平成20(行コ)28 退去強制令書発布処分取消請求控訴事件(差戻前第1審・名古屋地方裁判所平成16年(行ウ)第30号,差戻前控訴審・名古屋高等裁判所平成16年(行コ)第32号,原審・名古屋地方裁判所平成18年(行ウ)第46号)

裁判年月日・裁判所
平成20年11月11日 名古屋高等裁判所 警察関係
ファイル
hanrei-pdf-37667.txt

判決文本文4,852 文字)

- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人が控訴人に対し平成16年2月16日付けでした退去強制令書発付処分を取り消す。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,イラン・イスラム共和国(以下「イラン」という。)の国籍を有する控訴人が,被控訴人から平成16年2月16日付けで受けた退去強制令書(以下「本件令書」という。)の発付処分は,出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前のもの。以下「入管法」又は「法」という。)53条3項に違反する違法なものであるとして,その取消しを求める事案である。 原審は,控訴人の請求を棄却した。 前提事実(争いのない事実等),争点及び争点に関する当事者の主張原判決書19頁17行目の末尾の次に,行を改めて,次のとおり加えるほか,原判決「事実及び理由」中の「第2事案の概要」の「1」及び「2」並びに「第3争点に関する当事者の主張」の「1」及び「2」記載のとおりであるから,これを引用する。 「(7)なお,控訴人は,原判決に対する控訴理由を何ら明らかにしておらず,その原審段階における主張内容を超える有意かつ具体的な主張をする見込みはないものというべきである。」第3当裁判所の判断- 2 -当裁判所も,控訴人の本件請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとおり付け加えるほか,原判決「事実及び理由」中の「第4争点に対する判断」の「1」ないし「5」記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決書の補正(1)原判決書21頁12行目の「(法47条5項)」を「(法47条4項(現行の同条5項))」と改める。 (2)同32頁20行目の「 5」記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決書の補正(1)原判決書21頁12行目の「(法47条5項)」を「(法47条4項(現行の同条5項))」と改める。 (2)同32頁20行目の「合理的な説明はしておらず」の次に,「(なお,控訴人は,原審及び当審において,これらの供述の変遷や食違いに関する説明のための陳述書(控訴人本人の主尋問の事前開示の趣旨を含む。)を提出しなかった。)」を加える。 (3)同33頁12行目の「異なっていること」の次に,「(個人を特定するための重要な情報である生年月日が一致していない以上,上記書面が真実控訴人に関する情報を記載したものであるかどうかにつき疑念を抱かざるを得ない。)」を,同頁16行目の「不自然である」の次に,「(なお,上記②ないし⑤の点は,その事柄の性質上,控訴人本人尋問を実施したからといって,直ちにA海外代表名義の上記書面の信用性を補強することができるものでもないというべきである。)」を,同34頁7行目の末尾の次に,「なお,上記①の点(原判決書33頁6行目の「①差戻後の」から同頁10行目の「見当たらないこと,」まで)を除いて検討しても,前示したところ(原判決書33頁10行目の「②A海外代表名義」から同34頁5行目の「直ちに認め難いものであることなど」まで)からすれば,A海外代表名義の上記書面によって,直ちに控訴人がAへの支援活動を行っていたとまで認めることはできないというべきである。」を,それぞれ加える。 (4)同38頁11行目の「なお,」を「なお,逮捕歴(回数)を偽ったことにつき,控訴人は,難民性があるように装うためには逮捕歴(回数)を複数回とし,また,拷問を受けたのが1回目の逮捕時よりも2回目の逮捕時の出来- 3 -事とする方が難民としての同情を得ることができるとの判断によるも ,難民性があるように装うためには逮捕歴(回数)を複数回とし,また,拷問を受けたのが1回目の逮捕時よりも2回目の逮捕時の出来- 3 -事とする方が難民としての同情を得ることができるとの判断によるものであり,このような行動は,難民心理として十分に考えられるところであるし,この点から直ちに,その余の点についての信用性を否定すべきではない旨の主張をする。しかし,当該逮捕拘束の事実の有無は,その後の身柄拘束に至る経緯や,その際の拷問の有無等にも密接に関わる事項であるといえるから,上記の点につき控訴人が虚偽の供述等をしていたことは,迫害事実の核心部分である身柄拘束時の拷問等の有無に関する控訴人の供述等の信用性をも大きく左右するものというべきである。」と,同頁17行目から18行目にかけての「すぎないから」を「すぎないし,仮に,控訴人の長男及び長女が,控訴人が逮捕されるのを目撃したとしても」と,それぞれ改める。 (5)同39頁25行目の末尾の次に,「また,控訴人が家族を連れて来日した点についても,控訴人が過去に日本で稼働したことがあり,日本のことをよく知っていたし,控訴人が日本で仕事をすれば,家族の生活費などに不自由することもないものと思っていたこと(乙38)等からすれば,上記の点のみをもって,直ちに控訴人がイラン本国において迫害を受けるおそれを抱いていたとまで認めることはできない。」を加える。 (6)同41頁19行目の「経緯が明らかではなく」から同頁22行目の「不自然である」までを「経緯等が明らかでない」と改める。 (7)同42頁2行目の「疑わしいと考えるべき事実関係が存するのであって」を「疑わしいと考えるべき複数の事実関係が存在し,これらの点と,上記のとおり,迫害の事実に関する控訴人や同人の妻の供述等の信用性には多くの疑問があることとを併 考えるべき事実関係が存するのであって」を「疑わしいと考えるべき複数の事実関係が存在し,これらの点と,上記のとおり,迫害の事実に関する控訴人や同人の妻の供述等の信用性には多くの疑問があることとを併せ考えると,控訴人が迫害を受けていたとか,迫害を受けるおそれを抱いていたとの事実があったとまで認めることはできないというべきである。そして」と,同頁21行目の「しかし」を「しかし,前示2のとおり,控訴人が難民に当たるとすることができないところ」と,それぞれ改める。 - 4 -(8)同43頁3行目の「なお,」の次に,「原審において,」を加え,同頁6行目の「当審」を「原審」と改め,同頁25行目の「差戻後の」次に,「原審」を加え,同44頁の3行目及び7行目の各「当裁判所」をいずれも「原審」と改める。 当審における審理経過等について控訴人代理人である金岡弁護士は,控訴理由書の提出期限である平成20年6月27日までにこれを提出せず,同年7月9日,同月31日及び同年8月21日の3回にわたり当裁判所書記官から控訴理由書の提出を督促されたが,当審の第1回口頭弁論期日(同年8月28日)の直前になって,同年8月25日付けの「ご連絡(控訴理由書の提出について)」と題する書面を提出した。その内容は,「標記の件について度々ご連絡頂いておりますが,本件については,既に約4年以上に亘り係属している事件であり訴訟記録も相当量に達すること,海外を含めた若干の補充調査を要することから,控訴理由書の提出については,なお若干のご猶予を頂きたく,具体的には第1回口頭弁論期日に於いて指定される次回期日までに提出する方向で検討しております。」というものである。 そして,当審の第1回口頭弁論期日(同年8月28日)において,「①同年10月下旬までに控訴理由書を提出する予定である。②そ 定される次回期日までに提出する方向で検討しております。」というものである。 そして,当審の第1回口頭弁論期日(同年8月28日)において,「①同年10月下旬までに控訴理由書を提出する予定である。②その内容は,実体面では,原判決には控訴人の難民性の有無についての事実誤認があり,また,手続面では,原審が控訴人の本人尋問を実施せずに結審したり,忌避申立てを簡易却下したことが違法であること等である。③当審における立証として,原審がA海外代表の作成名義の書面の信用性を否定した理由の一つとして,その提出が合理的な理由なく3年以上遅れたことを挙げている点に対し,上記提出の遅れた理由を説明することを予定しており,控訴人の家族を通じて,カナダにおけるAの組織との接触を図っているので,その結果を控訴人代理人作成の報告書として提出する予定である。④控訴人本人尋問の実施の見込みについては,医師から,控訴人の健康状態は,回復傾向にあると聞いている。」などと述べ- 5 -た。 しかし,前示(原判決書記載)のとおり,金岡弁護士は,平成15年の刑事事件以来,控訴人の刑事弁護人,難民認定手続に係る手続の代理人,本件訴訟及び難民不認定処分取消しに係る別件難民事件の訴訟代理人を務めており,当審において新規に本件訴訟の遂行を受任したわけではない。そして,同弁護士は,当審の判決言渡期日の前日である平成20年11月10日になって,同日付けの控訴理由書,同弁護士作成の報告書と題する書面(甲C50)の写し及び弁論再開申立書と題する書面を提出したが,上記控訴理由書の内容を検討しても,補充調査の点を除き,金岡弁護士において,控訴理由書の提出期限までに準備することが困難と認められる事項は含まれておらず,まして,当審の第1回口頭弁論期日までに準備することが困難であったとは到底いえない。ま 査の点を除き,金岡弁護士において,控訴理由書の提出期限までに準備することが困難と認められる事項は含まれておらず,まして,当審の第1回口頭弁論期日までに準備することが困難であったとは到底いえない。また,上記控訴理由書の内容のうち,原判決の判断や原審の審理経過を批判する部分については,事案の性質上,控訴人から特に指摘がなくとも,控訴審として当然検討すべき事項であり,改めて口頭弁論を経る必要のあるとは認められない。 さらに,前示1(3)からすれば,A海外代表名義の書面の信用性や,控訴人がAへの支援活動を行っていたか否かについての判断は,上記報告書(甲C50)によって,左右されるものではないから,弁論を再開して上記報告書(甲C50)を取り調べても,本件の結論に影響するものではない。 次に,控訴人本人尋問(なお,当審において,控訴人本人尋問の申請はされていない。)については,原審では,前示(原判決書記載)のとおり,控訴人が○と診断され,当分その回復の見込みがなく,不定期間の障害(民事訴訟法181条2項)があり,また,当審において,この点に関する医師の診断書が提出されておらず,この点につき金岡弁護士が当審の第1回口頭弁論期日において上記のとおり述べたところを踏まえて検討しても,控訴人の○が回復して証拠調べを行うことができる時期の見通しがつかない状況にあることに変わりはないものというべきであるから,当審の口頭弁論終結時においても,不定期- 6 -間の障害があるものと認められる。 なお,原審が忌避権の濫用(訴訟遅延のみを目的とする忌避申立てであること)に当たることを理由に控訴人代理人による忌避申立てを却下した点は,正当として是認することができ,訴訟手続の違法があるとすることはできない。 第4 結論 よって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することと ることを理由に控訴人代理人による忌避申立てを却下した点は,正当として是認することができ,訴訟手続の違法があるとすることはできない。 第4 結論 よって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法67条1項本文,61条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第4部裁判長裁判官岡久幸治裁判官加島滋人裁判官鳥居俊一

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る