昭和24(新)201 窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和24年10月12日 広島高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件公訴は、これを棄却する。          理    由  被告人弁護人豊川重助同小林右太郎提出に係る控訴の趣意は別紙控訴趣意書と題 する書面

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判決文本文1,374 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件公訴は、これを棄却する。 理由 被告人弁護人豊川重助同小林右太郎提出に係る控訴の趣意は別紙控訴趣意書と題する書面記載の通りである。 右控訴の趣意第一点について、よつて訴訟記録を調べてみるさ、本件起訴状には、犯罪一覽表と題する書面が添附せられており、右犯罪一覽表記載の内容は本件公訴事実に引用されており、その訴因をなしているのであるが、その末尾に「前記以外に未届のものがあるものと推則(測を誤記したものと思われる)せられる」との記載あり。原審第一回公判調書によれば、主任弁護人弘田達三において右記載を「刑事訴訟法第二百五十六条第六項所定の裁判官に予断を生ぜしめる虞ある記載」であるとし「公訴棄却の判決がなされるべきもので本件公訴提起には異議がある」と述べたとと原審第二回公判調書によれば、検察官は右附記を「隠当を欠くものであるから撤回する」と述べ裁判官はこれを「裁判官に予断を生ぜしめる虞おる記載とは認められない」との理由で弁護人の異議申立を却下したととはいずれも所論の通りである。思うに現行刑事訴訟法は、従来のそれに比し公判中心主義を徹底し且つ当事者主義を強化した結果、公判期日前に裁判官に予断を懐かしめる事態を生ずることを極力警戒し刑事訴訟法第二百五十六条第六項において、起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならないと規定したのであつてその趣旨はただにかような書類その他の物を添附し又は引用することを禁ずるに止まらず起訴状に起訴事実及びその犯情に直接関係のない事であつて裁判官に事実の認定及び量刑につき予断を抱かしめるおそれのある事柄を記載すること自体をも禁止したも<要旨>のであると解するを相当とする。 止まらず起訴状に起訴事実及びその犯情に直接関係のない事であつて裁判官に事実の認定及び量刑につき予断を抱かしめるおそれのある事柄を記載すること自体をも禁止したも<要旨>のであると解するを相当とする。しかるに前記犯罪一覧表には、訴因をなす十二個の窃盗事実の記載があり、</要旨>その末尾に前記以外に未届のものがあるものと推測せられると記載してあるのであるからこの記載は、被告人が起訴に係る公訴事実の外にも、罪を犯しているものと推測せられるとの意味であることは明白であるが、犯罪の数の多いということは、実体法上不利益であるばかりでなく、刑事訴訟法第八十九条が被告人において常習として長期三年以上の懲役又は禁錮にあたる外を犯したものであるときは、いわゆる権利保釈の権利を認めないと規定しているように、手続法の上でも不利益な取扱を受けるおそれがあるのであつて前記附記は正しく起訴事実又はその犯情に直接関係のない事柄であつて而も裁判官に事件につき予断を懐かしめる虞あるものというべく本件公訴提起の手続は、刑事訴訟法第二百五十六条第六項の規定に違反した無効のものである。さればこれと異る見地において本件公訴を受理審理の上有罪の判決をした原判決は破棄を免れない。 よつて、他の論旨につき判断を省略し、刑事訴訟法第三百九十七条第三百七十八条第二号第三百三十八条第四百条第四百四条に則つて、主文の通り判決する。 (裁判長判事三瀬忠俊判事永見眞人判事小竹正)

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