及び合理性のない本件書換制限措置を行うことにより,特許権侵害には当たらない原告電子部品の書換えを妨げ,競争関係にある被告らをはじめとするトナーカートリッジのリサイクル事業者を アフターマーケット市場から排除しようとするものであり,このような原告の行為は,消尽論の趣旨を潜脱するものである上,その一連の行為を全体としてみれば,知的財産権制度で認められた正当な権利行使をしたものとはいえず,公正な競争を阻害しているから,本件各特許権の行使は,権利の濫用に当たり認められない。 〔原告の主張〕本件書換制限措置は,特許権の消尽の趣旨を潜脱するものではなく,必要性かつ合理性に基づいて行われたものであり,公正競争を阻害するものではないので,本件各特許権の行使が権利の濫用に当たるという被告らの主張は理由がない。 (1) 原告の行為は公正な競争を阻害していないこと 被告らは,原告は,必要性及び合理性がないにもかかわらず,再生品を市場から排除するために本件書換制限措置を行ったと主張するが,使用済みの原告製品にトナーを再充填した場合,トナーカートリッジのメモリの書換えを行わなくても印刷動作に何 がないにもかかわらず,再生品を市場から排除するために本件書換制限措置を行ったと主張するが,使用済みの原告製品にトナーを再充填した場合,トナーカートリッジのメモリの書換えを行わなくても印刷動作に何ら支障はないので,そもそも原告電子部品を被告電子部品に交換することなく再生品として販売することはできる上,本件 書換制限措置は必要性及び合理性を有するものであるから,同措置はトナーカートリッジの純正品の製造者としての正当な行為であり,公正な競争を阻害するものなどではない。 (2) 公正取引委員会の先例についてア被告らが指摘する乙3先例の事案は,再生品を装着したプリンタを作動 するために「ユーザーが所要の操作を行う」ことが必要であり,あるいは作動しない場合があるという事案であり,公正取引委員会はその対応として,再生業者の団体に対しプリンタが作動する条件について説明を行い,取扱説明書の説明を修正することをもって足りると判断している。 これに対し,本件においては,被告らは,リサイクルに当たり純正品で ある原告電子部品をそのまま使用することが可能であり,これを交換することなくトナーを補充したトナーカートリッジを原告プリンタに装着したとしても支障なく作動するので,ユーザーは,被告らの再生品を純正品と同じように原告製品プリンタに装着すれば足りる。 イまた,乙3先例において,公正取引委員会は,「カートリッジフセイ」 との表示について,「ユーザーが再生品を使用することをためらわせることのないような表現に修正」すれば足りるとし,純正品と全く同じ表示をすることまでは求めていない。 この点,本件においては,トナーの残量が不明であることを「?」によって端的に表示しているにすぎず,何らトナーカートリッジが「不正」で ある旨を示 全く同じ表示をすることまでは求めていない。 この点,本件においては,トナーの残量が不明であることを「?」によって端的に表示しているにすぎず,何らトナーカートリッジが「不正」で ある旨を示唆するものでないから,乙3先例における「カートリッジフセ イ」という表示と比べても,ユーザーが再生品の使用を躊躇するような表示ではない。 ウ以上のとおり,乙3先例において公正取引委員会が示した見解を前提としても,本件においては,被告らをはじめとするリサイクル事業者が純正品の電子部品を交換することなく再生品を提供することに支障はないので あるから,原告の行為は正当なものである。また,同委員会は,技術上の必要性等の合理的理由がないのに,あるいはその必要性の範囲を超えてユーザーが再生品を使用することを妨げた場合を問題視しているが,本件書換制限措置は後記(4)のとおり,合理的な理由があり,必要性の範囲内の行為であるから,独占禁止法上問題となるものではない。 (3) トナーの残量表示が「?」であることによる競争制限効果ア使用済みの原告製品にトナーを再充填した場合,トナーカートリッジの電子部品のメモリの書換えを行わなくても印刷動作に何ら支障はないので,本件書換制限措置によりメモリの書換が制限されたとしても,当該電子部品を交換することなく再生品として利用することができる。 被告らは,メモリの書換えを行わないまま純正品の電子部品を再生品に使用した場合,トナー残量表示が「?」となることを指摘するが,第三者がトナーを充填したトナーカートリッジ製品を使用した場合,充填されたトナー量を原告が把握できない以上,トナー残量を「?」と表示することは正当な行為である。 イ被告らは,トナー残量の表示を「?」とするこ したトナーカートリッジ製品を使用した場合,充填されたトナー量を原告が把握できない以上,トナー残量を「?」と表示することは正当な行為である。 イ被告らは,トナー残量の表示を「?」とすることにより競争が制限されると主張するが,ユーザーが最も重視するのは価格である。リサイクル事業者は,純正品と品質やアフターサービスで変わらない製品を安価に提供しているなどとして,その価格差を積極的にユーザーにアピールしているのであるから,消費者の製品選択において最も重要なのは価格であって, トナーの残量表示ではない。 ウ原告の純正トナーカートリッジのトナーがなくなった後,その電子部品のメモリの書換えを行うことなく再生品として使用した場合には,トナーカートリッジの交換を予告する表示はされないが,原告プリンタのユーザーの大半は事業者であるから,トナーカートリッジの在庫を保有しておくことは,残量表示の有無にかかわらず当然取り得る工夫である。実際上, トナーカートリッジの販売業者も,予備のトナーの用意を勧めている(甲25,28)。 トナーカートリッジは,その性質上在庫として保有していたものを使用せずに廃棄するものではないので,トナーカートリッジの交換表示が出たら予備のトナーカートリッジと交換すれば足り,残量表示がされないこと による実質的な不利益はない。 エ被告らは,残量表示がされないと,官公庁の入札に係る取引を継続できないと主張するが,「純正品と同等の機能」という文言は,あらゆる点で純正品と同一であることまで求める趣旨ではなく,支障なく印刷ができる再生品について,トナーの残量表示が「?」であるからといって,「純正 品と同等の機能」を有しないと判断されることにはならない。 また,トナーカートリッ 求める趣旨ではなく,支障なく印刷ができる再生品について,トナーの残量表示が「?」であるからといって,「純正 品と同等の機能」を有しないと判断されることにはならない。 また,トナーカートリッジの電子部品のメモリの情報を確実に書き換えるという条件についても,定型的なものであって,メモリの書換えが制限されていることを想定したものではない。そもそも,入札条件は,入札時点の製品をめぐる諸状況を考慮して決定されるものであるから,現状にお いて上記のような条件があるからといって,被告らが官公庁等との取引を継続し得なくなることはあり得ない。 (4) 本件書換制限措置の必要性及び合理性本件書換制限措置は,以下の具体的な事例が示すとおり,①トナーの残量表示の正確性の担保,②電子部品のメモリに書き込まれたデータの製品開発 及び品質管理・改善への活用,③●(省略)●の観点から行っているもので あり,このような措置を行うことは必要かつ合理的である。 なお,被告らは,原告が書換制限措置をしているのは,C830及びC840シリーズに限られる旨主張するが,原告は,他の機種についても書換えに一定の制約を付している。いずれにしても,●(省略)●アトナー残量の正確性担保 (ア) 原告製プリンタは,電子部品が真正であれば,トナー残量を表示する機能を備えているが,●(省略)●原告の純正品であれば,カートリッジの規定量と同量のトナーを正確に充填しているが,●(省略)●(甲38)。 実際にも,再生品を含む第三者のトナーカートリッジには,製品ごと に印刷枚数に大きなばらつきがあり,同じ顧客から回収した同じ第三者メーカーの製造した再生品の2つのトナーカートリッジでさえ,第1の製品は純正品の73.9%しか印刷できな リッジには,製品ごと に印刷枚数に大きなばらつきがあり,同じ顧客から回収した同じ第三者メーカーの製造した再生品の2つのトナーカートリッジでさえ,第1の製品は純正品の73.9%しか印刷できなかったのに対し,第2の製品は純正品の141.8%も印刷できたものがあった(甲39の添付資料1。なお,当該製品にはE&Qマークが表示されていた。)。また,再 生品の中には,純正品の60%しか印刷できないものもあった(甲39の添付資料3)。原告は,このような再生品を使用する顧客から,トナーの減りが早いとの指摘を受け,その都度対応しなければならず,人的・物的に余分な対応を強いられている。 このように,●(省略)●(甲38,39)。 (イ) これに対し,被告らは,E&Qマークを根拠に再生品であっても印刷可能枚数は純正品と変わらないことを主張するが,同マークを取得した再生品であっても純正品との間で印刷枚数に差が生じていることは上記(ア)のとおりである上,同マークを取得していない再生品や模倣品も市場に出回っており,そのような製品の印刷枚数が純正品に比べて大き く劣る場合や,純正品より印刷可能枚数が多い場合があることは,リサ イクル事業者自身が認めている(甲16)。 イ電子部品に記録されたデータの製品開発及び品質管理・改善への活用(ア) 原告は,本件訴訟の開始より10年以上前から,会社独自の取り組みとして「TTY活動」に取り組んでおり,現場で何が起こっているかを把握し,「見える化」を図っている(甲32,33)。●(省略)●T TY活動の一環として利用されている。 (イ) ●(省略)●こうしたメモリに記録されたデータの利用は,トナーカートリッジのトナーが使い切られた前後にかかわらず,有用である。 ( (省略)●T TY活動の一環として利用されている。 (イ) ●(省略)●こうしたメモリに記録されたデータの利用は,トナーカートリッジのトナーが使い切られた前後にかかわらず,有用である。 (ウ) 電子部品に記録されたデータを製品の品質管理・改善に利用していることや,電子部品がTTY活動を支えるものとして利用されていること を示す複数の具体的な事例は,後記エのとおりである。これらの具体的な事例から,原告が,電子部品に記録されたデータを品質管理・改善等に生かしていることは明らかである。 (エ) 上記の製品開発や品質改善を行うためには,元データの正確性が担保されることが必要である。●(省略)● この点について,被告らは,純正品と再生品を区別することはその表示から可能であると主張するが,「E&Q」マーク等のシールが貼付されていない再生品や,リサイクル事業者以外の第三者が製造した模造品や互換品もあり得るのであるから,純正品のみを選別して活用することは困難である。●(省略)● また,原告においては,●(省略)●さらに,純正品の電子部品のメモリに記録されていた情報は,その時点で消滅してしまうので,この点でも,メモリの書換えを制限する必要がある。 ウ ●(省略)● (ア) ●(省略)● ●(省略)●(イ) ●(省略)●●(省略)●エ本件書換制限措置の必要性及び合理性を示す具体例(ア) 事例1(トナー消費に係る電子部品の分析事例。甲29,30) ●(省略)●(イ) 事例2(代替機の印刷可能枚数に係る電子部品の分析事例。甲30)●(省略)●(ウ) 事例3(潤滑剤固着に係る電子部品の分析事例。甲30)●(省略)● (エ) 事例4( ●(イ) 事例2(代替機の印刷可能枚数に係る電子部品の分析事例。甲30)●(省略)●(ウ) 事例3(潤滑剤固着に係る電子部品の分析事例。甲30)●(省略)● (エ) 事例4(廃トナーロックに係る電子部品の分析事例。甲30)●(省略)●(オ) 事例5(ボトルカラー相違事例。甲35)●(省略)●(カ) 事例6(廃トナー溢れ対策事例。甲36) ●(省略)●。 (キ) 事例7(ICチップ通信不良事例。甲37)●(省略)●(5) 小括以上のとおり,本件書換制限措置は,必要性かつ合理性に基づいて行われ たものであり,公正競争を阻害するものではないので,本件各特許権の行使が権利の濫用であるという被告らの主張は理由がない。 6 争点6(トナーカートリッジ本体の製造等の差止め及び廃棄の必要性の有無)について〔原告の主張〕 原告が製造,販売等した純正品である原告製品には,原告電子部品が保持部 材によって保持されて搭載されているところ,同保持部材は,上下2か所がピンにより圧着されており(甲10の写真6-1~4),この圧着ピンを破壊しない限り原告電子部品を取り外すことはできない。圧着ピンを破壊した後は,取り外した保持部材を再度圧着することができないため,被告製品は,同保持部材を破壊して,原告電子部品を取り出し,被告電子部品に入れ替えた上,保 持部材の4か所に接着剤を付すことでトナーカートリッジに再度装着されることにより,製造されている(甲10の写真3-1~4,4-1・2,乙15の写真2)。 このように,被告製品の保持部材を破壊しない限り,被告電子部品は被告製品から取り出すことができないから,被告製品と被告電子部品は物理的に一体 と評価すべ 4,4-1・2,乙15の写真2)。 このように,被告製品の保持部材を破壊しない限り,被告電子部品は被告製品から取り出すことができないから,被告製品と被告電子部品は物理的に一体 と評価すべきである。そして,被告らによる被告製品の販売は,本件各特許権の侵害行為である被告電子部品の販売を不可避的に伴うから,原告としては,被告製品を本件訴訟の対象とせざるを得ないのであり,何ら過剰な差止めや不当な権利行使ではない。 被告らは,被告電子部品を用いて被告製品を容易に製造できる状況にあるの で,被告製品の差止めに加え,被告らが占有する被告製品及び被告電子部品も,併せて廃棄させる必要性が高い。 したがって,被告製品の製造等の差止め及び廃棄の必要性が認められる。 〔被告らの主張〕被告製品が,被告ロジコ及び被告奥美濃により再生品とされていることは認 めるが,発明の実施としての新たな「生産」に該当することは否認又は争う。 原告製品の保持部材は,被告らを含むリサイクル事業者が行っているように,簡単に取り外して原告電子部品を取り出すことができ,電子部品を入れ替えた上で再度組み付け直すことができるものであって,物理的に一体と評価されるようなものではない。 また,原告電子部品は,本件各発明の実施品と思われるが,本件各発明の対 象は情報記憶装置であって,カートリッジではない。 さらに,トナーカートリッジの電子部品の原価は,100~200円程度と考えられ,原告製品の定価は3万7000円又は3万9000円であるので,当該電子部品の原価がトナーカートリッジの定価に占める割合はごく一部である。 したがって,本件各特許権の行使により,トナーカートリッジ本体である被告製品自体の差止めを求めることは過剰かつ ,当該電子部品の原価がトナーカートリッジの定価に占める割合はごく一部である。 したがって,本件各特許権の行使により,トナーカートリッジ本体である被告製品自体の差止めを求めることは過剰かつ不当な権利行使であり,差止めの必要性がない。 7 争点7(原告の損害額)について〔原告の主張〕 被告らは,被告電子部品が搭載された被告製品を,遅くとも平成25年4月から,製造,販売するなどし,現在までに少なくとも1万本販売した(なお,被告製品を本件訴訟の対象とすべきことは前記6〔原告の主張〕のとおり。)。 被告製品の利益額は,1本当たり4000円を下らないから,被告らの得た利益額は4000万円を下らず,原告の損害額は4000万円と推定される(特 許法102条2項)。 また,本件各特許権の実施に係る実施料は1本当たり2000円を下らないから,原告が被告らから受けるべき金銭の額は,2000万円を下らない(同条3項)。 そうすると,原告は,本件各特許権の侵害に基づき,被告らに対して,少な くとも4000万円の損害賠償請求権を有し,これに弁護士費用及び弁理士費用相当額400万円(4000万円の1割)を加えた合計4400万円の損害賠償請求権を有する。 したがって,原告は,被告らに対し,その一部である1000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告DSジャパンについて平成29年12月9 日,その余の被告らについて同月8日)から支払済みまで年5分の割合による 遅延損害金の支払を求める。 〔被告の主張〕否認又は争う。 前記6〔被告らの主張〕のとおり,トナーカートリッジ製品である被告製品を基準に損害賠償額を認定することは失当である。 第4 当裁判所の判断 1 本件各発明の 被告の主張〕否認又は争う。 前記6〔被告らの主張〕のとおり,トナーカートリッジ製品である被告製品を基準に損害賠償額を認定することは失当である。 第4 当裁判所の判断 1 本件各発明の内容(1) 本件各発明について本件各明細書等(甲4~6)には次の各記載がある(本件明細書等1の段落番号や図面番号を「【0001】①」,本件明細書等2の段落番号等を「【0 001】②」,本件明細書等の段落番号等を【0001】③などと表記する。)。 ア技術分野「この発明は,複写機,プリンタ,ファクシミリ,又は,それらの複合機等の画像形成装置と,それに着脱可能に設置される着脱可能装置及び現像剤容器と,そこに設置される情報記憶装置と,に関するものである。」 (段落【0001】①)「この発明は,複写機,レーザープリンタ,インクジェットプリンタ,印刷機,ファクシミリ,又は,それらの複合機等で例示される画像形成装置に着脱可能に設置され,トナーや液体インクといった現像剤を収納する現像剤容器,プロセスカートリッジ,現像装置,転写装置,定着装置等で 例示される着脱可能装置及び情報記憶装置に関するものである。」(段落【0001】②③)イ背景技術「従来から,複写機等の画像形成装置においては,画像形成装置本体に対して現像剤容器(トナーボトル,トナー収容容器,インクカートリッジ) やプロセスカートリッジ等の着脱可能装置を着脱可能に設置する技術が 多く用いられている(例えば,特許文献1~3等参照。)。 そして,これらの着脱可能装置には,画像形成装置本体との間でやり取りするための情報が記憶されたIDチップ等の情報記憶装置(情報記録部,不揮発メモリ)が設置されている。そして,画像形成装置本体に着脱可能 て,これらの着脱可能装置には,画像形成装置本体との間でやり取りするための情報が記憶されたIDチップ等の情報記憶装置(情報記録部,不揮発メモリ)が設置されている。そして,画像形成装置本体に着脱可能装置がセットされた状態で,情報記憶装置に記憶された情報(着脱可能装 置の製造年月日,製造ロット番号,トナーの色,種類等の情報である。)が画像形成装置本体の制御部に送信されたり,画像形成装置本体から情報記憶装置へ情報(画像形成装置での使用履歴等の情報である。)が送信されたりすることで,画像形成装置本体と着脱可能装置との充実した品質管理がされている。」(段落【0002】①②③) 「ここで,特許文献1等には,接触式の情報記憶装置(情報記録部)が開示されている。詳しくは,接触式の情報記憶装置(IDチップ)は,着脱可能装置(トナー収納容器)が画像形成装置本体にセットされると,その金属パッド(端子)が画像形成装置本体に設置されたコネクタの本体側端子に接触する。これにより,着脱可能装置の情報記憶装置と画像形成装 置の制御部(本体側情報記録部)との情報のやり取りが可能になる。」(段落【0003】①②③)ウ発明が解決しようとする課題「従来の接触式の情報記憶装置は,装置本体への着脱可能装置の着脱時に,情報記憶装置の電気回路においてアースが充分にとれずに電気的に浮 いた状態になり,電気的な破損が生じてしまう可能性があった。」(段落【0004】①)「この発明は,上述のような課題を解決するためになされたもので,画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱可能装置に,接触式の情報記憶装置を設置した場合であっても,情報記憶装置に電気的な破損が 生じにくい,情報記憶装置,着脱可能装置,現像剤容器,及び,画像形成 可能に設置される着脱可能装置に,接触式の情報記憶装置を設置した場合であっても,情報記憶装置に電気的な破損が 生じにくい,情報記憶装置,着脱可能装置,現像剤容器,及び,画像形成 装置を提供することにある。」(段落【0005】①)「従来の接触式の情報記憶装置においては,情報記憶装置に設けられた端子(金属パット)と画像形成装置本体の端子との位置決め不良により,それらの接触部分がずれてしまう不具合(接触不良)が生じる虞があった。 特に,情報記憶装置の端子を小さくした場合には,そのような課題が重要 なものとなる。」(段落【0004】②③)「この発明は,上述のような課題を解決するためになされたもので,画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱可能装置に,接触式の情報記憶装置を設置した場合であっても,画像形成装置本体のコネクタの本体側端子との位置決め不良による接触不良が生じにくい,情報記憶装置 及び着脱可能装置を提供することにある。」(段落【0005】②③)エ課題を解決するための手段(ア) 本件発明1 について「この発明の請求項1記載の発明にかかる情報記憶装置は,画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に設置される情 報記憶装置であって,前記画像形成装置本体と前記着脱可能装置との間で通信される情報が記憶される情報記憶部と,前記画像形成装置本体に設置された本体側端子に接触して,前記画像形成装置本体との間で前記情報を通信するための端子と,前記情報記憶部と前記端子とが保持されるとともに,前記画像形成装置本体に設置された突起部に係合する穴部 が形成された基板と,を備え,前記端子は,短手方向に隙間を空けて並設された複数の金属板であり,前記基板に形成された前記穴部は,前記 ともに,前記画像形成装置本体に設置された突起部に係合する穴部 が形成された基板と,を備え,前記端子は,短手方向に隙間を空けて並設された複数の金属板であり,前記基板に形成された前記穴部は,前記画像形成装置本体の前記突起部に形成された接地用の本体側端子に接触するアース端子が形成され,前記複数の金属板のうち2つの金属板に間に挟まれる位置に配設されたものである。」(段落【0006】①) 「また,請求項2記載の発明にかかる情報記憶装置は,前記請求項1 に記載の発明において,前記アース端子は,少なくとも,前記穴部の内径部に形成されたものである。」(段落【0007】①)「また,請求項6記載の発明にかかる情報記憶装置は,前記請求項1~請求項5のいずれかに記載の発明において,前記本体側端子は複数の金属部材端子で構成されていて,前記複数の金属板は,前記本体側端子 の第1の金属部材端子に接触した状態でシリアルクロックが入力されるクロック信号用の入力端子と,前記本体側端子の第2の金属部材端子に接触した状態でシリアルデータの入出力が行われるシリアルデータ用の入出力端子と,前記本体側端子の第3の金属部材端子に接触した状態で電圧が入力される電源用の入力端子としたものである。」(段落【0 011】①)(イ) 本件発明2について「この発明の請求項1記載の発明にかかる情報記憶装置は,画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に設置される情報記憶装置であって,前記画像形成装置本体が備える本体側端子に接触 される情報記憶装置側端子と,前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え,前記情報記憶装置側端子は,クロック信号用端子と,シリアルデータ用端子と,電源用端 される情報記憶装置側端子と,前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え,前記情報記憶装置側端子は,クロック信号用端子と,シリアルデータ用端子と,電源用端子と,アース端子と,を含み,前記アース端子は,前記穴部に設けられ,前記情報記憶装置側端子は,前記クロック信号用端子,前記アース 端子,前記シリアルデータ用端子,前記電源用端子の順に前記基板に配置されていることを特徴とするものである。」(段落【0006】②)「請求項2記載の発明にかかる情報記憶装置は,請求項1に記載の情報記憶装置であって,前記アース端子は,少なくとも,前記穴部の内径部に形成されていることを特徴とするものである。 請求項3記載の発明にかかる情報記憶装置は,請求項1又は2に記載 の情報記憶装置であって,前記クロック信号用端子,前記シリアルデータ用端子及び前記電源用端子は,金属板からなることを特徴とするものである。 請求項4記載の発明にかかる情報記憶装置は,請求項1又は2に記載の情報記憶装置であって,前記クロック信号用端子,前記シリアルデー タ用端子及び前記電源用端子は,金属パッドからなることを特徴とするものである。…」(段落【0007】②)「この発明の請求項25記載の発明にかかる情報記憶装置は,画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に設置される情報記憶装置であって,前記画像形成装置本体が備える本体側端子に接 触される情報記憶装置側端子と,前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え,前記情報記憶装置側端子は,クロック信号用端子と,シリアルデータ用端子と,電源用端子と,アース端子と,を含み,前記アース端子は,前記穴部に設けら 突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え,前記情報記憶装置側端子は,クロック信号用端子と,シリアルデータ用端子と,電源用端子と,アース端子と,を含み,前記アース端子は,前記穴部に設けられ,前記穴部は,前記クロック信号用端子と前記シリアルデータ用端 子との間に配置されていることを特徴とするものである。」(段落【0014】②)「この発明の請求項49記載の発明にかかる情報記憶装置は,画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に設置される情報記憶装置であって,前記画像形成装置本体が備える本体側端子に接 触される情報記憶装置側端子と,前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え,前記情報記憶装置側端子は,シリアルクロックが入力されるシリアルクロック入力端子と,シリアルデータが入力されるシリアルデータ入力端子と,電源入力部と,アース端子と,を含み,前記アース端子は,前記穴部に設けら れ,前記穴部に対して,前記情報記憶装置が前記画像形成装置本体に装 着された状態における鉛直方向上方の位置には前記シリアルクロック入力端子が設置され,鉛直方向下方の位置には前記シリアルデータ入力端子と前記電源入力部が設置されていることを特徴とするものである。」(段落【0049】②)(ウ) 本件発明3について 「…この発明の請求項70記載の発明にかかる情報記憶装置は,水平方向に突出する突起部と,当該突起部に設置された接地用の本体側アース端子と,前記突起部と同一方向に突出する一対のリブと,を備えた画像形成装置本体に情報を伝達するための情報記憶装置であって,前記情報記憶装置は,前記画像形成装置本体側に伝達するための情報を記憶す る情報記憶部と,前記突 向に突出する一対のリブと,を備えた画像形成装置本体に情報を伝達するための情報記憶装置であって,前記情報記憶装置は,前記画像形成装置本体側に伝達するための情報を記憶す る情報記憶部と,前記突起部が挿入される穴部と,前記情報記憶部と,を備えた基板と,前記穴部に形成され,前記本体側アース端子と接触する情報記憶装置側アース端子と,を備え,前記穴部に前記突起部が挿入された状態において,前記情報記憶部は前記穴部よりも下方に設けられ,前記基板は,前記穴部に前記突起部が挿入されていく間に,当該基板の 側面であって前記穴部よりも下方に,前記一対のリブのうちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備えたことを特徴とするものである。…請求項77記載の発明にかかる情報記憶装置は,請求項70ないし76のいずれかに記載の情報記憶装置であって,前記基板の表面に設けられ,前記画像形成装置本体に設けられた本体側端子と接触する情報記憶 装置側端子を備えることを特徴とするものである。 請求項78記載の発明にかかる情報記憶装置は,請求項77に記載の情報記憶装置であって,前記情報記憶装置が前記画像形成装置本体に接続される際,前記情報記憶装置側アース端子が前記本体側アース端子と接触した後に,前記情報記憶装置側端子が前記本体側端子と接触可能に 形成されていることを特徴とするものである。… 請求項80記載の発明にかかる情報記憶装置は,請求項70ないし79のいずれかに記載の情報記憶装置であって,前記穴部は,前記基板に1つだけ形成されていることを特徴とするものである。」(段落【0025】③)オ発明の効果 「本発明は,画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱可能装置に,接触式の情報記憶装置を設置した場合であっても,情報記 徴とするものである。」(段落【0025】③)オ発明の効果 「本発明は,画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱可能装置に,接触式の情報記憶装置を設置した場合であっても,情報記憶装置の基板に形成された穴部に,画像形成装置本体の突起部に形成された接地用の本体側端子に係合するアース端子を形成しているため,情報記憶装置に電気的な破損が生じにくい,情報記憶装置,着脱可能装置,現像剤容器, 及び,画像形成装置を提供することができる。また,端子が短手方向に隙間を空けて並設された複数の金属板であり,穴部が,画像形成装置本体の突起部に形成された接地用の本体側端子に接触するアース端子が形成され,複数の金属板のうち2つの金属板に間に挟まれる位置に配設されているため,穴部の中心から最も離れた位置にある端子までの距離を短くする ことができ,端子の本体側端子に対する平行度が量産ばらつき等の理由でずれてしまったとしても,そのずれを最低限に抑えることができる。」(段落【0022】①)「本発明により,画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱可能装置に,接触式の情報記憶装置を設置した場合であっても,画像形成 装置本体のコネクタの本体側端子との位置決め不良による接触不良が生じにくい,情報記憶装置及び着脱可能装置を提供することができる。」(段落【0027】②③)カ発明を実施するための形態「以下,この発明を実施するための形態について,図面を参照して詳細 に説明する。なお,各図中,同一又は相当する部分には同一の符号を付し ており,その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。」(段落【0024】①,【0029】②③)「また,図4を参照して,トナー容器収容部70は,主として,トナー容器32Yの し ており,その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。」(段落【0024】①,【0029】②③)「また,図4を参照して,トナー容器収容部70は,主として,トナー容器32Yのキャップ部34Yを保持するためのキャップ受部73と,トナー容器32Yの容器本体33Yを保持するためのボトル受部72(容器 本体受部)と,トナー容器32Yの装着動作時における挿入口となる挿入口部71と,で構成されている。」(段落【0050】①,【0055】②③)【図4】①②③ 「次に,図6~ 図17等にて,トナー容器収容部70( ボトル受部72,キャップ受部73)について詳述する。 先に図4,図5にて説明したように,トナー容器収容部70には,ボトル受部72やキャップ受部73や挿入口部71(図5では図示が省略されている。)が設けられている。そして,トナー容器32Yは,把持部33 dを把持するユーザーによって,長手方向を水平方向とした状態で,容器本体33Yに対してキャップ部34Yを先頭にして長手方向を装着方向 として,挿入口部71からトナー容器収容部70に装着される。挿入口部71から挿入されたトナー容器32Yは,ボトル受部72のボトル受面72a(図5,図6,図9等をも参照できる。)を滑動しながら,キャップ受部73に向けてユーザーによって押し込まれる。」(段落【0051】①,【0056】②③) 【図5】①②③ 「図14,図15を参照して,トナー容器収容部70のキャップ受部73には,主基準ピン73a,従基準ピン73b,被当接溝73m,側方溝73h,壁部73g,貫通穴73f,等が設けられている。 位置決めピンとしての主基準ピン73a及び従基準ピン73bは,それぞれ,図20及 ピン73a,従基準ピン73b,被当接溝73m,側方溝73h,壁部73g,貫通穴73f,等が設けられている。 位置決めピンとしての主基準ピン73a及び従基準ピン73bは,それぞれ,図20及び図21に示すトナー容器32Yにおけるキャップ部34Yの第1の位置決め穴部34aと第2の位置決め穴部34bとに嵌合する。そして,キャップ受部73におけるキャップ部34Yの位置決めがおこなわれる。」(段落【0053】①,【0058】②③) 【図14】①②③ 【図15】①②③ 【図20】①②③ 【図21】①②③ 「また,図14(A),図15等を参照して,キャップ受部73の奥側壁面(装着方向奥側において鉛直方向に起立する壁面である。)には,鉛直方向に延在する長円穴と方形穴とが互いの縁線を一致させて重なった状態の形状からなる貫通穴73fが形成されている。そして,この貫通穴73fを介して,後述するコネクタ73e(図16を参照できる。)が, キャップ受け部73の内壁側に露呈するように設置される(図17等を参 照できる。)。そして,キャップ受部73(装置本体100)にトナー容器32Yが装着されると,そのキャップ部34Yの先端に配されたIDチップ35に対してコネクタ73eが対向接触して,IDチップ35と装置本体100(制御部90)との間での情報通信が可能になる。」(段落【0056】①,【0061】②③) 【図16】①②③ 【図17】①②③ 「そして,トナー容器32Y,32M,32C,32KのIDチップ35(情報記憶装置)と,装置本体100のコネクタ73eと,の間で必要な情報の授受がおこなわれる。双方の間で通信される情報と ②③ 「そして,トナー容器32Y,32M,32C,32KのIDチップ35(情報記憶装置)と,装置本体100のコネクタ73eと,の間で必要な情報の授受がおこなわれる。双方の間で通信される情報としては,トナ ー容器やID チップそのものの製造番号,製造日,リサイクル回数等の情報や,トナーの容量,ロット番号,色等の情報や,画像形成装置本体100の使用履歴等の情報がある。IDチップ35(情報記憶装置)には,これらの電子情報が画像形成装置本体100に設置される前に予め記憶されている(又は,設置された後に装置本体100から受け取った情報が記 憶される)。なお,IDチップ35(情報記憶装置)については,後でさらに詳しく説明する。」(段落【0060】①,【0065】②③)「図27~図29を参照して,本実施の形態1において,画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるトナー容器32Y(着脱可能装 置)に設置される保持機構は,情報記憶装置としてのIDチップ35,保持部としての保持部材34k,等で構成されている。また,保持機構に保持される情報記憶装置としてのIDチップ35は,基板35b,情報記憶部35c,複数の端子としての金属パッド35a(金属板),等で構成されている。 図29を参照して,情報記憶部35cは,画像形成装置本体100の制御部90とトナー容器32Yとの間でやり取りされる種々の情報が記憶されている電子回路である。図29では簡略のため斜線にて箱状のものとして表しているが,メモリーICやノイズ低減のためのコンデンサ,抵抗等の集合体が該当する。この情報記憶部35cは,基板35bの裏面側(キ ャップ部34Yの端面に対向する側である。)に配置されていて,複数の金属板としての金属パッド35aの全部 コンデンサ,抵抗等の集合体が該当する。この情報記憶部35cは,基板35bの裏面側(キ ャップ部34Yの端面に対向する側である。)に配置されていて,複数の金属板としての金属パッド35aの全部又は一部に電気的に接続されている。 複数の端子としての金属パッド35aは,キャップ受部73(装置本体100)に設置されたコネクタ73eにおける複数の本体側端子73e2 にそれぞれ接触して,画像形成装置本体100(制御部90)との間で情報に係る電気信号をやり取りする。この複数の金属パッド35aは,基板35bのオモテ面側(キャップ受部73に対向する側である。)に配置されている。また,複数の金属パッド35aは,略矩形状に形成されていて,短手方向(図29(A)のZ方向(鉛直方向)である。)に隙間を空けて 並設されている。 情報記憶部35cや金属パッド35aが配置される基板35bには,位置決め用の切欠部35b1(長円円周の直線部で二分したときの片方の形状である。)が鉛直方向の両端にそれぞれ形成されている。この位置決め用の切欠部35b1は,コネクタ73e(画像形成装置本体100)に設 置された位置決め用の円柱状の突起部としての位置決めピン73e3(図 16,図17等を参照できる。)に嵌合して,複数の本体側端子73e2に対する複数の金属パッド35aの位置を定めるためのものである。 そして,このように構成されたIDチップ35(情報記憶装置)は,キャップ部34Yに着脱可能に構成された保持部材34k(保持部)に保持されている。」(段落【0084】①,【0089】②③) 【図27】①②③ 【図28】①②③ 【図29】①②③ 「ここで,図27を参照して,保持部としての保持部材3 (段落【0084】①,【0089】②③) 【図27】①②③ 【図28】①②③ 【図29】①②③ 「ここで,図27を参照して,保持部としての保持部材34kは,キャップ部34Yに対して着脱可能に構成されるとともに,IDチップ35を 挿脱するための挿入口34k1が上方に形成された箱状部材である。 詳しくは,キャップ部34Yへの保持機構の組み付け時において,まず, 挿入口34k1から保持部材34kの内部に向けてIDチップ35(情報記憶装置)を挿入する(図27の矢印方向の移動である。)。その後,IDチップ35が装着された状態の保持部材34k(保持部)を,図27の矢印方向に移動して,キャップ部34Yの凹部へ圧入する。このとき,保持部材34kは,キャップ部34Yの凹部に設けられた台座部34q(基 板35bに接触しない位置に配設されている。)に当接する位置で固定・保持される。なお,キャップ部34YからIDチップ35を取出する場合には,上述した手順と逆の手順で作業がおこなわれる。なお,台座部34qは,キャップ部34Yの凹部において,トナー容器32Yの装着方向に(又は,保持部材34kに向けて)起立するリブであって,コネクタ73 eの位置決めピン73e3が挿入される場所から外れた位置に設けられている。 なお,本実施の形態1では,保持部材34kをキャップ部34Yの凹部へ圧入して固定するように構成したが,保持部材34kをキャップ部34Yの凹部へ装着してネジ止めして固定するように構成することもできる。 具体的には,保持部材34kの側壁に穴部を有する片状のリブを突起させて,キャップ部34Yの端面に雌ネジ部を形成する。そして,保持部材34kをキャップ部34Yの凹部へ装着して, こともできる。 具体的には,保持部材34kの側壁に穴部を有する片状のリブを突起させて,キャップ部34Yの端面に雌ネジ部を形成する。そして,保持部材34kをキャップ部34Yの凹部へ装着して,キャップ部34Yの端面に保持部材34kの片状のリブを接触させた状態で,保持部材34kに係るリブの穴部を介してキャップ部34Yの雌ネジ部にネジを螺合させる。この ような構成の場合であっても,キャップ部34Yに対して保持部材34kを比較的容易に着脱することができる。」(段落【0087】①,【0092】②③)「実施の形態5. 図36~図41にて,この発明の実施の形態5について詳細に説明する。 図36は,実施の形態5における情報記憶装置535の基板を示す3面 図であって,前記実施の形態1における図29に相当する図である。図37は,情報記憶装置535と保持部材534k(534k25)とコネクタ573eとを示す斜視図であって,3つの部材534k(534k25),535,573eの相対位置関係を示す斜視図である。図38は,情報記憶装置535がコネクタ573eに係合した状態を示す斜視図である。ま た,図39は,情報記憶装置535の電気回路とコネクタ573eの電気回路とを示す回路図である。図40(A)は情報記憶装置535がコネクタ573eに保持された状態を示す正面図であって,図40(B)は情報記憶装置535が位置決め用の穴部535b21を中心に回転している状態を示す正面図である。図41は,工場製造時の検査工程においてプロー ブ400が当接された状態の情報記憶装置535を示す図である。 本実施の形態5は,情報記憶装置535の基板535bに位置決め用の穴部535b21が1つだけ形成さ 査工程においてプロー ブ400が当接された状態の情報記憶装置535を示す図である。 本実施の形態5は,情報記憶装置535の基板535bに位置決め用の穴部535b21が1つだけ形成されている点と,位置決め用の穴部535b21が複数の矩形状の金属パッド35a1,35a2,35a3(金属板)の間に配置されている点と,が前記各実施の形態のものと相違する。」 (段落【0112】①,【0117】②③)「図36を参照して,本実施の形態5における情報記憶装置としてのIDチップ535は,基板535bの重心よりも鉛直方向上方の位置に,位置決め用の穴部535b21が形成されている。そして,この穴部535b21の内径部と周囲とには,接地(アース)用の金属端子535dが設 置されている。なお,本実施の形態5において,基板535bの表面に形成された金属端子535dは,円環状の部分に対して2つの突出部535d1が水平方向に延設されるように形成されている。 また,位置決め用の穴部535b21に対して,鉛直方向上方の位置には1つの矩形状の金属パッド35a1が設置され,鉛直方向下方の位置に は2つの矩形状の金属パッド35a2,35a3が設置されている。 さらに,基板535bの裏側(キャップ部34Yに対向する側である。)には,半球面状のエポキシ等の樹脂材料からなり情報記憶部を覆って保護する保護部材535eが設けられている。本実施の形態5において,基板535bの形状や保護部材535e等の裏面の構成・配置によるが,内部にIC等の情報記憶部を有することもあって裏面で最も大きく重量がある 構成物であるところの保護部材535eの上方に穴部535b21を配置することで,前述したIDチップ535の重 置によるが,内部にIC等の情報記憶部を有することもあって裏面で最も大きく重量がある 構成物であるところの保護部材535eの上方に穴部535b21を配置することで,前述したIDチップ535の重心の鉛直上方に穴部535b21があるという位置関係を実現している。具体的には,図40(A)を参照して,本実施の形態5におけるIDチップ535(情報記憶装置)は,位置決め用の穴部535b21の中心位置が,IDチップ535の重心か ら距離Zaだけ上方になるように形成されている。」(段落【0113】①,【0118】②③)【図36】①②③ 「図37を参照して,コネクタ573eは,樹脂製で中空の箱であるコ ネクタ本体573e21を有しており,そのコネクタ本体573e21に 1本の中空円筒で先端にテーパ形状を有する位置決めピン573e23(位置決め用の突起部)が水平方向に起立するように設けられている。そして,この位置決めピン573e23には,接地用の本体側端子573e25(アース端子)が設置されている。この接地用の本体側端子573e25は,板状(又は線状)の金属部材であって,その一部がコネクタ本体 73e21と一体で形成された位置決めピン573e23の中空部に収納され,その湾曲部が中空円筒の周面の一部に形成されたスリット状の開口から露出して円筒外周面から突出している。また,位置決めピン573e23(接地用の本体側端子573e25)に対して,鉛直方向上方の位置には1つの本体側端子73e2(判決注:図37の573e2)が設置さ れ,鉛直方向下方の位置には2つの本体側端子73e2が設置されている。 これらの本体側端子73e2は,板状(又は線状)の金属部材であって,設置位置が異なる以外は,前記各実施 73e2)が設置さ れ,鉛直方向下方の位置には2つの本体側端子73e2が設置されている。 これらの本体側端子73e2は,板状(又は線状)の金属部材であって,設置位置が異なる以外は,前記各実施の形態のものとほぼ同様に形成されている。 また,コネクタ本体573e21の下方であって,位置決めピン573 e23を挟む両側の位置には,互いの先端内側のテーパ面が線対称になるよう形成された一対のリブからなり,IDチップ535の両側端面であって穴部535b21の中心よりも鉛直下方の箇所に対向する一対の規制部材としての振れ防止部材573e24が設けられている。」(段落【0114】①,【0119】②③) 【図37】①②③ 「図38は,実施の形態5におけるトナー容器532Yが装置本体100に装着された際に,装置本体100側のコネクタ573eとIDチップ535の位置決めが完了して本体側端子73e2,573e25と上述の金属パッド35a1~35a3,アース端子535dとが接続した状態を 示す概略斜視図である。なお,図38では,理解容易のため,コネクタ573eとIDチップ535との間にある保持部材534k(534k25)と金属パッド35a1~35a3の図示は省略されている。 トナー容器532Yの一連の装着動作のうち,キャップ部534Yの主基準及び従基準の位置決め穴部34a,34bが,キャップ受け部73の 主基準及び従基準の位置決めピン73a,73bに嵌合されてキャップ部534Yの位置決めがされるところまでは,前記実施の形態1の装着動作と同じである。その後,キャップ部534Yの位置が定まった後に,IDチップ535の穴部535b21は,コネクタ573eの位置決めピン573e23の めがされるところまでは,前記実施の形態1の装着動作と同じである。その後,キャップ部534Yの位置が定まった後に,IDチップ535の穴部535b21は,コネクタ573eの位置決めピン573e23の先端のテーパに拾われるように位置決めピン573e23に 嵌合されて,IDチップ535の水平方向及び垂直方向の位置が同時に決 まる。さらに,図40(A)に示すように,基板535bの左右両側であって穴部535b21の中心よりも下方である下側の縁部にコネクタ573e2の一対のリブから成る振れ防止部材573e24(一対の規制部材)が侵入する。このときIDチップの姿勢が図40(B)のようにずれていたとしても,リブ先端のテーパ面が上記縁部に当接すると,それをトリガ ーにして重心の作用で姿勢を鉛直にする方向に基板535bが回転し,回転方向(図40(B)に示す両矢印方向の回転である。)の姿勢のずれを矯正する(図40(A)の状態にする)。これによって,IDチップ535の位置決めが完了する。このとき,IDチップ535のアース端子535dの一部(穴部535b21の内径部に相当する部分である。)が,図 38に示す位置決めピン573e23の接地用の本体側端子573e25に接触して,IDチップ535の接地(導通)がとられることになる。さらに,その接地がとられた後に,図39(A)に示すように,IDチップ535の3つの金属パッド35a(35a1,35a2,35a3)も,コネクタ573eの3つの本体側端子73e2にそれぞれ接触して,ID チップ535と本体側コネクタ573e(装置本体100)との間で情報の伝達が可能になる。」(段落【0116】①,段落【0121】②③)【図38】①②③ プ535と本体側コネクタ573e(装置本体100)との間で情報の伝達が可能になる。」(段落【0116】①,段落【0121】②③)【図38】①②③ 【図39】①②③ 【図40】①②③ 「このように,本実施の形態5では,下記(1)から(5)のさまざまな工夫を加えたことで安価な構成で高精度の位置決め機構を実現している。 (1)位置決め用の穴部535b21を1つにしている。これによって,基板535bの加工費の抑制が可能になる。 (2)接地用の本体側端子573e25を位置決めピン573e23の側 周面に一体的に設置している。これによって,位置決めピン573e23と本体側端子573e25との距離を実質0にすることができ,本体側端子573e25に対するアース端子535dの位置精度を高めることができる。 (3)図38の装着完了状態において,コネクタ573e側の3つの本体 側端子73e2の湾曲部(接触部)を結ぶ線上に位置決め用の穴部535b21の穴中心を一致させるように穴部535b21と本体側端子573e2の湾曲部との配置関係を調整している。これによって,位置決め部である穴部535b21から接触部までの水平方向の距離を縮めて0mm近傍にするにすることができる。その結果,3つの金属パッド35a1, 35a2,35a3と本体側端子73e2とが接触するときの位置精度が向上する。 (4)位置決め用の穴部535b21の位置を,複数の金属パッド35a1,35a2,35a3を並べたときに生じる複数の間隙のうち,いずれかの間隙に配置している。これによって,複数の金属パッド35a1,3 5a2,35a3の並びの外側である上方又は下 ッド35a1,35a2,35a3を並べたときに生じる複数の間隙のうち,いずれかの間隙に配置している。これによって,複数の金属パッド35a1,3 5a2,35a3の並びの外側である上方又は下方に穴部を配置した場合に比べて,位置決め用の穴部535b21の中心から最も離れた位置にある金属パッド35a3までの距離(振り子の腕長さに相当することになる。)を短くすることができる。具体的には,金属パッド35a1,35a2,35a3の並びの外側に穴部を配置した場合,腕長さは穴中心から 金属パッド3つ分の距離になるが,本実施の形態5では,腕長さを金属パ ッド2つ分の距離にすることができる。振れの腕長さが短くなることで,最も遠い位置の金属パッド35a3の本体側端子73e2に対する平行度が量産ばらつき等の理由でずれてしまったとしても,そのずれを最低限に抑えることができる。 (5)トナー容器を単品で保管する際,異物が保持部材534kの中に入 ってIDチップ535と対向部534k24,534k25との間に挟まり位置がずれたままになってしまう恐れがある。このような課題に対して,本実施の形態5では,IDチップ535の穴部535b21が重心よりも鉛直方向上方にあるように,位置関係の工夫をしている。これにより,一対のリブから成る振れ防止部材573e24が回転中心である穴部53 5b21よりも鉛直方向下方に侵入するときに,振れ防止部材573e24(リブ)のテーパ面との当接をトリガーにして重心の作用で姿勢を鉛直方向に沿うように回転することができる(位置ずれを規制して姿勢を矯正することができる。)。その結果,位置決め用の穴部535b21が1つであっても,複数の本体側端子573e2に対する複数の金属パッド35 a1,35a ことができる(位置ずれを規制して姿勢を矯正することができる。)。その結果,位置決め用の穴部535b21が1つであっても,複数の本体側端子573e2に対する複数の金属パッド35 a1,35a2,35a3の位置精度を同時に高めることができる。 以上,(1)~(5)に記載したように,それぞれの5つの工夫は,それぞれの作用効果を発揮することになり,金属パッド35aの面積を極小にするという安価な構成を採用しても,アース端子を含むIDチップ535側の複数の端子35a,535dと複数の本体側端子573e2,57 3e25との位置決めの精度を極めて高いものすることができる。」(段落【0117】①,【0122】②③)「さらに,本実施の形態5における工夫及び作用効果について,上述したものと別のものについて述べる。 まず金属パット35a1,35a2,35a3それぞれについて詳述す る。最上位にある金属パット35a1は,通信制御のためのクロック信号 が入力される。逐次通信のため速度は遅いが低コストなシリアル通信方式を採用し,シリアルバスとしてI2C(Inter-IntegratedCircuit)を採用し,本体側コネクタと接続した状態でシリアルクロック(SCL)が入力される信号線を形成する。金属パッド35a1がクロック信号入力方向側の端子に相当するが,クロック信号は信号の流れ が片方向であるため,後述するVcc(電源,金属パッド35a3)との短絡によるIDチップ535の破壊の可能性が他の端子と比較して高いと予測される。そのためIDチップ535の破壊を避けるために,Vccから離れた場所に配置してある。万一GND(アース端子535d)と短絡しても壊れる可能性は低いからである。 金属 高いと予測される。そのためIDチップ535の破壊を避けるために,Vccから離れた場所に配置してある。万一GND(アース端子535d)と短絡しても壊れる可能性は低いからである。 金属パッド35a2もシリアル通信方式を採用し,シリアルバスとしてI2Cを採用,本体側コネクタと接続した状態でシリアルデータ(SDA)が入出力される信号線を形成する。このパッドは入出力双方向であることから,片方向入力の金属パッド35a1よりも短絡によるIDチップ535破壊の可能性は小さい。 金属パッド35a3は,電源入力部(Vcc)であり,本体側コネクタと接続した状態で5V又は3.3Vの電圧が入力される。電源とGNDの短絡という機器全体にとっての故障の危険性を小さくするためにGND(アース端子535d)及び,シリアルクロック入力端子(金属パット35a1)と間にシリアルデータ入力端子(金属パッド35a2)を挟んで 配置されている。Vccである金属パッド35a3は,図36にあるようにIDチップ裏側の保護部材535eと基板535bを介して重なっており,保護部材535e内のIC駆動回路とも近くなっている。これによって電源ラインも短く太くでき,電源動作の安定(=ノイズ誤動作の低減)化を図ることができる。 次にアースに関する工夫を述べる。トナー容器532Yの装着動作にお いて,IDチップ535のアース端子535dが位置決めピン573e23(コネクタ573e)の接地用の本体側端子573e25に接触した後に,IDチップ535の3つの金属パッド35a1,35a2,35a3がコネクタ573eの3つの本体側端子73e2に接触開始されるように構成されている。換言すると,トナー容器532Yの離脱動作において, I プ535の3つの金属パッド35a1,35a2,35a3がコネクタ573eの3つの本体側端子73e2に接触開始されるように構成されている。換言すると,トナー容器532Yの離脱動作において, IDチップ535の3つの金属パッド35a1,35a2,35a3のコネクタ73eの3つの本体側端子73e2への接触が解除された後に,IDチップ535のアース端子535dが位置決めピン573e23(コネクタ573e)の接地用の本体側端子573e25に接触解除(離間)されるように構成されている。具体的には,図39(A)を参照して,コネ クタ573eにおいて,3つの本体側端子73e2に比べて接地用の本体側端子573e25の接触開始位置がIDチップ535の側に近い位置になるように形成されている。 このような構成により,トナー容器532Yの装着動作においては常にIDチップ535のアースがとられている状態で金属パッド35a1,3 5a2,35a3と本体側端子73e2との接続が開始され,トナー容器532Yの離脱動作においては常にIDチップ535のアースがとられている状態で金属パッド35a1,35a2,35a3と本体側端子73e2との離間(接触解除)が開始されることになる。そのため,IDチップ535側の電気回路においてアースがとられずに電気的に浮いた状態にな ることが防止され,IDチップ535に電気的な破損が生じにくくなる。 詳しくは,IDチップ535側の電気回路においてアースがとられずに電気的に浮いた状態であるとき,電気回路は非常に大きなインピーダンスで接地されている状態となり,金属パッド535aと本体側端子573e2との接触時又は離間時に発生した静電気がわずかでも電気回路に流れ込 むと,その電流にインピーダンスを掛けた なインピーダンスで接地されている状態となり,金属パッド535aと本体側端子573e2との接触時又は離間時に発生した静電気がわずかでも電気回路に流れ込 むと,その電流にインピーダンスを掛けたものと同等の高電圧が発生する。 そして,この高電圧によりIDチップ535におけるIC内部での絶縁破壊が生じて,ICが壊れてしまう。このような不具合は,図39(B)に示すように,コネクタ573eにおいて,3つの本体側端子73e2と接地用の本体側端子573e25とのIDチップ535に対する接触開始位置が同位置に形成されているような場合に生じやすくなる。 これに対して,本実施の形態5では,本体側端子73e2においてIDチップ535側に最も突出した部分である湾曲部よりも,位置決めピン573e23のスリット状の開口から露出した本体側端子573e25の湾曲部の方が,IDチップ535により近い位置になるよう配置されている。 これによって,接触時の回路の接地が最初におこなわれ,離間時の回路の 接地が最後になるため,インピーダンスが常に理論上ゼロとなり,静電気が電気回路内に流れ込んでもIC内部での絶縁破壊を防ぐことができる。」(段落【0118】①,【0123】②③)(2) 本件各発明の意義本件各発明は,いずれも,プリンタ等の画像形成装置に着脱可能に設置さ れ,トナーや液体インクといった現像剤を収納する現像剤容器等の着脱可能装置と,そこに設置される情報記憶装置に関する発明であり,上記(1)によれば,本件各発明の概要は,以下のとおりであると認められる。 ア本件発明1について本件発明1-1,1-2及び1-6は,従来の接触式の情報記憶装置は, 装置本体への着脱可能装置の着脱時に,情報記憶装置の電気 は,以下のとおりであると認められる。 ア本件発明1について本件発明1-1,1-2及び1-6は,従来の接触式の情報記憶装置は, 装置本体への着脱可能装置の着脱時に,情報記憶装置の電気回路においてアースが十分にとれずに電気的に浮いた状態となり,電気的な破損が生じてしまう可能性があったという課題を解決するため,請求項1,2及び6のとおり,情報記憶装置の基板に形成された穴部に,画像形成装置本体の突起部に形成された設置用の本体側端子に係合するアース端子を形成し た上,当該穴部を複数の金属板のうち2つの金属板の間に挟まれる位置に 配設することにより,情報記憶装置に電気的な破損が生じにくくなるとともに,穴部の中心から最も離れた位置にある端子までの距離を短くすることができ,端子の本体側端子に対する平行度が量産ばらつき等の理由でずれてしまったとしても,そのずれを最低限に抑えることができるという効果を奏するものである。 イ本件発明2及び3について本件発明2-1~4,2-25,2-49,3-70,3-77,3-78,3-80は,従来の接触式の情報記憶装置においては,情報記憶装置に設けられた端子(金属パット)と画像形成装置本体の端子との位置決め不良により,それらの接触部分がずれてしまう不具合(接触不良)が生 じるおそれがあったという課題に対し,本件特許2の請求項1~4,25及び49並びに本件特許3の請求項70,77,78及び80の構成とすることにより,画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱可能装置に接触式の情報記憶装置を設置した場合であっても,画像形成装置本体のコネクタの本体側端子との位置決め不良による接触不良が生じにく い,情報記憶装置及び着脱可能装置を提供することができるという 置に接触式の情報記憶装置を設置した場合であっても,画像形成装置本体のコネクタの本体側端子との位置決め不良による接触不良が生じにく い,情報記憶装置及び着脱可能装置を提供することができるという効果を奏するものである。 2 争点1(構成要件3-70A~Dの充足性)について被告らは,構成要件3-70A~Cは,プリンタ本体に係る構成であり,これらの構成は,被告電子部品の構成に当然に必要となるわけではないから,被 告電子部品は,同各構成要件「を備えた画像形成装置本体に情報を伝達するための情報記憶装置」(構成要件3-70D)には当たらないと主張する。 しかし,構成要件3-70Dは,同3-70A~C「を備えた画像形成装置本体に情報を伝達するための情報記憶装置」であり,構成要件3-70A~C「を備えた画像形成装置本体にのみ情報を伝達するための情報記憶装置」など の限定はされておらず,本件明細書等3においても,同趣旨の限定は存在しな い。 構成要件3-70Dの上記文言に照らすと,本件発明3-70に係る情報記憶装置は,構成要件3-70A~Cを備えた画像形成装置本体に情報を伝達することを可能とする構成を備えていれば足りると解すべきであり,被告電子部品(設計変更後も含む。)が構成要件3-70A~Cを備えていない画像形成 装置に使用することが可能であるとしても,同各構成要件を備えた画像形成装置本体に情報を伝達することができる以上,被告電子部品は構成要件3-70A~Dを充足するということができる。 被告電子部品(設計変更前のもの)については,本件各発明1及び2の構成要件充足性について争いがなく,上記のとおり,本件各発明3の構成要件も充 足するので,同部品は,本件各発明の技術的範囲に属することとなる。 計変更前のもの)については,本件各発明1及び2の構成要件充足性について争いがなく,上記のとおり,本件各発明3の構成要件も充 足するので,同部品は,本件各発明の技術的範囲に属することとなる。 3 争点2-1(構成要件1-1D等の「穴部」の充足性)について(1) 被告らは,被告電子部品(設計変更後)の本件設計変更部分は,本件発明1-1D等の「穴部」に当たらないので,被告電子部品(設計変更後)は,構成要件1-1D等を充足しないと主張する。 しかし,「穴」とは,一般に,「くぼんだ所」又は「向こうまで突き抜けた所」を意味するところ(甲14),構成要件1-1Dの「穴部」は,「情報記憶装置」の「基板」上に形成されたものであり,「画像形成装置本体に設置された突合部に係合する」ものであることからすると,基板上に設けられた「向こうまで突き抜け」ることが可能な空間であり,上記突合部に係合 するものであれば足り,必ずしも縁部がすべて閉じていることを要しないというべきである。 なお,本件明細書等1の実施例5に関する【図36】~【図38】に示された穴部は,その縁部が閉じているが,同明細書等には「穴部」の形状を特定又は限定する旨の記載は存在しないことに照らすと,「穴部」の形状が実 施例に示された形状に限定されると解すべき理由はないものというべきであ る。 (2) 被告らは,原告が本件特許権1の出願経過において,請求項の文言について,「穴部又は切欠部」との語から「切欠部」を削除する手続補正をしたこと(乙16~20)を根拠にして,本件設計変更部分は「切欠部」であって,「穴部」には当たらないと主張する。 しかし,「切欠」とは「部材接合のため切り取った部分」を意味するところ(甲14,15),本件特許1 根拠にして,本件設計変更部分は「切欠部」であって,「穴部」には当たらないと主張する。 しかし,「切欠」とは「部材接合のため切り取った部分」を意味するところ(甲14,15),本件特許1の出願経過における拒絶理由通知書(乙16)の引用文献である乙17(第1図~第4図参照)において,切欠き32は弾性導電ピン29の外周面に嵌合するものであり,同様に拒絶理由通知で引用された乙18(段落【0015】,図1)においても,切欠部に相当す る凹部20a,20bは凸部41a,41bに嵌合するものであると認められる。 また,本件明細書等1の【図29】について説明する段落【0084】には,「基板35bには,位置決め用の切欠部35b1…が鉛直方向の両端にそれぞれ形成されている。この位置決め用の切欠部35b1は…突起部とし ての位置決めピン73e3…に嵌合し」と記載され,同明細書等において「切欠部」という語は他の部材と嵌合するものという意味で用いられている。 以上によれば,上記手続補正により削除された文言である「切欠部」とは,当該部分が他の部材や部品と嵌合するものをいい,かかる理解は,本件明細書における「切欠部」の意義とも整合するものというべきである。 (3) 上記の理解を前提として,被告電子部品(設計変更後)をみるに,同部品は,設計変更前の被告電子部品の穴部の上側の基板を切り取り,その縁部の一部が欠けるに至ったものであるが,設計変更の前後を通じて,従前の穴部に相当する部分に画像形成装置(プリンタ)の突起部が嵌合するという機能には変更はなく,基板を切り取った部分には特別の技術的意義はなく,プリ ンタの突起部に嵌合する機能を有しないものと認められる。 そうすると,被告電子部品(設計変更後)のう には変更はなく,基板を切り取った部分には特別の技術的意義はなく,プリ ンタの突起部に嵌合する機能を有しないものと認められる。 そうすると,被告電子部品(設計変更後)のうち,設計変更前の同部品の穴部に相当する部分と設計変更により切り取った部分を合わせた部分は,構成要件1-1D,1-1F1の「穴部」に該当するので,同部品は,本件発明1-1の技術的範囲に属するとともに,同発明の従属項に係る発明である本件発明1-2及び1-6の技術的範囲にも属することとなる。同様に,被 告電子部品(設計変更後)は,構成要件2-1C及び3-70Fの「穴部」を充足するので,本件各発明2及び本件各発明3の技術的範囲にも属することとなる。 したがって,被告電子部品(設計変更後)は,本件各発明の技術的範囲に属する。 4 争点5(権利濫用の成否)について事案に鑑み,争点5について判断する。 (1) 認定事実前記第2の2(前提事実)に加え,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ア原告電子部品のメモリに保存される情報の内容●(省略)●イ原告プリンタにおけるトナー残量の計算方法前記第2の2(7)アのとおり,原告プリンタにおいては,トナー残量が段階的に表示されるところ,●(省略)●ただし,●(省略)●(甲41, 乙25,49)ウ原告製品の印刷枚数原告のウェブサイトには,原告プリンタのトナーカートリッジの印刷枚数等の記載があるが,併せて,「実際の交換サイクルは,用紙サイズ・種類,用紙方向,1ジョブあたりの連続印刷ページ数,使用条件などによっ て異なります。」,「1ジョブあたりの印刷ページ数が少ない間欠印刷で は寿命が最 イクルは,用紙サイズ・種類,用紙方向,1ジョブあたりの連続印刷ページ数,使用条件などによっ て異なります。」,「1ジョブあたりの印刷ページ数が少ない間欠印刷で は寿命が最大半分程度になる場合があります。」と注記されている。(乙34)また,被告らがC830シリーズに属する原告プリンタ及び原告製品(ブラックは約2万5000枚,それ以外の色は2万枚印刷可能とされているトナーカートリッジ)を用いて行った実験において,原告製品の各色のト ナーについて,トナーカートリッジの交換予告(「残りわずか」の表示)が出るまで,又はトナーなしの状態になるまで印刷を続けたところ,交換予告の表示が出るまでについては,3回の印刷枚数における最大と最小の差は2000枚以上であり,トナーなしの表示が出るまでについては,その差は1300枚を超えていた。(乙27) エ使用済みの原告製品を再度原告プリンタに装着した場合の残量表示前記第2の2(7)イのとおり,原告の製造する純正品を使用した後,使用済みの原告製品にトナーを補充して原告プリンタに装着すると,トナーの残量表示は「?」と表示されるが,その仕組みは,以下のとおりである。 ●(省略)● オ原告による純正品の使用勧奨原告のウェブサイトには,「消耗品はリコー純正品をご使用ください。 プリンタの性能を安定した状態でご使用いただくために,リコー純正品のご使用をおすすめします。リコー純正品以外のご使用は,印字品質の低下やプリンタ本体の故障など,製品に悪影響を及ぼすことがあります。消耗 品原因の故障において,リコー純正品以外のご使用の場合は,保証期間内や保守契約時でも有償修理となりますのでご注意ください。」との記載がある。(乙34)カ原告製品及び被告製品の販売 消耗 品原因の故障において,リコー純正品以外のご使用の場合は,保証期間内や保守契約時でも有償修理となりますのでご注意ください。」との記載がある。(乙34)カ原告製品及び被告製品の販売価格被告ウェブサイトには被告製品の価格の表示はなく,被告らは,会員登 録した者に対して個別に見積りをして価格を提示しているところ,平成3 0年1月から同年12月末までの被告製品の平均価格は,1本約1万3000円である。(甲8の3・5・6,乙37)原告製品の標準価格は,約2万5000枚印刷できるブラックが3万9000円,約2万枚印刷できるイエロー,マゼンタ,シアンが3万7000円,約1万2000枚印刷できるブラックが2万4000円,約1万2 000枚印刷できるイエロー,マゼンタ,シアンが2万3500円である。 (甲23,乙34)キ E&Qマークの取得等被告DSジャパンのウェブサイトには,被告製品が「高品質で低価格」,「高品質で安全なリサイクルトナーを安価で販売」などと記載され,その 品質が優れていることが強調され,更に「当社リサイクルトナーの品質」として,E&Qマークを取得している旨が記載されている。(甲7の2)E&Qマークは,AJCRが制定したマークであり,再生品のトナーカートリッジについて,第三者審査機関が再生品の製造工場に出向き,所定の環境管理基準及び品質管理基準に基づく審査を行い,これに適合すると 判定された製品に付されるものである。品質関連基準の項目には,印刷枚数が純正比90%以上であることなどが含まれる。(乙28)ク再生品トナーカートリッジの市場シェアトナーカートリッジにおける平成21年から平成29年までのリユース率(新品〔純正品と汎用品〕に対するリユース品の割合)は,モ となどが含まれる。(乙28)ク再生品トナーカートリッジの市場シェアトナーカートリッジにおける平成21年から平成29年までのリユース率(新品〔純正品と汎用品〕に対するリユース品の割合)は,モノクロで 32.9~37.2%(平成29年は34.9%),カラーは11.4~16.0%(平成29年は13.4%),モノクロ・カラー合計は23. 1~26.4%(平成29年は23.3%)の範囲内で推移している。(乙30)ケ公官庁の入札条件 東京国税局による平成29年1月の被告製品を含むカラーレーザープリ ンタ用トナーカートリッジ等の入札において,メーカーによる再生品以外の再生品については,「ISO14001」及び「ISO9001」を取得した工場で製造された再生品であること,E&Qマーク等を取得したものであること,チップ装着タイプのトナーカートリッジに装着するチップは,リサイクルの都度,確実に情報を書き換えることなどの条件が付され ている。(乙39の2)また,東北農政局による平成29年2月の富士ゼロックス製プリンタ用トナーカートリッジ等の入札においては,再生品について,ISO9000シリーズを認証取得した工場で生産された製品であること,E&Qマーク等の認証を取得しており,純正品と同等の機能を有することなどが条件 とされている。(乙38)コ公正取引委員会による審査事例(乙3先例)公正取引委員会は,平成16年10月21日付けで「キヤノン株式会社に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について」と題する報道資料を公表し,同委員会は,キヤノンが同社製カラーレーザープリンタに使用され るトナーカートリッジのICタグに搭載されたICチップに記録された情報 止法違反被疑事件の処理について」と題する報道資料を公表し,同委員会は,キヤノンが同社製カラーレーザープリンタに使用され るトナーカートリッジのICタグに搭載されたICチップに記録された情報の書き換え等を困難にして,当該カートリッジの再生品が作動しないようにすることにより,当該再生品の販売を困難にさせている疑いがあることから,独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ,キヤノンの措置により再生業者が再生品を再生販売することが可能になったこと から上記審査を終了することとしたと発表した。 (ア) 同資料の本体には,以下の記載がある。 a キヤノンは,同社製のカラーレーザープリンタに使用されるカートリッジについて,プリンタ本体の損傷防止及び純正品が使用された場合の印字品質を確保する観点から,ICタグを搭載し,そのICチッ プに寿命データを記録している。そして,セキュリティなどの理由か ら,再生業者が当該寿命データを書き換えることにより初期状態に戻して再生品として利用することは困難となっている。 b 上記カラーレーザープリンタは,ICチップに寿命データが記録されていても,トナーが充填された再生品を当該プリンタに装着した場合には,純正品ではないと認識し,当該プリンタ本体のパネルに「カ ートリッジフセイ」と表示される。ただし,ユーザーが所要の操作を行うことにより印刷を継続することはできるので,再生業者が寿命データを書き換えなくてもカートリッジを再生利用することは可能である。 c 上記bの場合であっても,一定の条件を満たす場合には,当該再生 品は寿命に達した純正品と認識され,当該プリンタが作動しないことがある。このため,再生業者がユーザーに対して再生品を c 上記bの場合であっても,一定の条件を満たす場合には,当該再生 品は寿命に達した純正品と認識され,当該プリンタが作動しないことがある。このため,再生業者がユーザーに対して再生品を販売するに当たり支障が生じている。 d キヤノンは,再生品の使用を希望するユーザーの存在を考慮し,再生品の使用に支障が生じることがないように,以下の対応を行った。 (a) 再生業者の団体に対し,再生品が装着されたプリンタの作動する条件について説明するとともに,取扱説明書の記載も一部修正することとした。 (b)「カートリッジフセイ」との上記表示についても,ユーザーが再生品を使用することをためらわせることのないような表現に修正する こととした。 (c) 一部のカラーレーザープリンタでは,再生品が装着された場合には色調整の機能が働かない場合があったが,上記修正に併せて,その原因となっていたソフトウェアのプログラムの誤りを修正することとした。 e 上記dの対応により,同社製カラーレーザープリンタに使用される カートリッジの再生品の利用を望むユーザーに対し,再生業者が再生品を提供することは可能になっており,独占禁止法上の問題は解消しているものと認められる。 (イ) 同資料の別紙「レーザープリンタに装着されるトナーカートリッジへのICチップの搭載とトナーカートリッジの再生利用に関する独占禁 止法上の考え方」には,公正取引委員会の以下の見解が示されている。 a レーザープリンタのメーカーがその製品の品質・性能の向上等を目的として,カートリッジにICチップを搭載すること自体は独占禁止法上問題となるものではない。 b しかし,プリンタのメーカーが,例えば, リンタのメーカーがその製品の品質・性能の向上等を目的として,カートリッジにICチップを搭載すること自体は独占禁止法上問題となるものではない。 b しかし,プリンタのメーカーが,例えば,技術上の必要性等の合理 的理由がないのに,あるいは,その必要性等の範囲を超えて,①ICチップの書換えを困難にして,カートリッジを再生利用できないようにすること,②ICチップにカートリッジのトナーがなくなった等のデータを記録し,再生品が装着された場合,レーザープリンタの作動を停止したり,一部の機能が働かないようにすること,③ICチップ の制御方法を複雑にしたり,頻繁に変更することにより,ユーザーが再生品を使用することを妨げる場合には,独占禁止法上第19条(不公正な取引方法第10項[抱き合わせ販売等]又は第15項(現第14項)[競争者に対する取引妨害])に違反するおそれがある。 (2) 前提となる考え方 本件は,被告らが原告電子部品を被告電子部品に取り替えて被告製品を販売等する行為をしたことに対し,原告が,被告らの行為は本件各特許権を侵害するものであるとして,被告製品の製造,販売の差止めなどを求める事案であるが,これに対し,被告らは,本件書換制限措置及び本件各特許権の行使は,一体として原告プリンタ用の再生品トナーカートリッジである被告製 品を市場から排除しようとするものであり,消尽の趣旨に反するとともに, 公正な競争を阻害して独占禁止法に違反するものであるから,本件各特許権の行使は権利の濫用に当たり許されない旨主張する。 独占禁止法21条は,「この法律の規定は,…特許法…による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」と規定しているが,特許権の行使が,その目的,態様,競争に与える影響の大き い旨主張する。 独占禁止法21条は,「この法律の規定は,…特許法…による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」と規定しているが,特許権の行使が,その目的,態様,競争に与える影響の大きさなどに照らし,「発明を 奨励し,産業の発達に寄与する」との特許法の目的(特許法1条)に反し,又は特許制度の趣旨を逸脱する場合については,独占禁止法21条の「権利の行使と認められる行為」には該当しないものとして,同法が適用されると解される。 同法21条の上記趣旨などにも照らすと,特許権に基づく侵害訴訟におい ても,特許権者の権利行使その他の行為の目的,必要性及び合理性,態様,当該行為による競争制限の程度などの諸事情に照らし,特許権者による特許権の行使が,特許権者の他の行為とあいまって,競争関係にある他の事業者とその相手方との取引を不当に妨害する行為(一般指定14項)に該当するなど,公正な競争を阻害するおそれがある場合には,当該事案に現れた諸事 情を総合して,その権利行使が,特許法の目的である「産業の発達」を阻害し又は特許制度の趣旨を逸脱するものとして,権利の濫用(民法1条3項)に当たる場合があり得るというべきである。 ところで,一般指定14項(競争者に対する取引妨害)は,「自己…と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引について, 契約の成立の阻止,契約の不履行の誘因その他いかなる方法をもってするかを問わず,その取引を不当に妨害すること」を不公正な取引方法に当たると規定しているところ,乙3先例において,公正取引委員会が,プリンタのメーカーが,技術上の必要性等の合理的理由がなく又はその必要性等の範囲を超えてICチップの書換えを困難にし,カートリッジを再生利用できないよ うにした場合や,IC 公正取引委員会が,プリンタのメーカーが,技術上の必要性等の合理的理由がなく又はその必要性等の範囲を超えてICチップの書換えを困難にし,カートリッジを再生利用できないよ うにした場合や,ICチップにカートリッジのトナーがなくなったなどのデ ータを記録し,再生品が装着されたときにレーザープリンタの機能の一部が作動しないようにした場合には同項に違反するおそれがあるとの見解を示していることは,上記(1)コ(イ)のとおりである。 以上を踏まえると,本件において,本件各特許権の権利者である原告が,使用済みの原告製品についてトナー残量が「?」と表示されるように設定し た上で,その実施品である原告電子部品のメモリについて,十分な必要性及び合理性が存在しないにもかかわらず本件書換制限措置を講じることにより,リサイクル事業者が原告電子部品のメモリの書換えにより同各特許の侵害を回避しつつトナー残量の表示される再生品を製造,販売等することを制限し,その結果,当該リサイクル事業者が同各特許権を侵害する行為に及ばない限 りトナーカートリッジ市場において競争上著しく不利益を受ける状況を作出した上で,同各特許権に基づき権利行使に及んだと認められる場合には,当該権利行使は権利の濫用として許容されないものと解すべきである。 以下,本件各特許権の行使が権利の濫用に該当するかどうかについて,検討する。 (3) トナーの残量表示を「?」とすることによる競争制限の程度についてア原告プリンタにおいては,前記第2の2(7)のとおり,純正品であるトナーカートリッジが装着された場合には,トナー残量が段階的に表示されるのに対し,使用済みの原告製品にトナーを補充した再生品が装着された場合には,印刷動作には支障がないものの,トナーの 純正品であるトナーカートリッジが装着された場合には,トナー残量が段階的に表示されるのに対し,使用済みの原告製品にトナーを補充した再生品が装着された場合には,印刷動作には支障がないものの,トナーの残量表示が「?」と表 示されるとともに,トナーがもうすぐなくなる旨の予告表示はされず,トナーを使い切ると,トナーがなくなった旨のメッセージが出て,赤色ランプが点灯するとの事実が認められる。 イ原告は,トナーの残量の表示が「?」であるトナーカートリッジであっても印刷は可能であり,ユーザーは価格を重視するので,純正品に比較し て廉価な再生品が競争上の不利益を被ることはないと主張する。 (ア) しかし,市場で競合する他の製品の場合と異なり,トナーカートリッジの再生品の場合には,再生品の価格の方が純正品の価格よりある程度安いことはそのユーザーにとって当然の前提であり,再生品がユーザーに対して訴求力を有するのは,再生品と純正品の価格差のみならず,当該再生品が純正品との価格差にもかかわらず,純正品と同等の品質を備 えているという点にあると考えられる。 (イ) このことは,被告DSジャパンのウェブサイト(甲7の2)において,被告製品が「高品質で低価格」,「高品質で安全なリサイクルトナーを安価で販売」などと記載され,その品質が優れていることが強調され,更に「当社リサイクルトナーの品質」として,E&Qマークを取得して いる旨が記載されていることからもうかがわれるところである。 また,原告のウェブサイトには,前記(1)オ記載のとおり,「プリンタの性能を安定した状態でご使用いただくために,リコー純正品のご使用をおすすめします。リコー純正品以外のご使用は,印字品質の低下やプリンタ本体の故障など,製品に悪影響を及ぼす 記載のとおり,「プリンタの性能を安定した状態でご使用いただくために,リコー純正品のご使用をおすすめします。リコー純正品以外のご使用は,印字品質の低下やプリンタ本体の故障など,製品に悪影響を及ぼすことがあります。」と記 載されており,同記載に接したユーザーは,プリンタメーカーは品質上の理由から純正品の使用を勧めており,廉価な再生品の購入に当たっては,その品質に十分に留意する必要があることを容易に理解し得るものと考えられる。 (ウ) さらに,再生品トナーカートリッジの市場シェアをみると,前記(1)ク のとおり,トナーカートリッジにおける平成21年から平成29年までのリユース率は,モノクロ・カラー合計で23.1~26.4%で推移しているものと認められる。再生品の価格が純正品に比べて廉価であり,価格面においては競争上優位に立っているにもかかわらず,その市場シェアが上記の程度にとどまっているとの事実は,ユーザーにとってトナ ーカートリッジ再生品の品質が非常に重要であり,再生品がユーザーの 信頼を得ることが難しいことを示しているものということができる。 (エ) 以上のとおり,ユーザーは,再生品を購入するかどうかを決めるに当たり,純正品との価格差に勝るとも劣らず,その品質が純正品と同等かどうかを重視しているということができる。 ウ本件において,原告プリンタに純正品であるトナーカートリッジを装着 した場合には,トナー残量が段階的に表示されるのに対し,再生品を装着した場合には,トナーの残量表示が「?」と表示され,予告表示もされないことは,上記アのとおりである。 プリンタにとってトナー残量表示は一般的に備わっている機能であると認められるところ(弁論の全趣旨),トナー残量が「?」と表示されると, 予告表示もされないことは,上記アのとおりである。 プリンタにとってトナー残量表示は一般的に備わっている機能であると認められるところ(弁論の全趣旨),トナー残量が「?」と表示されると, ユーザーとしてはいつトナーが切れるかの予測がつかないことから,トナーが切れたときに備えて予備のトナーカートリッジを常時用意しておかなければならず,トナー残量の表示がされる場合に比べ,本来不必要な保守・管理上の負担をユーザーに課すこととなる。 また,プリンタに純正トナーカートリッジを装着した場合にトナー残量 が「?」と表示されることは通常あり得ないことから,同表示に接したユーザーは,トナーカートリッジの再生品の品質にはやはり問題があって,プリンタのトナー残量表示機能が正常に作動していないのではないか,あるいは,トナーカートリッジが純正品ではないことからプリンタがトナーカートリッジに記録された情報を適正に読み取ることができないのではな いかなどの不安感を抱き,再生品の使用を躊躇すると考えられる。 前記のとおり,プリンタメーカーである原告自身が品質上の理由から純正品の使用を勧奨していることや,価格差にもかかわらず再生品の市場占有率が一定にとどまっていることなどに照らすと,我が国において再生品の品質に対するユーザーの信頼を獲得するのは容易ではないものと考えら れる。このような状況下において,トナーの残量が「?」と表示される再 生品を販売しても,その品質に対する不安や保守・管理上の負担等から,我が国のトナーカートリッジ市場においてユーザーに広く受け入れられるとは考え難い。 エ実際のところ,我が国のトナーカートリッジ市場において,トナー残量を「?」と表示する再生品が製造,販売等されていることを示す証拠は存 場においてユーザーに広く受け入れられるとは考え難い。 エ実際のところ,我が国のトナーカートリッジ市場において,トナー残量を「?」と表示する再生品が製造,販売等されていることを示す証拠は存 在しない。このことは,原告製のプリンタのうち,対応するトナーカットリッジの電子部品のメモリの書換えが可能な機種はもとより,本件書換制限措置がされている機種(C830及びC840シリーズ)についても同様である。被告らを含むリサイクル事業者が,わざわざ費用を費やして原告電子部品のメモリの書換え又は同部品の取替えを行い,トナー残量が表 示されるようにした上で再生品を販売しているとの事実も,トナー残量を「?」と表示するトナーカートリッジを市場で販売したとしても,ユーザーから広く受け入れられる可能性が低いことを示しているというべきである。 オ加えて,前記(1)ケのとおり,公的機関によるカラーレーザープリンタ用 トナーカートリッジ等の入札においては,メーカーによる再生品以外の再生品について,トナーカートリッジに装着するチップの情報を,リサイクルの都度確実に書き換えることや,純正品と同等の機能を有することなどが条件とされているものがあるとの事実が認められる。これによれば,本件書換制限措置がされている原告電子部品について,被告電子部品と取り 替えることなく,トナー残量が「?」と表示される再生品を製造,販売等した場合,このような条件を課す公的機関による入札において当該再生品が入札条件を満たす可能性は低いというべきである。 この点について,原告は,上記の入札条件は,あらゆる点で純正品と同等の機能を有することまで求める趣旨ではなく,又は定型的な条件にすぎ ずメモリの書換えが制限されていることを想定したものではないと主張 て,原告は,上記の入札条件は,あらゆる点で純正品と同等の機能を有することまで求める趣旨ではなく,又は定型的な条件にすぎ ずメモリの書換えが制限されていることを想定したものではないと主張 する。しかし,トナー残量が正確に表示されない再生品が「純正品と同等の機能」を有するということはできず,また,電子部品のメモリの情報を確実に書き換えるという条件が定型的なものであるとしても,他の手段により電子部品のメモリの情報を書き換えた場合と同様のトナー残量表示をすることが求められる可能性が高いと考えるのが自然である。 したがって,本件書換制限措置により,被告らが官公庁等との取引を継続し得なくなることはあり得ないとの原告の主張は採用し得ない。 カ以上のとおり,本件書換制限措置により,被告らがトナーの残量の表示が「?」であるトナーカートリッジを市場で販売した場合,被告らは,競争上著しく不利益を被ることとなるというべきである。 (4) 本件各特許権の侵害を回避しつつ,競争上の不利益を被らない方策の存否についてア上記(3)のとおり,被告らは,原告製プリンタのうち,本件書換制限措置がされていない機種に適合するトナーカートリッジについて,トナー残量が「?」と表示される製品を販売するのではなく,電子部品のメモリを書 き換え,トナー残量の表示をすることができるようにした上で販売しており,本件書換制限措置がされているC830及びC840シリーズ機種についても,同措置がとられていなければ,同様にメモリを書き換えることにより再生品を製造,販売していたものと推認される。 本件書換制限措置は,原告製プリンタのうち,同各シリーズについて, 被告らによるこうした従前の対応を採り得なくするものであ ることにより再生品を製造,販売していたものと推認される。 本件書換制限措置は,原告製プリンタのうち,同各シリーズについて, 被告らによるこうした従前の対応を採り得なくするものであるが,被告らは,これにより競争上の不利益を被ることなく特許権侵害を回避することが困難な状況に置かれたと主張するのに対し,原告は,被告電子部品の構造を工夫するなどして,本件各特許権の侵害を回避することは可能であると主張する。 イそこで,まず,前提として,被告らが従来行っていた原告電子部品のメ モリの書換行為が本件各特許権を侵害するかどうかについて検討する。 (ア) インクタンク事件最高裁判決は,譲渡済みの特許製品について加工等がされた場合の特許権侵害の成否について,「特許権の消尽により特許権の行使が制限される対象となるのは,飽くまで特許権者等が我が国において譲渡した特許製品そのものに限られるものであるから,特許権者 等が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,特許権を行使することが許されるというべきである。そして,上記にいう特許製品の新たな製造に当たるかどうかについては,当該特許製品の属性, 特許発明の内容,加工及び部材の交換の態様のほか,取引の実情等も総合考慮して判断するのが相当であり,当該特許製品の属性としては,製品の機能,構造及び材質,用途,耐用期間,使用態様が,加工及び部材の交換の態様としては,加工等がされた際の当該特許製品の状態,加工の内容及び程度,交換された部材の耐用期間,当該部材の特許製品中に おける技術的機能及び経済的価値が考慮の対象 が,加工及び部材の交換の態様としては,加工等がされた際の当該特許製品の状態,加工の内容及び程度,交換された部材の耐用期間,当該部材の特許製品中に おける技術的機能及び経済的価値が考慮の対象となるというべきである。」と判示する。 (イ) これを本件についてみると,本件各発明のうち,例えば,本件各発明1は,前記第4の1のとおり,情報記憶装置の基板に形成された穴部に,画像形成装置本体の突起部に形成された設置用の本体側端子に係合す るアース端子を形成した上,当該穴部を複数の金属板のうち2つの金属板の間に挟まれる位置に配設することにより,情報記憶装置に電気的な破損が生じにくくなるとともに,端子の本体側端子に対する平行度のずれを最低限に抑えるようにするものであり,画像形成装置本体(プリンタ)に対して着脱可能に構成された着脱可能装置(トナーカートリッジ) に設置される情報記憶装置(電子部品)の物理的な構造や部品の配置に 関する発明であるということができる。また,本件各発明2及び3も,同様に情報記憶装置の物理的構造や部品の配置に関する発明である。 これに対し,被告らが行っている原告電子部品のメモリの書換えは,情報記憶装置の物理的構造等に改変を加え,又は部材の交換等をするものではなく,情報記憶装置の物理的な構造はそのまま利用した上で,同 装置に記録された情報の書換えを行うにすぎないので,当該書換えにより原告電子部品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと評価することはできない。 (ウ) そうすると,原告電子部品のメモリを書き換える行為は本件各特許権を侵害するものではないというべきである。 ウ原告は,原告プリンタに使用可能な電子部品の製造等に当たっては,原告プリンタ側の形状に合う構造 告電子部品のメモリを書き換える行為は本件各特許権を侵害するものではないというべきである。 ウ原告は,原告プリンタに使用可能な電子部品の製造等に当たっては,原告プリンタ側の形状に合う構造であれば足りるので,被告電子部品の構成を工夫するなどの他の手段により本件各特許権への抵触を回避することが可能であると主張する。 しかし,本件各発明に係る情報記憶装置は,画像形成装置本体(プリン タ)に対して着脱可能に構成された着脱可能装置(トナーカートリッジ)に搭載されるものであり,当該情報記憶装置に形成された穴部を介して,画像形成装置本体の突起部と係合するものであるから,被告製品の構成や形状は,適合させる原告プリンタの構成や形状に合わさざるを得ず,その設計上の自由度は相当程度制限されると考えられる。 実際のところ,原告プリンタに関し,リサイクル事業者によって販売されている再生品は,いずれも電子部品を交換しており(乙2,37),その構造自体を本件各特許権の侵害を回避するような態様で変更している製品が存在することを示す証拠は存在しない。被告らは,本件各特許権の侵害を回避するため,被告電子部品の設計を変更したが,設計変更後の被告 電子部品がなお本件各発明の技術的範囲に属することは前記判示のとおり であり,その他の方法により本件各特許の侵害を回避することが可能であることをうかがわせる証拠は存在しない。 エ以上によれば,被告らをはじめとするリサイクル事業者が,現状において,本件書換制限措置のされた原告製プリンタについて,トナー残量表示がされるトナーカートリッジを製造,販売するには,原告電子部品を被告 電子部品に取り替えるほかに手段はないと認められる。そして,本件各特許権に基づき電子部品を取り替えた被告 いて,トナー残量表示がされるトナーカートリッジを製造,販売するには,原告電子部品を被告 電子部品に取り替えるほかに手段はないと認められる。そして,本件各特許権に基づき電子部品を取り替えた被告製品の販売等が差し止められることになると,被告らはトナー残量が「?」と表示される再生品を製造,販売するほかないが,そうすると,前記(3)のとおり,被告らはトナーカートリッジ市場において競争上著しく不利益を受けることとなるというべきで ある。 (5) 本件書換制限措置の必要性及び合理性について原告は,本件書換制限措置について,①トナーの残量表示の正確性の担保,②電子部品のメモリに書き込まれたデータの製品開発及び品質管理・改善への活用,③●(省略)●の観点から行っており,このような措置を行うこと は必要かつ合理的であると主張するので,以下,検討する。 ア本件書換制限措置の必要性及び合理性全般について原告の主張する上記①~③の各点について検討するに当たり,本件書換制限措置の必要性及び合理性全般に関し,以下の点を指摘することができる。 (ア) 本件書換制限措置がされた原告製プリンタ(C830及びC840シリーズ)のうち,先行して販売されたのはC830シリーズであるが,その開発時点においては,既に原告製プリンタの他機種に適合するトナーカートリッジの電子部品のメモリを書き換えた再生品が市場に流通していたものと推認される。 ところが,上記C830シリーズの原告製プリンタの開発時点におい て,メモリの書換えをした再生品による具体的な弊害が生じており,その対応が必要とされていたことや,この点が同プリンタの開発に当たって考慮されていたことをうかがわせる証拠は存在しない。原 て,メモリの書換えをした再生品による具体的な弊害が生じており,その対応が必要とされていたことや,この点が同プリンタの開発に当たって考慮されていたことをうかがわせる証拠は存在しない。原告の主張する上記①~③の各点については後に検討するが,これらの点とC830シリーズの開発を具体的に結びつける証拠は本件において提出されてい ない。 (イ) また,本件書換制限措置が,本件各特許権に係る技術の保護やその侵害防止等と関連性を有しないことは当事者間に積極的な争いはない。そうすると,本件書換制限措置を講じる必要性及び合理性は,本件各特許の実施品であるC830及びC840シリーズ用トナーカートリッジ にとどまらず,C830及びC840シリーズ以外の機種用トナーカートリッジについても同様に妥当すると考えられるが,同各シリーズ以外の機種については同様の措置は講じられていない。 原告は,その理由について,●(省略)●と主張するが,その説明は抽象的であり,本件各特許の権利行使の可能性を考慮して上記各シリー ズの機種についてのみ本件書換制限措置がされたのではないかとの疑念を払拭することはできない。 なお,この点に関し,原告は,C830及びC840シリーズ以外の原告製プリンタ用カートリッジのメモリについても書換えに一定の制約を付してきたと主張するが,本件書換制限措置と同様の措置がされ,ト ナー残量表示が制限されている他の原告製プリンタが存在すると認めるに足りる証拠はない。 (ウ) 加えて,本件書換制限措置は,純正トナーカートリッジを原告製プリンタに装着して印刷をする上で直接的に必要となる措置ではなく,使用済みとなったトナーカートリッジについて,リサイクル事業者が再生品 を製造,販売するために電子部品 ナーカートリッジを原告製プリンタに装着して印刷をする上で直接的に必要となる措置ではなく,使用済みとなったトナーカートリッジについて,リサイクル事業者が再生品 を製造,販売するために電子部品のメモリを書き換える段階でその効果 を奏するものである。すなわち,本件書換制限措置は,特許実施品である電子部品が組み込まれたトナーカートリッジについて,譲渡等により対価をひとたび回収した後の自由な流通や利用を制限するものであるということができる。 この点に関し,被告らは,トナーカートリッジの譲渡後の流通を妨げ ることはできないとして,本件各特許権について消尽が成立すると主張するが,「特許権の消尽により特許権の行使が制限される対象となるのは,飽くまで特許権者等が我が国において譲渡した特許製品そのものに限られる」(インクタンク事件最高裁判決)と解されるので,特許製品である「情報記憶装置」そのものを取り替える行為については,消尽は 成立しないと解される。 しかし,譲渡等により対価をひとたび回収した特許製品が市場において円滑に流通することを保護する必要性があることに照らすと,特許製品を搭載した使用済みのトナーカートリッジの円滑な流通や利用を特許権者自身が制限する措置については,その必要性及び合理性の程度が, 当該措置により発生する競争制限の程度や製品の自由な流通等の制限を肯認するに足りるものであることを要するというべきである。 以上を踏まえ,原告が本件書換制限措置の必要性及び合理性の根拠として挙げる上記①~③の各点について,順次検討する。 イトナーの残量表示の正確性担保について 原告は,本件書換制限措置をした理由として,●(省略)●からで して挙げる上記①~③の各点について,順次検討する。 イトナーの残量表示の正確性担保について 原告は,本件書換制限措置をした理由として,●(省略)●からであると主張する。 (ア) しかし,●(省略)●であることから,使用済みの原告製品にトナーを再充填して原告製プリンタにそのまま装着した場合に,そのトナー残量を「?」と表示することに合理性があるとしても,そのことは,その メモリの書換えを制限する措置を講じることにより,当該第三者が自ら の責任でトナーの残量を表示するのを妨げることまでも正当化するものではない。 本件書換制限措置は,リサイクル事業者がメモリの書換えにより,自らの責任でトナー残量を表示することを制限するものであるから,その必要性及び合理性を是認するには,そのような措置をとらないと,トナ ー残量が不正確なトナーカートリッジが市場に流通してユーザーの利益を害し,ひいては,原告製品への信頼が損なわれる具体的なおそれが存在することを要するというべきである。 (イ) 原告は,再生品を含む第三者のトナーカートリッジには,製品ごとに印刷枚数に大きなばらつきがあるので,再生事業者が「?」以外のトナ ー残量表示をできないようにしないと,トナー残量が不正確なトナーカートリッジが市場に流通してユーザーの利益を害すると主張し,再生品の印刷可能枚数が純正品と大きく違うことを示す具体例として,①同一顧客から回収した特定の第三者メーカー(E&Qマーク付きのもの)の同一種類の再生品2つを分析したところ,一方の製品は純正品の73. 9%しか印刷できなかったのに対し,他方の製品は純正品の141.8%も印刷できたこと(甲39の添付資料1),②同一メーカーのカラー 種類の再生品2つを分析したところ,一方の製品は純正品の73. 9%しか印刷できなかったのに対し,他方の製品は純正品の141.8%も印刷できたこと(甲39の添付資料1),②同一メーカーのカラートナーカートリッジの印刷枚数は,純正品の約75%~88%しか印刷できなかったこと(同添付資料2),③他のメーカー(E&Qマークのないもの)の再生品の中には,純正品の60%しか印刷できないものもあ ったこと(同添付資料3)などを指摘する。 a しかし,上記①~③の調査は,対象となるメーカーの数は2つにすぎず,調査の対象となった再生品の数も少数であるので,その分析結果から,当該メーカーの再生品のトナー充填量が純正品と大きく異なり,その残量表示が一般的に不正確であると推認することはできず, まして,市場に流通する他のメーカーも含めた再生品のトナーカート リッジ全般について,そのトナーの充填量が純正品の充填量と大きく異なり,その残量表示が不正確であると推認することはできない。 b また,トナーカートリッジの再生品については,E&Qマーク等の認証基準が設定され,このうち,E&Qマークについては,前記(1)キのとおり,第三者審査機関が再生品の製造工場に出向き,所定の環境 管理基準及び品質管理基準に基づく審査を行い,これに適合すると判定された製品に付されるものであり,品質関連基準には,印刷枚数が純正比90%以上であるという項目が含まれると認められる(乙28)。 このように,トナーカートリッジの再生品については,認証基準の設定により品質の確保が図られているところ,本件証拠を総合しても, かかる認証を得たトナーカートリッジの再生品について,トナー残量表示が不正確な製品が多く流通しており,メモ いては,認証基準の設定により品質の確保が図られているところ,本件証拠を総合しても, かかる認証を得たトナーカートリッジの再生品について,トナー残量表示が不正確な製品が多く流通しており,メモリの書換制限により同表示を行うことができないようにしないと原告製品に対する信頼を維持することが困難であるなどの事情が存在するとは認められない。 c さらに,E&Qマーク等を得ている再生品については,同マークが 製品に貼付されているので(乙28),当該再生品を使用するユーザーは,通常,それが再生品であることを認識して購入,使用するものと考えられる。このため,仮に,E&Qマーク等を得ている再生品のトナー残量表示が不正確であるとしても,それによりユーザーの信頼を失うのは,当該再生品を製造,販売したリサイクル事業者自身であ って,それによって,本件書換制限措置を必要とするほどに原告製品の信頼が損なわれるとは認め難い。 d もとより,市場で流通しているトナーカートリッジの再生品の中には,認証を得たもののみならず,認証マークを貼付していないものも存在し,こうした製品については,ユーザーが純正品と誤認すること も考えられなくはない。しかし,こうした認証を得ていない再生品に ついて,トナー残量表示が不適切なトナーカートリッジが現に市場において多数流通するなどして,原告製品の信頼性に対して影響を及ぼしていると認めるに足りる証拠は存在しない。 e なお,前記(1)イのとおり,●(省略)●ところ,純正品である原告製品においても,印刷可能枚数と実際の印刷枚数に一定の乖離が生じ ることは,前記(1)ウのとおりである。このようなトナー残量の算出方法等に照らすと,リサイクル事業者が,原告製品に充填されるトナーの規 おいても,印刷可能枚数と実際の印刷枚数に一定の乖離が生じ ることは,前記(1)ウのとおりである。このようなトナー残量の算出方法等に照らすと,リサイクル事業者が,原告製品に充填されるトナーの規定量と同量のトナーを再充填すれば,印刷可能枚数の残量を純正品と同程度の正確性をもって表示することは可能であると認められる。 (ウ) 以上によれば,本件書換制限措置がされた当時はもとより,本訴提起 時点においても,トナーカートリッジの再生品市場にトナー残量表示が不正確な製品が多く流通しており,そのメモリの書換えを制限することにより「?」以外の残量表示を行うことができないようにしないと原告製品に対する信頼を維持することが困難であるなど,本件書換制限措置を行うことを正当化するに足りる具体的な必要性があったと認めるこ とはできない。 したがって,本件書換制限措置は,トナーの残量表示の正確性担保のための装置としては,その必要性の範囲を超え,合理性を欠くものであるというべきである。 ウ品質管理・改善への活用について 原告は,具体的事例(事例1~7)を挙げつつ,電子部品のメモリに記録されたデータを製品開発や品質管理・改善に活用しており,純正品以外の製品のデータが混入することを防ぐため,本件書換制限措置を行う必要性があると主張する。 (ア) しかし,トナーカートリッジの電子部品のメモリに記録された情報が, 製品の品質・性能の向上や新製品の開発等に有用であるとしても,純正 品のメモリに記録された情報を解析することによりその目的は達成できるのであり,そのことから直ちに第三者がその書換えを制限することまでが正当化されるわけではない。本件書換制限措置が必要かつ合理的であるというためには,第三者が当該メモリに とによりその目的は達成できるのであり,そのことから直ちに第三者がその書換えを制限することまでが正当化されるわけではない。本件書換制限措置が必要かつ合理的であるというためには,第三者が当該メモリに記録された情報を書き換えた再生品が市場に流通することにより製品の品質等の向上や新製品 の開発に支障が生じており,又は,支障が生じるおそれが存在することを要する。 (イ) 原告は,本件書換制限措置を行う必要性及び合理性を基礎付ける具体的な事例として事例1~7を挙げるが,以下のとおり,同各事案は,第三者が当該メモリに記録された情報を書き換えることにより製品の品 質等の向上や新製品の開発に支障が生じており,又は,支障が生じるおそれが存在することを示すものではない。 a 事例1について●(省略)●しかし,この事例は,●(省略)●であって,トナーカートリッジの 電子部品のメモリに記録された情報が,製品の品質改善等に有用であることを示すものであるとしても,第三者が当該メモリに記録された情報を書き換えることにより製品の品質の向上等に支障が生じていることを具体的に示す事案ではなく,同事案からそのようなおそれが存在すると認めることもできない。 b 事例2について●(省略)●この事例も,●(省略)●であって,●(省略)●を示すものであるとしても,第三者が当該メモリに記録された情報を書き換えることにより製品の品質の向上等に支障が生じていることを具体的に示す事案 ではなく,同事案からそのようなおそれが存在すると認めることもで きない。 c 事例3について●(省略)●この事例も,●(省略)●であって,トナーカートリッジの電子部品のメモリに記録された情報が,●(省略)●との事 ることもで きない。 c 事例3について●(省略)●この事例も,●(省略)●であって,トナーカートリッジの電子部品のメモリに記録された情報が,●(省略)●との事実は認められるも のの,第三者が当該メモリに記録された情報を書き換えることにより製品の品質の向上等に支障が生じていることを具体的に示す事案ではなく,同事案からそのようなおそれが存在すると認めることもできない。 d 事例4について ●(省略)●この事例も,●(省略)●であって,トナーカートリッジの電子部品のメモリに記録された情報が,●(省略)●は認められるものの,第三者が当該メモリに記録された情報を書き換えることにより製品の品質の向上等に支障が生じていることを具体的に示す事案ではなく,同事 案からそのようなおそれが存在すると認めることもできない。 e 事例5について●(省略)●この事例は,トナーカートリッジが使用される前に問題が明らかになった事案であると推察され,第三者が使用済みのトナーカートリッ ジの電子部品のメモリに記録された情報を書き換えることにより製品の品質の向上等に支障が生じていることを具体的に示す事案ではなく,同事案からそのようなおそれが存在すると認めることもできない。 f 事例6について●(省略)● この事例も,●(省略)●であって,トナーカートリッジの電子部品 のメモリに記録された情報が,●(省略)●であることを示すものであるとしても,第三者が当該メモリに記録された情報を書き換えることにより製品の品質の向上等に支障が生じていることを具体的に示す事案ではなく,同事案からそのようなおそれが存在すると認めることもできない。 これに対し メモリに記録された情報を書き換えることにより製品の品質の向上等に支障が生じていることを具体的に示す事案ではなく,同事案からそのようなおそれが存在すると認めることもできない。 これに対し,●(省略)●と主張する。 しかし,原告の顧客からの指摘に基づいて調査を行う場合には,当該顧客からの説明により,トナーカートリッジに再生品が含まれているかどうかを把握することが可能である。さらに,仮に,その一部に再生品が含まれている場合であっても,E&Qマークなどの認証を受 けている場合にはトナーカートリッジの外観から再生品かどうかを判別し得るものと考えられる。 もとより,原告が●(省略)●を回収した場合において,当該顧客の使用するトナーカートリッジの一部に認証を得ていない再生品が含まれることも可能性としてはあり得るが,●(省略)●を回収して不具 合の原因調査を行う必要がある場合はどの程度あるかは証拠上明らかではなく,その中に外観からは再生品とは判別できないものが含まれていて,不具合の原因調査に現に支障が生じていると認めるに足りる証拠もない(上記事案においても,顧客から回収したのは全て原告の純正品であったと考えられる。)。 そうすると,原告が主張する本件書換制限措置の必要性は抽象的な可能性にとどまるものであり,第三者がトナーカートリッジの電子部品のメモリに記録された情報を書き換えることにより原告の原因調査等に支障が生じていることや,そのおそれが存在することを示すものではないので,上記事案をもって,本件書換制限措置が必要かつ合理 的と認めることはできない。 g 事例7について●(省略)●原告は,同事例のように,●(省略)●と主張する。 しかし,上記事例は,その原因の多くが● 理 的と認めることはできない。 g 事例7について●(省略)●原告は,同事例のように,●(省略)●と主張する。 しかし,上記事例は,その原因の多くが●(省略)●ことにあったというのであるから,当該事例において発生した問題への対応として は,●(省略)●を実際に調査したものと考えられ,使用されていたトナーカートリッジも純正品であったと考えられる。このような事例においては,顧客からの説明やトナーカートリッジの外観の確認により,当該トナーカートリッジが再生品かどうかの区別をすることができることは前記判示のとおりである。 また,原告の主張によれば,当該事例を契機にして,●(省略)●であるが,その際にリサイクル事業者によってメモリが書き換えられたトナーカートリッジが混入したため,調査・分析に支障が生じたことを具体的に示す証拠は提出されていない。 そうすると,事例7についても,原告が主張する本件書換制限措置 の必要性は抽象的な可能性にとどまるものであり,第三者が当該メモリに記録された情報を書き換えることにより製品の品質の向上等に支障が実際に生じていることや,そのおそれが存在することを示すものではないので,上記事案をもって,本件書換制限措置が必要かつ合理的と認めることはできない。 h なお,原告は,●(省略)●ことを指摘し,このような場合には,電子部品に記録されたデータの真偽の判断は困難であると主張するが,当該事例は,●(省略)●であり,第三者が当該メモリに記録された情報を書き換えることにより支障が生じていることを示すものではない。 i 以上のとおり,事例1~7は,トナーカートリッジの電子部品のメ モリに記録された情報が製品の品質改善等に有用であることを示すに 換えることにより支障が生じていることを示すものではない。 i 以上のとおり,事例1~7は,トナーカートリッジの電子部品のメ モリに記録された情報が製品の品質改善等に有用であることを示すに とどまり,あるいは,本件書換制限措置の必要性を抽象的に主張するにすぎないものであって,同措置を行う必要性及び合理性を具体的に示すものではないので,これらの事例をもって,同措置が必要かつ合理的であると認めることはできない。 (ウ) したがって,原告製品の開発や品質管理・改善のために,トナーカー トリッジの電子部品のメモリに記録された情報を活用することは有用であるとしても,そのためにリサイクル事業者がメモリの書換えをすることを制限することは,その必要性及び合理性がないか,その範囲を超えるものであるというべきである。 エ ●(省略)●について (ア) ●(省略)●の必要性原告は,●(省略)●と主張する。 しかし,本件書換制限措置による競争制限の程度の大きさを考えると,●(省略)●のために,当該情報のみならず,トナーカートリッジの電子部品のメモリの書換え自体を制限することは,その必要性の範囲を超 えるものであるというべきである。 また,●(省略)●トナーカートリッジについて,そもそも,リサイクル事業者がこれを書き換えているか否か明らかではない上,原告製のトナーカートリッジの電子部品のメモリに記録されたこれらの情報をリサイクル事業者が消去したために●(省略)●ことを具体的に示す証 拠は存在しない。 (イ) ●(省略)●原告は,●(省略)●ことから,原告製品のメモリの書換えを制限する必要があると主張する。 しかし,●(省略)●を書き換えると,●(省略)●するプリンタ用 は存在しない。 (イ) ●(省略)●原告は,●(省略)●ことから,原告製品のメモリの書換えを制限する必要があると主張する。 しかし,●(省略)●を書き換えると,●(省略)●するプリンタ用 のトナーカットリッジとして再生品を使用することができなくなるお それがあることを考慮すると,リサイクル事業者が●(省略)●を書き換えることは想定できず(乙46),実際上も,原告製のトナーカートリッジの電子部品のメモリに記録された●(省略)●ことを具体的に示す証拠は存在しない。 (ウ) したがって,原告が主張する●(省略)●については,トナーカート リッジの電子部品のメモリの書換えを行うことにより支障が生じ又はそのおそれが生じているとは認められず,その確保のために本件書換制限措置をすることが必要かつ合理的であるということはできない。 (6) 本件各請求が権利濫用に当たるかどうかについてア差止請求について 上記(1)ないし(5)によれば,本件各特許権の権利者である原告は,使用済みの原告製品についてトナー残量が「?」と表示されるように設定した上で,本件各特許の実施品である原告電子部品のメモリについて,十分な必要性及び合理性が存在しないにもかかわらず本件書換制限措置を講じることにより,リサイクル事業者である被告らが原告電子部品のメモリの 書換えにより本件各特許の侵害を回避しつつ,トナー残量の表示される再生品を製造,販売等することを制限し,その結果,被告らが当該特許権を侵害する行為に及ばない限り,トナーカートリッジ市場において競争上著しく不利益を受ける状況を作出した上で,当該各特許権の権利侵害行為に対して権利行使に及んだものと認められる。 このような原告の一連の行為は,これを トナーカートリッジ市場において競争上著しく不利益を受ける状況を作出した上で,当該各特許権の権利侵害行為に対して権利行使に及んだものと認められる。 このような原告の一連の行為は,これを全体としてみれば,トナーカートリッジのリサイクル事業者である被告らが自らトナーの残量表示をした製品をユーザー等に販売することを妨げるものであり,トナーカートリッジ市場において原告と競争関係にあるリサイクル事業者である被告らとそのユーザーの取引を不当に妨害し,公正な競争を阻害するものとして, 独占禁止法(独占禁止法19条,2条9項6号,一般指定14項)と抵触 するものというべきである。 そして,本件書換制限措置による競争制限の程度が大きいこと,同措置を行う必要性や合理性の程度が低いこと,同措置は使用済みの製品の自由な流通や利用等を制限するものであることなどの点も併せて考慮すると,本件各特許権に基づき被告製品の販売等の差止めを求めることは,特許法 の目的である「産業の発達」を阻害し又は特許制度の趣旨を逸脱するものとして,権利の濫用(民法1条3項)に当たるというべきである。 イ損害賠償請求について差止請求が権利の濫用として許されないとしても,損害賠償請求については別異に検討することが必要となるが,上記ア記載の事情に加え,原告 は,本件各特許の実施品である電子部品が組み込まれたトナーカートリッジを譲渡等することにより既に対価を回収していることや,本件書換制限措置がなければ,被告らは,本件各特許を侵害することなく,トナーカートリッジの電子部品のメモリを書き換えることにより再生品を販売していたと推認されることなども考慮すると,本件においては,差止請求と同 様,損害賠償請求についても権利の することなく,トナーカートリッジの電子部品のメモリを書き換えることにより再生品を販売していたと推認されることなども考慮すると,本件においては,差止請求と同 様,損害賠償請求についても権利の濫用に当たると解するのが相当である。 ウしたがって,本訴において,原告が,被告らに対して,本件各特許権に基づき,被告製品の製造,販売等の差止め及び損害賠償等の請求をすることは,いずれも権利の濫用に当たり許されないものというべきである。 5 結論 以上によれば,その余の点につき判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 佐藤達文 裁判官 三井大有 裁判官今野智紀は,転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官 佐藤達文 (別紙1)被告製品目録(1)下記図1及び「第2 構造の説明」に記載された構造の電子部品(「被告電子部品」)が,下記図2及び図3並びに「第2 構造の説明」に記載されたように搭載された,下記図2及び図3並びに「第2 構造の説明」に記載された構造の トナーカートリッジ製品(「被告トナーカートリッジ製品」)。 第1 被告製品に関する図面の説明図1は,被告電子部品を示すものであり,図1(a)は被告電子部品の基板の表面を示す図であり,図1(b)は被告電子部品の基板の側面を示す図であ リッジ製品」)。 第1 被告製品に関する図面の説明図1は,被告電子部品を示すものであり,図1(a)は被告電子部品の基板の表面を示す図であり,図1(b)は被告電子部品の基板の側面を示す図であり,図1(c)は 被告電子部品の基板の裏面を示す図である。 図2は,被告トナーカートリッジ製品を示すものであり,図2(a)~図2(d)は被告トナーカートリッジ製品外観を示す図であって,図2(a)は被告トナーカートリッジ製品の正面図,図2(b)は90°回転させた平面図であり,図2(c)①及び図2(c)②は左側面図(被告電子部品が被告トナーカートリッジ製品に搭載されてい る部分の側面図。図2(c)①または図2(c)②の2種類の形状がある。),図2(d)は右側面図である。ブラック,シアン,マゼンタ及びイエローの4色それぞれに対応する形状の被告トナーカートリッジ製品があり,色の種類によって,ブラックは図2(a)B,シアンは図2(a)C,マゼンタは図2(a)M,イエローは図2(a)Y というように符号を付している。 図3は,被告電子部品が被告トナーカートリッジ製品に搭載されている部分(斜視図)の拡大図であり,図3①は左側面が図2(c)①の場合の拡大図であり,図3②は左側面が図2(c)②の場合の拡大図である。 〔図1(a)〕 〔図1(b)〕 〔図1(c)〕 図1 被告電子部品 〔図2(a)B〕 〔図2(b)B〕 〔図2(c)①B〕 〔図2(d)B〕 〔図2(c)②B〕 図2 被告トナーカートリッジ製品(ブラック) 図2(c)①B 図2(d)B 図2 被告トナーカートリッジ製品(ブラック) 図2(a)C 図2(b)C 図2(c)①C 図2(d)C 図2(c)②C 図2 被告トナーカートリッジ製品(シアン) 図2(a)M 図2(b)M 図2(c)①M 図2(d)M 図2(c)②M 図2 被告トナーカートリッジ製品(マゼンタ) 図2(a)Y 図2(b)Y 図2(c)①Y 図2(d)Y 図2(c)②Y 図2 被告トナーカートリッジ製品(イエロー) 図3① 図3② 図3 被告電子部品が被告トナーカートリッジ製品に搭載されている部分(斜視図)の拡大図(全色共通) 第2 構造の説明 1.被告トナーカートリッジ製品には,図2及び図3に示すように,被告電子部品が搭載されている(ただし,被告電子部品を保持する保持部材100の形状並びに保持部材100に使用される接着剤の位置,数及び形状は問わない。)。 2.被告電子部品は,以下の構造を有している。 (1)被告電子部品は,図1(a)及び図1(c)に示すように,穴部12を有する基板10を有している(ただし, の位置,数及び形状は問わない。)。 2.被告電子部品は,以下の構造を有している。 (1)被告電子部品は,図1(a)及び図1(c)に示すように,穴部12を有する基板10を有している(ただし,穴部12及び基板10の形状は問わない。)。 穴部12には,アース端子30が形成されている。 (2)被告電子部品には,図1(a)に示すように,基板10の表面に電子部品側端子として,クロック信号用端子20,アース端子30,シリアルデータ用端 子40,及び,電源用端子50がこの順に配置されている(ただし,電子部品側端子の形状,サイズ及び端子間の間隔は問わない。)。 (3)被告電子部品には,図1(c)に示すように,基板10の裏面に,原告が製造・販売するプリンタまたは複写機と被告トナーカートリッジ製品との間で通信される情報が記憶されるメモリ部60が穴部12よりも下方に設けられてい る(ただし,メモリ部60の形状及び基板10の裏面上の位置は問わない。)。 以上 (別紙2)被告製品目録(2)下記図1及び「第2 構造の説明」に記載された構造の電子部品(「被告電子部品」)が,下記図2及び図3並びに「第2 構造の説明」に記載されたように搭載された,下記図2及び図3並びに「第2 構造の説明」に記載された構造のトナー カートリッジ製品(「被告トナーカートリッジ製品」)。 第1 被告製品に関する図面の説明図1は,被告電子部品を示すものであり,図1(a)は被告電子部品の基板の表面を示す図であり,図1(b)は被告電子部品の基板の側面を示す図であり,図1(c)は 被告電子部品の基板の裏面を示す図である。 図2は,被告トナーカートリッジ製品を示すものであり,図2(a)~図2(d)は被告トナーカートリッジ製品 品の基板の側面を示す図であり,図1(c)は 被告電子部品の基板の裏面を示す図である。 図2は,被告トナーカートリッジ製品を示すものであり,図2(a)~図2(d)は被告トナーカートリッジ製品外観を示す図であって,図2(a)は被告トナーカートリッジ製品の正面図,図2(b)は90°回転させた平面図であり,図2(c)①及び図2(c)②は左側面図(被告電子部品が被告トナーカートリッジ製品に搭載されてい る部分の側面図。図2(c)①または図2(c)②の2種類の形状がある。),図2(d)は右側面図である。ブラック,シアン,マゼンタ及びイエローの4色それぞれに対応する形状の被告トナーカートリッジ製品があり,色の種類によって,ブラックは図2(a)B,シアンは図2(a)C,マゼンタは図2(a)M,イエローは図2(a)Y というように符号を付している。 図3は,被告電子部品が被告トナーカートリッジ製品に搭載されている部分(斜視図)の拡大図であり,図3①は左側面が図2(c)①の場合の拡大図であり,図3②は左側面が図2(c)②の場合の拡大図である。 〔図1(a)〕 〔図1(b)〕 〔図1(c)〕 図1 被告電子部品 〔図2(a)B〕 〔図2(b)B〕 〔図2(c)①B〕 〔図2(d)B〕 〔図2(c)②B〕 図2 被告トナーカートリッジ製品(ブラック) 〔図2(a)C〕 〔図2(b)C〕 〔図2(c)①C〕 〔図2(d)C〕 〔図2( 図2(a)C 図2(b)C 図2(c)①C 図2(d)C 図2(c)②C 図2 被告トナーカートリッジ製品(シアン) 図2(a)M 図2(b)M 図2(c)①M 図2(d)M 図2(c)②M 図2 被告トナーカートリッジ製品(マゼンタ) 図2(a)Y 図2(b)Y 図2(c)①Y 図2(d)Y 図2(c)②Y 図2 被告トナーカートリッジ製品(イエロー) 図3① 図3② 図3 被告電子部品が被告トナーカートリッジ製品に搭載されている部分(斜視図)の拡大図(全色共通) 第2 構造の説明 1.被告トナーカートリッジ製品には,図2及び図3に示すように,被告電子部品が搭載されている(ただし,被告電子部品を保持する保持部材100の形状並びに保持部材100に使用される接着剤の位置,数及び形状は問わない。)。 2.被告電子部品は,以下の構造を有している。 (1)被告電子部品は,図1(a)及び図1(c)に示すように,穴部12を有する基板10を有している(ただし,穴部12及び基板10の形状は問わない。)。穴部12には,アース端子30が形成されている。 (2)被告電子部品には,図1(a)に示すように,基板10の表面に電子部品側端子とし を有している(ただし,穴部12及び基板10の形状は問わない。)。 穴部12には,アース端子30が形成されている。 (2)被告電子部品には,図1(a)に示すように,基板10の表面に電子部品側端子として,クロック信号用端子20,アース端子30,シリアルデータ用端 子40,及び,電源用端子50がこの順に配置されている(ただし,電子部品側端子の形状,サイズ及び端子間の間隔は問わない。)。 (3)被告電子部品には,図1(c)に示すように,基板10の裏面に,原告が製造・販売するプリンタまたは複写機と被告トナーカートリッジ製品との間で通信される情報が記憶されるメモリ部60が穴部12よりも下方に設けられてい る(ただし,メモリ部60の形状及び基板10の裏面上の位置は問わない。)。 (別紙3)被告電子部品の構成 1 本件各発明1に対応させた構成(1) 本件発明1―1 1-1a 被告電子部品は,原告製品プリンタに対して着脱可能に構成された被告トナーカートリッジ製品に設置されるメモリ装置である。 1-1b 被告電子部品は,原告製品プリンタと被告トナーカートリッジ製品との間で通信される情報が記憶されるメモリ部を備える。 1-1c 被告電子部品は,原告製品プリンタに設けられたプリンタ側端子 に接触して,原告製品プリンタとの間で情報を通信するための電子部品側端子を備える。 1-1d 被告電子部品は,メモリ部と電子部品側端子とが保持されるとともに,原告製品プリンタに設けられた突起部が挿入される穴部が形成された基板を備える。 1-1e 電子部品側端子は,短手方向に隙間を空けて並設された金属製の板状の複数の端子である。 1-1f1 基板に設けられた穴部には,原告製品プリンタの突起部に形成 成された基板を備える。 1-1e 電子部品側端子は,短手方向に隙間を空けて並設された金属製の板状の複数の端子である。 1-1f1 基板に設けられた穴部には,原告製品プリンタの突起部に形成された接地用のプリンタ側アース端子に接触するアース端子が形成されている。 1-1f2 基板に設けられた穴部は,金属製の板状の3つの端子のうち2つの端子の間に挟まれる位置に配設されている。 1-1g 被告電子部品は,メモリ装置である。 (2) 本件発明1-21-2h アース端子は,少なくとも,穴部の内径部に形成されている。 1-2i 被告電子部品は,上記1-1a乃至1-1gの構成を有するメモリ装置である。 (3) 本件発明1-61-6j 原告製品プリンタのプリンタ側端子は金属部材端子で構成されている。 1-6k 金属製の板状の複数の端子は,プリンタ側クロック信号用端子に接触した状態でシリアルクロックが入力されるクロック信号用端子と,プリンタ側シリアルデータ用端子に接触した状態でシリアルデータが入力/出力されるシリアルデータ用端子と,プリンタ側電源用端子に接触した状態で,電源電圧が入力される電源用端子である。 1-6l 被告電子部品は,上記1-1a乃至1-2iの構成を有するメモリ装置である。 2 本件各発明2に対応させた構成(1) 本件発明2-12-1a 被告電子部品は,原告製品プリンタに対して着脱可能に構成され た被告トナーカートリッジ製品に設置されるメモリ装置である。 2-1b 被告電子部品は,原告製品プリンタに設けられたプリンタ側端子に接触される電子部品側端子を備える。 2-1c 被告電子部品は,原告製品プリンタが備える突起部が挿入される穴部が,形成さ 。 2-1b 被告電子部品は,原告製品プリンタに設けられたプリンタ側端子に接触される電子部品側端子を備える。 2-1c 被告電子部品は,原告製品プリンタが備える突起部が挿入される穴部が,形成された基板を備える。 2-1d1 電子部品側端子は,クロック信号用端子と,2-1d2 シリアルデータ用端子と,2-1d3 電源用端子と,2-1d4 アース端子と,を含む。 2-1e アース端子は,穴部に設けられている。 2-1f 電子部品側端子は,クロック信号用端子,アース端子,シリアルデータ用端子及び電源用端子の順に基板に配置されている。 2-1g 被告電子部品は,メモリ装置である。 (2) 本件発明2-22-2h 被告電子部品は,上記2-1a乃至2-1gの構成を有するメモ リ装置である。 2-2i アース端子は,少なくとも,穴部の内径部に形成されている。 (3) 本件発明2-32-3j 被告電子部品は,上記2-1a乃至2-2iの構成を有するメモリ装置である。 2-3k クロック信号用端子,シリアルデータ用端子及び電源用端子は,金属板からなる。 (4) 本件発明2-42-4l 被告電子部品は,上記2-1a乃至2-3kの構成を有するメモリ装置である。 2-4m クロック信号用端子,シリアルデータ用端子及び電源用端子は,金属パッドからなる。 (5) 本件発明2-252-25a 被告電子部品は,原告製品プリンタに対して着脱可能に構成された被告トナーカートリッジ製品に設置されるメモリ装置である。 2-25b 被告電子部品は,原告製品プリンタに設けられたプリンタ側端子に接触される電子部品側端子を備える。2-25c 被告電子部品は,原告製品プリン ジ製品に設置されるメモリ装置である。 2-25b 被告電子部品は,原告製品プリンタに設けられたプリンタ側端子に接触される電子部品側端子を備える。2-25c 被告電子部品は,原告製品プリンタが備える突起部が挿入される穴部が,形成された基板を備える。 2-25d1 電子部品側端子は,クロック信号用端子と, 2-25d2 シリアルデータ用端子と, 2-25d3 電源用端子と,2-25d4 アース端子と,を含む。 2-25e アース端子は,穴部に設けられている。 2-25f 穴部は,クロック信号用端子とシリアルデータ用端子との間に配置されている。 2-25g 被告電子部品は,メモリ装置である。 (6) 本件発明2-492-49a 被告電子部品は,原告製品プリンタに対して着脱可能に構成された被告トナーカートリッジ製品に設置されるメモリ装置である。 2-49b 被告電子部品は,原告製品プリンタに設けられたプリンタ側端 子に接触される電子部品側端子を備える。 2-49c 被告電子部品は,原告製品プリンタが備える突起部が挿入される穴部が,形成された基板を備える。 2-49d1 電子部品側端子は,シリアルクロックが入力されるクロック信号用端子と, 2-49d2 シリアルデータが入力/出力されるシリアルデータ用端子と,2-49d3 電源電圧が入力される電源用端子と,2-49d4 アース端子と,を含む。 2-49e アース端子は,穴部に設けられている。 2-49f1 穴部に対して,被告電子部品であるメモリ装置が原告製品プ リンタに装着された状態における鉛直方向上方の位置には,シリアルクロックが入力されるクロック信号用端子が設けられている。 2-49f2 鉛直方向下 被告電子部品であるメモリ装置が原告製品プ リンタに装着された状態における鉛直方向上方の位置には,シリアルクロックが入力されるクロック信号用端子が設けられている。 2-49f2 鉛直方向下方の位置には,シリアルデータが入力/出力されるシリアルデータ用端子と,電源電圧が入力される電源用端子 が設けられている。 2-49g 被告電子部品は,メモリ装置である。 3 本件各発明3に対応させた構成(1) 本件発明3-703-70a 原告製品プリンタは,水平方向に突出する突起部を備える。 3-70b 原告製品プリンタは,突起部に設けられた接地用のプリンタ側 アース端子を備える。 3-70c 原告製品プリンタは,突起部と同一方向に突出する一対のリブを備える。 3-70d 被告電子部品は,原告製品プリンタに情報を伝達するためのメモリ装置である。 3-70e 被告電子部品は,原告製品プリンタ側に伝達するための情報を記憶するメモリ部を備えるメモリ装置である。 3-70f 被告電子部品は,突起部が挿入される穴部と,メモリ部と,を備えた基板を備える。 3-70g 被告電子部品は,穴部に形成され,原告製品プリンタの突起部 に形成された接地用のプリンタ側アース端子と接触するアース端子を備える。 3-70h 被告電子部品は,基板の穴部に原告製品プリンタの突起部が挿入された状態において,メモリ部は穴部よりも下方に設けられている。 3-70i 基板は,穴部に突起部が挿入されていく間に,基板の側面であって穴部よりも下方に,一対のリブのうちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備える。 3-70j 被告電子部品は,メモリ装置である。 (2) 本件発明3-77 であって穴部よりも下方に,一対のリブのうちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備える。 3-70j 被告電子部品は,メモリ装置である。 (2) 本件発明3-77 3-77o 被告電子部品は,上記3-70a乃至3-70jの構成を有するメモリ装置である。 3-77p 被告電子部品は,基板の表面に設けられ,原告製品プリンタに設けられたプリンタ側端子と接触するクロック信号用端子,シリアルデータ用端子及び電源用端子を備える。 (3) 本件発明3-783-78q 被告電子部品は,上記3-70a乃至3-77pの構成を有するメモリ装置である。 3-78r 被告電子部品であるメモリ装置が原告製品プリンタに接続される際,被告電子部品に設けられたアース端子が,原告製品プリン タのプリンタ側アース端子に接触した後に,被告電子部品に設けられたクロック信号用端子,シリアルデータ用端子及び電源用端子が原告製品プリンタのプリンタ側端子に接触する。 (4) 本件発明3-803-80s 被告電子部品は,上記3-70a乃至3-78rの構成を有す るメモリ装置である。 3-80t 穴部は,基板に1つだけ設けられている。 (別紙4)被告電子部品(設計変更後)の形状 第1 被告電子部品写真1:トナーカートリッジを撮影した写真 写真2:トナーカートリッジを近接して撮影した写真 写真3:トナーカートリッジのチップのみを近接して撮影した写真 第2 設計変更品写真4:トナーカートリッジ 写真3:トナーカートリッジのチップのみを近接して撮影した写真 第2 設計変更品写真4:トナーカートリッジを撮影した写真 写真5:トナーカートリッジを近接して撮影した写真 写真6:トナーカートリッジのチップのみを近接して撮影した写真 (別紙5)争点3(本件各特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)に関する当事者の主張 1 争点3-1-1(無効理由1-1。本件発明1の進歩性欠如)について 〔被告らの主張〕(1) 本件発明1-1本件発明1-1と乙5発明とは,構成要件1-1F1及び1-1F2以外の構成において一致する。このため,両発明の相違点は,構成要件1-1F1及び1-1F2を備えているかどうかという点にある。 ア相違点1-1(構成要件1-1F1)について(ア) 構成要件1-1F1は「前記基板に形成された前記穴部は,前記画像形成装置本体の前記突起部に形成された接地用の本体側端子に接触するアース端子が形成され,」であるところ,このうち,「前記画像形成装置本体の前記突起部に形成された接地用の本体側端子」は乙6考案のガイドピン 20に相当し,「アース端子」は,ガイド孔9内のグランド用電極27に半田付けされたコンタクト部材24に相当する。乙6考案においては,ドータボードの方にガイドピン20(「突起」に相当)があり,マザーボードの方に穴(「ガイド孔9」に相当)があるが,それを必要に応じて取 半田付けされたコンタクト部材24に相当する。乙6考案においては,ドータボードの方にガイドピン20(「突起」に相当)があり,マザーボードの方に穴(「ガイド孔9」に相当)があるが,それを必要に応じて取り替えることは当業者であればごく当たり前に行うことである。このように, 構成要件1-1F1は乙6公報に記載されている。 そして,乙5発明及び乙6考案は,いずれも基板に関するものであること,本件発明1-1の「情報記憶装置の基板に形成された穴部に,画像形成装置本体の突起部に形成された接地用の本体側端子に係合するアース端子を形成しているため,情報記憶装置に電気的な破損が生じにくい」と いう作用効果(本件明細書等1の段落【0022】参照)は,乙6考案に おける「ドータボード5の静電気等のノイズをアースすることができ,ドータボード5の電子回路が静電気等のノイズによって破壊されることがなく,しかもアース機能用の専用部品を必要としないので,部品点数が少なく,構造が簡単で,高密度実装が可能となり,かつ能率的にアース接続をすることができる」(乙6・12頁)という作用効果と同じであって, いずれも静電気等による電気的な破損を防ぐという周知の課題に対する周知慣用技術の適用であることから,乙5発明に乙6考案を組み合わせるための直接的な動機付けが存在する。 また,何より先に接地をとるべく穴と突起を組み合わせるような技術は周知慣用であり,乙5発明及び乙6考案と同様な発明は,乙5発明につき 乙7,乙6考案につき乙8~11にも記載されている。 (イ) 仮に,原告の主張するとおり,構成要件1-1Dが相違点となるとしても,同構成要件に係る構成は以下のとおり,当業者であれば容易に想到し得たものである。 構成要件1-1D いる。 (イ) 仮に,原告の主張するとおり,構成要件1-1Dが相違点となるとしても,同構成要件に係る構成は以下のとおり,当業者であれば容易に想到し得たものである。 構成要件1-1Dは「前記情報記憶部と前記端子とが保持されるととも に,前記画像形成装置本体に設置された突起部に係合する穴部が形成された基板と,を備え,」であるところ,このうち,「前記情報記憶部と前記端子とが保持される(中略)基板」は,乙5公報の記憶装置30(図2)と端子21~27(図1)とが保持される回路基板10に相当する。 構成要件1-1Dのうち,「前記画像形成装置本体に設置された突起部に係合する穴部が形成された」とする特徴は,乙5公報のインクカートリッジ40の回路基板装着部41に対する回路基板10の固定時における位置決め用の貫通孔11(段落【0042】,【図1】)に接した当業者 にとって設計的事項である。すなわち,貫通孔11は,回路基板10を固定するためのものであることが明示されているところ,その固定する先をインクカートリッジではなく,プリンタ又はその他の部材又は場所とするか,ビスやねじで固定するかは,当業者が適宜選択する設計的事項にすぎない。穴と突起を用いて位置決めすることは,当業者にとって当たり前の 工夫であり,乙5公報の【図11】には,プリンタ本体に対向する基板が開示されている。 基板の挿入方向とカートリッジ側の端子と本体側の接点の配置が,当業者が適宜選択できる事項であることは,周知慣用の技術を示す乙32及び33からも明らかである。すなわち,平成13年に公開された乙32の【図 3】及び【図4】には,上方からプリンタ本体に向け装着されるカートリッジ1,2に設けた回路基板27,32と端子(接点)33, 3からも明らかである。すなわち,平成13年に公開された乙32の【図 3】及び【図4】には,上方からプリンタ本体に向け装着されるカートリッジ1,2に設けた回路基板27,32と端子(接点)33,34と,それに対向したプリンタ本体側の接点36,37が開示されている(段落【0 036】参照)。乙32の【図2】はこのカートリッジがオンボードタイプであることを示しており,その【図8】とそれに対応する段落【0070】の記載によると,回路基板113とアクセス端子115は,カートリッジ111の側面に位置して,【図3】のカートリッジと同様の電気的接続を達成する。 同じく平成13年の公開にかかる乙33の【図2】及び【図7】には,それぞれ上方から挿入されるカートリッジ13と,原告製品のように水平方向に挿入されるカートリッジ53が記載されており,特に【図7】の態様では,プリンタ本体の接続端子41とカートリッジ53のアクセス端子35は,原告製品と同様に互いに正対して接続されることが開示されてい る。 これらの周知慣用の技術からも明らかなとおり,乙5公報の【図11】に接した当業者は,プリンタ本体に対向する基板とする可能性も当然に認識するのであるから,構成要件1-1Dに係る構成は,当業者であれば容易に想到し得たものである。 イ相違点1-2(構成要件1-1F2)について構成要件1-1F2は,基板に形成された穴部が「前記複数の金属板のうち2つの金属板に間に挟まれる位置に配設された」ことを内容とするものであるところ,乙6公報においては,「穴部」に相当するガイド孔9が複数ある端子(「電極」に相当)に挟まれており(乙6の第1図及び第2図),構 成要件1-1F2と同様の構成が開示されている。 本件明細書等1の 6公報においては,「穴部」に相当するガイド孔9が複数ある端子(「電極」に相当)に挟まれており(乙6の第1図及び第2図),構 成要件1-1F2と同様の構成が開示されている。 本件明細書等1の段落【0022】には,「穴部の中心から最も離れた位置にある端子までの距離を短くすることができ,端子の本体側端子に対する平行度が量産ばらつき等の理由でずれてしまったとしても,そのずれを最低限に抑えることができる。」という効果を奏すると記載されているが,乙6 公報において,「穴部」に相当するガイド孔9は複数ある端子に挟まれてい るから,穴部の中心から最も離れた位置にある端子までの距離が短くなる構成は開示されており,そのような効果は何ら新規なものではない。このことは,乙7の【図4】に,位置決め孔201を挟んでクロック端子207とデータ端子208が並ぶ回路基板が開示されていることからも看取できる。 原告は,乙5発明に相違点1-2の構成を適用することは,同発明の目的, 課題に反すると主張するが,乙5公報の図1,図8~10に示されているように,当業者は所与の条件に合わせて,端子の並びを任意に変更することができ,そのような並びの変更は設計的事項にすぎない。 (2) 本件発明1-2本件発明1-2に係る請求項2は,本件発明1-1に係る請求項1の従属項 であるところ,上記相違点1-1及び1-2に係る構成が容易に想到し得たことは前記のとおりである。 本件発明1-2に係る構成要件1-2Hは,「前記アース端子は,少なくとも,前記穴部の内径部に形成された」というものであるところ,このうち「アース端子」は,乙6考案のコンタクト部材24に相当し,同様の構成は,乙8 のスルホール穴(アース用の穴)とアース部(ランド2)などにもみ 内径部に形成された」というものであるところ,このうち「アース端子」は,乙6考案のコンタクト部材24に相当し,同様の構成は,乙8 のスルホール穴(アース用の穴)とアース部(ランド2)などにもみられるから,同構成要件に係る構成は,当業者が容易に想到し得たものである。 (3) 本件発明1-6本件発明1-6に係る請求項6は,本件発明1-1に係る請求項1の従属項であるところ,上記相違点1-1及び1-2に係る構成が容易に想到し得たこ とは前記のとおりである。 本件発明1-6に係る構成要件1-6J は,「前記本体側端子は複数の金属部材端子で構成されていて」というものであるが,電子回路用端子が金属部材でできているのは当然であり何の限定にもなっていない。 構成要件1-6Kは,「前記複数の金属板は,前記本体側端子の第1の金属 部材端子に接触した状態でシリアルクロックが入力されるクロック信号用の入 力端子と,前記本体側端子の第2の金属部材端子に接触した状態でシリアルデータの入出力が行われるシリアルデータ用の入出力端子と,前記本体側端子の第3の金属部材端子に接触した状態で電圧が入力される電源用の入力端子である」というものである。 ここで,「前記本体側端子の第1の金属部材端子に接触した状態でシリアル クロックが入力されるクロック信号用の入力端子」は,乙5発明にある端子P6に接触し,記憶装置30に対してクロック信号CLK(同期信号)を入力するためのクロック端子26に相当する(クロック信号CLK(同期信号)がシリアルであることは乙5公報の段落【0036】に明示されている。)。 また,「前記本体側端子の第2の金属部材端子に接触した状態でシリアルデ ータの入出力が行われるシリアルデータ用の入出力端子」は,乙5発 ることは乙5公報の段落【0036】に明示されている。)。 また,「前記本体側端子の第2の金属部材端子に接触した状態でシリアルデ ータの入出力が行われるシリアルデータ用の入出力端子」は,乙5発明の端子P1に接触するデータ入出力用のI/O端子21に相当する。 さらに,「前記本体側端子の第3の金属部材端子に接触した状態で電圧が入力される電源用の入力端子」は,乙5の端子P2に接触する電源端子22に相当する。 このように,本件発明1-6は同1-1と対比して何ら新たな技術的貢献を含むものではないので,本件発明1-1と同様に進歩性がない。 (4) 以上のとおり,本件各発明1は,乙5発明に乙6考案を組み合わせることによって当業者が容易に想到することができたものであって,進歩性がない。 〔原告の主張〕 (1) 本件発明1-1ア相違点1の認定について(ア) 本件発明1-1と乙5発明の相違点は,以下のとおりである。 <相違点1-1>画像形成装置本体に対して着脱可能である着脱可能装置に設置される情 報記憶装置の基板の構成について, 本件発明1-1は,「前記画像形成装置本体に設置された突起部に係合する穴部が形成された基板」(構成要件1-1D)であって,「前記基板に形成された前記穴部は,前記画像形成装置本体の前記突起部に形成された接地用の本体側端子に接触するアース端子が形成され」た(構成要件1-1F1)構成を備えるのに対し, 乙5発明は,接地端子は回路基板の両端部に配置された構成を備え,画像形成装置の本体に設置された突起部に係合する穴部を備えておらず,本件発明1-1の上記構成を備えていない点。 <相違点1-2>画像形成装置本体の接地用の本体側端 配置された構成を備え,画像形成装置の本体に設置された突起部に係合する穴部を備えておらず,本件発明1-1の上記構成を備えていない点。 <相違点1-2>画像形成装置本体の接地用の本体側端子に接触するアース端子の構成に ついて,本件発明1-1は,基板の穴部にアース端子が形成され,基板に形成された穴部が,「短手方向に隙間を空けて並設された複数の金属板」(構成要件1-1E)のうち「2つの金属板に間に挟まれる位置に配設された」(構成要件1-1F2)構成を備えるのに対し, 乙5発明は,接地端子は回路基板の両端部に配置された構成を備えており,本件発明1-1の上記構成を備えていない点。(※X①p20)(イ) 被告らは,構成要件1-1Dの構成を採用することは当業者にとって容易であり,相違点は構成要件1-1F1及び1-1F2のみであると主張するが,乙5発明の貫通孔11は,回路基板10をインクカートリッジ4 0の回路基板装着部41に位置決めするものにすぎず,プリンタ本体側の突起部に係合するものではない(乙5公報の段落【0042】,【0043】,【図3】)から,構成要件1-1Dが乙5発明に開示されているに等しい事項であるとはいえず,相違点1-1は,上記のように認定されるべきである。 被告らは,相違点1-1に係る構成を分けたそれぞれの構成要件1-1 D及び1-1F1が容易想到であると主張するにとどまり,それらを併せた構成が容易想到であるどうかについて具体的に主張していないが,上記各構成要件は,画像形成装置本体の突起部が係合する基板の穴部に,当該突起部の接地用の本体側端子に接触するアース端子が形成されたという,技術的にまとまりのある構成であるので,一つの相違点としてま 上記各構成要件は,画像形成装置本体の突起部が係合する基板の穴部に,当該突起部の接地用の本体側端子に接触するアース端子が形成されたという,技術的にまとまりのある構成であるので,一つの相違点としてまとめて検 討されるべきである。 以下のとおり,原告の主張に係る各相違点に係る構成について,当業者が容易に想到し得たということはできない。 イ相違点1-1(ア) 乙5発明について 乙5発明は,回路基板装着部41内の回路基板10が,その基板面と平行する方向(回路基板の縁部がプリンタ本体側に向かう方向)でプリンタ本体側へ挿入されて,回路基板10の端子とプリンタ本体側の接触ピン102(P1~P7)とが互いに電気的に接続されるものであって(下図1及び2参照),乙5発明は,そもそも,回路基板10の基板面がプリンタ 本体に対向するものではない。そのため,乙5発明の回路基板10に,プリンタ本体側の突起部に係合する穴部をどのように形成するか不明であり,乙5発明に構成要件1-1D及び1-1F1の構成を適用する動機付けがなく,かかる構成を適用することは困難である。 なお,被告らは,回路基板が鉛直方向に起立していてもよいことが図1 1に開示されていると主張するが,乙5公報には,オンキャリッジタイプのインクカートリッジに回路基板10が装着される態様が開示されているにすぎず(乙5公報の段落【0064】,図11),回路基板10とプリンタ本体の配置関係は何ら記載も示唆もされておらず,図11を考慮しても,乙5公報には画像形成装置本体の突起部と係合する穴部は開示も示 唆もされていない。 図1 乙5公報の図7の部分拡大図 図2 乙5公報の図3 と係合する穴部は開示も示 唆もされていない。 図1 乙5公報の図7の部分拡大図 図2 乙5公報の図3 (イ) 乙6発明について乙6考案の技術的事項は,ドータボード5の縁部(先端部)に設けられたガイドピン20を,マザーボード2の基板面に対して直交方向に挿入して,マザーボード2の基板面に設けられたガイド孔9内のコネクタ部材24に接続するというものであり(下図3及び4参照),ドータボードの縁 部がマザーボードの基板面に対向する向きに取り付けられるものであって,ドータボードの基板面が対向するものではない。 そして,乙6公報は,画像形成装置本体と,それに着脱可能である着脱可能装置に設置される情報記憶装置の基板との構成を示したものではないから,このようなドータボードのガイドピンと,マザーボードのガイド 孔内のコネクタ部材を取り替えることについて何ら記載や示唆はなく,縁 部にマザーボードの突起部が係合する穴部を設けることも困難であり,相違点1-1に係る構成に改変することが,当業者において当たり前に行うことということはできない。 被告らは,基板の挿入方向とカートリッジ側の端子と本体側の接点の配置は当業者が適宜選択できる事項であるとして乙32及び33を提出す るが,これらは単にインクカートリッジがカートリッジホルダに取り付けられるときに,インクカートリッジに設けられた半導体記憶装置がカートリッジホルダの接点に電気的に接続される構成が開示されているにすぎない。 図3 乙6公報の第1図 図4 乙6公報の第2図(A)(ウ) 乙5発 される構成が開示されているにすぎない。 図3 乙6公報の第1図 図4 乙6公報の第2図(A)(ウ) 乙5発明に乙6考案を組み合わせることについて被告らは,本件発明1-1の段落【0022】に記載されている静電気等による電気的な破損防止という作用効果が,乙6公報の技術的事項の作 用効果(乙6の12頁)と同じであることから,乙5発明に乙6考案を組み合わせる直接的な動機付けが存在すると主張するが,作用効果が同じであることは,周知慣用技術の適用であること及び組み合わせの直接的な動機付けが存在することの理由付けになるものではない。 ウ相違点1-2について (ア) 乙6発明について上記イのとおり,乙6公報は,画像形成装置本体と,それに着脱可能である着脱可能装置に設置される情報記憶装置の基板との構成を示したものではなく,マザーボード上にコネクタ4が開示されているにすぎないから,同公報に,基板の穴部にアース端子が形成され,基板に形成された穴 部が,「短手方向に隙間を空けて並設された複数の金属板」(構成要件1-1E)のうち「2つの金属板に間に挟まれる位置に配設された」(構成要件1-1F2)という,本件発明1-1の相違点1-2に係る構成が開示されているということはできない。 本件発明1-1は,相違点1-2に係る構成を備えることにより,穴部 の中心から最も離れた位置にある端子までの距離を短くすることができ,端子の本体側端子に対する平行度が量産ばらつきなどの理由でずれてしまったとしても,そのずれを最低限に抑えることができる(本件明細書等1の段落【0022】)等の技術的意義を備えるものであるから,このような技術的意 子に対する平行度が量産ばらつきなどの理由でずれてしまったとしても,そのずれを最低限に抑えることができる(本件明細書等1の段落【0022】)等の技術的意義を備えるものであるから,このような技術的意義を踏まえれば,相違点1-2に係る構成は当業者にとって 容易になし得るといえるものではない。 被告らは,乙6考案に相違点1-2に係る構成が開示されていることを前提として,本件発明1-1の平行度のずれを抑える作用効果が新規ではなく,乙7にも開示されていると主張するが,乙6考案の構成は,穴部を起点とした振れが生じ得るものではないから,穴部を起点とした振れに起 因する平行度のずれを抑えるという本件発明1―1の作用効果はうかがわれない。 乙7についても,「位置決め孔201」は,回路基板200をインクカートリッジ100に位置決めするものにすぎず,プリンタ本体側の突起部に係合するものではない(乙7の段落【0029】,【図4】(A)及び 【図2】参照)。そうすると,乙7の開示内容を踏まえても,本件発明1-1の作用効果が新規ではないという被告らの主張は理由がない。 (イ) 乙5発明に乙6考案を組み合わせることについて乙5公報の記載事項(段落【0002】~【0008】,【0029】,【0032】,【0033】,【図12】)には,接地端子がプリンタの 接地端子用のピンと接触(導通)することを検出して,インクカートリッジがプリンタに正しく装着されているか否かを判定する技術に関し,従来,回路基板は接地端子を中心とした配置であったために,他の各端子がプリンタ側の接触ピンと接触していない場合にも,接地端子の導通を検出し,インクカートリッジが正しく装着されているものと誤って判定されてし まうという課題があった旨の記載がある。 がプリンタ側の接触ピンと接触していない場合にも,接地端子の導通を検出し,インクカートリッジが正しく装着されているものと誤って判定されてし まうという課題があった旨の記載がある。 乙5発明は,上記課題を解決するために,回路基板10において端子と接触ピンとの不接触が発生しやすい回路基板の両端部に接地端子24,27を配置させるという構成を採用した発明であり,乙5公報の【図8】~【図10】のいずれの態様においてもそのような構成が採用されている。 このような乙5発明の目的,課題に照らすと,乙5発明において,接地 端子を他の複数の端子のうちの2つの端子の間に挟まれる位置に配置する相違点1-2の構成を適用することは,乙5発明の目的,課題に正面から反することになるから,乙5発明に乙6考案の技術的事項を適用することには阻害要因が存在する。 エ乙7~14について 被告らは,乙5発明及び乙6考案と同様な発明は,乙7~11に開示されていると主張するが,乙5発明及び乙6考案を組み合わせても本件発明1-1に至らないことは上記のとおりである。また,乙6考案と同じ発明であるとする乙8~11は,そもそも,「画像形成装置本体」と,それに着脱可能である着脱可能装置に設置される「情報記憶装置の基板」との構成を前提と するものですらなく,相違点1-1及び1-2に係る本件発明1-1の構成が開示されているということはできない。 (2) 本件発明1-2上記(1)のとおり,乙5発明と本件発明1-2は,少なくとも相違点1-1及び1-2において相違するから,本件発明1-2は容易想到ではない。 被告らは,構成要件1-2Hの構成が乙8にもみられると主張するが,乙8においては,「このアース部(ランド)2の部品面側が 及び1-2において相違するから,本件発明1-2は容易想到ではない。 被告らは,構成要件1-2Hの構成が乙8にもみられると主張するが,乙8においては,「このアース部(ランド)2の部品面側がストッパーと接続し,半田面側では接地部(支柱部)が接触する。」(乙8の158頁5行及び6行)と記載されているとおり,取付け用支柱部のストッパー(乙8の第2図の符号2参照)が,プリント基板の部品面側でプリント基板のアース部(ランド)と 接触することが開示されているにすぎず,アース端子が基板の穴部の内径部に 形成される構成は何ら開示されていない。 (3) 本件発明1-6上記(1)のとおり,乙5発明と本件発明1-6は,少なくとも相違点1-1及び1-2において相違するから,本件発明1-6は容易想到ではない。 (4) 以上のとおり,本件各発明1は乙5発明に乙6考案を組み合わせることによ って当業者が容易に想到することができたものということはできないから,同各発明は進歩性を有するというべきである。 2 争点3-1-2(無効理由1-2。本件発明2の進歩性欠如)について〔被告らの主張〕(1) 本件発明2-1 本件発明2-1と乙5発明とは,構成要件2-1E及び2-1F以外の構成において一致する。このため,両発明の相違点は,構成要件2-1E及び2-1Fを備えているかどうかという点にある。 ア相違点1-1(構成要件2-1E)(ア) 構成要件2-1Eの「前記アース端子は,前記穴部に設けられ,」は, 乙6考案のガイド孔9内の,グランド用電極27に半田付けされたコンタクト部材24に相当する。乙6考案においては,ドータボードの方にガイドピン20(「突起」に相当)があり,マザーボードの方に穴(「ガイド 6考案のガイド孔9内の,グランド用電極27に半田付けされたコンタクト部材24に相当する。乙6考案においては,ドータボードの方にガイドピン20(「突起」に相当)があり,マザーボードの方に穴(「ガイド孔9」に相当)があるが,相互の関係性から見れば,それを必要に応じて取り替えることは当業者なら自然に行うことであるから,構成要件2-1 Eの構成は乙6に記載されている。 そして,本件明細書等2の段落【0027】に記載されている「画像形成装置本体のコネクタの本体側端子との位置決め不良による接触不良が生じにくい,情報記憶装置及び着脱可能装置を提供する」という作用効果は,乙6公報にある「仮に第2図(A)に点線で示すように,ガイドピン 20の先端がコンタクト部材24の領域内においてずれていても,ガイド ピン20の先端は先細に形成されているので,コンタクト部材24内に挿入すれば,コンタクト部材24の各側壁片26のばね力によりガイドピン20の位置が調整される。これにより,ドータボード5がガイドされてドータボード5の雄コネクタ6がマザーボード2の雌コネクタ4に対応するので,円滑に接続することができる。」(乙6・11頁)という,ずれ を抑える効果と同じであることから,いずれも端子の位置決め不良による接触不良を防ぐという周知の課題に対する周知慣用技術の適用であるということができ,乙5発明に乙6考案を組み合わせるための直接的な動機付けが存在する。 (イ) 仮に,構成要件2-1Cが相違点となるとしても,以下のとおり,当業 者が容易に想到し得たものである。 構成要件2-1Cである「前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え」という構成は,「突起部」が「穴部」に挿入される 者が容易に想到し得たものである。 構成要件2-1Cである「前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板と,を備え」という構成は,「突起部」が「穴部」に挿入される限りにおいて,乙5公報のインクカートリッジ40の回路基板装着部41に対する回路基板10の固定時における位 置決め用の貫通孔11(段落【0042】,【図1】)と何ら異ならない。 また,「突起部」が画像形成装置本体にあるかどうかは,所与の状況に対応して当業者が選択する設計的事項にすぎない。 イ相違点1-2(構成要件2-1F)構成要件2-1Fの「前記情報記憶装置側端子は,前記クロック信号用端 子,前記アース端子,前記シリアルデータ用端子,前記電源用端子の順に前記基板に配置されている」との点については,複数の端子をどのような順番で配置するかにすぎず,当業者の設計的事項である。 例えば,乙5公報の段落【0034】には「接地端子24,27は電源端子22に対する最近接端子ではないので,電源端子22と接地端子24,2 7との短絡を防止することができる」と記載されているとおり,電源端子と 接地端子は離して設置するのが周知慣用の技術である。 また,乙5公報の【図11】を参照しつつ【図12】を見ると,アース端子510の上方にクロック端子550があることを理解できるが,かかる位置関係を前提に,電源端子と接地端子(アース端子)を離して,端子を一列に並べるとすれば,上から,クロック端子,アース端子,データ端子,電源 端子の順か,電源端子,クロック端子,アース端子,データ端子の順くらいしか選択肢がない。 クロック端子とアース端子の位置関係を上記のように限定しないとしても,電源端子と接地端子を離すことを前提とすれば 順か,電源端子,クロック端子,アース端子,データ端子の順くらいしか選択肢がない。 クロック端子とアース端子の位置関係を上記のように限定しないとしても,電源端子と接地端子を離すことを前提とすれば,アース端子以外に,3つしかない端子の並べ方の選択肢は,極めて限られており,その組合せを考 えることに,何の困難性もない。 このように,本件発明2-1は,乙5発明に乙6考案を組み合わせることによって当業者が容易に想到することができたものであって,進歩性がない。 (2) 本件発明2-2本件発明1-2に係る請求項は,本件発明1-1の従属項であるところ,上 記相違点1-1及び1-2に係る構成が容易に想到し得たことは前記のとおりである。 構成要件2-2Iは,「前記アース端子は,少なくとも,前記穴部の内径部に形成されていること」というものであるところ,このうち「アース端子」は,乙6のコンタクト部材24に相当するから,本件発明2-2は,その全体とし て当業者が容易に想到できるものであるので,進歩性がない。 (3) 本件発明2-3本件発明2-3に係る請求項3は,本件発明2-1に係る請求項1の従属項であるところ,上記相違点2-1及び2-2に係る構成が容易に想到し得たことは前記のとおりである。 本件発明2-3に係る構成要件2-3Kは,「前記クロック信号用端子,前 記シリアルデータ用端子及び前記電源用端子は,金属板からなる」というものであるが,電子回路用端子が金属板からできているのはありふれたことであり,本件発明2-3は同2-1と対比して何ら新たな技術的貢献を含むものではないので,本件発明2-1と同様に進歩性がない。 (4) 本件発明2-4 本件発明2-4に係る請求項4は,本件発明2-1に係 発明2-3は同2-1と対比して何ら新たな技術的貢献を含むものではないので,本件発明2-1と同様に進歩性がない。 (4) 本件発明2-4 本件発明2-4に係る請求項4は,本件発明2-1に係る請求項1の従属項であるところ,上記相違点2-1及び2-2に係る構成が容易に想到し得たことは前記のとおりである。 本件発明2-4に係る構成要件2-4Mは,「前記クロック信号用端子,前記シリアルデータ用端子及び前記電源用端子は,金属パッドからなることを特 徴とする」というものであるが,電子回路用端子が金属パッドからできているのはありふれたことであり,本件発明2-4は,同2-1と対比して何ら新たな技術的貢献を含むものではなく,本件発明2-1と同様に進歩性がない。 (5) 本件発明2-25本件発明2-25と乙5発明とは,構成要件2-25Eと構成要件2-25 F以外の構成において一致する。このため,両発明の相違点は,構成要件2-25Eと構成要件2-25Fを備えているかどうかという点にある。 ア相違点2-3(構成要件2-25E)について(ア) 構成要件2-25Eの「前記アース端子は,前記穴部に設けられ」という構成要件は,構成要件2-1Eと同一であり,前記(1)ア(ア)と同様の理 由から,当業者が容易に想到し得たものである。 (イ) 仮に,構成要件2-25Cが相違点であるとしても,同構成要件は構成要件2-1Cと同一であり,前記(1)ア(イ)と同様の理由から,当業者が容易に想到し得たものである。 イ相違点2-4(構成要件2-25F)について 構成要件2-25Fの「前記穴部は,前記クロック信号用端子と前記シリ アルデータ用端子との間に配置されている」という構成に関し,乙6発明に 構成要件2-25F)について 構成要件2-25Fの「前記穴部は,前記クロック信号用端子と前記シリ アルデータ用端子との間に配置されている」という構成に関し,乙6発明においては,「穴部」に相当するガイド孔9は複数ある端子(「電極」に相当)に挟まれており,これらの端子群が具体的に何であるかは乙6公報に明記されていないが,一般的な端子にクロック信号用の端子とデータ用の端子を含むことは当業者にとって当然のことである。したがって,構成要件2-25 Fの特徴は,乙6公報の第1図及び第2図に記載されているものと同視できる。 また,乙5公報の段落【0003】には,【図12】を参照しつつ,「接地端子510を中心にして,その一側にデータ入出力用端子520,他側にリード・ライト信号用端子530が配置されている第1端子列と,第1端子 列の上段に位置すると共に,電源端子540を中心にして,その一側にクロック信号用端子550,他側にチップセレクト信号用端子560が配置されている第2端子列とを備えている」と記載され,また,乙5公報の【図1】,【図8】,【図9】,【図10】を参照して,種々の端子の並びが検討されていることからも明らかなとおり,このような端子の並びの選択は当業者が 適宜行う設計事項にすぎない。 また,乙7の【図4】においても,穴201を挟んでクロック端子207とデータ端子208が並んで配置されていることが図示されている。 よって,本件発明2-25は,乙5に記載の発明に乙6の技術を組み合わせることによって当業者が容易に想到することができたものである。 (6) 本件発明2-49本件発明2-25と乙5発明とは,構成要件2-49Eと構成要件2-49F1,F2以外の構成において一致する 当業者が容易に想到することができたものである。 (6) 本件発明2-49本件発明2-25と乙5発明とは,構成要件2-49Eと構成要件2-49F1,F2以外の構成において一致する。このため,両発明の相違点は,構成要件2-49Eと構成要件2-49F1,F2を備えているかどうかという点にある。 ア相違点2-5(構成要件2-49E)について (ア) 構成要件2-49Eの「前記アース端子は,前記穴部に設けられ」は,構成要件2-1Eと同一であり,前記(1)ア(ア)と同様の理由から,当業者が容易に想到し得たものである。 (イ) 仮に,構成要件2-49Cが相違点であるとしても,同構成要件は構成要件2-1Cと同一であり,前記(1)ア(イ)と同様の理由から,当業者が容 易に想到し得たものである。 イ相違点2-6(構成要件2-49F1及び2-49F2)について構成要件2-49F1の「前記穴部に対して,前記情報記憶装置が前記画像形成装置本体に装着された状態における鉛直方向上方の位置には前記シリアルクロック入力端子が設置され,」との構成に関し,乙5公報の【図11】 を参照しつつ【図12】を見ると,アース端子510の上方にクロック端子550があることを理解できる。 また,構成要件2-49F2の「鉛直方向下方の位置には前記シリアルデータ入力端子と前記電源入力部が設置されている」との構成については,構成要件2-49F1を前提にして,残りの二つの端子を縦に並べようとすれ ば,当然,データ入力端子と電源入力端子が下に来ることになるので,当業者が容易に想到できる設計事項にすぎない。 (7) 以上のとおり,本件各発明2は,乙5発明に乙6考案を組み合わせることによって当業者が容易に想到す 端子と電源入力端子が下に来ることになるので,当業者が容易に想到できる設計事項にすぎない。 (7) 以上のとおり,本件各発明2は,乙5発明に乙6考案を組み合わせることによって当業者が容易に想到することができたものであって,進歩性がない。 〔原告の主張〕 (1) 本件発明2-1ア相違点(ア) 本件発明2-1と乙5発明との相違点は,以下のとおりである。 <相違点2-1>画像形成装置本体に対して着脱可能である着脱可能装置に設置される情 報記憶装置の基板の構成について, 本件発明2-1は,「前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板」(構成要件2-1C)であって,「前記アース端子は,前記穴部に設けられ」た(構成要件2-1E)構成を備えるのに対し,乙5発明は,接地端子は回路基板の両端部に配置された構成を備え,画 像形成装置の本体に設置された突起部に係合する穴部を備えておらず,本件発明2-1の上記構成を備えていない点。 <相違点2-2>画像形成装置本体の本体側端子に接触される情報記憶装置側端子の構成について, 本件発明2-1は,「前記情報記憶装置側端子は,前記クロック信号用端子,前記アース端子,前記シリアルデータ用端子,前記電源用端子の順に前記基板に配置されている」(構成要件2-1F)構成を備えるのに対し,乙5発明は,データ入出力用のI/O端子,電源供給用の電源端子22, クロック信号を入力するためのクロック端子及び接地端子が回路基板に設けられ,接地端子が回路基板の両端部に配置されている構成を備えており,本件発明2-1の上記構成を備えていない点。 (イ) 被告らは,本件発明1-1 力するためのクロック端子及び接地端子が回路基板に設けられ,接地端子が回路基板の両端部に配置されている構成を備えており,本件発明2-1の上記構成を備えていない点。 (イ) 被告らは,本件発明1-1と同様に,構成要件2-1Cに係る構成は設計事項であって,相違点は構成要件2-1E及び構成要件2-1Fのみで あると主張するが,上記1〔原告の主張〕(1)ア(イ)のとおり,乙5公報に構成要件2-1Cの構成(「前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板」)が開示されているとはいえず,設計事項であるということもできないから,相違点2-1は,上記のように認定されるべきである。 イ相違点2-1 前記1〔原告の主張〕(1)イのとおり,乙5発明に乙6考案を適用して相違点2-1に至ることが容易想到であるとはいうことはできない。 ウ相違点2-2(ア) 構成要件2-1Fは,基板上の端子が,①クロック信号用端子,②アース端子,③シリアルデータ用端子,④電源用端子の順に配置されるという ものであるところ,①のクロック信号用端子は,短絡による情報記憶装置の破壊の可能性が他の端子と比較して高く,③のシリアルデータ用端子は,①のクロック信号用端子よりも短絡による情報記憶装置の破壊の可能性が低いことなどに鑑みて,③のシリアルデータ用端子を②のアース端子と④の電源用端子との間に配置する一方で,①のクロック信号用端子を②の アース端子よりも④の電源用端子から離して配置して短絡による情報記憶装置の破壊の可能性を抑制するという技術的意義を有する(本件明細書等2の段落【0123】)。 加えて,穴部が設けられたアース端子がクロック信号用端子とシリアルデータ用端子との間に配置 よる情報記憶装置の破壊の可能性を抑制するという技術的意義を有する(本件明細書等2の段落【0123】)。 加えて,穴部が設けられたアース端子がクロック信号用端子とシリアルデータ用端子との間に配置されることになるため,穴部が設けられたアー ス端子を端子の並びの最も上方に配置した場合に比べて,穴部からの距離,すなわち振れの腕長さを短くすることができ,これによって端子のずれを最低限に抑えることができるという技術的意義も有する(本件明細書等2の段落【0122】)。 したがって,構成要件2-1Fの端子の配置が単なる設計事項であると いうことはできない。 (イ) 乙5発明に構成要件2-1Fに相当する構成を適用することには阻害要因がある。乙5発明の目的,課題に照らすと,乙5発明において,接地端子をクロック信号用端子とシリアルデータ用端子との間に配置して,構成要件2-1Fのように,①クロック信号用端子,②アース端子,③シリア ルデータ用端子,④電源用端子の順に配置するという相違点2-2の構成 を適用することは,回路基板10において端子と接触ピンとの不接触が発生しやすい両端部に接地端子24,27を配置させることでインクカートリッジの装着を正確に検出するという,乙5発明の目的ないし課題に正面から反する。 また,乙5公報の【図12】から明らかなとおり,本体側の接触ピン5 70は,回路基板500の表面と接触しつつその上下方向(下記図5参照。 ここでは説明の便宜のため,下記図5の青矢印の方向を「上下方向」と称する。)にスライドして,回路基板の端子に接触するものであるところ,仮に,被告らが主張するように各端子を回路基板の上下の方向に一列に並べると,本体側の接触ピンが複数の端子上を滑らせながら接触することと 。)にスライドして,回路基板の端子に接触するものであるところ,仮に,被告らが主張するように各端子を回路基板の上下の方向に一列に並べると,本体側の接触ピンが複数の端子上を滑らせながら接触することと なり,端子の摩耗や電気的接続不良等が生じ得ることになるので,乙5公報の開示内容に接した当業者であれば,そのような構成に改変することは想起しないものである。 上下方向 図5 乙5の図12(上下方向及びその矢印は原告により付加) なお,仮に,電源端子と接地端子を離すことを前提としたとしても,回路基板上にどのような順に並べるかは複数のパターンがあり,端子の並べ方の選択肢が限られているということはできない。 (2) 本件発明2-2 上記(1)のとおり,乙5発明と本件発明2-2は,少なくとも相違点2-1及び2-2において相違し,同各相違点に係る構成は当業者が容易に想到し得たものではないので,本件発明2-2が進歩性を欠くということはできない。 (3) 本件発明2-3及び同2-4上記(1)のとおり,乙5発明と本件発明2-3及び同2-4は,少なくとも相 違点2-1及び2-2において相違し,同各相違点に係る構成は当業者が容易に想到し得たものではないので,本件発明2-3及び同2-4が進歩性を欠くということはできない。 (4) 本件発明2-25ア相違点 (ア) 本件発明2-25と乙5発明の相違点は,以下のとおりである。 <相違点2-3>画像形成装置本体に対して着脱可能である着脱可能装置に設置される情報記憶装置の基板の構成について,本件発明2-25は,「前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が 挿入される穴部が,形成された基板」(構成要件2-25C)であっ 着脱可能装置に設置される情報記憶装置の基板の構成について,本件発明2-25は,「前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が 挿入される穴部が,形成された基板」(構成要件2-25C)であって,「前記アース端子は,前記穴部に設けられ」た(構成要件2-25E)構成を備えるのに対し,乙5発明は,接地端子は回路基板の両端部に配置された構成を備え,画像形成装置の本体に設置された突起部に係合する穴部を備えておらず,本 件発明2-25の上記構成を備えていない点。 <相違点2-4>画像形成装置本体の本体側端子に接触される情報記憶装置側端子の構成について,本件発明2-25は,アース端子が設けられた基板の穴部の配置について,「前記穴部は,前記クロック信号用端子と前記シリアルデータ用端子 との間に配置されている」(構成要件2-25F)構成を備えるのに対し,乙5発明は,データ入出力用のI/O端子,電源供給用の電源端子22,クロック信号を入力するためのクロック端子及び接地端子が回路基板に設けられ,接地端子が回路基板の両端部に配置されている構成を備えており,本件発明2-25の上記構成を備えていない点。 (イ) 被告らは,本件発明1-1と同様に,構成要件2-25Cに係る構成は設計事項であって,相違点は構成要件2-25Eと構成要件2-25Fのみであると主張するが,上記1〔原告の主張〕(1)ア(イ)のとおり,乙5公報に構成要件2-25Cの構成(「前記画像形成装置本体に設置された突起部に係合する穴部が形成された基板」)が開示されているとはいえず, 設計事項であるということもできないから,相違点2-3は,上記のように認定されるべきである。 イ相違点2-3上記1〔原告の主張〕(1)イ された基板」)が開示されているとはいえず, 設計事項であるということもできないから,相違点2-3は,上記のように認定されるべきである。 イ相違点2-3上記1〔原告の主張〕(1)イのとおり,乙5発明に乙6考案を適用して相違点2-3に至ることが容易想到であるということはできない。 ウ相違点2-4(ア) 乙6公報の第1図及び第2図においてガイド孔9を挟む「複数ある端子(「電極」に相当)」が開示されているということはできない。また,上記1〔原告の主張〕(1)イ(イ)のとおり,乙6考案の技術的事項は,「画像形成装置本体」に対して着脱可能である着脱可能装置に設置される「情報 記憶装置の基板」の構成を示したものではない。さらに,乙6公報には, マザーボード上にコネクタ4が開示されているにすぎず,アース端子が設けられた基板の穴部の配置について,「前記穴部は,前記クロック信号用端子と前記シリアルデータ用端子との間に配置されている」(構成要件2-25F)という,本件発明2-25の相違点2-4に係る構成が開示されているということはできない。 (イ) 乙5発明に相違点2-4に係る構成を適用することには,上記1〔原告の主張〕(1)ウ(イ)のとおり,阻害要因がある。 (5) 本件発明2-49ア相違点(ア) 本件発明2-49と乙5発明の相違点は,以下のとおりである。 <相違点2-5>画像形成装置本体に対して着脱可能である着脱可能装置に設置される情報記憶装置の基板の構成について,本件発明2-49は,「前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板」(構成要件2-49C)であって, 「前記アース端子は,前記穴部に設けられ いて,本件発明2-49は,「前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板」(構成要件2-49C)であって, 「前記アース端子は,前記穴部に設けられ」た(構成要件2-49E)構成を備えるのに対し,乙5発明は,接地端子は回路基板の両端部に配置された構成を備え,画像形成装置の本体に設置された突起部に係合する穴部を備えておらず,本件発明2-49の上記構成を備えていない点。 <相違点2-6>画像形成装置本体の本体側端子に接触される情報記憶装置側端子の構成について,本件発明2-49は,アース端子が設けられた基板の穴部の配置について,「前記穴部に対して,前記情報記憶装置が前記画像形成装置本体に装 着された状態における鉛直方向上方の位置には前記シリアルクロック入 力端子が設置され,鉛直方向下方の位置には前記シリアルデータ入力端子と前記電源入力部が設置されている」(構成要件2-49F1及び2-49F2)構成を備えるのに対し,乙5発明は,データ入出力用のI/O端子,電源供給用の電源端子22,クロック信号を入力するためのクロック端子及び接地端子が回路基板に 設けられ,接地端子が回路基板の両端部に配置されている構成を備えており,本件発明2-49の上記構成を備えていない点。 (イ) 被告らは,本件発明1-1と同様に,構成要件2-49Cに係る構成は設計事項であって,相違点は構成要件2-49E及び構成要件2-49Fのみであると主張するが,上記1〔原告の主張〕(1)ア(イ)のとおり,乙5 公報に構成要件2-49Cの構成(「前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板」)が開示さ であると主張するが,上記1〔原告の主張〕(1)ア(イ)のとおり,乙5 公報に構成要件2-49Cの構成(「前記画像形成装置本体が備える本体側突起部が挿入される穴部が,形成された基板」)が開示されているとはいえず,設計事項であるということもできないから,相違点2-5は,上記のように認定されるべきである。 イ相違点2-5 上記1〔原告の主張〕(1)イのとおり,乙5発明に乙6考案を適用して相違点2-1に至ることが容易想到であるということはできない。 ウ相違点2-6(ア) 乙5公報には,回路基板10がプリンタ本体側に装着された状態において,アース端子の上方にクロック端子が設置されることは何ら開示も示唆 もされておらず,構成要件2-49F1の開示がない。 この点,被告らは,乙5公報の【図11】を参照しつつ【図12】を見ると,アース端子510の上方にクロック端子550があることを理解できると主張するが,【図11】を考慮したとしても,オンキャリッジタイプのインクカートリッジに回路基板10が装着される態様が示唆されて いるにすぎず(乙5公報の段落【0064】),【図11】においては, 回路基板10とプリンタ本体との配置関係,及び,プリンタ本体との関係での鉛直方向等の方向は何ら開示又は示唆されていないから,乙5公報に,回路基板10がプリンタ本体側に装着された状態において,アース端子の上方にクロック端子が設置されることが開示又は示唆されているということはできない。 また,被告らは,構成要件2-49F2について,構成要件2-49F1を前提にして,残りの二つの端子を縦に並べようとすれば,当然,データ入力端子と電源入力端子が下に来ることになるので,構成要件2-49F2の限定は,当業者が容 -49F2について,構成要件2-49F1を前提にして,残りの二つの端子を縦に並べようとすれば,当然,データ入力端子と電源入力端子が下に来ることになるので,構成要件2-49F2の限定は,当業者が容易に想到できる設計的事項にすぎない旨主張するが,構成要件2-49F1が乙5に開示されているという上記前提が誤 りであることは上記のとおりであるから,構成要件2-49F2は設計的事項ということはできない。 さらに,本件発明2-49の構成要件2-49F1及び2-49F2の端子の配置は,穴部の鉛直方向の下方に設けられたシリアルデータ入力端子と電源入力部の配置の順番が規定されていない点を除いて,上記(1)ウ (ア)で述べた相違点2-2に係る構成(構成要件2-1F)と同様の技術的意義を備えるものであるといえるから,構成要件2-49F1及び2-49F2が,当業者が容易に想到できる設計的事項にすぎないということはできない。 (イ) 乙5発明に相違点2-6に係る構成を適用することに阻害要因があるこ とは,上記(1)ウ(イ)のとおりである。 (6) 以上のとおり,本件各発明2は乙5発明に乙6考案を組み合わせることによって当業者が容易に想到し得たということはできないから,進歩性がある。 3 争点3-1-3(無効理由1-3。本件発明3の進歩性欠如)について〔被告らの主張〕 (1) 本件発明3-70 本件発明3-70と乙5発明とは,構成要件3-70G,構成要件3-70H及び構成要件3-70I以外の構成において一致する。このため,両発明の相違点は,構成要件3-70G,構成要件3-70H及び構成要件3-70Iを備えているかどうかという点にある。 ア相違点3-1(構成要件3-70G) ( いて一致する。このため,両発明の相違点は,構成要件3-70G,構成要件3-70H及び構成要件3-70Iを備えているかどうかという点にある。 ア相違点3-1(構成要件3-70G) (ア) 構成要件3-70Gの「前記穴部に形成され,前記本体側アース端子と接触する情報記憶装置側アース端子」に関し,基板と他の部品を組み合わせるために基板に穴部を設け,他の部品に突起部を設けた上で,基板の穴部にアース端子を設けることは,乙6に開示されている(ガイド孔9のコンタクト部材24)。 そして,本件明細書3の段落【0027】に記載されている「画像形成装置本体のコネクタの本体側端子との位置決め不良による接触不良が生じにくい,情報記憶装置及び着脱可能装置を提供する」という作用効果は,乙6にある「仮に第2図(A)に点線で示すように,ガイドピン20の先端がコンタクト部材24の領域内においてずれていても,ガイドピン20 の先端は先細に形成されているので,コンタクト部材24内に挿入すれば,コンタクト部材24の各側壁片26のばね力によりガイドピン20の位置が調整される。これにより,ドータボード5がガイドされてドータボード5の雄コネクタ6がマザーボード2の雌コネクタ4に対応するので,円滑に接続することができる。」(乙6・11頁)という効果と同じである ことから,いずれも端子の位置決め不良による接触不良を防ぐという周知の課題に対する周知慣用技術の適用であることは明らかであり,乙5に乙6を組み合わせるための直接的な動機付けが存在する。 (イ) 仮に,構成要件3-70A,3-70B及び3-70Fが相違点となるとしても,構成要件3-70A(「水平方向に突出する突起部」)と,構 成要件3-70B(「当該突起部に設置された接地用の (イ) 仮に,構成要件3-70A,3-70B及び3-70Fが相違点となるとしても,構成要件3-70A(「水平方向に突出する突起部」)と,構 成要件3-70B(「当該突起部に設置された接地用の本体側アース端子」) という各構成は,乙6のガイドピン20と同じである。また,構成要件3-70F(「前記突起部が挿入される穴部と,前記情報記憶部と,を備えた基板」)という構成は,乙5の記憶装置30を備えた回路基板10と同じである。 したがって,構成要件3-70A,3-70B及び3-70Fの各構成 は,当業者が容易に想到し得たものである。 イ相違点3-2(構成要件3-70H及び構成要件3-70I)(ア) 構成要件3-70Hは,「前記穴部に前記突起部が挿入された状態において,前記情報記憶部は前記穴部よりも下方に設けられ」というものであるが,乙5発明の記憶装置30が貫通孔11より下方に設けられているこ とと何ら変わりはない。また,本件発明3におけるインクカートリッジに取り付けられる小さな基板において,情報記憶部に穴を開けることはできないことから,穴部を情報記憶部の上方に設けるのか下方に設けるのかは,当業者が適宜選択し得たことである。 構成要件3-70Iの「前記基板は,前記穴部に前記突起部が挿入され ていく間に,当該基板の側面であって前記穴部よりも下方に,前記一対のリブのうちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備えた」という構成については,そもそもリブは情報記憶装置を保持するためのものであって,情報記憶装置の外にあり,リブのいずれかの位置に情報記憶装置が当接するのは当然であり,縁部のない回路基板など存在し得ないから,本件発明3 -70を特定する要件として成立していない。 このような構成の効 置の外にあり,リブのいずれかの位置に情報記憶装置が当接するのは当然であり,縁部のない回路基板など存在し得ないから,本件発明3 -70を特定する要件として成立していない。 このような構成の効果として,本件明細書等3の段落番号【0122】には,「これにより,一対のリブから成る振れ防止部材573e24が回転中心である穴部535b21よりも鉛直方向下方に侵入するときに,振れ防止部材573e24(リブ)のテーパ面との当接をトリガーにして重 心の作用で姿勢を鉛直方向に沿うように回転することができる(位置ずれ を規制して姿勢を矯正することができる。)」と記載されているが,これは重心が穴部より下にあることの効果であって,リブが穴部より下に当接することによる効果ではない。 また,回路基板をリブにより固定することは,乙12及び13に記載されているように,周知慣用の技術であって,当業者が適宜選択し設計でき る事項である。 (イ) 仮に,構成要件3-70C(「前記突起部と同一方向に突出する一対のリブ」)が相違点となるとしても,リブは乙12及び13に見られるように周知慣用であるので,当業者であれば容易に想到し得たものである。 (2) 本件発明3-77 本件発明3-77に係る請求項77は,本件発明3-70に係る請求項70の従属項であるところ,上記相違点3-1及び3-2に係る構成が容易に想到し得たことは前記のとおりである。 構成要件3-77Pの「前記基板の表面に設けられ,前記画像形成装置本体に設けられた本体側端子と接触する情報記憶装置側端子」との構成は,乙5発 明の端子P1~P7に接触する回路基板10の端子21~27に相当するので,本件発明3-77は当業者が容易に想到し得たものである。 (3) 子と接触する情報記憶装置側端子」との構成は,乙5発 明の端子P1~P7に接触する回路基板10の端子21~27に相当するので,本件発明3-77は当業者が容易に想到し得たものである。 (3) 本件発明3-78本件発明3-78に係る請求項78は,本件発明3-77に係る請求項77の従属項であるところ,本件発明3-77に係る構成が容易に想到し得たこと は前記のとおりである。 構成要件3-78Qは,乙5の回路基板10に相当する。 構成要件3-78Rの「前記情報記憶装置が前記画像形成装置本体に接続される際,前記情報記憶装置側アース端子が前記本体側アース端子と接触した後に,前記情報記憶装置側端子が前記本体側端子と接触可能に形成されている」 との構成は,乙6の第11頁に見られる「第1図に示すように,筐体1内のガ イドレール7でドータボード5の上下縁をガイドしなから,ドータボード5をマザーボード2に接近させると,まず,ドータボード5のガイドピン20がマザーボード2のガイド孔9内のコンタクト部材24に挿入して接触する。」との記載に相当する。 したがって,本件発明3-78は,乙5発明に乙6考案を適用することによ り当業者が容易に想到し得たものである。 (4) 本件発明3-80本件発明3-80に係る請求項80は,本件発明3-70等の従属項であるところ,上記相違点3-1及び3-2に係る構成が容易に想到し得たことは前記のとおりである。 構成要件3-80Tの「前記穴部は,前記基板に1つだけ形成されている」との構成における1 つの穴部は,乙5の貫通孔11に相当するから,本件発明3-80は当業者が容易に想到し得たものである。 (5) 以上のとおり,本件各発明3は,乙5発明に乙6考案を組み合 ている」との構成における1 つの穴部は,乙5の貫通孔11に相当するから,本件発明3-80は当業者が容易に想到し得たものである。 (5) 以上のとおり,本件各発明3は,乙5発明に乙6考案を組み合わせることによって当業者が容易に想到することができたものであって,進歩性がない。 〔原告の主張〕(1) 本件発明3-70ア相違点<相違点3-1>画像形成装置本体に情報を伝達するための情報記憶装置の構成について, 本件発明3-70は,画像形成装置本体の突起部が挿入される穴部を備えた基板と(構成要件3-70A及び3-70F),穴部に形成され,本体側アース端子と接触する情報記憶装置側アース端子と(構成要件3-70B及び3-70G)を備えるのに対し,乙5発明は,接地端子は回路基板の両端部に配置された構成を備え,画像 形成装置の本体に設置された突起部が挿入される穴部を備えておらず,本件 発明3-70の上記構成を備えていない点。 <相違点3-2>情報記憶装置における情報記憶部及び基板の構成について,本件発明3-70は,穴部に突起部が挿入された状態において,情報記憶部は穴部よりも下方に設けられ(構成要件3-70H),基板は,穴部に突 起部が挿入されていく間に,当該基板の側面であって穴部よりも下方に,一対のリブのうちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備えた(構成要件3-70C及び3-70I)ものであるのに対し,乙5発明は,画像形成装置の本体に設置された突起部が挿入される穴部を備えておらず,回路基板に設けられた記憶装置と穴部との配置は不明であり, また,回路基板は画像形成装置に設けられたリブで取り付けられるものではなく,本件発明3-70の上記構成を備えていな 部を備えておらず,回路基板に設けられた記憶装置と穴部との配置は不明であり, また,回路基板は画像形成装置に設けられたリブで取り付けられるものではなく,本件発明3-70の上記構成を備えていない点。 イ相違点3-1前記1〔原告の主張〕(1)イのとおり,乙5発明に乙6考案を適用して相違点3-1に至ることが容易想到であるとはいうことはできない。 ウ相違点3-2(ア) 相違点3-2に係る構成は,「前記穴部に前記突起部が挿入された状態において,前記情報記憶部は前記穴部よりも下方に設けられ」(構成要件3-70H),「前記基板は,前記穴部に前記突起部が挿入されていく間に,当該基板の側面であって前記穴部よりも下方に,前記一対のリブのう ちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備えた」(構成要件3-70I)というものであり,一対のリブが当接される基板の「縁部」の機能や位置を特定したものである。 かかる構成は,穴部に突起部が挿入されている間に,情報記憶装置の姿勢がずれたとしても,リブが縁部に当接すると,それをトリガーとして穴 部よりも下方に設けられた情報記憶部による作用で姿勢を鉛直にする方 向に基板が回転し,回転方向の姿勢のずれを矯正させることができるという技術的意義を有するものであるから(本件明細書3の段落【0121】及び【0122】),当業者が適宜なし得る設計的事項ということはできず,乙6公報に開示も示唆もされてはいない。 加えて,被告らは,回路基板をリブに固定することは,乙12及び13 に記載されているように周知慣用の技術であり,当業者が適宜選択し設計できることであるとも主張するが,乙12及び13には,基板の穴部が画像形成装置本体の突起部に挿入されていく間に,基板の穴部より に記載されているように周知慣用の技術であり,当業者が適宜選択し設計できることであるとも主張するが,乙12及び13には,基板の穴部が画像形成装置本体の突起部に挿入されていく間に,基板の穴部よりも下方の縁部に,画像形成装置本体の一対のリブのうちの少なくとも一方が当接する構成は何ら開示されてはいない。 (イ) 相違点3-2に係る構成は,「前記穴部に前記突起部が挿入された状態において,前記情報記憶部は前記穴部よりも下方に設けられ」(構成要件3-70H),「前記基板は,前記穴部に前記突起部が挿入されていく間に,当該基板の側面であって前記穴部よりも下方に,前記一対のリブのうちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備えた」(構成要件3-70I) というものであるところ,上記1〔原告の主張〕(1)イのとおり,乙5発明は,そもそも,回路基板10の基板面がプリンタ本体に対向するものではないから,このような乙5発明の回路基板10に,プリンタ本体側の突起部に係合する穴部をどのようにして形成するか不明であり,乙6公報のガイドピン及びガイド孔内のコネクタ部材の構成を考慮しても,構成要件3 -70H及び3-70Iを適用することを容易に想到し得たということはできない。 (2) 本件発明3-77上記(1)のとおり,相違点3-1及び3-2の点で少なくとも相違するから,本件発明3-77は当業者が容易に想到できるものではない。 (3) 本件発明3-78 上記(1)のとおり,相違点3-1及び3-2の点で少なくとも相違するから,本件発明3-78は当業者が容易に想到できるものではない。 (4) 本件発明3-80上記(1)のとおり,相違点3-1及び3-2の点で少なくとも相違するから,本件発明3-80は当業者が容 から,本件発明3-78は当業者が容易に想到できるものではない。 (4) 本件発明3-80上記(1)のとおり,相違点3-1及び3-2の点で少なくとも相違するから,本件発明3-80は当業者が容易に想到できるものではない。 被告らは,本件発明3-80について,「前記穴部は,前記基板に1つだけ形成されている」(構成要件3-80T)との構成における1つの穴部は乙5発明の貫通孔11に相当すると主張が,構成要件3-80Tの穴部は,画像形成装置本体の突起部が挿入されるものであるところ(本件発明3-70),乙5発明の「貫通孔11」は,回路基板10をインクカートリッジ40の回路基 板装着部41に位置決めするものにすぎず,プリンタ本体側の突起部に係合するものではないことは,上記1〔原告の主張〕(1)ア(イ)のとおりであり,乙5公報に構成要件3-80Tは開示されているということはできない。 (5) 以上のとおり,本件各発明3は,乙5発明に乙6考案を組み合わせることによって当業者が容易に想到することができたものということはできないから, 進歩性がある。 4 争点3-2-1(無効理由2-1。本件発明3-70,3-77,3-78及び3-80に関する明確性要件違反)について〔被告らの主張〕(1) 本件発明3-70,3-77,3-78及び3-80は,以下のとおり,明 確性要件(特許法36条6項2号)に違反するので,無効にされるべきものである。 ア本件発明3-70の基板は「一対のリブのうちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備えた」(構成要件3-70I)ものであるが,水平方向の突起物と同一方向を向いているほかは,一対のリブの形状や,トナーカートリッ ジに対するこの一対のリブの位置関係はわからず,このような特徴により基 (構成要件3-70I)ものであるが,水平方向の突起物と同一方向を向いているほかは,一対のリブの形状や,トナーカートリッ ジに対するこの一対のリブの位置関係はわからず,このような特徴により基 板とその縁部がどのような構成を有することになるのか不明である。そもそも,情報記憶装置の外にあるリブの位置が定義されても,本体側の水平の突起部や突起部と同方向の一対のリブの用途は説明されるとしても,画像形成装置本体とは全く別個の情報記憶装置の構成が特定されるわけではないので意味がなく,本件発明3-70の対象となる情報記憶装置の限定としては明 確性を欠く。 イまた,基板が「一対のリブのうちの少なくとも一方が当接可能な縁部を備えた」と限定しても,リブが基板に当接するのは理解し得るものの,基板の形状がどのように限定されるのかは不明である。 (2) 以上のとおり,本件発明3-70には明確性要件違反の無効理由があり,同 発明の特徴を包含する本件発明3-77及び3-80並びに本件発明3-77を包含する本件発明3-78も同様の無効理由がある。 〔原告の主張〕(1) 以下のとおり,本件発明3-70には明確性要件違反の無効理由はない。 ア本件発明3-70は,請求項に「画像形成装置本体」に関する事項を特 定することによって,「情報記憶部」が記憶する情報の機能や性質(構成要件3-70E),「穴部」及び「情報記憶装置側アース端子」の機能や構造(構成要件3-70F及び同3-70G),「情報記憶部」と「穴部」の相対的な位置(構成要件3-70H),並びに,一対のリブが当接される基板の「縁部」の機能や位置(構成要件3-70I)等を特定したもの であり,これにより「情報記憶装置」の発明の構成を明確に特定したものである。 要件3-70H),並びに,一対のリブが当接される基板の「縁部」の機能や位置(構成要件3-70I)等を特定したもの であり,これにより「情報記憶装置」の発明の構成を明確に特定したものである。 イ構成要件3-70Iは,画像形成装置本体の一対のリブに関する事項を特定することによって,一対のリブが当接される基板の「縁部」の機能や位置等を特定したものであり,これにより「情報記憶装置」の発明の構成 を明確に特定したものである。 (2) 以上のとおり,本件発明3-70には明確性要件違反の無効理由はなく,同様に,本件発明3-77,3-78及び3-80にも無効理由はない。 5 争点3-2-2(無効理由2-2。本件発明3-78に関する明確性要件違反)について〔被告らの主張〕 本件発明3-78は,以下のとおり,明確性要件(特許法36条6項2号)に違反するから,無効とされるべきものである。 構成要件3-78Qの「前記情報記憶装置が前記画像形成装置本体に接続される際,前記情報記憶装置側アース端子が前記本体側アース端子と接触した後に,前記情報記憶装置側端子が前記本体側端子と接触可能に形成されている」という限定事 項は,少なくとも本件明細書等3にある実施形態をみると,本体側の突起と端子の特徴によって実現されており,この構成要件3-78Qによって更にどのような限定が本件発明3-70又は3-77の情報記憶装置に加えられるのか明らかではないので,明確性を欠く。 〔原告の主張〕 本件発明3-78は,請求項に「画像形成装置本体」に関する事項を特定することによって,「前記情報記憶装置側アース端子が前記本体側アース端子と接触した後に,前記情報記憶装置側端子が前記本体側端子と接触可能に形成されている」という 画像形成装置本体」に関する事項を特定することによって,「前記情報記憶装置側アース端子が前記本体側アース端子と接触した後に,前記情報記憶装置側端子が前記本体側端子と接触可能に形成されている」という,「情報記憶装置側アース端子」及び「情報記憶装置側端子」の機能や構造等を特定したものであり,これにより「情報記憶装置」の発明の構成を明確に特定し たものであるから,明確性要件を充足する。

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